(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
筒状のケーソン躯体を硬質地盤まで沈設しつつ該ケーソン躯体の内部地盤を掘削排土した後、硬質地盤において該ケーソン躯体を沈設する、ケーソン躯体の沈設方法であって、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の拡翼掘削機を構成する複数の前記拡翼カッタを回転させ、前記ケーソン躯体の内壁面に沿って鉛直方向にスライドさせて前記硬質地盤を鉛直方向に掘削する、A工程と、
一部の前記拡翼カッタを鉛直姿勢のままとし、残りの前記拡翼カッタを回転させ、前記刃口のテーパー面に当接するまで回動させて斜め掘削する、B工程と、
前記残りの拡翼カッタを鉛直姿勢に戻し、前記一部の拡翼カッタを回転させ、前記刃口のテーパー面に当接するまで回動させて斜め掘削する、C工程と、を有し、
前記A工程乃至前記C工程を一連の工程として、平面視における前記ケーソン躯体の輪郭線に沿って前記ベースマシンを移動させながら、該一連の工程を繰り返し行い、前記ケーソン躯体の前記刃口の下部の硬質地盤を掘削して緩め、該ケーソン躯体を沈設することを特徴とする、ケーソン躯体の沈設方法。
【背景技術】
【0002】
ケーソン工法は、地上において製作された例えば鉄筋コンクリート製の筒状もしくは箱状の構造物を、地中に沈設していく工法であり、底蓋を有する構造物を沈設させていくニューマチックケーソン工法と、底蓋の無い中空の構造物を沈設させていくオープンケーソン工法がある。その中で、オープンケーソン工法は、沈設するケーソン躯体の下方の先端部周辺の地盤を掘削して緩めることにより、ケーソン躯体をその自重によって沈設させたり、必要に応じて、さらに圧入装置による圧入力を付加することにより沈設させる工法である(後者の方法は、圧入式オープンケーソン工法と称される)。ケーソン躯体の先端の刃口は、地盤抵抗(もしくは地山抵抗)を低減させるべく、一般にテーパー形状になっており、刃口の周辺の地盤を掘削にて緩めることにより、緩められた地盤内に刃口が進入していき、ケーソン躯体が徐々に沈設される。ケーソン躯体の沈設に伴い、ケーソン躯体内の地盤は例えばバケット式掘削機等により掘削される。そして、地盤が掘削されたケーソン躯体の内部には水が貯留され、刃口周辺の地盤の掘削による緩めと、ケーソン躯体の沈設、及びケーソン躯体内部の地盤の水中掘削(泥水中掘削)により、ケーソン躯体の沈設が進められる。
ところで、原地盤のうち、一般に上方の軟質地盤においては、上記する一連の施工によりケーソン躯体の沈設が比較的スムーズに進められるが、ある程度の深度まで沈設が進行して硬質地盤に到達した後、この硬質地盤を掘削により緩めるには時間を要する。ここで、本明細書において「軟質地盤」や「硬質地盤」とは、具体的なN値等による物性値により区別されてもよいが、例えば、バケット式掘削機の爪が差し込み難い程度の硬さの地盤を「硬質地盤」、差し込み易い程度の硬さの地盤を「軟質地盤」とすることができる。
従って、オープンケーソン工法においては、硬質地盤の施工に関し、ケーソン躯体の先端の刃口周辺の地盤を如何に早く効率的に緩められるかが、ケーソン躯体の沈設時間に大きく影響する。また、ケーソン躯体内部の硬質地盤の水中掘削に関しても、如何に早く効率的に地盤を緩められるかが、バケット式掘削機等により揚土する際の掘削時間に大きく影響する。
【0003】
上記するケーソン躯体の刃口周辺の掘削やケーソン躯体内部の水中掘削においては、通常は、地上にあるクローラクレーンからワイヤリングにて掘削機を揚重し、垂下された掘削機を作動させることにより行われる。この際、ワイヤリングでは掘削機の回転反力を取ることができないことから、この回転反力をケーソン躯体等に取る必要がある。そのため、ケーソン躯体等にガイドレールを設置しなければならず、ケーソン躯体に不要な仮設材を埋め込む必要が生じるといった課題を有している。
【0004】
ここで、特許文献1には、オープンケーソン工法において、ケーソン躯体の刃口下方の地盤を掘削する刃口下掘削機が開示されている。具体的には、平面視においてケーソン躯体内に位置する地盤に接触する柱状部と、柱状部の上端部に設けられる本体部と、本体部に上部が枢支されて該上部から下方に延びるチェーンソー型の地盤掘削部と、地盤掘削部の上部の枢支軸を中心として地盤掘削部を傾動させる傾動装置とを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の刃口下掘削機は、チェーンソー型の地盤掘削部を有していることから、この地盤掘削部を硬質地盤内に投入するに当たり、別途の鉛直孔掘削機にて鉛直孔を掘削する必要があることから、複数種の掘削機を要することとなり、施工設備に関する工費に関する課題と、各掘削機を使い分けることによる施工手間に関する課題を内包する。
