特許第6846169号(P6846169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社テイエルブイの特許一覧

<>
  • 特許6846169-弁装置 図000002
  • 特許6846169-弁装置 図000003
  • 特許6846169-弁装置 図000004
  • 特許6846169-弁装置 図000005
  • 特許6846169-弁装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846169
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 1/44 20060101AFI20210315BHJP
   F16T 1/10 20060101ALI20210315BHJP
   F16K 51/00 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   F16K1/44 A
   F16T1/10
   F16K51/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-223827(P2016-223827)
(22)【出願日】2016年11月17日
(65)【公開番号】特開2018-80766(P2018-80766A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】藤田 智行
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−048923(JP,A)
【文献】 特表2002−517696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00−1/54
F16T 1/00−1/48
F16K 7/00−7/20
F16K 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流通する流路が形成されたケーシングと、
前記流路中に設けられ、流路の開通及び遮断を切り替える弁とを備え、
前記弁は、第1弁座と、前記第1弁座に離着座する第1弁体と、前記流路の流れ方向において前記第1弁座の上流側に設けられた第2弁座と、前記第2弁座に離着座する第2弁体とを有し
前記第1弁座には、弁孔が開口しており、
前記第2弁座は、前記第1弁座の外周に形成され、
前記第2弁体は、前記第1弁体の外周に設けられ、前記第1弁体が前記第1弁座に着座するよりも先に前記第2弁座に着座することを特徴とする弁装置。
【請求項2】
請求項1に記載の弁装置において、
前記第2弁体及び前記第2弁座は、前記流路の開通中に、前記流路を流通する流体を減圧させる絞りとして機能することを特徴とする弁装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の弁装置において、
前記弁は、温度によって膨張する膨張媒体と、前記膨張媒体の膨張収縮によって変形させられるダイヤフラムとをさらに有し、
前記第1弁体及び前記第2弁体は、前記ダイヤフラムに設けられており、
前記ダイヤフラムは、前記膨張媒体が膨張する際に、前記第1弁体が前記第1弁座に着座するよりも先に前記第2弁体を前記第2弁座に着座させるように変形することを特徴とする弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、弁装置の一例として、蒸気の排出を抑制する一方、ドレンを排出するドレントラップが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に係るドレントラップは、ドレンが流通する流路中に、弁孔を有する弁座と、弁孔を開閉する弁体とを設けている。このようなドレントラップにおいては、ドレンが流入してきた際には、弁体が弁孔を開き、ドレンを流通させる。一方、蒸気が流入してきた際には、弁体が弁孔を閉じ、蒸気の流通を阻止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−89785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述のような弁装置においては、使用を継続していくと、やがて、弁体又は弁座にスケールやゴミ等の異物が堆積する虞がある。このような異物が堆積すると、開口を密閉することが難しくなり、蒸気の漏れにつながる。
