(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
リモート移動端末と共にグループ化するマスター移動端末であって、前記マスター移動端末および前記リモート移動端末は移動通信ネットワークにおいて無線基地局に接続され、前記マスター移動端末は、1つまたは複数のリモート移動端末と前記無線基地局との間の通信を中継するために、前記1つまたは複数のリモート移動端末の各々のための中継器としての役割を果たすことができ、前記マスター移動端末は、
前記リモート移動端末、および、前記リモート移動端末の識別子を発見する送信機および受信機、を備えており、
前記送信機は、グループ要求メッセージを前記無線基地局に送信し、前記グループ要求メッセージは、前記リモート移動端末の識別子、及び、前記リモート移動端末を前記マスター移動端末と共にグループ化する要求、を含み、
前記受信機は、前記リモート移動端末と前記マスター移動端末が共にグループ化されることを確認するグループ要求確認メッセージを、前記無線基地局から受信し、
前記グループ要求メッセージは、さらに、前記無線基地局が移動端末無線セル識別子を生成して前記リモート移動端末に割り当てることの要求であり、前記グループ要求確認メッセージは、前記リモート移動端末の前記割り当てられた移動端末無線セル識別子を含み、前記送信機は、前記受信された移動端末無線セル識別子を前記リモート移動端末に転送し、
前記送信機は、前記リモート移動端末が前記マスター移動端末と共にグループ化されることを、前記リモート移動端末に通知する、
マスター移動端末。
前記受信機は、前記無線基地局によってスケジューリングされ、前記リモート移動端末の前記移動端末無線セル識別子を宛先とする無線リソース割当てを監視する、および/または、
前記受信機は、前記無線基地局によって送信され、前記リモート移動端末を宛先とするページングメッセージを監視する、および/または、
前記受信機および前記送信機は、前記リモート移動端末から短距離接続を介して受信されるアップリンクデータ送信を、前記無線基地局に中継する、
請求項1に記載のマスター移動端末。
前記マスター移動端末は、短距離接続を介して前記リモート移動端末に接続されており、前記短距離接続は、直接サイドリンク接続、Bluetooth接続、またはWiFi接続であり、前記マスター移動端末は、前記リモート移動端末による通信を前記短距離接続を介して中継可能であり、
前記リモート移動端末は、無線接続を介して前記無線基地局に接続されている、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のマスター移動端末。
マスター移動端末と共にグループ化するリモート移動端末であって、前記リモート移動端末および前記マスター移動端末は移動通信ネットワークにおいて無線基地局に接続され、前記マスター移動端末は、1つまたは複数のリモート移動端末と前記無線基地局との間の通信を中継するために、前記1つまたは複数のリモート移動端末の各々のための中継器としての役割を果たすことができ、前記リモート移動端末は、
前記マスター移動端末および前記マスター移動端末の識別子を発見する受信機および送信機、を備えており、
前記送信機は、グループ要求メッセージを前記無線基地局に送信し、前記グループ要求メッセージは、前記マスター移動端末の識別子、及び、前記リモート移動端末を前記マスター移動端末と共にグループ化する要求、を含み、
前記受信機は、前記リモート移動端末と前記マスター移動端末が共にグループ化されることを確認するグループ要求確認メッセージを、前記無線基地局から受信し、
前記グループ要求メッセージは、さらに、前記無線基地局が移動端末無線セル識別子を生成して前記リモート移動端末に割り当てることの要求であり、前記グループ要求確認メッセージは、前記リモート移動端末の前記割り当てられた移動端末無線セル識別子を含み、前記送信機は、前記リモート移動端末の前記移動端末無線セル識別子を前記マスター移動端末に送信し、
前記送信機は、前記リモート移動端末が前記マスター移動端末と共にグループ化されることを、前記マスター移動端末に通知する、
リモート移動端末。
前記受信機は、前記無線基地局によってスケジューリングされ、前記リモート移動端末の前記移動端末無線セル識別子を宛先としているが前記リモート移動端末に代わって前記マスター移動端末によって受信された無線リソース割当てを、前記マスター移動端末から受信し、および/または、
前記受信機は、前記無線基地局によって送信されて前記リモート移動端末を宛先としているが前記リモート移動端末に代わって前記マスター移動端末によって受信されたページングメッセージを、前記マスター移動端末から受信し、および/または、
前記送信機は、アップリンクデータ送信を短距離接続を介して前記マスター移動端末に送信し、前記アップリンクデータ送信が前記マスター移動端末によってさらに前記無線基地局に中継される、および/または、
前記受信機は、前記リモート移動端末と前記無線基地局との間に確立される無線接続を介して、前記無線基地局からダウンリンクデータ送信を受信し、および/または、
前記送信機は、前記リモート移動端末と前記無線基地局との間に確立される無線接続を介して、アップリンク制御情報を前記無線基地局に送信する、
請求項9に記載のリモート移動端末。
リモート移動端末をマスター移動端末と共にグループ化することを支援する無線基地局であって、前記リモート移動端末および前記マスター移動端末は移動通信ネットワークにおいて前記無線基地局に接続されており、前記マスター移動端末は、1つまたは複数のリモート移動端末と前記無線基地局との間の通信を中継するために、前記1つまたは複数のリモート移動端末それぞれのための中継器としての役割を果たすことができ、前記無線基地局は、
前記マスター移動端末からグループ要求メッセージを受信し、前記グループ要求メッセージが前記リモート移動端末の識別子を含む、受信機と、
前記リモート移動端末と前記マスター移動端末とのグループ化を有効にするためのグループ有効化要求メッセージを、コアネットワークのエンティティに送信する送信機と、
を備えており、
前記受信機は、前記リモート移動端末と前記マスター移動端末が共にグループ化されることを確認するグループ有効化ACKメッセージを、前記コアネットワークにおける前記エンティティから受信し、
前記送信機は、前記リモート移動端末と前記マスター移動端末が共にグループ化されることを確認するグループ要求確認メッセージを、前記マスター移動端末に送信し、
前記グループ要求メッセージは、さらに、移動端末無線セル識別子を生成して前記リモート移動端末に割り当てることの、前記マスター移動端末による要求であり、
前記移動端末無線セル識別子を生成して前記リモート移動端末に割り当てるプロセッサを備え、
前記グループ要求確認メッセージは、前記リモート移動端末の前記割り当てられた移動端末無線セル識別子を含む、
無線基地局。
マスター移動端末とリモート移動端末をグループ化する方法であって、前記マスター移動端末および前記リモート移動端末は移動通信ネットワークにおいて無線基地局に接続されており、前記マスター移動端末は、1つまたは複数のリモート移動端末と前記無線基地局との間の通信を中継するために、前記1つまたは複数のリモート移動端末それぞれのための中継器としての役割を果たすことができ、前記方法は、
前記マスター移動端末と前記リモート移動端末との間でディスカバリを実行するステップと、
前記マスター移動端末と前記リモート移動端末をグループ化するステップであって、前記マスター移動端末から前記無線基地局にグループ要求メッセージを送信するステップを含み、
前記グループ要求メッセージは、前記リモート移動端末の識別子、及び、前記リモート移動端末を前記マスター移動端末と共にグループ化する要求、を含み、
前記リモート移動端末と前記マスター移動端末が共にグループ化されることを確認するグループ要求確認メッセージを、前記無線基地局が前記マスター移動端末に通知するステップと、
を含み、
前記グループ要求メッセージは、さらに、前記無線基地局が移動端末無線セル識別子を生成して前記リモート移動端末に割り当てることの要求であり、前記グループ要求確認メッセージは、前記リモート移動端末の前記割り当てられた移動端末無線セル識別子を含み、前記マスター移動端末は、前記移動端末無線セル識別子を前記リモート移動端末に転送し、
前記マスター移動端末は、前記リモート移動端末が前記マスター移動端末と共にグループ化されることを、前記リモート移動端末に通知する、
方法。
前記グループ要求メッセージを受信した時点で、前記リモート移動端末と前記マスター移動端末の前記グループ化が許可されるかを前記無線基地局によってコアネットワークのエンティティに要求するステップと、
前記コアネットワークの前記エンティティが前記グループ化を許可する場合、前記リモート移動端末と前記マスター移動端末が共にグループ化されることを前記リモート移動端末および前記マスター移動端末に通知するステップを、前記無線基地局が実行するステップと、
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
[ロングタームエボリューション(LTE)]
WCDMA(登録商標)無線アクセス技術をベースとする第3世代の移動通信システム(3G)は、世界中で広範な規模で配備されつつある。この技術を機能強化または発展・進化させるうえでの最初のステップとして、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA:High-Speed Downlink Packet Access)、及びと、エンハンストアップリンク(高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA:High-Speed Uplink Packet Access)とも称する)とが導入され、これにより、極めて競争力の高い無線アクセス技術が提供されている。
【0003】
ユーザからのますます増大する需要に対応し、新しい無線アクセス技術に対する競争力を確保する目的で、3GPPは、ロングタームエボリューション(LTE)と称される新しい移動通信システムを導入した。LTEは、今後10年間にわたり、データおよびメディアの高速伝送ならびに大容量の音声サポートに要求されるキャリアを提供するように設計されている。高いビットレートを提供する能力は、LTEにおける重要な方策である。
【0004】
E−UTRA(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access(UTRA))およびUTRAN(UMTS Terrestrial Radio Access Network)と称される、LTEに関する作業項目(WI:work item)の仕様は、最終的にリリース8(LTEリリース8)として公開される。LTEシステムは、パケットベースの効率的な無線アクセスおよび無線アクセスネットワークであり、IPベースの全機能を低遅延かつ低コストで提供する。LTEでは、与えられたスペクトルを用いてフレキシブルなシステム配備を達成するために、スケーラブルな複数の送信帯域幅(例えば、1.4MHz、3.0MHz、5.0MHz、10.0MHz、15.0MHz、および20.0MHz)が指定されている。ダウンリンクには、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)をベースとする無線アクセスが採用されている。なぜなら、かかる無線アクセスは、低いシンボルレートのため本質的にマルチパス干渉(MPI:multipath interference)を受けにくく、また、サイクリックプレフィックス(CP:Cyclic Prefix)を使用しており、さらに、様々な送信帯域幅の構成に対応可能だからである。アップリンクには、SC−FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)をベースとする無線アクセスが採用されている。なぜなら、ユーザ機器(UE:User Equipment)の送信出力が限られていることを考えれば、ピークデータレートを向上させるよりも広いカバレッジエリアを提供することが優先されるからである。LTEリリース8/9では、数多くの主要なパケット無線アクセス技術(例えば、MIMO(Multiple Input Multiple Output)チャネル伝送技術)が採用され、高効率の制御シグナリング構造が達成されている。
【0005】
[LTEのアーキテクチャ]
図1は、LTEの全体的なアーキテクチャを示している。E−UTRANはeNodeBから構成され、eNodeBは、ユーザ機器(UE)に向けのE−UTRAのユーザプレーン(PDCP/RLC/MAC/PHY)プロトコルおよび制御プレーン(RRC:Radio Resource Control)プロトコルを終端させる。eNodeB(eNB)は、物理(PHY)レイヤ、媒体アクセス制御(MAC:Medium Access Control)レイヤ、無線リンク制御(RLC:Radio Link Control)レイヤ、およびパケットデータ制御プロトコル(PDCP:Packet Data Control Protocol)レイヤ(これらのレイヤはユーザプレーンのヘッダ圧縮および暗号化の機能を含む)をホストする。eNBは、制御プレーンに対応する無線リソース制御(RRC)機能も提供する。eNBは、無線リソース管理、アドミッション制御、スケジューリング、交渉によるアップリンクサービス品質(QoS:Quality of Service)の実施、セル情報のブロードキャスト、ユーザプレーンデータおよび制御プレーンデータの暗号化/復号、ダウンリンク/アップリンクのユーザプレーンパケットヘッダの圧縮/復元など、多くの機能を実行する。複数のeNodeBは、X2インタフェースによって互いに接続されている。
【0006】
また、複数のeNodeBは、S1インタフェースによってEPC(Evolved Packet Core)、より具体的には、S1−MMEによってMME(Mobility Management Entity:移動管理エンティティ)、S1−Uによってサービングゲートウェイ(SGW:Serving Gateway)に接続されている。S1インタフェースは、MME/サービングゲートウェイとeNodeBとの間の多対多関係をサポートする。SGWは、ユーザデータパケットをルーティングして転送する一方で、eNodeB間のハンドオーバー時におけるユーザプレーンのモビリティアンカーとして機能し、さらに、LTEと別の3GPP技術との間のモビリティのためのアンカー(S4インタフェースを終端させ、2G/3GシステムとPDN GWとの間でトラフィックを中継する)として機能する。SGWは、アイドル状態のユーザ機器に対しては、ダウンリンクデータ経路を終端させ、そのユーザ機器へのダウンリンクデータが到着したときにページングをトリガーする。SGWは、ユーザ機器のコンテキスト(例えばIPベアラサービスのパラメータ、またはネットワーク内部ルーティング情報)を管理および格納する。さらに、SGWは、合法傍受(lawful interception)の場合にユーザトラフィックの複製を実行する。
【0007】
MMEは、LTEのアクセスネットワークの主要な制御ノードである。MMEは、アイドルモードのユーザ機器の追跡およびページング手順(再送信を含む)の役割を担う。MMEは、ベアラのアクティブ化/非アクティブ化プロセスに関与し、さらには、最初のアタッチ時と、コアネットワーク(CN:Core Network)ノードの再配置を伴うLTE内ハンドオーバー時とに、ユーザ機器のSGWを選択する役割も担う。MMEは、(HSSと対話することによって)ユーザを認証する役割を担う。非アクセス層(NAS:Non-Access Stratum)シグナリングはMMEにおいて終端される。MMEは、一時的なIDを生成してユーザ機器に割り当てる役割も担う。MMEは、サービスプロバイダのPLMN(Public Land Mobile Network)に入るためのユーザ機器の認証をチェックし、ユーザ機器のローミング制約を実施する。MMEは、NASシグナリングの暗号化/完全性保護においてネットワーク内の終端点であり、セキュリティキーの管理を行う。シグナリングの合法傍受も、MMEによってサポートされる。さらに、MMEは、LTEのアクセスネットワークと2G/3Gのアクセスネットワークとの間のモビリティのための制御プレーン機能を提供し、SGSNからのS3インタフェースを終端させる。さらに、MMEは、ローミングするユーザ機器のためのホームHSSに向かうS6aインタフェースを終端させる。
【0008】
[LTEにおけるコンポーネントキャリア構造]
3GPP LTEシステムのダウンリンクコンポーネントキャリアは、いわゆるサブフレームにおける時間−周波数領域でさらに分割される。3GPP LTEにおいて、各サブフレームは、
図2に示すように2つのダウンリンクスロットに分割される。第1のダウンリンクスロットは、第1のOFDMシンボル内の制御チャネル領域(PDCCH領域)を備える。各サブフレームは、時間領域内の所与の数のOFDMシンボルで構成され(3GPP LTE(リリース8)では12個または14個のOFDMシンボル)、各OFDMシンボルはコンポーネントキャリアの帯域幅全体に広がる。したがって、OFDMシンボルの各々は、各サブキャリアで送信されるいくつかの変調シンボルで構成される。LTEでは、各スロットにおける送信信号は、N
DLRB×N
RBsc本のサブキャリアとN
DLsymb個のOFDMシンボルのリソースグリッドによって記述される。N
DLRBは、帯域幅の中のリソースブロックの数である。N
DLRBは、セルにおいて設定されているダウンリンク送信帯域幅に依存し、N
min,DLRB≦N
DLRB≦N
max,DLRBを満たす。この場合、N
min,DLRB=6およびN
max,DLRB=110は、それぞれ、現在のバージョンの仕様によってサポートされている最小ダウンリンク帯域幅および最大ダウンリンク帯域幅である。N
RBscは、1個のリソースブロックの中のサブキャリアの数である。通常のサイクリックプレフィックスのサブフレーム構造の場合、N
RBsc=12、N
DLsymb=7である。
【0009】
例えば、3GPP LTEにおいて使用されるような、例えばOFDMを使用するマルチキャリア通信システムを想定すると、スケジューラによって割り当てることができるリソースの最小単位は、1つの「リソースブロック」である。物理リソースブロック(PRB:Physical Resource Block)は、
図2に例示したように、時間領域における連続するOFDMシンボル(例えば7個のOFDMシンボル)および周波数領域における連続するサブキャリア(例えば、コンポーネントキャリアの12本のサブキャリア)として定義される。したがって、3GPP LTE(リリース8)では、物理リソースブロックはリソースエレメントから構成され、時間領域における1つのスロットおよび周波数領域における180kHzに対応する(ダウンリンクリソースグリッドに関するさらなる詳細は、例えば非特許文献1の6.2節(3GPPのウェブサイトで入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれている)を参照)。
【0010】
1つのサブフレームは、2つのスロットで構成される。いわゆる「通常の(normal)」CP(Cyclic Prefix)が使用されるときにはサブフレーム内に14個のOFDMシンボルが存在し、いわゆる「拡張(extended)」CPが使用されるときにはサブフレーム内に12個のOFDMシンボルが存在する。専門用語を目的として、以下で、サブフレーム全体に広がる同じ連続するサブキャリアと同等の時間−周波数リソースは、「リソースブロックペア(resource block pair)」または同意義の「RBペア(RB pair)」もしくは「PRBペア(PRB pair)」と呼ばれる。
【0011】
「コンポーネントキャリア(Component Carrier)」という用語は、周波数領域におけるいくつかのリソースブロックの組み合わせを示す。LTEの将来のリリースでは、「コンポーネントキャリア」という用語はもはや使用されず、その代わりに、その専門用語はダウンリンクリソースおよびオプションでアップリンクリソースの組み合わせを示す「セル」に変更される。ダウンリンクリソースのキャリア周波数とアップリンクリソースのキャリア周波数との間のリンク付けは、ダウンリンクリソースで送信されるシステム情報において指示される。
【0012】
コンポーネントキャリアの構造に関する同様の想定は、以降のリリースにも適用される。
【0013】
[より広い帯域幅のサポートのためのLTE−Aにおけるキャリアアグリゲーション]
World Radio communication Conference 2007(WRC−07)において、IMT−Advancedの周波数スペクトルが決定された。IMT−Advancedのための全体的な周波数スペクトルは決定されたが、実際に利用可能な周波数帯域幅は、地域又は国によって異なる。しかしながら、利用可能な周波数スペクトルのアウトラインの決定に続いて、3GPP(3rd Generation Partnership Project)において無線インタフェースの標準化が開始された。3GPP TSG RAN #39会合において、「Further Advancements for E-UTRA (LTE-Advanced)」に関する検討項目(study item)の記述が承認された。この検討項目は、E−UTRAを進化・発展させるうえで(例えば、IMT−Advancedの要求条件を満たすために)考慮すべき技術要素をカバーしている。
【0014】
LTEアドバンストシステムがサポートできる帯域幅は100MHzであり、一方、LTEシステムは20MHzのみをサポートできる。今日、無線スペクトルの欠如がワイヤレスネットワークの開発のボトルネックになり、結果として、LTEアドバンストシステムのために十分広いスペクトル帯域を見つけることは困難である。したがって、より広い無線スペクトル帯域を獲得するための方法を見つけることは急務であり、ここにおいて、可能性のある答えは、キャリアアグリゲーション機能である。
【0015】
キャリアアグリゲーションでは、最大で100MHzのより広い送信帯域幅をサポートする目的で、2つ以上のコンポーネントキャリアがアグリゲートされる。LTE−Advancedシステムでは、LTEシステムにおけるいくつかのセルが、より広い1つのチャネルにアグリゲートされる。このチャネルは、たとえLTEにおけるこれらのセルが異なる周波数帯域にある場合でも100MHzに対して十分に広い。
【0016】
少なくとも、コンポーネントキャリアの帯域幅が、LTEリリース8/9のセルのサポートされる帯域幅を超えないときには、すべてのコンポーネントキャリアをLTEリリース8/9互換であるように設定できる。ユーザ機器によってアグリゲートされるすべてのコンポーネントキャリアが必ずしもLTEリリース8/9互換でなくてよい。リリース8/9のユーザ機器がコンポーネントキャリアにキャンプオンすることを回避するため、既存のメカニズム(例:バーリング)を使用できる。
【0017】
ユーザ機器は、ユーザ機器の能力に応じて1つまたは複数のコンポーネントキャリア(複数のサービングセルに対応する)を同時に受信または送信できる。キャリアアグリゲーションのための受信能力および/または送信能力を備えた、LTE−Aリリース10のユーザ機器は、複数のサービングセル上で同時に受信する、および/または送信できる。これに対して、LTEリリース8/9のユーザ機器は、コンポーネントキャリアの構造がリリース8/9の仕様に従う場合、1つのみのサービングセル上で受信および送信を行うことができる。
