(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の車両の前記履歴追跡データは、前記道路上の前記複数の車両の位置、および前記複数の車両が前記位置にいる対応する時点の、データを含む、請求項1または2に記載の方法。
前記道路の前記長さ、前記排出速度、前記第1の交通信号灯の前記周期長さ、前記第2の交通信号灯の前記周期長さ、および、前記第2の交通信号灯の前記青信号が点灯している前記時間長さに基づいて、前記オフセット値を決定するステップは、
前記道路の前記長さ、前記排出速度、前記第1の交通信号灯の前記周期長さ、前記第2の交通信号灯の前記周期長さ、および、前記第2の交通信号灯の前記青信号が点灯している前記時間長さに基づいて、オフセット値範囲を決定するステップと、
前記オフセット値範囲に基づいて前記オフセット値を決定するステップと、
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の実施形態に関する技術的ソリューションを示すために、実施形態の説明において参照する図面を下記で簡単に紹介する。明らかに、下記で説明する図面は単に本開示のいくつかの例または実施形態である。当業者であれば、さらなる創造的な努力をせずに、これらの図面に従って本開示を他の同様のシナリオに適用し得る。別段に記載されていない限り、または文脈から明らかでない限り、図面内の同じ参照番号は同じ構造および動作を指すものである。
【0018】
本開示および添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段に内容が明白に示していない限り、複数の指示対象を含む。さらに、「備える」、「備えている」、「含む」、および/または「含んでいる」という用語は、本開示で用いられる場合、示されるステップおよび要素の存在を指定するものであるが、1つまたは複数の他のステップおよび要素の存在または追加を除外するものではないことを理解されよう。
【0019】
システムのいくつかのモジュールは、本開示のいくつかの実施形態に従った様々な方法で参照され得る。しかしながら、任意数の異なるモジュールが、クライアント端末および/またはサーバにおいて使用および動作可能である。これらのモジュールは例示的であることが意図されており、本開示の範囲を制限することは意図されていない。システムおよび方法の異なる態様において、異なるモジュールが使用され得る。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態に従い、システムによって実行される動作がフローチャートを使用して示されている。上記または下記の動作は、順序通りに実施してもしなくてもよいことを明示的に理解されよう。逆に、動作は、逆の順序でまたは同時に実行され得る。その上、1つまたは複数の他の動作をフローチャートに追加するか、あるいは1つまたは複数の動作をフローチャートから省略してもよい。
【0021】
本開示の実施形態の技術的ソリューションを、下記のように図面を参照しながら説明する。説明する実施形態は、網羅的でなく、また限定的でないことは明白である。当業者によっていかなる創造的な努力もせずに本開示に記載されている実施形態に基づいて得られる他の実施形態は、本開示の範囲内である。
【0022】
一態様において、本開示は、交通信号灯を制御するためのシステムおよび方法を対象とする。システムは、複数の車両の履歴車両追跡データに基づいて、渋滞期間の間、下流交差点から上流の停止線に到達するまでの車両の行列の排出速度を決定し得る。システムは、排出速度に基づいて、上流交差点での交通信号灯の点灯周期を決定し得る。システムは、点灯周期に基づいて交通信号灯をさらに制御し得る。
【0023】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に従った、交通信号灯を制御するための例示的システムを示す概略図である。たとえばシステム100は、システム100によって取得される車両の追跡データに基づいて車両のスピルオーバーを回避または低減するための、信号タイミングを決定するためのプラットフォームであり得る。システム100は、サーバ110、ドライバ端末120、ストレージ・デバイス130、ネットワーク140、情報源150、および交通信号灯160を含み得る。サーバ110は、処理エンジン112を含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、サーバ110は、交通信号灯160の信号タイミングを決定するために複数の動作を実行し得る。サーバ110は、決定された信号タイミングに従って交通信号灯160を制御し得る。いくつかの実施形態において、サーバ110は複数の車両の追跡データを取得し得る。サーバ110は、収集した追跡データに基づいて、交通信号灯160の信号タイミングを決定し得る。いくつかの実施形態において、サーバ110は、単一のサーバまたはサーバ・グループであり得る。サーバ・グループは、中央集中型または分散型であり得る(たとえば、サーバ110は分散型システムであり得る)。いくつかの実施形態において、サーバ110はローカルまたはリモートであり得る。たとえば、サーバ110は、ドライバ端末120、情報源150、および/またはストレージ・デバイス130に記憶された情報および/またはデータに、ネットワーク140を介してアクセスし得る。別の例として、サーバ110は、記憶された情報および/またはデータにアクセスするために、ドライバ端末120および/またはストレージ・デバイス130に直接接続され得る。いくつかの実施形態において、サーバ110は、クラウド・プラットフォーム上で実装され得る。単なる例として、クラウド・プラットフォームは、専用クラウド、公開クラウド、ハイブリッド・クラウド、コミュニティ・クラウド、分散クラウド、インタークラウド、マルチクラウド、その他、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、サーバ110は、本開示において
図2に示される1つまたは複数の構成要素を有するコンピューティング・デバイス上で実装され得る。
【0025】
いくつかの実施形態において、サーバ110は処理エンジン112を含み得る。処理エンジン112は、スピルオーバーを回避または低減するように交通信号灯160を制御するために、信号タイミングを決定し得る。いくつかの実施形態において、処理エンジン112は1つまたは複数の処理エンジン(たとえば、シングルコア処理エンジンまたはマルチコアプロセッサ)を含み得る。単なる例として、処理エンジン112は、中央処理ユニット(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け命令セット・プロセッサ(ASIP)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、物理演算処理ユニット(PPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、コントローラ、マイクロコントローラ・ユニット、縮小命令セット・コンピュータ(RISC)、マイクロプロセッサ、その他、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、ドライバ端末120は、車両に関連付けられた位置決め情報をサーバ110に伝送し得る。たとえばドライバ端末120は、スマートフォンの位置を決定することが可能な全地球測位システム(GPS)チップセットを装備したスマートフォンであり得る。ドライバ端末120は、その位置を経時的に決定し、位置データ(追跡データとも呼ばれる)をサーバ110に伝送し得る。ドライバ端末120の位置は車両の位置と同じ(またはほぼ同じ)であり得るため、サーバ110は、位置データを、ドライバ端末120のユーザに関連付けられた車両の追跡データとして取り扱うことができる。別の例として、ドライバ端末120は、車両内に設置され、GPSチップセットが装備された、コンピューティング・デバイスであり得る。ドライバ端末120は、その位置を経時的に決定し、位置データをサーバ120に伝送し得る。サーバ110は、位置決め情報に対応する追跡データをさらに取得し得る。たとえば追跡データは、ドライバ端末120および/または車両の複数の位置を含み得る。
【0027】
