特許第6846434号(P6846434)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6846434分子を回収するための方法およびアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846434
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】分子を回収するための方法およびアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/26 20060101AFI20210315BHJP
   G01N 1/40 20060101ALI20210315BHJP
   B01D 15/00 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   C12M1/26
   G01N1/40
   B01D15/00
【請求項の数】14
【全頁数】53
(21)【出願番号】特願2018-550840(P2018-550840)
(86)(22)【出願日】2017年4月25日
(65)【公表番号】特表2019-514356(P2019-514356A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】IB2017052353
(87)【国際公開番号】WO2017187325
(87)【国際公開日】20171102
【審査請求日】2019年10月18日
(31)【優先権主張番号】00571/16
(32)【優先日】2016年4月29日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】514323235
【氏名又は名称】クレオプティクス・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】CREOPTIX AG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】コッティエール・カスパー
【審査官】 松浦 安紀子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07517656(US,B2)
【文献】 特表2015−522151(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/046263(WO,A1)
【文献】 特表平07−509061(JP,A)
【文献】 特開2014−100588(JP,A)
【文献】 特表平07−506430(JP,A)
【文献】 特表2016−510212(JP,A)
【文献】 特開2007−089566(JP,A)
【文献】 特開2014−128268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00−3/10
B01D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の分子を回収するために使用することができるアセンブリであって、
分子に結合することができる第1のリガンド(4)を含む第1のフローセル(2);
第1のコンジット(5)を介して前記第1のフローセル(2)の第1の流体ポート(2a)に接続された少なくとも1つの廃棄物リザーバ(7、27)、および前記廃棄物リザーバ(7、27)を前記第1のフローセル(2)の第2の流体ポート(2b)に接続する第2のコンジット(15);ならびに
前記第1のコンジット(5)と前記廃棄物リザーバ(7、27)との間の流体連絡を制御するように配置構成された第1の弁(8)、および前記第2のコンジット(15)と前記廃棄物リザーバ(7、27)との間の流体連絡を制御するための第2の弁(28);
第1の副コンジット(10)を介して前記第1のコンジット(5)に流体接続された、バッファー流体を保持することができる第1のバッファーリザーバ(9)であって、前記第1の副コンジット(10)が、前記第1のフローセル(2)の前記第1の流体ポート(2a)と前記第1の弁(8)との間に位置付けられた第1の接合部(11)で前記第1のコンジット(5)に接続され、バッファー流体を、前記第1のバッファーリザーバ(9)から前記第1の副コンジット(10)内に選択的に供給することができる、第1のバッファーリザーバ(9);
少なくとも収集リザーバ(39)と、試料流体を保持することができる試料リザーバ(29)と、バッファー流体を保持することができる第2のバッファーリザーバー(19)とを含むユニット(71、72)であって、前記ユニット(71、72)が、第2の副コンジット(20)を介して前記第2のコンジット(15)に流体接続され、前記第2の副コンジット(20)が、前記第1のフローセル(2)の前記第2の流体ポート(2b)と前記第2の弁(28)との間に位置付けられた第2の接合部(21)で前記第2のコンジット(15)に接続され、前記ユニット(71、72)が、前記収集リザーバ(39)、第2のバッファーリザーバ(19)または試料リザーバ(29)を前記第2の副コンジット(20)に選択的に流体接続するように動作可能であり、そして前記ユニット(71、72)が、前記第2の副コンジット(20)に流体接続する第3の弁(18)と、前記第2のバッファーリザーバー(19)を前記第3の弁(18)に流体接続する貯蔵コンジット(30)とをさらに含み、前記第3の弁(18)は、選択的に、前記貯蔵コンジット(30)を前記第2の副コンジット(20)に流体接続するように、または前記収集リザーバ(39)を前記第2の副コンジット(20)に流体接続するように、または前記試料リザーバ(29)を前記第2の副コンジット(20)に流体接続するように動作可能であるユニット(71、72)、
を含む、アセンブリ。
【請求項2】
前記第1のバッファーリザーバ(9)が、第1のシリンジ・ポンプ(9)を含み、前記第2のバッファーリザーバ(19)が、第2のシリンジ・ポンプ(19)を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記第2の接合部(21)が、前記第2の弁(28)によりも、前記第1のフローセル(2)の前記第2の流体ポート(2b)に近付けて位置付けられる、請求項1〜2のいずれか一つに記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記第1の接合部(11)が、前記第1の弁(8)によりも、前記第1のフローセル(2)の前記第1の流体ポート(2a)に近付けて位置付けられる、請求項1〜3のいずれか一つに記載のアセンブリ。
【請求項5】
第2のフローセル(2’)、前記第2のフローセル(2’)の第1のポート(2a)と第1の廃棄物リザーバ(7)との間のさらに別の選択弁(8’)、前記第1のバッファーリザーバ(9)と前記第1の接合部(11)との間のさらに別の選択弁(38)、および接合部(31)とさらに別の接合部(11’)の間の第7の選択弁(38’)をさらに含み、前記接合部(31)は、前記第1のバッファーリザーバ(9)と、前記第1のバッファーリザーバ(9)および前記第1の接合部(11)の間にある前記選択弁(38)との間にあり、前記のさらに別の接合部(11’)は、前記第2のフローセル(2’)の前記第1のポート(2a)と、前記第2のフローセル(2’)の第1のポート(2a)および第1の廃棄物リザーバ(7)の間にある前記選択弁(8’)との間にある、請求項1〜4のいずれか一つに記載のアセンブリ。
【請求項6】
フローセル(2、2’、2’’、2’’’)がカートリッジ内に設けられ、前記カートリッジは、当該カートリッジが選択的に、前記アセンブリの固定部分に接続されまたは前記固定部分から接続解除されるように、前記アセンブリの前記固定部分に設けられた接続手段と協働するように選択的に配置構成することができる接続手段を含む、請求項1〜5のいずれか一つに記載のアセンブリ。
【請求項7】
分子に結合することができる第1のリガンド(4)を含む第1のフローセル(2)と前記第1のフローセルを収集リザーバ(39)に選択的に流体接続することができるコンジット(20、15a)とを含むアセンブリを使用する、分子を回収する方法であって、
(a) 試料流体を、前記コンジットに沿って前記第1のフローセル(2)中に流通させるステップ、
(b) バッファー流体を前記コンジットの少なくとも一部を通して流通させるステップであって、試料流体は前記第1のフローセル(2)内に維持されるが前記のコンジットの少なくとも一部はバッファー流体によって洗浄されるように、前記バッファー流体を前記第1のフローセル(2)を通しては流通させないステップ、
(c) バッファー流体を前記第1のフローセル(2)を通して流通させて、前記試料流体を前記第1のフローセル(2)から外へ流出させるステップ、
(d) 流体を、前記第1のフローセル(2)を通して、前記コンジットに沿って、および前記収集リザーバ(39)中に流入させることにより前記リガンド(4)から解離するようになった分子が、前記第1のフローセル(2)を通して流通して前記収集リザーバ(39)に運ばれる流体中に収集されるようにするステップ、
を含む、方法。
【請求項8】
流体を、前記第1のフローセルを通して、前記コンジットに沿って、および前記収集リザーバ中に流通させることにより前記第1のリガンド(4)から解離するようになった分子が、前記第1のフローセルを通して流通して前記収集リザーバに運ばれる前記流体中に収集されるようにする前記ステップ(d)が、
バッファー流体を、前記第1のフローセルを通して、前記コンジットに沿って、および前記収集リザーバ中に流通させることにより前記第1のリガンドから解離した分子が、前記第1のフローセルを通して流通して前記収集リザーバに運ばれるバッファー流体中に収集されるようにするステップ、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
バッファー流体を前記第1のフローセルを通して流通させて、前記試料流体を前記第1のフローセルから外へ流出させる前記ステップ(c)が、バッファー流体を、10ミリ秒〜10秒の間の期間にわたって前記第1のフローセルを通して流通させるステップを含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の前記アセンブリを、少なくともステップ(a)〜(d)を行うために使用することを含む、請求項7〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
(a) 試料流体を、前記第2の副コンジット(20)に沿って、前記第1のフローセル(2)を通して、前記第1のコンジット(5)に沿って、および前記廃棄物リザーバ(7、27)中に流通させるステップ、
(b) バッファー流体を、前記第2のバッファーリザーバ(19)から外へ、前記第2の副コンジット(20)に沿って、および前記廃棄物リザーバ(7、27)中に流通させるステップ、
(c) バッファー流体を前記第1のバッファーリザーバ(9)から外へ、前記第1の副コンジット(10)に沿って、および前記廃棄物リザーバ(7、27)中に流通させるステップ、
(d) バッファー流体を前記第1のバッファーリザーバ(9)から外へ、前記第1の副コンジット(10)に沿って、前記第1のフローセル(2)を通して、前記第2のコンジット(15)に沿って、および前記廃棄物リザーバ(7、27)中に流通させることにより、前記試料流体が前記第1のフローセル(2)から外へ流出させるようにするステップ、
(e) 前記第1のフローセル(2)内を流れるバッファー流体中に、前記第1のフローセル(2)内で第1のリガンド(4)から受動的に解離した分子を収集するステップ、 (f) 前記分子を含有する前記バッファー流体を、前記第2の副コンジット(20)を介して、前記収集リザーバ(39)中に収集するステップ
を含む、請求項1に記載のアセンブリを使用する請求項7に記載の方法。
【請求項12】
(a) 試料流体を、前記第2の副コンジット(20)に沿って、前記第1のフローセル(2)を通して、前記第1のコンジット(5)に沿って、および前記廃棄物リザーバ(7、27)中を流通させるステップ、
(b) バッファー流体を前記第1のバッファーリザーバ(9)から外へ、前記第1の副コンジット(10)に沿って、前記第1のフローセル(2)を通して、および前記第2のコンジット(15)に沿って、および前記廃棄物リザーバ(7、27)中に流通させるステップ、
(c) バッファー流体を前記第2のバッファーリザーバ(19)から外へ、前記第2の副コンジット(20)に沿って、および前記廃棄物リザーバ(7、27)中に流通させるステップ、
(d) 再生流体を、前記第2の副コンジット(20)に沿って、および前記第1のフローセル(2)中に流通させるステップであって、前記再生流体が、前記第1のフローセル(2)内の第1のリガンドに結合した分子を前記第1のリガンドから解離させるステップ、
(e) 前記再生流体中に、前記第1のリガンドから解離した分子を収集するステップ、
(f) バッファー流体を、前記第2のバッファーリザーバ(19)から外へ、前記第2の副コンジット(20)に沿って、および前記廃棄物リザーバ(7、27)中に流通させるステップ、
(g) 前記第2の副コンジット(20)を介して、前記分子を含有する再生流体を、前記収集リザーバ(39)中に収集するステップ、
を含む、請求項1に記載のアセンブリを使用する請求項7に記載の方法。
【請求項13】
複数の異なる流体を試料リザーバもしくはレセプタクルに溜めることにより、前記試料流体を調製するステップをさらに含む、請求項7〜12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
1つまたは複数のフローセル(2、2’、2’’、2’’’)と、ミクロ流体アセンブリの固定部分に設けられた接続手段に対して協働するよう選択的に配置構成することができる接続手段とを含み、従って選択的に前記固定部分に接続しまたは前記固定部分から接続解除することができるカートリッジであって、
前記カートリッジが、分子に結合することができる第1のリガンド(4)を備えかつ第1の流体ポート(2a)および第2の流体ポート(2b)を有する、少なくとも第1のフローセル(2)を含み、
前記固定部分が、少なくとも、第1のコンジット(5)を介して前記第1のフローセル(2)の前記第1の流体ポート(2a)に接続可能な1つの廃棄物リザーバ(7、27)、および前記廃棄物リザーバ(7、27)を前記第1のフローセル(2)の第2の流体ポート(2b)に接続できる第2のコンジット(15)と;前記第1のコンジット(5)および前記廃棄物リザーバ(7、27)の間の流体連絡を制御するように配置構成された第1の弁(8)と、前記第2のコンジット(15)および前記廃棄物リザーバ(7、27)の間の流体連絡を制御する第2の弁(28)と;バッファー流体を保持することができ、第1の副コンジット(10)を介して前記第1のコンジット(5)に流体接続できる第1のバッファーリザーバ(9)であって、前記第1のバッファーリザーバ(9)が第1の副コンジット(10)を介して前記第1のコンジット(5)に流体接続され、前記第1の副コンジット(10)が、前記第1のフローセル(2)の前記第1の流体ポート(2a)と前記第1の弁(8)との間に位置付けられた第1の接合部(11)で前記第1のコンジット(5)に接続され、バッファー流体を、前記第1のバッファーリザーバ(9)から前記第1の副コンジット(10)に選択的に供給することができる、バッファーリザーバ(9)と;少なくとも収集リザーバ(39)、および試料流体を保持することができる試料リザーバ(29)、およびバッファー流体を保持することができる第2のバッファーリザーバ(19)を含むユニット(71、72)であって、前記ユニット(71、72)が、第2の副コンジット(20)を介して前記第2のコンジット(15)に流体接続され、前記第2の副コンジット(20)が、前記第1のフローセル(2)の前記第2の流体ポート(2b)と前記第2の弁(28)との間に位置付けられた第2の接合部(21)で前記第2のコンジット(15)に接続され、前記ユニット(71、72)が、選択的に、前記収集リザーバ(39)、第2のバッファーリザーバ(19)または試料リザーバ(29)を前記第2の副コンジット(20)に流体接続するように動作可能であり、前記ユニット(71、72)が、前記第2の副コンジット(20)に流体接続する第3の弁(18)と;前記第2のバッファーリザーバー(19)を前記第3の弁(18)に流体接続する貯蔵コンジット(30)とを含み、前記第3の弁(18)が、選択的に、前記貯蔵コンジット(30)を前記第2の副コンジット(20)に流体接続するように、または前記収集リザーバ(39)を前記第2の副コンジット(20)に流体接続するように、または前記試料リザーバ(29)を前記第2の副コンジット(20)に流体接続するように動作可能であるユニット(71、72)とを含み、
したがって、前記カートリッジが前記固定部分に接続されたときに、請求項1に記載のミクロ流体アセンブリが形成される、
カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子を回収するための方法およびアセンブリに関し;詳細には、汚染が低減された、リガンドに結合した分子を回収するための方法およびアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
既存の方法では、試験中の試料流体は、センサのフローセルなどのフローセル、またはリガンドを含む親和性精製カラムを通過する。リガンドは、事前に定義された特徴を有する、例えばリガンドに対して高い親和性または誘引力を有する分子に結合する。このように、どの分子がリガンドに結合するようになるのかを明らかにすることによって、試料流体中のどの分子が、リガンドに対して高い親和性または誘引力を有するという前記事前に定義された特徴を有するのかを決定することができる。
【0003】
どの分子がリガンドに結合するようになるのかを明らかにするために、リガンドに結合する分子は、バッファー流体を使用して収集される。バッファー流体はフローセル内に流れて、リガンドに結合した分子を収集し;次いで収集された分子を含有するバッファー流体は、フローセルから質量分光計まで、コンジットに沿って流れ;質量分光計では、収集された分子を含有するバッファー流体を分析して、バッファー流体に含有される分子を同定する。バッファー流体に含有される分子の同定は、リガンドに結合した分子を同定し、前記事前に定義された特徴を有する試料流体中の分子を最終的には同定する。
【0004】
不都合なことに、バッファー流体がコンジットに沿ってフローセルから質量分光計に流れるにつれ、収集された分子を含有するバッファー流体は、コンジット内に存在する外来分子によって汚染される。コンジット内に存在する外来分子は、バッファー流体がコンジットに沿ってフローセルから質量分光計に流れるにつれ、バッファー流体に収集されることになり;質量分光計での分析は、バッファー流体が外来分子を含有することを示すことになり、したがって、外来分子がリガンドに結合しかつ前記事前に定義された特徴を有すると、誤って示すことになる。
【0005】
一例において、フローセルと質量分光計との間のコンジットは、残存試料流体を含有していてもよく;バッファー流体がコンジットに沿ってフローセルから質量分光計まで流れるにつれ、コンジット内に存在する残存試料流体は、バッファー流体に収集されることになり;その結果、次に、バッファー流体は、リガンドに結合した分子だけではなく試料流体中に存在する異なるタイプの分子の全てを含有することになる。その結果、当初の試料流体が前記事前に定義された特徴を有する分子を含有した場合、質量分光計で正確に同定することが可能ではなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述の欠点のいくつかを少なくとも緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、試料中の分子を回収するのに使用することができるアセンブリが提供され、このアセンブリは、分子に結合することができる第1のリガンドを含む第1のフローセル;第1のコンジットを介して第1のフローセルの第1の流体ポートに接続される少なくとも1つの廃棄物リザーバ、および前記廃棄物リザーバを第1のフローセルの第2の流体ポートに接続する第2のコンジット;ならびに第1のコンジットと廃棄物リザーバとの間の流体連絡を制御するように配置構成された第1の弁、および第2のコンジットと廃棄物リザーバとの間の流体連絡を制御する手段、第1の副コンジットを介して第1のコンジットに流体接続された、バッファー流体を保持することができる少なくとも1つのバッファーリザーバであって、第1の副コンジットが、第1のフローセルの第1の流体ポートと第1の弁との間に位置付けられた第1の接合部で第1のコンジットに接続され、バッファー流体を、バッファーリザーバから第1の副コンジット内に選択的に供給することができる、少なくとも1つのバッファーリザーバ;少なくとも収集リザーバと、試料流体を保持することができる試料リザーバとを含むユニットであって、前記ユニットが、第2の副コンジットを介して第2のコンジットに流体接続され、第2の副コンジットが、第1のフローセルの第2の流体ポートと第2の弁との間に位置付けられた第2の接合部で第2のコンジットに接続され、ユニットが、収集リザーバ、バッファーリザーバ、または試料リザーバを第2の副コンジットに選択的に流体接続するよう動作可能であるユニットを含む。
【0008】
第2のコンジットと廃棄物リザーバとの間の流体連絡を制御する手段は、第2の弁および/または流動制限器を含んでいてもよい。
【0009】
アセンブリは、第2のフローセルをさらに含んでいてもよい。
【0010】
アセンブリは、第2のフローセルの第1のポートと第1の廃棄物リザーバとの間のその他の選択弁、第1のバッファーリザーバと前記第1の接合部との間のその他の選択弁;および接合部とその他の接合部との間の第7の選択弁をさらに含んでいてもよく、前記接合部は、第1のバッファーリザーバと、第1のバッファーリザーバおよび第1の接合部の間にある前記選択弁との間にあり、前記その他の接合部は、前記第2のフローセルの前記第1のポートと、第2のフローセルの第1のポートおよび第1の廃棄物リザーバの間にある前記選択弁との間にある。
【0011】
アセンブリは、第2のフローセルの第2のポートと第2の廃棄物リザーバとの間に、他の選択弁をさらに含んでいてもよい。
【0012】
アセンブリは、第3のフローセルおよび第4のフローセルをさらに含んでいてもよい。
【0013】
一実施形態では、フローセルはカートリッジ内に設けられ、カートリッジは、アセンブリの固定部分に設けられた接続手段と協働するよう選択的に配置構成される接続手段を含み、したがってカートリッジは、アセンブリの固定部分に選択的に接続されまたは接続解除されるようになる。
【0014】
アセンブリは、第1の廃棄物リザーバおよび第2の廃棄物リザーバを含んでいてもよく、第1の廃棄物リザーバは、第1のコンジットを介して第1のフローセルの第1の流体ポートに流体接続することができ、第2の廃棄物リザーバは、第2のコンジットを介して第1のフローセルの第2の流体ポートに流体接続することができる。
【0015】
実施形態では、第1のフローセルは、1mmよりも大きい面積を占有する複数の第1のリガンドを含む。
【0016】
アセンブリは、第1の副コンジットを介して第1のコンジットに流体接続することができる、第1のバッファーリザーバと、第2の副コンジットを介して第2のコンジットに流体接続することができる、第2のバッファーリザーバとを含んでいてもよい。
【0017】
第1のバッファーリザーバは、第1のシリンジ・ポンプを含んでいてもよい。
【0018】
第2のバッファーリザーバは、第2のシリンジ・ポンプを含んでいてもよい。
【0019】