【0018】
キャリアアグリゲーションは、連続するコンポーネントキャリアおよび不連続なコンポーネントキャリアの両方においてサポートされ、各コンポーネントキャリアは、(3GPP LTE(リリース8/9)のnumerologyを使用して)周波数領域における最大110個のリソースブロックに制限される。
【0019】
同じeNodeB(基地局)から送信される、場合によってはアップリンクおよびダウンリンクにおいて異なる帯域幅の異なる数のコンポーネントキャリアをアグリゲートするように、3GPP LTE−A(リリース10)互換のユーザ機器を構成することが可能である。設定することのできるダウンリンクコンポーネントキャリアの数は、ユーザ機器のダウンリンクのアグリゲーション能力に依存する。逆に、設定することのできるアップリンクコンポーネントキャリアの数は、ユーザ機器のアップリンクのアグリゲーション能力に依存する。現時点では、ダウンリンクコンポーネントキャリアよりもアップリンクコンポーネントキャリアが多い状態に移動端末を設定することはできない。一般的なTDD配備では、コンポーネントキャリアの数および各コンポーネントキャリアの帯域幅は、アップリンクとダウンリンクとで同じである。同じeNodeBから送信されるコンポーネントキャリアは、同じカバレッジを提供する必要はない。
【0020】
連続的にアグリゲートされるコンポーネントキャリアの中心周波数の間隔は、300kHzの整数倍である。これは、3GPP LTE(リリース8/9)の100kHzの周波数ラスターとの互換性を保つと同時に、15kHz間隔のサブキャリアの直交性を維持するためである。アグリゲーションのシナリオによっては、連続するコンポーネントキャリアの間に少数の使用されないサブキャリアを挿入することによって、n×300kHzの間隔あけを容易にすることができる。
【0021】
複数のキャリアをアグリゲートする影響は、MACレイヤに及ぶのみである。MACレイヤには、アップリンクおよびダウンリンクの両方において、アグリゲートされるコンポーネントキャリアごとに1つのHARQエンティティが要求される。コンポーネントキャリアあたりのトランスポートブロックは最大1個である(アップリンクにおけるSU−MIMOを使用しない場合)。トランスポートブロックおよびそのHARQ再送信(発生時)は、同じコンポーネントキャリアにマッピングする必要がある。
【0022】
キャリアアグリゲーションが設定されているとき、移動端末はネットワークとの1つのRRC接続のみを有する。RRC接続の確立/再確立時、1つのセルが、LTEリリース8/9と同様に、セキュリティ入力(1つのECGI、1つのPCI、および1つのARFCN)と、非アクセス層(NAS:non-access stratum)モビリティ情報(例:TAI)とを提供する。RRC接続の確立/再確立の後、そのセルに対応するコンポーネントキャリアは、ダウンリンクプライマリセル(PCell:Primary Cell)と称される。接続状態では、ユーザ機器あたり常に1つのダウンリンクPCell(DL PCell)および1つのアップリンクPCell(UL PCell)が設定される。コンポーネントキャリアの設定されたセットおいて、他のセルはセカンダリセル(SCell:Secondary Cell)と呼ばれ、SCellのキャリアはダウンリンクセカンダリコンポーネントキャリア(DL SCC)およびアップリンクセカンダリコンポーネントキャリア(UL SCC)である。1つのUEに対して最大5つのサービングセル(PCellを含む)を設定できる。
【0023】
[MACレイヤ/MACエンティティ、RRCレイヤ、物理レイヤ]
LTEのLayer 2のユーザプレーン/制御プレーンのプロトコルスタックは、4つのサブレイヤ、すなわちRRC、PDCP、RLC、およびMACを備えている。媒体アクセス制御(MAC)レイヤは、LTEの無線プロトコルスタックのLayer 2アーキテクチャにおける最も下のサブレイヤであり、例えば3GPP技術規格である非特許文献2によって定義されている。下の物理レイヤとはトランスポートチャネルを通じて接続されており、上のRLCレイヤとは論理チャネルを通じて接続されている。したがってMACレイヤは、論理チャネルとトランスポートチャネルとの間の多重化および逆多重化を実行する。送信側におけるMACレイヤは、論理チャネルを通じて受け取るMAC SDUからMAC PDU(トランスポートブロックとしても知られている)を構築し、受信側におけるMACレイヤは、トランスポートチャネルを通じて受け取るMAC PDUからMAC SDUを復元する。
【0024】
MACレイヤは、論理チャネルを通じてRLCレイヤにデータ伝送サービスを提供し(参照により本明細書に組み込まれている非特許文献2の5.4節および5.3節を参照)、この論理チャネルは、制御データ(例えばRRCシグナリング)を伝える制御論理チャネル、またはユーザプレーンデータを伝えるトラフィック論理チャネルのいずれかである。その一方で、MACレイヤからのデータはトランスポートチャネル(ダウンリンクまたはアップリンクとして分類される)を通じて物理レイヤと交換される。無線を通じた送信方式に応じて、データがトランスポートチャネルに多重化される。
【0025】
物理レイヤは、データおよび制御情報をエアインタフェースを介して実際に送信する役割を担い、すなわち物理レイヤは、送信側ではMACトランスポートチャネルからのすべての情報をエアインタフェースを通じて伝える。物理レイヤによって実行されるいくつかの重要な機能としては、符号化および変調、リンクアダプテーション(AMC)、電力制御、セルサーチ(最初の同期およびハンドオーバーを目的とする)、RRCレイヤのための他の測定(LTEシステムの内側およびシステム間)が挙げられる。物理レイヤは、送信パラメータ(変調方式、符号化率(すなわち変調・符号化方式(MCS))、物理リソースブロックの数など)に基づいて、送信を実行する。物理レイヤの機能に関するさらなる情報は、非特許文献3(参照により本明細書に組み込まれている)に記載されている。
【0026】
無線リソース制御(RRC)レイヤは、無線インタフェースにおけるUEとeNBとの間の通信と、いくつかのセルを横切って移動するUEのモビリティを制御する。RRCプロトコルは、NAS情報の伝送もサポートする。RRC_IDLEのUEに対しては、RRCはネットワークからの着信呼の通知をサポートする。RRC接続制御は、RRC接続の確立、変更、および解除に関連するすべての手順(ページング、測定の設定および報告、無線リソースの設定、最初のセキュリティ起動、シグナリング無線ベアラ(SRB:Signalling Radio Bearer)およびユーザデータを伝える無線ベアラ(データ無線ベアラ(DRB:Data Radio Bearer))の確立を含む)をカバーする。
【0027】
無線リンク制御(RLC:Radio Link Control)サブレイヤは、主としてARQ(自動再送要求)機能を備えており、また、データの分割および連結をサポートしている。すなわち、RLCレイヤは、RLC SDUのフレーミングを実行し、MACレイヤによって示されるサイズにする。後者の2つによって、データレートとは無関係にプロトコルオーバーヘッドが最小になる。RLCレイヤは、論理チャネルを介してMACレイヤに接続されている。各論理チャネルは、様々なタイプのトラフィックを伝える。RLCレイヤの上のレイヤは、一般にはPDCPレイヤであるが、場合によってはRRCレイヤである。すなわち、論理チャネルBCCH(Broadcast Control Channel)、PCCH(Paging Control Channel)、およびCCCH(Common Control Channel)で送信されるRRCメッセージは、セキュリティ保護を必要とせず、したがってPDCPレイヤをバイパスしてRLCレイヤに直接渡される。RLCサブレイヤの主たるサービスおよび機能としては以下が挙げられる。
・ 上位レイヤPDUの伝送(AM(応答モード)データ伝送、UM(非応答モード)データ伝送、またはTM(透過モード)データ伝送をサポートする)
・ ARQを通じた誤り訂正
・ トランスポートブロック(TB:Transport Block)のサイズに従った分割
・ 必要なとき(例えば無線品質(すなわちサポートされるTBサイズ)が変化するとき)の再分割
・ 同じ無線ベアラのSDUの連結は、今後の課題(FFS)である
・ 上位レイヤPDUの連続配信
・ 重複の検出
・ プロトコルエラーの検出および回復
・ SDUの破棄
・ リセット
RLCレイヤによって提供されるARQ機能については、後からさらに詳しく説明する。
【0028】
LTEにおけるアップリンクアクセス方式
アップリンク送信では、カバレッジを最大にするため、ユーザ端末は高い電力効率で送信する必要がある。E−UTRAのアップリンク送信方式としては、シングルキャリア伝送と、動的な帯域幅割当てのFDMAとを組み合わせた方式が選択されている。シングルキャリア伝送が選択された主たる理由は、マルチキャリア信号(OFDMA)と比較して、ピーク対平均電力比(PAPR:peak to average power ratio)が低く、これに対応して電力増幅器の効率が改善され、カバレッジも改善されるためである(与えられる端末ピーク電力に対してデータレートがより高い)。各時間間隔において、eNodeBは、ユーザデータを送信するための固有の時間/周波数リソースをユーザに割り当て、これによってセル内の直交性が確保される。アップリンクにおける直交多元接続によって、セル内干渉が排除されることでスペクトル効率が高まる。マルチパス伝搬に起因する干渉については、送信信号にサイクリックプレフィックスを挿入することにより基地局(eNodeB)において対処する。
【0029】
データを送信するために使用される基本的な物理リソースは、1つの時間間隔(例えばサブフレーム)にわたるサイズBW
grantの周波数リソースから構成される(符号化された情報ビットはこのリソースにマッピングされる)。なお、サブフレーム(送信時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)とも称する)は、ユーザデータを送信するための最小の時間間隔である。しかしながら、サブフレームを連結することにより、1TTIより長い時間にわたる周波数リソースBW
grantをユーザに割り当てることも可能である。
【0030】
[Layer 1/Layer 2制御シグナリング]
スケジューリング対象のユーザに、ユーザの割当て状態、トランスポートフォーマット、およびその他の送信関連情報(例:HARQ情報、送信電力制御(TPC:Transmit Power Control)コマンド)を通知する目的で、L1/L2制御シグナリングがデータと共にダウンリンクで送信される。L1/L2制御シグナリングは、サブフレーム内でダウンリンクデータと共に多重化される(ユーザ割当てがサブフレーム単位で変化しうるものと想定する)。なお、ユーザ割当てをTTI(送信時間間隔)ベースで実行することもできる。その場合、TTI長をサブフレームの整数倍とすることができることに留意されたい。TTI長は、サービスエリア内ですべてのユーザに対して一定とする、または異なるユーザに対して異なる長さとする、さらにはユーザ毎に動的とすることもできる。L1/L2制御シグナリングは、一般的にはTTIあたり1回送信するのみでよい。以下では、一般性を失うことなく、TTIが1サブフレームに等しいものと想定する。
【0031】
L1/L2制御シグナリングは、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)で送信される。PDCCHは、ダウンリンク制御情報(DCI:Downlink Control Information)としてのメッセージを伝える。DCIには、ほとんどの場合、移動端末またはUEのグループへのリソース割当ておよびその他の制御情報が含まれる。いくつかのPDCCHを1つのサブフレーム内で送信できる。
【0032】
アップリンク無線リソースまたはダウンリンク無線リソースを割り当てる目的でL1/L2制御シグナリングで送られる情報は(特にLTE(−A)リリース10)、一般的には以下の項目に分類できる。
− ユーザ識別情報(User Identity): 割り当てる対象のユーザを示す。この情報は、一般には、CRCをユーザの識別情報によってマスクすることによってチェックサムに含まれる。
− リソース割当て情報(Resource allocation information): ユーザに割り当てられるリソース(例:リソースブロック(RB))を示す。あるいはこの情報はリソースブロック割当て(RBA:resource block assignment)と称される。なお、ユーザに割り当てられるリソースブロック(RB)の数は動的とすることができる。
− キャリアインジケータ(Carrier indicator): 第1のキャリアで送信される制御チャネルが、第2のキャリアに関連するリソース(すなわち第2のキャリアのリソースまたは第2のキャリアに関連するリソース)を割り当てる場合に使用される(クロスキャリアスケジューリング)。
− 変調・符号化方式(Modulation and Coding Scheme): 採用される変調方式および符号化率を決める。
− HARQ情報: データパケットまたはその一部の再送信時に特に有用である、新規データインジケータ(NDI:New Data Indicator)又は冗長バージョン(RV:Redundancy Version)など。
− 電力制御コマンド: 割当て対象のアップリンクのデータまたは制御情報の送信時の送信電力を調整する。
− 参照信号情報: 割当ての対象の参照信号の送信または受信に使用される、適用されるサイクリックシフト又は直交カバーコード(OCC)インデックスなど。
− アップリンク割当てインデックスまたはダウンリンク割当てインデックス: 割当ての順序を識別するために使用され、TDDシステムにおいて特に有用である。
− ホッピング情報: 例えば、周波数ダイバーシチを増大させる目的でリソースホッピングを適用するかどうか、および適用方法の指示情報。
− CSI要求: 割り当てられるリソースにおいてチャネル状態情報(Channel State Information)を送信するようにトリガーするために使用される。
− マルチクラスタ情報: シングルクラスタ(RBの連続的なセット)またはマルチクラスタ(連続的なリソースブロックの少なくとも2つの不連続なセット)で送信を行うかを指示して制御するために使用されるフラグである。マルチクラスタ割当ては、3GPP LTE−(A)リリース10によって導入された。
【0033】
なお、上記リストは、すべてを網羅したものではなく、また、使用されるDCIフォーマットによっては、リストした情報項目すべてを各PDCCH送信に含める必要はないことに留意されたい。
【0034】
ダウンリンク制御情報はいくつかのフォーマットの形をとり、これらのフォーマットは、全体のサイズと、上述したフィールドに含まれる情報とが異なる。LTEにおいて現在定義されている様々なDCIフォーマットは以下のとおりであり、非特許文献4の5.3.3.1節(3GPPのウェブサイトで入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれている)に詳しく記載されている。例えば、アップリンク用のリソースグラントを伝える目的に、次のDCIフォーマットを使用できる。
【0035】
3GPP技術規格である非特許文献4(5.4.3節(参照により本明細書に組み込まれている)には、サイドリンクの制御情報が定義されている。
【0036】
[LTE RRC状態]
LTEは、2つのみの主状態、すなわち「RRC_IDLE」および「RRC_CONNECTED」に基づく。
【0037】
RRC_IDLEでは、無線は有効ではないが、コアネットワークによってIDが割り当てられて追跡されている。より具体的には、RRC_IDLEの移動端末は、セルの選択および再選択を実行する(言い換えれば、キャンプオンするセルを決定する)。セルの(再)選択プロセスでは、適用可能な無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)それぞれの適用可能な各周波数の優先順位、無線リンクの品質、およびセルのステータス(すなわちセルが禁止または予約されているか)が考慮される。RRC_IDLEの移動端末は、ページングチャネルを監視(モニタ)して着呼を検出し、さらにシステム情報を取得する。システム情報は、主として、セルの(再)選択プロセスと移動端末がネットワークにアクセスする方法とをネットワーク(E−UTRAN)が制御するためのパラメータからなる。RRCは、RRC_IDLEの移動端末に適用される制御シグナリング(すなわちページングおよびシステム情報)を指定する。RRC_IDLEの移動端末の挙動については、非特許文献5の4節「General description of Idle mode(アイドルモードの概説)」(参照によって本明細書に組み込まれている)にさらに詳細に規定されている。
【0038】
RRC_CONNECTEDでは、移動端末は、eNodeBとのアクティブな無線動作を有する。E−UTRANでは、共有データチャネルを介した(ユニキャスト)データの伝送を容易にするため、移動端末に無線リソースが割り当てられる。この動作をサポートするため、移動端末は、時間および周波数の共有送信リソースの動的な割当てを示すために使用される関連する制御チャネルを監視(モニタ)する。移動端末は、E−UTRANが移動端末にとって最適なセルを選択できるように、移動端末のバッファ状態およびダウンリンクチャネル品質の報告と、隣接セルの測定情報とを、ネットワークに提供する。これらの測定報告(measurement report)には、別の周波数や無線アクセス技術(RAT)を使用するセルが含まれる。さらにUEはシステム情報も受信する。このシステム情報は、主として送信チャネルを使用するために必要な情報から構成される。RRC_CONNECTEDのUEは、UEのバッテリ寿命を延ばすため、不連続受信(DRX:Discontinuous Reception)サイクルを使用するように設定されることができる。RRCとは、RRC_CONNECTEDのUEの挙動をE−UTRANが制御するためのプロトコルである。
【0039】
RRCプロトコルにおける移動端末の様々な機能(接続モードを含む)については、非特許文献6の5節「Procedures(手順)」(参照によって本明細書に組み込まれている)に記載されている。RRC接続確立手順は、非特許文献6の5.3.3節(参照によって本明細書に組み込まれている)に説明されている。
【0040】
[LTEの装置間(D2D:Device to Device)近接サービス(ProSe:Proximity Services)]
近接性に基づくアプリケーションおよびサービスは、ソーシャル技術の新しいトレンドである。識別される分野としては、事業者およびユーザにとって関心のある商用サービスおよび公共安全に関連するサービスが挙げられる。LTEに近接サービス(ProSe)機能を導入することにより、3GPP業界は、この成長の見込まれる市場にサービスを提供できると同時に、連係してLTEを使用するいくつかの公共安全コミュニティの緊急なニーズに応えることができる。
【0041】
D2D通信は、LTEリリース12によって導入された技術要素である。この技術によって、セルラーネットワークに対するアンダーレイ(下層)としてのD2Dにおいてスペクトル効率を高めることができる。例えば、セルラーネットワークがLTEである場合、データを伝えるすべての物理チャネルは、D2DシグナリングにおいてSC−FDMAを使用する。D2D通信では、ユーザ機器は、無線基地局を経由せずに、セルラーリソースを使用する直接的なリンクを通じて互いにデータ信号を送信する。本発明全体を通じて、用語「D2D」、「ProSe」、および「サイドリンク」は同義である。
【0042】
LTEにおけるD2D通信は、ディスカバリおよび通信という2つの分野に焦点をあてている。
【0043】
ProSe(近接サービス)直接ディスカバリ(ProSe Direct Discovery)は、ProSe対応ユーザ機器が、近傍の別の(1つまたは複数の)ProSe対応ユーザ機器を、PC5インタフェースを介してE−UTRA直接無線信号を使用して発見するために使用される手順と定義されている。
【0044】
D2D通信では、UEは、基地局(BS:Base Station)を経由せずに、セルラーリソースを使用して直接的なリンクを通じて互いにデータ信号を送信する。D2Dユーザは、直接通信するが、基地局の制御下のままである(少なくともeNBのカバレッジ内にあるとき)。したがって、D2Dでは、セルラーリソースを再利用することによってシステム性能を改善できる。
【0045】
D2Dは、アップリンクLTE周波数帯(FDDの場合)において動作する、またはカバレッジを提供しているセルのアップリンクサブフレーム(TDDの場合、ただしカバレッジ外のときを除く)において動作するものと想定する。さらに、D2D送信/受信では、与えられたキャリアにおいて全二重を使用しない。個々のユーザ機器の観点からは、与えられたキャリアにおいて、D2D信号受信およびLTEアップリンク送信が全二重を使用しない(すなわちD2D信号受信およびLTEアップリンク送信を同時に行うことはできない)。
【0046】
D2D通信では、特定の1つのUE1が送信の役割であるとき(送信ユーザ機器または送信端末)、UE1がデータを送信し、別のUE2(受信ユーザ機器)がそれを受信する。UE1およびUE2は、送信の役割と受信の役割を交換できる。UE1からの送信は、1つまたは複数のUE(UE2など)によって受信できる。
【0047】
[ProSe直接通信のレイヤ2リンク]
簡潔に言えば、2つのUEの間でPC5を通じてセキュアなレイヤ2リンクを確立することによって、1対1のProSe直接通信が実現される。各UEは、ユニキャスト通信用のレイヤ2 IDを有する。このレイヤ2 IDは、UEがレイヤ2リンクで送信する各フレームのSource Layer-2 ID(送信元レイヤ2 ID)フィールドと、UEがレイヤ2リンクで受信する各フレームのDestination Layer-2 ID(宛先レイヤ2 ID)に含まれる。UEは、ユニキャスト通信用のレイヤ2 IDが少なくともローカル範囲内で一意であることを確保する必要がある。したがって、UEは、隣接するUEとのレイヤ2 IDの衝突を、規定されていないメカニズム(例えば、衝突が検出されたときユニキャスト通信用の新しいレイヤ2 IDを自身で割り当てる)を使用して処理するように構成されているべきである。1対1のProSe直接通信のためのレイヤ2リンクは、2つのUEのレイヤ2 IDの組み合わせによって識別される。すなわち、UEは、同じレイヤ2 IDを使用して、1対1のProSe直接通信のための複数のレイヤ2リンクに関与できる。
【0048】
1対1のProSe直接通信は、非特許文献7の7.1.2節(参照により本明細書に組み込まれている)に詳しく説明されているように、次の手順から構成される。
・ PC5を通じてセキュアなレイヤ2リンクを確立する
・ IPアドレス/プレフィックスを割り当てる
・ PC5を通じてレイヤ2リンクを維持・管理する
・ PC5を通じてレイヤ2リンクを解除する
【0049】
図3は、PC5インタフェースを通じてセキュアなレイヤ2リンクを確立する方法を示している。
