(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ねじ孔及び前記嵌合孔は、前記コンプレッサの最大外径位置より前記コンプレッサの取付面側に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の過給機。
前記ねじ孔及び前記嵌合孔は、前記コンプレッサの取付面側に向けて開口し、前記コンプレッサの先端部側に向けて閉塞されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の過給機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された過給機では、タービン翼車の回転軸に形成された螺子部をコンプレッサホイールの盲螺子孔に螺合して両者を締結している。このとき、タービン翼車(回転軸の螺子部)を回転不能に治具で押さえた状態で、コンプレッサ翼車の先端部に装着された治具を介してこのコンプレッサ翼車を回転することで、回転軸の螺子部と
コンプレッサ翼車の盲螺子孔を螺合している。しかし、この構成では、回転軸と
コンプレッサ翼車との軸心を高精度に一致させることが困難となり、螺子部と盲螺子孔との螺合に長時間を要してしまい、作業性がよくない。また、螺子部と盲螺子孔とが適正に螺合しないとき、螺子部または盲螺子孔が損傷してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、タービンに設けられた回転軸とコンプレッサとの高精度なねじ締結を可能として組付け作業性の向上を図る過給機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明の過給機は、中空形状をなすハウジングと、前記ハウジングに回転自在に支持される回転軸と、前記回転軸における軸方向の一端部に設けられるタービンと、前記回転軸における軸方向の他端部に設けられるコンプレッサと、を備え、前記回転軸の他端部にねじ部と円柱部が軸方向に沿って設けられ、前記コンプレッサに前記ねじ部が螺合するねじ孔と前記円柱部が嵌合する嵌合孔が軸方向に沿って設けられ、前記円柱部及び前記嵌合孔の軸方向長さ寸法が前記ねじ部及び前記ねじ孔の軸方向長さ寸法より長く設定される、ことを特徴とするものである。
【0009】
従って、タービンに設けられた回転軸をコンプレッサに連結するために、回転軸の他端部に設けられたねじ部と円柱部をコンプレッサに設けられたねじ孔と嵌合孔に挿入すると、円柱部及び嵌合孔がねじ部及びねじ孔より長いことから、ねじ部がねじ孔に螺合する前に円柱部が嵌合孔に嵌合することで、回転軸の軸中心とコンプレッサの軸中心が一致する。そのため、回転軸のねじ部がコンプレッサのねじ孔に高精度に螺合することとなり、回転軸のねじ部やコンプレッサのねじ孔の損傷を抑制することができる。また、回転軸の軸中心とコンプレッサの軸中心が早期に一致し、回転軸のねじ部がコンプレッサのねじ孔に高精度に螺合することとから、タービンとコンプレッサとの組付け作業性の向上を図ることができる。
【0010】
本発明の過給機では、前記円柱部が前記ねじ部より前記回転軸の他端部側に設けられ、前記ねじ孔が前記嵌合孔より前記コンプレッサの取付面側に設けられることを特徴としている。
【0011】
従って、回転軸をコンプレッサに連結するとき、回転軸の円柱部がコンプレッサの嵌合孔に嵌合して回転軸の軸中心とコンプレッサの軸中心が一致するため、その後、回転軸のねじ部がコンプレッサのねじ孔に高精度に螺合することとなり、ねじ部とコンプレッサとの干渉による損傷を抑制することができる。
【0012】
本発明の過給機では、前記円柱部の外径寸法が前記ねじ孔の内径寸法より小径に設定されることを特徴としている。
【0013】
従って、回転軸をコンプレッサに連結するとき、回転軸の円柱部がねじ孔を通ってコンプレッサの嵌合孔に適正に嵌合することとなり、円柱部とねじ孔との干渉による損傷を抑制することができる。
【0014】
