特許第6846074号(P6846074)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6846074
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】遠心ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/00 20060101AFI20210315BHJP
   H02K 3/46 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   F04D29/00 B
   H02K3/46
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-207514(P2020-207514)
(22)【出願日】2020年12月15日
【審査請求日】2020年12月15日
(31)【優先権主張番号】特願2020-72140(P2020-72140)
(32)【優先日】2020年4月14日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591076741
【氏名又は名称】株式会社荻原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 修司
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−138296(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第107425627(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/00
H02K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入口および吐出口が形成されたポンプケーシングと、シャフトが組付けられたバックケーシングと、軸受を介して前記シャフトに軸支されたインペラと、前記インペラに組付けられたマグネットと、ステータコアが組付けられたインシュレータと当該インシュレータの突極部に巻回された三相の巻線と当該インシュレータの取付部に組付けられた回路基板とがモールドされたモールド部とを有し、前記ポンプケーシングと前記バックケーシングとが組み合わさったポンプ部と、前記インペラと前記モールド部とからなるモータ部とが組み合わさっており、前記インシュレータは前記突極部が前記マグネットを囲むように所定ピッチで形成されているとともに前記取付部が周方向に所定間隔で形成されており、前記取付部は前記回路基板に向かって突出して形成された第1段差部の第1面に端子が配されており、前記第1段差部から前記回路基板に向かって形成された第2段差部の第2面に突出部が形成されており、前記端子にはU相端子とV相端子とW相端子と中性点端子があり、前記巻線の各相の一端側は前記U相端子と前記V相端子と前記W相端子にそれぞれ対応して接続されており、前記巻線の各相の他端側は前記中性点端子にまとめて接続されており、前記突出部は前記回路基板の穴にそれぞれ挿通されて前記回路基板の第1主面にて溶着されており、前記U相端子と前記V相端子と前記W相端子は前記回路基板の孔にそれぞれ挿通されて前記回路基板の前記第1主面にて半田付されており、前記回路基板の第2主面と前記第2段差部の前記第2面とは接しており、軸方向に視て前記回路基板は両側がカットされたことで形成された互いに平行な第1カットラインと第2カットラインとを有しており、前記U相端子、前記V相端子および前記W相端子は前記回路基板における前記第2カットラインよりも前記第1カットラインに近い位置に配されており、前記巻線は前記第2主面と前記第1段差部の前記第1面とに設けた隙間にて前記U相端子と前記V相端子と前記W相端子とにそれぞれ絡げられた状態で半田付されていること
を特徴とする遠心ポンプ。
【請求項2】
前記回路基板はコネクタとドライバICと前記マグネットの磁力を検知する磁力検知部品が配されているとともに前記ポンプ部における前記バックケーシングを貫通させる中央穴が形成されており、前記磁力検知部品は前記回路基板における前記第1カットラインよりも前記第2カットラインに近い位置に配されているとともに前記マグネットの磁力を検知する構成であること
を特徴とする請求項1記載の遠心ポンプ。
【請求項3】
前記ドライバICおよび前記磁力検知部品は前記回路基板における前記第1主面に面実装されていること
を特徴とする請求項2記載の遠心ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ステータコアが組付けられたインシュレータと回路基板とがモールドされたモールド部と、マグネットが組付けられたインペラとでモータ部を構成し、複数のケーシングが組み合わさったポンプ部と連結固定された構成の遠心ポンプは、小型であり、給湯器などの用途に適している。
