(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の半導体装置の製造方法は前記特許文献に示される構成となっており、母型基板上への金属部の形成にあたり、母型基板における金属部の形成位置に対応するようにレジスト層をあらかじめ形成して、金属部が電解メッキの手法により適切な位置に形成するようにしていた。この金属部には、メッキによる形成に適したニッケル等の金属が使用されており、導電性や配線用ワイヤの接合性を高めるために、金属部表面には一般に金メッキや銀メッキが施されていた。このメッキに対しても、レジスト層が必要箇所以外へのメッキの付着を防ぐ役割を果していた。そして、このレジスト層を溶剤等で除去した上で、母型基板とその表面に形成された金属部が、半導体装置用基板として供給された。この半導体装置用基板を用いて、実際の半導体装置の製造工程において、半導体素子の搭載や配線、封止材による封止等を行うようにしていた。
【0006】
近年、上記半導体装置用基板を用いて製造される半導体装置には、該半導体装置が用いられる電子機器のさらなる小型化を実現するために、低背化の要求がますます高まりつつあるが、これまでの構造では、半導体装置からの半導体素子搭載部分や電極部分の脱落を防止するために、半導体素子搭載部分や電極部分をなす金属部の薄型化には限界があり、さらに半導体素子自体も所定の強度を与えるために一定の厚さを確保する必要があり、さらなる薄型化、低背化が困難であるという課題を有していた。なお、半導体素子搭載部分をなくす構造も考えられるが、そうすると、半導体素子を搭載する際に、半導体素子の位置ズレが避けられなかった。
【0007】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、適切な箇所に規制部を設けて、得られる半導体装置各部の構造を最適化できると共に、効率よく半導体装置を製造できる、半導体装置用基板と当該基板の製造方法、並びに、この半導体装置用基板を用いて製造される半導体装置、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の開示に係る半導体装置用基板は、母型基板10上に少なくとも電極部11bとなる金属部11が形成される半導体装置用基板において、母型基板10上には、半導体素子14を規制する規制部11aが設けられたものである。
【0009】
このように本発明の開示によれば、母型基板10上に半導体素子14を規制するための規制部11aが設けられることにより、半導体装置用基板を用いた半導体装置の製造にあたり、半導体素子14を搭載する際に、半導体素子14の位置ズレを防止することができる。
【0010】
また、本発明の開示に係る半導体装置用基板は、規制部11aが前記金属部11に貫通孔11eを形成することで設けられたものである。係る貫通孔11eの形状は、半導体素子14が収容可能な大きさとしている。
【0011】
このように本発明の開示によれば、規制部11aが金属部11に貫通孔11eを形成することで設けられたものであり、該貫通孔貫通孔11eの形状(大きさ)として、半導体素子14が収容可能な大きさとなるようにすることにより、半導体装置製造の際に、半導体素子14を貫通孔11e(規制部11a)内に配設した場合、半導体素子14の位置ズレを防止できるだけでなく、従来のように半導体素子搭載部の上面に搭載される場合と比べて、配設位置を下げることができ、半導体素子11上面や、電極部11bと半導体素子14とを接合するワイヤ等の高さも下がる分、半導体装置の厚さを小さくして製造することができ、半導体装置の低背化を実現できる。また、半導体素子14の位置が下がって、ワイヤ15が接合する半導体素子14と電極部11bの各上面が互いに近付く分、ワイヤ長さも短くすることができ、ワイヤ15の使用量を削減してコストを低減できる。なお、貫通孔11eの形状は、半導体素子14と同形状とするのが好ましい。
【0012】
また、本発明の開示に係る半導体装置用基板は、規制部11aの高さ寸法が半導体素子14の厚み寸法以上に設定されたものである。
【0013】
このように本発明の開示によれば、規制部11aの高さ寸法を半導体素子14の厚み寸法以上に設定することにより、半導体装置製造の際に収容される半導体素子14の側面全体を規制部11aによって規制することができるので、半導体素子14の位置ズレを防止することができる。さらに、該規制部11aが貫通孔11eから成るものであり、貫通孔11eの深さ寸法を半導体素子14の厚み寸法以上に設定することにより、半導体素子14の側面全面が規制部11aに囲まれて規制されることになるので、半導体素子14の位置ズレをより確実に防止することができる。
【0014】
また、本発明の開示に係る半導体装置用基板の製造方法は、母型基板10上に電極部11b及び半導体素子14を規制する規制部11aとなる金属部11が設けられた半導体装置用基板の製造方法において、母型基板10上に金属部11の形成位置に対応する第一レジスト層12を形成する工程と、母型基板10表面の第一レジスト層12で覆われていない露出領域に金属部11を形成する工程とを有し、第一レジスト層12の設定により所定形状の金属部11を得るものである。
【0015】
このように本発明の開示によれば、金属部11の形成において、第一レジスト層12を設定することにより、電極部11b及び規制部11aとなる金属部11を母型基板10上に正確且つ容易に配置形成することができる。
