【文献】
Vaccine and Related Biological Products Advisory CommitteePre-Meeting Background Document,NEISSERIA MENINGITIDIS SEROGROUP B VACCINE,2011年 3月 4日,URL,http://www.fda.gov/downloads/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/BloodVaccinesandOtherBiologics/VaccinesandRelatedBiologicalProductsAdvisoryCommittee/UCM249479.pdf
【文献】
Richmond,P.C. et al.,Safety, immunogenicity, and tolerability of meningococcal serogroup B bivalent recombinant lipoprote,Lancet Infect. Dis.,2012年 8月,Vol.12, No.8,p.597-607
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ヒトにおいて、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対して、また髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対して殺菌免疫応答を誘発するための免疫原性組成物であって、有効量の
a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第一の脂質付加ポリペプチドと、
b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第二の脂質付加ポリペプチドと
を含み、
さらにポリソルベート−80、アルミニウム、ヒスチジン、および塩化ナトリウムを含み、
ヒトパピローマウイルスに対する免疫原性組成物と同時投与されることを特徴とする、免疫原性組成物。
ヒトパピローマウイルス6、11、16、18型のいずれか1種、またはこれらのいずれかの組合せに対する免疫応答を誘発するための、請求項1に記載の免疫原性組成物。
ヒトにおいて、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対して、また髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対して殺菌免疫応答を誘発するための免疫原性組成物であって、有効量の
a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第一の脂質付加ポリペプチドと、
b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第二の脂質付加ポリペプチドと
を含み、
さらにポリソルベート−80、アルミニウム、ヒスチジン、および塩化ナトリウムを含み、
ジフテリア、破傷風、百日咳、および灰白髄炎に対する免疫原性組成物と同時投与されることを特徴とする、免疫原性組成物。
ジフテリア、破傷風、百日咳、灰白髄炎のいずれか1つ、またはこれらのいずれかの組合せに対する免疫応答をヒトにおいて誘発するための、請求項3に記載の免疫原性組成物。
約120μg/mlの第一のポリペプチド、約120μg/mlの第二のポリペプチド、約2.8のモル比のポリソルベート80、約0.5mg/mlのアルミニウム、約10mMのヒスチジン、および約150mMの塩化ナトリウムを含む、請求項1または2に記載の組成物。
0.5ml用量あたり約60μgの第一のポリペプチド、約60μgの第二のポリペプチド、約18μgのポリソルベート80、約250μgのアルミニウム、約780μgのヒスチジン、および約4380μgの塩化ナトリウムを含む、請求項1または2に記載の組成物。
約120μg/mlの第一のポリペプチド、約120μg/mlの第二のポリペプチド、約2.8のモル比のポリソルベート80、約0.5mg/mlのアルミニウム、約10mMのヒスチジン、および約150mMの塩化ナトリウムを含む、請求項3または4に記載の組成物。
0.5ml用量あたり約60μgの第一のポリペプチド、約60μgの第二のポリペプチド、約18μgのポリソルベート80、約250μgのアルミニウム、約780μgのヒスチジン、および約4380μgの塩化ナトリウムを含む、請求項3または4に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者らは、意外にも、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む第一の脂質付加ポリペプチドと、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む第二の脂質付加ポリペプチドとを含む組成物を発見した。組成物は、ヒトにおいて、許容される安全性プロファイルを有し、組成物は、驚いたことに、ヒトにおいて、少なくとも2種類を超える多様な髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)株に対して、広く交差反応性の殺菌免疫応答を惹起する。
【0015】
本発明者らは、意外にも、2用量投与スケジュールおよび3用量投与スケジュールによって、高い割合のヒト対象において、ワクチンと非相同のLP2086(H因子結合タンパク質(fHBP))を有する髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーAおよびBからの試験株に対して、8以上のhSBA力価が得られたことをさらに発見した。3用量投与スケジュールでは、2用量投与スケジュールと比較したとき、ヒトにおいて、多様なMnB臨床菌株に対する最も広い防御を得ることができる。
【0016】
本発明者らは、意外にも、rLP2086組成物と、ヒトパピローマウイルスに対する四価の免疫原性組成物(HPV4)を同時に投与した後、ヒトパピローマウイルスおよび髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型Bに対する活発な免疫応答が生じたことも発見した。たとえば、rLP2086組成物とHPV4組成物の同時投与によって、少なくとも、rLP2086組成物中のfHBPと非相同であるfHBPを発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B試験株に対する免疫応答が生じた。このような異種試験株としては、それぞれがrLP2086組成物中のfHBPと非相同であるA22 fHBP、A56 fHBP、B24 fHBP、またはB44 fHBPを発現する野生型髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B株が挙げられる。数ある中でもA22 fHBP、A56 fHBP、B24 fHBP、およびB44 fHBPを始めとする変異体fHBPタンパク質について記載している、WO/2012/032489、WO/2013/132452、米国特許公開第US20120093852号、および米国特許公開第US20130243807号を参照されたい。これら参考文献は、その全体がそれぞれ参照により本明細書に援用される。意外にも、同時投与によって、少なくともHPV型6、11、16、および/または18に対する免疫応答も生じた。rLP2086組成物とHPV4組成物の同時投与後のHPV型に対する免疫応答は、rLP2086組成物不在でHPV4組成物を投与して生じた免疫応答と比べても劣っていなかった。
【0017】
加えて、本発明者らは、意外にも、rLP2086組成物と、ジフテリア、破傷風、百日咳、および灰白髄炎に対する免疫原性組成物を同時に投与した後、ジフテリア、破傷風、百日咳、および灰白髄炎と、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型Bに対する活発な免疫応答が生じたことを発見した。たとえば、rLP2086組成物とREPEVAX組成物の同時投与によって、少なくとも、rLP2086組成物中のfHBPと非相同であるfHBPを発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B試験株に対する免疫応答が生じた。同時投与によって、意外にも、少なくともREPEVAXの9種類の抗原:ジフテリア、破傷風、百日咳トキソイド、百日咳線維状赤血球凝集素、百日咳パータクチン、百日咳線毛凝集原2+3型、ポリオウイルス1型、ポリオウイルス2型、ポリオウイルス3型に対する免疫応答も生じた。rLP2086組成物とREPEVAX組成物の同時投与後のREPEVAX抗原に対する免疫応答は、rLP2086組成物不在でREPEVAX組成物を投与して生じた免疫応答と比べても劣っていなかった。
【0018】
さらに、本発明者らは、意外にも、rLP2086組成物が、fHBP B153変異体を発現するST409髄膜炎菌(N.meningitidis)株に対する殺菌免疫応答を誘発することを発見した。たとえば、fHBP B153変異体を発現する菌株は、ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)において、2価のヒトrLP2086組成物抗血清と接触させたとき、死滅しやすくなることが判明した。
【0019】
組成物およびワクチン
一態様において、本発明は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)に対する組成物に関する。組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する第一の脂質付加ポリペプチドと、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する第二の脂質付加ポリペプチドとを含む。
【0020】
本発明者らは、意外にも、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型Bの複数菌株に対して有効な広域防御免疫応答を誘発する単一の髄膜炎菌(N.meningitidis)ポリペプチド成分を発見した。したがって、一実施形態では、組成物は、融合タンパク質を含まない。一実施形態では、組成物は、キメラタンパク質を含まない。一実施形態では、組成物は、ハイブリッドタンパク質を含まない。一実施形態では、組成物は、ペプチド断片をさらに含まない。別の実施形態では、組成物は、fHBPでないナイセリアポリペプチドをさらに含まない。たとえば、一実施形態では、組成物は、PorAタンパク質を含まない。別の実施形態では、組成物は、NadAタンパク質を含まない。別の実施形態では、組成物は、ナイセリアヘパリン結合抗原(NHBA)をさらに含まない。別の実施形態では、組成物は、ナイセリア外膜小胞(OMV)をさらに含まない。好ましい実施形態では、組成物は、第一のポリペプチドおよび第二のポリペプチド以外の抗原をさらに含まない。
【0021】
別の態様において、本発明者らは、意外にも、多くとも2種類の髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B株由来のポリペプチド抗原が、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型Bの複数菌株に対して有効な広域防御免疫応答を誘発することを発見した。したがって、一実施形態では、組成物は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA M98250771株および/または髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB CDC1573株由来のものでないポリペプチドをさらに含まない。
【0022】
一実施形態では、組成物は、配列番号1との配列同一性が100%未満であるポリペプチドをさらに含まない。別の実施形態では、組成物は、配列番号2との配列同一性が100%未満であるポリペプチドをさらに含まない。たとえば、組成物は、配列番号1および/または配列番号2の全長との配列同一性が100%未満であるポリペプチドをさらに含まない。
【0023】
一実施形態では、組成物は、ポリソルベート80、アルミニウム、ヒスチジン、および塩化ナトリウムをさらに含む。一実施形態では、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む約60μgの第一の脂質付加ポリペプチド、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む約60μgの第二の脂質付加ポリペプチド、各ポリペプチドに対して2.8のモル比のポリソルベート80、リン酸アルミニウムとしての0.5mgアルミニウム/ml、10mMのヒスチジン、および150mMの塩化ナトリウムを含み、組成物は、合計体積が約0.5mlであることが好ましい。
【0024】
別の態様において、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む約120μg/mlの第一の脂質付加ポリペプチド、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む約120μg/mlの第二の脂質付加ポリペプチド、各ポリペプチドに対して2.8のモル比のポリソルベート80、リン酸アルミニウムとしての0.5mgアルミニウム/ml、10mMのヒスチジン、および150mMの塩化ナトリウムを含む。
【0025】
別の態様において、組成物は、a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む60μgの第一の脂質付加ポリペプチド、b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む60μgの第二の脂質付加ポリペプチド、c)18μgのポリソルベート80、d)250μgのアルミニウム、e)780μgのヒスチジン、およびf)4380μgの塩化ナトリウムを含む。
【0026】
例示的一実施形態では、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる約60μgの第一の脂質付加ポリペプチド、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなる約60μgの第二の脂質付加ポリペプチド、第一の脂質付加ポリペプチドに対して、また第二の脂質付加ポリペプチドに対して2.8のモル比のポリソルベート80、0.5mg/mlのリン酸アルミニウム、10mMのヒスチジン、および150mMの塩化ナトリウムを含み、組成物は、合計体積が約0.5mlである。この例示的実施形態において、組成物は、緩衝剤処理された等張性滅菌液体懸濁液である。この例示的実施形態において、組成物は、pHが6.0である。この例示的実施形態において、第一のポリペプチドおよび第二のポリペプチドは、アルミニウムに吸着されている。
【0027】
一実施形態では、組成物は、合計体積が約0.5mlである。一実施形態では、組成物の初回用量は、合計体積が約0.5mlである。「初回用量」とは、0日目に投与される組成物の用量を指す。「二回目用量」または「三回目用量」とは、初回用量に引き続いて投与される組成物の用量を指し、初回用量と同じ量でも、そうでなくてもよい。
【0028】
組成物は、初回用量がヒトに投与された後、免疫原性を有する。一実施形態では、初回用量は、合計体積で約0.5mlである。
【0029】
組成物は、ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)において同一条件下で測定したとき、初回用量を投与された後のヒトにおいて、初回用量を投与される前のヒトにおける血清免疫グロブリンの殺菌力価の少なくとも1倍の強さ、好ましくは少なくとも2倍の強さを超える血清免疫グロブリンの殺菌力価を誘導する。
【0030】
殺菌力価または殺菌免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型Bに対するものである。好ましい実施形態では、殺菌力価または殺菌免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA株および髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対するものである。殺菌力価または殺菌免疫応答は、少なくとも髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B、サブファミリーB、B01菌株に対するものであることが最も好ましい。
【0031】
一実施形態では、組成物は、ヒト補体を使用する血清殺菌検定において同一条件下で測定したとき、組成物の用量を投与された後のヒトにおいて、前記用量を投与される前のヒトにおける血清免疫グロブリンの殺菌力価の少なくとも1倍を超える、たとえば、少なくとも1.01倍、1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、または16倍の強さである血清免疫グロブリンの殺菌力価を誘導する。
【0032】
一実施形態では、組成物は、免疫原性組成物である。一実施形態では、組成物は、ヒト用の免疫原性組成物である。別の実施形態では、組成物は、ワクチンである。「ワクチン」とは、その抗原に特異的である免疫応答を誘発する少なくとも1つのエピトープを含んでいる抗原を含む組成物を指す。ワクチンは、皮下、経口、口鼻、または鼻腔内の投与経路によって、直接対象に投与することができる。ワクチンは、筋肉内投与することが好ましい。一実施形態では、組成物は、ヒトワクチンである。一実施形態では、組成物は、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する免疫原性組成物である。
【0033】
一実施形態では、組成物は、液体組成物である。好ましい実施形態では、組成物は、液体懸濁液組成物である。別の好ましい実施形態では、組成物は、凍結乾燥されていない。
【0034】
第一のポリペプチド
一実施形態では、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する第一のポリペプチドを含む。好ましい一実施形態では、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む約60μgの第一のポリペプチドを含み、組成物は、合計体積が0.5mlであることが好ましい。別の実施形態では、組成物は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む約120μg/mlの第一のポリペプチドを含む。ポリペプチドは、髄膜炎菌(N.meningitidis)株M98250771からの改変されたH因子結合タンパク質(fHBP)である。fHBPについての記述は、その全体がそれぞれ参照により本明細書に援用される、WO2012032489および米国特許公開US2012/0093852で開示されている。ポリペプチドは、ポリペプチドの3箇所の位置において共有結合で連結した主な3種の脂肪酸C16:0、C16:1、およびC18:1によって、N末端側が脂質付加されている。第一のポリペプチドは、合計で258アミノ酸を含む。
【0035】
第一のポリペプチドは、髄膜炎菌(N.meningitidis)株M98250771からの対応する野生型配列と比べると、ポリペプチドのN末端側領域に導入された2つの変更を含む。2番目の位置にあるグリシンは、クローン化部位を導入する結果として付加される。第二の変更は、4つのアミノ酸の欠失を含む。したがって、一実施形態では、第一のポリペプチドは、N末端にC−G−S−S配列(配列番号3)を含む。配列番号1の最初の4つのアミノ酸残基を参照されたい。
