特許第6846275号(P6846275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846275
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】食器用洗浄剤
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/48 20060101AFI20210315BHJP
   C11D 1/94 20060101ALI20210315BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20210315BHJP
   C11D 1/83 20060101ALI20210315BHJP
   C11D 3/24 20060101ALI20210315BHJP
   A01N 31/16 20060101ALI20210315BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   C11D3/48
   C11D1/94
   C11D1/72
   C11D1/83
   C11D3/24
   A01N31/16
   A01P1/00
【請求項の数】3
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-85282(P2017-85282)
(22)【出願日】2017年4月24日
(65)【公開番号】特開2018-184494(P2018-184494A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】服部 昂
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 沙絵
【審査官】 山本 悦司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−515642(JP,A)
【文献】 特表2015−517000(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/073474(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/118210(WO,A1)
【文献】 特表2015−537076(JP,A)
【文献】 特表2007−530499(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/172284(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0058005(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00−19/00
A01N 31/16
A01P 1/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分及び(B)成分を含有し、(A)成分/(B)成分で表される質量比が5〜250である、食器用洗浄剤。
(A)成分:下記(a1)成分(a2)成分及び(a3)成分を含み、(a3)成分/((a1)成分+(a2)成分)で表される質量比が0.05〜1.7である界面活性剤。
(a1)成分:アニオン界面活性剤。
(a2)成分:両性界面活性剤及び半極性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種。
(a3)成分:ノニオン界面活性剤。
(B)成分:ダイクロサン。
【請求項2】
前記(a3)成分が分岐アルキルアルコキシレートである、請求項に記載の食器用洗浄剤。
【請求項3】
(a2)成分/(a1)成分で表される質量比が0.3〜1.6である、請求項1又は2に記載の食器用洗浄剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器用洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の衛生意識の向上により、悪臭に対する意識が高まっている。
家庭における台所関連での微生物汚染の原因としては、例えば、調理の際に食材又は調理者の手等から持ち込まれた細菌が挙げられる。この細菌が食器や調理器具などへ移って増殖してしまうことが、食中毒の発生、スポンジの悪臭発生等の要因の一つとして考えられている。
【0003】
従来、スポンジやまな板等の台所用品を殺菌する方法として、次亜塩素酸ナトリウムを主基材とする塩素系漂白剤やキッチン用殺菌剤、あるいは過炭酸ナトリウムや過ホウ酸ナトリウムを含む酸素系漂白剤に台所用品を漬け込んで処理する方法が行われていた。
しかし、塩素系漂白剤、キッチン用殺菌剤、酸素系漂白剤等に台所用品を漬け込んで殺菌する方法は、これら漂白剤や殺菌剤を水に溶かした処理液を用意し、この処理液に台所用品を漬け込む操作を要し、手間がかかるものであった。また、これら漂白剤や殺菌剤は独特の臭いを有していることから、消費者によっては敬遠されることがあった。
【0004】
近年、台所用品用の洗浄剤に除菌性を付与したものが提案されている。例えば特許文献1には、特定の構造を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩と、アルカンスルホン酸又はその塩と、アミンオキシド型界面活性剤と、芳香族スルホン酸又はその塩と、亜鉛化合物とを特定量含有する台所用液体洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−156590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の台所用液体洗浄剤組成物は、良好な除菌性を有するものの、食器等の洗浄に使用した後のスポンジを放置した場合、スポンジから悪臭が発生してくるという問題があった。
