【氏名又は名称】アイシーティー インテグレーテッド サーキット テスティング ゲゼルシャフト フィーア ハルプライタープリーフテヒニック エム ベー ハー
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シールドアセンブリが前記第1のブランキング偏向器から前記第2のビームレットへのクロストークを低減させるように構成されている、請求項1に記載のマルチビーム荷電粒子ビーム装置。
前記ブランキング装置が第1のウエハ上に設けられ、前記第2のシールド要素が第2のウエハ上に、または第2のウエハによって設けられている、請求項3に記載のマルチビーム荷電粒子ビーム装置。
前記第2のシールド要素が第1の孔径を有し、前記第1の孔径とは異なる第1の開孔径を有する前記第1のビームレット用の1つまたは複数の第1の開孔をさらに備える、請求項3または4に記載のマルチビーム荷電粒子ビーム装置。
前記第3のシールド要素が第2の孔径を有し、前記第2の孔径とは異なる第2の開孔径を有する前記第1のビームレット用の1つまたは複数の第2の開孔をさらに備える、請求項6に記載のマルチビーム荷電粒子ビーム装置。
前記第1のブランキング偏向器が前記第1のビームレットを前記第2のビームレットから分割するための多重極装置を含んでいる、請求項1から7までのいずれか1項に記載のマルチビーム荷電粒子ビーム装置。
前記第1のビームレットと前記第2のビームレットとの前記分割が、光軸に垂直な平面内で、試料上の別々のビームレット位置、または前記第1のビームレットおよび前記第2のビームレットの仮想放出源のうちの少なくとも1つを提供する、請求項8に記載のマルチビーム荷電粒子ビーム装置。
前記第1のビームレットおよび前記第2のビームレットに別々に作用するように構成された多重極装置をさらに備える、請求項1から9までのいずれか1項に記載のマルチビーム荷電粒子ビーム装置。
前記第1のビームレットおよび前記第2のビームレットに別々に作用するように構成された多重極装置をさらに備え、前記多重極装置が第3のウエハ上に設けられ、前記第1のウエハ、前記第2のウエハ、および前記第3のウエハが任意の順番で互いの上に積み重ねられている、請求項4に記載のマルチビーム荷電粒子ビーム装置。
前記第1のビームレットによって生成された第1の信号ビームレットを検出するための第1のセンサと、前記第2のビームレットによって生成された第2の信号ビームレットを検出するための第2のセンサと、を有する検出器アセンブリ
をさらに備える、請求項1から16までのいずれか1項に記載のマルチビーム荷電粒子ビーム装置。
前記シールドアセンブリは、前記第1のブランキング偏向器の上流の前記第1のビームレット用の第2のシールド要素と、前記第1のブランキング偏向器の下流の前記第1のビームレット用の第3のシールド要素と、を備える、請求項1に記載のマルチビーム荷電粒子ビーム装置。
前記第1のシールド要素が、前記第1のブランキング偏向器の面内で前記第1のブランキング偏向器を完全に取り囲む、請求項1に記載のマルチビーム荷電粒子ビーム装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、本開示の様々な実施形態を詳細に参照し、それらの1つまたは複数の例を図に示す。図面の以下の説明の範囲内で、同じ参考番号は、同じ構成要素を指す。個々の実施形態に関する相違点のみを説明する。それぞれの例は、本開示の説明として提供され、本開示を限定することを意味しない。さらに、一実施形態の一部として図示または説明される特徴は、さらなる実施形態をさらに生み出すために、他の実施形態上でまたは他の実施形態と併せて使用することができる。説明は、そのような変更および変形を含むことが意図されている。
【0013】
本出願の保護の範囲を限定することなく、以下では、荷電粒子ビーム装置またはその構成要素は、典型的には、荷電粒子として電子を使用する荷電粒子ビーム装置と呼ばれる。しかしながら、他のタイプの一次荷電粒子、例えば、イオンを使用してもよい。荷電粒子ビーム(「一次荷電粒子ビーム」とも呼ばれる)によって試料またはサンプルを照射すると、二次電子(SE)などの信号荷電粒子が生成され、この信号荷電粒子が表面形態、サンプルの化学的成分、および/または静電電位などの情報を運ぶことができる。信号電子は、二次電子、後方散乱電子、およびオージェ電子のうちの少なくとも1つを含むことができる。信号荷電粒子は、収集され、センサ、例えば、シンチレータ、ピンダイオードなどに誘導され得る。
【0014】
本明細書に記載された実施形態によると、サンプルまたは試料上の非導電性領域の帯電は、電子ビームイメージング装置、例えば、電子ビーム検査装置に提供することができる。一次荷電粒子ビームまたはビームレットを個々にブランキングすることができるマルチビームブランカが設けられている。ビームブランキング装置は、電子ビームをブランキングおよびアンブランキングすることができる。各ビームレットは、スループットを最大限にするために個々に制御可能であってもよい。例えば、リソグラフィ用のビームブランカと比較して、本装置は、高速であるべきであり、すなわち、マイクロ秒の範囲で、すなわち単一の線を走査する時間スケールよりも短い範囲でビームをブランキングすべきである。さらに、1つのビームレットのブランキングは、他のビームレットによって得られる画像に影響を与えるべきではなく、すなわち、ビームブランキング要素間にクロストークがあってはならない。
【0015】
本開示の実施形態によると、放出源、すなわち単一の放出源を有する荷電粒子ビームカラムが設けられている。複数の荷電粒子ビームレット、すなわち一次荷電粒子ビームレットは、荷電粒子ビームカラム、例えば複数のビームレットを有する単一のカラム内部で生成される。複数の荷電粒子ビームレットは、試料上で走査される。特に、絶縁体と検査される領域との間の境界の領域を走査する際に、複数のビームレットのうちの1つは、絶縁体上で走査され得、複数のビームレットのうちのもう一つは、検査される領域上で走査される。絶縁体、例えば強力な絶縁体上を走査すると、試料の帯電が発生することがある。試料の帯電は、結果として提供される画像に帯電アーチファクトをもたらす可能性がある。したがって、絶縁体上を走査するビームレットの1つまたは複数をブランキングすることがある。他のビームの走査は、行われてもよい。
【0016】
一実施形態によると、マルチビーム荷電粒子ビーム装置が提供される。本装置は、一次荷電粒子ビームを放出するように構成された荷電粒子源と、一次荷電粒子ビームの少なくとも第1のビームレットおよび第2のビームレットを生成するように構成された開口部を有する開孔装置と、ブランキング装置であって、少なくとも第1のビームレット用の第1のブランキング偏向器および第2のビームレット用の第2のブランキング偏向器、ならびに第1のブランキング偏向器を少なくとも部分的に取り囲む第1のシールド要素を有するシールドアセンブリを備える、ブランキング装置と、を含む。シールドアセンブリは、第1のビームレット用の第1のブランキング偏向器から、第2のビームレット、すなわち第1のビームレットとは異なるビームレットへのクロストークを低減させるように構成されている。
