【文献】
IBMの新電力ビジネス戦略!規制緩和後の新しい展開と課題 ≪前編≫ ─ スマーター・シティーへの取り組みと4つの業界モデル ─,[online],2014年 3月 1日,[令和2年11月11日検索], インターネット<URL:https://sgforum.impress.co.jp/article/304?page=0%2C3>
【文献】
吉村 隆,大阪ビジネスパークにおけるEV/PHVを活用した電力供給システムに関する技術実証,[online],2015年,pp.17−23,[令和2年11月11日検索], インターネット<URL:https://www.meidensha.co.jp/rd/rd_01/rd_01_02/rd_01_02_17/rd_01_02_17_01/__icsFiles/afieldfile/2015/07/17/No348_06_web_150709.pdf>
【文献】
矢野真也,スマートコミュニティ実証プロジェクト−けいはんな・マラガでの電気自動車マネジメントの取組み−,「世界のウェブアーカイブ|国立国会図書館インターネット資料収集保存事業」, [online],2016年 9月13日,Vol.50 No.4,pp.5−14,[令和2年11月11日検索], インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20160913180426/https://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/504/504005.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
以下、本発明の一実施形態によるサービス管理システムについて
図1〜
図10を参照して説明する。
図1は、本発明に係る一実施形態におけるサービス管理システムの一例を示す概要図である。
サービス管理システム100は、「EV(Electric Vehicle:電気自動車)利用サービス」の提供に用いられるシステムである。本実施形態に係る「EV利用サービス」は、EVを利用するユーザを対象に、ユーザの充電行動に対してインセンティブを与え(ポイントを付与)、EVの利用促進を図る。「EV利用サービス」を提供する事業者(以下、事業者S)は、なるべく多くのユーザを確保することで安価に電力を調達し、購入した電力価格に応じて、例えば、電力価格が低価格のときには大きなポイントを付与する等してインセンティブに変化を与え、ユーザに充電行動を促したり、抑制したりして、電力需要をコントロールする。なお、
図1にはEVが1台のみ記載されているが本実施形態では、多数のEV1群の充電行動を制御する。
【0017】
図1に示すようにサービス管理システム100は、サービス管理サーバ10と、EV管理サーバ20と、充電スタンド管理サーバ30A,30Bと、EVユーザの情報端末40と、電力供給管理サーバ50と、ESS(Energy Storage System)管理サーバ60と、決済サーバ70と、EV(電気自動車)1と、充電スタンド3A,3Bと、ESS2,4と、充電装置5と、を含む。なお、以下において、ユーザは、「EV利用サービス」の契約ユーザ、EV1は契約ユーザが使用する電気自動車である。
【0018】
サービス管理サーバ10は、ユーザに付与するポイントの管理等を行う。サービス管理サーバ10の機能については、次に
図2を用いて説明する。
EV管理サーバ20は、本サービスを利用するユーザが利用するEV1に搭載された車載器と通信を行い、EV1の走行距離、走行位置等の情報を取得し、記憶する。サービス管理サーバ10とEV管理サーバ20とは、通信可能に接続されており、サービス管理サーバ10は、EV1の走行距離等の情報を取得する。
【0019】
充電スタンド管理サーバ30Aは、事業者Sが管理・運営するESS2および充電スタンド3Aと接続されており、ESS2の充電状態や、EV1が充電スタンド3Aを使用してEV1が備えるEV1用電池を充電した際に充電した電力量等を示す充電履歴を記憶し、管理する。なお、事業者Sが運営する充電スタンド3Aは蓄電池ESS2を備えていることが望ましい。充電スタンドに蓄電池を併設することで、電力ピークを契約電力量内に収めることができ、電気料金の削減につながる。また、EV1への充電が無く充電量に余裕がある時間帯などには、電力市場での電力取引、アンシラリ取引を行うことで、事業者Sは、収益を上げることができる。また、事業者Sは、購入する電力と消費する電力の同時同量を達成する必要があるが、例えば、想定外の充電行動に対して、ESS2で対応することでインバランス料金発生を回避することができる。なお、充電スタンド3Aは、「EV利用サービス」のユーザ以外が利用してもよい。
【0020】
充電スタンド管理サーバ30Bは、事業者S以外の充電スタンドのサービスを提供する企業等が管理・運営する充電スタンド3Bと接続されており、EV1が充電スタンド3Bを使用してEV1用電池を充電した際に充電した電力量等を記録した充電履歴を記憶し、管理する。
サービス管理サーバ10と充電スタンド管理サーバ30A、サービス管理サーバ10と充電スタンド管理サーバ30Bとは、通信可能に接続されており、サービス管理サーバ10は、充電スタンド管理サーバ30Aおよび充電スタンド管理サーバ30Bから、それぞれのサーバが記憶する充電履歴を取得する。
【0021】
