(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846510
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】自己潤滑性転がり軸受およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
F16C 33/62 20060101AFI20210315BHJP
F16C 33/56 20060101ALI20210315BHJP
F16C 33/64 20060101ALI20210315BHJP
F16C 19/02 20060101ALI20210315BHJP
F16C 19/22 20060101ALI20210315BHJP
B22D 11/041 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
F16C33/62
F16C33/56
F16C33/64
F16C19/02
F16C19/22
B22D11/041
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-511920(P2019-511920)
(86)(22)【出願日】2017年8月31日
(65)【公表番号】特表2019-528414(P2019-528414A)
(43)【公表日】2019年10月10日
(86)【国際出願番号】CN2017099793
(87)【国際公開番号】WO2018041170
(87)【国際公開日】20180308
【審査請求日】2019年4月24日
(31)【優先権主張番号】201610792612.8
(32)【優先日】2016年8月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513019069
【氏名又は名称】西安理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】許 暘
(72)【発明者】
【氏名】顔 国君
(72)【発明者】
【氏名】劉 保建
【審査官】
藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭34−004456(JP,B1)
【文献】
特公昭60−018248(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/00−19/56
F16C 33/30−33/66
B22D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内外輪と保持器と転動体とを含み、前記内外輪の鋳鉄材料の成分組成が質量%で、C:3.3%−3.5%、Si:2.7%−2.9%、Mn:0.3%−0.5%、Cr:0.3%−0.5%、S≦0.05%、P≦0.05%を含有し、Mg:0.03%−0.045%であり、残余が鉄である、自己潤滑性転がり軸受。
【請求項2】
前記保持器の鋳鉄材料の成分組成が質量%で、C:3.3%−3.5%、Si:2.8%−3.1%、Mn:0.2%−0.3%、S≦0.05%、P≦0.05%、Mg:0.03%−0.045%であり、残余は鉄である請求項1に記載の自己潤滑性転がり軸受。
【請求項3】
前記内外輪は、金属組織の球状化率が少なくとも93%であり、黒鉛粒数が少なくとも500個/mm2であり、材料全体の硬度が少なくともHRC48である、請求項1に記載の自己潤滑性転がり軸受。
【請求項4】
前記転動体の硬度は前記内外輪の硬度より1HRC−2HRC高い、請求項1に記載の自己潤滑性転がり軸受。
【請求項5】
内外輪と保持器と転動体とを含む自己潤滑性転がり軸受の製造方法であって、
海綿鉄、鋼スクラップおよび鉄合金を材料として内外輪用の溶鉄と保持器用の溶鉄に溶融し、前記内外輪用の溶鉄の成分組成が質量%で、C:3.4%−3.7%、Si:1.5%−1.7%、Mn:0.3%−0.5%、Cr:0.3%−0.5%、S≦0.05%、P≦0.05%を含有し、残余は鉄であり、接種処理および球状化処理を介して、前記内外輪用の溶鉄の最終的なSi含有量を2.7%−2.9%に、かつ、前記内外輪用の溶鉄の残留のMg含有量を0.03%−0.045%にするステップ1と、
垂直連続鋳造法を介して前記内外輪用の溶鉄を用いて球状黒鉛鋳鉄管を生成するステップ2と、
前記球状黒鉛鋳鉄管に球状化焼きなまし処理を行ってから黒鉛形態を検査し、黒鉛形態において、球状化率が90%以上であり、100倍の顕微鏡で観察するときの黒鉛粒数が少なくとも500個/mm2であるステップ3と、
ステップ3によって処理された球状黒鉛鋳鉄管を旋削し研削して内外輪を得て、旋削加工後かつ研削加工前にオーステンパ処理を行うステップ4と、
ステップ4によって得る内外輪を検査するステップ5と、
垂直連続鋳造法を介して前記保持器用の溶鉄を用いて保持器用の球状黒鉛鋳鉄管を生成し、前記保持器用の球状黒鉛鋳鉄管を焼きなまし処理し、加工して保持器を得るステップ6と、
ステップ5によって得る内外輪と、ステップ6によって得る保持器と、転動体とを装着して自己潤滑性転がり軸受を得るステップ7と、
に従って実施する、自己潤滑性転がり軸受の製造方法。
【請求項6】