【0017】
図1Aは、本明細書に記載された実施形態による荷電粒子ビーム装置100の概略図を示す。荷電粒子ビーム装置100は、走査電子顕微鏡(SEM)などの電子顕微鏡であってもよい。荷電粒子ビーム装置100は、カラムハウジング101を有するカラムを含む。
【0018】
荷電粒子ビーム装置100は、(一次)荷電粒子ビーム14を放出するように構成された荷電粒子源20と、コンデンサレンズ装置110と、一次荷電粒子ビーム14の2つ以上のビームレット14A、14B、14Cを生成するように構成された開孔装置120と、2つ以上のビームレット14A、14B、14Cに作用するように、特に、第1のビームレットおよび第2のビームレットに別々に作用するように構成された多重極装置130と、を含む。開孔装置120は、複数の開口部122を含む。多重極装置130は、2つ以上のビームレットに作用するように構成され得る。コンデンサレンズ装置110は、磁気コンデンサレンズもしくは静電コンデンサレンズ、または複合磁気静電マグネットコンデンサレンズを含むことができる。ビームレットの倍率および/または電流は、コンデンサレンズ装置によって制御することができる。
【0019】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、コンデンサレンズ装置は、単一のコンデンサレンズまたは2つ以上のコンデンサレンズなどの、1つまたは複数のコンデンサレンズを含む。コンデンサレンズ装置は、交差を有するビーム経路および/または交差のないビーム経路を提供するように構成され得る。コンデンサレンズ装置110は、開孔装置120の焦点距離を変えることおよび照射角度を変えることのうちの少なくとも1つための調整可能なレンズ励起を有することができる。例えば、コンデンサレンズ装置は、焦点距離を変化させるための制御可能なレンズ励起を備えることができ、可変の放出源拡大および/または縮小を可能にする。加えてまたは代替として、コンデンサレンズ装置は、開孔装置および/または多重極装置(例えば、偏向器アレイ)の照射角度を制御するための制御可能なレンズ励起を備えることができる。一部の実施態様では、コンデンサレンズ装置110は、開孔装置120の本質的に平行な照射を提供することができる。
【0020】
開孔装置120は、荷電粒子源によって放出された一次ビームを一次ビームレットに分離する。開孔アレイは、ビームスプリッタの一部と考えることができ、例えば、接地電位にあってもよい。ビームスプリッタは、「メイン」ビームを複数のビームレットに分離する。多重極装置130は、ビームレットを対物レンズのコマ収差のない平面に向けることができる。開孔装置120の開口部、したがってビームレットは、アレイ状またはリング状に配置され得る。
【0021】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、単一の荷電粒子源を設けることができる。荷電粒子源20は、高輝度のガン(gun)であってもよい。例えば、荷電粒子源20は、冷電界エミッタ(CFE)、ショットキーエミッタ、TFE、または別の高輝度電子ビーム源を含むグループから選択されてもよい。放出源は、−30kVの電位にあってもよく、放出された電子は、抽出器電極、および接地に保持されたアノードによって30keVのエネルギーに加速される。放出源は、例えば30kVの抽出電圧で約40mradの角度までの均一な照射を提供するように構成され得る。
【0022】
コンデンサレンズ装置110は、電子ビームなどの(一次)荷電粒子ビーム14によって開孔装置120を照射する。結果として生じる2つ以上のビームレット14A、14B、および14Cは、2つ以上のビームレット14A、14B、および14Cが異なる放出源から来るように見えるように、多重極装置130の偏向器6A、6B、および6Cを用いて偏向させることができる。例えば、ビームレットの電子は、光軸4に垂直な荷電粒子源20の平面21内の異なる位置から放出されているように見える。
図1Aに示すように、放出源によって供給される電子は、仮想放出源から来るように見える。
【0023】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、ビーム分離器114、すなわち一次ビームレットを信号ビームレットから分離する分離器は、磁気偏向器または磁気偏向器と静電偏向器との組合せ、例えば、ウィーンフィルタによって提供することができる。走査偏向器12は、サンプル8の表面上でビームまたはビームレットを走査することができる。一次ビームレット、すなわち2つ以上のビームレットは、共通の対物レンズを使用して、試料またはサンプル8上に集束させる。一次ビームレットは、対物レンズ10の1つの開口部を通過することができる。サンプル8は、サンプルステージ7上に提供され、サンプルステージ7は、光軸4に垂直な少なくとも1つの方向にサンプル8を移動させるように構成することができる。偏向器6A〜6C、例えば、静電多重極装置と対物レンズ10との組合せ効果により、それぞれがビームレットの1つに対応する複数のスポット(ビーム源20の像)が試料またはサンプル8上に生成される。
【0024】
本明細書で言及されるような「サンプル」または「試料」は、半導体ウエハ、半導体加工物、およびメモリディスクなどの他の加工物などを含むが、これらに限定されない。本開示の実施形態は、材料が堆積される任意の加工物、または構造化される任意の加工物に適用することができる。電子ビームによるサンプル8の照射の際に、二次電子(SE)などの信号荷電粒子が生成され、この信号荷電粒子がサンプルの表面形態、化学的成分、および/または静電電位などに関する情報を運ぶことができる。信号荷電粒子は、収集され、センサ、例えば、シンチレータ、ピンダイオードなどであってもよい検出器装置に誘導され得る。
【0025】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、対物レンズ10は、特に、カラム内のエネルギーをカラム内の高エネルギーからより低いランディングエネルギーに低減させる、静電レンズを有する静電磁気複合レンズとすることができる。カラムエネルギーからランディングエネルギーへのエネルギー低減は、少なくとも10倍、例えば、少なくとも30倍であってもよい。
【0026】
一部の実施態様では、サンプル8に供給される電位を含む減速電界を提供することができる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施態様によると、カラムが接地電位にあり、荷電粒子源20およびサンプル8が高電位にある構成を提供することができる。例えば、カラム構成要素の大部分またはすべてを接地電位で提供することができる。
