特許第6846091号(P6846091)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846091
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】段積み型結束器
(51)【国際特許分類】
   B65B 27/10 20060101AFI20210315BHJP
   B65D 61/00 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   B65B27/10 Z
   B65D61/00 J
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-129820(P2018-129820)
(22)【出願日】2018年7月9日
(65)【公開番号】特開2020-7003(P2020-7003A)
(43)【公開日】2020年1月16日
【審査請求日】2019年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】598092786
【氏名又は名称】株式会社山田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100180264
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 貴大
(72)【発明者】
【氏名】山田 克己
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−042722(JP,U)
【文献】 特開2016−089567(JP,A)
【文献】 実開昭59−007104(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3071685(JP,U)
【文献】 特開平09−104439(JP,A)
【文献】 特開2018−076085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 27/00−27/12
B65D 61/00−63/18
B65D 67/00−67/02
B65D 19/00−19/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被結束物を下方から支える基材と、前記基材の両端から直立し被結束物を側方から押える二本の側辺材と、前記側辺材のそれぞれの先端部の間を開閉自在に架設し被結束物を上方から押圧する蓋材と、を有するフレームと、
複数台の前記フレームを使って被結束物を結束するとき、フレーム同士を繋ぐフレーム連結材と、
前記フレームの地面側に設けられ地面側が大きく開口している略四角錐台形状のキャップと、前記キャップの鉛直上方にあって前記蓋材に溶接されている上方連結部材と、を有し、
前記蓋材は山形鋼であって、前記蓋材として用いられる山形鋼の略L字型断面の一辺は被結束物を押圧し、もう一辺は上方に直立した直立部分であり、
前記キャップの上底の断面が、前記上方連結部材の断面よりも大きく、鉛直方向に見て、すべての前記キャップ及び前記上方連結部材のそれぞれの少なくとも一部分が、前記側辺材の一部分に重なっており、前記上方連結部材は前記山形鋼の一部が切り欠かれた部分において前記直立部分に溶接されており、前記キャップは前記側辺材に溶接されていることを特徴とする段積み型結束器。
【請求項2】
前記フレーム連結材が着脱自在であって、所望の長さの前記フレーム連結材を用いることで前記フレームの間隔を所望の距離に変更できることを特徴とする請求項1に記載の段積み型結束器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被結束物を多数まとめた結束物を段積みすることができる段積み型結束器に関する。
【背景技術】
【0002】
建築現場では、建築物の周囲に足場を組んで作業が行われることが多い。このような足場は、多数のパイプをジョイントで繋いで構築される。よって、足場作成のため、多数のパイプを運搬したり、また、保管したりする必要がある。そこで、50本から100本程度のパイプを一つに束ねて、運搬や保管を容易にする結束器が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、従来の結束器によってパイプを結束した様子を二方向から表した図である。結束器100は地面上に載置され、被結束物20を下方から支える基材111と、その基材111の両端から直立し被結束物20を側方から押える二本の側辺材112、113と、その側辺材112、113のそれぞれの先端間を架設する蓋材114と、を有している。蓋材114は、一方の側辺材113に備えられた回動軸に回動可能に係合しており、結束器100の上辺を閉じたり開いたりできる構造になっている。また、蓋材114としては、山形鋼を用いるとよい。山形鋼は90゜に折れ曲がった略L字型の断面をした部材であり、蓋材114として用いるときは、その一辺は被結束物20を押圧する面として用い、もう一辺は上方に直立させることで蓋材114の撓みを抑えることができる。つまり、蓋材114に山形鋼を用いることで、結束した被結束物20をワイヤ等で吊り上げたり、フォークリフトで持ち上げたりするときに、蓋材114が撓むのを抑制することができる。
【0004】
そして、長尺の被結束物20を束ねる際には、2台の結束器100を地面上に置き、それらの結束器100を架橋するように被結束物20を並べて収納する。このとき、規則正しく並べることで、結束器100の内側に所定の本数の被結束物20を収納することができ、蓋材114を閉じたときに、結束器100と被結束物20との間の隙間を極力小さくすることができる。
【0005】