【0016】
また、本発明の開示に係る半導体装置用基板の製造方法は、第一レジスト層12が、半導体素子14の配置箇所に形成され、金属部11の形成終了後、最終的に第一レジスト層12を除去することで、半導体素子配置箇所における、第一レジスト層12が存在していた部位に貫通孔11eを生じさせるものである。
【0017】
このように本発明の開示によれば、第一レジスト層12を半導体素子14の配置位置となる部位に配設して、最終的に形成された金属部11の半導体素子配置位置における第一レジスト層12の形状に応じた貫通孔11eを生じさせることにより、得られた半導体装置用基板を用いて半導体装置を製造する際に、半導体素子14を貫通孔11e内に配置することができ、半導体素子の側面全体を規制することが可能となる。
【0018】
また、本発明の開示に係る半導体装置用基板の製造方法は、母型基板10上に第一レジスト層12を形成した後、少なくとも第一レジスト層12上に、第二レジスト層16を形成し、第一レジスト層12の厚さを越える一方、第二レジスト層16を越えない厚さで金属部11を形成することにより、第一レジスト層12寄りの金属部11上端周縁には第一レジスト層12側に張出した略庇状の張出部11cが形成されるものである。
【0019】
このように本発明の開示によれば、半導体装置を構成する金属部11のうち、第一レジスト層12寄りの金属部11上端周縁には張出部11cが形成されていることにより、得られた半導体装置用基板を用いて半導体装置を製造する際の封止材19による封止状態において、封止材19は張出部11cがくい込み状に位置した状態で硬化しているため、この喰い付き効果により、半導体装置から母型基板10を引き剥がし除去する時に、金属部11は封止材19側に確実に残留し、母型基板10とともにくっついて引き離されることはなく、金属部11のズレや欠落等が効果的に防止でき、製造工程時の歩留まりを向上できる。その一方で、第二レジスト層16寄りの金属部11上端周縁には張出部11cが形成されていないので、貫通孔11e内への半導体素子14の配設をスムーズに行うことができる。
【0020】
また、本発明の開示に係る半導体装置は、半導体素子14と電気的に接続する電極部11bを有し、半導体素子14の搭載、半導体素子14と電極部11bとの電気的接続、封止材19による封止がなされ、装置底部に電極部11bの裏面側が露出される半導体装置において、半導体素子14を規制する規制部11aが設けられているものである。
【0021】
このように本発明の開示によれば、半導体素子14を規制する規制部11aが設けられていることにより、半導体素子14を規制部11aによって規制することができ、半導体素子14の位置ズレを防止することができる。
【0022】
また、本発明の開示に係る半導体装置は、規制部11aが半導体素子14と電極部11bとを接合するワイヤ15のループ頂部15’の直下位置に設けられたものである。
【0023】
このように本発明の開示によれば、規制部11aをワイヤ15のループ頂部15’の直下位置と重なるように配置することにより、規制部11aによる半導体素子14の位置ズレを防止することができ、しかも、規制部11aとワイヤ15とが最も離れた位置関係とすることができるので、規制部11aとワイヤ15との接触を可及的に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置用基板を
図1ないし
図7に基づいて説明する。前記各図において本実施形態に係る半導体装置用基板1は、導電性を有する材質からなる母型基板10と、この母型基板10上に形成され、本基板を用いて製造される半導体装置70の少なくとも電極部11bとなる金属部11と、金属部11表面にメッキにより形成される表面金属層13とを備える構成である。
【0026】
この半導体装置用基板1を用いて製造される半導体装置70は、
図6に示すように、半導体装置用基板1から得られる金属部11及び表面金属層13に加えて、金属部11のうちの電極部11bと電気的に接続する半導体素子14と、この半導体素子14と電極部11bとを接合するワイヤ15と、半導体素子14やワイヤ15を含む金属部11の表面側を覆って封止する封止材19とを備える構成である。
【0027】
この半導体装置70では、底部に金属部11の裏面側が電極や放熱パッド等として露出した状態となり(
図6(B)参照)、この露出する金属部11の裏面側と、装置外装の一部として現れる封止材19の裏面側とが略同一平面上に位置する構成である。半導体装置70における底部以外の各面は、装置外装をなす封止材19のみがそれぞれ現れた状態となっている。
【0028】
前記半導体装置用基板1は、母型基板10上に、金属部11の配置部分が露出されるように第一レジスト層12に引き続き第二レジスト層16を形成した後、メッキにより金属部11を形成し、さらに、金属部11表面にメッキにより表面金属層13を形成した後、第一レジスト層12及び第二レジスト層16を除去することで製造されるものである。
【0029】
また、この半導体装置用基板1を用いた半導体装置の製造の際は、この半導体装置用基板1に対し、半導体素子14の搭載及び配線、封止材19による封止がなされ、封止の後、半導体装置部分から母型基板10を除去して半導体装置70を得る仕組みである。
【0030】
