(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846527
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】半導体デバイスのゲート構造および製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20210315BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20210315BHJP
H01L 21/76 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
H01L29/78 301G
H01L29/78 301R
H01L21/76 L
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-540366(P2019-540366)
(86)(22)【出願日】2018年7月3日
(65)【公表番号】特表2020-507211(P2020-507211A)
(43)【公表日】2020年3月5日
(86)【国際出願番号】CN2018094359
(87)【国際公開番号】WO2019007344
(87)【国際公開日】20190110
【審査請求日】2019年7月25日
(31)【優先権主張番号】201710534704.0
(32)【優先日】2017年7月3日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512154998
【氏名又は名称】無錫華潤上華科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CSMC TECHNOLOGIES FAB2 CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】チー シュークン
【審査官】
高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−125827(JP,A)
【文献】
特表2007−529115(JP,A)
【文献】
特開平11−266016(JP,A)
【文献】
特開2009−272453(JP,A)
【文献】
特開2004−207706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/336,
H01L21/76,
H01L21/8232−21/8238,
H01L21/8249,
H01L27/06,
H01L27/07,
H01L27/085−27/092,
H01L27/118,
H01L29/06,
H01L29/12,
H01L29/739,
H01L29/76,
H01L29/772,
H01L29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスのゲート構造を製造する方法であって、
ウエハー表面上にトレンチを形成するステップと(ステップA)、
蒸着によって前記トレンチをシリコン酸化物で充填するステップと(ステップB)、
エッチングによって前記トレンチ内の前記シリコン酸化物の一部を除去するステップと(ステップC)、
熱酸化によって前記トレンチの上部コーナーにシリコン酸化物コーナー構造を形成するステップであって、前記シリコン酸化物コーナー構造は、前記トレンチ内の前記シリコン酸化物が前記コーナーから下方に徐々に厚くなる構造であるステップと(ステップD)、
ウエハー表面で窒素化合物を蒸着させて、前記シリコン酸化物の表面および前記シリコン酸化物コーナー構造の表面をカバーするステップと(ステップE)、
前記トレンチ内の前記シリコン酸化物の表面の前記窒素化合物を除去するために前記窒素化合物をドライエッチングして、前記シリコン酸化物コーナー構造の表面上の前記トレンチの中に延びる窒素化合物の側壁残留物を形成するステップと(ステップF)、
前記窒素化合物の側壁残留物をマスクとして用いてエッチングすることで前記トレンチ内の前記シリコン酸化物の一部を除去するステップと(ステップG)、
前記トレンチ内の前記窒素化合物を除去するステップと(ステップH)、
前記トレンチをシールドゲートとしてのポリシリコンで充填するステップと(ステップI)、
前記シールドゲート上に絶縁シリコン酸化物を形成するステップと(ステップJ)、
コントロールゲートとして前記絶縁シリコン酸化物上にポリシリコンを充填するステップと(ステップK)、
第2の伝導型のドープイオンを埋め込むことによって、前記トレンチに隣接するウエル領域を形成するステップと(ステップL)、
前記ウエル領域上にプレーナゲートとして互いに分離された複数のポリシリコン構造を形成するステップと(ステップM)、
前記コントロールゲートを前記プレーナゲートに電気的に接続するステップと(ステップN)、
を含む方法。
【請求項2】