いくつかの実施形態において、ドライバ端末120は、モバイル・デバイス、タブレット・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、および、動力車両ビルトイン・デバイス、その他、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、モバイル・デバイスは、スマート・ホーム・デバイス、ウェアラブル・デバイス、スマート・モバイル・デバイス、仮想現実デバイス、拡張現実デバイス、その他、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、スマート・ホーム・デバイスは、スマート照明デバイス、インテリジェント電気装置の制御デバイス、スマート監視デバイス、スマート・テレビジョン、スマート・ビデオ・カメラ、インターフォン、その他、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、ウェアラブル・デバイスは、スマート・ブレスレット、スマート・フットギア、スマート・グラス、スマート・ヘルメット、スマートウォッチ、スマート・クロージング、スマート・パックパック、スマート・アクセサリ、その他、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、スマート・モバイル・デバイスは、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、ゲーミング・デバイス、ナビゲーション・デバイス、その他、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、動力車両ビルトイン・デバイスは、オンボード・コンピュータ、オンボード・テレビジョンなどを含み得る。いくつかの実施形態において、ドライバ端末120は、車両の位置を特定するための位置決め技術を備えるデバイス(たとえば、GPSチップセットが装備されたデバイス)を含み得る。
【0028】
ストレージ・デバイス130はデータおよび/または命令を記憶し得る。いくつかの実施形態において、ストレージ・デバイス130は、ドライバ端末120から取得/獲得されたデータを記憶し得る。いくつかの実施形態において、ストレージ・デバイス130は、本開示において説明する例示的方法を実行するためにサーバ110が実行または使用し得る、データおよび/または命令を記憶し得る。いくつかの実施形態において、ストレージ・デバイス130は、大容量ストレージ、取り外し可能ストレージ、揮発性読み取り書き込みメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、その他、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。例示の大容量ストレージは、磁気ディスク、光ディスク、ソリッドステート・ドライブなどを含み得る。例示の取り外し可能ストレージは、フラッシュ・ドライブ、フロッピィ・ディスク、光ディスク、メモリ・カード、ジップ・ディスク、磁気テープなどを含み得る。例示の揮発性読み取り書き込みメモリは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)を含み得る。例示のRAMは、ダイナミックRAM(DRAM)、ダブル・デート・レート同期ダイナミックRAM(DDRSDRAM)、スタティックRAM(SRAM)、サイリスタRAM(T−RAM)、ゼロキャパシタRAM(Z−RAM)などを含み得る。例示のROMは、マスクROM(MROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能プログラマブルROM(PEROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、コンパクト・ディスクROM(CD−ROM)、およびデジタル多用途ディスクROMなどを含み得る。いくつかの実施形態において、ストレージ・デバイス130は、クラウド・プラットフォーム上で実装され得る。単なる例として、クラウド・プラットフォームは、専用クラウド、公開クラウド、ハイブリッド・クラウド、コミュニティ・クラウド、分散クラウド、インタークラウド、マルチクラウド、その他、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、ストレージ・デバイス130は、システム100内の1つまたは複数の構成要素(たとえば、サーバ110、ドライバ端末120)と通信するために、ネットワーク140に接続され得る。システム100内の1つまたは複数の構成要素は、ネットワーク140を介して、ストレージ・デバイス130内に記憶されたデータまたは命令にアクセスし得る。いくつかの実施形態において、ストレージ・デバイス130は、システム100内の1つまたは複数の構成要素(たとえば、サーバ110、ドライバ端末120)と直接接続または通信し得る。いくつかの実施形態において、ストレージ・デバイス130は、サーバ110の一部であり得る。
【0030】
ネットワーク140は、情報および/またはデータの交換を容易にし得る。いくつかの実施形態において、システム100内の1つまたは複数の構成要素(たとえば、サーバ110、ドライバ端末120、ストレージ・デバイス130)は、ネットワーク140を介して、情報および/またはデータを、システム100内の別の構成要素へ送信すること、および/または別の構成要素から受信することが可能である。たとえば、サーバ110は、ネットワーク140を介して端末から車両の軌道データを取得/獲得し得る。いくつかの実施形態において、ネットワーク140は、任意のタイプの有線または無線のネットワーク、またはそれらの組み合わせであり得る。単なる例として、ネットワーク140は、ケーブル・ネットワーク、ワイヤライン・ネットワーク、光ファイバ・ネットワーク、電気通信ネットワーク、イントラネット、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、公衆交換電話網(PSTN)、Bluetooth(登録商標)ネットワーク、ZigBee(登録商標)ネットワーク、近距離無線通信(NFC)ネットワーク、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GSM(登録商標))ネットワーク、符号分割多重アクセス(CDMA)ネットワーク、時分割多重アクセス(TDMA)ネットワーク、汎用パケット無線サービス(GPRS)ネットワーク、拡張データ・レート・フォーGSMエボリューション(EDGE)ネットワーク、広帯域符号分割多重アクセス(WCDMA(登録商標))ネットワーク、高速ダウンリンク・パケット・アクセス(HSDPA)ネットワーク、ロング・ターム・エボリューション(LTE)ネットワーク、ユーザ・データグラム・プロトコル(UDP)ネットワーク、伝送制御プロトコル/インターネット・プロトコル(TCP/IP)ネットワーク、ショート・メッセージ・サービス(SMS)ネットワーク、無線アプリケーション・プロトコル(WAP)ネットワーク、超広帯域(UWB)ネットワーク、赤外線、その他、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、システム100は1つまたは複数のネットワーク・アクセス・ポイントを含み得る。たとえば、システム100は、基地局および/または無線アクセス・ポイント140−1、140−2、・・・などの有線または無線ネットワーク・アクセス・ポイントを含み得、データおよび/または情報を交換するために、それらを介して、システム100の1つまたは複数の構成要素をネットワーク140に接続し得る。
【0031】
情報源150は、他の情報をシステム100に提供するように構成されたソースであり得る。情報源150は、システム100に、天候状況、交通情報、法規制の情報、ニュース・イベント、その他などの、サービス情報を提供し得る。いくつかの実施形態において、情報源150は、履歴および/または現在の交通データ(たとえば、渋滞期間、交通信号灯パターン)を提供する、公式交通データベースを含み得る。サーバ110は、情報源150から交通信号灯の周期長さを取得し得る。交通信号灯の周期長さは、青信号持続時間、赤信号持続時間、および黄信号持続時間(必要であれば)を含む、交通信号灯の周期持続時間を指す。本開示では、赤信号持続時間および青信号持続時間が考察され、黄信号持続時間は考察されないが、当業者であれば、必要以上の実験なしに本開示に照らして黄信号持続時間をどのように含めるかを理解されよう。いくつかの実施形態において、黄信号持続時間は、青信号持続時間または赤信号持続時間に含まれるものと見なし得る。情報源150は、単一の中央サーバ、通信リンクを介して接続される複数サーバ、または複数のパーソナル・デバイスにおいて実装され得る。情報源150が複数のパーソナル・デバイスにおいて実装される場合、パーソナル・デバイスは、たとえば、テキスト、音声、画像、および映像をクラウド・サーバにアップロードすることによって、コンテンツ(たとえば、「ユーザ生成コンテンツ」と呼ばれる)を生成することができる。情報源は、複数のパーソナル・デバイスおよびクラウド・サーバによって生成され得る。
【0032】
図2は、本開示のいくつかの実施形態に従った、コンピューティング・デバイスの例示的構成要素を示す概略図である。サーバ110、ドライバ端末120、および/またはストレージ・デバイス130は、本開示のいくつかの実施形態に従ったコンピューティング・デバイス200上で実装され得る。特定のシステムは、1つまたは複数のユーザ・インターフェースを含むハードウェア・プラットフォームを説明するために、機能ブロック図を使用することができる。コンピュータは、汎用または特定の機能を備えるコンピュータであり得る。どちらのタイプのコンピュータも、本開示のいくつかの実施形態に従った任意の特定のシステムを実装するように構成され得る。コンピューティング・デバイス200は、本開示において開示された1つまたは複数の機能を実行する任意の構成要素を実装するように構成され得る。たとえば、コンピューティング・デバイス200は、本明細書で説明するシステム100の任意の構成要素を実装し得る。