【0006】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、弁体又は弁座への異物の付着に起因する蒸気の漏れを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示された弁装置は、流体が流通する流路が形成されたケーシングと、前記流路中に設けられ、流路の開通及び遮断を切り替える弁とを備え、前記弁は、第1弁座と、前記第1弁座に離着座する第1弁体と、前記流路の流れ方向において前記第1弁座の上流側に設けられた第2弁座と、前記第2弁座に離着座する第2弁体とを有している。
【発明の効果】
【0008】
前記弁装置によれば、弁体又は弁座への異物の付着に起因する蒸気の漏れを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、ドレントラップの断面図である。
図2図2は、弁の断面図である。
図3図3は、開弁状態における第1弁体、第2弁体及び弁座の拡大断面図である。
図4図4は、第2弁体のみが着座した状態における第1弁体、第2弁体及び弁座の拡大断面図である。
図5図5は、第1弁体及び第2弁体が着座した状態における第1弁体、第2弁体及び弁座の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、ドレントラップ100の断面図である。
【0011】
ドレントラップ100は、ドレンが流通する流路18が形成されたケーシング1と、流路中に設けられ、流路の開通及び遮断を切り替える弁3とを備えている。ドレントラップ100は、弁装置の一例であり、ドレンは、流体の一例である。ドレントラップ100は、所定の温度未満の流体(例えば、ドレン)を排出する一方、所定の温度以上の流体(例えば、蒸気)の排出を停止する熱応動式のドレントラップである。
【0012】
ケーシング1は、流入口12と、流出口13と、流入口12及び流出口13のそれぞれと連通する弁室14とが形成されている。ケーシング1は、本体10と、本体10に取り付けられる蓋11とを有している。
【0013】
本体10には、流入口12と流出口13とが水平に延びる同一の軸上に形成されている。本体10には、上方に開口する開口部15が形成されている。蓋11は、開口部15を閉じるように本体10に取り付けられ、開口部15と蓋11とで弁室14が区画される。
【0014】
本体10には、流入口12と連通する第1連通路16と、第1連通路16と開口部15とを連通させる第2連通路17とが形成されている。流入口12は、第1連通路16と第2連通路17とを介して弁室14と連通する。第1連通路16には、ストレーナ16aが設けられている。
【0015】
このように、流路18は、流入口12、第1連通路16、第2連通路17、弁室14及び流出口13によって形成されている。
【0016】
図2は、弁3の断面図である。弁3は、弁室14に収容される。弁3は、温度に応じて弁孔の開閉を行う熱応動式の弁である。弁3は、第1弁座41及び第2弁座42を含む弁座4と、第1弁座41に離着座する第1弁体31と、第2弁座42に離着座する第2弁体32と、第1弁体31及び第2弁体32とが取り付けられたダイヤフラム33と、ダイヤフラム33とで収容室を形成する第1壁34と、ダイヤフラム33と第1壁34との収容室に収容される膨張媒体35と、ダイヤフラム33の変形を制限する第2壁36とを有している。第1弁体31、第2弁体32、ダイヤフラム33、第1壁34、膨張媒体35及び第2壁36は、1つのユニットとして組み立てられおり、以下、「弁ユニット30」と称する。
【0017】
ダイヤフラム33は、略円盤状の複数枚の金属膜によって形成されている。ダイヤフラム33の各金属膜は、平板ではなく、半径方向に波打っている。
【0018】
第1弁体31は、ダイヤフラム33の下面の略中央に取り付けられている。第1弁体31の下端面(即ち、第1弁座41に着座する面)は、略円形の平面状に形成されている。第2弁体32は、略円筒状に形成されている。第2弁体32は、第1弁体31の外周に設けられた状態(即ち、第1弁体31を囲む状態)でダイヤフラム33の下面に取り付けられている。第2弁体32の下端面(即ち、第2弁座42に着座する面)は、略円環の平面状に形成されている。
【0019】
第1壁34は、略円盤状であって、中央に向かって上方に膨出するように形成されている。第2壁36は、略円盤状であって、中央に向かって下方に膨出するように形成されている。第2壁36の中央には開口が形成されている。第1壁34、ダイヤフラム33及び第2壁36は、この順で積層され、周縁部が溶接により固着されている。
【0020】
