(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846236
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】カラーと個別予備装着クリップとを備えるクランプシステム
(51)【国際特許分類】
F16B 2/08 20060101AFI20210315BHJP
F16B 2/14 20060101ALI20210315BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20210315BHJP
F16L 23/08 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
F16B2/08 H
F16B2/08 M
F16B2/14 C
F16B7/04 B
F16B7/04 301B
F16L23/08
【請求項の数】21
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-41198(P2017-41198)
(22)【出願日】2017年3月6日
(65)【公開番号】特開2017-161071(P2017-161071A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2020年2月10日
(31)【優先権主張番号】1651881
(32)【優先日】2016年3月7日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591085905
【氏名又は名称】エタブリスマン・カイロウ
【氏名又は名称原語表記】ETABLISSEMENTS CAILLAU
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】ヴォジョワ,シリル
(72)【発明者】
【氏名】プレヴォー,ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】リゴレー,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】グレイ,パトリック
【審査官】
杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−540953(JP,A)
【文献】
特表2008−531952(JP,A)
【文献】
特表2005−511991(JP,A)
【文献】
特開平08−093976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/08
F16B 2/14
F16B 7/04
F16L 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのチューブ(1、2;1’、2’)を封止するように互いに接続するためのクランプシステムであって、前記2つのチューブの互いに対向する端は、クランプ表面(1A、2A;1’A、2’A)を有し、前記クランプ表面は、当該チューブの円筒状の外面に対して突き出ており、前記システムは、当該クランプ表面と協働するのに適したバンド(12)を有するカラー(10)と、当該バンドを締め付けるための手段(12A、12B、16、18)とを備え、前記バンドは、第1の側部(13A)および第2の側部(13B)を有し、前記第1の側部(13A)と前記第2の側部(13B)との間には、前記クランプ表面を受け止めるのに適した内溝(14)が規定されており、
当該クランプシステムは、前記第1の側部(13A)の周りに周方向に分散された複数の個別保持クリップ(20;20’;120;220;320;420;520)をさらに備え、各クリップは、互いに対向する内枝部(30;30’;130;230;330;430;530)および外枝部(32;32’;132;232;332;432;532)を有し、前記第1の側部は、当該内枝部と当該外枝部との間に挟まれ、各クリップは、半径方向にさらに内側に向かって配置される保持部(34;34’;134;234;334;434;534)をさらに有し、当該内および外枝部のうちの1つは、第1の支持区分(36;36’;136;236;336;436;436’;531’)を支持し、前記第1の支持区分は、当該カラーの軸の方を向いた前記カラーの第1の支持表面(13’A;14’A)と協働し、前記クリップを前記カラーの軸(A)に向かって戻るように弾力的に動かして、前記保持部が前記第1のチューブ(1;1’)の前記クランプ表面(1A;1’A)と協働して、前記カラーを当該チューブに予備装着される予備装着状態に保持するとともに、前記カラーの前記第1のチューブに対する当該第1のチューブの自由端に向かう方向の動きを制限するのに適するようにするためのものであり、当該自由端は、当該第1のチューブの前記クランプ表面を備えることを特徴とする、クランプシステム。
【請求項2】
前記カラー(10)の前記第1の支持表面は、前記第1の側部(13A)の内エッジ(13’A)上に形成されることを特徴とする請求項1に記載のクランプシステム。
【請求項3】
前記クリップ(20;20’;120;220;320;420)のうちの少なくとも1つについて、前記第1の支持区分(36;36’;136;236;336;436’;531’)は、前記内および外枝部のうちの一方から切り出された支持舌部(37;37’;137;237;337)上に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のクランプシステム。
【請求項4】
前記支持舌部(37;37’;137;237;337)は、前記外枝部から切り出され、少なくとも前記支持舌部の自由端を介して、前記クリップの前記内および外枝部間の内側空間内に突き出ることを特徴とする請求項3に記載のクランプシステム。
【請求項5】
前記支持舌部(37;37’;237)は、前記内および外枝部が出会う接合部の近傍において前記外枝部に接続されることを特徴とする請求項4に記載のクランプシステム。
【請求項6】
前記支持舌部(337)は、前記内枝部(330)および前記外枝部(332)が出会う接合部から離れた接続区分(337A)において前記外枝部(332)に接続され、また前記支持舌部(337)は、当該接続区分(337A)から当該接合部(334)に向かって伸びたランニング部分(337B)と、前記クリップの前記内側空間(321)内に折り返された端部分(337C)とを有することを特徴とする請求項4に記載のクランプシステム。
【請求項7】
