(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の屈折率を有し、透光性を有する基板上に所定の膜厚で配置された試料に向けて照射光を照射する照射光学系と、前記照射光の照射に伴って前記試料から発せられる検出光を導光する検出光学系と、前記検出光を検出する光検出器とを用いて、前記試料の配向パラメータを算出する方法であって、
前記試料の前記検出光の出射側の面の垂線と前記検出光学系の光軸とのなす角を変更しながら、前記光検出器を用いて前記検出光を検出させて検出信号を出力する検出ステップと、
前記検出信号から得られた光強度の角度依存性分布を基に、前記なす角がゼロ度における前記光強度で、前記なす角が所定範囲の前記光強度を規格化して、規格化された光強度の角度依存性分布を取得する取得ステップと、
前記規格化された光強度の角度依存性分布の極大領域の光強度を特定する特定ステップと、
前記極大領域の光強度に基づいて、前記配向パラメータを算出する算出ステップと、
を備える、配向特性測定方法。
所定の屈折率を有し、透光性を有する基板上に所定の膜厚で配置された試料に向けて照射光を照射する照射光学系と、前記照射光の照射に伴って前記試料から発せられる検出光を導光する検出光学系と、前記試料の前記検出光の出射側の面の垂線と前記検出光学系の光軸とのなす角を変更しながら、前記検出光を検出する光検出器とを含む検出装置を用いて前記検出光を検出して得られた検出信号に基づいて、前記試料の配向パラメータを算出するためのプログラムであって、
前記検出信号から得られた光強度の角度依存性分布を基に、前記なす角がゼロ度における前記光強度で、前記なす角が所定範囲の前記光強度を規格化して、規格化された光強度の角度依存性分布を取得する取得処理と、
前記規格化された光強度の角度依存性分布の極大領域の光強度を特定する特定処理と、
前記極大領域の光強度に基づいて、前記配向パラメータを算出する算出処理と、
をコンピュータに実行させる、配向特性測定プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、配向特性測定方法、配向特性測定プログラム、及び配向特性測定装置の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(配向特性測定システムの全体構成)
【0012】
図1は、一実施形態に係る配向特性測定装置および検出装置である配向特性測定システムを示す概略構成図である。
図1に示す配向特性測定システム1は、有機EL材料等の有機材料の分子配向特性を測定するシステムであり、光源3、照射光学系5、シリンドリカルレンズ7、回転機構(駆動機構)9、検出光学系11、光検出器13、コンピュータ15、出力装置17、及び入力装置19を備えている。なお、測定対象である試料SUは、ガラス、石英、樹脂材料等の透光性材料からなる平板状の透明性基板S1上に、分子配向の測定対象である有機材料からなる材料層S2が所定の膜厚で配置されたものが好適に用いられる。透明性基板S1の厚さは特定の厚さに限定されないが、例えば、0.7mm〜1mm程度であり、材料層S2の膜厚は、例えば、数nmであり、材料層S2は透明性基板S1上に蒸着あるいは塗布によって形成される。
【0013】
光源3は、材料層S2の有機材料を励起するための試料SUに向けて所定の波長成分の励起光(照射光)を照射する装置である。光源3としては、レーザダイオード(LD)、発光ダイオード(LED)、スーパールミネッセントダイオード(SLD)、ランプ光源等が用いられる。この光源3は、後述する回転機構9の外側において回転機構9と独立して固定されている。
【0014】
照射光学系5は、光源3からの励起光を試料SUに向けて照射するように励起光を導光する光学系であり、照射用光ファイバ5aと、励起光集光レンズ5bとを含んで構成される。照射用光ファイバ5aは、その入力端が光源3の出力と光学的に結合されるとともにその出力端が励起光集光レンズ5bの近傍に配置され、光源3から照射された励起光を励起光集光レンズ5bに入射させる。励起光集光レンズ5bは、励起光を試料SUにおける透明性基板S1の材料層S2側の面の近傍に集光させる。詳細には、照射用光ファイバ5aと励起光集光レンズ5bとは、励起光を、試料SUの透明性基板S1の材料層S2側の面の垂線に沿ってその面の中心部に照射させるように配置されている。
【0015】
シリンドリカルレンズ7は、略半円柱状のレンズであり、曲面の反対側の平坦面が試料SUを配置するための配置面7aとなっている。すなわち、シリンドリカルレンズ7においては、試料SUの透明性基板S1側の面と配置面7aとをオプティカルグリスを用いてオプティカルマッチングされた状態で配置面7a上に試料SUが固定されている。このような固定形態により、透明性基板S1とシリンドリカルレンズ7との間では光の屈折または反射が生じなくなり、材料層S2内部で生じた蛍光は、材料層S2と空気との間、材料層S2と透明性基板S1との間でのみ屈折または反射する。このシリンドリカルレンズ7は、試料SUを励起光の照射方向(すなわち、励起光集光レンズ5bの出力側)に向けるように配置され、励起光の照射に伴い試料SUから発せられた蛍光(検出光)を透過し、透過した蛍光を検出光学系11に向けて出射する。
