(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845978
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】固定材付き包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/50 20060101AFI20210315BHJP
【FI】
B65D5/50 101B
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-41067(P2017-41067)
(22)【出願日】2017年2月16日
(65)【公開番号】特開2018-131259(P2018-131259A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2020年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】510195504
【氏名又は名称】株式会社ジェイフラッグ
(72)【発明者】
【氏名】用品 孝浩
【審査官】
米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭50−095133(JP,U)
【文献】
実公昭50−018477(JP,Y1)
【文献】
米国特許第02766874(US,A)
【文献】
実開平02−080527(JP,U)
【文献】
特開2003−291953(JP,A)
【文献】
米国特許第04146127(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/50
B65D 85/18
B65D 81/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
踵付き靴を固定する固定材を内部に備えている固定材付き包装容器であって、前記固定材は、下部固定パネルと、上部固定パネルとが連設して形成されており、前記下部固定パネルは、靴のつま先を上から押さえて固定し、前記上部固定パネルは、靴の踵を上下に貫通させる第一の孔を有しており、前記包装容器には、前記下部固定パネルの上下動を規制する規制部を有していることを特徴とする固定材付き包装容器。
【請求項2】
前記下部固定パネルは、靴のつま先が貫通する第二の孔を有し、第二の孔により、靴の踵を中心とした靴のつま先の回動が規制されていることを特徴とする請求項1記載の固定材付き包装容器。
【請求項3】
包装容器は長方形の底面を有する直方体形状であり、前記第一の孔と第二の孔が前記長方形状を有する底面の対角線上に配置されていることを特徴とする請求項2記載の固定材付き包装容器。
【請求項4】
前記上部固定パネルは、包装容器の隣接する二つの側面にそれぞれ接する二つの上部側壁部を有し、前記下部固定パネルは、包装容器の隣接する他の二つの側面にそれぞれ接する二つの下部側壁部を有することを特徴とする請求項3記載の固定材付き包装容器。
【請求項5】
前記規制部は、包装容器の側壁を切り起こした突片であることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかの項記載の固定材付き包装容器。
【請求項6】
前記下部固定パネルは、底面と平行に配置され、前記上部固定パネルは、前記下部固定パネルとの連設部から斜めに立ち上げ形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかの項記載の固定材付き包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を移動時でも破損がないように固定および固定して包装できるようにした固定材付き包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、透明性が良好で剛性もあるポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチックシートに折り曲げ罫線を設けてなる包装容器が造られている。被収納物はそのまま容器内に入れられるか、或いは両面テープ等の粘着テープで固定し収納していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−104394号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、被収納物を直接入れるのでは、容器内で被収納物ががたつき、破損する恐れのある物品では移動時に破損してしまい、両面テープ等の粘着テープを利用するのは、直接物品に貼り付けるため、外す際に物品を汚してしまい、収納作業や取り出す際の取り扱いも煩雑になるなど、問題点が多々あった。本発明は、上記問題点に着眼しつつなしたものであり、物品を綺麗に保つことができ、上部固定パネルと下部固定パネルを使用することで被収納物を定置させて収納可能とした容器を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様の固定材付き包装容器は、踵付き靴を固定する固定材を内部に備えており、前記固定材は、下部固定パネルと、上部固定パネルとが連設して形成されており、前記下部固定パネルは、靴のつま先を上から押さえて固定し、前記上部固定パネルは、靴の踵を上下に貫通させる第一の孔を有しており、前記包装容器には、前記下部固定パネルの上下動を規制する規制部を有していることを特徴とするものである。