【0036】
第一のポリペプチド配列と野生型ナイセリア配列のN末端側の相違点を以下に示す。したがって、一実施形態では、第一のポリペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列の少なくとも最初の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、またはそれ以上のアミノ酸残基を含む。第一のポリペプチドは、配列番号1の少なくとも最初の4つ、より好ましくは少なくとも最初の6つ、最も好ましくは少なくとも最初の8つのアミノ酸残基を含むことが好ましい。
【0037】
組換えとナイセリアサブファミリーA LP2086ポリペプチドの予想N末端側配列の比較
rLP2086 M98250771 CGSS−−−−−GGGGVAAD(配列番号4)
ナイセリアLP2086 M98250771 C−SSGS−GSGGGGVAAD(配列番号5)
>A05(配列番号1)
CGSSGGGGVAADIGTGLADALTAPLDHKDKGLKSLTLEDSISQNGTLTLSAQGAEKTFKVGDKDNSLNTGKLKNDKISRFDFVQKIEVDGQTITLASGEFQIYKQDHSAVVALQIEKINNPDKIDSLINQRSFLVSGLGGEHTAFNQLPSGKAEYHGKAFSSDDAGGKLTYTIDFAAKQGHGKIEHLKTPEQNVELASAELKADEKSHAVILGDTRYGSEEKGTYHLALFGDRAQEIAGSATVKIREKVHEIGIAGKQ
【0038】
一実施形態では、第一のポリペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、第一のポリペプチドは、合計で258アミノ酸を有する。一実施形態では、第一のポリペプチドは、配列番号1との配列同一性が100%未満であるアミノ酸配列を含まない。別の実施形態では、第一のポリペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる。別の実施形態では、第一のポリペプチドは、アミノ酸配列KDNを含む。たとえば、配列番号1のアミノ酸残基73〜75を参照されたい。別の実施形態では、第一のポリペプチドは、ポリペプチドのN末端に配列番号3に記載のアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、第一のポリペプチドは、ポリペプチドのN末端に配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む。
【0039】
好ましい実施形態では、第一のポリペプチドは、当技術分野で知られている標準技術を使用して、組換え宿主細胞において容易に発現される。別の好ましい実施形態では、第一のポリペプチドは、配列番号1のNおよび/またはCドメイン上に殺菌性エピトープを含む。一実施形態では、第一のポリペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列の少なくとも最初の4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100アミノ酸残基を含む。第一のポリペプチドは、配列番号1の少なくとも最初の2つ、より好ましくは少なくとも最初の4つ、最も好ましくは少なくとも最初の8つのアミノ酸残基を含むことが好ましい。
【0040】
別の実施形態では、第一のポリペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列の少なくとも最後の4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100アミノ酸残基を含む。
【0041】
第二のポリペプチド
一実施形態では、組成物は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する第二のポリペプチドを含む。好ましい一実施形態では、組成物は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む約60μgの第二のポリペプチドを含み、組成物は、合計体積が0.5mlであることが好ましい。別の実施形態では、組成物は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む120μg/mlの第二のポリペプチドを含む。ポリペプチドは、髄膜炎菌(N.meningitidis)株CDC1573からのH因子結合タンパク質(fHBP)である。fHBPについての記述は、その全体がそれぞれ参照により本明細書に援用される、WO2012032489および米国特許公開US2012/0093852で開示されている。ポリペプチドは、ポリペプチドの3箇所の位置において共有結合で連結した主な3種の脂肪酸C16:0、C16:1、およびC18:1によって、N末端側が脂質付加されている。第二のポリペプチドは、合計で261アミノ酸を含む。一実施形態では、第二のポリペプチドは、N末端にC−G−S−S配列(配列番号3)を含む。配列番号2の最初の4つのアミノ酸残基を参照されたい。
>B01(配列番号2)
CGSSGGGGSGGGGVTADIGTGLADALTAPLDHKDKGLKSLTLEDSISQNGTLTLSAQGAEKTYGNGDSLNTGKLKNDKVSRFDFIRQIEVDGQLITLESGEFQVYKQSHSALTALQTEQEQDPEHSEKMVAKRRFRIGDIAGEHTSFDKLPKDVMATYRGTAFGSDDAGGKLTYTIDFAAKQGHGKIEHLKSPELNVDLAVAYIKPDEKHHAVISGSVLYNQDEKGSYSLGIFGEKAQEVAGSAEVETANGIHHIGLAAKQ
【0042】
一実施形態では、第二のポリペプチドは、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、第二のポリペプチドは、合計で261アミノ酸を有する。一実施形態では、第二のポリペプチドは、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなる。別の実施形態では、第二のポリペプチドは、配列番号2との配列同一性が100%未満であるポリペプチドをさらに含まない。好ましい実施形態では、第一のポリペプチドおよび第二のポリペプチドは、それぞれのポリペプチドのN末端にC−G−S−S(配列番号3)配列を含む。
【0043】
好ましい実施形態では、第二のポリペプチドは、当技術分野で知られている標準技術を使用して、組換え宿主細胞において容易に発現される。別の好ましい実施形態では、第二のポリペプチドは、配列番号2のNおよび/またはCドメイン上に殺菌性エピトープを含む。一実施形態では、第二のポリペプチドは、配列番号2に記載のアミノ酸配列の少なくとも最初の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100アミノ酸残基を含む。第二のポリペプチドは、配列番号2の少なくとも最初の2つ、より好ましくは少なくとも最初の4つ、最も好ましくは少なくとも最初の8つのアミノ酸残基を含むことが好ましい。
【0044】
別の実施形態では、第二のポリペプチドは、配列番号2に記載のアミノ酸配列の少なくとも最後の4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100アミノ酸残基を含む。
【0045】
ポリソルベート80
ポリソルベート80(PS−80)は、非イオン性界面活性剤である。モノクローナル抗体に基づくin vitro効力検定を使用しての安定性加速試験では、最終製剤においてPS−80のMnB rLP2086タンパク質に対するモル比がより大きい場合のサブファミリーBタンパク質の不安定性が実証された。様々な比率のPS−80を用いた別の実験では、効力の保持に最適な、PS−80のMnB rLP2086タンパク質に対するモル比は、およそ2.8±1.4であることが示された。
【0046】
組成物中のPS−80の濃度は、PS−80のポリペプチドに対するモル比に応じて決まる。一実施形態では、組成物は、第一のポリペプチドに対して、また第二のポリペプチドに対して2.8±1.4のモル比のPS−80を含む。一実施形態では、組成物は、第一のポリペプチドに対して、また第二のポリペプチドに対して2.8±1.1のモル比のPS−80を含む。一実施形態では、組成物は、ポリペプチドに対して少なくとも1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、または3.3のモル比のPS−80を含む。組成物は、ポリペプチドに対して2.8のモル比のPS−80を含むことが好ましい。
【0047】
PS−80の対ポリペプチドモル比は、どちらの値もモルで示される、PS−80の測定濃度および合計ポリペプチド測定濃度から算出することにより求める。たとえば、PS−80の対タンパク質モル比は、(たとえば、逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)による)PS−80の測定濃度を、(たとえば、イオン交換高圧液体クロマトグラフィー(IEX−HPLC)による)最終原薬中の合計タンパク質測定濃度に対して算出することにより求められ、どちらの値もモルで示される。
【0048】
ワクチン製剤中のポリソルベート80の濃度の定量化には、RP−HPLCを使用する。界面活性剤の濃度は、脂肪酸部分のけん化によって求められ、ポリソルベート80は、40℃でのアルカリ加水分解によって遊離オレイン酸に変換される。C18カラムを使用するRP−HPLCによってサンプルを分離し、UV検出器を200nmの波長で使用して定量化する。
【0049】
第一および第二のポリペプチドは、陰イオン交換HPLCによって分割される。rLP2086(fHBP)サブファミリーAおよびBタンパク質は、異なる保持時間で溶離し、それぞれのrLP2086タンパク質基準材料に対して生成された検量線を使用して定量化される。
【0050】
用語「モル比」ならびにfHBPおよびPS−80を含む免疫原性組成物についての記述は、その全体がそれぞれ参照により本明細書に援用される、WO2012025873および米国特許公開US2013/0171194でさらに開示されている。
【0051】
本明細書で使用する用語「モル比」とは、組成物中の2種の異なる要素のモル数の比を指す。一部の実施形態では、モル比は、界面活性剤のモルのポリペプチドのモルに対する比である。一部の実施形態では、モル比は、PS−80のモルのタンパク質のモルに対する比である。一実施形態では、モル比は、タンパク質濃度およびポリソルベート80濃度に基づき、次式を使用して算出することができる。
【0053】
一実施形態では、組成物は、約0.0015、0.0017、0.0019、0.0021、0.0023、0.0025、0.0027、0.0029、0.0031、0.0033、0.0035、0.0037、0.0039、0.0041、0.0043、0.0045、0.0047、0.0049、0.0051mg/mLのPS−80を含む。組成物は、約0.0035mg/mLのPS−80を含むことが好ましい。
【0054】
別の実施形態では、組成物は、約10μg、11μg、12μg、13μg、14μg、15μg、16μg、17μg、18μg、19μg、20μg、21μg、22μg、23μg、24μg、または25μgのPS−80を含む。好ましい実施形態では、組成物は、約18μgのPS−80を含む。
【0055】
別の実施形態では、組成物は、0.0005%〜1%の範囲に及ぶPS−80濃度を含む。たとえば、組成物中のPS−80濃度は、少なくとも0.0005%、0.005%、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、または1.1%のPS−80でよい。好ましい実施形態では、組成物は、約0.07%のPS−80を含む。
【0056】
任意の最小値を本明細書に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を規定してもよい。
【0057】
アルミニウム
組成物は、約0.5mg/mlのリン酸アルミニウムを含むことが好ましい。一実施形態では、組成物は、リン酸アルミニウムとしての約0.5mgのアルミニウム/mlを含む。0.50mg/mlのAlPO
4を安定剤として加えると、製造しやすさおよび安定性が向上する。この濃度により、サブファミリーAおよびBタンパク質のアルミニウムへの結合(90%以上の結合)が維持される。
【0058】
リン酸アルミニウムの製造方法は、その全体が参照により援用される、米国特許公開US2009/0016946に記載されている。
【0059】
一実施形態では、組成物は、アルミニウム以外に多価カチオンをさらに含まない。一実施形態では、組成物は、Al(OH)
3またはAl(SO
4)
3をさらに含まない。
【0060】
添加剤
一実施形態では、組成物は、ヒスチジンを含む。一実施形態では、組成物は、塩化ナトリウムを含む。組成物は、約10mMのヒスチジンおよび約150mMの塩化ナトリウムを含むことが好ましい。一実施形態では、組成物は、10mMのヒスチジンおよび150mMの塩化ナトリウムを含む。
【0061】
別の実施形態では、組成物は、約650μg、660μg、670μg、680μg、690μg、700μg、710μg、720μg、730μg、740μg、750μg、760μg、770μg、780μg、790μg、800μg、810μg、820μg、830μg、840μg、または850μgのヒスチジンを含む。組成物は、約780μgのヒスチジンを含むことが好ましい。任意の最小値を本明細書に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を規定してもよい。
【0062】
一実施形態では、組成物は、トリス、リン酸、またはコハク酸緩衝剤を含む。好ましい実施形態では、組成物は、トリス緩衝剤を含まない。好ましくは、組成物は、リン酸緩衝剤を含まない。好ましい一実施形態では、組成物は、コハク酸緩衝剤を含まない。好ましい実施形態では、組成物は、ヒスチジン緩衝剤を含む。
【0063】
好ましい実施形態では、組成物のpHは、6.0〜7.0の間であり、pH6.0が最も好ましい。一実施形態では、組成物のpHは、高くとも6.1である。
【0064】
殺菌活性
組成物をヒトに投与することによって誘発される免疫応答は、4つの髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B(MnB)株に対して、ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)を使用して明らかにされる。hSBAにおいて使用する4MnB株は、菌株プールから選択した。菌株プールは、米国およびヨーロッパから臨床的に関係のある髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B株を体系的に集めた収蔵物であった。SBA用の4菌株のうちの2種類は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B LP2086(fHBP)サブファミリーAからのものであり、4菌株のうちの別の2種類は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B LP2086(fHBP)サブファミリーBからのものである。
【0065】
すべての試験株、特に、第一のポリペプチドと非相同である配列を有するリポタンパク質2086変異体を発現する菌株に高い割合のhSBAが応答することは、組成物が防御性の広いワクチンであること、および少なくとも髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対して、高い血清防御を付与するのに2用量で十分であることを示唆する。
【0066】
すべての試験株、特に、第一のポリペプチドおよび第二のポリペプチドの両方と非相同である配列を有するリポタンパク質2086変異体を発現する菌株に高い割合のhSBAが応答することは、組成物が防御性の広いワクチンであること、およびrLP2086(FHBP)サブファミリーAおよび/またはサブファミリーBを発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B株に対して高い血清防御を付与するのに、約6か月の期間内に多くとも3用量で十分であることを示唆する。
【0067】
一実施形態では、hSBA菌株は、LP2086(fHBP)サブファミリーA株である。一実施形態では、hSBA菌株は、A05を発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)株と異種である、リポタンパク質2086変異体を発現するLP2086(fHBP)サブファミリーA株である。たとえば、一実施形態では、hSBA菌株は、菌株M98250771と異種である、リポタンパク質2086変異体を発現するLP2086(fHBP)サブファミリーA株である。一実施形態では、hSBA菌株は、LP2086(fHBP)A22株である。別の実施形態では、hSBA菌株は、LP2086(fHBP)A56株である。別の実施形態では、hSBA菌株は、LP2086(fHBP)A22およびLP2086(fHBP)A56株である。別の実施形態では、hSBA菌株は、LP2086A04株である。一実施形態では、hSBA菌株は、LP2086 A05株である。一実施形態では、hSBA菌株は、LP2086 A12株である。一実施形態では、hSBA菌株は、LP2086 A22株である。一実施形態では、hSBA菌株は、LP2086 A12株である。一実施形態では、hSBA菌株は、LP2086 A04株である。一実施形態では、hSBA菌株は、LP2086 A19株である。一実施形態では、hSBA菌株は、LP2086 A07株である。別の実施形態では、hSBA菌株には、A22、A12、A19、A05、およびA07、またはこれらのいずれかの組合せが含まれる。一実施形態では、hSBA菌株には、A06、A15、およびA29、またはこれらのいずれかの組合せが含まれる。
【0068】
一実施形態では、免疫応答は、A05を発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)株と異種である髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対して殺菌性である。一実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B A22株に対するものである。一実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B A56株に対するものである。一実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B A06株に対するものである。一実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B A15株に対するものである。一実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B A29株に対するものである。一実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B A62株に対するものである。一実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)株M98250771と異種である髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対して殺菌性である。一実施形態では、免疫応答は、第一のポリペプチドとの同一性が少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であるアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対して殺菌性である。別の実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)株M98250771が発現するH因子結合タンパク質との同一性が少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であるアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対して殺菌性である。好ましい実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)株M98250771が発現するH因子結合タンパク質との同一性が少なくとも80%、より好ましくは少なくとも84%であるアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対して殺菌性である。