情報端末40は、EV1のユーザが利用する携帯端末である。情報端末40は、EV1が充電スタンド3A,3Bを利用して充電した際に充電状態に関する情報を、EV1のBMS(Battery Management System)と無線通信を行って取得する。また、情報端末40は、EV1がユーザの家に設置された充電装置5を使用して充電した際にEV1用電池の充電状態に関する情報を、充電装置5と無線通信を行って取得する。また、情報端末40は、サービス管理サーバ10と通信可能に接続されており、例えば、取得した充電状態に関する情報をサービス管理サーバ10へ送信する。また、情報端末40は、サービス管理サーバ10と通信可能に接続されており、現在までにユーザに付与されたポイントや、今充電するとどの程度のポイントが付与されるか等の情報をサービス管理サーバ10から取得し、ユーザに提供する。
【0022】
電力供給管理サーバ50は、サービス管理サーバ10、充電スタンド管理サーバ30B、ESS管理サーバ60と接続されている。電力供給管理サーバ50は、時間帯毎(例えば1時間ごと)の電力価格、電力供給予定量等の情報を各サーバに提供する。また、電力供給管理サーバ50は、サービス管理サーバ10等の各サーバから電力需要に関する情報を取得する。なお、電力価格には、一般的な電力の売買を目的とする市場での電力の価格(以下、エネルギー価格)と、電力の安定化を目的としたアンシラリ市場での電力の価格(以下、アンシラリ価格)が含まれていている。また、電力価格には、EV1用電池に充電する場合に、夜間に充電するとより安価に充電することができるといった1日の内の時間帯に応じた電力の提供価格を規定したネガワット価格が含まれていてもよい。
【0023】
ESS管理サーバ60は、事業者Sが管理・運営を行うESS4の充電状態を管理する。例えば、ESS管理サーバ60は、ESS4の蓄電量が閾値を下回ると、ESS4へ蓄電するよう制御する。また、例えば、ESS管理サーバ60は、サービス管理サーバ10と通信可能に接続されており、電力供給が電力需要を下回る場合、ESS4が蓄積した電力を「EV利用サービス」で利用できるように制御する。例えば、ESS管理サーバ60は、ESS4が蓄積した電力を事業者Sが管理する充電スタンド3Aへ供給する。また、ESS管理サーバ60は、例えば、「EV利用サービス」内で電力の需要が少ない状況などでは、V2G(Vehicle to Grid)サービスを利用して、ESS4が蓄積した電力の販売・供給を行う。また、事業者Sは、同時同量の達成の為、ESS4を活用しインバランス料金発生を回避することができる。
【0024】
決済サーバ70は、サービス管理サーバ10、情報端末40等と通信可能に接続されていて、事業者Sが電力の売買を行った際の決済処理や、ユーザがEV1用の電力を購入した際の決済処理を行う。なお、後述するように「EV利用サービス」では、所定の電力量(EV1の充電用の電力)を前払い方式でユーザに提供し、ユーザは、前払いした料金に相当する電力量を、充電することができる仕組みが取られている。
【0025】
図2は、本発明に係る一実施形態におけるサービス管理サーバの一例を示す機能ブロック図である。
図示するようにサービス管理サーバ10は、データ取得部101と、電力需要予測部102と、電力価格予測部103と、調達計画部104と、サービス料金決定部105と、ポイント決定部106と、ポイント情報案内部107と、充電スタンド案内部108と、同時同量制御部109と、電力料金計算部110と、ユーザ登録部111と、ユーザ利用電力管理部112と、V2Gサービス管理部113と、EV・電池価値査定部114と、通信部120と、記憶部121と、を備える。
データ取得部101は、「EV利用サービス」の提供に必要な種々の情報を取得する。 電力需要予測部102は、ユーザ数(EV1の数)、EV1の走行距離分布などの情報に基づいて、一定期間におけるEV1の走行に必要な電力需要量を予測する。
電力価格予測部103は、データ取得部101が取得した情報に基づいて、将来における電力価格の推移を予測する。電力価格予測部103は、例えば、長期(例えば3〜6年)の電力価格の推移を予測する。あるいは、電力価格予測部103は、短期間(例えば1日ごと、1時間ごと等)の電力価格を予測する。
調達計画部104は、電力の調達計画を立案する。
サービス料金決定部105は、「EV利用サービス」のサービス料金を決定する。サービス料金決定部105は、一定期間(例えば3〜6年)におけるEV1の走行用(充電用)電気料金に基づいてサービス料金を決定する。
ポイント決定部106は、ユーザに付与するポイントを決定する。後述するように「EV利用サービス」では充電時にポイントを付与するが、充電時に付与するポイントは、電力価格や充電スタンド3Aの混雑度に応じて決定される。また、事業者Sは「EV利用サービス」の一環としてEV1用電池を対象とするV2Gサービスの仲介を行うが、V2G市場における取引ごとにユーザにポイントを付与する。その場合、ポイント決定部106は、取引額や取引量に応じて付与するポイントを決定する。また、事業者Sは「EV利用サービス」の一環としてユーザが使用した中古のEV1用電池やEV1を中古市場で売買するサービスの仲介を行うが、その場合、ポイント決定部106は、当該中古品の現在又は将来における予想価格に応じて付与するポイントを決定する。
【0026】
ポイント情報案内部107は、現在又は近い将来付与されるポイントの大きさをユーザに提供する。これにより、ユーザの充電行動を制御することができる。
充電スタンド案内部108は、事業者Sが運営・管理する充電スタンド3Aについて、混雑状況を示す情報を生成し、ユーザに提供する。これにより、ユーザを比較的空いている充電スタンド3Aに誘導することができる。