前記シールドゲートは、縦方向に配置された多重セグメント構造を有し、前記隣接するシールドゲートは、絶縁シリコン酸化物によって互いに分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップMの後で、本方法は、イオンを埋め込むことによって、隣接するポリシリコン構造の下方かつ前記ウエル領域内で互いに分離された第1の伝導型の複数のドープ領域を形成するステップと、第1の伝導型のドープ領域をプレーナゲートにそれぞれ接続するステップと、をさらに含み、前記第1の伝導型および前記第2の伝導型は、反対の伝導型である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップLの前で、本方法は、イオンを埋め込むことによって、前記トレンチの両側で垂直チャンネル多重キャリア領域を形成するステップをさらに含み、前記ウエル領域は、前記トレンチの片側で前記垂直チャンネル多重キャリア領域の上に形成され、第1の伝導型のイオンがステップLで埋め込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップLの前で、本方法は、イオンを埋め込むことによって、前記トレンチの両側で垂直チャンネル多重キャリア領域を形成するステップをさらに含み、前記ウエル領域は、前記トレンチの片側で前記垂直チャンネル多重キャリア領域の上に形成され、ステップLは、第1の伝導型のイオンおよび第2の伝導型のイオンを埋め込むステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップBの前で、本方法は、前記トレンチの側壁を酸化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップAにおいて、前記トレンチは、シリコン窒化物をマスクとして用いてエッチングすることによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ステップBとステップCとの間で、本方法は、前記トレンチの外側に露出したシリコン酸化物を化学機械研磨によって除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ステップBとステップCとの間で、本方法は、前記トレンチの外側に露出したシリコン酸化物を前記シリコン窒化物と一致するまで研磨するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
本方法は、エピタキシャルプロセスによって、基材上にエピタキシャル層をエピタキシャル成長させるステップをさらに含み、前記エピタキシャル層のドープ濃度は、前記基材のドーピング濃度よりも小さく、前記ウエハー表面上にトレンチを形成するステップにおいて、第1のトレンチが前記エピタキシャル層に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ステップHにおいて、前記窒素化合物は、エッチング液としての濃リン酸で除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ステップBにおいて、シリコン酸化物は、高密度プラズマ化学蒸着プロセスを使用して蒸着される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ステップKの後で、本方法は、化学機械研磨によって前記コントロールゲートを平坦化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ステップMによって形成された前記ポリシリコン構造の一部は、前記ウエル領域上に形成され、ステップMによって形成された前記ポリシリコン構造の他の部分は、前記トレンチ上に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ステップDの熱酸化温度は、800℃〜950℃の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記トレンチ内の前記シリコン酸化物がエッチングされて底部シリコン酸化物の所望の厚さに達するまで、ステップE〜ステップGを連続して繰り返し、ステップFが行なわれる度に、前記窒素化合物の側壁残留物が前記トレンチの中にさらに延び、前記トレンチ内の前記シリコン酸化物は、底部シリコン酸化物および側壁シリコン酸化物を含み、前記側壁シリコン酸化物の厚さは、前記トレンチの上部から前記トレンチの底部まで徐々に厚くなる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
半導体デバイスのゲート構造であって、
トレンチゲートと、
互いに分離された複数のポリシリコン構造を含むプレーナゲートと、
前記トレンチゲートに隣接しかつ前記プレーナゲートの下に配置される第2の伝導型のウエル領域と、