【0007】
本発明は、一種の掘削機にて効率的に硬質地盤を掘削することができ、このことにより、効率的なケーソン躯体の沈設を可能とする、拡翼掘削機とケーソン躯体の沈設方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明による拡翼掘削機の一態様は、
ベースマシンと、該ベースマシンからケリーバーにより垂下されている拡翼掘削体と、を有し、
筒状のケーソン躯体の内壁面に沿って地盤を鉛直方向に掘削し、かつ、該ケーソン躯体の刃口のテーパー面に沿って地盤を斜め方向に掘削する、拡翼掘削機であって、
前記拡翼掘削体は、
並設する複数の軸状の拡翼カッタと、
複数の前記拡翼カッタをそれぞれの回転軸を中心に回転させる回転駆動手段と、
複数の前記拡翼カッタを異なるタイミングで回動させる二つの回動駆動手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、拡翼掘削体が、並設する複数の軸状の拡翼カッタと、複数の拡翼カッタを異なるタイミングで回動させる二つの回動駆動手段を有することにより、一つの拡翼掘削体にて、地盤の鉛直方向の掘削(鉛直掘削)と、斜め方向の掘削(拡底掘削、斜め掘削)の双方を行うことができる。そのため、筒状のケーソン躯体の内壁面に沿う地盤の鉛直方向の掘削と、ケーソン躯体の刃口のテーパー面に沿う地盤の斜め方向の掘削を一つの拡翼掘削体にて行うことが可能になる。また、ケーソン躯体の内壁面から離れた内部の地盤の掘削においても、鉛直掘削と斜め掘削の双方が可能になる。また、複数種の掘削機を使用する従来のオープンケーソン工法では、一方の掘削機を使用する際に使用されない他方の掘削機の待機スペースが必要になるところ、例えば、待機スペースが確保し難い都市部等の狭隘な現場において、本態様の拡翼掘削機が特に有意となる。さらに、一つの拡翼掘削体を用いて硬質地盤を効率的に掘削して緩め、ケーソン躯体を沈設していくことができるため、施工効率が高く、工期の短縮を図ることができる。
ここで、本態様の拡翼掘削機はオープンケーソン工法に適用される掘削機であり、「筒状のケーソン躯体」には、円筒状(平面視円形、平面視楕円形等)のケーソン躯体や、角筒状(平面視正方形、平面視長方形を含む平面視多角形)のケーソン躯体が含まれる。
また、「複数の拡翼カッタを異なるタイミングで回動させる」とは、例えば二本の拡翼カッタを有する場合に、一方の拡翼カッタが地盤内において鉛直姿勢に制御され、他方の拡翼カッタが回転軸を中心に回転しながら所定の回動角度まで回動されて斜め掘削を行い、次に、他方の拡翼カッタが鉛直姿勢に戻された後、一方の拡翼カッタが回転軸を中心に回転しながら所定の回動角度まで回動されて斜め掘削を行うことを意味する。一方の拡翼カッタが鉛直姿勢で地盤内に存在し、この一方の拡翼カッタを介して地盤に反力を取りながら、他方の拡翼カッタによる斜め掘削が可能になる。
本態様では、拡翼掘削体が、ワイヤリングでなく、ケリーバーにて垂下されていることにより、ケリーバーにて拡翼掘削体の回転反力を受け、当該回転反力を抑制することができるとともに、ケリーバーを介して拡翼掘削体を下方に押し込んで地盤を掘削することが可能になる。
【0010】
また、本発明による拡翼掘削機の他の態様において、前記拡翼カッタは、左右端にある少なくとも二本の外側拡翼カッタと、該少なくとも二本の外側拡翼カッタの内側にある少なくとも一本の内側拡翼カッタとを含み、
前記少なくとも二本の外側拡翼カッタを鉛直姿勢のままで、前記少なくとも一本の内側拡翼カッタを回動させて斜め掘削する第一姿勢制御と、
前記少なくとも一本の内側拡翼カッタを鉛直姿勢に戻し、前記少なくとも二本の外側拡翼カッタを同期して回動させて斜め掘削する第二姿勢制御と、が実行されることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、例えば左右端の二本の外側拡翼カッタと、例えば一本もしくは複数本の内側拡翼カッタを有し、内側拡翼カッタと外側拡翼カッタを異なるタイミングで回動させながら交互に斜め掘削することにより、可及的に捩じれが抑制された、安定姿勢の下で刃口のテーパー面に沿う斜め掘削を実現することができる。拡翼掘削体の安定姿勢の下での斜め掘削の観点から、「左右端にある少なくとも二本の外側拡翼カッタ」とは、左右端に二本、左右端にそれぞれ二本の計四本等、左右の外側拡翼カッタの本数が同数であるのが好ましい。例えば左右に同数の外側拡翼カッタが鉛直姿勢で地盤内に存在することにより、内側拡翼カッタが斜め掘削する第一姿勢制御の際に、左右にそれぞれ一本もしくは二本ある外側拡翼カッタを介して地盤に反力を取りながら、内側拡翼カッタによる斜め掘削を行うことができる。また、外側拡翼カッタを回動して斜め掘削する第二姿勢制御の際にも、一本もしくは複数本の内側拡翼カッタを介して地盤に反力を取りながら、外側拡翼カッタによる斜め掘削を行うことができる。
