特許第6846095号(P6846095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846095
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】撮像光学レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20210315BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20210315BHJP
【FI】
   G02B13/00
   !G02B13/18
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-129250(P2020-129250)
(22)【出願日】2020年7月30日
(65)【公開番号】特開2021-33275(P2021-33275A)
(43)【公開日】2021年3月1日
【審査請求日】2020年8月19日
(31)【優先権主張番号】201910764690.0
(32)【優先日】2019年8月19日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519312957
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス ソリューションズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】郭占利
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 弘之
(72)【発明者】
【氏名】ソン モン
【審査官】 岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−197100(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0139377(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0261779(US,A1)
【文献】 特開昭61−138225(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0307855(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0262806(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
G02B 21/02−21/04
G02B 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学レンズであって、
物体側から像側に向かって、順に、正の屈折力を有する第1レンズ、負の屈折力を有する第2レンズ、負の屈折力を有する第3レンズ、正の屈折力を有する第4レンズ、及び負の屈折力を有する第5レンズから構成され
前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第1レンズの軸上厚みをd1、前記第1レンズの像側の面から前記第2レンズの物体側の面までの軸上距離をd2、前記第3レンズの像側の面から前記第4レンズの物体側の面までの軸上距離をd6、前記第4レンズの像側の面から前記第5レンズの物体側の面までの軸上距離をd8、前記第2レンズの物体側の面の曲率半径をR3、前記第2レンズの像側の面の曲率半径をR4にしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする撮像光学レンズ。
−0.17≦f1/f2≦−0.12
1.80≦d1/d2≦2.20
0.15≦d6/d8≦0.20
8.00≦(R3+R4)/(R3−R4)≦10.00
【請求項2】
前記撮像光学レンズのシステム全体の焦点距離をf、前記第4レンズの物体側の面の曲率半径をR7にしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
11.00≦R7/f≦12.00
【請求項3】
前記撮像光学レンズのシステム全体の焦点距離をf、前記第1レンズの物体側の面の曲率半径をR1、前記第1レンズの像側の面の曲率半径をR2、前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
0.61≦f1/f≦1.86
−3.94≦(R1+R2)/(R1−R2)≦−1.17
0.07≦d1/TTL≦0.22
【請求項4】
前記撮像光学レンのシステム全体の焦点距離をf、前記第2レンズの軸上厚みをd3、前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