ここで、被結束物20がパイプのように断面の強度が高い資材の場合は、結束器100で結束した結束物を上方向に段積みすることで場所を有効利用することができる。図7は、従来の結束器によって結束したパイプを段積みした様子を示す図である。このとき、上段の結束物を安定させるために、下段の被結束物20の上に直接上段の結束器100を置いて段積みすることになる。つまり、上下に位置する結束器100同士が接触しないように、結束器100の位置を予めずらしておく必要がある。特に、蓋材114が山形鋼の場合、上下に配置される結束器100の位置をずらさなければ、上段の結束物が大きく傾いてしまうことになる。なお、被結束物20を収納した後で、結束器100の位置をずらすことは困難であるため、段積みしたい場合には、予め被結束物20に対する結束器100の位置に十分注意を払っておかなければならない。
【0006】
また、被結束物20はパイプに限らず、断面強度の低い被結束物の場合もある。その場合は、下段の被結束物20の上に上段の結束器100を載せると、下段の被結束物20が撓んだり、破損したりすることがあり、段積みできないこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2989808号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような事情に鑑み、本発明は、結束器で結束する被結束物の断面強度が低い場合でも、結束物を上方に段積みして場所を有効利用することができる段積み型結束器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の段積み型結束器は、被結束物を下方から支える基材と、その基材の両端から直立し被結束物を側方から押える二本の側辺材と、その側辺材のそれぞれの先端部の間を架設し被結束物を上方から押圧する蓋材と、を有するフレームと、複数台のフレームを使って被結束物を結束するとき、フレーム同士を繋ぐフレーム連結材と、フレームの地面側に設けられ地面側が大きく開口している略四角錐台形状のキャップと、キャップの鉛直上方にあって蓋材の上面に設けられている上方連結部材と、を有し、キャップの上底の断面が、上方連結部材の断面よりも大きいことを特徴とするものである。
【0010】
ここで、鉛直方向に見て、キャップ及び上方連結部材のそれぞれの少なくとも一部分が、側辺材の一部分に重なっていることにするとよい。
【0011】
また、フレーム連結材が着脱自在であって、所望の長さのフレーム連結材を用いることでフレームの間隔を所望の距離に変更できることにするとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の段積み型結束器によれば、段積みする上段のキャップと下段の上方連結部材が嵌合することで、上段の結束物の重量が、下段の段積み型結束器のみに作用するので、段積みしても被結束物の破損等を防ぐことができるという効果を奏する。
【0013】
また、所望の長さのフレーム連結材を用いることで、様々な長さの被結束物を結束することができ、更に、上下の段積み型結束器のフレーム間隔を同一にすることができるので、段積み作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】段積み型結束器の正面図である。
図2】段積み型結束器の側面図である。
図3】既製品のパレット脚の寸法図である。
図4】段積み型結束器を用いて結束物を段積みする状況を説明する図である。
図5】段積み型結束器を用いて段積みした様子を示す側面図である。
図6】従来の結束器によってパイプを結束した様子を二方向から表した図である。
図7】従来の結束器によって結束したパイプを段積みした様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の段積み型結束器の正面図である。また、図2は、段積み型結束器の側面図である。
【0017】
本発明の段積み型結束器1の基本の構成は、被結束物を上下左右の四方向から囲んで結束するフレーム10と、フレーム10の下側に設けられた2つのキャップ17と、蓋材14の上側に設けられた2つの上方連結部材18と、フレーム10同士を繋ぐフレーム連結材15と、からなる。そして、結束物を段積みする場合は、下段の上方連結部材18と上段のキャップ17とを嵌合するものである。
【0018】
フレーム10は、被結束物を下方から支える基材11と、その基材11の両端から直立し被結束物を側方から押える二本の側辺材12,13と、その側辺材12,13のそれぞれの先端の間を架設し被結束物を上方から押圧する蓋材14と、を有している。フレーム10を構成する基材11、側辺材12,13及び蓋材14としては、山形鋼や溝形鋼等を用いることができ、ここでは山形鋼を用いた例を用いて説明する。
【0019】
フレーム10の地面側には、略四角錐台形状のキャップ17が設けられている。つまり、フレーム10を地面上に載置する場合は、キャップ17はフレーム10の脚の役目を果たし、上段に段積みするときは、上方連結部材18と嵌合する部材となる。
【0020】
このキャップ17は、四角錐体の下底が大きく開口している形状であり、この四角錐体の下底を地面側に向けて、フレーム10の下面に取り付けられている。なお、ここでは、四角錐体の底面のうち、面積が小さい側を上底とし、面積が大きい側を下底とする。キャップ17としては、鋼板を加工して製造してもよいし、既製品のパレット脚を使用してもよい。キャップ17の形状を略四角錐体形状としたのは、既製品のパレット脚を使用した場合は、四角錐体の斜面が僅かに膨らんだ曲面となっているためである。図3は、既製品のパレット脚の寸法図である。このようなパレット脚をキャップ17として用いた場合、上底が50mm角であり、下底は110mm角であるから、このキャップ17に嵌合する上方連結部材18としては、断面が50mm角よりも小さい部材(例えば、45mm角の角型鋼管や、外径がφ45mmの鋼管など)を用いることで、上方連結部材18がキャップ17の上底に当接するまでしっかりと嵌め込むことができる。
