(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846472
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】リニアモータ
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20210315BHJP
H02K 33/16 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
B06B1/04 S
H02K33/16 A
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-132114(P2019-132114)
(22)【出願日】2019年7月17日
(65)【公開番号】特開2020-25953(P2020-25953A)
(43)【公開日】2020年2月20日
【審査請求日】2019年7月17日
(31)【優先権主張番号】201821277809.9
(32)【優先日】2018年8月9日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518131698
【氏名又は名称】エーエーシー テクノロジーズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】張 涛
(72)【発明者】
【氏名】黄 金全
(72)【発明者】
【氏名】凌 芳華
【審査官】
津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2018/0166960(US,A1)
【文献】
特開2012−213683(JP,A)
【文献】
特開2011−167589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/04
H02K 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間を有するケースと、前記収容空間に収容される振動子及びステータと、前記振動子を前記ケース内に懸架する弾性部材と、回路基板とを含むリニアモータであって、
前記ケースは、ボトムカバーと、前記ボトムカバーに覆設され且つ前記ボトムカバーと共に前記収容空間を囲む筐体とを含み、
前記ステータは、前記ケース内に固定される鉄心と、前記鉄心に嵌着されるヨークと、前記鉄心に嵌着され、且つそれぞれ前記ヨークの両側に設けられる第1コイル及び第2コイルとを含み、
前記第2コイルは、前記ヨークと前記ボトムカバーとの間に設けられ、
前記回路基板は、前記ボトムカバーに固定され、
前記振動子は、前記ステータと間隔をあけて設けられる磁性鋼を含み、
前記鉄心には、前記回路基板から離間する頂面と、当該頂面よりも前記回路基板に近接する底面とを備え、前記頂面から前記底面に亘って延在するように、表面から内部へ凹んで形成される凹溝が設けられ、前記第1コイルのコイルリード線は、前記第1コイル及び前記第2コイルと前記磁性鋼との間の磁気ギャップに挿入されることなく、前記凹溝を通って前記回路基板に電気的に接続されている、ことを特徴とするリニアモータ。
【請求項2】
前記鉄心は円柱状をなし、
前記凹溝の数は2つであり、2つの前記凹溝は、前記鉄心の軸心に対して対称に設けられ、
前記コイルリード線の数は2つであり、2つの前記コイルリード線は、それぞれ2つの前記凹溝を通っている、ことを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ。
【請求項3】
前記凹溝は、弧状をなす、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のリニアモータ。
【請求項4】
前記回路基板は、前記弾性部材と前記ボトムカバーとの間に介設され且つ前記第1コイルのコイルリード線に電気的に接続される第1部分と、前記第1部分に接続され、且つ前記収容空間から延出する第2部分とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ。
【請求項5】
前記振動子は、カウンターウェイトをさらに含み、
前記カウンターウェイトは、前記磁性鋼と前記弾性部材との間に介設されている、ことを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動モータの技術分野に関し、特に携帯型消費性電子製品に用いられるリニアモータに関する。
【背景技術】
【0002】
電子技術の発展に伴い、携帯型消費性電子製品は、益々人々に注目されている。例えば、携帯電話、携帯型ゲーム機、ナビゲーション装置または携帯型マルチメディア娯楽設備などの電子製品は、一般に、例えば、携帯電話の着信提示、情報提示、ナビゲーション提示、ゲーム機の振動フィードバックなどのシステムフィードバックに、リニアモータが用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
関連する技術におけるリニアモータが、収容空間を有するケースと、前記収容空間に収容される振動子及びステータとを備え、前記ステータが鉄心と、前記鉄心に嵌着されるヨークと、前記鉄心に嵌着され、且つそれぞれ前記ヨークの両側に設けられる第1コイル及び第2コイルとを含み、前記振動子が、前記ステータと間隔をあけて設けられる磁性鋼を含み、前記鉄心と前記磁性鋼との間に磁気ギャップが形成され、前記第1コイルと前記第2コイルが、前記磁気ギャップに挿入されている。
【0004】
しかしながら、関連する技術におけるリニアモータは、その前記第1コイルのコイルリード線が、前記第1コイルの外側から前記磁気ギャップを通ってから外部回路に接続されるため、磁気ギャップに必要な空間を増加させ、磁気回路の利用率を低下させる。
従って、上記欠陥を解決するために、新型のリニアモータを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記技術的問題を克服し、小さい磁気ギャップを有し、磁気回路の利用率を向上させることを保証できるリニアモータを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明はリニアモータを提供し、当該リニアモータは、収容空間を有するケースと、前記収容空間に収容される振動子及びステータと、前記振動子を前記ケース内に懸架する弾性部材と、回路基板とを含み、前記ケースは、ボトムカバーと、前記ボトムカバーに覆設され、且つ前記ボトムカバーと共に前記収容空間を囲む筐体とを含み、前記ステータは、前記ケース内に固定される鉄心と、前記鉄心に嵌着されるヨークと、前記鉄心に嵌着され、且つそれぞれ前記ヨークの両側に設けられる第1コイル及び第2コイルとを含み、前記第2コイルは、前記ヨークと前記ボトムカバーとの間に設けられ、前記回路基板は、前記ボトムカバーに固定され、前記振動子は、前記ステータと間隔をあけて設けられる磁性鋼を含み、前記鉄心には、表面から内部へ凹んで形成される凹溝が設けられ、前記第1コイルのコイルリード線は、前記凹溝を通って前記回路基板に電気的に接続されている。