図1および
図2では、単に便宜上、こうしたコンピュータ・デバイスを1つだけ表示している。当業者であれば、本願の出願時点で、本明細書で説明するサービスに関するコンピュータ機能は、処理負荷を分散させるために多くの同様のプラットフォーム上で、分散様式で実装可能であることを理解されよう。
【0033】
コンピューティング・デバイス200は、たとえば、データ通信を容易にするために、接続されたネットワークとの間に接続されたCOMポート250を含み得る。コンピューティング・デバイス200は、プログラム命令を実行するために、1つまたは複数のプロセッサの形(たとえば、論理回路)のプロセッサ(たとえばプロセッサ220)も含み得る。たとえば、プロセッサ220は、インターフェース回路および処理回路を内部に含み得る。インターフェース回路は、バス210から電子信号を受信するように構成され得、電子信号は、処理回路が処理するために、構造化データおよび/または命令を符号化する。処理回路は、論理計算を実行した後、電子信号として符号化された結論、結果、および/または命令を決定し得る。その後、インターフェース回路は、処理回路からバス210を介して電子信号を送信し得る。
【0034】
例示的コンピューティング・デバイスは、様々なデータ・ファイルをコンピューティング・デバイスによって処理および/または伝送するために、内部通信バス210、たとえばディスク270を含む異なる形のプログラム・ストレージおよびデータ・ストレージ、および読み取り専用メモリ(ROM)230、またはランダム・アクセス・メモリ(RAM)240を含み得る。例示的コンピューティング・デバイスは、ROM230、RAM240、および/または、プロセッサ220によって実行される別のタイプの持続性記憶媒体内に記憶された、プログラム命令も含み得る。本開示の方法および/またはプロセスは、プログラム命令として実装され得る。コンピューティング・デバイス200は、コンピュータと他の構成要素との間での入力/出力をサポートする、I/O構成要素260も含む。コンピューティング・デバイス200は、ネットワーク通信を介してプログラミングおよびデータも受信し得る。
【0035】
単なる例示のために、
図2では1つのCPUおよび/またはプロセッサのみが示されている。複数のCPUおよび/またはプロセッサも企図され、したがって、本開示で説明する1つのCPUおよび/またはプロセッサによって実行される動作および/または方法ステップを、複数のCPUおよび/またはプロセッサによって共同で、または別々に実行することも可能である。たとえば、本開示において、コンピューティング・デバイス200のCPUおよび/またはプロセッサがステップAおよびステップBの両方を実行する場合、ステップAおよびステップBは、コンピューティング・デバイス200において、2つの異なるCPUおよび/またはプロセッサによって共同でまたは別々に実行する(たとえば、第1のプロセッサはステップAを実行し、第2のプロセッサはステップBを実行するか、または第1および第2のプロセッサは共同でステップAおよびステップBを実行する)ことも可能であることを理解されたい。
【0036】
図3は、本開示のいくつかの実施形態に従った、例示のモバイル・デバイスの例示のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素を示すブロック図である。ドライバ端末120は、本開示のいくつかの実施形態に従い、モバイル・デバイス300上で実装され得る。
図3に示されるように、モバイル・デバイス300は、通信モジュール310、ディスプレイ320、グラフィックス処理ユニット(GPU)330、中央処理ユニット(CPU)340、I/O350、メモリ360、およびストレージ390を含み得る。CPU340は、プロセッサ220と同様に、インターフェース回路および処理回路を含み得る。いくつかの実施形態において、システム・バスまたはコントローラ(図示せず)を含むが限定されない任意の他の好適な構成要素を、モバイル・デバイス300に含めることもできる。いくつかの実施形態において、モバイル・オペレーティング・システム370(たとえば、iOS(登録商標)、Android(登録商標)、Windows Phone(登録商標))および1つまたは複数のアプリケーション380を、CPU340によって実行するために、ストレージ390からメモリ360にロードすることができる。アプリケーション380は、軌道データをサーバ110に伝送するためのブラウザまたは任意の他の好適なモバイル・アプリケーションを含み得る。情報ストリームとのユーザ対話は、I/Oデバイス350によって達成され得、ネットワーク140を介して、システム100の処理エンジン112および/または他の構成要素に提供され得る。
【0037】
前述の様々なモジュール、ユニット、およびそれらの機能を実装するために、コンピュータ・ハードウェア・プラットフォームは、1つまたは複数の要素(たとえば、
図1に記載されたサーバ110の構成要素)のハードウェア・プラットフォームとして使用され得る。これらのハードウェア要素、オペレーティング・システム、およびプログラム言語は一般的であるため、当業者であれば、これらの技法に精通しており、本開示で説明する技法に従って交通信号灯を制御する際に必要な情報を提供し得ることが想定されよう。ユーザ・インターフェースを備えるコンピュータは、パーソナル・コンピュータ(PC)、あるいは他のタイプのワークステーションまたは端末デバイスとして使用され得る。ユーザ・インターフェースを備えるコンピュータは、適切にプログラミングされた後、サーバとして使用され得る。当業者であれば、この種のコンピュータ・デバイスのこうした構造、プログラム、または汎用動作にも精通しているものと見なされ得る。したがって、図面についてこれ以上説明しない。
【0038】
図4は、本開示のいくつかの実施形態に従った、例示の処理エンジンを示すブロック図である。処理エンジン112は、獲得モジュール410、排出速度決定モジュール420、オフセット値決定モジュール430、および調節モジュール440を含み得る。モジュールは、処理エンジン112の少なくとも一部のハードウェア回路であり得る。モジュールは、処理エンジン112によって読み取りおよび実行されるアプリケーションまたは命令セットとしても実装され得る。さらに、モジュールは、ハードウェア回路およびアプリケーション/命令の任意の組み合わせであり得る。たとえばモジュールは、処理エンジン112がアプリケーション/命令セットを実行しているとき、処理エンジン112の一部であり得る。
【0039】
獲得モジュール410は、システム100内の1つまたは複数の構成要素(たとえば、ドライバ端末120またはストレージ・デバイス130)からデータを取得し得る。いくつかの実施形態において、取得されたデータは、複数の車両に関する履歴追跡データを含み得る。いくつかの実施形態において、取得されたデータは、渋滞期間(たとえば、平日のラッシュ・アワー)を含み得る。獲得モジュール410は、取得されたデータを記憶するためにストレージ(たとえば、ストレージ・デバイス130)に伝送し得る。獲得モジュール410は、取得されたデータを、さらなる処理のために処理エンジン112の他のモジュールに伝送し得る。
【0040】
排出速度決定モジュール420は、取得された履歴追跡データに基づいて排出速度を決定し得る。たとえば排出速度決定モジュール420は、履歴追跡データの一部に基づいて、渋滞期間の間の排出速度を決定し得る。いくつかの実施形態において、排出速度決定モジュール420は、履歴追跡データの一部を時空間図上の周期持続時間にマッピングし得る。いくつかの実施形態において、排出速度決定モジュール420は、複数の車両の複数の相対開始時点を決定し得る。排出速度決定モジュール420は、複数の車両の複数の相対開始時点に基づいて、排出速度を決定し得る。
【0041】
オフセット値決定モジュール430は、道路の長さ、排出速度、第1の交通信号灯の周期長さ、第2の交通信号灯の周期長さ、および、第2の交通信号灯の青信号が点灯している時間長さに基づいて、第1の交通信号灯に対する第2の交通信号灯のオフセット値を決定し得る。交通信号灯の周期長さは、青信号持続時間、赤信号持続時間、および/または黄信号持続時間を含む、交通信号灯の周期的な持続時間を指す。いくつかの実施形態において、黄信号持続時間は、青信号持続時間または赤信号持続時間に含まれるものと見なし得る。第1の交通信号灯は、下流交差点にある交通信号灯であり得る。第2の交通信号灯は、上流交差点にある交通信号灯であり得る。いくつかの実施形態において、オフセット値決定モジュール430は、下流交差点からの排出波が上流交差点の上流停止線に達する周期内の相対時間を決定し得る。オフセット値決定モジュール430は、相対時間および第2の交通信号灯の青信号の時間長さに基づいて、第1の交通信号灯に対する第2の交通信号灯のオフセット値をさらに決定し得る。たとえば、オフセット値決定モジュール430は、不等式(19)に従って、第1の交通信号灯に対する第2の交通信号灯のオフセット値を決定し得る。
【0042】