【0021】
蓋材14は、一方の側辺材13に備えられた回動軸に回動可能に係合しており、フレーム10の上辺を閉じたり開いたりできる構造になっている。そして、被結束物を出し入れするときは蓋材14を開け、被結束物を収納するときは蓋材14を閉じ、蓋材14と側辺材12をロックすることができる構造になっている。なお、ロックの構造は、結束した被結束物を吊り上げたときに、蓋材14が外れない程度に強固な構造であればよく、特定の構造に限定しない。
【0022】
また、この蓋材14の上面の2カ所に上方連結部材18が設けられている。上方連結部材18としては、角型鋼管や丸型鋼管等を用いることができる。ただし、上方連結部材18の先端面がキャップ17の上底に当接する場合は、上段の荷重に耐えられるだけの断面が必要である。また、蓋材14が山形鋼の場合は、上方連結部材18を溶接等で取り付ける部分は、山形鋼の一部を切り欠いたりして加工する必要がある。また、山形鋼の直立部分と上方連結部材18とを溶接することで、上方連結部材18と蓋材14との結合を強固にすることができる。
【0023】
上方連結部材18は、フレームを段積みするときに、上段のフレーム10のキャップ17と嵌合する部材なので、位置関係としては、キャップ17の鉛直上方に設けられていなければならないことになる。また、上述した通り、上方連結部合材18の断面は、キャップ17の上底の断面より小さくなければならない。つまり、上方連結材18の断面全体が、キャップ17の上底にすっぽり収まる必要がある。また、段積みしたときに上段の荷重を安全に下段に伝えるためには、鉛直方向にみて、キャップ17及び上方連結部材18のそれぞれの少なくとも一部分が、側辺材12,13の一部分に重なっている位置関係にあるとよい。つまり、具体的には、キャップ17の一部分が、側辺材12,13に溶接されていることにするとよい。
【0024】
被結束物は基本的には長尺の資材等なので、複数台のフレーム10を使って、結束が行われる。このとき、フレーム10を安定させるために、フレーム10同士をフレーム連結材15を用いて連結するとよい。フレーム連結材15の取り付けは、側辺材12,13にあけられたフレーム連結孔16を使ってボルト留めするとよい。ボルト留めにすることで、フレーム連結材15が着脱自在となり、被結束物の長さに応じた長さのフレーム連結材15を用いることが可能になるためである。そして、フレーム連結孔16は、側辺材12,13に複数箇所あけておくことで、フレーム連結材15を取り付ける高さや本数を変えることができる。つまり、低い位置にフレーム連結材15を取り付ければ、被結束物の出し入れが容易になるし、フレーム10を強固に連結したい場合は、複数本のフレーム連結材15を取り付けてもよい。また、フレーム連結材15を用いることで、フレーム間隔を一定にすることができるので、段積みするときに、下段の上方連結部材18と上段のキャップ17との位置合わせが容易になる。
【0025】
図4は、段積み型結束器を用いて結束物を段積みする状況を説明する図である。ここで、図4(a)は段積み直前の正面図、図4(b)は段積み後の正面図である。また、図5は、段積み型結束器を用いて段積みした様子を示す側面図である。従来の段積み方法では、被結束物(例えば、パイプ)の上に上段の結束器を載せていたが、本発明の段積み型結束器を用いて段積みする場合は、上下に位置する段積み型結束器1a、1b同士を結合する構成となっている。なお、図では2段に段積みした例を示しているが、3段以上に段積みすることも可能である。
【0026】
2組の段積み型結束器1a、1bでそれぞれ被結束物20を結束し、段積み型結束器1bの上に段積み型結束器1aを載せる。このとき、下段の段積み型結束器1bの上方連結部材18の上から、上段の段積み型結束器1aのキャップ17を被せることで、上方連結部材18とキャップ17が嵌合し、段積みが完成する。
【0027】
このように段積みすることで、被結束物20を含む上段の結束物全体の重量が下段のフレーム10にのみ作用することになり、フレーム10の強度が十分であれば、仮に下段の被結束物20の強度が低い場合でも、被結束物20の破損等を生じないことになる。なお、このとき、キャップ17と上方連結部材18とフレーム10の側辺材が一直線に並べば、上段の荷重を効果的に下段のフレーム10に伝えることができる。
【0028】
以上のような段積み型結束器であれば、段積みしたときに上段の荷重が下段の段積み型結束器1bのフレーム10にのみ作用するので、被結束物20を破損させることがないという効果を奏する。つまり、本発明の段積み型結束器を用いる場合は、被結束物としては、パイプ(鋼管、塩ビ管等)に限らず、様々な資材等を結束して段積みすることができ、特に個々の断面強度が低い資材等であってもよい。そして、このように上方に複数段の結束器を積み重ねることで、場所を有効利用することができる。
【0029】
また、段積みするそれぞれのフレーム連結材15を同じ長さにすることで、結束器の安定性を保つと共に、段積みを確実かつ容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0030】
1 段積み型結束器
1a 段積み型結束器(上段)
1b 段積み型結束器(下段)
5 結束物
10 フレーム
11 基材
12、13 側辺材
14 蓋材
15 フレーム連結材
16 フレーム連結孔
17 キャップ
18 上方連結部材
20 被結束物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7