(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記区別された入力領域の前記第1のグループ及び前記第2のグループが、前記入力デバイスの長手方向軸線に対して斜めに向けられている、請求項1に記載の入力デバイス。
前記第1の力感知システムと、前記第2の力感知システムとが、3.0cm以下の隔たった重心を有する力入力を区別するように構成されている、請求項8に記載の入力デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0044】
ここで、添付図面に図示される代表的な実施形態が詳細に説明される。以下の説明は、これらの実施形態を1つの好ましい実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。反対に、以下の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される記述されている実施形態の趣旨及び範囲に含まれ得る代替形態、修正形態、及び均等物を対象として含むことを意図するものである。
【0045】
以下の開示は、タッチ感知及び/又は力感知を使用してユーザ入力を検出し、触覚出力を使用してユーザにフィードバックを提供する入力デバイスに関する。このような入力デバイスの一例は、機械的なキー又は動かせるキーを有しないキーボードである。代わりに、キーボードは、ガラス層や金属層などの平坦なキーレス入力表面を有することができ、タッチ感知システム及び/又は力感知システムを含んで、ユーザがいつ表面をタッチ及び/又は押圧したかを判定することができる。触覚アクチュエータは、身体的フィードバックを提供して、ユーザが入力を記録するのに十分な力でキーレス表面を押圧したことを示すことができる。触覚アクチュエータは、機械的なキーに類似した、又は機械的なキーを表す身体的感覚を引き起こすことができる。たとえば、ユーザが十分な力でキーボードの表面を押圧したとき、表面は、振動又はその他の方法で動いて、所期の入力が記録されたことをユーザに示すことができる。
【0046】
タッチ感知に加えて力感知を使用することにより、ユーザが、機械的なキーボードとより同じようにキーレスキーボードを使用することが可能になる場合がある。たとえば、タイピングするとき、ユーザは通常キーボードに複数の指を載せる。キーレスキーボードにタッチ感知しかない場合(たとえば力感知がない場合)、ユーザが特定のキーを選択しようと試みているのか、それとも単にそのキーに指を載せているのかを判定することが困難又は不可能である可能性がある。タッチ感知の代わりの、又はそれに加わる力感知により、キーレスキーボードが偶然の接触と意図的なキー選択を区別することが可能になる。
【0047】
キーレスキーボードの力感知は、大域的であっても局所的であってもよい。大域的力感知においては、キーボードは、表面にある指の位置又は数に関わらず、表面に印加される力の総合的な量又は大きさを判定することができる。しかし、上記のように、ユーザは、能動的に選択されていないキーに自身の指を載せる場合がある。更に、異なるユーザは、異なる数の指をキーに載せる場合があり、又は異なる力の量で指を載せる場合がある。また、同じユーザが、タイピングしている間、異なる瞬間においては、異なる数の指をキーに載せる場合がある。したがって、キー押圧を検出する力閾値は、何本の指がキーボードをタッチしているかに応じて変化し得る。したがって、大域的力感知を備えるキーボードは、キーが押圧されたかどうかを判定する力閾値を、所与の時点において表面と接触している(たとえばタッチ感知システムによって検出される)指の数に基づいて設定することができる。
【0048】
局所的力感知においては、キーボードは、表面上の特定の場所又は複数の場所に印加される力の量又は大きさを判定することができる。局所的力感知システムの一例では、キーボードの表面の下のピクセル化された容量性感知層が使用される。押圧されるとき、ユーザの指は、指の下のキーボード表面にくぼみを形成することができる。ピクセル化された容量性感知層は、くぼみの深さ及び/又は場所を検出して、力の量と場所を両方判定することができる。キーボードは、大域的力感知又は局所的力感知を単体で使用してもよく、これらの技法の組合せを使用してもよい。
【0049】
触覚出力も、大域的であっても局所的であってもよい。大域的触覚出力においては、キーボード表面全体が動いて、触覚出力を提供することができる。このような場合には、キーボード表面に載っているすべての指が、触覚出力を感知することができる。大域的触覚出力は、たとえば、キーボードの入力表面と同一平面内(たとえばx方向又はy方向)で、又は入力表面と同一平面外(たとえばz方向)で表面全体を動かす触覚アクチュエータを用いて生成され得る。いくつかの実施形態では、続いて起こるキー押圧について個々の大域的触覚出力を提供するために、複数の触覚アクチュエータが提供されてもよい。たとえば、入力表面を振動させる単一の触覚アクチュエータは、あるユーザがキーを打つ頻度では、連続する個々の触覚出力を生成できない可能性がある。したがって、複数の触覚アクチュエータが使用され得る。場合によっては、アクチュエータは、方向の異なる振動などの、異なる触覚出力を生成することができる。ユーザは、このような出力が実質的に同時に生成される場合でも、それらを区別することができる可能性がある。
【0050】
局所的触覚出力においては、キーボードの一部のみが動くことができる。たとえば、圧電素子などの局所的な触覚アクチュエータは、変形のすぐ下の指によってのみ(又は主に)感じられる局所的な変形を表面に生じさせ得る。別の例では、静電素子は、入力表面又はその一部に静電電荷を選択的に印加し得る。静電電荷は、ユーザによって知覚される触知刺激又はタッチに基づく刺激を変質又は変更し得る。静電電荷は、ユーザの指を静電的に表面に引き付けることにより、物体(たとえばユーザの指)と入力表面の間で、摩擦又は表面粗さの実際の変化又は知覚される変化を生じさせ得る。キーボードは、単独であれ組み合わせてであれ、大域的又は局所的触覚出力を使用して、ユーザに所望の触覚出力を提供することができる。
【0051】
キーボードは、機械的なキーを有しないので、キーボードは、単なるキーボード入力を超える多くの他の特徴及び機能を提供することができる。たとえば、キーボードは、適応的ディスプレイを含んで、(たとえばキーを表す)入力領域の輪郭やその機能の表示(たとえばグリフ)などの視覚的情報を描画することができる。このように、キーの場所、サイズ、間隔、及び/又は配置は変化し得る。別の例として、キーボードの入力表面は、タッチパッドとして働いて、タイピング入力だけでなく、(たとえばカーソルを動かし、ユーザインタフェース要素を操作する)タッチ入力も検出することができる。
【0052】
この即席の検討では、力感知を使用して入力を検出し、触覚出力を使用して触知フィードバックを提供する入力デバイスの一例としてキーボードが使用されるが、これらの技法は、他の入力デバイスにも使用され得る。たとえば、入力デバイスが適応的ディスプレイを含む場合、ディスプレイは、操作することができて身体的フィードバックが提供され得る、オーディオミキサ、ボタン、楽器などの、様々なアフォーダンス又はオブジェクトの表現を提示し得る。更に、力感知及び触覚出力は、平坦な、キーボードのような入力デバイス以外の装置で使用されてもよい。たとえば、つまみなどの回転する入力デバイスが、力感知システムを用いて入力を検出し、触覚出力を提供してユーザにフィードバックを伝達してもよい。
【0053】
上記その他の実施形態は、各図を参照して以下に述べられる。しかし、これらの図に関して本明細書において与えられる詳細な説明は、単に説明を目的とするものであり、限定するものと解釈すべきではないことが、当業者には容易に理解されよう。
【0054】
図1は、力感知システムを使用してユーザ入力を検出し、触覚アクチュエータを使用して触知出力を提供するキーボード100の一例を図示する。図に示すように、キーボード100は、独立型のキーボードの形をとる。しかし、キーボード100は、デスクトップコンピューティングシステム(
図18)、ラップトップ又はノートブックコンピューティングシステム(
図16及び
図17)、ポータブル電子デバイス用カバー(
図19)、マウスなどの他の装置に(物理的に、かつ/又は通信可能に)連結されてもよい。キーボード100(及び/又はキーボード100が物理的に、又は通信可能に連結され得るコンピューティング装置)の内部構成要素の例は、
図20に関して以下に述べられる。
【0055】
図1に示されるように、キーボード100は、エンクロージャ102と、エンクロージャ102に連結された上部部材又はカバー104とを含む。エンクロージャ102は、上部部材又はカバー104に構造上の支持を与えることができ、支持スタンド108などの追加的なフィーチャを含んでもよい。本明細書で説明されるように、キーボード100は、力感知システム、触覚アクチュエータ、タッチ感知システム、ディスプレイ構成要素などの構成要素をエンクロージャ102の中に含むことができる。
【0056】
カバー104(又は上部部材)は、キーボード100の入力表面を画定する。この例では、カバー104は、物理キーの代わりに、キーボード100の上面に位置決めされる。カバー104又は上部部材は、ガラス、金属、プラスチックなどの任意の適当な材料であってもよく、それを含んでもよい。カバー104は、フィルタ、コーティング、タッチ感知層、液晶層、ディスプレイ構成要素(たとえば有機発光ダイオード(OLED)層、光源、ライトガイド)などの他の層を含むか又はそれらに連結されてもよい。いかなる機械的なキーもなしに示されているが、キーボード100は、1つ以上の機械的なキーも含んでもよい。
【0057】
カバー104は、タッチ感知面として動作し得る。たとえば、カバー104は、タッチ入力に応じることができ、カバー104でのタッチ入力の場所を判定するように構成されるタッチ感知システムを含むか又はそれに連結され得る。カバー104は、多種多様なタッチ入力を受けることができ、それは多様なコマンド又は動作のセットを読み取るために使用され得る。
【0058】
追加的に、又は別法として、カバー104は、力感知面として動作するように構成され得る。たとえば、カバー104は、カバー104に印加される力の場所及び/又は量を検出するように構成される力感知システムを含むか又はそれに連結され得る。力感知システムは、印加力の量を判定又は推定するように構成される力感知回路を含むことができる(又は動作可能にそれに接続され得る)。力感知回路は、力閾値を超える力の量を判定するのに応じて、信号を出力するか又はその他の方法で入力が検出されたことを記録することができる。力閾値は、固定されていても可変でもよく、異なる入力に対応する2つ以上の閾値が提供されてもよい。たとえば、閾値は、カバー104と接触している指の数に基づいてもよい。
【0059】
カバー104は、区別された入力領域106も含むことができる。たとえば、区別された入力領域106のうちの少なくともいくつかは、文字入力キー(たとえば英数文字、記号文字、テキストスペース、タブなど)に対応し得る。場合によっては、他のキーは、(たとえばオーディオ音量、スクリーン輝度、又は他の装置機能を制御するために、)必ずしも文字入力を生じることのない、装置の他の態様を制御し得る。
【0060】
区別された入力領域106は、塗料、インク、エッチング、溝、突起、突条、触感などを用いて、視覚的にかつ/又は触知的に互いに区別又は識別されるカバー(又は入力表面を画定する他の上部部材)の領域でもよい。区別された入力領域106は、文字入力キー(たとえば英数字キーボードのキー)、ボタン、又は他のアフォーダンスに対応し得る。区別された入力領域106は、本明細書では単に入力領域106と呼ばれる場合がある。
【0061】
場合によっては、区別された入力領域106は、仮想的に互いに区別されてもよい。たとえば、カバー104は、アダプタブルディスプレイを含むか又はその一部であってもよい。アダプタブルディスプレイは、1つ以上の区別された入力領域106に対応する視覚的しるしを表示するように構成される照光ディスプレイでもよい。区別された入力領域106がアダプタブルディスプレイによって仮想的に画定される場合、それは仮想キーと称され得る。エミュレートされているアフォーダンスのタイプ、ユーザの選好、及び/又はキーボード100によって制御されているアプリケーションに応じて、様々な視覚的しるしの1つ以上のセットが表示され得る。