1. 相互認証をトリガーする目的で、UE−1が直接通信要求(Direct Communication Request)メッセージをUE−2に送信する。ステップ1を実行するためには、リンク開始側(UE−1)が相手側(UE−2)のレイヤ2 IDを知っている必要がある。一例として、リンク開始側は、最初にディスカバリ手順を実行することによって、または相手側を含む1対多のProSe通信に参加することによって、相手側のレイヤ2 IDを認識できる。
2. UE−2が相互認証の手順を開始する。認証手順が正常に終了すると、PC5を通じてのセキュアなレイヤ2リンクの確立が完了する。
【0050】
単独の(中継されない)1対1通信に関与するUEは、リンクローカルアドレスを使用することもできる。PC5シグナリングプロトコルは、UEがProSe通信範囲内ではないときに検出するために使用されるキープアライブ機能をサポートする。したがって、このようなUEは、レイヤ2リンクの暗黙的な解除に進むことができる。PC5を通じてのレイヤ2リンクの解除は、他方のUEに送信される接続解除要求(Disconnect Request)メッセージを使用することによって実行できる。他方のUEは、関連するすべてのコンテキストデータも削除する。他方のUEは、接続解除要求メッセージを受信した時点で、接続解除応答(Disconnect Response)メッセージによって応答し、レイヤ2リンクに関連付けられるすべてのコンテキストデータを削除する。
【0051】
[D2Dディスカバリ: モデルおよびリソース割当て]
ProSe直接ディスカバリ(ProSe Direct Discovery)とは、ProSe対応UEが、その近傍の別の(1つまたは複数の)ProSe対応UEを、PC5インタフェースを介してE−UTRA直接無線信号を使用して発見するために使用される手順と定義されている。ディスカバリ情報のアナウンスおよび監視の許可は、上位レイヤが扱う。この目的のため、UEは、事前定義された信号(「ディスカバリ信号」と称する)を交換しなければならない。UEは、必要なときに通信リンクを確立する目的で、ディスカバリ信号を周期的にチェックすることによって、近傍のUEのリストを維持する。ディスカバリ信号は、たとえ信号対雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio)が低い環境においても高い信頼性で検出される必要がある。ディスカバリ信号を周期的に送信できるように、ディスカバリ信号用のリソースを割り当てる必要がある。
【0052】
ProSe直接ディスカバリには2つのタイプがあり、すなわち、オープン型(open)と制限型(restricted)である。オープン型は、発見されるUEからの明示的な許可が必要ない場合であり、制限型のディスカバリは、発見されるUEからの明示的な許可があるときにのみ行われる。
【0053】
ProSe直接ディスカバリは、独立したサービスイネーブラ(service enabler)とすることができる。このサービスイネーブラは、例えば、発見される側のUEからの情報(例えば「近くでタクシーを見つけて」、「私にコーヒーショップを見つけて」)を使用することが許可されているUEにおいて、その情報を特定のアプリケーションにおいて使用できる。さらに、得られた情報に応じて、ProSe直接ディスカバリを以降の動作(例えばProSe直接通信を開始する)に使用できる。
【0054】
標準規格である非特許文献8の5.3節およびそのすべての副節(参照により本明細書に組み込まれている)には、ProSe直接ディスカバリの以下のモデルが定義されている。
【0055】
モデルA(「私はここにいます」):
このモデルは、ProSe直接ディスカバリに関与するProSe対応UEの2つの役割を定義する。
・ アナウンスする側のUE: このUEは、ディスカバリの許可を有する近傍のUEが使用することのできる特定の情報をアナウンスする。
・ 監視する側のUE: このUEは、アナウンスする側のUEの近傍において、関心のある特定の情報を監視する。
【0056】
このモデルでは、アナウンスする側のUEが、事前定義されるディスカバリ間隔でディスカバリメッセージをブロードキャストし、これらのメッセージに関心のある監視する側のUEが、メッセージを読み取って処理する。このモデルは、「私はここにいます」と称することができる。なぜなら、アナウンス側UEがディスカバリメッセージの中で自身に関する情報(例えば自身のProSeアプリケーションコード(ProSe Application Code))をブロードキャストするためである。
【0057】
モデルB(「そこにいるのは誰ですか?」/「あなたはそこにいますか?」):
このモデルは、ProSe直接ディスカバリに関与するProSe対応UEの2つの役割を定義する。
・ 発見する側のUE: このUEは、自身が発見したい対象に関する特定の情報を含む要求を送信する。
・ 発見される側のUE: 要求メッセージを受信したUEは、発見する側のUEの要求に関連する何らかの情報で応答できる。
【0058】
このモデルは、「そこにいるのは誰ですか?/あなたはそこにいますか?」と称することができる。なぜなら、発見する側のUEが、応答を受け取りたい対象の別のUEの情報(例えばグループに対応するProSeアプリケーションID(ProSe Application Identity)に関する情報とすることができる)を送信し、グループのメンバーが応答することができるためである。
【0059】
ディスカバリ情報の内容は、アクセス層(AS:Access Stratum)に透過的であり、アクセス層(AS)では、ProSe直接ディスカバリのモデルが区別されず、ProSe直接ディスカバリのタイプも区別されない。ProSeプロトコルは、アナウンスする有効なディスカバリ情報のみをアクセス層(AS)に渡す。
【0060】
UEは、eNBの設定に従ってRRC_IDLE状態およびRRC_CONNECTED状態の両方において、ディスカバリ情報のアナウンスおよび監視に関与できる。UEは、半二重の制約を受けるディスカバリ情報をアナウンスおよび監視する。
【0061】
一般的には、装置のディスカバリは周期的に必要である。さらに、D2D装置は、ディスカバリメッセージのシグナリングプロトコルを利用して装置のディスカバリを実行する。例えば、あるD2D対応UEが、自身のディスカバリメッセージを送信することができ、別のD2D対応UEがこのディスカバリメッセージを受信し、この情報を使用して直接通信リンクを確立できる。ハイブリッドネットワークの利点として、D2D装置がネットワークインフラストラクチャの通信範囲内でもある場合、eNBなどのネットワークエンティティが、ディスカバリメッセージの送信又は設定を追加的に支援できる。ディスカバリメッセージの送信又は設定をeNBによって調整/制御することは、D2Dのメッセージングと、そのeNBによって制御されているセルラートラフィックとの干渉が発生しないようにするうえでも重要である。さらには、たとえ装置のいくつかがネットワークカバレッジの範囲外である場合でも、カバレッジ内の装置がアドホックディスカバリプロトコルを支援できる。
【0062】
説明においてさらに使用される専門用語を定義する目的で、少なくとも以下の2つのタイプのディスカバリ手順が定義されている。
・ UEによる自律的なリソース選択(以下ではタイプ1と称する): ディスカバリ情報をアナウンスするためのリソースが特定のUEを対象とせずに割り当てられ、さらに以下を特徴とするリソース割当て手順。
− ディスカバリ情報のアナウンスに使用されるリソースプールの設定を、eNBが(1つまたは複数の)UEに提供する。設定は例えばSIB(System Information Block)においてシグナリングできる。
− UEは、示されたリソースプールから(1つまたは複数の)無線リソースを自律的に選択し、ディスカバリ情報をアナウンスする。
− UEは、各ディスカバリ期間中、ランダムに選択されるディスカバリ用リソースでディスカバリ情報をアナウンスできる。
・ スケジューリングされるリソース割当て(以下ではタイプ2と称する): ディスカバリ情報をアナウンスするためのリソースが特定のUEごとに割り当てられ、さらに以下を特徴とするリソース割当て手順。
− RRC_CONNECTEDのUEは、ディスカバリ情報をアナウンスするための、RRCを介してのeNBからのリソースを要求できる。eNBはRRCを介してリソースを割り当てる。
− リソースは、監視できるようにUEに設定されるリソースプール内に割り当てられる。
【0063】
RRC_IDLEのUEに対しては、eNBは以下のオプションの一方を選択できる。
・ eNBは、ディスカバリ情報をアナウンスするためのタイプ1のリソースプールをSIBにおいて提供できる。ProSe直接ディスカバリを許可されているUEは、RRC_IDLEモードにおいてこれらのリソースを使用してディスカバリ情報をアナウンスする。
・ eNBは、自身がD2Dをサポートしているが、ディスカバリ情報をアナウンスするためのリソースを提供しないことを、SIBにおいて示すことができる。UEは、ディスカバリ情報をアナウンスするためのD2Dリソースを要求するためには、RRC_CONNECTEDモードに入る必要がある。
【0064】
RRC_CONNECTEDのUEの場合:
・ ProSe直接ディスカバリのアナウンスを実行することが許可されているUEは、D2Dディスカバリのアナウンスの実行を望むことをeNBに通知する。
・ eNBは、そのUEがProSe直接ディスカバリのアナウンスを許可されているかを、MMEから受信したUEコンテキストを使用して確認する。
・ eNBは、ディスカバリ情報のアナウンス用にタイプ1のリソースプールまたはタイプ2の個別リソース(dedicated Type 2 resource)を使用するように、個別RRCシグナリング(dedicated RRC signalling)を介してUEを設定できる(またはリソースなし)。
・ eNBによって割り当てられたリソースは、a)eNBがそのリソースをRRCシグナリングによって設定解除するまで、または、b)UEがIDLEモードに入るまで、有効である。
【0065】
RRC_IDLEおよびRRC_CONNECTEDの受信側UEは、許可されるタイプ1およびタイプ2のディスカバリ用リソースプールの両方を監視する。eNBは、ディスカバリ情報を監視するために使用されるリソースプールの設定を、SIBにおいて提供する。SIBは、隣接セルにおいてアナウンスするために使用されるディスカバリ用リソースも含むことができる。
【0066】
[ProSe直接通信に関連する識別情報]
非特許文献9の8.3節には、ProSe直接通信に使用するための次の識別情報が定義されている。
・ SL−RNTI(サイドリンク無線ネットワーク一時識別子): ProSe直接通信のスケジューリングに使用される一意の識別情報
・ 送信元レイヤ2 ID(Source Layer 2 ID): サイドリンクProSe直接通信におけるデータの送信者を識別する。送信元レイヤ2 IDは24ビット長であり、受信機におけるRLC UMエンティティおよびPDCPエンティティを識別するため、ProSeレイヤ2宛先IDおよびLCIDと共に使用される。
・ 宛先レイヤ2 ID(Destination Layer 2 ID): サイドリンクProSe直接通信におけるデータの対象者を識別する。宛先レイヤ2 IDは24ビット長であり、MACレイヤにおいて2つのビットストリングに分割される。
・ 一方のビットストリングは、宛先レイヤ2 IDの最下位部分(8ビット)であり、サイドリンク制御レイヤ1 IDとして物理レイヤに転送される。これは、サイドリンク制御における意図するデータの対象者を識別し、物理レイヤにおいてパケットをフィルタリングするために使用される。
・ 2番目のビットストリングは、宛先レイヤ2 IDの最上位部分(16ビット)であり、MACヘッダ内で伝えられる。これは、MACレイヤにおいてパケットをフィルタリングするために使用される。
【0067】
UEにおいてグループを形成するためと、送信元レイヤ2 ID、宛先レイヤ2 ID、およびサイドリンク制御レイヤ1 IDを設定するために、非アクセス層シグナリングが必要である。これらの識別情報は、上位レイヤによって提供される、または上位レイヤによって提供される識別情報から導かれる。グループキャストおよびブロードキャストの場合、上位レイヤによって提供されるProSe UE IDが送信元レイヤ2 IDとして直接使用され、上位レイヤによって提供されるProSeレイヤ2グループIDが、MACレイヤにおいて宛先レイヤ2 IDとして直接使用される。1対1の通信の場合、上位レイヤが送信元レイヤ2 IDおよび宛先レイヤ2 IDを提供する。
【0068】
[近接サービスにおける無線リソース割当て]
送信側UEの観点からは、近接サービスに対応するUE(Proximity-Service-enabled UE。ProSe対応UE)は、リソース割当ての以下の2つのモードで動作できる。
【0069】
モード1は、eNBによってスケジューリングされるリソース割当てを意味する。この場合、UEは、eNB(またはリリース10の中継ノード)からの送信リソースを要求し、要求に応えてeNodeB(またはリリース10の中継ノード)は、UEが「直接」データおよび「直接」制御情報(例えばスケジューリング割当て(SA))を送信するために使用するリソースをスケジューリングする。UEは、データを送信するためにはRRC_CONNECTEDである必要がある。具体的には、UEは、スケジューリング要求(D−SRまたはランダムアクセス)をeNBに送信し、次いでバッファ状態報告(BSR:Buffer Status Report)を通常の方法で送信する(次節「D2D通信における送信手順」も参照)。eNBは、BSRに基づいて、UEがProSe直接通信によって送信するデータを有すると判断し、送信に必要なリソースを推定できる。
【0070】
これに対して、モード2は、UEによる自律的なリソース選択を意味する。この場合、UEは、「直接」データおよび「直接」制御情報(すなわちSA(スケジューリング割当て))を送信するためのリソース(時間および周波数)を、(1つまたは複数の)リソースプールから自身で選択する。例えばSIB18の内容によって(すなわち、commTxPoolNormalCommonフィールドによって)1つのリソースプールが定義される。この特定のリソースプールは、セル内でブロードキャストされ、そのセル内の依然としてRRC_IDLE状態にあるすべてのUEに共通して利用可能である。実際には、eNBは、このプールの最大4つの異なるインスタンス(すなわちSAメッセージおよび「直接」データを送信するための4つのリソースプール)を定義できる。しかしながら、リリース12では、UEは、たとえ自身に複数のリソースプールが設定された場合でも、リスト内に定義されている最初のリソースプールを常に使用する。この制約はリリース13では削除され、UEは1つのSC期間内に、設定されているリソースプールのうちの複数のリソースプールで送信できる。以下では、UEが送信用のリソースプールを選択する方法についてさらに説明する(非特許文献2にさらに規定されている)。
【0071】
これに代えて、eNBが別のリソースプールを定義してSIB18で(すなわちcommTxPoolExceptionalフィールドを使用することによって)シグナリングし、UEは例外的なケースにおいてこのリソースプールを使用できる。
【0072】
UEがどのリソース割当てモードを使用するかは、eNBによって設定可能である。さらに、UEがD2Dデータ通信用にどのリソース割当てモードを使用するかを、RRC状態(すなわちRRC_IDLEまたはRRC_CONNECTED)と、UEのカバレッジ状態(すなわちカバレッジ内またはカバレッジ外)によっても決定できる。UEがサービングセルを有する(すなわちUEがRRC_CONNECTEDである、またはRRC_IDLEにおいて特定のセルにキャンプオンしている)場合、そのUEはカバレッジ内にあるとみなされる。
【0073】
リソース割当てモードに関する次の規則がUEに適用される。
・ UEがカバレッジ外である場合、そのUEはモード2のみを使用できる。
・ UEがカバレッジ内にある場合、UEがモード1を使用できるようにeNBによって設定されていれば、そのUEはモード1を使用できる。
・ UEがカバレッジ内にある場合、UEがモード2を使用できるようにeNBによって設定されていれば、そのUEはモード2を使用できる。
・ 例外条件が存在しないときには、モードを変更するようにeNBによってUEが設定される場合にのみ、UEはモード1からモード2に、またはモード2からモード1に変更できる。UEがカバレッジ内にある場合、例外的なケースの1つが発生しない限り、UEはeNBの設定によって示されるモードのみを使用する。
− 例えばT311またはT301が実行中である間、UEは、自身を例外条件下にあるものとみなす。
・ 例外的なケースが発生したとき、UEは、たとえモード1を使用するように設定されていても一時的にモード2を使用することが許可される。
【0074】
UEは、E−UTRAセルのカバレッジエリア内にある間は、そのセルによって割り当てられるリソースにおいてのみアップリンクキャリアでのProSe直接通信送信を実行する(たとえそのキャリアのリソースが例えばUICC(汎用ICカード:Universal Integrated Circuit Card)において事前設定されている場合でも)。
【0075】
RRC_IDLE状態にあるUEに対しては、eNBは次のオプションの一方を選択できる。
・ eNBは、モード2の送信リソースプールをSIB(システム情報ブロック)において提供する。ProSe直接通信が許可されているUEは、RRC_IDLE状態においてProSe直接通信用にこれらのリソースを使用する。
・ eNBは、自身がD2DをサポートしているがProSe直接通信用のリソースを提供しないことをSIBにおいて示す。UEは、ProSe直接通信送信を実行するためにはRRC_CONNECTEDモードに入る必要がある。
【0076】
RRC_CONNECTEDのUEに関しては、次のようにすることができる。
・ RRC_CONNECTEDでありProSe直接通信送信を実行することが許可されているUEは、ProSe直接通信送信を実行する必要があるとき、ProSe直接通信送信の実行を希望することをeNBに通知する。
・ eNBは、RRC_CONNECTEDのUEがProSe直接通信送信を許可されているかを、MMEから受信されるUEコンテキストを使用して確認する。
・ eNBは、RRC_CONNECTEDのUEに対して、そのUEがRRC_CONNECTEDである間は制約なしで使用することのできるモード2リソース割当て方式の送信リソースプールを、個別シグナリングによって設定できる。これに代えて、eNBは、RRC_CONNECTEDのUEに対して、例外的なケースにおいてのみそのUEが使用することのできるモード2リソース割当て方式の送信リソースプールを、個別シグナリングによって設定することができ、例外的なケースでない場合、UEはモード1に従う。
【0077】
UEがカバレッジ外であるときのスケジューリング割当て(SA:Scheduling Assignment)のためのリソースプールは、以下のように設定できる。
・ 受信に使用されるリソースプールは、事前設定される。
・ 送信に使用されるリソースプールは、事前設定される。
【0078】
UEがカバレッジ内にあるときのスケジューリング割当て(SA)のためのリソースプールは、以下のように設定できる。
・ 受信に使用されるリソースプールは、eNBによってRRCを介して(個別シグナリングまたはブロードキャストシグナリングにおいて)設定される。
・ 送信に使用されるリソースプールは、モード2のリソース割当てが使用される場合、eNBによってRRCを介して設定される。
・ 送信に使用されるサイドリンク制御情報(SCI:Sidelink Control Information)リソースプール(スケジューリング割当て(SA)リソースプールとも称する)は、モード1のリソースプールが使用される場合、UEには認識されない。
・ モード1のリソース割当てが使用される場合、サイドリンク制御情報(スケジューリング割当て)の送信に使用するための特定のリソースをeNBがスケジューリングする。eNBによって割り当てられる特定のリソースは、UEに提供されるSCIの受信用のリソースプール内である。
【0079】
図4は、オーバーレイ(LTE)システムおよびアンダーレイ(D2D)システムにおける送信/受信リソースの使用を示している。
【0080】
UEがモード1の送信を適用するかモード2の送信を適用するかを、基本的にはeNodeBが制御する。UEは、D2D通信を送信(または受信)できるリソースを認識すると、対応するリソースを、対応する送信/受信にのみ使用する。例えば、
図4において、D2Dサブフレームは、D2D信号を受信または送信する目的にのみ使用される。D2D装置としてのUEは、半二重モードで動作するため、任意の時点においてD2D信号の受信または送信のいずれかを行うことができる。同様に、
図4に示したそれ以外のサブフレームは、LTE(オーバーレイ)の送信および/または受信に使用できる。
【0081】
[D2D通信における送信手順]
D2Dデータの送信手順は、リソース割当てモードに応じて異なる。上述したように、モード1の場合には、スケジューリング割当て(SA)およびD2Dデータを伝えるためのリソースを、UEからの対応する要求の後にeNBが明示的にスケジューリングする。特に、D2D通信は基本的に許可されるがモード2のリソース(すなわち、リソースプール)が提供されないことを、eNBがUEに通知できる。この通知は、例えば、UEによるD2D通信関心通知(D2D communication Interest Indication)と、対応する応答であるD2D通信応答(D2D Communication Response)を交換することによって、行うことができる。この場合、対応する例示的なProseCommConfig情報要素にcommTxPoolNormalCommonが含まれない。すなわち、送信を含む直接通信の開始を望むUEは、個々の送信ごとにリソース割当てをE−UTRANに要求しなければならない。したがって、このような場合、UEは、個々の送信のリソースを要求しなければならない。以下、モード1のリソース割当ての場合の要求/割当て手順の一連のステップを例示的に示す。
・ ステップ1 UEがスケジューリング要求(SR:Scheduling Request)をPUCCHを介してeNBに送信する。
・ ステップ2 eNBが、(UEがBSR(バッファ状態報告)を送信するための)アップリンクリソースを、C−RNTIによってスクランブルされたPDCCHを介して許可する。
・ ステップ3 UEが、バッファの状態を示すD2D BSRをPUSCHを介して送信する。
・ ステップ4 eNBが、(UEがデータを送信するための)D2Dリソースを、D2D−RNTIによってスクランブルされたPDCCHを介して割り当てる。
・ ステップ5 D2D送信側UEが、ステップ4で受信したグラントに従って、SA(スケジューリング割当て)/D2Dデータを送信する。
【0082】
スケジューリング割当て(SA)(SCI(サイドリンク制御情報)とも称する)は、制御情報(例えば、対応するD2Dデータを送信するための時間−周波数リソースを示すポインタ、変調・符号化方式、グループ宛先ID)を含むコンパクトな(低ペイロードの)メッセージである。SCIは、1つの(ProSE)宛先IDのサイドリンクスケジューリング情報を伝える。SA(SCI)の内容は、基本的には上のステップ4で受信されるグラントに従う。D2DグラントおよびSAの内容(すなわちSCIの内容)は、特に、SCIフォーマット0を定義している非特許文献4の5.4.3節(参照により本明細書に組み込まれている)に定義されている(前述のSCIフォーマット0の内容を参照)。