【0016】
検出光学系11は、励起光の照射に伴って試料SUから発せられる蛍光を光検出器13に導光する光学系であり、光学ユニット11aと検出用光ファイバ11bとを含んで構成される。光学ユニット11aは、試料SUから発せられてシリンドリカルレンズ7を通過した励起光を受けて、その励起光からP偏光成分を抽出するとともに抽出したP偏光成分を検出用光ファイバ11bの入力端に集光させる。この光学ユニット11aは、その光軸が試料SUにおける励起光の照射位置に略一致するように配置される。検出用光ファイバ11bは、その入力端が光学ユニット11aに近接して配置されるとともにその出力端が光検出器13の入力と光学的に結合され、光学ユニット11aから出射された蛍光を光検出器13に入射させる。これらの検出光学系11は、回転機構9の外側において回転機構9と独立して固定されている。
【0017】
回転機構9は、照射光学系5の一部と試料SUが配置されたシリンドリカルレンズ7とを回転可能に支持する。詳細には、回転機構9は、円形の平坦な配置面9aを有し、この配置面9aの中心C1を回転中心として配置面9aに沿って回転可能に構成されている。この回転機構9は、後述するコンピュータ15からの制御によって回転角度、回転速度、回転動作のオン/オフ等の回転運転状態を制御可能とされている。そして、回転機構9は、シリンドリカルレンズ7を、試料SUの透明性基板S1の材料層S2側の面が、配置面9aの中心C1の近傍に位置し、かつ配置面9aに略垂直となるように支持する。また、回転機構9は、照射用光ファイバ5aの出力端と励起光集光レンズ5bとを、励起光集光レンズ5bの出力する励起光の光軸L1が、材料層S2の透明性基板S1側(蛍光出射側)の面の垂線に沿うように支持する。ここで、検出光学系11は、回転機構9に対して、光学ユニット11aに入射する蛍光の光軸L2が配置面9aの中心C1の近傍を通るように配置されている。このような構成により、回転機構9は、光検出器13によって検出させる蛍光の光軸L2と、試料SUに照射させる励起光の光軸L1(材料層S2の蛍光出射側の面の垂線)とのなす角φを変更可能にする。より具体的には、回転機構9は、なす角φを少なくとも0度〜90度の範囲で変更可能に構成されている。なお、光軸L1と光軸L2とは配置面9aの中心C1で交わっているのが蛍光の効率的な検出の点で望ましいが、必ずしも配置面9aの中心C1で交わっている必要はなく、なす角が0度〜90度で変更可能であれば中心C1からずれた位置で交わっていてもよい。
【0018】
光検出器13は、検出光学系11によって導光された蛍光を検出し、その蛍光の光強度を示す強度値データ(検出信号)を出力する。光検出器13は、例えば、分光検出器であり、蛍光を各波長成分に分光して検出し、分光スペクトルデータ(強度値データ)を出力する。その他、光検出器13は、アバランシェフォトダイオードなどのフォトダイオード、または光電子増倍管などの波長成分に分光することなく強度値データを検出する検出器であってもよい。
【0019】
コンピュータ15は、光源3による励起光の照射の制御、回転機構9の回転運転状態の制御、あるいは、検出信号を基に分子配向特性を示す配向パラメータの算出処理を実行するデータ処理装置である。コンピュータ15は、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、クラウドサーバ、スマートデバイス等の演算装置であってよい。このコンピュータ15には、配向パラメータ等の計測結果のデータあるいは計測条件のデータを表示(出力)するためのディスプレイ、通信デバイス等の出力装置17と、計測条件等のデータをユーザから受け付けるためのキーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置19とが電気的に接続されている。
【0020】
図2には、配向特性測定システム1の光学系の配置面9aに沿った方向から見た配置状態を示す。ここでは、光軸L1,L2のなす角φが0度に設定された場合を示している。
図2に示すように、照射光学系5を構成する励起光集光レンズ5bは、照射用光ファイバ5aの出力端5cの近傍に配置された集光レンズ群によって構成される。これらの集光レンズ群の一部または全部は、励起光の焦点位置が試料SUの位置と一致するようにその位置を調整可能な機構を含んでいる。また、検出光学系11の光学ユニット11aは、シリンドリカルレンズ7側から検出用光ファイバ11bの入力端11c側にかけて順に配置された偏光子21、絞り23、検出光集光レンズ25、及び絞り27によって構成される。偏光子21は、試料SUから発生した蛍光のうちP偏光成分のみを通過させる。なお、偏光子21は、P偏光成分を通過させるものには限定されず、S偏光成分またはその他の偏光成分を通過させるものであってもよい。また、偏光子21は、偏光ビームスプリッタであってもよい。絞り23は、偏光子21を通過した蛍光の光束を制限して、光束が絞られた蛍光を検出光集光レンズ25に向けて通過させる。検出光集光レンズ25は、絞り23を通過して光束が絞られた蛍光を、検出用光ファイバ11bの入力端11cに入射させる。絞り27は、検出光集光レンズ25によって集光された蛍光の光束を絞って検出用光ファイバ11bの入力端11cに入射させる。ここで、検出光集光レンズ25は、その焦点位置が試料SUの位置と一致するようにその位置を調整可能な機構を含んでいる。
