(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1(特開2013−145450号公報)には、梱包、陳列時のパッケージの向きに影響されることなく通信可能な、RFID搭載パッケージとその製造方法について開示されている。
【0003】
特許文献1記載のRFIDタグ搭載パッケージは、商品を収納するパッケージ本体に、ICチップと送受信用アンテナからなるICタグを搭載し、送受信用アンテナが3次元的な全方向から送受信可能となるよう、三角錐形状の4面体のうち少なくとも隣り合う2面にわたり送受信用アンテナを形成するものである。
【0004】
特許文献2(特開2009−205390号公報)には、導電性容器等の被着体に取り付けることができると共に、外力の作用によって生じる破損の虞を軽減することができ、被着体が繰り返し使用する通い箱等の容器である場合でも、繰り返して使用することができるRFIDタグについて開示されている。
【0005】
特許文献2記載のRFIDタグにおいては、被着体の表面に当接し、被着体の表面と平行に取り付けられる当接部2と、当接部2から略垂直に立設され、非導電性の合成樹脂材料からなる立設部3とを設け、ICチップおよびループアンテナを、ループアンテナのアンテナ軸が立設部3に対して略垂直になるように、立設部3に内蔵することにより、RFIDタグ1を被着体に取り付けた際に、ループアンテナ5のアンテナ軸が被着体の表面から所定距離離れ、且つ被着体の表面と略平行に配置されるものである。
【0006】
特許文献3(特開2008−284967号公報)には、導電性平板から出っ張らないようにし、かつ読み取り距離の長いパッシブ型のRFIDタグを内蔵した車載ナンバープレートについて開示されている。
【0007】
特許文献3記載の車載ナンバープレートにおいては、RFIDタグは、略中央部に配置されたRFIDチップと、このRFIDチップの下面に接触してRFIDチップの左右に延びる2つのアンテナパターン部とを有する。車載ナンバープレート用の導電性平板に切り込み部を形成し、この切り込み部の裏面側にRFIDタグを配置して、送信電波の周波数に応じて、切り込み部の幅を最適化するため、半永久的に利用可能なパッシブ型のRFIDタグを用いながら、十分な読み取り距離を確保できるものである。
【0008】
特許文献4(特開2001−354084号公報)には、従来よりも低コストで、故障が少く、車輌情報の改ざんされにくい電子ナンバープレートについて開示されている。
【0009】
特許文献4記載の電子ナンバープレートにおいては、現用のナンバープレートに装着さるIDタグと、IDタグ検出器、ID送信器及び送信用アンテナを含むナンバーコード検出器とにより構成される電子ナンバープレートであって、IDタグは、IDタグ検出器が送信した電波を受信、変換した電力を用いて記憶している車輌情報を電波で送信し、これをIDタグ検出器が受信して車輌情報を検出し、この検出車輌情報をID送信器が送信用アンテナを介して路側アンテナへ送信するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1は、全方向から送受信可能とするため、複数の送受信用アンテナを複数の面に形成しなくてはならず、構成が複雑になるという問題がある。
特許文献2は、被着体とループアンテナとの距離を離す必要があり、ループアンテナ自身が大きくなるという問題がある。
特許文献3は、ナンバープレートの導電性平版に切り込み部を設ける必要があり、導電性平板の表面全体に保護膜を形成する必要があり、共振周波数を一定にするのが難しいという問題がある。
特許文献4は、ナンバープレートに装着さるIDタグのほか、IDタグ検出器、ID送信器及び送信用アンテナを含むナンバーコード検出器が必要であり、ナンバーコード検出器には車体電源より給電する必要があるという問題があった。
【0012】
本発明の主な目的は、インダクタンスを一定にすることができ、無指向性で通信距離が長く、導電板に容易に取り付けることができるRFタグおよびRFタグが取り付けられたRFタグ付ナンバープレートを提供することである。
本発明の他の目的は、インダクタンスを一定にすることができ、無指向性で通信距離が長く、車両等の導電板に容易に取り付けることができるRFタグおよびRFタグが取り付けられたRFタグ付ナンバープレートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)
