特許第6845994号(P6845994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6845994情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845994
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20210315BHJP
【FI】
   G16H40/20
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-19908(P2019-19908)
(22)【出願日】2019年2月6日
(65)【公開番号】特開2020-126537(P2020-126537A)
(43)【公開日】2020年8月20日
【審査請求日】2019年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】506369036
【氏名又は名称】アイエムエス ソフトウェア サービシズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100134474
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 恭弘
(74)【代理人】
【識別番号】100161399
【弁理士】
【氏名又は名称】大戸 隆広
(72)【発明者】
【氏名】石井 昭人
(72)【発明者】
【氏名】ナイク ラフル
【審査官】 谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0278459(US,A1)
【文献】 特開2001−319041(JP,A)
【文献】 特開2018−063536(JP,A)
【文献】 特開2002−297884(JP,A)
【文献】 特開2015−087832(JP,A)
【文献】 特開2011−227521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00−80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬局の対象店舗に対するベンチマークデータを生成する情報処理装置であって、
複数の店舗のそれぞれに関する所定の属性と、前記対象店舗に関する前記所定の属性とを比較する比較手段と、
前記複数の店舗のうち、前記所定の属性の少なくとも一部が一致する1つ以上の比較店舗を選択する選択手段と、
前記選択された1つ以上の比較店舗のデータに対して統計処理を行うことによって、前記ベンチマークデータを生成する生成手段と、を備え、
前記所定の属性は、店舗の立地に基づく分類と、店舗による処方箋の処理件数に基づく分類と、店舗が扱う薬剤の分類とを含み、
前記立地に基づく分類は、処方箋の総処理件数のうち1つの病院からの処方箋の処理件数が閾値比率以上である薬局であるという分類を含む
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記選択手段は、
前記立地に基づく分類を用いて店舗を絞り込んだ後に、前記処方箋の処理件数に基づく分類を用いて店舗を絞り込み、
前記処方箋の処理件数に基づく分類を用いて店舗を絞り込んだ後に、前記薬剤の分類を用いて店舗を絞り込む
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記薬剤の分類を用いて店舗を絞り込んだ後の店舗の数が閾値以下の場合に、当該絞り込みの前の店舗を前記1つ以上の比較店舗として選択することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記データは、調剤報酬を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
薬局の対象店舗に対するベンチマークデータを生成するためにコンピュータによって実行される情報処理方法であって、
複数の店舗のそれぞれに関する所定の属性と、前記対象店舗に関する前記所定の属性とを比較する比較工程と、
前記複数の店舗のうち、前記所定の属性の少なくとも一部が一致する1つ以上の比較店舗を選択する選択工程と、
前記選択された1つ以上の比較店舗のデータに対して統計処理を行うことによって、前記ベンチマークデータを生成する生成工程と、を備え、
前記所定の属性は、店舗の立地に基づく分類と、店舗による処方箋の処理件数に基づく分類と、店舗が扱う薬剤の分類とを含み、
