(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態に係る車両用表示装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
[実施形態]
図1から
図12を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、車両用表示装置に関する。
図1は、実施形態に係る車両用表示装置の正面図、
図2は、実施形態に係る車両用表示装置の側面図、
図3は、実施形態に係る車両用表示装置の内部構成を示す側面図、
図4は、実施形態に係る車両用表示装置の内部構成を示す他の側面図、
図5は、実施形態の第一の表示モードを示す正面図、
図6は、実施形態の第二の表示モードを示す正面図、
図7は、実施形態に係る加飾部材の断面図、
図8は、起立位置にある加飾部材の見え方を説明する正面図、
図9は、収容部および傾倒位置にある加飾部材の断面図、
図10は、傾倒位置にある加飾部材の見え方を説明する正面図である。
図7には、
図1のVII−VII断面が示されている。
【0012】
本実施形態の車両用表示装置1は、自動車等の車両に搭載される。
図1から
図3に示すように、本実施形態の車両用表示装置1は、収容部100と、加飾部材2と、虚像表示装置6と、駆動装置7と、第二の駆動装置8と、光源9と、を有する。収容部100は、一端が閉塞された筒状の部材である。収容部100は、遮光性の部材であり、金属や合成樹脂等によって形成されている。収容部100は、車両の運転席に対して車両前後方向の前方に配置される。収容部100は、例えば、インストルメントパネルの開口部に配置される。収容部100は、正面視した場合の形状が台形の部材である。
【0013】
収容部100は、運転席と対向する開口部101を有する。車両用表示装置1の説明において、「奥行き方向X」は、収容部100の軸方向を示す。奥行き方向Xは、典型的には車両前後方向である。奥行き方向Xにおいて、「前面側」は運転席側であり、典型的には車両後側である。奥行き方向Xにおいて、「背面側」は運転席側とは反対側であり、典型的には車両前側である。開口部101は、収容部100の前面に設けられている。また、「高さ方向Z」は、収容部100が車両に配置された状態における高さ方向であり、典型的には車両上下方向である。幅方向Yは、奥行き方向Xおよび高さ方向Zと直交する方向であり、典型的には車幅方向である。幅方向Yにおいて、「左側」は運転席から見た場合の左側を示し、典型的には車両左側である。幅方向Yにおいて、「右側」は運転席から見た場合の右側を示し、典型的には車両右側である。
【0014】
開口部101の形状は、幅方向Yの長さが高さ方向Zの長さよりも大きい横長の形状である。加飾部材2は、収容部100の内部に配置されている。加飾部材2は、円環状に形成された部材である。本実施形態の加飾部材2は、円筒形状に形成されている。加飾部材2は、例えば、合成樹脂やアルミニウム等の金属で形成される。加飾部材2の表面の色は、例えば、シルバーや白色等の淡色である。加飾部材2が合成樹脂で形成される場合、加飾部材2の表面にシルバーや白色等の淡色のメッキがなされてもよい。メッキは、光沢を有するものであってもよい。加飾部材2の表面には、鏡面加工やつや消し加工がなされてもよい。
【0015】
加飾部材2の背面には、文字板3が配置されている。文字板3は、加飾部材2の内方の領域を背面側から閉塞している。文字板3は、円形の板状の部材であり、例えば、合成樹脂で成型されている。文字板3の色は、例えば、黒等の濃色である。文字板3の表面には、つや消し加工がなされてもよい。
【0016】
図3に示すように、虚像表示装置6は、表示装置61と、ハーフミラー62と、表示制御装置63とを有する。ハーフミラー62は、半透過性の部材である。ハーフミラー62は、入射する光の一部を反射すると共に、入射する光の他の一部を透過させる。ハーフミラー62は、透明な樹脂やガラス等により形成された本体部と、ハーフミラー層とを有する。ハーフミラー層は、本体部の表面に蒸着等により形成された、金属または無機多層薄膜などである。ハーフミラー62は、奥行き方向Xにおける開口部101と加飾部材2との間に配置されている。ハーフミラー62は、高さ方向Zの上側へ向かうに従って奥行き方向Xの背面側へ向かうように傾斜している。ハーフミラー62は、上記の傾斜姿勢で収容部100によって保持されている。