一局面に従うRFタグは、導電板に取り付けられるRFタグであって、ICチップおよびインダクタパターンを含むインレットと、第一導波素子、第二導波素子および底板を有するアンテナ部と、が分離して形成され、第一導波素子と第二導波素子とは、空間部をおいて平行に配置され、底板は、第一導波素子と第二導波素子との方向に対して直交または傾斜するように配置され、アンテナ部にインレットが貼着されることにより、コンデンサが形成され、インダクタパターンとコンデンサとにより共振回路が構成され、読取装置と通信を行うものである。
【0014】
この場合、インレットとアンテナ部とを貼着することにより、貼着部材を介してコンデンサが形成され、インダクタパターンとともに共振回路を形成する。その結果、RFタグとして読取装置と、送受信を行うことができる。
また、インレットにインダクタパターンを形成しているので、インダクタンスのインピーダンスを一定にすることができる。第一導波素子と第二導波素子とは、平行に配置され空間部を有することにより、第一導波素子と第二導波素子とが電波波長に応じたアンテナ開口面となり、電波の送受信を行うことができる。
また、第一導波素子と第二導波素子との方向に対して底板が直交または傾斜するように配置されるため、第一導波素子と第二導波素子とがアンテナ開口面として他の部材の影響を受けにくく安定的に機能することができる。
【0015】
(2)
第2の発明にかかるRFタグは、一局面に従うRFタグにおいて、インレットは、環状形状のうち一部を欠いた形状からなり、当該一部を欠いた形状の両端にICチップが架け渡されるよう配設されてもよい。
【0016】
この場合、環状形状のうち一部を欠いた形状からなり、当該一部を欠いた形状の両端にICチップが架け渡されるよう配設するので、インダクタンスパターンを環状形状により決定することができる。これによりインダクタンスを一定にすることができる。
【0017】
(3)
第3の発明にかかるRFタグは、一局面または第2の発明にかかるRFタグにおいて、インレットと、アンテナ部との間に絶縁材からなる絶縁層が設けられてもよい。
【0018】
この場合、インレットとアンテナ部との間に、絶縁材からなる絶縁層を設けることにより、コンデンサ容量を決定することができる。特に、誘電率を1以上2以下とすることで、RFタグの感度を向上させることができる。
【0019】
(4)
第4の発明にかかるRFタグは、一局面から第3の発明にかかるRFタグのいずれかにおいて、絶縁材が発泡体であってもよい。
【0020】
この場合、インレットとアンテナ部との間に、発泡体からなる絶縁層を設けることにより、コンデンサ容量を決定することができる。特に、発泡体からなる絶縁層の厚みを0.01mm以上0.05mm以下とし、貼着面積を8mm
2以上30mm
2以下とし、誘電率を1以上2以下とすることで、RFタグの感度を向上させることができる。
【0021】
(5)
第5の発明にかかるRFタグは、一局面から第4の発明にかかるRFタグのいずれかにおいて、アンテナ部のアンテナ長さは、60mm以上100mm以下であってもよい。
【0022】
これにより、電波波長に応じたアンテナ開口面となるため、読取装置との通信を効率よく行うことができる。
【0023】
なお、本発明におけるアンテナ部の「アンテナ長さ」とは、
図2に示すように、アンテナ部の長辺の長さから、アンテナ部に貼着されたインレットの長さを、差し引いた部分の長さXをいう。
【0024】
(6)
第6の発明にかかるRFタグは、一局面から第5の発明にかかるRFタグのいずれかにおいて、コンデンサの静電容量は、1PF以上10PF以下の範囲内であってもよい。
【0025】
この場合、安定して読取装置と接続を行うことができる。例えば、インレットと、アンテナ部とを張り付けた場合の接触容量は、ポリエチレンテレフタレート(PET厚み60μm)の場合、1cm平方で20PFの結合容量が得られる。そのため、900MHzで使用する場合、インレットが直列接続されるためのコンデンサの静電容量は、使用周波数がUHFの場合2PF以上あった方が安定して接続することができる。
なお、望ましくは、1PF以上10PF以下の範囲内であることが望ましく、1.5PF以上3PF以下の範囲内であることがより望ましい。
【0026】
(7)