【0007】
好ましくは、前記鉄心は円柱状をなし、前記凹溝の数は2つであり、2つの前記凹溝は、前記鉄心の軸心に対して対称に設けられ、前記コイルリード線の数は2つであり、2つの前記コイルリード線は、それぞれ2つの前記凹溝を通っている。
【0008】
好ましくは、前記凹溝は、弧状をなす。
【0009】
好ましくは、前記回路基板は、前記弾性部材と前記ボトムカバーとの間に介設され且つ前記第1コイルのコイルリード線に電気的に接続される第1部分と、前記第1部分に接続され、且つ前記収容空間から延出する第2部分とを含む。
【0010】
好ましくは、前記振動子は、カウンターウェイトをさらに含み、前記カウンターウェイトは、前記磁性鋼と前記弾性部材との間に介設されている。
【発明の効果】
【0011】
関連する技術に比べて、本発明に係るリニアモータは、鉄心に表面から内部へ凹んで形成される凹溝が設けられることにより、前記第2コイルのコイルリード線が前記凹溝を通ってから前記回路基板に接続されることを可能にして、前記コイルリード線が磁気ギャップに入ることを回避し、磁気ギャップが占める空間を減少させ、磁気回路の利用率を向上させることができる。前記凹溝が2つ設けられ、且つ2つの前記凹溝が前記鉄心の中心軸線に対して対称に設けられていることにより、磁気回路の損失を効果的に低減することができ、前記リニアモータの信頼性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の実施例における技術案をより明瞭に説明するために、以下、実施例に記載された使用が必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に記載される図面は、本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的労力をかけない前提で、これらの図面より他の図面を得ることができる。
【
図1】本発明に係るリニアモータの斜視構造を示す模式図である。
【
図2】
図1に示すリニアモータ的斜視構造を示す分解模式図である。
【
図4】本発明に係るリニアモータにおけるステータの斜視構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明瞭に、完全に説明する。当然ながら、説明される実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎす、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者は、創造的労力をかけない前提で、得た全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0014】
図1〜
図4を参照すると、前記リニアモータ100が、収容空間を有するケース1と、前記収容空間に収容されるステータ3及び振動子5と、前記振動子5を前記ケース1内に懸架する弾性部材7と、回路基板9とを含む。
【0015】
前記ケース1が、ボトムカバー11と、前記ボトムカバー11に覆設され、且つ前記ボトムカバー11と共に前記収容空間を囲む筐体13とを含む。
【0016】
前記ステータ3が、前記ケース1内に固定される鉄心31と、前記鉄心31に嵌着されるヨーク33と、前記鉄心31に嵌着され、且つそれぞれ前記ヨーク33の両側に設けられる第1コイル35及び第2コイル37とを含む。具体的に、前記第2コイル37が、前記ヨーク33と前記ボトムカバー11との間に設けられている。
【0017】
前記鉄心31には、表面から内部へ凹んで形成される凹溝39が設けられ、前記第1コイル35のコイルリード線が、前記凹溝39を通って前記回路基板9に電気的に接続されている。好ましくは、前記凹溝39が弧状をなす。
【0018】
前記鉄心31には表面から内部へ凹んで形成される凹溝39が設けられることにより、前記第1コイル35のコイルリード線が前記凹溝39を通ってから前記回路基板9に接続されることを可能にして、前記第1コイル35のコイルリード線が磁気ギャップに入ることを回避し、磁気ギャップが占める空間を減少させ、磁気回路的利用率を高める。
【0019】
前記鉄心31が円柱状をなすが、本発明がこれに限定されず、前記鉄心31が実際の需要に応じて角柱状とすることもできる。
【0020】
前記凹溝39の数が2つであり、2つの前記凹溝39が前記鉄心31の軸心に対して対称に設けられ、対応的に、前記第1コイル35のコイルリード線の数が2本であり、2本の前記コイルリード線が、それぞれ2つ前記凹溝を通ってから前記回路基板9に接続される。前記凹溝39の数を2つとし、且つ2つの前記凹溝39が前記鉄心31の中心軸線に対して対称に設けられることで、磁気回路の損失を効果的に低減し、前記リニアモータ100の信頼性を高めることができる。
【0021】
前記振動子5が、前記ステータ3と間隔をあけて設けられる磁性鋼51と、前記磁性鋼51と前記弾性部材7との間に介設されるカウンターウェイト53とを含む。
【0022】
前記磁性鋼51と前記鉄心31とが間隔をあけて設けられることで、磁気ギャップが形成され、前記ヨーク33、前記第1コイル35及び前記第2コイル37がいずれも前記磁気ギャップ内に挿入設置されている。
【0023】
前記カウンターウェイト53が、円環状をなし、且つ、前記リニアモータ100の安定性を高めるために、前記カウンターウェイト53の直径が前記磁性鋼51の直径よりも小さい。
【0024】
前記回路基板9が、前記ボトムカバー11と固定接続されており、具体的に、前記回路基板9が、前記弾性部材7と前記ボトムカバー11との間に介設され且つ前記第1コイル35のコイルリード線に電気的に接続される第1部分91と、前記第1部分91に接続され、且つ前記収容空間から延出する第2部分93とを含む。前記第2部分93が、外付け電気機器に接続するために用いられる。
【0025】
関連する技術に比べて、本発明に係るリニアモータは、鉄心に表面から内部へ凹んで形成される凹溝が設けられることで、前記第2コイルのコイルリード線が前記凹溝を通ってから前記回路基板に接続することを可能にして、前記コイルリード線が磁気ギャップに入ることを回避し、磁気ギャップが占める空間を減少させ、磁気回路の利用率を高めることができる。前記凹溝を2つとし、且つ、2つ前記凹溝が前記鉄心の中心軸線に対して対称に設けられることにより、磁気回路の損失を効果的に減少させ、前記リニアモータの信頼性を向上させることができる。
【0026】
上述したのは、本発明の実施形態に過ぎず、当業者にとって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改良を加えることが可能であるが、これら全ては本発明の保護範囲に含まれると理解されるべきである。