(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1から4のいずれか一項に記載の発光装置を備え、前記黒体放射軌跡からの偏差duvが−0.01以上であって+0.01以下である色度座標の光を発することを特徴とする、照明装置。
請求項1から4のいずれか一項に記載の発光装置を備え、JIS Z8110に示される色度区分における、青緑領域もしくは緑領域内の色度点と、ピンク領域もしくは黄赤領域内の色度点と、白色領域内の色度点による発光が可能なことを特徴とする、照明装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の発光装置について図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1に示すように、本発明の実施の形態1に係る発光装置100は、複数の青色LED素子が基板10に直接実装されたChipOnBoard(COB)構造のLEDモジュールであって、基板10上に電極端子11、12が配置され、第1の発光部1、第2の発光部2を備える。
【0021】
図2に示すように、第1の発光部1、第2の発光部2は、青色LED素子4が透光性の封止材料に覆われて形成される。封止材料には、所望の発光色を発するように、蛍光体5、6などの波長変換材が含まれる。
【0022】
第1の発光部1、第2の発光部2はそれぞれ複数存在しても良いし、
図3に示すように複数の第1の発光部1を第2の発光部2が取り囲むように配置されても良い。好ましくは、第1の発光部1と第2の発光部2は、上面視にて中心対象に配置されていることで、より均一な発光パターンが得られる。
【0023】
以下、発光装置100の各構成部材について詳細に説明する。
【0024】
(基板)
基板10は、セラミック、メタルなどが母材として用いられ、実装面に電極端子11、12や配線等が印刷などにより形成される。
【0025】
(電極端子および配線)
電極端子11、12は、コネクターやはんだ付けなどによって電源と電気的に接続されて、電力を受電する。電極端子11、12の一方はプラス側の接続端子であり、他方はマイナス側の接続端子である。受電された電力は、配線等を通じて各発光部内の青色LED素子に給電される。
【0026】
発光部ごとに電極端子が設けられていても良く、第1の発光部と第2の発光部の発光バランスを通電比率によって調整することが可能となる。また、電流値によって発光のバランスが変化するように抵抗などの電子部品が実装された回路が設けられても良い。
【0027】
(青色LED素子)
通電によって430〜470nmの間にピーク波長を有する青色光を発するLED素子であって、白色LEDにおいてはInGaN系の青色LED素子が一般に用いられる。
【0028】
第1の発光部1と第2の発光部2からの光が適切な強度比となり、所望の混合光が得られるよう、それぞれの発光部に配される青色LED素子の数は調整される。なお、青色LED素子は基板上でそれぞれ電気的に直並列に接続されるが、いずれのLED素子がいずれの発光部内に配置されても良い。
【0029】
(封止材料)
封止材料は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの透光性の樹脂やガラスなどが用いられる。封止材料は波長変換材を含むことによって、LED素子からの青色光を所望のスペクトルの光に変換する。一般的には透光性樹脂に蛍光体が分散されて用いられる。
【0030】
透光性樹脂の流出を防ぐため、発光部はDAM樹脂3によって囲われており、高チクソ性の樹脂を用いることなどによって、異なる発光色を発する樹脂が隣接して形成されていても良く、混色性を高めることができる。
【0031】
(蛍光体)
蛍光体は、波長変換材の一種であり、その種類と濃度によって、青色LED素子からの光を特定のスペクトル形状の光に変換する。所望のスペクトルの光を得るために、蛍光体はいくつかの種類が組み合わされても良い。
【0032】
緑色蛍光体としては、例えばLu
3Al
5O
12:Ce
3+ で表されるLuAG蛍光体、CaSc
2O
4:Ce
3+で表されるCSO蛍光体、Y
3(Al,Ga)
5O
12:Ce
3+で表されるGYAG蛍光体、(Si,Al)
3(O,N)
4:Eu
2+で表されるβ−SiAlON蛍光体、アルカリ土類金属シリケート蛍光体などが用いられる。