本発明の過給機では、前記ねじ部が前記円柱部より前記回転軸の他端部側に設けられ、前記嵌合孔が前記ねじ孔より前記コンプレッサの取付面側に設けられることを特徴としている。
【0015】
従って、回転軸をコンプレッサに連結するとき、回転軸のねじ部がコンプレッサの嵌合孔を通過するとき、円柱部がコンプレッサの嵌合孔に嵌合して軸中心が一致するため、その後、回転軸のねじ部がコンプレッサのねじ孔に高精度に螺合することとなり、ねじ部とコンプレッサとの干渉による損傷を抑制することができる。
【0016】
本発明の過給機では、前記嵌合孔の内径寸法が前記ねじ部の外径寸法より大径に設定されることを特徴としている。
【0017】
従って、回転軸をコンプレッサに連結するとき、回転軸のねじ部がコンプレッサの嵌合孔を通ってねじ孔に適正に螺合することとなり、ねじ部と嵌合孔との干渉による損傷を抑制することができる。
【0018】
本発明の過給機では、前記ねじ孔及び前記嵌合孔は、前記コンプレッサの最大外径位置より前記コンプレッサの取付面側に設けられることを特徴としている。
【0019】
従って、回転軸のねじ部がコンプレッサのねじ孔に螺合する位置と円柱部が嵌合孔に嵌合する位置が、コンプレッサの最大外径位置にないことから、コンプレッサの回転時に最大外径位置に作用する遠心応力がねじ孔及び嵌合孔に直接作用しないことから、コンプレッサの強度の低下を抑制することができる。
【0020】
本発明の過給機では、前記ねじ孔及び前記嵌合孔は、前記コンプレッサの最大外径位置より前記コンプレッサの先端部側に設けられることを特徴としている。
【0021】
従って、回転軸のねじ部がコンプレッサのねじ孔に螺合する位置と円柱部が嵌合孔に嵌合する位置が、コンプレッサの最大外径位置にないことから、コンプレッサの回転時に最大外径位置に作用する遠心応力がねじ孔及び嵌合孔に直接作用しないことから、コンプレッサの強度の低下を抑制することができる。
【0022】
本発明の過給機では、前記ねじ孔及び前記嵌合孔は、前記コンプレッサの取付面側に向けて開口し、前記コンプレッサの先端部側に向けて閉塞されることを特徴としている。
【0023】
従って、ねじ孔及び前記嵌合孔におけるコンプレッサの先端部側が閉塞されていることから、コンプレッサの強度の低下を抑制することができる。
【0024】
本発明の過給機では、前記ねじ孔及び前記嵌合孔は、前記コンプレッサの取付面側及び先端部側に向けて開口することを特徴としている。
【0025】
従って、ねじ孔及び嵌合孔の長さを長くすることができ、締結強度を向上することができる。
【0026】
本発明の過給機では、前記回転軸は、他端部が前記コンプレッサの先端部側に突出すると共に、先細形状をなすことを特徴としている。
【0027】
従って、回転軸の他端部がコンプレッサの先端部側に突出して先細形状をなすことから、コンプレッサの吸入口から吸入される空気が回転軸の他端部で剥離しにくくなり、空力性能の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の過給機によれば、タービンに設けられた回転軸とコンプレッサとの高精度なねじ締結を可能として組付け作業性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る過給機の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0031】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の排気タービン過給機を表す全体構成図、
図2は、第1実施形態の排気タービン過給機におけるコンプレッサと回転軸とのねじ締結部を表す断面図である。
【0032】
図1に示すように、排気タービン過給機11は、主に、タービン12と、コンプレッサ13と、回転軸14とにより構成され、これらがハウジング15内に収容されている。
【0033】
