特許第6846372号(P6846372)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846372
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】テールゲート装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/44 20060101AFI20210315BHJP
【FI】
   B60P1/44 Z
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-39351(P2018-39351)
(22)【出願日】2018年3月6日
(65)【公開番号】特開2019-151278(P2019-151278A)
(43)【公開日】2019年9月12日
【審査請求日】2020年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229900
【氏名又は名称】日本フルハーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 正雄
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第6991418(US,B1)
【文献】 特開平11−189089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/43 − 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱型荷台の後部に回動可能かつ昇降可能に設けられたテールゲートフロアと、前記テールゲートフロアと前記箱型荷台の荷台フロアとの隙間を塞ぐ渡り板と、前記渡り板を支持する支持部材とを備えており、
前記支持部材は、車両後端の壁面に設けられ、前記渡り板を回動可能に支持しており、
前記渡り板は、前記隙間を塞ぐ使用位置と当該使用位置から下方に退避した退避位置との間で回動し、
前記支持部材は、前記渡り板を前記使用位置と前記退避位置とでそれぞれ係止するロック機構を備え、
前記ロック機構は、車幅方向一端部に設けられた回動レバーと、車幅方向他端部に設けられたロックピンと、前記回動レバーと前記ロックピンを連動させる連動手段とを備えており、
前記連動手段は、前記回動レバーが係止位置に位置するときに前記ロックピンを係止位置に位置させ、前記回動レバーが非係止位置に位置するときに前記ロックピンを非係止位置に位置させる
ことを特徴とするテールゲート装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記渡り板を前記使用位置または前記退避位置に引き寄せる引張バネを備えている
ことを特徴とする請求項1に記載のテールゲート装置。
【請求項3】
前記退避位置における前記渡り板は、前記箱型荷台の後部扉をロックするロックロッドの下端部を係止するキーパーよりも下方に位置している
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のテールゲート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テールゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
箱型荷台の後部に回動可能かつ昇降可能に設けられたテールゲート装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。通常、テールゲートのテールゲートフロアは、回動および昇降させる構造上、荷台フロアとの間に隙間をあけて配置されているが、荷物の積み下ろしに支障がないように、前記隙間を塞ぐ渡り板を設ける場合がある。特許文献1には、荷台フロアの後端部に腑仰可能に設けられた渡り板が開示されている。かかる渡り板は、走行時には上向きに起立された状態となっており、荷台後端の扉を開けてテールゲートフロアを荷台の後方に配置したときには後方に倒され、渡り板の先端部がテールゲートフロアの前端部に係止される構造になっている(特許文献1の第4図参照)。特許文献1には、テールゲートフロアの前端に設けられた渡り板も開示されている。この渡り板は、丁番を介して折畳み可能になっており、テールゲートの回動および昇降時に車体と干渉しないように構成されている。
【0003】
