(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
半透光性素体を製造する工程と、半透光性素体に色消し釉薬を施す工程と、色消し釉薬に第1インクジェット滲入インクを施す工程であって、前記色消し釉薬が、色消し釉薬層にある前記第1インクジェット滲入インクの色を消すことができる工程と、第1インクジェット滲入インクが色消し釉薬を完全に透過した後、色消し釉薬に第2インクジェット非滲透インクを施した後、焼成を行って前記半透光性セラミックシートを得る工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の半透光性セラミックシートの製造方法。
前記半透光性素体の配合比は、重量部で、超白カオリンが0〜9であり、C30土が8〜15であり、石英が15〜35であり、熔融石英が2〜20であり、か焼タルク粉が8〜20であり、カリ長石粉が20〜35であり、ベントナイトが3〜7であり、素体増強剤が1〜4であり、ナノ石英が2〜8である、ことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
前記色消し釉薬の配合比は、重量部で、超白カオリンが0〜9であり、C30土が8〜15であり、石英が15〜35であり、熔融石英が2〜20であり、か焼タルク粉が8〜20であり、カリ長石粉が20〜35であり、ベントナイトが3〜7であり、ナノ酸化亜鉛が0.5〜5である、ことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は、先行技術に存在する半透光性セラミックシート素体の中間層に飾りがない、または飾りパー夕ンのグラデーションが豊かでない、また、プロセスが複雑のような問題である。本発明はインクの光吸収を利用して装飾された半透光性セラミックシートの素体を提供しており、その光線透過性能がよりよく、素材が一致して、素体中間層のグラデーション・細部が豊かになって、プロセスが簡単で、素体中間層の飾りパターンを豊かに変化することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、インクの光吸収を利用して装飾された半透光性セラミックシートを提供しており、それは、半透光性素体、前記半透光性素体の上面から前記半透光性素体の中に滲み込んだ中間インクジェットパターン層、前記半透光性素体の上面に位置する色消し釉薬層、及び前記色消し釉薬層上に位置する表面パターン層を含む。
【0006】
本発明の色消し釉薬層は、中間インクジェットパターン層のインクの色を消すことができる色消し釉薬層であり、本発明の半透光性セラミックシートは、素体上に色消し釉薬層があることによって、中間インクジェットパターン層のインクジェット飾りが表面に表示されないようにし、よって、その表面の飾りパターンは前記表面パターン層のみであり、中間インクジェットパターン層は、全て素体中間層に含まれる。本発明の半透光性セラミックシートは、素材が一致して、熱安定性が優れており、且つ該素体の中間層はグラデーション・細部が豊かで、インクジェットのみで形成可能であり、プロセスが簡単で、また細かいパターン変化を自由に調整することが可能であり、自由度が高く、パターンにおける異なったグレースケールの光線吸収を通じて、明るいと暗いものが交じり合って、グラデーションの豊富な飾り効果を得ることができる。
【0007】
前記中間パターン層の前記半透光性素体中への滲入深さは1〜2mmであってもよい。本発明の中間パターン層は、一定の深さで半透光性素体に滲み込んでいるため、グラデーションがより豊富な飾り効果を得ることができる。
【0008】
前記色消し釉薬層の厚さは0.04〜0.1mmであることが好ましい。
【0009】
その一方、本発明は、前記半透光性セラミックシートの製造方法も提供しており、
半透光性素体を製造する工程と、
半透光性素体に、色消し釉薬を施す工程と、
色消し釉薬に第1インクジェット滲入インクを施す工程であって、前記色消し釉薬が色消し釉薬層にある前記第1インクジェット滲入インクの色を消すことができる工程と、
第1インクジェット滲入インクが色消し釉薬を完全に透過した後、色消し釉薬に第2インクジェット非浸透インクを施し、その後、焼成して前記半透光性セラミックシートを得る工程と、を含む。
【0010】