【0017】
表示装置61は、ハーフミラー62に向けて画像を投影する。表示装置61は、表示制御装置63によって制御される。表示装置61は、例えば、TFT−LCD(Thin Film Transistor−Liquid Crystal Display)等の液晶表示装置である。表示装置61は、ハーフミラー62に対して高さ方向Zの上側に配置されている。また、表示装置61は、高さ方向Zにおいてハーフミラー62と対向している。
【0018】
表示装置61から投影される画像は、矢印A1で示すように、ハーフミラー62によって奥行き方向Xの前面側に向けて反射される。ハーフミラー62によって反射された画像は、アイポイントEPから見た場合に、ハーフミラー62よりも背面側の位置で結像する虚像として視認される。アイポイントEPは、運転者の視点位置として予め定められた位置である。虚像が結像する位置は、例えば、加飾部材2の前面の位置や、加飾部材2の前面よりもわずかに前面側あるいは背面側の位置である。
【0019】
収容部100は、フード部102を有する。フード部102は、収容部100の外殻の一部であり、収容部100の内部空間を上方から覆う。フード部102は、加飾部材2よりも上側に位置し、かつ加飾部材2よりもアイポイントEP側の位置まで突出している。
【0020】
本実施形態の車両用表示装置1では、加飾部材2および文字板3が可動式である。以下の説明では、加飾部材2および文字板3をまとめて「可動部材20」と称する。車両用表示装置1は、可動部材20を移動させる駆動装置7および第二の駆動装置8を有する。可動部材20は、
図3に示す起立位置と、
図4に示す傾倒位置とに位置づけることが可能である。可動部材20は、起立位置と傾倒位置との間の位置で停止させられてもよい。
【0021】
起立位置は、可動部材20がアイポイントEPと対向する位置である。可動部材20が起立位置にある場合、
図3に示すように、側面視した場合に加飾部材2の中心軸線X1上にアイポイントEPが位置する。可動部材20が起立位置にある場合、奥行き方向Xに対する可動部材20の中心軸線X1の傾斜角度θが最小となる。起立位置にある可動部材20は、上端部20aが下端部20bよりもわずかに背面側に位置するように傾斜している。なお、傾斜角度θは、車両上下方向に対する加飾部材2の傾斜角度でもある。すなわち、傾斜角度θが0であれば、加飾部材2は直立した姿勢となり、傾斜角度θが大きな角度となるほど、加飾部材2が車両上下方向に対して傾いた姿勢となる。
【0022】
図4に示す傾倒位置は、可動部材20が表示装置61と対向する位置である。可動部材20が傾倒位置にある場合、奥行き方向Xに対する可動部材20の中心軸線X1の傾斜角度θが最大となる。なお、奥行き方向Xに対する中心軸線X1の傾斜角度θは、車両上下方向に対する加飾部材2の傾斜角度でもある。つまり、可動部材20が傾倒位置にある場合、加飾部材2の可動範囲において車両上下方向に対する加飾部材2の傾斜角度が最も大きい。可動部材20が傾倒位置にある場合、
図4に示すように、可動部材20の中心軸線X1上にフード部102が位置する。
【0023】
駆動装置7は、動力源71、動力伝達機構72、駆動制御装置73、および変換部材74を有する。駆動装置7は、可動部材20の背面側に配置されている。動力源71は、例えば、回転式のモータである。動力伝達機構72は、動力源71から出力される回転力によって軸部材75を回転させる。変換部材74は、軸部材75の回転によって軸部材75の軸線方向に沿って往復移動する。軸部材75は、高さ方向Zに沿って延在する円柱形状の部材である。軸部材75は、上端部が下端部よりもわずかに背面側に位置するように傾斜している。軸部材75の傾斜角度は、起立位置にある可動部材20の傾斜角度に対応している。
【0024】
軸部材75の外周面には、螺旋状の溝部75aが形成されている。変換部材74は、溝部75aに係合するナット状の回転部材を有している。この回転部材は、軸部材75の回転運動を軸部材75の軸線方向に沿った直線運動に変換する。変換部材74は、軸部材75が軸線周りに回転することにより、軸部材75に沿って高さ方向Zに移動する。
【0025】