さらに他の構成の渡り板としては、図12に示すように、車体101の荷台フレーム102の後端壁面に固定されたものがある。この渡り板110は、ボルト等の固定手段103によって荷台フレーム102に固定されており、渡り板110の表面が荷台フロア104と同じ高さに形成され荷台から後方に連続して張り出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭63−40346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された渡り板のうち、荷台フロアに設けられた渡り板は、荷台内に起立させる構造であるため、積荷スペースが小さくなってしまう問題があった。一方、テールゲートフロアに設けられた渡り板は、折畳み可能になっているので、構造が複雑であるとともに、剛性が小さくなる問題があった。さらに、図12の渡り板110は、表面が荷台フロア104と同じ高さで連続しているので、扉105の開閉時に、扉105の下端の止水部材106が渡り板110に擦れて摩耗する問題があった。さらに、車両の走行時に、渡り板110上の雨水が荷台フロア104に誘導されて荷台内に雨水が浸水するおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、積荷スペースを減少させることなく、渡り板の剛性の低下を防止しつつ、荷台への浸水を防止できるテールゲート装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明は、箱型荷台の後部に回動可能かつ昇降可能に設けられたテールゲートフロアと、前記テールゲートフロアと前記箱型荷台の荷台フロアとの隙間を塞ぐ渡り板と、前記渡り板を支持する支持部材とを備えており、前記支持部材は、車両後端の壁面に設けられ、前記渡り板を回動可能に支持しており、前記渡り板は、前記隙間を塞ぐ使用位置と当該使用位置から下方に退避した退避位置との間で回動し、前記支持部材は、前記渡り板を前記使用位置と前記退避位置とでそれぞれ係止するロック機構を備え、前記ロック機構は、車幅方向一端部に設けられた回動レバーと、車幅方向他端部に設けられたロックピンと、前記回動レバーと前記ロックピンを連動させる連動手段とを備えており、前記連動手段は、前記回動レバーが係止位置に位置するときに前記ロックピンを係止位置に位置させ、前記回動レバーが非係止位置に位置するときに前記ロックピンを非係止位置に位置させることを特徴とするテールゲート装置である。
【0008】
本発明によれば、渡り板を荷台の外部に設けているので積荷スペースが減少しない。また、渡り板を折り畳む必要がないので剛性の低下を防止することができる。さらに、扉の開閉時に渡り板を退避位置に回動させておけば、扉の下端の止水部材が擦れるのを防止できる。また、車両の走行時に渡り板を退避位置に回動させると、渡り板が荷台フロアよりも低い位置に退避するので、雨水が荷台フロアに誘導されるのを防止できる。さらに、渡り板を使用位置に係止すると、安定した状態で荷物の積み降ろしを行うことができる。また、渡り板を退避位置に係止すると、走行時に渡り板がガタつくのを防止できる。さらに、回動レバーを操作するだけで、ロックピンも連動させることができるので、車幅方向両端部で渡り板の位置をロックすることができる。
【0011】
また、本発明において、前記支持部材は、前記渡り板を前記使用位置または前記退避位置に引き寄せる引張バネを備えているものが好ましい。このような構成によれば、ロック機構による係止を行わなかった場合でも、渡り板が使用位置または退避位置に移動し、中間位置で止まることはない。
【0012】
さらに、本発明において、前記退避位置における前記渡り板は、前記箱型荷台の後部扉をロックするロックロッドの下端部を係止するキーパーよりも下方に位置しているものが好ましい。このような構成によれば、渡り板とロックロッドが干渉しないので、渡り板に切欠き等を設ける必要がない。
【発明の効果】
【0013】
本発明のテールゲート装置によれば、積荷スペースを減少させることなく、渡り板の剛性の低下を防止しつつ、荷台への浸水を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るテールゲート装置の要部を示した側面図である。
図2】本発明の実施形態に係るテールゲート装置の渡り板が退避位置にある状態を示した側面図である。
図3】本発明の実施形態に係るテールゲート装置の渡り板が使用位置にある状態を示した側面図である。
図4】本発明の実施形態に係るテールゲート装置の渡り板が使用位置にある状態を示した斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係るテールゲート装置の渡り板が退避位置にある状態を示した斜視図である。
図6】(a)は使用位置にある渡り板の左側端部を示した斜視図、(b)は中央部を示した斜視図、(c)は右側端部を示した斜視図である。