【0012】
また、本発明による拡翼掘削機の他の態様は、二本の前記ケリーバーにより前記拡翼掘削体が垂下されていることを特徴とする。
本態様によれば、二本のケリーバーにより拡翼掘削体が垂下されている、所謂ツインケリーバー方式にて拡翼掘削体を垂下することにより、拡翼掘削体の回転反力をより一層抑制することができ、拡翼掘削体の捩じれをより一層防止することができ、さらには、拡翼掘削体の鉛直姿勢を精度よく保持できることに依拠して掘削精度を向上させることができる。
【0013】
また、本発明による拡翼掘削機の他の態様は、前記拡翼カッタが、軸状のシャフトの周囲に切削ビットを備えている、もしくは、軸状のシャフトの周囲に螺旋状のオーガーを備えていることを特徴とする。
本態様によれば、拡翼カッタが、軸状のシャフトの周囲に切削ビットを備えている形態、もしくは、軸状のシャフトの周囲に螺旋状のオーガーを備えている形態のいずれであっても、例えば硬質地盤の掘削性に優れた拡翼カッタとなる。いずれの形態も、拡翼カッタの先端には、硬質地盤を鉛直方向に効率的に掘削するべく、下向き用の切削ビットを装備しておくのが望ましい。また、原地盤において、硬質地盤よりも固い岩盤層が存在する場合は、先端に岩盤用切削ビットが装着された調整用拡翼カッタを用意しておくことにより、岩盤掘削も可能となり、岩盤専用の掘削機を別途用意する必要がなくなる。
【0014】
また、本発明によるケーソン躯体の沈設方法の一態様は、
筒状のケーソン躯体を硬質地盤まで沈設しつつ該ケーソン躯体の内部地盤を掘削排土した後、硬質地盤において該ケーソン躯体を沈設する、ケーソン躯体の沈設方法であって、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の拡翼掘削機を構成する複数の前記拡翼カッタを回転させ、前記ケーソン躯体の内壁面に沿って鉛直方向にスライドさせて前記硬質地盤を鉛直方向に掘削する、A工程と、
一部の前記拡翼カッタを鉛直姿勢のままとし、残りの前記拡翼カッタを回転させ、前記刃口のテーパー面に当接するまで回動させて斜め掘削する、B工程と、
前記残りの拡翼カッタを鉛直姿勢に戻し、前記一部の拡翼カッタを回転させ、前記刃口のテーパー面に当接するまで回動させて斜め掘削する、C工程と、を有し、
前記A工程乃至前記C工程を一連の工程として、平面視における前記ケーソン躯体の輪郭線に沿って前記ベースマシンを移動させながら、該一連の工程を繰り返し行い、前記ケーソン躯体の前記刃口の下部の硬質地盤を掘削して緩め、該ケーソン躯体を沈設することを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、本発明の拡翼掘削機を適用し、硬質地盤内に複数の拡翼カッタを鉛直方向に進入させて鉛直掘削するA工程、一部の拡翼カッタを鉛直姿勢のままとし、残りの拡翼カッタを回転させて斜め掘削するB工程、残りの拡翼カッタを鉛直姿勢に戻し、一部の拡翼カッタを回転させて斜め掘削するC工程、の一連の工程をケーソン躯体の輪郭線に沿って繰り返すことにより、ケーソン躯体の刃口周辺の硬質地盤を効率的に掘削し、緩めることが可能になる。そして、ケーソン躯体の刃口周辺の硬質地盤の掘削に加えて、ケーソン躯体の内部の硬質地盤の水中掘削においても、本発明の拡翼掘削機を適用して、同様に上記一連の工程を実施することにより、ケーソン躯体内部の硬質地盤を可及的早期に掘削して緩めることができ、その後のバケット式掘削機等による揚土までを含む掘削時間の大幅な短縮が可能になる。
尚、硬質地盤上の軟質地盤におけるケーソン躯体の沈設においては、ケーソン躯体の内部の軟質地盤がバケット式掘削機等により効率的に掘削することが可能であることから、ケーソン躯体の刃口周辺領域及び内部領域の軟質地盤を例えばバケット式掘削機等により掘削し、ケーソン躯体を例えば自重にて沈設させながら内部に貯水し、ケーソン躯体が硬質地盤に到達するまでこの沈設方法を繰り返せばよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の拡翼掘削機とケーソン躯体の沈設方法によれば、一種の掘削機にて効率的に硬質地盤を掘削することができ、効率的なケーソン躯体の沈設を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】ケーソン躯体を軟質地盤内に沈設する方法の一例を示す縦断面図である。