同時同量制御部109は、電力自由化にともなう計画時同時同量制度への対応として、ESS2、ESS4を対象に電力の同時同量制御を行う。
電力料金計算部110は、実際にEV1の充電で使用した電力に相当する電力料金(電力会社に支払う電力料金)を計算する。
【0027】
ユーザ登録部111は、「EV利用サービス」に新規に契約したユーザの情報を登録する。ユーザ登録部111は、例えば、ユーザの氏名、住所、連絡先、使用するEVの識別情報(EV管理サーバ20に登録されている)、契約日、サービス料金に相当する使用可能な充電用電力量等の情報を記憶部121に登録する。
ユーザ利用電力管理部112は、充電スタンド管理サーバ30A,30B、電力供給管理サーバ50がEV1の充電の際に取得した充電履歴に基づいて、EV1へ充電された電力量の合計を算出し、ユーザが充電できる電力量を管理する。充電された電力量の合計が、契約によって生じる使用可能電力量に近づいた場合、ユーザ利用電力管理部112は、契約の更新を促すメッセージをユーザの情報端末40に通知してもよい。
V2Gサービス管理部113は、ユーザがV2Gサービスを利用するうえで役立つ情報(サポート情報)を提供する。例えば、V2Gサービス管理部113は、ユーザの利用するEV1用電池の劣化状態に基づいて、そのEV1がV2Gサービスの利用に適しているかどうかを判断したり、現在の取引価格や近い将来の予想価格をユーザに提供したりする。
EV・電池価値査定部114は、EV1やEV1用電池の価値を査定する。例えば、EV・電池価値査定部114は、EV1の利用期間や走行距離に応じてEV1の中古市場での価格を査定する。また、例えば、EV・電池価値査定部114は、EV1用電池の劣化状態(劣化状態は、充電回数、使用年数、放電深度、保存時のSOCなどに基づいて推定)に応じてEV1用電池の中古市場での価格を査定する。
通信部120は、他の装置(EV管理サーバ20、充電スタンド管理サーバ30Aなど)との通信を行う。
記憶部121は、ユーザ情報、長期電力需要や長期電力価格の予測に用いる情報等のEV利用サービス」の提供に必要な種々の情報を記憶する。
【0028】
以下、
図3〜
図7を用いて、「EV利用サービス」の提供に係るサービス管理システム100の各処理について説明する。
図3〜
図7に示すように「EV利用サービス」には、電力の取引を行う市場および発電事業者、事業者S、ユーザが主な主体として参加する。この他にも充電スタンド3Bの管理を行う企業等や、EV1、EV1用電池のメーカ等が関わるが説明を省略する。
図3は、本発明に係る一実施形態におけるサービス料金決定処理の一例を示す図である。サービス料金とは、「EV利用サービス」の契約時にユーザが支払う契約料金である。サービス管理サーバ10は、長期の電力需要予測、長期の電力価格予測等に基づいてサービス料金を決定する。ユーザは、サービス料金に相当する電力量を充電することができ、その間は追加料金なしで自由にEV1を走行させることができる。また、事業者Sは、サービス料金を前払い制とすることで、確度の高い需要予測を行うことができ、なるべく多くのユーザを獲得することで、安価に電力を確保することができる。
【0029】
(サービス料金決定処理)
まず、データ取得部101が、長期電力需要予測、長期電源計画、長期燃料価格予測の各情報を取得する。例えば、長期電力需要予測や長期燃料価格予測は、公的な期間が公表した情報、長期電源計画については、電力会社が央評している情報を用いることができる。次に電力価格予測部103が、これらの情報に基づいて、長期の電力料金を予測する(ステップS10)。長期の電力料金の予測には、例えば、公知の予測アルゴリズムを用いることができる。
【0030】
また、データ取得部101が、予想ユーザ数、EVの走行距離分布の情報を取得する。次に電力需要予測部102が、これらの情報に基づいて、契約需要量を予測する(ステップS11)。例えば、電力需要予測部102は、予想ユーザ数をEVの走行距離分布に基づいて走行距離ごとに振り分け、振り分けられたユーザ数と振り分け先の走行距離を乗じた値を合計し、全予想ユーザ分の走行距離の合計を算出する。電力需要予測部102は、予測した走行距離の合計に基づいて、その距離を走行するのに必要な電力量を算出し、その値を長期の電力需要量とする。
【0031】
また、データ取得部101は、PPA(Power Purchase Agreement)契約、先物取引やオプション取引によりヘッジ可能な電力量、保険契約が可能な電力量等の情報を取得する。調達計画部104は、これらの情報に基づいて、調達可能な電力量、価格を算出する(ステップS12)。例えば、調達計画部104は、確度の高い需要電力量の全てをPPA契約によって賄う場合の契約金額を算出する。
【0032】
また、データ取得部101は、「EV利用サービス」事業に参加する電池メーカやタイヤメーカによる出資金や参加費、広告料の予測金額(例えば、事業者Sが運営する充電スタンド3Aに出す広告)の情報を取得する。
【0033】
次にサービス料金決定部105が、長期の電力料金予測、長期の電力需要量予測、調達可能な電力量とその料金、参加費や広告料などの副収入、その他の運用に必要な費用等に基づいて将来の収益予測を行い(ステップS13)、事業の継続が可能なサービス料金の計算を行う(ステップS14)。上記のとおり本実施形態のサービス料金は、ユーザから前払い制で徴収する料金である。サービス料金の徴収方法には、例えば、EV1の販売価格やEV1のリース料金にサービス料金を含ませる方法が考えられる。また、ユーザの利便性を考慮してサービス料金には保険、車検費用を含めてもよい。なお、本実施形態のサービス料金とは、例えば、長期の電力料金予測に基づく、長期間(3〜6年)の電力料金を固定とした場合の設定料金である。