図7】(a)は退避位置にある渡り板の左側端部を示した斜視図、(b)は中央部を示した斜視図、(c)は右側端部を示した斜視図である。
図8】(a)は渡り板が使用位置にあり回動レバーが係止位置にある状態を示した後面図、(b)は回動レバーが非係止位置にある状態を示した後面図である。
図9】(a)は渡り板が使用位置にあり回動レバーが係止位置にある状態を示した斜視図、(b)は回動レバーが非係止位置にある状態を示した斜視図、(c)は渡り板が退避位置にあり回動レバーが非係止位置にある状態を示した斜視図、(d)は回動レバーが係止位置にある状態を示した斜視図である。
図10】(a)は渡り板が使用位置にありロックピンが係止位置にある状態を示した斜視図、(b)はロックピンが非係止位置にある状態を示した斜視図、(c)は渡り板が退避位置にありロックピンが非係止位置にある状態を示した斜視図、(d)はロックピンが係止位置にある状態を示した斜視図である。
図11】本発明の実施形態の変形例に係る渡り板を示した側面図である。
図12】従来の渡り板を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態では、テールゲートが起立式であって、走行時に箱型荷台の後部の扉の後方に起立する形態のものを例に挙げて説明する。
【0016】
図1乃至図3に示すように、本実施形態に係るテールゲート装置1は、テールゲートフロア10(図2および図3参照)と、渡り板20と、支持部材30とを備えている。
【0017】
テールゲートフロア10は、箱型荷台2の後部に回動可能かつ昇降可能に設けられている。テールゲートフロア10は、荷物の積み下ろし時に荷物を搬送する床面(荷受面部12)として利用される。テールゲートフロア10は、リンク機構を介して箱型荷台2の後部下側に回動可能かつ昇降可能に連結されている。リンク機構は、リンクアーム11と、油圧ジャッキ等のアクチュエータ(図示せず)とを備えており、アクチュエータ(図示せず)を伸縮させることで、リンクアーム11を回動させる。テールゲートフロア10は、起立位置(図2参照)、荷台水平位置(図3参照)、に配置可能である。さらに、テールゲートフロア10は、荷台フロア3の高さと地上高さとの間で水平な状態で昇降可能である。
【0018】
図2に示すように、テールゲートフロア10は、起立位置では、箱型荷台2の後部扉6の後方で、表面が垂直に立ち上がっている。また、図3に示すように、テールゲートフロア10は、荷台水平位置では、箱型荷台2の後方で、テールゲートフロア10の荷受面部12が水平となり、箱型荷台2の荷台フロア3と同じ高さになる。テールゲートフロア10の基端部は、箱型荷台2の後端部との間で隙間Sをあけた状態で配置されている。テールゲートフロア10の先端部は、集配所のプラットホーム等の上に配置される。
【0019】
図4および図5に示すように、渡り板20は、テールゲートフロア10と箱型荷台2の荷台フロア3との隙間S(図3参照)を塞ぐ。渡り板20は、車幅方向に延在する金属製の長尺部材(たとえば断面U字形状のアングル材)にて構成されている。渡り板20は、テールゲートフロア10の左右幅寸法と略同等の長さ寸法になっている。渡り板20は、隙間S(図3参照)を塞ぐ使用位置P1と、当該使用位置P1から下方に退避した退避位置P2(図2参照)との間で回動可能に設けられている。図3に示すように、渡り板20が使用位置P1にあるときは、アングル材は下向きに開口するU字形状となり、アングル材のウェブ21は、荷台フロア3と面一な荷受面となる。アングル材のフランジ22,22は、ウェブ21の前後幅方向両端部から垂下している。図2および図5に示すように、渡り板20が退避位置P2にあるときは、アングル材は上向きに開口するU字形状となる。退避位置P2における渡り板20は、後部扉6をロックするためのロックロッド7の下端部を係止するキーパー8よりも下方に位置している(キーパー8が渡り板20と干渉しない位置に配置されている)。キーパー8は、回動中の渡り板20にも干渉しない。
【0020】
図5および図6に示すように、支持部材30は、渡り板20を回動可能に支持していて、渡り板20を使用位置P1と退避位置P2との間で回動させる。支持部材30は、渡り板20を使用位置P1と退避位置P2とでそれぞれ係止するロック機構31を備えている。ロック機構31は、回動レバー32とロックピン33と連動手段34とを備えている。支持部材30は、第一支持部35と第二支持部36と中間支持部37とを備えている。
【0021】
図6の(a),図7の(a)および図8に示すように、第一支持部35は、渡り板20の左側端部を支持する部分であり、回動レバー32を備えている。また、第一支持部35は、第一固定ブラケット38と第一回動ブラケット39とを備えている。
【0022】
