(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846231
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】評価システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20210315BHJP
G06F 40/166 20200101ALI20210315BHJP
G06F 40/169 20200101ALI20210315BHJP
【FI】
G06Q30/02 312
G06F40/166
G06F40/169
【請求項の数】29
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-28872(P2017-28872)
(22)【出願日】2017年2月20日
(65)【公開番号】特開2018-136604(P2018-136604A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2019年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】316016852
【氏名又は名称】株式会社マクロミル
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100125357
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100159167
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 恒太
(72)【発明者】
【氏名】綿貫 真也
【審査官】
大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−247899(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0229221(US,A1)
【文献】
特開2007−102668(JP,A)
【文献】
特開2002−329036(JP,A)
【文献】
特開2015−184996(JP,A)
【文献】
特開2009−003850(JP,A)
【文献】
特開平06−131442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G06F 40/166
G06F 40/169
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表示手段および受付手段を有する端末と、制御装置とを備える評価システムであって、
前記端末の前記第1の表示手段は、第1の画像データに基づいて、評価対象物が含まれる第1の画像を表示し、
前記端末の前記受付手段は、前記第1の表示手段に表示された前記第1の画像における、評価者による、注目部の指定および前記注目部に対する評価情報の入力を受け付け、
前記制御装置は、
複数の、前記注目部の指定に関する情報と前記評価情報とが関連付けられた受付情報に基づいて、前記第1の画像における位置ごとの注目度を表す注目度分布データを生成し、
前記第1の画像および前記注目度分布データに基づいて第2の画像データを生成して、第2の画像として第2の表示手段に表示させ、
複数の前記受付情報に含まれる複数の前記注目部に関する情報に基づいて、前記第1の画像における位置ごとの注目度を決定し、前記位置ごとの注目度に応じて前記注目度分布データを生成し、
前記制御装置は、さらに、
前記第2の表示手段に表示された前記第2の画像に対する、操作者による操作を受け付ける操作手段を有しており、
前記受付情報を取得するより前に、前記評価対象物に対して前記評価者が回答した事前アンケートの結果を取得するものであり、
前記制御装置は、前記操作者により、前記制御装置の前記操作手段を用いた前記事前アンケートの結果の指定が行われると、指定された前記事前アンケートの結果に対応する前記注目度分布データを再生成し、当該再生成された注目度分布データに基づいて第2の画像データを生成する
ことを特徴とする評価システム。
【請求項2】
前記事前アンケートの結果には、前記評価者による前記評価対象物の認識に関する情報、前記評価者による前記評価対象物の購入経験の有無を示す情報、および、前記評価者に
よる前記評価対象物の購入の意向の程度を示す情報の、少なくともいずれかが含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の評価システム。
【請求項3】
第1の表示手段および受付手段を有する端末と、制御装置とを備える評価システムであって、
前記端末の前記第1の表示手段は、第1の画像データに基づいて、評価対象物が含まれる第1の画像を表示し、
前記端末の前記受付手段は、前記第1の表示手段に表示された前記第1の画像における、評価者による、注目部の指定および前記注目部に対する評価情報の入力を受け付け、
前記制御装置は、
複数の、前記注目部の指定に関する情報と前記評価情報とが関連付けられた受付情報に基づいて、前記第1の画像における位置ごとの注目度を表す注目度分布データを生成し、
前記第1の画像および前記注目度分布データに基づいて第2の画像データを生成して、第2の画像として第2の表示手段に表示させ、
複数の前記受付情報に含まれる複数の前記注目部に関する情報に基づいて、前記第1の画像における位置ごとの注目度を決定し、前記位置ごとの注目度に応じて前記注目度分布データを生成するものであり、
前記評価情報は、予め定められた複数の段階から選択された、前記注目部に対する評価値である
ことを特徴とする評価システム。
【請求項4】
前記受付手段は、前記評価値を、星の数で入力させる
ことを特徴とする請求項3に記載の評価システム。
【請求項5】
前記受付手段は、前記評価値を、スライドバーで入力させる
ことを特徴とする請求項3に記載の評価システム。
【請求項6】
前記評価情報は、前記注目部に対する肯定的評価を示す情報、および、前記注目部に対する否定的評価を示す情報の少なくともいずれかを含む