母型基板10は、ステンレス(SUS430等)やアルミニウム、銅等の導電性の金属板(厚さ約0.1mm)で形成され、半導体装置の製造工程で除去されるまで、半導体装置用基板1の要部をなすものであり、半導体装置用基板製造工程の各段階で、表面側に第一レジスト層12、金属部11が形成され、また裏面側にレジスト層18が配設される。金属部11の形成の際には、この母型基板10を介した通電がなされることで、母型基板10表面の第一レジスト層12に覆われない通電可能な部分(露出領域)に電解メッキで金属部11が形成されることとなる。また、表面金属層13のメッキの際も、電解メッキとする場合には、母型基板10を介して通電がなされる。
【0031】
一方、半導体装置用基板1を用いた半導体装置の製造工程では、母型基板10上の金属部11表面側が封止材19で覆われ(
図5(B)参照)、母型基板10で金属部11及び封止材19を支持しなくても十分な強度が得られたら、母型基板10が除去される(
図5(C)参照)。母型基板10がステンレスの場合には、力を加えて半導体装置側から物理的に引き剥がして除去する方法が採られ、また、母型基板10が銅等の場合、薬液を用いて溶解除去するエッチングの方法が用いられる。エッチングの場合、母型基板10は溶解するが金属部11のニッケル等の材質が冒されないような選択エッチング性を有するエッチング液を用いることとなる。この母型基板10が除去されると、半導体装置底部に、金属部11(電極部11b)及び封止材19の各裏面が同一平面上に露出した状態が得られる。
【0032】
前記金属部11は、電解メッキに適したニッケルや銅、又はニッケル−コバルト等のニッケル合金からなり、母型基板10上の第一レジスト層12から露出する部分に、電解メッキで形成される構成である。半導体装置用基板1において、金属部11は、母型基板10表面で、一又は複数配置される電極部11bを一つの単位として、製造する半導体装置の数だけ多数整列状態で並べられた形態で形成されることとなる。
【0033】
この金属部11は、第一レジスト層12の厚さを越える厚さ(例えば、厚さ約60〜80μm)で、且つ上端周縁には第一レジスト層12表面側に張出した略庇状の張出し部11cを有する形状として形成される。張出し部11cは、電解メッキの際、金属部11を第一レジスト層12の厚さまで形成した後も電解メッキを継続して、金属部の成長を厚さ方向に加えて第一レジスト層12による制限のない他の向きにも進行させることで、第一レジスト層12を越えた金属部11上端部から第一レジスト層12側へ張出した形状として得られるものである。この張出し部11cは、封止材19による封止に伴って、封止材19で挟まれて固定された状態(アンカー効果)となる。
【0034】
この他、金属部11として、半導体装置製造の際に半導体素子14を規制するための規制部11aが設けられる。具体的には、半導体素子14の配置箇所にあたる金属部11に貫通孔11eを形成することで規制部11aとしている。この規制部11aは、第一レジスト層12を形成した後、規制部11aに対応する箇所に第二レジスト層16を配設し、係る個所の第一レジスト層12及び第二レジスト層16を除去することで貫通孔11eが生じ、規制部11aとなるものであり、半導体素子14を規制するのに必要な強度を維持する厚さとされる。係る規制部11aによって半導体素子14を規制することができ、半導体素子14を搭載する際に、半導体素子14の位置ズレを防止することができる。この規制部11aの裏面も、電極部11bと同様に、封止材19の裏面と同一平面上に露出されることになる。
【0035】
金属部11は、大部分を電解メッキに適したニッケルやニッケル合金等で形成されるが、金属部11の裏面側には、半導体装置実装時のハンダ付けを適切に行えるようにするために、ニッケル等の主材質部よりハンダぬれ性の良好な金属、例えば金や銀、錫、パラジウム、ハンダ等の薄膜11dが配設される構成である。この薄膜11dの厚さは0.01〜1μm程度とするのが好ましい。
【0036】
金属部11形成の際には、あらかじめ薄膜11dが母型基板10上の第一レジスト層12のない部分(露出領域)にメッキ等により形成された後、この薄膜11d上にさらにメッキ等によりニッケル等の主材質部が形成されることとなる(
図4(B)参照)。この薄膜11dには、母型基板10のエッチングによる除去の際に、エッチング液による金属部11の侵食劣化を防ぐ機能を与えることもできる。
【0037】
なお、この金属部11裏面側の薄膜形成は、前記ハンダ付け対策を目的とする場合、メッキで金属部11主材質部を形成する前に限られるものではなく、半導体装置70の完成後、封止材19から露出した金属部11の裏面にメッキにより薄膜を形成するようにしてもかまわない。
【0038】
前記第一レジスト層12は、金属部11の電解メッキや表面金属層13のメッキで使用するメッキ液に対する耐溶解性を備えた絶縁性材で形成され、母型基板10上にあらかじめ設定される金属部11の配置部分を露出するように対応させて配設され、金属部11及び表面金属層13の形成後には除去されるものである(
図4(C)参照)。
【0039】
この第一レジスト層12は、母型基板10上に金属部11の形成に先立って配設され、詳細には、アルカリ現像タイプの感光性レジスト材を母型基板10に所定の厚さ、例えば約50μmの厚さとなるようにして密着配設し、半導体装置70の金属部11位置に対応する所定パターンのマスクフィルム50を載せた状態で紫外線照射による露光での硬化(