【0033】
赤色蛍光体としては、例えばCaAlSiN
3:Eu
2+で表されるCASN蛍光体、(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu
2+で表されるSCASN蛍光体、K
2SiF
6:Mn
4+で表されるKSF蛍光体などが用いられる。なお、一般にSCASAN蛍光体の発光のピーク波長は640nm以下であり、CASN蛍光体の発光のピーク波長は640nm以上である。
【0034】
また、黄色蛍光体など他の蛍光体が用いられても良く、第1の発光部、第2の発光部に求められる発光スペクトル特性を満たすよう、蛍光体の種類や配合比率、濃度は適宜調整される。
【0035】
(第1の発光部)
第1の発光部1は、例えば、青色LED素子が510nm以下に発光のピーク波長を有するLuAG蛍光体の分散されたシリコーン樹脂に覆われて形成される。
【0036】
図4は、青色LED素子の発光スペクトルSbと、第1の発光部1からの第1発光スペクトルS1a、S1b、S1c、S1dをそれぞれのスペクトルの最大値(以下、ピーク強度と記す)を1として比較したグラフである。また、
図4に示した発光スペクトルに対して、使用したLuAG蛍光体のピーク波長と、それぞれの発光スペクトルの特性を表1にまとめた。最小ピーク比は、470〜530nm間のスペクトル強度の最小値のピーク強度に対する比率であり、半値幅は、スペクトル強度がピーク強度の50%となる波長の間隔であり、中心波長は、波長にスペクトル強度を重みづけして得られる値の和を各波長のスペクトル強度の和で除算して得られる。
【0038】
青色LED素子の中心波長は451nmであり、半値幅は約20nmであるのに対して、第1の発光部1からの光は、より長波長の中心波長とより広い半値幅を有し、青色LED素子からの光によるスペクトルを低減させながら、青色から緑色領域に渡るブロードなスペクトルの光を発する。
【0039】
第1発光スペクトルは、使用する蛍光体の種類だけでなく、蛍光体の濃度によっても変化し、蛍光体の濃度が最適化されることで、中心波長が530nm以下であって、470〜530nmのスペクトル強度はピーク強度の1/3以上となるスペクトルが得られる。より好ましくは、470〜530nmのスペクトル強度は、ピーク強度の1/2以上であって、第2の発光部からの光との混色光において青色光のピークがより低減された光が得られる。また、470〜500nmのスペクトル強度は、ピーク強度の60%以上であることが好ましく、第2の発光部からの光との混色光において青色光のピークがより低減された光が得られ、かつ補色関係にある短波長側の赤色光の強度をより大きくすることができる。
【0040】
なお、図示してはいないが、520nmにピーク波長を有するLuAG蛍光体が用いられた場合、480nm付近に発光スペクトルの谷間が形成されるため、470〜530nmにおいてピーク強度の1/3以上のスペクトル強度を実現することが難しく、520nmよりも短いピーク波長を有する蛍光体が使用されることが好ましい。また、例えば500nmにピーク波長を有する蛍光体と520nm以上にピーク波長を有する蛍光体が組み合わされても良いが、470〜530nmのスペクトル強度を維持したまま、さらにブロードな発光スペクトルを得ることは困難である。
【0041】
結果的に、第1の発光部からの発光色が示す色度座標は、
図5に示すように、x=0.1241,y=0.0578とx=0.4087,y=0.5896を結ぶ直線L1よりもyが大きい領域にあることが好ましく、青色LED素子からの光の補色となる575nm付近の波長成分は主とならない。
【0042】
一方で、第1の発光部からの発光スペクトルにおいて、580nmを超える波長範囲にもスペクトルのすそが広がっていることが好ましく、その発光色が示す色度座標は、
図5に示すように、x=0.1241,y=0.0578とx=0.1547,y=0.8058を結ぶ直線L2よりもxが大きい領域にあることが好ましい。
【0043】
また、青色LED素子からの光のほとんどが蛍光体により変換されると、発光効率が大きく低下するため、第1の発光部からの発光色が示す色度座標は、
図5に示すように、目標とする白色光の色度座標とx=0.0139,y=0.7502を結ぶ直線L3よりもyが小さい領域にあることが好ましい。
【0044】