変換部材74は、保持部材76を介して可動部材20と連結されている。保持部材76は、可動部材20の背面側に接続されており、可動部材20と共に高さ方向Zに移動する。変換部材74と保持部材76の上端部とは、回転軸76aを介して連結されている。回転軸76aの中心軸線の方向は、幅方向Yである。保持部材76は、回転軸76aを回転中心として回転自在である。
【0026】
保持部材76の下端には、被ガイド部76bが設けられている。被ガイド部76bは、保持部材76における幅方向Yの両側に設けられている。本実施形態の被ガイド部76bは、回転自在に支持された車輪等の回転体である。収容部100の内部には、被ガイド部76bを案内するガイド部材11が配置されている。ガイド部材11は、ガイドレール11aを有する。被ガイド部76bは、ガイドレール11aに挿入されており、ガイドレール11aに沿って転動する。ガイドレール11aは、全体として奥行き方向Xに沿って延在している。ガイドレール11aにおける背面側の端部には、弧状部11bが設けられている。弧状部11bは、奥行き方向Xの背面側へ向かうに従って高さ方向Zの上側へ向かうように湾曲している。
【0027】
駆動制御装置73は、動力源71が出力する回転力の大きさおよび回転方向を制御する。
図3に示すように、可動部材20が起立位置にある場合、被ガイド部76bはガイドレール11aにおける背面側の端部に位置する。このときに、変換部材74は、軸部材75の上端部に位置している。可動部材20を起立位置から傾倒位置に向けて移動させる場合、駆動制御装置73は、変換部材74を下側に向けて移動させるように動力源71を制御する。より具体的には、駆動制御装置73は、動力源71によって、変換部材74を下側に向けて移動させる回転方向に軸部材75を回転させる。
【0028】
変換部材74が軸部材75に沿って下側に向けて移動すると、被ガイド部76bがガイドレール11aに案内されて前面側に向けて移動する。変換部材74が下側に向けて移動するに従って、可動部材20の下端部20bが軸部材75に対して前面側に向けて離れるように相対移動していく。その結果、高さ方向Zに対する可動部材20の傾斜角度が増加していく。駆動制御装置73は、可動部材20が傾倒位置に到達すると、動力源71の出力を停止させる。傾倒位置は、車両上下方向に沿った加飾部材2の可動範囲における最も下側の位置である。
【0029】
駆動制御装置73は、可動部材20を傾倒位置から起立位置に向けて移動させる場合、変換部材74を上側に向けて移動させるように動力源71を制御する。より具体的には、駆動制御装置73は、動力源71によって、変換部材74を上側に向けて移動させる回転方向に軸部材75を回転させる。変換部材74が軸部材75に沿って上側に向けて移動すると、被ガイド部76bがガイドレール11aに案内されて背面側に向けて移動する。変換部材74が上側に向けて移動するに従って、可動部材20の下端部20bが軸部材75に近づくように背面側に向けて相対移動する。その結果、高さ方向Zに対する可動部材20の傾斜角度が減少していく。駆動制御装置73は、可動部材20が起立位置に到達すると、動力源71の出力を停止させる。
【0030】
本実施形態の車両用表示装置1は、更に、可動部材20を幅方向Yに移動させる第二の駆動装置8を有する。第二の駆動装置8は、保持部材76に配置されている。第二の駆動装置8は、例えば、モータ等の第二の動力源と、第二の動力伝達機構とを有する。第二の動力伝達機構は、第二の動力源の出力による回転運動を幅方向Yに沿った直線運動に変換する。第二の駆動装置8は、保持部材76と可動部材20との間に介在している。第二の駆動装置8は、可動部材20を保持部材76に対して幅方向Yに相対移動させる。
【0031】
図3に示すように、光源9は、収容部100の内部空間における高さ方向Zの上部に配置されている。光源9は、可動部材20よりも高さ方向Zの上側に配置されている。光源9は、可動部材20の構成要素に対して上側から光を照射する。光源9は、例えば、加飾部材2に対して光を照射して加飾部材2をアイポイントEPから視認可能とする。光源9は、加飾部材2に対して直接光を照射しても、間接的に光を照射してもよい。光源9は、例えば、表示制御装置63によって制御される。
【0032】