第7の発明にかかるRFタグは、一局面から第6の発明にかかるRFタグのいずれかにおいて、さらにインレットおよびアンテナ部を収容する誘電体の収容部材を含み、底板は、導電体であり第二導波素子と電気的に接続されており、インレットおよびアンテナ部は、収容部材に収容され、底板と導電板とが容量結合してもよい。
【0027】
この場合、導電板と底板とが収容部材からなる誘電体を介して容量結合をするため、導電板がアンテナとして作用する。したがって、無指向性で通信距離が長いRFタグにすることができる。また、収容部材を導電板に貼り付けるだけで容量結合をすることができるため、複雑な構成を必要とせず導電板に容易に取り付けることができる。また、収容部材によりRFタグを外部環境から保護することができる。
【0028】
(8)
第8の発明にかかるRFタグは、第7の発明にかかるRFタグであって、収容部材は断面形状が略三角形状の収容部を有する筒体であってもよい。
【0029】
この場合、インレットと収容部材の間に空間ができ、また第一導波素子が収容部材と接する面積を小さくすることで、第一導波素子と第二導波素子が形成するアンテナ開口面に対して収容部材の静電容量等の影響を最小限にすることができる。
さらに、三角形状にすることで、ブラスト処理の場合の影響を受け難いため、RFタグが破損し、およびRFタグが導電板から乖離することを防止できる。
また、収容部材は、ポリプロピレン、ABS、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル等の1種または複数種の樹脂からなることが好ましい。
【0030】
(9)
第9の発明にかかるRFタグは、一局面から第8の発明にかかるRFタグのいずれかにおいて、アンテナ部は、導電板と電気的に接続されてもよい。
【0031】
この場合、導電板がアンテナとして作用するため、無指向性で通信距離が長いRFタグにすることができる。また、設置に伴う静電容量のばらつきを抑えることができる。
【0032】
(10)
第10の発明にかかるRFタグは、一局面から第9の発明にかかるRFタグのいずれかにおいて、底板は、第二絶縁素子から対向する方向に複数の底片を交互に突出させて形成されていてもよい。
【0033】
この場合、一枚の金属板の一部にスリットを入れて矩形状に前後に折り曲げることで底板を容易に作製することができる。
【0034】
(11)
第11の発明にかかるRFタグは、一局面から第10の発明にかかるRFタグのいずれかにおいて、第一導波素子と第二導波素子は実質的に同一平面上に配置されていてもよい。
【0035】
第一導波素子と第二導波素子は実質的に同一平面上に配置され空間部を有することから、電波波長に応じたアンテナ開口面を効率的に形成することができる。さらに第一導波素子と第二導波素子との方向に対して底板が直交または傾斜するように配置されるため、第一導波素子と第二導波素子が形成するアンテナ開口面に対して他の部材の静電容量等の影響を受けにくく、より安定的に機能することができる。
【0036】
(12)
第12の発明にかかるRFタグは、一局面から第11の発明にかかるRFタグのいずれかにおいて、導電板は、車両の導電板であってもよい。
【0037】
これにより、車両の識別情報を含むRFタグを設置することで、比較的離れた場所から複数の識別情報を同時に読み取り、車両の管理をすることができる。
【0038】
(13)
第13の発明にかかるRFタグは、一局面から第12の発明にかかるRFタグのいずれかにおいて、導電板はナンバープレートであってもよい。
【0039】
これにより、車両等の正面または後方から、読取装置を用いてRFタグと効率的に通信を行うことができる。また、車両等の識別情報を含むRFタグを該車両等に容易に設置し管理することができる。
【0040】
(14)
第13の発明にかかるRFタグ付ナンバープレートは、一局面から第13の発明にかかるRFタグが取り付けられている。
【0041】
導電板であるナンバープレートがアンテナとして作用するため、無指向性で通信距離が長いRFタグにすることができる。また、ナンバープレートにはRFタグが設置されているため、読取装置によって車両等の識別情報を読み取ることができる。これにより、車両等の管理を確実にすることができる。
【0042】
(15)
第15の発明にかかるRFタグ付ナンバープレートは、第14の発明にかかるRFタグ付ナンバープレートにおいて、RFタグが、ナンバープレートの裏面に取り付けられてもよい。
【0043】