【
図1B】
図1AのB方向矢視図であって、ケーソン躯体の一例の平面図である。
【
図2】実施形態に係る拡翼掘削機の一例を示す側面図である。
【
図3】
図2のIII方向矢視図であって、ベースマシンの前方にある拡翼掘削体の一例の正面図である。
【
図5B】
図5AのB−B矢視図であって、拡翼カッタの一例の横断面図である。
【
図6B】
図6AのB−B矢視図であって、拡翼カッタの他の例の横断面図である。
【
図7A】ケーソン躯体の内壁面に沿って、全ての拡翼カッタが鉛直姿勢となっている状態を示す縦断面図である。
【
図7B】一部の拡翼カッタが鉛直姿勢を維持し、残りの拡翼カッタが、ケーソン躯体の刃口のテーパー面に当接するまで回動している状態を示す縦断面図である。
【
図9A】実施形態に係るケーソン躯体の沈設方法の一例を説明する工程図であって、ケーソン躯体の内壁面に沿って、ケリーバーを介して拡翼掘削体を硬質地盤まで吊り下ろしている状態を示す縦断面図である。
【
図9B】
図9AのB方向矢視図であって、ケリーバーを介して硬質地盤まで吊り下ろされている拡翼掘削体を示す正面図である。
【
図10A】
図9Aに続いてケーソン躯体の沈設方法の一例を説明する工程図であって、拡翼掘削体を構成する全ての拡翼カッタを硬質地盤に対して延長方向に掘削している状態を示す縦断面図である。
【
図10B】
図10AのB方向矢視図であって、全ての拡翼カッタが硬質地盤内に掘進している拡翼掘削体を示す正面図である。
【
図11A】
図10Aに続いてケーソン躯体の沈設方法の一例を説明する工程図であって、拡翼掘削体を構成する外側拡翼カッタを鉛直姿勢のまま保持し、内側拡翼カッタをケーソン躯体の刃口のテーパー面に当接するまで回動させながら斜め掘削している状態を示す縦断面図である。
【
図11B】
図11AのB方向矢視図であって、外側拡翼カッタが鉛直姿勢のまま硬質地盤内に保持され、内側拡翼カッタが斜め掘削している拡翼掘削体を示す正面図である。
【
図12A】
図11Aに続いてケーソン躯体の沈設方法の一例を説明する工程図であって、拡翼掘削体を構成する内側拡翼カッタを鉛直姿勢に戻し、外側拡翼カッタをケーソン躯体の刃口のテーパー面に当接するまで回動させながら斜め掘削している状態を示す縦断面図である。
【
図12B】
図12AのB方向矢視図であって、内側拡翼カッタが硬質地盤内で鉛直姿勢に戻され、外側拡翼カッタが斜め掘削している拡翼掘削体を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態に係る拡翼掘削機とケーソン躯体の沈設方法について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0019】
[実施形態]
<沈設対象のケーソン躯体と、軟質地盤内におけるケーソン躯体の沈設方法>
はじめに、
図1を参照して、沈設対象のケーソン躯体の一例と、軟質地盤内におけるケーソン躯体の沈設方法の一例について説明する。ここで、
図1Aは、ケーソン躯体を軟質地盤内に沈設する方法の一例を示す縦断面図であり、
図1Bは、
図1AのB方向矢視図であって、ケーソン躯体の一例の平面図である。
【0020】
図1A及び
図1Bに示すように、沈設対象であるケーソン躯体200は、オープンケーソン工法により沈設される、鉄筋コンクリート製の円筒体であり、その先端の刃口210の内壁面がテーパー面220となっている。尚、ケーソン躯体の平面視形状は、図示例以外にも、楕円形、正方形や長方形等の矩形、矩形以外の多角形であってもよい。
【0021】
原地盤Gには、表層から所定深度までは、バケット式掘削機の爪の差し込みに支障のない硬度の軟質地盤G1が広がり、その下方には、バケット式掘削機の爪が差し込み難い硬質地盤G2がある。実施形態のケーソン躯体の沈設方法は、この硬質地盤G2の所定深度までケーソン躯体200を沈設する方法である。尚、軟質地盤、硬質地盤の概念は、具体的な物性値で規定してもよく、例えばN値10乃至30の間の所定値を軟質地盤と硬質地盤の境界値に設定してもよい。また、硬質地盤G2は、支持層と称することもできる。
【0022】