【0034】
また、実際にサービス料金決定部105が決定したサービス料金で運用を開始すると、データ取得部101が、短期間の電力需要予測、電源計画、燃料価格予測の各情報を取得する。また、データ取得部101が、サービス提供期間における実際の電力料金、実際の電力調達量の情報を取得する。電力価格予測部103が、これらの情報に基づいて、実績に基づく電力料金予測を行う(ステップS15)。
【0035】
また、サービスの提供を開始すると、契約したユーザごとのEV1の走行距離や充電パターンの情報が取得できる。例えば、データ取得部101は、EV管理サーバ20からEV1の車載器から受信した走行距離の情報を取得し、充電スタンド管理サーバ30A,30BからEV1の充電履歴を取得する。なお、ユーザは、走行距離、充電履歴の情報を事業者Sに提供することに同意して「EV利用サービス」を利用している。電力需要予測部102は、ユーザ登録部111が登録したユーザ数に基づく実績ユーザ数、実際の走行距離に基づく実績ユーザ走行距離分布に基づいて実績に基づく需要予測を行う。そして、サービス料金決定部105は、ステップS15で算出された電力料金予測と、電力需要予測部102による需要予測に基づいて、実績収益予測を行う(ステップS16)。
また、サービス料金決定部105は、ステップS16での実績収益予測に基づいて、例えば1年ごとにサービス料金の見直しを行う。サービス料金の見直し後に新たに契約したユーザには、見直し後のサービス料金が適用され、このユーザは、例えば3〜6年の間、契約したサービス料金に相当する電力量の範囲内で自由に充電を行うことができる。次に電力調達について説明する。
【0036】
(電力調達の概要)
図4は、本発明に係る一実施形態における長期電力調達処理の一例を示す図である。
まず、
図3で説明したステップS14の処理により、サービス料金決定部105が、サービス料金を決定する。するとユーザが、決定したサービス料金を含む価格でEV1を購入し(又はリース契約)、「EV利用サービス」に加入する。すると、データ取得部101は、ユーザの契約に係る情報を取得し、ユーザ登録部111がその情報を登録する(ステップS161)。ユーザ登録が完了すると、サービス管理システム100によって、ユーザには「EV利用サービス」が提供される。サービス管理システム100は「EV利用サービス」に係る様々な処理を実行することで当該サービスの運用を行う。例えば、ユーザは、EV1に乗車して走行し、EV1用電池の充電量に応じて、充電スタンド3A,3Bで充電を行う。この間、サービス管理サーバ10では、ユーザ利用電力管理部112がユーザごとに充電量の管理を行い、ポイント決定部106が、ユーザが充電する度に、所定の方法で決定されたポイントをユーザに付与する。また、サービス管理サーバ10は、データ取得部101を介して、ユーザごとに走行距離、充電履歴の情報を取得する。電力需要予測部102は、ユーザごとに走行距離、充電履歴に基づいて電力の需要予測を行う(ステップS17)。
【0037】
次に調達計画部104が、長期の電力需要、電源計画、燃料価格等に基づいて、調達計画を立案する(ステップS18)。例えば、ユーザの走行距離や充電履歴に基づいて、確度の高い電力需要の最大値を決定し、当該確度の高い需要については、例えばPPA契約によって安価に調達し、残りの確度が低い電力需要については、日々、市場から調達するような計画情報を立案する。
事業者Sは、調達計画部104が立案した調達計画に基づいてPPA契約、先物取引、オプション取引など活用した長期にわたる電力調達契約を電力会社等と締結する。なお、高確度の需要に対する比較的安価な電力の調達先として、熱電併給発電設備(コジェネレーションシステム)を備えた工場等、減価償却済の発電設備を備えた発電所などがある。また、低確度の需要に対する電力の調達先としては、再生可能エネルギ発電設備などがある。
【0038】
以上、
図3、
図4を用いて説明したように本実施形態の料金前払い制の「EV利用サービス」によれば、高確度の長期的な電力需要を予測することができるので、電力供給側は、計画的に安定して発電することができ、社会的コストの削減につながる。また、事業者Sは、多くのユーザを獲得するほど、より多数のEV1による確実な電力需要量を増大させて、電力会社との長期的な契約により、より安価に電力を調達することができ、サービス料金を引き下げることができる。これにより、ユーザとって魅力的なサービスを展開し、EVの利用を促進し、環境問題の解決に貢献することができる。
【0039】
(EV利用サービスの全体像)
次に「EV利用サービス」運用中の処理について説明する。
図5は、本発明に係る一実施形態における運用時の処理の一例を示す図である。
まず、電力需要予測部102が、ユーザごとに走行距離、充電履歴に基づいて電力の需要予測を行う(ステップS17)。電力価格予測部103は、電力価格予測を行う(ステップS20)。このとき、電力価格予測部103は、エネルギ市場における電力価格とアンシラリ市場における電力価格の予測を行う。ステップS20における価格予測は