前記支持舌部(137)は、前記内枝部(130)から切り出され、少なくとも前記支持舌部の自由端を介して、前記クリップ(120)の前記内および外枝部間の内側空間(121)内に突き出ることを特徴とする請求項3に記載のクランプシステム。
【請求項8】
前記支持舌部(137)の自由端は、前記内枝部(130)に向かって湾曲し、前記外枝部から離れる方向を向いた前記内枝部の面から得られる表面を介して、前記カラーの前記第1の支持表面(13’A)と協働するのに適することを特徴とする請求項7に記載のクランプシステム。
【請求項9】
前記クリップ(420)のうちの少なくとも1つのクリップの前記内枝部(430)は、自由端部分を有し、前記自由端部分は、内向きに湾曲し、前記第1の支持区分(436)を形成し、前記第1の支持区分(436)は、その外面を介して、前記バンドの前記内溝(14)の端壁(14A)と協働するのに適しており、前記端壁(14A)上に、前記カラーの第1の支持表面が形成されることを特徴とする請求項1に記載のクランプシステム。
【請求項10】
前記内枝部(430)は、自由端部分を有し、前記自由端部分は、内向きに湾曲し、第2の支持区分(436)を形成し、前記第2の支持区分(436)は、その外面を介して、前記バンドの前記内溝(14)の端壁(14A)と協働するのに適しており、前記端壁(14A)上に、前記カラーの第2の支持表面が形成されることを特徴とする請求項3〜8のいずれか一項に記載のクランプシステム。
【請求項11】
前記クリップ(220;320;520)のうちの少なくとも1つのクリップの前記外枝部(232;332;532)は、自由端部分(232;332;532)を有し、前記自由端部分(232;332;532)は、内側に湾曲し、前記バンド(12)の前記第1および第2の側部(13A、13B)が出会う接合区分(13’)を覆うのに適することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のクランプシステム。
【請求項12】
前記クリップ(20;420)のうちの少なくとも1つのクリップの前記内枝部(30;430)は、前記内枝部(30;430)が前記外枝部(32;432)に接続する位置から離れた位置に、前記外枝部に向かって戻る挟み部分(31’;431’)を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のクランプシステム。
【請求項13】
前記挟み部分は、挟み舌部(531’)によって形成され、前記挟み舌部(531’)は、前記内枝部(530)から切り出され、また前記第1の支持区分を形成し、前記第1の支持区分は、前記カラーの前記第1の支持表面が形成された前記第1の側部(13A)の内面と協働し、前記挟み舌部は、特に、前記カラーの軸(A)から遠ざかる方向を向くようにされることを特徴とする請求項12に記載のクランプシステム。
【請求項14】
前記クリップのうちの少なくとも1つのクリップの前記保持部(34;134;234;334;434)は、前記内および外枝部が出会う接合部に形成されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のクランプシステム。
【請求項15】
前記クリップ(520)のうちの少なくとも1つのクリップの前記保持部は、保持舌部(534)によって形成され、前記保持舌部(534)は、前記内枝部(530)によって支持され、前記カラーの軸(A)に向かって折り返されることを特徴とする請求項1〜13のうちのいずれか1つに記載のクランプシステム。
【請求項16】
前記保持舌部(534)は、前記内枝部の側エッジ(535)に接続されることを特徴とする請求項15に記載のクランプシステム。
【請求項17】
前記クランプシステムは、前記カラー(10)が前記第1のチューブ(1;1’)に予備装着される前記予備装着状態にある際に、前記カラーの前記第1のチューブに対する当該第1のチューブの前記自由端から離れる方向への動きを制限するように作用するための手段(22;550)を有し、前記自由端は、当該第1のチューブの前記クランプ表面を備えることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載のクランプシステム。
【請求項18】
前記クランプシステムは、前記第2の側部(13B)によって支持された動き制限部材を有することを特徴とする請求項17に記載のクランプシステム。
【請求項19】
前記動き制限部材は、ワッシャ(22)を備えることを特徴とする請求項18に記載のクランプシステム。
【請求項20】
前記クリップ(520)のうちの少なくとも1つのクリップの前記内枝部は、前記カラーの軸(A)に向かって突き出た横向きフランジ(550)を有することを特徴とする請求項17に記載のクランプシステム。
【請求項21】
前記クリップ(20;20’;120;220)のうちの少なくとも1つのクリップの前記内枝部(32;132;232)は、前記クリップの前記内および外枝部間の内側空間に突き出た保持スパー(38;138;238)を備えることを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載のクランプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2つのチューブを封止するように互いに接続するためのクランプシステムに関する。2つのチューブの互いに対向する端は、当該チューブの円筒状の外面に対して突き出たクランプ表面を有する。このシステムは、当該クランプ表面と協働するのに適したバンドを有するカラーと、当該バンドを締め付けるための手段とを備える。このバンドは、第1の側部(flank)と第2の側部とを有する。第1の側部と第2の側部との間には、クランプ表面を受け止めるのに適した内溝(inner trough)が規定される。
【背景技術】
【0002】
このタイプのクランプシステムとしては、特許文献1に記載のものが知られている。カラーのバンドの断面は、例えば実質的にV字形状またはU字形状であるので、断面形状によって形成される枝部は、第1のチューブのクランプ表面および第2のチューブのクランプ表面をそれぞれ支持する。したがって、カラーを締め付けることによって、チューブを互いに対してクランプされた状態に保持しやすくなる。V字形状の断面は、カラーが締め付けられる際に、2つのチューブがともに動くという利点を有する。
【0003】