ハウジング15は、内部が中空に形成され、タービン12の構成を収容する第一空間部S1をなすタービンハウジング15Aと、コンプレッサ13の構成を収容する第二空間部S2をなすコンプレッサハウジング15Bと、回転軸14を収容する第三空間部S3をなすベアリングハウジング15Cとを有している。ベアリングハウジング15Cの第三空間部S3は、タービンハウジング15Aの第一空間部S1とコンプレッサハウジング15Bの第二空間部S2との間に位置している。
【0034】
回転軸14は、タービン12側の端部がタービン側軸受であるジャーナル軸受21により回転自在に支持され、コンプレッサ13側の端部がコンプレッサ側軸受であるジャーナル軸受22により回転自在に支持され、且つ、スラスト軸受23により回転軸14が延在する軸方向への移動を規制されている。回転軸14は、軸方向における一端部にタービン12のタービンディスク24が固定されている。タービンディスク24は、タービンハウジング15Aの第一空間部S1に収容され、外周部に軸流型をなす複数のタービン翼25が周方向に所定間隔で設けられている。また、回転軸14は、軸方向における他端部にコンプレッサ13のコンプレッサ羽根車26が固定されている。コンプレッサ羽根車26は、コンプレッサハウジング15Bの第二空間部S2に収容され、外周部に複数のブレード27が周方向に所定間隔で設けられている。
【0035】
タービンハウジング15Aは、タービン翼25に対して排気ガスの入口通路31と排気ガスの出口通路32が設けられている。そして、タービンハウジング15Aは、入口通路31とタービン翼25との間にタービンノズル33が設けられており、このタービンノズル33により静圧膨張された軸方向の排気ガス流が複数のタービン翼25に導かれることで、タービン12を駆動回転することができる。コンプレッサハウジング15Bは、コンプレッサ羽根車26に対して吸入口34と圧縮空気吐出口35が設けられている。そして、コンプレッサハウジング15Bは、コンプレッサ羽根車26と圧縮空気吐出口35との間にディフューザ36が設けられている。コンプレッサ羽根車26により圧縮された空気は、ディフューザ36を通って排出される。
【0036】
そのため、この排気タービン過給機11は、エンジン(図示せず)から排出された排ガスによりタービン12が駆動し、タービン12の回転が回転軸14に伝達されてコンプレッサ13が駆動し、このコンプレッサ13が燃焼用気体を圧縮してエンジンに供給する。従って、エンジンからの排気ガスは、排気ガスの入口通路31を通り、タービンノズル33により静圧膨張され、軸方向の排気ガス流が複数のタービン翼25に導かれることで、複数のタービン翼25が固定されたタービンディスク24を介してタービン12が駆動回転する。そして、複数のタービン翼25を駆動した排気ガスは、出口通路32から外部に排出される。一方、タービン12により回転軸14が回転すると、一体のコンプレッサ羽根車26が回転し、吸入口34を通って空気が吸入される。吸入された空気は、コンプレッサ羽根車26で加圧されて圧縮空気となり、この圧縮空気は、ディフューザ36を通り、圧縮空気吐出口35からエンジンに供給される。
【0037】
第1実施形態の排気タービン過給機11にて、タービン12は、タービンディスク24の外周部に複数のタービン翼25が一体に設けられると共に、タービンディスク24の取付面側の軸中心位置に回転軸14の一端部が一体に設けられて構成されている。一方、コンプレッサ13は、コンプレッサ羽根車26の外周部に複数のブレード27が一体に設けられて構成され、コンプレッサ羽根車26の取付面側の軸中心位置に回転軸14の他端部が連結されて構成されている。この場合、コンプレッサ13と回転軸14は、同心位置(軸中心O)に組付けられる。
【0038】
即ち、
図2に示すように、回転軸14は、他端部(
図2にて、左端部)にねじ部41と円柱部42が軸方向に沿って設けられている。コンプレッサ13は、ねじ部41が螺合するねじ孔43と円柱部42が嵌合する円筒形状をなす嵌合孔44が軸方向に沿って設けられている。回転軸14は、円柱部42がねじ部41より回転軸14の他端部側に設けられ、コンプレッサ13は、ねじ孔43が嵌合孔44よりコンプレッサ羽根車26の取付面26a側に設けられている。ここで、コンプレッサ13は、ねじ孔43及び嵌合孔44がコンプレッサ羽根車26の取付面26a側及び先端部26b側に向けて開口している。つまり、ねじ孔43及び嵌合孔44は、コンプレッサ羽根車26の軸中心Oに沿った貫通孔となっている。
