(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定手段は、それら各組のトップシーラ毎に設定した前記しきい値に基づき前記噛み込みの有無の判定を行うこと特徴とする請求項1に記載の回転式トップシール装置。
【背景技術】
【0002】
回転式トップシール装置は、包装フィルムを挟んで対向するように配置された一対の回転軸と、それぞれの回転軸に取り付けられたトップシーラと、を備える。それらトップシーラは、ヒータを内蔵し、互いの先端のシール面が所定の温度に加熱される。一対の回転軸ひいてはトップシーラは同期して回転し、一回転するごとに対となるトップシーラのシール面が接触する。この接触時に包装フィルムを挟み込んで加熱・加圧して熱シールする。
【0003】
また、通常、一方のトップシーラのシール面の前後方向の中央部には、カッター刃が内蔵され、他方のトップシーラのシール面の前後方向の中央部には受け刃が内蔵される。よって、上記の接触時に、カッター刃,受け刃が包装フィルムをカットする。
【0004】
ところで、包装フィルム内における製品の前後方向の相対的な位置ずれ等により、製品の一部がシール時にトップシーラ間に噛み込まれてしまい、シール不良や製品の破損等を招くことがある。また、製品に限らず包装フィルム内に侵入した異物が噛み込まれることもある。これらの噛み込みがあった包装体は不良品として排除する必要があり、係るシール時の噛み込の検知を行う噛み込み検知機能を備えた回転式トップシール装置がある。
【0005】
この噛み込み検知機能は、例えば、特許文献1に開示された装置のように、一方の回転軸は固定した位置で回転し、他方の回転軸は一方の回転軸に対して相対的に接近離反可能に支持した状態で回転するようにし、一対の回転軸の軸間距離に基づいて判定するものがある。すなわち、噛み込みが生じた場合、通常のシール時に比べて噛み込んだ製品・異物の厚さに応じた距離だけ、一対の回転軸の軸間距離が長くなる。
【0006】
そこで、他方の回転軸にセンサを配置し、そのセンサにて他方の回転軸の接近離反移動方向の位置を検知し、当該位置としきい値とを比較して噛み込みの有無を判定し、判定結果を出力する。そして、係る回転式トップシール装置が実装される包装機は、噛み込みの検知出力があった場合、回転式トップシール装置から搬出された対応する包装品を排除する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0018】
図1は、本発明に係る回転式トップシール装置の好適な一実施形態を含む包装機の一例を示している。横ピロー包装機は、包装機本体1と、その包装機本体1に対して帯状の包装フィルムを連続して供給するフィルム供給装置2と、包装機本体1の上流側に配置され、その包装機本体1に対して被包装物3を所定間隔毎に供給する被包装物搬送供給装置4とを備えている。
【0019】
フィルム供給装置2は、帯状フィルム5をロール状に巻き取った原反ロール6に対し、図示省略する駆動モータ(例えば、サーボモータ等の速度制御可能なモータ)の出力を連係し、原反ロール6の回転速度を適宜制御しながら一定速度で包装機本体1に供給する。また、原反ロール6から包装機本体1に至る所定位置に各種のローラ7(図では、代表して1個のみ記載している)を配置し、原反ロール6から送り出された帯状フィルム5は、そのローラ7に掛け渡されることで、所定の経路を通って包装機本体1に導かれる。本発明では、必ずしも原反ロール6に駆動モータを連係する必要はなく、包装フィルムの搬送経路上にフィードローラを設け、引き出すようにしても良い。
【0020】
被包装物搬送供給装置4は、前後に配置されたスプロケット9と、その複数のスプロケット9に掛け渡されたエンドレスチェーン10と、そのエンドレスチェーン10に所定ピッチ毎に取り付けられた複数の押送フィンガー11とにより構成される。これにより、被包装物3の後面に押送フィンガー11が突き当たると、押送フィンガー11の移動に伴い、被包装物3も搬送路上を前進移動する。