地上にて製作されたケーソン躯体200は、施工エリアの地表に設置される。そして、その刃口周辺の軟質地盤G2を掘削することにより、ケーソン躯体200の自重によって刃口210が軟質地盤G1内に進入し、ケーソン躯体200が沈設される。このケーソン躯体200の沈設に応じて、ケーソン躯体200の内部の軟質地盤G1もバケット式掘削機等により掘削し、ケーソン躯体200の内部に水Wが導入され、貯水される。この施工を繰り返しながら、軟質地盤G1内においてケーソン躯体200を沈設していき、バケット式掘削機の爪が差し込み難い硬質地盤G2まで到達させる。
【0023】
図1Aに示すケーソン躯体200の刃口210が硬質地盤G2に到達した状態において、刃口210の周辺が刃口周辺領域A1であり、その内側が内部領域A2である。以下で詳説する、実施形態に係る拡翼掘削機は、その構成要素である一台(もしくは一種)の拡翼掘削体にて、ケーソン躯体200の内壁面205に沿う鉛直方向の掘削(鉛直掘削)と、刃口210のテーパー面までの斜め方向の掘削(斜め掘削)の双方の掘削を実現可能な掘削機である。
【0024】
<拡翼掘削機>
次に、
図2乃至
図8を参照して、実施形態に係る拡翼掘削機の一例について説明する。ここで、
図2は、実施形態に係る拡翼掘削機の一例を示す側面図であり、
図3は、
図2のIII方向矢視図であって、ベースマシンの前方にある拡翼掘削体の一例の正面図である。また、
図4は、拡翼掘削体の一例を拡大した正面図である。また、
図5Aは、拡翼カッタの一例の正面図であり、
図5Bは、
図5AのB−B矢視図であって、拡翼カッタの一例の横断面図である。また、
図6Aは、拡翼カッタの他の例の正面図であり、
図6Bは、
図6AのB−B矢視図であって、拡翼カッタの他の例の横断面図である。さらに、
図7Aは、ケーソン躯体の内壁面に沿って、全ての拡翼カッタが鉛直姿勢となっている状態を示す縦断面図であり、
図7Bは、一部の拡翼カッタが鉛直姿勢を維持し、残りの拡翼カッタが、ケーソン躯体の刃口のテーパー面に当接するまで回動している状態を示す縦断面図である。
【0025】
拡翼掘削機100は、ベースマシン10と、ベースマシン10からケリーバー20により垂下されている拡翼掘削体30とを有する。ここで、図示例のベースマシン10はクローラ式のクレーンであるが、自走式でケリーバー20を介して拡翼掘削体30を垂下できるベースマシンであれば、トラッククレーン等の他の形態のベースマシンであってもよい。
【0026】
また、ケリーバー20は、本来的には、その先端に各種の掘削アタッチメントが取り付けられ、ロータリードライブにてケリーバーを回転させることにより、掘削アタッチメントにて地盤を回転掘削する際に適用されるが、図示例の拡翼掘削機100においては、拡翼掘削体30を硬質地盤内に押し込むことを目的として適用される。すなわち、ワイヤリングにて拡翼掘削体30が垂下される形態では、拡翼掘削体30を硬質地盤内に押し込む際にケーソン躯体200の内壁面に反力材等の設置が必要となるが、拡翼掘削機100では、ケリーバー20を適用することにより、このような反力材の設置を不要にできる。さらに、ケリーバー20により、拡翼掘削体30の回転反力を受けて、当該回転反力を抑制することができる。
【0027】
拡翼掘削機100を構成する拡翼掘削体30は、掘削機本体40と、掘削機本体40の下方に取り付けられている五基の回転駆動手段50と、各回転駆動手段50に回転自在に装着されている拡翼カッタ60と、各拡翼カッタ60を回動軸75(
図4、
図7A、
図7B参照)を中心に回動させる二基の回動駆動手段70とを有する。
【0028】
回転駆動手段50は、例えばモータ等のアクチュエータであり、回動駆動手段70は、例えばシリンダ機構等のアクチュエータである。図示例では、五基のモータ50に対して、それぞれ軸状の拡翼カッタ60が装着されており、五基の拡翼カッタ60は、左右端にある二本の外側拡翼カッタ60Aと、その内側にある三本の内側拡翼カッタ60Bとを有する。
【0029】