【0027】
例えば
図1Aに示すように、共通の走査偏向器を用いて、複数のまたはすべての一次ビームレットをサンプル8の表面を横切って走査することができる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、走査偏向器12は、対物レンズ10内にあってもよく、または対物レンズ10の近くにあってもよい。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、走査偏向器12は、静電および/または磁気八重極であってもよい。
【0028】
図1Aに示す荷電粒子ビーム装置100は、信号電子光学部品を含む。サンプル8から放出されたまたは後方散乱された粒子は、サンプル8に関する情報を運ぶ信号ビームレットを形成する。情報は、サンプル8の表面形態、化学的成分、静電電位などに関する情報を含むことができる。信号ビームレットは、ビーム分離器114を用いて、一次ビームレットから分離される。ビームベンダ(図示せず)が設けられてもよい。ビーム分離器は、例えば、少なくとも1つの磁気偏向器、ウィーンフィルタ、または任意の他の装置を含むことができ、ここで電子は、例えば、速度依存性のローレンツ力のために、一次ビームから離れる方向に向けられる。
【0029】
図1Bは、一次ビームレットと信号ビームレットとの間のビーム分離を含むカラムの別のビーム経路を示す。ビーム分離器114は、磁気偏向器として設けられてもよい。さらなる磁気偏向器115が設けられている。2つの磁気偏向器は、ビームレットを反対方向に偏向させる。ビームレットは、第1の磁気偏向器115によって傾けられ、第2の磁気偏向器によって対物レンズの光軸4と整列することができる(例えば、
図1Aおよび
図1Bでは垂直)。信号ビームレットは、対物レンズを通って、信号ビームレットを一次ビームレットから分離するビーム分離器114まで戻る。
【0030】
信号ビームレットは、集束レンズ172によって集束させることができる。集束レンズ172は、センサ、シンチレータ、ピンダイオードなどの、検出器アセンブリ170の検知素子上に信号ビームレットを集束させる。例えば、検出器アセンブリは、第1のビームレットによって生成された第1の信号ビームレットを検出するための第1のセンサ、および第2のビームレットによって生成された第2の信号ビームレットを検出するための第2のセンサを含むことができる。他の実施形態によると、二次ビームレットの集束は、拡大および回転の較正を可能にするレンズシステムによって実行されてもよい。一部の実施形態によると、1つまたは複数の偏向器174、176が信号ビームレットの経路に沿って設けられている。
【0031】
本明細書に記載された実施形態によると、マルチビームレットカラムは、2つ以上、または5つ以上、または8つ以上、一部の例によると、最大200などのいくつかのビームを含む。マルチビームレットカラムは、マルチビームレットカラムをマルチカラムシステムに配列することもできるように構成されている。
【0032】
本明細書に記載された実施形態によると、試料、例えばウエハ上のピッチ、すなわち、試料上の2つの一次ビームレット間の最小距離は、10μm以上、例えば40μm〜100μmとすることができる。したがって、実施形態は、1つの電子光学カラム内に妥当な数の一次電子ビームレットを生成するマルチビーム装置を提供し、カラムを通過する際のビームレット間のクロストークを低減させる。
【0033】
本開示の実施形態によると、マルチビームブランカが提供される。
図1Aは、ブランキング装置150を示す。ブランキング装置150は、個々のビームレットをブランキングすることができる。例えば、
図1Aは、ビームレット14A、14B、および14Cを示し、ビームレット14Bは、ブランキングされており、他のビームレットは、ブランキングされていない。
図1Aは、開孔装置120の下流の、例えば直ぐ後のブランキング装置150を示す。ブランキング装置150は、複数のブランカを含む。
図1Aは、ブランカ15A、15B、および15Cを例示的に示す。例えば、ブランカは、アレイまたはリング上に配置されてもよい。アレイ形態またはリング形態は、開孔装置120の開口部122のアレイ形態またはリング形態(または別の形態)に対応する。ブランカは、各ビームレットをオンおよびオフにすることができる。ビームがブランキングされる場合、ビームは、ビームダンプ160に向かって半径方向外向きに偏向され得る。ビームストップは、1つまたは複数のビームダンプを有することができる。
【0034】
本開示の実施形態によると、ブランキング装置は、シールドアセンブリ155を含む。シールドアセンブリは、クロストークを低減または回避する。1つのビームのブランカは、別のビームレットへの、または別のビームレット、例えば、隣接するビームレットの偏向への影響を低減させ、または実質的に影響を及ぼさない(<10
4のオーダーの低減)。本明細書に記載された実施形態によると、ブランキング装置のブランカは、高速であり、EBIシステムなどのイメージングシステムで利用されるため、ブランカによって生成される場の影響は、強く抑制される。したがって、例えば、ブランカのクロストークが著しく低減されていないリソグラフィシステムのブランキング装置は、EBIには適していない可能性がある。
【0035】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、特に個々のビームレットブランキングによるEBIマルチビームシステム用のブランキング装置は、ビームレットの高速のブランキングを提供する。例えば、ビームレットを10μs以内にブランキングすることができる。例えば、ブランキング偏向器、例えば、第1のビームレット用の第1のブランキング偏向器および第2のビームレット用の第2のブランキング偏向器は、複数の配線によって、偏向器要素、例えば、電極に供給される信号を用いて制御することができる。配線は、偏向器要素に電気信号を供給する。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、配線は、高導電性かつ低容量の配線とすることができる。例えば、配線と、偏向器要素、すなわち偏向器電極との組合せの容量は、100pF以下とすることができる。配線(または導体)の抵抗は、200オーム以下とすることができる。さらなる実施形態によると、過渡信号は、μs領域内にあるように限界が定められてもよい。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、第1のビームレット用の第1のブランキング偏向器および/または第2のビームレット用の第2のブランキング偏向器は、低抵抗および低容量を有する配線または導体によって制御される。