ユニットは、第2の副コンジットに流体接続された第3の弁;およびシリンジ・ポンプを第3の弁に流体接続する貯蔵コンジットを含んでいてもよく;第3の弁は、選択的に、貯蔵コンジットを第2の副コンジットに流体接続するように、または収集リザーバを第2の副コンジットに流体接続するように、または試料リザーバを第2の副コンジットに流体接続するように、動作可能であってもよい。
【0020】
ユニットは、収集リザーバおよび試料リザーバが表面に支持されるX−Yテーブルをさらに含んでいてもよく;X−Yテーブルは、選択的に、収集リザーバを第3の弁に流体接続するように、または試料リザーバを第3の弁に流体接続するように、可動である。
【0021】
ユニットは、第3の廃棄物リザーバと、再生流体を保持することができる溶出試薬リザーバとをさらに含んでいてもよい。
【0022】
第3の廃棄物リザーバおよび/または溶出試薬リザーバは、X−Yテーブル上に支持されてもよい。X−Yテーブルは、選択的に、収集リザーバを第3の弁に流体接続するように、または試料リザーバを第3の弁に流体接続するように、または第3の廃棄物リザーバを第3の弁に流体接続するように、または溶出試薬リザーバを第3の弁に流体接続するように、可動であってもよい。
【0023】
ユニットは、オートサンプラを含んでいてもよい。
【0024】
第2の接合部は、第2の弁に対してよりも、第1のフローセルの第2の流体ポートに対して、より近く位置付けられてもよい。
【0025】
第1の接合部は、第1の弁に対してよりも、第1のフローセルの第1の流体ポートに対して、より近く位置付けられていてもよい。
【0026】
第1のフローセルは、1mmよりも大きい面積を占有する複数のリガンドを含んでいてもよい。
【0027】
本発明のその他の態様によれば、分子に結合することができるリガンドを含む第1のフローセルと、第1のフローセルを収集リザーバに選択的に流体接続することができるコンジットとを含むアセンブリを使用して、分子を回収する方法が提供され;この方法は、
(a) 試料流体を、コンジットに沿って第1のフローセル内に流すステップ;
(b) 試料流体が第1のフローセル内に維持されるように、しかし前記コンジットの少なくとも一部はバッファー流体により清浄化されるように、第1のフローセル内にいかなるバッファー流体も流すことなく、バッファー流体をコンジットの少なくとも一部に流すステップ;
(c) バッファー流体を第1のフローセル内に流して、試料流体を第1のフローセルの外に流出させるステップ;
(d) 流体を、コンジットに沿って第1のフローセル内に流し、収集リザーバ内に流して、リガンドに結合しており、そしてリガンドから解離するようになった試料流体の分子が、第1のフローセル内を流れ収集リザーバに運ばれる流体に収集されるようにするステップ
を含む。
【0028】
流体を、コンジットに沿って第1のフローセル内に流し、収集リザーバ内に流して、リガンドに結合しており、そしてリガンドから解離するようになった試料流体の分子が、第1のフローセル内を流れ収集リザーバに運ばれる流体に収集されるようにするステップ(d)は、バッファー流体を、コンジットに沿って第1のフローセル内に流し、収集リザーバ内に流して、リガンドに結合しており、そしてリガンドから解離した試料流体の分子が、第1のフローセル内を流れ収集リザーバに運ばれるバッファー流体に収集されるようにするステップを、含んでいてもよい。
【0029】
バッファー流体を第1のフローセル内に流して、試料流体を第1のフローセルの外に流出させるステップ(c)は、バッファー流体を、10ミリ秒〜10秒の間の期間にわたり第1のフローセル内に流すステップを含んでいてもよい。
【0030】
流体を、コンジットに沿って第1のフローセル内に流し、収集リザーバ内に流して、リガンドに結合しており、そしてリガンドから解離するようになった試料流体の分子が、第1のフローセル内を流れ収集リザーバに運ばれる流体に収集されるようにするステップ(d)は、再生流体を、コンジットに沿って第1のフローセル内に流し、収集リザーバ内に流すことを含み、再生流体は、リガンドに結合した分子を、それらが結合しているリガンドから解離させ、解離した分子は、第1のフローセル内を流れ収集リザーバに運ばれる再生流体に収集される。
【0031】
バッファー流体を、コンジットの少なくとも一部に流すステップ(b)は、前記コンジットの少なくとも一部の体積の3〜5倍の間に等しい体積のバッファー流体を、前記コンジットの少なくとも一部に沿って流すステップを含んでいてもよい。
【0032】
方法は、リガンドを含む第1のフローセルの代わりに、異なるタイプのリガンドを含む第1のフローセルを用いるステップと、ステップ(a)〜(d)を繰り返すステップとを、さらに含んでいてもよい。
【0033】
方法は、少なくともステップ(a)〜(d)を行うのに上述のアセンブリのいずれかを使用するステップを、含んでいてもよい。
【0034】
方法は、上述のアセンブリのいずれかを使用して、
(a) 試料流体を、第2の副コンジットに沿って第1のフローセル内に流し、第1のコンジットに沿って、廃棄物リザーバ内に流すステップ;
(b) バッファー流体を第2のバッファーリザーバの外に流し、第2の副コンジットに沿って、廃棄物リザーバ内に流すステップ;
(c) バッファー流体を第1の試料リザーバの外に流し、第1の副コンジットに沿って、廃棄物リザーバ内に流すステップ;
(d) バッファー流体を第1のバッファーリザーバの外に流し、第1の副コンジットに沿って、第1のフローセル内に流し、第2のコンジットに沿って、廃棄物リザーバ内に流し、試料流体を第1のフローセルの外に流出させるようにするステップ;
(e) 第1のフローセル内を流れるバッファー流体中に、第1のフローセル内でリガンドから受動的に解離した分子を収集するステップ;
(f) 前記分子を含有するバッファー流体を、第2の副コンジットを介して、収集リザーバに収集するステップ
を含む。
【0035】
方法は、バッファー流体を第1の試料リザーバの外に流し、第1の副コンジットに沿って、第1のフローセル内に流し、第2のコンジットに沿って、廃棄物リザーバ内に流すステップを、さらに含んでいてもよい。
【0036】
方法は、第2の副コンジットに沿って試料流体を流し、廃棄物リザーバ内に流すステップを、さらに含んでいてもよい。
【0037】
バッファー流体を第1のバッファーリザーバの外に流し、第1の副コンジットに沿って、第1のフローセル内に流し、第2のコンジットに沿って、廃棄物リザーバ内に流し、試料流体が第1のフローセルの外に一掃されるようにする前記ステップ(d)は、
前記バッファー流体を、10ミリ秒〜10秒の間の期間にわたり第1のフローセル内に流すステップ
を含んでいてもよい。
【0038】
方法は、上述のアセンブリのいずれかを使用して、
(a) 試料流体を、第2の副コンジットに沿って第1のフローセル内に流し、第1のコンジットに沿って、廃棄物リザーバ内に流すステップ;
(b) バッファー流体を第1の試料リザーバの外に流し、第1の副コンジットに沿って、第1のフローセル内に流し、第2のコンジットに沿って、廃棄物リザーバ内に流すステップ;
(c) バッファー流体を第2の最初の試料リザーバの外に流し、第2の副コンジットに沿って、廃棄物リザーバ内に流すステップ;
(d) 再生流体を、第2の副コンジットに沿って、第1のフローセル内に流すステップであって、再生流体が、第1のフローセル内のリガンドに結合する分子をリガンドから解離させるステップ;
(e) 再生流体中に、リガンドから解離した分子を収集するステップ;
(f) バッファー流体を、第2の最初の試料リザーバの外に流し、第2の副コンジットに沿って、廃棄物リザーバ内に流すステップ;
(g) 第2の副コンジットを介して、前記分子を含有する再生流体を、収集リザーバ内に収集するステップ
を含む。
【0039】
方法は、バッファー流体を第1の試料リザーバの外に流し、第1の副コンジットに沿って、廃棄物リザーバ内に流すステップを、さらに含んでいてもよい。
【0040】
ステップ(d)は、再生流体を、第2の副コンジットに沿って、第1のフローセル内を経て、第1の副コンジットの少なくとも一部に沿って、流すステップを含んでいてもよい。
【0041】
方法は、収集リザーバに収集された流体を分析デバイスに通すステップと;分析デバイスを使用して、第1のフローセル内でリガンドに結合した流体中の分子を同定するステップとを、さらに含んでいてもよい。
【0042】
分析デバイスは、質量分光計を含んでいてもよい。
【0043】
方法は、分子が第1のフローセル内でリガンドに結合したことを検出するためにモニタするステップを、さらに含んでいてもよい。
【0044】
方法は、分子が第1のフローセル内でリガンドに結合したことを検出するためにモニタするステップと、
モニタするステップによって、分子が第1のフローセル内でリガンドに結合したことを検出する場合のみ、収集リザーバに収集された流体を、第1のフローセル内でリガンドに結合した流体中の分子を同定するために使用することができる分析デバイスに通すステップと
を、さらに含んでいてもよい。
【0045】
方法は、複数の異なる流体を試料リザーバまたはレセプタクルに貯めることにより、試料流体を調製するステップを、さらに含んでいてもよい。
【0046】
本発明のその他の態様によれば、カートリッジが提供され、このカートリッジは、1つまたは複数のフローセルと、ミクロ流体アセンブリの固定部分に設けられた接続手段に対して協働するよう選択的に配置構成することができる接続手段とを含むことにより、カートリッジが、選択的に固定部分と接続しまたは固定部分から接続解除することができるようになされており、カートリッジは、分子に結合することができる第1のリガンドを含みかつ第1の流体ポートおよび第2の流体ポートを有する少なくとも第1のフローセルを含み、固定部分は、廃棄物リザーバを第1のフローセルの第2の流体ポートに接続することができる第1のコンジットおよび第2のコンジットを介して第1のフローセルの第1の流体ポートに接続可能な少なくとも1つの廃棄物リザーバと、第1のコンジットと廃棄物リザーバとの間の流体連絡を制御するように配置構成された第1の弁と、第2のコンジットと廃棄物リザーバとの間の流体連絡を制御する第2の弁とを含む、フローセルおよび接続手段と;第1の副コンジットを介して第1のコンジットに流体接続する、バッファー流体を保持することができる少なくとも1つのバッファーリザーバであって、第1の副コンジットが、第1のフローセルの第1の流体ポートと第1の弁との間に位置付けられた第1の接合部で第1のコンジットに接続され、バッファー流体を、バッファーリザーバから第1の副コンジットに選択的に供給することができる、バッファーリザーバと;少なくとも収集リザーバと、試料流体を保持することができる試料リザーバとを含むユニットであって、前記ユニットが、第2の副コンジットを介して第2のコンジットに流体接続され、第2の副コンジットが、第1のフローセルの第2の流体ポートと第2の弁との間に位置付けられた第2の接続部で第2のコンジットに接続され、ユニットが、選択的に、収集リザーバ、バッファーリザーバ、または試料リザーバを第2の副コンジットに流体接続するよう動作可能であるユニットとを含み、その結果、上述のミクロ流体アセンブリのいずれか1つによるミクロ流体アセンブリは、カートリッジが固定部分に接続されたときに形成されるようになる。
【0047】
本発明は、単なる例として与えられかつ図により例示される、実施形態の記述の助けを借りて、より良く理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明の好ましい実施形態による、ミクロ流体アセンブリの概略図を提示する。
図2】本発明の別の実施形態による、ミクロ流体アセンブリの概略図を提示する。
図3】本発明の別の実施形態による、ミクロ流体アセンブリの概略図を提示する。
図4】本発明の別の実施形態による、ミクロ流体アセンブリの概略図を提示する。
図5】本発明の別の実施形態による、ミクロ流体アセンブリの概略図を提示する。
図6a】使い捨てカートリッジの一部の斜視図を提示する。
図6b】使い捨てカートリッジおよびプランジャを、互いに機械的に協働させて、本発明によるミクロ流体アセンブリを形成することができる、プランジャの斜視図を提示する。
図7図6aに示される使い捨てカートリッジの一部の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、生化学的感知に適切な、例えばリガンドに対して高い親和性を有する未知の分子のスクリーニング、またはリガンドに結合する試料流体中の未知の濃度での公知の分子の検出もしくは定量に適切な、本発明の一実施形態によるミクロ流体アセンブリ1の概略図を提示する。例は、小分子薬およびそれらの薬物標的、例えばシクロオキシゲナーゼに結合するアセチルサリチル酸(アスピリンとしても公知である。);または、体液中の、ヒト上皮成長因子受容体2型などの癌バイオマーカーを検出するのに使用することができる、ファージディスプレイ・ライブラリから親和性選択された組換え抗体を含む。
【0050】
ミクロ流体アセンブリ1は、第1のリガンド4を含む第1の表面3を含む、第1のフローセル2を含む。第1のリガンド4は、第1の表面3に共有結合したデキストラン層などの薄いヒドロゲル層内でのアミンカップリングを使用して、好ましくは固定化され;別の好ましい実施形態では、第1のリガンド4は、第1のフローセル容積内で、アガロースなどのゲルマトリックス内でヘキサヒスチジンまたはグルタチオン−5−トランスフェラーゼなどの適切なタグによって捕獲される。好ましくは、第1の表面3は、例えばヒドロゲル層の厚さおよび/またはリガンドのサイズによって限定され得る、所与の(事前に定義された)リガンド表面密度(例えば、第1の表面3上のリガンドの密度は、事前に定義された密度であり;したがって、第1の表面3の面積を増大させ、事前に定義された密度に等しい密度を維持することにより、第1のフローセル内のリガンドの数が増加することになる。)に関するリガンドの総量を増加させるために、1平方ミリメートルよりも大きい、または2平方ミリメートルよりも大きい、または5平方ミリメートルよりも大きい面積を有する。面積は、平らな表面の面積であってもよく、表面に存在するミクロ細孔の内面を含んでいてもよい。好ましい実施形態では、ミクロ流体アセンブリ1はさらに、分子が第1のフローセル2内の第1のリガンド4に結合したか否かを測定するように構成された、好ましくは第1のフローセル2内の第1のリガンド4に結合した分子の数を測定するように構成された、センサ(表面プラズモン共鳴センサまたは導波路干渉センサまたは表面音響センサなど)を含み;前記センサは、そのような測定を行うことができるように、好ましくは第1のフローセル2に動作可能に接続される。第1のリガンド4は、分子がリガンドの結合ポケットに適合する単純な鍵と鍵穴のメカニズムを介して、または立体構造変化などのより複雑な分子プロセスによる支援を介して、リガンドに対して高い親和性を有するような事前に定義された特徴を有する分子に結合することができる。このように、試料流体を第1のフローセル2の第1の表面3上に通し、次いでどの分子が第1のリガンド4に結合するようになったかを決定することによって、試料流体中のどの分子が、リガンドに対して高い親和性を有するという前記事前に定義された特徴を有するかを決定することができる。
【0051】
リガンド4に結合した分子は、解離する時間まで結合したままである。分子は、結合しているリガンドから、介入なしに自動的に解離することができ、即ち受動的解離であり;その他の場合には、分子が結合しているリガンドから分子を解離させるのに介入を必要とし、即ち能動的解離である。例えば、能動的解離では、低pHであるグリシンなどの再生溶液を、第1の表面3上に流すことができ、その結果、結合している分子をリガンド4から解離させる。
【0052】
ミクロ流体アセンブリ1はさらに、第1のコンジット5を含み、このコンジットの一端は、第1のフローセル2の第1の流体ポート2aに流体接続しており、このコンジットの他端は、第1の選択弁8に流体接続している。第1の選択弁8は、選択的に、第1のコンジット5を第1の廃棄物リザーバ7に流体接続する。第1の廃棄物リザーバ7は、洗浄排液などの望ましくない流体を受容し貯蔵することができる。
【0053】
第1の選択弁8は、第1の位置と第2の位置との間で可動であり;第1の選択弁8がその第1の位置にあるとき、第1の選択弁8は、流体を第1のコンジット5から第1の廃棄物リザーバ7に通すことが可能であり;第1の選択弁8がその第2の位置にあるとき、第1の選択弁8は閉じ、したがって流体が、第1の選択弁8を介して第1のコンジット5の外に流れるのを防止する。
【0054】
ミクロ流体アセンブリ1は、ミクロ流体アセンブリ1の部品を清浄化するのに使用することができるバッファー流体を含有する第1のバッファーリザーバ9を、さらに含む。この例では、第1のバッファーリザーバ9は第1のシリンジ・ポンプ9を含み;第1のシリンジ・ポンプ9は、バッファー流体を含有するレセプタクル9bと、レセプタクル9bに選択的に押し込まれてバッファー流体を第1のシリンジ・ポンプ9の外に放出することができるプランジャ9aとを含む。さらに、プランジャを、レセプタクル9bから外に出る方向に移動させることにより負圧が創出されて、バッファー流体を第1のシリンジ・ポンプ9内に吸引する。好ましくはバッファー流体は、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)などの生理的バッファーを含む。
【0055】
第1のバッファーリザーバ9は、第1の副コンジット10を用いて第1のコンジット5に流体接続される。第1の副コンジット10は、第1の接合部11で第1のコンジット5に接続する。図1に示されるように、この例では、第1の副コンジット10が第1のコンジット5に垂直に配置構成されて、第1の接合部11がT字形接合部11であるようになされており;しかし第1の接合部11は、任意の形状または構成をとってもよいことが理解されよう。さらに第1の接合部11は、無弁接合部である(即ち、第1の接合部11には弁が存在していない)。本実施形態の変形例では、弁は第1の接合部11に設けられ;弁は、第1の開放位置と第2の閉鎖位置との間で可動であり;第1の開放位置では、弁は開放して、流体を第1の副コンジット10と第1のコンジット5との間に流し、第2の閉鎖位置では、弁は閉鎖して、第1の副コンジット10と第1のコンジット5との間の流体流を遮断する。
【0056】
第1のフローセル2の第1の流体ポート2aと第1の接合部11との間に位置付けられた、第1のコンジット5の一部を、第1のコンジット5の第1の部分5aと呼ぶことにし、第1の接合部11と第1の選択弁8との間に位置付けられた第1のコンジット5の部分を、第1のコンジット5の第2の部分5bと呼ぶことにする。好ましい実施形態では、第1のコンジット5の第1の部分5aは、第1のコンジットの第2の部分5bの容積よりも低い容積を有するように構成され;例えば、第1のコンジット5の第1の部分5aと第1のコンジット5の第2の部分5bとの両方は、等しい内径を有し、第1のコンジット5の第1の部分5aは、第1のコンジット5の第1の部分5aが第1のコンジット5の第2の部分5bの容積よりも低い容積を有するように、第1のコンジット5の第2の部分5bの長さよりも短くなるように構成され;別の例では、第1のコンジット5の第1の部分5aと第1のコンジット5の第2の部分5bとの両方が、等しい長さを有し、第1のコンジット5の第1の部分5aは、第1のコンジット5の第1の部分5aが第1のコンジット5の第2の部分5bの容積よりも低い容積を有するように、第1のコンジット5の第2の部分5bの内径よりも短い内径を有するように構成される。好ましくは、第1のコンジット5の第1の部分5aは、1ナノリットルから10マイクロリットルの間の容積を有し、第1のコンジット5の第2の部分5bは、第1のコンジット5の第1の部分5aの少なくとも2倍の容積を有し;最も好ましくは、第1のコンジット5の第1の部分5aは、1ナノリットルから1マイクロリットルの間の体積を有し、第1のコンジット5の第2の部分5bは、第1のコンジット5の第1の部分5aの少なくとも3倍の容積を有する。
【0057】
ミクロ流体アセンブリ1はさらに、第2のコンジット15を含み、その一端は、第1のフローセル2の第2の流体ポート2bに流体接続し、その他端は、第2の選択弁28に流体接続しており;第2の選択弁28は、第2のコンジット5を第2の廃棄物リザーバ27に、選択的に流体接続することができる。第2の廃棄物リザーバ27は、洗浄排液などの望ましくない流体を、受容し貯蔵することができる。
【0058】
本実施形態の変形例では、アセンブリ1は、単一の廃棄物リザーバのみ含む。例えば、本実施形態の変形例では、アセンブリ1は第2の廃棄物リザーバ27を含まず;代わりに第2の選択弁28が第1の廃棄物リザーバに流体接続され、したがって第2の選択弁は、第2のコンジット15を、第1の廃棄物リザーバ7に選択的に流体接続することができるようになる。都合の良いことに、実施形態のこの変形例では、ミクロ流体アセンブリ1は、より少ない数の廃棄物リザーバを含む。
【0059】
図1に示される実施形態に関して続けると、第2の選択弁28は、第1の位置と第2の位置との間で可動であり;第2の選択弁28がその第1の位置にあるとき、第2の選択弁28は、流体を第2のコンジット15から第2の廃棄物リザーバ27内に流し;第2の選択弁28がその第2の位置にあるとき、第2の選択弁28は閉鎖され、したがって流体が、第2のコンジット15の外から第2の廃棄物リザーバ27に流れるのを防止する。
【0060】
ミクロ流体アセンブリ1はさらに、ミクロ流体アセンブリ1の部品を清浄化するのに使用することができるバッファー流体を含有する、第2のバッファーリザーバ19を含む。この例では、第2のバッファーリザーバ19は、第2のシリンジ・ポンプ19を含み;第2のシリンジ・ポンプ19は、バッファー流体を含有するレセプタクル19bと、第2のシリンジ・ポンプ19の外にバッファー流体を選択的に放出するようレセプタクル19b内に選択的に押し込むことができるプランジャ19aとを含む。さらに、プランジャ19aを、レセプタクル19bから外に出る方向に移動させることにより、負圧が創出されて、第2のシリンジ・ポンプ19内にバッファー流体が吸引される。好ましくはバッファー流体は、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)などの生理学的バッファーを含む。
【0061】
ミクロ流体アセンブリ1は、第1のリガンド4との結合に関して試験がなされる分子を含有する試料流体を含有する、試料リザーバ29と、結合した分子を内部に計量分配することができる収集リザーバ39とをさらに含む。この例示的な実施形態では、試料リザーバ29および収集リザーバ39は、x−yテーブル50上に位置付けられる。x−yテーブルは、選択的に試料リザーバ29または収集リザーバ39のいずれかを中間コンジット51に流体接続するように、選択的に移動させることができる(xまたはy軸に沿って−両矢印により示されるように)。図1は、試料リザーバ29が中間コンジット51に流体接続される位置にあり、それによってx−yテーブル50は、試料リザーバ29が中間コンジット51の自由端の下に位置決めされるように位置決めされている、x−yテーブルを示し;しかしx−テーブル51は、中間コンジット51の自由端の下に収集リザーバ39が位置決めされて、収集リザーバ39が中間コンジット51に流体接続されるように移動させるため、選択的に動作可能にできることが理解されよう。
【0062】