第1壁34とダイヤフラム33との間には収容室が形成され、収容室に膨張媒体35が収容されている。第1壁34の中央には、収容室に膨張媒体35を注入するための開口が形成されている。開口は、栓34aによって封止されている。膨張媒体35は、温度によって膨張する媒体である。例えば、膨張媒体35は、水、水より沸点が低い液体、又はそれらの混合物である。膨張媒体35が膨張収縮することによって、ダイヤフラム33が変形し、それに伴い、第1弁体31及び第2弁体32が変位する。
【0021】
第1弁体31及び第2弁体32は、第2壁36の開口内に配置され、第2壁36よりも下方に突出している。ダイヤフラム33は、膨張媒体35の膨張によって変形すると、第2壁36に接近する。最終的には、ダイヤフラム33は、第2壁36に接触し、変形が制限される。
【0022】
弁室14には、保持部材2が設けられている。弁ユニット30は、保持部材2に保持される。保持部材2は、円筒状の周壁21と底壁22とを有している。周壁21には、周方向に等間隔に配置された3つの保持孔23が形成されている(図2では、1つだけ図示)。保持孔23は、概ね横長の長方形状に形成されている。周壁21のうち、保持孔23の下端縁よりも下の部分は、平板状に形成され、内側に少し凹んでいる。つまり、上から見た場合に、保持孔23の下端縁は、周壁21の他の部分よりも少し内側に位置している。この保持孔23の下端縁の上に弁ユニット30が載置される。
【0023】
さらに、周壁21には、周方向に等間隔に配置された3つの連通孔24が形成されている(図2では、1つだけ図示)。連通孔24を介して、保持部材2の外側から内側へドレン又は蒸気が流入する。連通孔24は、保持孔23の下端縁に連結されており、保持孔23と連通孔24とで1つの孔を形成している。連通孔24の横幅は、保持孔23の横幅よりも狭い。そのため、保持孔23と連通孔24とで、略T字状の孔が形成される。
【0024】
弁ユニット30は、バネ25によって保持部材2に押し付けられている。バネ25は、保持部材2に保持されると共に、弁ユニット30を下方に押圧している。
【0025】
弁座4は、弁孔43が貫通形成され、略円筒状にされている。弁座4の上端部には、鍔部44が形成されている。弁座4は、保持部材2の底壁22を貫通して配置され、鍔部44が底壁22に係止されている。弁孔43によって弁室14と流出口13とが連通している。
【0026】
鍔部44は、弁ユニット30と対向している。鍔部44の中央部は、その周囲に比べて隆起しており、この中央部に第1弁座41が形成されている。鍔部44のうち第1弁座41の外周であって第1弁座41よりも低い位置に第2弁座42が形成されている。第1弁座41及び第2弁座42はそれぞれ、平面状に形成されている。第1弁座41には、弁孔43の上流端が開口しており、略円環状に形成されている。第1弁座41は、第1弁体31の下端面と略同じ大きさであり、第2弁体32の下端面よりも小さく形成されている。第1弁座41は、第1弁体31と対向しており、第2弁座42は、第2弁体32と対向している。流路18を流通する流体は、弁孔43を中心とする半径方向外側から弁孔43に流入するので、第2弁座42は、流路18の流れ方向において第1弁座41の上流に配置されている。
【0027】
続いて、ドレントラップ100の動作について説明する。
【0028】
図1に示すように、ドレン又は蒸気等の流体が流入口12からドレントラップ100に流入する。流入口12から流入した流体は、第1連通路16に流入し、ストレーナ16aを通過することによってゴミ等が除去される。ストレーナ16aを通過した流体は、第2連通路17を介して弁室14に流入する。
【0029】
始動時等のように弁室14が低温の場合には、膨張媒体35の体積(即ち、膨張の度合い)は小さく、第1弁体31及び第2弁体32が弁座4から離座し、弁孔43が開放されている。この場合、弁室14に流入した流体は、弁孔43を介して流出口13から排出される。ドレントラップ100に流入する流体がドレン又は空気等の比較的低温の流体の場合には、第1弁体31及び第2弁体32が開弁した状態が維持され、流出口13からの流体の排出が継続される。
【0030】
一方、ドレントラップ100に流入する流体が蒸気等の比較的高温の流体である場合には、弁室14の温度が上昇し、ひいては膨張媒体35が膨張する。膨張媒体35の膨張によりダイヤフラム33が変形し、第1弁体31及び第2弁体32が下方へ変位する。第1弁体31及び/又は第2弁体32が弁座4に着座することによって弁孔43が閉鎖される。これにより、流出口13からの蒸気の排出が阻止される。
【0031】