調節モジュール440は、オフセット値に基づいて第2の交通信号灯の信号タイミングを決定し得る。いくつかの実施形態において、調節モジュール440は、渋滞期間の間にオフセット値である時間持続期間だけ、第2の交通信号灯を遅延させ得る。たとえば、調節モジュール440は、
図14に示されるように第2の交通信号灯の信号タイミングを決定し得る。
【0043】
処理エンジン112の上記の説明は単に例示の目的であり、本開示の範囲を限定することは意図されていないことに留意されたい。当業者であれば、本開示の教示の下で複数の変形および修正が可能である。たとえば処理エンジン112は、データの記憶を容易にするストレージ・モジュールをさらに含み得る。しかしながら、それらの変形および修正は、本開示の範囲を逸脱するものではない。
【0044】
図5は、本開示のいくつかの実施形態に従った、例示の一方通行道路網を示す概略図である。
図5は、道路502によって接続された上流交差点504(すなわち、交差点A)および下流交差点506(すなわち、交差点B)を含む、簡略化された一方通行道路網である。いくつかの実施形態において、一方通行道路網500における車両の旋回運動は禁止の可能性がある。いくつかの実施形態において、道路502上のある期間での交通状況が交通まひであるとき、行列内の複数の車両は、道路502上で下流交差点506を通過するのを待機して、停止し得る。下流交差点506での交通信号灯の周期内に行列が完全に排出できない場合、残余行列が形成され、上流交差点504まで溢れ出ることもあり得、これによって上流交差点504の交通まひが発生する場合がある。他方で、交通まひは、一方の道路(またはリンク)上での行列スピルオーバーを開始させ、その後、近接する道路(またはリンク)まで波及し得る。行列スピルオーバーが低減または制御される場合、交通まひは防止され得る。行列スピルオーバーに関するさらなる説明は、本開示の他の場所(たとえば、
図6、
図7A〜7B、および
図8A〜8B、ならびにそれらの説明)に記載されている。
【0045】
上記の説明は単なる例示のためであり、本開示の範囲を限定することは意図されていないことに留意されたい。当業者であれば、本開示の教示の下で複数の変形および修正が可能である。たとえば一方通行道路網500は、2つの交差点を含むがこれに限定されず、3つの交差点なども含み得る。
【0046】
図6は、本開示のいくつかの実施形態に従った、1道路上の例示の行列長さ軌道を示す概略図である。
図6は、行列長さ軌道(すなわち、行列最後尾の車両の位置)が時空間図においてどのように移動するかの例を示す。時空間図の水平軸は時間を表し、時空間図の垂直軸は位置を表す。交通信号灯が下流交差点にあり得(本明細書では第1の交通信号灯とも呼ばれる)、交通信号灯が上流交差点にあり得る(本明細書では第2の交通信号灯とも呼ばれる)。下流交差点(たとえば、
図5に示される下流交差点506)および上流交差点(たとえば、
図5に示される上流交差点504)は、道路(たとえば、道路502)によって接続され得る。上流交差点の長さはzである。道路の長さはLである。いくつかの実施形態において、道路の長さは、
図6に示されるように上流交差点の長さを含み得る。並行な補助線の2つのグループ、たとえば補助線601および補助線602は、行列長さの決定を助けるために示されている。破線補助線601を含む一方のグループは、上流交通信号の位相切り替え時間から開始し、自由流れ速度vで右下に向かって移動し得る。補助線602を含む他方のグループは、下流信号の位相切り替え時間から開始し、後方伝搬速度wで右上に向かって移動し得る。行列長さ軌道は、ステージ(1)、ステージ(2)、・・・、などの多くのステージからなる複数の太い実線によって示され得る。
【0047】
図6における時空間図は、LWR衝撃波理論を使用して開発された時変行列長さモデルとして指定され得る。プロセッサ(たとえば、処理エンジン112)は、ある仮定に基づいて時変行列長さモデルを決定し得る。仮定には、(a)交通は一方通行であり、旋回運動を含まない、たとえば、
図5に示される一方通行道路網500であること、(b)たとえ下流道路が満杯の場合であっても、通行優先権を伴う車両は常に交差点に進入すること、(c)起点には適切な車両が供給される。したがって、上流交通信号が青であり、道路が封鎖されていない限り、車両は自由流れ速度(たとえば、v)および排出流量でリンクに入ること、(d)2つの交差点は、対象道路について、cで示される同じ一定の周期長さ、およびg
sで示される同じ青スプリットを有すること、(e)自由流れオフセットは、青帯域が最大(青時間に等しい)になるように設定されること、(f)リンク上にはソースまたはシンクは存在しないこと、(g)交通は、自由流れ速度vおよび後方伝搬波速度w(本明細書では、排出速度とも呼ばれる)を伴う三角形基本モデルによって記述されること、が含まれ得る。三角形基本モデルは、数式(1)によって以下のように示され得、
【数1】
上式で、q
cおよびp
cは、それぞれ、交通排出状態の場合の流量および密度を表し、q
jおよびp
jは、それぞれ、交通混雑状態の場合の流量および密度を表す。当業者であれば、三角形基本モデルは、交通問題を調査するために不可欠なモデルであり得、本開示では詳細に説明しない。
【0048】
上流からの車両が行列に合流する場合、行列長さ軌道は増加し(たとえば、ステージ(4))、車両が来ない場合、行列長さ軌道は変化のないままである(たとえば、ステージ(5))。減少線(たとえば、
図6においてステージ(6)に示される太い破線)は、排出の間の行列の最終車両の位置を示し得る。一般性を失うことなく、時間t=t
0での初期条件は、n
0の車両(すなわち、車両の数がn
0に等しい)を伴う行列が道路上に累積するものと仮定され得る。初期行列長さは、l
0=n
0×p
jによって与えられる。比較的大きな初期値l
0に起因して、初期行列は第1の周期内では解消できないが、第2の周期内で解消できる可能性がある。この場合、l
0は下記の不等式(2)を満たし得、
l
r+l
g<l
0+l
g≦2(l
r+l
g) (2)
上式で、l
gおよびl
rは、それぞれ、1青信号期間および1赤信号期間における行列長さの成長を示す。l
gは、以下のように、数式(3)によって与えられ、
【数2】
l
rは、以下のように、数式(4)によって与えられる。
【数3】
【0049】
行列長さ軌道は、最終的に、
図6においてステージ(7)から(10)の組み合わせによって示される周期反復パターンに収束する。この場合、最大行列長さl
maxは以下のように、数式によって与えられる。
l
max=l
0+2l
g (5)
【0050】
この場合、T
maxは、最大行列長さl
maxが持続する持続時間を示す。数式(6)は、以下のように、三角形の類似性に基づいて決定され得る。
【数4】
次いで、T
maxの値は、以下のように、数式(7)によって決定され得る。
【数5】
【0051】
いくつかの実施形態において、異なる初期値l
0が与えられた場合、プロセッサは、以下のように、l
maxおよびT
maxの一般式を決定し得、
【数6】
【数7】
上式で、関数ceil(x)はxを無限大に向かって最も近い整数に丸め、関数floor(x)はxを負の無限大に向かって最も近い整数に丸め、関数mod(x,y)はxをyで割った後の剰余(reminder)を指す。
【0052】
図7Aは、本開示のいくつかの実施形態に従った、1道路上のスピルオーバー内の例示の行列長さ軌道を示す概略図である。
図6と同様に、
図7Aは時空間図である。
図7Aに示されるように、Lは道路の長さを示し、これは上流停止線から下流停止線までの距離である。zは上流交差点の長さを示す。第1の交通信号灯は下流交差点にある。第2の交通信号灯上流交差点にある。
【0053】
図7Aに示されるように、道路上の実際の行列長さ軌道は太い黒線によって示され得、道路上の基準軌道701も比較のために示されている。時間t=t
sにおいて、行列軌道は上流交差点の停止線に到達し得、行列は上流へと溢れ、上流交差点を完全に封鎖する。道路長さ(すなわち、L)に等しい実際の最大行列長さ(すなわち、l
max)は、交通信号がすでに赤に変わったとき、下流交差点からの排出波が上流交差点に到達するまで、維持され得る。特定の道路上でスピルオーバーが生じると、一方では、スピルオーバーは道路に沿って後方に広がり得、すなわち、上流からの車両は青信号持続時間の終わり近くに道路に入ることができないことを理解されたい。他方で、スピルオーバーは道路に対して垂直に広がり得、すなわち、交差道路からの車両は、青信号持続時間(説明される道路にとっては赤信号持続時間である)の始まりに交差点を通過することができない。時空間図のスピルオーバー部分は、破線ボックス702によって示され得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、全交差点スピルオーバー時間(IST)は、2つの別個の部分、後方交差点スピルオーバー時間(BIST)および垂直交差点スピルオーバー時間(PIST)に分割され得る。全交差点スピルオーバー時間は、以下のように記述され得る。
IST=BIST+PIST (10)
【0055】
図7Bは、
図7Aにおけるボックス702(すなわち、スピルオーバー部分)の拡大図である。
図7Bに示されるように、ACDEが平行四辺形であることは容易にわかる。したがって、IST(