例えば、カラーのバンドを締め付けるための手段は、ナット−ボルトシステムを備える。したがって、バンドの端は、ボルトを挿入できる穴を備える支持タブを形成するように外向きに曲げられ得る。ボルトの頭部は、当該タブのうちの1つに対して保持されるとともに、ナットは、もう1つのタブに対して保持されるので、ボルトおよびナットが互いに対して回されると、バンドが締め付けられる。しかし、他の締め付け手段も提供され得る。例えば、引掛けることによって操作されるようなタイプのものや、特に、バンドに対して外向きに曲げられたフックと、バンドに対して外向きに曲げられた突起(lug)とを備え、フックが突起の後ろに引掛けられて、カラーを締め付け状態に維持するタイプのものがある。特許文献1において、クランプシステムは、ワッシャをさらに備える。このワッシャは、ワッシャ上に設けられたタブを締め付けることによってカラーに固定される。このワッシャは、カラーが第1のチューブの端に予備装着される際に当該第1のチューブを把持するのに適したタブも有する。本明細書の意味において、「予備装着」は、カラーが締め付けられずに、チューブが当該カラーに単に係合されるだけのことを意味する。したがって、カラーを第1のチューブの端の周りで予備装着状態に保持することによって、第1のチューブを待機状態にし、その後で、2つのチューブを互いに当接させ、そしてそれらのつなぎ合わされた端の周りでカラーのバンドを締め付ける。
【0004】
特許文献2は、一旦第1および第2のチューブを互いに引き寄せて、カラーと係合させた際に、カラーを第1および第2のチューブに予備装着するための第1および第2の予備装着手段をシステムに備えさせることを提案する。これにより、2つのチューブを正しい位置に保持することを必要とせずにバンドを締め付けることが可能になる。特許文献2において、第1および第2の予備装着手段は、カラーのバンド、特にその第1の側部によって支持される単一のワッシャ上に形成されてもよいし、あるいはむしろ2つのワッシャによって形成されてもよい。すなわち、この2つのワッシャは、特許文献1に記載のシステムのワッシャに類似し第1の側部によって支持される第1のワッシャと、第2の側部によって保持される第2のワッシャである。
【0005】
上記装置は、概ね良好であるが、予備装着を達成するために1つまたは2つのワッシャを使用する必要がある。これらのワッシャは、カラーの内周部に類似した内周部を有するので、比較的大量の材料を要する。さらに、それらの幾何形状は、ワッシャがカラーのバンドに対して全周部にわたって正確に保持されるだけでなく、それぞれのチューブの端を保持して、カラーに対して正確にチューブと協働することを可能にするような、比較的複雑な形状である。さらに、場合によっては、ワッシャは、予備装着機能の他にも別の機能、例えば封止機能を提供する必要がある。場合によっては、そのような機能は、ワッシャが精密な厚さを有する場合のみに提供され得る。これは、予備装着タブがその機能を発揮するために必要なバネ性とは必ずしも両立しない。原則としては、当該タブは、ワッシャと同じ材料片から作成されるのでワッシャと同じ厚さを有することが理解される。
【0006】
チューブが玉継手によってつなぎ合わされるような特定の状況においては、特許文献3が公知であり、特許文献3は、予備装着を達成するために、チューブのうちの1つを、カラーのバンドに対して保持された軸方向ブラケットに溶接するか、またはカラーのバンドをクリップに溶接することを推奨する。このクリップは、当該バンドの周囲の一部にわたって伸び、チューブのうちの1つのクランプ表面の裏に引掛るようになる指部を有する。また、特許文献3は、バンドに締め付けられた個別指部を使用して、当該バンドのエッジに対して伸び、チューブのクランプ表面上に引掛るようになることのできる延伸部を形成することを示唆する。そのような個別指部は、バンドの外側に設けられるだけであり、クリップと同様に、バンドの外周部に溶接される。したがって、特許文献3が提案する予備装着手段は、カラーの外側で比較的嵩張り、カラーの外周部上または一方のチューブ上のいずれかにおいて溶接作業が必要になるという短所がある。当然ながら、そのような作業は、カラーが製造される製造ライン、またはカラーがチューブに組み付けられる組み付けラインのいずれかにおいて適切な材料が利用可能であることを必要とする。溶接は、カラーの製造またはカラーのチューブへの組み付けに必要なその他の作業とは非常に異なる作業であり、溶接に関わる部品の表面に損傷を与え得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1451498号
【特許文献2】欧州特許第2598785号
【特許文献3】米国特許第7770937号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書は、上記技術水準を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本開示は、2つのチューブを封止するように互いに接続するためのクランプシステムであって、2つのチューブの互いに対向する端は、クランプ表面を有し、クランプ表面は、当該チューブの円筒状の外面に対して突き出ており、システムは、当該クランプ表面と協働するのに適したバンドを有するカラーと、当該バンドを締め付けるための手段とを備え、バンドは、第1の側部および第2の側部を有し、第1の側部と第2の側部との間には、クランプ表面を受け止めるのに適した内溝が規定されており、クランプシステムは、第1の側部の周りに周方向に分散された複数の個別保持クリップをさらに備え、各クリップは、互いに対向する内枝部および外枝部を有し、第1の側部は、内枝部と外枝部との間に挟まれ、各クリップは、半径方向にさらに内側に向かって配置される保持部をさらに有し、当該枝部のうちの1つは、第1の支持区分を支持し、第1の支持区分は、当該カラーの軸の方を向いたカラーの第1の支持表面と協働し、クリップをカラーの軸に向かって戻るように弾力的に動かして、保持部が第1のチューブのクランプ表面と協働して、カラーを当該チューブに予備装着される予備装着状態に保持するとともに、カラーの第1のチューブに対する当該第1のチューブの自由端に向かう方向の動きを制限するのに適するようにするためのものであり、自由端は、当該第1のチューブのクランプ表面を備える、クランプシステムを提供する。
【0010】
