【実施例】
【0034】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0035】
試験例1(ホップ毬花の色相)
2011年、2012年、2013年、及び2014年産のホップ原料(品種:Saaz、産地:チェコ)について、収穫時期の順に、収穫開始日に収穫されたものを「E群」、収穫開始日から10日後に収穫されたものを「M群」、収穫開始日から25日後に収穫されたものを「L群」、収穫開始日から50日後に収穫されたものを「SL群」として群分けし、以下の条件に従って色相を測定した。なお、前記群分けに収穫年度の下二桁を併記して収穫年度と収穫時期を表記する。例えば、2013年産の「E群」は、「13E」のように示す。また、サンプルの前処理として、それぞれの群の乾燥毬花をコーヒーミルで粉砕し、その粉砕物をそのまま測定に供した。測定結果を表1及び
図1に示す。
<色相測定条件>
表色系:CIE Lab表色系
測定機器:分光測色系 CM−2002(ミノルタ社製)
視野角:10°視野
光源:D65
解析ソフト:SpectraMagic NX(ミノルタ社製)
【0036】
【表1】
【0037】
表1及び
図1より、「11E群」、「11M群」、「12E群」、「12M群」、「13E群」、「13M群」、「14E群」及び「14M群」は、CIE Lab表色系によるa
*の値が-0.5未満であり、各年度の他の群とは大きく相違するものであった。また、CIE Lch表色系によるhの値が91.12°から96.69°であり、年度内での対比から、それぞれ「L群」及び「SL群」とは大きく相違するものであった。よって、「11E群」、「11M群」、「12E群」、「12M群」、「13E群」、「13M群」、「14E群」及び「14M群」は、いずれも他の群に比べて数値上の差異が見られ、他の時期に収穫されたものと外観上相違することが分かる。
【0038】
試験例2(ホップ毬花のポリフェノール成分)
試験例1と同様にして群分けしたホップ毬花について、試験例1と同様に前処理を行ってから以下の条件に従って、各ポリフェノール成分の含有量と抗酸化活性、脂肪蓄積阻害率を測定した。なお、前記群分けしたホップの表記は試験例1と同様とし、抗酸化活性及び脂肪蓄積阻害率の測定においては、ポジティプコントロールとして、市販の試薬を購入して同様に測定した。測定結果を表2及び
図2〜4に示す。
<各ポリフェノール成分の含有量測定条件>
50gホップ毬花をジクロロメタン1Lで洗浄した後、ひだ折りろ紙を用いてジクロロメタンを除いた。その後、ホップをドラフト下で一晩乾燥させた。乾燥したホップをコーヒーミルで粉砕した。70v/v%アセトン 10mLに粉砕ホップ0.7gを添加して2時間撹拌した後、ろ紙を用いて濾過した。ろ紙上のホップ残渣を70v/v%アセトン 10mLで2回洗い流し、ろ液と一緒に受けた。エバポレーターを用いてアセトンを除去した。Oasis HLB PlusにMeOH 10mL、H
2O 20mLを通液してコンディショニングした後、抽出液を通液させた。H
2O 10mL×2で洗浄後、MeOH(0.5v/v% FA)7mLで抽出した。得られた抽出液を用いてLC−MSにて定量して、ホップ重量当たりのポリフェノール成分含有量を算出した〔カラム:Waters ACQUITY UPLC(登録商標)BEH C18(1.7μm、2.1×100mm)、流速:300μL/min、カラム温度:40℃、移動相:A)H
2O(0.1v/v% FA),B)MeCN(0.1v/v% FA)、グラジエント:0分(B液2v/v%)→30分(B液98v/v%)→32分(B液98v/v%)〕。なお、検量線は、プロシアニジン標準溶液を調製し、ホップサンプルと同様にOasis HLB Plusにて処理して得られた抽出液を用いて作製した。
<抗酸化活性>
DMSOに溶解した各試料を25、50、100μg/mLになるように50v/v% EtOHに溶解して試料溶液を調製し、96穴プレートの各ウェルに100μLずつ分注した。そこに、EtOHに0.1mMになるよう溶解したDPPH溶液を100μLずつ加えボルテックスにより撹拌した(終濃度12.5、25、50μg/mL)。次いで、プレートをアルミホイルで遮光し30分間室温(25℃)に放置し、その後517nmにおける吸光度値を測定した(n=3)。得られた吸光度値を用いて、以下の式(1)よりDPPHラジカル消去率(%)を算出した。なお、ブランクにはDMSOを0.2%含む50v/v% EtOH溶液を使用する以外は、試料溶液と同様にして吸光度値を測定した。
【0039】
【数1】
【0040】
<脂肪蓄積阻害率>
〔試薬〕
・ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM):10% FBS(ウシ胎児血清)と1% penicillin/streptomycinを添加した。
・TrypLETM Select(1X)