【0083】
これに対して、モード2のリソース割当ての場合、上記ステップ1〜4は基本的に不要であり、UEは、SAおよびD2Dデータを送信するためのリソースを、eNBによって設定および提供される(1つまたは複数の)送信リソースプールから自律的に選択する。
【0084】
図5は、2つのUE(UE−1およびUE−2)の場合のスケジューリング割当て(SA)およびD2Dデータの送信を例示的に示す。スケジューリング割当てを送信するためのリソースは周期的であり、D2Dデータの送信に使用されるリソースは、対応するスケジューリング割当て(SA)によって示される。
【0085】
図6は、1つのSA/データ期間(SC期間(サイドリンク制御期間)としても知られている)中の、モード2(自律的スケジューリング)におけるD2D通信タイミングを示す。
図7は、1つのSA/データ期間中の、モード1(eNBが割当てをスケジューリングする)におけるD2D通信タイミングを示す。SC期間は、スケジューリング割当て(SA)およびその対応するデータの送信から構成される時間枠である。
図6から理解できるように、UEは、SAオフセット時間の後、モード2におけるスケジューリング割当て用の送信プールリソース(SA_Mode2_Tx_pool)を使用して、スケジューリング割当て(SA)を送信する。SAの最初の送信の後、同じSAメッセージを例えば3回再送信する。次いで、UEは、(SA_offsetによって与えられる)SAリソースプールの最初のサブフレームから、いくらかの設定されているオフセット(Mode2data_offset)の後に、D2Dデータ送信(より具体的にはT−RPTビットマップ/パターン))を開始する。MAC PDU(すなわちトランスポートブロック)の1回のD2Dデータ送信は、その1回目の最初の送信と、何回かの再送信とから構成される。
図6(および
図7)の図解においては、3回の再送信(すなわち同じMAC PDUの2回目、3回目、および4回目の送信)が実行されるものと想定している。モード2のT−RPTビットマップ(送信の時間リソースパターン(T−RPT))は、基本的に、MAC PDUの送信(最初の送信)およびその再送信(2回目、3回目、および4回目の送信)のタイミングを定義する。SAパターンは、基本的には、SAの最初の送信とその再送信(2回目、3回目、および4回目の送信)のタイミングを定義する。
【0086】
標準規格に現在規定されているように、1つのサイドリンクグラント(例えばeNBによって送られる、またはUE自身によって選択される)において、UEは複数のトランスポートブロック(MAC PDU)を(サブフレーム(TTI)あたり1つのみ、すなわち順々に)送信できるが、1つのProSe宛先グループにのみ送信できる。さらに、1つのトランスポートブロックの再送信は、次のトランスポートブロックの最初の送信が開始される前に完了しなければならない。すなわち、複数のトランスポートブロックを送信するためのサイドリンクグラントあたり1つのみのHARQプロセスが使用される。さらには、UEは、SC期間あたりいくつかのサイドリンクグラントを有して使用できるが、各サイドリンクグラントに対して異なるProSe宛先が選択される。したがって、1つのSC期間において、UEは、1つのProSe宛先には1回のみ送信できる。
【0087】
図7から明らかであるように、eNBによってスケジューリングされるリソース割当てモード(モード1)の場合、D2Dデータ送信(より具体的にはT−RPTパターン/ビットマップ)は、SAリソースプール内でのSA送信の最後の繰り返し後の次のULサブフレームにおいて開始される。
図6ですでに説明したように、モード1のT−RPTビットマップ(送信の時間リソースパターン(T−RPT))は、基本的に、MAC PDUの送信(最初の送信)およびその再送信(2回目、3回目、および4回目の送信)のタイミングを定義する。
【0088】
サイドリンクデータの送信手順は、3GPP標準規格書である非特許文献2の5.14節(参照により本明細書に組み込まれている)に記載されている。この文書には、モード2の自律的なリソース選択が詳しく記載されており、1つの無線リソースプールまたは複数の無線リソースプールが設定されている場合が区別されている。以下のステップは、非特許文献2のこの節からの引用であり、モード2の自律的なリソース選択を想定している。
【0089】
SL−SCH(Sidelink Shared Channel:サイドリンク共有チャネル)で送信するためには、MACエンティティは少なくとも1つのサイドリンクグラントを有さなければならない。サイドリンクグラントは、以下のように選択される。
【0090】
MACエンティティが、1つまたは複数のリソースプールを使用して送信するように上位レイヤによって設定されており、かつ現在のSC期間内に送信できるよりも多くのデータがSTCH(サイドリンクトラフィックチャネル)において利用可能である場合、MACエンティティは、各サイドリンクグラントについて以下のように選択する。
・ 1つのリソースプールを使用するように上位レイヤによって設定されている場合、
− そのリソースプールを選択して使用する。
・ そうではなく、複数のリソースプールを使用するように上位レイヤによって設定されている場合、
− 使用するリソースプールとして、上位レイヤによって設定されているリソースプールのうち、関連付けられる優先順位リストに、送信されるMAC PDUにおける最も高い優先順位のサイドリンク論理チャネルの優先順位が含まれるリソースプールを選択する。
注: 2つ以上のリソースプールが、それらの関連付けられる優先順位リストに、送信されるMAC PDUにおける最も高い優先順位のサイドリンク論理チャネルの優先順位を含む場合、これらのリソースプールのうちどのリソースプールを選択するかはUEの実装に委ねられる。
・ SL−SCHおよびサイドリンクグラントのSCIのための時間・周波数リソースを、選択されたリソースプールからランダムに選択する。ランダム関数は、許可される選択肢それぞれを等しい確率で選ぶことができるようなものとする。
・ SCIの送信および第1のトランスポートブロックの送信が行われるサブフレームのセットを、選択されたサイドリンクグラントを使用して、非特許文献3の14.2.1節(参照により本明細書に組み込まれている)に従って決定する(このステップは、
図7に関連して説明したように、T−RPTおよびSAパターンの選択を意味する)。
・ 選択されたサイドリンクグラントを、サイドリンクグラントが選択されたサブフレームより少なくとも4つのサブフレームだけ後に始まる最初の利用可能なSC期間の先頭から開始される複数のサブフレームにおいて発生する設定されたサイドリンクグラントとみなす。
・ 設定されたサイドリンクグラントを、対応するSC期間の終了時にクリアする。
注: 設定されたサイドリンクグラントがクリアされた後には、SL−SCHでの再送信を行うことはできない。
注: MACエンティティが1つまたは複数のリソースプールを使用して送信するように上位レイヤによって設定されている場合、サイドリンクプロセスの数を考慮して1つのSC期間内に選択するサイドリンクグラントの数は、UEの実装に委ねられる。
【0091】
MACエンティティは、各サブフレームに対して、以下を行うものとする。
− MACエンティティが、そのサブフレーム内で発生する設定されたサイドリンクグラントを有する場合、
− 設定されたサイドリンクグラントが、SCIの送信に対応する場合には、
− 設定されたサイドリンクグラントに対応するSCIを送信するように物理レイヤに指示する。
− そうではなく、設定されたサイドリンクグラントが、第1のトランスポートブロックの送信に対応する場合には、
− 設定されたサイドリンクグラントおよび関連付けられるHARQ情報を、そのサブフレームに対するサイドリンクHARQエンティティに渡す。
注: MACエンティティが1つのサブフレーム内に発生する複数の設定されたグラントを有し、かつシングルクラスタSC−FDMの制限のためにそれらのグラントすべてを処理できない場合、これらのグラントのうちのどのグラントを上の手順に従って処理するかはUEの実装に委ねられる。
【0092】
3GPP技術規格からの引用である上の記述は、さらに明確にすることができる。例えば、時間・周波数リソースをランダムに選択するステップは、どの特定の時間/周波数リソースが選択されるかに関してはランダムであるが、例えば合計で選択される時間/周波数リソースの量に関してはランダムではない。リソースプールから選択されるリソースの量は、自律的に選択されるサイドリンクグラントによって送信されるデータ量によって決定される。この場合、送信されるデータ量は、ProSe宛先グループを選択する前のステップと、そのProSe宛先グループを送信先とする送信準備のできた対応するデータ量とによって決定される。後からサイドリンクLCP手順において説明するように、ProSe宛先が最初に選択される。
【0093】
さらに、サイドリンクHARQエンティティに関連付けられるサイドリンクプロセスは、非特許文献2の5.14.1.2.2節(参照により本明細書に組み込まれている)から明らかであるように、送信を適宜生成して実行するように物理レイヤに指示する役割を担う。簡潔に言えば、サイドリンクグラントと、送信するサイドリンクデータとを決定した後、物理レイヤが、サイドリンクデータがサイドリンクグラントおよび必要な送信パラメータに基づいて実際に送信されるように処理する。
【0094】
上述した内容は、D2D通信に関する3GPP標準規格の現在の状況である。しかしながら、D2D通信をさらに改良および強化する方策について検討が進められており、結果として今後のリリースにおいてD2D通信にいくつかの変更が導入される可能性が高いことに留意されたい。後から説明する本発明は、そのような今後のリリースにも適用可能であるものとする。
【0095】
[ProSeネットワークのアーキテクチャおよびProSeエンティティ]
図8は、非ローミングの場合の高レベルの例示的なアーキテクチャを示しており、UE AおよびUE Bにおける異なるProSeアプリケーションと、ネットワーク内のProSeアプリケーションサーバおよびProSe機能を含む。
図8のアーキテクチャの例は、非特許文献8の4.2節「Architectural Reference Model(アーキテクチャの基準モデル)」(参照により本明細書に組み込まれている)からの引用である。
【0096】
これらの機能エンティティは、非特許文献8の4.4節「Functional Entities(機能エンティティ)」(参照により本明細書に組み込まれている)に提示および詳しく説明されている。ProSe機能は、ProSeに要求されるネットワーク関連動作に使用される論理機能であり、ProSeの特徴それぞれにおいて異なる役割を果たす。ProSe機能は、3GPPのEPC(Evolved Packet Core)の一部であり、近接サービスに関係する認可、認証、データ処理など、関連するネットワークサービスすべてを提供する。ProSe直接ディスカバリおよび直接通信において、UEは、固有のProSe UE識別情報、他の設定情報、および認証を、ProSe機能からPC3基準点(PC3 reference point)を通じて取得できる。ネットワーク内に複数のProSe機能を配備できるが、説明を容易にするため、1つのProSe機能を示してある。ProSe機能は、ProSeの特徴に応じた異なる役割を実行する3つのメインのサブ機能、すなわち直接提供機能(DPF:Direct Provision Function)、直接ディスカバリネーム管理機能(Direct Discovery Name Management Function)、およびEPCレベルディスカバリ機能(EPC-level Discovery Function)、から構成されている。DPFは、ProSe直接ディスカバリおよびProSe直接通信を使用するための必要なパラメータをUEに提供するために使用される。
【0097】
この文脈において使用される用語「UE」は、例えば以下のProSe機能をサポートするProSe対応UEを意味する。
・ ProSe対応UEとProSe機能との間でPC3基準点を通じてProSe制御情報を交換する。
・ PC5基準点を通じての、別のProSe対応UEのオープンProSe直接ディスカバリの手順
・ PC5基準点を通じた1対多のProSe直接通信の手順
・ ProSe UEとネットワークとの間の中継器として動作するための手順。遠隔のUEは、PC5基準点を通じて、ProSe UEとネットワークとの間の中継器と通信する。ProSe UEとネットワークとの間の中継器は、レイヤ3パケット転送を使用する。
・ 例えば、UEとネットワークとの間の中継器の検出およびProSe直接ディスカバリのために、PC5基準点を通じてProSe UEの間で制御情報を交換する。
・ 別のProSe対応UEとProSe機能との間でPC3基準点を通じてProSe制御情報を交換する。ProSe UEとネットワークとの間の中継器の場合、遠隔のUEは、この制御情報を、LTE−Uuインタフェースを通じてProSe機能に中継されるようにPC5ユーザプレーンを通じて送信する。
・ パラメータ(例えば、IPアドレス、ProSeレイヤ2グループID、グループセキュリティマテリアル(Group security material)、無線リソースパラメータを含む)を設定する。これらのパラメータは、UEにおいて事前設定することができ、または、カバレッジ内にある場合、PC3基準点を通じたシグナリングによってネットワーク内のProSe機能に提供できる。
【0098】
ProSeアプリケーションサーバは、EPC ProSeユーザIDおよびProSe機能IDの格納と、アプリケーションレイヤユーザIDとEPC ProSeユーザIDのマッピングをサポートする。ProSeアプリケーションサーバ(AS:Application Server)は、3GPPの範囲外のエンティティである。UEにおけるProSeアプリケーションは、アプリケーションレイヤ基準点PC1を介してProSe ASと通信する。ProSe ASは、PC2基準点を介して3GPPネットワークに接続されている。
【0099】
[ProSe UE−ネットワーク中継器]
UEは、ProSe UE−ネットワーク中継器として動作するための機能および手順をサポートしていることもできる。したがって、リモートUEは、PC5基準点を通じてProSe UE−ネットワーク中継器と通信する。ProSe UE−ネットワーク中継器の動作は、3GPPリリース13において、具体的には非特許文献8および非特許文献7(参照により本明細書に組み込まれている)の中で規定される。
・ ProSe UE−ネットワーク中継器のディスカバリおよびProSe中継器の(再)選択においては、リモートUEがカバレッジ内であるシナリオと、リモートUEがカバレッジ外であるシナリオの両方に対処できる。
・ 中継器UEは、必ずカバレッジ内である。
・ 中継器のディスカバリの目的にリモートUEがカバレッジ内であるときには、ディスカバリのための監視および送信用リソースは、例えばリリース12のメカニズム(アイドルモードの場合にはブロードキャスト、接続モードの場合には個別シグナリング)を使用してeNBによって提供できる。リモートUEは、監視をいつ開始するかを決定できる。
・ リモートUEがカバレッジ外であるときには、ディスカバリおよび通信(実際のデータ伝送)のための監視および送信用リソースは、使用するリソースをUEが正確に認識するように、例えば事前の設定によって、すなわち仕様/事業者の設定(USIM(汎用加入者識別モジュール)内など)によって、提供できる。
【0100】
ProSe UE−ネットワーク中継器の(再)選択:
・ リモートUEは、ProSe UE−ネットワーク中継器の選択手順において、PC5無線リンク品質の無線レベル測定値を考慮できる。
・ リモートUEがカバレッジ外である場合、リモートUEは、無線レベル測定値を他の上位レイヤ基準と共に使用して中継器の選択を実行できる。
・ リモートUEがカバレッジ外である場合、再選択の基準は、PC5の測定値(RSRP(Reference Signal Received Power)、またはRAN1で合意された別の測定値)と、上位レイヤ基準とに基づく。中継器の再選択は、リモートUEによってトリガーすることができる。
【0101】
ProSe UE−ネットワーク中継器は、レイヤ3パケット転送を使用できる。例えばUE−ネットワーク中継器の検出およびProSe直接ディスカバリにおいて、ProSe UE間の制御情報を、PC5基準点を通じて交換できる。
【0102】
さらにProSe対応UEは、別のProSe対応UEとProSe機能の間でPC3基準点を通じてProSe制御情報を交換することをサポートする。ProSe UE−ネットワーク中継器の場合には、リモートUEは、この制御情報を、LTE−Uuインタフェースを通じてProSe機能に向けて中継されるように、PC5ユーザプレーンを通じて送信する。
【0103】
ProSe UE−ネットワーク中継器エンティティは、eNBのカバレッジ領域内ではない(すなわちE−UTRANに接続されていない)リモートUEのために、「ユニキャスト」サービスへの接続をサポートする機能を提供する。
図9は、ProSe UE−ネットワーク中継器のシナリオを示している。ProSe UE−ネットワーク中継器は、リモートUEとネットワークとの間でユニキャストトラフィック(ULおよび/またはDL)を中継する。ProSe UE−ネットワーク中継器は、公共安全の通信に関連する任意のタイプのトラフィックを中継することのできる汎用機能を提供する。
【0104】
リモートUEとProSe UE−ネットワーク中継器との間の1対1の直接通信は、以下の特徴を有する。
・ PC5基準点を通じた通信は、コネクションレスである。
・ ProSeベアラは双方向である。所与のProSeベアラにおいて無線レイヤに渡されるIPパケットは、関連付けられるL2宛先アドレスを使用して物理レイヤによって送信される。同じProSeベアラにおいて無線レイヤから渡されるIPパケットは、同じL2宛先にアドレッシングされて無線を通じて受信されたものである。
【0105】
ProSe UE−ネットワーク間の中継は、以下の機能を含むことができる。
・ リモートUEが近傍の(1つまたは複数の)ProSe UE−ネットワーク中継器を発見できるようにする目的で、モデルAまたはモデルBに従うProSe直接ディスカバリを使用できる。
・ ProSe UE−ネットワーク中継器によってサポートされる特定のPDN(パケットデータネットワーク)接続に対応するIPアドレス割当ておよびユーザプレーントラフィックのためにリモートUEによって使用されるProSe UE−ネットワーク中継器のL2アドレスを、リモートUEが発見できるようにする目的で、ProSe直接ディスカバリを使用できる。
・ 直接ディスカバリをサポートするPC5基準点において「アナウンスする側の」UEまたは「発見される側の」UEとして動作する。
・ リモートUEへのデフォルトのルータとして動作し、UEとProSe UE−ネットワーク中継器のポイントツーポイントリンクと、対応するPDN接続との間でIPパケットを転送する。
・ IETF RFC 4861に定義されているルータ要請(Router Solicitation)メッセージおよびルータ広告(Router Advertisement)メッセージを扱う。
・ DHCPv4のサーバおよびステートレスなDHCPv6のリレーエージェントとして動作する。
・ IPv4が使用される場合に、NATとして動作し、ローカルに割り当てられたリモートUEのIPv4アドレスを自身のアドレスに置き換える。
・ リモートUEによって宛先レイヤ2 IDとして使用されるL2リンクIDを、ProSe UE−ネットワーク中継器によってサポートされる対応するPDN接続にマッピングする。
【0106】
図10は、ProSe UE−ネットワーク間中継のためのユーザプレーンプロトコルのアーキテクチャを示している。
【0107】
2つのProSe UEの間の、リリース12における通常の直接ディスカバリについて前述したように、モデルAのディスカバリおよびモデルBのディスカバリの両方がサポートされる。この場合、モデルAでは1つのディスカバリプロトコルメッセージ(UE−ネットワーク中継器ディスカバリアナウンス:UE-to-Network Relay Discovery Announcement)を使用し、モデルBでは2つのディスカバリプロトコルメッセージ(UE−ネットワーク中継器ディスカバリ要請:UE-to-Network Relay Discovery SolicitationおよびUE−ネットワーク中継器ディスカバリ応答:UE-to-Network Relay Discovery Response)を使用する。
【0108】
[ProSe UE−ネットワーク中継器のディスカバリ]
2つのProSe UEの間の、リリース12における通常の直接ディスカバリについて前述したように、モデルAのディスカバリおよびモデルBのディスカバリの両方がサポートされる。この場合、モデルAでは1つのディスカバリプロトコルメッセージ(UE−ネットワーク中継器ディスカバリアナウンス)を使用し、モデルBでは2つのディスカバリプロトコルメッセージ(UE−ネットワーク中継器ディスカバリ要請およびUE−ネットワーク中継器ディスカバリ応答)を使用する。中継器のディスカバリに関する詳細は、非特許文献7の6節(参照により本明細書に組み込まれている)に記載されている。
【0109】
以下のパラメータは、ProSe UE−ネットワーク中継器のディスカバリ、グループメンバーのディスカバリ、およびUE−UE間中継器のディスカバリ、のすべてに共通である。
・ メッセージタイプ(Message type): アナウンス(モデルA)または要請/応答(モデルB)、中継器ディスカバリ追加情報(モデルA)
・ ディスカバリタイプ(Discovery type): そのディスカバリがProSe UE−ネットワーク中継器のディスカバリ、グループメンバーのディスカバリ、またはUE−UE間中継器のディスカバリであるかを示す。
【0110】
以下のパラメータは、ProSe UE−ネットワーク中継器ディスカバリアナウンスメッセージ(モデルA)において使用される。
・ ProSe中継器UE ID(ProSe Relay UE ID): 直接通信に使用されるリンクレイヤ識別子であり、ProSe UE−ネットワーク中継器によって確立されたPDN接続に関連付けられる。
・ アナウンス側情報(Announcer info): アナウンスする側のユーザに関する情報を提供する。
・ 中継器サービスコード(Relay Service Code): ProSe UE−ネットワーク中継器が公共安全のアプリケーションに提供する接続サービスを識別するパラメータ。中継器サービスコードは、アドバタイズのためにProSe UE−ネットワーク中継器において設定され、ProSe UE−ネットワーク中継器において、自身が接続を提供する特定のAPNにマッピングされる。さらに、中継器サービスコードは、ProSe UE−ネットワーク中継器がサービスを提供する対象の許可されたユーザも識別し、関連するセキュリティポリシー又は、例えばリモートUEとProSe UE−ネットワーク中継器との間の認証および許可に必要な情報を選択できる(例えばインターネットアクセスをサポートするために中継器がたとえ同じAPNへの接続を提供しうる場合でも、例えば、警察官のみを対象とする中継器の中継器サービスコードは、消防士のみを対象とする中継器の中継器サービスコードと異なる)。