図2(C)参照)、非照射部分のレジスト材を除去する現像等の処理を経て、金属部11の配置部分が露出されるような形状で形成される。
【0040】
また、第二レジスト層16は、前記第一レジスト層12同様にメッキ液に対する耐溶解性を備えた絶縁性材で形成され、第一レジスト層12を形成した後で、あらかじめ設定される金属部11の規制部11aに対応させて配設され、金属部11及び表面金属層13の形成後には除去されるものである。この第二レジスト層16としては、第一レジスト層12の場合と同様、アルカリ現像タイプの感光性レジスト材等を用いることができる。このレジスト材を母型基板10や第一レジスト層12の各表面に所定の厚さ、例えば約30μmを超える厚さとなるように形成し、金属部11の規制部11a配置位置に対応する所定パターンのマスクフィルム51を載せた状態で、紫外線照射による露光で硬化させる処理を経ると、母型基板10や第一レジスト層12上に固定状態の第二レジスト層16が形成されることとなる。これら第一レジスト層12及び第二レジスト層16により、金属部11の規制部11aに相当する部分で電解メッキが進行せず、金属部11の欠けた部分、すなわち貫通孔11eの規制部11aが設けられる。
【0041】
なお、この第一レジスト層12や第二レジスト層16については、感光性レジストに限られるものではなく、メッキ液に対し変質せず強度の高い塗膜が得られる塗料を、母型基板10上における金属部11の配置部分が露出されるように、電着塗装等により必要な塗膜厚さとなるように塗装して形成することもできる。
【0042】
一方、この表面側の第一レジスト層12や第二レジスト層16とは別に、母型基板10の裏面側にも、レジスト層18が形成される構成である(
図2参照)。裏面側のレジスト層18は、硬化状態でメッキ液への耐性のある材質で、且つ不要となったら容易に溶解除去可能なレジスト材、例えば厚さ約50μmのアルカリ現像タイプの感光性フィルムレジストを熱圧着等により配設し、そのままマスクなしに紫外線照射による露光等の処理を経て、裏面全面にわたり硬化形成されるものとすることができる。なお、レジスト層18については、レジストに限られるものではなく、例えばカバーフィルムであっても良く、要は絶縁性を有するものであれば良い。
【0043】
表面金属層13は、配線用のワイヤ15をなす金線等との接合性に優れる金や銀、パラジウム等からなるメッキ膜として形成される。この表面金属層13は、母型基板10ごとのメッキにより金属部11の表面に所定の厚さ、例えば、金メッキの場合は約0.1〜1μm、銀メッキの場合は約1〜10μmの厚さのメッキとして形成される。この表面金属層13のメッキの際、母型基板10の裏面側はレジスト層18で覆われていることから、メッキの付着等は生じない(
図4(B)参照)。なお、この表面金属層13へのメッキに際しては、金属部11のメッキの場合とはメッキ液を異ならせるなど、メッキの金属に対応するメッキ液を使用することとなる。
【0044】
この表面金属層13のメッキを形成する際は、金属部11がニッケルの場合、メッキが密着しにくいため、通常、表面金属層13のメッキの前にあらかじめ金属部11表面に下地メッキ(銅ストライク、ニッケルストライク、銀ストライク、又は金ストライク)を行い、表面金属層13の金属部11への密着性を高めることが望ましい。
【0045】
半導体素子14は、微細な電子回路が形成されたいわゆるチップであり、金、銅等の導電性線材からなる配線(ボンディング)用のワイヤ15が、半導体素子14表面に設けられた電極と金属部11のうちの電極部11bとにそれぞれ接合され、半導体素子14と電極部11bとを電気的に接続することとなる。
【0046】
この時、半導体素子14は規制部11aによって規制された状態となっていることから、半導体素子の位置ズレを防止することができる。しかも、規制部11aは金属部11に貫通孔11eを形成することで得ることができ、この貫通孔11e内に半導体素子14を配置させれば、半導体素子14は規制部11aに囲まれた状態で配置されることになるので、半導体素子14の位置ズレをより確実に防止することができる。また、従来のように半導体素子搭載部の上面に搭載される場合と比べて、配設位置を下げることができ、半導体素子14上面や接合されるワイヤ15も下がる分、半導体装置70の厚さを小さくして製造することができ、半導体装置70の低背化を実現できる。また、半導体素子14の位置が下がって、ワイヤ15が接合する半導体素子14と電極部11bの各上面が近付く分、ワイヤ15の長さも短くすることができ、ワイヤ15の使用量を削減してコストを低減できる。なお、貫通孔11e内に半導体素子14を配置するようにした場合には、半導体素子14の裏面も半導体装置70の底部から露出されることになる。
【0047】
前記封止材19は、物理的強度の高い熱硬化性エポキシ樹脂等であり、金属部11表面側の半導体素子14やワイヤ15を覆った状態で封止し、半導体素子14やワイヤ15等の構造的に弱い部分を外部から隔離した保護状態とするものである。なお、半導体素子14がLED等の発光素子の場合、透光性の材質が用いられる。
【0048】
この封止材19を用いる封止工程は、半導体装置用基板1に対して行われ、母型基板10の表面側における金属部11等のある半導体装置となる範囲を、上型となる金型で覆った上で、この金型と母型基板10の間に封止材19を圧入し、封止材19を硬化させることで封止が完了となる。ただし、封止工程では、一つの半導体装置となる半導体素子搭載部11aや複数の電極部11bが多数整列状態のままで一様に封止されるため、半導体装置は封止材19を介して多数つながった状態となっている。