(コンピュータシステムの構成)
【0021】
次に、出力装置17及び入力装置19を含むコンピュータ15の詳細構成について説明する。
図3は、コンピュータ15の機能ブロック図、
図4は、コンピュータ15、出力装置17、及び入力装置19を含むコンピュータシステム20のハードウェア構成を示す図である。
【0022】
図3に示すように、コンピュータ15は、機能的な構成要素として、光源制御部31、回転機構制御部(制御部)32、検出信号取得部33、分布取得部(取得部)34、領域特定部(特定部)35、及びパラメータ算出部36を含んで構成されている。
図4に示すように、コンピュータ15を含むコンピュータシステム20は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)101、記録媒体であるRAM(Random Access Memory)102またはROM(Read Only Memory)103、通信モジュール104、出力装置17、及び入力装置19等を含んでいる。上述したコンピュータ15の各機能部は、CPU101、RAM102等のハードウェア上に本実施形態にかかる配向特性測定プログラムを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで、通信モジュール104、出力装置17、及び入力装置19等を動作させるとともに、RAM102におけるデータの読み出し及び書き込み、およびROM103からのデータの読み出しを行うことで実現される。すなわち、本実施形態の配向特性測定プログラムは、コンピュータシステム20を、光源制御部31、回転機構制御部32、検出信号取得部33、分布取得部34、領域特定部35、及びパラメータ算出部(算出部、選択部、決定部)36として機能させる。
【0023】
以下、コンピュータ15の各機能部の詳細機能について説明する。
【0024】
光源制御部31は、入力装置19を介してユーザから測定開始指示を受けたことを契機に、光源3の動作を開始させ励起光を照射させるように制御し、蛍光測定処理の終了後に励起光の照射を停止させるように光源3を制御する。回転機構制御部32は、光源制御部31による励起光の照射の制御と同期させて、回転機構9の回転運転状態を制御する(制御処理)。具体的には、回転機構制御部32は、照射光学系5の光軸L1と検出光学系11の光軸L2とのなす角φを0度〜90度の間で変更するように制御する。この場合、ステップ状になす角φを変更してもよいし、連続的に所定の変化率でなす角φを変更してもよい。
【0025】
検出信号取得部33は、光源制御部31によって励起光の照射が開始され、回転機構制御部32によってなす角φが0度〜90度の間で変更されている間に、連続的に光検出器13から出力される蛍光の光強度を示す強度値データを取得する。分布取得部34は、検出信号取得部33によって取得されたなす角φごとの強度値データを基に、なす角φに対する蛍光の光強度分布(角度依存性分布)を示す光強度分布データI(φ)を生成する。この際、分布取得部34は、強度値データとして分光スペクトルデータを取得する場合には、この分光スペクトルデータを波長領域全体の光強度を示す強度値データに変換し、この強度値データの変換をなす角φごとに実行した後、変換後の強度値データを基になす角φごとの光強度の分布である光強度分布データI(φ)を生成する。そして、分布取得部34は、生成した光強度分布データI(φ)を対象に、なす角φがゼロ度における強度値でなす角φが所定範囲(例えば、0度<φ≦90度)の強度値を規格化することによって、規格化された光強度分布データI
N(φ)を取得する(取得処理)。
【0026】
図5には、検出信号取得部33によって取得される分光スペクトルデータの値の一例、
図6には、分布取得部34によって生成された光強度分布データI
N(φ)の一例を示している。検出信号取得部33によって取得される蛍光の光強度の波長特性を示す分光スペクトルデータ(
図6)が有意な値を持つ波長範囲で積分されることにより蛍光の強度値データが得られ、この強度値データがなす角φが0度〜90度の範囲の複数の分光スペクトルデータを対象に繰り返し計算される。そして、なす角φが0度〜90度の範囲の強度値がなす角φ=0度の強度値で規格化されることにより、規格化された光強度分布データI
N(φ)(
図6)が取得される。一般に、有機材料を対象に得られる光強度分布は、