・ 無線レイヤ情報(Radio Layer Information): リモートUEが適切なProSe UE−ネットワーク中継器を選択することを支援するため、無線レイヤ情報(例えば、eNBとProSe UE−ネットワーク中継器との間の無線状態)に関する情報を含む。
【0111】
以下のパラメータは、ProSe UE−ネットワーク中継器ディスカバリ要請メッセージ(モデルB)において使用される。
・ 発見側情報(Discoverer info): 発見する側のユーザに関する情報を提供する。
・ 中継器サービスコード(Relay Service Code): 発見する側のUEが関心のある接続に関する情報。中継器サービスコードは、関連する接続サービスに関心のあるProSeリモートUEにおいて設定される。
・ ProSe UE ID(ProSe UE ID): 直接通信(モデルB)に使用される、発見側のリンクレイヤ識別子。
【0112】
以下のパラメータは、ProSe UE−ネットワーク中継器ディスカバリ応答メッセージ(モデルB)において使用される。
・ ProSe中継器UE ID(ProSe Relay UE ID): 直接通信に使用されるリンクレイヤ識別子であり、ProSe UE−ネットワーク中継器によって確立されたPDN接続に関連付けられる。
・ 被発見側情報(Discoveree info): 発見される側に関する情報を提供する。
・ 無線レイヤ情報(Radio Layer Information): リモートUEが適切なProSe UE−ネットワーク中継器を選択することを支援するため、無線レイヤ情報(例えば、eNBとProSe UE−ネットワーク中継器との間の無線状態)に関する情報を含む。
【0113】
[ProSe UE−ネットワーク中継器を介したProSe直接通信]
UE−ネットワーク中継器の機能は、非特許文献8にすでに文書化されているProSe機能の今後の発展に基づいて規定されるであろう。
【0114】
ProSe UE−ネットワーク中継器の能力を有するUEは、(1つまたは複数の)リモートUEに向かう中継トラフィックを提供する目的で、ネットワーク(まだ接続されていない場合)にアタッチし、必要な中継トラフィックを可能にするPDN接続に接続できる、または、(1つまたは複数の)追加のPDN接続に接続する必要がありうる。UE−ネットワーク間中継をサポートする(1つまたは複数の)PDN接続は、(1つまたは複数の)ProSeリモートUEの中継トラフィックにのみ使用される。
【0115】
ProSe UE−ネットワーク中継器は、リモートUEとネットワークとの間で任意のタイプのIPトラフィックを中継することのできる汎用のL3転送機能を提供する。リモートUEとProSe UE−ネットワーク中継器との間では、1対1のProSe直接通信が使用される。リモートUEは、上位レイヤによって許可され、UE−ネットワーク中継器のディスカバリ、選択、および通信に際して、EUTRANのカバレッジ内またはカバレッジ外であることができる。ProSe UE−ネットワーク中継器UEは、常にEUTRANのカバレッジ内である。
【0116】
eNBは、UEがProSe UE−ネットワーク中継器として動作することができるかを制御する。
− eNBが、ProSe UE−ネットワーク間中継動作に関連付けられる何らかの情報をブロードキャストする場合、そのセル内ではProSe UE−ネットワーク間中継動作がサポートされる。
− eNBは、ProSe UE−ネットワーク間中継動作がサポートされることを通知でき、ProSe UE−ネットワーク中継器のディスカバリのための送信および受信リソースプールを、ブロードキャストシグナリングにおいて提供できる。
− eNBは、最小および/または最大のUuリンク品質(RSRP/RSRQ)しきい値をブロードキャストすることができる。ProSe UE−ネットワーク中継器UEは、UE−ネットワーク中継器のディスカバリ手順を自律的に開始/停止するために、ブロードキャストされたしきい値の使用を順守する必要がある。eNBは、一方または両方のしきい値を設定する、またはしきい値を設定しないことができる。
− eNBが、ProSe UE−ネットワーク間中継動作がサポートされることをブロードキャストするが、ProSe UE−ネットワーク中継器のディスカバリ用の送信リソースプールをブロードキャストしない場合、UEは、ProSe UE−ネットワーク中継器のディスカバリ用リソースの要求を、個別シグナリングによって開始できる。eNBは、UEを、ProSe UE−ネットワーク中継器になるように、個別シグナリングによって設定できる。
なお、UEが中継器のディスカバリ用リソースの送信を要求する前に順守する必要のある最小および/または最大のUuリンク品質(RSRP/RSRQ)しきい値を、eNBがオプションとしてブロードキャストすることができるかと、モデルAとモデルBとで挙動を差別化する必要があるかは、現時点では明確ではないことに留意されたい。
− ProSe UE−ネットワーク間中継がブロードキャストシグナリングによって開始される場合、UEは、RRC_IDLEであるときにProSe UE−ネットワーク中継器のディスカバリを実行できる。ProSe UE−ネットワーク間中継が個別シグナリングによって開始される場合、UEは、RRC_CONNECTEDである間に中継器のディスカバリを実行できる。
【0117】
なお、プールが中継動作のみを対象としているか、または別のProSeディスカバリサービスも対象としているかについてと、ProSe UE−ネットワーク中継器のみがプールを使用できるのか、またはProSe UE−ネットワーク中継器およびリモートUEの両方がプールを使用できるかについては、現時点では明確ではないことに留意されたい。
また、eNBが中継器のディスカバリ用リソースをブロードキャストする場合に、eNBがUEを個別に制御できるかについてと、接続モードにあるUEが、ブロードキャストされた中継器ディスカバリ用リソースを使用できるかについては、現時点では明確ではないことに留意されたい。
また、UEがカバレッジ内からカバレッジ外に、およびカバレッジ外からカバレッジ内に移動する場合にサービスの中断を最小にする方策については、現時点では明確ではないことに留意されたい。
【0118】
1対1のサイドリンク通信を実行するUE−ネットワーク中継器は、RRC_CONNECTEDでなければならない。ProSe UE−ネットワーク中継器は、リモートUEからレイヤ2リンク確立要求(上位レイヤメッセージ)を受信した後、自身がProSe UE−ネットワーク間中継の1対1通信を実行する予定であることをeNBに通知する。eNBは、ProSe UE−ネットワーク間中継の1対1通信用のリソースを提供できる。
【0119】
リモートUEは、PC5インタフェースにおける無線測定を実行し、ProSe UE−ネットワーク中継器の選択および再選択において、この測定値を上位レイヤの基準とともに使用する。PC5リンク品質が、設定されているしきい値(事前に設定される、またはeNBによって提供される)を上回る場合、ProSe UE−ネットワーク中継器は無線基準に関して適切であるとみなされる。さらにリモートUEは、ProSe UE−ネットワーク中継器からレイヤ2リンク解放メッセージ(上位レイヤメッセージ)を受信したとき、ProSe UE−ネットワーク中継器の再選択をトリガーすることができる。ProSe UE−ネットワーク中継器を選択した後、リモートUEはRRC_CONNECTED状態において、自身がProSe UE−ネットワーク間中継の1対1通信を使用する予定であることをeNBに通知する。eNBは、ProSe UE−ネットワーク間中継の1対1通信用のリソースを提供できる。
【0120】
選択/再選択の目的にUuリンク品質が必要であるかについては、まだ決定されていない。さらには、新しいProSe UE−ネットワーク中継器を選択するための詳細な基準と、ProSe UE−ネットワーク中継器の順位付けについても、まだ決定されていない。
【0121】
リモートUEがカバレッジ内であるときには、
− ProSe UE−ネットワーク中継器のディスカバリのための送信リソースは、RRC_IDLE状態の場合にはブロードキャストを使用して、RRC_CONNECTED状態の場合には個別シグナリングを使用して、eNBによって提供される。
− ProSe UE−ネットワーク中継器のディスカバリのための監視リソースは、ブロードキャストシグナリングを使用してeNBによって提供される。
【0122】
リモートUEは、ProSe UE−ネットワーク中継器のディスカバリのための監視をいつ開始するかを決定できる。リモートUEは、ProSe UE−ネットワーク中継器のディスカバリ用のリソースの設定に応じて、RRC_IDLEまたはRRC_CONNECTEDである間に、ProSe UE−ネットワーク中継器ディスカバリ要請メッセージを送信できる。eNBは、リモートUEからのProSe UE−ネットワーク中継器ディスカバリ要請メッセージの送信を制御するためのしきい値を設定できる。しきい値が設定されている場合、リモートUEにおけるUuリンク品質が、設定されているしきい値を下回る場合のみ、リモートUEはProSe UE−ネットワーク中継器ディスカバリ要請メッセージを送信することが許可される。
【0123】
[NB−IoT/eMTC]
セルラーベースのIoT(モノのインターネット:Internet of Things)技術は、IoE(すべてのモノのインターネット:Internet of Everything)の重要な分岐技術となっている。出現した大規模なIoT部分の新たな接続要件を満たすため、3GPPは、ネットワーク側と装置側の両方において、漸進的なステップに着手した。
【0124】
3GPPにおいてリリース13までに対処された重要な改善領域は、以下のとおりである。
− より低い装置コスト: ピーク速度、メモリ要件、および装置の複雑さを下げることによって、LTE装置のモジュールコストを削減する。LTEモジュールのコスト削減の進展は、ピーク速度を最大10Mbpsまで下げた、マシンタイプ通信用LTE(LTE−M)カテゴリ1装置を導入することから始まり、引き続きリリース12およびリリース13では、コストをさらに削減するため、より低い性能で、より少ない帯域幅または狭帯域のIoTキャリアを使用して装置の複雑さを低減した。
− 改善されたバッテリ寿命: 電力節約モードおよび/または拡張不連続受信(eDRX)機能を導入することによって、10年以上のバッテリ寿命を達成できる。これらの機能によって、装置は、必要なときにのみネットワークにコンタクトする(またはコンタクトされる)ことが可能である。すなわち、装置は、数分、数時間、さらには数日にわたりスリープモードのままでいることができる。
− 改善されたカバレッジ: LTE−Mで15dB、NB−IoTおよびGSM(登録商標)で20dB改善される。言い換えれば、屋外のカバレッジ範囲が7倍広がり、また屋内の深部に達するための屋内信号透過性が著しく改善される。これにより、スマートメーター(しばしば地下室に配置される)など多くのIoT装置がサポートされる。カバレッジの改善は、時間領域における繰り返しによって達成される。
− 膨大な数のIoT接続のサポート: 具体的には、ユースケースによっては1つのLTEセルサイトが数百万のIoT装置をサポートできる。コアネットワークの機能強化としては、サービスの差別化に対処するためのソフトウェアのアップグレード、シグナリングの最適化、高容量のプラットフォーム(ノードあたり3000万以上の装置)が挙げられる。
【0125】
3GPP標準規格のリリース13の一部として一連の特徴を提供するLTE−M(enhanced MTC(Machine-Type Communication))に加えて、電力消費量を下げ、装置の複雑さ/コストを低減し、課題の大きい場所(例えば建物の内側深部)に達するためのより深いカバレッジを提供する目的で、3GPPリリース13においてNB−IoT技術が標準化されている。
【0126】
NB−IoT(Narrow-Band Internet of Things)では、電力消費量が極めて小さくなるように(例:全キャリア帯域幅が180kHz、サブキャリアの間隔を3.75kHzまたは15kHzとすることができる)最適化された物理レイヤを使用してネットワークサービスへのアクセスを提供し、低スループットのIoTアプリケーション(ローパワーワイドエリア(LPWA:Low Power Wide Area)とも称される)に対処する。このようなアプリケーションとしては、水道/ガスのスマートメーター、自治体の照明および廃棄物の管理、家畜飼養および潅漑、環境モニタリングが挙げられる。NB−IoTは、改善された屋内カバレッジ、膨大な数の低スループットの「モノ」のサポート、遅延の低影響度、極めて低い装置コスト、装置の低い電力消費量、最適化されたネットワークアーキテクチャを提供する。NB−IoT技術は、通常のLTEキャリア内のリソースブロックを利用して、またはLTEキャリアのガードバンド内の未使用のリソースブロックにおいて、周波数帯域内に配備できる、または専用周波数帯に独立して配備できる。さらに、この技術は、GSMチャネルの再分配(refarming)に特に適している。
【0127】
NB−IoT技術およびLTE−Mは、3GPPセルラーIoTポートフォリオを完全なものにし、消費者および企業のユースケースのより幅広いバリエーションを結び付けるためにセルラー技術をスケールアップ/スケールダウンする様々な自発的な取り組みが進行中である。グローバルに標準化された、(免許付与された周波数帯に基づく)高い信頼性のソリューションを提供するセルラー技術のこのポートフォリオは、豊富かつ幅広いIoTサービスを満たす。さらに、これらのソリューションは、事業者が、IoT市場に対処するために自社の配備済みのネットワークインフラストラクチャを最大限に再利用することができ、新規のネットワークを配備する必要がないように、設計されている。
【0128】
[NB−IoT/eMTCにおけるカバレッジ拡張]
LTEリリース13では、155.7dBの最大結合損失(MCL:Maximum Coupling Loss)を目標としてカバレッジ拡張(coverage enhancement)が規定される。これにより、セルのカバレッジ範囲の増大と、透過損失が大きい場所のMTC装置(eMTC/NB−IoT)(例えば地下室に設置されたスマートメーター)をサポートする能力が提供される。しかしながら、リリース13の低い複雑度の装置は、容量が低減されているため、より小さいカバレッジを有する。すなわち、1本のRx(受信)アンテナは、ダウンリンクチャネルの約4dBの性能低下につながる。これは、受信機の結合利得およびダイバーシチ利得が不足しているためである。最大送信電力が低減されると、それに対応してアップリンクチャネルのカバレッジが縮小する。ダウンリンクおよびアップリンクにおけるUEの帯域幅が1.4MHzに減少すると、ダイバーシチ利得の不足に起因して性能が低下しうる。この場合、約1〜3dBの性能の損失につながるものと推定されている。目標の最大結合損失155.7dBに達するためには、異なるチャネル(UL/DL)において異なるカバレッジ拡張量が必要である。例えば、リリース13の低コスト装置のPUSCHの場合、18dBのカバレッジ拡張が必要である。このカバレッジ拡張を達成する目的で、いくつかのカバレッジ拡張技術が使用される。
【0129】
いくつかの手法、例えば、性能の要件を緩和する、復号を複数回試みる、複数のサブフレームでチャネル推定するなどでは、適切な性能の要件を再定義する以外には、仕様を変更する必要がない。別の手法、例えば、繰り返し(repetition)/サブフレームバンドリング、オーバーヘッドを低減する、参照信号密度を高めるなどでは、標準規格を変更する必要がある。なお、各装置の受信および送信時間長を最小にする目的で、カバレッジ拡張はスケーラブルかつ設定可能であることに留意されたい。適切なカバレッジ拡張量に装置を設定できるように、カバレッジ範囲を識別するためのメカニズムが必要である。さらに詳しくは、例えばEricsson社によって提供された非特許文献10(3GPPのウェブサイトで入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれている)を参照されたい。
【0130】
特に、拡張カバレッジモードにおけるUEのカバレッジを、UEの公称カバレッジを基準として15/20dB拡張することは、UEが、極めて低い信号強度を受信できなければならないことを意味する。このことは、最初のスキャン動作、セルサーチ動作、およびセル選択動作のみならず、次にUEによって実行される通信方式にもあてはまる。上述したように、ネットワークサポートおよびUEの能力に応じて、カバレッジ拡張(CE)のレベルが異なる(例:5/10/15dBのカバレッジ拡張)。
【0131】
拡張カバレッジモードを定義するための初期段階の試みでは、無線送信を修正することに主眼が置かれていた。この点において、カバレッジを改善するための主たる技術として、繰り返し送信を中心に検討されてきた。カバレッジを改善するため、繰り返し(repetition)を各チャネルに適用できる。この繰り返し送信の例示的な実施形態では、同じデータを多数のサブフレームにおいて送信することが規定される。しかしながら、ただちに理解できるように、このような繰り返し送信においては、通常のカバレッジのUEに要求されるよりも多くのリソース(時間−周波数)が使用される。MTC装置への送信に使用されるトランスポートブロックサイズは、多くの場合に1000ビット未満である。
【0132】
[ウェアラブルデバイスのためのさらなる機能強化]
3GPPは、「Further enhancements to LTE Device-to-Device, UE to Network Relays for IoT and Wearables(IoTデバイスおよびウェアラブルデバイスのためのLTE装置−装置間中継器、UE−ネットワーク中継器のさらなる機能強化)」と称される新しい検討項目と、「Wearable device using LTE(LTEを使用するウェアラブルデバイス)」と称される新しい検討項目を公開した。低コストMTC装置を接続および管理する目的にLTE技術を使用することは、多くのメリットがある。このような低コストMTC装置の1つの重要な例はウェアラブルデバイスである。ウェアラブルデバイスは、中継器としての役割を果たすことのできるスマートフォンのすぐ近傍に、ほぼ常時位置するという利点も有する。
【0133】
しかしながら、ウェアラブルデバイスのほとんどはスマートフォンを介して(例えばBluetooth(登録商標)および/またはWiFi(登録商標)によって)ネットワークに接続される。したがって、これらのウェアラブルデバイスは、事業者ネットワークの制御下にない。同時に、ウェアラブルデバイスからのデータはスマートフォンにさらされているため、消費者にとって安全なデータ伝送ではなく、またサービスの継続性も保証することができない。近くにスマートフォンが存在しない場合にウェアラブルデバイスがネットワークに接続できるように確保するために、ウェアラブルデバイスにセルラー接続能力を持たせることに、強い関心が寄せられている。これによって、サービスの継続性と、EPC(Evolved Packet Core)ネットワークによる管理とをサポートできる。したがって、リモートUEがネットワークに認識される(リモートUEをそのSIMカードによって識別できる)。
【0134】
図11は、いずれもeNBに接続されている中継器UEおよびリモートUE(例えばウェアラブルデバイス)を示している。中継器UEは、前述したように一般にはスマートフォンとすることができる一方で、リモートUEは、スマートウォッチ、ヘッドセット、フィットネスモニターなどとすることができる。可能なインタフェースも描いてある。中継器UEとeNBとの間のインタフェースは、一般的なLTE−Uuインタフェース(一般にスマートフォンにおいて利用可能)であるものと想定する。同様に、リモートUE(さらには多数のウェアラブルデバイス)も、LTE−Uuインタフェースを通じてeNBとの直接接続を有することができる。一方で、リモートUEと中継器UEを接続するために、(少なくとも短距離の)接続(短距離リンクとも称される)が必要である。この場合には、非3GPPインタフェースまたは3GPPインタフェースが可能である。実施することのできる非3GPPインタフェースは、BluetoothまたはWiFiである。3GPPインタフェースは、中継(この場合もLTE−Uuインタフェースを使用する)およびLTE−D2D(PC5インタフェース)である。
【0135】
D2D支援型のウェアラブルデバイスおよびMTCアプリケーションを可能にするためには、LTE技術においてさらに強化すべき2つの主たる側面が存在する。
1. UE−ネットワークの中継機能の強化。リリース13のモデルでは、ネットワークおよび事業者が(例えば課金やセキュリティの目的に)リモートUEを個別の装置として扱う能力が制限される。中継リンクを通じたエンドツーエンドのセキュリティ、サービスの継続性、エンドツーエンドのQoS(可能な場合)、多数のリモートUEを使用する効率的な動作、UuエアインタフェースとD2Dエアインタフェースとの間の効率的な経路切り替えをサポートするため、UE−ネットワーク間の中継を強化するべきである。D2Dを使用する中継は、BluetoothやWiFiなど非3GPP技術に基づくこともできる。中継によって、(自身のトラフィックが中継される)リモートUEにおける電力の大幅な節約を可能にすることができる。このことは、カバレッジが建物の深部に及ぶシナリオにおいて特にあてはまる。
2. 少なくとも、低電力の装置、低速度の装置、および低複雑度/低コストの装置をサポートする目的で、高い信頼性のユニキャストPC5リンクを可能にするための強化。低コストのD2D装置は、NB−IoT(狭帯域−IoT)およびeMTCの検討時に開発された発想を再利用することによって可能にすることができる(例えば、NB−IoT/eMTCのアップリンク波形をD2Dにおいて再利用できる)。公共安全のユースケースによって推進されたブロードキャスト指向の設計を継承している現在のPC5リンクの設計は、リンクアダプテーションおよびフィードバックのメカニズムが欠如しているため、低電力かつ高い信頼性のD2D通信を阻む障害となっている。低い電力消費量および低い複雑度は、一般的に小さいフォームファクタと長いバッテリ寿命を特徴とするウェアラブルデバイスおよびMTCのユースケースの重要な特性である。
【0136】
したがって、検討項目の最初に、多くの手順を使用シナリオに合わせて改良できる。
【発明を実施するための形態】
【0147】
「移動局(mobile station)」、「移動ノード(mobile node)」、「ユーザ端末(user terminal)」または「ユーザ機器(user equipment)」は、通信ネットワーク内の物理エンティティである。1つのノードがいくつかの機能エンティティを有することができる。機能エンティティとは、所定の一連の機能を実施する、および/または、所定の一連の機能をノードまたはネットワークの別の機能エンティティに提供するソフトウェアモジュールまたはハードウェアモジュールを意味する。ノードは、通信機器または通信媒体にノードをアタッチする1つまたは複数のインタフェースを有することができる。ノードは、これらのインタフェースを通じて通信できる。同様に、ネットワークエンティティは、機能エンティティを通信機器または通信媒体にアタッチする論理インタフェースを有することができる。ネットワークエンティティは論理インタフェースを通じて別の機能エンティティや通信相手ノードと通信できる。