したがって、本開示において、予備装着は、個別クリップによって達成される。各クリップは、カラーの第1の側部を挟むことによって、当該第1の側部に支持される。また各クリップは、第1のチューブ上のクランプ表面と協働して予備装着を達成する保持部を有する。したがって、これらの個別クリップを第1の側部上に正しい位置に配置することは、極めて簡単であり、溶接作業を一切必要としない。特に、当該クリップは、弾性的に変形可能であり、第1の側部がクリップの内および外枝部間に挿入されるように第1の側部上に配置されることによって簡単に正しい位置に配置される。クリップは、弾性的に変形し、このような挿入を可能にし、第1の側部を挟むピンチクリップとして作用する。一旦クリップが第1の側部上の正しい位置に配置されると、第1のチューブの端は、クランプシステムに挿入され得る。ここで、当該端は、クリップを半径方向外向きに押し、クリップは、部分的に後退し、第1のチューブのクランプ表面を通過させる。しかし、カラーの第1の支持表面と協働するその第1の支持区分によって、後退したクリップは、弾力的にその予備装着位置に戻る。その位置において、クリップは、カラーの軸へ向って戻るように動かされ、保持部が第1のチューブ上でクランプ表面と協働し、カラーを予備装着状態に保持することができる。複数のクリップが第1の側部の周りに周方向に分散されてもよい。一般に、2つ、3つ、または4つのクリップがあれば十分である。このように配置される種々のクリップ保持部は、第1の側部の内エッジに対して、カラーの軸へ向って突き出る。クリップが静止状態にある場合、当該保持部は、それらの間において、第1のチューブのクランプ表面の最大直径寸法よりも小さい直径寸法を規定する。保持部は、第1のチューブの端がカラーに挿入される際には、カラーの軸から遠ざかる方向に移動し、次いでクリップは、それらの保持部が第1の側部のエッジに対して軸へ向って十分に突き出た位置に戻り、予備装着直径を規定する。予備装着直径は、第1のチューブのクランプ表面の最大直径よりも小さい。
【0011】
このように複数の個別クリップを使用することによって、クリップの代わりに予備装着ワッシャを使用する場合と比較して材料の量が低減される。さらに、クランプシステムが例えば封止機能を提供するためのワッシャを含む場合、封止機能と予備装着機能とを切り離すことができ、異なる厚さの材料をワッシャおよびクリップのために使用できる。この場合、特に、封止機能を提供するために非常に変形しやすいワッシャを用いながら十分に強いクリップを使用することが可能になる。最後に、カラーを第1のチューブに予備装着するための個別クリップを使用するとともに、第2のチューブへの予備装着のためのワッシャを使用することが可能である。このワッシャは、例えば、2つの機能、すなわち、第2のチューブへの予備装着(第1のチューブの予備装着よりも機械的にはおそらく容易である)、およびチューブ間の接続の封止、を提供してもよい。
【0012】
必要に応じて、カラーの第1の支持表面は、第1の側部の内エッジ上に形成される。
【0013】
したがって、クランプシステムのカラーは、通常のカラーでもよく、クリップは、単にその内エッジを支持する。
【0014】
必要に応じて、クリップのうちの少なくとも1つについて、第1の支持区分は、内および外枝部のうちの一方から切り出された支持舌部上に形成される。
【0015】
この切り出しは、材料を除去することなく、または部分的に材料を除去して、切り出し部に舌部を残すようになされ得る簡単な作業である。この舌部は、第1の支持区分を形成するために折り曲げられ得る。
【0016】
必要に応じて、支持舌部は、外枝部から切り出され、少なくとも支持舌部の自由端を介して、クリップの内および外枝部間の内側空間内に突き出る。
【0017】
必要に応じて、支持舌部は、内および外枝部が出会う接合部の近傍において外枝部に接続される。
【0018】
必要に応じて、支持舌部は、内枝部および外枝部が出会う接合部から離れた接続区分において外枝部に接続され、また支持舌部は、当該接続区分から当該接合部に向かって伸びたランニング部分と、クリップの内および外枝部間の内側空間内に折り返された端部分とを有する。
【0019】
必要に応じて、支持舌部は、内枝部から切り出され、少なくとも支持舌部の自由端を介して、クリップの内および外枝部間の内側空間内に突き出る。
【0020】
必要に応じて、支持舌部の自由端は、内枝部に向かって湾曲し、外枝部から離れる方向を向いた内枝部の面から得られる表面を介して、カラーの第1の支持表面と協働するのに適する。
【0021】
したがって、複数の実施形態が支持舌部に対して提供され得るとともに、クリップを材料を少ししか必要としない非常に簡単な幾何形状にとどめることができる。
【0022】
必要に応じて、カラーの第1の支持表面と協働する、上記タイプの第1の支持区分を有するクリップについて、内枝部は、自由端部分を有し、自由端部分は、内向きに湾曲し、第2の支持区分を形成し、第2の支持区分は、その外面を介して、バンドの内溝の端壁と協働するのに適しており、端壁上に、カラーの第2の支持表面が形成される。
【0023】
この場合、クリップは、2つの支持区分を有する。特に、第1の支持区分が上記タイプのものであり、カラーの第1の支持表面が第1の側部の内エッジ上に形成される場合、カラーは、通常のタイプのものであり得、第2の支持区分は、バンド内の内溝の端壁と単に協働する。
【0024】
しかし、湾曲した自由端を有する内枝部が第1の支持区分を形成してもよい。したがって、必要に応じて、少なくとも1つのクリップの内枝部は、自由端部分を有し、自由端部分は、内向きに湾曲し、第1の支持区分を形成し、第1の支持区分は、その外面を介して、バンドの内溝の端壁と協働するのに適しており、端壁上に、カラーの第1の支持表面が形成される。
【0025】
この場合、クリップは、上記タイプの支持舌部を備えなくてもよい。第1の支持区分は、単に自由端部分よって形成され、バンド内の内溝の端壁と協働する。カラーは、通常のカラーであり得る。
【0026】
必要に応じて、少なくとも1つのクリップの外枝部は、自由端部分を有し、自由端部分は、内側に湾曲し、バンドの第1および第2の側部が出会う接合区分を覆うのに適する。
【0027】
この場合、この外枝部は、上記のような内および外枝部間に第1の側部を挟むことに加えて、クリップをカラーのバンドに固定するためのさらなる手段を構成する。
【0028】
必要に応じて、少なくとも1つのクリップの内枝部は、内枝部が外枝部に接続する位置から離れた位置に、外枝部に向かって戻る挟み部分を有する。
【0029】
この場合、上記挟み込みは、外枝部と内枝部から得られる挟み部分との間で達成される。したがって、挟み部分以外の内枝部の部分は、上記挟み込みを有効にすることを可能にしつつ、第1の側部の内面から離れていてもよい。
【0030】
必要に応じて、挟み部分は、挟み舌部によって形成され、挟み舌部は、内枝部から切り出され、また第1の支持区分を形成し、第1の支持区分は、カラーの第1の支持表面が形成された第1の側部の内面と協働し、前記挟み舌部は、特に、カラーの軸から遠ざかる方向を向く。
【0031】