青色LED素子からの光の一部は蛍光体によって470〜530nmにスペクトル成分を有する光に変換されることで、第1の発光部からの発光色が示す色度座標は、
図5に示すように、目標とする白色光の色度座標とx=0.0913,y=0.1327を結ぶ直線L4よりもyが大きい領域にあることが好ましい。
【0045】
なお、x=0.1241,y=0.0578は470nmの単色光に、x=0.1547,y=0.8058は530nmの単色光に、x=0.4087,y=0.5896は565nmの単色光に、x=0.0139,y=0.7502は510nmの単色光に、x=0.0913,y=0.1327は480nmの単色光に相当する。
図5において、第1の発光部からの光と第2の発光部からの光の混合光の目標とする白色光の色度座標は5000K付近のx=0.346,y=0.359とした。
【0046】
第1の発光部は、470nm以上のピーク波長を有するLED素子が組み合わされて形成されても良く、また合成されて得られるスペクトル形状が第1の発光部からの光としての特性を満たす複数の発光部から構成されても良い。
【0047】
SCASN蛍光体、CASN蛍光体等の赤色蛍光体は、青色LED素子の発光スペクトル領域だけでなく、550nm付近まで励起スペクトルを有するため、第1の発光部に赤色蛍光体が配合されていると、470〜550nmの領域の光が赤色蛍光体によって再吸収されてしまう。色度調整等のために、第1の発光部に赤色蛍光体が配合されても良いが、僅かな量であることが好ましい。
【0048】
(第2の発光部)
第2の発光部2は、例えば、青色LED素子が540nmに発光のピーク波長を有するLuAG蛍光体と628nmに発光のピーク波長を有するSCASN蛍光体の分散されたシリコーン樹脂に覆われて形成される。
【0049】
図6は、青色LED素子と、540nmにピーク波長を有するLuAG蛍光体と赤色蛍光体によって得られるスペクトルをそれぞれのピーク強度を1として比較したグラフである。赤色蛍光体として628nmにピーク波長を有するSCASN蛍光体を用いた第2の発光部2からの第2発光スペクトルS2a、S2b、S2cと、比較のため648nmにピーク波長を有するCASN蛍光体を用いたスペクトルSrを示す。また、
図6に示した発光スペクトルに対して、使用した赤色蛍光体の種類と、それぞれの発光スペクトルの特性を表2にまとめた。680nmピーク比、580nmピーク比はそれぞれ680nm、580nmのスペクトル強度のピーク強度に対する比率である。
【0051】
なお、450nm付近にピーク波長を有する青色LED素子からの光によるスペクトル成分と、480nm以上の波長範囲にある蛍光体によるスペクトル成分とを分けて見ると、青色LED素子からの光によるスペクトルの最大値は、蛍光体によるスペクトル成分の最大値よりも小さいことが好ましく、短波長側の青色光の低減された発光を得られる。また、蛍光体によるスペクトル成分のピーク波長が580nm以上、より好ましくは600nm以上であることで、赤色領域により多くのスペクトル成分が得られる。
【0052】
CASN蛍光体を用いて得られる発光スペクトルSrは、より長波長の赤色領域にスペクトル成分を有し、680nmのスペクトル強度はピーク強度の1/2以上となる。
【0053】
一方、SCASN蛍光体を用いることで、
図6に示すように、680nmのスペクトル強度はピーク強度の1/2以下となり、610〜625nmの短波長側の赤色領域にスペクトルのピークを有することで、赤色成分を確保しつつも、CASN蛍光体を用いる場合と比べて高い光束が得られる。
【0054】
そのため、第2の発光部2においては、SCASN蛍光体が主な赤色蛍光体であることが好ましく、第1の発光部との混合光においてもより高い光束が得られる。なお、CASN蛍光体とSCASN蛍光体が混合して用いられても良いが、光束が大きく低下しないよう、SCASN蛍光体の重量パーセント濃度はCASN蛍光体の重量パーセント濃度よりも高いことが好ましい。
【0055】
第2の発光部2は、LuAG蛍光体などの緑色蛍光体や黄色蛍光体などを含むことで、580nmのスペクトル強度は蛍光体によるスペクトル成分の最大値に対して1/2以上となることが好ましい。黄緑色から黄色の領域にかけてのスペクトル成分を有することで、第1の発光部からの光との混合光において、より連続的なスペクトルが得られ、明るさと演色性を高めることができる。色度座標で示せば、第2の発光部からの光は、