本発明において、素体上に一層の色消し釉薬を施しているため、該色消し釉薬は、第1インクジェット滲入インクの色を消すことができ、第1インクジェット滲入インクによるインクジェット飾りが表面に表示されないようにすることができ、且つ第2インクジェット非浸透インク(第2インクジェット通常セラミックインク)に対しては色消し作用が無いため、その表面の飾りパターンは第2インクジェット通常セラミックインク(それは、通常セラミックインクであり、浸透性能がなく、非浸透インクである)で形成された飾りパターンのみであり、一方、第1インクジェット滲入インクにより形成された飾りパターンは全て素体の中間層に含まれる。中間層のパターン飾りはインクジェットプロセスを採用しているため、細かいパターン変化を自由に調整することが可能であり、自由度が高く、パターンにおける異なったグレースケールの光線吸収によって、明るいと暗いものが交じり合って、グラデーションが豊富な飾り効果を形成することができる。また、素体の中にベース材料と異なる他の素材を別途に投入する必要がないため、熱安定性が優れる。
【0011】
前記半透光性素体の配合比は、超白カオリンが0〜9であり、C30土(C30土は、粘性の高いカオリンであり、その可塑性指数は≧17である。例えば、佛山市石易金セラミック原料有限会社から購入される。)が8〜15であり、石英が15〜35であり、熔融石英が2〜20であり、か焼タルク粉が8〜20であり、カリ長石粉が20〜35であり、ベントナイトが3〜7であり、W増強剤(W増強剤は、素体の増強剤であり、例えば博耐徳(上海)セラミック釉薬有限会社から購入される。)が1〜4であり、ナノ石英が2〜8であることが好ましい。該配合比によって形成した半透光性素体は、優れた湿潤強度、助発色性能及び光線透過性能を備える。
【0012】
前記色消し釉薬の配合比は、超白カオリンが0〜9であり、C30土が8〜15であり、石英が15〜35であり、熔融石英が2〜20であり、か焼タルク粉が8〜20であり、カリ長石粉が20〜35であり、ベントナイトが3〜7であり、ナノ酸化亜鉛が0.5〜5であることが好ましい。該色消し釉薬には、ナノ酸化亜鉛が含まれ、高温でインク中の金属鉄系酸化物と反応して、その発色性能を失わせることができ、色消しを完全にすることができる。
【0013】
前記ナノ酸化亜鉛の元粒径は800nmより小さく、50nm〜300nmであることが好ましい。本発明によれば、より低いコストで優れた色消し効果を得ることができる。
【0014】
前記第1インクジェット滲入インクは、インクジェット滲入ブラウンインクであることが好ましい。高温で、インクジェット滲入ブラウンインク中の金属鉄系酸化物は活性が強く、ナノ石英に包まれていない場合、色消し釉薬及びナノ酸化亜鉛と容易に反応して、他の物質に還元又は転化されて、発色性能が失われる。
【0015】
半透光性素体の水分は、0.4%以下になるように制御されることが好ましい。
【0016】
焼成温度は1150〜1230℃であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明はインクの光吸収を利用して装飾された半透光性セラミックシートの素体を提供しており、その光線透過性能はよりよく、素材が一致し、素体の中間層のグラデーション・細部が豊かで、プロセスが簡単で、素体の中間層の飾りパターンが様々に自由に変化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面と下記の実施形態を参照しながら本発明をさらに説明し、図面と下記の実施形態はただ本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。特別な説明のない限り、本発明に記述された含有量はすべて質量(重量)百分比を指す。
【0020】
図1には本発明に係るインクの光吸収を利用して装飾された半透光性セラミックシートの断面図が示されている。
図1に示されたように、半透光性セラミックシートは、半透光性素体(素体)と、前記半透光性素体の上面から前記半透光性素体の中に滲み込んだ中間インクジェットパターン層(インクジェット飾り1)と、前記半透光性素体の上面にある色消し釉薬層(色消し釉薬)と、前記色消し釉薬層上にある表面パターン層(インクジェット飾り2)とを備える。本発明における「半透光性」は、光線透過率が10%〜45%の間にあることを指す。以下、本発明の半透光性セラミックシート及びその製造方法を具体的に説明する。
【0021】
半透光性素体