【0062】
キーボード100は、
図1に示されている、又は示されていない、種々の他の構成要素又は装置も含むことができる。具体的には、キーボード100は、エンクロージャ102の1つ以上の面に沿って位置決めされる1つ以上のポート又は電気コネクタも含むことができる。ポートは、たとえばUSB接続ポート、IEEE1394データポート、オーディオ接続ポート、ビデオ接続ポート、又は信号若しくはデータを送る、かつ/若しくは受けるように構成される他の電気的ハードウェアポートを含んでもよい。ポートは、壁コンセントや他の電源などの外部電源から電力を受けるように構成される電力接続ポートも含み得る。キーボード100は、別の装置に接続する有線通信接続部110も含んでよく、又はキーボード100は、別の装置と通信する無線送信機及び/又は無線受信機を含んでもよい。処理ユニットなどの他の内部構成要素が含まれてもよい。こうしたいくつかの内部構成要素は、
図20を参照して以下に述べられる。
【0063】
上記のように、キーボード100は、キーボード100のカバー104又は上部部材全体を動かす、又はその他の方法で力を付与するように構成される触覚アクチュエータを含むことができる。
図2は、キーボード100の平面図であり、カバー104に連結された、エンクロージャ102の中の第1のアクチュエータ202及び第2のアクチュエータ206を含む一例を図示する。第1のアクチュエータ202及び第2のアクチュエータ206がカバー104に力を付与する、又はその他の方法でキーボード100の上部部材上で検出可能な触覚出力を生成する限り、それらはキーボード100の中のどこかに、又はキーボード100に連結され得る。
【0064】
第1のアクチュエータ202及び第2のアクチュエータ206は、異なる軸線又は方向に沿って、カバー104又は他の上部部材に力を付与することができる。たとえば、第1のアクチュエータ202は、矢印204によって示される作動軸線又は作動方向に沿って力を付与することができ、第2のアクチュエータ206は、矢印208によって示される作動軸線又は作動方向に沿って力を付与することができる。これらの方向は、互いに対して実質的に垂直でもよいが、他の相対的な向き(たとえば平行、45度、30度など)も考えられる。
【0065】
単一のアクチュエータでは、一部のユーザのタイピングスピードについていくのに十分な速度で触覚出力(又は望ましい触覚出力)を提供できない場合がある。たとえば、一部のタイピストは、1秒当たり最大10文字(又はそれを超える)頻度でキーを打つことができ、単一の触覚アクチュエータでは、この頻度で出力、特に比較的長い継続時間を有する触覚出力(たとえば100msより長い出力)を生成することができない可能性がある。しかし、こうした継続時間の出力は、機械的なキーをクリックする触知感覚をより忠実に模倣するのに、又はその他の方法で望ましいユーザエクスペリエンスを提供するのに、望ましい場合がある。したがって、第2の触覚アクチュエータが提供されてもよい。
【0066】
垂直な力をカバー104に付与するように第1のアクチュエータ202及び第2のアクチュエータ206を位置決めすることにより、アクチュエータによって生じる運動又は振動同士の間の干渉が低減され得る。たとえば、第1のアクチュエータ202及び第2のアクチュエータ206が同じ軸線に沿って力を付与する場合、各アクチュエータによってカバー104に付与される運動又は振動は、互いを打ち消し合う、又は互いに干渉する場合がある。更に、特に(たとえば同時の、又はオーバーラップするキー押圧を示すために)両方のアクチュエータが同時にアクティブであるとき、異なるアクチュエータからの触覚出力を区別することが、ユーザにとって困難又は不可能である可能性がある。アクチュエータに、(たとえば垂直方向、又は平行でない方向に沿って)異なる方向に力を印加させることにより、2つの触覚出力がオーバーラップした場合でも、ユーザは、それらの出力がいつ提供されたのかを見分けられる可能性がある。出力が同じか又は互いに類似しているように感じられ得る(たとえば、ユーザが、特定の出力を生成した触覚アクチュエータの方向を区別できない可能性がある)とき、一方のアクチュエータからの触覚出力の開始及び/又は終了は、それが他方のアクチュエータからの触覚出力の間に起こったときでも、ユーザにとって感知可能である可能性がある。
【0067】
第1のアクチュエータ202及び第2のアクチュエータ206は、交番パターンで作動される場合がある。場合によっては、第1のアクチュエータ202及び第2のアクチュエータ206は、タイピングスピード(たとえば力入力の頻度)が、単一のアクチュエータのみでの応答頻度を上回るある頻度など、ある一定の値を超えるときだけ、交番パターンで作動され得る。このような場合には、タイピングスピードが値を下回る場合は、アクチュエータのうちの1つだけが使用され得る(又はそれらは交番パターン以外のパターンで使用され得る)。力入力に応じて第1のアクチュエータ202及び第2のアクチュエータ206を作動させる他のパターン又は方式も企図される。
【0068】
第1のアクチュエータ202及び第2のアクチュエータ206は、触覚出力を生成する、又はその他の方法でカバー104に力を付与する、任意の適当な機構又はシステムでもよい。適したアクチュエータとしては、電気機械的アクチュエータ、圧電アクチュエータ(たとえばカバー104に直接連結された圧電アクチュエータ、カバー104を持ち上げるか又は動かす、カバー104の下のピエゾベンダ)、リニアアクチュエータ、ボイスコイルモータ、ローレンツ力アクチュエータ、電場応答性高分子アクチュエータなどが挙げられる。たとえば、第1のアクチュエータ202及び第2のアクチュエータ206は、それぞれがコイルと対応する磁石とを含み、コイルに電流を通すことによって対応する磁石が動く(又はその他の方法で磁石に力を付与する)リニアアクチュエータでもよい。
【0069】
第1のアクチュエータ202及び第2のアクチュエータ206は、カバー104に力を付与して、様々な種類の触覚出力を生成することができる。たとえば、第1のアクチュエータ202及び第2のアクチュエータ206は、それらの各軸線(
図2の矢印204、矢印208)に沿って発振し、それによってカバー104に振動又は発振を付与してもよい。別の例として、第1のアクチュエータ202及び第2のアクチュエータ206は、カバー104に単一のインパルス(たとえば単一の方向への単一の力の印加)を付与してもよい。いずれの場合も、力は、アクチュエータに連結された分銅を動かすように印加されても、カバー104に直接印加されてもよい。
【0070】
図2は2つのアクチュエータを図示するが、いくつかの実施形態は、より多くのアクチュエータを含んでもよい。このような場合には、アクチュエータは、異なる方向に沿って(たとえば互いに45度オフセットして)力又は発振を付与するように位置決めされてもよい。別法として、アクチュエータのうちのいくつかは、同じ方向に沿って力又は発振を付与してもよい。
【0071】
第1のアクチュエータ202及び第2のアクチュエータ206は、カバー104又は他の上部部材によって画定される入力表面と同一平面内(又は実質的に同一平面内)の力を、カバー104(又は上部部材)に付与することができる。
図3A〜
図3Cは、
図2の線B〜Bに沿って見た、
図2の入力デバイスの簡略化された断面図を示す。話を簡単にするために、
図3A〜
図3Cに示される断面は、キーボード100に存在する場合がある内部のフィーチャ、構成要素、層、センサなどを含まない。更に、第2のアクチュエータ206の位置は、単に例示のためのものであり、
図3A〜
図3Cに示されるものとは異なる場所に、又は異なる構成要素に位置決めされてもよい。たとえば、キーボード100は、カバー104の下に、(任意選択的にカバー104に連結される)追加的な層又は構成要素を含む場合がある。このような場合には、第2のアクチュエータ206は、追加的な層又は構成要素の下に存在してもよい。
【0072】
図3Aは、指300がカバー104をタッチする前のキーボード100を示す。この状態では、第2のアクチュエータ206は静止している。
図3Bは、キーボード100、又はキーボードに連結された装置によって入力が記録された後(たとえば指300が力閾値を満たす力でカバー104を押圧した後)のキーボード100を示す。第2のアクチュエータ206は、カバー104に力を付与し、この力は矢印302の方向にカバー104を動かす。次いで、第2のアクチュエータ206は、力の方向を逆にし、矢印304の方向にカバー104を動かすことができる(
図3C)。カバー104の運動は、カバー104の画一的な(wholesale)運動(たとえば、わずか数ミクロンであっても、カバーがいずれの方向にも動く)でもよく、振動又は発振が矢印302、矢印304の方向にカバー104を通って伝搬することによって生じる運動に対応してもよい(これはカバー104の並進移動を生じさせない場合がある)。
【0073】
図2及び
図3A〜
図3Cは、キーボード100の上部部材と同一平面内(たとえば実質的に平行)である力を付与するアクチュエータを図示する。しかし、上述のアクチュエータの代わりに、又はそれに加えて、他のタイプのアクチュエータが使用されてもよい。たとえば、
図4A〜
図4Cは、アクチュエータが上部部材の入力表面と同一平面外である方向に(たとえば力入力の方向に対して垂直に)上部部材を動かすキーボード100の一例を示す。
【0074】
図4A〜
図4Cは、
図2の線B〜Bに沿って見た、キーボード100の部分断面エリアを示し、アクチュエータによって生成され得る同一平面外の触覚出力を図示する。
図4Aに示されるように、指400がカバー104に近づいていることが(たとえば容量性タッチ感知システムによって)検出されたとき、カバー104は、アクチュエータによって(矢印402によって示される)上方に動かされ得る。指400がその下方への運動を続けるとき、アクチュエータは、
図4Bの矢印404によって示されるように、カバー104が下方に動くことを可能にする、又はカバー104を下方に動かすことができる。指400が閾値距離を動く、又は下方への圧力をゆるめると、アクチュエータは、入力表面を(
図4Cに矢印406によって示される)上方に動かすことができ、これにより入力表面はその元の位置に戻る、又は更に上方に動くことができる。
【0075】
(たとえば
図3A〜
図3C及び
図4A〜
図4Cに関して述べたように)カバー104全体が動く実施形態では、カバー104は、懸架システム(図示せず)によってエンクロージャ102に対して懸架され得る。懸架システムは多くの形態をとることができ、ばね、発泡体、コンプライアント部材若しくは材料、又はカバー104がエンクロージャ102に対して動いて触覚出力を提供することを可能にする他の機構を含み得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、
図4A〜
図4Cに示される動きのサブセットが実施されてもよい。たとえば、アクチュエータは、力入力に応じて、
図4Aに示されるようにカバー104を「はじく」か又は上方に偏向させ、素早く戻してもよい。別の例として、アクチュエータは、代わりに、力入力に応じて、
図4Bに示されるようにカバー104を下方に偏向させ、
図4Cに示されるように素早く戻してもよい。
【0077】
図2〜
図4Cに関して説明された触覚出力は、大域的触覚出力、すなわちキーボード100の表面全体にわたって影響を及ぼす、又は表面全体で感じられ得る触覚出力を生成するアクチュエータの例である。場合によっては、大域的触覚出力の代わりに、又はそれに加えて、局所的触覚出力が使用されてもよい。たとえば、
図5A〜
図5Cは、
図2の線B〜Bに沿って見たキーボード100の部分断面エリアを示し、アクチュエータ又はアクチュエータの組合せによって生成され得る局所的触覚出力を図示する。
【0078】