【0021】
包装機本体1は、供給される帯状フィルム5を筒状フィルム14に製袋する製袋器15と、その製袋器15の下流側に配置されたセンターシール装置16と、そのセンターシール装置16の下流側に配置された筒状フィルム14を搬送するベルトコンベア17と、ベルトコンベア17の下流側に配置された回転式トップシール装置20と、回転式トップシール装置20の下流側に配置された搬出コンベア18と、ベルトコンベア17の上方であって回転式トップシール装置20の直前に配置された抑えベルト19を備えている。
【0022】
製袋器15は、フィルム供給装置2から連続して供給される帯状フィルム5を通過させることで、帯状フィルム5の両側端縁部5a同士を接触(重合)させるとともに、筒状となった筒状フィルム14に製袋するものである。本実施形態の製袋器15は、下側が開放されており、帯状フィルム5の両側端縁部5aが下側に位置するように設定されている。
【0023】
また、被包装物搬送供給装置4から包装機本体1に対して順次供給される被包装物3は、製袋器15内に挿入される。これにより、製袋器15に供給された被包装物3は、筒状フィルム14内に所定間隔ごとに配置されることになる。また、このように筒状フィルム14内に被包装物3が内包されることから、ベルトコンベア17は、その被包装物3を内包した筒状フィルム14を搬送する。
【0024】
センターシール装置16は、重合された帯状フィルム5の両側端縁部5aをシールする。このセンターシール装置16は、左右一対のシーラを備え、その一対のシーラにて帯状フィルム5の両側端縁部5aの重合された部位を挟み込んで加熱することで熱シールする。
【0025】
抑えベルト19は、回転式トップシール装置20の上流側の直近に配置されており、筒状フィルム14内の被包装物3が上方に持ち上がるのを抑制し、水平状態を保持しながら搬送できるようにしている。
【0026】
回転式トップシール装置20は、筒状フィルム14の進行方向に対して直交する方向、つまり、横断する方向に、当該筒状フィルム14をシールすると共にカットするものである。そのシール・カットするフィルム部位は、前後の被包装物3の間の所定位置である。これにより、回転式トップシール装置20を通過することで、筒状フィルム14の先頭部分は、後続から分離され、包装体12が製造される。
【0027】
回転式トップシール装置20は、筒状フィルム14を挟んで上下に配置された一対の上側回転軸21・下側回転軸22と、上側回転軸21に90度間隔で取り付けた第一上側トップシーラ23a,第二上側トップシーラ23b,第三上側トップシーラ23c,第四上側トップシーラ23dと、下側回転軸22に90度間隔で取り付けた第一下側トップシーラ24a,第二下側トップシーラ24b,第三下側トップシーラ24c,第四下側トップシーラ24dを備える。
【0028】
それらトップシーラは、ヒータを内蔵し、互いの先端のシール面が所定の温度に加熱される。第一〜第四上側トップシーラ23a〜23dのシール面の前後方向の中央部には、カッター刃25が内蔵される。第一〜第四下側トップシーラ24a〜24dのシール面の前後方向の中央部には受け刃26が内蔵される。
【0029】
一対の上側回転軸21と下側回転軸22ひいては各トップシーラは同期して回転し、90度回転するごとに対となるトップシーラのシール面が接触する。具体的には、
図1に示す状態では、第一上側トップシーラ23aと第一下側トップシーラ24aが筒状フィルム14を挟み込んだ状態となり、図示した状態から図中矢印方向に90度回転すると第二上側トップシーラ23bと第二下側トップシーラ24bが筒状フィルム14を挟み込み、さらに90度回転すると第三上側トップシーラ23cと第三下側トップシーラ24cが筒状フィルム14を挟み込み、さらに90度回転すると第四上側トップシーラ23dと第四下側トップシーラ24dが筒状フィルム14を挟み込む。この筒状フィルム14を一対のトップシーラ同士で挟み込んだ際に、筒状フィルム14の所定のフィルム部位を加熱・加圧して熱シールするとともに、カットする。よって、上側回転軸21,下側回転軸22が一回転すると、上記のシール・カット処理が4回行われ、4個の包装体12が製造される。