【0148】
特許請求の範囲および本出願において使用されている用語「無線リソース(radio resource)」は、物理無線リソース(時間−周波数リソースなど)を意味するものと広義に理解されたい。
【0149】
本出願において使用されている用語「直接通信送信(direct communication transmission)」は、2つのユーザ機器の間の直接的な(すなわち無線基地局(例えばeNB)を介さない)送信として広義に理解されたい。これに対応して、直接通信送信は、「直接サイドリンク接続」を通じて実行され、「直接サイドリンク接続(direct sidelink connection)」は、2つのユーザ機器の間に直接確立される接続に対して使用される用語である。例えば3GPPでは、D2D(装置間)通信、またはProSe通信、またはサイドリンク通信という専門用語が使用される。用語「直接サイドリンク接続」は、広義に理解されるものとし、3GPPの文脈では背景技術のセクションで説明したPC5インタフェースとして理解することができる。
【0150】
本出願において使用されている用語「ProSe」またはその非短縮形である「近接サービス(proximity service)」は、背景技術のセクションで例示的に説明したように、LTEシステムでは近接性に基づくアプリケーションおよびサービスの文脈において適用される。この文脈では、近接サービスにおける装置間通信を意味する目的で、「D2D」などの別の専門用語も使用される。
【0151】
本出願において使用されている用語「リモート移動端末(remote mobile terminal)」は、低い複雑度とすることができ、長いバッテリ寿命と高い信頼性を有するべき移動端末として広義に理解されたい。ただしこれらの端末によっては、依然として高いデータレートを必要とすることがある。このようなリモート移動端末は、例えばウェアラブルデバイスまたはMTC装置とすることができる。要件の異なる様々な装置およびユースケースが存在し(これらもカバーされるべきである)、いずれも以下では、MTCタイプのウェアラブルデバイス(スマートウォッチ、ヘッドフォン、ヘルスモニター、フィットネスモニター、追跡装置、遠隔制御、拡張現実、仮想現実、ゲームなど)に焦点をあてる。
【0152】
本出願において使用されている用語「マスター移動端末(master mobile terminal)」は、別の移動端末(すなわちリモート移動端末)と共にグループ化され、リモート移動端末のいくつかの手順を引き受けることができ、したがってリモート移動端末に対するマスター装置のように動作する移動端末として、広義に理解されたい。例えば、マスター移動端末は、アップリンクおよび/またはダウンリンクにおいてリモート移動端末のために中継機能を実行できる。したがって「マスター移動端末」は、「中継移動端末(relay mobile terminal)」と称することもできる。
【0153】
本出願において使用されている用語「ディスカバリ(discovery)」または「発見する(discover)」は、1つの移動端末が自身の近傍における別の移動端末を発見することを可能にし、次いでこれら2つの端末が互いに接続して通信することを可能にするプロセス(例えばProSe D2Dディスカバリ)を広義に意味する。
【0154】
背景技術のセクションで説明したように、3GPPは、LTEフレームワークが使用される機能強化されたMTC装置およびウェアラブルデバイスのための新しい検討項目を導入した。特定の使用シナリオが想定されており、シナリオの1つでは、ユーザのスマートフォンの極めて近くに位置するウェアラブルデバイス(例:腕時計)を考慮する。最近のウェアラブルデバイスは、ネットワークに接続する、および/または、ネットワークによって提供されるサービスを使用するためには、ユーザのスマートフォンに頼らなければならない。しかし、この市場およびユーザからは、ウェアラブルデバイスがスマートフォン無しに(すなわち独立した端末として)ネットワーク(eNB、コアネットワーク)と直接通信することが可能であるように、ウェアラブルデバイスの能力を拡張することへの関心が高まっている。しかしながら、ウェアラブルデバイスは、eNBに直接コンタクトするためのセルラー接続能力を有する場合でも、通常ではスマートフォンのすぐ近くに位置しており、この近さの恩恵を受けることができる。したがって、この使用シナリオでは、さらなる利点を得るために現在のLTEフレームワークに対して拡張および機能強化を実施する機会が提供される。
【0155】
本発明者は、上に説明した問題点の1つまたは複数を軽減する目的で、以下の例示的な実施形態を着想した。
【0156】
様々な実施形態の特定の実装形態は、3GPP標準規格によって与えられる、一部を背景技術のセクションで説明した幅広い仕様の中で実施され、特に重要な特徴は、以下の様々な実装形態および実装形態において説明するように追加される。なお、これらの実施形態は、例えば、背景技術のセクションで説明した3GPP LTE−A(リリース10/11/12/13、または以降のリリース)通信システムなどの移動通信システムにおいて有利に使用できるが、これらの実施形態はこの特定の例示的な通信ネットワークでの使用に限定されないことに留意されたい。
【0157】
以下の説明は、本開示の範囲を制限するものとしてではなく、本開示を深く理解するための実施形態の単なる例として理解されたい。当業者には、請求項に記載されている本開示の一般的な原理を、様々なシナリオに、以下に明示的には記載されていない方法で適用できることが認識されるであろう。説明を目的として、いくつかの想定がなされているが、これらの想定は以下の実施形態の範囲を制限するものではない。
【0158】
様々な実施形態は、主として、ウェアラブルUEとマスターUEとの間のグループ化手順を提供する。したがって、それ以外の機能(すなわち様々な実施形態によって変更されない機能)は、(例えば背景技術のセクションで説明したものと)全く同じままとする、または、様々な実施形態に何ら影響しない範囲で変更できる。このような機能としては、例えば、ウェアラブルUEおよびマスターUEが互いに発見する方法(例えばLTE ProSe直接ディスカバリによる)に関連する別の手順が挙げられる。
【0159】
第1の実施形態
以下では、前述した(1つまたは複数の)問題点を解決するための第1の実施形態について詳しく説明する。第1の実施形態の様々な実装形態およびバリエーションも説明する。
【0160】
図11に大まかに示したように、ウェアラブルUE(W−UE)およびマスターUE(M−UE)を含むシナリオを例示的に想定する(例えば、ユーザがスマートウォッチとスマートフォンの両方を有する)。ウェアラブルUEは、無線基地局およびコアネットワークとの自身の接続を確立する能力を有するものと想定する。例えば、ウェアラブルUEは、対応するハードウェア(例:送受信器)と、コアネットワークにおいて個別に識別可能である対応するID(例:IMSI、MSISDNなど)を含む自身のSIM/USIM/UICCスロットカードとを有する。これに加えて、ウェアラブルUEは、マスターUEとの短距離接続(例:LTE D2D、Bluetooth、WiFi)を確立する能力も有する。一方で、第1の実施形態の様々な実装形態によって提供されるグループ化手順からいくつかの特定の利点(後から説明する)を得る目的で、さらなる例示的な想定として、マスターUEは、(例えば背景技術のセクションで詳しく説明したようにLTE ProSe中継機能を実施することによって)ウェアラブルUEへの中継器としての役割を果たす能力がある。したがって、eNBとウェアラブルUEとの間の通信(データおよび/または制御)を転送できる。
【0161】
第1の実施形態の一般的な実装形態によれば、ウェアラブルUEとマスターUEを共にグループ化するためのグループ化手順が実行される。グループ化手順について、第1の実施形態の2つの代替バリエーションを図解している
図12および
図13に関連して、さらに詳しく説明する。これらの図から明らかであるように、グループ化は、ウェアラブルUE(
図13におけるW−UE1)またはマスターUE(
図12におけるM−UE)のいずれかによって開始できる。
【0162】
マスターUEとW−UEは互いに発見し合っている(例えばProSe直接ディスカバリまたはWiFiディスカバリ)。したがって、両方のUEが、互いに近接していることを認識しており、互いの識別情報も発見しているものと想定する。現在のところ主としてProSe直接ディスカバリが意図されている。したがって、2つのUEは、背景技術のセクションで説明したバリエーションのいずれかに従ってProSe直接ディスカバリを実行できる。しかしながら、第1の実施形態の文脈においては、別のディスカバリ手順(例えば、WiFiディスカバリなどの非3GPP手順)も可能である。
【0163】
次いで、2つのUEの間に、PC5インタフェースを介した短距離接続を確立することができ、短距離接続を通じてデータを交換できる。このPC5接続の場合にも、背景技術のセクションで例示的に説明したようにLTE ProSe(D2D)接続が主として想定されるが、これに代えて、またはこれに加えて、Bluetooth又はWiFiなどの非3GPP技術を使用することによって、M−UEとW−UEとの間の短距離接続を実施できる。さらなる代替形態として、中継動作に使用される通常のLTE−Uu技術を使用できる。
【0164】
いずれの場合も、M−UEとW−UEは互いに発見し合っており、次いでいずれか一方が、適切なメッセージ(以下では例示的にグループ化アナウンスメッセージと称する)をeNBに送信することによって、グループ化手順を開始できる。グループ化手順は、例えばRRC手順として実施することができる。この場合、交換されるメッセージもRRCメッセージ(新規のRRCメッセージ、または既存のRRCメッセージに基づくRRCメッセージ)である。グループ化アナウンスメッセージは、W−UEとM−UEのグループ化を確認するようにeNodeBに要求する。したがって、要求されるグループの一部となる予定である両方のUEをeNodeBに識別させる。一実装形態では、eNodeBは、ウェアラブルUEとマスターUEのグループ化を独力で確認できる(
図12,13には示していない)。グループ化がeNodeBによって確認されたことが、ウェアラブルUEとマスターUEの両方に通知される。例えばeNodeBは、グループ化を開始したUE(マスターUEまたはウェアラブルUE)に、グループ化を確認するグループ化確認メッセージを返すことができる。確認を受信したUEは、グループ化の成功について他方のUEに通知する責務を担う(例えば
図12および
図13に示したように、対応するメッセージをPC5インタフェースの短距離接続を通じて送信することによる)。これに代えて、グループ化を確認するeNodeBを、グループ化の成功について両方のUEに通知する責務を担うエンティティとすることもできる(図には示していない)。
【0165】
第1の実施形態の別の実装形態においては、eNodeBが確認を行わなくてもよい。この場合、eNBは、非特許文献11の6節(参照により本明細書に組み込まれている)に記載されているようにHSS(ホーム加入者サーバ:Home Subscriber Server)および/またはHLR(ホームロケーションレジスタ:Home Location Register)への問合せを実行することのできるMME(モビリティ管理エンティティ:Mobility Management Entity)など、コアネットワーク内の対応するエンティティによって、グループ化を有効にする。この場合、eNodeBは、コアネットワーク内の責務のあるエンティティにグループ有効化メッセージを送信し(
図12および
図13を参照)、グループ有効化メッセージは、マスターUEおよびウェアラブルUEを、例えばこれらのID(例:IMSI)をメッセージの中に明示的に含めることによって識別する。これに代えて、手順の開始者(マスターUEまたはリモートUEのいずれか)は、有効化メッセージの中で個別に識別する必要がない。なぜなら、開始者は、この送信手順に使用されるUu接続およびS1接続に基づいて識別できるためである。この識別は、例えば、いわゆる「UEに関連付けられる論理S1接続(UE-associated logical S1-connection)」を使用して行うことができる。UEに関連付けられる論理S1接続では、非特許文献12における定義に従って識別情報MME UE S1AP IDおよびeNB UE S1AP IDを使用する。受信された、UEに関連付けられるS1−APメッセージにおいて、MMEは、関連付けられるUEを情報要素MME UE S1AP IDに基づいて識別し、eNBは、関連付けられるUEを情報要素eNB UE S1AP IDに基づいて識別する。UEに関連付けられる論理S1接続は、eNBにおいてS1 UEコンテキストが確立される前に存在することができる。
【0166】
次いで、コアネットワークは、これら2つのUEがグループを形成できる(すなわちグループを形成することが許可される)か否かを判定できる。ウェアラブルUEが事前に許可されることなくグループ化されて(例えば、ある人のウェアラブルUEが見知らぬ人の特定のスマートフォンと共にグループ化されて)、したがってその人のデータのセキュリティおよび完全性が危険にさらされることを回避するため、グループが許可されるには、例えば2つのUEが同じユーザ(同じ人、あるいは同じ家族/会社など)に登録されていなければならないようにすることができる。
【0167】
コアネットワークにおける責務のあるエンティティは、グループ化を許可するか否かを判定した時点で、例えばグループ化ACK(確認応答)メッセージまたはグループ化NACK(否定確認応答)メッセージによってeNBに応答する。するとeNBは、上に説明したグループ化確認メッセージ(グループ化に成功したと想定する)、またはグループ化拒否メッセージ(グループ化に失敗したと想定する)を、グループ化を開始したUEのみに(そのUEは必ず他方のUEに短距離接続を介して通知する)、または両方のUEに、送信できる。いずれの場合も、両方のUEと、eNBと、コアネットワークとが、W−UEとM−UEのグループ化の成功について認識する。W−UEとM−UEの間のこの関連付けは、後からさらに詳しく説明するように、W−UEとM−UEの間で分担する/分散させることのできる様々な別の手順において利用できる。
【0168】
図12および
図13から明らかであるように、グループ化手順のメッセージには、マスターUEのIMSIおよび/またはウェアラブルUEのIMSIが含まれる。しかしながら、受信側エンティティによって何らかの方法で(例えばメッセージを生成するときに使用された送信元アドレスから)エンティティを導くことができる場合、2つのUEのID(例:IMSI)を個別に含める必要がないことがある。例えば、
図13において、eNodeBによってウェアラブルUEに送信されるグループ化確認メッセージには、グループを形成する両方のUEのIDではなく、マスターUEのIMSIのみが含まれる。同様に、(異なるエンティティ、すなわちCN(コアネットワーク)、eNB、M−UE、W−UE1の間で交換される)グループ化確認メッセージおよびグループ化ACK(またはNACK)メッセージは、M−UEのIMSIおよび/またはW−UEのIMSIを含むように示してある。しかしながら、どの特定のグループ化がグループ化確認メッセージによって確認されているかが、eNB、M−UE、およびW−UE1において明らかである限りは、グループ化確認メッセージにIDの一方または両方を含める必要がないことがある。例えば、W−UEとM−UEのみがグループを形成する場合、グループ化確認メッセージには、形成されたグループの一方または両方のIDを含めなくてよい。これに対して、M−UEと共にグループ化されることを望むいくつかのウェアラブルデバイスが存在する場合、グループ化アナウンスには、様々なW−UEのIDがすでに含まれており、様々なW−UEごとにコアネットワークによる有効化の結果が異なることがある。したがって、グループ化ACK(NACK)メッセージおよびグループ化確認メッセージでは、M−UEとのグループに加わることが許可された各W−UEのW−UE IDを含めることによって、様々なW−UEの間で区別する。別のオプションにおいては、(1つまたは複数の)許可されたW−UEをそれらのID(例:IMSI)によって識別する代わりに、グループ化アナウンスメッセージおよび/またはグループ有効化メッセージにリストされている、M−UEとのグループに加わることが許可されるW−UEを明確に識別するために、インデックスを使用できる。
【0169】
図12および
図13から明らかであるように、上に説明した実装形態においては、W−UEがそのIMSIによって識別されることを想定している。IMSIの代わりとしては、第一に、任意の別のNAS識別情報(例えば、TMSI)を使用できる。さらには、W−UE、M−UE、eNB、およびコアネットワークの間で交換される様々なメッセージの中でW−UEがどのように識別されるかは、W−UEがすでにRRC_CONNECTED状態にあるか否かによっても異なる。具体的には、RRC_CONNECTED状態にあるUEにはC−RNTI(Cell-Radio Network Temporary Identifier)がすでに割り当てられており、eNBに対してW−UEおよび/またはM−UEを識別する目的で、IMSIの代わりに、またはIMSIに加えて、このC−RNTIを使用できる。しかしながら、M−UEおよびW−UEは、コアネットワークにおけるエンティティには、IMSI、GUTI(Globally Unique Temporary Identity)、S−TMSI、M−TMSI、IMEIなどのNAS識別情報によって、引き続き識別される。以下では、NAS識別情報を表す例として、主としてIMSIを使用する。
【0170】
1つのオプションにおいては、グループ化手順が実際に開始される前に、W−UEは、eNBとの通常のRRC接続確立手順をすでに実行していることができる。
図14(
図12に基づいている)では、M−UEとW−UE1との間で装置の直接ディスカバリが実行される前に、W−UE1がネットワークにすでに接続されているものと例示的に想定する。これに代えて、W−UE1は、ディスカバリ手順の後にRRC接続確立手順を実行できる。したがって、M−UEは、ディスカバリ手順の間にW−UE1のC−RNTIおよびIMSIの両方を認識し、M−UEによって送信されるグループ化アナウンスメッセージは、W−UE1のC−RNTIを追加的に(またはIMSIの代わりに)含むことができる(
図14では、グループ化アナウンスメッセージの中で両方のIDがeNBに送信されるものと例示的に想定する)。
【0171】
これに対して、事前にW−UEがRRC接続確立手順をまだ実行していなくてもよい。第1の実施形態のさらなる実装形態によれば、グループ化手順を、W−UEとeNBとの間で通常に実行されるRRC接続確立手順と組み合わせることができる。例えば、上述したグループ化アナウンスメッセージを、RRC接続確立手順のメッセージの1つ(RRC接続要求メッセージなど)と組み合わせることができる。例えば、RRC接続要求メッセージのいくつかの情報要素(UE ID、確立理由(Establishment Cause)など)をグループ化アナウンスメッセージの中で使用する。例えば、M−UEがグループ化を開始する場合、M−UEがW−UEに代わってRRC接続も開始することができる。したがって、この場合には、W−UEに無線リソースを提供する必要がない。このことは、
図15に概念的に示している。
図15では、eNBが、グループ化アナウンスメッセージ(RRC接続確立も開始する)を受信した時点で、W−UEとのRRC接続確立を続行することを想定している。これに代えて、M−UEがW−UEに代わって動作することができる。この場合、必要な、または適用可能なタイミングアドバンスが、ウェアラブルUEとマスターUEとで同じかまたはほぼ同じであるため、ウェアラブルUEがRACH(ランダムアクセスチャネル)手順を繰り返してeNBからC−RNTIを取得する理由が特にない。具体的には、W−UEのC−RNTIがeNBによって生成されて割り当てられる。これに代えて、RRC接続確立時にW−UEに割り当てられたC−RNTIを、例えば、
図15に示したようにグループ確認メッセージと共にW−UEに提供できる。
【0172】
RRC接続確立手順とグループ化手順を組み合わせることによって、W−UEがRACH手順を実行する必要がなくなる。したがって、W−UEのバッテリが節約される。なぜなら、W−UEは、RACHプリアンブルを送信することと、RAR(ランダムアクセス応答:Random Access Response)を受信する必要がなく、さらに場合によってはシステム情報自体を読み取る必要もない(なぜなら、マスターUEからW−UEにシステム情報を転送できる)ためである。これが可能であるのは、適用されるであろうTA(タイミングアドバンス)が、M−UEのTAと全く(または十分な近さで)同じであり得るためである。これに加えて、組み合わせることによって、W−UEはRRC接続要求メッセージおよびRRC接続設定完了メッセージを送信することが要求されないため、W−UEのバッテリが支援される。さらに、RRC接続設定の受信を、W−UEに代わってM−UEにおけるメッセージ(例:グループ化確認)の受信に置き換えることができる。
【0173】
上記の実装形態のさらなるバリエーションにおいては、RRC接続確立手順の後に、オプションとして、W−UEとeNBとの間のセキュリティ確立を行うことができる。セキュリティ確立手順は、UEとネットワークとの間のデータ送信およびデータ受信を暗号化して完全性を保護するために実行される。グループメッセージ自体が、ネットワークがW−UEとのセキュリティ手順を開始するためのトリガーとして機能することができる。セキュリティ手順に関連するメッセージ(識別情報要求(Identity Request)、セキュリティモードコマンド(Security Mode Command)など)については、これらのメッセージをW−UEとネットワーク(ASセキュリティメッセージの場合にはeNB、NASセキュリティメッセージの場合にはCN)との間で直接交換する、またはこれらのメッセージを、W−UEに代わって動作するM−UEと交換できる。NH(ネクストホップ)やNCC(ネクストホップチェイニングカウンタ)などの鍵導出パラメータは、安全なPC5リンクにおいてW−UEとM−UEとの間で交換できる。
【0174】
以下では、第1の実施形態のより具体的な実装形態を説明する。
【0175】
第1の実施形態をさらに改良する目的で、ウェアラブルUEとマスターUEとの間のディスカバリ手順は、これら2つのUEが互いに近くないことに起因して2つのUEが直接ディスカバリを絶え間なく無駄に実行することを回避するために、2つのUEが互いに近接しているときにのみ実行される。したがって、2つのUEの位置を、例えばコアネットワークのエンティティによって監視することができる。このエンティティは、2つのUEが互いに近いとき、互いに近接していることをこれらのUEに通知する目的で、近接性情報を2つのUEに送信できる。2つのUEは、このような情報を受信した時点で、直接ディスカバリを開始して互いを発見し、互いの間に適切な接続を確立できる。
【0176】
