特許第6846163号(P6846163)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846163
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】建物の外壁構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20210315BHJP
   E04F 13/12 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   E04F13/08 101P
   E04F13/12 A
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-214064(P2016-214064)
(22)【出願日】2016年11月1日
(65)【公開番号】特開2018-71243(P2018-71243A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(73)【特許権者】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】小濱 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 清隆
(72)【発明者】
【氏名】幸山 貴広
(72)【発明者】
【氏名】藤沼 智洋
(72)【発明者】
【氏名】添田 智美
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 仁
(72)【発明者】
【氏名】鴨下 栄紀
(72)【発明者】
【氏名】柴田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】大園 道昭
【審査官】 瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−094790(JP,A)
【文献】 特開2000−110275(JP,A)
【文献】 特開平06−026167(JP,A)
【文献】 特開平07−076921(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0308196(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08−13/30
E04B 1/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁をなす外壁パネルと、上記外壁パネルの屋内側に配置された胴縁と、上記胴縁間で上記外壁パネルの屋内面に貼り付けられた不燃材料からなる耐火ボードと、を備えており、
各耐火ボードの固定先は1枚の外壁パネルのみであることを特徴とする建物の外壁構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建物の外壁構造において、上記耐火ボードとして2枚以上の耐火ボードが貼り付けられていることを特徴とする建物の外壁構造。
【請求項3】
請求項2に記載の建物の外壁構造において、上記外壁パネルの最も近くに位置する第1層耐火ボードは上記外壁パネルに留め付けられ、上記第1層耐火ボードの屋内側に配置される第2層耐火ボードは、上記第1層耐火ボードまたは上記外壁パネルに留め付けられることを特徴とする建物の外壁構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の建物の外壁構造において、上記耐火ボードは、隣り合う外壁パネル間の目地を跨がないで取り付けられるか、或いは目地を跨いでも一方の外壁パネルにのみ固定されることを特徴とする建物の外壁構造。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の建物の外壁構造において、隣り合う外壁パネルの端部が当該外壁パネルの端部側の胴縁からそれぞれ跳ね出ており、上記端部間に形成される目地の屋内側の両端部側の胴縁間に、不燃材料からなる耐火ボードが配置されており、上記耐火ボードは、上記両端部側の胴縁に固定された支え部材に留め付けられていることを特徴とする建物の外壁構造。
【請求項6】