【0069】
別の実施形態では、免疫応答は、第一のポリペプチドとの同一性が多くとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であるアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対して殺菌性である。別の実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)株M98250771が発現するH因子結合タンパク質との同一性が多くとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であるアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対して殺菌性である。好ましい実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)株M98250771が発現するH因子結合タンパク質との同一性が多くとも85%、より好ましくは多くとも99%であるアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対して殺菌性である。任意の最小値を本明細書に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を規定してもよい。
【0070】
一実施形態では、hSBA菌株は、LP2086(fHBP)サブファミリーB株である。一実施形態では、hSBA菌株は、B01を発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)株と異種である、リポタンパク質2086変異体を発現するLP2086(fHBP)サブファミリーB株である。たとえば、一実施形態では、hSBA菌株は、菌株CDC1127と異種である、リポタンパク質2086変異体を発現するLP2086(fHBP)サブファミリーB株である。好ましい実施形態では、hSBA菌株は、菌株CDC1573と異種である、リポタンパク質2086変異体を発現するLP2086(fHBP)サブファミリーB株である。
【0071】
一実施形態では、免疫応答は、B01を発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)株と異種である髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対して殺菌性である。一実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B B24株に対するものである。一実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B B44株に対するものである。一実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B B16株に対するものである。一実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B B03株に対するものである。一実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B B09株に対するものである。一実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B B15株に対するものである。一実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B B153株に対するものである。一実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)株CDC1573と異種である髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対して殺菌性である。一実施形態では、免疫応答は、第二のポリペプチドとの同一性が少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であるアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対して殺菌性である。別の実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)株CDC1573が発現するH因子結合タンパク質との同一性が少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であるアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対して殺菌性である。好ましい実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)株CDC1573が発現するH因子結合タンパク質との同一性が少なくとも80%、より好ましくは少なくとも87%であるアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対して殺菌性である。別の好ましい実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)株CDC1573が発現するH因子結合タンパク質との同一性が100%であるアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対して殺菌性である。
【0072】
別の実施形態では、免疫応答は、第二のポリペプチドとの同一性が多くとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であるアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対して殺菌性である。別の実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)株CDC1573が発現するH因子結合タンパク質との同一性が多くとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であるアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対して殺菌性である。好ましい実施形態では、免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)株CDC1573が発現するH因子結合タンパク質との同一性が多くとも88%、より好ましくは少なくとも99%であるアミノ酸配列を含むH因子結合タンパク質を発現する髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対して殺菌性である。任意の最小値を本明細書に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を規定してもよい。
【0073】
一実施形態では、hSBA菌株は、LP2086(fHBP)B24株である。別の実施形態では、hSBA菌株は、LP2086(fHBP)B44株である。別の実施形態では、hSBA菌株には、LP2086(fHBP)B24およびLP2086(fHBP)B44株が含まれる。一実施形態では、hSBA菌株には、LP2086(fHBP)A22、LP2086(fHBP)A56、LP2086(fHBP)B24、およびLP2086(fHBP)B44株が含まれる。一実施形態では、hSBA菌株には、B15が含まれる。一実施形態では、hSBA菌株には、B153が含まれる。別の実施形態では、hSBA菌株は、LP2086 B16株である。一実施形態では、hSBA菌株は、LP2086 B03株である。一実施形態では、hSBA菌株は、LP2086 B09株である。別の実施形態では、hSBA菌株には、B24、B16、B44、B03、およびB09、またはこれらのいずれかの組合せが含まれる。別の実施形態では、hSBA菌株には、B24、B16、B44、A22、B03、B09、A12、A19、A05、およびA07、またはこれらのいずれかの組合せが含まれる。別の実施形態では、hSBA菌株には、A06、A07、A12、A15、A19、A29、B03、B09、B15、およびB16、またはこれらのいずれかの組合せが含まれる。
【0074】
一実施形態では、方法は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対して、また髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対して免疫応答を誘発する。免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対して、また髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対して殺菌性であることが好ましい。
【0075】
一実施形態では、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対する免疫応答が、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対する免疫応答より強い。たとえば、一実施形態では、免疫原性組成物は、同一条件下で試験したとき、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対して、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対してよりも高い殺菌力価を誘発する。一実施形態では、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対する、より高い殺菌力価は、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する免疫原性組成物の二回目用量の後30日以内に生じる。一実施形態では、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対する、より高い殺菌力価は、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する免疫原性組成物の三回目用量なしで生じる。
【0076】
別の実施形態では、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対する免疫応答が、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対する免疫応答より強い。たとえば、一実施形態では、免疫原性組成物は、同一条件下で試験したとき、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対して、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーA株に対してよりも高い殺菌力価を誘発する。一実施形態では、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対する、より高い殺菌力価は、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する免疫原性組成物の二回目用量の後30日以内に生じる。一実施形態では、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型BサブファミリーB株に対する、より高い殺菌力価は、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する免疫原性組成物の三回目用量なしで生じる。
【0077】
力価
一実施形態では、組成物は、hSBAにおいて同一条件下で測定したとき、組成物の用量が投与される前のヒトにおける殺菌力価と比べて、ヒトにおける殺菌力価を増大させる。一実施形態では、殺菌力価の増大は、hSBAにおいて同一条件下で測定したとき、組成物の初回用量が投与される前のヒトにおける殺菌力価と比べて、初回用量が投与される前のヒトにおける殺菌力価と比較される。一実施形態では、力価の増大は、hSBAにおいて同一条件下で測定したとき、組成物の二回目用量が投与される前のヒトにおける殺菌力価と比べて、組成物の二回目用量の後に認められる。別の実施形態では、殺菌力価の増大は、hSBAにおいて同一条件下で測定したとき、組成物の三回目用量が投与される前のヒトにおける殺菌力価と比べて、組成物の三回目用量の後に認められる。
【0078】
一実施形態では、組成物は、用量が投与された後のヒトにおいて殺菌力価を誘導し、殺菌力価は、hSBAにおいて同一条件下で測定したとき、用量が投与される前のヒトにおける殺菌力価の少なくとも1倍の強さを超える。たとえば、殺菌力価は、hSBAにおいて同一条件下で測定したとき、組成物の用量を投与された後のヒトにおいて、用量が投与される前のヒトにおける殺菌力価と比べて、少なくとも1.01倍、1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、または16倍の高さでよい。
【0079】
一実施形態では、「応答者」とは、ヒトを指し、その場合、組成物は、用量が投与された後のヒトにおいて殺菌力価を誘導し、殺菌力価は、用量が投与される前のヒトにおける殺菌力価の少なくとも1倍の強さを超える。好ましい実施形態では、応答者は、用量が投与される前のヒトにおける殺菌力価と比べて、hSBA力価の上昇が少なくとも4倍以上に達する。このような応答者は、防御性力価を有すると呼ぶことができる。
【0080】
一実施形態では、hSBA力価は、測定可能な効果を生じる血清サンプルの最高希釈度の逆数である。たとえば、一実施形態では、hSBA力価は、T30CFU値(すなわち、試験血清を除くすべての検定成分を含有する検定ウェルにおいてインキュベートした後に生存する細菌の数、100%細菌生存)と比べてMnB細菌を少なくとも50%減少させる(50%細菌生存)、試験血清の最も高い2倍希釈度の逆数である。
【0081】
一実施形態では、組成物は、hSBAにおいて同一条件下で測定したとき、初回用量を投与された後のヒトにおいて、初回用量を投与される前のヒトにおける殺菌力価(たとえば、初回用量なしでのヒトにおける殺菌力価)の少なくとも2倍の強さである殺菌力価を誘導する。一実施形態では、組成物は、ヒト補体を利用するヒト血清殺菌検定(hSBA)において同一条件下で測定したとき、ヒトにおいて、初回用量を投与される前のヒトにおける殺菌力価の少なくとも4倍の強さである殺菌力価を誘導する。一実施形態では、組成物は、ヒト補体を利用するヒト血清殺菌検定(hSBA)において同一条件下で測定したとき、ヒトにおいて、初回用量を投与される前のヒトにおける殺菌力価の少なくとも8倍の強さである殺菌力価を誘導する。
【0082】
好ましい実施形態では、ヒト血清補体は、所与のSBA試験株について固有の殺菌活性が弱いヒトから得たものである。固有の殺菌活性が弱いとは、たとえば、所与のSBA試験株に対して少なくとも1:4希釈度未満である殺菌力価をいう。一実施形態では、ヒト補体は、所与のSBA試験株に対して少なくとも1:4未満、たとえば1:2希釈度であるhSBA力価を有し、組成物が投与されなかったヒトから得たものである。
【0083】
ヒトは、二価rLP2086組成物などの組成物が投与される前に1:4未満のhSBA力価を示すこともあり、または組成物が投与される前に1:4以上のhSBA力価を示すこともある。したがって、好ましい実施形態および実施例において、組成物の少なくとも1用量をヒトに投与すると、hSBA力価は、少なくとも1:4を超える、たとえば、1:8以上のhSBA力価、1:16以上のhSBA力価、1:32以上のhSBA力価となる。本明細書に記載のそれぞれの実施例は、hSBA力価が1:8以上および/または1:16以上であるヒト対象の割合の評価を含み、二価rLP2086組成物をヒトに投与した。hSBA力価が1:4を超えるという好ましい評価は、ヒトにおいて誘発された防御、すなわち、殺菌免疫応答が、組成物と関連付けられることを示す。
【0084】
一実施形態では、ヒトは、組成物の初回用量が投与された後、hSBAの定量下限(LLOQ)以上のhSBA力価を有する。別の実施形態では、ヒトは、組成物の二回目用量が投与された後、hSBAのLLOQ以上のhSBA力価を有する。別の実施形態では、ヒトは、組成物の三回目用量が投与された後、hSBAのLLOQ以上のhSBA力価を有する。
【0085】
付加的免疫原性組成物
本発明者らは、意外にも、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する免疫原性組成物は、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する殺菌応答に悪影響を及ぼすことなく、ヒトパピローマウイルス(HPV)に対する免疫原性組成物と共に投与できることを発見した。実施例7および実施例8で説明するとおり、髄膜炎菌(N.meningitidis)試験株への実質的なhSBA応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する免疫原性組成物およびGARDASILが投与されたヒトの中で、また髄膜炎菌(N.meningitidis)対する免疫原性組成物および食塩水が投与されたヒトにおいて認められた。髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する免疫原性組成物の三回目用量から約1か月後に、hSBA応答の付加的な増大が認められた。
【0086】
さらに、本発明者らは、意外にも、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する免疫原性組成物およびHPVに対する免疫原性組成物の両方が投与された後のヒトにおいて、組成物が投与される前のヒトにおける免疫応答と比べて、髄膜炎菌(N.meningitidis)およびHPV両方に対する活発な免疫応答が生じたことを発見した。実施例7および実施例8で説明するとおり、HPVに対する力価は、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する免疫原性組成物およびGARDASILが投与された後のヒトにおいて、免疫原性組成物が投与される前のヒトにおける力価と比べて増大した。HPVに対する力価の増大は、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍を超える、またはそれ以上であった。
【0087】
