特許第6845992号(P6845992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845992
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】コネクタ付き機器
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/06 20060101AFI20210315BHJP
   H01R 13/73 20060101ALI20210315BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20210315BHJP
   F16K 31/06 20060101ALN20210315BHJP
   H05K 9/00 20060101ALN20210315BHJP
【FI】
   H01F7/06 Z
   H01R13/73 Z
   H01F27/29 N
   !F16K31/06 305B
   !H05K9/00 H
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-54477(P2018-54477)
(22)【出願日】2018年3月22日
(65)【公開番号】特開2019-169524(P2019-169524A)
(43)【公開日】2019年10月3日
【審査請求日】2020年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康介
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−89763(JP,A)
【文献】 実開平3−8405(JP,U)
【文献】 特開2016−81727(JP,A)
【文献】 特開2017−106504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/06
H01F 27/29
H01R 13/73
F16K 31/06
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に沿って延びる円筒形状をなす機器と、
前記機器の側壁から外方に突出する脚部と、前記脚部のうち前記機器と反対側に、前記機器の前記側壁との間に隙間を有して設けられたコネクタハウジングと、を有する機器コネクタと、
前記機器の外側に取り付けられると共に、一方の端部が開口した筒状をなす金属製の磁気シールド部材と、を備えたコネクタ付き機器であって、
前記磁気シールド部材は、前記一方の端部の開口端から凹状に形成されて前記脚部との干渉を回避する回避凹部と、前記機器の前記側壁と前記コネクタハウジングとの間の前記隙間に挿入された挿入部と、を有する、コネクタ付き機器。
【請求項2】
前記機器は、前記軸線方向について前側に位置する前壁と、後側に位置する後壁と、を有し、
前記磁気シールド部材は、前記機器の前記前壁に沿う前方シールド部と、前記機器の側壁に沿う側方シールド部と、を有し、
前記側方シールドの端部は、前記後壁に沿って折れ曲がって前記側方シールド部に連なる第1屈曲部とされ
前記挿入部の端部は、前記後壁に沿って折れ曲がった第2屈曲部とされる、請求項1に記載のコネクタ付き機器。
【請求項3】
前記コネクタハウジングには複数の端子が配されており、前記複数の端子は前記脚部の内部に配された状態で前記機器と接続されている、請求項1または請求項2に記載のコネクタ付き機器。
【請求項4】
前記コネクタハウジングには、複数の端子と、相手方コネクタが係止するためのロック部とが、前記機器の前記側壁の外周面に沿って並んで配されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ付き機器。
【請求項5】
前記ロック部は絶縁性の合成樹脂で形成されて、前記複数の端子の間に配されている、請求項4に記載のコネクタ付き機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示された技術は、機器に取り付けられるコネクタ付き機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のオートマチックトランスミッション内に配された機器に取り付けられて使用される機器コネクタとして、例えば特許文献1に記載されたものが示されている。
【0003】