表示制御装置63は、車両用表示装置1の電源がオンとされているときに、条件に応じて光源9を点灯または消灯させる。表示制御装置63は、例えば、加飾部材2および文字板3をメータとして用いる場合に光源9を点灯させる。本実施形態の車両用表示装置1は、光源9を点灯した状態で虚像表示装置6により虚像を表示する第一の表示モード、および光源9を消灯した状態で虚像表示装置6により虚像を表示する第二の表示モードを有する。
【0033】
図5には、第一の表示モードで虚像を表示している車両用表示装置1が示されている。第一の表示モードでは、加飾部材2および文字板3がメータの構成要素として利用される。
図5に示すように、第一の表示モードにおける加飾部材2の位置は、起立位置である。第一の表示モードでは、光源9が点灯して加飾部材2に対して光を当てている。収容部100の内部には、虚像表示装置6によって、指針画像23、指標画像24、情報画像25a,25b,25cが表示されている。指針画像23、指標画像24、および情報画像25aは、文字板3に重畳して表示される。言い換えると、指針画像23、指標画像24、および情報画像25aは、加飾部材2の内側の領域に表示される。情報画像25b,25cは、加飾部材2の外側の領域に表示される。
【0034】
指標画像24は、目盛り画像24aおよび文字画像24bを含む。指標画像24は、加飾部材2の内周面に沿って表示される。
図5に例示された指標画像24は、車両の走行速度である車速についての指標を表示している。指針画像23は、指標画像24を指し示す。より具体的には、指針画像23は、複数の目盛り画像24aのうち、現在の車速に対応する目盛り画像24aを指し示す位置に表示される。
【0035】
情報画像25aは、例えば、文字板3の中央部に表示される。情報画像25aは、円形の枠画像および文字画像を含む。情報画像25aの文字画像は、外気温や走行距離に関する情報を示す。
【0036】
情報画像25b,25cは、加飾部材2の周囲に表示される。情報画像25bは、加飾部材2に対して左側に表示される。情報画像25bは、車両の現在の走行モードを示す文字を含む。情報画像25cは、加飾部材2に対して右側に表示される。情報画像25cは、車両の現在のシフトポジションを示す文字を含む。
【0037】
図6には、第二の表示モードで虚像を表示している車両用表示装置1が示されている。第二の表示モードでは、光源9が消灯される。収容部100の内部には、虚像表示装置6によって、ナビゲーション画像28が示されている。ナビゲーション画像28は、アイポイントEPから視認される領域における中央部に表示される。ナビゲーション画像28は、例えば、起立位置にある加飾部材2と重畳する領域に表示される。言い換えると、ナビゲーション画像28は、加飾部材2を覆い隠すように表示される。なお、第二の表示モードで表示される虚像は、ナビゲーション画像28には限定されない。
【0038】
ここで、第二の表示モードでは、加飾部材2がユーザから視認しがたいことが望ましく、可能であればユーザによって視認されないことが望ましい。本実施形態の駆動装置7は、光源9が消灯しているときの加飾部材2の位置を傾倒位置とする。これにより、以下に説明するように、ユーザから加飾部材2が視認されにくくなる。
【0039】
まず、加飾部材2の形状等についてより詳細に説明する。本実施形態の加飾部材2は、
図7に示すように、断面形状が四角形の部材である。加飾部材2は、中心軸線X1の方向における一方側の面21がアイポイントEP側を向いている。以下の説明では、この面21を「対向面21」と称する。加飾部材2が起立位置にある場合、
図7に示すように対向面21がアイポイントEPと対向する。
【0040】
本実施形態の対向面21は、傾斜面となっている。より詳しくは、対向面21は、半径方向の内側が半径方向の外側よりも背面側に位置するように傾斜している。言い換えると、対向面21は、軸方向(中心軸線X1に沿った方向)において、外周側の縁部21aが内周側の縁部21bよりも前面側に位置している。従って、起立位置にある加飾部材2では、軸方向において外周側の縁部21aが内周側の縁部21bよりもアイポイントEPに近い位置にある。
【0041】
このように傾斜した対向面21は、中心軸線X1上の点に向けて光を集めやすいと考えられる。すなわち、アイポイントEP側から対向面21に照射する外光が対向面21によって反射された場合、その反射光は、アイポイントEPの方向に集まりやすいと考えられる。光源9が消灯されていたとしても、加飾部材2が起立位置にある場合、