半透光性素体の配合比は、重量部で、超白カオリンが0〜9であり、C30土が8〜15であり、石英が15〜35であり、熔融石英が2〜20であり、か焼タルク粉が8〜20であり、カリ長石粉が20〜35であり、ベントナイトが3〜7であり、W増強剤が1〜4であり、ナノ石英が2〜8である。その全面的化学分析は、以下のようである。IL(強熱減量)が3.8〜4.52、SiO
2が67.68〜80.34、Al
2O
3が10.1〜15.5、Fe
2O
3が0.10〜0.45、TiO
2が0.31〜1.4、CaOが0.1〜0.7、MgOが2.1〜3.8、K
2Oが2.5〜4.2、Na
2Oが0.7〜1.5である。
【0022】
配合比では、原料として主に非可塑性材を用いる場合、プレス成形後の湿潤強度は悪くて、釉薬ラインにおいて潰れやすくなる。そのために、配合比中にC30土を導入し、その可塑性が強く、素体の湿潤強度を速く高めることができる。C30土は、粘性の高いカオリンであり、その可塑性指数は≧17である。C30土の全面的化学分析は、ILが5.62、SiO
2が67.28、Al
2O
3が17.83、Fe
2O
3が0.45、TiO
2が0.01、CaOが0.13、MgOが0.55、K
2Oが1.34、Na
2Oが0.36である。C30土の含有量は8〜15重量部であって、このようにすると、素体の湿潤強度を効果的に高めることができ、後の釉薬ジェットと乾燥の時、素体のひび割れが容易に生じない。
【0023】
インクの発色性能を高めるために、素体の原料に、珪灰石、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛などの通常の原料を入れず、配合原料中のナノ石英はブラウンインク赤化助剤とされる。本発明において、ナノ石英とは、粒径がナノ級である石英であり、例えば、その粒径は1nm〜100nmであってよく、比表面積は150m
2/gより大きい。ナノ石英の含有量は2〜8重量部であって、このようにすると、ブラウンインクの呈色性能を高めることができ、ブラウンインクをより濃く、より赤い色に呈色させることができる。
【0024】
素体の光透過率をさらに高めるために、素体の中に熔融石英を入れて、高温で焼成する時、熔融石英は石英より先に液相になって、液相の熔融石英は石英を包んで熔解させ、石英の熔融を促進するため、光透過率が増加する。その他、熔融石英は低い膨張係数を有し、素体と釉薬の膨張係数が合わないために生じる変形が減少される。熔融石英の含有量は2〜20重量部であって、このようにすると、素体の膨張係数を効果的に低下し、素体の光透過率を高めることができる。
【0025】
W増強剤とは素体の強度増加剤を指し、それは素体の強度を増加することができる。
【0026】
素体の製造及び乾燥
通常の素体製造方法(例えば順に材料の混合、造粒、成型など)によりセラミックシートの生地を製造して乾燥させる。例えば、乾燥温度は150〜165℃であって、乾燥時間は45〜60分間である。乾燥した後の水分は0.4%以下になるようにすることができる。本発明は、半透光性セラミックシートを提供することができ、よって、半透光性素体の厚さは6mm以下にすることが好ましい。
【0027】
色消し釉薬層と中間インクジェットパターン層
半透光性素体に色消し釉薬を施して、色消し釉薬層を形成する。第1インクジェット滲入インクを用いて、既に設計された飾りパターンを色消し釉薬層にプリンティングする。本発明において、色消し釉薬は第1インクジェット滲入インクの色を消す釉薬を指す。色消し釉薬は、第1インクジェット滲入インクの色を消すことができるため、色消し釉薬層に第1インクジェット滲入インクの色が表示されない。また、第1インクジェット滲入インクは色消し釉薬層を透過して素体の中に滲みこむことが可能であり、よって、素体には第1インクジェット滲入インクの色とパターンが表示され、すなわち、中間インクジェットパターン層が形成される。本発明において、中間層のパターン飾りはインクジェットプロセスを用いるため、細かいパターン変化を自由に調整することが可能であり、自由度が高く、パターンにおける異なったグレースケールの光線吸収によって、明るいと暗いものが交じり合って、グラデーションが豊富な飾り効果が形成される。
【0028】