図4に示すように、一本のケリーバー20の下端が掘削機本体40の中央位置に取り付けられており、掘削機本体40の内部に二基のシリンダ機構70が収容されている。シリンダ機構70は、油圧シリンダ71と、油圧シリンダ71に対して進退自在なピストンロッド72と、ピストンロッド72の先端に回動自在に装着されているリンク73とを有する。二基のシリンダ機構70は、二本の外側拡翼カッタ60Aを回動軸75を介して同期して回動させる際に作動するシリンダ機構70Aと、三本の内側拡翼カッタ60Bを回動軸75(もしくは別途の回動軸)を介して同期して回動させる際に作動するシリンダ機構70Bである。尚、外側拡翼カッタ60Aと内側拡翼カッタ60Bの本数は図示例に限定されるものでないが、外側拡翼カッタ60Aと内側拡翼カッタ60Bを交互に回動させて斜め掘削を行うに当たり、拡翼掘削体30に捩じれが生じ難く、可及的に安定した状態で斜め掘削を実現する観点から、左右端にある外側拡翼カッタ60Aの左右の本数は同数であるのが好ましい。すなわち、図示例の左右一本ずつの形態の他には、左右二本ずつの形態等が挙げられる。一方、中央拡翼カッタ60Bの本数は、図示例のように複数本(図示例の三本の他、二本、四本等)であってもよいし、一本であってもよい。
【0030】
例えば、各拡翼カッタ60に固有のモータ50の頭部に、水平方向に延設する貫通孔を有する被固定部材(図示せず)が固定されており、各モータ50の頭部にある各被固定部材の貫通孔に回動軸75が挿通されている。そして、例えば、シリンダ機構70Aを構成するリンク73が、左右端にある二本の外側拡翼カッタ60Aのモータ50の上端の被固定部材に固定されている。同様に、シリンダ機構70Bを構成するリンク73が、中央にある三本の内側拡翼カッタ60Bのモータ50の上端の被固定部材に固定されている。このように構成することにより、共通の回動軸75を用いて、シリンダ機構70Aにて二本の外側拡翼カッタ60Aを同期して回動させることができ、かつ、シリンダ機構70Bにて三本の内側拡翼カッタ60Bを同期して回動させることができる。
【0031】
図4と
図5A及び
図5Bに示すように、拡翼カッタ60は、軸状のシャフト61と、シャフト61の側面から側方に突出する複数の周面切削ビット62と、シャフト61の下端から下方に突出する複数の先端切削ビット63とを有する。
【0032】
尚、拡翼カッタ60は、
図6A及び
図6Bに示すように、軸状のシャフト61と、シャフト61の周囲に螺旋状に取り付けられているオーガー65とを有する形態であってもよい。この形態では、螺旋状のオーガー65により、掘削した硬質地盤G2を上方に排土する作用が奏される。
【0033】
ケーソン躯体200の刃口周辺領域の掘削においては、まず、
図7Aに示すように、全て(図示例は五本)の拡翼カッタ60が鉛直姿勢に制御された状態で、ケリーバー20を介して下方に降下される。以下、実施形態に係るケーソン躯体の沈設方法で詳説するように、刃口周辺領域の鉛直掘削においても、全ての拡翼カッタ60の鉛直姿勢が保持された状態で鉛直掘削が実行される。
【0034】
次に、
図7Bに示すように、シリンダ機構70Bを構成する油圧シリンダ71に対してピストンロッド72をZ1方向にスライドさせることにより、ピストンロッド72の先端に回動自在に装着されているリンク73がZ2方向に回動し、リンク73の回動により、リンク73に固定されている三本の内側拡翼カッタ60Bが回動軸75を中心に回動する。二本の外側拡翼カッタ60Aを鉛直姿勢に保持した状態で、三本の内側拡翼カッタ60Bを、それぞれの回転軸を中心にY3方向に回転させながら、刃口210のテーパー面220まで同期してY1方向に回動させることにより、刃口周辺領域の斜め掘削を実行する(第一姿勢制御)。
【0035】
図7Bに示す内側拡翼カッタ60Bによる斜め掘削が終了した後、内側拡翼カッタ60Bを回動させて元の鉛直姿勢に戻す。次いで、図示を省略するが、シリンダ機構70Aを構成する油圧シリンダ71に対してピストンロッド72をスライドさせることにより、ピストンロッド72の先端に回動自在に装着されているリンク73が回動し、リンク73の回動により、リンク73に固定されている二本の外側拡翼カッタ60Aが回動軸75を中心に回動する。外側拡翼カッタ60Aを、それぞれの回転軸を中心に回転させながら、刃口210のテーパー面220まで同期して回動させることにより、刃口周辺領域の斜め掘削を実行する(第二姿勢制御)。このように、内側拡翼カッタ60Bと外側拡翼カッタ60Aは、相互に異なるタイミングで回動制御される。
【0036】
尚、第一姿勢制御と第二姿勢制御の順番は、第二姿勢制御の次に第一姿勢制御が実行されるシーケンスであってもよい。また、二本の外側拡翼カッタ60Aと中央の一本の内側拡翼カッタ60Bが鉛直姿勢を保持し、残りの二本の内側拡翼カッタ60Bが回動して斜め掘削を行い、次に、これら二本の内側拡翼カッタ60Bが回動して元の鉛直姿勢に戻り、次に、二本の外側拡翼カッタ60Aと中央の一本の内側拡翼カッタ60Bが回動して斜め掘削を行う制御が実行されてもよい。
【0037】