図5Aに示されるように、指500がカバー104の入力領域502に近づくとき、タッチセンサ又は近接センサなどのセンサが、指500の存在及び/又は接近を検出することができる。指500が近づいていることが検出されると、アクチュエータは、カバー104の入力領域502を上方に動かして指500と接触させることができる。たとえば、カバー104に動作可能に連結された電気機械的アクチュエータ又は圧電アクチュエータは、作動されて入力領域502の局所的な偏向を生じさせることができる。局所的にカバー104を変形させるアクチュエータは、電気機械的アクチュエータ、圧電アクチュエータ(たとえばカバー104に直接連結された圧電アクチュエータ、カバー104を局所的に変形させる、カバー104の下のピエゾベンダ)、リニアアクチュエータ、ボイスコイルモータ、ローレンツ力アクチュエータ、電場応答性高分子アクチュエータなどの、任意の適したアクチュエータでもよい。
【0079】
図5Bに示されるように、指500が引き続き下方に押圧するとき、アクチュエータにより、入力領域502が下方に動くことが可能になる。
図5Cに示されるように、指500が閾値距離を動く、又は下方への圧力をゆるめると、アクチュエータは、入力領域502をその元の位置に戻すのであれ更に上方に動かすのであれ、入力領域502を再び上方に動かすことができる。
図5A〜
図5Cに示される動きが個々に実施されるのであれ合わせて実施されるのであれ、これらの動きは、キー又はボタンの押圧に類似したクリック又は運動の感覚をユーザに提供することができる。いくつかの実施形態では、このような複数の入力領域502は、カバー104(又は他の上部部材)によって画定される入力表面全体にわたって局所的なフィードバックを提供するように、カバー104全体にわたって画定され、別々に制御可能であってもよい。
【0080】
上記のように、いくつかの実施形態では、
図5A〜
図5Cに示される動きのサブセットが実施され得る。たとえば、アクチュエータは、力入力に応じて、
図5Aに示されるように入力領域502を「はじく」か又は上方に偏向させ、素早く戻してもよい。別の例として、アクチュエータは、代わりに、力入力に応じて、
図5Bに示されるように入力領域502を下方に偏向させ、
図5Cに示されるように素早く戻してもよい。
【0081】
図6A〜
図6Cは、
図2の線B〜Bに沿って見た
図2の入力デバイスの簡略化された断面図を示し、カバー104の局所的な変形又は偏向を生成することができる触覚アクチュエータ601の一例を示す。たとえば、触覚アクチュエータ601は、(
図6A〜
図6Cにおける向きで)縦に後退及び/又は延出して、カバー104に触知出力を付与するように構成され得る。
図6Aは静止状態又は中立状態の触覚アクチュエータ601を示し、
図6Bは後退した状態の触覚アクチュエータ601を示し、これはカバー104の局所的なくぼみを生じさせる。
図6Cは、延出した状態の触覚アクチュエータ601を示し、これはカバー104の局所的な隆起を生じさせる。
【0082】
触覚アクチュエータ601は、カバー104、及びエンクロージャ102などの下部支持体に取り付けられてもよく、その結果、触覚アクチュエータ601が後退する(たとえば縦に短くなる)とき、触覚アクチュエータ601は、カバー104を引き下ろし、カバー104を局所的に変形及び/又は偏向させる。触覚アクチュエータ601は、感圧又は感熱接着剤、エポキシ、膠などの接着剤を用いて、カバー104及びエンクロージャ102(又は任意の他の適した構成要素若しくは構造)に取り付けられ得る。
【0083】
触覚アクチュエータ601は、コンプライアント層602(たとえば602−1、...、602−n)を介挿した電極層604(たとえば604−1、...、604−n)を含むことができる。触覚出力を生成するために、具体的にはアクチュエータ601を後退させる、又は短くするために、電極層604は、電極層同士(たとえば隣り合う電極層同士)が互いに引き付けられるように、選択的に電気的に帯電され得る。たとえば、第1の電極層604−1は正に帯電し、第2の電極層604−2は負に帯電することができ、それによって第1の電極層604−1と第2の電極層604−2を互いに引き付けさせる。第1の電極層604−1と第2の電極層604−2が電極間の引力(たとえば静電気力)によって共に引き寄せられるとき、この引力により、第1のコンプライアント層602−1が変形し得る。触覚アクチュエータ601全体を後退させるために、同様の電荷が他の電極層604に印加されてもよい。一方、触覚アクチュエータ601を延出させてカバー104に対する上向きの力を生成する(たとえば隆起を形成する)ために、電極層604は、同じか又は同様の電荷で電気的に帯電されてもよく、これにより、電極層604同士は互いに反発する。たとえば、電極層604のすべてが、正に帯電されてもよい。その結果得られる斥力(たとえば静電反発)により、コンプライアント層602が縦に伸ばされ、それによってカバー104に局所的な隆起又は変形を生成することができる。
【0084】
触覚アクチュエータ601は、種々のタイプの触覚出力を生成するように構成され得る。たとえば、触覚アクチュエータ601は、繰返しパルス状に作動されて振動を生成してもよく、1度作動されてある方向の変形を生成し、続いて中立状態に戻り、「はじく」タイプの単一の触覚出力を生成してもよい。上記その他のタイプの触覚出力は、触覚アクチュエータ601の後退、触覚アクチュエータの延出、又はその両方のタイプの動きを含み得る。たとえば、ある一定の電荷を電極層604に周期的に印加し、その結果、電極層604が隣り合う電極層604に引き付けられ、それによりコンプライアント層602を圧縮し、アクチュエータ601を後退させることによって、振動が生成されてもよい。周期間で電荷が取り除かれたとき、電極層604は力を生成せず、それによって触覚アクチュエータ601を中立位置に戻すことができる。同様に、電極層604に周期的に電荷を印加し、その結果、電極層604が互いに反発し、続いて、電荷を取り除いて触覚アクチュエータ601を中立位置に戻らせることによって、振動が生成されてもよい。引き寄せる電荷と反発する電荷が交番し、その結果、アクチュエータ601の後退と延出が交番することによって、振動を生成することもできる。同様の動作モードを使用して、上述の「はじく」タイプの単一の出力などの、繰り返されない触覚出力が生成されてもよい。
【0085】
図6A〜
図6Cは単一の触覚アクチュエータ601を示すが、キーボード(たとえばキーボード100)又は他の入力デバイス若しくは装置は、複数の触覚アクチュエータ601を含んでもよい。
図6Dは、カバー104に対する触覚アクチュエータ601の配置の一例を示す。具体的には、
図6Dは、少なくとも1つのアクチュエータ601が(キーボード配列のキーに対応し得る)各入力領域の下に存在するキーボードパターンで配置される、触覚アクチュエータ601を示す。たとえば、各文字キー及び数字キーの下には単一のアクチュエータ601が存在してもよく、スペースバーに対応し得る領域605などのいくつかの入力領域は複数のアクチュエータ601を含んでもよい。場合によっては、アクチュエータ601は、
図6Dに示されるように特定の入力領域にアクチュエータ601を割り当てる代わりに、グリッドパターンで配置されてもよい。別法として、キーボード100は、あるサブセットのキーのそれぞれについては個々の触覚アクチュエータ601を含み、他のキーは1つの触覚アクチュエータ601を共有してもよい。たとえば、キーボード100の各文字キー及び数字キーは異なる触覚アクチュエータ601に対応し、一方タブキー、キャプスロックキー、左シフトキー、及び左コントロールキーなどの非文字キーである他のグループは、共通の触覚アクチュエータ601を共有してもよい。
【0086】
図6Eは、カバー104に対する触覚アクチュエータ601の配置の別の例を示す。この例では、触覚アクチュエータ601は、単一のシートから形成されてもよく、1つ以上の接続要素606を介して相互接続されてもよい。接続要素606は、アクチュエータ601自体のコンプライアント層602を形成したものと同じ材料でもよい。場合によっては、触覚アクチュエータ601と接続要素606は、一体化された構造でもよい。たとえば、触覚アクチュエータ601及び接続要素606は、コンプライアント材料の連続シートを切ってアクチュエータ601、接続要素606、及び間隙610を形成することによって形成されてもよい。こうしたシートは、次いで電極604で積層されて、アクチュエータ601と接続要素606の一体のシートを形成することができる。接続要素606は触覚アクチュエータ601を単一の共通構造に接合することができるが、接続要素606は電極層604を有しなくてもよい。この構成により、アクチュエータ601の電気的分離が保たれて、アクチュエータ601の独立した作動が可能になる。
【0087】
間隙610は、触覚アクチュエータ601の周りに隙間を提供して、アクチュエータが圧縮されるとき、アクチュエータ601の横方向の変形を可能にする。間隙610は自由空間(たとえば空気)である場合もあり、コンプライアント層602よりコンプライアントな材料など、別の材料が間隙に挿入される(したがってコンプライアント層602の横方向の偏向を可能にする)場合もある。
【0088】
接続要素606により、いくつかの利益が提供され得る。たとえば、接続要素606は、隣り合うアクチュエータ601同士の間の支持されていない面積を小さくすることにより、カバー104に追加的な構造上の支持を与えることができる。更に、接続要素606は、力入力及び/又はキー選択によって生成される偏向を隔絶又は局所化する助けになる場合があり、これは局所的力感知機能及び/又はタッチ感知機能を改善し得る。たとえば、これにより、力感知システムが力入力の場所を検出できる分解能が改善される場合がある。
【0089】
図6A〜
図6Cに示されるように、触覚アクチュエータ601を使用して、局所的な触覚出力が生成される。たとえば、触覚アクチュエータ601の延出又は後退に応じて、カバー104が局所的に偏向又は変形することが示される。カバー104のこのような隆起及びくぼみは、局所的変形及び/又は偏向を生成するのに十分な可撓性のカバー104によって促進され得る。たとえば、カバー104がガラスである場合、このガラスの弾性率は約60〜80GPaの範囲であり、厚みは約0.1mm〜0.5mmの範囲である場合がある。他の寸法、特性、及び材料(たとえばプラスチック、布、金属)も考えられる。更に、カバー104は、ある一定のエリアにおいて強化又は補強されて、触覚アクチュエータ601によって生成される変形及び/又は偏向を隔絶する助けとなり得る。たとえば、リブが、種々の触覚アクチュエータ601同士の間でカバー104の下部に形成されるか又はあてがわれてもよい。リブは、エンクロージャ102などの別の構造体へと延在してもよく、(
図10B及び
図11Bに示されるリブ1007など)部分的にのみ別の構造体へと延在してもよい。
【0090】
触覚アクチュエータ601は、
図4A〜
図4Cに関して述べた触覚出力などの、大域的触覚出力を生成するように構成されてもよい。このような場合には、カバー104は、触覚アクチュエータ601によって印加される力がカバー104のどこででも(又は少なくとも触覚アクチュエータ自体の面積より大きい面積にわたって)知覚され得るように、局所的変形又は局所的偏向に抵抗するか又はそれを最小化するように構成され得る。たとえば、カバー104は、局所的な触覚出力向けに使用されるカバー104より厚く、かつ/又はより堅くてもよい。より具体的には、カバー104は、厚みが約0.75〜2.0mmの範囲であるガラスでもよい。別法として、カバー104は、金属、プラスチックなどでもよい。更に、大域的触覚出力が使用される場合、装置は、同時に又は個々に動作し得る複数の触覚アクチュエータ601を含んでもよい。
【0091】
触覚アクチュエータ601は、任意の適した数のコンプライアント層602及び電極層604を含むことができる。たとえば、触覚アクチュエータ601は、2つの電極層604の間に各コンプライアント層602を挟んだ状態で、40のコンプライアント層602と41の電極層604とを含んでもよい。電極層604は、金、アルミニウム、銅、インジウムスズ酸化物(indium tin oxide、ITO)などの任意の適した材料で形成されてもよく、それを含んでもよい。同様に、コンプライアント層602は、シリコーン、ラテックス、エラストマー、ポリマー、ゲル、又は任意の他のコンプライアント材料などの任意の適した材料で形成されてもよく、それを含んでもよい。コンプライアント層602は、約10ミクロン〜約50ミクロン厚ほどの任意の適した厚みでもよい。場合によっては、コンプライアント層602は、約25ミクロン厚である。アクチュエータ601は、上から見たとき、正方形、長方形、円形などの、任意の適した形状であってもよい。場合によっては、(たとえばカバー104を通して)上から見たとき、アクチュエータ601の長さ及び幅の寸法は、約40×40mm、約25×25mm、又は約15×15mmである。場合によっては、アクチュエータ601は、下にアクチュエータ601がある入力領域(たとえば仮想キー)と実質的に同じ寸法である。他の寸法も企図される。