したがって、一実施形態では、方法は、ヒトにおいて、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する免疫応答を誘発することを含み、ヒトパピローマウイルスに対する免疫原性組成物をそのヒトに投与することをさらに含む。免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対して殺菌性であることが好ましい。一実施形態では、方法は、HPVに対する免疫応答を誘発することをさらに含む。好ましい実施形態では、方法は、ヒトパピローマウイルス6、11、16、および18型のいずれか1種、またはこれらのいずれかの組合せに対する免疫応答を誘発することをさらに含む。一実施形態では、HPVに対する免疫原性組成物は、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する前記組成物の投与から24時間以内にそのヒトに投与する。
【0088】
一実施形態では、方法は、ヒトにおいて、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する免疫応答を誘発することを含み、HPVに対する免疫原性組成物をそのヒトに投与することをさらに含む。免疫応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対して殺菌性であることが好ましい。一実施形態では、方法は、HPVに対する免疫応答を誘発することをさらに含む。好ましい実施形態では、方法は、ヒトパピローマウイルス6、11、16、および18型のいずれか1種、またはこれらのいずれかの組合せに対する免疫応答を誘発することをさらに含む。一実施形態では、ヒトパピローマウイルスに対する免疫原性組成物は、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する前記組成物の投与から24時間以内にそのヒトに投与する。
【0089】
別の態様において、本発明者らは、意外にも、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する免疫原性組成物は、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する殺菌応答に悪影響を及ぼすことなく、ジフテリア、破傷風、無細胞百日咳、および不活化灰白髄炎ウイルス(dTaP)に対する免疫原性組成物と共に投与できることを発見した。実施例4で説明するとおり、髄膜炎菌(N.meningitidis)試験株への実質的なhSBA応答は、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する免疫原性組成物およびREPEVAXが投与されたヒトの中で認められた。髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する免疫原性組成物の三回目用量から約1か月後に、hSBA応答の付加的な増大が認められた。
【0090】
さらに、本発明者らは、意外にも、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する免疫原性組成物およびdTaPに対する免疫原性組成物の両方が投与された後のヒトにおいて、組成物が投与される前のヒトにおける免疫応答と比べて、髄膜炎菌(N.meningitidis)およびdTaP両方に対する活発な免疫応答が生じたことを発見した。実施例4で説明するとおり、dTaPに対する力価は、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する免疫原性組成物およびREPEVAXが投与された後のヒトにおいて、免疫原性組成物が投与される前のヒトにおける力価と比べて増大した。dTaPに対する力価の増大は、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍を超える、またはそれ以上であった。
【0091】
方法および投与
一態様において、本発明は、ヒトにおいて、髄膜炎菌(N.meningitidis)に対する免疫応答を誘発する方法に関する。別の態様において、本発明は、ヒトにワクチン接種する方法に関する。一実施形態では、方法は、上述の組成物の少なくとも1用量をヒトに投与することを含む。別の実施形態では、方法は、上述の組成物の少なくとも初回用量および二回目用量をヒトに投与することを含む。
【0092】
意外にも、本発明者らは、組成物の2用量スケジュールにより、ヒトにおいて、多様な異種サブファミリーA株に対して、また多様な異種サブファミリーB株に対して殺菌力価が誘導されることを発見した。たとえば、上述の組成物の2用量スケジュールに従って、hSBA力価が1:8以上であるヒトの百分率は、LP2086(fHBP)A22またはLP2086(fHBP)A56を発現するSBA試験株で90%以上であった。実施例1を参照されたい。
【0093】
一実施形態では、二回目用量は、初回用量から少なくとも20、30、50、60、100、120、160、170、または180日後、かつ初回用量から多くとも250、210、200、または190日後に投与する。任意の最小値を本明細書に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を規定してもよい。
【0094】
別の実施形態では、二回目用量は、初回用量から約30日後に投与する。別の実施形態では、二回目用量は、初回用量から約60日後、たとえば、0、2か月免疫処置スケジュールで投与する。別の実施形態では、二回目用量は、初回用量から約180日後、たとえば、0、6か月免疫処置スケジュールで投与する。さらに別の実施形態では、二回目用量は、初回用量から約120日後、たとえば、2、6か月免疫処置スケジュールで投与する。
【0095】
一実施形態では、方法は、ヒトに組成物を2用量、多くとも2用量投与することを含む。一実施形態では、2用量は、初回用量の後約6か月の期間内に投与する。一実施形態では、方法は、ヒトへの追加免疫のさらなる投与を含まない。本明細書で使用する「追加免疫」とは、組成物をヒトに追加投与することを指す。多くとも2用量の組成物をヒトに投与することが有利となりうる。その利点として、たとえば、ヒトが完全な投与スケジュールを遵守するのを容易にすること、およびスケジュールの費用効果を促進することが挙げられる。
【0096】
一実施形態では、初回用量および二回目用量は、初回用量後約25、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200日の期間、また400、390、380、370、365、350、340、330、320、310、300、290、280、270、260、250、240、230、220、210、または200日の期間にわたりヒトに投与する。任意の最小値を本明細書に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を規定してもよい。
【0097】
一実施形態では、初回用量および二回目用量は、約30日の期間にわたりヒトに投与する。別の実施形態では、初回用量および二回目用量は、約60日の期間にわたりヒトに投与する。別の実施形態では、初回用量および二回目用量は、約180日の期間にわたりヒトに投与する。
【0098】
3用量
本発明者らはさらに、意外にも、組成物の3用量スケジュールによって、2用量スケジュールより高い百分率のヒトにおいて、非相同のLP2086(fHBP)を発現する菌株に対するより広い殺菌力価が誘導されたことを発見した。たとえば、上述の組成物の2用量スケジュールに従って、hSBA力価が1:8以上であるヒトの百分率は、SBA試験株LP2086(fHBP)B24およびLP2086(fHBP)B44について65%以上であった。上述の組成物の3用量スケジュールに従って、hSBA力価が1:8以上であるヒトの百分率は、SBA試験株B24およびB44について86%以上であった。実施例1を参照されたい。
【0099】
したがって、一実施形態では、組成物の3用量スケジュールによって、2用量スケジュールより高い百分率のヒトにおいて、第一および/または第二のポリペプチドと非相同であるLP2086(fHBP)を発現する複数菌株に対する殺菌力価が誘導される。
【0100】
一実施形態では、方法は、ヒトに組成物を3用量投与することを含む。別の実施形態では、方法は、多くとも3用量の組成物を投与することを含む。一実施形態では、3用量は、初回用量の後約6か月の期間内に投与する。一実施形態では、方法は、三回目用量の後に追加免疫用量をヒトに投与することを含む。別の実施形態では、方法は、三回目用量の後にヒトに追加免疫用量を投与することを含まない。別の実施形態では、方法は、ヒトに組成物の4回目用量または追加免疫用量を投与することをさらに含まない。別の実施形態では、約6か月の期間内に多くとも3用量をヒトに投与する。
【0101】
例示的実施形態では、二回目用量は、初回用量から約30日後に投与し、三回目用量は、二回目用量から約150日後、たとえば、0、1、6か月免疫処置スケジュールで投与する。別の例示的実施形態では、二回目用量は、初回用量から約60日後に投与し、三回目用量は、二回目用量から約120日後、たとえば、0、2、6か月免疫処置スケジュールで投与する。
【0102】
一実施形態では、初回用量、二回目用量、および三回目用量は、約150、160、170、または180日の期間、また多くとも240、210、200、または190日の期間にわたりヒトに投与する。任意の最小値を本明細書に記載の任意の最大値と組み合わせて、範囲を規定してもよい。初回用量、二回目用量、および三回目用量は、約180日または6か月の期間にわたりヒトに投与することが好ましい。たとえば、二回目用量は、初回用量から約60日後にヒトに投与することができ、三回目用量は、二回目用量から約120日後にヒトに投与することができる。したがって、例示的な投与スケジュールは、約0、2、および6か月の時点でヒトに用量を投与することを含む。
【0103】
上述のとおり、複数の用量の免疫原性組成物をヒトに投与することができ、各用量の間の日数は、様々となりうる。この方法の利点としては、たとえば、ヒトが柔軟に投与スケジュールを遵守できることが挙げられる。
【0104】
実施例
以下の実施例により、本発明の実施形態を例示する。本明細書において別段指摘しない限り、以下の実施例では、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む、0.5mL用量あたり60μgの第一の脂質付加ポリペプチド、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む、0.5mL用量あたり60μgの第二の脂質付加ポリペプチド、第一のポリペプチドに対して2.8のモル比のポリソルベート80、第二のポリペプチドに対して2.8のモル比のポリソルベート80、組成物に対しての0.5mgAl
3+/ml、10mMのヒスチジン、および150mMの塩化ナトリウムを含む組成物の好ましい例示的実施形態である、治験用二価組換えワクチン(rLP2086)に言及する。より詳細には、治験用二価組換えrLP2086ワクチンは、(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む60μgの第一の脂質付加ポリペプチド、(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む60μgの第二の脂質付加ポリペプチド、(c)18μgのポリソルベート80、(d)250μgのアルミニウム、(e)780μgのヒスチジン、および(f)4380μgの塩化ナトリウムを含む。各用量は、0.5mLとした。
【実施例1】
【0105】
実施例1:11才〜18才の健康な対象において2または3用量のレジメンで投与したときの、治験用髄膜炎菌血清型B二価(MnB)rLP2086ワクチンの、健康な青年における安全性、忍容性、および免疫原性
背景:11〜18才の健康な青年において、2または3回のワクチン処置を含む5種類の用量レジメン(表1)を使用して、治験用二価組換えワクチン(rLP2086)の安全性、忍容性、および免疫原性を試験した。
【0106】
ワクチンは、それぞれ60μgの精製サブファミリーAおよび精製サブファミリーB rLP2086タンパク質、2.8のモル比のポリソルベート80、およびAlPO
4としての0.25mgのAl
3+、10mMのヒスチジンで緩衝剤処理したpH6.0の食塩水を含有するように、0.5ml用量で製剤する。
【0107】
活性対照として役立てることのできる、安全性、免疫原性、および有効性が実証済みの対MnBワクチンは知られていないため、食塩水を偽薬として使用する。標準食塩水は、0.5ml用量中に0.9%の塩化ナトリウムを含む。
【0108】
方法:この第二相無作為化偽薬対照単盲検試験におけるすべての対象が、0、1、2および6か月の時点でワクチン処置訪問に参加した。盲検化のために、ワクチンの予定がなかったときは、食塩水対照を与えた。すべてワクチン中の変異体とは異なる、LP2086(fHBP)fHBP変異体A22、A56、B24およびB44を発現する4種のMnB試験株(すなわち、主要評価項目分析における4種の「主要hSBA試験株」)を用い、ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)を実施した。不要な有害事象(AE)、必要な局所および全身応答、ならびに解熱剤の使用について評価した。
【0109】
hSBA力価幾何平均値を、両側95%信頼区間(CI)と共に、各血液採取の時点で、各主要菌株について計算した。幾何平均上昇倍率を、95%CIと共に計算した。
【0110】
応答者とは、hSBA力価がhSBA検定の定量下限(LLOQ)以上である対象であると定義した。主要評価項目分析における4種のhSBA試験株それぞれのLLOQは、1:8に相当するhSBA力価であった。各主要試験株の検出限界(LOD)は、1:4に相当する力価であった(髄膜炎菌疾患に対する防御の相関現象であると広くみなされる)。
【0111】
結果:最後のワクチン用量から1か月後、86〜99%の対象(3用量後、P<0.001)および69〜100%の対象(2用量後)は、各MnB試験株に対してhSBA力価が8以上であった。試験用量1の後、まとめて、rLP2086受容者の19〜27%(重度1.1〜4.3%)および23〜27%(重度0.0〜1.0%)が、それぞれ発赤および腫脹を経験した。注射部位疼痛は、試験用量1の後、最もよくある局所反応であった(重度7.6〜13.1%)。二価rLP2086ワクチンの初回試験用量後の38℃以上の発熱は、食塩水受容者における2.1%と比べて、まとめて3.3〜6.5%が経験した。局所および全身反応は、一般に、後続の用量の後よりも、用量1の後に頻繁に起こった。1712人のうち43人の対象(2.5%)が、51例の重篤なAEを報告し、2症例が、関連ありとみなされた(めまい、悪寒、および頭痛の1症例と発熱および嘔吐の1症例)。死亡は報告されなかった。
【0112】
【表1】
【0113】
結論:二価rLP2086は、許容される安全性プロファイルを示した。5種類すべての投与レジメンによって、高い割合の対象において、4種類すべての試験株に対して8以上のhSBA力価が得られた。一部の試験株に対して、3用量の後の割合が、2用量と比べて高いことは、3用量によって、多様なMnB臨床株に対して最も広い防御がもたらされうることを示唆している。世界的な第3相臨床試験が、二価rLP2086ワクチンで進行中である。
【0114】
この研究の目的の一つは、1群対象(無作為化される0、1、および6か月スケジュール)および2群対象(無作為化される0、2、および6か月スケジュール)において、二価rLP2086での3回目のワクチン処置から1か月後、LP2086サブファミリーAおよびBタンパク質を発現するMnB株で実施するhSBAによって測定される免疫応答を評価することであった。免疫原性分析の評価項目は、4種の主要MnB試験株(A22、A56、B24、およびB44)それぞれについて、7か月目(または二価rLP2086の3回目用量から1か月後)にhSBA力価がLLOQ以上に達している、1群および2群の対象の割合であった。LLOQは、4種の主要MnB試験株について1:8であった。
【0115】
評価可能な免疫原性集団について、3用量の二価rLP2086の後、hSBA力価が1:8以上に達する1群の対象の割合は、A22では91.7%、A56では99.4%、B24では89%、B44では88.5%であった(上の表1を参照されたい)。97.5%CIの下限がすべての菌株について50%を超えていたので(菌株A22、A56、B24、およびB44について、それぞれ、87.8%、p<0.001;97.8%、p<0.001;84.7%、p<0.001;および84.1%、p<0.001)、1群の対象について、研究の目的は果たされた。
【0116】
2群について、3用量の二価rLP2086の後、hSBA力価が1:8以上に達する対象の割合は、A22では95.0%、A56では98.9%、B24では88.4%、B44では86.1%であった(上の表1を参照されたい)。1群でわかったのと同様に、97.5%CIの下限は、すべての菌株について50%を超えており(菌株A22、A56、B24、およびB44について、それぞれ、91.7%、p<0.001;96.9%、p<0.001;84.1%、p<0.001;および81.4%、p<0.001)、2群の対象についても目的が果たされたことが示された。
【0117】
第二の目的は、3群対象(無作為化される0および6か月スケジュール)において、二価rLP2086の二回目用量から1か月後、LP2086サブファミリーAおよびBタンパク質を発現するMnB株で実施したhSBAによって測定される免疫応答を評価することであった。この第二の目的は、4種の主要MnB試験株それぞれについて、7か月目(または二価rLP2086の二回目用量から1か月後)にhSBA力価がLLOQ(1:8)以上に達している3群の対象の割合であった。
【0118】
2用量の二価rLP2086の後にhSBA力価が1:8以上に達する3群の対象の割合は、主要MnB試験株について93.5%、98.4%、81.1%、および77.5%であり、97.5%CIの下限がすべての菌株で50%を超えていたので(菌株A22、A56、B24、およびB44について、それぞれ、90.0%、p<0.001;96.2%、p<0.001;76.0%、p<0.001;および72.2%、p<0.001。上の表1を参照されたい)、この第二の目的も果たされた。
【0119】
別の第二の目的は、1群〜5群の対象について、各血液採取の時点で、4種の主要MnB試験株それぞれについてのhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合であった。4種の主要hSBA試験株それぞれについてのLLOQは、1:8の力価であった。評価可能な免疫原性集団について、試験時までにhSBA力価が1:8以上である対象の割合を上の表1に示す。
【0120】
1用量の二価rLP2086の後にhSBA力価が1:8以上であった対象の割合(注射3から1か月後の5群[2および6か月スケジュール])は、A22では55.9%、A56では67.6%、B24では56.9%、B44では23.8%であった。
【0121】
2用量の二価rLP2086から1か月後にhSBA力価が1:8以上であった対象の割合は、サブファミリーA株では74.6%〜100%、サブファミリーB株では54.0%〜81.1%の範囲であった。3用量の後、割合は増加し、サブファミリーA株およびB株について、それぞれ、91.7%〜99.4%および86.1%〜89.0%の範囲となった。
【実施例2】
【0122】
実施例2:ヒト補体を使用する血清殺菌検定(HSBA)