【0007】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、食器等の洗浄に使用した後のスポンジに汚れが残りにくく、かつ、悪臭の発生を抑制できる食器用洗浄剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の態様を有する。
[1] 下記(A)成分及び(B)成分を含有し、(A)成分/(B)成分で表される質量比が5〜250である、食器用洗浄剤。
(A)成分:下記(a1)成分及び(a2)成分を含む界面活性剤。
(a1)成分:アニオン界面活性剤。
(a2)成分:両性界面活性剤及び半極性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種。
(B)成分:ダイクロサン。
[2] 前記(A)成分が下記(a3)成分をさらに含む、[1]に記載の食器用洗浄剤。
(a3)成分:ノニオン界面活性剤。
[3] 前記(a3)成分が分岐アルキルアルコキシレートである、[2]に記載の食器用洗浄剤。
[4] (a3)成分/((a1)成分+(a2)成分)で表される質量比が0.05〜1.7である、[2]又は[3]に記載の食器用洗浄剤。
[5] (a2)成分/(a1)成分で表される質量比が0.3〜1.6である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の食器用洗浄剤。
[6] 前記(A)成分の含有量が、食器用洗浄剤の総質量に対して10質量%以上である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の食器用洗浄剤。
[7] 前記(B)成分の含有量が、食器用洗浄剤の総質量に対して0.01〜5質量%である、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の食器用洗浄剤。
[8] 前記(a1)成分の含有量が、食器用洗浄剤の総質量に対して1〜25質量%である、[1]〜[7]のいずれか1つに記載の食器用洗浄剤。
[9] 前記(a2)成分の含有量が、食器用洗浄剤の総質量に対して1〜20質量%である、[1]〜[8]のいずれか1つに記載の食器用洗浄剤。
[10] 前記(a3)成分の含有量が、食器用洗浄剤の総質量に対して1〜20質量%である、[2]〜[4]のいずれか1つに記載の食器用洗浄剤。
[11] 前記(a3)成分がガーベットアルコール型ノニオン界面活性剤である、[3]、[4]、[10]のいずれか1つに記載の食器用洗浄剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、食器等の洗浄に使用した後のスポンジに汚れが残りにくく、かつ、悪臭の発生を抑制できる食器用洗浄剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の食器用洗浄剤は、以下に示す(A)成分及び(B)成分を含有する。
【0011】
<(A)成分>
(A)成分は、下記(a1)成分及び(a2)成分を含む界面活性剤である。(A)成分は、下記(a3)成分をさらに含むことが好ましい。
(a1)成分:アニオン界面活性剤。
(a2)成分:両性界面活性剤及び半極性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種。
(a3)成分:ノニオン界面活性剤。
【0012】
(A)成分の含有量は、食器用洗浄剤の総質量に対して10質量%以上が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、15〜45質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が下限値以上であれば、食器等の洗浄に使用した後のスポンジに汚れがより残りにくくなる。(A)成分の含有量が上限値以下であれば、食器用洗浄剤の均一性を良好に維持できる。
【0013】
((a1)成分)
(a1)成分は、アニオン界面活性剤である。
食器用洗浄剤が(a1)成分を含有することで、(a2)成分との相互作用により食器用洗浄剤の基本性能として必要な油汚れに対する洗浄力、泡立ち性を発揮できる。
【0014】
(a1)成分としては、例えばα−オレフィンスルホン酸塩、直鎖又は分岐鎖のアルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩、アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩などが挙げられる。これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。
(a1)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0015】
(a1)成分としては、下記一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤、アルカンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。
−O−(EO)−SO 1/X・M ・・・(1)