【0003】
従来、三相の巻線を巻回する際の、インシュレータにおけるステータコアの位置ずれを抑制するために、補強リブや補強壁をインシュレータの外周に設けた構造が提案されている(特許文献1:特許第4462356号公報参照)。また、各極それぞれ巻線を絡げるための端子を取付けた回路基板を、インシュレータの隔壁に固定ネジ等の締結機構によって固定した構造が提案されている(特許文献2:特許第6129478号公報参照)。そして、折り曲げ部が形成された端子を略円形状の回路基板に配設して当該折り曲げ部に巻線の一端をヒュージングした構造が提案されている(特許文献3:特開2010−28909号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4462356号公報
【特許文献2】特許第6129478号公報
【特許文献3】特開2010−28909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、三相の巻線を巻回する際は、中性点を結線して絶縁スリーブにて被覆するなど手作業の工程が少なからずあった。小型サイズで、容易に組立可能な構成にできれば、生産性が向上し、製造コストを抑えることが可能になる。しかしながら、特許文献1のように補強リブや補強壁をインシュレータの外周に設ける構成は、サイズが大きくなり、また、インシュレータにおけるステータコアの位置ずれが生じ易く、生産性の低下が懸念される。また、特許文献2のように各極それぞれ巻線を端子に絡げる構成は、多くの端子や固定ネジなどが必要になるので、部品点数が増大して生産性が低下するとともに材料コストが増加するという問題がある。さらに、ヒュージングの場合は、特許文献3のように特殊な折り曲げ部が形成された端子になることから、設計の自由度が小さくて材料コストなど製造コストの増加が懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、組立が容易であり、生産性の向上と製造コストの抑制が達成できる小型の遠心ポンプを提供することを目的とする。
【0007】
一実施形態として、以下に開示するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0008】
本発明に係る遠心ポンプは、吸入口および吐出口が形成されたポンプケーシングと、シャフトが組付けられたバックケーシングと、軸受を介して前記シャフトに軸支されたインペラと、前記インペラに組付けられたマグネットと、ステータコアが組付けられたインシュレータと当該インシュレータの突極部に巻回された三相の巻線と当該インシュレータの取付部に組付けられた回路基板とがモールドされたモールド部とを有し、前記ポンプケーシングと前記バックケーシングとが組み合わさったポンプ部と、前記インペラと前記モールド部とからなるモータ部とが組み合わさっており、前記インシュレータは前記突極部が前記マグネットを囲むように所定ピッチで形成されているとともに前記取付部が周方向に所定間隔で形成されており、前記取付部は前記回路基板に向かって突出して形成された第1段差部の第1面に端子が配されており、前記第1段差部から前記回路基板に向かって形成された第2段差部の第2面に突出部が形成されており、前記端子にはU相端子とV相端子とW相端子と中性点端子があり、前記巻線の各相の一端側は前記U相端子と前記V相端子と前記W相端子にそれぞれ対応して接続されており、前記巻線の各相の他端側は前記中性点端子にまとめて接続されており、前記突出部は前記回路基板の穴にそれぞれ挿通されて前記回路基板の第1主面にて溶着されており、前記U相端子と前記V相端子と前記W相端子は前記回路基板の孔にそれぞれ挿通されて前記回路基板の前記第1主面にて半田付されており、前記回路基板の第2主面と前記第2段差部の前記第2面とは接しており、軸方向に視て前記回路基板は両側がカットされたことで形成された互いに平行な第1カットラインと第2カットラインとを有しており、前記U相端子、前記V相端子および前記W相端子は前記回路基板における前記第2カットラインよりも前記第1カットラインに近い位置に配されており、前記巻線は前記第2主面と前記第1段差部の前記第1面とに設けた隙間にて前記U相端子と前記V相端子と前記W相端子とにそれぞれ絡げられた状態で半田付されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、周方向に所定間隔で形成された取付部に回路基板を取り付けて位置決めされた状態で突出部を溶着しているので、回路基板を正確な位置に取付固定できるとともに固定ネジなどの部品点数を抑えることができる。そのうえで、回路基板の第2主面とインシュレータの取付部における第1段差部の第1面とに巻線の一端を絡げて半田付するための隙間が設けられているので、さらに容易に組立可能な構成となる。尚且つ、回路基板の第1カットラインに近い位置に配されたU相端子、V相端子およびW相端子は、前記隙間に巻線が絡げられて半田付されているので、絡げて半田付した状態が視認し易くなって外観検査が容易にできる。よって、小型サイズを維持しつつ生産性の向上と製造コストの抑制が達成できる。