【0036】
本開示の実施形態は、マルチビーム検査カラムを提供し、ビームレットを個々にオンおよびオフにすることができる。
図2に例示的に示すように、ブランキング装置150のマイクロブランカを提供することができる。各マイクロブランカは、ビームレットごとに静電二重極場を生成するように構成されている。作動すると、静電二重極場は、ビームレットをブランキングし、すなわち、ブランキングされたビームレットがもはやウエハに達しないように、ビームレットを一次経路から離れるようにビームダンプまたは開孔へと導く。本開示の実施形態によるシールドアセンブリを含むことにより、ブランキングされないビームレットによって生成される画像に影響を及ぼさないブランキング動作が可能になる。ブランキングされないビームレットは、元の経路にとどまる。
【0037】
本開示の実施形態によると、および
図1Aに例示的に示すように、ブランキング装置150は、ビームスプリッタの長さの5倍〜15倍(例えば、0.5*10=5mmなどの10倍)以内に接近して配置されてもよい。ビームスプリッタとブランキング装置との間の距離が小さいと、位置合わせの困難さが軽減され、2つの要素間の位置合わせ偏向器をなくすことができる。
【0038】
さらなる実施形態によると、ブランキング装置は、光軸に沿ってビームスプリッタと同じ位置に設けることができる。例えば、多重極素子を設けることができ、複数の電極がビームレット位置の周りに設けられる。電極のうちのいくつかは、ビームブランキングのために役立ち、電極のうちのいくつかは、ビーム分割、すなわち試料上の複数の荷電粒子スポットの生成または2つ以上の仮想荷電粒子源の生成のためにそれぞれ役立ち得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によると、ブランキング偏向器、例えば、第1のブランキング偏向器は、第1のビームレットを第2のビームレットから分割するための、および第1のビームレットをブランキングするための多重極装置を含む。さらなる追加のまたは代替の修正形態によると、多重極装置は、例えば、六重極場の補正のための、または非点収差の補正のための収差補正場をさらに生成するように制御され得る。
【0039】
開孔アセンブリおよびブランキング装置を含む装置の例示的な実施形態が
図2に示されている。ビームスプリッタ、例えば、開孔装置および偏向器は、第1のウエハ201によって提供することができる。例えば、ビームブランカの静電偏向器を含む能動部分は、ウエハ203によって提供することができる。ウエハ203は、ウエハ202によってビームスプリッタに接続され得て、例えば、物理的に接続され得る。例えば、ビームレットごとに1つの孔222を設けることができる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、第4のウエハ204が設けられてもよい。第4のウエハ204は、ビームレットごとにさらなる孔242を有することもできる。4つのウエハは、例えば、ウエハ当たり<5μmの横方向精度で正確に位置決めされ、互いに接合され得る。ウエハ202の孔222およびウエハ204の孔242は、導電性材料を含むことができ、または導電性材料から構成され得る。ウエハ202および204は、接地されてもよい。導電性材料は、ブランキングされるビームと隣接するビームとの間の静電クロストークに対するバリアとして作用することができる。
【0040】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、ブランキング装置は、第1のウエハ上に設けられてもよく、第2の(さらなる)シールド要素などのシールド要素は、第2のウエハ上に、または第2のウエハによって設けられてもよい。第2のシールド要素および/または第3のシールド要素は、第1の孔径を有することができ、第1の孔径とは異なる第1の開孔径を有する、ビームレット、例えば、第1のビームレットのための1つまたは複数の第1の開孔をさらに含むことができる。
【0041】
一部の実施形態によると、ウエハ202および/またはウエハ204は、アクティブなブランキング要素と同じ長さ(ウエハ厚さ)を有することができ、シリコンウエハから作られてもよい。これにより製造が容易になり得る。加えてまたは代替として、および第4のウエハ204について例示的に示すように、開孔244を設けることができる。開孔244は、例えば、孔242に追加的に設けられている。
図2は、ウエハ204の上側(片側)の開孔244を示す。開孔244は、第1の側、第2の側、または両側に設けられてもよい。開孔は、クロストークをさらに低減させるように構成されている。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、開孔は、ウエハのビーム画定開孔よりも少なくとも1.5倍大きくてもよい。
【0042】
図2は、偏向器211および開孔214を有する第1のウエハ201を示す。ウエハ202の孔222およびウエハ204の孔242は、クロストークを低減させるためにシールドアセンブリ155のシールド要素245を提供する。ウエハ203は、ブランキング装置の下流のビームダンプに向かってビームを偏向させるためのブランキング偏向器231を含む。さらに、シールド要素255が設けられている。
【0043】
動的電気信号と静的電気信号とを分離することは、有益である。したがって、ビームスプリッタの偏向器211およびブランキング装置のブランキング偏向器231が本開示の一部の実施形態に従って設けられてもよい。偏向器211上の電圧は、一定であってもよく、ブランキング偏向器を使用してビームレットをビームダンプに導くことができる。例えば、ブランカは、ビームスプリッタと比較してより強力な偏向磁場を有することができる。より強力なブランキング偏向器を有することは、ビームダンプが、例えば、ビームレットに近い領域の汚染および/または帯電を回避するために、一次ビームレットから十分遠くに位置することができるため、有益である。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、ブランキング偏向器231のブランカ電極は、偏向器211の電極と比較して互いにより接近していてもよい。例えば、本明細書に記載された実施形態は、1mm以下、例えば0.5mm以下、特に0.25mm以下のブランキング偏向器の電極間の開口部を有することができる。加えてまたは代替として、ブランキング装置は、より大きな電圧を利用してもよい。
【0044】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によると、ビームスプリッタおよびブランキング装置の構成は、