【0030】
図2に示すように、上側回転軸21と下側回転軸22は、それぞれその両端が機枠30に軸受け支持され、その両端には、同期ギア31が接続される。上側回転軸21,下側回転軸22に接続された同期ギア31は、互いに噛み合い、同期して回転可能となり、駆動モータ32の回転力を受けて回転する。よって、駆動モータ32が回転駆動することで、上側回転軸21,下側回転軸22が同期して回転し、上述したように対をなすトップシーラのそれぞれのシール面は、筒状フィルム14を挟み込で加熱すると共に加圧する。駆動モータ32は、横ピロー包装機・回転式トップシール装置20の奥側に配置する。
【0031】
具体的な図示は省略するが、下側回転軸22を軸受けする軸受け部は、機枠30に固定される。よって、下側回転軸22は、水平方向に延びるように機枠30に支持され、上下方向の位置は固定された状態で回転する。上側回転軸21を軸受けする左右の軸受け部は、それぞれ機枠30に対し上下方向に移動可能に取り付けられる。これにより、上側回転軸21は、上下方向に移動可能となり、上下方向の適宜の位置において水平或いは傾斜した状態で回転する。
【0032】
機枠30の左右の両側には、それぞれ第一検出器35,第二検出器36を備える。第一検出器35は、上側回転軸21の軸方向における装置の手前側との距離を検出し、第二検出器36は、上側回転軸21の軸方向における装置の奥側との距離を検出する。この距離の検出は、例えば、第一検出器35,第二検出器36を機枠30に直接或いは連結部材を介して間接的に固定し、上側回転軸21の側周面までの距離を検出したり、上側回転軸21とともに上下する軸受け部の上面或いは当該軸受け部に連結された部材等の基準面までの距離を検出したりすることで求めると良い。また、第一検出器35,第二検出器36を、上記の上下する軸受け部に連携させて一体に上下移動するようにし、機枠30に設けた基準面との距離を検出するようにしてもよい。第一検出器35,第二検出器36は、それぞれ検出した距離に応じた電圧値の電圧(例えば、0〜10V等)を出力する。
【0033】
図3に示すように、第一検出器35,第二検出器36の出力は、制御装置40の制御部41に入力される。制御装置40は、例えばPLCで構成される。この制御装置40は、各種制御を司る制御部41と、各種の記憶手段を備える。記憶手段は、本実施形態では、取得した情報や演算結果等を一時的に記憶するワークメモリ42、噛み込み検知の判断基準となるしきい値を記憶するしきい値記憶部43、検出結果を記憶する履歴データ記憶部44を備える。制御部41は、プログラマブル表示器45に接続される。プログラマブル表示器45は、タッチパネルを備え、入力機器としての機能と、液晶ディスプレー等を備え、出力機器としての機能を備える。
【0034】
また、具体的な図示は省略するが、上側回転軸21或いは下側回転軸22の周面の所定位置に、回転方向の基準角度位置を示す基準部位を設け、その基準部位を検知するセンサを機枠30等に取り付ける。これにより、回転軸が一回転する毎に、当該センサから検知信号が出力され、その検知信号が出力されてからの回転角度情報により、制御部41は、回転軸が基準角度位置から何度回転しているかを検出する機能を備える。よって、例えば、
図1,
図2に示すように、第一上側トップシーラ23aと第一下側トップシーラ24aが噛み合っている状態が基準角度位置すると、制御部41は、センサが出力する検知信号を取得すると、
図1,