−19.80≦f2/f≦−4.92
0.03≦d3/TTL≦0.10
【請求項5】
前記第3レンズの焦点距離をf3、前記撮像光学レンズのシステム全体の焦点距離をf、前記第3レンズの物体側の面の曲率半径をR5、前記第3レンズの像側の面の曲率半径をR6、前記第3レンズの軸上厚みをd5、前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
−5.62≦f3/f≦−1.64
−5.34≦(R5+R6)/(R5−R6)≦−1.35
0.03≦d5/TTL≦0.09
【請求項6】
前記第4レンズの焦点距離をf4、前記撮像光学レンズのシステム全体の焦点距離をf、前記第4レンズの物体側の面の曲率半径をR7、前記第4レンズの像側の面の曲率半径をR8、前記第4レンズの軸上厚みをd7、前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
0.27≦f4/f≦0.86
0.47≦(R7+R8)/(R7−R8)≦1.43
0.09≦d7/TTL≦0.29
【請求項7】
前記第5レンズの焦点距離をf5、前記撮像光学レンズのシステム全体の焦点距離をf、前記第5レンズの物体側の面の曲率半径をR9、前記第5レンズの像側の面の曲率半径をR10、前記第5レンズの軸上厚みをd9、前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
−1.28≦f5/f≦−0.41
0.84≦(R9+R10)/(R9−R10)≦2.61
0.04≦d9/TTL≦0.14
【請求項8】
前記撮像光学レンズの光学全長をTTL、前記撮像光学レンズの像高をIHにしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
TTL/IH≦1.61
【請求項9】
前記撮像光学レンズの画角をFovにしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
Fov≧78.00°
【請求項10】
前記撮像光学レンズの絞りF値をFnoにしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
Fno≦2.05
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズの分野に関し、特に、スマートフォン、デジタルカメラ等の携帯端末装置、並びにモニター、PCレンズ等の撮像装置に適用される撮像光学レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンの登場に伴い、小型化の撮像レンズに対するニーズがますます高まっているが、一般的な撮像レンズの感光素子は、通常、感光結合素子(Charge Coupled Device、CCD)又は相補型金属酸化物半導体素子(Complementary Metal−OxideSemicondctor Sensor、CMOS Sensor)の2種類程度しかなく、また、半導体製造工程技術の向上により、感光素子の画素サイズが縮小され、さらに、現在の電子製品は、優れた機能及び軽量化・薄型化・小型化の外観への要求が高まっているので、良好な結像品質を有する小型化の撮像レンズは、現在の市場において既に主流となっている。
【0003】
優れた結像品質を得るために、携帯電話のカメラに搭載される従来のレンズは、3枚式又は4枚式のレンズ構造を用いることが多い。しかしながら、技術の進化及びユーザの多様化ニーズの増加に伴い、感光素子の画素面積が縮小しつつあり、システムの結像品質に対する要求が高くなってきているなか、5枚式のレンズ構造も徐々にレンズの設計に現れている。一般的な5枚式のレンズは既に良好な光学性能を持っているが、その屈折力、レンズの間隔とレンズの形状の設置は依然としてある程度の不合理的なところがあるため、レンズの構造は良好な光学性能を有するものの、大絞り、長焦点距離、極薄化の設計要件を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、良好な光学性能を有すると共に、大絞り、広角化及び極薄化の設計要件を満たすことができる撮像光学レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題を解決するために、本発明の実施形態には、撮像光学レンズが提供され、前記撮像光学レンズは、物体側から像側に向かって、順に、正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、負の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズと、負の屈折力を有する第5レンズとを備え、