導電板であるナンバープレートがアンテナとして作用するため、無指向性で通信距離が長いRFタグにすることができる。したがって、RFタグはナンバープレートの裏面に取り付けることができるため、ナンバープレートの可読性を阻害することがない。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付す。また、同符号の場合には、それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さないものとする。
【0046】
[本実施の形態]
図1は、本実施の形態にかかるRFタグ100の一例を示す模式図である。
図2は、本実施の形態にかかるRFタグ100の平面の一例を示す模式図である。
図3は、RFタグ100のアタッチメント部200の一例を示す模式的拡大平面図であり、
図4は、RFタグ100のアンテナ部300の一例を示す模式的平面図である。
図5は、
図2のRFタグ100のA−A線断面の一例を示す模式的断面図である。
【0047】
(RFタグ100)
図1および
図2に示すように、RFタグ100は、主にアタッチメント部200およびアンテナ部300からなる。
また、アタッチメント部200は、アンテナ部300と別部材で形成される。アタッチメント部200を、絶縁層400によりアンテナ部300へ貼着することによって、RFタグ100が形成される。
【0048】
なお、本発明におけるアンテナ部300の「アンテナ長さ」とは、
図2に示すように、アンテナ部300の長辺の長さから、アンテナ部300に貼着されたアタッチメント部200の長さを、差し引いた部分の長さXをいう。つまり、アタッチメント200が貼着されていないアンテナ部300の長さをいう。
【0049】
(アンテナ部300)
アンテナ部300は、導電性を有する部材からなる。
図4に示すように、アンテナ部300は、第1領域310、第2領域320および第3領域330からなる。さらに、第3領域330に底板350が連続して連結され、底板350は底板350aと底板350bからなる。第1領域310および第3領域330は、それぞれ長手方向を有する矩形状の長尺部材からなり、ほぼ同形状である。第1領域310および第3領域330は並行に配置される。第2領域320は、第1領域310および第3領域330の端部を連通するように形成される。
【0050】
本実施の形態においては、第1領域310の幅はT1からなり、第2領域320の幅はT2からなる。
【0051】
また、本実施の形態において、アンテナ部300を構成する第1領域310、第2領域320、第3領域330および底板350は金属板からなる。金属板の金属としては、鉄、銅、アルミニウム、銀、ニッケル、それらの合金等を用いてもよい。導電性、加工性およびコストの観点から、金属板の金属はアルミニウムが好ましい。
本実施の形態における金属板は、強度の観点から0.3mm以上1mm以下の厚みで形成される。
【0052】
底板350は、第1領域310と第3領域330との面の方向に対して直交または傾斜するように配置することが好ましい。これにより、第1領域310と第3領域330とが形成するアンテナ開口面に対して他の部材の静電容量等の影響を受けにくく安定に機能することができる。
また、底板350は、一枚の金属板の一部にスリットを入れて矩形状に前後に折り曲げることで第3領域330に連続して底板350aと底板350bからなる底板350を作製する。これにより、アンテナ部300を容易に作製することができる。
【0053】
また、第1領域310と第3領域330は実質的に同一平面上に配置することが好ましい。これにより、電波波長に応じたアンテナ開口面を効率的に形成することができる。
【0054】
アンテナ部300は、例えば、次のように一枚の金属板を折り曲げおよび切り欠き加工して作製することができる。
図4に示すように、一枚の金属板に細長いスリットを切り欠き、形成されたスリットの両側に、細長い第1領域310と第3領域330とをそれぞれ形成する。第1領域310と第3領域330はほぼ平行に配置され、両者の間に空間部が形成される。さらに金属板の端部には第1領域310と第3領域330を繋ぐ第2領域320が形成されるようにする。
第3領域330の側から延長された金属板の延長部に複数の切り欠き線を並行に形成し、一対の切り欠き線の間に形成された底片を第3領域330の対向する側へ交互に折り曲げる。各底片は第3領域330の面に対して直交または傾斜する状態となり、複数の底片により底板350が形成される。複数の底片は平面視でジグザグ状(あるいは千鳥状)になり、隣接する底片間に細長い空間が形成される。