前記ステップ1において、前記保持器用の溶鉄の成分組成が質量%で、C:3.3%−3.5%、Si:1.8%−2.0%、Mn:0.2%−0.3%、S<0.05%、P<0.05%、残余は鉄である、請求項5に記載の自己潤滑性転がり軸受の製造方法。
【請求項7】
前記ステップ1の終了後、接種剤を添加する接種処理および球状化処理を実行して、前記保持器用の溶鉄の最終的なSi含有量を2.8%−3.1%に、かつ、前記保持器用の溶鉄の残留のMg含有量を0.03%−0.045%にする、請求項6に記載の自己潤滑性転がり軸受の製造方法。
【請求項8】
前記ステップ5において、内外輪は、金属組織の球状化率が少なくとも93%であり、黒鉛粒数が少なくとも500個/mm2であり、材料全体の硬度が少なくともHRC48である、請求項5に記載の自己潤滑性転がり軸受の製造方法。
【請求項9】
前記ステップ2によって得る球状黒鉛鋳鉄管は、内径が軸受の内外輪の完成品の内径より4mm−5mm小さく、外径が軸受の内外輪の完成品の外径より3mm−4mm大きい、請求項5に記載の自己潤滑性転がり軸受の製造方法。
【請求項10】
前記ステップ2における垂直連続鋳造法に採用される結晶化装置は二重螺旋状の2イン2アウトの水冷式結晶化装置であり、当該結晶化装置は、互いに回動可能な内筒体(1)と外筒体(2)とを含み、前記内筒体(1)と外筒体(2)の上端が上フランジ(3)と連結しており、前記内筒体(1)と外筒体(2)の下端が下フランジ(4)と連結しており、前記外筒体(2)の上部に第1水入口(5)および第2水入口(6)が設けられており、前記外筒体(2)の下部に第1水出口(7)および第2水出口(8)が設けられており、前記内筒体(1)の外周に二重螺旋状のリブが設けられており、前記内筒体(1)と外筒体(2)とが組み合わせられると二重螺旋状の水経路を形成する、請求項5に記載の自己潤滑性転がり軸受の製造方法。
【請求項11】
前記ステップ3における球状化焼きなまし処理は、
ピット型または箱型の熱処理炉において球状黒鉛鋳鉄管を共析変態温度Ac1+50℃まで加熱し、55分間−65分間を保温するステップaと、
ステップaによって処理された球状黒鉛鋳鉄管を共析変態温度Ac1−50℃まで冷却し、55分間−65分間を保温するステップbと、
ステップaおよびステップbを少なくとも2回繰り返すステップcと、
ステップcによって処理された球状黒鉛鋳鉄管を595℃−605℃まで炉冷してから、空冷に切り替えて常温まで空冷するステップdと、を含む、請求項5に記載の自己潤滑性転がり軸受の製造方法。
【請求項12】
前記ステップ4におけるオーステンパ処理は、内外輪を880℃−900℃まで加熱し、壁厚が10mm以下の輪に50分間−60分間を保温し、壁厚が10mm以上の輪に10mmより1mmの厚みの増加ごとに保温時間を2分間増加し、十分な保温時間が経過後、230℃−250℃の恒温媒体槽に速やかに浸して40分間−50分間を保持し、前記恒温媒体槽から出してから空冷を行い、続いて洗滌槽に入れ、前記恒温媒体槽の媒体である塩類を洗滌することを含む、請求項5に記載の自己潤滑性転がり軸受の製造方法。
【請求項13】
前記ステップ6における焼きなまし処理において、ピット型または箱型の熱処理炉において球状黒鉛鋳鉄管を共析変態温度760℃まで加熱し、120分間を保温してから、500℃以下まで炉冷し、続いて空冷に切り替える、請求項5に記載の自己潤滑性転がり軸受の製造方法。
【請求項14】
前記ステップ7における転動体の硬度は内外輪の硬度より1HRC−2HRC高い、請求項5に記載の自己潤滑性転がり軸受の製造方法。
【請求項15】
請求項5に記載の自己潤滑性転がり軸受の製造方法によって製造された自己潤滑性転がり軸受。
【請求項16】
前記内外輪の鋳鉄材料の成分組成が質量%で、C:3.3%−3.5%、Si:2.7%−2.9%、Mn:0.3%−0.5%、Cr:0.3%−0.5%、S≦0.05%、P≦0.05%を含有し、Mg:0.03%−0.045%であり、残余が鉄である、請求項15に記載の自己潤滑性転がり軸受。
【請求項17】
前記保持器の鋳鉄材料の成分組成が質量%で、C:3.3%−3.5%、Si:2.8
%−3.1%、Mn:0.2%−0.3%、S<0.05%、P<0.05%、Mg:0.03%−0.045%であり、残余は鉄である、請求項15に記載の自己潤滑性転がり軸受。
【請求項18】
前記内外輪は、金属組織の球状化率が少なくとも93%であり、黒鉛粒数が少なくとも500個/mm2であり、材料全体の硬度が少なくともHRC48である、請求項15に記載の自己潤滑性転がり軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は軸受の製造技術に関し、具体的には自己潤滑性転がり軸受に関し、また、この転がり軸受の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