ミクロ流体アセンブリ1は、第3の選択弁18をさらに含む。第3の選択弁18は中間コンジット51に流体接続され、したがって試料リザーバ29および収集リザーバ39は、第3の選択弁18に選択的に流体接続することができる。第3の選択弁は、貯蔵コンジット30を介して第2のシリンジ・ポンプ19に、さらに流体接続される。この例では、貯蔵コンジット30は、貯蔵コンジット30に貯蔵することができる流体の体積が増加するように、コイル状コンジットである。この例では、貯蔵コンジット30は、100マイクロリットルよりも大きい内部容積を有する。貯蔵コンジット30の一端は、第2のシリンジ・ポンプ19に流体接続され、貯蔵コンジット30の反対側の端部は第3の選択弁18に流体接続される。
【0063】
貯蔵コンジット30、x−yテーブル50、第3の選択弁18、第2のバッファーリザーバ19(例えば、第2のシリンジ・ポンプ19)、中間コンジット1、試料リザーバ29、および収集リザーバ39を、まとめてユニット71と定義すると見なすことができる。
【0064】
実施形態の変形例では、ユニット71の代わりに(即ち、貯蔵コンジット30、x−yテーブル50、第2のバッファーリザーバ19、第3の選択弁18、中間コンジット1、試料リザーバ29、および収集リザーバ39を含む、構成部品の群の代わりに)、例えばオートサンプラなどの、試料流体を投入し貯蔵するための任意のその他の適切な手段を設けてもよく;例えば、Spark Holland、NL.製「Alias」などのオートサンプラ・モデルを、前記上述の構成部品の群の代わりにアセンブリ1に設けることができる。好ましくは、実施形態のこの変形例では、アセンブリはさらに、オートサンプラに動作可能に接続されたポンプを含むことになる。
【0065】
図1に示されるアセンブリに関して続けると、第3の選択弁18は、第2の副コンジット20を用いて、第2のコンジット15に流体接続される。第2の副コンジット20は、第2の接合部21で第2のコンジット15に接続される。図1に示されるように、この例では、第2の副コンジット20が第2のコンジット15に垂直に配置構成されて、第2の接合部21がT字形接合部21となるようにし;しかし第2の接合部21は、任意の形状または構成をとってもよいことが理解されよう。この実施形態において、第2の接合部21は無弁である(即ち、第2の接合部21には弁が存在しない)。この実施形態の変形例では、弁が第2の接合部21に設けられ;弁は、第1の開放位置と第2の閉鎖位置との間で可動であり;第1の開放位置では、弁は開放して、第2の副コンジット20と第2のコンジット15との間での流体流を可能にし、第2の閉鎖位置では、弁は閉鎖して、第2の副コンジット20と第2のコンジット15との間の流体流を遮断する。
【0066】
第1のフローセル2の第2の流体ポート2bと第2の接合部21との間に位置付けられた、第2のコンジット15の部分は、第2のコンジット15の第1の部分15aと呼ぶことになり、第2の接合部21と第2の選択弁28との間に位置付けられた第2のコンジット15の部分は、第2のコンジット15の第2の部分15bと呼ばれることになる。好ましい実施形態では、第2のコンジット15の第1の部分15aは、第2のコンジット15の第2の部分15bよりも非常に少ない容積を有する。例えば、第2のコンジット15の第1の部分15aと第2のコンジット15の第2の部分15bとは共に、等しい内径を有していてもよく、第2のコンジット15の第1の部分15aは、第2のコンジット15の第1の部分15aが第2のコンジット15の第2の部分15bの容積よりも少ない容積を有するように、第2のコンジット15の第2の部分15bの長さよりも短く構成され;別の例では、第2のコンジット15の第1の部分15aと第2のコンジット15の第2の部分15bとが共に、等しい長さを有し、第2のコンジット15の第1の部分15aは、第2のコンジット15の第2の部分15bの内径よりも短い内径を有するように構成され、したがって第2のコンジット15の第1の部分15aは、第2のコンジット15の第2の部分15bの容積よりも少ない容積を有するようになされている。好ましくは、第2のコンジット15の第1の部分15aは、10ナノリットルから10マイクロリットルの間の容積を有し、第1のコンジットの第2の部分15bは、第2のコンジット15の第1の部分15aの少なくとも2倍の容積を有し;最も好ましくは、第2のコンジット15の第1の部分5aは、10ナノリットルから1マイクロリットルの間の容積を有し、第2のコンジット15の第2の部分15bは、第2のコンジット15の第1の部分15aの少なくとも3倍の容積を有する。
【0067】
第3の弁18は、第1の位置と第2の位置との間で可動である。第3の選択弁18が、その第1の位置にあるとき、第3の選択弁18は、中間コンジット51を貯蔵コンジット30に流体接続する。このように、第3の選択弁18がその第1の位置にある場合、および中間コンジット51が試料リザーバ29に流体接続するようにx−yテーブルが位置決めされる場合、試料リザーバ中の試料流体は、コンジット51を通過し、第3の選択弁18を介して貯蔵コンジット30に入ることができる。同様に、第3の選択弁18がその第1の位置にあり、中間コンジット51が収集リザーバ39に流体接続するようにx−yテーブルが位置決めされる場合、貯蔵コンジット30内の流体は、第3の選択弁18を介して中間コンジット51に入り、中間コンジット51から収集リザーバ39に入ることができる。
【0068】
第3の選択弁18が、その第2の位置にあるとき、第3の選択弁18は、貯蔵コンジット30を第2の副コンジット20に流体接続し;したがって第3の選択弁18がその第2の位置にあるとき、流体は、貯蔵コンジット30から第3の選択弁18を介して第2の副コンジット20に流れることができ、または第2の副コンジット20から第3の選択弁18を介して貯蔵コンジット30に流れることができる。
【0069】
図1に示される実施形態の変形例では、第2の選択弁28がミクロ流体アセンブリ1内に設けられておらず、代わりに第2のコンジット15の第2の部分15bが流動制限器を含む。流動制限器は、第2のコンジット15の残りの内径よりも小さい内径を有する、第2のコンジット15の第2の部分15bの一部であると定義されてもよく、例えば、第2のコンジット15の第2の部分15bの一部は、10マイクロメートルから200マイクロメートルの間の内径を有していてもよく、第2のコンジット15の残りは、200マイクロメートルから1ミリメートルの間の内径を有していてもよく;かつ/または流動制限器は、第2のコンジット15の第1の部分15aよりも実質的に長い長さを有する第2のコンジット15の第2の部分15bによって定められてもよく、例えば、第2のコンジット15の第2の部分15bは、100ミリメートルから10メートルの間の長さを有していてもよく、第2のコンジット15の第1の部分15aは、10マイクロメートルから10ミリメートルの間の長さを有していてもよい。ミクロ流体アセンブリ1は、第1のフローセル5内に提供された第1のリガンド4に対して高い親和性を持つ分子に関し、試料リザーバ29内に提供された試料流体を試験するのに使用することができる。
【0070】
ミクロ流体アセンブリ1は、本発明の方法の実施形態による例示的な方法を実施するのに使用することができる。ミクロ流体アセンブリ1の使用中、試験がなされる試料流体は、試料リザーバ29内に提供される。
【0071】
次いで任意選択で、第1の選択弁8はその第2の位置に移動して、第1の選択弁8が閉鎖するようになされ、第2の選択弁28はその第1の位置に移動して、第2の選択弁28が開放するようになされる。任意選択で、プランジャ9aはレセプタクル9a内に押し込まれて、バッファー流体が第1のシリンジ・ポンプ9から放出されるようにする。バッファー流体は、第1のシリンジ・ポンプ9から流出し、第1の副コンジット10を経て第1のコンジット5の第1の部分5aに入り、第1のフローセル2に入り、第2のコンジット15に入り、第2の廃棄物リザーバ27に入る。
【0072】
次いでx−yテーブル50を移動させ、試料リザーバ29が中間コンジット51に流体接続するようにする。
【0073】
次いで第3の選択弁18を、その第1の位置に移動させ、中間コンジット51が、第3の選択弁を介して貯蔵コンジット30に流体接続するようにする。その第1の位置にある第3の選択弁18では、第2のシリンジ・ポンプ19のプランジャ19aを、レセプタクル19bから外に出る方向に移動させて、負圧が貯蔵コンジット30内に創出されるようにする。その結果、試料流体は試料リザーバ29から中間コンジット51に吸引され、第3の選択弁18を介して貯蔵コンジット30に吸引される。
【0074】
好ましくは、試料リザーバ29から中間コンジット51に、さらに貯蔵コンジット30に、第3の選択弁18を介して吸引される試料流体の体積は、第2の副コンジット20の内部容積の3倍から貯蔵コンジット30の内部容積の間であり;最も好ましくは、第2の副コンジット20の内部容積の5倍から貯蔵コンジット30の内部容積の間である。
【0075】
任意選択で、次に第3の選択弁18をその第2の位置に移動させて、第3の選択弁18が貯蔵コンジット30および第2の副コンジット20を流体接続するようにする。次いで任意選択で、プランジャ19aを第2のシリンジ・ポンプ19のレセプタクル19b内に押し込んで、バッファー流体を第2のシリンジ・ポンプ19の外に押し遣るようにする。第2のシリンジ・ポンプ19から放出されるバッファー流体は、試料流体の一部を貯蔵コンジット30の外に、さらに第2の副コンジット20内に押し出す。第1の選択ポンプ8は閉鎖されているので、第2のコンジット15の第1の部分15aに存在するバッファー流体によって得られる圧力は、試料流体が第2のコンジット15の第1の部分15aに沿って第1のフローセル2に向かって流れるのを防止することになり;さらに、第2の選択弁28は、第2の選択弁28が開放されるようにその第1の位置にあるので、試料流体は、第2の副コンジットから第2のコンジット15の第2の部分15bに、さらに第2の廃棄物リザーバ27に、第2の選択弁28を介して流れるようになる。
【0076】
好ましくは、第2のコンジット15の第1の部分15aに存在するバッファー流体によって与えられる圧力は、試料流体が第2のコンジット15の第1の部分15aに沿って第1のフローセル2に流れるのを防止する。ある場合には、無視できるほどの量の試料流体が、拡散によって、第2のコンジット15の第1の部分15aの一部に沿って移動し得る。一実施形態では、第2のコンジット15の第1の部分15aの一部に沿って試料流体の拡散を防止しまたは少なくとも最小限に抑えるために、好ましくは、第1のバッファーリザーバ9から第1のフローセル2を通って第2の廃棄物リザーバ27に入るバッファー流体の流れは、試料流体が貯蔵コンジット30から第2の副コンジット20に沿って第2の廃棄物リザーバ27に流れるときに維持される。
【0077】
好ましくは、貯蔵コンジット30から第2の副コンジット20に沿って第2の廃棄物リザーバ27内に流れることが可能な試料流体の体積は、第2の副コンジット20の容積の2倍よりも大きいが、試料リザーバ29から中間コンジット51に入りさらに第3の選択弁18を介して貯蔵コンジット30内に既に吸引された試料流体の体積よりも小さい。したがって、貯蔵コンジット30にはいくらかの試料流体が残る。
【0078】
したがって、この段階では、好ましくは第2の副コンジット20は、試料流体によって効果的に濯ぎがなされる。したがって、この段階では、好ましくは第1の副コンジット10、第1のコンジット5の第1の部分5a、第1のフローセル2、および第2のコンジット15の第1の部分15aは、全て、バッファー流体のみ含有し;好ましくは第2の副コンジット20は試料流体のみ含有し、第2のコンジット15の第2の部分15bは、いくらかの試料流体を少なくとも含有する。段落68〜71に記述されるステップは任意選択であり、好ましいが、前記ステップは本発明に必須ではないことが強調される。
【0079】
次に、第1の選択弁8をその第2の位置に移動させて(即ち、第1の選択弁8は開放される)、流体が、第1のコンジット5から第1の廃棄物リザーバ7へと通過できるようにし、好ましくは第2の選択弁28をその第2の位置に移動させて、閉鎖するようにする。第3の選択弁18がその第2の位置にまだある状態では、プランジャ19aは第2のシリンジ・ポンプ19のレセプタクル19b内に押し込まれて、より多くのバッファー流体を第2のシリンジ・ポンプ19の外に押し遣るようになる。第2のシリンジ・ポンプ19から放出されたバッファー流体は、貯蔵コンジット内に残る試料流体の一部または全てを、貯蔵コンジット30の外から第2の副コンジット20内に押し出す。第1の選択弁8は、その第2の位置にあるので(即ち、第1の選択弁8は開放している。)、第2のコンジット15の第1の部分15aに存在するバッファー流体は、試料流体が第2のコンジット15の第1の部分15aに沿って第1のフローセル2に流れるのを防止する圧力をもはや与えない。したがって、次に第2の副コンジット20内を通る試料流体は、第2のコンジット15の第1の部分15aに流入し、第1のフローセル2に流入し、第1のコンジット5に沿って、第1の選択弁8を介して第1の廃棄物リザーバ7に流れる。流れるにつれ、試料流体は、第2のコンジット15の第1の部分15a、第1のフローセル2、および第1のコンジット5の第1の部分5aに存在するいかなるバッファー流体も、第1の廃棄物リザーバ7内に一掃する。
【0080】
したがって、この段階で、第2の副コンジット20、第2のコンジット15の第1の部分15a、第1のフローセル2、および第1のコンジット5は、全て、試料流体のみ含有する。有利なことに、第1の選択弁8をその第2の位置に移動させる前に、試料流体は既に第2の副コンジット20に存在するので、第1のフローセル2内の試料流体の濃度は、第1の選択弁8がその第2の位置に移動すると素早く上昇することが可能になる。試料流体が第1のフローセル2の第1の表面3上を通るとき、表面上で第1のリガンド4に結合させるのに必要な事前に定義された特徴を有する分子は、第1のリガンド4と結合することになる。
【0081】
次に、第1の選択弁8をその第2の位置に移動させて、第1の選択弁8が閉鎖するようにし、第2の選択弁28をその第1の位置に移動させて、第2の選択弁を開放するようにする。第3の選択弁18が貯蔵コンジット30および第2の副コンジット20を流体接続するように、まだその第2の位置にある第3の選択弁18では、より多くのバッファー流体を第2のシリンジ・ポンプ19の外に押し遣るように、プランジャ19aが第2のシリンジ・ポンプ19のレセプタクル19b内に押し込まれる。第2のシリンジ・ポンプ19から放出されるバッファー流体は、貯蔵コンジット30内のバッファー流体と、貯蔵コンジット30に残された試料溶液の全てを貯蔵コンジット30の外に押し出し、第2の副コンジット20内に押し込む。バッファー流体および試料流体は、貯蔵コンジット30から第2の副コンジット20内、第2のコンジット15の第2の部分15b内に流れ、その後、第2の廃棄物リザーバ27内に流れる。したがって、このステップの最中に、第2のシリンジ・ポンプ19から放出されるバッファー流体は、貯蔵コンジット30、第2の副コンジット20、および/または第2のコンジット15の第2の部分15b内に存在する全ての試料流体を、第2の廃棄物リザーバ27内に流出させる。第1の選択弁8は閉鎖されているので、第2のコンジット15の第1の部分15a内に存在する試料流体は、バッファー流体に圧力を加えることになり、バッファー流体が第2のコンジット15の第1の部分15aに沿って第1のフローセル2に向かって流れるのを防止する。
【0082】
したがって、この段階で、第2の副コンジット20および第2のコンジット15の第2の部分15b、および貯蔵コンジット30は全て、バッファー流体のみ含有し;第2のコンジット15の第1の部分15a、第1のフローセル2、および第1のコンジット5は全て、試料流体のみ含有する。この段階で重要なことは、第2の副コンジット20および第2のコンジット15の第2の部分15bが、バッファー流体によって清浄化されていることであり;試料流体は第1のフローセル2内に存在し、したがって結合した分子がそのそれぞれの第1のリガンド4から受動的に解離する場合には、利用可能なその他の類似の分子が第1のフローセル2内に存在して、利用可能な第1のリガンド4に結合することになる。
【0083】
次に第1の選択弁8をその第1の位置に移動させて、第1の選択弁8により流体を第1のコンジット5から第1の廃棄物リザーバ7内に通すことができるようにし、第2の選択弁28をその第2の位置に移動させて、第2の選択弁28が閉鎖するようにする。好ましくは、第3の選択弁18は、その第2の位置にあるままであり、プランジャ19aの位置は、流体が第2のシリンジ・ポンプ19のレセプタクル19bの中または外に流れるのを防止するように、固定される。
【0084】
次いで第1のシリンジ・ポンプ9のプランジャ9aは、バッファー流体が第1のシリンジ・ポンプ9から放出されるように、レセプタクル9b内に押し込まれる。第1のシリンジ・ポンプ9から放出されるバッファー流体は、第1の副コンジット10内を流れ、第1のコンジット5の第2の部分5bに入り、第1の選択弁8を介して第1の廃棄物リザーバ7に入る。第1のコンジット5の第1の部分5aに存在する試料流体は、圧力を提供することになり、バッファー流体が第1のコンジット5の第1の部分5aに流れて第1のフローセル2に向かうのを防止することになる。
【0085】
したがって、この段階では、第2のコンジット15の第1の部分15a、第1のフローセル2、および第1のコンジットの第1の部分5aはそれぞれ、試料流体のみ含有し;一方、貯蔵コンジット30、第1の副コンジット10、および第1のコンジット5の第2の部分5bと、第2の副コンジット20、および第2のコンジット15の第2の部分15bは、それぞれ、バッファー流体のみ含有する。重要なことは、この段階で、第2の副コンジット20、第2のコンジット15の第2の部分15b、第1の副コンジット10、および第1のコンジット5の第2の部分5bが全て、バッファー流体で清浄化していることであり;試料流体は第1のフローセル2内に存在するままであり、したがって結合した分子がそのそれぞれの第1のリガンド4から受動的に解離する場合には、利用可能なその他類似の分子が第1のフローセル2内に存在して、利用可能な第1のリガンド4に結合することになる。
【0086】
次に第1の選択弁8は、その第2の位置に移動して、第1の選択弁8が閉鎖するようにし、第2の選択弁28はその第1の位置に移動して、第2の選択弁により流体を第2のコンジット15から第2の廃棄物リザーバ27内に流すことができるようにする。好ましくは、第3の選択弁18は、その第2の位置にあるままであり、プランジャ19aの位置は、流体が第2のシリンジ・ポンプ19のレセプタクル19bの中または外に流れるのを防止するように、固定される。次いで第1のシリンジ・ポンプ9のプランジャ9aは、バッファー流体が第1のシリンジ・ポンプ9から放出されるように、レセプタクル9b内に押し込まれる。第1のシリンジ・ポンプ9から放出されたバッファー流体は、第1のコンジット5の第1の部分5a、第1のフローセル2、第2のコンジット15の第1および第2の部分15a、15bを通って第2の廃棄物リザーバ27に流入して、アセンブリのこれらの部分を清浄化することになる。このように、バッファー流体は、第1のフローセル2内に存在した試料流体を流出させ;リガンドに結合した分子は、それらの結合特性に起因して、バッファー流体によって第1のフローセル2から直ぐには一掃されない(即ち、リガンドに結合した分子である大部分の分子は、第1のフローセル2内に残される。)。有利には、第2のコンジット15の第2の部分15b、第1の副コンジット10、および第1のコンジット5の第1の部分5aは、全て、第1および第2の選択弁8、18を閉鎖する前にバッファー流体を含有し、第1のフローセル2内に存在する試料流体は、バッファー流体によって、より素早く流出させることができる。
【0087】
好ましい実施形態では、バッファー流体は、10ミリ秒から10秒の間の期間にわたって第1のフローセル内を流れることが可能になり;好ましくは、バッファー流体は、0.1〜2秒の間の期間にわたって第1のフローセル内を流れることが可能になり;最も好ましくは、バッファー流体は、0.5秒の期間にわたって第1のフローセル内を流れることが可能になる。
【0088】
この例において、このことは、第2のシリンジ・ポンプ19のプランジャ19aを用いて実現される。特に、依然としてその第2の位置にある第3の選択弁18では、プランジャ19aの位置は、0.1〜10秒の間の期間にわたり固定されて(流体が第2のシリンジ・ポンプ19のレセプタクル19bの中または外に流れるのを防止するように)、第1のシリンジ・ポンプ9から放出されるバッファー流体が、0.1〜10秒の間の期間にわたり、第1のフローセル2を通って第2の廃棄物リザーバ27に流れるよう押し遣られることになり;好ましくは、依然としてその第2の位置にある第3の選択弁18では、プランジャ19aの位置は、0.1〜2秒の間の期間にわたって固定され(流体が第2のシリンジ・ポンプ19のレセプタクル19bの中または外に流れるのを防止するように)、その結果、第1のシリンジ・ポンプ9から放出されるバッファー流体は、0.1〜2秒の間の期間にわたり、第1のフローセル2を通って第2の廃棄物リザーバ27内に流れるように押し遣られることになる。
【0089】
第1のリガンド4が試料流体中に浸漬されるとき、第1のリガンド4は、試料流体中に存在する分子に容易に結合することができ;言い換えれば、分子がリガンド4から受動的に解離する場合、第1のフローセル内には利用可能な同じタイプの別の分子が存在して、利用可能なリガンド4に結合することになる。時間と共に、第1のリガンド4に結合した分子はそのそれぞれの第1のリガンド4から解離するようになり;したがって、第1のリガンド4に結合した分子を単離するために、結合した分子がそのそれぞれの第1のリガンド4から受動的に解離し始めるよりも前に(または少なくとも、結合した分子の大部分がそのそれぞれの第1のリガンド4から受動的に解離するようになる前に)、試料流体を第1のフローセル5から十分素早く流出させるべきである。0.1〜10秒の間の期間にわたり、第3の選択弁18をその第2の位置に有しかつプランジャ19aの位置を固定することによって、バッファー流体が第2の副コンジット20内に流れるのを防止することにより、バッファー流体は確実に、10秒未満にわたり第1のフローセル2に存在する試料流体を第2の廃棄物リザーバ27に流出させ;この例では、結合した分子の大部分がそのそれぞれの第1のリガンド4から解離するのに10秒またはそれよりも長い期間を要し;したがって、バッファー流体が、試料流体を第1のフローセル2から第2の廃棄物リザーバ27に流出させた後であっても、結合した分子の大部分は、そのそれぞれの第1のリガンド4に結合した状態で第1のフローセル2内に残される。したがって、このステップは、第1のフローセル2内に存在する試料流体からの、第1のリガンド4に結合した分子の単離を実現する。
【0090】
第3の選択弁18がその第2の位置にあるままの、この特定の例では、プランジャ19aの位置は0.5秒にわたり固定され(流体が第2のシリンジ・ポンプ19のレセプタクル19bの中または外に流れるのを防止するように)、したがって第1のシリンジ・ポンプ9から放出されるバッファー流体は、0.5秒にわたり、第1のフローセル2を経て第2の廃棄物リザーバ27内に強制的に流される。
【0091】