特に、3GPPにおいて現在標準化されているProSeディスカバリ手順では、2つのUEに互いに関してアラートするための、このような適切なメカニズムが提供されている。特に、非特許文献8の5.5.1節(参照により本明細書に組み込まれている)には、UEが別のUEの近傍に入ったときにアラートされるようにする目的で、UEが近接性要求を使用する方法が開示されている(5.5.5節「Proximity Request(近接性要求)」を参照)。
図16は、以下に要約したステップを含むProSeディスカバリの全体的なコールフローを開示している。ただし、これらのステップは、非特許文献8の対応する節(それぞれ参照により本明細書に組み込まれている)に詳しく説明されている。
1. UEが、それぞれのホームPLMNに属するProSe機能に、ProSeのためのUE登録を実行する。
2. UEが、それぞれのホームPLMNに属するProSe機能に、ProSeのためのアプリケーション登録を実行する。
3. UE Aが、UE Bを対象とする近接性要求を行う、すなわち、UE Bと接近している場合にUE Aがアラートされるように要求する(要求が有効である時間窓を示すことも可能である)。ProSe機能Aは、これに応答して、UE AおよびUE Bの位置更新を要求する。これらの位置更新は、周期的とする、トリガーに基づく、または両方の組み合わせとすることができる。ProSe機能Aは、UE Aの位置更新を要求するため、SUPLロケーションプラットフォーム(SLP:SUPL Location Platform)Aにコンタクトする。さらにProSe機能Aは、UE Bの位置更新を要求するため、ProSe機能Bにコンタクトし、ProSe機能BがSLP BからのUE Bの位置更新を要求する。
4. UEの位置が、それぞれのProSe機能に間欠的に報告される。ProSe機能Bは、ProSe機能Aによって設定される条件に基づいて、UE Bの位置更新をProSe機能Aに転送する。ProSe機能Aは、UE Aおよび/またはUE Bの位置更新を受信すると、UE AおよびUE Bの位置について近接性分析を実行する。
5. ProSe機能Aは、これらのUEが近接していることを検出すると、UE Aに、UE Bが近接していることを通知し、(オプションとして)UE Aに、WLAN直接ディスカバリおよびUE Bとの通信のための支援情報を提供する。さらにProSe機能Aは、検出された近接性をProSe機能Bにも通知し、ProSe機能Bは、それをUE Bに通知し、(オプションとして)UE Bに、WLAN直接ディスカバリおよびUE Aとの通信のための支援情報を提供する。
【0177】
第1の実施形態の特定の実装形態によれば、上述した概要において説明したように近接性アラートをUEがそれぞれ受信した後、2つのUEの間で、前に説明したように装置の直接ディスカバリを実行できる。
【0178】
上述した第1の実施形態の広範な実装形態では、2つのUEの間でディスカバリが起きた後の何らかの時点でグループ化手順が開始されることを、さらに詳細に論じることなく単純に想定した。実際には、2つのUEの間のディスカバリの成功(および/または短距離接続の確立の成功)を、グループ化手順を開始するためのトリガーとして使用できる。これに対して、手順全体を迅速化するため、第1の実施形態のさらなる実装形態では、ディスカバリ手順とグループ化手順がほぼ同時に開始されて並行して実行できるように、グループ化手順を、(上に述べた)近接性アラートによってトリガーすることもできることを提案する。
【0179】
第1の実施形態のさらなる実装形態によれば、グループ化手順を別のトリガーに基づいて開始することもできる。例えば、ウェアラブルUEが特定のアプリケーションまたはサービスの送信データを有するときにグループ化手順がトリガーされるように、グループ化手順をアプリケーションに固有とすることができる。この場合、マスターUEによって提供される中継機能を利用して、例えばその特定のアプリケーション/サービスのアップリンクデータを、短距離接続を介してマスターUEに送信することができ、マスターUEによってeNodeBまでさらに中継される。この場合には、マスターUEが、グループ化手順を開始するエンティティである場合、ウェアラブルUEは、特定のアプリケーション/サービスの送信待ちデータについてマスターUEに通知し、そのことによって、マスターUEがグループ化手順を開始して実行するようにトリガーされる。
【0180】
グループ化手順を開始するためのトリガーとして使用することのできるさらなる条件も存在しうる。例えば、ウェアラブルUEが自身の電力/バッテリを監視することができ、電力/バッテリが所定のしきい値を下回った場合に、(例えば、アップリンクデータおよび/またはダウンリンクデータをマスターUEを介して中継することによって)消費電力を下げる目的で、グループ化手順を開始できる。
【0181】
第1の実施形態のさらなる実装形態は、例えば、ウェアラブルUEがグループを抜けることを望むときに、グループを再設定する方法に焦点をあてる。
図17は、下段部に、この場合におけるシグナリング交換を示し、上段部は
図12に基づいている。W−UE1がグループを抜けるものと想定し、その理由はいくつかありうる。例えば、W−UE1が移動してM−UEの近傍から離れることがある。したがって、W−UE1はもはやM−UEによって発見され得ない。あるいは、グループ化手順が開始された対象の特定のアプリケーション/サービスのさらなる送信データがウェアラブルUEに存在しない。さらなるオプションにおいては、ウェアラブルUEのバッテリ/電力が、前述した所定のしきい値より大きく、したがって、マスターUEとのグループ化がバッテリ/電力を節約するためにもはや必要ない。
【0182】
ウェアラブルUEは、これらの理由または他の理由のいずれかによって、前に確立されたマスターUEとのグループを抜けることを決定する。この場合、ウェアラブルUEがもはやマスターUEと共にグループ化されていないように、グループ再設定手順を開始できる。
図17においては、マスターUE(前にグループ化手順を開始した)が、グループ化再設定を開始する責務も担うものと例示的に想定する。したがって、マスターUEは、例えばウェアラブルUEがもはや近接していないと判断した時点で、あるいは、グループを抜けることを要求する特定の指示情報がウェアラブルUEからあった時点で、グループ化再設定を開始できる。さらなる代替形態においては、グループ化が有効であるべき間、ウェアラブルUEとマスターUEとの間でキープアライブメッセージを交換できる。したがってウェアラブルUEは、グループを抜けることを決定した時点で、ただちにキープアライブメッセージの送信を停止できる。また、ウェアラブルUEが移動してマスターUEから離れたときには、マスターUEはもはやキープアライブメッセージを受け取らず、したがってウェアラブルUEがグループを抜けるものと判断する。
【0183】
グループ化再設定メッセージは、マスターUEからeNodeBに送信される。このメッセージは、グループを抜けるウェアラブルUEを、例えばそのウェアラブルUEのIMSIを含むことによって識別する。
図17の上段部におけるグループ化手順と同様に、グループ再設定は、最初にグループ化を許可したコアネットワークとも同期していなければならない。しかしながら、この場合、eNodeBからコアネットワーク(例:MME)に送信されるグループ化再設定メッセージは、グループ再設定を許可する目的を有する必要はなく、識別されているウェアラブルUEがもはやマスターUEと共にグループ化されていないという情報をコアネットワークに提供する役割を果たすのみでよい(すなわち許可は必要ない)。コアネットワークは、対応するグループ化再設定ACKメッセージをeNodeBに送信することによって、グループ化の再設定を承認できる。このグループ化再設定ACKメッセージは、マスターUEおよび/またはウェアラブルUEのIDを含むことができる(ただし必須ではない)。なぜならeNodeBが、そのACKがどのグループ化再設定メッセージを対象としているかを認識するためである。次いで、グループ化再設定が、マスターUEおよびウェアラブルUEの両方に確認される。
図17では、eNodeBは、コアネットワークからのグループ化再設定ACKを受信した後にグループ化再設定確認を送信するが、受信前にグループ化再設定確認メッセージをマスターUEに送信することもできる。なぜならeNodeBは、(上のグループ化手順における許可とは異なり)コアネットワークからのACKを待たなくてよいためである。
【0184】
第1の実施形態のここまでに説明した実装形態においては、グループ化アナウンスメッセージは、グループを形成するUEの識別情報を含むのみであるものと説明した。しかしながら、第1の実施形態のさらなる実装形態では、グループ化手順と、確立されたグループの以降の使用とに役立ちうるさらなる情報を含むように、グループ化アナウンスメッセージの内容を拡張する。
【0185】
例えば、グループ化アナウンスメッセージは、ウェアラブルUEの能力、例えば送信能力に関する情報(例:アンテナ数、サポートされる送信モード、または非特許文献6のUE-EUTRA-Capability(UE−EUTRA能力)におけるPhyLayerParametersおよびrf-Parameteresに記載されている、無線周波数、物理レイヤ、または上位レイヤに関連する任意の他の能力)を含むことができる。
【0186】
さらには、非特許文献6のSidelinkUEInformationメッセージのSidelinkUEInformation-v13x0の内側に含まれる情報要素SL-CommTxResourceReqもしくはdiscTxResourceReqまたはリソース要求など、短距離接続を通じたデータ通信のための無線リソースのスケジューリングの要求を伝える目的に、グループ化アナウンスメッセージを使用することもできる。結果としてeNBは、無線リソースの要求を含むグループ化アナウンスメッセージを受信し、これに応答して、W−UEおよび/またはM−UEに適切な無線リソースをスケジューリングすることができる。次いで、対応するグラントが、例えばグループ確認メッセージの中で、またはSL-DscConfigおよびSL-CommConfigに類似するRRC接続再設定(RRC Connection Reconfiguration)の中で、M−UEおよび/またはW−UEに送信される。
【0187】
さらには、グループ化アナウンスメッセージは、ウェアラブルUEに直接ではなくマスターUEを介してデータを中継するべきアプリケーションおよび/またはサービスに関する情報も、含むことができる。したがって、これらのアプリケーション/サービスを認識しているeNodeBは、これらの示されたアプリケーション/サービスの対応するデータがマスターUEを介して中継されるように、それに応じてアップリンクデータおよびダウンリンクデータのスケジューリングを適合させる。
【0188】
第1の実施形態の以下の実装形態では、後から実行される実際のグループ化手順を迅速化する目的で、グループ化の事前許可手順が実行される。対応する例示的なシグナリング図を
図18に示す。より詳細には、マスターUEがグループ化手順を開始するエンティティである。さらに、事前許可手順も、後からグループを形成する可能性のあるウェアラブルUEおよびマスターUEを識別する適切なグループ化事前許可メッセージをeNodeBに送信することによって、ウェアラブルUEに代わってマスターUEによって開始できるものと想定する。この場合、eNodeBは、適切なグループ化事前許可要求をコアネットワークにおける責務のあるエンティティ(上述したように例えばMME)に送信する。このエンティティは、そのウェアラブルUEとマスターUEのグループ化を認める/許可するか否かを、前述した方法に類似する方法で決定できる。したがって、コアネットワークは、その結果に応じて適切なグループ化事前許可ACKメッセージまたはグループ化事前許可NACKメッセージによってeNodeBに応答できる。事前許可手順をどのように続行するかに関しては、複数の異なるバリエーションが存在する。1つのオプションでは、eNodeBが事前許可に関して認識していれば十分であると想定する。したがってeNodeBは、ウェアラブルUEとのグループを形成することを要求する実際のグループ化アナウンスメッセージを後からマスターUEから受信したときに、そのグループ化をコアネットワークによって再度有効にする必要がない。
図18から明らかであるように、eNodeBは、グループ化確認メッセージをマスターUEに返すことによって、グループ化アナウンスにただちに応答できる。したがって、この事前許可手順を使用することによって、グループ化手順を大幅に迅速化することが可能である。
【0189】
これに代えて(
図18には示していない)、eNodeBは、要求されたグループ化を、対応するグループ有効化メッセージを送信することによって依然としてコアネットワークによって有効にする必要があるものとすることができる。しかしながら、コアネットワーク(例えばMME)は、すでに事前許可を実行したため、共にグループ化されるデバイスのサブスクリプションおよびグループ化サブスクリプションを有効にするためにHSS/HLRにすでにコンタクトしている。このような事前許可によって、後からグループ化を実際に実行する必要があるときにHSS/HLRに問い合わせる必要がなくなる。このような事前許可では、グループ化が実際に開始される前に、またはグループ化手順と並行して、UEとのセキュリティ手順(識別情報要求、認証、セキュリティモードコマンドなど)をすでに開始できる。
【0190】
さらに、
図18は、eNodeBとマスターUEとの間のグループ化事前許可ACKメッセージを、点線の矢印によって示しており、点線はこのメッセージがオプションであることを示す。
【0191】
図18には示していないが、グループ化事前許可手順をウェアラブルUEによって開始することもできる。
【0192】
グループ化事前許可手順は、例えば、ウェアラブルUEおよび/またはマスターUEの何れかが、例えばProSeサービスを使用する目的でネットワークに登録するときに(
図16のステップ1a,1bを参照)、開始できる。これに代えて、グループ化事前許可手順は、マスターUE/ウェアラブルUEが、他方のUEが自身に近接しているときにアラートされるように登録するときに(
図16のステップ3を参照)、開始できる。例えば、グループ化事前許可手順を、ウェアラブルUE/マスターUEとコアネットワークとの間で実行されるこの近接性アラート手順に関連して送信されるメッセージと組み合わせることができる。これを可能にするため、近接性メッセージの1つまたはいくつかは、開始側デバイスが目的のデバイスと共にグループ化されるように意図していることの明示的な指示情報(例えば目的のデバイスの識別情報(利用可能な場合にはS−TMSI、またはIMEIなど)を使用する)を含む。MMEは、これに応答して、共にグループ化されるデバイスのサブスクリプションおよびグループ化サブスクリプションを有効にするため、UEおよび/またはHSS/HLRとのセキュリティ手順を開始できる。このような事前許可によって、後からグループ化を実際に実行する必要があるときにHSS/HLRに問い合わせる必要がなくなる。このような事前許可では、グループ化が実際に開始される前に、またはグループ化手順と並行して、UEとのセキュリティ手順(識別情報要求、認証、セキュリティモードコマンドなど)をすでに開始できる。
【0193】
第1の実施形態のここまでの様々な異なる実装形態では、第1の実施形態のグループ化手順を実施する方法について説明してきた。以下の説明では、マスターUEとウェアラブルUEの、結果としてのグループ化を、システム内の別の手順においてどのように利用できるかに焦点をあてる。一般的には、ウェアラブルデバイスは極めて長いバッテリ寿命を有する必要がある。一方で、スマートフォン(すなわちマスターUE)は、無線周波数、HARQ、バッファリング要件などに関して、より高い能力を有するはずであると想定する。したがって、ウェアラブルUEにおいてバッテリを節約する一方で、スマートフォンの高い能力をウェアラブルUEのために利用する目的で、通常ではウェアラブルUEによって実行されなければならない特定の手順を、マスターUEと分担する、またはマスターUEが引き受けることができる。
【0194】
例えば、ウェアラブルUEのアップリンク通信および/またはダウンリンク通信のためのスケジューリング手順を、ウェアラブルUEに代わってマスターUEによって実行されるように変更できる。この変更は様々な方法で実施することができ、そのうちのいくつかを以下に説明する。バッテリをできる限り節約する目的で、ウェアラブルUEによって実行されるアップリンクのデータおよび/または制御情報の送信(PUSCH/PUCCH)は、これらをeNodeBに直接送信するのではなくマスターUEによって中継する。これによって送信電力を節約することができる。なぜならアップリンクのデータ/制御情報は、短距離接続を介してマスターUEに送信されるのみであり、マスターUEがこれらをeNodeBに中継するためである。さらに、eNodeBは、マスターUEの受信/送信能力(おそらくはウェアラブルUEの受信/送信能力より良好である)(例えば、より良好な無線周波数帯域の組み合わせ、MIMO能力、バッファリング能力、利用可能なHARQプロセスの数などを使用する)に適切な無線リソースをスケジューリングすることができる。結果として、スケジューリングを、ウェアラブルUEの能力を使用した場合に可能であるよりも効率的/積極的にすることができる。このことは、定期的に発生するアップリンク送信(例:VoIP)、又は、大量のデータを含むアップリンク送信(例:ファイルのアップロード、バックアップなど)の場合に特に有利である。その一方で、PUSCH(アップリンクデータ送信)はマスターUEによって実行できるが、PUCCHを介してのアップリンクにおける制御情報の送信は、依然としてウェアラブルUEによってeNodeB宛に直接実行できる。
【0195】
同様に、ダウンリンク送信も、マスターUEを介して行う、またはウェアラブルUEによって独立して行うことができる。したがって、マスターUEは、eNodeBによってスケジューリングされてウェアラブルUEを宛先とするダウンリンク無線リソース割当て(PDCCH)を監視しなければならないことがある。この監視は、W−UEのC−RNTIをM−UEが認識していることによって行うことができる。W−UEのC−RNTIはM−UEと共有することができる。なぜなら、W−UEとM−UEとの間でPC5リンクは安全であると想定されるためである、またはマスターUEが最初にeNBからW−UEのC−RNTIを実際に受信しているためである。これに対して、ウェアラブルUEが、eNodeBによってスケジューリングされて自身のC−RNTIを宛先とするダウンリンク無線リソース割当て(PDCCH)を自力で監視しなければならないようにすることができる。
【0196】
アップリンク送信およびダウンリンク送信をマスターUEとウェアラブルUEとの間でどのように最良に分散させるかの決定は、ウェアラブルUEおよびマスターUEの受信/送信能力に応じたものとすることもできる。
【0197】
ウェアラブルUEを宛先とするデータの中継は、アプリケーションまたはベアラに固有とすることもできる。例えば、レイテンシの要求条件が高いベアラは、ウェアラブルUEに直接送信されるように設定できる。別のベアラ(例えば多量のデータの送信に関与するベアラ)は、マスターUEの良好な受信/送信能力を使用してマスターUEに直接送信されるように設定できる。この原理に従うと、短いレイテンシが要求される制御メッセージ(PDCCH、PUCCH)は、マスターUEを経由させずに、ウェアラブルUEとeNodeBとの間のLTE Uuリンクを介して直接送信できる。
【0198】
さらには、マスターUEとウェアラブルUEのグループ化を、無線基地局またはコアネットワークにおいて実行される別の手順のために利用することもできる。例えば、ページング手順は、アイドル状態にあるUEを呼び出す目的で、通常ではeNodeBおよび/またはコアネットワークによって実行される。したがって、ウェアラブルUEが、自身が呼び出されたか否かを監視するために多量のバッテリを消費することを回避する目的で、この手順をウェアラブルUEに代わってマスターUEによって実行できる。したがって、マスターUEは、自身を宛先とするページングメッセージのみならず、自身のグループの中の(1つまたは複数の)ウェアラブルUEを宛先とするページングメッセージも監視する。ウェアラブルUEのページング機会は、実際には例えばマスターUEのクレデンシャル(例:IMSI)に基づいて計算される。当然ながらマスターUEは、対応するページングメッセージを受信した時点で、PC5インタフェースを介してウェアラブルUEに通知する。
【0199】
同様にマスターUEは、他の手順についても、自身のグループの中の(1つまたは複数の)ウェアラブルUEに代わって動作することができ、例えば、ブロードキャストされたシステム情報を取得する、あるいは、RACH手順、ページング受信、DRXの最適化、RRM(無線リソース管理)、CSI測定などを実行または代行する。したがってウェアラブルUEは、これらの手順をマスターUEにまかせ、ウェアラブルUEは、マスターUEが、関連する情報(例:W−UEにとって効率的なDRXサイクルの設定)をウェアラブルUEに転送する、または受信したW−UEへのページングメッセージ、さらにはモビリティ/ハンドオーバーコマンドをW−UEに転送することを認識している。これに加えて、マスターUEは、W−UEの位置を扱う手順を代わりに実行して、実際にパラメータを供給することができる。なぜなら、両方のデバイスの位置が十分に近いためである。
【0200】
ここまでに説明した第1の実施形態の実装形態のほとんどにおいては、ウェアラブルUEに自身のC−RNTIが割り当てられるものと想定した。しかしながら、ウェアラブルUEがマスターUEのC−RNTIを共有する(すなわち自身のC−RNTIを持たない)ことも可能である。例えばダウンリンクにおいて、W−UEは、一意の論理チャネルID(W−UEのトラフィックまたはM−UEのトラフィックのいずれかにのみ使用されるべきである)を使用するレイヤ2におけるトラフィックのうちM−UEに属すトラフィックを破棄することができればよい。アップリンクにおいては、マスターUEは、論理チャネルの優先順位付け(Logical Channel Prioritization)およびバッファ状態報告において、この論理チャネルID(LCID)および論理チャネルグループの分離を考慮するようにする。これはC−RNTIを共有する2つのデバイスに似ているが、これら2つのデバイスは異なる能力をサポートしているため、ネットワークは、個々のUE/デバイスの能力を念頭に置いて、これらのデバイスからの送信/受信に対処しなければならない。例えば、W−UEのベアラ1がW−UEによって直接サーブされており、W−UEのベアラ2がM−UEを「介して」サーブされている場合、ネットワークは、これらの各UEへの送信を送信する、および送信をスケジューリングするときに、物理レイヤの能力を考慮する必要がある。
【0201】
ここまで、第1の実施形態の多数の異なる実装形態を説明してきたが、これらの実装形態では、マスターUEが、ウェアラブルUEのデータおよび/または制御シグナリングを送信する、および/または受信する責務を担うことができる。異なる実装形態は、例えば、ウェアラブルUEに代わってマスターUEによって実行される特定の中継(例えば、アップリンクのみ、またはアップリンクおよびダウンリンクの両方の、データおよび/または制御シグナリング)に関して、互いに異なる。したがって、これらの違いは、M−UEとW−UEとの間でのプロトコルの分散にも反映させることができる。第1の実施形態の以下の例示的な実装形態においては、M−UEおよび/またはW−UEにおける可能な異なるプロトコルスタックについてさらに詳しく説明する。