【0039】
そして、回転軸14は、円柱部42の軸方向長さ寸法LA1がねじ部41の軸方向長さ寸法LA2より長く設定されている。また、コンプレッサ13は、嵌合孔44の軸方向長さ寸法LB1がねじ孔43の軸方向長さ寸法LB2より長く設定されている。ここで、回転軸14のねじ部41の軸方向長さ寸法LA2とコンプレッサ13のねじ孔43の軸方向長さ寸法LB2がほぼ同じ長さ寸法に設定されている。また、回転軸14の円柱部42の軸方向長さ寸法LA1がコンプレッサ13の嵌合孔44の軸方向長さ寸法LB1より長く設定されている。つまり、回転軸14にコンプレッサ13が組付けられた状態で、回転軸14の円柱部42がコンプレッサ13の嵌合孔44からコンプレッサ羽根車26の先端部26bの外方に所定長さだけ突出している。この場合、回転軸14の円柱部42の軸方向長さ寸法LA1をコンプレッサ13の嵌合孔44の軸方向長さ寸法LB1と同じ長さか、または、短い長さとし、回転軸14の円柱部42がコンプレッサ13の嵌合孔44からコンプレッサ羽根車26の先端部26bの外方に突出しないようにしてもよい。
【0040】
また、回転軸14の円柱部42の外径寸法とコンプレッサ13の嵌合孔44の内径寸法は、ほぼ同径であるものの、互いに嵌合できるように、回転軸14の円柱部42の外径寸法がコンプレッサ13の嵌合孔44の内径寸法より若干小さい径になっている。また、回転軸14のねじ部41のピッチ径とコンプレッサ13のねじ孔43のピッチ径は、ほぼ同径であるものの、互いに螺合できるように、回転軸14のねじ部41のピッチ径がコンプレッサ13のねじ孔43のピッチ径より若干小さい径になっている。ここで、回転軸14の円柱部42の外径寸法dBがコンプレッサ13のねじ孔43の内径寸法dAより小径に設定されている。
【0041】
そのため、タービン12に設けられた回転軸14とコンプレッサ13とを連結するとき、回転軸14の他端部に設けられたねじ部41と円柱部42をコンプレッサ13に設けられたねじ孔43と嵌合孔44に挿入して回転する。このとき、回転軸14は、まず、円柱部42がコンプレッサ13のねじ孔43を通って嵌合孔44に嵌合する。つまり、回転軸14の円柱部42は、外径寸法dBがねじ孔43の内径寸法dAより小さいことから、外周面がねじ孔43の内周面に接触することがない。また、回転軸14の円柱部42の軸方向長さ寸法LA1がコンプレッサ13のねじ孔43の軸方向長さ寸法LB2より長いことから、ねじ部41がねじ孔43に接触する前に円柱部42が嵌合孔44に嵌合する。そのため、円柱部42が嵌合孔44に嵌合することで、回転軸14の軸中心とコンプレッサ13の軸中心Oが一致する。その後、回転軸14のねじ部41がコンプレッサ13のねじ孔43に螺合するとき、回転軸14とコンプレッサ13の軸中心が一致していることから、ねじ部41とねじ孔43がかじることなく適正に螺合することとなる。
【0042】
なお、回転軸14のねじ部41及び円柱部42と、コンプレッサ13のねじ孔43及び嵌合孔44は、上述した構成に限定されるものではない。
図3は、第1実施形態の排気タービン過給機の変形例を表すコンプレッサと回転軸とのねじ締結部を表す断面図である。
【0043】
図3に示すように、回転軸14Aは、他端部(
図3にて、左端部)にねじ部46と円柱部47が軸方向に沿って設けられている。コンプレッサ13Aは、ねじ部46が螺合するねじ孔48と円柱部47が嵌合する円筒形状をなす嵌合孔49が軸方向に沿って設けられている。回転軸14Aは、円柱部47がねじ部46より回転軸14Aの他端部側に設けられ、コンプレッサ13Aは、ねじ孔48が嵌合孔49よりコンプレッサ羽根車26Aの取付面26a側に設けられている。
【0044】