バッファー流体が最初に第1のフローセル2内を流れた0.5秒後に、第2のシリンジ・ポンプ19のプランジャ19aは、レセプタクル19bから外に出る方向に移動して、貯蔵コンジット30内に負圧を創出するようになる。第3の選択弁18は、まだその第2の位置にあるので、貯蔵コンジット30内の負圧により、第1のフローセル2から出て行くバッファー流体は、第2の副コンジット20に沿って、第3の選択弁18を介して貯蔵コンジット30内に向かうように吸引されることになる。また引き続き第1のシリンジ弁9から放出されるバッファー流体は、次に、第1の副コンジット10、第1のコンジット5の第1の部分5a、第1のフローセル2、第2のコンジット15の第1の部分15aを経て、さらに第2の副コンジット20に沿って、第3の選択弁18を介して貯蔵コンジット30内へと流れることになる。時間と共に、第1のフローセル2内のリガンドに結合した分子は、受動的に解離することになる。バッファーが第1のフローセル2を通過するにつれ、そのそれぞれの第1のリガンド4から受動的に解離するようになった分子を収集することになる。したがって、ある期間の後に、好ましくは10秒から1時間の間の後に、貯蔵コンジットは、第1のフローセル5内の第1のリガンド4に結合した分子の全て(またはその少なくとも大部分)を有するバッファー流体を含有することになる。
【0092】
次に、x−yテーブル50を、収集リザーバ39が中間コンジット51に流体接続するように移動させる。
【0093】
次いで第3の選択弁18は、その第1の位置に移動して、中間コンジット51が第3の選択弁を介して貯蔵コンジット30に流体接続するようになる。
【0094】
第3の選択弁18がその第1の位置にある状態で、第2のシリンジ・ポンプ19のプランジャ19aはレセプタクル19b内に押し込まれて、バッファー流体は第2のシリンジ・ポンプ19から貯蔵コンジット30内に放出されるようになる。第2のシリンジ・ポンプ19から放出されるバッファー流体は、前記分子(即ち、そのそれぞれの第1のリガンド4から受動的に解離するようになった分子)を有するバッファー流体を、貯蔵コンジット30の外に、および収集リザーバ39内に押し遣る。したがって、この段階で、第1のリガンド4に結合した分子(または、第1のリガンド4に結合した分子の少なくとも大部分)は、試料溶液の残りから単離されている。
【0095】
バッファー流体(前記分子を有する。)は、収集リザーバ39から得ることができ、バッファー流体中に存在する分子を決定/同定するように構成された分析デバイスに提供することができ;したがって最終的には、第1のフローセル2内の第1のリガンド4に結合した分子を決定/同定し;例えば、分析デバイスは質量分光計であってもよく、質量分光計は、どの分子がバッファー流体に含有されるのかを明らかにするのに使用され、したがって第1のフローセル2内で第1のリガンド4に結合した分子が同定される。
【0096】
有利には、バッファー流体を貯蔵コンジット30内に吸引する前に(即ち、貯蔵コンジット30内に負圧が創出されるよう、レセプタクル19bから外に出る方向に第2のシリンジ・ポンプ19のプランジャ19aを移動させる前に)、第1の副コンジット10、第2の副コンジット20、第1のコンジット5の第2の部分5b、および第2のコンジット15の第2の部分5bは、それぞれが既にバッファー流体で清浄化されているので、貯蔵コンジット30に収集されたバッファー流体(解離した分子を含有する。)(最終的には、収集リザーバ39に入る前記バッファー流体(解離した分子を含有する。))は、通常なら第1の副コンジット10、第2の副コンジット20、第1のコンジット5の第2の部分5b、および第2のコンジット15の第2の部分5b内に存在し得る試料流体によって汚染されなくなる。特に、貯蔵コンジット30に収集されたバッファー流体(解離した分子を含有する。)(最終的に、収集リザーバ39に収集されることになる前記バッファー流体(解離した分子を含有する。))は、通常なら第2の副コンジット20に存在し得る試料流体によって汚染されなくなる。好ましくは、貯蔵コンジット30に収集されたバッファー流体(解離した分子を含有する。)(最終的には、収集リザーバ39に収集されることになる前記バッファー流体(解離した分子を含有する。))中に残された試料流体の体積パーセンテージは、1%よりも低くまたは0.5%よりも低くまたは0.1%よりも低い。したがって、リガンドに結合している試料流体中に存在する分子のみが、収集リザーバ39内に吸引されるバッファー流体中に存在することになる。収集リザーバ39に吸引されるバッファー流体は、好ましくは分析デバイスを通り、そこでバッファー流体中の分子が同定される。有利には、第1の表面3の広い面積を設け、かつ流路を清浄化して、例えばバッファー流体(解離した分子を含有する。)中に残された試料体積のパーセンテージが低くなるようにすると、収集リザーバ39内での解離した分子と試料流体との高い比が得られる。例として、いくつかの分子タイプの混合物が、それぞれミリリットル当たり1マイクログラムの濃度で注入され、その結果、1つの分子タイプと、表面密度が平方ミリメートル当たり0.1ナノグラムである第1の表面3との結合がもたらされ、かつ第1の表面3が5平方ミリメートルの面積を有し試料が20マイクロリットルの体積で収集される場合、回収される結合済みの分子の最大濃度は、ミリリットル当たり25ナノグラムになる。本発明による流路が清浄化されて、全ての分子タイプを持つ残された当初の試料のパーセンテージが0.1%になるようにした場合、その他の分子タイプの濃度はミリリットル当たり1ナノグラムになる。したがって、回収された結合済み分子と結合していない分子タイプとの分子比は、25倍である。
【0097】
上記の例において、第1のフローセル2は、異なるタイプのリガンド(即ち、異なった、事前に定義された特徴を有する分子に、結合することができるリガンド)を含む別の第1のフローセルで置き換えてもよい。例えば、問題となっている結合部位の失活をもたらす特定の変異を有する陰性対照リガンドでは、上記ステップを繰り返して試験流体を試験する。このテキストの結果を、先の試験の結果と比較して、非特異的結合剤を決定してもよく;例えば、第1の試験でリガンドに結合するが第2の試験で陰性対照リガンドにも結合するように、分子を同定できる場合、これらの分子は非特異的に結合すると見なすことができる。
【0098】
上記の例は、第1のフローセル2内で第1のリガンド4から受動的に解離する分子を含有する試料流体を試験するのに、ミクロ流体アセンブリ1を使用することについて、記述する。図2は、第1のフローセル内でリガンドから能動的に解離するだけの分子を含有する試料流体を試験するのに使用することもできる、即ち、再生溶液(低pHのグリシンなど)が第1のフローセル2内を流れて、結合した分子をそのそれぞれのリガンドから強制的解離させるようにするときに、リガンドから能動的に解離するだけの分子を含有する試料流体を試験するのに使用することもできる、本発明の他の実施形態によるミクロ流体アセンブリ100を示す。
【0099】
ミクロ流体アセンブリ100は、図1に示されるミクロ流体アセンブリ1と同じ特徴の多くを含み、同様の特徴には同じ参照符号が与えられる。
【0100】
しかしミクロ流体アセンブリ100は、さらに、第3の廃棄物リザーバ49、および溶出試薬リザーバ59を、x−yテーブル50上に含む。第3の廃棄物リザーバ49は、洗浄排液などの望ましくない流体を受容し貯蔵することができる。溶出試薬リザーバ59は、第1のフローセル2の第1のリガンド4上を流れるときに、リガンドに結合した分子を第1のリガンド4から解離させることができる再生流体を含有する。
【0101】
x−yテーブルは、選択的に、試料リザーバ29または収集リザーバ39または第3の廃棄物リザーバ49または溶出試薬リザーバ59のいずれかを中間コンジット51に流体接続させるように、選択的に移動させることができる(xまたはy軸に沿って−両矢印によって示されるように)。図2は、試料リザーバ29が中間コンジット51に流体接続している位置にあるx−yテーブルを示し、それによってx−yテーブル50は、試料リザーバ29が中間コンジット51の自由端の下に位置決めされるように、位置決めされており;しかし、x−テーブル51は、収集リザーバ39または第3の廃棄物リザーバ49または溶出試薬リザーバ59が中間コンジット51の自由端の下に位置決めされて、収集リザーバ39または第3の廃棄物リザーバ49または溶出試薬リザーバ59を中間コンジット51に流体接続するように移動させるため(左に、即ちx軸に沿って)、選択的に動作できることが理解されよう。
【0102】
貯蔵コンジット30、x−yテーブル50、第2のバッファーリザーバ19(例えば、第2のシリンジ・ポンプ19)、第3の選択弁18、中間コンジット51、試料リザーバ29、収集リザーバ39、第3の廃棄物リザーバ49、および溶出試薬リザーバ59は、ユニット72をまとめて定義すると見なすことができる。
【0103】
実施形態の変形例では、ユニット72の代わりに(即ち、貯蔵コンジット30、x−yテーブル50、第3の選択弁18、第2のバッファーリザーバ19、中間コンジット51、試料リザーバ29、収集リザーバ39、第3の廃棄物リザーバ49、および溶出試薬リザーバ59を含む、構成要素の群の代わりに)、例えばオートサンプラなどの、試料流体を投入し貯蔵するための任意のその他の適切な手段を設けてもよく;例えば、Spark Holland、NL.製の「Alias」などのオートサンプラ・モデルを、前記構成要素の上述の群の代わりにアセンブリ1に設けることができる。好ましくは、実施形態の変形例において、アセンブリはさらに、オートサンプラに動作可能に接続されるポンプを含むことになる。
【0104】
ミクロ流体アセンブリ100は、第1のフローセル2内で第1のリガンド4から能動的に解離する分子を含有する試料流体を試験するのに使用することができ、したがってミクロ流体アセンブリ1は、本発明の他の方法の実施形態による、他の例示的な方法を実施するのに使用することができる:
【0105】
ミクロ流体アセンブリ100の使用中、能動的に解離する分子を含有する試料流体を試験するのに、能動的に解離する分子を含有する前記試料流体を試料リザーバ29内に提供する。
【0106】
次いで第1の選択弁8をその第2の位置に移動させて、第1の選択弁8が閉鎖するようにし、第2の選択弁28をその第1の位置に移動させて、第2の選択弁28が開放されるようにする。プランジャ9aは、バッファー流体が第1のシリンジ・ポンプ9から放出されるように、レセプタクル9aに押し込まれる。バッファー流体は、第1のシリンジ・ポンプ9から流出して、第1の副コンジット10を通り、第1のコンジット5の第1の部分5aに入り、第1のフローセル2に入り、第2のコンジット15に入り、さらに第2の廃棄物リザーバ27に流入する。
【0107】
次いでx−yテーブル50は、試料リザーバ29が中間コンジット51に流体接続するように移動する。
【0108】
次いで第3の選択弁18をその第1の位置に移動させて、中間コンジット51が第3の選択弁を介して貯蔵コンジット30に流体接続するようにする。第3の選択弁18がその第1の位置にある状態では、第2のシリンジ・ポンプ19のプランジャ19aは、レセプタクル19bの外に向かう方向に移動して、貯蔵コンジット30内に負圧を創出するようになる。その結果、試料流体は、試料リザーバ29から中間コンジット51に入り、第3の選択弁18を介して貯蔵コンジット30に吸引される。
【0109】
好ましくは、試料リザーバ29から吸引され、中間コンジット51に入り、第3の選択弁18を介して貯蔵コンジット30に入る試料流体の体積は、第2の副コンジット20の内部容積の3倍から、貯蔵コンジット30の内部容積の間であり;最も好ましくは、第2の副コンジット20の内部容積の5倍から貯蔵コンジット30の内部容積の間である。
【0110】
任意選択で、次に第3の選択弁18をその第2の位置に移動させて、第3の選択弁18が貯蔵コンジット30と第2の副コンジット20とを流体接続するようにする。任意選択で、プランジャ19aは、バッファー流体が第2のシリンジ・ポンプ19の外に押し遣られるように、第2のシリンジ・ポンプ19のレセプタクル19bに押し込まれる。第2のシリンジ・ポンプ19から放出されるバッファー流体は、試料流体の一部を貯蔵コンジット30から押し出し、第2の副コンジット20に流入させる。第1の選択ポンプ8は閉鎖しているので、第2のコンジット15の第1の部分15aに存在するバッファー流体によって与えられる圧力は、試料流体が第2のコンジット15の第1の部分15aに沿って第1のフローセル2に向かって流れるのを防止することになり;さらに第2の選択弁28はその第1の位置にあって第2の選択弁18を開放するので、試料流体は、第2の副コンジットから第2のコンジット15の第2の部分15bに、さらに第2の選択弁28を介して第2の廃棄物リザーバ27に流れることになる。
【0111】
好ましくは、第2のコンジット15の第1の部分15aに存在するバッファー流体により与えられた圧力は、試料流体が第2のコンジット15の第1の部分15aに沿って第1のフローセル2内に流れるのを防止する。ある場合には、無視できるほどの量の試料流体を、第2のコンジット15の第1の部分15aの一部に沿って拡散させることによって移動させてもよい。一実施形態では、第2のコンジット15の第1の部分15aの一部に沿って試料流体の拡散を防止しまたは少なくとも最小限に抑えるために、好ましくは、第1のバッファーリザーバ9から第1のフローセル2を通って第2の廃棄物リザーバ27に入るバッファー流体の流れは、試料流体が貯蔵コンジット30から第2の副コンジット20に沿って第2の廃棄物リザーバ27内に流れるときに維持される。
【0112】
好ましくは、貯蔵コンジット30から第2の副コンジット20に沿って第2の廃棄物リザーバ27内に流入することが可能な試料流体の体積は、第2の副コンジット20の容積の2倍よりも大きいが、先に試料リザーバ29から中間コンジット51に、さらに第3の選択弁18を介して貯蔵コンジット30に吸引された試料流体の体積未満である。このように、好ましくは、いくらかの試料流体が貯蔵コンジット30内に残される。
【0113】
したがって、好ましくはこの段階で、第2の副コンジット20は試料流体によって効果的に濯ぎがなされる。したがって、好ましくは、この段階で、第1の副コンジット10、第1のコンジット5の第1の部分5a、第1のフローセル2、および第2のコンジット15の第1の部分15aは全て、バッファー流体のみを含有し;一方、好ましくは、第2の副コンジット20は試料流体のみ含有し、第2のコンジット15の第2の部分15bは、少なくともいくらかの試料流体を含有する。段落103〜106に記述されたステップは任意選択であり、好ましいが、前記ステップが本発明に必須ではないことが強調される。
【0114】
次に第1の選択弁8をその第1の位置に移動させて(即ち、第1の選択弁は開放される。)、流体が第1のコンジット5から第1の廃棄物リザーバ7を通過できるようにし、好ましくは第2の選択弁28をその第2の位置に移動させて、閉鎖されるようにする。第3の選択弁18が依然としてその第2の位置にある状態では、プランジャ19aが第2のシリンジ・ポンプ19のレセプタクル19b内に押し込まれて、より多くのバッファー流体を第2のシリンジ・ポンプ19の外に押し遣るようにする。第2のシリンジ・ポンプ19から放出されるバッファー流体は、貯蔵コンジット内に残された試料流体の一部または全てを、貯蔵コンジット30の外から第2の副コンジット20に押し遣る。第1の選択弁8はその第2の位置にあるので(即ち、第1の選択弁8は開放される。)、第2のコンジット15の第1の部分15aに存在するバッファー流体は、試料流体が第2のコンジット15の第1の部分15aに沿って第1のフローセル2に流入することを防ぐ圧力を、もはや提供しない。したがって、次に第2の副コンジット20に入る試料流体は、第2のコンジット15の第1の部分15aに流入し、第1のフローセル2に入り、第1のコンジット5に沿って、第1の選択弁8を介して第1の廃棄物リザーバ7に流入する。流体が流れるにつれ、試料流体は、第2のコンジット15の第1の部分15a、第1のフローセル2、および第1のコンジット5の第1の部分5aに存在する全てのバッファー流体を、第1の廃棄物リザーバ7内にも流出させる。
【0115】
したがって、この段階では、第2の副コンジット20、第2のコンジット15の第1の部分15a、第1のフローセル2、および第1のコンジット5は全て、試料流体のみ含有する。有利には、第1の選択弁8をその第2の位置に移動させる前に、試料流体は既に第2の副コンジット20内に存在するので、第1の選択弁8がその第2の位置に移動したときに、第1のフローセル2内の試料流体の濃度を素早く上昇させることが可能になる。試料流体が第1のフローセル2の第1の表面3上を通るとき、表面の第1のリガンド4に結合させるのに必要な、事前に定義された特徴を有する分子が、第1のリガンド4に結合することになる。
【0116】
次に第1の選択弁8をその第2の位置に移動させて、第1の選択弁8が閉鎖するようにし、第2の選択弁28をその第1の位置に移動させて、第2の選択弁が開放するようにする。好ましくは、第3の選択弁18は、第3の選択弁18が貯蔵コンジット30および第2の副コンジット20を流体接続するように依然としてその第2の位置にあるが、プランジャ19aの位置は、流体が第2のシリンジ・ポンプ19のレセプタクル19bの中または外に流れないように固定される。
【0117】
次に第1のシリンジ・ポンプ9のプランジャ9aは、その後、レセプタクル9b内に押し込まれて、バッファー流体が第1のシリンジ・ポンプ9から放出されるようにする。第1のシリンジ・ポンプ9から放出されるバッファー流体は、第1の副コンジット10を通して第1のコンジット5の第1の部分5aに入り、第1のフローセル2を通り、第2のコンジット15を通り、第2の選択弁28を介して第2の廃棄物リザーバ27内に流れる。
【0118】
したがって、この段階で、貯蔵コンジット30は、第2のシリンジ・ポンプ19によって提供されたバッファー流体を含有し、いくらかの残留試料流体を含有していてもよく;第1の副コンジット10、第1のコンジット5の第1の部分5b、第1のフローセル2、および第2のコンジット15は全て、第1のシリンジ・ポンプ9によって提供されたバッファー流体のみ含有し;第2の副コンジット20および第1のコンジット5の第2の部分5bは、試料流体のみ含有する。
【0119】
次に、第1の選択弁8をその第1の位置に移動させて、第1の選択弁8が開放されるようにし、第2の選択弁28をその第2の位置に移動させて、第2の選択弁が閉鎖されるようにする。好ましくは、第3の選択弁18は、第3の選択弁18が貯蔵コンジット30および第2の副コンジット20を流体接続するように、依然としてその第2の位置にあるが、プランジャ19aの位置は、流体が第2のシリンジ・ポンプ19のレセプタクル19bの中または外に流れないように、固定される。
【0120】
次に、第1のシリンジ・ポンプ9のプランジャ9aは、その後、バッファー流体が第1のシリンジ・ポンプ9から放出されるようにレセプタクル9bに押し込まれる。第1のシリンジ・ポンプ9から放出されるバッファー流体は、第1の副コンジット10を経て第1のコンジット5の第2の部分5bに入り、第1の選択弁8を介して第1の廃棄物リザーバ7に流入する。
【0121】
したがって、この段階では、貯蔵コンジット30は、第2のシリンジ・ポンプ19によって提供されたバッファー流体を含有し、いくらかの残留試料流体を含有していてもよく;第1の副コンジット10、第1のコンジット5の第1の部分5b、第1のコンジット5の第2の部分5b、第1のフローセル2、および第2のコンジット15は全て、第1のシリンジ・ポンプ9によって提供されたバッファー流体のみを含有し;第2の副コンジット20は、試料流体のみを含有する。
【0122】
次に、x−yテーブル50を移動させて、第3の廃棄物リザーバ49が中間コンジット51に流体接続されるようにする。次いで第3の選択弁18をその第1の位置に移動させて、中間コンジット51が第3の選択弁18を介して貯蔵コンジット30に流体接続するようにする。プランジャ19aは、より多くのバッファー流体が第2のシリンジ・ポンプ19の外に押し遣られるように、第2のシリンジ・ポンプ19のレセプタクル19b内に押し込まれる。第2のシリンジ・ポンプ19から放出されるバッファー流体は、貯蔵コンジット30内のバッファー流体と、貯蔵コンジット30内に残された全ての試料溶液とを、貯蔵コンジット30から押し出し、第3の選択弁18および中間コンジット51を介して第3の廃棄物リザーバ49内に押し遣る。したがって、このステップ中に、第2のシリンジ・ポンプ19から放出されるバッファー流体は、貯蔵コンジット30および中間コンジット51に存在する全ての試料流体を流出させる。したがって、このステップの後、貯蔵コンジット30および中間コンジット51は共に、試料流体を含有しない(好ましくは、バッファー流体のみ含有する。)。
【0123】
次に、第1の選択弁8をその第2の位置に移動させて、第1の選択弁8が閉鎖されるようにし、第2の選択弁28をその第1の位置に移動させて、第2の選択弁が開放されるようにする。第3の選択弁18が貯蔵コンジット30および第2の副コンジット20を流体接続するように、選択弁18が依然としてその第2の位置にある状態では、プランジャ19aを第2のシリンジ・ポンプ19のレセプタクル19b内に押し込んで、より多くのバッファー流体が第2のシリンジ・ポンプ19の外に押し遣られるようにする。第2のシリンジ・ポンプ19から放出されるバッファー流体は、貯蔵コンジット30内のバッファー流体を、貯蔵コンジット30の外に押し出し、第2の副コンジット20内に押し遣る。バッファー流体は、貯蔵コンジット30から、第2の副コンジット20、第2のコンジット15の第2の部分15bに、その後、第2の廃棄物リザーバ27内に流れる。
【0124】
したがって、このステップ中、バッファー流体は、第2の副コンジット20内に存在する全ての試料流体を、第2の廃棄物リザーバ27へと流出させる。したがって、この段階で、貯蔵コンジット30、第2の副コンジット20、第2のコンジット15、第1のフローセル2、第1のコンジット5、および第1の副コンジット10は全て、バッファー流体で一掃される。第1のフローセル内で第1のリガンド4と結合するようになった分子の全てまたは少なくとも大部分は、結合した分子の大部分が受動的に解離しないので、結合したままになる。
【0125】
次いでx−yテーブル50を移動させて、溶出試薬リザーバ59が中間コンジット51に流体接続されるようにする。
【0126】
第3の選択弁18をその第1の位置に移動させて、中間コンジット51が、第3の選択弁18を介して貯蔵コンジット30と流体接続するようにする。第3の選択弁18がその第1の位置にある状態では、第2のシリンジ・ポンプ19のプランジャ19aは、レセプタクル19bの外に出る方向に移動して、貯蔵コンジット30内に負圧が創出されるようにする。その結果、再生流体は、溶出試薬リザーバ59から中間コンジット51に、さらに第3の選択弁18を介して貯蔵コンジット30に吸引される。
【0127】
次に、第2の選択弁18を閉鎖して(第1の選択弁8は既に、先のステップから閉じている。)、第1および第2の両方の選択弁8、18が共に閉鎖されるようにする。第3の選択弁18はその第2の位置に移動して、第3の選択弁18が貯蔵コンジット30および第2の副コンジット20を流体接続するようにする。その後、プランジャ19aを第2のシリンジ・ポンプ19のレセプタクル19b内に押し込んで、より多くのバッファー流体が第2のシリンジ・ポンプの外に押し遣られるようにし、同時に、第1のシリンジ・ポンプ9のプランジャ9aを、レセプタクル9bの外に出る方向に移動させて、第1の副コンジット10内に負圧が創出されるようにする。第2のシリンジ・ポンプから放出されたバッファー流体は、貯蔵コンジット30内にある再生流体を、貯蔵コンジット30から押し出し、第3の選択弁18を介して第2の副コンジット20に押し遣る。
【0128】
第2のシリンジ・ポンプ19から放出されるバッファー流体により、再生流体に加えられた力に起因して、および第1のシリンジ・ポンプ9によって第1の副コンジット10内に創出される負圧に起因して、再生流体は、第2の副コンジット20に沿って、第2のコンジット15の第1の部分15aを通り、第1のフローセル2を通り、第1のコンジット5の第1の部分5aを通り、第1の副コンジット10に沿って、第1のシリンジ・ポンプ9に向かって流れる。最も好ましい実施形態において、再生流体は、第1のシリンジ・ポンプ9まで流れるが、第1のシリンジ・ポンプのレセプタクル9bには流れない。