図2に関して説明した例から逸脱してもよい。例えば、第2のウエハ202が設けられていなくてもよく、ウエハ201とウエハ203とが互いに直接接合されてもよい。加えてまたは代替として、ウエハは、取り付けられていなくてもよく(接合されていなくてもよく)、真空が隣接するウエハ間に提供されてもよい。
【0045】
図3Aは、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態を示し、ブランキング装置150は、ビームスプリッタ330の上流にある。さらなるビーム制限開孔344を設けることができる。ビーム制限開孔は、ブランキング偏向器231に当たる迷走電子を低減または防止することができる。
【0046】
本明細書に記載された実施形態によると、ビームスプリッタの偏向器およびブランキング偏向器は、ビームレットごとに設けることができる。例えば、
図3Aは、ブランキング偏向器231を示す。ブランキング偏向器は、下流に設けることができるビームストップまたはビームダンプに向かってビームレットを導くための二重極場を生成する電極を含む(例えば
図1A参照)。ビーム制限開孔344は、ブランキング偏向器の汚染および/または帯電を低減させるために設けられている。シールド要素255に孔242が設けられている。シールド要素255は、ビームレット間のクロストークを低減させる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、ブランキング偏向器は、シールド要素間に設けられており、および/またはシールド要素によって取り囲まれてもよい。例えば、ブランキング偏向器は、シールド要素に設けられた孔の中に設けることができる。様々な実施形態によると、ビームスプリッタは、例えば、荷電粒子源のエミッタ先端部が試料上に結像されている間、試料の面内でビームレットを分離することができる。言いかえれば、仮想放出源が荷電粒子源の面内に生成され得る。さらにまた、様々な実施態様によると、ビームスプリッタは、カラム内のビームレットに個々に作用する複数の多重極装置によって、ビームレットに作用するレンズによって、またはレンズと多重極装置との組合せによって提供されてもよい。例えば、レンズは、一次荷電粒子ビームレットの焦点面に配置されてもよい。一部の実施形態によると、レンズは、加速レンズであってもよい。
【0047】
ブランキング装置の別の例を
図3Bに関して説明することができる。ビームスプリッタの偏向器211およびブランキング偏向器231は、シールド要素255によって取り囲まれて設けられてもよい。上記したように、ブランキング偏向器およびビームスプリッタの偏向器は、電気的に互いに絶縁されていてもよく、および/または異なる物理的な実体を提供してもよい。さらにまた、ビームスプリッタの偏向器は、ブランキング装置の一部を形成することができる。例えば、電極は、ビームスプリッタの偏向器の一部として、かつブランキング偏向器231の一部として利用されてもよい。クロストークがブランキングによって生成される場合、クロストークは、多重極解析によって表現することができる。典型的には、最大の成分は、二重極または四重極(スティグメーション(stigmation))クロストークである。これは、
図3Bに例示的に示すような偏向器電極が八重極として設けられている場合、補正することができる。
【0048】
図3Bに示すように、ブランキング装置は、ビームスプリッタの一部であってもよい。偏向器211は、ビーム分割のために動作させることができ、またはビームレットのブランキングのために、特にビームレットの個々のブランキングのためにブランキング偏向器231と一緒に作動させることができる。
【0049】
図3Cに示すように、ブランキング装置は、光軸に沿ってビームスプリッタと同じ位置(同じz位置)にあってもよい。偏向器は、ビーム分割のために動作させることができ、またはビームレットのブランキングのために、特にビームレットの個々のブランキングのためにブランキング偏向器231として作動させることができる。ブランキングおよび分割のための場は、重ね合わせることができる。さらに、z位置で同じ平面内に様々な位置を有する異なる偏向器が利用されてもよい。偏向器のうちのいくつかは、ブランキング偏向器として作用することができ、偏向器のうちのいくつかは、ビーム分割偏向器として作用することができる。例えば、シールド要素を有する多重極装置を設けることができる。さらなる追加のまたは代替の修正形態によると、多重極装置は、例えば、六重極場を補正するための、または非点収差を補正するための収差補正場をさらに生成するように制御され得る。
【0050】
ブランキング偏向器231の電極の構成を
図4に概略的に示す。
図4は、ビームレットの光軸に沿った図を示す。ブランカ電極412は、反対の電位にバイアスされるようにコントローラに接続されてもよい。例えば、上部ブランカ電極412は、約+100Vの電圧を有することができ、下部ブランカ電極412は、約−100Vの電圧を有することができる。非対称電圧分布が提供される。これは、単一電極を有するブランキング偏向器と比較して、非対称構成によりブランキングされたビームの非点収差がより少なくなるため、有益である可能性がある。したがって、ビームダンプまたはビームストップのためのサイズを小さくすることができる。さらに、正および負の電圧は、例えば、接地を基準にする単一電極と比較して、全体的な電圧を低減させる。したがって、ビームブランキングのための同様の偏向角は、アーキングの危険性を低減させる低減された絶対電圧で実現することができ、および/またはより容易な真空フィードスルーを提供する。ブランキング偏向器231は、調整電極414をさらに含むことができる。調整電極は、ブランキングまたはイメージング中にビーム調整を可能にすることがある。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、ブランキング偏向器および/または調整偏向器との間に設けられた、あるいはブランキング偏向器および/または調整偏向器を支持するように設けられた絶縁体は、炭素の薄層でコーティングされてもよい。例えば、この層の厚さは、100nm以下および/または5nm以上、特に50nm以下とすることができる。炭素の薄層は、高抵抗層を提供し、絶縁体上の電荷蓄積の減少を可能にする。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、ブランキング装置は、炭素被膜を有する絶縁体を含む。
【0051】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる本開示の実施形態によると、ブランカ電極412は、約120°の円弧を形成することができる。例えば、円弧は、少なくとも100°および/または最大で140°であってもよい。対応する二重極場は、六重極成分を低減させ、または全く有しない。これにより、ブランクビームのビームプロファイルのサイズをさらに小さくすることができ、ビームダンプまたはビームストップのサイズを小さくすることができる。