【0055】
(アタッチメント部200)
図3に示すように、アタッチメント部200は、ICチップ500およびインダクタパターンLを形成する回路210を含む。
回路210は、環形状の回路部211の一部を切欠いた切り欠き部を有する形状からなる。すなわち、具体的には、アルファベット文字のC形状からなる。
回路部211は、辺211a、辺211b、辺211c、辺211dおよび辺211eから形成される。
なお、回路210は、回路部211の一部を切欠く場合について説明したが、これに限定されず、絶縁部を形成してもよい。
【0056】
本実施の形態において、回路210は、アルミニウムの金属薄膜からなる。一般的に本実施の形態における薄膜は3μm以上35μm以下の厚みから形成される。
回路210は、エッチングまたはパターン印刷等の手法によって形成される。
【0057】
また、アタッチメント部200の回路210の切り欠き部を架け渡すように、ICチップ500が設けられる。
本実施の形態においては、アタッチメント部200においては、回路部211の内部面積Sにより、インダクタパターンLのインピーダンスを一定にすることができる。
【0058】
ICチップ500は、RFタグ100のアンテナ部300が受信した読取装置の電波に基づいて動作する。
具体的に本実施の形態にかかるICチップ500は、まず、読取装置から送信される搬送波の一部を整流して、ICチップ500自身が動作するために必要な電源電圧を生成する。そして、ICチップ500は、生成した電源電圧によって、ICチップ500内の制御用の論理回路、車両等の固有情報等が格納された不揮発性メモリを動作させる。
【0059】
また、ICチップ500は、読取装置との間でデータの送受信を行うための通信回路等を動作させる。
【0060】
上述したように、アンテナ部300に対して絶縁層400を介してアタッチメント部200が貼着される。アンテナ部300とアタッチメント部200とで絶縁層400が挟持されることにより、コンデンサ(静電容量、キャパシタンス)が形成される。
【0061】
(絶縁層400)
図1に示す本実施の形態における絶縁層400は、両面テープからなる。絶縁層400は、アタッチメント部200に設けられる。
なお、本実施の形態においては、絶縁層400が両面テープからなることとしているが、これに限定されず、他の接着剤の塗布等であってもよい。また、両面テープは、アタッチメント部200の回路部211の全面でなく、一部であってもよい。
本実施の形態において、両面テープを例示したのは、後述するように、RFタグ100のアタッチメント部200は、アンテナ部300に貼着されるため、両面テープの剥離紙を、はがすことにより容易に貼着が可能だからである。
【0062】
また、本実施の形態においては、アンテナ部300の第1領域310の幅T1は、アタッチメント部200の回路部211の幅T211の1倍以上4倍以下で形成されることが望ましい。
また、アンテナ部300の第2領域320の幅T2は、アタッチメント部200の回路部211の幅T212の1倍以上4倍以下で形成されることが望ましい。
また、アタッチメント部200の回路部211の幅T213は、アタッチメント部200の回路部211の幅T212の1倍以上4倍以下で形成されることが望ましい。
【0063】
なお、本実施の形態においては、絶縁層400を両面テープにより形成しているが、これに限定されず、発泡スチロール、ポリエチレン、ポリイミド、薄物発泡体(ボラ―ラ)等、絶縁性を有する他の発泡体または素材等の絶縁層を設けてもよい。
【0064】
(等価回路)
また、
図6は、
図2のRFタグ100の等価回路の一例を示す図である。
図6に示すように、RFタグ100の等価回路は、インダクタパターンLと、コンデンサCと、ICチップ500とからなる。インダクタパターンL、コンデンサCおよびICチップ500は、読取装置から送信される電波の周波数帯域で共振する共振回路を構成する。
この共振回路の共振周波数f[Hz]は、式(1)により与えられる。共振周波数fの値は、読取装置から送信される電波の周波数帯域に含まれるように設定される。
【0066】
式(1)において、L
a:インダクタパターンLのインダクタンス、C
a:コンデンサCの静電容量、C