ことを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の評価システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記注目度に応じて前記第2の画像における表示色が変化するように、前記第2の画像データを生成する
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の評価システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記注目度が高いほど色温度が低くなるように、前記第2の画像データを生成する
ことを特徴とする請求項7に記載の評価システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記注目度分布データに基づくヒートマップを生成し、前記第1の画像データに重畳するものであり、前記ヒートマップは透過表示される
ことを特徴とする請求項7または8に記載の評価システム。
【請求項10】
前記受付手段は、前記注目部として、前記第1の画像中の点を指定させる
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の評価システム。
【請求項11】
前記第1の表示手段は、前記受付手段を兼ねるタッチパネルであり、
前記受付手段は、前記評価者に、前記第1の表示手段に表示された前記第1の画像中の点をタップさせることにより、前記注目部の指定を受け付ける
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の評価システム。
【請求項12】
前記制御装置は、複数の前記受付情報における、前記第1の画像において前記注目部として指定された点の位置および指定された回数に応じて、前記第1の画像における位置ごとの注目度を決定する
ことを特徴とする請求項10または11に記載の評価システム。
【請求項13】
前記受付手段は、前記注目部として、前記第1の画像における範囲指定を受け付けることにより、前記注目部の指定を受け付ける
ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の評価システム。
【請求項14】
前記制御装置は、複数の前記受付情報における、前記第1の画像において前記注目部として指定された範囲の位置および重なり方に応じて、前記第1の画像における位置ごとの注目度を決定する
ことを特徴とする請求項13に記載の評価システム。
【請求項15】
前記第1の画像は2次元画像である
ことを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載の評価システム。
【請求項16】
前記評価対象物は3次元モデルであり、前記第1の表示手段は、前記評価対象物を複数の方向から表示可能である
ことを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載の評価システム。
【請求項17】
前記評価情報は、前記評価者によって前記注目部が指定されたことを示す情報である
ことを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1項に記載の評価システム。
【請求項18】
前記評価情報は、前記評価者による、前記注目部に対するコメントである
ことを特徴とする請求項1ないし17のいずれか1項に記載の評価システム。
【請求項19】
前記制御装置は、前記操作者により、前記制御装置の前記操作手段を用いた前記第2の画像に含まれる特定位置の選択または特定範囲の指定が行われると、当該特定位置または特定範囲に対応する前記注目部に対する前記評価情報を、前記第2の表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の評価システム。
【請求項20】
前記制御装置は、前記操作者により、前記制御装置の前記操作手段を用いた前記評価情報の指定が行われると、指定された前記評価情報に対応する前記注目度分布データを生成し、当該生成された注目度分布データに基づいて第2の画像データを生成する
ことを特徴とする請求項19に記載の評価システム。
【請求項21】
前記評価情報は、予め定められた複数の段階から選択された、前記注目部に対する評価値であり、
前記制御装置の前記操作手段は、前記評価者が前記評価値を複数の段階の中から指定するためのユーザインタフェースを提供する
ことを特徴とする請求項20に記載の評価システム。
【請求項22】
前記受付情報には、前記受付情報に含まれる前記注目部の指定および前記評価情報の入力を行った前記評価者の属性を特定する情報が関連付けられている
ことを特徴とする請求項19ないし21のいずれか1項に記載の評価システム。
【請求項23】
前記制御装置は、前記操作者により、前記制御装置の前記操作手段を用いた前記評価者の属性の指定が行われると、指定された前記属性に対応する前記注目度分布データを再生成し、当該再生成された注目度分布データに基づいて第2の画像データを生成する
ことを特徴とする請求項22に記載の評価システム。
【請求項24】
タッチパネルを有する端末と、制御装置と、を備える評価システムであって、
前記端末の前記タッチパネルは、第1の画像を表示するとともに、評価者がタップを行うことによる、前記第1の画像中の注目部の指定操作を受け付けることが可能であり、
前記制御装置は、
前記評価者から、前記第1の画像に含まれる評価対象物についての事前アンケートを収集し、
複数回の前記注目部の指定操作に基づいて前記第1の画像における注目度分布を示すヒートマップを生成して、前記第1の画像に重畳して表示手段に表示し、
前記事前アンケートの結果の指定を受け付けて、指定された前記事前アンケートの結果に対応する前記ヒートマップを再生成し、
前記評価者から、当該評価者による前記注目部の指定操作に関する事後アンケートを収集する
ことを特徴とする評価システム。
【請求項25】