【0129】
重要なことは、再生流体が第1のフローセル2を経て流れるにつれ、第1のリガンド4に結合した分子は、そのそれぞれの第1のリガンド4から解離するようになる。解離した分子は、第1のフローセル2を経て流れる再生流体中に収集されることになる。したがって、このステップの後、第1のフローセル2、第1のコンジット5の第1の部分5a、および第1の副コンジット10内に存在する再生流体は、第1のフローセル2の第1のリガンド4に結合しており、そしてこのリガンド4から能動的に解離された、分子を含有することになる。
【0130】
次に、第2の選択弁28をその第1の位置に移動させて、第2の選択弁が開放されるようにする(第1の選択弁8は、既にその第2の位置にあって、第1の選択弁8が閉鎖されるようになされる。)。好ましくは、第1のシリンジ・ポンプ9のプランジャ9aの位置は、流体が第1のシリンジ・ポンプ9のレセプタクル9bの中または外に流れないように固定される。第3の選択弁18が依然としてその第2の位置にあって、第3の選択弁18が貯蔵コンジット30および第2の副コンジット20を流体接続するようになされる状態では、プランジャ19aは、バッファー流体が第2のシリンジ・ポンプ19の外に押し遣られるように第2のシリンジ・ポンプ19のレセプタクル19b内に押し込まれる。第2のシリンジ・ポンプ19から放出されるバッファー流体は、貯蔵コンジット30を通り、第2の副コンジット20を通り、第2のコンジット15の第2の部分15bを通り、さらに第2の選択弁28を介して第2の廃棄物リザーバ27に流入する。このように、バッファー流体は、貯蔵コンジット30および第2の副コンジット20内に在る全ての再生流体を、第2の廃棄物リザーバ27に流出させる。
【0131】
したがって、好ましくはこの段階で、貯蔵コンジット30、第2の副コンジット20、および第2のコンジット15の第2の部分15bは、バッファー流体のみ含有し;一方、第2のコンジット15の第1の部分15a、第1のフローセル2、第1のコンジット5の第1の部分5a、および第1の副コンジット10は全て、再生流体を含有する。特に、第1のフローセル2、第1のコンジット5の第1の部分5a、および第1の副コンジット10は全て、第1のフローセル2内で第1のリガンド4に結合した分子を含有する再生流体を含有する。
【0132】
次にx−yテーブル50を移動させて、第3の廃棄物リザーバ49を中間コンジット51に流体接続する。次いで第3の選択弁18をその第1の位置に移動させて、中間コンジット51が、第3の選択弁18を介して貯蔵コンジット30に流体接続されるようにする。プランジャ19aは、バッファー流体が第2のシリンジ・ポンプ19の外に押し遣られるように、第2のシリンジ・ポンプ19のレセプタクル19bに押し込まれる。第2のシリンジ・ポンプ19から放出されるバッファー流体は、貯蔵コンジット30を通り、第3の選択弁18を介して第3の廃棄物リザーバ49に流入する。バッファー流体は、貯蔵コンジット30および中間コンジット51内の全ての残留再生流体を、第3の廃棄物リザーバ49内に流出させることになる。したがって、このステップの後、貯蔵コンジット30および中間コンジット51は、再生流体を含有しない(好ましくは、バッファー流体のみ含有する。)。
【0133】
次に、第1のフローセル2で第1のリガンド4に結合した分子を含有する、第1のフローセル2、第1のコンジット5の第1の部分5a、および第1の副コンジット10に存在する再生流体を、収集する。これを行うために、第2の選択弁28をその第2の位置に移動させて、第1および第2の選択弁8、28が共に閉鎖されるようにし(第1の選択弁8は、既に、先のステップから閉鎖されている。)、それと共に、第3の選択弁18をその第2の位置に移動させて、第3の選択弁18が貯蔵コンジット30および第2の副コンジット20を流体接続するようにする。その後、プランジャ9aを第1のシリンジ・ポンプ9のレセプタクル9bに押し込んで、より多くのバッファー流体が第1のシリンジ・ポンプ9の外に押し遣られるようにし、同時に、第2のシリンジ・ポンプ19のプランジャ19aを、レセプタクル19bの外に出る方向に移動させて、負圧が貯蔵コンジット30内に創出されるようにする。
【0134】
第1のシリンジ・ポンプ9から放出されるバッファー流体によって、再生流体に力が加えられることに起因して、および第2のシリンジ・ポンプ19により貯蔵コンジット30内に負圧が創出されることに起因して、第1のシリンジ・ポンプ9から放出されるバッファー流体は、第1の副コンジット10、第1のコンジット5の第1の部分5a、および第1のフローセル2内にある再生流体を、貯蔵コンジット30内に押し遣る。
【0135】
次に、x−yテーブル50を移動させて、収集リザーバ39が中間コンジット51に流体接続するようにする。
【0136】
次いで第3の選択弁18をその第1の位置に移動させて、中間コンジット51が、第3の選択弁を介して貯蔵コンジット30に流体接続するようにする。
【0137】
第3の選択弁18がその第1の位置にある状態では、第2のシリンジ・ポンプ19のプランジャ19aは、バッファー流体が第2のシリンジ・ポンプ19から貯蔵コンジット30に放出されるように、レセプタクル19b内に押し込まれる。第2のシリンジ・ポンプ19から放出されたバッファー流体は、前記分子(即ち、そのそれぞれの第1のリガンド4から能動的に解離した分子)を有する再生流体を、貯蔵コンジット30の外から収集リザーバ39内に押し遣る。したがって、この段階で、第1のリガンド4に結合した分子(または第1のリガンド4に結合した分子の少なくとも大部分)は、試料溶液の残りから単離されている。
【0138】
(前記解離した分子を含有する)再生流体は、収集リザーバ39から得ることができ、再生流体中に存在する分子を決定/同定するように構成された分析デバイスに提供することができ;したがって、第1のフローセル2内で第1のリガンド4に結合していた、再生流体によってそれぞれの第1のリガンド4から解離されるようになった分子を、最終的に決定/同定し;例えば、分析デバイスは、質量分光計であってもよく、質量分光計は、どの分子が再生流体に含有されるのかを同定するのに使用され、したがって、第1のフローセル2内で第1のリガンド4に結合していた、再生流体によってそれぞれの第1のリガンド4から解離するようになった分子が同定される。
【0139】
有利には、再生流体(前記解離した分子)を貯蔵30内に吸引する前に、貯蔵コンジット30、第2の副コンジット20、第2のコンジット15の第1の部分15a、第1のフローセル2、および第1のコンジット5内に存在する試料流体は、緩衝溶液を使用して流出させたので、収集リザーバ39)に入った再生流体(前記解離した分子を含有する。)は、通常ならミクロ流体アセンブリ100のこれらの部分に存在し得る残留試料流体によって、汚染されなくなる。このように、第1のリガンド4に結合した、試料流体中に存在する分子のみが、収集リザーバ39に吸引された再生流体中に存在することになる。収集リザーバ39に吸引された再生流体は、好ましくは分析デバイスに入り、そこで再生流体中の分子が同定される。
【0140】
アセンブリ100を使用して実施された上述の例示的な方法の変形例では、第1のフローセル2を、異なるタイプのリガンド(即ち、異なった、事前に定義された特徴を有する分子に、結合することができるリガンド)を含む別のフローセルに置き換えてもよい。例えば、問題となっている結合部位の失活をもたらす、特定の変異を有する陰性対照リガンドでは、上記ステップを繰り返して試料流体を試験する。このテキストの結果を、先の試験の結果と比較して、非特異的結合剤を決定してもよく;例えば、第1の試験ではリガンドに結合するが、第2の試験では陰性対照リガンドにも結合する分子を同定できる場合、これらの分子は、非特異的に結合すると見なすことができる。
【0141】
図3は、本発明の他の実施形態によるミクロ流体アセンブリ200であって、第2のリガンド4’を持つ第2の表面3’を含んだ第2のフローセル2’を含むアセンブリを示す。第2のリガンド4’は、陰性対照リガンド、または第1のリガンド4と同じもしくは類似のリガンドとすることができる。有利には、ミクロ流体アセンブリ200は、以下に記述されるように、第1のフローセル2からまたは第2のフローセル2’からまたは両方のフローセルから一緒に、結合した分子の選択的回収を可能にする。
【0142】
ミクロ流体アセンブリ200はさらに、第3のコンジット5’を含み、その一端は第2のフローセル2’の第1の流体ポート2a’に流体接続され、その他端は第4の選択弁8’に流体接続される。第4の選択弁8’は、選択的に第3のコンジット5’を第1の廃棄物リザーバ7に流体接続させることができる。第4の選択弁8’は、第1の位置と第2の位置との間で可動であり;第4の選択弁8’がその第1の位置にあるときは、第4の選択弁8’は、流体を第3のコンジット5’から第1の廃棄物リザーバ7に通すことが可能になり;第4の選択弁8’がその第2の位置にあるときは、第4の選択弁8’は閉鎖され、したがって流体が第4の選択弁8’を介して第3のコンジット5’の外に流れるのを防止する。
【0143】
ミクロ流体アセンブリ200はさらに、第4のコンジット15’を含み、その一端は、第2のフローセル2’の第2の流体ポート2b’に流体接続され、その他端は、第5の選択弁28’に流体接続され;第5の選択弁28’は、第3のコンジット5’を第2の廃棄物リザーバ27に選択的に流体接続することができる。第5の選択弁28’は、第1の位置と第2の位置との間で可動であり;第5の選択弁28’がその第1の位置にあるとき、第5の選択弁28’によって、流体を第3のコンジット5’から第2の廃棄物リザーバ27に通すことが可能になり;第5の選択弁28’がその第2の位置にあるとき、第5の選択弁28’は閉鎖され、したがって流体が第3のコンジット5’から第2の廃棄物リザーバ27に流れるのを防止する。
【0144】
ミクロ流体アセンブリ200はさらに、第1のバッファーリザーバ9と第1の接合部11との間で第1の副コンジット10に沿って位置付けられた、第6の選択弁38を含む。第6の選択弁38は、第1の位置と第2の位置との間で可動であり;第6の選択弁38がその第1の位置にあるとき、第6の選択弁38によって、流体は第1のバッファーリザーバ9から第1の接合部11に、したがって第1のコンジット5に入ることが可能になり;第6の選択弁38がその第2の位置にあるとき、第6の選択弁38は閉鎖され、したがって流体が第1のバッファーリザーバ9から第1の接合部11に流れるのを、およびその逆を流れるのを防止する。
【0145】
ミクロ流体アセンブリ200はさらに、第1の副コンジット10(したがって、第1のバッファーリザーバ9)を第3の副コンジット10’に選択的に流体接続することができる、第7の選択弁38’を含み;第3の副コンジット10’は、第3の接合部11’で第3のコンジット5’に接続する。この例において、第3の副コンジット10’は、第3の接合部11’がT字形接合部11’になるように、第3のコンジット5’に垂直に配置構成され;しかし、第3の接合部11’は、任意の形状または構成をとってもよいことが理解されよう。
【0146】
第7の選択弁38’は、第1の位置と第2の位置との間で可動であり;第7の選択弁38’がその第1の位置にあるとき、第7の選択弁38’によって、流体をバッファーリザーバ9から第1の副コンジット10に、および第1の副コンジット10から第3の副コンジット10’に、したがって第3のコンジット5’に通すことが可能になり;第7の選択弁38’がその第2の位置にあるとき、第7の選択弁38’は、第7の選択弁38’は閉鎖され、したがって流体が第1の副コンジット10から(したがって、バッファーリザーバ9から)第3の副コンジット10’に流れるのを、およびその逆に流れるのを防止する。
【0147】
第2のフローセル2’の第1の流体ポート2a’と、第3の接合部11’との間に位置付けられた、第3のコンジット5’の部分を、第3のコンジット5’の第1の部分5a’と呼ぶことにし、第3の接合部11’と第4の選択弁8’との間に位置付けられた第3のコンジット5’の部分を、第3のコンジット5’の第2の部分5b’と呼ぶことにする。好ましい実施形態では、第3のコンジット5’の第1の部分5a’は、第3のコンジット5’の第2の部分5b’の容積よりも低い容積を有するように構成される。
【0148】
図1および2に示されるアセンブリ1、100の場合と同様に、アセンブリ200はユニット72を含み;ユニット72は、試料流体(図1および2に示される実施形態に関して記述される。)を投入し貯蔵するための適切な手段を含む。ユニット72は、図1および2のアセンブリ1、100と同じ構成を有する。ユニット72は、第2の副コンジット20を介して第2の接合部21に流体接続される。アセンブリ200はさらに、第2の副コンジット20に接続され第4のコンジット15’に接続される、第4のコンジット15’を含み、したがって第4のコンジット15’は、第2の副コンジット20を第4のコンジット15’に流体接続する。第4の副コンジット20’は、第4の接合部21’で第4のコンジット15’に接続される。この例で、第4の副コンジット20’は、第4の接合部21’がT字形接合部21’になるように、第4のコンジット15’に垂直に配置構成され;しかし、第4の接合部21’は任意の形状または構成をとってもよいことが理解されよう。
【0149】
図3に示されるように、第4の副コンジット20’は、第6の接続部41で第2の副コンジット20に接続される。この例で、第4の副コンジット20’は、第6の接合部41がT字形接合部41になるように、第2の副コンジット20に垂直に配置構成され;しかし第6の接合部41は、任意の形状または構成をとってもよいことが理解されよう。この実施形態では、第6の接合部41は無弁である(即ち、第6の接合部に弁が存在しない。)。
【0150】
第7の選択弁38’は、中間コンジット108を介して第1の副コンジット10に接続される。中間コンジット108は、第5の接合部31で第1の副コンジット10に接続される。この例において、中間コンジット108は、第5の接合部31がT字形接合部31になるように、第1の副コンジット10に垂直に配置構成され;しかし第5の接合部31は、任意の形状または構成をとってもよいことが理解されよう。
【0151】
第2のフローセル2’の第2の流体ポート2b’と第4の接合部21’との間に位置付けられた第4のコンジット15’の部分を、第4のコンジット15’の第1の部分15a’と呼ぶことにし、第4の接合部21’と第5の選択弁28’との間に位置付けられた第4のコンジット15’の部分を、第4のコンジット15’の第2の部分15b’と呼ぶことにする。好ましい実施形態では、第4のコンジット15’の第1の部分15a’は、第4のコンジット15’の第2の部分15b’よりも非常に低い容積を有する。
【0152】
有利には、図3に示される実施形態では、流体は、いかなる弁も通過することなく、ユニット72から第1のフローセル2または第2のフローセル2’のいずれかを通ることができ;したがって、通常なら、分析物流体を交換するときにそのような弁に存在する可能性のある、任意のデッドボリュームを濯ぐ必要がない。その後の利点とは、いかなる弁も通過することなく、流体はユニット72から第1のフローセル2または第2のフローセル2’のいずれかまで通ることができるので、ミクロ流体アセンブリ200内に存在する弁の全てを濯ぐ必要がなく、したがって市販の標準弁から構成することができ、低減した内部容積でマイクロ弁を小型化する必要性がなくなることである。
【0153】
アセンブリ200の上述の例示的な実施形態の変形例では、弁の総数を低減させるために、ある特定の弁を省略してもよい。図4は、本発明の他の実施形態によるミクロ流体アセンブリ300を示す。ミクロ流体アセンブリ300は、図3に示されるミクロ流体アセンブリ200と同じ特徴の多くを有し、同様の特徴には同じ参照符号が与えられる。しかし、ミクロ流体アセンブリ200に比べ、ミクロ流体アセンブリ300は、第5の選択弁28’を含まず、第4のコンジット15’を含まない。
【0154】
ミクロ流体アセンブリ300では、第2のコンジット15におよび第2のフローセル2’の第2の流体ポート2b’に接続される第5のコンジット16が設けられて、第2のコンジット15および第2のフローセル2’が流体接続するようになされている。第5のコンジット16は、第7の接合部51で第2のコンジット15に接続され、一方、第5のコンジット16の他端は、第2のフローセル2’の第2の流体ポート2b’に接続される。この例において、第7の接合部51は、第2の接合部21と第1のフローセル2の第2の流体ポート2aとの間に位置付けられる(しかし、第7の接合部51は、第2のコンジット15に沿った任意のその他の位置に位置付けることができることが理解されよう。)。第7の接合部51を第2の接合部21と第1のフローセル2の第2の流体ポート2aとの間に位置付けることにより(即ち、第7の接合部51を第2のコンジット15の第1の部分15aに沿って位置付けることにより)、ユニット72が第2の廃棄物リザーバ27に流体接続したときに、均質な試料の調製が容易になる。この例では、第5のコンジット16は、第7の接合部51がT字形接合部51になるように、第2のコンジット15に垂直に配置構成され;しかし第7の接合部51は、任意の形状または構成をとってもよいことが理解されよう。
【0155】
代替の実施形態では、第7の接合部51は、第2のコンジット15に沿って、第2の接合部21と同じ点に位置付けられ;したがって、四方接合部(または十字形の、即ち「+」接合部)が形成される。
【0156】
図3および4に示されるミクロ流体アセンブリ200および300の動作について、次に記述する。
【0157】
この記述を簡潔にするために、図3に示されるミクロ流体アセンブリ200では、第1の選択弁8、第2の選択弁28、第4の選択弁8’、第5の選択弁28’、第6の選択弁38、および第7の選択弁38’がまとまって、流動ステアリング弁ユニット138を画定し;図4に示されるミクロ流体アセンブリ300では、第1の選択弁8、第2の選択弁28、第4の選択弁8’、第6の選択弁38、および第7の選択弁38’がまとまって、流動ステアリング弁ユニット138を画定すると見なされることになる。
【0158】
図4に示されるミクロ流体アセンブリ300では、流動ステアリング弁ユニット138を、第1の状態、第2の状態、第3の状態、第4の状態、第5の状態、または第6の状態のいずれかになるように選択的に構成することができる。図4に示されるミクロ流体アセンブリ300では、流動ステアリング弁ユニットがその第1の状態になるように構成されるとき、第2の選択弁28および第6の選択弁38はそれらの第1の位置(即ち、「開放」)にあり、一方、流動ステアリング弁ユニット138のその他全ての弁はそれらの第2の位置(即ち、「閉鎖」)にあり、したがって流体を第2の副コンジット20から第2の廃棄物リザーバ27に流すことが可能になり、第1のバッファーリザーバ9から第1のフローセル2を経て第2の廃棄物受容器27にまで流れることが可能になるが、流体が第2のフローセル2’を経て流れまたは第1の廃棄物受容器7へ流れることは防止される。流動ステアリング弁ユニット138がその第2の状態になるように構成されるとき、第1の選択弁8および第6の選択弁38はそれらの第1の位置(即ち、「開放」)にあり、一方、流動ステアリング弁ユニット138のその他全ての弁はそれらの第2の位置(即ち、「閉鎖」)にあり、したがって第2の副コンジット20から第1のフローセル2を経て第1の廃棄物受容器7に至る流動が可能になり、第1のバッファーリザーバ9から第1の廃棄物受容器7への流動が可能になるが、流体が第2のフローセル2’を経て流れまたは第2の廃棄物受容器27に流れることは防止される。流動ステアリング弁ユニット138が、その第3の状態になるように構成されるとき、第7の選択弁38’および第2の選択弁28は、それらの第1の位置(即ち、「開放」)にあり、一方、流動ステアリング弁ユニット138のその他全ての弁は、それらの第2の位置(即ち、「閉鎖」)にあり、したがって流体が、第4の副コンジット20’から第2の廃棄物受容器27に流れることが可能になり、第1のバッファーリザーバ9から第2のフローセル2’を経て第2の廃棄物受容器27に流れることが可能になるが、流体が第1のフローセル2に流れることまたは第1の廃棄物受容器7に流れることは防止される。流動ステアリング弁ユニット138が、前記第4の状態になるよう構成されるとき、第4の選択弁8’および第7の選択弁38’はそれらの第1の位置(即ち、「開放」)にあり、一方、流動ステアリング弁ユニット138のその他全ての弁は、それらの第2の位置(即ち、「閉鎖」)にあり、したがって第4の副コンジット20’から第2のフローセル2’を経て第1の廃棄物受容器7に至る流れが可能になり、第1のバッファーリザーバ9から第1の廃棄物受容器7への流れが可能になるが、流体が第1のフローセル2を経て流れることまたは第2の廃棄物受容器27に流れることは防止される。流動ステアリング弁ユニット138が、その第5の状態になるように構成されるとき、第1の選択弁8および第4の選択弁8’は、それらの第2の位置(即ち、「閉鎖」)にあり、一方、流動ステアリング弁ユニット138のその他全ての弁は、それらの第1の位置(即ち、「開放」)にあり、したがって第2の副コンジット20および第4の副コンジット20’から第2の廃棄物受容器27への流れが可能になり、第1のバッファーリザーバ9から第1のフローセル2および第2のフローセル2’を経て第2の廃棄物受容器27に至る流れが可能になるが、流体が第1の廃棄物受容器7に流れることは防止される。流動ステアリング弁ユニット138がその第6の状態になるように構成されるとき、第2の選択弁28はその第2の位置(即ち、「閉鎖」)にあり、一方、流動ステアリング弁ユニット138のその他全ての弁は、それらの第1の位置(即ち、「開放」)にあり、したがって、第2の副コンジット20から第1のフローセル2を経て第1の廃棄物受容器7に至る、および第4の副コンジット20’から第2のフローセル2’を経て第1の廃棄物受容器7に至る流れが可能になり、第1のバッファーリザーバ9から第1の廃棄物受容器7への流れが可能になるが、流体が第2の廃棄物受容器27に流れることは防止される。
【0159】