前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第1レンズの軸上厚みをd1、第1レンズの像側の面から第2レンズの物体側の面までの軸上距離をd2、前記第3レンズの像側の面から前記第4レンズの物体側の面までの軸上距離をd6、前記第4レンズの像側の面から前記第5レンズの物体側の面までの軸上距離をd8、前記第2レンズの物体側の面の曲率半径をR3、前記第2レンズの像側の面の曲率半径をR4にしたときに、以下の関係式を満たす。
−0.17≦f1/f2≦−0.12
1.80≦d1/d2≦2.20
0.15≦d6/d8≦0.20
8.00≦(R3+R4)/(R3−R4)≦10.00
【0006】
好ましくは、前記撮像光学レンズのシステム全体の焦点距離をf、前記第4レンズの物体側の面の曲率半径をR7にしたときに、以下の関係式を満たす。
11.00≦R7/f≦12.00
【0007】
好ましくは、前記撮像光学レンズのシステム全体の焦点距離をf、前記第1レンズの物体側の面の曲率半径をR1、前記第1レンズの像側の面の曲率半径をR2、前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たす。
0.61≦f1/f≦1.86
−3.94≦(R1+R2)/(R1−R2)≦−1.17
0.07≦d1/TTL≦0.22
【0008】
好ましくは、前記撮像光学レンのシステム全体の焦点距離をf、前記第2レンズの軸上厚みをd3、前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たす。
−19.80≦f2/f≦−4.92
0.03≦d3/TTL≦0.10
【0009】
好ましくは、前記第3レンズの焦点距離をf3、前記撮像光学レンズのシステム全体の焦点距離をf、前記第3レンズの物体側の面の曲率半径をR5、前記第3レンズの像側の面の曲率半径をR6、前記第3レンズの軸上厚みをd5、前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たす。
−5.62≦f3/f≦−1.64
−5.34≦(R5+R6)/(R5−R6)≦−1.35
0.03≦d5/TTL≦0.09
【0010】
好ましくは、前記第4レンズの焦点距離をf4、前記撮像光学レンズのシステム全体の焦点距離をf、前記第4レンズの物体側の面の曲率半径をR7、前記第4レンズの像側の面の曲率半径をR8、前記第4レンズの軸上厚みをd7、前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たす。
0.27≦f4/f≦0.86
0.47≦(R7+R8)/(R7−R8)≦1.43
0.09≦d7/TTL≦0.29
【0011】
好ましくは、前記第5レンズの焦点距離をf5、前記撮像光学レンズのシステム全体の焦点距離をf、前記第5レンズの物体側の面の曲率半径をR9、前記第5レンズの像側の面の曲率半径をR10、前記第5レンズの軸上厚みをd9、前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、以下の関係式を満たす。
−1.28≦f5/f≦−0.41
0.84≦(R9+R10)/(R9−R10)≦2.61
0.04≦d9/TTL≦0.14
【0012】
好ましくは、前記撮像光学レンズの光学全長をTTL、前記撮像光学レンズの像高をIHにしたときに、以下の関係式を満たす。
TTL/IH≦1.61
【0013】
好ましくは、前記撮像光学レンズの画角をFovにしたときに、以下の関係式を満たす。
Fov≧78.00°
【0014】
好ましくは、前記撮像光学レンズの絞りF値をFnoにしたときに、以下の関係式を満たす。
Fno≦2.05
【発明の効果】
【0015】
本発明の有益な効果は下記の通りである。
【0016】
本発明によれば、撮像光学レンズは、優れた光学特性を有し、且つ大絞り、広角化及び極薄化の特性を有し、特に高画素用のCCD、CMOS等の撮像素子から構成される携帯電話の撮像レンズ部品とWEB撮像レンズに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例における技術考案をより明確に説明するために、以下、実施例の記載に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に記載された図面は本発明の幾つかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、発明的努力をしなくても、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもでき、そのうち、
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る撮像光学レンズの構造を示す図である。