【0092】
触覚アクチュエータ601は、任意の適したやり方でキーボード100(又は他の入力デバイス)に配置され得る。
【0093】
前述の触覚出力のいずれも、キーボード100が閾値(たとえば力閾値)を満たす力入力を検出することに応じて生成され得る。具体的には、触覚出力を使用して、入力を記録するのに十分な力でユーザがキーボード100を押圧したことをユーザに示すことができる。このように、キーボード100は、押し縮められる機械的なキーの感覚を表す触覚出力を用いて、機械的なキーボードの動作を模倣するか又は示唆する感覚を引き起こすことができる。更に、触覚出力又はキーボード100によって使用される出力の特性は、押し縮められる機械的なキーの触知感に類似している触知感を提供するように選択又は最適化され得る。場合によっては、キーボード100に載っている指による偶然の接触に対応する入力、(たとえば入力表面がトラックパッドとして使用されているとき)キーボード100へのタッチ入力による弱い力入力などに応じて、触覚出力が生成されなくてもよい。
【0094】
上記のように、キーボード100などのキーレスキーボードは、ユーザ入力の検出を容易にする1つ以上の力感知システムを含むことができる。本明細書において、力感知システムは、表面、又は表面の一部に印加される力の量を判定することができる関連付けられたプロセッサ、ソフトウェアなどと機構との任意の組合せに対応する。力感知システムは、圧電素子、歪みゲージ、光学変位センサなどの1つ以上の力感知素子を含むことができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、単一の力感知システムを使用して、カバー104に印加される力の総量を判定することができる(たとえば大域的力感知)。しかし、このタイプの力感知システムは、検出される力を生成している物理的接点の場所を判定するのに十分な情報を提供することができない場合がある。(又はこのタイプの力感知システムは、適した分解能まで場所を判定することができない場合がある。)したがって、大域的力感知が使用される場合、ユーザの指(又は他の用具や入力部材)とカバー104との間の各接点の場所を判定するために、タッチ感知システムが使用され得る。力入力の場所を判定するために、タッチ感知システム及び力感知システムと共に、加速度計も使用され得る。たとえば、1つ以上の加速度計及び関連付けられたプロセッサにより、特定の指からの入力、又はキーボード100の入力表面の特定の場所での入力を示す振動又は運動シグネチャが検出され得る。合わせると、タッチ感知システム及び大域的力感知システム(並びに、任意選択的に加速度計)を使用して、ユーザが、キーボード100の表面にいつ、どこで入力を加えようと試みているのかを判定することができる。
【0096】
他の実施形態では、カバー104の個々のエリア又は既知の場所に印加される力の量を判定するために、複数の力感知システム(又は単一の力感知システムに関連付けられた複数の力感知素子)が使用されてもよい。たとえば、場合によっては、(たとえば文字入力キーなどの従来のキーのサイズ及び/又は場所に対応する)キーボード100の各入力領域106は、それ自体の固有の力感知システム又は力感知素子に関連付けられる。言い換えれば、各キーは、力入力を検出するために別々に監視される。場合によっては、キーボード100は、それぞれの個々のキーの力を監視する代わりに、複数の力感知領域又はピクセルに分割され、その少なくともいくつかは複数のキーを含む。具体的には、通常のタイピングパターンに基づくと、同時に接触される可能性が低いキーのグループが存在し得る。たとえば、ユーザは、「ホームポジション」、すなわちキーの中央の行に沿って自身の指を載せ、ホームポジションから自身の指を離して個々のキーを打つことができる。ユーザの指はキーボードに対して水平に位置決めされるので、任意の所与の時点において、ユーザが単一の列の中の複数のキーをタッチする可能性は低い。より具体的な例として、従来の「QWERTY」キーボードでは、ユーザの指は「f」キーを打ちながら「a」キーに載っている可能性はあるが、「q」キーを打ちながら「a」キーに載っている可能性は低い。したがって、(たとえば大域的力感知システムとは対照的に)力感知ピクセルを備えることにより、キーごとに異なる力感知システム又は力感知素子を用いることなく、力感知キーボードの精度を上げることができる可能性がある。
【0097】
このような力感知ピクセルは、入力領域の様々なグループを含んでよく、実質的に互いに独立して力を検出することができる。たとえば、ある力感知ピクセルに印加される力入力は、その力感知ピクセルに関連付けられた力感知システム(又は素子)によって検出することができるが、異なる力感知ピクセルに関連付けられた力感知システム(又は素子)によっては検出することができない(又は第2の力感知システム又は素子の検出閾値を満たすことができない)。場合によっては、それぞれの力感知ピクセル(及び/又はそれぞれの力感知ピクセルに関連付けられた力感知素子)は、互いの力値とは別個の力値を生成する。たとえば、プロセッサは、第1の力感知ピクセルに関連付けられた第1の力感知システム又は素子を(異なる力感知ピクセルに関連付けられた第2の力感知システム又は素子とは独立して)使用して、第1の力感知ピクセルに印加される力を判定することができる。同様に、プロセッサは、第2の力感知ピクセルに関連付けられた第2の力感知システム又は素子を(第1の力感知システム又は素子とは独立して)使用して、第2の力感知ピクセルに印加される力を判定することができる。したがって、それぞれの力感知ピクセルは、独立して評価されて、力入力がその特定の力感知ピクセルに印加されているのかどうか、及び/又はその特定のピクセルに印加される力の量を判定することができる。
【0098】
図7A〜
図7Bは、力感知領域又は力ピクセルの配置の異なる例を有するキーボード100を示す。
図7Aでは、力感知領域702(又はピクセル)は、実質的に2つの行に配列され、第1の行は線701の上に、第2の行は線701の下にある。線701は、キーボードをおおよそ縦半分に分割し、各行に10個の力感知領域702が存在する。
図7Bでは、力感知領域704は、やはり実質的に2つの行に配列され、第1の行は線703の上にあり、第2の行は線703の下にある。
図7Bは、各行に8個の力感知領域704を含む。力感知領域704は、(
図7Bでは左から右に延在するキーボードの長手方向軸線に対して)実質的に斜めに向けられてもよい。この配置は、各特定の指が斜めの群のキーを押圧するように使用される傾向にある、通常のタイピングパターンに対応し得る。
【0099】
図7A〜
図7Bに示される実施形態などのいくつかの実施形態では、各行は、少なくとも8個の力感知領域を含む。このように、それぞれの行は、(8ピクセル構成の場合は親指を除く)特定の指によってアクセス可能な(又は通常は打たれる)エリアごとに、少なくとも1つの個別の力感知領域を含む。更に、力感知領域702、704のうちの少なくとも1つのサブセットは、少なくとも2つの個別の入力領域/キーのグループを含む(たとえば、力感知領域は、少なくとも2つの個別の入力領域/キーに印加される力を検出するように構成される)。
【0100】
各力感知領域にどのキーが含まれるかを含めて、
図7A〜
図7Bの力感知領域の配置は単なる例である。種々の実施形態では、力感知領域は、これらの図に示されるものとは異なる入力領域(たとえばキー)を含んでもよい。
【0101】
力感知領域702(
図7A)及び力感知領域704(
図7B)は、それぞれ1つの力感知システム又は素子に対応し得る。つまり、力感知領域702、力感知領域704のどこかに力が印加されると、力の場所に関係なく、単一の力値が生じ得る。上記のように、力感知システム又は素子は、容量性力感知、圧電力感知、歪みゲージなどを含む任意の適した力感知技術及び/又は技法を使用することができる。力感知領域702、力感知領域704ごとの力感知システム又は素子は、力感知領域の下、かつキーボード100のエンクロージャ102の中に位置付けられ得る。カバー104は、力感知領域702、力感知領域704の境界に沿ってセグメント化されて、各力感知領域が互いに独立して少なくともいくらか動くことを可能にする。いくつかの実施形態では、カバー104は、力感知領域702、力感知領域704の境界に沿って(たとえば下面又は上面に)溝が付けられる。溝により、力感知領域702、力感知領域704が実質的に互いに独立して動くことが可能になり、ある力感知領域が近傍の力感知領域内の入力領域に加えられる力に応じて偏向する程度が軽減され得る。これにより、各力感知領域で検出される力の独立性を向上させることができる。
【0102】
それぞれの力感知領域(たとえば領域702、領域704)に関連付けられた力感知システム又は素子は、異なる力値に応じてキー押圧を検出するように構成され得る。たとえば、力感知領域で検出される力入力は、異なる力閾値と比較され得る。したがって、通常ユーザの小指で打たれる力感知領域などの、通常はより弱い力を受ける力感知領域は、通常ユーザの人差し指又は親指で打たれる領域などの、通常はより強い力で打たれる領域とは異なる(たとえばより低い)力閾値を使用してもよい。
【0103】
図8A〜
図8Cは、(たとえば
図1の線A〜Aに沿って見た)キーボード100の部分断面図を示し、本明細書に記載される実施形態と共に使用され得る局所的な力感知システム800の一例を図示する。本明細書に記載されるように、力感知システム800は局所的な力感知を実現することができ、その結果、指、スタイラス、又は他の用具若しくは入力部材からの個々の力入力の、力と場所との両方が判定され得る。更に、それぞれの力入力が所与の入力領域に確実に関連付けられ得るように、力感知システム800の分解能は、実質的に入力領域の分解能以上でもよい。
【0104】
力感知システム800は、(たとえば
図1のカバー104に対応する)カバー802と、コンプライアント材料804と、容量性感知層806とを含むことができる。カバー802は、カバー104に関して上に述べたように、入力表面を画定することができる。力感知システム800は、ユーザの指808(又は他の用具若しくは入力部材)の容量性感知層806までの近さの変化によって生じる容量変化を検出することによって力を判定する。具体的には、カバー802は、印加される力入力に応じて局所的に変形又は偏向することができ、それによってコンプライアント材料804を圧縮又はその他の方法で変形させ、ユーザの指808(又は容量性感知層806に容量的に連結する任意の他の用具若しくは入力部材)が容量性感知層806に近づくことを可能にする。
【0105】
コンプライアント材料804及び/又はカバー104の偏向及び/又は圧縮挙動は、力感知システム800に関連付けられたプロセッサが、所与の力入力の、力の量を判定することができるようにモデル化され得る。具体的には、所与の場所に印加される所与の量の力からもたらされる容量変化を判定するために、既知の力が、種々の場所でカバー802に印加され得る。この情報は、力対容量曲線を表す式としてテーブルに格納されてもよく、容量値を力値と相関させるために使用され得る任意の他のデータ構造又はアルゴリズムに格納されてもよい。
【0106】
容量性センサの代わりに、又はそれに加えて、他のタイプのセンサを使用して、カバー802と下部層との間の距離の変化を検出してもよい。たとえば、容量性感知層806は、カバー802の局所的変形を検出する一連の光学変位センサによって置き換えられてもよい(又は補われてもよい)。距離センサ又は変位センサが使用される場合、所与の場所に印加される所与の量の力からもたらされるセンサ値を判定するために、既知の力が、種々の場所でカバー802に印加され得る。この情報は、力対変位曲線を表す式としてテーブルに格納されてもよく、(たとえば光学変位センサによって測定される)変位又は距離の変化を力値と相関させるために使用され得る任意の他のデータ構造又はアルゴリズムに格納されてもよい。