【0010】
前記取付部は、第1取付部、第2取付部、第3取付部、第4取付部の順に前記所定間隔で形成されており、前記端子には、前記巻線が絡げられていないダミー端子があり、前記V相端子と前記W相端子と前記U相端子が前記第1取付部に配されており、前記中性点端子が前記第2取付部に配されており、前記ダミー端子が前記第3取付部と前記第4取付部にそれぞれ配されていることが好ましい。この構成によれば、4つの取付部によって回路基板をより正確な位置にバランス良く取付固定できる。尚且つ、巻線を絡げて半田付する端子の配置の最適化が図られるので、容易に組立可能な構成となる。軸方向に視て前記回路基板は両側がカットされたことで形成された互いに平行な第1カットラインと第2カットラインとを有しており、回路基板の取個数を多くすることでコストダウンが図れるとともに、ドライバICからの放熱性を高めることができる。
【0011】
一例として、前記回路基板はコネクタとドライバICと前記マグネットの磁力を検知する磁力検知部品が配されているとともに前記ポンプ部における前記バックケーシングを貫通させる中央穴が形成されており、前記磁力検知部品は前記回路基板における前記第1カットラインよりも前記第2カットラインに近い位置に配されているとともに前記マグネットの磁力を検知する構成である。これにより、従来品よりもさらに小型サイズのポンプにできる。一例として、前記ドライバICおよび前記磁力検知部品は前記回路基板における前記第1主面に面実装されている。これにより、より一層小型サイズのポンプにできる。そして、従来品のような部品の両面実装を片面実装にすることで実装時間の短縮および材料コストの削減ができる。前記磁力検知部品は、一例としてホール素子またはホールセンサであり、一例としてチップタイプまたはリードタイプである。一例として、前記回路基板に貫通穴を形成してチップタイプの磁力検知部品またはリードタイプの磁力検知部品を配する構成にしてもよい。一例として、前記リードタイプの磁力検知部品を前記回路基板の貫通穴を通して前記マグネットにより近づける構成にすることでロータ回転位置の検出力の向上を図ることができる。一例として、前記第1主面に窪みなど段差を形成してチップタイプの磁力検知部品を配する構成にしてもよい。
【0012】
本発明に係る遠心ポンプの組立方法は、一例として、周方向に所定間隔で形成された取付部から突出した突出部をガイドにして回路基板を取り付けて位置決めし、位置決めされた状態で突出部を溶着する。これにより、回路基板を正確な位置に取付固定できるとともに固定ネジなどの部品点数を抑えることができる。そのうえで、回路基板の第2主面とインシュレータの取付部における第1段差部の第1面とに巻線の一端を絡げて半田付するための隙間を設ける。これにより、巻線の一端を絡げて半田付することが容易にできる。尚且つ、回路基板の第1カットラインに近い位置にU相端子、V相端子およびW相端子を配設したうえで、前記隙間に巻線を絡げて半田付したので、絡げて半田付した状態が視認し易くなって外観検査が容易にできる。よって、小型サイズを維持しつつ生産性の向上と製造コストの抑制が達成できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、巻線を端子に絡げるのに十分な作業スペースが得られて作業性が向上し、回路基板の取付けおよび位置決めが容易にできて、尚且つ、端子に絡げた巻線の半田付の作業性が著しく向上し、半田付後の外観検査における該当箇所の視認性の向上が期待できる。よって、半田付ロボットなど自動機によって容易に組立可能な構成となり、生産性を向上させつつ製造コストを抑制した小型の遠心ポンプが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は本発明の実施形態に係る遠心ポンプを示す概略の斜視図である。
図2図2図1の概略の側面図である。
図3図3図1の概略の底面図である。
図4図4図1の概略の構造展開図である。
図5図5Aは本実施形態に係るインシュレータを示す概略の斜視図であり、図5B図5Aの向きを変更した概略の斜視図である。
図6図6Aは本実施形態に係るインシュレータに巻線を巻回した状態を示す概略の平面図であり、図6B図6Aにおける巻線の配線の例を示す模式図であり、図6C図6Aにおける巻線の配線の他の例を示す模式図である。