軸受の用途は運動中の軸と静止の受座との間の相互摩擦を減少することであるため、軸受の潤滑を介して摩擦抵抗を減少し軸受の寿命を延ばすことは軸受研究の重要な方向となっている。市場において、スリーブ、すべり軸受、自己潤滑性転がり軸受などの製品が続々と出てきた。しかしながら、すべり摩擦の摩擦抵抗が大きく、高速回転の作業状況に提供できず、生産に特定の問題が存在している。一方、軸受用鋼を介して製造された転がり軸受は摩擦力が多すぎる問題を解決し、工業に広く応用されている。転がり摩擦がすべり摩擦より相当に低いが、すべり軸受は自己潤滑の形式で、すなわち、スリーブの壁に黒鉛棒を嵌め、黒鉛の優れた潤滑性を用いて摩擦係数を低減することができる一方、転がり軸受には継続的かつ定期的に潤滑油を注入しなければならないため、以下のような特殊の作業環境において適用しがたい。1,冶金機械など環境温度が比較的高い場合、頻繁で定期的に油を注入することは非常に煩雑である。規定の要求に従うと、転がり軸受に定期的に油を注入する間隔時間とは70℃の作業温度を基準とされ、この温度を超えると、注入の時間間隔が短縮されるべきである。作業温度が100℃のときは基準時間の4分の1まで短縮され、120℃のときは基準時間の10分の1までも短縮される。2.軸受が大型設備の心臓部に装着されている場合、潤滑のために設備を分解するには相当に手間がかかる。3.交通運輸装置にある軸受は、出荷されると追跡および整備がしにくい。以上のような特殊の作業状況において、定期的に油を注入し転がり軸受を潤滑することが確実に実現できず、大量の転がり軸受が乾燥摩擦の状態で運転されることが発生するため、軸受の早期廃棄および材料浪費が生じる。また、精密機械(ロボットなど)において使用される精密な減速器は、高い「加速度トルク」および「瞬間の加速度トルク」という性能が必要とされ、撓性軸受に潤滑油を注入すると、油の粘着性がこれらの重要指標に悪い影響をもたらす。
【0003】
転がり軸受の上述した問題点を解決するために、市場において以下のような製品が出てきた。例えば、粉末冶金の含油軸受という製品があり、粉末冶金軸受の材料の隙間に油を含有し、自己潤滑の機能を生じさせるが、材料の強度が低く、研磨粒子の摩耗が激しいため、適用できる場面が限られている。オーステンパ球状黒鉛鋳鉄(autotempered ductile iron、ADIとも略称されている)という製品が自己潤滑の機能を生じさせるが、従来の鋳造による球状黒鉛鋳鉄の基材組織が粗く、黒鉛の状態(球状化率、黒鉛粒数)が良くない。球状黒鉛鋳鉄をオーステンパすることによって取得する「オースフェライト鉄組織」および黒鉛形態は、一般的な装置製造が材料強化の総合的性能に対する要求をよく満足することができるが、以下の原因によって転がり軸受に適用できない。
(1)正常使用を前提として、転がり軸受の失効および破壊の主な原因はローター間の点接触疲労損傷にある。球状黒鉛鋳鉄に存在している黒鉛は潤滑性を提供することができるが、基材組織にとってそれは1つひとつの微細の凹みである。球状黒鉛の丸みが揃っていなくて球径が大きいものがある場合、このような凹みの周縁は、比較的大きい応力を受け、高速循環負荷の条件の下、点接触疲労亀裂の発生点または亀裂開始領域になる。従来の鋳造による黒鉛形態が良くないため、接触疲労の発生点になることが回避でない。
(2)従来の鋳造による鋳物は、気孔、砂かみ、スラグ巻き込みおよび収縮巣を含有し、鍛造後の軸受用鋼未加工材より遙かに細くない。
(3)従来の鋳造による球状黒鉛鋳鉄の鋳抜き組織が比較的大きいため、オーステンパ中に焼入れの温度保持時間と恒温変態時間(約1.5時間以上)が延ばされ、熱処理の効率が低く、製品のコストが増加し、得られる組織の性能も最高ではない。
(4)水平連続鋳造の鋳鉄の型材は鋳鉄材組織の微細化を実現し、欠陥をゼロにすることすら可能であるが、この方法によれば中空の型材
を生成できず、軸受輪の製造が未加工材の形状に対する需要に明らかに満たせない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、自己潤滑性転がり軸受を提供し、既存の転がり軸受は、回転数が比較的低く、作業温度が比較的大きく、潤滑油を度々注入しにくく、頻繁に衝撃を受けるなどの作業状況の下、自己潤滑性が悪く、転がり軸受の廃棄をもたらしやすいという問題を解決することである。
【0005】
本発明のもう1つの目的は、自己潤滑性転がり軸受の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用する技術手段である自己潤滑性転がり軸受は、内外輪と保持器と転動体とを含み、当該内外輪と保持器と転動体とは一般のプロセスによって装着され、内外輪の鋳鉄材料の成分組成が、C:3.3%−3.5%、Si:2.7%−2.9%、Mn:0.3%−0.5%、Cr:0.3%−0.5%、S≦0.05%、P≦0.05%を含有し、残留のMg含有量が0.03%−0.045%であり、残余が鉄であり、成分組成の質量%の合計は100%となる。
【0007】
本発明が採用するもう1つの技術手段である自己潤滑性転がり軸受の製造方法は、
海綿鉄、鋼スクラップおよび鉄合金を材料として配置し溶鉄に溶融し、内外輪用の溶鉄の成分組成が質量%で、C:3.4%−3.7%、Si:1.5%−1.7%、Mn:0.3%−0.5%、Cr:0.3%−0.5%、S≦0.05%、P≦0.05%を含有し、残余は鉄および不可避の不純物であり、成分組成の質量%の合計は100%となり、接種処理および球状化処理を介して、内外輪用の溶鉄の最終的な珪含有量を2.7%−2.9%に、かつ、内外輪用の溶鉄の残留のMg含有量を0.03%−0.045%にし、保持器用の溶鉄の成分組成がC:3.3%−3.5%、Si:1.8%−2.0%、Mn:0.2%−0.3%、S≦0.05%、P≦0.05%、残余は鉄であり、成分組成の質量%の合計は100%となり、接種処理および球状化処理を介して、保持器用の溶鉄の最終的な珪含有量を2.8%−3.1%に、かつ、保持器用の溶鉄の残留のMg含有量を0.03%−0.045%にするステップ1、