前記立地に基づく分類は、処方箋の総処理件数のうち1つの病院からの処方箋の処理件数が閾値比率以上である薬局であるという分類を含む
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、患者名を含むレセプトデータを匿名化するための技術が記載されている。このように匿名化されたレセプトデータは、薬局に関する様々な統計データを算出するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−83847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レセプトデータの利用法として、ある薬局店舗の収益が競合店舗に対して適正かどうかを判断するためのベンチマークデータを生成することが考えられる。このようなベンチマークデータを生成するためには、競合店舗をどのように選択するかが重要となる。本発明の一部の側面は、薬局店舗に対するベンチマークデータを精度よく生成するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑みて、薬局の対象店舗に対するベンチマークデータを生成する情報処理装置であって、複数の店舗のそれぞれに関する所定の属性と、前記対象店舗に関する前記所定の属性とを比較する比較手段と、前記複数の店舗のうち、前記所定の属性の少なくとも一部が一致する1つ以上の比較店舗を選択する選択手段と、前記選択された1つ以上の比較店舗のデータに対して統計処理を行うことによって、前記ベンチマークデータを生成する生成手段と、を備え、前記所定の属性は、店舗の立地に基づく分類と、店舗による処方箋の処理件数に基づく分類と、店舗が扱う薬剤の分類とを含み、前記立地に基づく分類は、処方箋の総処理件数のうち1つの病院からの処方箋の処理件数が閾値比率以上である薬局であるという分類を含むことを特徴とする情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
上記手段により、薬局店舗に対するベンチマークデータを精度よく生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一部の実施形態に係る情報処理装置の構成例を説明するブロック図。
図2図1の情報処理装置が用いる店舗情報の例を説明する図。
図3図1の情報処理装置の動作例を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うちの二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
図1のブロック図を参照して、本発明の一部の実施形態に係る情報処理装置100の構成について説明する。情報処理装置100は、薬局の対象店舗に対するベンチマークデータを生成するための動作を行う。処理の詳細については後述する。情報処理装置100は、例えばパーソナルコンピュータやワークステーション、スマートフォン、タブレットデバイスなどの情報処理装置で実現される。情報処理装置100は、単体の装置で実現されてもよいし、ネットワークを介して相互に接続された複数の装置で実現されてもよい。情報処理装置100は、図1に示す各構成要素を有する。
【0010】
プロセッサ101は、情報処理装置100全体の動作を制御する。プロセッサ101は、例えばCPUとして機能する。メモリ102は、情報処理装置100の動作に用いられるプログラムや一時データなどを記憶する。メモリ102は、例えばROMやRAMなどにより実現される。入力部103は、情報処理装置100のユーザが情報処理装置100への入力を行うために用いられ、例えばマウスやキーボードなどの入力装置で実現される。出力部104は、情報処理装置100からユーザへ情報を出力するために用いられ、例えば表示装置(ディスプレイ)や音響装置(スピーカー)で実現される。通信部105は、情報処理装置100が他の装置と通信する機能を提供し、例えばネットワークカードなどで実現される。他の装置との通信は有線であってもよいし、無線であってもよい。
【0011】
記憶部106は、情報処理装置100の動作に用いられるデータ、例えば薬局の店舗情報107を記憶する。店舗情報107の詳細については後述する。記憶部106は、ディスクドライブ(例えば、HDDやSDD)などの記憶装置で実現される。本実施形態で、店舗情報107は情報処理装置100に記憶される。これに代えて、この内容の一部又は全部が情報処理装置100とは異なる装置(外部記憶装置)に記憶されてもよい。この場合に、情報処理装置100は、通信部105を用いて、他の装置から店舗情報107を受信する。店舗情報107は、ファイル形式で記憶されてもよいし、データベースや他の形式で記憶されてもよい。