タッチパネルを有する端末と、制御装置と、を備える評価システムであって、
前記端末の前記タッチパネルは、第1の画像を表示するとともに、評価者がタップを行うことによる、前記第1の画像中の注目部の指定操作を受け付けることが可能であり、
前記制御装置は、複数回の前記注目部の指定操作に基づいて前記第1の画像における注目度分布を示すヒートマップを生成して、前記第1の画像に重畳して表示手段に表示するとともに、前記評価者から、当該評価者による前記注目部の指定操作に関する事後アンケートを収集するものであり、
前記評価者は、前記注目部の指定操作の際に、予め定められた複数の段階から選択された、前記注目部に対する評価値を入力する
ことを特徴とする評価システム。
【請求項26】
端末が有する第1の表示手段が、第1の画像を表示するステップと、
前記端末の受付手段が、前記第1の表示手段に表示された前記第1の画像における、評価者による注目部の指定および前記注目部に対する評価情報の入力を受け付けるステップと、
制御装置が、複数の、前記注目部の指定に関する情報と前記評価情報とが関連付けられた受付情報に基づいて、前記第1の画像における位置ごとの注目度を表す注目度分布データを生成するステップと、
前記制御装置が、前記第1の画像および前記注目度分布データに基づいて生成された第2の画像を表示するステップと、
を有する評価方法であって、
前記制御装置が、前記受付情報を取得するより前に、前記第1の画像に含まれる評価対象物に対して前記評価者が回答した事前アンケートの結果を取得するステップと、
前記制御装置が、前記第2の画像に対する操作者による操作を受け付けて、前記操作者により指定された前記事前アンケートの結果に対応する前記注目度分布データを再生成し、当該再生成された注目度分布データに基づいて第2の画像データを生成するステップと、
をさらに有することを特徴とする評価方法。
【請求項27】
端末が有する第1の表示手段が、第1の画像を表示するステップと、
前記端末の受付手段が、前記第1の表示手段に表示された前記第1の画像における、評
価者による注目部の指定および前記注目部に対する評価情報の入力を受け付けるステップと、
制御装置が、複数の、前記注目部の指定に関する情報と前記評価情報とが関連付けられた受付情報に基づいて、前記第1の画像における位置ごとの注目度を表す注目度分布データを生成するステップと、
前記制御装置が、前記第1の画像および前記注目度分布データに基づいて生成された第2の画像を表示するステップと、
を有する評価方法であって、
前記評価情報は、予め定められた複数の段階から選択された、前記注目部に対する評価値である
ことを特徴とする評価方法。
【請求項28】
制御装置がタッチパネルを有する端末を用いて行う評価方法であって、
前記制御装置が、
前記タッチパネルに第1の画像を表示させるステップと、
前記タッチパネルにより、評価者がタップを行うことによる、前記第1の画像中の注目部の指定操作を受け付けるステップと、
複数回の前記注目部の指定操作に基づいて前記第1の画像における注目度分布を示すヒートマップを生成するステップと、
前記第1の画像に前記ヒートマップを重畳して表示するステップと、
前記評価者から、当該評価者による前記注目部の指定操作に関する事後アンケートを収集するステップと、
を有する評価方法であって、
前記制御装置が、
前記評価者から、前記第1の画像に含まれる評価対象物についての事前アンケートを収集するステップと、
前記事前アンケートの結果の指定を受け付けて、指定された前記事前アンケートの結果に対応する前記ヒートマップを再生成するステップと、
をさらに有することを特徴とする評価方法。
【請求項29】
制御装置がタッチパネルを有する端末を用いて行う評価方法であって、
前記制御装置が、
前記タッチパネルに第1の画像を表示させるステップと、
前記タッチパネルにより、評価者がタップを行うことによる、前記第1の画像中の注目部の指定操作を受け付けるステップと、
複数回の前記注目部の指定操作に基づいて前記第1の画像における注目度分布を示すヒートマップを生成するステップと、
前記第1の画像に前記ヒートマップを重畳して表示するステップと、
前記評価者から、当該評価者による前記注目部の指定操作に関する事後アンケートを収集するステップと、
を有する評価方法であって、
前記制御装置は、前記評価者から、予め定められた複数の段階から選択された、前記注目部に対する評価値を入力される
ことを特徴とする評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、企業が新商品を開発する際に売れ行きを左右する重要な要因として、パッケージデザインの開発がある。また、商品パッケージに限らず、視覚を通じて消費者に何らかの感覚を想起させることは重要であり、企業等のあらゆる活動領域においてデザイン開発が重視されている。近年では、企業と消費者との直接的な繋がりを強めるために、Webページのデザイン開発も重視されている。
【0003】
特に商品のデザイン開発において、消費者がデザインを好むかどうかという観点から、開発中のデザインを評価する方法が考案されている。特許文献1には、消費者の嗜好やニーズにマッチするデザインを作成するために、ユーザクラスタごとにデザイン作成の目標イメージを用いるデザイン評価方法が開示されている。
【0004】
また、Webページのデザイン評価の分野において、ユーザのページ閲覧状況を集計して解析して「ヒートマップ」と呼ばれる図を作成し、評価対象のWebページと重畳するように表示する方法がある。特許文献2には、Webページにおけるユーザの操作状況に応じてヒートマップを作成することが開示されている。Webページのヒートマップ解析においては、ユーザの挙動(例えば、ページ内オブジェクトのクリック状況や、ユーザの視線の動き)に応じて、ユーザの注目に応じて表示色が変化するようなヒートマップが作成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−280044号公報