第一固定ブラケット38は、箱型荷台2の後部開口の下枠後面に取り付けられる部材であって、平面視コ字形状を呈している。第一固定ブラケット38は、背面板部38aと支持板部38bと係止板部38cとを備えている。背面板部38aは、箱型荷台2の後部開口の下枠後面の左端部に当接した状態でボルト止めされている。
【0023】
支持板部38bは、第一回動ブラケット39を回動可能に支持するための部位である。支持板部38bは、背面板部38aの右端縁部から後方に向かって張り出している。支持板部38bの後端部には、貫通孔(図示せず)が形成されている。当該貫通孔には、第一回動ブラケット39を回動可能に支持するためのボルトBが挿通されている。
【0024】
係止板部38cは、回動レバー32を係止するための部位である。係止板部38cは、背面板部38aの左端縁部から後方に向かって張り出している。係止板部38cの後端部は、上下二股状に分岐しており、左外側に向かって張り出している。上側張出部40aは、渡り板20が使用位置P1にあるときに、後記する回動レバー32のベース部の凹部に挿入される。下側張出部40bは、渡り板20が退避位置P2にあるときに、後記する回動レバー32のベース部44の凹部46に挿入される。
【0025】
第一回動ブラケット39は、渡り板20の左側端部が固定されるとともに、第一固定ブラケット38に回動可能に支持される部位である。なお、第一回動ブラケット39の構成は、渡り板20が使用位置P1にある場合の上下関係に基づいて説明する。図5の(a)および図9に示すように、第一回動ブラケット39は、後面視逆U字形状を呈しており、横板部39aと一対の縦板部39b,39cとを備えている。横板部39aは、渡り板20を固定するための部位であって、渡り板20のウェブ21の内側表面に当接した状態でボルト止めされている。
【0026】
右側の縦板部39bは、横板部39aの右端端部から下方に向かって延在している。縦板部39bの下端部には、貫通孔(図示せず)が形成されている。当該貫通孔には、第一回動ブラケット39を回動可能に支持するためのボルトBが挿通されている。第一回動ブラケット39は、ボルトBを回動中心として回動する。縦板部39bの上部には、貫通孔41が形成されている。貫通孔41には、後記する連動手段34が挿通されている。
【0027】
左側の縦板部39cは、横板部39aの左端端部から下方に向かって延在しており、右側の縦板部39bと平行になっている。縦板部39cの下端部には、回動レバー32を取り付けるための取付ブラケット42が取り付けられている。取付ブラケット42は、縦方向に広がる板材であって、縦板部39cから左外側に向かって張り出している。取付ブラケット42は、第一回動ブラケット39を回動可能に支持するためのボルトBの軸延長線上に配置されている。縦板部39cの上部には、貫通孔43が形成されている。貫通孔41には、後記する連動手段34が挿通されている。貫通孔43は、縦板部39bの貫通孔41と同軸状に形成されている。
【0028】
回動レバー32は、第一回動ブラケット39の第一固定ブラケット38への係止状態および非係止状態を切り替えるとともに、連動手段34を介してロックピン33を作動させるためのものである。回動レバー32は、第一支持部35の左側に設けられており、車体の左側から操作できるようになっている。回動レバー32は、ベース部44と把持部45とを備えている。ベース部44は、断面U字形状を呈している。ベース部44は、第一固定ブラケット38側へ開口する凹部46を備えている。ベース部44は上下方向に延在しており、ベース部44の上下方向一端部(使用位置P1にある場合の下端部)には、取付ブラケット42の先端部が挿入されている。ベース部44の一端部と取付ブラケット42とは、ボルトBを介して回動可能に取り付けられている。
【0029】
ベース部44の上下方向他端部(使用位置P1にある場合の上端部)には、把持部45が取り付けられている。把持部45は、回動レバー32を操作する際に作業員が把持する部分である。把持部45は、ベース部44の左側外側に取り付けられ、使用位置P1にある場合の上方に延在している。作業員は、把持部45を把持して回動レバー32を使用位置P1における係止位置P11または非係止位置P12、退避位置P2における係止位置P21または非係止位置P22に移動させる。
【0030】
図8の(a)および図9の(a)に示すように、係止位置P11は、回動レバー32が上向きで且つ垂直になっている位置である。係止位置P11では、係止板部38cの上側張出部40aが、ベース部44の凹部46に入り込んでいる(回動レバー32が係止されている)ため、渡り板20が回動できない状態になっている。図8の(b)および図9の(b)に示すように、非係止位置P12は、回動レバー32が上向きで且つ外側に傾斜している位置である。非係止位置P12では、ベース部44の凹部46が、係止板部38cの上側張出部40aから離れているため、回動レバー32の係止が解除される。すなわち、非係止位置P12では、渡り板20が回動できる状態になっている。