ヒト血流からのMnBクリアランスは、補体が媒介する溶菌によって主に実現され、無傷の補体系は、MnBが引き起こす感染に対する抵抗力にとって重要である。補体が媒介するMnBのin vivoでの溶菌は、髄膜炎菌疾患の防御の代用であることが示されている機能血清検定である、ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)によってin vitroで模倣される。すなわち、ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)において細菌死滅が実証されることは、髄膜炎菌疾患に対する防御と相互に関係がある。ワクチンによって惹起される免疫を、4種のMnB株(fHBP変異体A22、A56、B24、およびB44)に対するhSBAを使用して明らかにする。
【0123】
実施例に記載のhSBAでは、評価項目の判定に4種の主要MnB試験株を使用した。すなわち、これらの菌株を使用して、hSBA免疫原性評価項目を用いるワクチン有効性の推定を行った。これら試験株は、米国およびヨーロッパを循環する疾患分離株の90%超を占める6種の系統発生的fHBP亜群のうちの4種である。
【0124】
【表2】
【0125】
侵襲性疾患分離株から4種の主要MnB試験株を選択する際、in vitroでのLP2086表面発現の集団分布を考慮に入れた手法を使用した。さらに、髄膜炎菌疾患のリスクのある集団は、大部分の菌株に対してベースライン殺菌活性が存在しないまたは低いことを特徴とするため、hSBA試験株は、低いベースラインhSBA陽性度を示す必要があった。加えて、4種の主要MnB試験株はそれぞれ、ワクチン中のLP2086変異体とは異なるLP2086変異体を発現し、したがって、集団の中を循環する侵襲性髄膜炎菌疾患(IMD)菌株に対する機能免疫原性および有効性に関する目的の評価が可能になる。
【0126】
hSBAでは、補体が媒介する殺菌活性を始動することのできる、血清中の抗髄膜炎菌血清型B(MnB)抗体の量が測定される。簡潔に述べると、試験血清は、2倍ずつ段階希釈し、96ウェル検定プレートに加える。MnB SBA試験株およびヒト血清補体を加えて、殺菌反応を開始する。検定プレートを37℃で30〜60分間(SBA試験株次第、T30と呼ぶ)インキュベートした後、このインキュベートを経ても生存する細菌を含有する反応混合物を希釈し、マイクロフィルタープレートに移す。終夜インキュベートした後、コロニー形成単位(CFU)として示される生存細菌を、Immunospot分析装置を使用して数え上げる。生CFUデータを電子的に記録し、hSBA力価を算出するデータ解析アプリケーションに移す。hSBA力価は、T30CFU値(すなわち、試験血清を除くすべての検定成分を含有する検定ウェルにおいてインキュベートした後に生存する細菌の数、100%細菌生存)と比べて、MnB細菌を少なくとも50%減少させる(50%細菌生存)、試験血清の最も高い2倍希釈度の逆数である。力価は、段階力価、すなわち、1:4、1:8、1:16などとして報告することができる。血清サンプルは、2個体で試験し、同じ検定で判定を繰り返す。反復測定値が同一でないサンプルについて報告する最終力価は、システム適性およびサンプル適性判断基準(たとえば、反復力価は、1段階の2倍希釈度内で一致しなければならない)を満たすとき、2つの反復測定値の低い方である。
【0127】
hSBA検定は、試験血清をダルベッコリン酸緩衝食塩水で段階希釈した後に行った。96ウェルプレート中の連続希釈された血清に、細菌(おおよそ2000コロニー形成単位)およびヒト血清補体(最終濃度20重量%)を加え、小半径オービタルシェーカーにおいて、37℃、700rpmで(hSBA試験株に応じて)30〜40分間インキュベートした。インキュベートした後、反応混合物の一部分をマイクロフィルタープレートに移した。終夜インキュベートした後、生存細菌をImmunospot分析装置(Cellular Technology Limited、米国オハイオ州シェーカーハイツ)で計数し、hSBA力価をSAS(バージョン9.2)で分析した。hSBA力価は、試験血清にさらされていない対照(すなわち、hSBA反応終盤の生存細菌)と比べて細菌を50%減少させる、内挿された試験血清希釈度の逆数として算出した。実施例1の表1で列挙する菌株を用いた検定の資格付与の際に確立された、hSBA検定の定量下限以上であったhSBA力価に基づき、パープロトコールhSBAを実施した。
【0128】
ヒト血清は、SBA用の補体供給源である。しかし、hSBA力価は、使用するヒト補体ロットに応じて様々となりうる。したがって、ヒト補体は、厳密なスクリーニングおよび資格付与によって管理して、hSBAにおいて一貫した性能を確保することが好ましい。hSBAについては、ヒト血清補体を何人もの健常な成人からプールしてもよいし、または個々のドナーから使用(すなわち、プールしない)してもよい。
【実施例3】
【0129】
実施例3−ポリソルベート80
3つのパラメータ、すなわち、pH、アルミニウム濃度、およびポリソルベート80(PS−80)の対タンパク質モル比は、薬品の製剤向けに最適化されている。合計体積が0.5mlである用量の組成物では、タンパク質のアルミニウムへの最適な結合は、pH約6.0、かつリン酸アルミニウム(AlPO
4)としてのアルミニウム濃度0.5mg/ml(1用量あたり0.25mgのアルミニウムと等価である)で実現される。in vitroでの効力について製剤を安定化するためには、PS−80の対タンパク質モル比を2.8±1.4に保つ。ポリソルベート80(PS−80)を原薬に加えて、目標PS−80対タンパク質モル比2.8を実現する。したがって、PS−80は、薬品の製剤化の間に加えないことが好ましい。
【実施例4】
【0130】
実施例4
健康な青年において二価rLP2086ワクチンと同時投与されたREPEVAX(登録商標)の免疫原性および安全性についての無作為化偽薬対照第二相試験
背景/意図:青年において髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型B(MnB)疾患を予防するために開発中である治験用二価rLP2086ワクチンを、この集団において現在使用されているdTaP不活化ポリオワクチンであるREPEVAX(登録商標)(米国特許第7479283号、WO1990/013313、およびEP1666057B1、ならびにUK Marketing Authorisation PL06745/0121に記載のものでよい)を同時投与しながら評価した。
【0131】
方法:REPEVAX+rLP2086またはREPEVAX+食塩水(1:1)に無作為化された青年を、0、2、および6か月の時点でワクチン処置した。最初のワクチン処置から30日後に、9種のREPEVAX抗原に対して、所定の抗体レベルを実現する対象の集団を明らかにした。ワクチン処置2および3から30日後に、4種のMnB試験株に対する免疫応答(hSBA)を測定した。有害事象(AE)および局所/全身応答を評価した。
【0132】
REPEVAX(Sanofi Pasteur MSD limited)は、0.5mL用量あたり、リン酸アルミニウム(1.5mg(アルミニウム0.33mg))に吸着された、ジフテリアトキソイド(2IU以上)、破傷風トキソイド(20IU以上)、百日咳抗原(百日咳トキソイド(2.5マイクログラム)、線維状赤血球凝集素(5マイクログラム)、パータクチン(3マイクログラム)、および線毛2および3型(5マイクログラム)、ポリオウイルス(不活化)1型(40D抗原単位)、ポリオウイルス(不活化)2型(8D抗原単位)、ポリオウイルス(不活化)3型(32D抗原単位)を含有する、ジフテリア、破傷風、無細胞百日咳、および不活化灰白髄炎ウイルスの混合低用量ワクチンである。
【0133】
REPEVAXのジフテリア、破傷風、および百日咳成分(ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、百日咳トキソイド、パータクチン、線毛2および3型、ならびに線維状赤血球凝集素)に対する免疫応答は、多重LUMINEX検定を使用して評価した。ポリオウイルス1、2、および3型に対する免疫応答は、ウイルス中和検定において測定した。両方の群のすべての対象から得た血清を、これらの検定で使用した。
【0134】
二価rLP2086に対する免疫応答を評価するために、記載する4種の主要MnB試験株を用いたhSBAにおいて、機能抗体を分析した。2種がLP2086サブファミリーA変異体を発現し、他の2種がLP2086サブファミリーB変異体を発現する、4種の主要MnB hSBA試験株(A22、A56、B44、およびB24)を選択した。これら4種の主要hSBA試験株(6種のfHBP系統発生的亜群のうちの4種からのものであり、米国およびヨーロッパを循環する疾患分離株の90%超に相当する)を、この研究における免疫原性主要評価項目の判定に使用した。加えて、A22、B24、およびB44変異体は、ヨーロッパにおいて疫学的に関係のある変異体であり、米国では、A22およびB24が、疾患を引き起こすMnB株上での発現が見出された最も流行型の変異体である。MnB hSBAは、一次および二次分析に使用するサンプルの試験前に有効性を確認した。
【0135】
両方の群における無作為に選択した50%の対象からの血清サンプルを、A22およびB24で実施したhSBAにかけ、他の50%をA56およびB44で試験した。これらの試験を、ワクチン処置1の前、ワクチン処置2の後、およびワクチン処置3の後に採取した血液サンプルで行った。
【0136】
REPEVAXの免疫原性は、REPEVAXの許認可の根拠となった、青年における中心的な第三相臨床試験において定められた、各抗原についての所定の判断基準を使用することにより評価する。REPEVAX併存抗原には、ジフテリア、破傷風、百日咳トキソイド、百日咳線維状赤血球凝集素、百日咳パータクチン、百日咳線毛凝集原2+3型、ポリオウイルス1型、ポリオウイルス2型、ポリオウイルス3型が含まれる。REPEVAXの許認可に使用された検定では5EU/mL以上の力価が定められた、百日咳線毛凝集原(FIM)2+3型については例外である。この研究では、百日咳FIM2+3型検定の定量下限(LLOQ)は、10.6EU/mL以上としたが、これは、REPEVAXの許認可判断基準より高く、したがってより厳しい。
【0137】
併存抗原のLLOQは、ジフテリアトキソイドについては0.037IU/mL、破傷風トキソイドについては0.05IU/ml、百日咳トキソイドについては0.9EU/mL、百日咳線維状赤血球凝集素については2.9EU/mL、百日咳パータクチンについては3.0EU/mL、百日咳線毛凝集原2+3型については10.6EU/mL、ポリオウイルス1型、ポリオウイルス2型、ポリオウイルス3型については1:8とした。
【0138】
主要目的のための追加の記述的評価項目は、ワクチン処置1の後に(訪問2で)力価幾何平均値(GMT)または濃度幾何平均値(GMC)として測定した、併存ワクチン抗原に対する抗体とした。
【0139】
別の評価項目は、4種の主要MnB試験株それぞれについて、ワクチン処置3の後に(訪問6で)hSBA力価がLLOQ以上である対象の割合とした。
【0140】
併存ワクチン抗原。ジフテリア、破傷風、および無細胞百日咳(dTaP)−IPV(REPEVAX)によるワクチン処置から1か月後に、併存ワクチン抗原の所定の判断基準に達する対象の割合を、1群および2群について、両側95%正確(またはClopper−Pearson)信頼限界)で算出した。割合の差(二価rLP2086/dTaP−IPV−dTaP−IPV、または1群−2群)も、差についての両側95%正確CIと共に計算した。差についての両側95%CIの下限が、dTaP−IPVワクチン中の9種の抗原すべてについて−0.10(−10%)より高かった場合、非劣性を言明した。
【0141】
主要試験株でのhSBA。各主要MnB hSBA試験株について、各血液採取の時点で、hSBA力価がLLOQ以上、1:4以上、1:8以上、1:16以上、および1:128以上に達する対象の数および割合を、割合についての正確両側95%CI(またはClopper−Pearson信頼限界)と共に、記述的にまとめた。
【0142】
結果:無作為化された749人の対象のうち、685人(91.5%)を評価可能な免疫原性集団に含めた。REPEVAX+rLP2086またはREPEVAX+食塩水の後の免疫応答は、9種類すべてのREPEVAX抗原について非劣性であった。二価rLP2086ワクチンに対する免疫応答は、2用量の後に実体のあるものとなり、3用量の後にさらに増強された(表2)。軽度から中等度の注射部位疼痛が、最も一般的な局所反応であり、頭痛および倦怠が、最も一般的な全身事象であった。ワクチン処置後30日以内にAEを報告している対象の割合は、似通っていた(REPEVAX+rLP2086およびREPEVAX+食塩水について、それぞれ、8.8%および11.4%)。
【0143】
評価可能な併存ワクチン免疫原性集団について、REPEVAX用量から1か月後に、併存ワクチン抗原に対する抗体が所定のレベル(応答の閾値)に達する対象の割合は、併存ワクチン抗原について、二価rLP2086+REPEVAX群とREPEVAX単独群とで似通っていた。ジフテリアトキソイド(各群で99.4%)、破傷風トキソイド(各群で100%)、百日咳トキソイド(それぞれ94.7%および96.0%)、百日咳線維状赤血球凝集素(各群で100%)、百日咳パータクチン(各群で100%)、百日咳線毛凝集原2+3型(それぞれ97.6%および98.9%)、ポリオウイルス1型(各群で100%)、ポリオウイルス2型(各群で100%)、ポリオウイルス3型(各群で100%)。
【0144】
REPEVAX用量から1か月後の二価rLP2086+REPEVAX群(1群)とREPEVAX単独群(2群)間の応答者の割合の差についての両側95%CIの下限が、REPEVAX中の9種類の抗原について−0.10(−10%)より高かった(すなわち、割合の差に関する95%CIの最低の下限が、−4.7%(百日咳トキソイド)であった)ため、非劣性が実現された。したがって、二価rLP2086と共に与えられたREPEVAXによって誘発された免疫応答は、REPEVAXのみによって誘発された免疫応答に劣っていなかった。
【0145】
ワクチン処置3の後の評価可能な免疫原性集団に関して、4種の主要MnB試験株それぞれについてhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合を評価した。A22のLLOQは、1:16に相当するhSBA力価であり、他のすべてのMnB試験株のLLOQは、1:8に相当するhSBA力価であった。
【0146】
1群については、ベースライン(ワクチン処置1の前)においてhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合は、主要MnB株A22で14.4%、A56で18.2%、B24で12.7%、B44で6.2%であった。2群については、ベースライン(ワクチン処置1の前)においてhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合は、主要MnB株A22で23.0%、A56で21.8%、B24で12.9%、B44で6.3%であった。
【0147】
二価rLP2086の用量2の後に、1群対象の中で、実質的なhSBA応答が認められ、3用量の後、ワクチン処置3から1か月後に、追加の増大が認められた。1群(二価rLP2086+REPEVAX)については、ワクチン処置2から1か月後およびワクチン処置3から1か月後にhSBA力価がLLOQ以上に達する対象の割合は、A22で81.1%および95.6%、A56で97.3%および100%、B24で81.0%および96.8%、B44で55.5%および81.5%であった。実質的なhSBA応答は、2用量だけの二価rLP2086の後にも実現されたが、3用量の後(ワクチン処置3から1か月後)に、hSBA力価がLLOQ以上である対象の割合が、2用量の後(ワクチン処置2から1か月後)と比べて増加したことは、3用量の後に免疫応答が増強されたよい例となる。対照群(2群)では、ワクチン処置2から1か月後およびワクチン処置3から1か月後に、4種の主要MnB試験株それぞれについてのhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合は、各MnB試験株についてのベースラインhSBAの結果(ワクチン処置1の前)と似通っていた。
【0148】
4種の主要MnB試験株について、定められたhSBA力価を示す1群の対象の割合は、3用量の後で2用量の後より大きかった。その力価が1:4の力価の4倍の増大であることから(1:4以上の力価は、IMDに対する防御の相関事項として広く認められている)、hSBA力価が1:16以上に達した対象を記載する。1群については、ワクチン処置2から1か月後にhSBA力価が1:16である対象の割合は、A22で81.8%、A56で97.3%、B24で68.0%、B44で53.4%であった。ワクチン処置3から1か月後、hSBA力価が1:16である対象の割合は、A22で95.6%、A56で100%、B24で87.3%、B44で79.5%であった。
【0149】
対照群(2群)では、ワクチン処置2から1か月後およびワクチン処置3から1か月後に、4種の主要MnB試験株それぞれについて、定められたhSBA力価を示す対象の割合は、ベースラインで(ワクチン処置1の前に)定められたhSBA力価を有する対象の割合と似通っていた。
【0150】
1群については、3用量の二価rLP2086の後にhSBA力価が1:16である対象の割合から、3用量の二価rLP2086が投与されたとき、ワクチンが活発な免疫応答を惹起することが実証された。
【0151】
hSBA力価幾何平均値(GMT)。一般に、ベースラインでのGMTは、両方の群についてhSBA LLOQを下回った。1群について、ワクチン処置2から1か月後のhSBA GMTは、A22で35.5、A56で91.1、B24で15.9、B44で14.6であった。ワクチン処置3から1か月後のhSBA GMTは、A22で63.4、A56で151.5、B24で28.3、B44で36.5であった。
【0152】
1群では、サブファミリーA株については2用量の後に認められたGMTが、サブファミリーB株については3用量の後に認められたGMTが、活発な免疫応答を示していた。
【0153】
A22、A56、B24、およびB44についてのhSBA力価の分布を示す逆累積分布曲線(RCDC)を評価した。1群におけるRCDCからの結果は、二価rLP2086のワクチン処置2の後に1群対象の中で実質的な免疫応答が認められたことを示したが、しかし、図面には、より高い割合の対象が4種のMnB試験株に対してより高い力価を実現したという、二価rLP2086の3回目用量の利益も示された。効果は、株B44について最も顕著であった。
【0154】
結論:二価rLP2086と同時に与えられたとき、REPEVAXは、REPEVAXのみによって惹起される免疫応答に劣らない免疫応答を誘発した。二価rLP2086ワクチンは、4種の多様なMnB試験株、特に、サブファミリーBを代表する試験株に対して、2用量の後より3用量の後により強まった、活発な殺菌応答を誘発した。同時投与は、一般に安全であり、十分に忍容された。
【0155】
【表3】
【実施例5】
【0156】
実施例5
健康な青年における治験用髄膜炎菌血清型B二価rLP2086ワクチンの免疫原性
背景および意図:髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型B(MnB)は、小児、青年、および成人において侵襲性疾患を引き起こす。保存された表面露出リポタンパク質であるLP2086(H因子結合タンパク質[fHBP])は、見込みのあるMnBワクチンターゲットである。治験用二価組換えワクチン(rLP2086)の安全性および免疫原性を健康な青年(11〜18才)において調査した。