【0012】
図2を参照して、店舗情報107の一例について説明する。店舗情報107は、薬局の複数の店舗に関する情報である。カラム201は、薬局の店舗を一意に識別するための店舗識別子(店舗ID)を示す。
【0013】
カラム202は、各店舗の立地種類を示す。立地種類とは、店舗がどのような立地にあるかを示す情報である。一例として、立地種類は、「病院門前」、「クリニック門前」、「メディカルモール」、「ドラッグストア」及び「その他」の5種類に分類される。「病院門前」とは、1つの病院の近くにある薬局を示す。例えば、処方箋の総処理件数のうち1つの病院からの処方箋の処理件数が閾値比率以上である薬局は「病院門前」に分類される。「クリニック門前」とは、1つのクリニックの近くにある薬局を示す。例えば、処方箋の総処理件数のうち1つのクリニックからの処方箋の処理件数が閾値比率以上である薬局は「クリニック門前」に分類される。「メディカルモール」とは、複数のクリニックが同居する建物内にある薬局を示す。例えば、処方箋の総処理件数のうち同一の建物内の1つ以上のクリニックからの処方箋の処理件数が閾値比率以上である薬局は「メディカルモール」に分類される。「ドラッグストア」とは、ドラッグストアに併設された薬局を示す。例えば、ドラッグストアに併設されており、上述の病院門前、クリニック門前及びメディカルモールの何れにも該当しない薬局は「ドラッグストア」に分類される。「その他」とは、上述の病院門前、クリニック門前、メディカルモール及びドラッグストアの何れにも該当しない薬局を示す。
【0014】
カラム203は、各店舗の処方箋の処理件数を示す。この処理件数は、所定の期間内(例えば1か月内)の処理件数であってもよい。また、処理件数は、複数の個数の期間(例えば、6か月分や12か月分)の平均値であってもよい。処理件数は、店舗が患者から受け取った枚数(応受枚数)であってもよい。
【0015】
カラム204は、各店舗が扱う薬剤の分類を示す。この分類は、例えばATC(Anatomical Therapeutic Chemical Classification)分類の第2レベル(ATC2)に従ってもよい。例えば、ATC2の分類ごとに薬剤の売上金額を算出し、売上金額が一番大きな分類を店舗の薬効分類としてもよい。
【0016】
カラム205は、各店舗の調剤報酬を示す。この調剤報酬は、所定の期間内(例えば1か月内)の調剤報酬であってもよい。調剤報酬は、複数の個数の期間(例えば、6か月分や12か月分)の平均値であってもよい。調剤報酬の単位は点数であってもよいし、金額であってもよい。さらに、調剤報酬は細かく分割されていてもよい。例えば、調剤報酬として、調剤基本料と、基本料加算と、調剤料と、調剤加算料と、薬学管理料とのうちの少なくとも1つを含み、それぞれについてベンチマークデータが生成されてもよい。
【0017】
店舗情報107の各レコードは、情報処理装置100のユーザ(例えば、情報処理装置100を用いてサービスを提供する事業者)による調査結果や、情報処理装置100へ入力されたレセプトデータなどに基づいて生成される。
【0018】
図3のフローチャートを参照して、情報処理装置100が、対象店舗に対するベンチマークデータを生成するための動作の一例について説明する。対象店舗とは、ベンチマークデータを生成する対象となる薬局の店舗のことである。図3に説明する方法の各工程は、例えばプロセッサ101がメモリ102に格納されたプログラムを実行することによって実施される。これに代えて、この方法の一部又は全部の工程が、ASIC(特定用途向け集積回路)のようなハードウェアで実現されてもよい。図3の動作の開始時点で、情報処理装置100が店舗情報107を利用可能であるとする。
【0019】
ステップS301で、プロセッサ101は、薬局の対象店舗の識別子を取得する。例えば、識別子は、情報処理装置100のユーザによって指定される。これに代えて、プロセッサ101は、特定の店舗グループの各店舗を順に対象店舗としてもよい。
【0020】
ステップS302で、プロセッサ101は、対象店舗の立地種類に基づいて候補店舗を絞り込む。このステップにおいて、候補店舗は、例えば店舗情報107に含まれる複数の店舗のうち対象店舗を除いた店舗である。プロセッサ101は、店舗情報107のカラム202を参照して、現在の候補店舗のうち、対象店舗と同じ立地種類の店舗を抽出し、新たな候補店舗とする。
【0021】