【特許文献2】特開2012−068901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
商品のパッケージデザイン調査を例に取ると、開発段階のデザインを調査する方法として、実際の消費者に評価者(モニタ)になってもらい、当該評価者にパッケージを見せた上でインタビューを行ってデザインに対する評価を聞く調査方法がある。デザイン評価のためのインタビュー方式のうち、評価者に実際のパッケージを見せる方式として、会場調査がある。会場調査法には、評価者が実物を見て正確にデザインを把握できるという利点や、調査者と評価者との対話によって深い意見を引き出せるという利点がある。その反面、会場を用意してインタビューを設定する必要があり、時間や費用が高くなるという問題がある。
【0007】
近年、インターネット経由でモニタにアンケートを実施する、ネットリサーチという手法が普及している。デザイン調査の分野においても、調査に要する費用や時間を削減するという点でネットリサーチは有効である。一方で、評価者が評価対象物のどの部分にどのような感想を持ったのかが把握しにくいという問題や、対話によって評価者から深い意見を引き出すことが難しいという問題がある。そのため、商品パッケージに代表されるデザイン開発において、ネットリサーチの活用により調査に要する時間や費用を低減しつつ、評価者の意見を効率よく正確に収集することが求められている。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、評価者によるデザインに対する評価を効率よく正確に収集し、解析するための評価システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は以下のような構成を採用する。すなわち、
第1の表示手段および受付手段を有する端末と、制御装置とを備える評価システムであって、
前記端末の前記表示手段は、第1の画像データに基づいて、評価対象物が含まれる第1の画像を表示し、
前記端末の前記受付手段は、前記第1の表示手段に表示された前記第1の画像における、評価者による、注目部の指定および前記注目部に対する評価情報の入力を受け付け、
前記制御装置は、
複数の、前記注目部の指定に関する情報と前記評価情報とが関連付けられた受付情報に基づいて、前記第1の画像における位置ごとの注目度を表す注目度分布データを生成し、
前記第1の画像および前記注目度分布データに基づいて第2の画像データを生成して、第2の画像として第2の表示手段に表示させるものであり、
複数の前記受付情報に含まれる複数の前記注目部に関する情報に基づいて、前記第1の画像における位置ごとの注目度を決定し、前記位置ごとの注目度に応じて前記注目度分布データを生成する
ことを特徴とする評価システムである。
【0010】
かかる構成によれば、評価者は評価対象物に対するタップ等の操作により、直感的に注目部の指定と評価情報の入力を実施できる。その結果、ネットリサーチにおいても、正確なデザイン評価を効率よく収集できるようになる。
このとき、注目部として画像上の点を指定しても良いし、範囲を指定しても良い。
また、評価対象は2次元画像でも良いし、3次元モデルでも良い。
また、評価情報としては、評価値、肯定的評価または否定的評価、コメントなど様々なものを採用できる。
【0011】
また、上記構成において、前記制御装置は、前記注目度に応じて前記第2の画像における表示色が変化するように、前記第2の画像データを生成するようにしても良い。表示色の変更は、典型的には色温度に基づくヒートマップにより行われる。
かかる構成によれば、収集し解析した評価情報を操作者に見やすく提供できるので、デザイン開発に効果を発揮する。
【0012】
また、上記構成において、前記制御装置は、前記第2の表示手段に表示された前記第2の画像に対する、操作者による操作を受け付ける操作手段を有している構成を採用しても良い。
さらに、前記制御装置は、前記操作者により、前記制御装置の前記操作手段を用いた前記第2の画像に含まれる特定位置の選択または特定範囲の指定が行われると、当該特定位置または特定範囲に対応する前記注目部に対する前記評価情報を、前記第2の表示手段に表示させる構成を採用しても良い。
【0013】
かかる構成によれば、操作者に対してヒートマップを解析するための簡便で有益な操作パネルを提供できる。
またこのとき、第2の画像上で点や範囲を指定して評価情報やコメントを抽出する機能や、評価者の属性や評価値に基づく絞り込み機能を提供することも好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、評価者によるデザインに対する評価を効率よく正確に収集し、解析するための評価システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】システムの全体的な構成を説明する図である。
【
図2】システムによる処理を説明するフローチャートである。
【
図4】評価を入力する方法の一例を説明する図である。
【
図5】調査の設定および回答取得について説明する図である。
【
図8】実施形態2の注目部指定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態を説明する。ただし、以下に記載されている構成ブロックやそれらの相対配置などは、発明が適用されるシステムの各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0017】
本発明は、企業等によるデザイン開発において、消費者等による評価を取得し、集計して解析するために好適である。以下の実施形態ではデザイン開発の典型例として商品のパッケージ開発の場面を取り上げる。しかし本発明の適用対象はこれに限定されず、企業等が人間に対して視覚を通じて働きかけようとする際のあらゆるデザインが対象となり得る。本発明は例えば、Webページのデザイン、商品配置を検討するための小売店舗の棚に関するデザイン、雑誌や新聞や屋外や交通機関に広告を出したときの注目のされ方、PCのアプリケーションやスマートフォン用アプリのデザイン、などにも利用できる。