図3に示されるミクロ流体アセンブリ200において、流動ステアリング弁ユニット138は、第1の状態、第2の状態、第3の状態、第4の状態、第5の状態、または第6の状態のいずれかになるように選択的に構成することができる。図3に示されるミクロ流体アセンブリ200では、流動ステアリング弁ユニットがその第1の状態になるように構成されるとき、第2の選択弁28および第6の選択弁38はそれらの第1の位置(即ち、「開放」)にあり、一方、流動ステアリング弁ユニット138のその他全ての弁は、それらの第2の位置(即ち、閉鎖)にあり、したがって流体は第2の副コンジット20から第2の廃棄物受容器27に流れることが可能になり、第1のバッファーリザーバ9から第1のフローセル2を経て第2の廃棄物受容器27に流れることが可能になるが、流体が第2のフローセル2’を経て流れることまたは第1の廃棄物受容器7に流れることは防止される。流動ステアリング弁ユニット138が、その第2の状態にあるように構成されるとき、第1の選択弁8および第6の選択弁38は、それらの第1の位置(即ち、「開放」)にあり、一方、流動ステアリング弁ユニット138のその他全ての弁は、それらの第2の位置(即ち、「閉鎖」)にあり、したがって第2の副コンジット20から第1のフローセル2を経て第1の廃棄物受容器7に流れることが可能になり、第1のバッファーリザーバ9から第1の廃棄物受容器7に流れることが可能になるが、流体が第2のフローセル2’を経て流れること、または第2の廃棄物受容器27に流れることは防止される。流動ステアリング弁ユニット138が、その第3の状態になるように構成されるとき、第7の選択弁38’および第5の選択弁28’はそれらの第1の位置(即ち、「開放」)にあり、一方、流動ステアリング弁ユニット138のその他全ての弁は、それらの第2の位置(即ち、「閉鎖」)にあり、したがって第4の副コンジット20’から第2の廃棄物受容器27に流れることが可能になり、第1のバッファーリザーバ9から第2のフローセル2’を経て第2の廃棄物受容器27に流れることが可能になるが、流体が第1のフローセル2内を流れまたは第1の廃棄物受容器7に流れることは防止される。流動ステアリング弁ユニット138が、前記第4の状態になるように構成されるとき、第4の選択弁8’および第7の選択弁38’は、それらの第1の位置(即ち、「閉鎖」)にあり、一方、流動ステアリング弁ユニット138のその他全ての弁は、それらの第2の位置(即ち、「閉鎖」)にあり、したがって第4の副コンジット20’から第2のフローセル2’を経て第1の廃棄物受容器7に流れることが可能であり、第1のバッファーリザーバ9から第1の廃棄物受容器7に流れることが可能になるが、流体が第1のフローセル2内を流れまたは第2の廃棄物受容器27に流れることは防止される。流動ステアリング弁ユニット138が、その第5の状態になるよう構成されるとき、第1の選択弁8および第4の選択弁8’は、それらの第2の位置(即ち、「閉鎖」)にあり、一方、流動ステアリング弁ユニット138のその他全ての弁は、それらの第1の位置(即ち、「開放」)にあり、したがって第2の副コンジット20および第4の副コンジット20’から第2の廃棄物受容器27に流れることが可能になり、第1のバッファーリザーバ9から第1のフローセル2および第2のフローセル2’を経て第2の廃棄物受容器27に流れることが可能になるが、流体が第1の廃棄物受容器7に流れることは防止される。流動ステアリング弁ユニット138が、その第6の状態になるよう構成されるとき、第2の選択弁28および第5の選択弁28’は、それらの第2の位置(即ち、「閉鎖」)にあり、一方、流動ステアリング弁ユニット138のその他全ての弁は、それらの第1の位置(即ち、「開放」)にあり、したがって、第2の副コンジット20から第1のフローセル2を経て第1の廃棄物受容器7に、および第4の副コンジット20’から第2のフローセル2’を経て第1の廃棄物受容器7に流れることが可能になり、第1のバッファーリザーバ9から第1の廃棄物受容器7に流れることが可能になるが、流体が第2の廃棄物受容器27に流れることは防止される。ミクロ流体アセンブリ200および300は、第1のフローセル2内の第1のリガンド4および/または第2のフローセル2’内の第2のリガンド4’のいずれかまたは両方から受動的にまたは能動的に解離する分子を含有する試料流体を試験するために、本発明の方法の実施形態による例示的な方法を実施するのに使用することができる。
【0160】
一例では、流動ステアリング弁ユニット138は、試料流体が第1のフローセル2のみを経て(第2のフローセル2’を通らない。)流れるように構成される。前記試料流体は、最も好ましくは、第1のフローセル2内で第1のリガンド4から受動的にまたは能動的に解離する分子を含有する。この例では、流動ステアリング弁ユニット138は、その第1の状態にあるように最初に構成される。次いでユニット72は、試料流体を放出するように構成され(図1および2の実施形態に関して記述されるように);放出された試料流体は、第2の副コンジット20、第2のコンジット15の第2の部分15b、および第2の選択弁28を経て、第2の廃棄物リザーバ27に流入する。任意選択で、次にプランジャ9aは、バッファー流体が第1のシリンジ・ポンプ9から放出されるように、レセプタクル9aに押し込まれる。バッファー流体は、第1のシリンジ・ポンプ9から流出し、第1の副コンジット10、第6の選択弁38、および第1のコンジット5の第1の部分5aを経て、第1のフローセル2に流入し、そこから第2のコンジット15および第2の選択弁28を経て第2の廃棄物リザーバ27に流入する。
【0161】
このように、図3のアセンブリ200および図4のアセンブリ300に関し、上述のステップ中に、第2の副コンジット20は試料流体によって効果的に濯ぎがなされる。
【0162】
次に、流動ステアリング弁ユニット138を、その第2の状態になるように構成する。次いでユニット72は、試料流体を放出するように構成され(図1および2の実施形態に関して記述されるように);放出された試料流体は、第2の副コンジット20および第2のコンジット15の第1の部分15aを経て第1のフローセル2内へと流通し、そこから第1のコンジット5および第1の選択弁8を経て第1の廃棄物リザーバ7に流入する。
【0163】
したがって、この段階では、第1のフローセル2は試料流体を含有し;第1のフローセル2内に含有される試料流体中の分子を、第1のフローセル2内の第1のリガンド4に結合することができる。
【0164】
次に、流動ステアリング弁ユニット138を、その第1の状態にあるように構成する。次いでユニット72を、バッファー流体が放出されるように構成する(図1および2の実施形態で記述されるように)。放出されたバッファー流体は、第2の副コンジット20、第2のコンジット15の第2の部分15b、および第2の選択弁28を通して第2の廃棄物リザーバ27に流れることにより、第2の副コンジット20内に存在する試料流体を流出させる。したがってこの段階で、図3のアセンブリ200に関しておよび図4のアセンブリ300に関して、第1のフローセル2は試料流体を含有し;上述のステップ中、第2の副コンジット20は、バッファー流体によって効果的に濯ぎがなされる。
【0165】
次に、任意選択で、流動ステアリング弁ユニット138は、その第2の状態にあるように構成され、プランジャ9aは、バッファー流体が第1のシリンジ・ポンプ9から放出されるように、レセプタクル9aに押し込まれてもよく;放出バッファー流体は、第1の副コンジット10および第6の選択弁38、第1のコンジット5の第2の部分5b、および第1の選択弁8を経て、第1の廃棄物受容器7に流入する。
【0166】
したがって、この段階で、第1のフローセル2は試料流体を含有し、残りの流路は、第1のコンジット5の第1の部分5aと第2のコンジット15の第1の部分15a以外、バッファー流体によって効果的に濯ぎがなされる。
【0167】
次に流動ステアリング弁ユニット138は、その後、その第1の状態に構成される。次いでバッファー流体は、第1のシリンジ・ポンプ9から放出される(図1および2の実施形態で記述されるように)。放出されたバッファー流体は、第1の副コンジット10、第1のコンジット5の第1の部分5a、第1のフローセル2、第2のコンジット15、および第2の選択弁28を経て、第2の廃棄物受容器27に流入する。好ましい実施形態では、特に、受動的に解離する分子の回収の場合、バッファー流体は、10ミリ秒から10秒の間の期間、第1のフローセル2を経て流れることが可能であり;好ましくはバッファー流体は、0.1〜2秒の間の期間、第1のフローセル2を経て流れることが可能になり;最も好ましくは、バッファー流体は、0.5秒間、第1のフローセル2を経て流れることが可能になる。
【0168】
次に第6の選択弁38をその第1の位置(「開放」)に移動させ、第7の選択弁38’をその第2の位置(「閉鎖」)に移動させて、流体を、第1のシリンジ・ポンプ9からまたはそこに向かって、第6の選択弁38を介して第1のフローセル2内に流すことができるようにし、したがって第7の弁38’は、流体が第2のフローセル2’を経て第1のシリンジ・ポンプ9からまたはそこに向かって流れるのを防止する。
【0169】
次に、能動的に解離する分子を回収するために、ユニット72は、再生流体(即ち、例えば低pHのグリシンなどの再生溶液)を放出するよう構成され(図2の実施形態で記述されるように);第1のシリンジ・ポンプ9は、ユニット72から、第2の副コンジット20、第2のコンジット15の第1の部分15aを経て、第1のフローセル2内に再生流体を吸引するように構成される。再生流体は、第1のフローセル2内で第1のリガンド4に結合している分子を押し遣って、第1のリガンド4から解離させる。再生流体は、第1のフローセル2から、第1のコンジット5の第1の部分5a、第1の副コンジット10、および第6の選択弁38を経て、第1のシリンジ・ポンプ9に到達するまで流れる。重要なことは、再生流体が第1のフローセル2内を流れるにつれ、第1のフローセル2内のそれぞれの第1のリガンド4に結合した分子を、それらの第1のリガンド4から解離させるようになることである。解離した分子は、第1のフローセル2内を流れる再生流体中に収集されることになる。したがって、このステップの後、第1のフローセル2、第1のコンジット5の第1の部分5a、および第1の副コンジット10内に存在する再生流体は、第1のフローセル2内で第1のリガンド4に結合しており、そしてこのリガンド4から能動的に解離された分子を含有することになる。
【0170】
次に、第1のシリンジ・ポンプ9は、バッファー流体を計量分配するように構成され、ユニット72は吸引するように構成され、その結果、再生流体は、第1のシリンジ・ポンプ9の前から第1の副コンジット10および第1のコンジット5の第1の部分5aを経て第1のフローセル2に流れ、そこから、第2のコンジット15の第1の部分15aおよび第2の副コンジット20を経てユニット72に流れる。このように、解離した分子を含有する再生流体は、ユニット72の収集リザーバ39に取集されてもよい。
【0171】
受動的に解離する分子の場合、分子は、再生流体によって能動的に解離される必要なしに、第1のフローセル2内で第1のリガンド4’から受動的に解離することになるので、再生流体はアセンブリ200、300で使用されない。したがって、受動的に解離する分子を回収するために、第6の選択弁38がその第1の位置(「開放」)にありかつ第7の選択弁38’がその第2の位置(「閉鎖」)にあるとき、第1のシリンジ・ポンプ9はバッファー流体を計量分配するように構成され、ユニット72は吸引するように構成され、その結果、バッファー流体は、第1のシリンジ・ポンプ9から第1の副コンジット10、第1のコンジットの第1の部分5aを経て第1のフローセル2に流れ、そこから、第2のコンジット15の第1の部分15aおよび第2の副コンジット20を経てユニット72に流れる。このように、第1のシリンジ・ポンプ9によって第1のフローセル2内に放出されたバッファー流体は、第1のフローセル2内に、第2のリガンド4から解離するようになった(即ち、受動的に解離した)分子を収集することになり;収集された、解離された分子を含有するバッファー流体は、第1のフローセル2からユニット72の収集リザーバ39内に流れることになる。
【0172】
ユニット72の収集リザーバ39に収集された、前記解離した分子を含有する流体(受動的に解離する分子の場合はバッファー流体、または能動的に解離する分子の場合は再生流体)は、流体中に存在する分子を決定/同定するように構成された分析デバイスに提供することができ;したがって最終的には、対処されたフローセル内でリガンドに結合した、およびそれぞれのリガンドから解離されるようになった、分子を決定/同定する。
【0173】
一例では、流動ステアリング弁ユニット138は、試料流体が第2のフローセル2’のみを経て(第1のフローセル2は通らない。)流れるように構成される。前記試料流体は、最も好ましくは、第2のフローセル2’内で第2のリガンド4’から受動的にまたは能動的に解離する分子を含有する。この例では、流動ステアリング弁ユニット138は、その第3の状態になるように最初に構成される。次いでユニット72は、試料流体を第2の廃棄物リザーバ27に放出するように構成される。図3のアセンブリ200に関し、試料流体は、第2の副コンジット20、第4の副コンジット20’、第4のコンジット15’の第2の部分15b’、および第5の選択弁28’を経て、第2の廃棄物リザーバ27内に流れる。図4のアセンブリ300に関し、試料流体は、第2の副コンジット20、第2のコンジット15の第2の部分15b、および第2の選択弁28を経て、第2の廃棄物リザーバ27内に流れる。任意選択で、次にプランジャ9aは、バッファー流体が第1のシリンジ・ポンプ9から放出されるように、レセプタクル9a内に押し込まれる。バッファー流体は、第1のシリンジ・ポンプ9から、第3の副コンジット10’、第7の選択弁38’、および第3のコンジット5’の第1の部分5a’を経て、第2のフローセル2’内に流出する。図3のアセンブリ200に関し、流体は、第2のフローセル2’から、第4のコンジット15’および第5の選択弁28’を経て、第2の廃棄物リザーバ27内に流れる。図4のアセンブリ300に関し、流体は、第2のフローセル2’から、第5のコンジット16および第4のコンジット15’の一部、および第2の選択弁28を経て、第2の廃棄物リザーバ内に流れる。
【0174】
このように、上述のステップ中の図3のアセンブリ200に関し、第4の副コンジット20’、およびユニット72と第6の接合部41との間の第2の副コンジット20の部分は、試料流体によって効果的に濯ぎがなされ;図4のアセンブリ300に関し、第2の副コンジット20は、試料流体によって効果的に濯ぎがなされる。
【0175】
次に、流動ステアリング弁ユニット138は、その第4の状態になるように構成される。次いでユニット72は、試料を第2のフローセル2’内に放出するように構成される。図3のアセンブリ200に関し、試料流体は、ユニット72から、第2の副コンジット20、第4の副コンジット20’、および第4のコンジット15’の第1の部分15a’を経て、第2のフローセル2’内に流れる。図4のアセンブリ300に関し、試料流体は、ユニット72から、第2の副コンジット20および第5のコンジット16を経て、第2のフローセル2’内に流れる。図3のアセンブリ200に関し、および図4のアセンブリ300に関し、そこから試料流体は、第3のコンジット5’および第4の選択弁8’を経て、第1の廃棄物リザーバ7に流れる。
【0176】
したがって、この段階で、第2のフローセル2’は試料流体を含有し;第2のフローセル2’内に含有される試料流体中の分子は、第2のフローセル2’内の第2のリガンド4’に結合することができる。
【0177】
次に、流動ステアリング弁ユニット138は、その後、その第3の状態に構成される。次いでユニット72は、バッファー流体を第2の廃棄物リザーバ27に放出するように構成される。図3のアセンブリ200に関し、バッファー流体は、第2の副コンジット20、第4の副コンジット20’、第4のコンジット15’の第2の部分15b’、および第5の選択弁28’を経て、第2の廃棄物リザーバ27内に流れる。図4のアセンブリ300に関し、バッファー流体は、第2の副コンジット20、第2のコンジット15の第2の部分15b、および第2の選択弁28を経て第2の廃棄物リザーバ27に流入する。したがって、この段階で、図3のアセンブリ200および図4のアセンブリ300に関し、第2のフローセル2’は試料流体を含有し;上述のステップ中、第2の副コンジット20はバッファー流体によって効果的に濯ぎがなされる。図4のアセンブリ300に関し、第4の副コンジット20’もバッファー流体によって効果的に濯ぎがなされる。
【0178】
次に任意選択で、流動ステアリング弁ユニット138は、その第4の状態にあるように構成され、プランジャ9aは、バッファー流体が第1のシリンジ・ポンプ9から、第3の副コンジット10’および第7の選択弁38’、第3のコンジット5’の第2の部分5b’、および第4の選択弁8’を経て第1の廃棄物受容器7に放出されるように、レセプタクル9aに押し込まれてもよい。
【0179】
したがって、この段階で、第2のフローセル2’は試料流体を含有し、残りの流路は、第3のコンジット5’の第1の部分5a’および第4のコンジット15’の第1の部分15a’を除いて、バッファー流体によって効果的に濯ぎがなされる。
【0180】
次に流動ステアリング弁ユニット138は、その後、その第3の状態を有するように構成され、次いでバッファー流体が、第1のシリンジ・ポンプ9から、第3の副コンジット10’、第7の選択弁38’、および第3のコンジット5’の第1の部分5a’を経て、第2のフローセル2に放出される。図3のアセンブリ200に関し、流体は、第2のフローセル2’から、第4のコンジット15’および第5の選択弁28’を経て、第2の廃棄物リザーバ27に流入する。図4のアセンブリ300に関し、流体は、第2のフローセル2’から、第5のコンジット16および第4のコンジット15’の一部、および第2の選択弁28を経て、第2の廃棄物リザーバ27に流入する。好ましい実施形態では、特に受動的に解離する分子を回収する場合、バッファー流体は、10ミリ秒から10秒の間の期間、第2のフローセル2’内を流れることが可能になり;好ましくはバッファー流体は、0.1〜2秒の間の期間、第2のフローセル2’を経て流れることが可能になり;最も好ましくは、バッファー流体は、0.5秒間にわたり第2のフローセル2’内を流れることが可能になる。
【0181】
次に、第6の選択弁38をその第2の位置(「閉鎖」)に移動させ、第7の選択弁38’をその第1の位置(「開放」)に移動させて、第1のフローセル2を経た第1のシリンジ・ポンプ9からのまたはこのポンプ9への流れが第6の選択弁38によって制限されるようにし、かつ第2のフローセル2’を経た第1のシリンジ・ポンプ9からのまたはこのポンプ9への流れが、第7の選択弁38’によって制限されないようにする。
【0182】
次に、能動的に解離する分子を回収するために、ユニット72は、再生流体を放出するように構成され、第1のシリンジ・ポンプ9は、ユニット72から再生流体を吸引するように構成する。図3のアセンブリ200に関し、流体は、第2の副コンジット20、第4の副コンジット20’を経て、第4のコンジット15’の第1の部分15a’に、および第2のフローセル2’に流入する。図4のアセンブリ300に関し、流体は、第2の副コンジット20および第5のコンジット16を経て、第2のフローセル2’に流入する。再生流体は、第2のフローセル2’内でリガンド4’に結合している分子を、第2のリガンド4’から強制的に解離させる。再生流体は、第2のフローセル2’から第3のコンジット5’の第1の部分5a’、第3の副コンジット10’、および第7の選択弁38’に、さらに第1のシリンジ・ポンプ9まで流れる。重要なことは、再生流体が第2のフローセル2内を流れるにつれ、第2のフローセル2’内でそれぞれの第2のリガンド4’に結合した分子が、それらの第2のリガンド4’から解離されるようになることである。解離した分子は、第2のフローセル2’内を流れる再生流体中に収集されることになる。したがってこのステップの後、第2のフローセル2’、第3のコンジット5’の第1の部分5a’、および第3の副コンジット10’内に存在する再生流体は、第2のフローセル2’内で第2のリガンド4’に結合しており、そしてこのリガンド4’から能動的に解離した分子を含有することになる。
【0183】
次に、第1のシリンジ・ポンプ9は、バッファー流体を計量分配するように構成され、ユニット72は、吸引するように構成され、その結果、再生流体は第1のシリンジ・ポンプ9の前から第7の選択弁38’および第3の副コンジット10’を経て第2のフローセル2’内に流れる。図3のアセンブリ200に関し、バッファーは、第2のフローセル2’から第3のコンジット5’の第1の部分5a’、第4の副コンジット20’、第2の副コンジット20を経てユニット72内に流れる。図4のアセンブリ300に関し、バッファーは、第2のフローセル2’から第5のコンジット16、第2の副コンジット20を経て、ユニット72に流入する。このように、解離した分子を含有する再生流体は、ユニット72の収集リザーバ39内に収集されてもよい。
【0184】
受動的に解離する分子の場合、再生流体によって能動的に解離する必要なしに、分子は第2のフローセル2’内で第2のリガンド4’から受動的に解離することになるので、再生流体はアセンブリ200、300で使用されない。したがって、受動的に解離する分子を回収するために、第6の選択弁38がその第2の位置(「閉鎖」)にありかつ第7の選択弁38’がその第1の位置(「開放」)にあるとき、第1のシリンジ・ポンプ9はバッファー流体を計量分配するように構成され、ユニット72は吸引するように構成され、その結果、バッファー流体は、第1のシリンジ・ポンプ9から第3の副コンジット10’および第7の選択弁38’、および第3のコンジット5’の第1の部分5a’を経て、第2のフローセル2’に流入する。図3のアセンブリ200に関し、バッファー流体は、第2のフローセル2’から、第4のコンジット15’の第1の部分15a’、第4の副コンジット20’、および第2の副コンジット20を経て、ユニット72に流入する。図4のアセンブリ300に関し、バッファー流体は、第2のフローセル2’から、第5のコンジット16および第2の副コンジット20を経て、ユニット72に流入する。このように、第1のシリンジ・ポンプ9によって第2のフローセル2’内に放出された緩衝液は、第2のフローセル2’内に収集され、分子は第2のリガンド4’から解離する(即ち、受動的に解離する)ようになり;収集された、解離した分子を含有するバッファー流体は、第2のフローセル2’からユニット72の収集リザーバ39内に流入することになる。
【0185】
ユニット72の収集リザーバ39に収集された流体(受動的解離する分子の場合はバッファー流体、または能動的に解離する分子の場合は再生流体)は、流体中に存在する分子を決定/同定するよう構成された分析デバイスに提供することができ;したがって最終的には、対処するフローセル内のリガンドに結合していた、それぞれのリガンドから解離するようになった分子を決定/同定する。
【0186】
一例では、流動ステアリング弁ユニット138は、試料流体が第1のフローセル2および第2のフローセル2’の両方を経て流れるように構成される。前記試料流体は、好ましくは、第1のフローセル2内の第1のリガンド4と、第2のフローセル2’内の第2のリガンド4’との両方から能動的にまたは受動的に解離する分子を含有する。この例では、流動ステアリング弁ユニット138は、その第5の状態にあるように、最初に構成される。次いでユニット72は、試料流体を第2の廃棄物リザーバ27内に放出するよう構成される。図3のアセンブリ200に関し、試料流体は、2つの試料調製経路に従い;第1の試料調製経路では、試料流体は、第2の副コンジット20、第2のコンジット15の第2の部分15b、および第2の選択弁28を経て、第2の廃棄物リザーバ27に流入し;第2の試料調製経路では、試料流体は、第2の副コンジット20、第4の副コンジット20’、第4のコンジット15’の第2の部分15b’、および第5の選択弁28’を経て、第2の廃棄物リザーバ27に流入する。図4のアセンブリ300に関し、試料流体は、第1および第2の試料調製経路上の両方を流れ、第2の副コンジット20、第2のコンジット15の第2の部分15b、および第2の選択弁28を経て、第2の廃棄物リザーバ27を流れる。
【0187】
任意選択で、次にプランジャ9aは、バッファー流体が第1のシリンジ・ポンプ9から放出されるように、レセプタクル9a内に押し込まれる。図3のアセンブリ200および図4のアセンブリ300の両方に関し、放出されたバッファー流体は、2つの試料調製濯ぎ経路;第1の試料調製濯ぎ経路および第2の調製濯ぎ経路に沿って続く。図3のアセンブリ200および図4のアセンブリ300の両方に関し、第1の試料調製濯ぎ経路上では、バッファー流体が、第1のシリンジ・ポンプ9から流出し、第1の副コンジット10、第6の選択弁38、および第1のコンジット5の第1の部分5aを経て、第1のフローセル2に流入し、第1のフローセル2から、第2のコンジット15および第2の選択弁28を経て、第2の廃棄物リザーバ27に流入する。図3のアセンブリ200に関し、第2の試料調製濯ぎ経路上では、第2の試料調製濯ぎ経路上のバッファー流体が、第1のシリンジ・ポンプ9から出て第3の副コンジット10’、第7の選択弁38’、および第3のコンジット5’の第1の部分5a’を経て、第2のフローセル2’に、および第2のフローセル2’から、第4のコンジット15’および第5の選択弁28’を経て、第2の廃棄物リザーバ27に流入する。図4のアセンブリ300に関し、第2の試料調製濯ぎ経路では、第2の試料調製濯ぎ経路上でバッファー流体が、第1のシリンジ・ポンプ9から流出して、第3の副コンジット10’、第7の選択弁38’、および第3のコンジット5’の第1の部分5a’を経て第2のフローセル2’に流入し、第2のフローセル2’から、第5のコンジット16および第4のコンジット15’の一部、および第2の選択弁28を経て、第2の廃棄物リザーバ27に流入する。