図7図7は本実施形態に係る遠心ポンプの第1例を側面側から視た概略の断面図である。
図8図8Aは本実施形態の第1例に係るインシュレータにおける取付部に配された端子に巻線を絡げた状態を示す概略の側面図であり、図8B図8Aに続いてインシュレータにおける取付部に回路基板を組付けた状態を示す概略の側面図であり、図8C図8Bに続いて組付けた回路基板に端子を半田付けした状態を示す概略の側面図であり、図8D図8Cの向きを変更した概略の底面図である。
図9図9は本実施形態に係る遠心ポンプの第2例を側面側から視た概略の断面図である。
図10図10Aは本実施形態の第2例に係るインシュレータにおける取付部に配された端子に巻線を絡げた状態を示す概略の側面図であり、図10B図10Aに続いてインシュレータにおける取付部に回路基板を組付けた状態を示す概略の側面図であり、図10C図10Bに続いて組付けた回路基板に端子を半田付けした状態を示す概略の側面図であり、図10D図10Cの向きを変更した概略の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。本実施形態の遠心ポンプ1は、一例として、直流電源にて作動する給湯器用のポンプである。図1図4に示すように、遠心ポンプ1は、ポンプ部4とモータ部7とが組み合わさった構成である。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0016】
ここで、遠心ポンプ1の各部の位置関係を説明し易くするため、図中にX,Y,Zの矢印で向きを示している。遠心ポンプ1は、通常、軸線P1が水平方向となるように配置して使用される。軸線P1は、シャフト13の軸方向の中心線を通っている。本明細書では、シャフト13の軸方向を、単に軸方向と表記する場合がある。なお、上記以外の配置で使用される場合がある。
【0017】
図1図4に示すように、ポンプ部4は、パッキン14と仕切板17を介して樹脂製のポンプケーシング2と樹脂製のバックケーシング3とが組み合わさった構成である。ポンプケーシング2は、軸方向に吸込口(注湯口)2bが形成され、軸方向と直交方向に吸入口2aと吐出口2cが形成されている。ポンプ室4aは、ポンプケーシング2とバックケーシング3との組み合わせによって形成されており、ポンプ室4aにインペラ5が収容されている。本実施形態は、インシュレータ9と回路基板8とがモールドされたモールド部6と、インペラ5における軸受15側に組付けたリング状のマグネット5aとでモータ部7を構成し、ポンプケーシング2とバックケーシング3とを組み合わせたポンプ部4に収容されたインペラ5を軸受15に軸支された状態で回転させる構成である。
【0018】
モータ部7は、シャフト13と、軸受15を介してシャフト13に軸支されたインペラ5に組付けられているリング状のマグネット5aと、マグネット5aを囲むように配されたステータコア9bと、ステータコア9bが組付けられたインシュレータ9と、インシュレータ9と回路基板8とがモールドされたモールド部6とから構成される。回路基板8には、外部接続用のコネクタ8dと、ドライバIC8cと複数の磁力検知部品8f1(または磁力検知部品8f2)を含む電子部品が配されている。マグネット5aは、一例として、ボンド磁石が適用される。ボンド磁石は、フェライト、ニッケル合金、コバルト合金、その他既知の永久磁石を含んだ成形品である。ステータコア9bは、一例として、電磁鋼板の積層体である。インシュレータ9は、一例として、耐熱性樹脂成形体の基板受部9aと、ステータコア9bと、耐熱性樹脂成形体のコア受部9cとが嵌合された構成である。基板受部9aとコア受部9cは、一例として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、その他既知の耐熱性樹脂からなり、金型によって製造される。または、インシュレータ9は、一例として、ステータコア9bが同様の耐熱性樹脂にインサート成形された構成である。
【0019】
図5A図5Bに示すように、インシュレータ9は、外周面と内周面にステータコア9bが一部露出しており、マグネット5aを囲むように突極部9eが所定ピッチで形成されている。突極部9eには、三相の巻線12が巻回されており、Y結線(スター結線)されている。巻線12はエナメル線などの絶縁被膜銅線からなる。ここでは、所定ピッチで12個の突極部9eが形成されているが、所定ピッチで6個の突極部9eが形成されている構成にする場合もある。また、インシュレータ9は、回路基板8に向かう方向に突出した壁部9dが周方向に連続して形成されており、壁部9dが周方向に形成されていることで絶縁耐力の向上ができる。壁部9dの高さは耐電圧によって設定され、一例として、壁部9dの高さは1〜5[mm]の範囲内に設定される。