この技術においては、筒状をなす機器の外周面に、コネクタハウジングが突設されている。コネクタハウジングはフード部を有しており、このフード部内に機器と電気的に接続された端子が突出して配されている。上記の機器としては、例えば、内部にコイルが配されたソレノイドが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−81727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の機器コネクタにおいて、機器の磁界効率を向上させようとした場合、機器の周囲を、金属材料からなる磁気シールド部材で覆うことが考えられる。しかしながら、上記の構成によれば、機器のうちコネクタハウジングが設けられた部分には、磁気シールド部材を配することができない。このため、機器の磁界効率を十分に向上させることが難しいという問題があった。
【0006】
本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、磁界効率が向上したコネクタ付き機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示された技術は、軸線方向に沿って延びる円筒形状をなす機器と、前記機器の側壁から外方に突出する脚部と、前記脚部のうち前記機器と反対側に、前記機器の前記側壁との間に隙間を有して設けられたコネクタハウジングと、を有する機器コネクタと、前記機器の外側に取り付けられると共に、一方の端部が開口した筒状をなす金属製の磁気シールド部材と、を備えたコネクタ付き機器であって、前記磁気シールド部材は、前記一方の端部の開口端から凹状に形成されて前記脚部との干渉を回避する回避凹部と、前記機器の前記側壁と前記コネクタハウジングとの間の前記隙間に挿入された挿入部と、を有する。
【0008】
上記の構成によれば、機器の側壁から突出する脚部によって、機器とコネクタハウジングとの間に隙間が設けられている。この隙間内に、磁気シールド部材の挿入部が挿入されるので、機器の側壁にコネクタハウジングが直接に設けられている場合に比べて、機器のうち磁気シールド部材によって覆われる領域が広くなる。この結果、機器の磁界効率を向上させることができる。
【0009】
また、上記の構成によれば、機器のうち磁気シールド部材に覆われない部分は、磁気シールド部材のうち脚部との干渉を回避するための回避凹部が設けられた領域となっている。この結果、機器の側壁にコネクタハウジングが直接に設けられている場合に比べて、磁気シールド部材に覆われない部分を小さくすることができるので、機器の磁界効率を向上させることができる。
【0010】
本明細書に開示された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
【0011】
前記機器は、前記軸線方向について前側に位置する前壁と、後側に位置する後壁と、を有し、前記磁気シールド部材は、前記機器の前記前壁に沿う前方シールド部と、前記機器の側壁に沿う側方シールド部と、を有し、前記側方シールド部の端部は、前記後壁に沿って折れ曲がって前記側方シールド部に連なる第1屈曲部とされ、前記挿入部の端部は、前記後壁に沿って折れ曲がった第2屈曲部とされる。
【0012】
上記の構成によれば、第1屈曲部と第2屈曲部とによって機器の後壁の少なくとも一部が覆われる。これにより、磁気シールド部材の前方シールド部、側方シールド部、第1屈曲部、及び第2屈曲部が電磁的に接続されるので、機器の磁界効率を一層向上させることができる。
【0013】
前記コネクタハウジングには複数の端子が配されており、前記複数の端子は前記脚部の内部に配された状態で前記機器と接続されている。
【0014】
上記の構成によれば、複数の端子が電気的に絶縁された状態で、機器と、機器コネクタとを、電気的に接続することができる。
【0015】
前記コネクタハウジングには、複数の端子と、相手方コネクタが係止するためのロック部とが、前記機器の前記側壁の外周面に沿って並んで配されている。
【0016】
上記の構成によれば、機器コネクタと相手方コネクタとの係止部は複数の端子とともに機器の側壁の外周面に沿って並んで配されているから、端子の上方にロック部を設ける場合よりも低背化できる。
【0017】
前記ロック部は絶縁性の合成樹脂で形成されて、前記複数の端子の間に配されている。
【0018】
上記の構成によれば、絶縁性のロック部が端子の間に配されるので、端子間の間隙を有効利用しつつ、より確実に短絡を防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本明細書に開示された技術によれば、コネクタ付き機器の磁界効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態1に係るソレノイドを示す斜視図