図6に示すように、角度φが0度から増加していくにしたがって減少し、ある角度で極小値を持ち(
図6の場合は40度近傍)、その極小値の角度より大きい角度(
図6の場合は50度近傍)で極大値を持つという特性を有する。
【0027】
領域特定部35は、分布取得部34によって生成された光強度分布データI
N(φ)を基に、強度値が極大となる領域における光強度を特定する(特定処理)。すなわち、
図6に示すような光強度分布データI
N(φ)を対象にした場合は、光強度分布データI
N(φ)における強度値が極小となる角度φ
minと角度90度との間に存在する極大領域の角度φ
aの光強度I
Npeakを特定する。極大領域の角度φ
aの光強度I
Npeakは、極大値に対応する角度φ
maxの光強度であってもよいし、角度φ
maxから所定角度範囲内(例えば、±5度の範囲内)の角度の光強度であってもよいし、所定角度範囲内の光強度の最小値、最大値、平均値、あるいは中間値等であってもよい。
【0028】
パラメータ算出部36は、領域特定部35によって特定された極大領域の角度φ
aの光強度I
Npeakの値と、予め定められてコンピュータ15内に記憶された線形関係を特定するデータとを参照して、試料SUの材料層S2の有機材料の分子配向特性を示す配向パラメータを算出する(算出処理)。
【0029】
ここで、パラメータ算出部36の詳細機能について説明する前に、光強度分布データI
N(φ)を基にした配向パラメータの算出の原理について述べる。
【0030】
従来の研究において、配向特性測定システム1と同様に半円柱状レンズの平坦面上に等方性の蛍光材料からなる試料を配置させた状態で、UV光を半円柱状レンズの反対側から試料の面に垂直に入射させた場合を想定し、その場合に半円柱状レンズ側から出射された蛍光のP偏光成分の光強度分布が定式化されている。この研究については、従来文献(「New method for determining refractive index and thickness of fluorescent thin films」, OPTICS COMMUNICATIONS, Volume 31, Number 3, December 1979)に記載されている。詳細には、P偏光成分の光強度分布P
Pは、半円柱状レンズ上の試料の層内における発光点からの直接光と1回の膜内での反射光との干渉の影響を示す項Q
Pと、試料の層内における発光点からの直接光と複数回の膜内での反射光との干渉の影響を示す項M
Pと、蛍光の観測角度と観測波長に依存する項T
Pとを用いて、下記式;
P
P=Q
PM
PT
P
によって表される。この従来文献によれば、P偏光成分の光強度分布P
Pは、下記式;
【数1】
によって定式化されている。上記式中、n
1は半円柱状レンズの屈折率、n
2は半円柱状レンズおよび試料の周囲の空間の屈折率、n
0は試料の屈折率、nはn
2/n
1に等しい値、α
1は励起光の照射方向と観察対象の蛍光の出射方向とのなす角(なす角φに対応)、α
2は、n・sinα
2=sinα
1により決まる角度を、それぞれ表している。また、上記式の上側の式は角度α
1が臨界角以下の場合の特性を示し、下側の式は角度α
1が臨界角より大きい場合の特性を示している。
【0031】
図7には、上記従来文献の定式化によって得られた光強度分布を示し、
図8には、角度α
1が臨界角以下の場合の式による光強度分布を示し、
図9には、角度α
1が臨界角より大きい場合の式による光強度分布を示している。なお、これらの光強度分布は、屈折率n
1=1.516、屈折率n
2=1、屈折率n
0=1.575として計算した分布を示し、
図7に示す光強度分布は、角度α
1が0度の値で規格化されている。
図8に示すように、角度α
1が臨界角以下の場合の式の値は、角度α
1が0度から増加するにしたがって徐々に強度が低下し40度近辺で極小となっている。一方、
図9に示すように、角度α
1が臨界角より大きい場合の式の値は、角度α
1が40度と50度との間で極大値を有し、角度50度を超えた範囲では角度が大きくなるにしたがって単調減少している。これらの特性を組み合わせた全体の光強度分布は、
図7に示すように、角度α
1が40度の付近で極小値を有し、角度α
1が40度と50度との間で極大値を有する。このように、定式化によって得られた光強度分布は、配向特性測定システム1によって得られる光強度分布データI
N(φ)と似通った分布を有している。ただし、配向特性測定システム1の測定対象の試料は様々な分子配向特性を有する有機材料であるのに対して、上記従来文献の定式化の対象は等方性の蛍光材料である。
【0032】
上述のような光強度分布の定式化の理論は、従来文献(「Light emission by multipole sources in thin layers. I. Radiation patterns of electric and magnetic dipoles」,J. Opt. Soc. Am.,Vol.71,No. 6,June 1981)にも記載されている。