【0006】
これによれば、上部固定パネルに靴の踵を上下に貫通させる第一の孔を設けたので、簡単に靴の踵を固定することができ、下部固定パネルを設けたので、簡単に靴のつま先を固定することができ、規制部を設けたので、下部固定パネルの上下動を規制することができる。
【0007】
本発明の第二の態様の固定材付き包装容器は、前記下部固定パネルに、つま先が貫通する第二の孔を有し、第二の孔により、靴の踵を中心とした靴のつま先の回動が規制されていることを特徴とするものである。
【0008】
これによれば、第二の孔を設けたので、簡単に靴のつま先を固定することができる。
【0009】
本発明の第三の態様の固定材付き包装容器は、長方形の底面を有する直方体形状であり、前記第一の孔と第二の孔が前記長方形状を有する底面の対角線上に配置されていることを特徴とするものである。
【0010】
これによれば、容器を最小限の大きさにすることができる。外側の容器と対角にすることで、デザイン性が高まり、美的効果を発揮することができる。
【0011】
本発明の第四の態様の固定材付き包装容器の前記上部固定パネルは、包装容器の隣接する二つの側面にそれぞれ接する二つの上部側壁部を有し、前記下部固定パネルは、包装容器の隣接する他の二つの側面にそれぞれ接する二つの下部側壁部を有することを特徴とするものである。
【0012】
これによれば、上部固定パネルと下部固定パネルとで包装容器の四つの側面に接していることで、前後左右の動きを押さえることができる。
【0013】
本発明の第五の態様の固定材付き包装容器の前記規制部は、包装容器の側壁を切り起こした突片であることを特徴とするものである。
【0014】
これによれば、突片が切り起こしのため、簡単に規制部を形成することができる。
【0015】
本発明の第六の態様の固定材付き包装容器の前記下部固定パネルは、底面と平行に配置され、前記上部固定パネルは、前記下部固定パネルとの連設部から斜めに立ち上げ形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
これによれば、下部固定パネルを底面と平行に配置することにより、つま先を真上から押さえることができ、上部固定パネルを斜めに立ち上げることにより、ハイヒールの底部を面で受け安定して固定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、被収納物を収納し、容器内に被収納物を定置して保持することができる。被収納物を固定し移動時の破損を防ぐ効果が得られる。これらの効果を発揮する固定材付き包装容器が、簡潔に製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る固定材付き包装容器の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に使われる包装容器を形成するブランクの平面図である。
【
図3】
図1に使われる固定材を形成するブランクの平面図である。
【
図4】
図1の固定材付き包装容器内に踵付き靴を収納した使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明をハイヒール用に適用した一実施形態を説明する。
【0020】
図1の固定材付き包装容器10は、
図2に示す一枚のブランクBと
図3に示す一枚のブランクCを組み立てて形成される。このブランクBとブランクCは、素材がポリエチレンテレフタレート(PET)からなる透明なプラスチックシートを打ち抜いたものである。なお、
図2,
図3において実線は切り取り線を意味し破線は折り曲げ罫線を表している。
【0021】
ブランクBについて説明すると
図2に示すように、前面パネル19の両側辺にそれぞれ折り曲げ罫線e,fを介して規制部付折り曲げフラップ20,21と規制部22,23が連設されている。
【0022】
前面パネル19の上下辺にそれぞれ折り曲げ罫線b,cを介して天面パネル11と底面パネル24が連設されている。底面パネル24の上辺には折り曲げ罫線aを介して糊付け片25が連設されている。天面パネル11の両側辺にそれぞれ折り曲げ罫線h,gを介して側面蓋パネル12,13が連設され、一方の側面蓋パネル12には折り曲げ罫線1を介して差込みパネル15が連設され、他方の側面蓋パネル13には折り曲げ罫線kを介して差込みパネル14が連設されている。