(一般式(1)中、Rは炭素数8〜18の直鎖アルキル基であり、かつ酸素原子と結合している炭素原子は第一炭素原子である。EOはオキシエチレン基であり、nはEOの平均繰り返し数を示し、0<n≦4である。Mは水素イオン以外の陽イオンであり、XはMの価数である。)
【0016】
一般式(1)中、Rの炭素数は8〜18であり、10〜14が好ましく、12〜14がより好ましい。Rとしては、洗浄力及び環境面から、油脂原料由来のアルキル基であることが好ましい。好適な油脂原料としては、パーム核油、ヤシ油等が挙げられる。
【0017】
一般式(1)中、Mは水素イオン以外の陽イオンであり、価数がXである。Mとしては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルカノールアミン等、水溶性の塩を形成し得るものが挙げられる。
アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。
アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0018】
アルカンスルホン酸塩としては、炭素数が10〜20のアルカンスルホン酸塩が挙げられ、炭素数14〜17のアルカンスルホン酸塩が好ましく、第2級アルカンスルホン酸塩が特に好ましい。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、直鎖アルキル基の炭素数が8〜16の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、直鎖アルキル基の炭素数が10〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が特に好ましい。
【0019】
(a1)成分として具体的には、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(4)直鎖アルキル(C12)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(4)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩、アルカンスルホン酸ナトリウム塩、直鎖アルキル(C12)ベンゼンスルホン酸塩、直鎖アルキル(C14)ベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。
これらの中でも、本発明の効果が特に得られやすいことから、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(4)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩が好ましい。
【0020】
ここで、例えば「ポリオキシエチレン(1)」とは、オキシエチレン基の平均繰返し数が1(エチレンオキシドの平均付加モル数が1)であることを意味する。
「C12/14=75/25;天然油脂由来」とは、炭素数12の直鎖アルキル基を有するものと、炭素数14の直鎖アルキル基を有するものとの混合物(混合比率:質量比で75/25)であること、天然油脂由来の直鎖状のアルキル基であることを意味する。
【0021】
(a1)成分の含有量は、食器用洗浄剤の総質量に対して1〜25質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。(a1)成分の含有量が上記範囲内であれば、食器等の洗浄に使用した後のスポンジに汚れがより残りにくくなると共に、スポンジからの悪臭の発生をより抑制できる。
【0022】
((a2)成分)
(a2)成分は、両性界面活性剤及び半極性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
食器用洗浄剤が(a2)成分を含有することで、(a1)成分との相互作用により食器用洗浄剤の基本性能として必要な油汚れに対する洗浄力、泡立ち性を発揮できる。
なお、「半極性界面活性剤」とは、半極性界面活性剤が溶解する溶液又は分散する分散系のpHにより、陽イオン性、非イオン性となるものをいう。
【0023】
両性界面活性剤としては、例えばカルボン酸塩型(ベタイン型ともいう。)、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、リン酸エステル塩型があり、これらをいずれも使用できる。これらの中でも、カルボン酸塩型が好ましい。
カルボン酸塩型の両性界面活性剤の具体例としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン)などが挙げられる。
両性界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0024】
半極性界面活性剤としては、例えばアミンオキシド型界面活性剤、アミンアルキレンオキシド型界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、アミンオキシド型界面活性剤が好ましい。
アミンオキシド型界面活性剤としては、例えばアルキルアミンオキシド、アルカノイルアミドアルキルアミンオキシドなどが挙げられ、これらの中でも下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
【0025】
【化1】
【0026】