したがって、挟み舌部は、クリップをカラーの第1の側部上で保持するように機能する挟み込みの達成、および第1の支持区分の形成の両方の機能を有する。第1の支持区分は、カラーの第1の支持表面と作用して、弾力的にカラーの軸に向かって保持部を戻るように動かして、カラーを第1のチューブに予備装着されやすくする。
【0032】
必要に応じて、少なくとも1つのクリップの保持部は、内および外枝部が出会う接合部に形成される。
【0033】
保持部は、特にクリップを内および外枝部が出会う接合部で折り曲げることによって生じる加工硬化により機械的に強い。この保持部は、きれいに切られたエッジを有さないが、カラーが当該第1のチューブの周りに係合しているときに第1のチューブの自由端上を容易に摺動することができ、第1のチューブのクランプ表面と、それに損傷を与えることなく、協働することができる表面を有してもよい。
【0034】
必要に応じて、少なくとも1つのクリップの保持部は、保持舌部によって形成され、保持舌部は、内枝部によって支持されるとともに、特に当該内枝部の側エッジに接続され、カラーの軸に向かって折り返される。
【0035】
この場合、保持部は、カラーの軸に向かって折り返されることにより機械的により強くされる。
【0036】
必要に応じて、クランプシステムは、カラーが第1のチューブに予備装着される予備装着状態にある際に、カラーの第1のチューブに対する当該第1のチューブの自由端から離れる方向への動きを制限するように作用するための手段を有し、この自由端は、当該第1のチューブのクランプ表面を備える。
【0037】
そのような手段は、異なる方法で実装され得る。
【0038】
例えば、クランプシステムは、第2の側部によって支持される動き制限部材を備えてもよい。また、そのような動き制限部材は、カラーを第2のチューブに予備装着させるように機能してもよい。この部材は、特に、ワッシャであってもよい。第1のチューブへの予備装着に関し、個別クリップは、所望の機械的強度を得るようにその寸法が決められてもよい。第2のチューブへの予備装着に関し、ワッシャは、また封止機能などの他の機能を提供するように機能してもよい。この場合、第2のチューブに対する予備装着は、必要に応じて、第1のチューブに対する予備装着よりも低い引き離し強度(tear−off strength)を有してもよい。例えば、クランプシステムは、当該第1のチューブ上に組み込まれるように、予め第1のチューブに予備装着されてもよい。この場合、非常に高い引き離し強度を有することが必要であり得るが、第2のチューブへの予備装着は、単に組立時に有用であり得る。この場合、より低い切り離し強度でも十分であり得る。
【0039】
別の例において、少なくとも1つのクリップの内枝部は、カラーの軸に向かって突き出た横向きフランジを有する。
【0040】
この場合、クランプシステムがワッシャもカラーの第2の側部と協働する特定の動き制限部材も備えていなくても、カラーの第1のチューブに対する第1のチューブの自由端から離れる方向への動きは、制限されてもよい。
【0041】
必要に応じて、少なくとも1つのクリップの内枝部は、クリップの内および外枝部間の内側空間に突き出た保持スパーを備える。
【0042】
上記のように、第2のチューブへの予備装着は、ワッシャ、例えば封止機能も有するワッシャ、によって行うことができる。また、第2のチューブへの予備装着は、本明細書に記載のクリップに類似し、カラーの第2の側部上に配置された個別クリップを使用して達成できる。
【0043】
本開示は、非限定的な例によって示される実施形態の以下の詳細な説明を読むことにより十分に理解され得る。本明細書において、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】
図1は、クランプシステムおよび2つのチューブの端を示す斜視図であり、当該システムが当該端に組み付けられる前の状態を示し、クランプシステムを第1の側から見た図である。
【
図2】
図2は、第2の側から見たクランプシステムの斜視図であり、
図1の矢印IIに沿って見た図である。
【
図3】
図3は、クランプシステムの組み立てられる前の種々の構成要素および2つのチューブの端を示す分解斜視図である。
【
図10】
図10は、チューブのつなぎ合わせ端上に配置されたクランプシステムの別の実施形態の斜視図であり、第1の側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本明細書のクランプシステムのカラーは、例えば、欧州特許第1 451 498号および欧州特許第2 598 785号に記載のものに概ね類似する。
【0046】
したがって、特に
図1~3から明らかなように、当該カラー10は、バンド12を有する。バンド12は、第1の側部13Aおよび第2の側部13Bを有し、それらの間に内溝14が規定される。
【0047】
以下の記載全体において、特に断らない限り、用語「内」または「内側」は、カラーの軸Aの方を向くか、または「外」または「外側」にあるとされる他の要素と比較して軸Aにより近い要素を説明するために使用される。また、「外」または「外側」要素は、軸Aから遠ざかる方を向いた要素である。
【0048】
クランプシステムは、2つのチューブをそれらの端を介して互いに接続するように機能する。したがって、
図1は、第1のチューブ1および第2のチューブ2がそれぞれの円筒状の外面に対して突き出た第1のクランプ表面1Aおよび第2のクランプ表面2Aをそれぞれ有することを示す。チューブ1および2をつなぎ合わせるために、クランプシステムは、チューブのつなぎ合わせ端の周りに配置され得るので、クランプ表面1Aおよび1Bは、バンド12内の溝14内に自ずと配置される。この状況において、側部13Aおよび13Bは、クランプ表面1Aおよび2Aのそれぞれと協働し、カラーの締め付けにより2つの端が互いに保持される。
【0049】
この例において、バンド12は、V字形状の断面を有する。すなわち、側部13Aおよび13Bは、軸Aの方を向くとともに、それぞれの内端13’Aおよび13’Bに向かって漸進的に互いに離れるように広がりやすい。クランプ表面1Aおよび2Aは、チューブの対向する自由端に向かって徐々に増大する直径を有する。このような形状は、例えば円錐台形状をとることによって得られる。したがって、つなぎ合わせられるべきチューブの端にカラーを締め付けることにより、当該端は互いにより近くなりやすい。この例において、第1のチューブ1の自由端は、端スカート1Bを有する。端スカート1Bは、クランプ表面1Aの頂点から始まって、チューブの軸に漸進的に接近するように先細りしやすい。特に、この端スカート1Bは、第2のチューブのクランプ表面2Aの内周部に一致する円錐台形状を有してもよい。当然ながら、つなぎ合わせを行うために、チューブ1および2の軸は、互いに同一線上に載り、かつカラーの軸Aと同軸となるように配置される。