図2図2は、図1に示す撮像光学レンズの球面収差を示す図である。
図3図3は、図1に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す図である。
図4図4は、図1に示す撮像光学レンズの像面湾曲及び歪曲収差を示す図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態に係る撮像光学レンズの構造を示す図である。
図6図6は、図5に示す撮像光学レンズの球面収差を示す図である。
図7図7は、図5に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す図である。
図8図8は、図5に示す撮像光学レンズの像面湾曲及び歪曲収差を示す図である。
図9図9は、本発明の第3実施形態に係る撮像光学レンズの構造を示す図である。
図10図10は、図9に示す撮像光学レンズの球面収差を示す図である。
図11図11は、図9に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す図である。
図12図12は、図9に示す撮像光学レンズの像面湾曲及び歪曲収差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の目的、技術考案及び利点をより明確にするために、以下に、図面を参照しながら本発明の各実施形態を詳しく説明する。ただし、本発明の各実施形態において、本発明に対する理解を便宜にするために、多くの技術的細部まで記載されているが、これらの技術的細部及び以下の各実施形態に基づく種々の変更及び修正がなくても、本発明が保護しようとする技術考案を実現可能であることは、当業者にとっては自明なことである。
【0019】
(第1実施形態)
図面を参照すれば分かるように、本発明には、撮像光学レンズ10が提供される。図1には、本発明の第1実施形態の撮像光学レンズ10を示しており、当該撮像光学レンズ10は、5枚のレンズを備える。具体的には、前記撮像光学レンズ10は、物体側から像側に向かって、順に、絞りS1、正の屈折力を有する第1レンズL1、負の屈折力を有する第2レンズL2、負の屈折力を有する第3レンズL3、正の屈折力を有する第4レンズL4及び負の屈折力を有する第5レンズL5を備える。また、第5レンズL5と像面Siとの間には、光学フィルターGF等の光学素子が設けられてもよい。
【0020】
本実施形態において、前記第1レンズL1の焦点距離をf1、前記第2レンズL2の焦点距離をf2にしたときに、−0.17≦f1/f2≦−0.12の関係式が設立され、前記第1レンズL1の焦点距離と第2レンズL2の焦点距離の比が規定される。上記の関係式の範囲内にあると、システムの球面収差の補正に有利であり、結像品質を向上させる。
【0021】
前記第1レンズL1の軸上厚みをd1、前記第1レンズL1の像側の面から前記第2レンズL2の物体側の面までの軸上距離をd2にしたときに、1.80≦d1/d2≦2.20の関係式が設立され、第1レンズL1の厚み及び第1レンズL1と第2レンズL2との間の空気の間隔距離の比が規定される。上記の関係式を満たす場合、レンズの製造及び組立に有利である。
【0022】
前記第3レンズL3の像側の面から前記第4レンズL4の物体側の面までの軸上距離をd6、前記第4レンズL4の像側の面から前記第5レンズL5の物体側の面までの軸上距離をd8にしたときに、0.15≦d6/d8≦0.20の関係式が設立され、d6/d8が上記の関係式を満たす場合、システムの全長を短くすることに有利である。
【0023】
前記第2レンズL2の物体側の面の曲率半径をR3、前記第2レンズL2の像側の面の曲率半径をR4にしたときに、8.00≦(R3+R4)/(R3−R4)≦10.00の関係式が設立され、第2レンズL2の形状が規定される。上記の関係式に規定された範囲内にあると、レンズを通過する光線のずれの程度を緩和することができ、収差を有効的に減少させることができる。
【0024】
前記撮像光学レンズ10のシステム全体の焦点距離をf、前記第4レンズL4の物体側の面の曲率半径をR7にしたときに、11.00≦R7/f≦12.00の関係式が設立される。R7/fが上記の関係式を満たす場合、光学系の性能を向上させることに役立つ。
【0025】
前記撮像光学レンズ10のシステム全体の焦点距離をf、前記第1レンズL1の焦点距離をf1にしたときに、0.61≦f1/f≦1.86の関係式が設立され、前記第1レンズL1の正の屈折力とシステム全体の焦点距離の比が規定される。規定された範囲内にあると、第1レンズL1は適当な正の屈折力を有することで、システムの収差の減少に有利であると共に、レンズの極薄化、広角化にも有利である。
【0026】