【0188】
このように、図3のアセンブリ200に関し、上述のステップ中に、第2の副コンジット20および第4の副コンジット20’は、試料流体によって効果的に濯ぎがなされ;図4のアセンブリ300に関し、第2の副コンジット20は試料流体によって効果的に濯ぎがなされる。
【0189】
次に、流動ステアリング弁ユニット138は、その第6の状態になるように構成される。次いでユニット72は、試料を、第1の試料注入流路に沿って第1のフローセル2内に放出するように構成され;放出された試料が第2の試料注入流路に沿って第2のフローセル2’に流入するようにも構成される。図3のアセンブリ200および図4のアセンブリ300に関し、第1の試料注入流路では、試料がユニット72から、第2の副コンジット20および第2のコンジット15の第1の部分15aを経て第1のフローセル2に流入し、そこから、第1のコンジット5および第1の選択弁8を経て第1の廃棄物リザーバ7に流入する。図3のアセンブリ200に関し、第2の試料注入流路では、試料流体がユニット72から、第2の副コンジット20、第4の副コンジット20’、および第4のコンジット15’の第1の部分15a’を経て、第2のフローセル2’に流入し、第2のフローセル2’から、第3のコンジット5’および第4の選択弁8’を経て、第1の廃棄物リザーバ7に流入する。図4のアセンブリ300に関し、第2の試料注入流路では、試料流体が、ユニット72から、第2の副コンジット20および第5のコンジット16を経て、第2のフローセル2’に流入し、第2のフローセルから、第3のコンジット5’および第4の選択弁8’を経て第1の廃棄物リザーバ7に流入する。
【0190】
したがって、この段階で、第1のフローセル2と第2のフローセル2’とは共に、試料流体を含有し;第1および第2のフローセル2、2’内に含有される試料流体中の分子は、第1および第2のフローセル2、2’内の第1および第2のリガンド4、4’に結合することができる。
【0191】
次に、流動ステアリング弁ユニット138は、その後、その第5の状態に構成される。次いでユニット72は、バッファー流体を放出するように構成され;放出バッファー流体は、第1の試料濯ぎ流路および第2の試料濯ぎ流路に沿って、第2の廃棄物リザーバ27に流れる。図3のアセンブリ200および図4のアセンブリ300に関し、第1の試料濯ぎ流路上では、バッファー流体がユニット72から第2の廃棄物リザーバ27に、第2の副コンジット20、第2のコンジット15の第2の部分15b、および第2の選択弁28を経て流れることにより、第2の副コンジット20内に存在する試料流体を流出させる。図3のアセンブリ200に関し、第2の試料濯ぎ流路上では、バッファー流体は、第2の副コンジット20、第4の副コンジット20’、第4のコンジット15’の第2の部分15b’、および第5の選択弁28’を経て、第2の廃棄物リザーバ27に流入する。図4のアセンブリ300に関し、第2の試料濯ぎ流路上では、バッファー流体は、第2の副コンジット20、第2のコンジット15の第2の部分15b、および第2の選択弁28を経て、第2の廃棄物リザーバ27に流入する。したがって、この段階で、図3のアセンブリ200に関し、および図4のアセンブリ300に関し、第1および第2のフローセル2、2’は試料流体を含有し;上述のステップ中、第2の副コンジット20は、バッファー流体によって効果的に濯ぎがなされる。図4のアセンブリ300に関し、第4の副コンジット20’も、バッファー流体によって効果的に濯ぎがなされる。
【0192】
次に、任意選択で、流動ステアリング弁ユニット138はその第6の状態に構成され、プランジャ9aは、バッファー流体が第1のシリンジ・ポンプ9から、第1の出口清浄化流路および第2の出口清浄化流路に沿って流れて第1の廃棄物受容器7に放出されるように、レセプタクル9aに押し込まれてもよい。図3のアセンブリ200と図4のアセンブリ300との両方に関し、第1の出口清浄化流路上では、バッファー流体が、第1のシリンジ・ポンプ9から第1の副コンジット10および第6の選択弁38、第1のコンジット5の第2の部分5bおよび第1の選択弁8を経て、第1の廃棄物受容器7に流入し;第2の出口清浄化流路上では、バッファー流体が、第1のシリンジ・ポンプ9から第3の副コンジット10’および第7の選択弁38’、第3のコンジット5’の第2の部分5b’および第4の選択弁8’を経て、第1の廃棄物受容器7に流入する。
【0193】
したがって、この段階で、第1および第2のフローセル2、2’は共に試料流体を含有し、残りの流路は、第1のコンジット5の第1の部分5a、第2のコンジット15の第1の部分15a、第3のコンジット5’の第1の部分5a’、および第4のコンジット15’の第1の部分15a’を除き、バッファー流体によって効果的に濯ぎがなされる。
【0194】
次に、流動ステアリング弁ユニット138は、その後、その第5の状態に構成され、次いでバッファー流体が第1のシリンジ・ポンプ9から放出され;図3のアセンブリ200と図4のアセンブリ300との両方に関し、放出されたバッファー流体は、第1のシリンジ・ポンプ9から、第1の急速濯ぎ流路に沿って第1のフローセル2に流入し;放出されたバッファー流体は、第1のシリンジ・ポンプ9から、第2の急速濯ぎ流路に沿って、第2のフローセル2’に流入する。図3のアセンブリ200と図4のアセンブリ300との両方に関し、第1の急速濯ぎ流路上では、バッファー流体が第1のシリンジ・ポンプ9から、第1の副コンジット10、第1のコンジット5の第1の部分5a、第1のフローセル2、第2のコンジット15、および第2の選択弁28を経て、第2の廃棄物受容器27に流入する。図3のアセンブリ200に関し、第2の急速濯ぎ流路上では、バッファー流体は、第1のシリンジ・ポンプ9から、第3の副コンジット10’、第7の選択弁38’、および第3のコンジット5’の第1の部分5a’を経て、第2のフローセル2に流入し、第2のフローセル2’から、第4のコンジット15’および第5の選択弁28’を経て、第2の廃棄物リザーバ27に流入する。図4のアセンブリ300に関し、第2の急速濯ぎ流路上では、放出されたバッファー流体が、第1のシリンジ・ポンプ9から、第3の副コンジット10’、第7の選択弁38’、および第3のコンジット5’の第1の部分5a’を経て、第2のフローセル2に流入し、第2のフローセル2’から、第2の急速濯ぎ流路上で、第5のコンジット16および第4のコンジット15’の一部、および第2の選択弁28を経て、第2の廃棄物リザーバ27に流入する。好ましい実施形態では、特に受動的に解離する分子を回収するために、バッファー流体は、10ミリ秒から10秒の間の期間にわたり第1および第2のフローセル2、2’内を流れることが可能であり;好ましくは、バッファー流体は、0.1〜2秒の間の期間、第1および第2のフローセル2、2’内を流れることが可能になり;最も好ましくは、バッファー流体は、0.5秒間、第1および第2のフローセル2、2’内を流れることが可能になる。
【0195】
次に、第6の選択弁38はその第1の位置(「開放」)に移動し、第7の選択弁38’は、その第1の位置(「開放」)に移行し、したがって流体は、第1のシリンジ・ポンプ9からまたはこのポンプ9に、第6の選択弁38および第7の選択弁38’をそれぞれ介して第1および第2のフローセル2、2’内を流れることができる。
【0196】
次に、能動的に解離する分子を回収するために、ユニット72は、再生流体を放出するように構成され、第1のシリンジ・ポンプ9は、再生流体を、ユニット72から、第1の再生流路上の第1のフローセル2を通して、および第2の再生流路上の第2のフローセル2’を通して吸引するよう構成される。図3のアセンブリ200と図4のアセンブリ300との両方に関し、第1の再生流路上では、再生流体がユニット72から第2の副コンジット20、第2のコンジット15の第1の部分15aを経て、第1のフローセル2に流入する。図3のアセンブリ200に関し、第2の再生流路上では、再生流体は、ユニット72から第2の副コンジット20、第4の副コンジット20’を経て、第4のコンジット15’の第1の部分15a’に、および第2のフローセル2’に流入する。図4のアセンブリ300に関し、第2の再生流路上では、再生流体が、ユニット72から第2の副コンジット20および第5のコンジット16を経て、第2のフローセル2’に流入する。再生流体は、第1および第2のフローセル2、2’内でリガンド4、4’に結合している分子を、第2のリガンド4’から強制的に解離させる。再生流体は、第1の再生流路上を、第1のフローセル2から、第1のコンジット5の第1の部分5a、第1の副コンジット10、および第6の選択弁38を経て、第1のシリンジ・ポンプ9に到達するまで流れ;第2の再生流路上では、再生流体が、第2のフローセル2’から第3のコンジット5’の第1の部分5a’、第3の副コンジット10’、および第7の選択弁38’に、第1のシリンジ・ポンプ9まで流れる。重要なことは、再生流体が第1および第2のフローセル2、2’内を流れるにつれ、第1および第2のフローセル2、2’内で第1および第2のそれぞれのリガンド4、4’に結合した分子を、解離させるようになることである。解離した分子は、第1および第2のフローセル2、2’を経て流れる再生流体中に収集されることになる。したがって、このステップの後、第1のフローセル2、第1のコンジット5の第1の部分5a、および第1の副コンジット10内に存在する再生流体は、第1のフローセル2内の第1のリガンド4に結合しており、そしてリガンド4から能動的に解離した分子を含有することになり、第2のフローセル2’、第3のコンジット5’の第1の部分5a’、および第3の副コンジット10’に存在する再生流体は、第2のフローセル2’内の第2のリガンド4’に結合しており、そしてこのリガンド4’から能動的に解離した分子を含有することになる。
【0197】
次に、第1のシリンジ・ポンプ9はバッファー流体を計量分配するように構成され、ユニット72は、吸引するように構成され、その結果、再生流体は、第1のシリンジ・ポンプ9の前から、第1のフローセル2を通して第1の回収流路上でユニット72に流入し、第2の回収流路上では第2のフローセル2’を通して流れる。図3のアセンブリ200と図4のアセンブリ300との両方に関し、第1の回収流路上では、再生流体が、第1のシリンジ・ポンプ9の前から第1の副コンジット10および第1のコンジット5の第1の部分5aを経て第1のフローセル2に流入し、そこから、第2のコンジット15の第1の部分15aおよび第2の副コンジット20を通してユニット72に流入する。図3のアセンブリ200に関し、第2の回収流路上では、再生流体が第1のシリンジ・ポンプ9から第7の選択弁38’および第3の副コンジット10’を経て第2のフローセル2’に流入し、第2のフローセル2’から第3のコンジット5’の第1の部分5a’、第4の副コンジット20’、第2の副コンジット20を経てユニット72に流入する。図4のアセンブリ300に関し、計量分配されたバッファー流体は、第2の回収流路上で、第1のシリンジ・ポンプ9の前から第7の選択弁38’および第3の副コンジット10’を経て第2のフローセル2’に流入し、第2のフローセル2’から第5のコンジット16、第2の副コンジット20を経て、ユニット72に流入する。このように、第1および第2のフローセル2、2’の両方からの、解離した分子を含有する再生流体は、ユニット72の収集リザーバ39に収集されてもよい。
【0198】
受動的に解離する分子の場合、分子は、再生流体によって能動的に解離させる必要なく第1および第2のフローセル2,2’内でそれぞれ第1および第2のリガンド4、4’から受動的に解離することになるので、再生流体は、アセンブリ200、300で使用されない。したがって、受動的に解離する分子を回収するために、第6の選択弁38がその第1の位置(「開放」)にありかつ第7の選択弁38’がその第1の位置(「開放」)にあるとき、第1のシリンジ・ポンプ9は、バッファー流体を計量分配するように構成され、ユニット72は吸引するように構成され、その結果、第1および第2の回収流路上ではバッファー流体が流れる。このように、第1のシリンジ・ポンプ9によって第1のフローセル2内に放出された緩衝液は、第1のフローセル2内に、第1のリガンド4から解離するようになった(即ち、受動的に解離した)分子を収集することになり、第1のシリンジ・ポンプ9によって第2のフローセル2’内に放出された緩衝液は、第2のフローセル2’内に、第2のリガンド4’から解離するようになった(即ち、受動的に解離した)分子を収集することになり;収集された、解離した分子を含有するバッファー流体は、第1および第2のフローセル2、2’からユニット72の収集リザーバ39に流入することになる。
【0199】
ユニット72の収集リザーバ38に収集されてきた流体(受動的に解離する分子の場合はバッファー流体、または能動的に解離する分子の場合は再生流体)は、流体中に存在する分子を決定/同定するように;したがって最終的に、対処されるフローセル内でリガンドに結合しかつそれぞれのリガンドから解離するようになった分子を決定/同定するように構成された、分析デバイスに提供することができる。
【0200】
好ましい実施形態では、ミクロ流体アセンブリ100、200、300はさらに、分子が第1のフローセル2および第2のフローセル2’内のリガンドに結合したか否かを測定するように構成された、好ましくは前記リガンドに結合した分子の数を測定するように構成された、センサ(表面プラズモン共鳴センサまたは導波路干渉センサまたは表面音響センサなど)を含み;前記センサは、そのような測定を行うことができるように、第1のフローセル2および第2のフローセル2’に動作可能に接続される。
【0201】
上記アセンブリ200または300の変形例では、試験用にリガンドのより広い表面を得るために、アセンブリ200、300内に追加のフローセルを設けてもよい(即ち、第1および第2のフローセル2、2’に加えて)。好ましくは、複数のフローセルのそれぞれで得ることができるリガンドのタイプは、フローセル同士で異なっていてもよい。また、前記フローセルは、使用済みの、詰まった、または汚れたフローセルを素早く交換できるようにするために、取外し可能なカートリッジに一体化されてもよい。
【0202】
図5は、本発明の他の実施形態による、ミクロ流体アセンブリ400を示し;ミクロ流体アセンブリ400は、図3に示されるミクロ流体アセンブリ200と同じ特徴の多くを有し、同様の特徴には同じ参照符号を与える。ミクロ流体アセンブリ400はさらに、第3のフローセル2’’および第4のフローセル’’’を含む。しかし、ミクロ流体アセンブリ400は、2個よりも大きい任意の数のフローセルを含んでいてもよいことが理解されよう。好ましくは、フローセル2、2’、2’’、2’’’のそれぞれで得られたリガンドのタイプは、フローセル2、2’、2’’、2’’’の間で異なり;したがって各フローセルは、異なるタイプの分子を検出するのに適している。第3のフローセル2’’の一端は、第8のコンジット15’’および第10の選択弁28’’を経て第2の廃棄物リザーバ27に接続され、第8の接合部21’’を用いて第7の副コンジット20’’および第2の副コンジット20を経てユニット72に接続される。第3のフローセル2’’の他端は、第6のコンジット5’’および第8の選択弁8’’を経て第1の廃棄物リザーバ7に接続され、第10の接合部11’’を用いて、第5の副コンジット10’’および第12の選択弁38’’を経て第1のシリンジ9に接続される。第4のフローセル2’’’の一端は、第9のコンジット15’’’および第11の選択弁28’’’を経て第2の廃棄物リザーバ27に接続され、第9の接合部21’’’を用いて、第8の副コンジット20’’’および第2の副コンジット20を経てユニット72に接続される。第4のフローセル2’’’の他端は、第7のコンジット5’’’および第9の選択弁8’’’を経て第1の廃棄物リザーバ7に接続され、第11の接合部11’’’を用いて、第6の副コンジット10’’’および第13の選択弁38’’’を経て第1のシリンジ9に接続される。第8の副コンジット20’’’は、一端が、接合部21’’’で第9のコンジット15’’’に接続され、他端は、接合部41’で第2の副コンジット20に接続される。第7の副コンジット20’’は、その一端が、接合部21’’で第8のコンジット15’’に接続され、他端は、接合部41’’で第8の副コンジット20’’’に接続される。
【0203】
有利には、ミクロ流体アセンブリ200、300、400によって、ユニット72から流れる試料流体または第1のシリンジ・ポンプ9から流れるバッファー流体は、フローセルに注入されたときに同時に全てのフローセルに到達することが可能になる。このことは、既存のミクロ流体アセンブリ、即ちフローセルが直列に配置構成されており、ユニット72から第1および第2のフローセル2、2’に流れる任意の試料が最初にフローセル2を通過してその後に第2のフローセル2’に通過する、既存のミクロ流体アセンブリよりも、有利である。フローセルへの同時注入は、1秒−1から10秒−1程度の急速解離速度など、短時定数で相互作用を測定するときに、特に重要である。例として図5を参照すると、標的分子との結合について試験がなされる問題となっている第1のリガンドは、第1のフローセル2内に捕獲され、陰性対照リガンドは、第2のフローセル2’、第3のフローセル2’’、および第4のフローセル2’’’に捕獲される。第4の選択弁8’、第8の選択弁8’’、および第9の選択弁8’’’を第1の位置に移動させて、流体をユニット72から全てのフローセルに通して第1の廃棄物リザーバ7に至らせるとき、前記試料は、ほぼ同時にフローセルに到達する。それによって、フローセルに取着された、かつ試料流体中に存在する分子とフローセル内の種々のリガンドとの結合を測定するよう適合されたセンサから得られたシグナルは、結合シグナルの有意な時間差を示さなくなり、結合シグナルの分析に著しい影響を及ぼす可能性のある種々のシグナルにおけるスパイクなどのアーチファクトがなくなる。
【0204】
引き続き図5に示される実施形態によれば、ミクロ流体アセンブリ400はさらに、カートリッジ139を含む。好ましい実施形態では、カートリッジ139は、取外し可能な、使い捨て可能なカートリッジ139である。以下において、カートリッジ139の外側にあるミクロ流体アセンブリ400の部分を、アセンブリの固定部分と呼ぶことにする。カートリッジ139は、好ましくは使い捨て可能なカートリッジであり;一実施形態では、カートリッジは、1回使用した後ではもはや有用ではなく、処分して新しいカートリッジと交換すべきであることを意味する、単回使用カートリッジである。好ましくはカートリッジは、カートリッジをアセンブリの固定部分に選択的に接続しまたは接続解除させることが可能な接続手段を含み;好ましくはアセンブリの固定部分は、第1の接続手段(例えば、雌部材)を含み、カートリッジは、第2の接続手段(例えば、固定部分の雌部材と機械的に協働できるように構成された雄部材)であって、固定部分と接続してカートリッジを保持するように第1の接続手段と協働できる手段を含む。カートリッジは、第1のフローセル2、第2のフローセル2’、および第3のフローセル2’’’を含む。カートリッジは、第4のフローセル2’’’、第2の接合部21、第4の接合部21’、第8の接合部21’’、第9の接合部21’’’、第1の接合部11、第3の接合部11’、第10の接合部11’’、および第11の接合部11’’’をさらに含む。カートリッジは、複数の流体インターフェース150〜165を含み、固定部分は、対応する数の複数の一致する流体インターフェース166〜181を含む。流体インターフェースは、フローセルにおよびフローセルから繋がるコンジット内に設けられ、コンジットを、カートリッジ内に位置付けられた部分と、固定部分に位置付けられた部分とに、有効に分割する。第1のコンジット5内で、第1の流体インターフェース150はカートリッジ上に設けられ、第17の流体インターフェース166は固定部分に設けられ;第3のコンジット5’内では、第2の流体インターフェース151がカートリッジ上に設けられ、第18の流体インターフェース167が固定部分に設けられ;第6のコンジット5’’内では、第3の流体インターフェース152がカートリッジ上に設けられ、第19の流体インターフェース168が固定部分に設けられ;第7のコンジット5’’’内では、第4の流体インターフェース153がカートリッジ上に設けられ、第20の流体インターフェース169が固定部分に設けられ;第1の副コンジット10内では、第5の流体インターフェース154がカートリッジ上に設けられ、第21の流体インターフェース170が固定部分に設けられ;第3の副コンジット10’内では、第6の流体インターフェース155がカートリッジ上に設けられ、第22の流体インターフェース171が固定部分に設けられ;第5の副コンジット10’’内では、第7の流体インターフェース156がカートリッジ上に設けられ、第23の流体インターフェース172が固定部分に設けられ;第6の副コンジット10’’’内では、第8の流体インターフェース157がカートリッジ上に設けられ、第24の流体インターフェース173が固定部分に設けられ;第2のコンジット15内では、第9の流体インターフェース158がカートリッジ上に設けられ、第25の流体インターフェース174が固定部分に設けられ;第4のコンジット15’内では、第10の流体インターフェース159がカートリッジ上に設けられ、第26の流体インターフェース175が固定部分に設けられ;第8のコンジット15’’内では、第11の流体インターフェース160がカートリッジ上に設けられ、第27の流体インターフェース172が固定部分に設けられ;第9のコンジット15’’’内では、第12の流体インターフェース161がカートリッジ上に設けられ、第28の流体インターフェース177が固定部分に設けられ;第2の副コンジット20内では、第13の流体インターフェース162がカートリッジ上に設けられ、第29の流体インターフェース178が固定部分に設けられ;第4の副コンジット20’内では、第14の流体インターフェース163がカートリッジ上に設けられ、第30の流体インターフェース179が固定部分に設けられ;第7の副コンジット20’’内では、第15の流体インターフェース164がカートリッジ上に設けられ、第31の流体インターフェース180が固定部分に設けられ;第8の副コンジット20’’’内では、第16の流体インターフェース165がカートリッジ上に設けられ、第32の流体インターフェース181が固定部分に設けられる。カートリッジが固定部分に接続されるとき、カートリッジ上の流体インターフェース150〜165は、固定部分の対応する流体インターフェース166〜181と協働して、カートリッジが固定部分と流体接続するように、かつ漏れのない状態で圧力駆動流を可能にするために、対応するコンジットが封止されるようになされる。好ましい実施形態では、取外し可能なカートリッジとアセンブリの固定部分との間の流体インターフェースは、望みに応じて固定部分からカートリッジが容易に結合解除可能になるようにしつつ、インターフェースが協働するときに依然として流体不透過性封止材が得られるように、酸、塩基、および溶媒、例えばEPDMまたはFFK、あるいはシリコーンに対する高い耐薬品性を備えたエラストマー化合物で作製された1つまたは複数の封止材を含む。