【0107】
図8Bは、カバー802が指808又は他の入力部材によって局所的に変形するときの力感知システム800を示す。カバー802は、局所的な力入力に応じて局所的に変形することができる。言い換えれば、カバー802は、通常のタイピング力の指の押圧がカバー802に局所的変形又はくぼみ810を生成することができないような堅さ又は剛性ではない。力入力に応じて、カバー802の非局所的偏向(たとえば下向きの並進移動)も生じ得る。
【0108】
カバー802は、ガラス、金属、ポリカーボネート、サファイアなどの任意の適した材料から形成されてもよく、それを含んでもよい。カバー802の寸法及び/又は材料は、適した局所的変形プロファイル(たとえば直径や深さ)を提供するように選択され得る。たとえば、カバー802の弾性率は約60〜80GPaの範囲でもよく、厚みは約0.1mm〜0.5mmの範囲でもよい。
【0109】
コンプライアント材料804は、発泡体、ゲル、シリコーン、(たとえばシリコーンから形成される)一連のコンプライアント材料ドット又は構造体、液体、空気などの任意の適した材料から形成されてもよく、それを含んでもよい。コンプライアント材料804は、カバー802の入力領域(たとえばキー)を画定するエリアなどの、カバー802のタッチ感知エリア及び/又は力感知エリアにわたってカバー802を支持することができる。たとえば、
図1に示されるように、コンプライアント材料804は、実質的にカバー104全体の下に位置決めされてもよく、入力領域又はキー106が画定される領域の下だけに位置決めされてもよい。コンプライアント材料804によって与えられる支持は、カバー802に印加される力入力の効果をカバー802の限定的なエリアに隔絶する助けとなり得る。より具体的には、カバー802でのキー押圧に対応する、指の押圧などの力入力が、コンプライアント材料804を含まない力感知システムに印加されるとき、カバー802は、実質的に大域的に偏向する傾向にある可能性がある。たとえば、力感知システムがコンプライアント材料ではなく空気間隙を有する場合、指の押圧は、カバーの縁部に至るまで全域にわたってカバー802を変形させ得る。一方、コンプライアント材料804が含まれる場合、コンプライアント材料804は、物体が直接接触していないエリアでの(又はすぐ近傍での)カバー802の偏向又は変形を防止又は軽減する。
【0110】
コンプライアント材料804は、力対変位の予測可能な関係ももたらすことができ、これは力感知システム800によって利用されて、力入力について力値を判定する助けとなり得る。たとえば、コンプライアント材料804は、特にコンプライアント材料804の代わりに空気間隙を使用する力感知システム800と比較して、カバー802の入力表面全体にわたって力対変位応答の整合性を向上させる助けとなり得る。より具体的には、コンプライアント材料804がない場合、(たとえばカバー802の支持されている縁部から離れて)カバー802の中央近くで印加される力は、カバー802の縁部の近くで印加される同じ力より、より大きいカバー802の偏向を生じさせる可能性がある。コンプライアント材料804の支持効果は、特にカバー802の縁部又は支持されているエリアから離れたところで、入力された力に応じてたわみの量又は大域的偏向を抑制又は制限することに役立ち得る。このようにして、カバー802の中央及び縁部(並びに実際はカバー802の任意のエリア)に印加される、入力される力は、同様の変形を生じさせることができる。更に、コンプライアント材料804によってカバー802に与えられる支持の面積が大きいので、こうした変形は、コンプライアント材料804がない場合より局所的である(たとえばより小さい)可能性があり、それによってより高い分解能のタッチ及び力感知結果がもたらされる。
【0111】
コンプライアント材料804は、単一の連続シートでもよく、複数のシートのセグメントでもよく、他の形状又は構成(たとえばドット、柱、角錐、支柱、円盤など)でもよい。コンプライアント材料804の寸法及び/若しくは材料(又はポアソン比、剛性、硬さ、デュロメータなどの任意の他の特性)は、カバー802と共に適した局所的変形プロファイルを提供するように選択され得る。たとえば、コンプライアント材料804の厚みは、約0.5mm〜約2.0mmの範囲でもよい。コンプライアント材料804が複数のコンプライアント部材又は材料(たとえばドット、柱、シートなど)を備える場合、各コンプライアント部材は、実質的に同じ厚みを有し得、その結果、カバー802と下にある感知層(たとえば感知層806)との間の距離は、入力領域を含むエリアにわたって実質的に同じである。
【0112】
カバー802及びコンプライアント材料804の材料及び寸法は、適した局所的変形プロファイルを提供するように共に最適化及び/又は評価され得る。いくつかの実施形態では、カバー802は、厚みが約0.3mm、弾性率が約70GPaのガラス層であり、コンプライアント材料804は、厚みが約0.5mmの発泡体である。
【0113】
力感知システム800の局所的変形特質により、隣り合う複数の力入力を検出し、別々に識別することが可能になる。たとえば、カバー802及びコンプライアント材料804は、力入力の幾何重心間を測定して互いから3.0cm(たとえば3.0cm以上)しか間隔の空いていない力入力に応じて、別個のくぼみを十分に認識することができる。場合によっては、カバー802及びコンプライアント材料804は、互いから2.5、2.0、更には1.0cmなど、いっそう近い力入力に応じて、別個のくぼみを十分に認識することができる。
図8Cは、2つの個別の指808、指812(又は他の入力部材若しくは用具)から2つの力入力を受ける力感知システム800を示す。それぞれの指/入力部材は、その独自のくぼみ(それぞれ814、816)を生成する。
図8Cの指808、指812の重心は、互いに対して3.0cm(又はそれ未満)の近さであり得る。指808、指812の重心間の距離が伸びるにつれて、各くぼみは、
図8Cに示されるよりもいっそう明確になる。
【0114】
図9A〜
図9Bは、力感知システムの部分断面図を図示し、容量性感知層の構成例を図示する。具体的には、
図9Aは、力感知システム800に対応し得る力感知システム900を図示し、これはカバー902(たとえばカバー802、104)と、コンプライアント材料904(たとえばコンプライアント材料804)と、コンプライアント材料904の下の容量性感知層906とを含む。容量性感知層906は、ユーザの指903、又はカバー902に接触するスタイラスやペンなどの他の物体に容量的に直接連結するように構成される。具体的には、容量性感知層906は、自己容量によって指903を検出することができる。容量性感知層906は、ユーザの指903に容量的に直接連結するので、(感知層906に容量的に連結する電極や駆動層などの)他の容量性感知層は、含まれなくてもよい。より具体的には、力感知システム900のいくつかの実施形態は、カバー902とコンプライアント材料904の間に(又はカバー902と容量性感知層906の間に)別の容量性感知層を含まなくてもよい。
【0115】
容量性感知層906は、回路板やフレックス回路材料などの基板910と、一群の電極912とを含むことができる。電極912は、基板910に適用され、プロセッサ、及び/又は指903(したがって力)の存在による容量変化を判定するのを助ける他の電子構成要素に連結された、導電トレースでもよい。電極912の場所は既知であってもよく、その結果、所与の電極912での容量変化の検出は、力入力がカバー902のどこに位置付けられるかを装置に示すことができる。
【0116】
電極912のサイズは、力感知システム900の分解能を定め得る。たとえば、電極912は、入力領域(たとえば仮想キー)と(たとえば表面積又は任意の他の適当な寸法において)同じサイズか、又はそれより小さくてもよい。このような場合には、ユーザがどのキーを選択しているかを力感知システム900から判定することが可能であり得る。つまり、特定のキー(たとえば入力領域106(
図1))の下にある1つ以上の電極912が閾値力に対応する容量変化を検出した場合、力感知システム900及び/又はその接続先の装置は、そのキーの選択を記録することができる。こうした力感知システムの分解能により、力入力が入力表面のどこに印加されたかを判定するために個別のタッチ感知システムを使用する必要がない可能性がある。
【0117】
図9Bは、力感知システム800に対応し得る力感知システム916を図示し、これはカバー902と、コンプライアント材料904と、コンプライアント材料904の下の容量性感知層914とを含む。容量性感知層914は、基板910(たとえば回路板やフレックス回路)に設けられる電極920を含む。電極920は対にされ、その結果、
図9Bのコンデンサ記号によって図示されるように、2つの電極920の間の容量が監視又は測定される。指903(又は他の用具)がカバー902を変形させ、電極920に近づくとき、指903は、指903に近接した電極920同士の間で測定される容量を変化させる。具体的には、指903は、電極920の周りのエリアの誘電率又は比誘電率を変化させる。力感知システム916、並びにその関連付けられた構成要素及びプロセッサは、これらの電極920同士の間の容量変化を検出して、変形の量、したがってカバー902に印加された力の量を判定することができる。力感知システム900と同様に、力感知システム916は、カバー902とコンプライアント材料904の間に第2の感知層を含まなくてもよい。
【0118】
上述の力感知システム900、力感知システム916は、局所的な力の検出を可能にし、この場合、力入力の場所と、その力入力の力の量との両方が、力感知システムによって判定され得る。また、力感知システム900、力感知システム916の分解能は、個々の指からの力入力の場所を互いに識別することができるのに十分な高さであり得る。
【0119】
図10A〜
図10Cは、キーボード100(又は任意の他の適した入力デバイス若しくは電子デバイス)と共に使用され得る局所的な力感知システムの例を示す。
図10A〜
図10Cに示される力感知システムは、歪みゲージを使用して、入力表面に印加される力の量を判定する。具体的には、
図11A〜
図11Bにより詳細に示されるように、歪みゲージを使用して、入力表面(たとえばカバー104)の偏向又は変形の量を判定することができ、これは、次いで入力に関連付けられる力の量と相関され得る。
【0120】
図10Aは、基板1002を含む力感知システム1001の一例を示す。基板1002は、
図1のカバー104に対応してもよく、カバー104などのカバーの下に設けられ得る(たとえばカバーの下部に連結され得る)構成要素に対応してもよい。基板1002は、ガラス、ポリマー、可撓性回路材料、ポリエステルフィルムなどの任意の適した材料から形成されてもよく、それを含んでもよい。
【0121】
力感知システム1001は、基板1002に適用されるか又はその他の方法で一体化される歪みゲージ1004を含む。歪みゲージ1004は、任意の適した構成でもよく、任意の適した材料で形成されてもよい。たとえば、歪みゲージ1004は、蛇行パターン若しくはコイルパターン(又は任意の他の適したパターン)を有しフィルム又は他の基板に設けられる導体を含んでもよい。場合によっては、歪みゲージ1004は、2つ以上の基板又はフィルムを含み、そのそれぞれがコイル状の、又は蛇行する導体を有して互いに積層されてもよい。この構成により、温度、磁界などによって歪みゲージ1004に生じるノイズ、干渉、又は他の不要な効果のフィルタリング又は除去が容易になり得る。
【0122】
歪みゲージ1004は、任意の適したサイズを有してもよく、任意の適したパターンで基板1002に設けられてもよい。たとえば、図示されるように、歪みゲージ1004は実質的にすべて同じサイズであり、規則的なグリッドパターンで基板1002に配置されてもよい。歪みゲージ1004は、基板1002の上から見たとき、約10×10mm、15×15mm、又は任意の他の適したサイズなど、任意の適したサイズでもよい。歪みゲージ1004がキーボードの個々のキー又は入力領域に直接割り当てられ得ないとき、基板1002での力入力の場所は、基板1002又は他の関連付けられた入力表面のどこで入力が印加されたかに関わらず、複数の(たとえばすべての)歪みゲージ1004からの信号を分析して、入力の推定位置(たとえば重心)を識別することによって判定され得る。