図2】磁気シールド部材を取り外した状態のバルブボディ及び機器コネクタを示す正面図
図3】磁気シールド部材を取り外した状態のバルブボディ及び機器コネクタを示す背面図
図4】相手方コネクタを示す斜視図
図5】相手方コネクタが機器コネクタに嵌合した状態のソレノイドを示す正面図
図6】ソレノイドを示す背面図
図7】ソレノイドを示す分解斜視図
図8】ソレノイドを示す分解平面図
図9】実施形態2に係るソレノイドを示す正面図
図10】ソレノイドを示す分解平面図
図11】ソレノイドを示す背面図
図12】実施形態3に係るソレノイドを示す斜視図
図13】ソレノイドを示す分解斜視図
図14】ソレノイドを示す背面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術を、車両(図示せず)に搭載されたオートマチックトランスミッション(図示せず)の内部に配されたソレノイド10(コネクタ付き機器の一例)に適用した実施形態1を図1から図8を参照しつつ説明する。以下の説明では、Z方向を上方とし、Y方向を前方とし、X方向を左方として説明する。
【0022】
バルブボディ11
バルブボディ11(機器の一例)は、前後方向(軸線方向の一例)に延びる円筒形状をなしている。バルブボディ11の前端部には前壁12が設けられており、バルブボディ11の後端部には後壁13が設けられている。バルブボディ11の側壁14と前壁12とは直交しており、また、バルブボディ11の側壁14と後壁13とは直交している。
【0023】
バルブボディ11の内部には図示しないコイルが収容されている。バルブボディ11の後壁13には後方に突出する弁部15が設けられている。弁部15は、バルブボディ11よりも小径な円筒形状をなしている。
【0024】
機器コネクタ16
バルブボディ11の側壁14には、後端部寄りの位置から上方に突出して機器コネクタ16が設けられている。機器コネクタ16は、バルブボディ11の周方向に間隔を空けて、バルブボディ11の側壁14から、バルブボディ11の径方向について外方に突出する複数(本実施形態では2個)の脚部17を有する。脚部17のうち、バルブボディ11と反対側の端部には、脚部17と一体にコネクタハウジング18が形成されている。脚部17とコネクタハウジング18とは、絶縁性の合成樹脂を射出成型してなる。バルブボディ11の側壁14と、コネクタハウジング18との間には、脚部17によって、隙間19が形成されている。
【0025】
コネクタハウジング18は前方に開口する開口部20を有する。開口部20の内部には、複数(本実施形態では2個)の端子21が配されている。端子21のうち、開口部20内に配された部分は、前方に延びるタブ状に形成されている。端子21は導電性の金属製であって、棒状をなしている。端子21を構成する金属は、銅、銅合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択することができる。端子21の表面には、スズ、ニッケル等の金属からなるメッキ層が形成されていてもよい。
【0026】
端子21の後端部は、コネクタハウジング18の後壁33内に埋設されている。詳細には図示しないが、端子21の後端部はバルブボディ11の径方向の内方に直角曲げされた状態で脚部17の内部に埋設されて、バルブボディ11内のコイルと電気的に接続されている。
【0027】
コネクタハウジング18の開口部20内には、相手方コネクタ23が前方から嵌合されるようになっている。相手方コネクタ23は、図示しない電線の端末に接続されている。相手方コネクタ23の内部には図示しない雌端子が収容されている。雌端子と電線とは圧着等の公知の手法により電気的に接続されている。
【0028】
コネクタハウジング18の左端部には、左方に突出するロック部24が形成されている。このロック部24と、相手方コネクタ23のうちロック部24と対応する位置に形成されたロック受け部25とが、弾性的に係止することにより、コネクタハウジング18の開口部20内に嵌合した相手方コネクタ23が、抜け止め状態で保持されるようになっている。コネクタハウジング18内に相手方コネクタ23が嵌合した状態で、機器コネクタ16のタブ状をなす端子21と、相手方コネクタ23の雌端子とが、電気的に接続されるようになっている。
【0029】