図3のステップS10が長期予測であったのに対し、例えば、1時間ごとの短期的な価格予測である。次にポイント決定部106が、例えば予測した電力価格に基づいてポイントを決定する(ステップS22)。例えば、電力価格の予測値を入力すると、電力価格が安価であればより大きなポイント、電力価格が高ければより小さなポイントを出力する関数等により、ユーザが充電するときに付与するポイントを決定する。なお、ポイント決定部106は、電力価格の他に、アンシラリサービスの取引額、充電スタンド3Aの空き状況、EV1の中古市場における価格に応じてユーザに付与するポイントの大きさを決定する。これらについては後述する(
図6)。また、ポイント情報案内部107は、電力価格に基づくポイントの情報を情報端末40へ通知する。ユーザは、通知されたポイントの情報に基づいて、充電するかどうかを決定する。事業者Sは、電力価格予測に基づくポイント情報を案内することでユーザの充電行動を制御し、電力需要をコントロールする。
【0040】
また、調達計画部104は、短期の電力価格予測や電力需要予測に基づいて電力の調達計画を立案する(ステップS23)。調達計画部104は、立案した計画情報を電力の調達先に通知し、電力の供給を依頼する。電力の調達先は、計画に基づいて発電を行う。また、例えば、調達計画部104は、長期の電力調達計画に基づく調達量では足りない場合に、現在の市場価格の中から最も安価な電力を選択し、その電力の購入を計画する。事業者Sは、調達計画部104が立案した調達計画に基づいて、電力の調達先から電力を調達する。次に同時同量制御部109は、立案した計画どおりに電力が供給されたかどうかを監視する(ステップS24)。具体的には、同時同量制御部109は、同時同量の観点から、例えば再生可能エネルギの変動分をESS4によって安定化するかどうかを決定する。同時同量とは、一定期間において発電する電力量と消費する電力量の差を所定の範囲内に収めることをいう。同時同量が守られない場合は、ペナルティとしてインバランス料金が課せられることになっている。例えば再生可能エネルギの供給量が計画された電力量から所定の許容範囲を超えて低下した場合、インバランス料金が課せられる対象となる可能性がある。このような場合、同時同量制御部109は、通信部120を介してESS管理サーバ60へ低下分の電力量をESS4から出力するように指示する(ステップS25)。ESS管理サーバ60は、ESS4から指示された電力を出力するよう制御する。
【0041】
また、充電スタンド3Aは、EV1に電力を供給する(ステップS26)。このとき、同時同量制御部109は、所定時間(例えば1時間)における充電スタンド3Aによる電力供給量(充電量)が、同時同量の観点から計画された出力と乖離しているかどうかを監視する。例えば、出力が計画値よりも所定以上低下している場合、同時同量制御部109は、通信部120を介して充電スタンド管理サーバ30Aへ乖離分の電力量を、充電スタンド3AからESS2へ供給するように指示する(ステップS27)。充電スタンド管理サーバ30Aは、充電スタンド3AからESS2へ指示された電力を出力し、同時同量計画が遂行されるよう電力を出力する。また、例えば、想定外の充電行動により、出力が計画値よりも超過する場合、同時同量制御部109は、通信部120を介して充電スタンド管理サーバ30Aへ乖離分の電力量を、ESS2から充電スタンド3Aへ供給するように指示する。充電スタンド管理サーバ30Aは、ESS2から充電スタンド3Aへ指示された電力を供給し超過分を補う。このようにESS2、ESS4は、急速充電スタンド出力低下時への対応、インバランス回避、再生可能エネルギの出力変動への対応、アンシラリ取引による収益増大に貢献する。
【0042】
また、EV1が充電スタンド3A,3Bまたは充電装置5から充電した場合、ユーザ利用電力管理部112は、充電量の情報を充電スタンド管理サーバ30A、30B又は電力供給管理サーバ50から通信部120を介して取得し、ユーザと対応付けて記憶部121に記録されている使用可能充電量から減算する。減算の結果、使用可能充電量が0に至れば、そのユーザは充電ができないことになり、契約を更新し追加のサービス料金を支払わなければならない。また、充電の際、ユーザ利用電力管理部112は、EV1が公共の充電スタンド3A,3Bを用いて充電したか、家庭用の充電装置5を用いて充電したかを把握する(ステップS28)。
【0043】
次にポイント決定部106は、ユーザの充電行動に対してポイントを付与する処理を行う(ステップS29)。例えば、ポイント決定部106は、ステップS22で決定したポイントを、充電を行ったユーザと対応付けて記憶部121に記録する。あるいは、ステップS22で決定したポイントが単位充電量に対するポイントである場合、ポイント決定部106は、決定したポイントと充電量とを乗算した値を付与するポイントとして、ユーザと対応付けて記憶部121に記録する。
次に電力料金計算部110が、実際に供給を受けた電力に対する電力料金を計算する。電力料金計算部110は、計算した電力料金の支払い処理を、決済サーバ70を介して行う(ステップS31)。
【0044】