【0052】
本開示の実施形態は、ブランキング偏向器を取り囲むシールド要素のうちの1つまたは複数と、ブランキング偏向器の上流および/または下流のシールド要素と、シールド開孔、すなわちシールド要素の孔と比較して縮小された開口径を有する開孔と、を有するシールドアセンブリを含む。例えば、第1のシールド要素は、第1のビームレットのブランキング偏向器を少なくとも部分的に取り囲むことができ、シールドアセンブリは、少なくとも第2のシールド要素、例えば、第2のシールド要素または第2および第3のシールド要素を第1のブランキング偏向器の上流に(および/または下流に)さらに含むことができる。
【0053】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によると、ブランキング装置は、光軸に沿って250μm以上、例えば400μm以上の長さを有することができる。シールドアセンブリを有するブランキング装置の長さは、クロストークの低減をさらに改善する。
【0054】
したがって、クロストークは、公知のブランカと比較して、少なくとも1桁小さくすることができ、0.1%未満または0.01%未満でさえあり得る。したがって、1つのビームレットのブランキングは、隣接するビームレットに影響を及ぼさない。さらに、本明細書に示された静電偏向器は、高速である。両方の利点は、1つのカラム内で複数のビームレットを用いて試料またはサンプルのイメージングが行われる電子ビーム検査システムに特に有用である。
【0055】
図5Aは、本明細書に記載された実施形態において使用することができる静電多重極装置500を示す。静電多重極装置500は、ブランキング装置150の一部であってもよく、ビームレット用のブランキング偏向器231を提供することができる。例えば、静電多重極装置500は、八重極装置として設けることができる。しかしながら、一部の実施形態では、多重極装置500は、8つよりも多いまたは少ない電極を有することができる。
【0056】
多重極装置500は、高抵抗層510で少なくとも部分的にコーティングされた支持装置505を含む。一部の実施形態では、光軸に面する支持装置505の表面だけが、高抵抗層でコーティングされている。一部の実施形態では、光軸に垂直に延在することができる支持装置505の1つまたは複数の側面は、高抵抗材料でコーティングされている。一部の実施形態では、支持装置505の外面全体を高抵抗材料でコーティングすることができ、その結果、多重極装置表面上の表面電荷の蓄積を低減させ、または完全に回避することができる。
【0057】
本明細書に記載された実施形態のために提供されてもよいさらなる実施態様によると、ブランキング偏向器は、例えば10μm以下、例えば100nm以下、例えば約20nmの厚さの炭素の薄層でコーティングされてもよい。炭素の薄層は、ブランキングのための電圧を維持することを可能にし、さらに望ましくない電荷(迷走電子からの偶発的な電流)を排出させることを可能にする高抵抗を有する。例えば、支持装置の外面は、炭素などの高抵抗材料の薄層で完全に覆われていてもよく、層厚さは、5nm〜100nmの範囲にあってもよい。あるいは、高抵抗層は、50nm以下である。
【0058】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態では、支持装置505は、シリコンウエハおよび/または絶縁材料で作られたベースプレートを含む。一部の実施形態では、支持装置505は、高抵抗層で少なくとも部分的にコーティングされていてもよい絶縁材料で少なくとも部分的にコーティングされている。特に、高抵抗層は、絶縁表面上にコーティングされていてもよい。そのような構成は、個々の電気コンタクト間の所定の抵抗が高抵抗層を介して提供されることを保証することができる。
【0059】
図5Aに示す実施形態では、支持装置505は、荷電粒子ビームのための開口部を含み、少なくとも開口部の円筒形内面は、高抵抗層510でコーティングされている。したがって、高抵抗層510の主表面540は、光軸Aと平行に延在し、円周方向に沿って間隙または不連続性なしに、光軸Aを完全に取り囲むことができる。
【0060】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態では、開口部の円筒形内面は、光軸A方向に、0.2mm超および/または5mm未満、特に、0.5mm超および/または2mm未満延在する。言いかえれば、高抵抗層510は、光軸と平行に、0.2mm超および/または5mm未満延在することができる。したがって、伝搬方向に本質的に均質の多重極電界は、0.2mmを超える距離にわたって荷電粒子ビームに作用することができる。開口部の入り口および出口に存在することがあるフリンジ場の影響は、開口部内部に長い伝播距離を設けることによって減少させることができる。
【0061】
図5Aに示す静電八重極装置は、8つの電気コンタクトを含み、各電気コンタクトは、関連付けられた円周方向位置で高抵抗層510と接触する。円周方向位置は、45°の一定間隔で離間されていてもよい。電気コンタクトのうちの少なくとも1つ、例えば、第1の電気コンタクト521および/または第2の電気コンタクト522は、高導電層に向かってまたは高導電層の上に半径方向に延在する導電線として設けられてもよい。
【0062】
一部の実施形態では、電気コンタクト521、522は、支持装置505の少なくとも1つの側面に、例えば、開口部の入り口側に向けられた表面(
図5B参照)におよび/または開口部の出口側154に向けられた表面(
図5B参照)に設けられてもよい。側面は、前もって高抵抗材料でコーティングされていてもよい。
【0063】
図5Bの断面図で見られるように、一部の実施形態では、少なくとも1つの電気コンタクトは、円筒形開口部の入り口側(上流側)で半径方向に延在する第1の導電線551と、対応する角度位置で円筒形開口部の出口側154(下流側)で半径方向に延在する第2の導電線553と、を含む。第1の導電線および第2の導電線は両方とも、第1の円周方向位置531で高抵抗層510と接触することができる。動作中に、第1の導電線および第2の導電線は、第1の電位P1に接続されていてもよい。開口部の両側で高抵抗層と接触する2つの導電線を第1の電気コンタクト521に設けることによって、高抵抗層510の主表面540は、第1の円周方向位置531において入り口側から出口側まで本質的に一定の電位P1に保持され得る。第2の電位P2が、第2の円周方向位置532で提供されてもよい。上記したように、一部の実施形態によると、第1の電位P1および第2の電位P2は、非対称であってもよい。
【0064】
本開示の実施形態によると、荷電粒子ビームを個別にブランキングすることによって、マルチビーム荷電粒子ビーム装置に対する帯電制御を行うことができる。マルチビーム荷電粒子ビーム装置に対する個別のブランキングは、特に電子ビーム検査、すなわちウエハの検査のスループットを向上させる。