請求項5に記載の建物の外壁構造において、上記目地の箇所に配置される上記耐火ボードとして2枚以上の耐火ボードが貼り付けられており、上記留め付けを行うビスの先端は、上記外壁パネルの最も近くに位置する耐火ボードに至ることを特徴とする建物の外壁構造。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の建物の外壁構造において、上記胴縁と上記耐火ボードの縁間に間隙が形成されていることを特徴とする建物の外壁構造。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の建物の外壁構造による第1構造部と、この第1構造部に用いる外壁パネルと同じ厚さの外壁パネルを有する一方で上記耐火ボードは有しないか、または当該耐火ボードよりも薄い耐火ボードを有する第2構造部とを混在させたことを特徴とする建物の外壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、耐火性能が向上された建物の外壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば要求耐火時間30分を満足する外壁パネルと、要求耐火時間60分を満足する外壁パネルでは、後者の方の厚みが厚く形成されているため、これらを混在させて外壁パネルを造ると、上記外壁パネルを支持する胴縁の位置に違いが生じることになる。
【0003】
また、耐火性が向上された建物の外壁構造として、特許文献1に記載の外壁パネルの目地部構造が知られている。この外壁パネルの目地部構造は、左右に隣り合う外壁パネル間の縦目地の目地部構造であって、上記各外壁パネルを建物躯体に取付ける縦方向の胴縁が、上記縦目地からパネル横幅方向に離れた位置にあり、上記外壁パネルの裏側で、上記縦目地に跨がり上記縦目地の長手方向に沿って延びる板状の支え部材が上記左右に隣り合う外壁パネルの裏面に取付けられ、上記縦目地の内部の屋内側に耐火材が介在し屋外側に密封部材が介在するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−113838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように、外壁パネルを支持する胴縁の位置に違いが生じると、外壁施工の作業性が悪くなるという欠点がある。また、上記特許文献1に記載の技術では、建物の外壁の特定箇所についてだけ簡易に耐火性能を向上させるといったことができず、また、上記のような欠点も解決できない。
【0006】
この発明は、上記の事情に鑑み、建物の外壁の特定箇所についてだけ簡易に耐火性能を向上させるといったことが容易に行え、また、一の外壁面について要求耐火時間が異なるような場合でも、胴縁の位置を同じにすることが容易である建物の外壁構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の建物の外壁構造は、上記の課題を解決するために、建物の外壁をなす外壁パネルと、上記外壁パネルの屋内側に配置された胴縁と、上記胴縁間で上記外壁パネルの屋内面に貼り付けられた不燃材料からなる耐火ボードと、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記の構造であれば、上記胴縁間で上記外壁パネルの屋内面に不燃材料からなる耐火ボードを貼り付けたので、上記外壁パネルが本来有する要求耐火時間を超える耐火時間を実現することができ、建物の外壁の特定箇所についてだけ簡易に耐火性能を向上させることが可能である。そして、一の外壁面について要求耐火時間が異なる場合であっても、要求耐火時間が同じ同一厚みの外壁パネルを一律に用いて胴縁の位置を同じにしつつ、長い耐火時間が要求される箇所において、上記耐火ボードを貼り付けることが容易に行える。
【0009】
上記耐火ボードとして2枚以上の耐火ボードが貼り付けられていてもよい。このような構成によれば、厚く重い耐火ボードを1枚貼るよりも、比較的軽い耐火ボードを2枚以上貼ることで作業負荷が軽減される。
【0010】
上記外壁パネルの最も近くに位置する第1層耐火ボードは上記外壁パネルに留め付けられ、上記第1層耐火ボードの屋内側に配置される第2層耐火ボードは、上記第1層耐火ボードまたは上記外壁パネルに留め付けられていてもよい。このように、複数の耐火ボードを外壁パネルに貼り付けるとき、複数枚を同時に貼り付けるよりも、順次的に貼り付ける方が作業負荷が小さく作業効率にも優れる。
【0011】
上記耐火ボードは、隣り合う外壁パネル間の目地を跨がないで取り付けられるか、或いは目地を跨いでも一方の外壁パネルにのみ固定されていてもよい。このような構成によれば、地震等によって、隣り合う外壁パネル間で位置ずれ等が生じたとしても、この位置ずれ等による荷重を耐火ボードが受けないようになるので、上記耐火ボードの割れ等を抑制することができる。
【0012】