【0123】
しかし、場合によっては、各歪みゲージ1004は、各キー又は入力領域に対応するように位置決めされてもよい。たとえば、
図10Cは力感知システム1009を示し、力感知システム1009では、基板1003の上の歪みゲージ1005のパターンは、キー又は入力領域のパターンを実質上模倣し、その結果、キーボードの各キー又は入力領域は、その下に設けられる少なくとも1つの歪みゲージ1005を有する。したがって、所与の歪みゲージ1005によって測定される力を使用して、対応するキー又は入力領域がユーザによって作動されたかどうかを、他のキー又は入力領域に関連付けられた歪みゲージを参照することなく独立して判定することができる。
【0124】
各キー又は入力領域が少なくとも1つの固有の歪みゲージに関連付けられる場合、(カバー104、又はカバーの下に設けられる構成要素に対応し得る)基板1003は、基板1003に形成されるか又はその他の方法で連結されたリブ1007を含んでもよい。
図11Bに関してより詳細に示され、説明されるように、リブ1007は、基板1003又は上にあるカバーに印加される力及び/又はタッチ入力によって生成される変形及び/又は偏向を隔絶する助けとなり得る。装置がアダプタブルディスプレイを含んでカバー104の様々な場所に仮想入力領域を生成する場合、入力表面の表面上でのより均一な力感知を促進するために、このようなリブはなくされてもよい。
【0125】
図10Bは、
図10Aに示されるものより大きい歪みゲージ1008のパターンを有する力感知システム1011を示し、力感知システム用の基板上での歪みゲージの別の配置例を図示する。歪みゲージ1008は
図10Aに示されるものより大きいが、歪みゲージ1008は、力入力の場所を判定するために適した分解能を依然として提供することができる。たとえば、(たとえば力入力の重心を判定するために)複数の歪みゲージ1008からの信号を検出及び分析することにより、+/−約5mmである分解能で力入力の場所を判定できる可能性があり、これは入力表面に示され得るか又はアダプタブルディスプレイに表示され得る、キーボードキー(たとえば仮想キー)、ゲーミング入力部、又は他のアフォーダンスなどの多くの入力領域に適している可能性がある。
【0126】
図11Aは、(たとえば
図1の線A〜Aに沿って見た)キーボード100の部分断面図を示し、力感知システム1001(
図10A)がキーボード100に組み込まれる一例を図示する。
図11Aに示されるように、指1105は、(カバー104に対応し得る)基板1002に力を印加して、基板1002に局所的くぼみ1102を生成している。基板1002のくぼんでいる領域に連結された歪みゲージ1006は、変形によって基板1002が認識する偏向及び/又は歪みの相対量に対応する、信号又は他の検出可能な事象を生成することができる。歪みゲージ1006を評価することにより、力入力の場所だけでなく、指1105によって印加される力入力の大きさが判定され得る。
【0127】
図11Aのキーボード100は、下部構成要素1106を示し、これはエンクロージャ102、又は電子デバイスの別の内部構成要素若しくは構造体に対応し得る。図に示すように、基板1002は、間隙1104によって下部構成要素1106から隔てられ得る。間隙1104は空いていてもよく(たとえば間隙1104は空気間隙でもよい)、
図7A〜
図7Cに関して述べたコンプライアント材料704(たとえば発泡体、ゲル、シリコーン、(たとえばシリコーンから形成される)一連のコンプライアント材料ドット又は構造体など)に類似したコンプライアント材料などの材料を用いて、完全に又は部分的に埋められてもよい。コンプライアント材料は、基板1002を支持する助けとなる場合があり、力入力によって生じる基板1002の偏向を局所化及び/又は隔絶する助けとなる場合がある。
【0128】
図11Bは、(たとえば
図1の線A〜Aに沿って見た)キーボード100の部分断面図を示し、力感知システム1009(
図10C)がキーボード100に組み込まれる一例を図示する。
図11Bに示されるように、指1005は、(カバー104に対応し得る)基板1003に力を印加して、基板1002に局所的くぼみ1108を生成している。
図10Bに関して述べたように、力感知システム1009は、基板1003に形成される、又はその他の方法で連結されたリブ1007を含むことができる。リブは、力入力によって生じる基板1003の偏向を隔絶及び局所化することができる。たとえば、
図11Bに示されるように、指1107からの力入力は、主としてリブ1007−2とリブ1007−3の間に含まれる。したがって、歪みゲージ1005−3は、近隣の歪みゲージ(たとえば歪みゲージ1005−2、歪みゲージ1005−4)より大きい歪みを受けることができ、それにより近隣又は隣り合うキー又は入力領域での、誤ったキー押圧の検出の可能性が低減される。
【0129】
図11Bのキーボード100は、下部構成要素1106を示し、これはエンクロージャ102、又は電子デバイスの別の内部構成要素若しくは構造体に対応し得る。図に示すように、基板1003は、間隙1110によって下部構成要素1112から隔てられ得る。間隙1110は空いていてもよく(たとえば間隙1110は空気間隙でもよい)、
図7A〜
図7Cに関して述べたコンプライアント材料704(たとえば、発泡体、ゲル、シリコーン、(たとえばシリコーンから形成される)一連のコンプライアント材料ドット又は構造体など)に類似したコンプライアント材料などの材料を用いて、完全に又は部分的に埋められてもよい。コンプライアント材料は、基板1003を支持する助けとなる場合があり、力入力によって生じる基板1003の偏向を更に局所化及び/又は隔絶する助けとなる場合がある。
【0130】
図12は、(たとえば
図1の線A〜Aに沿って見た)キーボード100の部分断面図を示し、アクチュエータ1201を使用して(カバー104に対応し得る)基板1208に印加される力を検出する力感知システム1200を示す。
図12のキーボード100は、下部構成要素1210を示し、これはエンクロージャ102、又は電子デバイスの別の内部構成要素若しくは構造体に対応し得る。
【0131】
アクチュエータ1201は、本明細書に述べられる触覚アクチュエータ601に対応し得る。具体的には、アクチュエータ1201は、上述のような触覚作動機能と力感知機能との両方を提供することができる。たとえば、(触覚アクチュエータ601と同じ構成を有し得る)アクチュエータ1201は、電極層1204同士の間に挟まれたコンプライアント層1206を含む。電極層1204は、相互容量感知方式において電極として使用され得る。たとえば、ある電極層は駆動電極として使用することができ、別の電極層は感知電極として使用することができる。指1202又は他の用具が基板1208を変形させ、アクチュエータ1201を圧縮するときなど、感知電極と駆動電極が互いに近づくとき、プロセッサ又は他の回路は、その結果得られる電気的変化を検出することができ、この電気的変化は、力入力によって印加される力の量に相関され得る。より具体的には、力感知システム1200は、力対容量(又は他の電気的事象)の相関関係を使用して、測定される容量値(又は他の電気的値)に対応する力の量を判定することができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、アクチュエータ1201の電極層1204のうちの2つの電極層のみが、容量性力感知に使用される。他の実施形態では、すべての電極層など、より多くの電極層1204が使用される。上述のように、アクチュエータは、40のコンプライアント層1206と41の電極層1204とを含んでもよい。このような場合には、すべての41の電極が、容量性感知に使用されてもよい。より少ない電極が使用されてもよい。
【0133】
注目すべきことには、アクチュエータ1201は、実質的に同時に、印加力を検出し触覚出力を生成することができる。たとえば、触覚信号は比較的低い周波数(他の周波数も考えられるが、たとえば2〜200Hz)を有し、容量性センサの駆動電極向けの駆動信号は比較的高い周波数(他の周波数も考えられるが、たとえば100〜200kHz)を有し得る。したがって、このような周波数は、アクチュエータ1201の電極層に実質的に同時に印加されてもよく、その結果、力入力による電気的変化も検出しながら、触覚出力が生成される。力感知システム1200のプロセッサ及び/又は回路は、力入力を感知したとき、触覚出力による、力測定値へのいかなる悪影響も緩和するために、触覚出力によるコンプライアント層1206のいかなる圧縮又は延出も補償し得る。
【0134】
キーボード100が、2本以上の指によって打たれるか又は作動され得る(キーボード全体又は上述の力感知ピクセルをカバーする単一の力感知領域などの)力感知領域を含む場合、力感知システムは、表面に接触する指の数に基づいて、力閾値を調整又は選択することができる。
【0135】
たとえば、ユーザが平坦な表面上の仮想キーを作動させようと試みていることを示す通常の力入力は、約25〜約150グラムの範囲であり得る。したがって、力感知システムがその値を上回る力入力を検出するとき、力感知システムは、その仮想キーの選択を記録するべきである。しかし、ユーザが、キーボードの表面に複数の指を載せている場合、力感知システムは、ゼロでない基準力を検出する場合がある。基準力のこの可変性は、入力をトリガするのに必要な力の量を実質的に小さくして、力入力の誤検出の原因となる可能性がある。一例として、3本の指がキーボードに載っていることによる基準力が20グラムである場合、キーボードに単に4本目の指を載せることが、装置に力入力を誤って識別させるのに十分である可能性がある。
【0136】
したがって、力感知システムは、所与の時点においてキーボードの入力表面に接触している指の数に基づき、キー押圧を示す力閾値を動的に判定することができる。
図13は、入力表面(たとえばカバー104)に接触している異なる指の数に基づいて、基準力及び力閾値の3つの例を示すグラフ1300を図示する。具体的には、基準力1302は、表面に載っている1本の指の力に対応し得る。次いで、力閾値は、基準力1302より上のある一定の値1306に設定され、その結果力閾値1304になる。同様に、基準力1308は、表面に載っている2本の指の力に対応することができ、力閾値は、基準力1308より上のある一定の値1312に設定され、その結果力閾値1310になり得る。3本の指が表面上に載っていると判定される場合、力閾値は、1314である基準力より上のある一定の値1318に設定され、その結果力閾値1316になり得る。場合によっては、力閾値は、基準力の値に関わらず、基準力の約30グラム上など、基準力よりも約25〜約150グラム高く設定される。他の状況では、力閾値は、表面に接触する指の数に応じて、基準力よりも異なる量だけ高く設定されてもよい。
【0137】
基準力1302、基準力1308、及び基準力1314は、キーボードの入力表面に載っている指の数に基づいて判定されてもよい。たとえば、表面に載っている1本の指に対応する基準力は、10グラムであると判定されてもよい。したがって、1本の指が表面で検出されるとき、基準力は、表面に印加される、任意の実際に検出される力に関わらず、10グラムでもよい。同様に、2本の指が表面で検出されるとき、基準力は20グラムなどでもよい。したがって、力閾値は、指によって表面に印加されている実際の力の量に関わらず、入力表面に接触している指の数に基づいて、任意の所与の時点で判定されてもよい。
【0138】
図14は、電子デバイスの入力表面でのキー押圧を検出するプロセス1400の一例を示す。プロセス1400は、本明細書に述べられる装置例のうちの任意のもので実施され得る。たとえば、プロセス1400を使用して、力入力に応じて、電子デバイスがどの動作(もしあれば)を実行するべきかを判定することができ、プロセス1400は、たとえば
図20に関して述べられる処理ユニット及び他のハードウェア要素を使用して実施されてもよい。プロセス1400は、電子デバイスのメモリの中に格納されるプロセッサ実行可能命令として実施され得る。