【0202】
LTE ProSeに基づく一般的なプロトコルスタック(UE中継器を含む)は、背景技術のセクションで
図10に関連してすでに説明した。以下では、様々な例示的なプロトコルスタックを提示する。
【0203】
マスターUEは、2つの異なるプロトコルスタックを有することができる。一方はW−UEとやりとりされるLTE ProSeサイドリンクトラフィックを扱うためのプロトコルスタックであり、他方は自身のトラフィックを扱うためのプロトコルスタックである。このことは
図19に概略的に示してある。したがって
図19においては、PC5インタフェースにまたがる短距離接続を実施する目的にはLTE ProSe技術が使用されるものと想定する。したがって、マスターUEは、マスターUEおよびウェアラブルUEの2つのC−RNTIを対象とする2つの個別のグラントを、対応する個別のLTEプロトコルスタックをそれぞれ使用して扱うことができる。さらに、マスターUEのトラフィック用のLTEプロトコルスタック(
図19における右側)は、別のサイドリンクプロトコルスタックとやりとりされる受信データを中継する責務も担う。
【0204】
同様に、ウェアラブルUEも2つの個別のLTEプロトコルスタックを有する。一方はマスターUEとのサイドリンクトラフィックのためのプロトコルスタックであり(SL−PDCP、SL−RLC、SL−MAC、SL−L1を参照)、他方はLTE Uuインタフェースを介したeNBへのトラフィックのためのプロトコルスタックである。したがって、ウェアラブルUEは、eNBからのUL/DLグラントを直接受信することもできる。
【0205】
さらに詳細には、M−UEに向かうベアラは、ウェアラブルUEに向かうベアラと区別される。前述したように、データトラフィックは、一部をウェアラブルUEに直接ルーティングする、または中継器としての役割を果たすマスターUEを介してルーティングすることができる。ウェアラブルUEの観点からは、これは二重接続のシナリオに似ており、二重接続では、ベアラはマスターeNodeBまたはセカンダリeNodeBのいずれかに向けて確立される。
図25には、様々なベアラが例示的に示してある。
【0206】
コアネットワークは、非特許文献12の5.3.2節に記載されているアタッチ手順時にベアラのタイプも設定することができる。すなわち、コアネットワークは、どのベアラ/トラフィックがM−UEに向けて確立される、またはW−UEまで直接確立されるかを決定する。しかしながら、この決定にW−UEを関与させることができる。これは、複数の異なる要因、例えば、W−UEおよびM−UEの能力、デバイスにおける残りの電力/バッテリ(電力プリファレンス指標(PPI:Power Preference Indicator))、遅延の影響度、ベアラのサービスタイプ(会話、ストリーミング、バックグラウンドなど)、によって決めることができる。例えば、遅延の影響度が低く、かつトラフィック量の多いベアラは、M−UEを介して負担を軽減できる。
【0207】
シグナリングの流れは、リリース13のUE−ネットワーク間中継動作に似たものとすることができる。すなわち、W−UEがProSeセッション確立手順をトリガーし、その結果としてM−UEが、W−UEのトラフィックのためのPDN接続を形成する。
【0208】
この場合、W−UEとM−UEとの間にPC5インタフェースが使用されるものと想定する。W−UEにおいてPC5インタフェースとUuインタフェースとの間でトラフィックを分けるステップは、PDCPより上で行うことができる。二重接続に基づくモデルの1つの実施オプションでは、すべてのダウンリンクトラフィックをUuインタフェースを介してW−UEに直接ルーティングする一方で、すべてのアップリンクデータをM−UEを介して送信できる。
【0209】
これに対して、ウェアラブルUEとマスターUEの両方に完全なLTEプロトコルスタックを提供せずに、以下に説明するように、ウェアラブルUEまたはマスターUEのみにUL方向およびDL方向の「アクティブな」プロトコルスタックを提供する、あるいは2つのUEの間でプロトコルスタックを分散させることも可能である。以下では、PC5接続が非3GPP無線技術(BluetoothやWi−Fiなど)を使用して実施されているものと想定する。したがって、マスターUEおよびウェアラブルUEも、非3GPPプロトコルスタックを有する。
【0210】
一形態においては、ウェアラブルUEの非3GPPプロトコルスタック全体をマスターUEに配置することができる。この場合、すべてのULおよびDL制御シグナリングおよびデータ伝送が、実際にはM−UEによって実行される。したがって、UL/DLの制御情報/データは、M−UEとW−UEの間で短距離接続を使用して転送される。この短距離接続は、この場合にはBluetoothやWi−Fiなどの非3GPP技術を使用するものと想定する。これは
図20に例示的に描いてある。
図20から明らかであるように(点線で示した、eNBへのLTEプロトコルスタックを参照)、さらなる想定として、ウェアラブルUEは、eNBと直接通信するためのLTE Uuプロトコルスタックを依然として維持することができる。したがって、通常のLTEプロトコルタスク(PDCCH、PDSCHなどを監視する/受信するなど)を実行する能力もある。マスターUEは、ウェアラブルUEへのアプリケーションパケットをPC5インタフェースを介して送信する。
【0211】
上述したように、アップリンク方向では、1つのオプションとして、アップリンク送信をW−UE自身によって実行し、または別のオプションとして、アップリンク送信(の一部またはすべて)を、W−UEに代わってM−UEに実行させる。アップリンクにおいてW−UEに代わってM−UEに送信させることによって、W−UEにおいて電力を節約することができ、バッテリの寿命が延びる。しかしながら、この結果としてプロトコルスタックがより複雑になり、また、W−UEとM−UEとの間で制御シグナリング(例:UL−SCHグラント)をどれくらい高速/効率的に転送できるかに関しても問題となりうる。
【0212】
なお、M−UE自身において2つのグラントを結合することが可能である。したがって、2つのグラントのすべてのスケジューリングされたリソースがM−UEに利用可能であり、それを前提としてM−UEが論理チャネル優先順位付け(LCP)手順を実行できることに留意されたい。これに代えて、eNBが2つのグラントを1つのグラントに「結合する」ことができ、そのグラントがM−UEに送信される。
【0213】
図21〜
図24は、マスターUEとウェアラブルUEとの間でのプロトコルスタックの様々な分散を示しており、それぞれの場合において、分散によって、Layer 1(すなわち物理レイヤ、
図21を参照)、MACレイヤ(
図22を参照)、RLCレイヤ(
図23を参照)、またはPDCPレイヤ(
図24を参照)において、サイドリンクプロトコルスタックが分割されている。
【0214】
[さらなる実施形態]
第1の態様によれば、リモート移動端末と共にグループ化するマスター移動端末であって、マスター移動端末およびリモート移動端末は移動通信ネットワークにおいて無線基地局に接続される、マスター移動端末を提供する。マスター移動端末は、1つまたは複数のリモート移動端末と無線基地局との間の通信を中継するために、1つまたは複数のリモート移動端末の各々のための中継器としての役割を果たすことができる。マスター移動端末の送信機および受信機は、リモート移動端末、および、リモート移動端末の識別子を発見する。送信機は、グループ要求メッセージを無線基地局に送信し、このグループ要求メッセージは、リモート移動端末の識別子、及び、リモート移動端末をマスター移動端末と共にグループ化する要求、を含む。さらに受信機は、リモート移動端末とマスター移動端末が共にグループ化されることを確認するグループ要求確認メッセージを、無線基地局から受信する。
【0215】
第1の態様に加えて提供される第2の態様によれば、グループ要求メッセージは、さらに、無線基地局が移動端末無線セル識別子(mobile terminal radio cell identifier)を生成してリモート移動端末に割り当てることの要求である。グループ要求確認メッセージは、リモート移動端末の割り当てられた移動端末無線セル識別子を含む。送信機は、受信された移動端末無線セル識別子をリモート移動端末にさらに転送する。オプションとして、送信機は、リモート移動端末がマスター移動端末と共にグループ化されることを、リモート移動端末に通知する。
【0216】
第2の態様に加えて提供される第3の態様によれば、受信機は、無線基地局によってスケジューリングされてリモート移動端末の移動端末無線セル識別子を宛先とする無線リソース割当てを監視する。これに加えて、またはこれに代えて、受信機は、無線基地局によって送信されてリモート移動端末を宛先とするページングメッセージを監視する。これに加えて、またはこれに代えて、受信機および送信機は、リモート移動端末から短距離接続を介して受信されるアップリンクデータ送信を、無線基地局に中継する。
【0217】
第1の態様から第3の態様の1つに加えて提供される第4の態様によれば、リモート移動端末がマスター移動端末に近接していることを通知する近接性情報を受信機がコアネットワークから受信した後、受信機および送信機がリモート移動端末を発見する。オプションとして、近接性情報は、リモート移動端末がマスター移動端末に近接しているときに通知されるように送信機によってコアネットワークに送信された近接性要求に応えて、受信機によって受信される。
【0218】
第1の態様から第4の態様の1つに加えて提供される第5の態様によれば、グループ要求メッセージは、
・ サポートされる送信モードのようなリモート移動端末の能力に関する情報、および/または、
・ リモート移動端末との通信に使用される無線リソースの要求、および/または、
・ マスター移動端末を介してデータが中継されるアプリケーションまたはサービスに関する情報、
を含む。
【0219】
第1の態様から第5の態様の1つに加えて提供される第6の態様によれば、送信機は、リモート移動端末がマスター移動端末と共にグループ化されることを事前に許可するように要求する事前許可要求メッセージを、コアネットワークに送信する。オプションとして、事前許可要求メッセージは、別の移動端末との直接サイドリンク通信の使用のためにマスター移動端末を登録する目的でコアネットワークへの登録手順を実行するときに送信される、または、リモート移動端末がマスター移動端末に近接しているときに通知されるように送信機によってコアネットワークに送信される近接性要求と共に送信される。
【0220】
第1の態様から第6の態様の1つに加えて提供される第7の態様によれば、
・ リモート移動端末を正常に発見した時点で、または、
・ リモート移動端末の残りの電力がしきい値を下回っていることを示す指示情報を、受信機がリモート移動端末から受信したときに、または、
・ リモート移動端末が、送信するデータを有することを示すメッセージを、受信機がリモート移動端末から受信し、オプションとして、送信するデータが特定のアプリケーションまたはサービスのデータである、ときに、または、
・ マスター移動端末と共にグループ化する要求をリモート移動端末から受信した時点で、
送信機がグループ要求メッセージを送信する。
【0221】
第1の態様から第7の態様の1つに加えて提供される第8の態様によれば、マスター移動端末は、短距離接続を介してリモート移動端末に接続されている。短距離接続は、直接サイドリンク接続、Bluetooth接続、またはWiFi接続である。オプションとして、マスター移動端末は、リモート移動端末による通信を短距離接続を介して中継可能である。オプションとして、リモート移動端末は、無線接続を介して無線基地局に接続されている。
【0222】
第1の態様から第8の態様の1つに加えて提供される第9の態様によれば、送信機は、リモート移動端末がマスター移動端末と共にグループ化されないことを示すグループ再設定メッセージを、無線基地局に送信する。受信機は、リモート移動端末がグループの一部ではないことを確認するグループ再設定確認メッセージを、無線基地局から受信する。オプションとして、マスター移動端末は、リモート移動端末の移動端末無線セル識別子を宛先とする、無線基地局によってスケジューリングされた無線リソース割当て、を監視することを停止する。
【0223】
第10の態様によれば、マスター移動端末と共にグループ化するリモート移動端末であって、リモート移動端末およびマスター移動端末は移動通信ネットワークにおいて無線基地局に接続されている、リモート移動端末を提供する。マスター移動端末は、1つまたは複数のリモート移動端末と無線基地局との間の通信を中継するために、1つまたは複数のリモート移動端末の各々のための中継器としての役割を果たすことができる。リモート移動端末の受信機および送信機は、マスター移動端末およびマスター移動端末の識別子を発見する。送信機は、グループ要求メッセージを無線基地局に送信する。このグループ要求メッセージは、マスター移動端末の識別子、及び、リモート移動端末をマスター移動端末と共にグループ化する要求、を含む。受信機は、リモート移動端末とマスター移動端末が共にグループ化されることを確認するグループ要求確認メッセージを、無線基地局から受信する。
【0224】
第10の態様に加えて提供される第11の態様によれば、グループ要求メッセージは、さらに、無線基地局が移動端末無線セル識別子を生成してリモート移動端末に割り当てることの要求である。グループ要求確認メッセージは、リモート移動端末の割り当てられた移動端末無線セル識別子を含む。送信機は、リモート移動端末の移動端末無線セル識別子をマスター移動端末にさらに送信する。オプションとして、送信機は、リモート移動端末がマスター移動端末と共にグループ化されることを、マスター移動端末にさらに通知する。
【0225】
第10の態様または第11の態様に加えて提供される第12の態様によれば、受信機は、無線基地局によってスケジューリングされてリモート移動端末の移動端末無線セル識別子を宛先としているがリモート移動端末に代わってマスター移動端末によって受信された無線リソース割当てを、マスター移動端末から受信する。これに加えて、またはこれに代えて、受信機は、無線基地局によって送信されてリモート移動端末を宛先としているがリモート移動端末に代わってマスター移動端末によって受信されたページングメッセージを、マスター移動端末から受信する。これに加えて、またはこれに代えて、送信機は、アップリンクデータ送信を短距離接続を介してマスター移動端末に送信し、このアップリンクデータ送信がマスター移動端末によってさらに無線基地局に中継される。これに加えて、またはこれに代えて、受信機は、リモート移動端末と無線基地局との間に確立される無線接続を介して、無線基地局からダウンリンクデータ送信を受信する。これに加えて、またはこれに代えて、送信機は、リモート移動端末と無線基地局との間に確立される無線接続を介して、アップリンク制御情報を無線基地局に送信する。
【0226】
第10の態様から第12の態様の1つに加えて提供される第13の態様によれば、マスター移動端末がリモート移動端末に近接していることを通知する近接性情報を受信機がコアネットワークから受信した後、受信機および送信機がマスター移動端末を発見する。オプションとして、近接性情報は、マスター移動端末がリモート移動端末に近接しているときに通知されるように送信機によってコアネットワークに送信された近接性要求に応えて、受信機によって受信される。
【0227】
第10の態様から第13の態様の1つに加えて提供される第14の態様によれば、グループ要求メッセージは、
・ サポートされる送信モードなど、リモート移動端末の能力に関する情報、および/または、
・ マスター移動端末との通信に使用される無線リソースの要求、および/または、
・ マスター移動端末を介してデータが中継されるアプリケーションまたはサービスに関する情報、
を含む。
【0228】
第10の態様から第14の態様の1つに加えて提供される第15の態様によれば、マスター移動端末を正常に発見した時点で、または、リモート移動端末の残りの電力がしきい値を下回っているときに、または、リモート移動端末が、送信するデータを有し、オプションとして、送信するデータが特定のアプリケーションまたはサービスのデータである、ときに、送信機がグループ要求メッセージを送信する。
【0229】
第10の態様から第15の態様の1つに加えて提供される第16の態様によれば、送信機は、リモート移動端末がマスター移動端末と共にグループ化されないことを示すグループ再設定メッセージを、無線基地局に送信する。受信機は、リモート移動端末がグループの一部ではないことを確認するグループ再設定確認メッセージを、無線基地局から受信する。オプションとして、リモート移動端末は、リモート移動端末の移動端末無線セル識別子を宛先とする、無線基地局によってスケジューリングされた無線リソース割当てを監視することを開始する、および/または、リモート移動端末は、リモート移動端末を宛先とする、無線基地局によって送信されたページングメッセージを監視することを開始する。
【0230】
第17の態様によれば、リモート移動端末をマスター移動端末と共にグループ化することを支援する無線基地局、を提供する。リモート移動端末およびマスター移動端末は、移動通信ネットワークにおいて無線基地局に接続されている。マスター移動端末は、1つまたは複数のリモート移動端末と無線基地局との間の通信を中継するために、1つまたは複数のリモート移動端末それぞれのための中継器としての役割を果たすことができる。無線基地局の受信機は、マスター移動端末からグループ要求メッセージを受信し、このグループ要求メッセージは、リモート移動端末の識別子を含む。無線基地局の送信機は、リモート移動端末とマスター移動端末とのグループ化を有効にするためのグループ有効化要求メッセージを、コアネットワークのエンティティに送信する。受信機は、リモート移動端末とマスター移動端末が共にグループ化されることを確認するグループ有効化ACKメッセージを、コアネットワークにおけるエンティティから受信する。送信機は、リモート移動端末とマスター移動端末が共にグループ化されることを確認するグループ要求確認メッセージを、マスター移動端末に送信する。
【0231】
第17の態様に加えて提供される第18の態様によれば、グループ要求メッセージは、さらに、移動端末無線セル識別子を生成してリモート移動端末に割り当てることの、マスター移動端末による要求である。無線基地局のプロセッサは、移動端末無線セル識別子を生成してリモート移動端末に割り当てる。グループ要求確認メッセージは、リモート移動端末の割り当てられた移動端末無線セル識別子を含む。
【0232】
第19の態様によれば、マスター移動端末とリモート移動端末をグループ化する方法を提供する。マスター移動端末およびリモート移動端末は、移動通信ネットワークにおいて無線基地局に接続されている。マスター移動端末は、1つまたは複数のリモート移動端末と無線基地局との間の通信を中継するために、1つまたは複数のリモート移動端末それぞれのための中継器としての役割を果たすことができる。本方法は以下のステップを含む。マスター移動端末とリモート移動端末との間でディスカバリを実行する。マスター移動端末とリモート移動端末をグループ化し、このステップは、マスター移動端末またはリモート移動端末から無線基地局にグループ要求メッセージを送信するステップを含む。このグループ要求メッセージは、マスター移動端末およびリモート移動端末を識別しており、かつ、リモート移動端末をマスター移動端末と共にグループ化するように要求する。リモート移動端末とマスター移動端末が共にグループ化されることを、無線基地局がリモート移動端末およびマスター移動端末に通知する。
【0233】
第19の態様に基づく第20の態様によれば、本方法はさらなるステップを含む。無線基地局は、グループ要求メッセージを受信した時点で、リモート移動端末とマスター移動端末のグループ化が許可されるかを、コアネットワークのエンティティに要求する。コアネットワークのエンティティがグループ化を許可する場合、無線基地局は、リモート移動端末とマスター移動端末が共にグループ化されることをリモート移動端末およびマスター移動端末に通知するステップ、を実行する。
【0234】
[ハードウェアおよびソフトウェアによる本開示の実施]
別の例示的な実施形態は、上述した様々な実施形態を、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアと連携したソフトウェアを使用して実施することに関する。これに関連して、ユーザ端末(移動端末)を提供する。本ユーザ端末は、本明細書に記載されている方法を実行するように構成されており、これらの方法に適切に関与する対応するエンティティ(受信機、送信機、プロセッサなど)を含む。
【0235】
様々な実施形態は、コンピューティングデバイス(プロセッサ)を使用して実施または実行され得るものとさらに認識される。コンピューティングデバイスまたはプロセッサは、例えば、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)、または、その他プログラマブルロジックデバイスなどである。様々な実施形態は、これらのデバイスの組み合わせによっても実行または具体化され得る。特に、上述した各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、集積回路であるLSIによって実施できる。これらの機能ブロックは、個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。これらのチップは、自身に結合されているデータの入力と出力を含むことができる。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSIと呼称される。しかしながら、集積回路を実施する技術は、LSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサを使用することによって達成できる。さらには、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA、又はLSI内部の回路セルの接続又は設定を再設定可能なリコンフィギャラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0236】
さらに、様々な実施形態は、ソフトウェアモジュールによっても実施され得る。これらのソフトウェアモジュールは、プロセッサによって実行され、または、ハードウェアにおいて直接実行される。また、ソフトウェアモジュールとハードウェア実装の組み合わせも可能である。ソフトウェアモジュールは、任意の種類のコンピュータ可読記憶媒体、例えば、RAMやEPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、CD−ROM、DVDなどに格納され得る。さらには、複数の異なる実施形態の個々の特徴は、個々に、または任意の組み合わせにおいて、別の実施形態の主題とすることができることに留意されたい。
【0237】
具体的な実施形態に示した本開示には、広義に記載されている本発明の概念または範囲から逸脱することなく、様々な変更および/または修正を行うことができることが、当業者には理解されるであろう。したがって、本明細書に示した実施形態は、あらゆる点において例示的であり、本発明を制限するものではないものとみなされる。