隣り合う外壁パネルの端部が当該外壁パネルの端部側の胴縁からそれぞれ跳ね出ており、上記端部間に形成される目地の屋内側の両端部側の胴縁間に、不燃材料からなる耐火ボードが配置されており、上記耐火ボードは、上記両端部側の胴縁に固定された支え部材に留め付けられていてもよい。ここで、上記両端部側の胴縁間においては、目地が存在するためにビス等を用いては耐火ボードを外壁パネルに容易には留め付けできない。上記のように、支え部材に耐火ボードを留め付ける構造とすると、未熟練者でも上記耐火ボードの留め付けが容易に行える。
【0013】
上記目地の箇所に配置される上記耐火ボードとして2枚以上の耐火ボードが貼り付けられており、上記留め付けを行うビスの先端は、上記外壁パネルの最も近くに位置する耐火ボードに至るようにしてもよい。
【0014】
上記胴縁と上記耐火ボードの縁間に間隙が形成されていてもよい。これによれば、現場において上記耐火ボードの寸法切りと貼り付けの作業が行われる場合でも、この耐火ボードの寸法切り等の作業精度が緩和されることになり、作業の簡易化が図れる。
【0015】
上記外壁構造による第1構造部と、この第1構造部に用いる外壁パネルと同じ厚さの外壁パネルを有し、上記第1構造部に用いる耐火ボードは有しないか、または当該耐火ボードよりも薄い耐火ボードを有する第2構造部とを混在させてもよい。このように混在させても、上記第1構造部の胴縁と第2構造部の胴縁の位置を同じにすることが容易であるので、外壁の施工性を向上できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明であれば、建物の外壁の特定箇所についてだけ簡易に耐火性能を向上させるといったことが容易に行え、また、一の外壁面について要求耐火時間が異なるような場合でも、胴縁の位置を同じにすることが容易であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態にかかる建物の外壁構造の概略の斜視図である。
図2図1の外壁構造の胴縁間の箇所での縦断面を示した概略の断面図である。
図3図1の外壁構造の胴縁箇所の横断面を示した概略の断面図である。
図4図1の外壁構造の縦目地箇所の横断面を示した概略の断面図である。
図5図1の外壁構造と、耐火ボードを備えない外壁構造とを混在させた外壁を示した概略の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この実施形態の建物の外壁構造1は、外壁パネル11と、胴縁12と、目地部充填材13と、塞ぎ板14と、耐火ボード15(15A)と、支え板16等とを備えている。なお、図1では、下側2枚の外壁パネルを示しており、その上側の構造については、図示を省略している。
【0019】
上記外壁パネル11は、この実施形態では、横長に形成されており、その表面側が建物の屋外側に向けられ、裏面側が建物の屋内側に向けられて配置されている。また、上記外壁パネル11として、例えば、金属サンドイッチパネルが用いられる。この金属サンドイッチパネルは、表面側となる外皮鋼板、芯材、裏面側となる内皮鋼板を有して構成されている。
【0020】
上記芯材は矩形ボード状に形成された耐火材で構成されており、その外側に上記外皮鋼板が貼設され、内側に上記内皮鋼板が貼設されている。上記芯材を構成する耐火材は、例えば、鉱石や高炉スラグ等を原料としたロックウール保温板からなる。また、上記外皮鋼板および内皮鋼板には、塗装鋼板が使用されている。
【0021】
最も下側に配置される外壁パネル11は、基礎2上に設けられたスターター3上に設置されている。また、上記スターター3の屋外側には水切り4が取り付けられている。上記基礎2上に土台5が設けられており、この土台5上に上記胴縁12が立てられている。上記胴縁12としては、例えば、上記縦目地112の近傍箇所では、閉断面の角型鋼が用いられており、その他の箇所では、リップ溝型鋼が用いられている。
【0022】
図2に示すように、上記外壁パネル11の下部には、係止凹部11aが厚み方向に2か所形成されており、上記外壁パネル11の上部には、上記係止凹部11aが係止される係止凸部11bが厚み方向に2か所形成されている。また、上記外壁パネル11の下部の屋外側には、垂れ部11cが形成されており、上記外壁パネル11の上部の屋外側には、上記垂れ部11cが収まる収容凹部11dが形成されている。
【0023】
上記外壁パネル11は、上記収容凹部11dの箇所からねじ込まれたビス(ドリルビス)61によって上記胴縁12に固定される。また、上側の外壁パネル11の屋内側の下端と、下側の外壁パネル11の屋内側の上端との間には、横目地111が形成される。そして、上記耐火ボード15は、上記外壁パネル11の屋内側において、上下に並ぶ二枚の外壁パネル11間の上記横目地111を跨がないように、それらの端面同士を突き合わせるようにして取り付けられている。
【0024】