図2の状態になっていることを検知し、例えばそれから回転軸が90度回転すると第二上側トップシーラ23bと第二下側トップシーラ24bが噛み合う状態になることを検知する。上側回転軸21及び下側回転軸22は、サーボモータにより駆動され、その位置制御により上側トップシーラと下側トップシーラが噛み合うタイミングが制御される。そして、その噛み合うタイミングに同期して、第一検出器35,第二検出器36が距離を検出する信号を出力し、その信号がまた、第一検出器35,第二検出器36の出力は、逐次制御部41に入力される。よって、制御部41は、上記の検知信号の取得並びにそれからの回転角度情報に基づき、サーボモータの位置情報と検出器による信号に基づき、対応する対となるトップシーラ同士が噛み合ったときの第一検出器35,第二検出器36の出力信号に基づき、噛み込みの有無を判定する。係る判定を行う具体的な機能は、以下の通りである。
【0035】
まず本実施形態では、噛み込み有無の判定を行うしきい値を、第一〜第四の各トップシーラに対して個々に設定する。さらに、個々に設定されるトップシーラ毎のしきい値は、手前側の距離を検出する第一検出器35の出力値と比較するしきい値(手前側)と、奥側の距離を検出する第二検出器36の出力値と比較するしきい値(奥側)を有する。これらの個々に設定されたしきい値は、それぞれしきい値記憶部43の所定の記憶エリアに格納される。本実施形態では、一つの回転軸に4つのトップシーラが取り付けられているため、それぞれのしきい値は、例えば「1」から「4」の各エリアに格納する。
【0036】
制御部41は、噛み込みの有無の判定に際し、第一検出器35と第二検出器36の出力値と、しきい値記憶部43に格納された判定対象のトップシーラに対応づけて設定されたしきい値(手前側と奥側)とをそれぞれ比較し、噛み込みの有無を判断する。しきい値以上としきい値以下のいずれをNG(噛み込み)とするかは、第一検出器35,第二検出器36の取付状態による。すなわち、上側回転軸21の上昇移動に伴い、第一検出器35,第二検出器36の出力が増加(検出距離が長くなる)するように設置した場合には、しきい値以上をNGと判定し、上側回転軸21の上昇移動に伴い、第一検出器35,第二検出器36の出力が減少(検出距離が短くなる)場合には、しきい値以下をNGと判定する。なお、この例では、しきい値もNGとしたが、しきい値は正常でしきい値を超えたらNGとしても良い。
【0037】
そして、制御部41における判定アルゴリズムは、第一検出器35と第二検出器36の少なくとも一方の出力値が、対応するしきい値と比較してNGとなる場合、噛み込みを生じたと判定する。これは、正常な場合、一対のトップシーラで筒状フィルム14を挟み込むと、上側回転軸21は水平状態を維持しながら上昇移動するため、例えば第一検出器35の出力値と第二検出器36の出力値は等しくなる。そして、製品その他の異物の噛み込みが生じた場合、例えば異物の噛み込まれた部分の厚さが均一で、幅方向に全体にわたって位置する場合、上側回転軸21は、水平状態を維持しながら当該厚さの分だけさらに上昇移動する。すると、第一検出器35の出力値と第二検出器36の出力値は、いずれもNGの範囲となる。また、例えば、トップシーラにおける筒状フィルム14の搬送方向に対して直交する方向の片側で異物が噛み込まれた場合、上側回転軸21は、当該噛み込まれた部位側が持ち上がって傾斜状になるため、当該持ち上がった側の検出器の出力値はNGの範囲となるが、反対側の検出器の出力値はNGにならないこともある。よって、本実施形態では、少なくとも一方の検出器の出力値がNGになった場合に、噛み込みを生じたと判定するようにした。
【0038】
しきい値記憶部43に登録する各しきい値は、例えば制御部41が以下のようにして行う。まずユーザは、プログラマブル表示器45を操作し、回転式トップシール装置20のトップシーラの数N(本実施形態では「N=4」)を入力する。制御部41は、プログラマブル表示器45で設定されるトップシーラの数Nを取得し、しきい値記憶部43の使用するエリア(1〜N)を決定するとともに、回転角度に対する第一検出器35,第二検出器36の出力値の取得タイミング(N/360度毎)を基づく取得タイミングを求める。
【0039】