一般式(2)中、Rは炭素数8〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、又は炭素数8〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基であり、R、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキレン基である。Aは−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−又は−O−であり、pは0又は1の数である。
【0027】
一般式(2)中、Rの炭素数は8〜18であり、10〜14が好ましい。Rとしては、炭素数8〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。
一般式(2)中、R、Rとしては、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましく、R及びRがいずれもメチル基であることがさらに好ましい。
一般式(2)中、pは、0又は1の数であり、0が好ましい。
【0028】
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、ラウリルジメチルアミンオキシド(n−ドデシルジメチルアミンオキシド)、ヤシアルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルジエチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシドなどが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果が特に得られやすいことから、ラウリルジメチルアミンオキシドが好ましい。
半極性界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0029】
(a2)成分としては、両性界面活性剤のみを用いてもよいし、半極性界面活性剤のみを用いてもよいし、両性界面活性剤と半極性界面活性剤とを併用してもよい。
【0030】
(a2)成分の含有量は、食器用洗浄剤の総質量に対して1〜20質量%が好ましく、5〜12質量%がより好ましい。(a2)成分の含有量が上記範囲内であれば、食器等の洗浄に使用した後のスポンジに汚れがより残りにくくなると共に、スポンジからの悪臭の発生をより抑制できる。加えて、油汚れに対する洗浄力が向上する。
【0031】
(a2)成分/(a1)成分で表される質量比(以下、「a2/a1比」ともいう。)は0.3〜1.6が好ましく、0.7〜1.2がより好ましい。a2/a1比が上記範囲内であれば、食器等の洗浄に使用した後のスポンジに汚れがより残りにくくなると共に、食器用洗浄剤の安定性が向上する。
【0032】
((a3)成分)
(a3)成分は、ノニオン界面活性剤である。
食器用洗浄剤が(a1)成分及び(a2)成分に加えて、(a3)成分をさらに含有することで、食器用洗浄剤の基本性能として必要な油汚れに対する洗浄力、泡立ち性をより発揮できる。
【0033】
(a3)成分としては、例えば下記一般式(3)で表されるポリオキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤、アルキルグリコシド、ソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
−O−(RO)−H ・・・(3)
(一般式(3)中、Rは炭素数8〜18の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基であり、Rは炭素数1〜3の炭化水素基であり、qは(RO)の平均繰り返し数を示し、1≦q≦20である。)
【0034】
一般式(3)中、Rの炭素数は8〜18であり、8〜16が好ましく、8〜14がより好ましい。Rの炭化水素基としては、アルキル基又はアルケニル基が好ましい。
一般式(3)中、Rの炭化水素基としては、アルキレン基が好ましく、エチレン基、プロピレン基がより好ましい。また、(RO)としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が混在してもよい。オキシエチレン基、オキシプロピレン基が混在する場合、これらはランダム状に混在してもよく、ブロック状に混在してもよい。
一般式(3)中、qは1〜20であり、5〜20が好ましく、5〜15がより好ましい。
【0035】
(a3)成分としては、本発明の効果が特に得られやすいことから、一般式(3)で表されるポリオキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤が好ましく、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜3)アルキル(炭素数10〜18)エーテル(アルキレンオキシド平均付加モル数5〜20)がより好ましく、特に分岐アルキルアルコキシレートが好ましい。
ここで、「分岐アルキルアルコキシレート」とは、一般式(3)中のRが分岐の1級アルコールに由来する炭化水素基であるノニオン界面活性剤のことである。
【0036】
(a3)成分としては、分岐アルキルアルコキシレートの中でも、ガーベットアルコール型ノニオン界面活性剤が好ましい。
ガーベットアルコール型ノニオン界面活性剤としては、下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
(R)(R)CH−CH−O−(RO)−H ・・・(4)
(一般式(4)中、Rは炭素数1〜3の炭化水素基であり、R、Rはそれぞれ独立して鎖状の炭化水素基を表し、RとRとの合計の炭素数は6〜16であり、qは(RO)の平均繰り返し数を示し、1≦q≦20である。)