ステップS303で、プロセッサ101は、現在の候補店舗の数が閾値(例えば、10)以下であるかどうかを判定する。プロセッサ101は、閾値以下である場合(ステップS303でYES)に処理をステップS309に遷移し、それ以外の場合(ステップS303でNO)に処理をステップS304に遷移する。
【0022】
ステップS304で、プロセッサ101は、対象店舗の処方箋の処理件数に基づいて候補店舗を絞り込む。このステップにおいて、候補店舗は、ステップS302の絞り込み後の店舗である。プロセッサ101は、店舗情報107のカラム203を参照して、現在の候補店舗のうち、対象店舗と処方箋の処理件数が同程度の店舗を抽出し、新たな候補店舗とする。例えば、プロセッサ101は、対象店舗の処理件数の±10%の処理件数を有する店舗を抽出する。これに代えて、プロセッサ101は、対象店舗の処理件数に近い処理件数を有する店舗を順に所定の数(例えば、10)だけ抽出してもよい。プロセッサ101は、対象店舗の処理件数が多い(例えば、5000枚以上)場合に、所定の数だけ処理件数が近い店舗を順に選択し、処理件数が少ない(例えば、200枚以下)場合に、対象店舗の処理件数の±30%の処理件数を有する店舗を抽出し、それ以外の件数(例えば、200枚より多く、5000枚未満)の場合に、対象店舗の処理件数の±10%の処理件数を有する店舗を抽出してもよい。
【0023】
ステップS305で、プロセッサ101は、現在の候補店舗の数が閾値(例えば、10)以下であるかどうかを判定する。プロセッサ101は、閾値以下である場合(ステップS305でYES)に処理をステップS309に遷移し、それ以外の場合(ステップS305でNO)に処理をステップS306に遷移する。
【0024】
ステップS306で、プロセッサ101は、対象店舗が扱う薬剤の分類に基づいて候補店舗を絞り込む。このステップにおいて、候補店舗は、ステップS304の絞り込み後の店舗である。プロセッサ101は、店舗情報107のカラム204を参照して、現在の候補店舗のうち、対象店舗と扱う薬剤の分類が同じ店舗を抽出し、新たな候補店舗とする。
【0025】
ステップS307で、プロセッサ101は、現在の候補店舗の数が閾値(例えば、10)以下であるかどうかを判定する。プロセッサ101は、閾値以下である場合(ステップS307でYES)に処理をステップS309に遷移し、それ以外の場合(ステップS307でNO)に処理をステップS308に遷移する。
【0026】
ステップS308で、プロセッサ101は、絞り込み後の候補店舗を比較店舗として選択する。ステップS309で、プロセッサ101は、絞り込み前の候補店舗を比較店舗として選択する。例えば、ステップS306における絞り込みの結果として、候補店舗の数が閾値を下回ったとする。この場合に、プロセッサ101は、ステップS309で、薬剤の分類に基づく絞り込み前の候補店舗を比較店舗として選択する。このように、候補店舗の数が閾値以下になると絞り込み前の候補店舗を比較店舗として選択することになるので、比較店舗が閾値以下になることを回避できる。これによって、少ない候補店舗を使用することにより店舗が特定されることを抑制できる。
【0027】
ステップS310で、プロセッサ101は、比較店舗のデータ(例えば、店舗情報107のカラム205に示される調剤報酬)に基づいてベンチマークデータを生成する。例えば、プロセッサ101は、比較店舗の調剤報酬を平均することによって得られる値をベンチマークデータとする。
【0028】
ステップS311で、プロセッサ101は、生成したベンチマークデータを出力する。この出力は、出力部104である表示装置に表示することによって行われてもよいし、記憶部106に格納することによって行われてもよいし、通信部105を通じて他の装置へ送信することによって行われてもよい。
【0029】
以上のように、本発明の実施形態によれば、薬局の対象店舗に対するベンチマークデータを精度よく生成できる。上述の実施形態では、ベンチマークデータとして調剤報酬を扱った。これに代えて、ベンチマークデータは、薬局店舗の人件費や売上金額、営業時間などの他のデータであってもよい。また、絞り込みの結果として候補店舗の数が閾値以下になった場合に、条件を緩和して絞り込みをやり直してもよい。例えば、ステップ304の絞り込みの結果として候補店舗の数が閾値以下になった場合に、処理件数の範囲を広げて候補店舗を抽出してもよい。
【0030】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0031】
100 情報処理装置、107 店舗情報
図1
図2
図3