図3にも示すように、上記耐火ボード15は上記外壁パネル11の内皮鋼板に直に貼られている。この実施形態では、上記外壁パネル11の最も近くに位置する第1層耐火ボード15aは、先端が上記外壁パネル11の内皮鋼板に達するビス(ドリルビス)62によって上記外壁パネル11に固定されている。そして、上記第1層耐火ボード15aの屋内側に配置される第2層耐火ボード15bは、上記ビス62よりも長く、先端が上記外壁パネル11の内皮鋼板に達するビス(ドリルビス)63によって上記外壁パネル11に固定されている。上記第1、2層耐火ボード15a、15bは、例えば、強化石こうボードからなる。なお、上記ビス62と上記ビス63のねじ込み位置は、適当にずらすのが望ましい。また、上記第2層耐火ボード15bをステープルによって上記第1層耐火ボード15aに固定するようにしてもよいものである。
【0025】
また、上記耐火ボード15と上記リップ溝型鋼の胴縁12との間には、例えば、10±2mm以下で5mm以上の水平間隙G1が形成される構造としている。
【0026】
図4にも示すように、水平方向に隣り合う2枚の外壁パネル11間には、縦目地112が形成される。この縦目地112の横幅は、例えば、20±4mmとされる。また、上記縦目地112内には、上記目地部充填材13の他、防水のためのシーリング材、バックアップ材、シール材等が必要に応じて設けられる。上記目地部充填材13は、耐火性向上のため、例えば、アルカリアースシリケートブランケット、セラミックファイバー、熱膨張性耐火材等からなる。さらに、上記縦目地112の奥側となる上記外壁パネル11の屋内側には、耐火性向上のために上記塞ぎ板14が設けられている。この塞ぎ板14は、例えば、塗装鋼板からなり、ビス64によって上記内皮鋼板に固定されている。なお、上記塞ぎ板14と上記内皮鋼板との間等にも防水のためのシール材を設けておいてもよい。
【0027】
上記縦目地112の箇所では左右に隣り合う外壁パネル11の端部が当該外壁パネル11の端部側の角型鋼の胴縁12からそれぞれ跳ね出た構造となっている。そして、上記端部間に形成される上記縦目地112の屋内側の上記胴縁12間に、不燃材料からなる耐火ボード(例えば、強化石こうボード)15Aが配置されている。上記耐火ボード15Aは、ビス27によって上記支え板(支え部材)16に留め付けられている。上記支え板16は、例えば、左右のフランジ板間に矩形状突出部を有したハット型形状を有しており、上記耐火ボード15Aを支えるように、上記矩形状突出部を上記両端部側の胴縁12間に差し込んだ状態において、上記左右のフランジ板が上記両端部側の胴縁12の屋内側面の箇所でビス28によって固定されている。また、上記支え板16は縦に長い長尺の物であってもよいが、この例では短尺のピース物としている。また、上記支え板16は、上記横目地111の形成箇所に配置しているが、この箇所に限るものではない。
【0028】
上記耐火ボード15Aも、上記外壁パネル11の最も近くに位置する第1層耐火ボード15aと、上記第1層耐火ボード15aの屋内側に配置される第2層耐火ボード15bとからなっている。上記留め付けを行うビス27の先端は、上記外壁パネル11の最も近くに位置する第1層耐火ボード15aに至っている。
【0029】
また、上記耐火ボード15の端部と、上記角型鋼の胴縁12との間にも水平間隙G2が形成されている。この水平間隙G2は、上記耐火ボード15と上記リップ溝型鋼の胴縁12との間の水平間隙G1(10±2mm以下で5mm以上)と同様の範囲か、或いは、上限が水平間隙G1よりも狭くされている。また、上記耐火ボード15Aと上記角型鋼の胴縁12との間にも水平間隙G3が形成されている。この水平間隙G3は、上記水平間隙G1或いはG2と同じ範囲にしてもよいし、或いは、これらよりも狭くしてもよい。この例では、水平間隙G3は水平間隙G2よりも狭くしてある。
【0030】
上記の構成であれば、上記リップ溝型鋼の胴縁12間で上記外壁パネル11の屋内面に不燃材料からなる耐火ボード15を設けるので、外壁全体の耐火性能を簡易に向上させることが容易である。そして、上記外壁パネル11として例えば要求耐火時間30分を充足する外壁パネルを用い、さらには、この実施形態のように、上記耐火ボード15および上記縦目地112の屋内側箇所に配置する上記耐火ボード15A等を備える構造とすることで、上記30分を上回る要求耐火時間(例えば、60分)の外壁構造を得ることが可能であり、実際に、上記外壁パネル11を用いて、要求耐火時間60分を充足する外壁構造を試作することが可能であった。従って、一の外壁面について要求耐火時間が異なる場合であっても、要求耐火時間が同じ同一厚みの外壁パネル11を一律に用いて胴縁12の位置を同じにしつつ、長い耐火時間が要求される箇所において、上記耐火ボード15等を貼り付けることで対応することができる。
【0031】