【0018】
本発明は、デザイン評価を取得する調査システム、評価システム、調査方法、評価方法、評価システムを構成する情報処理装置、当該情報処理装置の演算資源を利用して動作し、調査方法の各工程を情報処理装置に実行させるプログラム、かかるプログラムが格納されたコンピュータにより読み取り可能な非一時的な記憶媒体、としても捉えられる。本発明はまた、評価者が利用する端末や当該端末を用いた評価方法、当該評価方法の各工程を端末に実行させるプログラム、かかるプログラムが格納されたコンピュータにより読み取り可能な非一時的な記憶媒体、としても捉えられる。
【0019】
以下の実施形態において、調査者とは、商品パッケージのデザインに対する評価を収集する者であり、典型的には企業や、企業からの依頼を受けたリサーチ会社である。企業とリサーチ会社など、複数の調査主体を合わせて調査者と呼んでも良い。また、評価者は、インターネットを利用したリサーチ会社にモニタとして登録された者の中から選ばれる。
【0020】
ネットリサーチを業務として行うリサーチ会社は、多数のモニタに属性情報を登録してもらって会員組織を形成している。リサーチ会社が企業から調査を依頼されると、モニタと連絡を取り、報酬と引き換えに商品パッケージのオンライン上での評価を依頼する。ネットリサーチには、多人数のモニタに一度にアンケート参加を依頼できる、モニタの負担が軽い、アンケート依頼、モニタによる回答、回答結果の集計と解析がオンライン上で完結する、といった利点がある。また、モニタの属性情報や事前アンケート結果に基づく調査対象の絞り込みが容易である。そのため、商品の消費者として想定する人々からの評価を得られる。さらに、モニタに対する事後アンケートも容易に実施できる。
【0021】
[実施形態1]
<システム構成>
本実施形態のシステム構成について、
図1を参照しながら説明する。
評価システム1は、評価者3が使用する端末2と、制御装置4を備えており、両者はWebや専用回線等を介して相互に通信可能である。評価者3はインターネットを利用可能であり、かつ、ネットリサーチのモニタとして登録した者から選ばれる。操作者5は、調査者の調査担当者であり、収集された情報を確認し、操作パネル等のユーザインタフェースを用いて所望の形式で表示させる。
【0022】
端末2は、評価者3が第1の表示手段21によってパッケージデザインを確認し、受付手段22を用いて評価を入力するための、情報処理機能、表示機能、通信機能などを有する端末装置である。端末2として、CPUやメモリなどの演算資源を備え、プログラムの指示やユーザインタフェースを介した入力によって動作する、PC、ワークステーション、タブレットデバイス、スマートフォンなどの情報処理装置が好適である。評価者3aのように、スマートフォンである端末2aを用いる場合、端末2a(スマートフォン)のタッチパネルが、第1の表示手段21aと受付手段22aを兼ねる。また、評価者3bのように、PCである端末2bを用いる場合、端末2b(PC)のディスプレイが第1の表示手段21bに、マウスおよびキーボードが受付手段22bに、それぞれ相当する。
【0023】
制御装置4は、Webを介して端末2から評価者3による評価情報を収集し、必要に応じて保存、統計処理などを行い、利用しやすい形式で表示するための情報処理装置である。制御装置4として、CPUやメモリなどの演算資源を備え、プログラムの指示やユーザインタフェースを介した入力によって動作する、PCやワークステーションなどの情報処理装置が好適である。なお、
図1では制御装置4が単一のブロックであるように描かれているが、複数の情報処理装置を組み合わせて制御装置4としても良い。例えば、リサーチ会社のサーバが評価者3からの情報収集と保存を行い、企業属する操作者5が、当該企業の保有するワークステーションを用いてリサーチ会社のサーバにログインし、所望の情報処理を行ってもよい。その場合、企業のワークステーションのディスプレイが第2の表示手段41に、マウスおよびキーボード等が操作手段42に相当する。
【0024】
データベース43は、デザイン調査の内容に関する情報、リサーチ会社のモニタに関する情報、モニタから選ばれた評価者3に関する情報、デザイン評価の結果(受付情報)などを保存する。データベースの形式や、データベースの物理的な配置や構成などは、特に限定されない。データベース43として、ハードディスクやフラッシュメモリ等の記憶媒体を備え、情報処理装置により読み書きが可能な記憶装置が好適である。
【0025】
<処理フロー>
図2を参照して、本実施形態の処理フローについて説明する。本フローは、評価対象物として、評価を受けたい商品パッケージのデザインが決定した時点からスタートする。
【0026】
(事前準備)
ステップS101において、調査者は調査内容として、評価者に関する情報や調査方法に関する情報を決定する。評価者に関しては、属性や、「割り付け」と呼ばれる、属性ごとの評価者人数を設定することが好ましい。属性としては年齢、性別、居住地、職業、配偶者や子供の有無などがある。その他、商品の消費者に想定される様々な属性を設定できる。本フローでは属性として、性別(男性または女性)および年齢(10歳代、20歳代、30歳代)を採用し、それぞれの区分について10人ずつ、合計60人を対称として調査を行う。また、評価対象物はお茶のペットボトルのデザインである。
【0027】
ステップS102において、調査者はリサーチ会社のモニタに対してアンケートへの参
加を依頼する。このとき調査者は、データベース43を参照して、リサーチ会社が予め保有しているモニタのリストから評価者3の候補を抽出する。依頼の際には、端末2へのメール送信や、端末2にインストールされたアプリケーションの通知機能を利用できる。合計60人の評価者3が確定すると、次の工程に移行する。
【0028】
(評価方法)