【0031】
図9の(c)に示すように、非係止位置P22は、回動レバー32が下向きで且つ外側に傾斜している位置である。非係止位置P22では、ベース部44の凹部46に、係止板部38cの下側張出部40bは挿入されておらず、回動レバー32の係止が解除された状態となる。図9の(d)に示すように、係止位置P21は、回動レバー32が下向きで且つ垂直になっている位置である。係止位置P21では、係止板部38cの下側張出部40bが、ベース部44の凹部46に入り込んでいる(回動レバー32が係止されている)ため、渡り板20が回動できない状態となる。
【0032】
図6の(c)、図7の(c)および図10に示すように、第二支持部36は、渡り板20の右側端部を支持する部分であり、ロックピン33を備えている。第二支持部36は、第二固定ブラケット48と第二回動ブラケット49とを備えている。
【0033】
第二固定ブラケット48は、箱型荷台2の後部開口の下枠後面に取り付けられる部材であって、平面視コ字形状を呈している。第二固定ブラケット48は、背面板部48aと支持板部48bと係止板部48cとを備えている。背面板部48aは、後部開口の下枠後面の右端部に当接した状態でボルト止めされている。
【0034】
支持板部48bは、第二回動ブラケット49を回動可能に支持するための部位である。支持板部48bは、背面板部48aの左端縁部から後方に向かって張り出している。支持板部48bの後端部には、貫通孔(図示せず)が形成されている。当該貫通孔には、第二回動ブラケット49を回動可能に支持するためのボルトBが挿通されている。
【0035】
係止板部48cは、ロックピン33を係止するための部位である。係止板部48cは、背面板部48aの右端縁部から後方に向かって張り出している。係止板部48cの後端部には、係止孔50が形成されている。係止孔50には、ロックピン33の先端部が挿通される。係止孔50は、上下二ヶ所に形成されている。渡り板20が使用位置P1にあるときには、上側の係止孔50にロックピン33が挿通され、渡り板20が退避位置P2にあるときには、下側の係止孔50にロックピン33が挿通される。
【0036】
第二回動ブラケット49は、渡り板20の右側端部が固定されるとともに、第二固定ブラケット48に回動可能に支持される部位である。なお、第二回動ブラケット49の構成は、渡り板20が使用位置P1にある場合の上下関係に基づいて説明する。図6の(c)および図10の(a)に示すように、第二回動ブラケット49は、後面視逆U字形状を呈しており、横板部49aと一対の縦板部49b,49cとを備えている。横板部49aは、渡り板20を固定するための部位であって、渡り板20のウェブ21の内側表面に当接した状態でボルト止めされている。
【0037】
左側の縦板部49bは、横板部49aの左端端部から下方に向かって延在している。縦板部49bの下端部には、貫通孔(図示せず)が形成されている。当該貫通孔には、第二回動ブラケット49を回動可能に支持するためのボルトBが挿通されている。第二回動ブラケット49は、ボルトBを回動中心として回動する。縦板部49bの上部には、貫通孔51が形成されている。貫通孔51には、ロックピン33の基端部が挿通されている。
【0038】
右側の縦板部49cは、横板部49aの右端端部から下方に向かって延在しており、左側の縦板部49bと平行になっている。縦板部49cの延在寸法は、縦板部49bの延在寸法の半分程度である。縦板部49cには、貫通孔53が形成されているロックピン33の先端部が挿通される。貫通孔53は、縦板部49bの貫通孔51と同軸状に形成されている。
【0039】
ロックピン33は、第二回動ブラケット49の第二固定ブラケット48への係止状態および非係止状態を切り替えるためのものである。ロックピン33は、縦板部49bの貫通孔51と、縦板部49cの貫通孔53に挿通されており、軸方向に移動可能となっている。ロックピン33には、バネ部材54が装着されている。バネ部材54の右側の先端部は、ロックピン33の胴部に係止され、バネ部材54の左側の基端部は、縦板部49bの内側表面に当接している。バネ部材54は圧縮状態でロックピン33に装着されており、ロックピン33を係止孔50に向かって付勢する。ロックピン33の先端部が係止孔50に挿入されると、第二回動ブラケット49が第二固定ブラケット48に対して係止された状態(係止状態)となる。また、ロックピン33の先端部が係止孔50から抜けると、第二回動ブラケット49が第二固定ブラケット48に対して係止されていない状態(非係止状態)となる。つまり、ロックピン33の先端部が係止孔50に挿入される位置が係止位置となり、ロックピン33の先端部が係止孔50に挿入されていない位置が非係止位置となる。