そして、インシュレータ9は、回路基板8に向かう方向に第1段差部9gよりもさらに突出した取付部9fが周方向に所定間隔で形成されている。取付部9fは、回路基板8に近づく方向に向かって突出して形成された第1段差部9gの第1面9g1に端子11が配されており、第1段差部9gから回路基板8に近づく方向に向かって形成された第2段差部9hにおける第2面9h1に突出部9iが形成されている。突出部9iは、根元側が円柱状であり、先端側が円錐状になって先細りしている。これにより、回路基板8に形成された所定の穴にそれぞれ挿通し易くなり、回路基板8をガイドして位置決めすることが容易にできる。突出部9iの先端側は回路基板8が取付けられた後、熱溶着されて回路基板8が位置決めされた状態でインシュレータ9に連結固定される。
【0020】
端子11は、HCPワイヤなどを切断した角ピン若しくは丸ピンであり、一例として、錫銅合金溶融めっき銅覆鋼線からなる。端子11は、インシュレータ9に圧入されている。若しくは、端子11は、インシュレータ9にインサート成形されている。この例は、端子11は、U相端子11u、V相端子11v、W相端子11w、中性点端子11n、2本のダミー端子11zの6つの端子からなる。ダミー端子11zは、1本の場合があり、3本以上の場合があり、ゼロの場合がある。図6A図6Bおよび図6Cに示すように、三相の巻線12の各相の一端側は、U相端子11uとV相端子11vとW相端子11wとにそれぞれ一対一で対応して接続されており、三相の巻線12の各相の他端側は中性点端子11nにまとめて接続されている。巻線12の各相の一端側は、U相端子11u、V相端子11v、W相端子11w、中性点端子11nに各々絡げられた状態で半田付されている。半田付は、ロボット、半田ごて、熱風、フロー、リフロー、その他既知の半田付方法による。
【0021】
ポンプ部4は、外周に沿って複数の凸部が形成されており、凸部には、固定部材18(固定ネジ)が貫通する貫通穴が形成されている。モールド部6は、外周に沿って複数の凸部が形成されており、凸部には、固定部材18(固定ネジ)が嵌合される雌ネジが形成されている。そして、ポンプ部4とモータ部7とは固定ネジなどの固定部材18によって連結固定されている。モールド部6は、三相の巻線12が巻付けられたインシュレータ9に、回路基板8が組付けられた状態で樹脂モールドされた構成である。モールド樹脂は、一例として、不飽和ポリエステル樹脂(BMC、SMC)である。
【0022】
インペラ5は、軸受15が付設されており、軸受15にシャフト13が挿通されており、スラストワッシャ16が配されている。そして、軸受15を介してシャフト13に軸支されたインペラ5が回転する構成である。軸受15は、一例として、スラスト軸受である。
【0023】
ポンプケーシング2、バックケーシング3、インペラ5は各々、一例として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、その他既知の耐熱性樹脂からなり、一例として、金型によって製造される。
【0024】
回路基板8は、MOSFETなど能動素子を有するドライバIC8cを含む能動部品、リードタイプのホール素子やホールセンサなどの磁力検知部品8f1またはチップタイプのホール素子やホールセンサなどの磁力検知部品8f2、コンデンサや抵抗などの受動部品、及び、外部接続用のコネクタ8dが各々実装されている構成である。
【0025】
続いて、本実施形態に係る遠心ポンプ1の第1例について、以下に説明する。
【0026】
[第1例]
図7は遠心ポンプ1の第1例を側面側から視た概略の断面図であり、一例として、回路基板8は、両側がカットされた円板形状である。図8Aは本実施形態の第1例に係るインシュレータ9における取付部に配された端子11に巻線を絡げた状態を示す概略の側面図であり、図8B図8Aに続いてインシュレータ9における取付部に回路基板8を組付けた状態を示す概略の側面図であり、図8C図8Bに続いて組付けた回路基板8に端子11を半田付けした状態を示す概略の側面図であり、図8D図8Cの向きを変更した概略の底面図である。
【0027】
図7に示すように、ドライバIC8cは、遠心ポンプ1におけるポンプケーシングの反対側により近い位置に配されて、外部への放熱特性の向上を図っている。また、リードタイプの磁力検知部品8f1は、回路基板8における第1カットライン8e1よりも第2カットライン8e2に近い位置に配されてマグネット5aの磁力を検知する構成であり、リング状のマグネット5aの外周側端部に対向する位置に配されて、ロータ回転位置の検出力の向上を図っている。図8Dに示す例では、回路基板8は、軸方向に視て、両側がカットされた円板形状であり、両側がカットされたことで形成された互いに平行な第1カットライン8e1と第2カットライン8e2とを有している。U相端子11u、V相端子11v、及びW相端子11wは、軸方向に視て、回路基板8の第2カットライン8e2よりも第1カットライン8e1に近い位置に配されている。ドライバIC8cは、回路基板8の第1主面8aに実装されている。磁力検知部品8f1は、回路基板8の第2主面8bに実装されている。回路基板8は、親基板からの取個数を増やすことで材料コストを抑えている。