【0049】
この封止材19は、十分な物理的強度を有しており、半導体装置70の外装の一部として十分に内部を保護する機能を果し、母型基板10を半導体装置側から引き剥がすなど力を加えて物理的に除去する場合にも、割れ等の破損もなく金属部11との一体化状態を維持することとなる。
【0050】
次に、本実施形態に係る半導体装置用基板の製造及び半導体装置用基板を用いた半導体装置製造の各工程について説明する。
【0051】
半導体装置用基板の製造工程として、まず、母型基板10を用意し(
図2(A)、母型基板10上にあらかじめ設定される金属部11の非配置部分に対応させて第一レジスト層12を配設する。具体的には、母型基板10の表面側に、形成する金属部11の形状や高さ(例えば約50μm)に対応するように、感光性レジスト材12aを配設する(
図2(B)参照)。感光性レジスト材12aに対しては、金属部11の配置位置に対応する所定パターンのマスクフィルム50を載せた状態で、紫外線照射による露光での硬化(
図2(C)参照)、非照射部分のレジスト剤を除去する現像等の処理を行い、金属部11の配置部分が露出する第一レジスト層12を形成する(
図3(A)参照)。また、母型基板10の裏面側にも感光性レジスト材を表面側同様に配設し、このレジスト材全面に対して露光等の処理を経て、裏面全面にわたりレジスト層18を形成する(
図2(C)参照)。
【0052】
第一レジスト層12を形成したら、所定厚さまで形成された第一レジスト層12の上に、金属部11における規制部11aに対応させて第二レジスト層16を配設する。具体的には、母型基板10と第一レジスト層12の表面側に、感光性レジスト材16aを、貫通孔11eを有する規制部11aの高さ(深さ)より大きい所定厚さ(例えば約30μm)となるようにして密着配設する(
図3(B)参照)。この感光性レジスト材に対し、規制部11a(貫通孔11e)の配置位置に対応する所定パターンのマスクフィルム51を載せた状態で、紫外線照射による露光(
図3(C)参照)、非照射部分のレジスト剤を除去する現像等の処理を行い、規制部11a(貫通孔11e)を生じさせる箇所に対応させた第二レジスト層16を形成する(
図4(A)参照)。なお、貫通孔11eは、第一レジスト層12及び第二レジスト層16を形成することで設けられているが、第二レジスト層16のみの形成で設けることもできる。具体的には、第一レジスト層12を形成する工程において、貫通孔11eを生じさせる箇所における感光性レジスト材12aの露光を行わず、第二レジスト層16を形成する工程において、貫通孔11eを生じさせる箇所における感光性レジスト材16aを露光・現像することで貫通孔11eを設けることができる。また、貫通孔11eの大きさが規制部11aの第一レジスト層12側への張出し量に比べて十分大きい場合には、第二レジスト層16を設けずに第一レジスト層12のみを貫通孔11eを設ける位置に形成するようにしてもよい。
【0053】
こうして、金属部11のメッキで使用するメッキ液に対する耐溶解性を備えたレジスト層12・16を形成したら、母型基板10表面の第一レジスト層12及び第二レジスト層16で覆われていない露出部分に対し、必要に応じて表面酸化被膜除去や表面活性化処理を行う。具体的には、母型基板10及び金属部11(薄膜11d)の材質によって、脱脂、酸浸漬、化学エッチング、電解処理、ストライクメッキなどを選択して行う。なお、化学エッチングは、母型基板10自体を溶解して、その表面の酸化被膜(不活性膜)を除去するものであり、係る表面は粗面となる。
【0054】
その後、この露出部分にメッキ等によりハンダぬれ性改善用の金の薄膜11dを、例えば0.01〜1μm厚で形成する(
図4(B)参照)。そして、この薄膜11d上に、電解メッキによりニッケルを積層して金属部11を形成する(
図4(B)参照)。
【0055】
この金属部11の形成工程で、金属部11は、第一レジスト層12の厚さを越える一方、第二レジスト層16の上面を越えない厚さとして形成され、第二レジスト層16の側面に接する部位を伴う一方、第一レジスト層12寄りの金属部11上端周縁には第一レジスト層12側に張出した略庇状の張出し部11cが形成され、第二レジスト層16の配置された箇所に金属部11は形成されない。金属部11は、母型基板10表面において、一又は複数配置される電極部11bを一つの単位として、製造する半導体装置の数だけ多数整列状態で並べられた形態で形成されることとなる。
【0056】
所望の厚さ及び形状の金属部11が得られたら、母型基板10ごとのメッキ浴浸漬により、金属部11の表面に、表面金属層13を所定の厚さ、例えば銀メッキの場合、厚さ約0.1〜0.5μmとなるように形成する(
図4(B)参照)。メッキ浴に用いられるメッキ液に対し、第一レジスト層12及び第二レジスト層16は十分な耐性を有しているため、変質等が生じることはなく、レジスト層としての機能を維持し、必要箇所以外へのメッキ付着を防ぐことができる。また、この表面金属層13のメッキの際、母型基板10の裏面側はレジスト層18で覆われていることから、メッキの付着はない。
【0057】
表面金属層13を形成後、母型基板10表面側の第一レジスト層12、第二レジスト層16、及び裏面側のレジスト層18をそれぞれ除去(溶解除去、膨潤除去)すると(