次にV2Gサービスについて説明する。本実施形態のV2Gサービスは、ユーザのEV1用電池の電力を市場で売却するサービスである。V2Gサービスの市場にはデマンドレスポンス(DR)市場とアンシラリ(AS)市場とがある。ユーザは、任意にV2Gサービスを利用して、EV用電池の電力を提供してその対価を得ることができる。V2Gサービス管理部113は、まず、充電スタンド管理サーバ30A,30Bを介して得られるEV1の走行距離、充電履歴に基づいて、V2Gサービスに適したユーザ(EV1)を選定する(ステップS33)。V2Gサービスは、電池に負担をかけるためEV1用電池が消耗する。従って、例えば、充電回数が多いEV1用電池を搭載したEV1は、V2Gサービスに適しておらず、選定対象から除外される。V2Gサービスに適したユーザ(EV1)を選定すると、V2Gサービス管理部113は、アンシラリ市場等での現在の電力価格や価格予測等に基づいて、V2Gサービスに参加し電力が高く売却できるタイミングを診断する(ステップS34)。V2Gサービス管理部113は、通信部120を介して、ステップS33で選定したユーザの情報端末40へ、ユーザが収益を上げやすい最適な時間帯を通知する。ユーザは、通知されたタイミング情報に基づいて、V2Gサービスへ参加する。例えば、ユーザは、自宅の充電装置5とEV1とを接続する等してEV1用電池を電力会社に提供する。電力会社は、売却できた電力分の料金をユーザに支払う決済処理を行う。このとき仲介手数料として、一部が事業者Sへ支払われる。
【0045】
なお、V2Gサービス管理部113は、V2Gによる収益とEV1用電池の劣化とのバランスにおいて、ユーザ利益が最大となるような取引タイミング(時期、価格)を算出するアルゴリズムによって最適な時間帯を判定し、充電装置5とEV1とが接続されていることを条件として、自動的にV2G取引を行うようにしてもよい。
【0046】
また、V2Gによる電力の売却が成立した場合、ポイント決定部106は、供給した電力量又は取引金額に応じたポイントを算出し、V2Gサービスを利用したユーザに付与する。例えば、ポイント決定部106は、1kWhあたりの単位ポイントに取引量を乗じて付与するポイントを算出し、算出したポイントをユーザと対応付けて記憶部121に記録する。
【0047】
(ポイント決定処理)
次にポイントの決定処理についてさらに詳しく説明する。
図6は、本発明に係る一実施形態におけるポイント決定処理の一例を示す図である。
まず、電力需要予測部102が、ユーザごとに走行距離、充電履歴に基づいてEV1の走行に対する電力の需要予測を行う(ステップS17)。さらに、電力価格予測部103は、天候情報、気候情報に基づいて、需要予測を更新する(ステップS40)。例えば、気温が高い場合、車内冷房によって消費される電力量を加える等の処理を行う。また、電力価格予測部103は、天候や気候が再生可能エネルギの生産量に及ぼす影響を考慮して電力価格(上記したエネルギ価格、ネガワット価格、アンシラリ価格)を予測する(ステップS20)。例えば、天候の悪化により再生エネルギからの供給が見込めない場合、電力価格予測部103は、エネルギ価格予測として、化石燃料による電力価格を設定する。
あるいは、電力価格予測部103は、さらに曜日や月、季節等を考慮した電力価格を予測してもよい。
【0048】
また、ポイント決定部106は、ユーザに付与するポイントを決定する(ステップS22)。ポイント決定部106は、電力価格予測部103が予測した電力価格に応じて充電時に付与するポイントを決定する。具体的には、ポイント決定部106は、予測電力価格が高い場合には小さなポイントを設定し、予測電力価格が安い場合には大きなポイントを設定する(ステップS41a)。また、充電スタンド案内部108は、事業者Sが管理する充電スタンド3Aを対象に、充電スタンド管理サーバ30Aから充電スタンド3Aの利用状況を示す情報を受信し、各充電スタンド3Aの利用率(例えば、3台中1台が使用されていれば33%など)を算出し、これを混雑度とする。ポイント決定部106は、充電スタンド案内部108の算出した混雑度を入力として、混雑度が低い程大きなポイントを出力する関数等を用いてポイントを算出する(ステップS41b)。また、充電スタンド案内部108は、通信部120を介して、各充電スタンド3Aの混雑度をユーザの情報端末40に送信する。あるいは、充電スタンド案内部108は、混雑度の低い充電スタンド3Aを案内する情報を通知してもよい。以上の2つのポイント算出方法が、ユーザの充電行動に対するポイントの付与である。
【0049】
また、ユーザがV2Gサービスを利用してEV1用電池を電力会社に提供すると、V2Gサービス管理部113がそのときの取引量の情報を電力供給管理サーバ50から取得する(ステップS42)。ポイント決定部106は、アンシラリ市場へ供給された電力の取引量に応じて付与するポイントを決定する。具体的には、ポイント決定部106は、取引量を入力とし取引量が多いほど大きなポイントを出力する関数等によってポイントを算出する(ステップS41c)。あるいは、ポイント決定部106は、取引額(取引量×市場価格)に応じて、取引額が大きいほど大きなポイントを算出してもよい。
【0050】
なお、ポイント情報案内部107は、電力価格予測部103が予測したネガワット価格を情報端末40へ通知する。ユーザは、通知されたネガワット価格に基づいて、充電する時間帯を決定することができる。例えば、夜間のネガワット価格が昼間のネガワット価格に比べ、安価であるとすると、ユーザへネガワット価格を案内することにより、夜間に充電するように促し、これにより電力系統の安定を図ることができる。
また、電力価格予測部103が予測したアンシラリ価格に基づいて、V2Gサービス管理部113は、V2Gサービスの利用を薦めることができるユーザに市場価格の情報を通知する。
【0051】
また、ポイント決定部106は、ユーザがEV1やEV1用電池を中古市場に売却するときのこれらの市場価格に応じて、付与するポイントを決定する。具体的には、ポイント決定部106は、市場価格を入力とし市場価格が高いほど大きなポイントを出力する関数等によってポイントを算出する(
図7)。
図7は、本発明に係る一実施形態における電池等の再販処理の一例を示す図である。