【0050】
カラー10は、バンド12を締め付けるための手段を有する。この例において、当該バンド12は、それぞれ端12Aおよび12Bを有する。端12Aおよび12Bは、支持タブを形成するように、実質的に半径方向を外向きに曲げられる。これらのタブは、ボルト16の胴部16Aを当該タブに通すことができるような穴を備える。それ自体公知の方法で、ボルトの頭部16B(
図12を参照)は、支持タブ12Aに対して保持され得るとともに、ナット18は、タブ12Bと協働し、ボルトおよびナットが互いに対して締め付ける方向に回されることにより、支持タブ12Aおよび12Bが互いに向かって動かされ、これによりカラーの内径が小さくなる。すなわち、バンドを締め付けることが可能になる。
【0051】
また、クランプシステムは、第1の側部13Aの周りに周方向に(angularly)分散された複数の個別クリップ20を含む。より詳細は後述するが、各クリップは、ピンチクリップの方法で、側部13Aに保持される。すなわち、側部は、クリップの内枝部と外枝部の間に挟まれる。
【0052】
この例において、また、クランプシステムは、第2の側部13Bによって支持されるワッシャ22を含む。例えば、このワッシャは、欧州特許第1 451 498号に記載のクランプシステムのワッシャ28、128に類似する。
【0053】
後述のように、個別クリップ20は、当該第1のチューブのクランプ表面1Aと協働することによって、クランプシステムを、クランプシステムが第1のチューブに予備装着される予備装着状態に保持することができる。これとともに、ワッシャは、このシステムを、このシステムが第2のチューブに予備装着される予備装着状態に保持することができる。ワッシャは、クランプ表面2Aと協働する。さらにこれとともに、チューブの端は互いに引き寄せられ、2つの支持表面1Aおよび2Aは、バンド12の溝14内に自ずと配置される。
【0054】
特に
図3および4を参照すると、ワッシャ22は、実質的に円錐台形状のリング23を有することがわかる。リング23は、2つのチューブがつなぎ合わせ状態にされた際に、チューブ2のクランプ表面2Aの内周部とチューブ1のスカート1Bの外周部との間に配置される。当該リングは、波形の起伏を有してもよい。この起伏は、締め付け時に変形して、起伏が協働するチューブの表面間を封止する。
【0055】
ワッシャ22は、バンド12の側部13Bと協働することによって、カラー10に対して保持される。こうするために、ワッシャは、この例においては、異なるタイプの締め付けタブを備える。特に、締め付けタブは、内タブ24、第1タイプの外タブ26、および第2タイプの外タブ28を含む。内タブ24は、カラーが非締め付け状態にある際に、側部13Bの内面を支持するようになる。第1タイプの外タブ26は、内タブ32よりも長く、軸Aに対して実質的に平行に伸びて、側部13Bの内エッジ13’Bと協働する。第2タイプの外タブ28は、それらのフック形状自由端28Aを介して側部13bの外周部と協働する。これらのタブの中間部28Bは、舌部28Cを備える。舌部28Cは、
図4からわかるように、クランプ表面2Aを把持するようになり、また当該中間部は、傾斜軸方向エッジ28Dを有する。また、傾斜軸方向エッジ28Dは、チューブ2の自由端がカラーのバンドの溝14内に挿入され、ワッシャ22のリング23を覆う場合に、クランプ表面2Aを把持するようになる。
【0056】
特に
図3、5A、5Bおよび5Cを参照し、個別クリップを以下に説明する。
図5Aをよりわかりやすくするために、クランプシステムが予備装着されるチューブの両端間の間隙を強調して示す。クリップ20のそれぞれは、互いに対向する内枝部30および外枝部32を有する。特に、これらの枝部は、軸方向に互いに対向する。
図5Aからわかるように、カラーのバンド12の側部13Aは、当該内および外枝部の間に挟まれる。クリップ20は、半径方向を内側に向かって配置される保持部34を有し、外枝部32は、第1の支持区分36を有する。
図5Aからわかるように、第1の支持区分36は、カラーの第1の支持表面と協働する。この表面は、この例において、側部13Aの内エッジ13’Aによって形成される。この例において、クリップ20が第1の側部13Aを挟む際に、内エッジ13’Aは、支持区分36を支持するようになり、それにより保持部34をカラーの軸に向かって戻すように動かしやすくなる。これにより、保持部34が側部13Aの内エッジ13’Aに対して所望の距離に自ずと配置されることを確実にすることができる。すなわち、これらを合わせて考えると、第1の側部の周りに周方向に分散された種々のクリップ20の保持部34は、所望の半径方向寸法を規定する。この寸法は、支持表面1Aの頂点の半径R2よりも若干小さい。しかし、保持部34がカラーの軸Aに向かって戻るように動かされることは、弾力的な戻りによって達成される。したがって、クランプシステムが第1のチューブ上の正しい位置に配置された際に、当該第1のチューブの自由端は、バンド内の内溝14中に挿入され得、クランプ表面1Aの頂点は、次いで保持部34と協働してクリップ20を弾力的に半径方向外向きに押し、次いで一旦支持表面の頂点が溝14内に自ずと配置されると、クリップは、弾力的に予備装着保持位置に戻り、その位置において、
図5Aに示すように、種々のクリップの保持部34は、半径方向寸法R1を規定する。半径方向寸法R1は、半径R2よりも小さい。したがって、カラー10は、予備装着状態に保持される。予備装着状態において、カラー10は、第1のチューブに予備装着される。すなわち、カラーの第1のチューブに対する第1のチューブの自由端へ向かう方向Fの動きは、保持部が第1のクランプ表面1と協働することによって制限される。
【0057】
この例において、保持部34は、内および外枝部が出会う接合部において形成される。
【0058】
支持区分36は、支持舌部37上に形成される。支持舌部37は、外枝部32から切り出され、内枝部30と外枝部32との間に規定されたクリップの内側空間21に突き出る。この例において、支持舌部37は、内および外枝部が出会う接合部の近傍において外枝部32に接続する。
【0059】
また、クリップ20の外枝部32は、クリップの内側空間21内に突き出た保持スパー(spur)38を有することがわかる。
図5Aからわかるように、このスパーは、バンド12の側部13Aの外面と協働し、クリップの側部13Aに対するカラーの軸Aへ向かう動きに対抗しやすくなることによって当該バンドを把持する。当該スパー38は、内および外枝部が出会う接合部からいくらか離れた位置に、例えば外枝部の自由端の近傍に、配置され、クリップが側部13Aを挟む際に当該側部の外面に接するように位置づけられる。この例において、スパー38は、外枝部32から切り出され、軸Aへ向って内向きに折り返されることによって形成される。