ここで、図示を省略するが、各拡翼カッタ60の回転制御や回転停止制御、上記する第一姿勢制御と第二姿勢制御における各シリンダ機構70の作動制御等は、例えば、ベースマシン10の操作室内に装備されている制御盤等により実行される。この制御盤はコンピュータにより構成され、接続バスにより相互に接続されているCPU(Central Processing Unit)、主記憶装置、補助記憶装置、入出力インターフェイス、及び通信インターフェイス等を備えている。CPUは、単一のプロセッサであってもよいし、マルチプロセッサであってもよい。CPUは、コンピュータからなる制御盤全体の制御を行う中央演算処理装置である。CPUは、例えば、補助記憶装置に記憶されたプログラムを主記憶装置の作業領域にて実行可能に展開し、プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことにより、所定の目的に合致した機能を提供する。例えば、主記憶装置には、硬質地盤を特定する物性値が記憶されている。また、硬質地盤の硬度に応じたモータ50の回転速度、刃口210のテーパー面220のテーパー角度等が記憶されており、シリンダ機構70によるピストンロッド72の伸長量がこのテーパー角度に応じて制御されるようになっている。さらに、例えば、内側拡翼カッタ60Bの斜め掘削、内側拡翼カッタ60Bの鉛直姿勢への戻し、外側拡翼カッタ60Aの斜め掘削、外側拡翼カッタ60Aの鉛直姿勢への戻し、といったシーケンスが記憶されている。
【0038】
尚、
図8に示すように、拡翼掘削機が二本のケリーバー20にて拡翼掘削体30を垂下する、ツインケリーバー方式の拡翼掘削機であってもよい。このように拡翼掘削体30を二本のケリーバー20にて垂下することにより、拡翼掘削体30の回転反力をより一層抑制することができ、拡翼掘削体30の捩じれをより一層防止することができ、さらには、拡翼掘削体30の鉛直姿勢を精度よく保持できることに依拠して掘削精度を向上させることができる。
【0039】
<ケーソン躯体の沈設方法>
次に、
図1及び
図2と、
図9乃至
図12を参照して、実施形態に係るケーソン躯体の沈設方法の一例について説明する。ここで、
図9A乃至
図12Aは順にケーソン躯体の沈設方法の工程図である。より具体的には、
図9Aは、実施形態に係るケーソン躯体の沈設方法の一例を説明する工程図であって、ケーソン躯体の内壁面に沿って、ケリーバーを介して拡翼掘削体を硬質地盤まで吊り下ろしている状態を示す縦断面図であり、
図9Bは、
図9AのB方向矢視図であって、ケリーバーを介して硬質地盤まで吊り下ろされている拡翼掘削体を示す正面図である。また、
図10Aは、
図9Aに続いてケーソン躯体の沈設方法の一例を説明する工程図であって、拡翼掘削体を構成する全ての拡翼カッタを硬質地盤に対して延長方向に掘削している状態を示す縦断面図であり、
図10Bは、
図10AのB方向矢視図であって、全ての拡翼カッタが硬質地盤内に掘進している拡翼掘削体を示す正面図である。また、
図11Aは、
図10Aに続いてケーソン躯体の沈設方法の一例を説明する工程図であって、拡翼掘削体を構成する外側拡翼カッタを鉛直姿勢のまま保持し、内側拡翼カッタをケーソン躯体の刃口のテーパー面に当接するまで回動させながら斜め掘削している状態を示す縦断面図であり、
図11Bは、
図11AのB方向矢視図であって、外側拡翼カッタが鉛直姿勢のまま硬質地盤内に保持され、内側拡翼カッタが斜め掘削している拡翼掘削体を示す正面図である。さらに、
図12Aは、
図11Aに続いてケーソン躯体の沈設方法の一例を説明する工程図であって、拡翼掘削体を構成する内側拡翼カッタを鉛直姿勢に戻し、外側拡翼カッタをケーソン躯体の刃口のテーパー面に当接するまで回動させながら斜め掘削している状態を示す縦断面図であり、
図12Bは、
図12AのB方向矢視図であって、内側拡翼カッタが硬質地盤内で鉛直姿勢に戻され、外側拡翼カッタが斜め掘削している拡翼掘削体を示す正面図である。
【0040】
まず、
図1Aに示すように、ケーソン躯体200の刃口210の先端は硬質地盤G2に到達している。この硬質地盤G2を掘削して緩め、ケーソン躯体200を硬質地盤G2内に沈設していくに当たり、まず、
図1Bに示すP1点をこの沈設施工の開始位置として、P1点に
図2に示すベースマシン10を載置し、ベースマシン10からケリーバー20を介して拡翼掘削体30を吊り下ろしていく。
【0041】
具体的には、
図9A及び
図9Bに示すように、ケーソン躯体20の内壁面205に沿って、ケリーバー20を延長しながら、鉛直下方であるY2方向へ拡翼掘削体30を吊り下ろしていく。拡翼掘削体30が吊り下ろされる状態において、全ての拡翼カッタ60は鉛直姿勢に制御されている。