図8に示すように加飾部材2がうっすらと見えてしまうことがある。これは、上記のように対向面21によって反射された光がアイポイントEPに向けて集まりやすいためと考えられる。なお、
図8では、収容部100の内部の明暗を反転させて図示している。すなわち、加飾部材2以外のところは暗く、加飾部材2が周囲よりもわずかに明るくなっている。
【0042】
この場合、第二の表示モードにおいて、ナビゲーション画像28だけでなく加飾部材2がユーザから視認できてしまうことになる。光源9を消灯しているときに、加飾部材2をできるだけユーザから視認されにくくできることが望ましい。
【0043】
本実施形態の車両用表示装置1では、駆動装置7は、光源9が消灯しているときの加飾部材2の位置を傾倒位置とする。
図9に示すように、傾倒位置にある加飾部材2は、フード部102と対向する。加飾部材2が傾倒位置にある場合、加飾部材2の中心軸線X1上にフード部102がある。従って、外光等が対向面21で反射された場合、反射光はフード部102に向けて集まりやすいと考えられる。加飾部材2の位置を傾倒位置として光源9を消灯した場合、
図10に示すように、加飾部材2が視認されにくくなる。
【0044】
本願発明者は、光源9が消灯し、かつ虚像が表示されていない状態で、起立位置にある加飾部材2の見え方と、傾倒位置にある加飾部材2の見え方とを比較した。その結果、傾倒位置にある加飾部材2(
図10)が起立位置にある加飾部材2(
図8)よりも明らかに視認されにくいことを確認した。虚像表示装置6によってナビゲーション画像28等の虚像が表示されることで、加飾部材2は更に視認しがたくなり、例えばユーザから視認不能となる。
【0045】
傾倒位置にある加飾部材2が起立位置にある加飾部材2よりも見えがたくなることは、次のように理解されてもよい。
図11は、起立位置にある加飾部材による光の反射を示す図、
図12は、傾倒位置にある加飾部材による光の反射を示す図である。
図11に示すように、起立位置にある加飾部材2は、ユーザ(典型的には、運転者Dr)と対向している。また、加飾部材2に入射する外光Lt1は、主としてユーザの視線方向に沿って加飾部材2の対向面21に入射すると考えられる。対向面21によって正反射された反射光Lt2は、視線方向に沿ってユーザに向かいやすい。その結果、光源9が消灯しているときに加飾部材2がうっすらと見えてしまうと考えられる。
【0046】
図12に示すように、傾倒位置にある加飾部材2は、収容部100のフード部102と対向するように傾斜している。この場合、ユーザの視線方向に沿って入射する外光Lt1が対向面21によって正反射されると、その反射光Lt3は、収容部100の奥部やフード部102へ向かう。従って、傾倒位置にある加飾部材2はユーザから視認されにくくなると考えられる。
【0047】
本実施形態の車両用表示装置1は、自らの電源をオフするときに駆動装置7によって加飾部材2を傾倒位置に位置付ける。この場合、駆動装置7は、光源9が消灯されてから加飾部材2を傾倒位置に移動させてもよい。電源オフ時に加飾部材2が傾倒位置に位置付けられていることで、加飾部材2がユーザから視認されにくくなる。本実施形態の車両用表示装置1によれば、光源9が消灯されているときに加飾部材2の存在がユーザに意識されにくい。よって、光源9が点灯されて加飾部材2が表示状態に切り替わるときの演出性が向上する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用表示装置1は、収容部100と、加飾部材2と、光源9と、駆動装置7と、を有する。収容部100は、車両に配置され、車両のアイポイントEPに向けて開口しており、内部に情報が表示される。円環状の加飾部材2は、収容部100の内部に配置される。光源9は、加飾部材2に対して光を照射する。駆動装置7は、車両上下方向に対する加飾部材2の傾斜角度を変化させ、加飾部材2を起立位置および傾倒位置に位置付ける。
【0049】
起立位置は、加飾部材2の対向面21がアイポイントEPと対向する位置である。傾倒位置は、加飾部材2の上端部20aが下端部20bよりもアイポイントEPから遠くに位置し、かつ加飾部材2の可動範囲において車両上下方向に対する加飾部材2の傾斜角度が最も大きい位置である。
【0050】