前記第1レンズL1の物体側の面の曲率半径をR1、前記第1レンズL1の像側の面の曲率半径をR2にしたときに、−3.94≦(R1+R2)/(R1−R2)≦−1.17の関係式が設立される。第1レンズL1の形状を合理的に制御することで、第1レンズL1はシステムの球面収差を効果的に補正することができる。
【0027】
前記第1レンズL1の軸上厚みをd1、前記撮像光学レンズ10の光学全長をTTLにしたときに、0.07≦d1/TTL≦0.22の関係式が設立される。これにより、極薄化の実現に有利である。
【0028】
前記撮像光学レンズ10のシステム全体の焦点距離をf、前記第2レンズL2の焦点距離をf2にしたときに、−19.80≦f2/f≦−4.92の関係式が設立される。第2レンズL2の負の屈折力を合理的な範囲に制御することで、光学系の収差を補正することに有利である。
【0029】
前記第2レンズL2の軸上厚みをd3、前記撮像光学レンズ10の光学全長をTTLにしたときに、0.03≦d3/TTL≦0.10の関係式が設立される。これにより、極薄化の実現に有利である。
【0030】
前記第3レンズの焦点距離をf3、前記撮像光学レンズのシステム全体の焦点距離をfにしたときに、−5.62≦f3/f≦−1.64の関係式が設立される。屈折力を合理的に配分することで、システムとして、優れた結像品質及び低い感度を有する。
【0031】
第3レンズL3の物体側の面の曲率半径をR5、第3レンズL3の像側の面の曲率半径をR6にしたときに、−5.34≦(R5+R6)/(R5−R6)≦−1.35の関係式が設立される。第3レンズL3の形状が規定される。これにより、第3レンズL3の成型に有利であると共に、第3レンズL3の表面の曲率が大きすぎることによる成型不良及び応力の発生を回避することができる。
【0032】
前記第3レンズL3の軸上厚みをd5、前記撮像光学レンズの光学全長をTTLにしたときに、0.03≦d5/TTL≦0.09の関係式が設立される。これにより、極薄化の実現に有利である。
【0033】
前記第4レンズL4の焦点距離をf4、前記撮像光学レンズ10のシステム全体の焦点距離をfにしたときに、0.27≦f4/f≦0.86の関係式が設立される。屈折力を合理的に配分することで、システムとして、優れた結像品質及び低い感度を有する。
【0034】
前記第4レンズL4の物体側の面の曲率半径をR7、前記第4レンズL4の像側の面の曲率半径をR8にしたときに、:0.47≦(R7+R8)/(R7−R8)≦1.43の関係式が設立され、第4レンズL4の形状が規定される。上記の関係式の範囲内にあると、極薄化・広角化が進むに従って、軸外画角の収差等の問題の補正に有利である。
【0035】
前記第4レンズL4の軸上厚みをd7、前記撮像光学レンズ10の光学全長をTTLにしたときに、0.09≦d7/TTL≦0.29の関係式が設立される。これにより、極薄化の実現に有利である。
【0036】
前記第5レンズL5の焦点距離をf5にしたときに、−1.28≦f5/f≦−0.41の関係式が設立される。このように第5レンズL5を限定することで、撮像レンズの光線角度を緩やかにし、公差感度を低減させることができる。
【0037】
前記第5レンズL5の物体側の面の曲率半径をR9、前記第5レンズL5の像側の面の曲率半径をR10にしたときに、:0.84≦(R9+R10)/(R9−R10)≦2.61の関係式が設立され、第5レンズL5の形状が規定される。上記の関係式の範囲内にあると、極薄化・広角化が進むに従って、軸外画角の収差等の問題の補正に有利である。
【0038】
前記第5レンズL5の軸上厚みをd9、前記撮像光学レンズ10の光学全長をTTLにしたときに、0.04≦d9/TTL≦0.14の関係式が設立される。これにより、極薄化の実現に有利である。
【0039】
さらに、撮像光学レンズ10の光学全長をTTL、撮像光学レンズ10の像高をIHにしたときに、TTL/IH≦1.61の関係式が設立され、極薄化の実現に有利である。撮像光学レンズ10の絞りF値をFnoにしたときに、Fno≦2.05の関係式が設立され、大絞りの実現に有利であり、結像性能を優れたものにする。画角をFovにしたときに、Fov≧78.00°の関係式が設立され、広角化の実現に有利である。即ち、上記の関係式を満たす場合、撮像光学レンズ10は良好な光学結像性能を有すると共に、大絞り、広角化、極薄化の設計要件を満たすこともできる。当該撮像光学レンズ10の特性によれば、当該撮像光学レンズ10は特に高画素用のCCD、CMOS等の撮像素子から構成される携帯電話の撮像レンズ部品とWEB撮像レンズに適用される。
【0040】
以下、実施例を用いて、本発明に係る撮像光学レンズ10を説明する。各実施例に記載の符号は以下の通りである。焦点距離、軸上距離、曲率半径、軸上厚み、変曲点位置及び停留点位置の単位は、mmである。
【0041】
TTL:光学全長(第1レンズL1の物体側の面から結像面までの軸上距離)、単位はmmである。