【0042】
次に、
図10A及び
図10Bに示すように、全てのモータ50を作動させることにより全ての拡翼カッタ60をY3方向に回転させ、ケリーバー20にて拡翼掘削体30を鉛直下方であるY2方向に押し込み力Qにて押し込むことにより、全ての拡翼カッタ60にて硬質地盤G2における刃口周辺領域A1を鉛直掘削する(A工程)。
【0043】
次に、
図11A及び
図11Bに示すように、二本の外側拡翼カッタ60Aを鉛直姿勢のままとし、三本の内側拡翼カッタ60Bをそれぞれの回転軸を中心にY3方向に回転させ、刃口210のテーパー面220に当接するまでY1方向に同期して回動させることにより、三本の内側拡翼カッタ60Bにて斜め掘削する。
【0044】
この際、鉛直姿勢の外側拡翼カッタ60Aが硬質地盤から反力qを受けることにより、拡翼掘削体30が安定した姿勢の下で、内側拡翼カッタ60Bによる斜め掘削を実現することができる(B工程)。
【0045】
次に、
図12A及び
図12Bに示すように、三本の内側拡翼カッタ60Bを回動させて元の鉛直姿勢に戻した後、二本の外側拡翼カッタ60Aをそれぞれの回転軸を中心にY3方向に回転させ、刃口210のテーパー面220に当接するまでY1方向に同期して回動させることにより、二本の外側拡翼カッタ60Aにて斜め掘削する。
【0046】
この場合は、鉛直姿勢の内側拡翼カッタ60Bが硬質地盤から反力qを受けることにより、拡翼掘削体30が安定した姿勢の下で外側拡翼カッタ60Aによる斜め掘削を実現することができる(C工程)。
【0047】
上記A工程乃至C工程からなる一連の工程により、
図1Bや
図9A乃至
図12Aに示す範囲tにおいて、刃口周辺領域A1が緩められる。尚、B工程に次いでC工程が行われるシーケンス、C工程に次いでB工程が行われるシーケンスのいずれであってもよい。
【0048】
次に、
図1Bにおいて、ベースマシン10をP1点からその周方向側方のP2点に移動させ、上記A工程乃至C工程からなる一連の工程を同様に実行することにより、隣接する範囲tにおいて刃口周辺領域A1が緩められる。
【0049】
以後、
図1Bに示すように、ケーソン躯体200の周方向に沿ってX方向にベースマシン10を順次移動させ、都度、上記A工程乃至C工程からなる一連の工程を同様に実行することにより、ケーソン躯体200の全周において刃口周辺領域A1が緩められ、ケーソン躯体200が沈設される。
【0050】
硬質地盤G2におけるケーソン躯体200の沈設に次いで、ケーソン躯体200の内部領域A2(
図1A参照)も拡翼掘削機100により掘削を行う。この際、ベースマシン10のブームを適宜伸長し、ケリーバー20にて拡翼掘削体30を吊り下ろし、五本の拡翼カッタ60による鉛直掘削や、第一姿勢制御による斜め掘削、第二姿勢制御による斜め掘削を順次行うことに変わりはない。尚、内部領域A2における斜め掘削では、刃口210のテーパー面220は存在しないことから、所定の回動角度まで各拡翼カッタ60を回動させて斜め掘削すればよい。掘削にて緩められた硬質地盤G2は、バケット式掘削機等により揚土される。
【0051】
実施形態に係るケーソン躯体の沈設方法によれば、実施形態に係る拡翼掘削機100を適用することにより、鉛直掘削と斜め掘削を一種の拡翼掘削体30にて実行することができ、従って効率的に硬質地盤G2を掘削することができる。このことにより、効率的なケーソン躯体200の沈設が可能になる。
【0052】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、また、本発明はここで示した構成に何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【課題】一種の掘削機にて効率的に硬質地盤を掘削することができ、このことにより、効率的なケーソン躯体の沈設を可能とする、拡翼掘削機とケーソン躯体の沈設方法を提供する。
【解決手段】ベースマシン10と、ベースマシン10からケリーバー20により垂下されている拡翼掘削体30とを有し、筒状のケーソン躯体200の内壁面205に沿って地盤Gを鉛直方向に掘削し、かつ、ケーソン躯体200の刃口210のテーパー面220に沿って地盤Gを斜め方向に掘削する拡翼掘削機100であり、並設する複数の軸状の拡翼カッタ60と、複数の拡翼カッタ60をそれぞれの回転軸を中心に回転させる回転駆動手段50と、複数の拡翼カッタ60を異なるタイミングで回動させる二つの回動駆動手段70と、を有する。