図5に示すように、x=0.6482,y=0.3514と青色LED素子の発光スペクトルが示す色度座標を結ぶ直線L5よりもyが大きい領域にあることが好ましい。
【0056】
なお、緑色蛍光体に替えて黄色蛍光体が用いられても良い。
【0057】
第2の発光部2からの発光色は、目標の白色光に対して、第1の発光部1からの発光色との補色関係となるよう設定される。そのため、第2の発光部からの発光色が示す色度座標が、青色LED素子の発光が示す色度座標と目標の白色光の色度座標を結ぶ直線に近ければ、補色光として第1の発光部から青色LED素子の光が必要となり、第1の発光部からの光と第2の発光部からの光の混合光において青色LED素子によるスペクトル成分を低減させられない。
【0058】
従って、第2の発光部からの発光色が示す色度座標は、目標の白色光の示す相関色温度よりも10%低い色温度の黒体放射軌跡上の色度座標と青色LED素子の発光が示す色度座標とを結ぶ直線L6よりもyが小さい領域にあることが好ましい。
【0059】
以上により、第2の発光部からの発光色が示す色度座標は、
図5において、直線L5と直線L6の間にあって、かつ補色の関係から直線L3よりもyが高く、直線L4よりもyが小さい領域に位置することとなる。
【0060】
第2の発光部は、赤色LED素子を含んでも良く、また、また合成されて得られるスペクトル形状が第2の発光部からの光としての特性を満たす第1の発光部以外の複数の発光部から構成されても良い。
【0061】
なお、各発光部の発光スペクトルは、それぞれ単独に発光させた際の発光スペクトルや同じ波長変換材の配合により得られる発光スペクトル、発光部内の微小領域からの発光スペクトルなどの測定により確認することができる。
【0062】
また、1つの青色LED素子が部位によって異なる蛍光体配合の樹脂に覆われて、一部の部位が第1の発光部となり、別の部位が第2の発光部となるように形成されても良く、本発明の発光装置は1つの青色LED素子により構成されることも可能である。
【0063】
(混合光の発光スペクトル)
上記のように構成された発光装置100は、電極端子11、12への給電により、配線パターンを通じて、それぞれの発光部内の青色LED素子が発光し、各発光部1、2は上記にて示された所定の発光スペクトルの光を発する。
【0064】
発光部1、2からの光の混合光として得られる発光装置100からの光は白色光であって、混合光が示すCIE(1931)XYZ表色系のxy色度図における色度座標は、黒体放射軌跡からの偏差duvが−0.02以上かつ+0.02以下となるよう、より好ましくは偏差duvが−0.01以上かつ+0.01以下となるよう、各発光部1、2からの光の出力比率は調整され、さらに好ましくは、色度座標はANSI C78.377−2015規格に準拠する。なお、偏差duvはJIS Z8725に準拠して得られる。
【0065】
発光装置100からの光を各発光部からの発光スペクトルにより説明すると、
図7に示すように、第1の発光部1からの光S1と第2の発光部2からの光S2が合成されて、混合光Swが得られる。第1の発光部1からの光S1は470〜530nmにかけてのスペクトル成分を有することにより、混合光Swの発光スペクトルは青色光のピークが低減され、480nm付近の谷間が埋められた連続的な形状となる。
【0066】
また、第1の発光部より495nm付近の光が高い出力で得られることで、その補色関係にある610nm付近の短波長側の赤色成分の光を第2の発光部において大きくすることができ、長波長側の赤色成分が少なくても、平均演色評価数Raや赤味の指標となる特殊演色評価数R9を高くすることができる。従来の白色LEDでは、SCASN蛍光体のみを赤色蛍光体として用いた場合、Raは85以下となるが、本実施の形態においては、87以上のRaが得られ、一般に高演色とされるRaと、高い発光効率の両立が可能となる。
【0067】
なお、異なる発光色を発する複数の発光部をDAM樹脂3で囲まれた単一の発光領域内に備えることで、光の混色が容易となる。
【0068】
(実施の形態2)
図8に示すように、本発明の実施の形態2に係る発光装置200は、基板20上に電極端子21、22が配置され、第1LEDデバイス7と、第2LEDデバイス8とを備える。
【0069】