図7Bにおいて、セグメントACの長さによって示される)は、T
max(
図7Bにおいて、セグメントDEの長さによって示される)に等しく、数式(9)で決定され得、すなわち、
【数8】
である。この場合、ABの長さはBISTを示し、BCの長さはPISTを示す。三角形EAB、XCB、およびXDEの類似性に従い、BISTおよびPISTは、それぞれ数式(12)および数式(13)に従って、以下のように決定され得、
【数9】
【数10】
上式で、Xは、上流の赤波および下流の青波の両方に同時に存在する、上流交差点に最も近い交差ポイントである。l
maxの値およびT
maxの値は、上記の数式(8)および(9)で与えられ、Xの位置は、以下のように数式(14)によって与えられる。
【数11】
【0056】
いくつかの実施形態において、BISTはゼロに等しい可能性があり、すなわち、ISTは、PIST、たとえば
図7Bに示される破線円703に等しい。PISTはB’C’の長さに等しい可能性がある。
【0057】
それにもかかわらず、
図7Aおよび
図7Bに示されるようなケースが唯一のケースではない。いくつかの実施形態において、交差ポイントXは、
図8Bに示される道路長さを超える。
図8Aは、本開示のいくつかの実施形態に従った、1道路上のスピルオーバーにおける例示的な行列長さ軌道を示す概略図であり、
図8Bは、
図8Aにおけるスピルオーバー部分802の拡大図である。この場合、下流交差点から始まる排出波が青時間の間に上流停止線に達するとき、上流交差点で停止する行列は、常に、行列が上流交差点に達する同じ青持続時間で解消されることが可能である。結果として、PISTは生じず、垂直側の道路は影響を受けない。
図8Aの場合、BISTおよびPISTの表現は、以下のように、数式(15)および(16)から直接導出され得る。
BIST=T
max (15)
PIST=0 (16)
【0058】
数式(10)および(11)は、
図8Aに示される場合に、依然として保持されることに留意されたい。当業者であれば、スピルオーバーが生じると、何台かの車両は青信号持続時間の間、上流交差点から道路に入ることができない可能性があることを理解されたい。次の周期における行列長さは、その初期値よりも小さくなり得る。差Δlは、以下のように数式(17)によって決定される。
【数12】
【0059】
その後、行列は排出され、
図5と同様に周期的に再形成され得る。いくつかの実施形態において、行列長さ軌道は、最大値が道路長さに等しい新しい周期パターンに収束し得ることは容易にわかる。さらに、行列は周期ごとに上流停止線に達するが、行列は上流からの流入交通を封鎖しない可能性がある。たとえば、
図7Aに示されるように、行列長さは、青信号持続時間の終わりに最大値(すなわち、道路の長さL)に等しい可能性がある。別の例として、
図8Aに示されるように、行列長さが最大値l
maxに達した後、行列はすぐに解消され得る。したがって、さらなる周期内にBISTは存在しない。
【0060】
図7Aの場合、行列する車両が青信号時間の終わりに上流交差点を占有している限り、PISTが生じ得る。PISTの値は、下流交差点からの排出波が上流交差点に達したときに、周期内の相対時間によって決定され得、あらゆる周期において変更されないままである。したがって、B’C’の長さは、
図7BにおけるBCの長さに等しい可能性がある。PISTが生じると、必要性が十分であり、車両が流入し続けている限り、その後のあらゆる周期において一定の値を継続し得る。
図7Aに示される場合と
図8Aに示される場合を比較すると、下流交差点からの排出波が上流停止線に達したとき、周期内の相対時間は、PISTが発生し、持続するかどうかを決定する、道路の不可欠な特徴である。いくつかの実施形態において、交通まひを防止または低減させるために、プロセッサは、下流交差点からの排出波が青信号持続時間の間に上流停止線に達するように、交差点の1つまたは複数の交通信号灯を制御し得る。言い換えれば、プロセッサは、下流交差点からの排出波が上流停止線に達するとき、周期内の相対時間を青信号持続時間よりも少なくすることができる。いくつかの実施形態において、プロセッサは、相対時間に基づいて交通信号灯の時間持続期間を調節し、調節された交通信号灯の青信号持続時間の間に、下流交差点が上流停止線に達することを保証し得る。交通信号灯をどのように調節するかについての詳細な説明は、本開示の他の場所(たとえば、
図9およびそれらの説明)に記載されている。
【0061】
図9は、本開示のいくつかの実施形態に従った、交通信号灯を制御するための例示的プロセスを示すフローチャートである。いくつかの実施形態において、プロセス900はシステム100で実装され得る。たとえばプロセス900は、命令の形として、ストレージ・デバイス130および/またはストレージ(たとえば、ROM230、RAM240など)に記憶され得、サーバ110(たとえば、サーバ110内の処理エンジン112、またはサーバ110内の処理エンジン112のプロセッサ220)によって呼び出しおよび/または実行され得る。
【0062】
902において、プロセッサ(たとえば、処理エンジン112の獲得モジュール410)は、履歴期間にわたって、道路、上流交差点、および下流交差点を通過した、複数の車両の履歴追跡データを取得し得る。道路は、上流交差点および下流交差点を接続し得る。たとえば
図5に示されるように、道路502は、上流交差点Aおよび下流交差点Bを接続する。複数の車両は、上流交差点Aから下流交差点Bへと、道路502に沿って流れることができる。いくつかの実施形態において、複数の車両のうちの少なくとも1つの位置決めシステム(たとえば、GPSシステム)は、その追跡データを、ネットワーク140を介してストレージ・デバイス130に伝送し得る。いくつかの実施形態において、位置決めシステムは、モバイル端末(たとえば、ドライバ端末120)に組み込むことができる。モバイル端末は、追跡データをストレージ・デバイス130に伝送し得る。獲得モジュール410は、履歴期間にわたって、複数の車両の履歴追跡データをさらに取得し得る。履歴追跡データは、複数の車両に関連付けられた空間情報および時間情報を含み得る。たとえば空間情報は、道路502上の複数の車両の位置を含み得る。時間情報は、複数の車両がその位置にいるときの対応する時点、および、交差点の交通信号灯データ(たとえば、青信号持続時間、赤信号持続時間)などを含み得る。履歴期間は、たとえば時間、日、週、月などの所定の期間を含み得る。プロセッサ(たとえば、処理エンジン112)は、複数の車両に関連付けられた空間情報および時間情報に基づいて、履歴追跡データを処理し得る。たとえば処理エンジン112は、空間情報および時間情報を使用して空間時間図を決定し得る。
【0063】
904において、プロセッサ(たとえば、獲得モジュール410)は渋滞期間を取得し得る。いくつかの実施形態において、渋滞期間は、経験に従った所定の期間(たとえば、平日のラッシュアワー)、たとえば午前7:00から午前9:00までである。いくつかの実施形態において、プロセッサは、ストレージ(たとえば、ストレージ・デバイス130)から所定の渋滞期間を取得し得る。たとえばユーザは、端末(たとえば、携帯電話)を介して渋滞期間を予め決定し得る。その後、所定の渋滞期間がストレージ・デバイス130に記憶され得る。獲得モジュール410は、ストレージ・デバイス130から所定の渋滞期間を取得し得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、プロセッサ(たとえば、獲得モジュール410)は、複数の車両の履歴追跡データに基づいて、渋滞期間を取得し得る。たとえば処理エンジン112は、複数の車両の履歴追跡データに基づいて、2つの近接する交差点、すなわち上流交差点と下流交差点の間の車両の行列長さを決定し得る。処理エンジン112は、行列長さに基づいて、渋滞期間を決定し得る。獲得モジュール410は、決定された渋滞期間を取得し得る。期間(t1〜t2)の間、車両の行列長さが閾値(たとえば、上流交差点と下流交差点との間の道路長さ)よりも大きい場合、または行列が近接する道路へと溢れ出ていると仮定すると、処理エンジン112は、期間(t1〜t2)が渋滞期間であると決定し得る。別の例の場合、処理エンジン112は、道路を通過した複数の車両の平均通過速度に基づいて、渋滞期間を決定し得る。獲得モジュール410は、車両が道路を通過するとき、履歴追跡データに基づいて車両の通過時間を取得し得る。処理エンジン112は、道路長さ、および複数の車両の各々の対応する通過時間に基づいて、道路を通過した複数の車両の各々の通過速度をさらに決定し得る。処理エンジン112は、各車両の対応する通過速度の合計を、複数の車両の数で割ることによって、平均通過速度を決定し得る。期間(t3〜t4)の間の複数の車両の平均通過速度が遅い、たとえば、平均通過速度が値(たとえば、5km/h、10km/h)よりも遅い場合、処理エンジン112は、期間(t3〜t4)が渋滞期間であると決定し得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、プロセッサ(たとえば、獲得モジュール410)は、第三者データベース(たとえば、マップ・サービス・プロバイダ、公的輸送データベース)から、渋滞期間、たとえば午前または午後のラッシュアワーを取得し得る。