【0042】
好ましくは、高品質な結像性能を得られるように、前記レンズの物体側の面及び/又は像側の面に、変曲点及び/又は停留点がさらに設けられていてもよい。具体的な実施案については、後述する。
【0043】
表1、表2は、本発明の第1実施形態に係る撮像光学レンズ10の設定データを示す。
【0044】
【表1】
【0045】
ここで、各符号の意味は、以下の通りである。
S1 :絞り
R :光学面の曲率半径、レンズの場合は中心曲率半径
R1 :第1レンズL1の物体側の面の曲率半径
R2 :第1レンズL1の像側の面の曲率半径
R3 :第2レンズL2の物体側の面の曲率半径
R4 :第2レンズL2の像側の面の曲率半径
R5 :第3レンズL3の物体側の面の曲率半径
R6 :第3レンズL3の像側の面の曲率半径
R7 :第4レンズL4の物体側の面の曲率半径
R8 :第4レンズL4の像側の面の曲率半径
R9 :第5レンズL5の物体側の面の曲率半径
R10 :第5レンズL5の像側の面の曲率半径
R11 :光学フィルターGFの物体側の面の曲率半径
R12 :光学フィルターGFの像側の面の曲率半径
d :レンズの軸上厚み、又は、レンズ間の軸上距離
d0 :絞りS1から第1レンズL1の物体側の面までの軸上距離
d1 :第1レンズL1の軸上厚み
d2 :第1レンズL1の像側の面から第2レンズL2の物体側の面までの軸上距離
d3 :第2レンズL2の軸上厚み
d4 :第2レンズL2の像側の面から第3レンズL3の物体側の面までの軸上距離
d5 :第3レンズL3の軸上厚み
d6 :第3レンズL3の像側の面から第4レンズL4の物体側の面までの軸上距離
d7 :第4レンズL4の軸上厚み
d8 :第4レンズL4の像側の面から第5レンズL5の物体側の面までの軸上距離
d9 :第5レンズL5の軸上厚み
d10 :第5レンズL5の像側の面から光学フィルターGFの物体側の面までの軸上距離
d11 :光学フィルターGFの軸上厚み
d12 :光学フィルターGFの像側の面から像面までの軸上距離
nd :d線の屈折率
nd1 :第1レンズL1のd線の屈折率
nd2 :第2レンズL2のd線の屈折率
nd3 :第3レンズL3のd線の屈折率
nd4 :第4レンズL4のd線の屈折率
nd5 :第5レンズL5のd線の屈折率
ndg :光学フィルターGFのd線の屈折率
vd :アッベ数
v1 :第1レンズL1のアッベ数
v2 :第2レンズL2のアッベ数
v3 :第3レンズL3のアッベ数
v4 :第4レンズL4のアッベ数
v5 :第5レンズL5のアッベ数
vg :光学フィルターGFのアッベ数
【0046】
表2は、本発明の第1実施形態に係る撮像光学レンズ10における各レンズの非球面のデータを示す。
【0047】
【表2】
【0048】
ここで、kは円錐係数であり、A4、A6、A8、A10、A12、A14、A16、A18、A20は非球面係数である。
y=(x/R)/[1+{1−(k+1)(x/R)}1/2]+A4x+A6x+A8x+A10x10+A12x12+A14x14+A16x16+A18x18+A20x20 (1)
【0049】
各レンズ面の非球面は、便宜上、上記式(1)で表される非球面を使用しているが、本発明は、この式(1)で表される非球面多項式に限定されるものではない。
【0050】
表3、表4は、本発明の第1実施形態に係る撮像光学レンズ10における各レンズの変曲点及び停留点の設定データを示す。ここで、P1R1、P1R2は、それぞれ第1レンズL1の物体側の面と像側の面を示し、P2R1、P2R2は、それぞれ第2レンズL2の物体側の面と像側の面を示し、P3R1、P3R2は、それぞれ第3レンズL3の物体側の面と像側の面を示し、P4R1、P4R2は、それぞれ第4レンズL4の物体側の面と像側の面を示し、P5R1、P5R2は、それぞれ第5レンズL5の物体側の面と像側の面を示す。また、「変曲点位置」欄の対応するデータは、各レンズの表面に設けられた変曲点から撮像光学レンズ10の光軸までの垂直距離であり、「停留点位置」欄の対応するデータは、各レンズの表面に設けられた停留点から撮像光学レンズ10の光軸までの垂直距離である。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
図2は、波長435nm、470nm、510nm、555nm、610nm及び650nmの光が第1実施形態に係る撮像光学レンズ10を通った後の球面収差を示す図であり、図3は、波長435nm、470nm、510nm、555nm、610nm及び650nmの光が第1実施形態に係る撮像光学レンズ10を通った後の倍率色収差を示す図である。図4は、波長555nmの光が第1実施形態に係る撮像光学レンズ10を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す図であり、図4の像面湾曲Sは、サジタル方向の像面湾曲であり、Tは、子午方向の像面湾曲である。