このコンプレッサ13Aは、取付面26aが軸中心Oに向けて円錐台形状となる膨出部26cが設けられており、ねじ孔48及び嵌合孔49がコンプレッサ羽根車26Aの取付面26a側に向けて開口し、先端部26b側に向けて閉塞されている。つまり、ねじ孔48及び嵌合孔49は、コンプレッサ羽根車26Aの軸中心Oに沿って先端部が閉塞した挿通孔となっている。そして、コンプレッサ13Aは、ねじ孔48が軸方向における最大外径位置Aより取付面26a側に位置している。なお、ねじ部46、円柱部47、ねじ孔48、嵌合孔49の軸方向長さ寸法と内径寸法の関係については、前述したものと同様である。また、回転軸14Aは、ねじ部46より一端部側がスラストスリーブ37及びスラストリング38により支持され、スラストリング38がスラスト軸受23により支持される。
【0045】
このように第1実施形態の過給機にあっては、中空形状をなすハウジング15と、ハウジング15に回転自在に支持される回転軸14と、回転軸14における軸方向の一端部に設けられるタービン12と、回転軸14における軸方向の他端部に設けられるコンプレッサ13とを備え、回転軸14の他端部にねじ部41,46と円柱部42,47を軸方向に沿って設け、コンプレッサ13にねじ部41,46が螺合するねじ孔43,48と円柱部42,47が嵌合する嵌合孔44,49を軸方向に沿って設け、円柱部42,47及び嵌合孔44,49の軸方向長さ寸法をねじ部41,46及びねじ孔43,48の軸方向長さ寸法より長く設定している。
【0046】
従って、タービン12と一体の回転軸14,14Aをコンプレッサ13,13Aに連結するため、回転軸14,14Aの他端部に設けられたねじ部41,46と円柱部42,47をコンプレッサ13,13Aに設けられたねじ孔43,48と嵌合孔44,49に挿入すると、円柱部42,47及び嵌合孔44,49がねじ部41,46及びねじ孔43,48より長いことから、ねじ部41,46がねじ孔43,48に螺合する前に円柱部42,47が嵌合孔44,49に嵌合することで、回転軸14,14Aの軸中心Oとコンプレッサ13,13Aの軸中心Oが一致する。そのため、回転軸14,14Aのねじ部41,46がコンプレッサ13,13Aのねじ孔43,48に高精度に螺合することとなり、回転軸14,14Aのねじ部41,46やコンプレッサ13,13Aのねじ孔43,48の損傷を抑制することができる。また、回転軸14,14Aの軸中心Oとコンプレッサ13,13Aの軸中心Oが早期に一致し、回転軸14,14Aのねじ部41,46がコンプレッサ13,13Aのねじ孔43,48に高精度に螺合することとから、タービン12とコンプレッサ13,13Aとの組付け作業性の向上を図ることができる。
【0047】
第1実施形態の過給機では、円柱部42,47をねじ部41,46より回転軸14,14Aの他端部側に設け、ねじ孔43,48を嵌合孔44,49よりコンプレッサ13,13Aの取付面26a側に設けている。従って、回転軸14,14Aをコンプレッサ13,13Aに連結するとき、回転軸14,14Aの円柱部42,47がコンプレッサ13,13Aの嵌合孔44,49に嵌合して回転軸14,14Aの軸中心Oとコンプレッサ13,13Aの軸中心Oが一致するため、その後、回転軸14,14Aのねじ部41,46がコンプレッサ13,13Aのねじ孔43,48に高精度に螺合することとなり、ねじ部41,46とコンプレッサ13,13Aとの干渉による損傷を抑制することができる。
【0048】
第1実施形態の過給機では、円柱部42,47の外径寸法をねじ孔43,48の内径寸法より小径に設定している。従って、回転軸14,14Aをコンプレッサ13,13Aに連結するとき、回転軸14,14Aの円柱部42,47がねじ孔43,48を通ってコンプレッサ13,13Aの嵌合孔44,49に適正に嵌合することとなり、円柱部42,47とねじ孔43,48との干渉による損傷を抑制することができる。
【0049】
第1実施形態の過給機では、ねじ孔48及び嵌合孔49をコンプレッサ13Aの取付面26a側に向けて開口し、コンプレッサ13Aの先端部26b側に向けて閉塞している。従って、ねじ孔43及び嵌合孔44におけるコンプレッサ13Aの先端部26b側が閉塞されていることから、コンプレッサ13Aの強度の低下を抑制することができる。