【0060】
この例において、舌部37およびスパー38は、外枝部32から切り出された窓部40の2つの互いに反対のエッジに配置されることがわかる。したがって、外枝部は、当該窓部40の両側に2つのひと続きの周辺部を有する。ひと続きの中央部を備え、そのエッジのうちの少なくとも1つが切り込みを備え、その切り込みの内エッジが折り返されて舌部37が形成され、外エッジが折り返されてスパー38が形成されるような逆の構成を有し得る。また、クリップは、窓部40と同じタイプの窓部を有し、1以上の側切り込みを有し、窓部の内エッジまたは切り込みの内エッジのいずれかに配置された舌部37を有し、窓部の外エッジまたは切り込みの外エッジのいずれかに配置された保持スパー38を有し得る。
【0061】
図5Dは、クリップ20の変形例であって、舌部37’を除いて全体的にクリップ20に類似するクリップ20’を示す。クリップ20’の外面は、支持区分36’を形成し、より長い長手方向エッジ37’’を有し、窓部40’の内エッジは、内枝部30’および外枝部32’が出会う接合区分に配置され、あるいはむしろ内枝部30’内に達する。しかし、舌部37’の端は、その外面が支持区分36’を形成しており、その外枝部32’から始まるクリップの内側空間に突き出る。また、クリップ20’の保持部34’は、その内および外枝部が出会う接合部に配置される。
【0062】
以下、
図6Aおよび6Cを参照して説明する。
図6Aおよび6Cのクリップは、先行の図に示したクリップと若干異なる。
図6A〜6Bにおいて、このクリップは、参照符号120によって示され、他の要素は、先行の図と同じ参照符号に100を足した番号によって示される。このクリップ120は、内枝部130および外枝部132を有する。その保持部134は、内および外枝部が出会う接合部に形成される。すなわち、保持部134は、先行の図において示されたクリップと同様に、内および外枝部間の折り返し区分に形成される。
【0063】
また、支持区分136は、クリップの内側空間121に折り返された舌部137の外面によって形成される。このクリップにおいて、この舌部137は、舌部137が接続された内枝部130の内および外枝部が出会う接合部の近傍から始まるように折り返される。この例において、舌部137の湾曲した自由端部分だけが内側空間121に突き出て、舌部の残りの部分は、内枝部130の実質的に平面内にとどまる。
【0064】
クリップは、窓部140を備える。窓部140は、外枝部の自由端近傍の領域から内枝部まで伸びる。舌部137は、それが内枝部130に取り付けられた位置から実質的に当該内枝部の平面内を保持部134に向かって伸びており、次いでクリップの内側空間121に折り返されるように湾曲し、内および外枝部が出会う接合部から後退する。舌部137が内枝部に取り付けられた位置の近傍において、当該舌部のエッジ137’’は、内枝部から、例えば内枝部の長さの約1/3の長さにわたって、切り出され、比較的大きなバネ性を当該舌部に与えるようにする。また、クリップ120は、保持スパー138を有する。保持スパー138は、この例において、外枝部132の自由端に隣接する窓部140のエッジ上に形成される。
図5Bおよび5Cを参照して示したように、逆の構成もあり得る。すなわち、舌部137および必要に応じてスパー138を枝部の横切り込みに形成してもよい。
【0065】
以下、
図7A〜7Cを参照して説明する。
図7A〜7Cは、
図5A〜5Cとクリップ220の形状だけが異なる。この例において、このクリップ220は、その外枝部232の自由端の形状を除いて、上記クリップ20と同一である。特に、図からわかるように、クリップは、内枝部230、外枝部232、舌部237を有し、その外面236は支持区分を形成し、さらに窓部40に類似する窓部240、保持スパー238、および保持部234を有する。しかし、外枝部232は、クリップ20の外枝部と比較して延長される。この外枝部は、自由端部分232’を有する。自由端部分232’は、内向きに湾曲し、カラーのバンド12の側部13Aおよび13Bが出会う接合区分13’を覆う。このように形成される被覆部は、クリップが側部13Aを挟む際に、当該クリップのカラーの軸Aへ向かう動きに対抗することによってクリップを保持することに寄与する。当然ながら、外枝部のこのような湾曲延長部を
図5A〜5Dおよび6A〜6Cのクリップにも使用してよい。
【0066】
以下、
図8A〜8Cを参照して説明する。
図8A〜8Cは、
図5A〜5Cとクリップ320の形状が異なる。このクリップは、内枝部330および外枝部332を有し、それらの間にカラーのバンド側部13Aが挟まれ、さらにその2つの枝部が出会う接合部に保持部334を有し、クリップの内側空間321に突き出る舌部337上に形成された支持区分336を有する。しかし、この例において、支持舌部337が外枝部332に接続されるのは、内および外枝部が出会う接合部から離れた接続区分337Aにおいてである。この舌部は、連結区分337Aから接合部334に向かって伸びたランニング部分337Bと、クリップの内側空間321に折り返された端部分337Cとを有する。この例において、舌部のランニング部分337Bは、外枝部332の一部から形成されるが、外枝部332に対して若干盛り上がるので、より大きなバネ性が与えられる。上記のように、支持区分336を支持するようになるカラーの側部13Aの支持表面は、側部13Aの内エッジ13’Aによって形成される。この例において、クリップの外枝部332は、自由端332’を有する。自由端332’は、カラーのバンドの側部13Aおよび13Bが出会う接合区分13’を覆うように湾曲する。この例において、クリップは、上記スパー38、138および238のタイプの保持スパーを備えないが、そのようなスパーを備え得る。そのようなスパーは、例えば、舌部337が切り出された窓部340の両側において、クリップの外面の周辺部上に形成され得る。
【0067】
以下、
図9A〜9Cを参照して説明する。
図9A〜9Cは、