・IBMX:DMSOで0.5mMとなるように調製した。
・DEX:DMSOで1μMとなるように調製した。
・insulin solution human
・WST−8:使用時にDMEM培地で2% WST−8となるように希釈した。
・Oil Red O:isoPrOHで5mg/mLとなるように調製し、使用時に、純水で60% Oil Red Oとなるように希釈した。
〔方法〕
1日目:あらかじめ、3T3−L1細胞を10cm ディッシュで培養し、7〜8割コンフルエントの状態にした。TrypLETM Selectを用いて3T3−L1細胞を剥離し、DMEM培地で1.0×10
5cells/mLに希釈した後、96穴プレートに100μLずつ入れ、37℃、5%CO
2で培養した。
3日目:分化誘導培地(0.1% IBMX,0.01% DEX)を用いて各試料を調製した。コンフルエントになった細胞の培地を除去し、試料入り分化誘導培地100μLに交換した後、37℃、5%CO
2で2日間培養した。
5日目:分化培地(0.2% insulin)を用いて各試料を調製した。分化誘導培地を除去し、分化培地100μLに交換した後、37℃、5%CO
2で3日間培養した。
8日目:分化培地50μLを除去し、新たな分化培地100μLを添加し、37℃、5%CO
2で3日間培養した。
11日目:培養培地に2% WST−8を50μLずつ添加し、37℃、5%CO
2で3日間培養した。新しい96穴プレートに培地100μLを移し、吸光度(450nm)をマイクロプレートリーダーで測定した。それらを、コントロールに対する相対値として、細胞生存率(%)を算出した。残りの培地を除去した後、ホルマリンを100μLずつ添加し4℃で一晩静置した。
12日目:ホルマリンを除去した後、60% isoPrOHを100μL添加し、細胞を洗浄した後除去した。60% Oil Red O試薬50μLを添加し室温で10分静置した。60% Oil Red O試薬を除去した後、超純水で各ウェルを洗浄した。96穴プレートが乾燥した後、100% isoPrOHを50μL添加し室温で10分静置した後、吸光度(520nm)を測定した。それらを、コントロールに対する相対値として、脂肪蓄積率(%)を算出した。
【0041】
【表2】
【0042】
表2及び
図2より、ポリフェノール成分はいずれも、「11E群」、「11M群」、「12E群」、「12M群」、「13E群」、「13M群」、「14E群」及び「14M群」では、年度内での対比から、それぞれ「L群」及び「SL群」と比べて、同程度あるいは高含有量であった。
【0043】
一方、表2及び
図3、4より、「11E群」、「11M群」、「12E群」、「12M群」、「13E群」、「13M群」、「14E群」及び「14M群」では、年度内での対比から、それぞれ「L群」及び「SL群」と比べて、抗酸化効果及び脂肪蓄積抑制効果に優れることが分かった。なお、市販試薬の「ビタミンC(12.5μM)」の抗酸化活性は70%、「ケルセチン(50μM)」の脂肪蓄積抑率は50%であった。
【0044】
以下、本発明のホップ加工品を配合した飲食品の具体的処方を例示する。これらの飲食品は公知の方法に従って調製することができる。
【0045】
麦芽等の麦、他の穀物、でんぷん、及び糖類からなる群より選ばれる少なくとも1種に加え、必要に応じ、苦味料、色素などの原料を、仕込釜又は仕込槽に投入し、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加し、糊化、糖化を行なわせた後、穀皮等を濾過により取り除いて麦汁を得、次いで得られた麦汁に、本発明のホップ加工品であるホップペレットを加えて煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク質などの固形分を取り除いて、清澄麦汁を得る。これらの糖化工程、煮沸・清澄化工程、固形分除去工程などにおける条件は、公知の条件を用いればよい。
【0046】
次いで、アルコール飲料の場合には、前記で得られた清澄麦汁に酵母を添加して発酵を行なわせ、必要に応じ濾過機などで酵母を取り除いて製造する。発酵条件は、知られている条件を用いればよい。また、発酵開始後に前記で選別した本発明におけるホップ毬花(E・M)やそれらを含むホップペレットを添加してもよい。あるいは、発酵工程を経る代わりに、スピリッツなどアルコール分を有する原料を添加してもよい。更に、貯酒、必要により炭酸ガスを添加して、濾過・容器詰め、必要により殺菌の工程を経て、アルコールビールテイスト飲料を得ることができる。
【0047】
一方、ノンアルコール飲料の場合、上記固形分除去工程に次いで、前記で得られた清澄麦汁をそのまま貯蔵、炭酸ガスを添加して、濾過・容器詰め、必要により殺菌の工程を経て、製造する。あるいは、前記アルコール飲料の発酵工程の後、ビール膜処理や希釈などの公知の方法によりアルコール濃度を低減させることによって、ノンアルコールビールテイスト飲料を得ることもできる。