【0028】
インシュレータ9と回路基板8の組立方法は、先ず、図8Aに示すように、第2段差部9hにおける第2面9h1から突出した突出部9iの先端よりも端子11の先端が低い位置になるように第1段差部9gの第1面9g1に端子11を配する。つまり、インシュレータ9における壁部9dから端子11の先端までの高さH2がインシュレータ9における壁部9dから突出部9iの先端までの高さH1よりも小さい寸法に設定される。端子11の先端が突出部9iの先端よりも低い位置になっているので、巻線12の端部を端子11に絡げ易い。一例として、端子11をインシュレータ9に圧入し、その後、端子11における第1面9g1から第2面9g2までの区間に巻線12の端部を1.5周以上3周以内で絡げて半田付する。
【0029】
図8Aに続いて図8Bに示すように、突出部9iをガイドにして回路基板8をインシュレータ9に組付ける。ここでは、突出部9iの先細りした先端側を回路基板8に形成された穴にそれぞれ挿通して、回路基板8を位置決めしつつインシュレータ9に取付ける。図8Bに続いて図8Cに示すように、突出部9iの先端側を回路基板8の第1主面8aに熱溶着して径方向に拡がった熱溶着部9i2にする。その後、回路基板8の第1主面8aにおける配線パターンに、U相端子11u、V相端子11v、W相端子11w、中性点端子11nの4つの端子をそれぞれ半田付する。また、回路基板8の第1主面8aにおけるランドパターンに、ダミー端子11zとダミー端子11zをそれぞれ半田付する。または、図8Bに続いて図8Cに示すように、回路基板8の第1主面8aにおける配線パターンに、U相端子11u、V相端子11v、W相端子11w、中性点端子11nの4つの端子をそれぞれ半田付する。また、回路基板8の第1主面8aにおけるランドパターンに、ダミー端子11zとダミー端子11zをそれぞれ半田付する。その後、突出部9iの先端側を回路基板8の第1主面8aに熱溶着して径方向に拡がった熱溶着部9i2にする。なお、ダミー端子11zは、半田付に限られず、圧着して固定する場合や、圧着スリーブを取り付けて固定する場合がある。また、巻線12を所望の端子11に絡げて半田付けする作業は、回路基板8をインシュレータ9に取り付ける前段階で行う場合がある。
【0030】
本実施形態は、回路基板8の第2主面8bと第1段差部9gの第1面9g1との隙間S1は、巻線12を端子11に絡げるのに十分な作業スペースになっている。そして、突出部9iが回路基板8の第2主面8bにて熱溶着されたことで、回路基板8の第2主面8bと、第2段差部9hにおける第2面9h1とは接している。インシュレータ9における取付部9fは、第1取付部9f1、第2取付部9f2、第3取付部9f3、第4取付部9f4の順に所定間隔で形成されている。図5Aの例では、軸方向に視て、時計回りに、順に、第1取付部9f1、第2取付部9f2、第3取付部9f3、第4取付部9f4が形成されている。この構成によれば、取付部9fが4つ島状に配置されているので、回路基板8をより正確な位置にバランス良く取付固定できる。尚且つ、巻線12を絡げる端子11の配置の最適化が図られるので、容易に組立可能な構成となる。
【0031】
ここでは、端子11には、巻線12が絡げられていないダミー端子11zが複数ある。V相端子11vと、W相端子11wと、U相端子11uとは、所定間隔で第1取付部9f1に配されている。中性点端子11nは、第2取付部9f2に配されている。ダミー端子11zのひとつは、第3取付部9f3に配されている。ダミー端子11zのひとつは、第4取付部9f4に配されている。そして、巻線12の一端側は、回路基板8の第2主面8bと、第1段差部9gの第1面9g1との隙間S1にて、U相端子11u、V相端子11v、W相端子11w、中性点端子11nの4つの端子にそれぞれ絡げられた状態で半田付されている。
【0032】
図8D図8Cの向きを変更した概略の底面図である。図8Dに示す例では、軸方向に視て、時計回りに、順に、U相端子11u、V相端子11v、熱溶着部9i2、W相端子11w、中性点端子11n、熱溶着部9i2、コネクタ8d、熱溶着部9i2、ダミー端子11z、ダミー端子11z、熱溶着部9i2が配されている。この構成によれば、熱溶着部9i2が4つ島状に配置されているとともに、コネクタ8dの外力による変形を押える位置に配されているので、回路基板8をより正確な位置にバランス良く堅牢に取付固定できる。尚且つ、端子11のうちの巻線12を絡げるU相端子11u、V相端子11v、W相端子11w、中性点端子11nの配置の最適化が図られており、容易に組立可能な構成となる。