ステップS103において、評価者3が開発中のパッケージデザインを確認し、評価を行う。ここでは、評価者3aが、スマートフォンである端末2aを用いて飲料用ペットボトルのパッケージを評価する様子を説明する。評価者3aは、自分の端末2aを用いて回答を開始する。回答の際には、ブラウザを用いて調査者から提供されたURLにアクセスする方法や、調査者の提供するアプリを利用する方法などがある。端末2aは、制御装置4または不図示の外部サーバから、評価対象物を含む第1の画像を表示するための第1の画像データと、メッセージを表示するためのテキスト情報を受信する。
【0029】
図3(A)は、端末2aのタッチパネルの画面である。上述したようにタッチパネルは第1の表示手段21aと受付手段22aを兼ねている。画面上部のメッセージ欄211には、評価者3aに対するメッセージが表示される。画面下部の画像表示欄212には、評価対象物213を含む第1の画像が表示される。画像表示欄212は、画像の拡大縮小機能などを備えることが好ましい。
【0030】
図3(A)では、説明の都合上、評価対象物213の構成要素(オブジェクト)に符号を付している。オブジェクトとして、企業ロゴ213a、商品名ロゴ213b、キャッチコピー213c、シズル213d、キャップ213eがある。なお、シズル213dとは、購買意欲を惹起するようなオブジェクトのことを言い、ここでのシズルはお茶の葉のイラストである。ただし、評価者3aが評価できるのは、上記のような明確なオブジェクトに限られない。例えば、容器の下部の窪み213fのように、明確な名称の付いていない箇所も評価対象となり得る。本発明における評価は、オブジェクト単位でなされるとは限らない。本発明では、オブジェクトの中でも特に注目されている部分を特定できる。
【0031】
メッセージ欄211を見た評価者3aは、
図3(B)のように、自分が気になる箇所(注目部)をタップにより指定する。端末2aは、タップ位置を分かりやすくするために注目部アイコン214を表示する。ここではシズル213dがタップされている。この処理によって、評価者3aによる注目部の指定が受付手段22aによって受け付けられた。ここまでの処理でも、「パッケージデザイン中で注目を集める箇所が分かる」という意味で、デザイン評価がなされたと言える。この場合の評価情報とは、「デザイン中のある箇所が注目を集めた」という事実である。
【0032】
本フローの評価システム1は、評価者3aに注目部を指定させるだけでなく、注目部に対する評価値を入力させる。これにより、さらに正確なデザイン評価を取得できる。具体的には、
図3(C)に示すように、注目部アイコン214の近傍に評価値入力欄215が表示されるとともに、メッセージ欄211に評価値の入力を促すメッセージが表示される。評価者3aは、評価値入力欄215をタップし、星の数を選択することによって、注目部のデザインに対する5段階評価を行う。この場合、星の数が評価情報である。
【0033】
なお、評価の段階数は5つに限られず、任意の数を設定して良い。また、評価値の入力方法は星の数に限られない。例えば
図3(D)のように、スライドバー216を用いてもよい。スライドバー216は、タップした注目部が「嫌い」なら「0」、「好き」なら「10」を割り当てておき、ツマミ217の移動により評価値を入力させるためのユーザインタフェースである。
図3(C)の場合、評価値として「7」が選択されている。この場合は数値が評価情報である。
【0034】
図4は、評価方法の別の例を説明するための図である。
図4(A)では、タップした箇所を示す注目部アイコン214の近傍に、
図3(C)の評価値入力欄215の代わりに、評価選択欄218が表示されている。メッセージ欄211を見た評価者3aは、肯定的評価を示す「◎」か、否定的評価を示す「×」のいずれかをタップして選択する。この場合、肯定的評価または否定的評価が評価情報である。なお、肯定的評価や否定的評価のアイコンは図示したものに限られない。例えば、肯定的評価にはスマイルマークを、否定的評価には泣き顔などを用いてもよい。
【0035】
図4(A)で「◎」が選択された後、
図4(B)のような画面が表示される。評価選択欄218には選択された「◎」のみが残る。メッセージ欄211には「◎」を選択した理由を問うメッセージが表示され、表示画面上にコメント入力欄219が表示される。評価者3aは、端末2aのIMEを使ってコメントを入力する。なお、コメント入力方法は、フリーアンサー形式でも良いし、予め設定された言葉から選択する方式でもよい。コメント入力が行われる場合、コメントの内容が評価情報である。なお、注目部がタップされると、評価値入力を経由せずに、すぐにコメントを入力させても良い。また、コメント入力を、
図3のスライドバー方式または星の数を指定する方式と組み合わせても良い。
【0036】
端末2bとしてPCを用いる評価者3bの場合、タッチパネルを用いるタップ操作の代わりに、マウスやキーボードなどの入力装置を用いる。しかし、注目部を指定し、評価値やコメントを入力するという処理の概要はスマートフォンの場合と変わらない。よって、評価者3がPCとスマートフォンのいずれを用いた場合でも、同様の操作感覚で回答できる。
【0037】
評価者3aが回答を終了すると、指定された注目部に関する情報と、注目部に対する評価情報が制御装置4に送信される。注目部に関する情報と評価情報とは関連付けられて、評価者3aを特定する情報とともに、データベース43に受付情報として格納される。注目部に関する情報は、少なくとも、第1の画像における注目部の位置を示す情報を含む。
【0038】
(データの構成と集計処理)
フローチャートのステップS104における、評価結果の集計の説明を行う。制御装置4は、60人全ての評価者からデザイン評価に関する回答を受信すると、集計処理を開始する。このフローでは、60人の評価者それぞれが、第1の画像から3ヶ所の注目点を指定し、「◎」か「×」による評価値入力と、フリーコメント入力を行うものとする。
【0039】
図5を参照して、集計処理で用いるデータ構造の一例を説明する。
図5(A)は、評価対象物である商品パッケージを含む第1の画像51であり、第1の画像データから生成される。制御装置4は、第1の画像データをデータベース43に保存している。
【0040】