EV・電池価値査定部114は、EV1の走行距離、充電履歴、あるいはEV1用電池の充電状態を示す情報に基づいてEV1やEV1用電池の価値を査定する(ステップS50)。EV1の走行距離は、EV管理サーバ20から取得する。EV1の充電履歴やEV1用電池の充電状態は、充電スタンド管理サーバ30Aから取得する。また、EV・電池価値査定部114は、EVや電池の市場価格の情報と査定した価値とに基づいて、電池の交換時期や価格を算出する(ステップS51)。EV・電池価値査定部114は、交換時期について、例えば、市場価格の推移に基づいて、高い価格が付く時期を交換時期と判定する。EV・電池価値査定部114は、通信部120を介して、ユーザが利用するEV1やEV1用電池の現在の価格や交換に適した時期かどうか等の情報を情報端末40へ通知する。ユーザがこの情報を参照して例えばEV1用電池を交換すると、事業者Sは、中古のEV1用電池を買い取る。このタイミングで、ポイント決定部106は、EV・電池価値査定部114が査定した価値に応じたポイントをユーザに付与する。なお、事業者Sが買い取った中古のEV1用電池は、市場へ売却したり、「EV利用サービス」のユーザへレンタルしたり、ESS4に用いたりする。なお、事業者Sは、ESS4で必要とされる電池の劣化状態を設定して、設定した劣化状態と同様の劣化状態にあるEV1用電池を高い価格で買い取るような運用を行ってもよい。
【0052】
これら充電時、V2Gサービス利用時、EV1用電池の売却時にユーザには上記の方法で決定されたポイントが付与されるが、ユーザはこのポイントを、EV1用電池の交換時やEV1の車体の交換時に利用することができる。つまり、ユーザは、新規の電池や車体をポイントに応じて安く購入することができる。
【0053】
次に本実施形態のサービス料金決定処理の流れおよびポイント決定処理の流れについて説明する。
図8は、本発明に係る一実施形態におけるサービス料金決定処理の一例を示すフローチャートである。
まず、電力価格予測部103が、長期電力需要予測、長期電源計画、長期燃料価格予測等に基づいて、長期の電力料金を予測する(ステップS101)。次に電力需要予測部102が、ユーザの予測人数と、複数の電気自動車の走行距離の分布や充電履歴の分布に基づいて、EV利用サービスの提供において必要となる一定の期間の電力需要量を予測する(ステップS102)。次に調達計画部104が、長期の電力料金予測、電力需要量予測、PPA契約による電力価格の実績値等に基づいて、一定期間(3〜6年)において調達可能な電力料金(電力卸売り価格)を算出する(ステップS103)。次にサービス料金決定部105が、一定期間の電力需要量および電力卸売り価格に基づいて、事業収入を予測し、事業の継続が可能なEV1台あたりのサービス料金を決定する(ステップS104)。
【0054】
本実施形態のサービス料金決定処理によれば、高確度の需要に対して、事業者Sは、安い電力を提示する発電事業者から安い電力を調達できる。また、発電事業者は事前に長期計画に基づいて、低価格な燃料を調達できる他、人員・消耗品の確保を事前に準備ができるため、安い電力を供給できる。また、ユーザは、安価な電力料金に基づいて設定されたサービス料金を支払うことによって、一定期間、費用を気にすることなくEV1を自由に利用(走行)することができる。
【0055】
図9は、本発明に係る一実施形態におけるポイント決定処理の一例を示すフローチャートである。
ポイント決定部106は、ポイントを決定するタイミングを迎えると(ステップS200)、ユーザに付与するポイントを決定する。例えば、市場で調達する電力料金(エネルギ価格)の予測を1時間ごとに行う場合(所定の時間αごと)、ポイント決定部106は、1時間ごとに充電時に付与するポイントを決定する。具体的には、1時間ごとに電力価格予測部103が、電力料金を予測し(ステップS201)、ポイント決定部106は、その予測額を取得する。次にポイント決定部106は、予測額に応じたポイント(予測額が安価なほど大きなポイント)を決定する(ステップS202)。次にEV1が充電を行うと、ポイント決定部106は、決定したポイント(あるいは決定したポイントに充電量を乗じた値でもよい)をユーザに付与する(ステップS203)。
【0056】
また、ポイント決定部106は、充電スタンド案内部108が充電スタンド3Aの混雑度を算出する度に、混雑度に応じた充電スタンド3Aごとのポイントを決定する。例えば、混雑度を30分ごとに算出する場合(所定の時間βごと)、ポイント決定部106は、30分ごとに充電時に付与する充電スタンド3Aごとのポイントを決定する。具体的には、30分ごとに充電スタンド案内部108が、充電スタンド3Aごとに混雑度を算出し(ステップS204)、ポイント決定部106は、充電スタンド3Aごとの混雑度を取得する。次にポイント決定部106は、混雑度に応じたポイント(混雑度が低いほど大きなポイント)を充電スタンド3Aごとに決定する(ステップS205)。次にEV1が充電スタンド3Aで充電を行うと、ポイント決定部106は、ステップS203で付与するポイントに加え、当該充電スタンド3Aについて決定されたポイントを、充電を行ったユーザに付与する(ステップS206)。
【0057】
また、ポイント決定部106は、ユーザがV2GサービスによってEV1用電池を系統に供給する度に、取引額に応じたポイントを決定する。例えば、V2GサービスでEV1用電池を系統につないで電力を供給した場合(供給時)、V2Gサービス管理部113は、V2Gサービスによる取引額を算出する(ステップS207)。ポイント決定部106は、その取引額を取得する。次にポイント決定部106は、取引額に応じたポイント(取引額が高いほど大きなポイント)を決定し、取引を行ったユーザに付与する(ステップS208)。