【0033】
配向特性測定システム1の測定対象である有機ELなどの有機材料は、分子配向特性が異なればその材料からの光の取り出し効率が異なる。分子配向特性とは発光分子が材料中でどのような向きで並んでいるかを示す特性であり、そのような特性を表すパラメータとして配向パラメータSがある。
図10には、様々な分子配向特性を有する材料層S2における発光分子の配列状態を概念的に示している。
図10の(a)部に示す材料層S2においては、発光分子MOがその双極子モーメントが層の厚さ方向D1に対して90度になるように配置されている。
図10の(b)部に示す材料層S2においては、発光分子MOがその双極子モーメントを層の厚さ方向D1に対して0度になるように配置されている。
図10の(c)部に示す材料層S2においては、発光分子MOがその双極子モーメントを層の厚さ方向D1に対して54.7度になるように配置されている。また、
図10の(d)部に示す材料層S2においては、複数の発光分子MOが、それらの双極子モーメントが層の厚さ方向D1に対してランダムな角度を向くように配置されている。このような材料層S2の分子配向状態を評価するための配向パラメータSは、下記式;
S=(3/2)・(cos
2θ−1/3)
によって算出される。
図11に示すように、上記式中の角度θは、厚さ方向D1に沿ったZ軸に対する発光分子の平均的な配向方向(双極子モーメント)の角度を示しており、この配向方向はX成分μ
x、Y成分μ
y、及びZ成分μ
zを有する。
図11に示すX軸及びY軸は材料層S2の厚さ方向に垂直な軸である。例えば、
図10の(a)部に示す状態の材料層S2の配向パラメータS=−0.5であり、
図10の(b)部に示す状態の材料層S2の配向パラメータS=1であり、
図10の(c)部及び(d)部に示す状態の材料層S2の配向パラメータS=0である。
図12には、角度θと配向パラメータSとの関係を示す。このように、配向パラメータSは角度θが0度から90度に変化するにしたがって減少し、その最大値が1で最小値が−0.5である。この配向パラメータSが小さくなるほど光の取り出し効率が高いことを意味する。
【0034】
別の文献(「Electroluminescence from completely horizontally oriented dye molecules」、APPLIED PHYSICS LETTERS 108, 241106(2016))には、有機材料層からの蛍光の光強度の角度依存性特性が分子配向特性ごとに異なることを利用して、角度依存性特性を基に配向パラメータSを決定する手法が検討されている。具体的には、有機EL材料を対象にした蛍光スペクトルのp偏光成分の角度依存性特性に関する測定結果と、その角度依存性特性のシミュレーション結果との比較により、有機EL材料の配向パラメータSが決定されている。
図13には、この手法における光強度の角度依存性特性のシミュレーション結果を示している。このシミュレーション結果は、分子の双極子モーメントのZ成分μ
zを0〜1の範囲で変更しながら計算された複数の角度依存性特性を示している。ここで、分子の双極子モーメントのX成分μ
x、Y成分μ
y、Z成分μ
zは、下記式;
μ
x+μ
y+μ
z=1,
μ
x=μ
y
のように仮定されている。従来の手法では、実際に測定された蛍光の光強度の角度依存性特性を、シミュレーション結果の複数の特性とフィッティングすることで、分子の双極子モーメントのZ成分μ
zを求め、この値から配向パラメータSが決定されている。
【0035】
本発明者らは、上記の従来手法におけるシミュレーション計算により得られた光強度の角度依存性特性に着目した。その結果、角度依存性特性の極小値に対応する角度から90度の間において配向パラメータSにかかわらず強度値が一致する等発光点P1が存在すること、および、角度0度における強度値はZ成分μ
zに依存して変化することを見出した。さらに、この等発光点P1の角度と規格化後の角度依存性特性の極大点の角度とはほぼ一致し、規格化後の角度依存性特性の極大値の逆数と配向パラメータSに関連する値とはほぼ線形関係となることを発見した。そこで、本発明者らは、このような性質を利用して、角度0度の強度で規格化した光強度の角度依存性特性を基に、配向パラメータSを得ることができると考えた。
【0036】
上述した原理を利用したパラメータ算出部36の機能について説明する。
【0037】
パラメータ算出部36は、計測対象の材料層S2の膜厚およびその材料層S2の屈折率によって決まる、光強度と配向パラメータSに関連する値であるZ成分μ
zとの間の線形関係を示すデータと、領域特定部35によって特定された極大領域の光強度I
Npeakとを基に、配向パラメータSを算出する。コンピュータ15においては、ROM103等のデータ格納部に予め上記線形関係を示すデータが格納されている。
図14には、コンピュータ15内に格納された線形関係のデータの特性を示している。このように、線形データを示すデータによって、Z成分μ