【0065】
荷電粒子ビームレットのブランキングは、ブランキング装置、特にビームダンプと組み合わせたブランキング装置によって提供されてもよい。ビームダンプは、荷電粒子ビームレットに対するトラップを提供することができ、有益には、一次ビームレットの電子を捕捉する。さらに、一次ビームレットの脱出電子、ならびに脱出二次電子または後方散乱電子の数を減らすことによって、マルチビーム荷電粒子ビーム装置の性能が改善される。
【0066】
一般的なビームダンプの例は、ファラデーカップを含むことができる。ファラデーカップを使用して、ファラデーカップに入る電流を測定することができる。しかしながら、ファラデーカップは、マルチビーム荷電粒子ビーム装置のためのビームダンプとして有用ではない場合がある。
【0067】
本開示の実施形態によるマルチビーム荷電粒子ビーム装置のための荷電粒子ビームダンプは、一次荷電粒子ビームレットの侵入のための穴のあいた環帯を画定する内周壁を有する環状本体と、外周壁を有する環状本体と、底部壁と、を含む。さらに、環状本体の一部上方に設けられた環状電極が設けられている。環状電極は、内周側および外周側を有し、内周側は、環状本体の内周壁の半径の外側にある。
【0068】
図7Aおよび
図7Bに示すビームダンプ160は、環状本体を含む。内周壁640は、中心開口部を提供する。ブランキングされないビームレット、例えばビームレット14Aは、中心開口部を通過することができる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、個々のビームレットのための開口部を有する開孔プレートが中心開口部に設けられてもよい。ブランキングされるビームレット、例えばビームレット14Bは、リング状開口部に入る。リング状開口部は、環状本体の内周壁640と環状電極610の内周側との間に設けられてもよい。環状電極610は、内周側と、内周側に対向する外周側612と、を含むことができる。環状開口部、すなわち、直径642と直径618との間に設けられた開口部は、ビームダンプ160の長さ、例えば光軸に沿った長さと比較して小さくすることができる。例えば、ビームダンプ160または環状本体の長さは、それぞれ、環状開口部の幅の少なくとも5倍((直径618−直径642)の0.5倍)とすることができる。
【0069】
本開示の実施形態によると、「環状」および/または「環帯」という用語は、円形構造を記述することに限定されない。また、形状寸法は、わずかに楕円形、または多角形、例えば、六角形もしくは正方形であってもよい。環状構造は、本体が構造の開口部を画定する外周壁および内周壁を有するリング状として記述することができる。典型的には、回転対称な形状が有益である場合がある。そのため、円形が最高次数の回転対称を提供するため、円形が好ましいことがある。
【0070】
一部の実施形態によると、環状本体は、内周壁640と、外周壁620と、底部壁630と、を有する。底部壁は、角形状本体の底部側で環状本体を閉じることができる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、底部壁は、傾斜面を有する。傾斜面は、半径方向外向きに傾斜することできる。傾斜させた、すなわち、特に角度がつけられたビームダンプの底部は、後方散乱電子または二次電子を半径方向外側に向けて、後方散乱電子または二次電子がビームダンプから脱出するのを防止するように働くことができる。
【0071】
図7Aおよび
図7Bに示すように、環状電極610の外周側612は、角形状本体の外周壁の半径を越えて延在する。あるいは、環状本体の外周側は、角形状本体の外周壁の半径まで延在することができる。環状電極は、例えば、ビームダンプの荷電粒子をトラップするために角形状本体の上側を部分的に閉じる。
【0072】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、電極650は、角形状本体内部に設けられている。電極は、環状、すなわち、円筒形またはリング状であってもよい。電極は、環状電極の完全にまたは部分的に下方に設けられてもよい。
図7Bに示すように、電極650は、電源652に接続されている。電源は、電極を正電位、例えば、約200Vなどの、400V以下にバイアスするように構成されている。リング電極などの電極は、電子を偏向させる電界を生成することによって、二次電子または後方散乱電子などの電子を収集するのを支援する。電極650の電界は、環状電極610および角形状本体の壁によって外部に対してシールドされ得る。
【0073】
ブランキングされるビームは、角形状本体に閉じ込められ、高エネルギーを有するため、側壁に当たることなく、環状本体の底部に進む。ビームダンプの底部、例えば、傾斜部分632を有することができる底部壁630において、一次ビームレットは、材料と相互作用し、しばしば0eVよりも大きなエネルギー、および0°〜90°の角度を有する二次電子および/または後方散乱電子を生成する。ビームダンプの長い狭い形状寸法は、小さな半径方向角度を有する電子だけが脱出することを可能にする。上記したように、傾斜部分632は、半径方向角度を広げることができる。ビームダンプから脱出する電子の数を減らすために、電極650によって生成された電界が提供されている。形状寸法と電極650との組合せは、数kVまでの電子をトラップすることを可能にする。
【0074】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、少なくとも底部壁630、または、例えば、底部壁および内周壁640は、絶縁支持体によって支持され得る。絶縁支持体は、底部壁、または底部壁および内周壁640に衝突するビームレットのビーム電流をそれぞれ測定することを可能にする。ビーム電流の測定は、荷電粒子ビーム装置の位置合わせに特に有益である場合がある。ビームレットは、ビームレット電流が測定されている間、ビームダンプに偏向され得る。ビームレット電流は、ビームレットが、例えば底部壁に衝突するかどうかを判定するために評価され得る。例えば、ビームレットの偏向角は、ビームレットが底部壁に衝突するかどうかを検証することによって調整することができる。したがって、荷電粒子ビーム装置を動作させるための方法は、一次荷電粒子ビームを生成するステップと、一次荷電粒子ビームから第1のビームレットを、および一次荷電粒子ビームから第2のビームレットを生成するステップと、試料上で第1のビームレットおよび第2のビームレットを走査するステップと、第1のブランキング偏向器の第1の偏向場を用いて第1のビームレットを荷電粒子ビームダンプの環状本体に誘導するステップと、を含むことができる。さらに、本方法は、ビームダンプ内の第1のビームレットの電流を測定することによって、ビームダンプ内の第1のビームレットを誘導するように偏向角を較正するステップを含むことができる。