上記耐火ボード15、15Aとして2枚以上の耐火ボードが貼り付けられている構造であると、厚く重い耐火ボードを1枚貼るよりも、比較的軽い耐火ボードを2枚以上貼ることで作業負荷が軽減されることになる。
【0032】
上記耐火ボード15について、上記外壁パネル11の最も近くに位置する第1層耐火ボード15aをビス62で上記外壁パネル11に留め付け、上記第1層耐火ボード15aの屋内側に配置される第2層耐火ボード15bをビス63で上記外壁パネル11に留め付けるようにすると、順次的に耐火ボードを貼り付けていく作業となり、複数枚の耐火ボードを同時に貼り付ける作業に比べ、作業負荷が小さく作業効率にも優れる。また、上記のように、ビス62、63を用いると、共にビス回し工具を用いることができるので、作業が効率的に行える。もちろん、共にビスを用いることに限らず、ステープルを用いて上記第2層耐火ボード15bを上記第1層耐火ボード15aに留め付けてもよい。
【0033】
上記耐火ボード15が、上下に隣り合う外壁パネル11間の上記横目地111を跨がないで取り付けられる構造であると、上記隣り合う外壁パネル11間で位置ずれ等が生じたとしても、この位置ずれ等による荷重を上記耐火ボード15が受けないようになるので、上記耐火ボード15の割れ等を抑制することができる。なお、上記耐火ボード15が上記横目地111を跨がないことに限定するものではなく、上記横目地111を跨いでも一方の外壁パネル11にのみ固定される構造であったとしても、同様に、上記耐火ボード15の割れ等を抑制することができる。なお、上記耐火ボード15Aについては、外壁パネル11に固定されていないので、上記耐火ボード15と同じ扱いとする必要は特にないが、一律的な作業を行うのが望ましいのであれば、上記耐火ボード15Aについても上記耐火ボード15と同様に上記横目地111を跨がないで取り付けるようにしてもよい。
【0034】
また、上記耐火ボード15Aに関し、上記角型鋼の胴縁12間においては、縦目地112が存在するためにビス等を用いたのでは、上記耐火ボード15Aを外壁パネル11に簡単には留め付けできない。この実施形態では、上記耐火ボード15Aが上記支え板16で支持される構造としたので、未熟練者でも留め付け作業が容易に行えることになる。
【0035】
なお、上記胴縁12間に縦目地112が形成される構造に限られるものではなく、上記縦目地112が形成される箇所に1本の胴縁(角型鋼等)を配置し、この胴縁によって上記縦目地112が塞がれる構造とすることも可能である。なお、この構造では、上記胴縁の幅を幾分広くして、その両側の外壁パネルのビス留めが支障なく行えるようにする。
【0036】
また、上記水平間隙G1、G2、G3の全部或いはいずれかが形成される構造であると、現場において上記耐火ボード15の寸法切りと貼り付けの作業が行われる場合でも、この耐火ボード15の寸法切り等の作業精度が緩和されることになり、作業の簡易化が図れる。
【0037】
図5に示すように、上記耐火ボード15、15A等を備える上記外壁構造による第1構造部10Aと、この第1構造部10Aに用いる外壁パネルと同じ厚さの外壁パネル(例えば、外壁パネル11)を有し、上記第1構造部10Aに用いる耐火ボード15、15Aは有しないか、または当該耐火ボード15、15Aよりも薄い耐火ボードを有する第2構造部10Bとを混在させてもよい。すなわち、要求耐火時間が異なる第1構造部10Aと第2構造部10Bとが混在する外壁としてもよい。このように混在させても、上記第1構造部10Aの胴縁12と第2構造部10Bの胴縁12の位置を同じにする(同一の厚さの外壁パネルを用いる)ので、外壁の施工性を向上できる。
【0038】
また、上記の実施形態では、外壁パネルとして金属サンドイッチパネルを用いたが、これに限るものではない。また、芯材がロックウールであったが、グラスウールを用いることもできる。また、縦目地112横の胴縁12は角型鋼に限らず、リップ溝型鋼でもよい。また、水平間隙G1、G2、G3を設けたが、その全てを存在させた構造に限らず、一部の水平間隙だけを設け構造としてもよいし、水平間隙が全くない構造としてもよいものである。
【0039】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 :外壁構造
10A :第1構造部
10B :第2構造部
11 :外壁パネル
11a :係止凹部
11b :係止凸部
11c :垂れ部
11d :収容凹部
12 :胴縁
13 :目地部充填材
14 :塞ぎ板
15 :耐火ボード
15A :耐火ボード
15a :第1層耐火ボード
15b :第2層耐火ボード
16 :支え板(支え部材)
111 :横目地
112 :縦目地
G1 :水平間隙
G2 :水平間隙
G3 :水平間隙
図1
図2
図3
図4
図5