【0205】
図6aは、流体インターフェース150〜165を含む、図5のミクロ流体アセンブリ400で使用されるカートリッジ139の部分斜視上面図を示す。各流体インターフェース150〜165は、EPDM、FKM、またはシリコーンなどのエラストマー化合物で作製されたリング部材を含む。図6bは、図5のミクロ流体アセンブリ400の固定部分の一部を形成する、プランジャ・アセンブリ140の斜視底面図を示す。プランジャ・アセンブリ140は、カートリッジ139と協働するのに適している。プランジャ・アセンブリ140はさらに、カートリッジ139内に設けられた流体インターフェース150〜165の位置に対応した位置を有する流体チャネル190を含み;各流体チャネル190の開放端にあるそれぞれのリムは、対応するインターフェース166〜181を画定する。流体チャネルの数は、好ましくは、カートリッジ上に設けられた流体インターフェース150〜165の数に対応する。
【0206】
カートリッジ139は本体141を含み、本体141は射出成型されてもよく、好ましくはポリカーボネートまたは環状オレフィンコポリマーなどの熱可塑性材料を含む。好ましくは、プランジャ・アセンブリは、化学物質に対して高い耐性を備えた硬質の不活性材料、例えば精密機械加工されたまたは研磨されたステンレス鋼またはPEEKを含む。
【0207】
プランジャ・アセンブリ140は、カートリッジの流体インターフェース150〜165の平面に垂直な方向で移動可能するリニア軸受143を含み;特にプランジャ・アセンブリ140は、対応するインターフェース166〜181を画定する各流体チャネル190の開放端のそれぞれのリムが、カートリッジ上のそれぞれの流体インターフェース150〜165を画定する対応するリング部材に隣接するように、カートリッジに接するよう移動させることができる。プランジャ・アセンブリ140およびカートリッジ139は、ピニオン、例えばステンレス鋼ボルト、またはバネを用いて、そのような位置(即ち、インターフェースが位置合わせされ隣接する位置)に維持されてもよい。
【0208】
好ましくは、プランジャ・アセンブリ140は、対応するインターフェース166〜181を画定する各流体チャネル190の開放端のそれぞれのリムが、それぞれの流体インターフェース150〜165を画定するカートリッジ139上のそれぞれのリング部材に接して、カートリッジ139上の流体インターフェース150〜165とプランジャ・アセンブリ140上の流体インターフェース166〜181との間に流体不透過性封止材が形成されるように、位置決めされる。好ましくはプランジャ・アセンブリ140は、対応するインターフェース166〜181を画定する各流体チャネル190の開放端のそれぞれのリムが、それぞれの流体インターフェース150〜165を画定するカートリッジ139上のそれぞれのリング部材を圧縮して、カートリッジ上の流体インターフェース150〜165とプランジャ・アセンブリ140上の流体インターフェース166〜181との間に流体不透過性封止材を形成するように、位置決めされる。例として、第25の流体インターフェース174を画定する流体チャネル190の開放端のそれぞれのリムは、小さいリング上に押圧されて第9の流体インターフェース158を形成し、それによって、第2のコンジット15のカートリッジ部分と第2のコンジット15の固定部分とを組み合わせ、封止する。プランジャ・アセンブリ140をカートリッジから離して移動させるとき、流体インターフェースは分離して、カートリッジ139を容易に取り外し、使い捨てにし、置き換えることが可能になる。
【0209】
図示される実施形態では、カートリッジ139上の流体インターフェース150〜165は、エラストマー材料のリングを含み;好ましくはリングは、単一基板として提供され、その単一基板は、カートリッジ139の本体141に取着され;各リングの中心は、本体141内に画定されるそれぞれの穴と位置合わせされる。他の好ましい実施形態では、流体インターフェース150〜165は、カートリッジ139の本体141に一体化して形成され;そのような実施形態では、本体141および流体インターフェース150〜165は共に、単一射出成型部品から形成されてもよく;単一射出成型部品は、2種材料、および一体化したエラストマー・リング封止材を含んでいてもよい。
【0210】
図7は、図6aに示されるカートリッジ139の部分底面図を示す。コンジット5、5’、5’’、5’’’、15、15’、15’’、15’’’は、カートリッジ139内に長方形チャネルとして形成され、接合部11、11’、11’’、11’’’、21、21’、21’’、21’’’は、カートリッジ139の上面でそれぞれの流体インターフェースにそれぞれのチャネルを接続する、円形の穴により形成されたT字形接合部である。
【0211】
有利には、ミクロ流体アセンブリ400は、取外し可能なカートリッジ内にいかなる弁も含有せず、新しいリガンドを捕獲するためにフローセルを新しい表面に供給するようしばしば交換することが必要な、取外し可能なカートリッジのコストが削減される。
【0212】
有利には、ミクロ流体アセンブリ400は、細胞残屑などの大きな粒子を含有する試料流体に起因し、または大量のタンパク質を含有する血清などの試料流体に起因するなど、フローセルのいずれかが詰まった可能性がある場合に容易に置き換えることができ、したがって、ミクロ流体アセンブリ400を含有する測定デバイスの、維持コストおよび休止時間が削減される。
【0213】
有利には、ミクロ流体アセンブリ200、300、400は、ユニット72とフローセルとの間の流路にいかなる弁も含有しない。したがって、内部弁容積を濯ぐ必要がなく、試料の消費が低減される。
【0214】
図2から図5までに示される実施形態の変形例では、ミクロ流体アセンブリ100、200、300、または400は、単一の廃棄物リザーバのみ含む。例えば、前記実施形態の変形例において、アセンブリ1は、第2の廃棄物リザーバ27を含まず;代わりに、図の第2の廃棄物リザーバに繋がるコンジットは、第1の廃棄物リザーバ7に繋がる。有利には、実施形態のこの変形例において、ミクロ流体アセンブリ1は、より少ない数の廃棄物リザーバを含む。
【0215】
本発明の、記述される実施形態に対する様々な修正例および変形例は、添付される特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者に明らかにされよう。本発明について、特定の好ましい実施形態に関連して記述してきたが、特許請求の範囲に記載される本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定すべきでないことを、理解するべきである。
【0216】
例えば、アセンブリ1、100、200、300、400に設けられた、より多くのフローセルの1つは、カートリッジ内に設けられてもよい。言い換えれば、アセンブリ1、100、200、300、400は、フローセル(複数可)2、2’、2’’、2’’’を含むカートリッジを含んでいてもよい。好ましくは、カートリッジは使い捨てカートリッジである。好ましくはカートリッジは、カートリッジを選択的に、アセンブリに接続させまたはアセンブリから取り外すことを可能にする、接続手段を含む。
【0217】
例えば、上記図1、2、3、または4に関して記述された例示的な方法のいずれかの変形例において、方法は、試験がなされかつ試料リザーバ29に提供されることになる試料流体を調製する、追加の先行ステップを含む。試験がなされる試料流体を調製するステップは、試料リザーバ29内に直接、複数の異なる流体を溜めること;またはレセプタクルに複数の異なる流体を溜め、次いでレセプタクルの内容物を試料リザーバ29内に移すことを含んでいてもよい。したがって、この実施形態では、試料流体は、試験がなされる試料流体を定めるように一緒に混合される、複数の異なる流体で構成される。好ましくは、試料流体が形成されるよう一緒に溜められる、異なる流体の1種または複数は、第1のフローセル2内で第1のリガンド4に結合することが予測される化合物を含む。
【0218】
別の例では、上記図1、2、3、または4に関して記述された例示的な方法のいずれかの変形例では、方法はさらに、分子が第1のフローセル2内で第1のリガンド4に結合したか否かをモニタするステップを含んでいてもよい。この場合、収集リザーバ39(図1のアセンブリ1)に送達される前記バッファー流体、または収集リザーバ39(図2のアセンブリ100)に送達される前記再生流体は、分子が第1のフローセル2内で第1のリガンド4に結合したことをモニタリングが示した場合に限り、分析のための分析デバイスに提供され、そうでない場合には、収集リザーバ39に送達されるバッファー流体または前記再生流体は、分析デバイスを通らない。有利には、この実施形態において、分析デバイスでの資源は、分子が第1のリガンド4に結合するようになったときにだけ使用されるので、資源は最適に使用される。
【0219】
別の例では、図1、2、3、または4に示されるアセンブリ1、100、200、300のいずれかにおいて、アセンブリ1、100、200、300のコンジットの一部または全ては、長方形の断面を持つ(典型的には、第1のフローセルまたはセンサにおいて)ミクロ流体チャネルまたは円形の断面を持つミクロ流体チャネルとすることができる。アセンブリ1、100、200、300のコンジットは、PEEKまたはPTFEまたは鋼などの材料を含む管材または毛管によって画定される。
【0220】
第1および第2の選択弁8、28は、任意の適切な形をとってもよいことを理解すべきである。別の例では、アセンブリの選択弁(例えば、第1および第2の選択弁8、28)は、ソレノイド弁またはロータリ・バルブを含んでいてもよい。
【0221】
任意の適切なポンプを、シリンジ・ポンプの代わりに(第1および第2のシリンジ・ポンプ9、19の代わりに)アセンブリ1、100、200、300で使用できることを理解すべきであり;例えば蠕動ポンプ、圧電ポンプ、または空気圧を使用して動作するポンプが、シリンジ・ポンプの代わりにアセンブリ内に設けられてもよい。
【0222】
アセンブリ1、100、200、300で使用されるリザーバ(例えば、試料リザーバ29、収集リザーバ39、廃棄物リザーバ7、27、49、溶出試薬リザーバ59など)は、任意の適切な形をとってもよく、例えばリザーバの1つまたは複数は、1つまたは複数のバイアルまたはマイクロタイタープレートによって定められてもよいことを、理解すべきである。
なお、本願は特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.試料中の分子を回収するために使用することができるアセンブリであって、
分子に結合することができる第1のリガンド(4)を含む第1のフローセル(2);
第1のコンジット(5)を介して前記第1のフローセル(2)の第1の流体ポート(2a)に接続された少なくとも1つの廃棄物リザーバ(7、27)、および前記廃棄物リザーバ(7、27)を前記第1のフローセル(2)の第2の流体ポート(2b)に接続する第2のコンジット(15);ならびに
前記第1のコンジット(5)と前記廃棄物リザーバ(7、27)との間の流体連絡を制御するように配置構成された第1の弁(8)、および前記第2のコンジット(15)と前記廃棄物リザーバ(7、27)との間の流体連絡を制御するための第2の弁(28);
第1の副コンジット(10)を介して前記第1のコンジット(5)に流体接続された、バッファー流体を保持することができる少なくとも1つのバッファーリザーバ(9、19)であって、前記第1の副コンジット(10)が、前記第1のフローセル(2)の前記第1の流体ポート(2a)と前記第1の弁(8)との間に位置付けられた第1の接合部(11)で前記第1のコンジット(5)に接続され、バッファー流体を、前記バッファーリザーバ(9、19)から前記第1の副コンジット(10)内に選択的に供給することができる、少なくとも1つのバッファーリザーバ(9、19);
少なくとも収集リザーバ(39)と、試料流体を保持することができる試料リザーバ(29)とを含むユニット(71、72)であって、前記ユニット(71、72)が、第2の副コンジット(20)を介して前記第2のコンジット(15)に流体接続され、前記第2の副コンジット(20)が、前記第1のフローセル(2)の前記第2の流体ポート(2b)と前記第2の弁(28)との間に位置付けられた第2の接合部(21)で前記第2のコンジット(15)に接続され、前記ユニット(71、72)が、前記収集リザーバ(39)、バッファーリザーバ(9、19)または試料リザーバ(29)を前記第2の副コンジット(20)に選択的に流体接続するように動作可能であるユニット(71、72)、
を含む、アセンブリ。
2.前記第1の副コンジット(10)を介して前記第1のコンジット(5)に流体接続することができる第1のバッファーリザーバ(9)と、前記第2の副コンジット(20)を介して前記第2のコンジット(15)に流体接続することができる第2のバッファーリザーバ(19)とを含む、上記1に記載のアセンブリ。
3.前記第1のバッファーリザーバ(9)が、第1のシリンジ・ポンプ(9)を含み、前記第2のバッファーリザーバ(19)が、第2のシリンジ・ポンプ(19)を含み、前記ユニット(71、71)が、前記第2の副コンジット(20)に流体接続する第3の弁(18)と、前記シリンジ・ポンプ(19)を前記第3の弁(18)に流体接続する貯蔵コンジット(30)とを含み、前記第3の弁(18)は、選択的に、前記貯蔵コンジット(30)を前記第2の副コンジット(20)に流体接続するように、または前記収集リザーバ(39)を前記第2の副コンジット(20)に流体接続するように、または前記試料リザーバ(29)を前記第2の副コンジット(20)に流体接続するように動作可能である、上記2に記載のアセンブリ。
4.前記第2の接合部(21)が、前記第2の弁(28)によりも、前記第1のフローセル(2)の前記第2の流体ポート(2b)に近付けて位置付けられる、上記1〜3のいずれか一つに記載のアセンブリ。
5.前記第1の接合部(11)が、前記第1の弁(8)によりも、前記第1のフローセル(2)の前記第1の流体ポート(2a)に近付けて位置付けられる、上記1〜4のいずれか一つに記載のアセンブリ。
6.第2のフローセル(2’)、前記第2のフローセル(2’)の第1のポート(2a)と第1の廃棄物リザーバ(7)との間のさらに別の選択弁(8’)、前記第1のバッファーリザーバ(9)と前記第1の接合部(11)との間のさらに別の選択弁(38)、および接合部(31)とさらに別の接合部(11’)の間の第7の選択弁(38’)をさらに含み、前記接合部(31)は、前記第1のバッファーリザーバ(9)と、前記第1のバッファーリザーバ(9)および前記第1の接合部(11)の間にある前記選択弁(38)との間にあり、前記のさらに別の接合部(11’)は、前記第2のフローセル(2’)の前記第1のポート(2a)と、前記第2のフローセル(2’)の第1のポート(2a)および第1の廃棄物リザーバ(7)の間にある前記選択弁(8’)との間にある、上記1〜5のいずれか一つに記載のアセンブリ。
7.フローセル(2、2’、2’’、2’’’)がカートリッジ内に設けられ、前記カートリッジは、当該カートリッジが選択的に、前記アセンブリの固定部分に接続されまたは前記固定部分から接続解除されるように、前記アセンブリの前記固定部分に設けられた接続手段と協働するように選択的に配置構成することができる接続手段を含む、上記1〜6のいずれか一つに記載のアセンブリ。
8.分子に結合することができる第1のリガンド(4)を含む第1のフローセル(2)と前記第1のフローセルを収集リザーバ(39)に選択的に流体接続することができるコンジット(20、15a)とを含むアセンブリを使用する、分子を回収する方法であって、
(a) 試料流体を、前記コンジットに沿って前記第1のフローセル(2)中に流通させるステップ、
(b) バッファー流体を前記コンジットの少なくとも一部を通して流通させるステップであって、試料流体は前記第1のフローセル(2)内に維持されるが前記のコンジットの少なくとも一部はバッファー流体によって洗浄されるように、前記バッファー流体を前記第1のフローセル(2)を通しては流通させないステップ、
(c) バッファー流体を前記第1のフローセル(2)を通して流通させて、前記試料流体を前記第1のフローセル(2)から外へ流出させるステップ、
(d) 流体を、前記第1のフローセル(2)を通して、前記コンジットに沿って、および前記収集リザーバ(39)中に流入させることにより、第1のリガンド(4)に結合し、そして前記リガンド(4)から解離するようになった前記試料流体の分子が、前記第1のフローセル(2)を通して流通して前記収集リザーバ(39)に運ばれる流体中に収集されるようにするステップ、
を含む、方法。
9.流体を、前記第1のフローセルを通して、前記コンジットに沿って、および前記収集リザーバ中に流通させることにより、第1のリガンドに結合し、そして前記第1のリガンド(4)から解離するようになった前記試料流体の分子が、前記第1のフローセルを通して流通して前記収集リザーバに運ばれる前記流体中に収集されるようにする前記ステップ(d)が、
バッファー流体を、前記第1のフローセルを通して、前記コンジットに沿って、および前記収集リザーバ中に流通させることにより、第1のリガンドに結合し、そして前記第1のリガンドから解離した前記試料流体の分子が、前記第1のフローセルを通して流通して前記収集リザーバに運ばれるバッファー流体中に収集されるようにするステップ、
を含む、上記8に記載の方法。
10.バッファー流体を前記第1のフローセルを通して流通させて、前記試料流体を前記第1のフローセルから外へ流出させる前記ステップ(c)が、バッファー流体を、10ミリ秒〜10秒の間の期間にわたって前記第1のフローセルを通して流通させるステップを含む、上記8または9に記載の方法。
11.上記1〜9のいずれか一つに記載の前記アセンブリを、少なくともステップ(a)〜(d)を行うために使用することを含む、上記8〜10のいずれか一つに記載の方法。
12.(a) 試料流体を、前記第2の副コンジット(20)に沿って、前記第1のフローセル(2)を通して、前記第1のコンジット(5)に沿って、および前記廃棄物リザーバ(7、27)中に流通させるステップ、
(b) バッファー流体を、前記第2のバッファーリザーバ(19)から外へ、前記第2の副コンジット(20)に沿って、および前記廃棄物リザーバ(7、27)中に流通させるステップ、
(c) バッファー流体を前記第1の試料リザーバ(9)から外へ、前記第1の副コンジット(10)に沿って、および前記廃棄物リザーバ(7、27)中に流通させるステップ、
(d) バッファー流体を前記第1のバッファーリザーバ(9)から外へ、前記第1の副コンジット(10)に沿って、前記第1のフローセル(2)を通して、前記第2のコンジット(15)に沿って、および前記廃棄物リザーバ(7、27)中に流通させることにより、前記試料流体が前記第1のフローセル(2)から外へ流出させるようにするステップ、
(e) 前記第1のフローセル(2)内を流れるバッファー流体中に、前記第1のフローセル(2)内で第1のリガンド(4)から受動的に解離した分子を収集するステップ、
(f) 前記分子を含有する前記バッファー流体を、前記第2の副コンジット(20)を介して、前記収集リザーバ(39)中に収集するステップ
を含む、上記1に記載のアセンブリを使用する上記8に記載の方法。
13.(a) 試料流体を、前記第2の副コンジット(20)に沿って、前記第1のフローセル(2)を通して、前記第1のコンジット(5)に沿って、および前記廃棄物リザーバ(7、27)中を流通させるステップ、
(b) バッファー流体を前記第1の試料リザーバ(9)から外へ、前記第1の副コンジット(10)に沿って、前記第1のフローセル(2)を通して、および前記第2のコンジット(15)に沿って、および前記廃棄物リザーバ(7、27)中に流通させるステップ、
(c) バッファー流体を前記第2の最初の試料リザーバ(19)から外へ、前記第2の副コンジット(20)に沿って、および前記廃棄物リザーバ(7、27)中に流通させるステップ、
(d) 再生流体を、前記第2の副コンジット(20)に沿って、および前記第1のフローセル(2)中に流通させるステップであって、前記再生流体が、前記第1のフローセル(2)内の第1のリガンドに結合した分子を前記第1のリガンドから解離させるステップ、
(e) 前記再生流体中に、前記第1のリガンドから解離した分子を収集するステップ、
(f) バッファー流体を、前記第2の最初の試料リザーバ(19)から外へ、前記第2の副コンジット(20)に沿って、および前記廃棄物リザーバ(7、27)中に流通させるステップ、
(g) 前記第2の副コンジット(20)を介して、前記分子を含有する再生流体を、前記収集リザーバ(39)中に収集するステップ、
を含む、上記1に記載のアセンブリを使用する上記8に記載の方法。
14.複数の異なる流体を試料リザーバもしくはレセプタクルに溜めることにより、前記試料流体を調製するステップをさらに含む、上記8〜13のいずれか一つに記載の方法。
15.1つまたは複数のフローセル(2、2’、2’’、2’’’)と、ミクロ流体アセンブリの固定部分に設けられた接続手段に対して協働するよう選択的に配置構成することができる接続手段とを含み、従って選択的に前記固定部分に接続しまたは前記固定部分から接続解除することができるカートリッジであって、
前記カートリッジが、分子に結合することができる第1のリガンド(4)を備えかつ第1の流体ポート(2a)および第2の流体ポート(2b)を有する、少なくとも第1のフローセル(2)を含み、
前記固定部分が、少なくとも、第1のコンジット(5)を介して前記第1のフローセル(2)の前記第1の流体ポート(2a)に接続可能な1つの廃棄物リザーバ(7、27)、および前記廃棄物リザーバ(7、27)を前記第1のフローセル(2)の第2の流体ポート(2b)に接続できる第2のコンジット(15)と;前記第1のコンジット(5)および前記廃棄物リザーバ(7、27)の間の流体連絡を制御するように配置構成された第1の弁(8)と、前記第2のコンジット(15)および前記廃棄物リザーバ(7、27)の間の流体連絡を制御する第2の弁(28)と;バッファー流体を保持することができ、前記第1の副コンジット(10)を介して前記第1のコンジット(5)に流体接続する少なくとも1つのバッファーリザーバ(9、19)であって、前記第1の副コンジット(10)が、前記第1のフローセル(2)の前記第1の流体ポート(2a)と前記第1の弁(8)との間に位置付けられた第1の接合部(11)で前記第1のコンジット(5)に接続され、バッファー流体を、前記バッファーリザーバ(9、19)から前記第1の副コンジット(10)に選択的に供給することができる、バッファーリザーバ(9、19)と;少なくとも収集リザーバ(39)、および試料流体を保持することができる試料リザーバ(29)を含むユニット(71、72)であって、前記ユニット(71、72)が、第2の副コンジット(20)を介して前記第2のコンジット(15)に流体接続され、前記第2の副コンジット(20)が、前記第1のフローセル(2)の前記第2の流体ポート(2b)と前記第2の弁(28)との間に位置付けられた第2の接合部(21)で前記第2のコンジット(15)に接続され、前記ユニット(71、72)が、選択的に、前記収集リザーバ(39)、バッファーリザーバ(9、19)または試料リザーバ(29)を前記第2の副コンジット(20)に流体接続するように動作可能であるユニット(71、72)とを含み、
したがって、前記カートリッジが前記固定部分に接続されたときに、上記1に記載のミクロ流体アセンブリが形成される、
カートリッジ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7