また、各トップシーラの回転角度位置、すなわち、各トップシーラが、それぞれ基準角度位置から何度回転すると噛み合うかの情報を設定する。この設定は、例えば、検知信号が出力されてから最初にトップシーラが噛み合うまでの回転角度情報(本実施形態では、同時であるため「0度」)を第一上側トップシーラ23a、第一下側トップシーラ24aの回転角度位置(本実施形態では「0度」)として登録し、以後、その登録した回転角度情報に「N/360度」ずつ加算した回転角度位置値を、第二,第三,第四の各トップシーラの回転角度位置として登録する。
【0040】
この検知信号が出力されてから最初にトップシーラが噛み合うまでの回転角度情報の設定は、例えばユーザがプログラマブル表示器45を操作して直接数値入力することなどの手動で行っても良いが、例えば、実際に上側回転軸21,下側回転軸22を回転させるとともに所定のトップシーラが噛み合った状態で停止させ、制御部41が検知信号から出力されてから停止するまでの回転角度を取得し、それに基づいて自動的に設定すると正確かつ簡単に行えるので良い。
【0041】
次いで、実際に筒状フィルム14を回転式トップシール装置20に通過させてシール・カット処理を行う。このとき、噛み込みが生じないようにするため、例えば製品は供給せず空体を製造するとよい。制御部41は、検知信号と回転軸の回転角度情報から得られる第一〜第四の各トップシーラが噛み合うタイミングで、第一検出器35と第二検出器36からの出力値を取得し、トップシーラ毎に分けてワークメモリ42に格納する。制御部41は、トップシーラ毎に、所定回数分の出力値の平均値を求め、その求めた平均値に基づき各トップシーラのしきい値を求め、しきい値記憶部43に登録する。平均値に基づくしきい値は、例えば、所定のマージンを加減算等して求める。マージンは、噛み込みが予測される異物の厚さなどを考慮し、ユーザがあらかじめ設定したものを用いると、実情に応じたより精度の良い噛み判定を行えるので良い。
【0042】
また、別のしきい値の設定・登録方法としては、例えば制御部41は、上述した行程における平均値まで求めたら、その演算結果をプログラマブル表示器45に出力し、しきい値の入力を待つ。ユーザは、演算結果を見ながら、個々にしきい値を入力する。制御部41は、入力された各しきい値を、それぞれ対応するしきい値記憶部43に登録するようにしてもよい。このようにすると、例えば個々のトップシーラ毎に平均値に対するマージンを調整することができ、より緻密なしきい値設定を行えるのでよい。
【0043】
上述したように、制御部41は、実際に横ピロー包装機が稼働すると、トップシーラが噛み合う毎に、それぞれに設定されたしきい値と第一検出器35,第二検出器36の出力値を比較して噛み込みの有無を判定し、噛み込みがあった場合には噛み込み検知信号を出力する。そして、横ピロー包装機は、係る噛み込み検知信号に基づき、不良品の廃棄を行う。
【0044】
本実施形態は、第一検出器35,第二検出器36では、距離の検出を行いその検出結果を出力し、距離に基づく噛み込み有無の判定は、制御装置40の制御部41が行うようにし、さらに、個々のトップシーラ毎に噛み込み有無の判定のためのしきい値を設定したので、例えば、トップシーラの加工時の公差やカッター刃等の組み付け精度等により、噛み込みの無い正常なシール処理における各組のトップシーラ同士が接触した場合の軸間距離が異なっていたとしても、係る異なった状態における適切なしきい値を設定することができ、精度の良い噛み込み検知を行うことができる。
【0045】
本実施形態の制御部41は、上記の噛み込み有無の判定機能に加え、履歴管理機能を備える。履歴管理機能は、時々刻々と出力される第一検出器35と第二検出器36の出力値を取得し、履歴データ記憶部44に格納し、その格納したデータを呼び出してプログラマブル表示器45に出力する機能を有する。
【0046】
履歴データ記憶部44は、
図3に示すように、トップシーラごとの記憶領域を持ち、噛み込み有無の判定を行う際に取得した第一検出器35と第二検出器36の出力値を、それぞれ対応するトップシーラの記憶領域に格納する。本実施形態では、4つのトップシーラを備えているため、例えば「1」から「4」の各エリアに格納する。これにより、横ピロー包装機の運転が開始されると、制御部41は、トップシーラが噛み合っているときの第一検出器35と第二検出器36から出力される出力値を取得し、各エリアに格納するため、各エリアには、トップシーラ毎の出力値が時系列に格納された履歴データが記憶されることになる。