尚、膨張媒体35の温度が放熱等によって低下すると、膨張媒体35は収縮し、ダイヤフラム33は上方へ変形する。これにより、第1弁体31及び第2弁体32が弁座4から離座し、弁孔43が開放される。このように膨張媒体35の温度が低下するときには、弁室14内の蒸気は凝縮してドレンとなっている。つまり、流出口13から排出される流体は、蒸気ではなく、ドレンとなっている。
【0032】
以下、第1弁体31及び第2弁体32の動作についてさらに詳細に説明する。図3は、開弁状態における第1弁体31、第2弁体32及び弁座4の拡大断面図である。図4は、第2弁体32のみが着座した状態における第1弁体31、第2弁体32及び弁座4の拡大断面図である。図5は、第1弁体31及び第2弁体32が着座した状態における第1弁体31、第2弁体32及び弁座4の拡大断面図である。
【0033】
前述の如く、膨張媒体35が比較的低温のときには、図3に示すように、第1弁体31は、弁座4の第1弁座41から離間し、第2弁体32は、弁座4の第2弁座42から離間している。このように、膨張媒体35の膨張の度合いが第1弁体31及び第2弁体32が弁座4から離座している程度の場合には、ダイヤフラム33のうち第1弁体31が取り付けられた中央部は収容室の方へ凹んでいる。このとき、第1弁体31と第1弁座41との間隔は、第2弁体32と第2弁座42との間隔よりも大きい。この状態においては、流体は、第2弁体32と第2弁座42との間を通り、第1弁体31と第1弁座41との間を通り、弁孔43へ進入していく。
【0034】
この状態から膨張媒体35が膨張すると、図4に示すように、ダイヤフラム33が全体的に下方へ変形し、第2弁体32が第2弁座42に着座して弁孔43を閉鎖する。この段階では、第1弁体31は、まだ第1弁座41に着座していない。この状態においては、第2弁体32及び第2弁座42によって流体の流通が遮断され、流体の弁孔43への進入が防止される。
【0035】
膨張媒体35がさらに膨張すると、図5に示すように、収容室の方へ凹んでいた、ダイヤフラム33の中央部が下方へ変形し、第1弁体31が第1弁座41に着座する。このとき、第2弁体32も第2弁座42に着座している。このように二重の弁構造とすることによって、第1弁体31及び第2弁体32の一方で蒸気の漏洩が生じるとしても、第1弁体31及び第2弁体32の他方で蒸気の漏洩を低減することができる。
【0036】
尚、膨張媒体35がさらに膨張すると、ダイヤフラム33は、第2壁36に接触し、それ以上の変形が制限される。
【0037】
このように、第1弁体31を囲むように第2弁体32を設けることによって、第1弁体31及び第1弁座41に堆積する異物を低減することができる。詳しくは、スケール等の異物は、流体が減圧される部分に堆積しやすい。ドレンが減圧されて蒸発する際にスケールが発生しやく、そのことが異物の堆積を助長する。第1弁体31と第1弁座41との間、及び、第2弁体32と第2弁座42との間は、図3に示すように、開弁時であっても流路の他の部分に比べて流路断面積が小さくなっている。そのため、第1弁体31及び第1弁座41、並びに、第2弁体32及び第2弁座42はそれぞれ、絞りとして機能し、通過する流体を減圧させる。ここで、第2弁体32は、流体の流れ方向において第1弁体31の上流に配置されている。つまり、第1弁体31及び第1弁座41との間に流入する流体は、先に第2弁体32と第2弁座42との間を通過することによって減圧されている。そのため、第2弁体32が設けられていない構成と比較して、流体が第1弁体31と第1弁座41とを通過する際の減圧の度合いが小さくなる。これにより、第1弁体31及び第1弁座41において発生するスケールが低減され、第1弁体31及び第1弁座41に堆積する異物が低減される。その結果、第1弁体31及び第1弁座41のシール性が高いまま維持され、蒸気の漏洩が低減される。
【0038】
尚、第2弁体32及び第2弁座42に異物が堆積すると、第2弁体32及び第2弁座42において蒸気の漏洩が生じる。その場合、蒸気が第2弁体32の内方に流入し、ダイヤフラム33の中央部が加熱される。その結果、ダイヤフラム33の中央部近傍の膨張媒体35の加熱が促進され、第1弁体31の下方への変位、即ち、閉弁が促進される。それに加えて、前述のように、第1弁体31及び第1弁座41に堆積する異物が低減されるので、第1弁体31及び第1弁座41のシール性は向上している。つまり、全体としては、蒸気の漏洩が低減される。
【0039】
尚、第2弁体32による減圧の作用が小さいと、第2弁体32及び第2弁座42に堆積する異物が少なく、第1弁体31及び第1弁座41に堆積する異物が多くなる場合がある。しかし、このことは、第2弁体32及び第2弁座42のシール性が高いまま維持されていることを意味するので、第2弁体32及び第2弁座42によって蒸気の漏洩を低減することができる。