前記ウエル領域内に配置されて互いに分離された複数の領域を構成する第1の伝導型のドープ領域であって、前記領域の各々が、隣接するポリシリコン構造の下に配置され、それぞれの領域は、プレーナゲートに電気的に接続され、前記第1の伝導型および前記第2の伝導型は、反対の伝導型である、第1の伝導型のドープ領域と、
前記ウエル領域内に配置される第1の伝導型のソースと、
を備え、
前記トレンチゲートは、
前記トレンチゲートのトレンチ側壁に配置された側壁シリコン酸化物と、前記トレンチゲートの底部に配置された底部シリコン酸化物とを含み、前記側壁シリコン酸化物の厚さが下方に向かって厚くなる、シリコン酸化物充填材と、
前記トレンチゲートを覆って配置されたポリシリコン材料のコントロールゲートであって、前記コントロールゲートの側壁が、前記側壁シリコン酸化物によって囲まれ、前記コントロールゲートが、前記プレーナゲートと電気的に接続される、コントロールゲートと、
単一セグメント構造を有するポリシリコン材料のシールドゲートと、
垂直方向の隣接するコントロールゲートとシールドゲートとの間に充填される絶縁シリコン酸化物と、
を備える、半導体デバイスのゲート構造。
【請求項18】
前記第1の伝導型はN型であり、前記第2の伝導型はP型である、請求項17に記載の半導体デバイスのゲート構造。
【請求項19】
半導体デバイスのゲート構造であって、
トレンチゲートと、
互いに分離された複数のポリシリコン構造を含むプレーナゲートと、
前記トレンチゲートに隣接しかつ前記プレーナゲートの下に配置される第2の伝導型のウエル領域と、
前記ウエル領域内に配置されて互いに分離された複数の領域を構成する第1の伝導型のドープ領域であって、前記領域の各々が、隣接するポリシリコン構造の下に配置され、それぞれの領域は、プレーナゲートに電気的に接続され、前記第1の伝導型および前記第2の伝導型は、反対の伝導型である、第1の伝導型のドープ領域と、
前記ウエル領域内に配置される第1の伝導型のソースと、
を備え、
前記トレンチゲートは、
前記トレンチゲートのトレンチ側壁に配置された側壁シリコン酸化物と、前記トレンチゲートの底部に配置された底部シリコン酸化物とを含み、前記側壁シリコン酸化物の厚さが下方に向かって厚くなる、シリコン酸化物充填材と、
ポリシリコン材料であり前記トレンチゲートを覆って配置されたコントロールゲートであって、前記コントロールゲートの側壁が、前記側壁シリコン酸化物によって囲まれ、前記コントロールゲートが、前記プレーナゲートと電気的に接続される、コントロールゲートと、
縦方向に配置された多重セグメント構造を有するポリシリコン材料のシールドゲートと、
垂直方向の隣接するコントロールゲートとシールドゲートとの間でかつ前記多重セグメント構造のシールドゲートの間に充填される絶縁シリコン酸化物と、
を備える、半導体デバイスのゲート構造。
【請求項20】
前記第1の伝導型はN型であり、前記第2の伝導型はP型である、請求項19に記載の半導体デバイスのゲート構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体製造技術に関し、詳細には半導体デバイスのゲート構造、および半導体デバイスのゲート構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デバイス長さが一定(オン抵抗と同様に面積が一定)という状況のもとで、トレンチ分離プロセスを最適化し、トレンチモフォロジーを改善する方法は、結果的に破壊時の電界分散を最適化しかつ降伏電圧を増大させ、さらにオン抵抗(R
on,
sp)を連続的に減少させるためのスペースの最適化を拡大させることが、対象の横方向拡散金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(LDMOSFET)デバイスを継続的に改善して最適化する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の様々な実施形態による半導体デバイスのゲート構造およびその製造方法が提供される。
【0004】
半導体デバイスのゲート構造は、トレンチゲートと、互いに分離された複数のポリシリコン構造を含むプレーナゲートとを含み、半導体デバイスのゲート構造は、トレンチゲートに隣接してプレーナゲートの下に配置されるウエル領域と、ウエル領域の中に配置されて互いに分離された複数の領域を含む第1の伝導型のドープ領域とをさらに含み、各々の領域は、隣接するポリシリコン構造の下に配置され、それぞれの領域は、プレーナゲートに電気的に接続されており、トレンチゲートは、側壁シリコン酸化物およびボトムシリコン酸化物を含むシリコン酸化物充填材と、トレンチゲートを横切って配置されるコントロールゲートとを含み、コントロールゲートの側壁は、側壁シリコン酸化物によって囲まれており、コントロールゲートは、プレーナゲートに電気的に接続され、トレンチゲートは、単一セグメント構造または垂直に配置された多重セグメント構造を有するシールドゲートと、垂直方向の隣接するコントロールゲートとシールドゲートとの間に充填されるか又は垂直方向の隣接するコントロールゲートとシールドゲートとの間でかつ多重セグメント構造の隣接するシールドゲートの間に充填される絶縁シリコン酸化物とをさらに含む。