【0157】
方法:この偽薬対照単盲検試験における対象を、2組の3用量スケジュールおよび3組の2用量スケジュールに無作為化した。各120μg用量は、各LP2086サブファミリー(AおよびB)から1種ずつの2種のrLP2086抗原を含有した。ワクチンの予定がなかったときは、食塩水を与えた。ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)を、4種のMnB試験株(ワクチンfHBPと異種)で実施した。
【0158】
結果:1713人の対象(平均年齢14.4才)を無作為化した。3用量のワクチンから1か月後、サブファミリーA株およびB株に対する8以上のhSBA力価は、それぞれ、対象の95〜99%および86〜89%において認められ、2用量の後に、これらの数は、それぞれ、対象の91〜100%および69〜77%の範囲になった。2用量スケジュールのうち、0および6か月が、最も高い抗体応答(実施例5の表1)を誘発した。2用量の後のhSBA GMTは、4種のMnB異種試験株全体で、6.2〜125.6の範囲となり、3用量の後では25.6〜155.6の範囲となった。軽度から中等度の注射部位疼痛が、最も一般的な局所反応であった。rLP2086受容者および食塩水受容者のそれぞれ3.3〜6.5%および2.1%において、用量1の後に、38℃以上の発熱が経験された。
【0159】
【表4】
【0160】
結論:rLP2086は、十分に認容された。すべての投与レジメンによって、3用量の後に最も顕著となった活発な殺菌応答が得られた。
【0161】
実施例5の表1は、上述の実施例1の表1と同じである。表2に、評価可能な免疫原性集団についての調査時間によるhSBA GMTおよび対応するCIをまとめて示す。GMTは、ベースライン(注射1の前)から増大し、二価rLP2086の後続の各用量と共に増大し続けた。
【0162】
4種の主要MnB株について、GMTは、3用量の二価rLP2086(1群および2群)の後では、2用量(3、4および5群)の後より高かった。GMTは、2組の3用量群間で似通っており、3組の2用量群の間でも似通っていた。
【0163】
注射1の前(ベースライン)の、1、2、3、4および5群についてのhSBA GMTは、次のとおりである。A22については、それぞれ、7.1、6.3、6.4、6.4、および6.8、A56については、それぞれ、6.8、6.1、6.7、6.3、および6.2、B24については、それぞれ、5.3、5.1、5.0、4.9、および5.1、B44については、それぞれ、4.4、4.5、4.5、4.6、および4.4。
【0164】
1群(0、1、および6か月)については、4種すべての主要MnB株について、用量2から1か月後に、GMTの実質的な増大が認められた(A22、A56、B24、およびB44について、それぞれ、24.4、77.3、13.8、および13.1)。GMTは、1群対象では、4種の主要MnB試験株について、3用量の二価rLP2086の後に、さらに増大した。55.1(A22)、152.96(A56)、29.1(B24)、および40.3(B44)。
【0165】
2群については、二価rLP2086の2用量および3用量の後に、GMTの同様の増大が認められた。2用量の二価rLP2086の後の2群対象のGMTは、A22で32.9、A56で94.6、B24で14.9、B44で15.5であった。3用量の後、GMTは、A22では56.3、A56では155.6、B24では25.6、B44では35.0に増大した。
【0166】
1群および2群について、サブファミリーA株については2用量の後に認められたGMTが、サブファミリーB株については3用量の後に認められたGMTが、活発な免疫応答を示している。
【0167】
3群については、1用量の二価rLP2086の後に、次のような、GMTのわずかな増大が認められた。すなわち、A22では12.0、A56では18.5、B24では9.2、B44では5.7。2用量の後、GMTは、A22で48.4、A56で125.6、B24で20.6、B44で22.5に増大した。
【0168】
4群について、GMTは、1用量の二価rLP2086の後、A22では13.3、A56では17.7、B24では9.8、B44では5.9であった。2用量の二価rLP2086の後、GMTは、A22では37.1、A56では104.9、B24では17.7、B44では19.1であった。
【0169】
5群について、1用量の二価rLP2086の後のGMTは、A22では16.0、A56では26.8、B24では12.6、B44では6.8であった。2用量の二価rLP2086の後、GMTは、A22で39.6、A56で111.8、B24で14.7、B44で17.8に増大した。
【0170】
まとめると、3、4および5群について、観察されたGMTは、2用量の二価rLP2086の後、サブファミリーA株およびB株について、免疫応答を示している。
【0171】
要約すると、3用量の二価rLP2086によって、hSBA力価に基づく免疫応答は、4種の主要MnB試験株について、活発で、最も広くなった。2用量と比べると、3用量の二価rLP2086を投与されている対象は、より高い割合で、4種の主要MnB試験株に対して、hSBA力価が1:8以上に達した。
【0172】
0、1、および6か月の用量スケジュール(1群)の後の結果は、0、2、および6か月の用量スケジュール(2群)の後の結果と似通っていた。1群および2群について、実現された用量3の後のGMT値は、用量2の後のGMT値より高かった。1群および2群について、用量2の後のGMT値は、サブファミリーA株では24.4〜94.6、サブファミリーB株では13.1〜15.5の範囲であった。用量3の後のGMT値は、サブファミリーA株では55.1〜155.6、サブファミリーB株では25.6〜40.3の範囲であった。1群および2群について、2用量の二価rLP2086の後に4種の主要MnB試験株に対してhSBA力価が1:8以上に達する対象の割合と比べて、3用量の二価rLP2086の後、より高い割合の対象が、4種の主要MnB試験株に対して、1:8以上のhSBA力価に達した。
【0173】
hSBA力価が1:16以上に達した対象も評価した。1群について、2用量の二価rLP2086から1か月後に、hSBA力価が1:16以上に達した対象の百分率は、A22で73.5%、A56で96.3、B24で57.6、B44で47.2%であった。3用量の二価rLP2086の後、hSBA力価が1:16以上に達した1群の対象の百分率は、A22で91.4%、A56で99.2%、B24で82.8%、B44で84.8%であった。
【0174】
2群について、2用量の二価rLP2086から1か月後に、hSBA力価が1:16以上に達した対象の百分率は、A22で88.1%、A56で97.9%、B24で63.5%、B44で58.6%であった。3用量の二価rLP2086の後、hSBA力価が1:16以上に達した2群の対象の百分率は、A22で95.0%、A56で98.9%、B24で83.6%、B44で83.8%であった。
【0175】
1群および2群について、3用量の二価rLP2086の後にhSBA力価が1:16以上に達する対象の百分率から、ワクチンが活発な免疫応答を惹起することが実証された。
【0176】
3群について、2用量の二価rLP2086の後、hSBA力価が1:16以上に達した対象の百分率は、A22で93.2%、A56で98.4%、B24で73.8%、B44で70.8%であった。
【0177】
4群について、2用量の二価rLP2086から1か月後に、hSBA力価が1:16以上に達した対象の百分率は、A22で90.8%、A56で99.2%、B24で67.1%、B44で64.5%であった。
【0178】
5群について、2用量の二価rLP2086の後にhSBA力価が1:16以上に達した対象の百分率は、A22で91.0%、A56で99.1%、B24で64.5%、B44で66.7%であった。
【0179】
3、4および5群について、hSBA力価が1:16以上に達する対象の百分率から、ワクチンが、2用量だけの後でも、サブファミリーA株に対して活発な免疫応答を惹起することが実証された。しかし、3用量によって、サブファミリーB株に対する応答の活発さは増す。
【0180】
3用量の二価rLP2086の後にhSBA力価が1:16以上に達する対象の百分率は、ワクチンが、ワクチン成分とは異なるLP2086変異体を発現するMnB株に対して活発で広い免疫応答を惹起することを示している。
【0181】
各菌株の評価可能な免疫原性集団について、調査時間によるhSBA力価の分布を示す逆累積分布曲線(RCDC)も、まとめて評価した。RCDCは、2用量の二価rLP2086サブファミリーA株の後に、活発な免疫応答を示す。二価rLP2086の3回目用量の後、反応曲線下面積は、4種すべての主要MnB試験株について増加し、それにより、3用量の二価rLP2086の後、免疫応答が増強されたことが実証される。
【0182】
一次および二次の免疫原性評価項目分析の結果は、ワクチンが、MnBの非相同のサブファミリーAおよびサブファミリーB変異体に対して有意なhSBA活性を有する抗体を発生させうることを示している。hSBA力価が1:8以上に達する対象の割合は、2または3用量の二価rLP2086の後により高くなったが、対象の大部分は、1用量の二価rLP2086から1か月後に1:8以上のhSBA力価に達した。たとえば、5群を参照されたい。
【0183】
4種の主要MnB試験株について、GMTは、3用量の二価rLP2086(1群および2群)で、2用量(3、4および5群)より高かった。GMTは、2組の3用量群において似通っていた。GMTは、3組の2用量群間でも似通っていた。これらのデータは、hSBA力価が1:16以上に達する対象の百分率に基づく、3用量の二価rLP2086の後の活発なhSBA応答も示している。
【0184】
これらのデータは、二価rLP2086の最終製剤が、2または3用量で与えられたとき、活発な免疫応答を生じ、安全であり、十分に忍容されることを示している。1用量の二価rLP2086でさえも、ベースラインを上回る実質的な免疫応答をもたらし、同様に安全で、十分に忍容される。全体として、2用量または3用量の二価rLP2086の後の安全性プロファイルに臨床上意味のある差は見られなかった。
【実施例6】
【0185】
実施例6
3種類の第二相無作為化対照試験における、11才〜18才の健康な青年における髄膜炎菌血清型B二価rLP2086ワクチンの安全性、忍容性、および免疫原性
背景:髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型B(MnB)は、青年における侵襲性髄膜炎菌疾患の主原因である。保存された表面露出リポタンパク質であるLP2086(H因子結合タンパク質[fHBP])は、MnBによって引き起こされる侵襲性疾患に対する防御の見込みのあるワクチンターゲットである。治験用二価組換えMnBワクチン(配列番号1および配列番号2、2.8のモル比のポリソルベート80、0.5mg/mlのアルミニウム、10mMのヒスチジン、および150mMの塩化ナトリウムを含み、本明細書では、実施例全体を通して「二価rLP2086」と呼ぶ)の安全性、忍容性、および免疫原性を、11才〜18才の健康な青年における3種類の第二相無作為化対照試験において調べた。
【0186】
方法:試験1012では、二価rLP2086の5通りのワクチンレジメンを調べ、試験1010および1011では、TdaP−IPVワクチンおよびHPVワクチンそれぞれと同時に与える二価rLP2086ワクチンの3用量スケジュールを評価した。二価rLP2086の各用量は、60μgのrLP2086サブファミリーA変異体A05および60μgのrLP2086サブファミリーB変異体B01を含有した。3種類の試験それぞれにおいて、二価rLP2086の免疫原性を調べるために、fHBPの変異性の妥当な多様性を表すように、また疫学的に優勢なfHBP変異体を発現する菌株に対してワクチンが惹起する免疫応答の幅に関して見通しが得られるように選択された、非相同fHBP変異体A22、A56、B24、およびB44を発現する4種のMnB試験株を用いて、ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)を実施した。有害事象ならびに求められる局所および全身応答を評価した。
【0187】
結果:3種類すべての試験における82〜100%の対象が、用量3から1か月後に、4種のMnB試験株それぞれについて、定量下限(LLOQ)を上回るhSBA力価に達した(表)。3種の試験すべてにわたって、全身事象および局所反応の大半は、重症度が軽度から中等度であり、有害事象は、一般に、重篤でない、または試験ワクチンと関係がなかった。
【0188】
結論:1:4を上回る血清殺菌抗体力価は、侵襲性髄膜炎菌疾患に対する防御となる。こうした青年第二相試験それぞれにおいて、それぞれワクチン抗原とは異種である4種のMnB試験株に対してLLOQ以上のhSBA力価が示されたことは、二価rLP2086ワクチンによって、MnB疾患と関連する多様な菌株に対して幅広く活発となりうる機能抗体応答が得られたことを示唆する。二価rLP2086でのワクチン処置は、一般に十分に忍容された。
【0189】
【表5】
【実施例7】
【0190】
実施例7
ヒトパピローマウイルスワクチンと同時投与したときの、11才〜18才の健康な青年における髄膜炎菌血清型B二価rLP2086ワクチンの免疫原性
この第二相無作為化観察者盲検対照試験では、(米国特許第5,820,870号にも記載のとおりの)ヒトパピローマウイルスに対する四価ワクチン(HPV4)であるGARDASIL(登録商標)の同時投与を伴うまたは伴わない二価rLP2086の免疫原性を、11才以上18才未満の健康な青年において評価した。GARDASILは、HPV6、11、16および18型(すなわち、HPV−6、HPV−11、HPV−16、およびHPV−18)L1タンパク質の組換え抗原を含有する。評価項目は、適用できる各血液採取時点における、4種の主要MnB試験株それぞれについてのhSBA GMTとした。
【0191】
方法:対象に、0、2および6か月の時点で、二価rLP2086(配列番号1および配列番号2、2.8のモル比のポリソルベート80、0.5mg/mlのアルミニウム、10mMのヒスチジン、および150mMの塩化ナトリウムを含む)+HPV4(1群)、二価rLP2086+食塩水(2群)、またはHPV4+食塩水(3群)を与えた。ワクチン成分と非相同であり、fHBPの多様性の幅に加えて疫学的優性を表すfHBP(A22、A56、B44、およびB24)をそれぞれが発現する4種のMnB試験株を使用して、ワクチン処置1の前ならびにワクチン処置2および3から1か月後の1群および2群の対象からの血清を、ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)によって試験した。評価する評価項目には、hSBA力価が定量下限(LLOQ、1:16[A22]または1:8[A56、B44、B24])以上である対象の割合およびhSBA力価幾何平均値(GMT)を含めた。
【0192】
GARDASILに二価rLP2086を加えた投与が、GARDASIL単独と比べて非劣性であることを実証するために、サブファミリーA変異体を代表する1種の主要試験株(A22)と、サブファミリーB変異体を代表する1種の主要試験株(B24)を使用する2種のhSBAで、免疫原性評価を実施した。しかし、付加的な二価rLP2086免疫原性/有効性調査評価項目の判定には、4種すべての主要MnB試験株を使用した。
【0193】
二価rLP2086に対する免疫応答を評価するために、Pfizerの代表的なMnB SBA菌株プールから、実施例2に記載のとおりに無作為に選択した髄膜炎菌血清型B株を用いたhSBAにおいて、機能抗体を分析した。このhSBAでは、目標髄膜炎菌株を補体依存的に死滅させる、ヒト血清中の機能抗体を測定した。
【0194】
結果:1群および2群についてそれぞれ、814および812の対象が評価可能な免疫原性集団を包含した。4種すべての試験株に対してhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合は、ワクチン処置1の前と比べて、ワクチン処置2(55%〜99%)および3(83%〜99%、
図1)の後ではより高かった。実施例7の表Aに、評価可能な免疫原性集団について、サンプル採取の時点による、4種の主要MnB株それぞれについてのhSBA GMT、および対応するCIを示す。ベースラインのGMTは、両方の群について、hSBA LLOQを下回っていた。GMTは、1群および2群において、ワクチン処置1の後で、それぞれ11.1〜70.6および11.9〜76.3、ワクチン処置2の後で25.8〜117.2および28.0〜128.2の範囲となった(以下の表A)。
【0195】
評価可能な免疫原性集団について、ワクチン処置3二価rLP2086用量から1か月後の、1群および2群についての2種の主要MnB株に対するhSBA GMTは、次のとおりであった。すなわち、A22ではそれぞれ53.3および57.8、B24ではそれぞれ25.8および28.0。
【0196】
2群(二価rLP2086+食塩水)について、ワクチン処置2から1か月後のhSBA GMTは、A22で33.7、A56で76.3、B24で16.3、B44で11.9であった。ワクチン処置3から1か月後のhSBA GMTは、A22で57.8、A56で128.2、B24で28.0、B44で31.9であった。
【0197】
1群(二価rLP2086+GARDASIL)について、ワクチン処置2から1か月後のhSBA GMTは、A22で31.9、A56で70.6、B24で15.0、B44で11.1であった。ワクチン処置3から1か月後のhSBA GMTは、A22で53.3、A56で117.2、B24で25.8、B44で27.2であった。
【0198】
評価可能な免疫原性集団に関して、A22、A56、B24、およびB44についてのhSBA力価の分布を示す逆累積分布曲線(RCDC)を、すべてのサンプル採取時点において、1群および2群について評価した。RCDCは、対象の大半が、ワクチン処置2の後に応答し、ワクチン処置3の後、4種の主要MnB試験株についての力価がさらに増大していたことを示した。抗原に対する免疫応答は、1群と2群で似通っていた。
【0199】
結論:二価rLP2086は、hSBA血清応答またはGMTによって評価される殺菌応答に影響を及ぼすことなく、HPV4と共に投与することができる。1:4以上のhSBA力価は、髄膜炎菌疾患に対する防御と相互に関係があるため、これらのデータは、HPVワクチンを同時投与する状況において、二価rLP2086を投与した後、幅広い範囲のMnB株に対して青年の防御になる可能性を示唆している。
【0200】
【表6】
【実施例8】
【0201】
実施例8
健康な青年における、二価rLP2086ワクチンと同時投与されたヒトパピローマワクチンの髄膜炎菌血清型Bに対する免疫原性
背景:この第二相無作為化試験では、11才以上18才未満の健康な青年において、ヒトパピローマウイルスに対する四価ワクチン(HPV4)と、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型B(MnB)が引き起こす侵襲性疾患に対する治験用ワクチンである二価rLP2086との共投与を評価した。
【0202】