図5(B)は、注目部の位置を特定するための注目部設定用データ52を模式的に図示したものである。ここでは、注目部設定用データ52として(x,y)座標で示されるメッシュデータを用いている。注目部設定用データ52は、第1の画像51を構成単位に分割したときの2次元配列データである。分割時のメッシュサイズは任意であり、例えば端末2としてスマートフォンを想定している場合、画面をタップするときの人の指先の面積を基準にするとよい。メッシュを細かくするほど精度の高い位置情報が得られる。なお、注目部設定用データ52は第1の画像上の位置を特定できるものであれば良く、メッシュでなくても構わない。
【0041】
例えば、評価者3aがタップにより指定した注目点の座標が(x,y)=(10,10)であり、評価値として「8」が入力され、さらにフリーコメントも入力された場合につ
いて考える。このとき制御装置4は、データベース43に、受付情報の一つのエントリーとして、評価者3aを特定する情報(例えばモニタID)、注目点座標、評価値、およびフリーコメントを保存する。データベース43には受付情報として、このようなエントリーが180件(60人×3箇所)保存される。
【0042】
制御装置4は、まず、全ての受付情報を注目点ごとに分類する。そして、注目部設定用データ52上の位置ごとに、注目度の度数を示す分布データを生成する。この度数分布データにおいて度数の高い位置(すなわち、第1の画像において多数の評価者3が注目点として指定した位置)は注目度が高く、度数の低い位置(比較的少数の評価者3が注目点として指定した位置)は注目度が低い。こうして生成された度数分布データは、本発明の注目度分布データの一つである。制御装置4は、簡易的な方法として、度数の高さ(注目度の大きさ)に応じて第1の画像の表示色を変えたり、度数の高さに応じて第1の画像に重畳する画像の表示色を変えたりすることにより、第2の画像を生成しても良い。
【0043】
(ヒートマップ作成)
フローチャートのステップS105における、ヒートマップを作成し、第1の画像に重畳表示する工程の説明を行う。本ステップで制御装置4は、注目度の度数分布データに基づいて、注目度分布データとして透過性のあるヒートマップを作成する。続いて制御装置4は、ヒートマップを第1の画像データに重畳して第2の画像データを生成し、第2の表示手段41に出力して第2の画像を表示させる。
図6(A)は、制御装置4が生成した注目度分布データ53(ヒートマップ)を模式的に図示したものである。
【0044】
ヒートマップを作成するとき、制御装置4は、注目度の度数分布データを参照して、度数の高い位置には低い色温度(赤やオレンジなど)を割り当て、度数の低い位置には高い色温度(青色など)を割り当てる。色を割り当てるときの階調数は、制御装置4の処理能力、第2の表示手段41の表示能力、操作者5の要求に応じて決定される。視認性をより向上させるために、等高線を表示したり、メッシュの境界においてスムージング処理を行ったりしてもよい。なお、表示色の基準は色温度に限定されない。操作者5が注目度を認識できるものであれば、色の彩度や明度を用いても構わないし、グレースケール表示でも良い。また、タップされていない位置や、ごく少数の評価者3しかタップしていない位置には、色を割り当てなくても良い。
【0045】
図6(B)は、注目度分布データ53(ヒートマップ)を第1の画像データに重畳して生成された第2の画像データに基づく、第2の画像54である。
図6(B)の例では、視認性を高めるためにヒートマップのレイヤーの透過性を上げて、下のレイヤーにある第1の画像51が透けて見えるようにしている。ただし透過表示は必須ではない。
【0046】
(操作パネル)
フローチャートのステップS106における、操作パネルを用いた操作者5による条件入力の説明を行う。
図7は、第2の表示手段41上に表示される操作パネル7の画面である。画面の上部中央には、ステップS105で生成された第2の画像71が表示される。画面左側には、属性指定欄72と評価値指定欄73が配置される。画面右側には、評価情報表示欄75と撮像ボタン76が配置される。画面下部には、スナップショット表示欄77が配置される。
【0047】
操作者5は、操作手段42を用いて、属性指定欄72のチェックボックスから所望の評価者属性を選択するとともに、評価値指定欄73のチェックボックスから所望の評価値を選択する。本図では、肯定的評価をした男性がチェックされている。なお、属性指定欄72には、ステップS101で設定した割り付けに応じた項目が表示される。また、評価値指定欄73には、ステップS102で用いた方法に対応したユーザインタフェースが表示
される。例えば評価値入力にスライドバーを用いた場合、評価値指定欄73にもスライドバーが表示される。
【0048】
フローチャートのステップS107において、制御装置4は、選択された属性を持つ評価者3による回答をデータベース43から抽出し、注目度分布データを再び作成して第1の画像に重畳し、第2の画像を再作成する。
図7の第2の画像71は、こうして再作成された画像であり、
図6(B)と比較することにより属性ごとの注目部の違いが明らかになる。
【0049】
操作パネル7は、第2の画像71において、特定の範囲または特定の位置を指定して、当該特定範囲または特定位置における評価情報を抽出する機能を有する。特定範囲枠74は、このような抽出機能のためのユーザインタフェースである。操作者5が操作手段42を用いて第2の画像71上に特定範囲枠74を配置すると、特定範囲枠74内の注目点に対応する評価値とフリーコメントが、評価情報表示欄75に表示される。特定範囲の指定方法は任意であり、例えばマウスを用いて所望の範囲を取り囲むように境界線を引いても良い。あるいは、操作パネルの第2の画像71の上にグリッドを表示しておき、所望のグリッドを選択しても良い。あるいは、オブジェクト213a〜213fごとに、クリック等による選択を可能にしても良い。
【0050】
なお、属性による絞り込み、評価値による絞り込み、特定範囲または特定位置の指定による絞り込みは、それぞれ独立に行われても良いし、同時に行われても良い。
【0051】