【0005】
半導体デバイスのゲート構造を製造する方法は、ウエハー表面上にトレンチを形成するステップと(ステップA)、蒸着によってトレンチをシリコン酸化物で充填するステップと(ステップB)、エッチングによってトレンチ内のシリコン酸化物の一部を除去するステップと(ステップC)、熱酸化によってトレンチの上部コーナーにシリコン酸化物コーナー構造を形成するステップであって、シリコン酸化物コーナー構造は、トレンチ内のシリコン酸化物がコーナーから下方に徐々に厚くなる構造であるステップと(ステップD)、ウエハー表面で窒素化合物を蒸着させて、シリコン酸化物の表面およびシリコン酸化物コーナー構造の表面をカバーするステップと(ステップE)、トレンチ内のシリコン酸化物の表面の窒素化合物を除去するために窒素化合物をドライエッチングして、シリコン酸化物コーナー構造の表面上のトレンチの中に延びる窒素化合物の側壁残留物を形成するステップと(ステップF)、窒素化合物の側壁残留物をマスクとして用いてエッチングすることでトレンチ内のシリコン酸化物の一部を除去するステップと(ステップG)、トレンチ内の窒素化合物を除去するステップと(ステップH)、トレンチをシールゲートとしてのポリシリコンで充填するステップと(ステップI)、シールゲート上に絶縁シリコン酸化物を形成するステップと(ステップJ)、コントロールゲートとして絶縁シリコン酸化物上にポリシリコンを充填するステップと(ステップK)、第2の伝導型のドープイオンを埋め込むことによって、トレンチに隣接するウエル領域を形成するステップと(ステップL)、ウエル領域上にプレーナゲートとして互いに分離された複数のポリシリコン構造を形成するステップと(ステップM)、コントロールゲートをプレーナゲートに電気的に接続するステップと(ステップN)、を含む。
【0006】
本開示の1または2以上の実施形態の詳細は、添付図面および以下の明細書に記載される。本開示の他の特徴、目的、および利点は、明細書、図面、および請求項から明らかになるはずである。
【0007】
本開示によって本明細書に開示された実施形態および/または実施例をより明確に説明して例示するために、1または2以上の添付図面を参照することができる。添付図面を説明するために使用される追加の詳細内容または実施例は、開示されている用途、現在開示されている実施形態および/または実施例、ならびに現在理解されている本開示の最良の様式のうちのいずれか1つの範囲を限定すると見なすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態における半導体デバイスのゲート構造の製造方法のフローチャートである。
【
図2】一実施形態における半導体デバイスのゲート構造の製造方法を使用して製造プロセスの間に製造されるデバイスの断面図である。
【
図3】一実施形態における半導体デバイスのゲート構造の製造方法を使用して製造プロセスの間に製造されるデバイスの断面図である。
【
図4】一実施形態における半導体デバイスのゲート構造の製造方法を使用して製造プロセスの間に製造されるデバイスの断面図である。
【
図5】一実施形態における半導体デバイスのゲート構造の製造方法を使用して製造プロセスの間に製造されるデバイスの断面図である。
【
図6】一実施形態における半導体デバイスのゲート構造の製造方法を使用して製造プロセスの間に製造されるデバイスの断面図である。
【
図7】一実施形態における半導体デバイスのゲート構造の製造方法を使用して製造プロセスの間に製造されるデバイスの断面図である。
【
図8】一実施形態における半導体デバイスのゲート構造の製造方法を使用して製造プロセスの間に製造されるデバイスの断面図である。
【
図9】一実施形態における半導体デバイスのゲート構造の製造方法を使用して製造プロセスの間に製造されるデバイスの断面図である。
【
図10】一実施形態における半導体デバイスのゲート構造の製造方法を使用して製造プロセスの間に製造されるデバイスの断面図である。
【
図11】一実施形態における半導体デバイスのゲート構造の製造方法を使用して製造プロセスの間に製造されるデバイスの断面図である。
【
図12】一実施形態における半導体デバイスのゲート構造の製造方法を使用して製造プロセスの間に製造されるデバイスの断面図である。
【
図13】一実施形態における可能性のあるプレーナゲートおよびコントロールゲートを可能性のある第1の伝導型のドープ領域に接続する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示を理解するための便宜のために、以下の添付図面を参照することで本開示のより包括的な説明がなされる。本開示の好ましい実施形態は、添付の図面に与えられる。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載の実施形態は限定されない。むしろ、これらの実施形態を提示する目的は、本開示の開示をより完全かつ包括的に行うことである。