図2に示すように、機器コネクタ16においては、ロック部24と、2個の端子21の前端部とが、バルブボディ11の周方向に沿って、バルブボディ11の側壁14の外周面に沿って間隔を空けて並んで配されている。
【0030】
磁気シールド部材26
バルブボディ11の外側には、金属製の磁気シールド部材26が、前方から取り付けられている。磁気シールド部材26を構成する金属としては、銅、銅合金、鉄、鉄合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択することができる。
【0031】
磁気シールド部材26は、前後方向に延びると共に、前側が塞がれて後側が開口した円筒形状をなしている。磁気シールド部材26の内径寸法は、バルブボディ11の外径寸法と略同じに設定されている。磁気シールド部材26の開口端34には、前方について凹状をなす複数(本実施形態では2個)の回避凹部27が設けられている。回避凹部27は、磁気シールド部材26がバルブボディ11に外嵌された状態で、機器コネクタ16の脚部17に対応する位置に設けられている。回避凹部27の左右方向の幅寸法は、脚部17の左右方向の幅寸法と、同じか、又はやや大きく設定されている。これにより、磁気シールド部材26がバルブボディ11の外嵌された状態で、機器コネクタ16の脚部17と、磁気シールド部材26とが干渉しないようになっている。
【0032】
磁気シールド部材26の後端部には、2個の回避凹部27の間に、バルブボディ11の側壁14とコネクタハウジング18との間に形成された隙間19内に挿入される挿入部28が、後方に突出して形成されている。挿入部28の後端縁は、前後方向について、後述する磁気シールド部材26の側方シールド部32の後端縁と、略同じ位置に設定されている。
【0033】
磁気シールド部材26の側方シールド部32のうち開口端34寄りの領域は、バルブボディ11の径方向について内方に折れ曲がって、バルブボディ11の後壁13に沿う第1屈曲部29とされる。磁気シールド部材26の挿入部28の後端部は、バルブボディ11の径方向について内方に折れ曲がって、バルブボディ11の後壁13に沿う第2屈曲部30とされる。第1屈曲部29の下端縁と、第2屈曲部30の下端縁とは、弁部15と干渉しない位置に設定されている。
【0034】
磁気シールド部材26は、バルブボディ11の外嵌された状態で、バルブボディ11の前壁12の前方に位置する前方シールド部31と、バルブボディ11の側壁14をバルブボディ11の径方向の外側から覆う側方シールド部32と、を有する。第1屈曲部29は、バルブボディ11の後壁13に沿って折れ曲がって側方シールド部32に連なっている。
【0035】
バルブボディ11の前壁12の全部は、前方シールド部31によって覆われている。バルブボディ11の側壁14は、磁気シールド部材26の回避凹部27に対応する領域を除いて、側方シールド部32によって覆われている。磁気シールド部材26の回避凹部27が設けられた領域においては、バルブボディ11の側壁14が外部に露出している。バルブボディ11の後壁13の一部は、磁気シールド部材26の第1屈曲部29と、第2屈曲部30とによって覆われている。
【0036】
上記の構成により、バルブボディ11の前方は前方シールド部31によって磁気的にシールドされており、バルブボディ11の側方は回避凹部27に対応する領域を除いて側方シールド部32によって磁気的にシールドされており、バルブボディ11の後方は第1屈曲部29及び第2屈曲部30に対応する領域が磁気的にシールドされている。
【0037】
実施形態の製造工程
続いて、本実施形態に係るソレノイド10の製造工程の一例について説明する。なお、ソレノイド10の製造工程は以下の記載に限定されない。
【0038】
コイルに端子21を接続した後、絶縁性の合成樹脂でインサート成型することにより、バルブボディ11に機器コネクタ16を一体に形成する。金属板材を所定の形状にプレス加工することにより、磁気シールド部材26を形成する。
【0039】
磁気シールド部材26を、バルブボディ11の前方から外嵌させる。このとき、磁気シールド部材26の回避凹部27の内部に脚部17が配されるようにする。また、磁気シールド部材26の挿入部28を、バルブボディ11の側壁14とコネクタハウジング18との隙間19に挿入する。
【0040】
次に、磁気シールド部材26の後端縁をバルブボディ11の径方向について内方に折り曲げることにより第1屈曲部29を形成する。磁気シールド部材26の挿入部28の後端縁をバルブボディ11の径方向について内方に折り曲げることにより、第2屈曲部30を形成する。これにより、ソレノイド10が完成する。
【0041】