垂直連続鋳造法を介してステップ1の溶鉄を用いてそれぞれに球状黒鉛鋳鉄管(ダクタイル鋳鉄管とも呼ばれている)を生成するステップ2、
ステップ2によって得る球状黒鉛鋳鉄管に球状化焼きなまし処理を行ってから黒鉛形態を
検査し、黒鉛形態において、球状化率が90%以上であり、100倍の顕微鏡で観察するときの黒鉛粒数が少なくとも500個/mm
2であるステップ3、
ステップ3によって処理された球状黒鉛鋳鉄管を旋削し研削して内外輪を得て、旋削加工後かつ研削加工前にオーステンパ処理を行うステップ4、
ステップ4によって得る内外輪を
検査し、
検査項目は、
(1)金属組織の球状化率が少なくとも93%であることと、
(2)黒鉛粒数が少なくとも500個/mm2であることと、
(3)基材組織のフェライトの硬度が通常の鋳造組織の硬度の2倍より高いことと、
(4)材料全体の硬度が少なくともHRC48であることと、を含むステップ5、
ステップ2によって得る球状黒鉛鋳鉄管を焼きなまし処理し、加工して保持器を得るステップ6、および
ステップ5によって得る内外輪と、ステップ6によって得る保持器と、転動体とを一般のプロセスによって装着して自己潤滑性転がり軸受を得るステップ7、
に従って実施する。
【0008】
本発明は他の技術的特徴を有する。ステップ2において、球状黒鉛鋳鉄管の内径は軸受の内外輪の完成品の内径より4mm−5mm小さく、球状黒鉛鋳鉄管の外径は軸受の内外輪の完成品の外径より3mm−4mm大きい。
【0009】
ステップ2における垂直連続鋳造法に採用される結晶化装置は二重螺旋状の2イン2アウトの水冷式結晶化装置であり、当該結晶化装置は、互いに回動可能な内筒体と外筒体とを含み、内筒体と外筒体との上端に上フランジと連結しており、内筒体と外筒体との下端に下フランジと連結しており、外筒体の上部に第1水入口および第2水入口が設けられており、外筒体の下部に第1水出口および第2水出口が設けられており、内筒体の外周に二重螺旋状のリブが設けられており、内筒体と外筒体とが組み合わせられると二重螺旋状の水経路を形成する。
【0010】
ステップ3における球状化焼きなまし処理は、
ピット型または箱型の熱処理炉において球状黒鉛鋳鉄管を共析変態温度A
c1+50℃まで加熱し、55分間−65分間を保温するステップaと、
ステップaによって処理された球状黒鉛鋳鉄管を共析変態温度A
c1−50℃まで冷却し、55分間−65分間を保温するステップbと、
ステップaおよびステップbを少なくとも2回繰り返すステップcと、
ステップcによって処理された球状黒鉛鋳鉄管を595℃−605℃まで炉冷してから、空冷に切り替えて常温まで空冷するステップdと、を含む。
【0011】
ステップ4におけるオーステンパ処理は、内外輪を880℃−900℃まで加熱し、壁厚が10mm以下の輪に50分間−60分間を保温し、壁厚が10mm以上の輪に10mmより1mmの厚みの増加ごとに保温時間を2分間増加し、十分な保温時間が経過後、230℃−250℃の恒温媒体槽に速やかに浸して40分間−50分間を保持し、槽から出してから空冷を行い、続いて洗滌槽に入れ、塩類を洗滌することを含む。
【0012】
ステップ6における焼きなまし処理において、ピット型または箱型の熱処理炉において球状黒鉛鋳鉄管を共析変態温度760℃まで加熱し、120分間を保温してから、500℃以下まで炉冷し、続いて空冷に切り替える。
【0013】
ステップ7における転動体の硬度は内外輪の硬度より1HRC−2HRC高い。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有益な効果について、本発明の自己潤滑性転がり軸受は、超微細(中国の国家標準規定の最高レベルを超える)の鋳抜き組織を有する球状黒鉛鋳鉄の中空の型材を採用し、それを球状化焼きなましおよびオーステンパで処理し、最終的に優れた機械特性を有する「ADI」材料を得る。当該「ADI」材料を用いて転がり軸受の内外輪を製作し、また、球状黒鉛鋳鉄の中空の型材を用いて転がり軸受の保持器を製作し、最終的に自己潤滑性を有する転がり軸受を製作する。本発明は転がり軸受の輪の材料選択、熱加工プロセス、および硬度に対して重大の変更を行い、その旨は、転がり軸受と自己潤滑性すべり軸受との利点を結合し、冶金機械など設備の製造業界に、「回転数が比較的低く、作業温度が比較的大きく、潤滑油を度々注入しにくく、頻繁に衝撃を受ける」との作業状況の下で長時間に作業できる自己潤滑性転がり軸受を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の自己潤滑性転がり軸受の製造方法において、垂直連続鋳造設備における結晶化装置の螺旋状の内筒の概要図
【
図2】本発明の自己潤滑性転がり軸受の製造方法において、垂直連続鋳造設備における結晶化装置の装着構造の概要図
【
図3】本発明の自己潤滑性転がり軸受の製造方法において、内外輪に対する繰り返した球状化焼きなましのプロセス曲線図
【
図4】本発明の自己潤滑性転がり軸受の製造方法において、内外輪に対するオーステンパのプロセス曲線図
【
図5】本発明の自己潤滑性転がり軸受の製造方法において、保持器に対する焼きなましのプロセス曲線図