【0047】
制御部41は、履歴データ記憶部44に格納した出力値を読み出し、例えば横軸が時間経過に対応するもので、縦軸が出力値とする時系列データのグラフを作成・表示する(
図4参照)。このグラフは、リアルタイムすなわち例えば稼働中の装置において、現在の値から所定時間前までの一定期間のデータとすると、ユーザは、稼働中の装置のトレンド情報がわかるのでよい。さらに、本実施形態では、各トップシーラがそれぞれ噛み合っているときの出力値を記憶し、噛み合っていない区間の出力値は記憶しない。よって、横軸の時間経過に対応するものとは、トップシーラ毎に取得・記憶したデータを時系列で並べるものとなり、例えば回転軸が一回転したときに得られる4個の出力値は、横軸の同軸上に配置される。
【0048】
図4は、プログラマブル表示器45の表示画面の一例を示している。
図4に示すように、表示画面の広い領域にグラフ表示部51を設け、表示画面の左側に現在データ表示部52とカーソル位置データ表示部53を設けるレイアウトを採る。また、この例では、グラフ表示部51の上側に、グラフ表示部51に表示している履歴データの内容を示すタイトル54と、カーソル操作キー55を設ける。
【0049】
タイトル54は、図の例では「トレンドグラフ 手前側」と表示している。「トレンドグラフ」が履歴データを意味し「手前側」が第一検出器35から出力される出力値を表示していることを意味する。第二検出器36の出力値を表示する場合「奥側」と表示する。
【0050】
グラフ表示部51は、上述したトップシーラ毎の時系列データのグラフを表示する領域である。図示するように、制御部41は、4つのトップシーラに対応するa,b,c,dの4本のグラフを描画する。図示の例では、aのグラフは、噛み込みが発生せず、b,cのグラフはそれぞれ一回ずつ噛み込みP1,P2が発生した様子を示している。また、dのグラフは、正常の範囲内であるが時間の経過に伴い徐々に出力値が上昇している様子を示している。dのグラフのように出力値が徐々に増加或いは減少するなど一定の傾向がある場合、例えば、シール面・カッター刃の摩耗やカッター刃の位置が徐々にずれるなどのそのトップシーラについての状況がわかる。そして、dのように出力値が徐々に増加/減少する場合、噛み込みを生じていなくてもしきい値を超えてNG判定がされたり、噛み込みを生じていてもしきい値を超えずに正常判定されるなどの不具合が生じおそれがあり、正しい噛み込みの有無判定を行うためには、しきい値の再設定を行う必要がある。係るしきい値の再設定を行う必要があるか否かや再設定を行うのも、例えば稼働中の装置を止めてすぐに行う緊急性があるか否かなどの判断が、グラフ化された履歴データを見ることで、ユーザは視覚により直感的に理解できるとともに、調整の必要なトップシーラも特定しやすいので良い。このように全てのトップシーラに付いての出力値の履歴データをトップシーラ毎に分けてグラフ表示することで、それぞれの状態、例えばどのトップシーラで噛み込みを生じているかや、調整等の必要の有無等が容易に理解できるので良い。
【0051】
現在データ表示部52は、直近のトップシーラが噛み合っているときの出力値を表示する領域である。制御部41は、直近の第一上側トップシーラ23aと第一下側トップシーラ24aが噛み合っているときの出力値を「1CH」の後に表示する。「2CH」,「3CH」,「4CH」の後には、それぞれ第二,第三,第四の各トップシーラが噛み合っているときの出力値を表示する。
【0052】
制御部41は、カーソル操作キー55の左右の三角形のボタン部分がタッチされたことを検知すると、押された方向にグラフ表示部51に示すカーソルKを移動する。カーソル位置データ表示部53は、当該カーソルKで示される時点の各トップシーラの噛み合っているときの出力値を表示する領域である。制御部41は、カーソルKの位置から、対応するそれぞれの出力値のデータを取得し、各欄に表示する。