【0010】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、本開示の明細書で使用される用語は、本開示を限定するためではなく特定の実施形態を説明する目的で解釈されるべきであり、用語「および/または」は、1または2以上の列挙された要素のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0011】
本明細書に使用される半導体専門用語は、当業者が通常使用する技術用語であり、例えば、P型およびN型不純物については、ドーピング濃度を区別するために、P
+型は、高濃度ドーピングのP型を表し、P型は、中濃度ドーピングのP型を表し、P
-型は、低濃度ドーピングのP型を表し、N
+型は、高濃度ドーピングのN型を表し、N型は、中濃度ドーピングのN型を表し、N
-型は、低濃度ドーピングのN型を表わす。
【0012】
図1は、一実施形態における半導体デバイスのゲート構造の製造方法、および以下のステップを含む方法のフローチャートである。
【0013】
S110において、トレンチは、ウエハー表面上で形成される。
【0014】
本実施形態において、トレンチゲートに適合したトレンチは、シリコンチップであるウエハー表面にエッチングすることができ、従来公知のプロセスを使用することによって、特定の深さのトレンチは、が先行技術によるデバイス設計パラメータに基づいて選択することができる。本実施形態において、シリコン窒化物は、トレンチをエッチングするためのハードマスクとして使用することができる、つまり、最初に、ウエハー表面上のシリコン窒化物層は、トレンチのエッチング前に形成され、次に、トレンチがシリコン窒化物層の露出開口部でエッチングされ、エッチング終了後にシリコン窒化物層がトレンチ上部の周りに形成される。本実施形態において、反応性イオン・エッチング(RIE)プロセスは、トレンチをエッチングするのに使用されるが、別の実施形態では、トレンチをエッチングするための従来公知の他のプロセスを使用することができる。
【0015】
一実施形態において、低濃度ドーピングのエピタキシャル層102は、エピタキシャルプロセスによって、高濃度ドーピングドープの基板上にエピタキシャル成長し、エッチングプロセスによって得られたトレンチがエピタキシャル層102内に位置する。
【0016】
S120において、トレンチを蒸着によってシリコン酸化物で充満させる。
【0017】
蒸着プロセスによるシリコン酸化物(SiOx)層の形成速度は、従来の熱酸化プロセスによるシリコン酸化物層の成長速度より非常に高い。本実施形態において、ステップS120では、シリコン酸化物を蒸着するために高密度プラズマ化学気相蒸着(HDPCVD)を使用し、その適切なモフォロジーを得ることができる。他の実施形態において、従来公知の他の蒸着プロセスは、実際の要求に応じてシリコン酸化物層を蒸着するために使用することができる。
【0018】
蒸着終了後、余分なシリコン酸化物層は、に化学機械研磨(CMP)を使用することで除去することができる、すなわち、トレンチ外側に露出したシリコン酸化物層が除去される。ステップS110において、シリコン窒化物がトレンチをエッチングするためのハードマスクとして使用される実施形態に関して、シリコン酸化物層は、CMPによってシリコン窒化物層を露出させるために研磨される。
【0019】
S130において、トレンチ内シリコン酸化物の一部をエッチングによって除去する。
【0020】
その異方性によるドライエッチングは、シリコン酸化物の適切なモフォロジーを得るために使用することができる。一実施形態において、ステップS130におけるエッチングのために高密度プラズマエッチングプロセスを使用することができる。
【0021】
S140において、酸化によってシリコン酸化物コーナー構造をトレンチのウエブコーナーに形成する。
【0022】
後続ステップで得られた窒素化合物の側壁残留物が本実施形態によって必要とされるモフォロジーを有することができるように、特定のモフォロジーがエッチング後の酸化によって形成される、すなわち、半球体に類似した凹状面がトレンチ内シリコン酸化物によって形成される。トレンチ内部のシリコン酸化物は、
図2に示される滑らかなコーナーを形成するために、コーナーから下方に徐々に厚くなる。
図2において、トレンチはシリコンチップの表面で形成され、トレンチは、シリコン酸化物202で充填され、シリコン窒化物層302がトレンチの上部の周りに形成される。本実施形態において、シリコン酸化物コーナー構造は、800℃〜950℃(摂氏)の低温酸化によって得られる。本発明者は、より高温(例えば、1000℃の犠牲酸化)が使用される場合、高濃度ウエハー基板においてドーパントイオンが低濃度エピタキシャル層102の中に容易に逆拡散してデバイスの性能に悪影響を及ぼすことを見出しており、低温酸化が使用される。