【
図6】本発明の自己潤滑性転がり軸受の内外輪の金属組織図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下は添付図面および具体的な実施例を用いて本発明について詳細に説明する。
【0017】
本発明の自己潤滑性転がり軸受内は外輪と保持器と転動体とを含む。当該内外輪と保持器と転動体とは一般のプロセスによって装着される。内外輪の鋳鉄材料の成分組成が、C:3.3%−3.5%、Si:2.7%−2.9%、Mn:0.3%−0.5%、Cr:0.3%−0.5%、S≦0.05%、P≦0.05%を含有し、残留のMg含有量が0.03%−0.045%であり、残余が鉄であり、成分組成の質量%の合計は100%となる。
【0018】
本発明は上述した自己潤滑性転がり軸受の製造方法も提供する。当該製造方法は中国の特許発明「低塑性金属中空型材の連続鋳造成形設備」(出願番号:ZL200710018928.2、公開番号:CN101134231、公開日:2008年3月5日)において実施されてもよいが、この設備との差異とは、この設備における結晶化装置と本発明における結晶化装置との構造が異なるところである。
図1、
図2に示されているように、本発明における結晶化装置は二重螺旋状の2イン2アウトの水冷式結晶化装置であり、当該結晶化装置は、互いに回動可能な内筒体1と外筒体2とを含み、内筒体1と外筒体2との上端に上フランジ3と連結しており、内筒体1と外筒体2との下端に下フランジ4と連結しており、外筒体2の上部に第1水入口5および第2水入口6が設けられており、外筒体2の下部に第1水出口7および第2水出口8が設けられており、内筒体1の外周に二重螺旋状のリブが設けられており、内筒体1と外筒体2とが組み合わせられると二重螺旋状の水流経路を形成する。二重螺旋状の水路はさらに大きい冷却能力を提供する。黒鉛シリンダは、内筒体の内孔に嵌まっており、溶鉄と直接的に接触する耐高温部品であり、溶鉄を型材に凝固させ、その自己潤滑性を利用して型材を結晶化装置から引き出させるように用いられる。
【0019】
自己潤滑性転がり軸受の製造方法は、具体的には以下のステップに従って実施する。
【0020】
ステップ1:海綿鉄、鋼スクラップおよび鉄合金を材料として配置し溶鉄に溶融し、内外輪用の溶鉄の成分組成が質量%で、C:3.4%−3.7%、Si:1.5%−1.7%、Mn:0.3%−0.5%、Cr:0.3%−0.5%、S≦0.05%、P≦0.05%を含有し、残余は鉄および不可避の不純物であり、成分組成の質量%の合計は100%となり、接種処理および球状化処理を介して、内外輪用の溶鉄の最終的な珪含有量を2.7%−2.9%に、かつ、内外輪用の溶鉄の残留のMg含有量を0.03%−0.045%にし、保持器用の溶鉄の成分組成がC:3.3%−3.5%、Si:2.8%−3.1%、Mn:0.2%−0.3%、S≦0.05%、P≦0.05%、保持器用の溶鉄の残留のMg含有量が0.03%−0.045%であり、残余は鉄であり、成分組成の質量%の合計は100%となる。
【0021】
ステップ2:垂直連続鋳造法を介してステップ1の溶鉄を用いて、異なる直径および壁厚を有する球状黒鉛鋳鉄管を生成する。球状黒鉛鋳鉄管の内径は軸受の内外輪の完成品の内径より4mm−5mm小さく、球状黒鉛鋳鉄管の外径は軸受の内外輪の完成品の外径より3mm−4mm大きい。保持器の型材の内外径の加工取り代もそれぞれに4mm−5mmおよび3mm−4mmである。
【0022】
ステップ3:ステップ2によって得る球状黒鉛鋳鉄管に球状化焼きなまし処理を行ってから黒鉛形態を
検査し、黒鉛形態において、球状化率が90%以上であり、100倍の顕微鏡で観察するときの黒鉛粒数が少なくとも500個/mm
2である。
【0023】
図3のプロセス曲線が示しているように、球状化焼きなまし処理は、ピット型または箱型の熱処理炉において球状黒鉛鋳鉄管を共析変態温度
Ac1+50℃である780℃まで加熱し、55分間−65分間を保温するステップaと、
ステップaによって処理された球状黒鉛鋳鉄管を共析変態温度
Ac1−50℃である680℃まで冷却し、55分間−65分間を保温するステップbと、
ステップaおよびステップbを少なくとも2回繰り返すステップcと、
ステップcによって処理された球状黒鉛鋳鉄管を595℃−605℃まで炉冷してから、空冷に切り替えて常温まで空冷するステップdと、を含む。
【0024】
ステップ4:ステップ3によって処理された球状黒鉛鋳鉄管を旋削し研削して内外輪を得て、旋削加工後かつ研削加工前にオーステンパ処理を行う。
【0025】
図4に示されているように、オーステンパ処理は、内外輪を880℃−900℃まで加熱し、壁厚が10mm以下の輪に50分間−60分間を保温し、壁厚が10mm以上の輪に10mmより1mmの厚みの増加ごとに保温時間を2分間増加し、十分な保温時間が経過後、230℃−250℃の恒温媒体槽に速やかに浸して40分間−50分間を保持し、槽から出してから空冷を行い、続いて洗滌槽に入れ、塩類を洗滌することを含む。
【0026】
ステップ5:ステップ4によって得る内外輪を
検査し、
検査項目は、金属組織の球状化率が少なくとも93%であることと、黒鉛粒数が少なくとも500個/mm
2であることと、(高珪素のフェライトであるため)基材組織のフェライトの硬度が通常の鋳造組織の硬度の2倍より高いことと、材料全体の硬度が少なくともHRC48であることと、を含む。