第1LEDデバイス7、第2LEDデバイス8はそれぞれ一つ以上であり、所望の混色光を得るため、第1LEDデバイス7と第2LEDデバイス8の搭載数の比率は適宜設定され、電極端子11、12間で直並列に接続される。なお、第1LEDデバイス7と第2LEDデバイス8がそれぞれ異なる電極端子間に接続され、独立に駆動されることで、所望の混色光が得られても良い。
【0070】
第1LEDデバイス7、第2LEDデバイス8は共にパッケージ内に青色LED素子を備え、蛍光体などの波長変換材が分散された透光性樹脂により封止され、それぞれ実施の形態1に示した第1の発光部と第2の発光部と同様の発光スペクトルの光を発する。
【0071】
第1LEDデバイス7、第2LEDデバイス8によって得られる混色光に対して、発光色を調整するなどのため、異なる発光色を有する第3LEDデバイスが発光装置内に搭載されて、点灯されても良い。
【0072】
発光装置の前面を拡散板が覆うようにして照明装置が構成されることが好ましく、より混色された光を得ることができる。拡散板内に波長変換材を練り込むなどにより、照明器具から発せられる光の色度座標の偏差duvが−0.01以上かつ+0.01以下となるように調整されても良い。
【0073】
JIS Z8110の系統色名の一般的な色度区分によれば、第1の発光部からの光色は、青緑もしくは緑であり、第2の発光部からの光色は、ピンクもしくは黄赤であって、それらの光色は、緊張をほぐし、癒しやリラックス効果があると言われている。それぞれの光は、単色LEDの光による組み合わせで作られておらず、スペクトルの半値幅が広いため、目への刺激が少なく、優しい光となっている。
【0074】
そのため、本発明の発光装置を用いた照明装置において、第1の発光部と第2の発光部を独立に発光させ、発光バランスにより全体の光色を第1の発光部の光色から第2の発光部の光色まで変化させられるヒーリングライトとして用いられても良い。
【0075】
本発明は上述した実施形態に限定されるものでは無く、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0076】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0077】
第一蛍光体および第二蛍光体として、Lu
3Al
5O
12:Ce
3+ で表される2種類のLuAG蛍光体を準備した。第一蛍光体の発光ピーク波長は500nm、半値幅は98nmであり、第二蛍光体の発光ピーク波長は540nm、半値幅は105nmであった。
【0078】
第三蛍光体として、(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu
2+で表されるSCASN蛍光体を準備した。第三蛍光体の発光ピーク波長は628nm、半値幅は75nmであった。
【0079】
第四蛍光体として、CaAlSiN
3:Eu
2+で表されるCASN蛍光体を準備した。第四蛍光体の発光ピーク波長は648nm、半値幅は90nmであった。
【0080】
(実施例1)
449nmにピーク波長を有する青色LED素子の搭載されたLEDパッケージを用い、第一蛍光体を配合した蛍光体含有樹脂によって青色LED素子を被覆して、第1のLEDを作成し、色度座標、発光スペクトルを得た。同様に、第二蛍光体および第三蛍光体を配合した蛍光体含有樹脂により、第2のLEDを作成し、色度座標、発光スペクトルを得た。色度座標がx=0.345、y=0.360付近となるよう、第1のLEDと第2のLEDを適宜選択し、それぞれの発光スペクトルにLEDの比率に応じた重みづけをして足し合わせ、混合光の色度座標、発光スペクトル、光束を得た。
【0081】
(比較例1)
色度座標がx=0.345、y=0.360付近となるよう、実施例1と同様に、第二蛍光体と第四蛍光体を混合した蛍光体含有樹脂により、白色LEDを作成し、色度座標、発光スペクトル、光束を測定した。
【0082】
【表3】
【0083】
表3では、投入電力とLED素子当たりの電流密度がそれぞれ同じとなるように換算して、光束等の比較を行った。また、青色光傷害作用関数が0.8以上となる波長領域を含む460nm以下の波長範囲でのスペクトル積分強度を短波長青色強度とし、比較例1に対する比較を行った。
【0084】
比較例1と比べて、いずれの実施例も演色性が高くなっており、光束の低下は17%以下であるが、短波長青色強度を最大で40%以上小さくすることができた。光束が同じであっても、短波長青色強度を20%以上低減できることを示している。