zと規格化後の角度依存性特性の極大値の逆数との線形的な対応関係が特定可能とされている。コンピュータ15内に格納される線形関係を示すデータの形態は、Z成分μ
zと極大値の逆数RIとの関係が下記式;
RI=−A・μ
z+A
で表される場合に、数式自体であってもよいし、係数Aそのものであってもよいし、
図14にプロットされるような線形式上の複数の標本点における座標値のデータの組み合わせであってもよい。このような線形関係を示すデータは、予め様々な配向パラメータSに関して実行された光強度の角度依存性特性のシミュレーション結果を利用して算出され、計測対象の材料に関する膜厚とその材料の屈折率との組み合わせ毎に算出されて予め複数記憶されている。パラメータ算出部36は、ユーザから入力装置19を介して入力された計測対象の材料層S2の膜厚およびその材料層S2の屈折率に関する値を基に、予め記憶された複数の線形関係を示すデータの中から、配向パラメータSの算出に用いられる線形関係を示すデータを選択(決定)する(選択処理、決定処理)。そして、パラメータ算出部36は、そのデータと領域特定部35によって特定された極大領域の光強度I
Npeakとを基に、Z成分μ
zを特定する。具体的には、選択した線形関係が
図14に示すような特性であって、極大領域の光強度I
Npeakの逆数がRI
0=1/I
Npeakと計算された場合は、逆数RI
0に対して
図14に示される線形関係を有するZ成分μ
z0が、材料層S2の双極子モーメントのZ成分μ
zとして導き出される。
【0038】
さらに、パラメータ算出部36は、分子の双極子モーメントのX成分μ
x、Y成分μ
y、Z成分μ
zが、下記式;
μ
x+μ
y+μ
z=1,
μ
x=μ
y
に示される関係を有し、配向パラメータSが下記式;
S=(μ
z2−μ
x2)/(μ
z2+2μ
x2)
で定義されることを利用して、配向パラメータSを下記式;
S={μ
z2−(1/4)(1−μ
z)
2}/{μ
z2+(1/2)(1−μ
z)
2}
によって計算する。そして、パラメータ算出部36は、計算した配向パラメータSを出力装置17に出力する。ここでは、パラメータ算出部36は、計算した配向パラメータSを、通信モジュール104及びネットワークを経由して外部に送信してもよい。
(配向特性測定方法の各ステップの説明)
【0039】
次に、
図15のフローチャートを参照して、本実施形態に係るコンピュータ15の動作方法(コンピュータ15で実行される処理)である配向特性測定方法を、処理毎に説明する。
図15は、本実施形態に係る配向特性測定方法を示すフローチャートである。
【0040】
最初に、入力装置19によって測定開始指示が受け付けられたことを契機に、光源制御部31の制御により、光源3からの励起光の照射がオンされる(ステップS01)。加えて、回転機構制御部32の制御によって、回転機構9の回転駆動が開始され、照射光学系5の光軸L1と検出光学系11の光軸L2とのなす角φが0度〜90度の範囲で変更される(ステップS02)。それに応じて、検出信号取得部33によって、光検出器13から連続的に強度値データが取得される(ステップS03)。なす角が0度〜90度の範囲の強度値データの取得が終了すると、光源3からの励起光の照射がオフされるとともに、回転機構9の回転駆動も停止される(ステップS04)。
【0041】
その後、分布取得部34によって、なす角φが0度〜90度の範囲で取得された強度値データを基になす角φごとの光強度の分布である光強度分布データI(φ)が生成され、この光強度分布データI(φ)の強度値をなす角φが0度の強度値で規格化することによって光強度分布データI
N(φ)が取得される(ステップS05)。次に、領域特定部35により、光強度分布データI
N(φ)を基に、極大領域の角度φ
aの光強度I
Npeakが特定される(ステップS06)。さらに、パラメータ算出部36により、ユーザから入力された材料層S2の膜厚及び屈折率に関する値を基に、その膜厚および屈折率に対応する線形関係を特定するパラメータとして、線形係数Aが特定される(ステップS07)。そして、パラメータ算出部36により、特定された線形係数Aによって表される線形式と、極大領域の角度φ
aの光強度I
Npeakとを基に、材料層S2の双極子モーメントのZ成分μ
zが算出され、このZ成分μ
zを基に配向パラメータSがさらに算出される(ステップS08)。最後に、算出された配向パラメータSが出力装置17に出力されて配向特性測定処理が終了される(ステップS09)。
【0042】
なお、本発明者らは、屈折率nが1.74以上1.91以下の範囲であり、膜厚dが10nm以上20nm以下の範囲である場合、平面フィッティング法を用いて、線形係数Aを膜厚d及び屈折率nの2次元多項式で求めることができることを見出した。つまり、線形係数Aは、下記式;
A=−A
1d
2n
3+A
2d
2n
2−A
3d
2n+A
4d
2+A
5dn
3−A
6dn
2+A
7dn−A
8d−A
9n
3+A
10n
2−A
11n+A
12