【0040】
図6および図7に示すように、ロックピン33と回動レバー32は、連動手段34を介して接続されている。連動手段34は、金属製のワイヤにて構成されている。ワイヤの右側端部は、ロックピン33の基端部に固定され、ワイヤの左側端部は、回動レバー32のベース部44の凹部46に挿入されてボルト止めされている。ワイヤの長さは、回動レバー32が係止位置P11(図9の(a)参照)にあるときは、ロックピン33の先端部が係止孔50に挿入された係止位置P11a(図10の(a)参照)に位置するように設定されている。そして、回動レバー32を左側に倒して非係止位置P12(図9の(b)参照)にすると、ロックピン33が連動して左側に引き寄せられ、ロックピン33の先端部が係止孔50から抜けた非係止位置P12a(図10の(b)参照)に位置する。
【0041】
さらに、回動レバー32を持って下側に回動させて、退避位置P2における非係止位置P22(図9の(c)参照)にすると、ロックピン33も渡り板20と共に下側に回動して退避位置P2における非係止位置P22a(図10の(c)参照)に位置する。最後に、回動レバー32を第一固定ブラケット38側に押して係止位置P21(図9の(d)参照)にすると、ロックピン33は、連動手段34による引張りが解除されてバネ部材54によって係止孔50側へ移動する。これによって、ロックピン33は、先端部が係止孔50に挿入された係止位置P21a(図10の(d)参照)に位置する。
【0042】
図6の(b)および図7の(b)に示すように、中間支持部37は、渡り板20の長手方向の中間部を支持する部分である。中間支持部37は、第一支持部35と第二支持部36との間で、所定の間隔をあけて複数配置されている(図4および図6参照)。中間支持部37の設置個数および設置位置は、扱う荷物の重量や隙間Sの幅寸法に応じて適宜設定されている。中間支持部37は、後部扉6のロックロッド7と干渉しない位置に設けられている。中間支持部37は、第三固定ブラケット58と第三回動ブラケット59とを備えている。
【0043】
第三固定ブラケット58は、箱型荷台2の後部開口の下枠後面に取り付けられる部材であって、平面視L字形状を呈している。第三固定ブラケット58は、背面板部58aと支持板部58bとを備えている。背面板部58aは、後部開口の下枠後面に当接した状態でボルト止めされている。
【0044】
支持板部58bは、第三回動ブラケット59を回動可能に支持するための部位である。支持板部58bは、背面板部58aの左右いずれか一端の縁部から後方に向かって張り出している。支持板部58bの後端部には、貫通孔(図示せず)が形成されている。当該貫通孔には、第一回動ブラケット39を回動可能に支持するためのボルトBが挿通されている。
【0045】
第三回動ブラケット59は、渡り板20の中間部が固定されるとともに、第三固定ブラケット58に回動可能に支持される部位である。なお、第三回動ブラケット59の構成は、渡り板20が使用位置P1にある場合の上下関係に基づいて説明する。図5の(b)に示すように、第三回動ブラケット59は、後面視逆L字形状を呈しており、横板部59aと縦板部59bとを備えている。横板部59aは、渡り板20を固定するための部位であって、渡り板20のウェブ21の内側表面に当接した状態でボルト止めされている。
【0046】
縦板部59bは、横板部59aの左右いずれか一端部(図5では右端端部)から下方に向かって延在している。縦板部59bの下端部には、貫通孔(図示せず)が形成されている。当該貫通孔には、第三回動ブラケット59を回動可能に支持するためのボルトBが挿通されている。第三回動ブラケット59は、ボルトBを回動中心として回動する。縦板部59bの上部には、貫通孔61が形成されている。貫通孔61には、連動手段34が挿通されている。
【0047】
第三固定ブラケット58の支持板部58bと、第三回動ブラケット59の縦板部59bとの間には、引張バネ62が架け渡されている。引張バネ62は、使用位置P1と退避位置P2において第三回動ブラケット59を第三固定ブラケット58側に引っ張ることで、渡り板20を使用位置P1または退避位置P2に引き寄せる役目を果たす。図1に示すように、引張バネ62の一端は支持板部58bの基端部に固定され、引張バネ62の他端は縦板部59bの回転中心と貫通孔61との間に固定されており、連動手段34であるワイヤと引張バネ62との干渉を防いでいる。また、引張バネ62は、第三回動ブラケット59を回動可能に支持するためのボルトBと干渉しないように車幅方向にオフセットして配置されている。