【0023】
S150において、トレンチ内のシリコン酸化物の表面およびシリコン酸化物コーナー構造の表面をカバーするために、シリコン窒化物をウエハー表面上に蒸着させる。
【0024】
本実施形態において、窒素化合物の薄層は、化学気相蒸着によって形成され、これはその後のエッチング用ハードマスクとして機能する。窒素化合物としては、シリコン窒化物、シリコンオキシ窒化物、窒化ホウ素、窒化チタンを挙げることができる。一般性を考慮して、本技術分野で通常使用されるシリコン窒化物を使用することができる。
【0025】
S160において、窒素化合物をドライエッチングして、シリコン酸化物コーナー構造の表面上のトレンチの中に延びる窒素化合物の側壁残留物を形成する。
【0026】
図3を参照すると、トレンチ内のシリコン酸化物202の表面上の窒素化合物は、ドライエッチングの異方性を利用して除去され、一方で、レンチの中に延びる窒素化合物の側壁残留物304は、シリコン酸化物コーナー構造の表面上に形成される。トレンチ内の窒素化合物の側壁残留物304およびシリコン酸化物202の一部は、協働してトレンチの側壁構造としての機能を果たす。
【0027】
S170において、トレンチ内のシリコン酸化物の一部を、マスクとしての機能を果たす窒素化合物の側壁残留物を用いてでエッチングすることによって除去する。
【0028】
図4を参照すると、シリコン酸化物202は、深くエッチングされ、一方で、トレンチの側壁でのシリコン酸化物202は、窒素化合物の側壁残留物304の妨害によって維持することができ、維持されたシリコン酸化物202は、窒素化合物の側壁残留物304の底部から下方に徐々に厚くなる。窒素化合物の側壁残留物304は、エッチング用ハードマスクとして使用されるので、フォトエッチングプレートは不必要になり、結果的にコストが低減する。下方に徐々に厚くなるシリコン酸化物202を得るために、S170において、ドライエッチングを使用することができる。具体的には、本実施形態において高濃度プラズマエッチングを利用することができる。
【0029】
図5を参照すると、ステップS170においてオーバーエッチングが生じた場合、側壁シリコン酸化物202のモフォロジーを保証することができないので、底部シリコン酸化物の所望の厚さが得られるまで前述のステップS150〜ステップS170を繰り返すことが必要となる。すなわち、底部シリコン酸化物の厚さは、本開示において容易に調整することができ、これは、フィードバックキャパシタンスを低減するための空間をさらに増やすことができる。各エッチングに関する特定の深さは、試験データを収集することで得ることができ、エッチングを行い底部シリコン酸化物の所望の厚さが得られた後に、トレンチ内のシリコン酸化物は、底部シリコン酸化物および側壁シリコン酸化物を含み、側壁シリコン酸化物の厚さは、トレンチの上部からトレンチの底部まで徐々に厚くなる。トレンチの深さが少ない場合、ステップS150〜S170を一度実行できることを理解されたい。
【0030】
S210において、トレンチ内の窒素化合物を除去する。
【0031】
窒素化合物を完全に除去するためにウエットエッチングを使用することができ、例えば、エッチング液として高濃度のリン酸でエッチングする。本実施形態において、シリコン窒化物層302および窒素化合物の側壁残留物304の両方が高濃度のリン酸によって除去される。
【0032】
S220において、トレンチをシールドゲートとしてのポリシリコンで充填する。
【0033】
図6に示されるように、トレンチは、シールドゲートに必要な所定の厚さに従ってポリシリコンで充填される。一実施形態において、余剰のポリシリコンをトレンチの中に蒸着することができ、次にCMPを実行し、シールドゲートに必要な厚さを得るためにポリシリコンをエッチングし、結果的にプロセスが簡略化される。
【0034】
S230において、絶縁シリコン酸化物をシールドゲート上に形成する。
【0035】
図7を参照すると、絶縁シリコン酸化物204が形成される。一実施形態において、絶縁シリコン酸化物204は、高温酸化膜(HTO)成長プロセスまたはシリコン酸化物の高濃度プラズマ化学気相蒸着プロセスなどを使用して形成することができる。
【0036】
本実施形態において、シールドゲート404は、単一セグメント構造を有することができるが、別の実施形態において、シールドゲート404は、多重セグメント構造を有することができる(すなわち、シールドゲートは、多層を有し、隣接する2つの層は絶縁シリコン酸化物の1つの層によって互いに分離される)。詳細には、単一セグメント構造または多重セグメント構造は、デバイスの耐電圧によって決まるトレンチ深さによって柔軟に選択することができる。形成されたシールドゲート404は、トレンチの側壁のドリフト領域に沿う段階的なフィールドプレートとして使用され、これは、動作時にチャンネル多重キャリア領域502のキャリア濃度を高めるために(チャンネル多重キャリア領域502についての説明は、以下の実施形態を参照するものとする)、およびオン抵抗を低減するために有用である。一実施形態において、シールドゲート204は、Nセグメント構造を有することが想定され、この場合、ステップS220およびステップS230は、連続してN回行われる。