方法:対象に、0、2、および6か月の時点で、HPV4+二価rLP2086(1群)、二価rLP2086+食塩水(2群)、または食塩水+HPV4(3群)を与えた。血清は、すべての群において、ベースライン時ならびに用量2および3の後に採取した。HPV4抗原(HPV−6、11、16、および18)に対する免疫応答を、競合LUMINEX免疫検定(cLIA)によって明らかにした。二価rLP2086免疫原性は、ワクチンと非相同のfHBP変異体(A22およびB24)を発現する2種のMnB試験株を用いた、ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)によって測定した。すべて用量3の後の免疫原性評価項目として、1群および3群におけるHPV抗原に対する力価幾何平均値(GMT)、1群および2群における変異体A22およびB24を発現する菌株についてのhSBA GMT、ならびに1群および3群におけるベースライン血清陰性対象のHPV抗原についての抗体陽転率を含めた。二価rLP2086の安全性も、HPV4または食塩水の同時投与後に評価した。
【0203】
GARDASIL(HPV6、11、16、および18型L1タンパク質)に対する免疫応答の評価は、蛍光標識されたマイクロスフェアを主体とするプラットフォームに基づくcLIA(LUMINEX)を使用して実施した。GARDASILでの最初のワクチン処置の前(訪問1)およびGARDASILでの3回目のワクチン処置から1か月後(訪問5)に、1群および3群のすべての対象から得た血清を、これらの検定において使用した。
【0204】
1群および3群についての4種のHPV抗原に対するGMTの比較を、その対応する、1群の3群に対するGMT比(GMR)およびその比の両側95%CIを添えて、この実施例の後の表Aに示す。非劣性限界の判断基準は、GMRの両側95%CIの下限についての0.67の値に相当する、1.5倍とした。0.67である1.5倍の判断基準は、下限95%信頼区間(CI)が0.62であったHPV−18を除いて、すべてのMnB試験株およびHPV抗原について満たされた。別の分析において、食塩水+HPV4およびrLP2086+HPV4の両方の群において、対象の99%以上が、4種すべてのHPV抗原に対して抗体陽転した。
【0205】
この試験の別の目的は、両方の群において、GARDASILのワクチン処置3用量の後(訪問5)、HPV免疫原性検定における抗体陽転によって測定される、二価rLP2086+GARDASIL(1群)および食塩水+GARDASIL(3群)によって誘発された免疫応答について記載することであった。
【0206】
1群および3群でベースライン時にHPV血清陰性であった対象について、GARDASILの最後の用量から1か月後の、4種のHPV抗原それぞれについての抗体陽転率を、抗HPV血清cLIAレベルが、HPV−6では20mMU/ml以上、HPV−11では16mMU/ml以上、HPV−16では20mMU/ml以上、HPV−18では24mMU/ml以上である対象の割合として算出した。
【0207】
評価可能なベースラインHPV血清陰性免疫原性集団について、4種のHPV抗原について所定の抗体陽転の判断基準に達する、ベースラインHPV血清陰性対象の数および割合を、各群における対応する95%CI、割合のパーセントの差(1群−3群)、およびその差の95%CIと共に、実施例8の表Bに示す。
【0208】
結果:1.5倍(GMRの95%CIの下限0.67)に設定した所定の非劣性判断基準は、4種のHPV抗原のうちの(HPV−18でない)3種および両方のMnB試験株について満たされた(表A)。1群および3群の抗体陽転率は、すべてのHPV抗原について99%以上であった(表B)。rLP2086の後では、食塩水と比べて、より大きな局所反応原性(reactogenicity)が生じたが、後の用量と共に増大はせず、注射部位疼痛が、最もよくある局所反応であった。3つの群すべてにおける全身事象は、一般に、重症度が軽度および中等度であった。
【0209】
評価可能な免疫原性集団について、ワクチン処置3のGARDASIL用量から1か月後の、1群および3群についての、4種のHPV抗原に対する抗体のGMTは、次のとおりであった。すなわち、それぞれ451.8および550.3(HPV−6)、それぞれ892.9および1084.3(HPV−11)、それぞれ3695.4および4763.4(HPV−16)、それぞれ744.0および1047.4(HPV−18)。ワクチン処置3のGARDASIL用量から1か月後の、1群の3群に対するGMRは、HPV−6では0.82(95%CI:0.72、0.94)、HPV−11では0.82(95%CI:0.74、0.91)、HPV−16では0.78(95%CI:0.68、0.88)、HPV−18では0.71(95%CI:0.62、0.81)であった。したがって、1群の3群に対する抗HPV GMRの両側95%CIの下限は、HPV−6では0.72、HPV−11では0.74、HPV−16では0.68、HPV−18では0.62であった。0.67(GMRの両側95%CIの下限)である1.5倍の判断基準は、95%CIの下限が0.62であったHPV−18を除いて、すべてのHPV抗原について満たされた。
【0210】
ワクチン処置3の二価rLP2086用量から1か月後の、二価rLP2086+GARDASIL群の二価rLP2086+食塩水群に対するGMRは、A22で0.92(95%CI:0.85、1.00)、B24で0.92(95%CI:0.84、1.01)であった。1群の2群に対するhSBA GMRの両側95%CIの下限は、A22で0.85、B24で0.84であり、両方とも0.67より大きく、したがって、1.5倍の非劣性限界を満たした。
【0211】
ワクチン処置3から1か月後の2種の主要MnB株(A22およびB24)についてのhSBA力価4倍応答率を分析することにより、二価rLP2086+GARDASIL(1群)投与からのデータを、二価rLP2086+食塩水(2群)投与からのデータと比較した。ベースラインからワクチン処置3の1か月後までに、2種の主要MnB株について、hSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合を、二価rLP2086+GARDASILを与えた1群対象、および二価rLP2086+食塩水を与えた2群対象の両方について測定した。1群の対象のうち、85.3%が、B24に対してhSBA力価の4倍以上の上昇を示した。2群の対象のうち、86.4%が、A22に対してhSBA力価の4倍以上の上昇を示し、84.8%が、B24に対してhSBA力価の4倍以上の上昇を示した。
【0212】
ワクチン処置3から1か月後の1群と2群の応答者の割合の差は、A22では−1.1%(95%CI:−4.6、2.3)およびB24では−1.4%(95%CI:−5.1、2.3)であった。4倍応答率の差は、すべてほぼ1%の値であり、割合の差の95%CIの下限は、A22で−4.6%、B24で−5.1%であった。
【0213】
二価rLP2086+GARDASILを食塩水+GARDASILまたは二価rLP2086+食塩水と比較する非劣性判断基準では、ワクチン処置3から1か月後の、4種すべてのHPV抗原(HPV−6、HPV−11、HPV−16、およびHPV−18)についてのHPVに対する抗体のGMR、および2種の主要MnB試験株(A22およびB24)を使用してのhSBA力価に関して、両側95%CIの下限が、0.67を超えることが必要であった。この所定の判断基準は、両方のMnB試験株、および4種のうち少なくとも3種のHPV抗原について満たされた。HPV−18については、GMRの両側CIの下限が0.62で、所定の閾値である0.67をわずかに下回った。
【0214】
2種の主要MnB試験株(A22およびB24)に対する4倍上昇応答は、二価rLP2086+GARDASILを与えた群と二価rLP2086+食塩水を与えた群とで似通っていた(83.4%〜86.4%の範囲であった)。
【0215】
ワクチン処置前(すなわち、ワクチン処置1の前の)hSBA力価が1:4以上である、1群および2群の対象の割合は、菌株A22ではそれぞれ15.2%および18.8%、菌株A56ではそれぞれ10.4%および10.5%、菌株B24ではそれぞれ6.1%および8.4%、菌株B44ではそれぞれ1.7%および3.2%であった。加えて、ワクチン処置前hSBA力価が1:16以上である2群および1群の対象の割合は、菌株A22ではそれぞれ13.7%および16.4%、菌株A56ではそれぞれ9.0%および9.1%、菌株B24ではそれぞれ4.1%および5.4%、菌株B44ではそれぞれ1.2%および2.1%であった。
【0216】
2群(二価rLP2086+食塩水)において、ワクチン処置2から1か月後、hSBA力価が1:4以上である対象の割合は、A22で86.3%、A56で98.7%、B24で77.1%、B44で60.1%であった。ワクチン処置3から1か月後、hSBA力価が1:4以上である対象の割合は、A22で96.4%、A56で99.4%、B24で92.8%、B44で86.5%であった。1群(二価rLP2086+GARDASIL)では、ワクチン処置2から1か月後の、hSBA力価が1:4以上である対象の割合は、A22で83.8%、A56で97.8%、B24で71.9%、B44で57.7%であった。ワクチン処置3から1か月後、hSBA力価が1:4以上である対象の割合は、A22で94.3%、A56で99.1%、B24で91.1%、B44で84.4%であった。
【0217】
2群(二価rLP2086+食塩水)において、ワクチン処置2から1か月後、hSBA力価が1:16以上である対象の割合は、A22で85.8%、A56で98.4%、B24で68.8%、B44で49.9%であった。ワクチン処置3から1か月後、hSBA力価が1:16以上である対象の割合は、A22で96.3%、A56で99.4%、B24で89.2%、B44で82.4%であった。1群(二価rLP2086+GARDASIL)では、ワクチン処置2から1か月後の、hSBA力価が1:16以上である対象の割合は、A22で83.0%、A56で97.2%、B24で65.2%、B44で46.4%であった。ワクチン処置3から1か月後、hSBA力価が1:16以上である対象の割合は、A22で94.0%、A56で98.9%、B24で86.3%、B44で78.0%であった。
【0218】
1群および2群両方について、2または3用量の二価rLP2086の後、高い割合の対象が、1:16以上またはそれを超えるhSBA力価に達したが、対象の大部分は、ワクチン処置前訪問1の時点では、主要MnB試験株のいずれに対しても、測定可能なhSBA力価を伴わなかった。
【0219】
評価可能なベースラインHPV血清陰性免疫原性集団に関して、ワクチン処置3のGARDASIL用量から1か月後に、HPV抗原について、HPV抗体陽転の所定の判断基準に達する対象の割合は、二価rLP2086+GARDASIL群(1群)および食塩水+GARDASIL群(3群)について、次のとおりであった。HPV−6(それぞれ99.4%および99.3%)、HPV−11(それぞれ99.6%および99.5%)、HPV−16(それぞれ99.6%および99.5%)、HPV−18(それぞれ99.5%および99.0%)。
【0220】
GARDASIL用量から1か月後の、二価rLP2086+GARDASIL群(1群)と食塩水+GARDASIL群(3群)の応答者の割合の差は、HPV−6では0.1%(95%CI:−0.9、1.5)、HPV−11では0.1%(95%CI:−0.7、1.3)、HPV−16では0.1%(95%CI:−0.7、1.3)、HPV−18では0.5%(95%CI:−0.6、1.9)であった。
【0221】
二価rLP2086+GARDASIL群(1群)と食塩水+GARDASIL群(3群)について、抗体陽転率の差は、4種すべてのHPV抗原にわたって0.1%および0.5%以内であり、群を越えて、抗体陽転率は非常に似通っており、99%を超える対象が、4種すべてのHPV抗原について抗体陽転していた。
【0222】
付加的な評価として、ワクチン処置3から1か月後の2種の主要MnB株(A22およびB24)についてのhSBA力価4倍応答率を分析することにより、二価rLP2086+GARDASIL(1群)を二価rLP2086+食塩水(2群)と比較した。ベースラインからワクチン処置3の1か月後までに、2種の主要MnB株について、hSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合は、次のとおりである。すなわち、1群の対象のうち、85.3%が、試験株A22に対して4倍以上のhSBA力価の上昇を示し、83.4%が、試験株B24に対して4倍以上のhSBA力価の上昇を示した。2群の対象のうち、86.4%が、試験株A22に対して4倍以上のhSBA力価の上昇を示し、84.8%が、試験株B24に対して4倍以上のhSBA力価の上昇を示した。
【0223】
ワクチン処置3から1か月後の1群と2群の応答者の割合の差は、A22では−1.1%(95%CI:−4.6、2.3)、B24では−1.4%(95%CI:−5.1、2.3)であった。4倍応答率の差は、すべてほぼ1%の値であり、割合の差の95%CIの下限は、−4.6%(A22)および−5.1%(B24)であった。
【0224】
二価rLP2086に対する免疫応答。この試験の別の目的は、2種がLP2086サブファミリーAタンパク質(A22およびA56)を発現し、2種がLP2086サブファミリーBタンパク質(B24およびB44)を発現する4種の主要MnB試験株で実施したhSBAによって測定される、2回目の訪問から1か月後(訪問3)および二価rLP2086での3回目のワクチン処置から1か月後(訪問5)に測定した免疫応答について記載することであった。
【0225】
この目的のための評価項目の一つは、ワクチン処置2から1か月後(訪問3)およびワクチン処置3から1か月後(訪問5)に、4種の主要MnB試験株それぞれについて、hSBA力価がLLOQ以上である対象の割合とした。評価可能な免疫原性集団に関して、4種の主要MnB試験株それぞれについて、hSBA力価がLLOQ以上である対象の割合を評価した。A22についてのLLOQは、1:16に相当するhSBA力価であり、他のすべてのMnB試験株についてのLLOQは、1:8に相当するhSBA力価であった。
【0226】
2群(二価rLP2086+食塩水)について、ベースライン時(ワクチン処置1の前)にhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合は、A22では16.4%、A56では9.3%、B24では6.9%、B44では2.5%であった。2群について、ワクチン処置2から1か月後およびワクチン処置3から1か月後に、hSBA力価がLLOQ以上に達する対象の割合は、A22ではそれぞれ85.8%および96.3%、A56ではそれぞれ98.5%および99.4%、B24ではそれぞれ74.2%および92.6%、B44ではそれぞれ57.1%および85.7%であった。
【0227】
1群(二価rLP2086+GARDASIL)について、ベースライン時(ワクチン処置1の前)にhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合は、A22では13.7%、A56では9.2%、B24では5.1%、B44では1.4%であった。1群について、ワクチン処置2から1か月後およびワクチン処置3から1か月後に、hSBA力価がLLOQ以上に達する対象の割合は、A22ではそれぞれ83.0%および94.0%、A56ではそれぞれ97.5%および98.9%、B24ではそれぞれ70.6%および90.5%、B44ではそれぞれ54.5%および82.7%であった。
【0228】
ワクチン処置2から1か月後に、1群および2群両方の対象の間で、4種の主要MnB試験株に対して実質的なhSBA応答が認められ、ワクチン処置3から1か月後に追加の増大が認められた。
【0229】
評価可能な免疫原性集団に関して、4種の主要MnB試験株それぞれについてhSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合、および複合応答を実現する対象の割合を評価した。ベースライン時(ワクチン処置1の前)に混合した4種すべてのMnB株について、LLOQ以上のhSBA力価が認められた対象の割合は、1群(0.3%)と2群(0.7%)とで似通っていた。
【0230】
2群(二価rLP2086+食塩水)について、ベースラインからワクチン処置3の1か月後までに、hSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合は、A22では86.4%、A56では95.3%、B24では84.8%、B44では80.7%であり、83.9%の対象が、複合hSBA応答を実現した(混合した4種すべての主要菌株についてhSBAがLLOQ以上)。ワクチン処置2から1か月後、ベースラインからのhSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合は、A22では74.2%、A56では92.6%、B24では63.4%、B44では47.4%であり、51.9%の対象が、複合hSBA応答を実現した。
【0231】
1群(二価rLP2086+食塩水)について、ベースラインからワクチン処置3の1か月後までに、hSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合は、A22で86.4%、A56で95.3%、B24で84.8%、B44で80.7%であり、83.9%の対象が、複合hSBA応答を実現した(混合した4種すべての主要菌株についてhSBAがLLOQ以上)。ワクチン処置2から1か月後、ベースラインからのhSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合は、A22では74.2%、A56では92.6%、B24では63.4%、B44では47.4%であり、51.9%の対象が、複合hSBA応答を実現した。
【0232】
追加のhSBA応答倍率。他の評価項目は、ベースラインから各ワクチン処置後血液採取訪問までに、4種の主要MnB株それぞれについて、hSBA力価の増大が少なくとも2倍および3倍に達する対象の割合とした。A22についてのLLOQは、1:16に相当するhSBA力価であり、他のすべてのMnB試験株についてのLLOQは、1:8に相当するhSBA力価であったことを留意されたい。
【0233】
1群および2群について、ベースラインからワクチン処置2の1か月後までに、MnB株についてのhSBA力価の上昇が2倍以上に達する対象の割合は、A22ではそれぞれ77.3%および81.1%、A56ではそれぞれ94.4%および95.3%、B24ではそれぞれ63.0%および66.0%、B44ではそれぞれ46.1%および48.6%であった。1群および2群について、ベースラインからワクチン処置3の1か月後までに、MnB株についてのhSBA力価の上昇が2倍以上に達する対象の割合は、A22ではそれぞれ90.2%および92.8%、A56ではそれぞれ97.2%および97.9%、B24ではそれぞれ84.6%および87.2%、B44ではそれぞれ77.7%および81.7%であった。
【0234】
1群および2群について、ベースラインからワクチン処置2の1か月後までに、MnB株についてのhSBA力価の上昇が3倍以上に達する対象の割合は、A22ではそれぞれ73.1%および74.2%、A56ではそれぞれ92.5%および92.6%、B24ではそれぞれ61.3%および63.4%、B44ではそれぞれ45.7%および47.4%であった。1群および2群について、ベースラインからワクチン処置3の1か月後までに、MnB株についてのhSBA力価の上昇が3倍以上に達する対象の割合は、A22ではそれぞれ85.3%および86.4%、A56ではそれぞれ95.0%および95.3%、B24ではそれぞれ83.4%および84.8%、B44ではそれぞれ77.0%および80.7%であった。
【0235】