その後、相手方コネクタ23をコネクタハウジング18の開口部20内に嵌合させることにより、ソレノイド10と、相手方コネクタ23とが電気的に接続される。
【0042】
実施形態の作用効果
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態に係るソレノイド10は、前後方向に沿って延びる円筒形状をなすバルブボディ11と、バルブボディ11の側壁14から外方に突出する脚部17と、脚部17のうちバルブボディ11と反対側に、バルブボディ11の側壁14との間に隙間19を有して設けられたコネクタハウジング18と、を有する機器コネクタ16と、バルブボディ11の外側に取り付けられると共に、一方の端部が開口した筒状をなす金属製の磁気シールド部材26と、を備えたソレノイド10であって、磁気シールド部材26は、一方の端部の開口端34から凹状に形成されて脚部17との干渉を回避する回避凹部27と、バルブボディ11の側壁14とコネクタハウジング18との間の隙間19に挿入された挿入部28と、を有する。
【0043】
上記の構成によれば、バルブボディ11の側壁14から突出する脚部17によって、バルブボディ11とコネクタハウジング18との間に隙間19が設けられている。この隙間19内に、磁気シールド部材26の挿入部28が挿入されるので、バルブボディ11の側壁14にコネクタハウジング18が直接に設けられている場合に比べて、バルブボディ11のうち磁気シールド部材26によって覆われる領域が広くなる。この結果、ソレノイド10の磁界効率を向上させることができる。
【0044】
また、上記の構成によれば、バルブボディ11のうち磁気シールド部材26に覆われない部分は、磁気シールド部材26のうち脚部17との干渉を回避するための回避凹部27が設けられた領域となっている。この結果、バルブボディ11の側壁14にコネクタハウジング18が直接に設けられている場合に比べて、磁気シールド部材26に覆われない部分を小さくすることができるので、ソレノイド10の磁界効率を向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、バルブボディ11は、前後方向について前側に位置する前壁12と、後側に位置する後壁13と、を有し、磁気シールド部材26は、バルブボディ11の前壁12に沿う前方シールド部31と、バルブボディ11の側壁14に沿う側方シールド部32と、を有し、第1屈曲部29は、後壁13に沿って折れ曲がって側方シールド部32に連なっており、挿入部28の端部は、後壁13に沿って折れ曲がった第2屈曲部30とされる。
【0046】
上記の構成によれば、第1屈曲部29と第2屈曲部30とによってバルブボディ11の後壁13の少なくとも一部が覆われる。これにより、磁気シールド部材26の前方シールド部31、側方シールド部32、第1屈曲部29、及び第2屈曲部30が電磁的に接続されるので、ソレノイド10の磁界効率を一層向上させることができる。
【0047】
コネクタハウジング18には複数の端子21が配されており、複数の端子21は脚部17の内部に配された状態でバルブボディ11と接続されている。
【0048】
上記の構成によれば、複数の端子21が電気的に絶縁された状態で、バルブボディ11と、機器コネクタ16とを、電気的に接続することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、コネクタハウジング18には、複数の端子21と、相手方コネクタ23が係止するためのロック部24とが、バルブボディ11の側壁14の外周面に沿って並んで配されている。
【0050】
上記の構成によれば、機器コネクタ16と相手方コネクタ23との係止部は複数の端子21とともにバルブボディ11の側壁14の外周面に沿って並んで配されているから、端子21の上方にロック部24を設ける場合よりも低背化できる。
【0051】
<実施形態2>
次に、本明細書に開示された技術の実施形態2を、図9から図11を参照しつつ説明する。本実施形態に係るソレノイド43に設けられた機器コネクタ40においては、コネクタハウジング41の上部には、左右方向の中央位置付近に、図示しない相手方コネクタのロック受け部と係合するロック部42が設けられている。これにより、ロック部42は、2つの端子21の間に配されるようになっている。
【0052】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0053】
本実施形態においては、ロック部42は絶縁性の合成樹脂で形成されて、複数の端子21の間に配されている。