【0054】
後記の表13には、実施例1、実施例2、実施例3の諸数値及び関係式で規定されたパラメータに対応する値を示す。
【0055】
表13に示されるように、第1実施形態は、各関係式を満たしている。
【0056】
本実施形態において、前記撮像光学レンズの入射瞳径が1.359mmであり、全視野の像高が2.300mmであり、対角線方向の画角が78.40°である。これにより、前記撮像光学レンズ10は大絞り、広角化、極薄化となり、軸上、軸外の色収差が十分に補正され、優れた光学特性を有する。
【0057】
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態とほぼ同じであり、符号の意味も第1実施形態と同様であり、当該第2実施形態の撮像光学レンズ20の構成を図5に示し、異なる点のみを以下に示す。
【0058】
表5、表6は、本発明の第2実施形態に係る撮像光学レンズ20の設定データを示す。
【0059】
【表5】
【0060】
表6は、本発明の第2実施形態に係る撮像光学レンズ20における各レンズの非球面のデータを示す。
【0061】
【表6】
【0062】
表7、表8は、本発明の第2実施形態に係る撮像光学レンズ20における各レンズの変曲点及び停留点の設定データを示す。
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】
図6は、波長435nm、470nm、510nm、555nm、610nm及び650nmの光が第2実施形態に係る撮像光学レンズ20を通った後の球面収差を示す図であり、図7は、波長435nm、470nm、510nm、555nm、610nm及び650nmの光が第2実施形態に係る撮像光学レンズ20を通った後の倍率色収差を示す図である。図8は、波長555nmの光が第2実施形態に係る撮像光学レンズ20を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す図である。
【0066】
表13に示されるように、第2実施形態は、各関係式を満たしている。
【0067】
本実施形態において、前記撮像光学レンズの入射瞳径が1.355mmであり、全視野の像高が2.300mmであり、対角線方向の画角が78.40°である。これにより、前記撮像光学レンズ20は大絞り、広角化、極薄化となり、軸上、軸外の色収差が十分に補正され、優れた光学特性を有する。
【0068】
(第3実施形態)
第3実施形態は、第1実施形態とほぼ同じであり、符号の意味も第1実施形態と同様であり、当該第3実施形態の撮像光学レンズ30の構成を図9に示し、異なる点のみを以下に示す。
【0069】
表9、表10は、本発明の第3実施形態に係る撮像光学レンズ30の設定データを示す。
【0070】
【表9】
【0071】
表10は、本発明の第3実施形態に係る撮像光学レンズ30における各レンズの非球面のデータを示す。
【0072】
【表10】
【0073】
表11、表12は、本発明の第3実施形態に係る撮像光学レンズ30における各レンズの変曲点及び停留点の設定データを示す。
【0074】
【表11】
【0075】
【表12】
【0076】
図10は、波長435nm、470nm、510nm、555nm、610nm及び650nmの光が第3実施形態に係る撮像光学レンズ30を通った後の球面収差を示す図であり、図11は、波長435nm、470nm、510nm、555nm、610nm及び650nmの光が第3実施形態に係る撮像光学レンズ30を通った後の倍率色収差を示す図である。図12は、波長555nmの光が第3実施形態に係る撮像光学レンズ30を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す図である。
【0077】
後記の表13には、上記の関係式ごとに本実施形態における各関係式に対応する数値を示しており、明らかに、本実施形態の撮像光学レンズは、上記の関係式を満たしている。
【0078】
本実施形態において、前記撮像光学レンズの入射瞳径が1.359mmであり、全視野の像高が2.300mmであり、対角線方向の画角が78.40°である。これにより、前記撮像光学レンズ30は大絞り、広角化、極薄化となり、軸上、軸外の色収差が十分に補正され、優れた光学特性を有する。
【0079】
【表13】
【0080】
上記の各実施形態は本発明を実現するための具体的な実施形態であるが、実際の応用において、本発明の主旨及び範囲から逸脱しない範囲での形式及び細部に対する各種の変更は、いずれも本発明の保護範囲に属することは、当業者であれば理解できるはずである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12