で表すことができる。なお、A
n(n=1、2、3...12)は、実数である。従って、ステップS07において、パラメータ算出部36により、ユーザから入力された材料層S2の膜厚及び屈折率に関する値を基に、その膜厚および屈折率に対応する線形関係を特定するパラメータとして、線形係数Aを特定することができる。
【0043】
上述した配向特性測定システム1及び配向特性測定システム1による配向特性測定方法によれば、照射光の照射に応じて試料SUの材料層S2から発せられる蛍光の強度を、材料層S2の蛍光出射面の垂線と検出光学系11の光軸L2とのなす角φを変更しながら測定することにより、蛍光の光強度の角度依存性分布を得ることができる。そして、光強度の角度依存性分布をなす角φがゼロ度の値で規格化して、その規格化した光強度の角度依存性分布における極大領域の光強度を特定し、その光強度と予め決定される線形関係とを用いて配向パラメータSが算出される。これにより、シミュレーション演算等の複雑な演算を必要とすることなく、効率的な演算により試料の配向パラメータSを簡便に測定することができる。
【0044】
上記形態においては、複数の膜厚と複数の屈折率との組み合わせ毎に予め記憶された複数の線形関係を示すデータの中から、材料層S2の膜厚及び材料層S2の屈折率に対応する線形関係を示すデータが選択されている。この場合、さらに簡便な演算により短い演算時間で配向パラメータSを算出することができる。
【0045】
また、ユーザによって入力された材料層S2の屈折率及び材料層S2の膜厚に関するパラメータを基に、線形関係を示すデータが決定されている。この場合、適切な線形関係を利用して配向パラメータSを算出するので、より正確に配向パラメータSを測定することができる。
【0046】
さらに、蛍光の光強度の角度依存性分布において光強度が極小になる角度と90度との間に存在する極大値の光強度が特定され、その光強度を基に配向パラメータSが決定されている。この場合、適切な角度の強度値を利用して配向パラメータSを算出するので、より正確に配向パラメータSを測定することができる。
【0047】
以上、種々の実施形態について説明したが、実施形態は上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0048】
上記実施形態の配向特性測定システム1においては、照射光学系5および検出光学系11に光ファイバを含んでいるが、光ファイバに限らずレンズ等の他の光学素子を含んでいてもよい。
【0049】
また、上記実施形態の配向特性測定システム1においては、分布取得部34によって生成された光強度分布データI
N(φ)を対象に極大領域の強度値を特定し、この強度値を基に配向パラメータSを算出しているが、光強度分布データI
N(φ)の極小領域等の他の領域の強度値を基に配向パラメータSを算出してもよい。
【0050】
また、上記実施形態の配向特性測定システム1においては、予め記憶しておいた線形関係を特定するデータを基に配向パラメータSに関連する値を算出することによって配向パラメータSの値の範囲を絞り込み、絞り込んだ範囲におけるシミュレーション計算によって得られた角度依存性分布と、測定した光強度分布とをフィッティングすることによって最終的な配向パラメータSを取得してもよい。
【0051】
また、パラメータ算出部36は、ユーザから入力装置19を介して入力された計測対象の材料層S2の膜厚およびその材料層S2の屈折率に関する値を基に、配向パラメータSの算出に用いられる線形関係を示すデータを算出してもよい(決定処理)。
【0052】
従来技術の課題を解決するため、本発明者等は、鋭意研究した結果、以下の事実を新たに見出した。
【0053】
試料から照射光の照射に伴って発せられる検出光の強度の角度依存性のシミュレーション結果を精査したところ、角度依存性において試料の配向パラメータに依存しない等発光点が存在することが分かった。この等発光点は角度依存性を角度ゼロの強度値で規格化した特性の極大領域に相当し、この極大領域の強度値は配向パラメータに大きく関係しており、この強度値を基に配向パラメータを導き出すことができることを新たに見出した。
【0054】
本実施形態は、配向特性測定方法である。配向特性測定方法は、所定の屈折率を有し、透光性を有する基板上に所定の膜厚で配置された試料に向けて照射光を照射する照射光学系と、照射光の照射に伴って試料から発せられる検出光を導光する検出光学系と、検出光を検出する光検出器とを用いて、試料の配向パラメータを算出する方法であって、試料の検出光の出射側の面の垂線と検出光学系の光軸とのなす角を変更しながら、光検出器を用いて検出光を検出させて検出信号を出力する検出ステップと、検出信号から得られた光強度の角度依存性分布を基に、なす角がゼロ度における光強度で、なす角が所定範囲の光強度を規格化して、規格化された光強度の角度依存性分布を取得する取得ステップと、規格化された光強度の角度依存性分布を基に、光強度が極小になる角度と90度との間に存在する極大領域の光強度を特定する特定ステップと、所定の膜厚及び所定の屈折率によって決まる光強度と配向パラメータに関連する値との間の線形関係と、極大領域の光強度とに基づいて、配向パラメータを算出する算出ステップと、を備える。