b:ICチップ500内部の等価容量を意味する。
【0067】
ここで、ICチップ500には、内部にコンデンサを含むものがあり、また、ICチップ500は浮遊容量を有する。そのため、共振回路の共振周波数fを設定する場合、ICチップ500内部の等価容量C
bを考慮することが好ましい。
すなわち、共振回路は、インダクタパターンLのインダクタンス、コンデンサ240の静電容量、およびICチップ500の内部の等価容量C
bを考慮して設定された共振周波数fを有することが好ましい。なお、C
bとしては、例えば、使用するICチップ500の仕様諸元の一つとして公表されている静電容量値を用いることができる。
【0068】
上記のように、ICチップ500内部の等価容量C
bを考慮することで、共振回路の共振周波数fを、電波の周波数帯域に精度良く設定することができる。その結果、RFタグ100の通信性能をさらに向上させることができる。また、ICチップ500が生成する電源電圧をさらに高くすることができる。
【0069】
(RFタグ100の他の例)
図7は、アタッチメント部200およびアンテナ部300を貼着する他の例を示すRFタグ100aである。
【0070】
図7に示すように、
図2で示したRFタグ100の貼着状態に対して180度回転させた状態で貼着させてもよい。すなわち、
図2に示したのと同形状のアンテナ部300に、同じく同形状のアタッチメント部200を、
図2で示したアタッチメント200の貼着状態に対して180度回転させた状態で貼着させてもよい。
【0071】
この実施形態ではアンテナに直接ICチップを搭載するという煩雑さをなくし、容易にアンテナ部を製造できるという利点がある。
(アンテナ部300の他の例)
図8は、アンテナ部300の他の例を示す模式図である。
【0072】
図8に示すように、アンテナ部300bは、
図4で示した第1領域310の代わりに第1領域310bを有する。また、第2領域320および第3領域330によりアルファベットのLの文字形状が形成され、第1領域310bの端部と、第3領域330との間が第4領域340により接続されている。
【0073】
(アンテナ部300の他の例)
図9は、アンテナ部300の他の例を示す模式図である。
図9に示すアンテナ部300cは、L型アンテナの一例である。
【0074】
図9に示すように、アンテナ部300cは、
図4で示したアンテナ部300の第2領域320の代わりに第4領域340を有する。
アンテナ部300cは、第1領域310の中間部および第3領域330の中間部の間を第4領域340で接続することにより略H字形に形成されている。
【0075】
(アンテナ部300の他の例)
図10は、アンテナ部300の他の例を示す模式図であり、
図11は
図10のアンテナ部300eにアタッチメント部200を貼着したRFタグ100を示す図である。
図10に示すアンテナ部300eはダイポール型アンテナの一例である。
【0076】
図10に示すように、アンテナ部300eは、
図4で示したアンテナ部300の第1領域310を2分割し、2分割した第1領域310の端部を領域371、372により第3領域330に連結することにより形成されている。
図11に示すように、領域371、372、および第3領域330の一部にアタッチメント部200が貼着される。
【0077】
(アンテナ部300の他の例)
図12は、アンテナ部300の他の例を示す模式図であり、
図13は
図12のアンテナ部300fにアタッチメント部200を貼着したRFタグ100を示す図である。
図12に示すアンテナ部300fは分岐給電伝送線路型アンテナ(SHUNT FED ANTENNA)の一例である。
【0078】
図12に示すように、アンテナ部300fは、
図4で示したアンテナ部300の第1領域310、第2領域320、および第3領域330からループ形状のアンテナが形成され、第3領域330から第5領域350が連続している。
図13に示すように、第1領域310の一部、第3領域の一部、第2領域320にアタッチメント部200が貼着される。
【0079】
(収容部材)
図14に示すように、本発明のRFタグ100は、アタッチメント部200およびアンテナ部300が、収容部材600に収容される。収容部材600は合成樹脂の成形品などで形成することができる。この収容部材600は剛性を有する誘電体である。