【0053】
また、本実施形態では、第一〜第四の各トップシーラに設定するしきい値は、第一検出器35と第二検出器36のそれぞれに対して設定したが、本発明はこれに限ることは無く、例えば、第一検出器35と第二検出器36に対して共通した一つのしきい値を用いるようにしても良い。
【0054】
また、上述した実施形態並びに変形例では、しきい値は、上側回転軸21と下側回転軸22の軸間距離が、噛み込みに伴い一定以上離れた場合を検知するしきい値(上限値)としたが、本発明はこれに限ることは無く、軸間距離が正常なシール処理時の所定距離に達しない場合を検知するしきい値(下限値)をさらに設けても良い。
【0055】
上述した実施形態では、一つの回転軸に複数(4個)のトップシーラを取り付けた例を説明したが、設置数は任意であり、2乃至3個でも良いし、5個以上のものでも良い。また、本発明は、回転軸が1回転する毎に複数回の噛み込みの判定を行うことができる回転式トップシール装置であるので、例えば、一つの回転軸に一つのトップシーラを取り付けた構成のものであっても、判定タイミングが複数あれば良い。
【0056】
例えば、
図5に示すように、一対のトップシーラ60が噛み合う際に、噛み込みの有無の判定を複数回(例えば2回)行うようにする。ここでは、カッター刃61の配置範囲では噛み込みの有無の判定を行わず、回転方向でカッター刃61の前後、すなわち、シール面60aの入口側領域R1と出口側領域R2で、それぞれ設定したしきい値で噛み込みの検出を行う。
【0057】
例えば、カッター刃61がシール面60aよりも外に突出していると、シール面60aが筒状フィルムに接触し両側から挟み込んでシールする時よりも、カッター刃61が筒状フィルム14に接触して切断する時の方が回転軸の軸間距離が長くなる。そこで、カッター刃61による切断するときの軸間距離では噛み込み無しの判定をするようにしきい値を設定すると、例えば、噛み込んだ製品その他の異物の厚さが薄いと、噛み込みを検知できないおそれがある。そこで、カッター刃61の部分では噛み込みの有無の判定を行わないようにし、さらに入口側領域R1と出口側領域R2でそれぞれ固有のしきい値に基づいて噛み込みの判定を行うことで、確実に噛み込みを検知することができる。さらに、入口側領域R1と出口側領域R2のいずれか一方でのみ噛み込みを生じている場合、当該噛み込みを発生している不良品が、トップシーラ60の前側/後ろ側のいずれであるかを特定することができ、当該不良品を適切に排除することができるので良い。
【0058】
本形態では、第一検出器35と第二検出器36は、検出した距離に応じた出力信号を出力し、当該出力信号に基づく噛み込み有無の判定は、トップシーラ60の回転角度位置を認識する制御装置40の制御部41が行うようにしたため、カッター刃61の配置範囲等、所望の領域で噛み込みの判定を行わないようにすることができるようになる。
【0059】
また、このようにカッター刃の配置範囲等の所望の領域で噛み込みの有無を判定せず、シール面が筒状フィルム14に接触している区間のみ当該判定を行う機能は、例えば、上述した複数のトップシーラを備える実施形態に適用すると良い。また、その場合に、同じトップシーラに設定する入口側領域R1と出口側領域R2のしきい値を同じにしても良い。
【0060】
また、上述した実施形態並びに変形例では、トップシーラにカッター刃を内蔵したタイプのトップシール装置について説明したが、本発明はこれに限ることは無く、カッター刃を内蔵しないタイプのものに適用しても良い。
【0061】
上述した実施形態並びに変形例では、回転式トップシール装置が実装される包装機は、横ピロー包装機としたが、本発明の適用はこれに限るものでは無く、例えば縦ピロー包装機でもよいし、深絞り包装機その他、各種の包装機に組み込むことができる。
【0062】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。