目的に沿った記述的な評価項目の概要において、対象の大半は、1群(二価rLP2086+GARDASIL)および2群(二価rLP2086+食塩水)の両方について、4種すべての主要MnB試験株についてのhSBA力価がLLOQ以上に達し、ベースライン(ワクチン処置前訪問1)の時点では、非常に少ない割合の対象しか、測定可能なLLOQ以上のhSBA力価を伴わなかった。1群および2群両方の対象について、ワクチン処置2から1か月後に、4種のMnB株で実質的な免疫応答が認められ、ワクチン処置3から1か月後に、追加の増大が認められた。この結論は、3用量の後にhSBA力価が1:16以上である対象の割合、両方の群において2用量の後および3用量の後に得られたGMT実測値、ならびに4種の主要MnB試験株についてのRCDCによって確認された。
【0236】
1群および2群両方について、高い割合の対象が、3回目の試験ワクチン処置の後、主要MnB試験株それぞれについては4倍以上のhSBA力価の上昇、および4種すべての主要MnB株についてはLLOQ以上の複合hSBA応答を実現した。
【0237】
加えて、1群(二価rLP2086+GARDASIL)および2群(二価rLP2086+食塩水)の両方について、対象の大半が、すべてのサンプル採取時点で、4種の主要MnB株について、3倍以上のhSBA力価の上昇および2倍以上のhSBA力価の上昇を実現した。こうした判断基準を満たす結果となった対象の割合は、3回のワクチン処置の後の方が、2回のワクチン処置と比べて高かった。
【0238】
これらの結果は、HPVワクチンであるGARDASILと共投与したときの二価rLP2086に対する免疫応答が、二価rLP2086+食塩水に対する免疫応答に匹敵する活発な免疫応答になるという証拠の裏付けとなる。
【0239】
HPV GMT。実施例8の表Bに、評価可能な免疫原性集団の1群(二価rLP2086+GARDASIL)および3群(食塩水+GARDASIL)について、ワクチン処置3から1か月後の、4種のHPV抗原それぞれについてのGMTおよび対応するCIを示す。
【0240】
3群について、ベースライン時(ワクチン処置1の前)およびワクチン処置3から1か月後のHPV GMTは、HPV−6ではそれぞれ6.0および550.3、HPV−11ではそれぞれ4.3および1084.3、HPV−16ではそれぞれ6.1および4763.4、HPV−18ではそれぞれ5.3および1047.4であった。1群(二価rLP2086+GARDASIL)について、ベースライン時(ワクチン処置1の前)およびワクチン処置3から1か月後のHPV GMTは、HPV−6についてはそれぞれ5.8および451.8、HPV−11についてはそれぞれ4.2および892.9、HPV−16についてはそれぞれ5.8および3695.4、HPV−18についてはそれぞれ5.2および744.0であった。全体として、GMTは、3群の方が1群と比べて数値が高かった。HPV−6、HPV−11、HPV−16、およびHPV−18についての力価の分布を示す逆累積分布曲線(RCDC)を、評価可能な免疫原性集団に関して、すべてのサンプル採取時点において、1群(二価rLP2086+GARDASIL)および3群(食塩水+GARDASIL)について評価した。RCDCは、1群および3群両方について、ワクチン処置3の後の対象の間で、活発な免疫応答を示した。
【0241】
GARDASILに対する免疫応答の概要。HPV抗原に対するGMTは、3群(食塩水+GARDASIL)の方が1群(二価rLP2086+GARDASIL)と比べて数値が高く、ワクチン処置3の後に認められたHPV GMTは、両方の群について活発な免疫応答を示すものであった。RCDCでも、1群および3群両方について、ワクチン処置3の後の活発な免疫応答が裏付けられた。このことは、4種のHPV抗原について血清陽性状態である対象の割合が、ワクチン処置3から1か月後、両方に群について、99%を超えていたことによっても裏付けられた。より年少の亜群は、3群(食塩水+GARDASIL)において、より年長の亜群よりHPV GMTが高かった。この差は、GARDASILを二価rLP2086と同時に与えたときも維持された。
【0242】
免疫原性の結論。二価rLP2086_GARDASILを食塩水+GARDASILまたは二価rLP2086+食塩水と比較する非劣性判断基準では、ワクチン処置3から1か月後の、4種すべてのHPV抗原(HPV−6、HPV−11、HPV−16、およびHPV−18)についてのHPVに対する抗体の力価幾何平均値比(GMR)、および2種の主要MnB試験株(A22およびB24)を使用してのhSBA力価に関して、両側95%CIの下限が、0.67を超えることが必要であった。この所定の閾値は、両方のMnB株および4種のうち3種のHPV抗原について満たされた。HPV−18については、GMRについての両側95%CIの下限が0.62で、所定の閾値である0.67をわずかに下回った。
【0243】
GARDASILを二価rLP2086または食塩水と同時に与えた群の対象の99%以上が、4種すべてのHPV抗原についての抗体陽転を実現した。4種すべてのHPV抗原についてのRCDCは、対象の大半が、ワクチン処置3から1か月後に、抗体陽転閾値を上回る応答を実現したことを示している。GARDASILを与えた両方の群について、ベースラインより強いGMTが認められた。
【0244】
2種の主要MnB試験株(A22およびB24)に対する4倍上昇応答は、二価rLP2086+GARDASILを与えた群(それぞれ85.3%および83.4%)と二価rLP2086+食塩水を与えた群(それぞれ86.4%および84.8%)とで似通っていた(83.4%〜86.4%の範囲であった)。
【0245】
4種の主要MnB試験株(A22、A56、B24、およびB44)を使用して、二価rLP2086に対する応答の別の記述的分析を実施した。評価可能な免疫原性集団に関して、GARDASIL(二価rLP2086+GARDASIL)または食塩水(二価rLP2086+食塩水)のいずれかと同時に二価rLP2086を与えた両方の群について、ワクチン処置2または3から1か月後、高い割合の対象が、hSBA力価の4倍以上の上昇および複合応答(4種すべての主要MnB試験株、および第三相臨床プログラムで使用されるのと同じ免疫原性/有効性評価項目規定)を実現した。こうした応答は、B血清型疾患を始めとする髄膜炎菌疾患に対する防御との相互関係が実証されている、1:4以上のhSBA力価より実質的に高い。これらの結果からも、食塩水と一緒に投与されようと、GARDASILと同時投与されようと、二価rLP2086に対する活発な免疫応答の証拠が示唆され、裏付けられる。
【0246】
結論:データは、rLP2086+HPV4の同時投与の後、両方のワクチンに対する活発な免疫応答が生じたことを示している。所定の非劣性判断基準は、6種のうち5種の抗原について満たされた。HPV−18に対するGMRは、非劣性判断基準に僅差で届き損ねたが、応答者の割合が高い(99%以上)ことは、同時投与の後、臨床的有効度の維持が予想されることを示唆している。二価rLP2086は、十分に忍容され、ワクチン中のfHBPと非相同のfHBPを発現する試験株に対して活発な免疫応答を惹起した。
【0247】
【表7】
【0248】
【表8】
【実施例9】
【0249】
実施例9:二価RLP2086ワクチンの有効性
侵襲性の髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B(MnB)株に対する血清殺菌抗体応答の有効性および実証の代理としてhSBA応答を使用して、二価rLP2086の有効性を推測した。
【0250】
侵襲性髄膜炎菌疾患(IMD)を引き起こす菌株を代表する4種のMnB株を、評価において使用した。各MnB試験株は、ワクチン成分(A05およびB01)と非相同である(異なる)fHBPタンパク質変異体(A22、A56、B24、またはB44)を発現する。
【0251】
米国およびヨーロッパにおける11才から18才の4459人の青年で行った3種類の無作為化対照第II相試験において、二価rLP2086の有効性を評価した。実施例6も参照されたい。合計2293人に、0、2、および6か月のワクチン処置スケジュールを使用して、120μgの二価rLP2086を少なくとも1用量与えた。二価rLP2086でワクチン処置した対象においてhSBA免疫応答を評価することにより、有効性を評価した。
【0252】
5つの副主要免疫原性評価項目を使用して、有効性を推測した。5つのうち4つの副主要評価項目では、所定の割合の対象が、3用量の二価rLP2086の後、4種のMnB試験株それぞれに対して、hSBA力価の4倍の上昇に達する必要があった。5つ目の副主要評価項目は、3用量の二価rLP2086の後、所定の高い割合の対象が、主要MnB試験株を用いた4種類すべてのhSBAにおいてそれぞれ応答することが求められる、複合評価項目であった。ワクチンの3回目用量から1か月後、hSBA力価が定量下限(LLOQ)以上に達した対象の割合に基づく免疫応答も評価した。LLOQは、測定することのできる、サンプル中の抗体の最低量であると定める。
【0253】
試験1(実施例7および実施例8に記載)は、11才から17才の2499人の米国人対象を、3つの群、すなわち、二価rLP2086+HPV4が与えられる1群、二価rLP2086+食塩水が与えられる2群、および食塩水+HPV4が与えられる3群のうちの1つに(2:2:1の比で)無作為に割り当てた、第II相無作為化実薬対照観察者盲検多施設試験であった。ワクチン処置はすべて、0、2、および6か月スケジュールで投与した。
【0254】
試験2(実施例4に記載)は、11才から18才の753人のヨーロッパ人対象を、2つの群、すなわち、0、2、および6か月の時点で二価rLP2086、0か月の時点でdTaP−IPV(ジフテリア、破傷風、無細胞百日咳−不活化ポリオウイルス)が与えられる1群と、0、2、および6か月の時点で食塩水、0か月の時点でdTaP−IPVが与えられる2群とに、1:1の比で無作為に割り当てた、第II相無作為化偽薬対照単盲検試験であった。
【0255】
試験3(実施例5に記載)は、11才から18才の1713人のヨーロッパ人対象を、3:3:3:2:1の比で5つの群に無作為に割り当てた、第II相無作為化偽薬対照単盲検多施設試験であった。対象には、0、1、および6か月スケジュール(1群)、0、2、および6か月スケジュール(2群)、0および6か月スケジュール(3群)、0および2か月スケジュール(4群)、または0および4か月スケジュール(5群)で投与される2または3用量の二価rLP2086を与えた。各群において食塩水注射(群に応じて1または2用量)を投与して、盲検化を維持した。
【0256】
0、2、および6か月の時点で一連の3用量の二価rLP2086を与えた対象の間での試験1、2および3の結果は、それぞれの実施例4〜8において上述している。4倍および複合応答率の評価を、すべての試験の調査評価項目とした。4倍応答率は、4つすべての評価項目の95%信頼区間(CI)の下限が、3つの試験間で似通っており、一貫して第III相評価項目の限界値に達したことを示した。hSBA力価がLLOQ以上に達する対象の割合は、3つの試験すべてにわたって似通っていた。
【0257】
1または2か月空けて与えた2回のワクチン投与の後に得たhSBAデータによると、こうした間隔で投与された2用量のワクチンは、髄膜炎菌B血清型疾患の事例に触れる潜在的可能性があるために、リスクが高まっている個体の防御となりうる。1または2か月空けて送達された2回のワクチン投与の後に認められた応答は、一定割合の対象が、4種の主要試験株それぞれについてLLOQ値以上のhSBAレベルを示したことを示すものであった(1群および2群についての試験1の結果、1群についての試験2の結果、2群についての試験3の結果を参照されたい)。6か月の時点で投与される3回目用量のワクチンによって、ワクチンを介した防御を実現することができる。
【0258】
同時ワクチン投与。試験1(実施例7および実施例8に記載)では、米国人青年において二価rLP2086とHPV4の同時使用を評価した。試験評価項目には、4種のHPV4抗原(力価幾何平均値[GMT]に基づく)、および二価rLP2086(2種のMnB試験株[変異体A22およびB24]を使用するhSBAに基づく)についての、3回目のワクチン処置から1か月後の免疫応答の非劣性評価を含めた。HPV4免疫応答は、4種のHPV抗原それぞれについての抗体陽転によっても評価した。
【0259】
試験1では、HPV抗原に対する抗体の力価幾何平均値(GMT)の、1群(二価rLP2086+HPV4)と3群(食塩水+HPV4)についての比較を、その対応する1群と3群のGMT比(GMR)、およびその比の両側95%CIと共に示す。試験1では、2種の主要MnB試験株に対するhSBA GMTの、1群と2群についての比較も、その対応する1群と2群のGMR、およびその比の両側95%CIと共に示す。非劣性限界の判断基準は、GMRの両側95%CIの下限では0.67の値に相当する、1.5倍とした。0.67である1.5倍判断基準は、95%信頼区間(CI)の下限が0.62であったHPV−18を除いて、すべてのMnB試験株およびHPV抗原について満たされた。HPV−18に対する応答は、所定の非劣性判断基準に届かなかったが、差はほんのわずかであった。別の分析では、食塩水+HPV4および二価rLP2086+HPV4の両方の群で、99%以上の対象が、4種すべてのHPV抗原に対して抗体陽転した。
【実施例10】
【0260】
実施例10:
二価rLP2086によって、流行型でアウトブレイクと関連するfHBP変異体を発現するMnB株を広範にカバーする抗体が、個体において惹起される。
ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)において測定される殺菌性抗体は、髄膜炎菌疾患の防御と互いに関連付けられており、hSBA応答は、ワクチン有効性の代用として、日常的に使用されている。fHBP多様性の世界規模での疫学調査により、髄膜炎菌疾患の約80%が、10種の流行型fHBP変異体のうちの1種を発現する菌株によって引き起こされることが明らかになった。
【0261】
方法:米国およびヨーロッパにおいて最も流行型の10種のfHBP変異体(B24、B16、B44、A22、B03、B09、A12、A19、A05、およびA07)を発現する髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型B(MnB)株に対するhSBA応答を、二価rLP2086で免疫処置した個々のヒト対象において評価した。こうした最も流行型の10種の変異体を発現するMnB株は、fHBP多様性の幅を表すものであり、MnB SBA菌株プールおよびMnB SBA菌株プールの米国亜集団のそれぞれ98%および97%を超える菌株(亜群別)を代表するものである、6種の主要なfHBP亜群のうちの5種を含む。23種のMnB試験株は、2000年〜2006年の間に米国およびヨーロッパから系統的に収集した菌株の典型である、PfizerのMnB SBA菌株プール(N=1263)から入手した。加えて、最近のMnB疾患アウトブレイクからの分離株を分析に含めた。対応させたワクチン処置前とワクチン処置後血清(用量2の後および用量3の後)を、臨床試験B1971005、B1971012、またはB1971003に登録された青年および若年成人対象から無作為に取得した。
【0262】
二価rLP2086でのワクチン処置によってもたらされる潜在的なカバー範囲を裏付ける追加情報を得るために、アウトブレイク株、および二価rLP2086で免疫処置した9人の対象からの血清サンプルを用いて、hSBAを実施した(実施例5および実施例6に記載の臨床試験B1971012)。対象(11才〜19才未満)には、0、2、および6か月の時点で3用量の二価rLP2086を与えておいた。保存的なhSBA評価を確保するために、9人の対象は、主要MnB試験株に対してベースラインhSBA活性を伴わない組の対象から偏りなく選択した。プリンストン大学クローンアウトブレイク株の2種(PMB5021およびPMB5025)およびUCSBアウトブレイク株の2種(2つの遺伝子クラスターのそれぞれから1種、PMB4478およびPMB4479)を試験した。
【0263】
プリンストン大学クローンMnBアウトブレイク株の遺伝子特性決定は、次のとおりである。データから、プリンストン大学アウトブレイク株がクローンであることが示唆される。菌株はそれぞれ、CC41/44(ST409)と分類され、fHBP変異体B153(配列番号6)を発現した。菌株は、NHBA(2)、porA(サブタイプP1.5−1,2−2)、およびporB(3−82)についてアレルの割当てが同一であり、すべてがnadAを欠損しており、すべてが同じパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)プロファイルを有していた(429)。
【0264】
2013カリフォルニア大学Santa Barbaraアウトブレイク株の遺伝子特性決定は、次のとおりである。UCSB株は、CC32(ET5、ST32)と分類され、fHBP変異体B24を発現し、1993年以来、非常に地域流行性のB血清型疾患と関連付けられているオレゴンクローンと同類である。プリンストンアウトブレイク群の菌株とは異なり、UCSB株は、そのPFGEプロファイル(468または467)およびporB型(3−461または3−24)によって区別された2つの別個のクラスターに遺伝的に分けられる。菌株は、NadA(1)、NHBA(5)、porA(サブタイプP1.7,16−20)についてアレルの割当てが同一であった。
【0265】
すべての対象およびすべてのアウトブレイク株について、ベースラインのhSBA力価は、4未満であり、対象が、二価rLP2086での免疫処置前に、アウトブレイク株のいずれに対する防御抗体も有していなかったことが示された。
【0266】
結果:23種すべてのMnB株が、二価rLP2086で免疫処置した個々の対象からの血清を用いたhSBAにおいて感受性を有した。全10の流行型fHBP変異体を表す菌株に加えて、追加の菌株も、hSBAによってすべて死滅した。ベースラインhSBA血清防御率(hSBA力価が1:4以上に達する対象の割合)は、一般に低かった。二価rLP2086での免疫処置前の対象において、より低い血清防御率が認められたことは、ワクチン処置を受けていない青年または若年成人集団のMnB疾患に対する脆弱性を典型的に示している。しかし、ワクチン処置後血清を有する青年および若年成人では、活況な血清防御率が認められた。すなわち、試験したMnB株および集団に応じて、こうした菌株の83%について、70%を超える血清防御率が認められた。最も流行型のサブファミリーAおよびB fHBP変異体であるB24およびA22を発現する菌株についてのワクチン処置後血清防御率は、81.0%〜100%の範囲であり、fHBP変異体B24およびB153を発現する最近のアウトブレイク株については、77.8%〜100%の範囲であった。さらに、こうした対象において、すべてのアウトブレイク株に対する(ベースラインと比べて)活発な用量2後応答が、hSBAで使用したアウトブレイク株に応じて56〜89%の範囲で認められた。対照的に、ワクチン処置前の血清防御率は、最近の米国アウトブレイク株について、低い、または検出不可能であった。プリンストン大学およびUCSBアウトブレイク株に対するhSBA応答を
図2に示す。
【0267】
結論:二価rLP2086は、個体において、米国およびヨーロッパにおける流行型fHBP、ならびに新たに出現する変異体(B153)(配列番号6)を発現する多様な侵襲性MnB株に対して活発な血清防御hSBA応答を惹起する。二価rLP2086での免疫処置後に血清防御応答を示した対象の割合は、ベースライン時に血清防御があった対象の割合を大きく上回った。データは、二価rLP2086が、最近のアウトブレイクからの疾患を含めた、侵襲性髄膜炎菌B血清型疾患から、青年および若年成人を幅広く防御する潜在的可能性を有することを裏付けている。
>B153(配列番号6)
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