【0050】
第1実施形態の過給機では、ねじ孔43及び嵌合孔44をコンプレッサ13の取付面26a側及び先端部26b側に向けて開口している。従って、ねじ孔43及び嵌合孔44の長さを長くすることができ、締結強度を向上することができる。
【0051】
第1実施形態の過給機では、コンプレッサ13は、ねじ孔43を軸方向における最大外径位置Aに設け、コンプレッサ13Aは、ねじ孔48を軸方向における最大外径位置Aの近傍に設けている。従って、ねじ孔43の外径を大きくすることができ、回転軸14,14Aとの締結強度を向上することができる。
【0052】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態の排気タービン過給機におけるコンプレッサと回転軸とのねじ締結部を表す断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0053】
第2実施形態において、
図4に示すように、回転軸14Bは、他端部にねじ部51と円柱部52が軸方向に沿って設けられている。コンプレッサ13Bは、ねじ部51が螺合するねじ孔53と円柱部52が嵌合する円筒形状をなす嵌合孔54が軸方向に沿って設けられている。回転軸14Bは、円柱部52がねじ部51より回転軸14Bの他端部側に設けられ、コンプレッサ13Bは、ねじ孔53が嵌合孔54よりコンプレッサ羽根車26Bの取付面26a側に設けられている。
【0054】
ここで、コンプレッサ13Bは、ねじ孔53及び嵌合孔54がコンプレッサ羽根車26Bの取付面26a側及び先端部26b側に向けて開口している。つまり、ねじ孔53及び嵌合孔54は、コンプレッサ羽根車26Bの軸中心Oに沿った貫通孔となっている。そして、回転軸14Bは、他端部がコンプレッサ13Bの先端部26b側に突出すると共に、先細形状をなしている。即ち、回転軸14Bは、コンプレッサ13Bから露出した他端部の位置に円錐台部55が形成されることで、先細形状に形成されている。なお、ねじ部51、円柱部52、ねじ孔53、嵌合孔54の軸方向長さ寸法と内径寸法の関係については、第1実施形態に説明したものと同様である。
【0055】
なお、回転軸14Bの他端部の先細形状は、上述した形状に限定されるものではない。
図5は、第2実施形態の排気タービン過給機の変形例を表すコンプレッサと回転軸とのねじ締結部を表す断面図である。
【0056】
図5に示すように、回転軸14Cは、他端部がコンプレッサ13Bの先端部26b側に突出すると共に、先細形状をなしている。即ち、回転軸14Cは、コンプレッサ13Bから露出した他端部の位置に半球面部56が形成されることで、先細形状に形成されている。なお、ねじ部51、円柱部52、ねじ孔53、嵌合孔54の軸方向長さ寸法と内径寸法の関係については、第1実施形態に説明したものと同様である。
【0057】
このように第2実施形態の過給機にあっては、回転軸14B,14Cの他端部に円錐台部55または半球面部56を設けることで先細形状としている。従って、コンプレッサ13Bの吸入口34から吸入される空気が回転軸14B,14Cの円錐台部55または半球面部56により剥離せずに滑らかに流れることとなり、空力性能の低下を抑制することができる。また、回転軸14B,14Cの他端部を先細形状とするために別部品を装着する必要もなく、部品コストの上昇を抑制することができる。
【0058】
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態の排気タービン過給機におけるコンプレッサと回転軸とのねじ締結部を表す断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0059】
第3実施形態において、