【0054】
上記の構成によれば、絶縁性のロック部42が端子21の間に配されるので、端子21間の間隙を有効利用しつつ、より確実に短絡を防止できる。
【0055】
<実施形態3>
続いて、本明細書に開示された技術の実施形態3を、図12から図14を参照しつつ説明する。本実施形態に係る機器コネクタ50は、1個の脚部51を有する。脚部51はバルブボディ11の側壁14から上方に突出している。脚部51のうちバルブボディ11と反対側の端部には、コネクタハウジング52が脚部51と一体に設けられている。脚部51は、左右方向についてコネクタハウジング52の中央位置付近に設けられている。
【0056】
コネクタハウジング52には、2個の端子21が配されている。詳細には図示しないが、2個の端子21は、コネクタハウジング52の後壁53に埋設された状態で、脚部51へと屈曲している。脚部51の内部には、2個の端子21が埋設されている。脚部51の内部において、2個の端子21の間には、コネクタハウジング52、及び脚部51を構成する絶縁性の合成樹脂が介在している。これにより、脚部51内の端子21は電気的に絶縁されている。
【0057】
磁気シールド部材54の後端部には、1個の回避凹部55が前方に凹んで形成されている。磁気シールド部材54がバルブボディ11に外嵌された状態で、回避凹部55の内部に脚部51が位置するようになっている。これにより、脚部51と、磁気シールド部材54とが干渉することが抑制されるようになっている。
【0058】
磁気シールド部材54のうち、回避凹部55の左右両側の部分は、コネクタハウジング52と、ソレノイド10の側壁14との間に形成された隙間56に挿入される挿入部57とされる。本実施形態の磁気シールド部材54には、2個の挿入部57が形成されている。
【0059】
バルブボディ11の側壁14は、磁気シールド部材54の回避凹部55に対応する領域を除いて、磁気シールド部材54によって覆われている。また、バルブボディ11の後壁13は、第1屈曲部58、及び第2屈曲部59によって覆われている。
【0060】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0061】
上記の構成によれば、機器コネクタ50は1個の脚部51によってバルブボディ11と連結されている。これにより、磁気シールド部材54に設ける回避凹部55も1個でよい。これにより、バルブボディ11の側壁14のうち、回避凹部55によって露出する部分を小さくすることができるので、ソレノイド60の磁界効率を向上させることができる。
【0062】
<他の実施形態>
本明細書に開示された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に開示された技術の技術的範囲に含まれる。
【0063】
(1)実施形態1及び2においては、機器コネクタ16、40は2個の脚部17を有し、実施形態3においては、機器コネクタ50は1個の脚部51を有する構成としたが、これに限られず、機器コネクタは、3個以上の脚部を有する構成としてもよい。
【0064】
(2)実施形態1、2及び3においては、機器コネクタ16、40,50は2個の端子21を有する構成としたが、これに限られず、機器コネクタは1個の端子を有する構成としてもよく、また、3個以上の端子を有する構成としてもよい。
【0065】
(3)実施形態1、2及び3においては、ロック部24、42は、バルブボディ11の側壁14に沿って並んで配されている構成としたが、これに限られず、ロック部は端子の上に形成されていてもよい。
【0066】
(4)実施形態1、2及び3においては、機器コネクタ16,40,50にはタブ状をなす端子21が配され、相手方コネクタ23には雌端子が配される構成としたが、これに限られず、機器コネクタに雌端子が配されて、相手方コネクタにタブ状をなす端子が配される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10,43,60:ソレノイド
11:バルブボディ
12:前壁
13:後壁
14:側壁
16,40,50:機器コネクタ
17、51:脚部
18,41,52:コネクタハウジング
21:端子
23:相手方コネクタ
24、42:ロック部
26、54:磁気シールド部材
27、55:回避凹部
28、57:挿入部
29、58:第1屈曲部
30、59:第2屈曲部
31:前方シールド部
32:側方シールド部
34:開口端
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