【0085】
図9のグラフは、比較例1と実施例1それぞれの発光スペクトルを図示したものである。比較例1と比べて実施例1の発光スペクトルはいずれも青色LEDからの光によるスペクトル成分が低減された連続的な形状となった。特に、第1のLEDの470〜500nmのスペクトル強度が、ピーク強度の60%以上となる実施例1−1、1−2、1−3においては、青色LEDからのスペクトル成分がより低減された発光スペクトルが得られた。
【0086】
(実施例2)
449nmにピーク波長を有する青色LED素子の搭載されたLEDパッケージを用い、第一蛍光体を配合した蛍光体含有樹脂を用いて、第1のLEDを作成し、色度座標、発光スペクトルを得た。同様に、第二蛍光体および第三蛍光体を配合した蛍光体含有樹脂により、第2のLEDを作成し、色度座標、発光スペクトルを得た。色度座標がx=0.440、y=0.405付近となるよう、第1のLEDと第2のLEDを適宜選択し、それぞれの発光スペクトルにLEDの比率に応じた重みづけをして足し合わせ、混合光の色度座標、発光スペクトル、光束を得た。
【0087】
(比較例2)
色度座標がx=0.440、y=0.405付近となるよう、実施例2と同様に、第二蛍光体と第四蛍光体を混合した蛍光体含有樹脂により、白色LEDを作成し、色度座標、発光スペクトル、光束を測定した。
【0088】
【表4】
【0089】
表4では、実施例1と同様に比較を行った。
【0090】
比較例2と比べて、いずれの実施例も演色性は同等であり、光束の低下は11%以下であるが、短波長青色強度を最大で40%以上小さくすることができた。光束が同じであっても、短波長青色強度を20%以上低減できることを示している。
【0091】
図10のグラフは、比較例2と実施例2それぞれの発光スペクトルを図示したものである。比較例2と比べて実施例2の発光スペクトルはいずれも青色LEDからの光によるスペクトル成分が低減された連続的な形状となった。
【0092】
(実施例3)
青色LED素子が24素子配置されているCOBパッケージで、第一蛍光体を配合した蛍光体含有樹脂を用いて16素子を被覆して第1の発光部とし、第二蛍光体および第三蛍光体を配合した蛍光体含有樹脂を用いて8素子を被覆して第2の発光部とした。なお、第1の発光部において第一蛍光体の透光性樹脂に対する重量比は100%であり、第2の発光部において第二蛍光体の透光性樹脂に対する重量比は37.5%であり、第三蛍光体の透光性樹脂に対する重量比は12.5%であった。
【0093】
色度座標x=0.344、y=0.361、Ra 92、R9 78の色温度5000K付近の白色光が得られた。発光スペクトルは
図11に示す通りであって、従来のLEDと比較して、短波長青色強度が上記実施例と同様に大幅に低減されたが、光束低下は約10%に留まった。
【0094】
(実施例4)
青色LED素子が24素子配置されているCOBパッケージで、第一蛍光体を配合した蛍光体含有樹脂を用いて8素子を被覆して第1の発光部とし、第二蛍光体および第三蛍光体を配合した蛍光体含有樹脂を用いて16素子を被覆して第2の発光部とした。なお、第1の発光部において第一蛍光体の透光性樹脂に対する重量比は100%であり、第2の発光部において第二蛍光体の透光性樹脂に対する重量比は50%であり、第三蛍光体の透光性樹脂に対する重量比は16.7%であった。
【0095】
色度座標x=0.435、y=0.405、Ra 91、R9 51の色温度3000K付近の光が得られた。発光スペクトルは
図12に示す通りであって、従来のLEDと比較して、短波長青色強度が上記実施例と同様に大幅に低減されたが、光束低下は約7%に留まった。
【解決手段】第1の発光部と第2の発光部を備え、第1の発光部と第2の発光部は、それぞれ430nm以上470nm以下の範囲にピーク波長を有する青色LED素子を備え、第1の発光部からの第1発光スペクトルにおいて、中心波長は530nm以下であり、470nm以上530nm以下の波長範囲におけるスペクトル強度の最小値は第1発光スペクトルの最大値の1/3以上であって、第2の発光部からの第2発光スペクトルにおいて、480nm以上の波長範囲におけるピーク波長は580nm以上であり、波長680nmのスペクトル強度は480nm以上の波長範囲における最大値の1/2以下であって、第1の発光部からの光と第2の発光部からの光の混合光の偏差duvが−0.02以上であって+0.02以下である。