図6に示すように、回転軸14Dは、他端部にねじ部61と円柱部62が軸方向に沿って設けられている。コンプレッサ13Dは、ねじ部61が螺合するねじ孔63と円柱部62が嵌合する円筒形状をなす嵌合孔64が軸方向に沿って設けられている。回転軸14Dは、円柱部62がねじ部61より回転軸14Dの他端部側に設けられ、コンプレッサ13Dは、ねじ孔63が嵌合孔64よりコンプレッサ羽根車26Dの取付面26a側に設けられている。
【0060】
このコンプレッサ13Dは、取付面26aが軸中心Oに向けて円錐台形状となる膨出部26cが設けられており、ねじ孔63及び嵌合孔64がコンプレッサ羽根車26Dの取付面26a側に向けて開口し、先端部26b側に向けて閉塞されている。つまり、ねじ孔63及び嵌合孔64は、コンプレッサ羽根車26Dの軸中心Oに沿って先端部26bが閉塞した挿通孔となっている。そして、コンプレッサ13Dは、ねじ孔63及び嵌合孔64が軸方向における最大外径位置Aより取付面26a側に位置している。なお、ねじ部61、円柱部62、ねじ孔63、嵌合孔64の軸方向長さ寸法と内径寸法の関係については、第1実施形態で説明したものと同様である。また、回転軸14Dは、ねじ部61より一端部側がスラストリング38により支持され、スラストリング38がスラスト軸受23により支持される。
【0061】
なお、回転軸14Dのねじ部61及び円柱部62と、コンプレッサ13Dのねじ孔63及び嵌合孔64は、上述した構成に限定されるものではない。
図7は、第3実施形態の排気タービン過給機の変形例を表すコンプレッサと回転軸とのねじ締結部を表す断面図である。
【0062】
図7に示すように、回転軸14Eは、他端部にねじ部66と円柱部67が軸方向に沿って設けられている。コンプレッサ13Eは、ねじ部66が螺合するねじ孔68と円柱部67が嵌合する円筒形状をなす嵌合孔69が軸方向に沿って設けられている。回転軸14Eは、円柱部67がねじ部66より回転軸14Eの他端部側に設けられ、コンプレッサ13Eは、ねじ孔68が嵌合孔69よりコンプレッサ羽根車26Eの取付面26a側に設けられている。この場合、円柱部67の外径及び嵌合孔69の内径は、ねじ部66の外径及びねじ孔68の内径の1/2の径となっている。
【0063】
このコンプレッサ13Eは、取付面26aが軸中心Oに向けて円錐台形状となる膨出部26cが設けられており、ねじ孔68及び嵌合孔69がコンプレッサ羽根車26Eの取付面26a側に向けて開口し、先端部26b側に向けて閉塞されている。つまり、ねじ孔68及び嵌合孔69は、コンプレッサ羽根車26Eの軸中心Oに沿って先端部が閉塞した挿通孔となっている。そして、コンプレッサ13Eは、ねじ孔68が軸方向における最大外径位置Aより取付面26a側に位置している。なお、ねじ部66、円柱部67、ねじ孔68、嵌合孔69の軸方向長さ寸法と内径寸法の関係については、第1実施形態で説明したものと同様である。また、回転軸14Eは、ねじ部66より一端部側がスラストスリーブ37及びスラストリング38により支持され、スラストリング38がスラスト軸受23により支持される。
【0064】
このように第3実施形態の過給機にあっては、コンプレッサ13Eのねじ孔68及び嵌合孔69をコンプレッサ13Eの最大外径位置Aより取付面26a側に設けている。従って、回転軸14Eのねじ部61がコンプレッサ13Eのねじ孔68に螺合する位置と円柱部67が嵌合孔69に嵌合する位置が、コンプレッサ13Eの最大外径位置Aにないことから、コンプレッサ13Eの回転時に最大外径位置Aに作用する遠心応力がねじ孔68及び嵌合孔69に直接作用しないことから、コンプレッサ13Eの強度の低下を抑制することができる。
【0065】
[第4実施形態]
図8は、第4実施形態の排気タービン過給機におけるコンプレッサと回転軸とのねじ締結部を表す断面図、
図9は、コンプレッサと回転軸との組付け方法を表す断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0066】
第4実施形態において、
図8に示すように、回転軸14Fは、他端部(