【0027】
ステップ6:ステップ2によって得る中空型材を焼きなまし処理し、具体的には、
図5に示されているように、ピット型または箱型の熱処理炉において球状黒鉛鋳鉄管を共析変態温度760℃まで加熱し、120分間を保温してから、500℃以下まで炉冷し、続いて空冷に切り替え、そして加工して保持器を得る。材料は型番がQT400−18の球状黒鉛鋳鉄に相当するものである。
【0028】
ステップ7:
ステップ5によって得る内外輪と、ステップ6によって得る保持器と、市販の転動体(球状または円柱状)とを一般のプロセスによって装着して自己潤滑性転がり軸受を得て、転動体の硬度は内外輪の硬度より1HRC−2HRC高い。
【0029】
従来技術と比べると、本発明は以下の利点を有する。
【0030】
1.完全な丸に近い形状を有して微細に分布している球状黒鉛は、軸受の転動副摩擦に対して潤滑剤を提供し、点接触疲労損傷を回避することもできる。
図6に示されているように、垂直連続鋳造の球状黒鉛鋳鉄管は、球状化率が90%以上もあり、オーステンパされると黒鉛の丸い形状をさらに完全にし、黒鉛の凹みの稜辺および突出先端において疲労亀裂が生じる確率を低減する。黒鉛粒数が多く、500個/mm
2−700個/mm
2もある。黒鉛がこんなに微細のため、その最大の凹みの開口面積は、球状黒鉛鋳鉄についての中国の国家標準における7級球状黒鉛(200個/mm
2、従来の鋳造所によって得られる最小の球状黒鉛である)の開口面積の数十分の一に過ぎず、軸受において転動体と輪との瞬間接触面積よりも遙かに小さいため、疲労亀裂の原因にならない。
【0031】
2.微細のオーステンパ組織によって、軸受の内外輪がよい総合的機械特性を有する。内外輪における20%−40%の高炭素オースフェライトは、運転中、表層が転動体の転がりによって押されると応力誘起マルテンサイトに変態しえて、硬度と耐摩耗性をさらに向上する。連続鋳造型材におけるフェライトの珪素含有量が比較的高く、オーステンパ後の硬度が普通のフェライトの硬度より2−3倍以上高く、輪の全体的な強度を有効に向上する。高炭素オースフェライトおよび高珪素フェライトの2相組織は、疲労亀裂の深い進展を有効に阻止し、ともに材料の衝撃に対する耐性を向上し、軸受の使用寿命を延長させる。
【0032】
3.本発明におけるADI材料は高強度と高靭性が両立しているオースフェライト鉄組織および球状黒鉛からなり、このような微細に分布している球状黒鉛があるからこそ、転がり軸受に潤滑剤を絶えずに提供することができる。
【0033】
4.温度上昇が低い。球状黒鉛鋳鉄材料の熱伝導率は約80以上であり、鋼の熱伝導率(40)より倍も高く、摩擦熱が迅速に外へ伝導される。また、球状黒鉛鋳鉄材料の耐焼き戻し性が鋼より高く、比較的高温の環境で作業しても硬度が降下しない。超微細ADI材料によって製造された軸受の温度上昇が比較的低く、オーステンパ媒体の温度(200℃まで)以下の環境で作業することができる。
【0034】
5.騒音が低い。ADI材料の振動吸収性が鋼より大きいため、転がり軸受による騒音を低減することができる。
【0035】
6.重量が軽い。同じ体積ではADI材料の重量が鋼より10%軽い。
【0036】
7.鍛造用未加工材と比べると、高速精密垂直連続鋳造の球状黒鉛鋳鉄の中空型材の加工取り代が小さい。
【0037】
本発明において、軸受の内外輪について、その未加工材料は、垂直連続鋳造による球状黒鉛鋳鉄管から取得され、オーステンパ処理を経る。その金属組織は、「オースフェライト鉄組織」に微細の球状黒鉛鋳鉄が嵌まっているものである。「オースフェライト鉄組織」において、炭素および珪素が多く含まれたナノレベルのサイズのオースフェライトおよびフェライトはよい強靱性マッチングを提供し、摩耗に耐性あり、衝撃にも耐性ある。20%−40%の残留のオースフェライトは耐疲労性を向上し、また、応力誘起によって硬化されるので輪の表面に耐摩耗性を持たせる。球状化率が93%以上であり、黒鉛粒数が500個/mm
2以上であり、従来のADI組織が届かたい品質達成する。球状黒鉛は転がり摩擦に対して自己潤滑性、振動吸収性、および迅速な熱伝導という効果を提供する同時に、高度の微細分布という特徴によって点接触疲労亀裂の誘発を回避することができる。軸受の転動体は従来の軸受用鋼を用いるが、その硬度は輪と同様であるまたはやや高い。軸受の保持器は、連続鋳造され焼きなましを経た球状黒鉛鋳鉄の中空型材(QT400−18)によって製造される。軸受用鋼と比べると、ADI材料の焼き戻した硬度がHRC48以上であるため、高速回転軸受に適用しにくい。そのため、本発明は自己潤滑性転がり軸受の適用範囲を、「回転速度が比較的低く、作業温度が200℃以下であり、潤滑油を度々注入しにくく、頻繁に衝撃を受ける」という範囲内に制限する。
【0039】
ステップ1:海綿鉄、鋼スクラップおよび鉄合金を材料として配置し溶鉄に溶融し、内外輪用の溶鉄の成分組成が質量%で、C:3.4%−3.7%、Si:1.5%−1.7%、Mn:0.3%−0.5%、Cr:0.3%−0.5%、S≦0.05%、P≦0.05%を含有し、残余は鉄および不可避の不純物であり、成分組成の質量%の合計は100%となり、接種処理および球状化処理を介して、内外輪用の溶鉄の最終的な珪含有量を2.7%−2.9%に、かつ、内外輪用の溶鉄の残留のMg含有量を0.03%−0.045%にし、保持器用の溶鉄の成分組成がC:3.3%−3.5%、Si:2.8%−3.1%、Mn:0.2%−0.3%、S≦0.05%、P≦0.05%、保持器用の溶鉄の残留のMg含有量が0.03%−0.045%であり、残余は鉄であり、成分組成の質量%の合計は100%となる。