【0058】
また、ポイント決定部106は、ユーザがEV1やEV1用電池の査定を事業者Sに依頼すると(査定時)、EV1やEV1用電池の価値に応じたポイントを決定する。まず、ユーザが、情報端末40を操作して、EV1用電池等の査定を依頼する。サービス管理サーバ10は、その依頼情報を受信して、EV・電池価値査定部114がEV1用電池等の価値を査定する(ステップS209)。ポイント決定部106は、査定結果(査定額)を取得する。次にポイント決定部106は、査定額に応じたポイント(査定額が高いほど大きなポイント)を決定する(ステップS210)。次にユーザがEV1用電池等を売却すると、ポイント決定部106は、査定時に決定したポイントをユーザに付与する(ステップS211)。
【0059】
本実施形態のポイント決定処理によれば、ポイントが高い日時・場所(充電スタンド3A)におけるユーザの充電を促すことで、電力系統の安定化を図ることができる。また、事業者Sは、所定の使用可能電力量と引き換えに前払い制でサービス料金を徴収しているので、安価に電力を調達できるときにユーザに充電してもらうことで収益を増大することができる。一方、ユーザは、充電時にポイントを獲得することができ、そのポイントを利用することで、EV1用電池の交換の際に、より安価に新しいEV1用電池を購入することができる。
【0060】
(ハードウェア構成)
サービス管理サーバ10、EV管理サーバ20、充電スタンド管理サーバ30A,30B、情報端末40、電力供給管理サーバ50、ESS管理サーバ60、決済サーバ70は、例えば一般的なコンピュータ500を用いて実現することができる。
図10にコンピュータ500の構成の一例を示す。
図10は、本発明に係るサービス管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ500は、CPU(Central Processing Unit)501、RAM(Random Access Memory)502、ROM(Read Only Memory)503、ストレージ装置504、外部I/F(Interface)505、入力装置506、出力装置507、通信I/F508等を有する。これらの装置はバスBを介して相互に信号の送受信を行う。
【0061】
CPU501は、ROM503やストレージ装置504等に格納されたプログラムやデータをRAM502上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータ500の各機能を実現する演算装置である。例えば、上記の各機能部は、CPU501が、ROM503等が記憶するプログラムを読み込んで実行することにより、コンピュータ500に備わる機能である。RAM502は、CPU501のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。ROM503は、電源を切ってもプログラムやデータを保持する不揮発性のメモリである。ストレージ装置504は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等により実現され、OS(Operation System)、アプリケーションプログラム、及び各種データ等を記憶する。外部I/F505は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、例えば、記録媒体509等がある。コンピュータ500は、外部I/F505を介して、記録媒体509の読取り、書き込みを行うことができる。記録媒体509には、例えば、光学ディスク、磁気ディスク、メモリカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ等が含まれる。
【0062】
入力装置506は、例えば、マウス、及びキーボード等で構成され、操作者の指示を受けてコンピュータ500に各種操作等を入力する。出力装置507は、例えば、液晶ディスプレイにより実現され、CPU501による処理結果を表示する。通信I/F508は、有線通信又は無線通信により、コンピュータ500をインターネット等のネットワークに接続するインタフェースである。バスBは、上記各構成装置に接続され、構成装置間で各種信号等を送受信する。
【0063】
なお、上述したサービス管理サーバ10における各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをサービス管理サーバ10のコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0064】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
また、サービス管理サーバ10、EV管理サーバ20、充電スタンド管理サーバ30A,30B、情報端末40、電力供給管理サーバ50、ESS管理サーバ60、決済サーバ70は、1台のコンピュータで構成されていても良いし、通信可能に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。
【0065】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。ポイント決定部106はインセンティブ決定部の一例である。サービス管理サーバ10は、サービス管理装置の一例である。