【0055】
あるいは、本実施形態は、配向特性測定プログラムである。配向特性測定プログラムは、所定の屈折率を有し、透光性を有する基板上に所定の膜厚で配置された試料に向けて照射光を照射する照射光学系と、照射光の照射に伴って試料から発せられる検出光を導光する検出光学系と、試料の検出光の出射側の面の垂線と検出光学系の光軸とのなす角を変更しながら、検出光を検出する光検出器とを含む検出装置を用いて検出光を検出して得られた検出信号に基づいて、試料の配向パラメータを算出するためのプログラムであって、検出信号から得られた光強度の角度依存性分布を基に、なす角がゼロ度における光強度で、なす角が所定範囲の光強度を規格化して、規格化された光強度の角度依存性分布を取得する取得処理と、規格化された光強度の角度依存性分布を基に、光強度が極小になる角度と90度との間に存在する極大領域の光強度を特定する特定処理と、所定の膜厚及び所定の屈折率によって決まる光強度と配向パラメータに関連する値との間の線形関係と、極大領域の光強度とに基づいて、配向パラメータを算出する算出処理と、をコンピュータに実行させる。
【0056】
あるいは、本実施形態は、配向特性測定装置である。配向特性測定装置は、所定の屈折率を有し、透光性を有する基板上に所定の膜厚で配置された試料に向けて照射光を照射する照射光学系と、照射光の照射に伴って試料から発せられる検出光を導光する検出光学系と、検出光を検出して検出信号を出力する光検出器と、試料の検出光の出射側の面の垂線と検出光学系の光軸とのなす角を変更する駆動機構と、なす角を変更するように駆動機構を制御する制御部と、なす角を変更しながら得られた検出信号を基に試料の配向パラメータを算出する処理装置とを備え、処理装置は、検出信号から得られた光強度の角度依存性分布を基に、なす角がゼロ度における光強度で、なす角が所定範囲の光強度を規格化して、規格化された光強度の角度依存性分布を取得する取得部と、規格化された光強度の角度依存性分布を基に、光強度が極小になる角度と90度との間に存在する極大領域の光強度を特定する特定部と、所定の膜厚及び所定の屈折率によって決まる光強度と配向パラメータに関連する値との間の線形関係と、極大領域の光強度とに基づいて、配向パラメータを算出する算出部と、を有する。
【0057】
上記形態に係る配向特性測定方法、配向特性測定プログラム、あるいは配向特性測定装置によれば、照射光の照射に応じて試料から発せられる検出光の強度を、試料の検出光出射面の垂線と検出光学系の光軸とのなす角を変更しながら測定することにより、検出光の光強度の角度依存性分布を得ることができる。そして、光強度の角度依存性分布をなす角がゼロ度の値で規格化して、その規格化した光強度の角度依存性分布における極大領域の光強度を特定し、その光強度と予め決定される線形関係とを用いて配向パラメータが算出される。これにより、シミュレーション演算等の複雑な演算を必要とすることなく、効率的な演算により試料の配向パラメータを簡便に測定することができる。
【0058】
上記形態においては、複数の膜厚と複数の屈折率との組み合わせ毎に予め記憶された複数の線形関係の中から、所定の膜厚及び所定の屈折率に対応する線形関係を選択する選択ステップをさらに備えてもよい。また、コンピュータに、複数の膜厚と複数の屈折率との組み合わせ毎に予め記憶された複数の線形関係の中から、所定の膜厚及び所定の屈折率に対応する線形関係を選択する選択処理をさらに実行させてもよい。また、処理装置は、複数の膜厚と複数の屈折率との組み合わせ毎に予め記憶された複数の線形関係の中から、所定の膜厚及び所定の屈折率に対応する線形関係を選択する選択部をさらに有してもよい。この場合、さらに簡便な演算により短い演算時間で配向パラメータを算出することができる。
【0059】
また、ユーザによって入力された屈折率及び膜厚に関するパラメータを基に、線形関係を決定する決定ステップをさらに備えてもよい。また、コンピュータに、ユーザによって入力された屈折率及び膜厚に関するパラメータを基に、線形関係を決定させる決定処理をさらに実行させてもよい。また、ユーザによって入力された屈折率及び膜厚に関するパラメータを基に、線形関係を決定する決定部をさらに備えてもよい。この場合、適切な線形関係を利用して配向パラメータを算出するので、より正確に配向パラメータを測定することができる。
【0060】
さらに、特定ステップにおいては、光強度が極小になる角度と90度との間に存在する極大値の光強度を特定してもよい。また、特定処理においては、光強度が極小になる角度と90度との間に存在する極大値の光強度を特定してもよい。また、特定部は、光強度が極小になる角度と90度との間に存在する極大値の光強度を特定してもよい。この場合、適切な角度の強度値を利用して配向パラメータを算出するので、より正確に配向パラメータを測定することができる。