【0037】
一般式(4)中、RとRとの合計の炭素数は6〜16であり、6〜14が好ましく、6〜12がより好ましい。R、Rは、それぞれ独立して直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、又は直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基が好ましい。
一般式(4)中のR及びqは、一般式(3)中のR及びqと同様である。
【0038】
一般式(4)で表される化合物としては、2−プロピルヘプチルアルコールエトキシレート、2−エチルヘキシルアルコールエトキシレートなどが挙げられる。これらの中でも、2−プロピルヘプチルアルコールエトキシレートが好ましい。エチレンオキシドの平均付加モル数は6〜14が好ましく、8〜11がより好ましく、10が最も好ましい。
2−プロピルヘプチルアルコールエトキシレートの具体例としては、BASF社製の商品名「Lutensol XP−100」、「Lutensol XP−80」などが挙げられる。
2−エチルヘキシルアルコールエトキシレートの具体例としては、日本乳化剤株式会社製の商品名「ニューコール 1008」などが挙げられる。
【0039】
(a3)成分の含有量は、食器用洗浄剤の総質量に対して1〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましい。(a3)成分の含有量が上記範囲内であれば、食器等の洗浄に使用した後のスポンジに汚れがより残りにくくなると共に、スポンジからの悪臭の発生をより抑制できる。加えて、油汚れに対する洗浄力が向上する。
【0040】
(a3)成分/((a1)成分+(a2)成分)で表される質量比(以下、「a3/(a1+a2)比」ともいう。)は0.05〜1.7が好ましく、0.2〜0.9がより好ましい。a3/(a1+a2)比が上記範囲内であれば、スポンジからの悪臭の発生をより長期間にわたって抑制できる。
【0041】
<(B)成分>
(B)成分は、4,4’−ジクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(慣用名:ダイクロサン)である。
食器用洗浄剤が(B)成分を含有することで、抗菌性や静菌性を発揮できる。
【0042】
(B)成分の含有量は、食器用洗浄剤の総質量に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であれば、抗菌性及び静菌性の効果が充分に発揮され、スポンジからの悪臭の発生をより抑制できる。(B)成分の含有量が多くなるほど抗菌性及び静菌性は高まる傾向にあるが、(B)成分が多すぎると逆に抗菌性及び静菌性は低下する場合がある。
【0043】
(A)成分/(B)成分で表される質量比(以下、「A/B比」ともいう。)は5〜250であり、15〜130が好ましい。A/B比が上記範囲内であれば、スポンジからの悪臭の発生を抑制できる。
【0044】
(A)成分と(B)成分の含有量の合計は、食器用洗浄剤の総質量に対して5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。(A)成分と(B)成分の含有量の合計が上記下限値以上であれば、スポンジの汚れ残りやスポンジの悪臭抑制に優れる。(A)成分と(B)成分の含有量の合計が上記上限値以下であれば、食器用洗浄剤の製造時のハンドリングのし易さが向上する。
【0045】
<水>
本発明の食器用洗浄剤は、製造時のハンドリングのし易さ、使用する際の水への溶解性等の観点から、溶剤として水を含有することが好ましい。
【0046】
<任意成分>
食器用洗浄剤は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、(A)成分及び(B)成分以外の成分(任意成分)を必要に応じて含有してもよい。
任意成分としては、食器洗い用、台所用、硬質表面用等の洗浄剤組成物に用いられている成分が挙げられ、例えば、カチオン界面活性剤、防腐剤、ハイドロトロープ剤などが挙げられる。
【0047】
カチオン界面活性剤としては、例えば、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、ジ牛脂アルキルジメチルアンモニウムクロライド、ジ(ステアロイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(パルミトイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジ(ステアロイルオキシイソプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシイソプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシブチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(ステアロイルオキシエチル)メチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、トリ(ステアロイルオキシエチル)メチルメトサルフェートなどが挙げられる。なお、「牛脂アルキル」基の炭素数は14〜18である。
カチオン界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0048】
(防腐剤)
食器用洗浄剤が防腐剤を含有することにより、食器用洗浄剤に微生物等が混入しても、菌の増殖が抑制される。