【0139】
動作1402では、電子デバイスの入力表面(たとえばカバー104の表面(
図1))に接触している指の数が判定される。たとえば、キーボード100のタッチ感知システムを使用して、何本の指がカバー104に接触しているかを判定することができる。
【0140】
動作1404では、キー押圧を示す力閾値が判定される。たとえば、キーボード100は、満たされた場合にキーボード100が入力領域(たとえば仮想キー)の選択を記録することになる力閾値を判定する。力閾値は、少なくとも部分的には、入力表面に接触している指の数に基づいて判定される。たとえば、力閾値は、入力表面に接触していると判定された指の数についての基準力より約25〜約150グラム大きくてもよい。接触している各指についての基準力は、10グラムでもよい。すなわち、入力表面に接触している追加的な各指は、基準力に更に10グラムを追加し得る。他の値も考えられる。また、指の数ごとの基準力は、直線的に増加しなくてもよい。たとえば、1本の指についての基準力は10グラムであり、8本の指についての基準力は40グラムであってもよい。
【0141】
動作1406では、力閾値を満たす力入力が検出される。力入力は、上述の力感知システムのうちの任意のものなどの力感知システムを用いて検出され得る。
【0142】
動作1408では、動作1406での力入力の検出に応じて、入力領域の選択が記録され得る。たとえば、閾値を満たす力入力が、あるキーの場所に印加されたと判定される場合、(たとえばテキスト文字に対応し得る)そのキーの選択が記録される。キーボード100は、電子デバイスに選択を伝えることができ、電子デバイスは、(アプリケーションへのテキスト文字の入力などの)適当な動作又は応答を実行することができる。
【0143】
場合によっては、力閾値は、代わりに、又は追加的に、検出される力入力の大きさに基づいて確定されてもよい。つまり、異なるユーザは、異なる力でキーボードに入力をタイプ又は印加する場合がある。より具体的には、第1のユーザは、キーを打つごとに比較的弱い力で(たとえば約10グラムである平均力で)タイプする可能性があり、第2のユーザは、キーを打つごとに比較的強い力で(たとえば約100グラムである平均力で)タイプする可能性がある。したがって、キーボード100は、ある数の入力を検出した後、力閾値を調整することによって、個々のユーザに適合し得る。たとえば、キーボード100は、キー領域に印加される入力、及び/又はキー押圧を示す周波数又は他のパターンを有する入力など、タイピング入力を示す入力(たとえばキー押圧)を検出することができ、それらの入力の平均力を判定することができる。次いで、キーボード100は、キー押圧の平均力に基づいて力閾値を調整することができる。すなわち、力閾値がキーボード100によって検出されるユーザの平均的タイピング力を著しく下回る場合、キーボード100は、(キー押圧として意図されていなかった)より軽いタッチを、キー押圧と取り違える可能性がある。一方、力閾値がキーボード100によって検出されるユーザの平均的タイピング力を著しく上回る場合、キーボード100は、ユーザの入力のすべてをキー押圧として認識しない可能性がある。したがって、キーボード100は、検出される平均的な力入力に基づいて、力閾値を動的に設定し得る。場合によっては、力閾値は、平均的タイピング力(又は任意の他の適した値)の1%、5%、10%、又は20%下など、平均的タイピング力を所定の量下回るところに設定されてもよい。
【0144】
平均的タイピング力は、(たとえば1時間ごと、5時間ごとなど)時間を基準とした周期で、又は(たとえばワードプロセッシングアプリケーションが開かれるたび、コンピュータが再起動されるたびなど)事象を基準としてなど、任意の適したインターバルで検出され得る。他のインターバル、周期、及びトリガ事象も企図される。
【0145】
キーレスキーボードは、トラックパッドと同様に、タッチ及び/又は運動をベースとした入力(たとえばスワイプ、ピンチ、ローテーション、又はタップ)を検出するタッチ感知システムも含み得る。したがって、入力表面を横切る動きに対応するタッチ入力が検出され得る。入力表面を横切る動きに対応するタッチ入力の検出に応じて、電子デバイスのディスプレイ上のカーソルの位置が変えられ得る。タッチ感知システムは、ユーザがタイピング(たとえば力入力)及び従来のトラックパッド入力(たとえばスワイプ、ピンチ、ローテーション、タップなど)を含めた種々のやり方で平坦なキーボードの表面と相互に作用できるように、キーボードのキーと同じ入力表面を共有してもよい。
【0146】
上記のように、キーボード100は、キーボード100の表面でのキー(たとえば仮想キー)の配列を変えることができるアダプタブルディスプレイを含んでもよい。
図15A〜
図17は、力感知と触覚出力との両方を含むキーボード100で実施され得る配列及び他の機能の例を図示する。
【0147】
たとえば、
図15A〜
図15Cを参照して述べるように、入力デバイス1500は、ユーザの指1532の場所を検出し、ユーザが自身の指1532をどこにどのように配置するかに従って、複数の入力領域を画定することができる。これにより、入力領域(又はキー)1506の様々な構成、サイズ及び位置が可能になることによって、ユーザエクスペリエンスを向上させることができる。
【0148】
図15Aに示されるように、入力表面1504は、初めは、画定された入力領域又は入力領域の視覚的な指示を備えない、非アクティブでもよい。ユーザの指1532が入力表面1504に近づくとき、入力表面1504は、
図15Bに示されるようにアクティブになることができる。たとえば、入力表面1504は、ユーザの指1532の存在及び/又は場所を検出する、タッチ感知システムなどの近接センサを組み込んでもよい。これらのセンサは、入力領域1506を画定する所望の場所を検出することができる。別法として、入力領域1506は、ジェスチャの実施、入力表面1504のタッチ、又は入力表面1504の押圧などの、追加的なユーザ動作に応じて画定されてもよい。
【0149】
入力領域1506(たとえば仮想キー)が適応的入力表面1504に画定されることと同時に、又はそれに応じて、入力領域1506は視覚的に示され得る。たとえば、入力表面1504の中のディスプレイは、仮想キー1506の場所を視覚的に示すことができる。仮想キー1506の場所は、加えて、又は代わりに、触知的に示されてもよい。たとえば、アクチュエータ(たとえば圧電アクチュエータ、静電素子など)が、ユーザによって仮想キー1506の物理的境界として知覚され得る振動又は他の出力を提供してもよい。たとえば、ユーザが仮想キー1506の中央に直接指を配置するとき、触覚出力は提供されなくてもよい。ユーザがその指をキーの境界へと動かす(又はキーの境界に最初に指を配置した)とき、アクチュエータは出力を生成し、それによってユーザの指がキーの境界にあるということをユーザに示すことができる。
【0150】
入力領域の場所及び入力領域の対応する視覚的しるしは、ユーザ対話に従って更に適応的になり得る。たとえば、入力デバイス1500は、複数のキーボード配列を格納するコンピュータ可読メモリを更に含んでもよく、各キーボード配列は、対応する視覚的表現を有する。
図15Bに示される配列は、第1の配列(たとえば仮想キーの第1の構成)でもよく、
図15Cは、第2の配列(たとえば仮想キーの第2の構成)でもよい。追加的な配列も、入力デバイス1500に格納されてもよく、又は別のコンピューティング装置によって入力デバイス1500に送られてもよい。
【0151】
図15Cに示されるように、ユーザの指1532が入力デバイス1500に異なる配置で、又は異なる場所に置かれる場合、入力領域1506は、異なるように(たとえば第2のキーボード配列に従って)画定され得る。
図15Cに図示されるように、ユーザの指は、
図15Bに示されるように直線ではなく、互いに対してある角度で、それまで非アクティブであった入力表面に配置される。入力デバイスは、人間工学的キーボード配列(たとえば、格納される第2のキーボード配列)に対応するものとしてこの配置を認識し、それに応じて入力領域1506、及び入力領域の対応する視覚的しるしを画定することができる。これらの例は、本質的に例示的であり、ユーザ対話、プログラムされた選好、又は入力デバイスと通信するアプリケーションを介したソフトウェア制御のいずれによるものであれ、別のキーボード配列又は入力方式が、本発明に従って実施されてもよい。
【0152】
力感知、触覚出力、及び適応的ディスプレイを含む入力デバイスを使用して、従来のキーボードとは異なるユーザインタフェースを画定することができる。
図16は、代替のユーザ入力が適応的入力表面1604に生成されるノートブックコンピュータ又はラップトップコンピュータ1642に組み込まれる入力デバイス1600の一例を示す。
【0153】
ノートブックコンピュータ1642は、ディスプレイ1644を備える上部部分と入力デバイス1600を収容する下部部分とを有するエンクロージャ1602を備える。エンクロージャは、(入力デバイス1600の処理ユニットと共有されてもよく、個別でもよい)処理ユニット、メモリ、コンピュータ可読媒体、入出力ポート、センサ、マイクロホン、スピーカなどの種々の構成要素を更に収容し得る。入力デバイス1600は、力感知システムと、タッチ感知システムと、1つ以上の触覚アクチュエータ(図示せず)とを含み得る。本明細書に述べられる力若しくはタッチ感知システム、又は触覚アクチュエータのうちの任意のものが、入力デバイス1600に使用され得る。
【0154】
入力デバイス1600は、(
図1のカバー104、又は本明細書に述べられる任意の他のカバーに対応し得る)適応的入力表面1604を有する。入力表面1604は、ノートブックコンピュータ1642のディスプレイ1644に描画されるアクティブソフトウェアアプリケーション(ここでは音楽プレーヤ)と相互に作用するように適合されることが示される。入力表面1604は、メディア再生コントロール1646及び仮想トラックパッド1648を含む、画定された入力領域を有する。入力表面1604は、音量コントロール1650用の入力領域も画定する。ユーザが音量コントロール1650に沿って指1632を滑らせるとき、入力デバイス1600のタッチ及び/又は力感知システムは、ユーザの指1632の運動を検出することができ、触覚アクチュエータが作動して(たとえば入力表面1604を発振又は振動させるように生じて)、ユーザに触覚フィードバックを提供することができる。触覚フィードバックの強度(たとえば周波数又は振幅)は、指1632が音量を上げるように滑るときは強まり、指1632が音量を下げるように滑るときは弱まってもよい。
【0155】
同様に、
図17は、ノートブックコンピュータ1742に組み込まれる入力デバイス1700の一例を示す。ノートブックコンピュータ1742は、ディスプレイ1744を備える上部部分と、本発明による入力デバイス1700を収容する下部部分とを有するエンクロージャ1702を備える。
【0156】
入力デバイス1700は、(
図1のカバー104又は本明細書に述べられる任意の他のカバーに対応し得る)適応的入力表面1704を有する。入力表面1704は、ノートブックコンピュータ1742のディスプレイ1744に描画されるソフトウェアアプリケーション(ここではウェブブラウザ)のユーザインタフェースと相互に作用するように適合されることが示される。入力表面1704が、仮想キーを備える標準的なキーボード配列をそれまで画定していたと仮定すると、ウェブブラウザが開かれたとき、仮想キー1706は偏移され、かつ/又は断ち切られ、仮想トラックパッド1748が入力表面1704の中央に再配置されてもよい。より目立つように位置付けられる仮想トラックパッド1748を用いて、ユーザ1732は、ポインタ1752を動かし、リンクをクリックすることを頻繁に必要とする場合があるウェブページをより容易に見て回ることができる。
【0157】
図18〜
図19に図示されるように、キーレスキーボードなどの本発明による入力デバイスは、多くの形態で実施され得る。入力デバイスは、
図16及び
図17に関して上に示されるように、ノートブックコンピュータなどの装置に組み込まれてもよく、
図18〜
図19に関して図示されるように、ホストコンピュータ又は他の装置と通信する個別の装置でもよい。
【0158】