図4(C)参照)、半導体装置用基板1が完成する。この時、第二レジスト層16及びその下に形成されている第一レジスト層12が除去することで、貫通孔11eを有する規制部11aが現れる。
【0058】
続いて、得られた半導体装置用基板1を用いた半導体装置の製造について説明すると、まず、半導体装置用基板1における貫通孔11e内に、半導体素子14を挿入搭載し、規制部11aによって半導体素子14を規制固定状態とする。そして、半導体素子14表面の電極と、これに対応する各電極部11bとに、金線等のワイヤ15を接合し、半導体素子14と各電極部11bとを電気的接続状態とする(
図5(A)参照)。この配線による電気的接続は、超音波ボンディング装置等により実施される。電極部11bの表面には表面金属層13が形成されているため、ワイヤ15との接合を確実なものとすることができ、接続の信頼性を高められる。なお、ワイヤ15によって半導体素子14と電極部11bとを接続する時に、半導体素子14がその配置箇所から脱落するおそれがあるが、これを防ぐために、半導体素子14の裏面や半導体素子14の配置箇所に予め仮接着剤(ダイアタッチフィルム、樹脂フィルム、樹脂ペーストなど)を設けておくと良い。
【0059】
半導体素子14と各電極部11bとの接続が完了したら、母型基板10の表面側における金属部11等のある半導体装置となる範囲を、熱硬化性エポキシ樹脂等の封止材19で封止し、半導体素子14やワイヤ15を外部から隔離した保護状態とする(
図5(B)参照)。詳細には、母型基板10の表面側を上型となるモールド金型に装着し、母型基板10に下型の役割を担わせつつ、モールド金型内に封止材19となるエポキシ樹脂を圧入するという過程で封止が実行され、母型基板10上では、一つの半導体装置となる複数の電極部11bが多数整列状態のままで一様に封止され、半導体装置が多数つながった状態で現れることとなる。
【0060】
この多数つながった状態の半導体装置が得られたら、母型基板10を除去し、各半導体装置の底部に金属部11の裏面側及び半導体素子14の裏面側が露出した状態を得る(
図5(C)参照)。ステンレス製である母型基板10の除去には、半導体装置側から母型基板10を物理的に引き剥がして除去する方法を用いる。母型基板10に強度及び剥離性に優れるステンレスを用いることで、半導体装置側から母型基板10を引き剥がして速やかに分離除去することができる。
【0061】
この他、母型基板10を除去する方法として、母型基板10をエッチング(溶解)させる方法を用いることもできる。このエッチングの場合、母型基板10は溶解するが薄膜11dや金属部11の材質が冒されないような選択エッチング性を有するエッチング液を用いることとなる。溶解させて除去する場合では、半導体装置側に過大な力が加わらないため、母型基板10の除去に伴う悪影響が生じる確率を小さくできる。
【0062】
母型基板10を除去された半導体装置の底部では、露出する金属部11の裏面側と、封止材19の裏面側とが略同一平面上に位置する状態となっている。母型基板10の除去後、多数つながった状態の半導体装置を一つ一つ切り離せば、一つの半導体装置70としての完成品となる。
【0063】
得られた半導体装置70内部において、金属部11の上端周縁を張出し部11cとして略庇状に張り出し形成し、封止材19による封止状態で、この張出し部11cが封止材19に囲まれて固定されていることから、樹脂同士で密着し強固に一体化した封止材19に張出し部11が食込んで、金属部11に加わる外力に対する抵抗体の役割を果たすこととなり、母型基板10にステンレス等を用い、半導体装置側から母型基板10を物理的に引き剥がして除去する場合など、金属部11裏面側に装置外装から引離そうとする外力が加わっても、該張出し部11が金属部11の移動を妨げ、金属部11の他部分に対するズレ等をなくすことができ、製造時における歩留りを向上させられると共に、半導体装置としての強度を高められ、使用時の耐久性や半導体装置動作の信頼性も高められる。
【0064】
このように、本実施形態に係る半導体装置用基板1は、母型基板10上に規制部11aを設けることから、この半導体装置用基板1を用いた半導体装置70の製造にあたり、半導体素子14の位置ズレを防止することができる。そして、規制部11aを半導体装置製造工程で半導体素子14を挿入、規制可能な大きさの貫通孔11eとすることから、この半導体装置用基板1を用いた半導体装置70の製造にあたり、従来のように半導体素子搭載部の上面に搭載される場合と比べて、半導体素子14の搭載位置を下げることができ、半導体素子14上面や、電極部11bと半導体素子14とを接合するワイヤ15等の高さも下がる分、半導体装置70の厚さを小さくして製造することができ、半導体装置70の低背化を実現できる。また、半導体素子14の位置が下がって、ワイヤ15が接合する半導体素子14と電極部11bの各上面が互いに近付く分、ワイヤ長さも短くすることができ、ワイヤ使用量を削減してコスト低減にも寄与できる。
【0065】
ここで、本実施形態の半導体装置用基板1は、貫通孔11eの形状をストレート状としているが、テーパ状としても良い。このテーパ状の貫通孔として、母型基板の表面側(半導体装置の裏面側)に向かって拡がるテーパ状の貫通孔とすれば、半導体装置の製造にあたり、係る貫通孔内に半導体素子を挿入後、半導体素子が脱落しにくい構造とすることができる。また、母型基板の表面側(半導体装置の裏面側)に向かって窄まるテーパ状の貫通孔とすれば、半導体装置の製造にあたり、係る貫通孔内への半導体素子の挿入がしやすい構造とすることができる。