防腐剤としては、例えば、イソチアゾリン系化合物が挙げられ、具体的には、ベンズイソチアゾリノン(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン)、メチルイソチアゾリノン(2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン)、ブチルベンズイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、オクチルイソチアゾリノン、ジクロロオクチルイソチアゾリノン等が挙げられる。これらの中でも、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンが好ましい。
防腐剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0049】
防腐剤の含有量は、食器用洗浄剤の総質量に対し、2〜1000質量ppmが好ましい。防腐剤の含有量が上記範囲内であれば、食器用洗浄剤を長期間保存しても、食器用洗剤の微生物汚染が抑制できる。
【0050】
(ハイドロトロープ剤)
食器用洗浄剤がハイドロトロープ剤を含有することにより、主として、食器用洗浄剤の保存安定性(特に低温安定性)が向上して、透明外観をより安定に確保しやすくなる。
ハイドロトロープ剤としては、炭素数2〜4の1価アルコール、炭素数4〜10のグリセリルエーテル、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸塩、安息香酸、安息香酸塩などが挙げられる。
ハイドロトロープ剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0051】
ハイドロトロープ剤において、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸塩は、それぞれo体、m体、p体の3異性体のいずれでもよい。
炭素数2〜4の1価アルコールはとしては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャルブタノールが挙げられる。
炭素数4〜10のグリセリルエーテルとしてはグリセリン、ヘキシルグリセリルエーテルなどが挙げられる。
【0052】
ハイドロトロープ剤としては、食器用洗浄剤中の(A)成分及び(B)成分の溶解効果や、使用感の点から、エタノール、パラトルエンスルホン酸塩が好ましい。
ハイドロトロープ剤の含有量は、食器用洗浄剤の総質量に対し、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
【0053】
上記の他、本発明の食器用洗浄剤には、任意成分として、水酸化ナトリウム、硫酸等のpH調整剤;硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、酸化亜鉛等の無機ビルダー;色素、ラジカルトラップ剤、香料等も配合することができる。
【0054】
なお、食器用洗浄剤に含まれる全ての成分の含有量の合計が、100質量%となるものとする。
【0055】
<製造方法>
本発明の食器用洗浄剤は、例えば、上述した(A)成分及び(B)成分と、必要に応じて任意成分とを、水等の溶媒に溶解し、pH調整剤を用いて所定のpHに調整することによって製造できる。
【0056】
<pH>
本発明の食器用洗浄剤の25℃でのpHは、6〜8が好ましい。
本発明において、食器用洗浄剤のpH(25℃)は、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠した方法により測定される値を示す。
食器用洗浄剤のpHは、pH調整剤を用いて調整すればよい。
【0057】
<作用効果>
以上説明した本発明の食器用洗浄剤においては、(A)成分である界面活性剤として(a1)成分であるアニオン界面活性剤と、(a2)成分である両性界面活性剤及び半極性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種との組み合わせにおいて、(B)成分であるダイクロサンを併用し、かつ(A)成分と(B)成分とを特定の比率で含有するので、長期間にわたり抗菌効果及び静菌効果を発揮できる。よって、通常の使用方法により、食器等の洗浄に使用した後のスポンジに汚れがより残りにくく、かつ、悪臭の発生を抑制できる。具体的には、日々の食器洗いを行うことで、食器洗浄後のスポンジの汚れ残りを抑制できると共に、スポンジからの悪臭の発生を抑制できる。特に、食器洗浄後のスポンジに新たに本発明の食器用洗浄剤を注ぎ足し、揉み込んで放置することで、スポンジからの悪臭の発生をより効果的に抑制できる。
しかも、本発明の食器用洗浄剤であれば、スポンジを除菌するに際して従来の漂白剤等のように水に溶かして処理液を用意する必要がないので、手間をかけずにスポンジを除菌できる。加えて、従来の漂白剤や殺菌剤に比べて臭いが気になりにくい。
【実施例】
【0058】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。なお、各例で用いた成分の配合量は、特に断りのない限り純分換算値である。実施例1〜10、15、16は参考例である。
【0059】
「使用原料」
(a1)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・a1−1:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(AES)、上記一般式(1)中、R=炭素数12〜14の直鎖アルキル基、n=1、M=ナトリウム、X=1。下記合成方法により合成されたもの。