【0040】
ステップ2:垂直連続鋳造法を介してステップ1の溶鉄を用いて、異なる直径および壁厚を有する球状黒鉛鋳鉄管を生成する。球状黒鉛鋳鉄管の内径は軸受の内外輪の完成品の内径より4mm−5mm小さく、球状黒鉛鋳鉄管の外径は軸受の内外輪の完成品の外径より3mm−4mm大きい。保持器の型材の内外径の加工取り代もそれぞれに4mm−5mmおよび3mm−4mmである。
【0041】
ステップ3:ステップ2によって得る球状黒鉛鋳鉄管に球状化焼きなまし処理を行ってから黒鉛形態を
検査し、黒鉛形態において、球状化率が90%以上であり、100倍の顕微鏡で観察するときの黒鉛粒数が少なくとも500個/mm
2である。
【0042】
球状化焼きなまし処理は、
ピット型または箱型の熱処理炉において球状黒鉛鋳鉄管を共析変態温度
Ac1+50℃である780℃まで加熱し、60分間を保温するステップaと、
ステップaによって処理された球状黒鉛鋳鉄管を共析変態温度
Ac1−50℃である680℃まで冷却し、55分間を保温するステップbと、
ステップaおよびステップbを少なくとも2回繰り返すステップcと、
ステップcによって処理された球状黒鉛鋳鉄管を600℃まで炉冷してから、空冷に切り替えて常温まで空冷するステップdと、を含む。
【0043】
ステップ4:ステップ3によって処理された球状黒鉛鋳鉄管を旋削し研削して内外輪を得て、旋削加工後かつ研削加工前にオーステンパ処理を行う。
【0044】
オーステンパ処理は、内外輪を880℃まで加熱し、壁厚が10mm以下の輪に50分間を保温し、壁厚が10mm以上の輪に10mmより1mmの厚みの増加ごとに保温時間を2分間増加し、十分な保温時間が経過後、250℃の恒温媒体槽に速やかに浸して40分間を保持し、槽から出してから空冷を行い、続いて洗滌槽に入れ、塩類を洗滌することを含む。
【0045】
ステップ5:ステップ4によって得る内外輪を
検査し、
検査項目は、金属組織の球状化率が少なくとも93%であることと、黒鉛粒数が少なくとも500個/mm
2であることと、基材組織のフェライトの硬度が通常の鋳造組織の硬度の2倍より高いことと、材料全体の硬度が少なくともHRC48であることと、を含む。
【0046】
ステップ6:ステップ2によって得る中空型材を焼きなまし処理し、具体的には、ピット型または箱型の熱処理炉において球状黒鉛鋳鉄管を共析変態温度760℃まで加熱し、120分間を保温してから、500℃以下まで炉冷し、続いて空冷に切り替え、そして加工して保持器を得る。材料の型番はQT400−18である。
【0047】
ステップ7:
ステップ5によって得る内外輪と、ステップ6によって得る保持器と、市販の転動体(球状または円柱状)とを一般のプロセスによって装着して自己潤滑性転がり軸受を得て、転動体の硬度は内外輪の硬度より1HRC−2HRC高い。
【0049】
ステップ1:海綿鉄、鋼スクラップおよび鉄合金を材料として配置し溶鉄に溶融し、内外輪用の溶鉄の成分組成が質量%で、C:3.4%−3.7%、Si:1.5%−1.7%、Mn:0.3%−0.5%、Cr:0.3%−0.5%、S≦0.05%、P≦0.05%を含有し、残余は鉄および不可避の不純物であり、成分組成の質量%の合計は100%となり、接種処理および球状化処理を介して、内外輪用の溶鉄の最終的な珪含有量を2.7%−2.9%に、かつ、内外輪用の溶鉄の残留のMg含有量を0.03%−0.045%にし、保持器用の溶鉄の成分組成がC:3.3%−3.5%、Si:2.8%−3.1%、Mn:0.2%−0.3%、S≦0.05%、P≦0.05%、保持器用の溶鉄の残留のMg含有量が0.03%−0.045%であり、残余は鉄であり、成分組成の質量%の合計は100%となる。
【0050】
ステップ2:垂直連続鋳造法を介してステップ1の溶鉄を用いて、異なる直径および壁厚を有する球状黒鉛鋳鉄管を生成する。球状黒鉛鋳鉄管の内径は軸受の内外輪の完成品の内径より4mm−5mm小さく、球状黒鉛鋳鉄管の外径は軸受の内外輪の完成品の外径より3mm−4mm大きい。保持器の型材の内外径の加工取り代もそれぞれに4mm−5mmおよび3mm−4mmである。
【0051】
ステップ3:ステップ2によって得る球状黒鉛鋳鉄管に球状化焼きなまし処理を行ってから黒鉛形態を
検査し、黒鉛形態において、球状化率が90%以上であり、100倍の顕微鏡で観察するときの黒鉛粒数が少なくとも500個/mm
2である。
【0052】
球状化焼きなまし処理は、
ピット型または箱型の熱処理炉において球状黒鉛鋳鉄管を共析変態温度
Ac1+50℃である780℃まで加熱し、55分間を保温するステップaと、
ステップaによって処理された球状黒鉛鋳鉄管を共析変態温度
Ac1−50℃である680℃まで冷却し、60分間を保温するステップbと、
ステップaおよびステップbを少なくとも2回繰り返すステップcと、
ステップcによって処理された球状黒鉛鋳鉄管を595℃まで炉冷してから、空冷に切り替えて常温まで空冷するステップdと、を含む。
【0053】