【0048】
引張バネ62は、第三回動ブラケット59の回動時には伸張しており、第三回動ブラケット59を使用位置P1または退避位置P2に向けて付勢する。渡り板20が使用位置P1にあるときは、渡り板20の一方のフランジ22の先端部が、第三固定ブラケット58の上端面に当接して、渡り板20のウェブ21が水平になるように位置ストッパの役目を果たしている。渡り板20が退避位置P2にあるときは、渡り板20の他方のフランジ22の先端部が、第三固定ブラケット58の下端面に当接して、位置ストッパの役目を果たしている。
【0049】
以上説明した構成のテールゲート装置1によれば、渡り板20を荷台フロア3の外部(箱型荷台2の後面)に設けているので積荷スペースが減少しない。また、渡り板20は、断面U字形状のアングル材からなり、渡り板20自身を折り畳む必要がないので剛性の低下を防止することができる。
【0050】
さらに、後部扉6の開閉時には、渡り板20を退避位置P2に回動させることで、扉の下端の止水部材が渡り板20と擦れるのを防止できる。したがって、止水部材の摩耗を抑制することができる。また、車両の走行時には、渡り板20を退避位置P2に回動させるので、ロックロッド7と渡り板20は干渉しない。したがって、渡り板20に切欠き等を設ける必要がないので、強度の低下を防止できる。また、渡り板20が荷台フロア3よりも低い位置に退避するので、雨水が渡り板20から荷台フロア3に誘導されるのを防止できる。
【0051】
また、本実施形態では、ロック機構31によって渡り板20を使用位置P1に係止することで安定した状態で荷物の積み降ろしを行うことができる。また、渡り板20を退避位置P2に係止することで走行時に渡り板20がガタつくのを防止できる。
【0052】
さらに、本実施形態では、ロック機構31は、回動レバー32とロックピン33とが連動手段34にて連動するので、回動レバー32を操作するだけで、ロックピン33の係止状態と非係止状態を切り替えることができる。特に、回動レバー32は、車体の左側に設けられているので、停車した際に歩道あるいは路側帯側から作業することができるので、作業性が高い。また、回動レバー32とロックピン33によって渡り板20の両端を固定することができるので、固定性能が高い。
【0053】
また、本実施形態では、支持部材30は、渡り板20を使用位置P1または退避位置P2に引き寄せる引張バネ62を備えているので、渡り板20が使用位置P1と退避位置P2との中間位置で止まることはない。したがって、渡り板20は、確実に使用位置P1または退避位置P2に移動するので、渡り板20の位置がずれない。したがって、ロック機構31による係止作業を行い易い。
【0054】
さらに、本実施形態では、退避位置P2における渡り板20は、ロックロッド7の下端部およびキーパー8よりも下方に位置しているので、渡り板20とロックロッド7およびキーパー8が干渉しないので、渡り板に切欠きを設ける必要がない。
【0055】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。たとえば、前記実施形態では、渡り板20は断面U字形状になっているが、これに限定されるものではない。たとえば、図11に示すように、箱型部分23の両端に張出部24,25を備えた形状の渡り板20aであってもよい。かかる渡り板20aは、押出形材などで構成されている。このような渡り板20aによれば、渡り板20a自体が高さを備えているので、荷台フロア3の後端部に段差部3aが形成されている場合であっても、渡り板20aの表面と荷台フロア3を面一にすることができる。さらに、張出部24によって、段差部3aを覆って、荷台フロア3と繋げることができる。
【0056】
また、前記実施形態では、連動手段34はワイヤにて構成しているが、これに限定されるものではない。たとえば、ロッドや油圧機構等の他の構成であってもよい。なお、ワイヤで構成すると、構成が簡単であるので好ましい。
【符号の説明】
【0057】
1 テールゲート装置
2 箱型荷台
3 荷台フロア
6 後部扉
7 ロックロッド
8 キーパー
10 テールゲートフロア
20 渡り板
30 支持部材
31 ロック機構
32 回動レバー
33 ロックピン
34 連動手段
P1 使用位置
P2 退避位置
P11 (回動レバーの)係止位置
P12 (回動レバーの)非係止位置
P21 (回動レバーの)係止位置
P22 (回動レバーの)非係止位置
P11a (ロックピンの)係止位置
P12a (ロックピンの)非係止位置
P21a (ロックピンの)係止位置
P22a (ロックピンの)非係止位置
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12