・a1−2:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(AES;BASF社製、商品名「Texapon N70T」)。上記一般式(1)中、R=炭素数12〜14の直鎖アルキル基(C12/C14=75%/25%、質量比)、n=2、M=ナトリウム、X=1。
・a1−3:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(AES)、上記一般式(1)中、R=炭素数12〜14の直鎖アルキル基、n=4、M=ナトリウム、X=1。下記合成方法により合成されたもの。
・a1−4:炭素数14〜17の2級アルカンスルホン酸ナトリウム(SAS;クラリアントジャパン株式会社製、商品名「HOSTAPUR SAS 30A」)。
・a1−5:炭素数10〜14のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)、テイカ株式会社製の商品名「テイカパワーL121」が水酸化ナトリウムで中和されたもの。
【0060】
(a1−1の合成方法)
4Lオートクレーブ中に、原料アルコールとしてP&G社製の商品名「CO1270アルコール(C12/C14=75%/25%、質量比)」を400gと、反応用触媒として水酸化カリウム0.8gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素で置換した後、攪拌しながら昇温した。続いて、温度を180℃、圧力を0.3MPa以下に維持しつつ、エチレンオキシド91gを導入し、反応させた。得られたポリオキシアルキレンエーテルのエチレンオキシドの平均付加モル数は1であった。
次いで、得られたポリオキシアルキレンエーテルのエチレンオキシド237gを攪拌装置付の500mLフラスコに採り、窒素置換した後、液体無水硫酸(サルファン)96gを反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、撹拌を1時間続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。
次いで、得られたポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を水酸化ナトリウム水溶液で中和することによりa1−1を得た。
【0061】
(a1−3の合成方法)
エチレンオキシドの量を364gに変更した以外はa1−1と同様にして、a1−3を得た。
【0062】
(a2)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・a2−1:n−ドデシルジメチルアミンオキシド(AX;ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「カデナックスDM12D−W」)。上記一般式(2)中、R=炭素数12の直鎖アルキル基、R=メチル基、R=メチル基、p=0。
・a2−2:ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド(APAX;クラリアントジャパン株式会社製、商品名「GENAMINOX AP」)。上記一般式(2)中、R=炭素数11の直鎖アルキル基、R=メチル基、R=メチル基、R=プロピレン基、A=−CONH−、p=1。
・a2−3:ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(第一工業製薬株式会社製、商品名「アミーゲンS」)。
なお、a2−1及びa2−2は半極性界面活性剤であり、a2−3は両性界面活性剤である。
【0063】
(a3)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・a3−1:2−プロピルヘプチルアルコールエトキシレート(BASF社製、商品名「Lutensol XP−100」)。上記一般式(3)中、R=2−プロピルヘプチル基、R=エチレン基、q=10。
・a3−2:2−プロピルヘプチルアルコールエトキシレート(BASF社製、商品名「Lutensol XP−80」)。上記一般式(3)中、R=2−プロピルヘプチル基、R=エチレン基、q=8。
・a3−3:2−エチルヘキシルアルコールエトキシレート(日本乳化剤株式会社製、商品名「ニューコール 1008」)。上記一般式(3)中、R=2−エチルヘキシル基、R=エチレン基、q=8。
・a3−4:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(日本エマルジョン株式会社製、「EMALEX 710」)。上記一般式(3)中、R=炭素数12の直鎖状のアルキル基、R=エチレン基、q=10。
なお、a3−1、a3−2及びa3−3はガーベットアルコール型ノニオン界面活性剤であり、a3−4は直鎖型ノニオン界面活性剤である。
【0064】
(B)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・B−1: ダイクロサン(BASF社製、商品名「Tinosan HP100」)。
【0065】
任意成分として、以下に示す化合物を用いた。
<無機ビルダー>
・酸化亜鉛:(三井金属鉱業株式会社製)。
<防腐剤>
・BIT:1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(アーチケミカルズ社製、商品名「PROXEL XL2」)。