【0066】
単なる例示のために、プロセッサは、
図10に示されるような時空間図を生成するために、複数の車両の履歴追跡データを処理し得る。
図10は、本開示のいくつかの実施形態に従った、例示的な時空間図を示す概略図である。プロセッサは、複数の車両の履歴追跡データに基づいて時空間図を決定し得る。
図10に示されるように、時空間図の水平軸は時間を示し、tによって表される。時空間図の垂直軸は車両の位置を示し、lによって表される。たとえば、l
0は上流交差点の位置を示し、l
1は下流交差点の位置を示す。上流交差点と下流交差点との間の距離は、Lによって示される。破線は車両の履歴軌道線を示し、その履歴追跡データに基づいて決定される。プロセッサは、複数の車両の履歴追跡データを対応する軌道線に変換し得る。
【0067】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、期間が渋滞期間であるかどうかを決定し得る。たとえば
図10に示されるように、時空間図は、複数の周期における複数の車両の履歴軌道を含み得る。各線は、経時的な車両の追跡を表す。周期は、青信号持続時間および赤信号持続時間を含み得る。いくつかの実施形態において、プロセッサは、時空間図に基づいて渋滞期間を決定し得る。たとえば、時空間図において軌道線の一部が平坦である場合、対応する車両は、軌道線の平坦部分に対応する期間にわたって動かないものと見なされる。プロセッサは、時空間図から、ある期間における道路上の行列最後尾の車両の停止位置を取得し得る。軌道線の平坦部分に対応する位置は、停止位置として指定され得る。プロセッサは、行列最後尾の車両の停止位置が上流交差点の停止線を超えるかどうかを決定し得る。行列最後尾の車両の停止位置がある期間における上流交差点の停止線を超える場合、プロセッサは、期間が渋滞期間であることを決定し得る。
【0068】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、時空間図に従って、道路を通過する複数の車両の各々の通過期間を決定し得る。たとえばプロセッサは、車両が上流交差点を通過する場合の開始時点、および/または、車両が下流交差点を通過する場合の終了時点を取得し得る。開始時点は、車両の軌道の開始点に対応する時点を指す。終了時点は、車両の軌道の終了点に対応する時点を指す。プロセッサは、開始時点と終了時点との間の時間持続期間を、車両の通過期間として決定し得る。プロセッサは、道路長さと、複数の車両の各々の対応する通過期間とに基づいて、道路を通過する複数の車両の各々の通過速度も決定し得る。プロセッサは、決定された車両の通過速度に基づいて、平均通過速度をさらに決定し得る。ある期間の複数の車両の平均通過速度が遅い、たとえば、平均通過速度が値(たとえば、5km/h、10km/h)よりも遅い場合、プロセッサは、その期間が渋滞期間であると決定し得る。
【0069】
906において、プロセッサ(たとえば、排出速度決定モジュール420)は、履歴追跡データの一部に基づいて、渋滞期間の間の排出速度を決定し得る。履歴追跡データの一部は、渋滞期間(たとえば、平日の午前7:00から午前9:00)の間の、複数の車両の履歴追跡データを指す。たとえば、獲得モジュール410は、各平日の渋滞期間の間、東から西への流れ方向に沿って、交差点(たとえば、
図5に示される下流交差点B)を通過した複数の車両の履歴追跡データを取得し得る。排出速度決定モジュール420はさらに、履歴追跡データの一部を時空間図上の周期持続時間にマッピングし得る。たとえば、
図13Aに示されるように、毎日ある特定の期間に同じ交差点を通過した複数の車両の履歴追跡データが、時空間図にマッピングされる。時空間図上の複数の車両の各々の履歴追跡データに対応する各軌道は、交差点(たとえば、
図5に示される下流交差点B)の交通信号灯の周期持続時間内にあり得る。期間0〜r1は赤信号持続時間を指し、期間r1〜g1は青信号持続時間を指す。履歴追跡データを時空間図上の周期持続時間にどのようにマッピングするかについての詳細な説明は、本開示の他の場所(たとえば、
図11〜
図12、
図13A、および
図13B、ならびにそれらの説明)に記載されている。
【0070】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、履歴追跡データに基づいて、複数の第1の車両の各々の相対開始時点を決定し得る。第1の車両は、第1の交通信号灯の青信号が点灯している1つの期間の間に、停止状態から移動を開始し、道路と下流交差点との間の境界を横断した、車両を含み得る。たとえばプロセッサは、複数の第1の車両の各々の実際の開始時点、および、第1の交通信号灯の青信号が点灯している期間の開始時点を、取得し得る。プロセッサは、第1の車両の実際の開始時点、および、第1の交通信号灯の青信号が点灯している期間の開始時点に基づいて、相対開始時点をさらに決定し得る。たとえば、第1の車両の実際の開始時点は時点Aにある。第1の交通信号灯の青信号の期間の開始時点は、時点Bにある。排出波が、第1の交通信号灯の青信号の期間の開始時点での排出速度で、上流へと後方に伝搬を開始し得るものと仮定すると、時点Aは時点Bよりも後である。プロセッサは、時点Aと時点Bとの間の差(すなわち、A−B)に基づいて、第1の車両の相対時間長さを決定し得る。周期持続時間において、青信号の開始時点は、基準時点(たとえば、
図13Aまたは
図13Bに示されるr1)として指定され得る。第1の車両の相対開始時点は、基準時点および第1の車両の相対時間長さに基づいて決定され得、たとえば、第1の車両の相対時点はr1+(A−B)である。相対開始時点をどのように決定するかについての詳細な説明は、本開示の他の場所(たとえば、
図12およびそれらの説明)に記載されている。
【0071】
プロセッサは、複数の第1の車両の相対時点に基づいて排出速度を決定し得る。たとえば、プロセッサは、相対時点での複数の第1の車両の対応する位置を決定し得る。プロセッサは、複数の第1の車両の相対時点と、相対時点での複数の第1の車両の対応する位置とに基づいて、排出速度をさらに決定し得る。たとえば、プロセッサは、線形当てはめ方法に基づいて、相対開始時点および対応する位置に対応する追跡点を、直線に当てはめ得る(たとえば、
図13Bに示される当てはめ直線1322)。相対開始時点および対応する位置に対応する追跡点は、本明細書では排出点(たとえば、
図13Bに示される排出点1321)とも呼ばれる。プロセッサは、当てはめ直線の傾斜を排出速度として決定し得る。
【0072】
908において、プロセッサ(たとえば、オフセット値決定モジュール430)は、道路の長さ、排出速度、第1の交通信号灯の周期長さ、第2の交通信号灯の周期長さ、および、第2の交通信号灯の青信号が点灯している時間長さに基づいて、第1の交通信号灯に対する第2の交通信号灯のオフセット値を決定し得る。第2の交通信号灯は上流交差点における交通信号灯を指し、第1の交通信号灯は下流交差点における交通信号灯を指す。本明細書で使用される場合、第1の交通信号灯に対する第2の交通信号灯のオフセット値は、第1の交通信号灯の点灯周期の開始時点と、第2の交通信号灯の点灯周期の対応する開始時点との間の、差分値を指す(第1の交通信号灯および第2の交通信号灯の周期長さは同じであると見なされる)。たとえば、午前9:00頃、第1の交通信号灯の青信号は9:01に点灯を開始し得、第2の交通信号灯の青信号は9:02に点灯を開始し得る。第1の交通信号灯に対する第2の交通信号灯のオフセット値は、2つの時点間の差、すなわち1分である。行列のスピルオーバーを制御するために、第2の交通信号灯の青信号が点灯している時間持続期間の間に、下流交差点からの排出波を上流交差点の停止線に到達させることが望ましい。プロセッサは、第2の交通信号灯の青信号の時間持続期間の間に、下流交差点からの排出波が上流交差点の停止線に達するように、第1の交通信号灯に対する第2の交通信号灯のオフセット値を決定し得る。いくつかの実施形態において、プロセッサは、下流交差点からの排出波が上流停止線に達する周期内の相対時間に基づいて、第1の交通信号灯に対する第2の交通信号灯のオフセット値を、さらに決定し得る。いくつかの実施形態において、相対時間は、以下のように数式(18)に基づいて決定され得、
【数13】
上式で、t
iは、下流交差点からの排出波が道路iの上流停止線に達する周期内の相対時間を示し、δ
iはオフセット値を示し、L
iは道路iの長さを示し、ω
iは排出速度を示し、cは交通信号灯の周期長さを指し、関数mod(x,y)は、xをyで割った後の剰余(reminding)である。道路の長さL
iは、上流交差点の長さを含み得る。たとえば、
図6に示されるように、道路長さLは、上流交差点の長さzを含む。いくつかの実施形態において、第1の交通信号灯の周期長さは、第2の交通信号灯の周期長さに等しくてよい。交通まひを防止または低減させるために、プロセッサは、相対時間t
iが、第2の交通信号灯の青信号が点灯している時間長さよりも短いことを保証するように、オフセット値を調節し得る。第2の交通信号灯の青信号が点灯している時間長さは、g
iによって表される。プロセッサは、以下のように、不等式(19)に基づいてオフセット値δ