【0066】
また、
図7に示すように、母型基板10の表面側(半導体装置71の裏面側)に向かって窄まるテーパ状の貫通孔11eの中途(壁面)に半導体素子14を配設することもできる。係る構造によっても、半導体素子14の位置ズレの防止及び半導体装置の低背化の実現が可能となる。このテーパ状の貫通孔11eは、第一レジスト層12及び第二レジスト層16を所望のテーパ形状に対応させて形成することで、容易に得ることができる。なお、
図7に示す半導体装置71は、その底部から半導体素子14が露出されているが、半導体素子14の底部とテーパ状の貫通孔内壁とで囲まれる空間に封止材19を封入させることで、半導体装置の底部から半導体素子14が露出されない構成(半導体素子14の裏面が封止材19で覆われた構成)とすることもできる。
【0067】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る半導体装置用基板は、上記第1実施形態同様に、母型基板10と、電極部11bと、規制部11aとを備えるものである。
図8は、係る構成の半導体装置用基板を用いて製造した半導体装置72を示している。
図8に示すように、規制部11aの高さ(貫通孔11eの深さ)が半導体素子14の厚さ以上に設定されているものである。
【0068】
このように、規制部11aの高さ寸法を半導体素子14の厚さ寸法以上に設定されていることで、半導体素子14の側面全体を規制部11aによって規制することができるので、半導体素子14の位置ズレを防止することができる。また、該規制部11aが貫通孔11eから成るものであると、半導体素子14の側面全面が規制部11aに覆われて規制されることになるので、より確実に半導体素子14の位置ズレを防止することができる。また、半導体素子14の側面が規制部11aと対向配置されることになるので、放熱性を向上することができる。
【0069】
なお、所望の高さ(深さ)の規制部11a(貫通孔11e)を得るためには、上記第1実施形態における半導体装置用基板の製造工程の第一レジスト層12・第二レジスト層16を形成する工程(
図2(B)〜
図4(A)参照)において、母型基板10上に形成される第一レジスト層12及び/又は第二レジスト層16の厚さを調整、すなわち、第一レジスト層12及び/又は第二レジスト層16の厚さを半導体素子14の厚さ以上に設定することで容易に得られる。
【0070】
(第3実施形態)
上記実施形態における半導体装置用基板においては、母型基板10上に電極部11bと規制部11aとを別々に設け、この半導体装置用基板を用いた半導体装置の製造工程にて、規制部11aに規制されるように半導体素子14を搭載しているが、第3実施形態に係る半導体装置用基板は、電極部11bに規制部11aを兼ねさせる構成としているものである。
【0071】
本実施形態に係る半導体装置用基板は、上記実施形態同様、母型基板10と、電極部11bとを備えるものであり、異なる点として、電極部11bが上記実施形態における規制部11aを兼ねている。そして、各電極部11b間が貫通孔11eに相当することになり、この電極部11b間に半導体素子14を配設する。係る電極部11は、後の半導体装置製造工程で行われる半導体素子14の配置予定箇所であって、半導体素子14の外径以上の間隔をあけて母型基板10上に形成されるものである。
図9は、係る構成の半導体装置用基板を用いて製造した半導体装置73を示している。
【0072】
このように、電極部11bに規制部11aを兼ねさせた構成とすることで、電極部と規制部とを別々に形成した構成と比べて、規制部の形成を省略することができるので、半導体装置の構成をよりコンパクトにすることができる。また、規制部の形成を省略することにより、規制部の形成領域分だけ母型基板10上に形成される一つの半導体装置としての取り数を増やすことが可能となり、コストダウンが図れる。
【0073】
なお、本実施形態に係る半導体装置用基板の製造工程について説明すると、上記第1実施形態における半導体装置用基板の製造工程において、母型基板10上に第一レジスト層12(及び第二レジスト層16)を形成する工程での規制部11aに対応するレジストパターンの形成を省略することで形成できる。その他の点は、上記第1実施形態と同様である。また、続く半導体装置用基板を用いた半導体装置の製造工程についても、上記第1実施形態と同様である。
【0074】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る半導体装置用基板は、上記実施形態同様に、母型基板10と、電極部11bと、規制部11aとを備えるものである。
図10は、係る構成の半導体装置用基板を用いて製造した半導体装置74を示している。該規制部11aは、ワイヤ15のループ頂部15’の直下位置に重なるように配設されている。つまり、規制部11aとワイヤ15のループ頂部15’とは、半導体装置(半導体装置用基板)の高さ方向において、直線上に位置している。ここで、ループ頂部15’とは、半導体素子14の電極と金属電極部11bとを接続するワイヤ14の最頂点の部分を言う。
【0075】
このように、規制部11aをワイヤ15のループ頂部15’の直下位置に配置させることで、半導体素子14の位置ズレを防止することができるとともに、規制部11aとワイヤ15とが接触することを可及的に防止することができる。