・MIT:2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(ローム・アンド・ハース社製、商品名「ネオロン M−10」)。
<色素>
・緑3号:(癸巳化成株式会社製)。
<ハイドロトロープ剤>
・エタノール:エタノール95%、1級(関東化学株式会社製)。
・pTS−H:パラトルエンスルホン酸一水和物、鹿1級(関東化学株式会社製)。
<pH調整剤>
・pH調整剤:水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製)。
<香料>
・香料A:表1〜6に示す香料組成物A。
・香料B:表1〜6に示す香料組成物B。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
【0072】
「実施例1〜30、比較例1〜6」
<食器用洗浄剤の調製>
表7〜10に示す配合組成の食器用洗浄剤1000gを以下の手順にて調製した。
1Lビーカーに(A)成分と、(B)成分と、エタノールとを入れ、マグネチックスターラー(Fine社製、商品名「F−606N」)で充分に撹拌した。続いて、残りの任意成分(pH調整剤を除く)を加え、混合した。混合終了後、25℃でのpHが7.8となるように、必要に応じpH調整剤を適量添加した後、全体量が100質量%になるように水(蒸留水)を加え、さらによく撹拌し、食器用洗浄剤を得た。
食器用洗浄剤のpH(25℃)は、食器用洗浄剤を25℃に調温し、ガラス電極式pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、商品名「HM−30G」)を用い、ガラス電極を食器用洗浄剤に直接に浸漬し、1分間経過後に示すpHを測定した。測定方法は、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠して行った。
得られた各例の食器用洗浄剤について、以下のようにして、スポンジへの汚れの残りにくさ及びスポンジの消臭効果を評価した。結果を表7〜10に示す。
【0073】
<スポンジへの汚れの残りにくさについての評価>
スダンIV(関東化学株式会社製)濃度が1質量%となるように着色した牛脂(和光純薬株式会社製)1gを、縦10cm×横15cm×高さ5cmのプラスチック製の容器(岩崎工業株式会社製、商品名「ネオキーパー」)の内側の全面に均一になるように塗布し、汚垢モデルとした。縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cmの食器洗い用スポンジ(住友スリーエム株式会社製、商品名「スコッチブライト」)に、水道水38gと各例の食器用洗浄剤2gとをとり、10回手で揉んだ後、上記の汚垢モデルについて、汚垢モデルの底面を10回、側面を1回、四隅を5回擦った後、スポンジを水道水で充分にすすいだ。すすぎ後のスポンジを目視にて観察し、以下の評価基準にてスポンジの汚れ残りを評価した。◎及び○を合格とする。
◎:スポンジに着色された牛脂の汚れ残りが目視で認められない。
○:スポンジに着色された牛脂の汚れ残りが目視でほとんど認められない。
△:スポンジに着色された牛脂の汚れ残りが目視で認められる。
×:スポンジに着色された牛脂の汚れ残りが目視でかなり認められる。
【0074】
<スポンジの消臭効果についての評価>
フライパンにいわし油50gを入れ、たまねぎ1玉とひき肉100gを炒めた後、陶器製の皿5枚にそれぞれ5gずつ塗り拡げ、汚垢モデルとした。縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cmの食器洗い用スポンジ(住友スリーエム株式会社製、商品名「スコッチブライト」)に、水道水38gと各例の食器用洗浄剤2gとをとり、10回手で揉んだ後、各汚垢モデルを10回転擦り洗いした後、スポンジを水道水で充分にすすいだ。すすぎ後のスポンジを直径2.4cm、高さ3cmの円柱状に加工し、容量110mLのねじ口瓶に入れた。ねじ口瓶内のスポンジに各例の食器用洗浄剤0.5gを摂取させ、ガラス棒で均一に揉み込んだ。ねじ口瓶を密閉し35±1℃で48時間放置した。24時間経過後及び48時間経過のスポンジの悪臭を以下の評価基準にて評価した。◎◎、◎及び○を合格とする。
◎◎:悪臭を全く感じない。
◎:悪臭を感じない。
○:悪臭をほとんど感じない。
△:悪臭をやや感じる。
×:悪臭を感じる。
【0075】
【表7】
【0076】
【表8】
【0077】
【表9】
【0078】
【表10】
【0079】
表7〜10中、「バランス」とは、食器用洗浄剤全体で100質量%とするのに必要な水(蒸留水)の配合量(質量%)である。
また、「a2/a1比」は、(a2)成分/(a1)成分で表される質量比である。「A/B比」は、(A)成分/(B)成分で表される質量比である。「a3/(a1+a2)比」は、(a3)成分/((a1)成分+(a2)成分)で表される質量比である。
【0080】
表7〜9から明らかなように、各実施例の食器用洗浄剤は、食器等の洗浄に使用した後のスポンジに汚れが残りにくかった。また、悪臭の発生を抑制できた。
一方、表10から明らかなように、A/B比が250超である比較例1、2の食器用洗浄剤、及びA/B比が5未満である比較例3の食器用洗浄剤を用いた場合、スポンジから悪臭が発生しやすかった。
(a1)成分を含まない比較例4の食器用洗浄剤、及び(a2)成分を含まない比較例5の食器用洗浄剤を用いた場合、スポンジに汚れが残りやすかった。また、スポンジから悪臭が発生しやすかった。
(B)成分を含まない比較例6の食器用洗浄剤を用いた場合、スポンジから悪臭が発生しやすかった。