【0023】
天面パネル11の下辺には折り曲げ罫線dを介して背面パネル16が連設され、背面パネル16の両側辺にそれぞれ折り曲げ罫線i,jを介して折り曲げフラップ17,18が連設されている。
【0024】
折り曲げ罫線a〜lまでは原則すべて最終的には90度折り曲げるために設けられている。ただし、e,fのうち規制部22,23が連設されている部分については、さらに45度即ち135度折り曲げることを予定している。
【0025】
図3のブランクCは、上部固定パネル26の両側辺にそれぞれ折り曲げ罫線m,nを介して上部固定パネル立ち上げ部27,28が連設され、上部固定パネル26の下辺には折り曲げ罫線oを介して下部固定パネル29が連設されている。下部固定パネル29の両側辺にそれぞれ折り曲げ罫線p,qを介して下部固定パネル立ち上げ部30,31が連設されている。上部固定パネル26にはハイヒールの踵が挿入される第一の孔26aが打ち抜き形成されている。同じように下部固定パネル29にはハイヒールのつま先が挿入される第二の孔29aが打ち抜き形成されている。
【0026】
ブランクBの組立方法を説明する。ブランクBは、折り曲げ罫線b,dのところで順次折り曲げ、背面パネル16の側端に沿ったところに糊付け片25を貼り合わせサック貼りした状態とする。サック貼りされた状態のブランクBをまず、折り曲げ罫線a,b,c,dをそれぞれ90度の角底を保つように角筒状に起こす。次に、折り曲げ罫線e,f,i,jをそれぞれ90度保つように起こし、最後に折り曲げ罫線g,hをそれぞれ90度保つように起こし、差込みパネル14,15を差し込み形成される。この段階では規制部22,23はまだ折り曲げない。
【0027】
つづいて、ブランクCの組立方法は次のようである。折り曲げ罫線m,n,p,qのところで上部固定パネル立ち上げ部27,28と下部固定パネル立ち上げ部30,31を順次外側へ折り曲げ、折り曲げ罫線oのところで内側に折り曲げ形成される。
【0028】
その次に、ブランクCへのハイヒールの固定は次のように行う。まず、ハイヒールの踵を上部固定パネル26の第一の孔26aに嵌め込むことにより上下動を規制し、次につま先を下部固定パネル29の第二の孔29aに嵌め込むことにより回動を規制する。なお、ハイヒールはアクリル製である。
【0029】
次に、ブランクBとブランクCのセット方法を説明します。[0027]で説明した方法で組立てたブランクCに[0028]で説明した方法でハイヒールを固定し、ハイヒールを固定したブランクCを[0026]で説明した方法で組立てたブランクBに入れることにより、
図4に示す状態となる。このあと、規制部22,23を45度に折り曲げ下部固定パネルの上下動をしないように固定することができ、固定材付き包装容器10が形成される。
【0030】
以上、本発明の一実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明による固定材付き包装容器10は、上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、上記では四角柱形状(直方体形状)の包装容器について説明をしたが、六角柱や八角柱形状の包装容器であってもよい。さらには、柱形状の包装容器ではなく四角錐、六角錐のような錐形状の包装容器でもよいし、錐形状の上部が切り取られた錐台形状でもよい。
【0031】
例えば、上記の例では、素材がPETからなるプラスチックシートの場合をを例に挙げたが、塩化ビニル、ポリエチレン等、他の素材のプラスチックシートや段ボール、板紙等紙製シートを使用することもできる。ただ、リサイクル等の環境問題の観点からPETを用いることが好ましい。
【0032】
また、被収納物の形状としては、ハイヒールに準じ下部が押さえられる形状であればよく、固定材付き包装容器10のサイズはそれらに合わせて設計すればよい。
【0033】
また、被収納物の素材は、アクリルに限るものではなく、破損の恐れのある素材であれば特に限定はない。以上のように本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
【0034】
上記の実施例は一足用であるが、左右一足のハイヒールを一つの包装容器に収めるように形成してもよい。
【符号の説明】
【0035】
B ブランク
A ハイヒール
10 固定材付き包装容器
11 天面パネル
12,13 側面蓋パネル
14,15 差込みパネル
16 背面パネル
17,18 折り曲げフラップ
19 前面パネル
20,21 規制部付折り曲げフラップ
22,23 規制部
24 底面パネル
25 糊付け片
a〜1 折り曲げ罫線
C ブランク
26 上部固定パネル
26a 第一の孔
27,28 上部固定パネル立ち上げ部
29 下部固定パネル
29a 第二の孔
30,31 下部固定パネル立ち上げ部
m〜q 折り曲げ罫線