【0037】
S240において、絶縁シリコン酸化物をコントロールゲートとしてのポリシリコンで充填する。
【0038】
図9を参照すると、ポリシリコンは、コントロールゲート402を形成するために、絶縁シリコン酸化物204上のトレンチの中に連続的に充填される。一実施形態において、ステップS240で充填されたポリシリコンは、現場(in−situ)ポリシリコンである。
【0039】
一実施形態において、コントロールゲート402は、ステップS240の完了後に化学機械研磨によって平坦化することができる。
【0040】
図8を参照すると、本実施形態において、ステップS230とステップS240との間でイオンを埋め込むことによって、トレンチの両側に垂直チャンネル多重キャリア領域502を形成するステップをさらに含む。本実施形態において、半導体デバイスは、N型であり、チャンネル多重キャリア領域502は、N型イオンを埋め込むことで形成されたN型リングである。別の実施形態において、適切な埋め込みエネルギーは、シールドゲート404の深さ(シールドゲートとシリコンチップとの間との距離)によって選択することができ、複数のN型リングおよびP型リングを組み合わせた垂直チャンネル多重キャリア領域は、連続するN型イオンおよびP型イオンを複数回埋め込むことで形成される。動作時、チャンネル多重キャリア領域502のキャリア濃度は、コントロールゲート402および絶縁シリコン酸化物204の厚さの影響を受け、このことは、トレンチ側壁の上部からチャンネル多重キャリア領域502までの側壁チャンネルを形成するのにおよびオン抵抗を低減するのに有用である。
【0041】
S250において、トレンチに隣接するウエル領域は、第2の伝導型のドープイオンを埋め込むことによって形成される。
【0042】
図10を参照すると、本実施形態において、ウエル領域502は、トレンチの片側でチャンネル多重キャリア領域502の上に形成され、イオンは、埋め込まれた後にウエル内でドライブ(drive)できる。
【0043】
S260において、互いに分離される複数のポリシリコン構造をプレーナゲートとしてウエル領域の上に形成する。
【0044】
図11を参照すると、複数のポリシリコン構造406は、シリコンチップの表面上にポリシリコンの1つの層を蒸着した後、フォトエッチングおよびエッチングによって形成される。本実施形態において、ポリシリコン構造406の一部はウエル領域503上に形成され、ポリシリコン構造406の別の部分はトレンチ上に形成される。
【0045】
S270において、コントロールゲートをプレーナゲートに電気接続する。
【0046】
半導体デバイスのゲート構造を製造するための前述の方法に関して、窒素化合物の側壁残留物304がエッチング用ハードマスクとして使用されているので、フォトエッチングプレートは不必要になり、結果的にコストが低減する。トレンチ内のシリコン酸化物は、蒸着プロセスおよびエッチングプロセスによって形成されるので、熱酸化プロセスと比較すると、酸化時間が短くなり生産効率が改善される。
【0047】
一実施形態において、ステップS120の前にトレンチの側壁酸化ステップも含む。側壁の酸化は、ステップS110におけるトレンチエッチングによって引き起こされたトレンチの内面およびトレンチの底面のシリコン表面上の欠陥、例えば、反応イオンによるエッチングに起因する高エネルギー粒子の衝突によって引き起こされた欠陥を修復するために使用することができ、結果的にゲート酸化物上の欠陥の悪影響が取り除かれる。一実施形態において、生成されたシリコン酸化物は、側壁の酸化後に剥がすこともできる。
【0048】
一実施形態において、ステップS260の後、イオンを埋め込むことによって隣接するポリシリコン構造406の下方かつウエル領域503内で互いに分離された複数の第1の伝導型ドープ領域504を形成するステップS262も含む。ステップS262の終了後のデバイスの断面図を
図12に示す。ステップS260でのフォトエッチング用フォトレジストは、イオンの埋め込み時に、依然としてマスクとして維持される。
図13に示すように、ステップS270において、第1の伝導型ドープ領域504をプレーナゲートに接続する必要がある。第1の伝導型ドープ領域504は、プレーナゲートの下方のチャンネル内のキャリア移動度を増加させて、デバイスがオンになった場合の横断チャンネルのオン抵抗を低減することができる。本実施形態において、ステップS262で埋め込まれた第1の伝導型ドープ領域504の一部は、ソースとしての機能を果たし、これはプレーナゲートではなくバルクまたは接地に接続される。