操作パネル7にはまた、スナップショット機能がある。操作者が操作手段42を用いて撮像ボタン76を押下すると、制御装置4は、スナップショット表示欄77に現在の第2の画像71を表示する。制御装置4はまた、絞り込み条件と、当該絞り込み条件における第2の画像71とを関連付けてデータベース43に保存しても良い。
【0052】
以上、本フローによれば、ステップS101〜S103に示されるように、評価者が直感的に、第1の画像において注目部を指定して評価値やコメントを入力できる。その結果、ネットリサーチによるデザイン評価を正確かつ効率的に実施できる。
また、ステップS104〜S105に示されるように、調査者が収集した受付情報を解析して、ヒートマップ等の注目度を視覚的に把握できる第2の画像を生成可能である。
また、ステップS106〜S107に示されるように、操作パネルを用いることで、操作者が、評価者の属性の絞り込み、デザイン中の任意の部分に対する評価情報の抽出、スナップショット取得などを容易に実行できる。なお、評価者3の属性は、予めネットリサーチのモニタ情報としてデータベースに保存されているので、属性に基づくデータ抽出と画像の再生成は容易である。
【0053】
<変形例>
本変形例では、操作パネル7において、事前アンケートの結果を用いた絞り込みを行う方法について説明する。評価者としてリサーチ会社のモニタを活用する場合、上述したように、モニタに対する事前アンケートを行い、その結果を用いて対象者を絞り込むことができる。事前アンケートの内容としては例えば、評価者3による、評価対象物の認識に関するアンケート、すなわち、評価者3が評価対象物を知っているか否かを問うアンケートがある。なお実施形態1ではお茶のパッケージデザインが評価対象物であるが、お茶のブランド名についての認識を問うても構わない。他に、評価者による評価対象物の購入経験の有無を問うても構わない。他に、評価者による評価対象物の購入の意向の程度を問うても構わない。移行の程度は、「意向あり/意向なし」の2段階で問うても良いし、5段階評価や10段階評価など、任意の形式で問うても良い。モニタに関する情報はリサーチ会社が保有しているので、受付情報と事前アンケートの結果を対応付けることは容易である
。
【0054】
本変形例の制御装置4の操作パネル7には、操作者5が、事前アンケートの結果を指定できるようなユーザインタフェース(例えばチェックボックスやスライドバーなど)である、アンケート結果指定欄を提供する。そして制御装置4は、操作者5が指定を行うと、受付情報の中から指定されたアンケート結果に対応するものを抽出し、注目度分布データを再生成する。これにより、事前アンケートの結果に応じた回答傾向が取得できるので、高精度な分析に寄与できる。
【0055】
本変形例の事前アンケートを用いた選択方法は、属性指定欄72や評価値指定欄73を用いた選択方法と同時に実行しても良い。
【0056】
[実施形態2]
本実施形態では、評価者3による注目部の指定方法に関する別の例を説明する。
図8は、本実施形態における注目部指定を説明するための図である。
図8(A)のメッセージ欄211に表示されているように、本実施形態では注目部を範囲として指定する。まず評価者3aが指定範囲の一隅81をタップすると、矢印アイコン82が表示される。続いて評価者3aが、タップした指先をタッチパネル上でスライドさせると、指先の位置に合わせて矢印アイコン82が移動する。最後に評価者3aが指先をタッチパネルから離すと、最初にタップした一隅81と、指先を離したときの矢印アイコン82の位置を対角とする長方形83が、注目部として指定される。注目部が指定された後は、端末2aは、実施形態1と同様に評価値やフリーコメントの入力を受け付ける。
【0057】
図8に示した方法は範囲を指定する手法の一例に過ぎない。他に例えば、指先でタッチパネル上の所望の領域を囲むように線を引いても良い。また、予め画像表示欄212に重畳表示されたグリッドを用いてもよい。また、オブジェクト213a〜213fごとに、タップ等による選択を可能にしても良い。また、タップの強さに応じて、注目部の広さを変化させても良い。その場合、タッチパネルのタップ強度が強いほど、広い範囲を注目部として設定する。
なお、本実施形態の範囲による注目部指定方法は、実施形態1で示したタップによる注目部指定方法と併用しても良い。
【0058】
図8(C)は、注目部を範囲として指定した場合の、注目度分布データ作成方法の一例を説明するための図である。本実施形態では、注目部が、領域84のように範囲として表される。このとき、複数の領域84が重なる位置(例えば、符号85で示される位置)は、注目度が高い位置だと言える。制御装置4は、領域の重なり数が多い位置ほど注目度が高いと判断して、ヒートマップを作成する。複数の範囲の位置および重なり方に応じて注目度分布データが生成されるものであれば、細かな手法は問わない。例えば、評価者3のうち30%以上の人数が注目した位置を、注目度が高いと判断しても良い。
【0059】
本実施形態の注目部指定方法によれば、評価者3が柔軟に注目部を指定できるので、正確なデザイン評価を取得できる。
【0060】
[実施形態3]
上記各実施形態では、第1の画像として2次元画像を用いた。しかし本発明において、第1の画像として3次元画像を採用しても良い。この場合、評価対象物は3次元モデルであり、第1の表示手段は3次元モデルを様々な方向から表示可能なビューア機能を備える。評価者3は、ビューア上で注目点または注目範囲をタップ等の操作で指定し、評価情報を入力する。制御装置4は、3次元配列の注目部設定用データを用いて注目度分布データを作成し、3Dモデルに重畳表示する。
【0061】
従来、3次元の物体に対するデザイン評価を得るためには、粘土や3次元プリンタ等でモックアップを作成して会場調査を行う必要があった。しかし本実施形態によれば、ソフトウェア上で3Dモデルを作成した段階で、ネットリサーチによって正確なデザイン評価が得られるため、商品のデザイン開発に要する時間と費用を低減できる。
【符号の説明】
【0062】
1:評価システム
2:端末、21:第1の表示手段、22:受付手段
4:制御装置、41:第2の表示手段、42:操作手段