【0040】
以上のように、ドレントラップ100は、ドレンが流通する流路18が形成されたケーシング1と、流路18中に設けられ、流路18の開通及び遮断を切り替える弁3とを備え、弁3は、第1弁座41と、第1弁座41に離着座する第1弁体31と、流路18の流れ方向において第1弁座41の上流側に設けられた第2弁座42と、第2弁座42に離着座する第2弁体32とを有している。
【0041】
この構成によれば、2組の弁体及び弁座が設けられているので、一方で異物が堆積したとしても、他方で蒸気の漏洩を低減することができる。また、2組の弁体及び弁座の両方に異物が堆積したとしても、堆積する異物をそれぞれの組に分散することができるので、それぞれの組での蒸気の漏洩を低減することができ、ひいては、全体の蒸気の漏洩を低減することができる。
【0042】
また、第2弁体32及び第2弁座42は、流路18の開通中に、流路18を流通する流体を減圧させる絞りとして機能する。
【0043】
この構成によれば、第2弁体32及び第2弁座42に異物が堆積しやすくなるので、その代わりに第1弁体31及び第1弁座41に堆積する異物を低減することができる。その結果、少なくとも第1弁体31及び第1弁座41のシール性を高いまま維持することができる。
【0044】
具体的には、第1弁座41には、弁孔43が開口しており、第2弁座42は、第1弁座41の外周に形成され、第2弁体32は、第1弁体31の外周に設けられている。
【0045】
この構成によれば、弁孔43を囲むように第1弁座41及び第2弁座42が形成されているので、第1弁体31が第1弁座41に着座することによっても弁孔43が閉鎖され、第2弁体32が第2弁座42に着座することによっても弁孔43が閉鎖される。
【0046】
また、第2弁体32は、第1弁体31が第1弁座41に着座するよりも先に第2弁座42に着座する。
【0047】
この構成によれば、第1弁体31及び第2弁体32は、上流側から順番に着座する。
【0048】
さらに、弁3は、温度によって膨張する膨張媒体35と、膨張媒体35の膨張収縮によって変形させられるダイヤフラム33とをさらに有し、第1弁体31及び第2弁体32は、ダイヤフラム33に設けられており、ダイヤフラム33は、膨張媒体35が膨張する際に、第1弁体31が第1弁座41に着座するよりも先に第2弁体32を第2弁座42に着座させるように変形する。
【0049】
この構成によれば、第2弁体32が第1弁体31よりも先に着座する構成が、ダイヤフラム33の変形により実現される。つまり、ダイヤフラム33の形状に応じてダイヤフラム33が変形する態様が異なる。そこで、第2弁体32が第1弁体31よりも先に着座するように、ダイヤフラム33の形状を形成する。これにより、第2弁体32が第1弁体31よりも先に着座する構成を容易に実現することができる。
【0050】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0051】
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0052】
例えば、ドレントラップ100は、蒸気の排出を阻止するスチームトラップに限らず、空気の排出を阻止するエアトラップ、又はガスの排出を阻止するガストラップ等であってもよい。
【0053】
また、ここに開示された技術は、ドレントラップ100に限らず、流体として気体又は液体の流通を制御する任意の弁装置に適用することができる。
【0054】
例えば、第2弁体32及び第2弁座42が弁孔43の上流端を開閉し、第1弁体31及び第1弁座41が弁孔43の下流端を開閉するように構成されていてもよい。つまり、第2弁体32及び第2弁座42が第1弁体31及び第1弁座41よりも上流側に設けられていれば、二段階の弁構造によって、堆積する異物の分散及び蒸気の漏洩の低減を実現することができる。
【0055】
また、第1弁体31及び第2弁体32は、共通のダイヤフラム33によって駆動されるが、別々の駆動源によって駆動されてもよい。さらには、弁3は、熱応動式の弁でなくてもよい。
【0056】
また、第1弁体31は、第2弁体32よりも先に着座してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように、ここに開示された技術は、弁装置について有用である。
【符号の説明】
【0058】
100 ドレントラップ(弁装置)
1 ケーシング
18 流路
3 弁
31 第1弁体
32 第2弁体
33 ダイヤフラム
35 膨張媒体
41 第1弁座
42 第2弁座
43 弁孔
図1
図2
図3
図4
図5