iをさらに決定し得、
【数14】
上式で、g
iは、第2の交通信号灯の青信号が点灯している時間長さを示す。オフセット値範囲内に含まれるすべてのオフセット値が不等式(19)を満たし得る、オフセット値範囲が存在し得る。たとえば、オフセット値範囲のソリューション、およびδi∈[0,c)である。いくつかの実施形態において、オフセット値決定モジュール430は、道路の長さL
i、排出速度ω
i、交通信号灯の周期長さc、およびg
iを、ストレージ・デバイス(たとえば、ストレージ・デバイス130)から取得し得る。プロセッサは、決定されたオフセット値範囲に基づいて、オフセット値をさらに決定し得る。たとえばオフセット値は、決定されたオフセット値範囲内の値であり得る。
【0073】
910において、プロセッサ(たとえば、調節モジュール440)は、オフセット値に基づいて第2の交通信号灯の信号タイミングを決定し得る。交通信号の信号タイミングは、交通信号が点灯する複数の反復周期の周期規則を指す。交通信号灯の周期は、青信号持続時間および赤信号持続時間を含み得る。青信号持続時間は一定値(たとえば、g
0)であり得、赤信号持続時間は一定値(たとえば、r
0)であり得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、渋滞期間の開始時点で、プロセッサは、第1の交通信号灯に対するオフセット値だけ遅らせるように第2の交通信号灯を制御することによって、第2の交通信号灯の信号タイミングを決定し得る。たとえば、
図14に示されるように、渋滞期間渋滞の開始時点が第1の周期内にある場合、プロセッサは、第1の交通信号灯に対してオフセット値だけ遅らせるように、第2の交通信号灯の信号タイミングを制御し得る。第2の交通信号灯の赤信号の第1の時間持続期間は、赤信号の元の時間持続期間r
0とオフセット値δ
iの合計、すなわち、r
0+δ
iである。したがって、第2の交通信号灯の第2の周期の開始時間は、第2の交通信号灯の第2の周期の元の開始時間よりも後である。渋滞期間について、第2の交通信号灯は、信号タイミングを使用して交通まひを防止または低減させ得る。
【0075】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、第1の交通信号灯の青信号が第1の時間の間オンになるのを開始する第1の時点と、オフセット値とに基づいて、第2の交通信号灯の信号タイミングを決定し得る。より具体的に言えば、プロセッサは、第1の交通信号灯の青信号が第1の時間の間点灯を開始する第1の時点を決定し得る。プロセッサは、第1の時点およびオフセット値に基づいて、第2の交通信号灯の青信号が点灯を開始する第2の時点を決定し得る。たとえば、第2の時点は、第1の時点とオフセット値の合計に等しくあり得る。プロセッサは、第2の交通信号灯の赤信号の期間を第2の時点まで延長し得る。その後、プロセッサは、第2の交通信号灯の青信号を第2の時点で点灯させ得る。
【0076】
図11は、本開示のいくつかの実施形態に従った、排出速度を決定するための例示的プロセスを示すフローチャートである。いくつかの実施形態において、プロセス1100はシステム100において実装され得る。たとえばプロセス1100は、ストレージ・デバイス130および/またはストレージ(たとえば、ROM230、RAM240など)内に命令の形として記憶され得、サーバ110(たとえば、サーバ110内の処理エンジン112、またはサーバ110内の処理エンジン112のプロセッサ220)によって呼び出しおよび/または実行され得る。
【0077】
1102において、プロセッサ(たとえば、排出速度決定モジュール420)は、複数の第1の車両の各々に対応する履歴データに基づいて、相対開始時点を決定し得る。第1の車両は、第1の交通信号灯の青信号が点灯している1つの期間の間に、停止状態から移動を開始し、道路の下流停止線を横断した、車両を含み得る。第1の交通信号灯は、下流交差点にある交通信号灯であり得る。履歴追跡データは、道路上の複数の第1の車両の位置、および複数の第1の車両がその位置にいる対応する時点を含み得る。いくつかの実施形態において、プロセッサは、第1の車両の履歴追跡データに基づいて、第1の車両の実際の開始時間を取得し得る。プロセッサは、第1の交通信号灯の青信号が点灯している期間の開始時点を取得し得る。プロセッサは、複数の第1の車両の各々の実際の開始時点と、第1の交通信号灯の青信号が点灯している期間の開始時点とに基づいて、相対開始時点をさらに決定し得る。たとえば、排出速度決定モジュール420は、青信号が点灯している開始時点を基準時点として指定し得る。排出速度決定モジュール420は、第1の車両の実際の開始時点と青信号の開始時点との間の差を、相対時間長さとして指定することもできる。排出速度決定モジュール420は、基準時点および相対時間長さに基づいて、相対開始時点をさらに決定し得る。たとえば、第1の車両の実際の開始時点は時点Aにある。第1の交通信号灯の青信号の期間の開始時点は時点Bにある。排出波が、第1の交通信号灯の青信号の期間の開始時点での排出速度で、上流へと後方に伝搬を開始し得ると仮定すると、時点Aは時点Bよりも後である。プロセッサは、時点Aと時点Bとの差(すなわち、A−B)に基づいて、第1の車両の相対時間長さを決定し得る。周期持続時間において、青信号の開始時点は基準時点(
図13Aまたは
図13Bに示されるr1)として指定され得る。第1の車両の相対開始時点は、基準時点および第1の車両の相対時間長さに基づいて決定され得、たとえば第1の車両の相対時点はr1+(A−B)である。相対開始時点において、車両は移動を開始する。相対開始時点は排出点に対応し得、これは、
図13Bに示される排出点1321などの、対応する車両が停止状態から移動を開始する追跡点を指す。
【0078】
1104において、プロセッサ(たとえば、排出速度決定モジュール420)は、複数の第1の車両の相対開始時点に基づいて排出速度を決定し得る。より具体的に言えば、プロセッサは、複数の第1の車両の相対開始時点および相対開始時点での対応する車両の位置に基づいて、排出速度を決定し得る。
【0079】
複数の第1の車両が道路を通過した時点は、同じ周期内にない可能性がある。たとえば
図10に示されるように、複数の車両のサンプリングされた履歴軌道は、同じ周期内にない可能性がある。プロセッサは、異なる周期内でサンプリングされた履歴軌道を同じ周期にマッピングし得る。たとえば
図13Aに示されるように、異なる周期内でサンプリングされた履歴軌道は、時空間図上の単一周期にマッピングされる。時空間図の水平軸は第1の車両の相対時点を表し、時空間図の垂直軸は様々な相対時点での第1の車両の位置を表す。言い換えれば、プロセッサは、相対時点と相対時点での対応する第1の車両の位置とに基づいて、異なる周期内でサンプリングされた履歴軌道を同じ周期にマッピングし得る。たとえば、月曜の朝の午前9:00頃、午前9:00:10から午前9:00:50の間の第1の交通信号灯の周期の間に、青い車が下流交差点を通過した。金曜の朝の午前8:00頃、午前8:00:00から午前8:00:40の間の第1の交通信号灯の周期の間に、黄色い車が下流交差点を通過した。プロセッサは、月曜の朝の青い車の履歴軌道および金曜の朝の黄色い車の履歴軌道を、40秒の周期長さで交通信号の同じ周期にマッピングし得る。
図13Aに示されるように、停止状態から移動を開始した複数の第1の車両の複数の軌道点は、周期内の青信号の開始時間から始まる直線、たとえば直線1320の周辺に分散され得る。いくつかの実施形態において、プロセッサは、この直線に基づいて排出速度を決定し得る。
【0080】
単なる例示のために、
図13Bに示されるように、
図13Bの時空間図は
図13Aの時空間図と同様である。時空間図の水平軸は第1の車両の相対時点を表し、時空間図の垂直軸は様々な相対時点での第1の車両の位置を表す。プロセッサは、複数の第1の車両の相対開始時点に対応する、複数の第1の車両の一連の排出点を決定し得る。たとえばプロセッサは、相対開始時点t1に対応する排出点1321を決定し得る。さらにプロセッサは、複数の排出点(たとえば排出点1321)を、線形当てはめ方法に基づいて、線、たとえば当てはめ直線1322に当てはめ得る。いくつかの実施形態において、プロセッサは、当てはめ線の傾斜を排出速度として決定し得る。例示の線形当てはめ方法は、最小二乗法、補間法、その他、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。例示の補間法は、ラグランジュ補間法、ニュートン補間法、スプライン補間法などを含み得る。当業者であれば、排出点を当てはめる方法は様々であり得ることを理解されよう。こうした変形はすべて、本開示の保護範囲内にある。
【0081】
図12は、本開示のいくつかの実施形態に従った、相対開始時点を決定するための例示的プロセスを示すフローチャートである。いくつかの実施形態において、プロセス1200はシステム100において実装され得る。たとえばプロセス1200は、ストレージ・デバイス130および/またはストレージ(たとえば、ROM230、RAM240など)内に命令の形として記憶され得、サーバ110(たとえば、サーバ110内の処理エンジン112、またはサーバ110内の処理エンジン112のプロセッサ220)によって呼び出しおよび/または実行され得る。