図14に示すように、収容部材600は断面形状が略三角形状の収容部を有する筒体である。その収容部のサイズはRFタグ100が収容できる程度に形成されている。収容部材の外形は断面形状が略三角形状とされている。
この収容部材600の外側に三つの外面を有することになり、その内の一つの面が導電板900に固定される底側面となる。
【0080】
収容部材600は、主にポリプロピレン、ABS、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル等の1種または複数種の絶縁性のある樹脂または素材を用いてもよい。また、収容部材600は1種または複数種で構成され、または絶縁被膜処理、防水処理、防塵処理等を行ってもよい。
収容部材600により、RFタグ100は保護されるとともに、導電板900を容易に取り付けることができる。
RFタグ100は、収容部材600により物理的に保護されるため、外力、風雨、寒暖、紫外線などの影響を低減することができる。また、収容部材の外形が略三角形状であるため、製造の工程上、RFタグ100を設置した後にブラスト処理などの加工がされる場合であっても、RFタグ100が破損し、およびRFタグ100が導電板900から乖離することを防止できる。
【0081】
RFタグ100の底板350は、収容部材600の面の一つと接合し、収容部材の三つの外面のうち底板350がある側の面が導電板900と接合している。これにより、導電板900と底板350とが収容部材600を介して容量結合をする。
一方で、第1領域310は収容部材600の三つの角面のうち頂角で保持することで接触面積を最低限におさえ、アンテナ開口面に対して他の部材の比誘電率の影響を受けにくく安定に機能することができる。第1領域310と収容部材600との接合面積を小さくすることで、収容部材600を介して第1領域310と第3領域330とが静電結合するのを避けることができる。これにより、第1領域310と第2領域320とが形成するアンテナ開口面に対して他の部材の静電容量等の影響を受けにくく安定に機能することができる。
【0082】
収容部材600と底板350は、接着剤又は両面テープによりにより接合されてよい。接着剤としては粘着性接着剤、瞬間接着剤、導電性接着剤が挙げられ、容量結合の観点から粘着性接着剤がより好ましい。
導電板900と底板350とが収容部材を介して容量結合をするため、導電板900がアンテナとして作用する。したがって、無指向性で通信距離に優れたRFタグにすることができる。
【0083】
(RFタグ100の使用例)
図14は、RFタグ100の使用の一例を示す模式図である。
図15は、
図14のRFタグ100の等価回路の一例を示す図である。
【0084】
図14に示すように、アタッチメント部200およびアンテナ部300を収容した収容部材600は、車両等の導電板900に設置される。
設置にあたっては、RFタグ100のうち底板350がある側の面を導電板900に設置する。これにより、
図15に示すように、導電板900と底板350とが収容部材を介して容量結合をするため、導電板900がアンテナとして作用する。したがって、無指向性で通信距離が長いRFタグ100にすることができる。
【0085】
RFタグ100を収容した収容部材600は、導電板900に接着接合により設置される。
接着接合に用いられる接着剤としては粘着性接着剤、ホットメルトが挙げられ、耐久性および容量結合の観点から粘着性接着剤がより好ましい。
また、底板350の面積は80mm
2以上160mm
2以下であってよく、80mm
2以上120mm
2以下とすることが好ましい。また、導電板900に設置される収容部材600の設置面積は、320mm
2以上480mm
2以下であってよく、320mm
2以上400mm
2以下とすることが好ましい。また、底板350の面積と、収容部材600が導電板900に接着接合する面積との比率は、1:4(底板350の面積/収容部材600が導電板900に接着接合する面積)であることが好ましい。
また、容量結合によって生じる静電容量C
cは、1.5PF以上5PF以下とすることが好ましい。導電板900と底板350とが収容部材600を介して容量結合をするため、導電板900がアンテナとして作用する。したがって、無指向性で通信距離が長いRFタグ100にすることができる。
【0086】
この場合、共振回路の共振周波数f[Hz]は、式(2)により与えられる。共振周波数fの値は、読取装置から送信される電波の周波数帯域に含まれるように設定される。
【0088】