対向面21は、半径方向の内側が半径方向の外側よりも背面側に位置するように傾斜した面である。駆動装置7は、光源9が消灯しているときの加飾部材2の位置を傾倒位置とする。本実施形態の車両用表示装置1は、対向面21によって反射された外光の進む方向をフード部102へ向かう方向や収容部100の奥部へ向かう方向とすることができる。よって、本実施形態の車両用表示装置1は、光源9が消灯しているときに加飾部材2を視認されにくくすることができる。
【0051】
また、加飾部材2が傾倒位置に位置付けられていると、加飾部材2が起立位置にある場合と比較して、アイポイントEPの方向に向けて投影した対向面21の投影面積が小さい。本実施形態の車両用表示装置1は、対向面21の投影面積を小さくすることによって加飾部材2を視認されにくくすることができる。
【0052】
本実施形態の車両用表示装置1は、収容部100の内部に虚像を表示する表示装置61を有する。駆動装置7は、光源9が消灯しており、かつ表示装置61が虚像を表示するときの加飾部材2の位置を傾倒位置とする。加飾部材2が視認されにくい状態で虚像が表示されることで、虚像の視認性が向上する。
【0053】
本実施形態の収容部100は、加飾部材2よりも上側に位置し、かつ加飾部材2よりもアイポイントEP側の位置まで突出したフード部102を有する。加飾部材2の傾倒位置は、対向面21がフード部102と対向する位置である。このように対向面21がフード部102と対向するように傾斜していることで、対向面21に入射した外光は、フード部102や収容部100の奥側へ向けて反射されやすくなる。よって、光源9が消灯しているときに、加飾部材2がより視認されにくくなる。
【0054】
[実施形態の変形例]
加飾部材2の形状は、例示したものには限定されない。円環状の加飾部材2には、閉じたものだけでなく、周方向の一部が欠けて開いた形状のものも含まれる。このように一部が開いた円環状の加飾部材2としては、例えば、C字形状の加飾部材2が挙げられる。
【0055】
対向面21の形状は、例示したものには限定されない。上記実施形態の対向面21は、全体的に傾斜していたが、対向面21の一部は傾斜していなくてもよい。例えば、対向面21の一部は中心軸線X1と直交する面であってもよい。対向面21は、平滑な面でなくてもよい。例えば、対向面21には、凹凸が形成されていてもよい。対向面21に形成される凹凸は、周方向に沿って凸部と凹部が交互に配置されたものであってもよい。対向面21は、半径方向に沿って湾曲していてもよい。この場合、対向面21の断面形状は、前面側に向けて凸の湾曲形状であっても、背面側に向けて凸の湾曲形状であってもよい。
【0056】
加飾部材2の移動の態様は、例示したものには限定されない。例えば、駆動装置7は、加飾部材2を車両上下方向に移動させることなく加飾部材2の傾斜角度θを変化させてもよい。言い換えると、駆動装置7は、回転軸の位置を固定したままで加飾部材2を回転させることで、加飾部材2を起立位置および傾倒位置に位置付けてもよい。また、車両用表示装置1は、加飾部材2を幅方向Yに移動させる装置(第二の駆動装置8)を備えていなくてもよい。
【0057】
光源9の位置は、例示したものには限定されない。光源9は、加飾部材2よりも下側に配置されてもよい。加飾部材2と文字板3とが一体に形成されていてもよい。
【0058】
第二の表示モードにおいて虚像が表示される領域は、加飾部材2を覆い隠すものでなくてもよい。例えば、虚像は、加飾部材2の少なくとも一部と重畳するように表示されてもよく、加飾部材2とは重畳しないように表示されてもよい。加飾部材2とは重畳しない領域に虚像が表示される場合、加飾部材2がユーザから視認できてしまうと、ユーザが違和感を覚える可能性がある。本実施形態の車両用表示装置1は、加飾部材2をユーザから視認されにくくすることでユーザに違和感を与えてしまうことを抑制することができる。
【0059】
傾倒位置における加飾部材2の傾斜角度は、例示したものには限定されない。例えば、上記実施形態では、加飾部材2が傾倒位置にある場合に中心軸線X1上にフード部102があるが、これには限定されない。加飾部材2の傾斜角度は、傾倒位置において加飾部材2が視認されにくくなるように適宜定められればよい。
【0060】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。