図5A〜5Cとクリップの形状が異なる。このクリップ420は、内枝部430および外枝部432を有し、それらの間にバンドの側部13Aが挟まれる。しかし、支持区分の形成は、上記のクリップと異なる。この支持区分436は、内枝部430の自由端に形成される。より詳細には、この内枝部は、自由端部分430’を有する。自由端部分430’は、カラーのバンドの側部13Aおよび13B間に設けられた溝14の端壁14Aまで伸び、したがって当該端壁を支持するようになる。内枝部の自由端部分430’は、内向きに湾曲し、当該湾曲した自由端部分430’の外面によって支持区分436が形成され、支持区分436が溝14Aの端壁に接する。この例において、外枝部432は、ひと続きのバンド部分である。しかし、上記支持区分436の他に、このクリップは、上記支持区分36、136、236および336と同じタイプの支持区分を有し得ることが理解されるべきである。
【0068】
これを図示するために、
図9Cにおいて、クリップ420の外枝部432が窓部40に類似する窓部440と、舌部36に類似する舌部436’とを有することが可能であることを破線で示す。
【0069】
上記クリップと同様に、保持部434は、内および外枝部が出会う接合部に配置される。
【0070】
上記種々の構成において、クリップの内枝部は、外枝部に接続される位置から離れた位置に、外枝部に向かって戻る挟み部分を有する。例えば、クリップ20の内枝部30は、折り区分31を有する。当該内枝部の端部分31’は、当該折り区分を越えて伸び、内向きに戻る。同じ形状を他の図のクリップにも見て取れる。但し、
図9A〜9Cのクリップでは、外枝部に向かって戻る挟み部分431’は、折り区分431と、内向きに湾曲した自由端部分430’との間を伸びる。
【0071】
また、挟み部分は、内枝部から切り出され、またカラーの支持表面と協働する支持区分を形成する挟み舌部によって形成され得る。このような構成を、特に、
図10〜14Bに示し、後述する。これらの図において、チューブは、先行の図に示したチューブと比較して、逆にされる。クランプ表面1’Aを介してクリップ520と協働する第1のチューブ1’は、先行の図のチューブ2に類似する。他方、クランプ表面2’Aおよびスカート2’Bを有するチューブ2’は、先行の図のチューブ1に類似する。
【0072】
まず、
図10〜12を説明する。これらの図に示すカラーは、それ自体は先行の図に示すカラーに類似するので、同じ参照符号によって示される。この例において、これらの図に示すクランプシステムは、先行の図に示したワッシャ22を備えていない。しかし、そのようなワッシャは、この実施形態と整合するので設けられ得ることを理解すべきである。
【0073】
図10および11は、2つのつなぎ合わせチューブの端に予備装着されたクランプシステムを示す。
図12は、クランプシステムのみを示す。すなわち、
図12は、個別クリップ520を備えたカラーを示す。より詳細には
図13、14Aおよび14Bを参照すると、クリップ520が内枝部530および外枝部532を有すること、カラーのバンド12の側部13Aが当該内および外枝部の間に挟まれることがわかる。しかし、この挟み込みを達成するために、外枝部532は、側部13Aの外面に対して伸び、内枝部上では、クリップに挟み部分531’が備えられる。挟み部分531’は、挟み舌部によって形成される。この挟み舌部は、内枝部530から切り出され、クリップの内および外枝部間の内側空間521において内枝部530に対して盛り上がるようにされる。
図13は、クリップが側部13A上に組み付けられた際に、挟み舌部531’の自由端が側部13Aの内面に載ることを示す。したがって、この側部は、当該自由端と外枝部との間に挟まれる。また、当該挟み舌部531’は、第1の側部13Aの内面と協働するとともに、クリップの保持部534を弾力的にカラーの軸Aへ向って戻すように動かしやすい支持区分を形成する。特に、舌部531’は、舌部531’が内枝部に接続される接続部531’Aからクリップの内側空間521に盛り上がる。接続部531’Aは、内および外枝部が出会う接合区分533からいくらか離れた位置に配置される。
【0074】
この例において、クリップの保持部534は、2つの保持舌部534によって形成される。保持舌部534は、内枝部530によって支持されるとともに、特に、当該内枝部の側エッジ535に接続され、そしてカラーの軸へ向って折り返される。
図13から明らかなように、枝部534の自由エッジは、このように当該チューブがバンド12の溝14内に挿入された際にチューブ1のクランプ表面1’Aに載るので、カラーを当該クランプ表面1’Aに対して予備装着状態に保持する。チューブ1’の自由端が内溝に進入する程度を制限するために、この予備装着状態において、クリップ520は、カラーの軸へ向って突き出た横向きフランジ550を有する。
図13において、予備装着状態において、クランプ表面1’Aの自由エッジが横向きフランジ550の後面に当接することがわかる。
【0075】
また、図からわかるように、クリップ520の外枝部532の自由端532’は、内向きに湾曲することにより、側部13Aおよび13Bが出会う接合区分13’を覆う程度に伸びる。したがって、これは、クリップの側部13Aに対する軸Aへ向かう方向への過度の動きに対抗することに寄与する。
【0076】
先行する実施形態のように、カラーがクランプ表面1A上に係合された際に、当該クランプ表面は、保持部534と協働して、クリップを弾性的に変形させるので、当該クリップは、弾力的にカラーの軸Aへ向って戻るように動かされ、その保持部は、第1のチューブのクランプ表面の最大半径よりも小さい半径を規定し、カラーを当該表面に予備装着された状態に保持する。
図10〜14Bのクリップにおいて、内枝部530は、全体として、弾力的に曲がるとともに、挟み舌部531’によって軸Aに向かって戻るように動かされる。また、挟み舌部531’は、第1の支持区分を形成する。
【0077】
上記のように、
図10〜14Bのクランプシステムは、先行の図に示したワッシャ22を有さない。一般に、その側部13Bは、チューブ1を内溝14内に予備装着状態に保持するためのワッシャやクリップを有さない。当然ながら、当該側部13Bがワッシャ22に類似するワッシャ、またはむしろ特に
図1〜9Cを参照して上記したクリップに類似するクリップを備え得る。締め付け中に、2つのチューブはともに動かされ、クリップ520の内枝部530は、可塑変形により側部13Aの内面に対して折り返され、したがって折り返しエッジ550は、第1のチューブ1’が第2のチューブ2’に向かって接近することに対抗しなくなる。
【0078】
図1〜9Cに示した例において、ワッシャ22は、第2のチューブに対する予備装着を達成するだけでなく、またカラーの第1のチューブ1に対する当該第1のチューブの自由端から離れる方向への動きを制限するように機能する。
【0079】
本明細書に記載のクリップは、特に、金属からなり、単純な金属片が折り曲げられることによって、また必要に応じて切り込まれたりして、形成される。同様に、カラーおよびワッシャは、用いられる場合は、金属からなり得る。