【0076】
なお、係る構成の半導体装置用基板を得るためには、上記第1実施形態における半導体装置用基板の製造工程において、母型基板10上に配設される半導体素子14の配置領域部分に対応する第一レジスト層12及び/又は第二レジスト層16の形状や厚さを調整することで容易に得られる。
【0077】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る半導体装置用基板は、母型基板10と、電極部11bと、規制部11aとを備えるものであり、規制部11aとして貫通孔11eが形成されており、該貫通孔11eと重なるように凹部11fが設けられているものである。この凹部11fの底面(底面積)は貫通孔11eの開口(開口面積)より大きいものである。
図11は、係る構成の半導体装置用基板を用いて製造した半導体装置75を示している。
【0078】
このように、貫通孔11eと重なるように凹部11fを設けた構成とすることで、凹部11fの内面による半導体素子14の位置ズレ防止や半導体装置の低背化ができる。しかも、貫通孔11eを覆うように凹部11fの底面上に半導体素子14を配設することで、半導体素子14を半導体装置70の底部(封止材19の裏面)から奥まった位置に配置させることができ、半導体素子14を外力から保護することができる。
【0079】
なお、係る構成の半導体装置用基板を得るためには、上記第1実施形態における半導体装置用基板の製造工程において、母型基板10上に形成される規制部11a(貫通孔11e)に対応する第一レジスト層12及び/又は第二レジスト層16の形状や厚さを調整することで容易に得られる。
【0080】
半導体装置75の底部において、貫通孔11eからは半導体素子14の裏面が露出されるが、上記第1実施形態のように、貫通孔11e内に封止材19を封入させることで、
図12に示すように、底部から半導体素子14が露出されない構成(半導体素子14の裏面が封止材19で覆われた構成)の半導体装置76とすることもできる。
【0081】
(第6実施形態)
第6実施形態に係る半導体装置用基板は、母型基板10と、電極部11bとを備えるものであり、電極部11bが規制部11aを兼ねており(電極部11間が貫通孔11eに相当)、電極部11bの上部には、延設部20が一体的に設けられているものである。
図13は、係る構成の半導体装置用基板を用いて製造した半導体装置77を示している。延設部20は、半導体素子14に向かって延びるように設けられており、延設部20と半導体素子14の電極とが電気的に接続されている。
【0082】
このように、電極部11b(規制部11a)の上部に延設部20が設けられた構成とすることで、電極部11b(規制部11a)によって半導体素子14の側面を規制するだけでなく、延設部20によって半導体素子14の上面も規制することができるので、半導体素子14の各面から位置ズレを抑制できる。
【0083】
なお、係る構成の半導体装置用基板を得るためには、上記第1実施形態における半導体装置用基板の製造工程において、母型基板10上に電極部11b(規制部11a)を形成し、電極部11b間に半導体素子14を配置させた後、延設部20を形成するために、電極部11b(規制部11a)上面及び半導体素子14上面が露出されるようにレジスト層を形成した後にメッキすることで得られる。
【0084】
上記実施形態においては、
図14(A)に示すように、規制部11aの半導体素子14と対向する側(第二レジスト層16の側面に接する側)の上端周縁には張出部11cが形成されていないが、
図14(B)に示すように、規制部11aの半導体素子14と対向する側にも張出部11cを形成しても良い。この場合、第一レジスト層12上に形成していた第二レジスト層16の形成を省略する、つまり、
図3(A)に示すように、母型基板10上に第一レジスト層12を形成した後に、第二レジスト層16を形成せずに、第一レジスト層12の厚さを越えるまでメッキすると良い。また、金属部11(規制部11a、電極部11b)の上端周縁に張出部11cを形成しないストレート状にしても良い(
図14(C)参照)。この場合、
図3(A)に示すように、母型基板10上に第一レジスト層12を形成後、第一レジスト層12の厚さを越えないようにメッキすると良い。
【0085】
また、上記実施形態において、第一レジスト層12及び第二レジスト層16を形成する際には、感光性レジスト材12aを配設して露光・現像を行った後に感光性レジスト材16aを配設しているが、感光性レジスト材12aを配設して露光した後に、現像を行わないまま感光性レジスト材16aを配設し、露光してから、感光性レジスト材12aと感光性レジスト材16aとを一緒に現像するようにしても良い。また、第一レジスト層12及び第二レジスト層16を形成するにあたり、マスクフィルム50・51を用いて露光しているが、直描装置によって露光しても良い。
【0086】
また、上記実施形態において、貫通孔11e内に半導体素子14を配設する場合に、貫通孔11e内面と半導体素子14外面との間に隙間があっても良いし、貫通孔11e内面と半導体素子14外面との間に隙間がなく、規制部11aと半導体素子14とが密接して配設されてあっても良い。
【0087】
また、アースをとるために、規制部11aを接地電極として兼用させ、アースワイヤ(グランドワイヤ)を規制部11aと接続するようにしても良い。