【0082】
1202において、プロセッサは、第1の交通信号灯の青信号が点灯している期間の間に、複数の第1の車両の各々が停止状態からの移動を開始し、道路と下流交差点との間の境界を横切ったときの、複数の第1の車両の各々の実際の開始時点を取得し得る。第1の交通信号灯は下流交差点にある交通信号灯であり得る。道路と下流交差点との間の境界は、下流交差点の停止線であり得る(本明細書では下流交差点とも呼ばれる)。プロセッサは、第1の車両の実際の開始時間をその第1の車両の履歴追跡データから取得し得る。第1の車両の履歴追跡データは、様々な時点での第1の車両の位置を含み得る。たとえばプロセッサは、第1の車両が停止状態から移動を開始した履歴追跡点を取得し得る。プロセッサは、履歴追跡点に基づいて第1の車両の実際の開始時間を取得し得る。
【0083】
1204において、プロセッサは第1の交通信号灯の青信号が点灯している期間の開始時点を取得し得る。いくつかの実施形態において、獲得モジュール410は、道路上のループ検出器を使用して、第1の交通信号灯の青信号の開始時点を取得し得る。ループ検出器は、第1の交通信号灯の時間情報、たとえば、青信号または赤信号の開始時点、および、青信号または赤信号が点灯している時間持続期間を、検出し得る。いくつかの実施形態において、プロセッサは、データベース(たとえば、公的輸送データベース)から、第1の交通信号灯の青信号の開始時点を取得し得る。
【0084】
1206において、プロセッサは、複数の第1の車両の各々の実際の開始時点、および、第1の交通信号灯の青信号が点灯している期間の開始時点に基づいて、相対開始時点を決定し得る。たとえば、排出速度決定モジュール420は、青信号が点灯している開始時点を基準時点として指定し得る。排出速度決定モジュール420は、第1の車両の実際の開始時点と青信号の開始時点との間の差を、相対時間長さとして指定することもできる。排出速度決定モジュール420は、基準時点および相対時間長さに基づいて(たとえば、906における説明に基づいて)相対開始時点を決定し得る。
【0085】
図9に示されるプロセス900は、(たとえば、
図15に示されるような)道路に沿った複数の交差点を含む道路網にも適用され得る。
図15に示されるように、道路1502は3つの交差点、すなわち、A、B、およびCを含み得る。第1の交通信号灯は交差点Aにあり得、第2の交通信号灯は交差点Bにあり得、第3の交通信号灯は交差点Cにあり得る。いくつかの実施形態において、渋滞期間には、下流の行列スピルオーバーが複数の交差点まで広がり得る。たとえば、交差点Cと交差点Bとの間の行列は、交差点Bおよび交差点Aまで広がり得る。スピルオーバーは交通まひを発生させ得る。交通まひを防止または低減させるために、プロセッサは、本開示に開示された方法に基づいて、交差点Cと交差点Bとの間に別のオフセット値をさらに決定し得る。その後、プロセッサは、交差点AおよびBの交通信号灯の信号タイミングを、それらのオフセット値に基づいて、それぞれ決定し得る。
【0086】
このようにして基本の概念を説明してきたが、当業者であれば、この詳細な開示を読んだ後に、前述の詳細な開示は単なる例として提示することが意図されており、限定的でないことが明らかとなろう。本明細書には明示的に記載されていないが、様々な改変、改良、および修正が発生可能であり、当業者に意図されている。これらの改変、改良、および修正は、本開示によって示唆されることが意図され、本開示の例示的実施形態の趣旨および範囲内にある。
【0087】
さらに、本開示の実施形態を説明するために一定の用語が使用されている。たとえば「一実施形態」、「ある実施形態」、および「いくつかの実施形態」という用語は、実施形態に関連して説明する特定の機能、構造、または特徴が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「ある実施形態」または「一実施形態」または「代替実施形態」への2回以上の言及は、必ずしもすべてが同じ実施形態に言及しているものではないことが強調され、理解されるべきである。さらに、特定の機能、構造、または特徴は、本開示の1つまたは複数の実施形態において好適なように組み合わせることができる。
【0088】
さらに、当業者であれば、本開示の態様は、任意の新規かつ有用なプロセス、機械、製造、または組成物、あるいはそれらの任意の新規かつ有用な改良を含む、多数の特許性のクラスまたはコンテンツのうちのいずれかにおいて、本明細書で例示および説明され得ることを理解されよう。したがって、本開示の態様は、本明細書ではすべてが概して「モジュール」、「ユニット」、「構成要素」、「デバイス」、または「システム」と呼ばれ得る、完全にハードウェア、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、あるいは、ソフトウェアおよびハードウェア実装の組み合わせで実装され得る。さらに、本開示の態様は、コンピュータ可読プログラム・コードがその上に具体化された1つまたは複数のコンピュータ可読媒体内に具体化された、コンピュータ・プログラム製品の形を取り得る。
【0089】
コンピュータ可読媒体信号媒体は、たとえばベースバンド内に、または搬送波の一部として、内部にコンピュータ可読プログラム・コードが具体化された、伝搬データ信号を含み得る。こうした搬送信号は、電磁、光、その他、またはそれらの任意の好適な組み合わせを含む、様々な形のいずれかを取り得る。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、あるいはそれらに関連して使用するための、プログラムを、通信、伝搬、または移送し得る、任意のコンピュータ可読媒体であり得る。コンピュータ可読信号媒体上に具体化されるプログラム・コードは、無線、有線、光ファイバ・ケーブル、RF、その他、またはそれらの任意の好適な組み合わせを含む、任意の適切な媒体を使用して伝送され得る。
【0090】
本開示の態様についての動作を実施するためのコンピュータ・プログラム・コードは、Java(登録商標)、Scala、Smalltalk、Eiffel、JADE、Emerald、C++、C#、VB.NET、Pythonなどの、オブジェクト指向プログラミング言語、「C」プログラミング言語、Visual Basic、Fortran2003、Perl、COBOL2002、PHP、ABAPなどの、従来の手続き型プログラミング言語、Python、Ruby、およびGroovyなどの、動的プログラミング言語、または、他のプログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで作成し得る。プログラム・コードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロン型ソフトウェア・パッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上および部分的にリモート・コンピュータ上で、あるいは、完全にリモート・コンピュータまたはサーバ上で、実行し得る。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)またはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む、任意のタイプのネットワークを介して、ユーザのコンピュータに接続され得るか、あるいは(たとえば、インターネット・サービス・プロバイダを使用して、インターネットを介した)外部コンピュータへの接続が可能であるか、またはクラウド・コンピューティング環境にあるか、またはSoftware as a Service(SaaS)などのサービスとして提供される。
【0091】
さらに、処理要素またはシーケンスの記載された順序、あるいは数字、文字、または他の記号表示の使用は、請求されるプロセスおよび方法を、特許請求の範囲に指定され得るものを除くいかなる順序にも限定することを意図していない。上記の開示は、現在、本開示の様々な有用な実施形態であるものと見なされている様々な例を介して考察しているが、こうした詳細はそのためだけのものであり、添付の特許請求の範囲は、開示された実施形態に限定されず、逆に、開示された実施形態の趣旨および範囲内にある修正および等価の配置をカバーするものと意図されることを理解されよう。たとえば、前述の様々な構成要素の実装はハードウェア・デバイス内で具体化され得るが、ソフトウェアのみのソリューション、たとえば、既存のサーバまたはモバイル・デバイス上へのインストールとしても実装され得る。
【0092】
同様に、本開示の実施形態の前述の説明において、様々な実施形態のうちの1つまたは複数を理解する助けとなるように本開示を合理化する目的で、単一の実施形態、図、またはそれらの説明において、様々な機能が時には共にグループにまとめられることを理解されたい。しかしながら、本開示の方法は、請求される主題が各請求項に明示的に記載されているよりも多くの機能を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。むしろ、請求される主題は、単一の前述の開示された実施形態のすべてよりも少ない機能内にある。