【0033】
本実施形態の遠心ポンプ1によれば、小型軽量化を図りつつ、巻線12を所望の端子11に絡げて半田付けするのに十分な作業スペースが得られて作業性が向上し、回路基板8の取付けおよび位置決めが容易にできて、尚且つ、端子11と回路基板8における配線パターンとの半田接続も容易にできる。したがって、例えば自動機によって容易に組立可能な構成となる。この構成によって、生産性を向上させつつ製造コストを抑制した小型サイズの遠心ポンプ1になる。
【0034】
続いて、本実施形態に係る遠心ポンプ1の第2例について、以下に説明する。
【0035】
[第2例]
図9は遠心ポンプ1の第2例を側面側から視た概略の断面図である。図10Aは本実施形態の第2例に係るインシュレータ9における取付部に配された端子11に巻線を絡げた状態を示す概略の側面図であり、図10B図10Aに続いてインシュレータ9における取付部に回路基板8を組付けた状態を示す概略の側面図であり、図10C図10Bに続いて組付けた回路基板8に端子11を半田付けした状態を示す概略の側面図であり、図10D図10Cの向きを変更した概略の底面図である。
【0036】
一例として、回路基板8は、両側がカットされた円板形状であるとともに、バックケーシング3を貫通させる中央穴8gが形成されている。そして、チップタイプの磁力検知部品8f2は回路基板8の第1主面8aに面実装されている。ここで、チップタイプの磁力検知部品8f2は、回路基板8における第1カットライン8e1よりも第2カットライン8e2に近い位置に配されているとともにマグネット5aの磁力を検知する構成であり、リング状のマグネット5aの外周側端部に対向する位置に配されて、ロータ回転位置の検出力の向上を図っている。
【0037】
図10Dに示す例では、回路基板8は、軸方向に視て、両側がカットされた円板形状であり、両側がカットされたことで形成された互いに平行な第1カットライン8e1と第2カットライン8e2とを有している。U相端子11u、V相端子11v、及びW相端子11wは、軸方向に視て、回路基板8の第2カットライン8e2よりも第1カットライン8e1に近い位置に配されている。ドライバIC8cは、回路基板8の第1主面8aに実装されているとともに、コネクタ8dよりもU相端子11u、V相端子11v、及びW相端子11wに近い位置に配されている。
【0038】
上述の遠心ポンプ1は、仕様等に合わせて適宜仕様変更する場合がある。本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 遠心ポンプ
2 ポンプケーシング、2a 吸入口、2b 吸込口(注湯口)、2c 吐出口
3 バックケーシング
4 ポンプ部、4a ポンプ室
5 インペラ、5a マグネット
6 モールド部
7 モータ部
8 回路基板、8a 第1主面、8b 第2主面、8c ドライバIC、8d コネクタ、8e1 第1カットライン、8e2 第2カットライン、8f1 磁力検知部品、8f2 磁力検知部品、8g 中央穴
9 インシュレータ、9a 基板受部、9b ステータコア、9c コア受部、9d 壁部、9e 突極部、9f 取付部、9f1 第1取付部、9f2 第2取付部、9f3 第3取付部、9f4 第4取付部、9g 第1段差部、9g1 第1面、9h 第2段差部、9h1 第2面、9i 突出部
11 端子、11u U相端子、11v V相端子、11w W相端子、11n 中性点端子、11z ダミー端子
12 巻線
13 シャフト
14 パッキン
15 軸受
16 スラストワッシャ
17 仕切板
18 固定部材(固定ネジ)
H1、H2 高さ
S1 隙間
【要約】
【課題】組立が容易であり、生産性の向上と製造コストの抑制が達成できる小型の遠心ポンプを提供する。
【解決手段】遠心ポンプ1は、ポンプケーシング2と、バックケーシング3と、インペラ5と、インシュレータ9と当該インシュレータ9の突極部9eに巻回された三相の巻線12と当該インシュレータ9の取付部9fに組付けられた回路基板8とがモールドされたモールド部6とを有している構成であって、インシュレータ9における周方向に所定間隔で形成された取付部9fは、回路基板8に向かって突出して形成された第1段差部9gの第1面9g1に端子11が配されており、第1段差部9gから回路基板8に向かって形成された第2段差部9hにおける第2面9h1に突出部9iが形成されており、巻線12は回路基板8の第2主面8bと第1段差部9f1の第1面9g1との隙間S1にて端子11に絡げられた状態で半田付されている構成である。
【選択図】図1
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図10