また、導電板900は車両のナンバープレートであってもよい。これにより、車両の正面または後方から、読取装置を用いてRFタグ100と効率的に通信を行うことができる。また、車両の識別情報を含むRFタグ100を当該車両に容易に設置し管理することができる。
【0089】
ナンバープレートへの設置は、ナンバープレートの表面裏面どちらであってもかまわないが、ナンバープレートの可読性を阻害しない観点からは、裏面にRFタグ100を設置することが好ましい。
RFタグ100をナンバープレートへ設置する際は、ナンバープレートの金属を研磨等により露出させ、接着剤を用いて直接接着接合することが好ましい。これにより、RFタグ100の設置に伴う静電容量のばらつきを抑えることができる。
【0090】
(RFタグ100の他の使用例)
本実施の形態においては、RFタグ100は収容部材600を介して導電板900と容量結合をしているが、他の実施形態においては、アンテナ部300と導電板900とを電気的に接続されていてもよい。
この場合、
図16に示すように、収容部材600を介した容量結合がないため、アンテナ部300とともに導電板900がアンテナとして作用し、無指向性で通信距離がより長いRFタグ100にすることができる。また、設置に伴う静電容量のばらつきをなくすことができる。
【0091】
(RFタグ100の他の使用例)
本実施の形態においては、RFタグ100を車両のナンバープレート部分に設置した場合の例示をしたが、これに限らず、導電板900は金属製の導電する板であれば特に制限はされない。
例えば、建設資材、コンテナ、ドラム缶、鋼板、電気電子機材、車両、船舶および航空機などが挙げられる。これらの本体が導電板を有する場合、RFタグ100を直接設置してもよいし、本体にナンバープレートなどの導電板を別途設置してもよい。
例えば、RFタグ100を車両に用いる場合、車両の屋根部分、ボンネット部分にRFタグ100を設置してもよい。また、車両は自動車に限られず、工事、農耕作業車等の特殊車両、二輪車、鉄道などに設置してもよく、さらに車両と一体的に使用される取り外し可能な器具(例えば、油圧ショベルのバケット部分)にRFタグ100を設置してもよい。
なお、RFタグ100を車両に用いる場合であって、導電板900を用いない場合、RFタグ100を車両の窓部分に設置してもよい。
【0092】
なお、アンテナ部300は、互いに平行な第1領域310および第3領域330と、第1領域310および第3領域330の端部同士を連続させる第2領域320とから形成したが、第1領域310および第3領域330は非平行であってもよい。
【0093】
以上のように、本実施の形態にかかるRFタグ100においては、アタッチメント部200と、アンテナ部300とを貼着することにより、絶縁層400がコンデンサとなり、共振回路を形成する。その結果、RFタグ100として読取装置と送受信を行うことができる。
また、アタッチメント部200にインダクタパターンLを形成しているので、インダクタンスのインピーダンスを一定にすることができる。
【0094】
また、回路部211のうち一部を欠いた形状からなり、当該一部を欠いた形状の両端にICチップ500が架け渡されるよう配設するので、インダクタンスパターンを回路部211により決定することができる。
【0095】
さらに、RFタグ100は誘電体の収容部材600に収容され、アンテナ300と導電板900とが容量結合または電気的に結合している。これにより、無指向性で送受信距離がより長いRFタグ100にすることができる。また、複雑な構成を必要とせずRFタグ100を導電板900に容易に取り付けることができるとともに、収容部材600によりRFタグ100を保護することができる。
【0096】
本発明においては、RFタグ100が、「RFタグ」に相当し、第1領域310が「第一導波素子」に相当し、第3領域330が「第ニ導波素子」に相当し、底板350が「底板」に相当し、ICチップ500が「ICチップ」に相当し、インダクタパターンLが「インダクタパターン」に相当し、アタッチメント部200が、「インレット」に相当し、アンテナ部300が「アンテナ部」に相当し、回路部211が、「環状形状のうち一部を欠いた形状」に相当し、絶縁層400が「絶縁層」に相当し、導電板900が「導電板」に相当する。
【0097】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。