【0049】
また、本開示は、前述の製造方法によって製造することのできる、半導体デバイスのゲート構造を提供する。
図13を参照すると、ゲート構造は、トレンチゲートと、プレーナゲートと、ウエル領域503と、第1の伝導型ドープ領域504と、ソース504aとを含む。
【0050】
具体的には、プレーナゲートは、互いに分離された複数のポリシリコン構造406を含む。第2の伝導型のウエル領域503は、トレンチゲートに隣接してプレーナゲートの下に配置される。第1の伝導型のドープ領域504は、ウエル領域503内に配置され、互いに分離された複数の領域を含む。各領域は、2つの隣接するポリシリコン構造406の下に配置され、それぞれの領域は、プレーナゲートに電気的に接続される。本実施形態において、半導体デバイスは、N型デバイスであり、第1の伝導型はN型、第2の伝導型はP型である。
【0051】
トレンチゲートは、シリコン酸化物充填材202と、コントロールゲート402と、シールドゲート404と、絶縁シリコン酸化物204とを含む。具体的には、シリコン酸化物充填材202は、トレンチゲートのトレンチ側壁に配置された側壁シリコン酸化物およびトレンチゲートの底部に配置されたボトムシリコン酸化物を含み、側壁シリコン酸化物の厚さは、下向きに徐々に厚くなる。ポリシリコン材料のコントロールゲート402は、トレンチゲートを横切って配置され、その側壁は、側壁シリコン酸化物によって囲まれている。コントロールゲート402は、プレーナゲートに電気的に接続される。
図13に示す実施形態において、ポリシリコン材料のシールドゲート404は、単一セグメント構造を有する。別の実施形態において、シールドゲート404は、縦方向に配置された多重セグメント構造を有することもでき、隣接するシールドゲート404は、絶縁シリコン酸化物204によって互いに分離される。シールドゲート404が単一セグメント構造を有するかまたは多重セグメント構造を有するかは、具体的には、トレンチの深さに応じて柔軟に選択することができる。絶縁シリコン酸化物204は、垂直方向の隣接するコントロールゲート402とシールドゲート404との間に充填される。多重セグメント構造を有するシールドゲート404に関して、絶縁シリコン酸化物204は、同様に隣接するシールドゲート404の間に充填される。
【0052】
前述の半導体デバイスのゲート構造は、プレーナゲート構造および垂直トレンチゲートを有しており、トレンチゲートは、垂直方向のコントロールゲートおよびシールドゲートを含む。分割された第1の伝導型ドープ領域504を使用するので、プレーナゲートの下のチャンネル内キャリア移動度を増加させて、デバイスの電源がオンになった場合の横方向チャンネルのオン抵抗を低減することができる。
【0053】
本実施形態において、ゲート構造は、トレンチゲートの両側に配置されたチャンネル多重キャリア領域502を含み、ウエル領域503は、トレンチゲートの片側でチャンネル多重キャリア領域502の上に配置される。一実施形態において、チャンネル多重キャリア領域502は、N型リングである。チャンネル多重キャリア領域502は、シールドゲート404および絶縁シリコン酸化物204を形成した後、N型イオンを埋め込むことによって形成される。別の実施形態において、適切な埋め込みエネルギーは、シールドゲート404の深さ(シールドゲートとシリコンチップとの間の距離)によって選択することができ、複数のN型リングおよびP型リングを組み合わせた垂直チャンネル多重キャリア領域は、連続するN型イオンおよびP型イオンを複数回埋め込むことで形成される。製造時、チャンネル多重キャリア領域502のキャリア濃度は、コントロールゲート402および絶縁シリコン酸化物204の厚さの影響を受け、これは、トレンチ側壁の上部からチャンネル多重キャリア領域502までの側壁チャンネルを形成して、オン抵抗を低減させるのを助ける。
【0054】
シールドゲート404は、トレンチ側壁のドリフト領域に沿って段階的フィールドプレートとして使用され、製造時、チャンネル多重サブ領域502のキャリア濃度を増加させるのを助ける。
【0055】
前述の半導体デバイスのゲート構造は、LDMOSデバイスに特に適するだけでなく、トレンチゲート構造を使用する他の半導体デバイスにも適する。
【0056】
前述の実施構造は、単に本開示の特定の実施形態であり、本開示の保護範囲を限定することを意図していない。当業者が本開示に開示されている技術的範囲内で容易に見出すことができる何らかの変更または置換は、全て本開示の保護範囲に該当するものとすることに留意されたい。従って、本開示の保護範囲は、請求項の保護範囲に従うものとする。
【符号の説明】
【0057】
201 シリコン酸化物充填材
204 絶縁シリコン酸化物)
402 コントロールゲート)
404 シールドゲート
406 ポリシリコン構造
503 ウエル領域
504 第1の伝導型のドープ領域