図8にて、左端部)にねじ部71と円柱部72が軸方向に沿って設けられている。コンプレッサ13Fは、ねじ部71が螺合するねじ孔73と円柱部72が嵌合する円筒形状をなす嵌合孔74が軸方向に沿って設けられている。回転軸14Fは、ねじ部71が円柱部72より回転軸14Fの他端部側に設けられ、コンプレッサ13Fは、嵌合孔74がねじ孔73よりコンプレッサ羽根車26Fの取付面26a側に設けられている。ここで、コンプレッサ13Fは、ねじ孔73及び嵌合孔74がコンプレッサ羽根車26Fの取付面26a側及び先端部26b側に向けて開口している。つまり、ねじ孔73及び嵌合孔74は、コンプレッサ羽根車26Fの軸中心Oに沿った貫通孔となっている。
【0067】
そして、回転軸14Fは、円柱部72の軸方向長さ寸法がねじ部71の軸方向長さ寸法より長く設定されている。また、コンプレッサ13Fは、嵌合孔74の軸方向長さ寸法がねじ孔73の軸方向長さ寸法より長く設定されている。また、コンプレッサ13Fの嵌合孔74の内径寸法dDが回転軸14Fのねじ部71の外径寸法dCより大径に設定されている。そして、コンプレッサ13Fは、ねじ孔73が軸方向における最大外径位置Aより先端部26b側に位置している。
【0068】
そのため、
図9に示すように、タービン12に設けられた回転軸14Fとコンプレッサ13Fとを連結するとき、回転軸14Fの他端部に設けられたねじ部71と円柱部72をコンプレッサ13Fに設けられたねじ孔73と嵌合孔74に挿入して回転する。このとき、回転軸14Fは、まず、ねじ部71がコンプレッサ13Fの嵌合孔74を通過した後、円柱部72が嵌合孔74に嵌合する。つまり、回転軸14Fのねじ部71は、外径寸法dCが嵌合孔74の内径寸法dDより小さいことから、外周面が嵌合孔74の内周面に接触することがない。また、回転軸14Fの円柱部72の軸方向長さ寸法がコンプレッサ13Fのねじ孔73の軸方向長さ寸法より長いことから、ねじ部71がねじ孔73に接触する前に円柱部72が嵌合孔74に嵌合する。そのため、円柱部72が嵌合孔74に嵌合することで、回転軸14Fの軸中心Oとコンプレッサ13Fの軸中心Oが一致する。その後、回転軸14Fのねじ部71がコンプレッサ13Fのねじ孔73に螺合するとき、回転軸14Fとコンプレッサ13Fの軸中心らが一致していることから、ねじ部71とねじ孔73がかじることなく適正に螺合することとなる。
【0069】
このように第4実施形態の過給機にあっては、ねじ部71を円柱部72より回転軸14Fの他端部側に設け、嵌合孔74をねじ孔73よりコンプレッサ13Fの取付面26a側に設けている。従って、回転軸14Fをコンプレッサ13Fに連結するとき、回転軸14Fのねじ部71がコンプレッサ13Fの嵌合孔74を通過するとき、円柱部72がコンプレッサ13Fの嵌合孔74に嵌合して軸中心Oが一致するため、その後、回転軸14Fのねじ部71がコンプレッサ13Fのねじ孔73に高精度に螺合することとなり、ねじ部71とコンプレッサ13Fとの干渉による損傷を抑制することができる。
【0070】
第4実施形態の過給機では、嵌合孔74の内径寸法をねじ部71の外径寸法より大径に設定している。従って、回転軸14Fをコンプレッサ13Fに連結するとき、回転軸14Fのねじ部71がコンプレッサ13Fの嵌合孔74を通ってねじ孔73に適正に螺合することとなり、ねじ部71と嵌合孔74との干渉による損傷を抑制することができる。
【0071】
第4実施形態の過給機では、ねじ孔73をコンプレッサ13Fの最大外径位置Aよりコンプレッサ13Fの先端部26b側に設けている。従って、回転軸14Fのねじ部71がコンプレッサ13Fのねじ孔73に螺合する位置がコンプレッサ13Fの最大外径位置Aにないことから、コンプレッサ13Fの回転時に最大外径位置Aに作用する遠心応力がねじ孔73に直接作用しないことから、コンプレッサ13Fの強度の低下を抑制することができる。
【0072】
なお、上述した実施形態では、コンプレッサを構成するコンプレッサ羽根車の外径形状をほぼ同様の構成としたが、例えば、回転軸がコンプレッサの先端部側に貫通していない構成にあっては、コンプレッサ羽根車の先端部の外径寸法を小さく設定することで、例えば、円錐形状としてもよい。