ステップ4:ステップ3によって処理された球状黒鉛鋳鉄管を旋削し研削して内外輪を得て、旋削加工後かつ研削加工前にオーステンパ処理を行う。
【0054】
オーステンパ処理は、内外輪を900℃まで加熱し、壁厚が10mm以下の輪に55分間を保温し、壁厚が10mm以上の輪に10mmより1mmの厚みの増加ごとに保温時間を2分間増加し、十分な保温時間が経過後、240℃の恒温媒体槽に速やかに浸して45分間を保持し、槽から出してから空冷を行い、続いて洗滌槽に入れ、塩類を洗滌することを含む。
【0055】
ステップ5:ステップ4によって得る内外輪を
検査し、
検査項目は、金属組織の球状化率が少なくとも93%であることと、黒鉛粒数が少なくとも500個/mm
2であることと、基材組織のフェライトの硬度が通常の鋳造組織の硬度の2倍より高いことと、材料全体の硬度が少なくともHRC48であることと、を含む。
【0056】
ステップ6:ステップ2によって得る中空型材を焼きなまし処理し、具体的には、ピット型または箱型の熱処理炉において球状黒鉛鋳鉄管を共析変態温度760℃まで加熱し、120分間を保温してから、500℃以下まで炉冷し、続いて空冷に切り替え、そして加工して保持器を得る。材料の型番はQT400−18である。
【0057】
ステップ7:
ステップ5によって得る内外輪と、ステップ6によって得る保持器と、市販の転動体(球状または円柱状)とを一般のプロセスによって装着して自己潤滑性転がり軸受を得て、転動体の硬度は内外輪の硬度より1HRC−2HRC高い。
【0059】
ステップ1:海綿鉄、鋼スクラップおよび鉄合金を材料として配置し溶鉄に溶融し、内外輪用の溶鉄の成分組成が質量%で、C:3.4%−3.7%、Si:1.5%−1.7%、Mn:0.3%−0.5%、Cr:0.3%−0.5%、S≦0.05%、P≦0.05%を含有し、残余は鉄および不可避の不純物であり、成分組成の質量%の合計は100%となり、接種処理および球状化処理を介して、内外輪用の溶鉄の最終的な珪含有量を2.7%−2.9%に、かつ、内外輪用の溶鉄の残留のMg含有量を0.03%−0.045%にし、保持器用の溶鉄の成分組成がC:3.3%−3.5%、Si:2.8%−3.1%、Mn:0.2%−0.3%、S≦0.05%、P≦0.05%、保持器用の溶鉄の残留のMg含有量が0.03%−0.045%であり、残余は鉄であり、成分組成の質量%の合計は100%となる。
【0060】
ステップ2:垂直連続鋳造法を介してステップ1の溶鉄を用いて、異なる直径および壁厚を有する球状黒鉛鋳鉄管を生成する。球状黒鉛鋳鉄管の内径は軸受の内外輪の完成品の内径より4mm−5mm小さく、球状黒鉛鋳鉄管の外径は軸受の内外輪の完成品の外径より3mm−4mm大きい。保持器の型材の内外径の加工取り代もそれぞれに4mm−5mmおよび3mm−4mmである。
【0061】
ステップ3:ステップ2によって得る球状黒鉛鋳鉄管に球状化焼きなまし処理を行ってから黒鉛形態を
検査し、黒鉛形態において、球状化率が90%以上であり、100倍の顕微鏡で観察するときの黒鉛粒数が少なくとも500個/mm
2である。
【0062】
球状化焼きなまし処理は、
ピット型または箱型の熱処理炉において球状黒鉛鋳鉄管を共析変態温度
Ac1+50℃である780℃まで加熱し、65分間を保温するステップaと、
ステップaによって処理された球状黒鉛鋳鉄管を共析変態温度
Ac1−50℃である680℃まで冷却し、65分間を保温するステップbと、
ステップaおよびステップbを少なくとも2回繰り返すステップcと、
ステップcによって処理された球状黒鉛鋳鉄管を605℃まで炉冷してから、空冷に切り替えて常温まで空冷するステップdと、を含む。
【0063】
ステップ4:ステップ3によって処理された球状黒鉛鋳鉄管を旋削し研削して内外輪を得て、旋削加工後かつ研削加工前にオーステンパ処理を行う。
【0064】
オーステンパ処理は、内外輪を890℃まで加熱し、壁厚が10mm以下の輪に60分間を保温し、壁厚が10mm以上の輪に10mmより1mmの厚みの増加ごとに保温時間を2分間増加し、十分な保温時間が経過後、230℃の恒温媒体槽に速やかに浸して50分間を保持し、槽から出してから空冷を行い、続いて洗滌槽に入れ、塩類を洗滌することを含む。
【0065】
ステップ5:ステップ4によって得る内外輪を
検査し、
検査項目は、金属組織の球状化率が少なくとも93%であること、黒鉛粒数が少なくとも500個/mm
2であること、基材組織のフェライトの硬度が通常の鋳造組織の硬度の2倍より高いこと、材料全体の硬度が少なくともHRC48であること、を含む。
【0066】
ステップ6:ステップ2によって得る中空型材を焼きなまし処理し、具体的には、ピット型または箱型の熱処理炉において球状黒鉛鋳鉄管を共析変態温度760℃まで加熱し、120分間を保温してから、500℃以下まで炉冷し、続いて空冷に切り替え、そして加工して保持器を得る。材料の型番はQT400−18である。
【0067】
ステップ7:
ステップ5によって得る内外輪と、ステップ6によって得る保持器と、市販の転動体(球状または円柱状)とを一般のプロセスによって装着して自己潤滑性転がり軸受を得て、転動体の硬度は内外輪の硬度より1HRC−2HRC高い。
【符号の説明】
【0068】
1 内筒体
2 外筒体
3 上フランジ
4 下フランジ
5 第1水入口
6 第2水入口
7 第1水出口
8 第2水出口
9 二重螺旋状のリブ