【0075】
本開示の実施形態によると、ビームダンプの環状形状および/またはビームダンプの上側の開口部の環状形状は、マルチビーム荷電粒子ビーム装置の異なるビームレットのビームダンプへの容易な偏向を可能にする。さらに、環状本体のリング状電極は、マルチビーム用途のための環状本体の電子の収集を容易にする。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、角形状は、開口部がリング上に設けられた、すなわちリング上に異なるビームレットを提供する開孔装置に特に有益である場合がある。
【0076】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、ディープビームダンプが開孔装置および/またはビームスプリッタの下流に設けられてもよい。例えば、予期しないビームレットおよびブランキングされたビームレットが数mrad(例えば、10mrad以下)の偏向しか有することがないように、ビームダンプを光軸に沿った位置に設けることができる。さらにまた、加えてまたは代替として、ビームダンプは、予期しないビームレットの共通交差の位置、または予期しないビームレットが互いに接近している位置にあってもよい。
【0077】
さらなる任意選択の実施形態によると、環状本体の内面は、後方散乱粒子または二次粒子の生成を低減させる材料でコーティングされていてもよい。ビームダンプから脱出する可能性がある粒子の歩留りを低下させることができる。
【0078】
さらにまた、本明細書に記載されるようなビームダンプは、本明細書に記載されるようなシールドアセンブリを有するブランキング装置と組み合わされてもよい。一部の実施形態によると、ビームダンプはまた、単一の荷電粒子ビーム、例えば、SEMなどの試料上で走査される単一の荷電粒子ビームを有する単一ビーム用途のために設けられてもよい。
【0079】
シールドアセンブリおよび/またはビームダンプを有するブランキング装置を含む本開示の一部の実施形態は、電子ビームなどの2つ以上の荷電粒子ビームが1つのカラム内で誘導されるマルチビーム用途またはマルチビームレット用途を指すことができる。複数のビームまたはビームレットを試料上で走査することができる。試料は、例えば、半導体製造中のウエハであってもよい。個々のビームまたはビームレットは、ブランキングされ得る。用途は、電子ビーム検査(EBI)、ホットスポット(HS)検査、限界寸法測定(CD)用途、欠陥レビュー(DR)用途、マスク検査、およびリソグラフィのグループからの1つまたは複数の用途を含むことができる。リソグラフィは、信号ビームレットの検出をしなくてもよく、またはそれほど洗練された検出をしなくてもよい。しかしながら、個々のビームレットに対するビームブランキングは、そのような他の用途、例えば、リソグラフィのためにも適用されてもよい。さらにまた、マルチビーム荷電粒子ビーム装置の用途は、生物医学的および生物学的用途を含むことができる。
【0080】
本開示の実施形態は、荷電粒子ビーム装置を動作させるための方法にさらに関することができる。本方法は、一次荷電粒子ビームを生成するステップと、一次荷電粒子ビームから第1のビームレットを、および一次荷電粒子ビームから第2のビームレットを生成するステップと、試料上で第1のビームレットおよび第2のビームレットを走査するステップと、第1のブランキング偏向器の第1の偏向場を用いて第1のビームレットを荷電粒子ビームダンプ、特に、本開示の実施形態による荷電粒子ビームダンプの環状本体に誘導するステップと、を含む。電子は、ビームダンプの環状本体内の電極650に向かって引きつけられ得る。さらに、荷電粒子ビーム装置は、本明細書に記載された態様、詳細、および修正に従ってトラップされ得る。
【0081】
高スループットの電子ビーム検査(EBI)システムは、荷電粒子ビーム装置の単一のカラム内部で複数の一次荷電粒子ビームまたはビームレットを生成、集束、および走査することができる電子顕微鏡などのマルチビーム荷電粒子ビーム装置を利用することができる。サンプルは、集束させた一次荷電粒子ビームレットのアレイによって走査することができ、これによって複数の信号荷電粒子ビームまたはビームレットが生成される。個々の信号荷電粒子ビームレットは、1つまたは複数の検出素子上にマッピングされ得る。例えば、信号荷電粒子ビームレットは、軸上で検出されるか、または
図1Aに示すように軸外で検出され得る。本明細書に記載された実施形態によると、シールドアセンブリ155を有するブランキング装置150(
図1A参照)が設けられている。シールドアセンブリは、ブランキングされるビームレットから隣接するビームレットへのクロストークを低減させる。さらに、偏向器または多重極装置(例えば、
図4、
図5A、および
図5B参照)は、静電的であってもよく、高速ブランキングのために設計されてもよい。
【0082】
ビームレットのブランキング、すなわち、複数のビームレットのうちの1つまたは複数のビームレットの個々のブランキングは、
図6に例示的に示すように、荷電粒子ビーム装置を動作させるための方法の実施形態に従って提供することができる。一次荷電粒子ビームは、例えば荷電粒子源20(
図1A参照)を用いて生成される(ボックス602参照)。複数のビームレットは、開孔装置120によって生成される。例えば、ボックス604によって示されるように、第1のビームレットは、一次荷電粒子ビームから生成され、第2のビームレットは、一次荷電粒子ビームから生成される。第1のビームレットおよび第2のビームレットは、試料上で走査される(ボックス606参照)。例えば、第1のビームレットおよび第2のビームレットは、
図1Aに示す走査偏向器12によって同期して走査され得る。ビームレットは、ブランキングされ、例えば、ビームダンプに偏向される。ボックス608によって示すように、第1のビームレットは、第1のビームレット用の第1のブランキング偏向器の第1の偏向場によって偏向またはブランキングされ得る。第1のブランキング偏向器の第1の偏向場は、第2のビームレットへのクロストークを低減させるためにシールドされる(ボックス610参照)。したがって、絶縁体上で走査するビームレットのうちの1つまたは複数をブランキングすることができる。他のビームの走査を行うことができる。
【0083】
上記したように、一部の実施態様によると、第1の偏向場は、第1のブランキング偏向器に印加された非対称電位によって生成される。
【0084】
前述の事項は、本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他のおよびさらなる実施形態が本開示の基本的な範囲から逸脱せずに、考案されてもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。