図18は、デスクトップコンピュータ1854と通信するキーボード1800の一例を示す。キーボード1800は、有線又は無線接続を介してデスクトップコンピュータ1854と通信し得る。キーボード1800は、エンクロージャと、エンクロージャの中に位置決めされる適応的入力表面1804とを有する。入力表面1804は、入力領域1812を画定し、これは文字入力キーに対応し得る。キーボード1800は、本明細書に述べられる力感知システム及び/又は触覚アクチュエータ若しくは触覚出力システムを含んでもよい。
【0159】
図19は、カバーケースに組み込まれる入力デバイス1900の一例を示す。カバーケースは、ポータブルタブレットコンピューティング装置1956に取り付けられ、それと通信することができる。入力デバイス1900は、有線接続、電気的接触接続、又は無線接続を介してタブレット1956と通信することができる。入力デバイス1900は、入力領域1912を画定する適応的入力表面1904を有する。入力デバイス1900は、本明細書に述べられる力感知システム及び/又は触覚アクチュエータ若しくは触覚出力システムを含んでもよい。
【0160】
上記の図に示される装置の例は、本質的に例示的であることを意図したものであり、多数の他のやり方で実施されてもよい。更に、上記の例は、平坦で概ね平滑な入力表面を用いて図示されるが、本発明は、湾曲したタイプ、折れ曲がったタイプ、テクスチャ加工されたタイプ、粗いタイプ、及び他のタイプの表面を使用して実施することもできる。
【0161】
図20は、本明細書に述べられる実施形態による入力デバイスの構成要素の例を示す。
図20に示される概略図は、本明細書に述べられる装置の構成要素に対応し得る。しかし、
図20は、より一般に、本明細書に述べる実施形態による力感知システムと制御可能な触覚フィードバック要素とを含む、他のタイプの装置も表し得る。
【0162】
図20に示されるように、装置2000は、コンピュータメモリ2060に動作可能に接続される処理ユニット2058を含む。処理ユニット2058は、電子バス又はブリッジによって、メモリ2060構成要素に動作可能に接続され得る。処理ユニット2058は、コンピュータ可読命令に応じて動作を実行するように構成される1つ以上のコンピュータプロセッサ又はマイクロコントローラを含んでもよい。ノートブックコンピュータなどのより大きい装置に組み込まれる場合、処理ユニット2058は、より大きい装置の中央処理装置(central processing unit、CPU)でもよい。追加的に、又は別法として、処理ユニット2058は、特定用途向け集積チップ(application specific integrated chip、ASIC)及び他のマイクロコントローラ装置を含む、装置2000の中の他のプロセッサを含んでもよい。処理ユニット2058は、上の例に述べられる機能を実施することができる。
【0163】
メモリ2060は、たとえば、リードアクセスメモリ(read access memory、RAM)、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、消去可能プログラマブルメモリ(たとえばEPROM及びEEPROM)、又はフラッシュメモリを含めた、種々のタイプの非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい。メモリ2060は、コンピュータ可読命令、センサ値、及び他の永続性ソフトウェア要素を格納するように構成される。
【0164】
この例では、処理ユニット2058は、メモリ2060に格納されるコンピュータ可読命令を読み出すように動作可能である。コンピュータ可読命令は、本明細書に述べられる動作又は機能を実行するように処理ユニット2058を適合させることができる。コンピュータ可読命令は、コンピュータプログラム製品、ソフトウェアアプリケーションなどとして提供されてもよい。
【0165】
装置2000は、装置2000の構成要素に電力を供給するように構成されるバッテリ2062も含むことができる。バッテリ2062は、共にリンクされて電力の内部供給を可能にする1つ以上の蓄電セルを含んでもよい。バッテリ2062は、装置2000の中の個々の構成要素又は構成要素のグループに適当な電圧及び電力レベルを供給するように構成される電力管理回路に動作可能に連結されてもよい。バッテリ2062は、電力管理回路を介して、AC電力コンセントなどの外部電源から電力を受けることができる。バッテリ2062は、装置2000が数時間から数日におよび得る長時間、外部電源への接続なしで動作することができるように、受けた電力を貯蔵することができる。
【0166】
装置2000は、ディスプレイ2020(又は複数のディスプレイ2020)も含むことができる。ディスプレイ2020は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)、有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)ディスプレイ、エレクトロルミネッセント(electroluminescent、EL)ディスプレイ、電気泳動インク(eインク)ディスプレイなどを含んでもよい。ディスプレイ2020が、LCD又はeインクタイプのディスプレイである場合、ディスプレイ2020は、可変レベルのディスプレイ輝度を実現するように制御され得るバックライト構成要素も含み得る。ディスプレイ2020が、OLED又はELタイプのディスプレイである場合、ディスプレイ2020の輝度は、ディスプレイ要素に与えられる電気的信号を変えることによって制御され得る。ディスプレイ2020は、ディスプレイ1744(
図17)などの独立型ディスプレイ、及び/又はキーボード若しくは他の入力デバイスの適応的ディスプレイを含んでもよい。たとえば、ディスプレイ2020は、キーボードに組み込まれて、種々のキーボード配列又は他のユーザインタフェースを提示してもよい。
【0167】
いくつかの実施形態では、装置2000は、1つ以上の入力デバイス2064を含む。入力デバイス2064は、ユーザ入力を受けるように構成される装置である。入力デバイス2064は、たとえばプッシュボタン、タッチ作動式ボタンなどを含んでもよい。いくつかの実施形態では、入力デバイス2064は、たとえば電源ボタン、音量ボタン、ホームボタン、スクロールホイール、及びカメラボタンを含めた、専用の、又は1次的な機能を提供し得る。一般に、タッチ感知システム及び力感知システムは、入力デバイスとしても分類され得る。しかし、この図示される例では、タッチ感知システム(タッチ感知素子2018及びタッチ感知回路2070)並びに力感知システム(力感知素子2066及び力感知回路2072)は、装置2000の中の別個の構成要素として示される。
【0168】
装置2000は、タッチ感知システム(又は複数のタッチ感知システム)を含んでもよい。タッチ感知システムは、タッチ感知素子2018又は複数のタッチ感知素子2018と、タッチ感知回路2070とを含むことができる。タッチ感知システムは、電子デバイスのカバー又は入力表面などの、電子デバイスの他の構成要素を含むか又は組み込むこともできる。タッチ感知素子2018は、電極、電極層、又は他の構成要素を含んでもよく、上述のように相互容量又は自己容量タッチ感知方式に従って動作するように構成され得る。追加的に、又は別法として、表面弾性波センサ、抵抗性センサ、赤外線センサなど向けの要素など、他のタイプのタッチ感知方式用のタッチ感知素子2018が使用されてもよい。
【0169】
装置2000は、タッチ感知回路2070も含むことができる。タッチ感知回路2070は、タッチ感知素子2018に動作可能に連結されて、タッチ感知システムのすべて、又は一部を形成することができる。タッチ感知回路2070は、タッチ感知素子2018と共に、(キーレスキーボードの入力表面などの)入力表面での、又はその近くのタッチの場所を検出及び推定することができる。タッチ感知回路2070は、更に、タッチの検出された場所を示す信号又は他のしるしを出力することができる。タッチ感知回路2070は、更に、処理ユニット2058に動作可能に連結されてもよい。
【0170】
装置2000は、力感知システム(又は複数の力感知システム)も含むことができる。力感知システムは、入力表面に印加される力の量を検出及び/又は推定する任意の構成要素、又は構成要素のグループに対応し得る。たとえば、力感知システムは、力感知素子2066又は複数の力感知素子2066と、力感知回路2072とを含むことができる。力感知システムは、電子デバイスのカバー又は入力表面などの、電子デバイスの他の構成要素を含むか又は組み込むこともできる。装置が複数の力感知システムを含む場合、各力感知システムは、それ自体の個別の構成要素を含んでもよく(たとえば、それぞれが異なる力感知素子及び力感知回路を有してもよく)、いくつかの構成要素を共有してもよい(たとえば、各力感知システムは、それ自体の力感知素子をそれぞれ有するが、力感知回路は共有してもよい)。
【0171】
力感知素子2066は、キーレスキーボード(又は他の力感知入力デバイス)に印加される力入力に応じて、電気的値(たとえば抵抗、容量、電圧など)、検出可能な信号などの変化を生じさせることができる。感知素子2066は、電極又は他の導電性材料の層などの1つ以上の層として実施されてもよい。力感知素子の例は上に述べられており、容量性感知素子、電極、圧電材料、歪みゲージなどを含み得る。
【0172】
力感知回路2072は、力感知素子2066に動作可能に連結されて、力感知システムのすべて、又は一部を形成することができる。力感知回路2072は、力感知素子2066と共に、入力表面に印加される力の量を検出及び推定することができる。いくつかの実施形態では、力感知回路2072は、更に、印加力の場所を検出することができる。力感知回路2072は、更に、印加力の推定量を示す信号又は他のしるしを出力することができる。いくつかの実施形態では、力感知回路2072は、動的な、又は調整可能な力閾値を使用して動作し得る。力感知回路2072は、力閾値を超える印加力のみに従って信号を出力することができる。力感知回路2072は、更に、処理ユニット2058に動作可能に連結されてもよい。
【0173】
装置2000は、触覚アクチュエータ2026(又は複数の触覚アクチュエータ2026)も含むことができる。触覚アクチュエータ2026は、処理ユニット2058によって制御されてもよく、
図2〜
図6Cに関して上に図示されるように、装置2000と相互に作用するユーザに触覚フィードバックを提供することができる。いくつかの実施形態では、複数の触覚アクチュエータ2026が、入力表面の様々なエリアで、局所的なマクロな触覚フィードバックを提供することができる。
【0174】
装置2000は、外部の又は個別の装置から信号又は電気的通信を送るかつ/又は受けるように構成される通信ポート2068も含むことができる。通信ポート2068は、ケーブル、アダプタ、又は他のタイプの電気コネクタを介して外部装置に連結し得る。いくつかの実施形態では、通信ポート2068を使用して、ホストコンピュータに装置2000を連結することができる。通信ポート2068は、外部装置から制御情報を受けることができ、これは装置2000を動作させる、かつ/又は制御するために使用され得る。
【0175】
説明を目的とした前述の説明は、記述される実施形態の徹底した理解を可能にするために、具体的な専門語を使用した。しかし、記述される実施形態を実施するために、具体的な詳細は必要とされないことは、当業者には明らかであろう。したがって、本明細書に述べられる特定の実施形態の前述の説明は、実例及び説明の目的で提示されている。これらの説明は、網羅的であること、又は開示されるまさにその形態に実施形態を限定することを目標としたものではない。上記の教示に鑑みて、多くの修正形態及び変形形態が考えられることは、当業者には明らかであろう。たとえば、本明細書に開示される方法又はプロセスは、特定の順序で実施される特定の動作を参照して説明され、示されてきたが、これらの動作は、本開示の教示から逸脱しない限り、組み合わせられ、細分され、又は順序を変更されて、均等な方法又はプロセスを形成してもよい。更に、ある実施形態に関して本明細書に述べる構造体、フィーチャ、構成要素、材料、ステップ、プロセスなどは、その実施形態からなくされてもよく、他の実施形態に組み込まれてもよい。