色消し釉薬と第1インクジェット滲入インクの選択については、色消し釉薬が第1インクジェット滲入インクの色を消すものであればよい。その一例において、色消し釉薬の配合比は、重量部で、超白カオリンが0〜9であり、C30土が8〜15であり、石英が15〜35であり、熔融石英が2〜20であり、か焼タルク粉が8〜20であり、カリ長石粉が20〜35であり、ベントナイトが3〜7であり、ナノ酸化亜鉛が0.5〜5である。その全面的化学分析は、ILが3.8〜4.52、SiO
2が60.68〜75.34、Al
2O
3が10.1〜15.5、Fe
2O
3が0.10〜0.45、TiO
2が0.31〜1.4、CaOが0.1〜0.7、MgOが2.1〜3.8、K
2Oが2.5〜4.2、Na
2Oが0.7〜1.5、ZnOが0.5〜5である。第1インクジェット滲入インクとして、インクジェット滲入ブラウンインクが選ばれる。
【0029】
インクジェット滲入ブラウンインクは、ナノ石英に包まれることによってインク中の金属鉄系酸化物が高温で安定的に色を呈することが確保される。本発明において、色消し効果を達成するために、色消し釉薬にナノ石英を添加しない。色消し効果をさらに徹底的に発揮するために、色消し釉薬にナノ酸化亜鉛が添加され、高温でインク中の金属鉄系酸化物と反応して、その発色性能を失わせ、色消しが完全になるようにすることができる。
【0030】
ナノ酸化亜鉛の元粒径は800nmより小さくてもよく、50nm〜300nmであることが好ましい。元粒径は、ナノ材料における凝集体中の一次粒子の粒径を指す。ナノ酸化亜鉛の比表面積は30m
2/gより大きくてもよく、150m
2/gより大きいことが好ましい。ナノ酸化亜鉛の積み孔の孔径は400nmより小さくてもよく、100nmより小さいことが好ましい。
【0031】
上記粒径を備えるナノ酸化亜鉛は、インク中の金属鉄系酸化物との反応活性が高いため、少ない含有量(0.5〜5重量部であり、0.5〜2.5重量部であることが好ましい)で色消し効果を達成することができる。ナノ酸化亜鉛の元粒径が800nmより大きく且つ添加量が2.5%より低い場合、インク中の金属鉄系酸化物との反応活性が低下して、色を完全に消すことが達成できない。添加量が2.5%より高い場合、完全な色消しが達成できるものの、原料のコストが増加する。そのため、元粒径が800nmより小さいナノ酸化亜鉛を選べて用いる。
【0032】
ナノ酸化亜鉛の種類として、主に、気相ナノ酸化亜鉛、沈殿ナノ酸化亜鉛、ナノ酸化亜鉛エアロゲル及びモレキュラーシーブを含むものの、これに限定されず、異なる生産機制とプロセスを用いて得られた全てのナノ酸化亜鉛を含む。
【0033】
色消し釉薬層の製造
乾燥した素体の上に色消し釉薬を吹き付ける。色消し釉薬の細さは、325メッシュ篩残分が0.5〜0.8であることが求められており、比重は1.78〜1.87であってよい。釉薬の吹付量は280〜400g/m
2であってもよく、吹き付けられる釉薬の比重は1.5〜1.55であってもよい。焼成した後の厚さは0.04〜0.1mmになるようにしてもよく、0.07〜0.09mmであることが好ましい。厚さが過小であれば、素体層中のブラウンインクの色を完全に隠すことができない。厚さが過大であれば、釉薬層の水分を乾燥しにくくなり、且つ厚すぎる釉薬層は乾燥時にひび割れが容易に生じる。色消し釉薬層を施した後、再度乾燥してもよく、乾燥温度は80〜120℃であってもよく、乾燥時間は10〜20分間であってもよい。乾燥後の水分は0.8%以下になるように制御される。
【0034】
中間インクジェットパターン層の製造
色消し釉薬を施したセラミックシート素体に対して、既に設計された飾りパターンをデジタルインク噴出機でプリンティングする。インク(第1インクジェット滲入インク)は、インクジェット滲入ブラウンインク及び滲入助剤を用いることができる。インクと滲入助剤の噴出量の関係は、インクグレースケールと滲入助剤グレースケールとの加算値が100%になるようにすることができる。素体の中間層の飾り効果を豊かにするために、インクについて複数個チャンネルによるインクジェット・プリンティングを採用して、インクの量が多くなるようにし、インクは色消し釉薬層を完全に透過し、且つ素体層にまで浸透し、素体層において1〜2mm浸透してもよい。光線を照射する場合、素体の中間層のブラウンインクは光線を吸収して、濃淡・明暗のグラデーションが明らかで、且つ細部が豊富な飾りパターンを形成する。
【0035】
第1インクジェット滲入インクを施した後、素体を3分間又はその以上静置してもよく、例えば3〜5分間静置することで、その浸透深さを確保する。
【0036】
第1インクジェット滲入インクが色消し釉薬を完全に浸透した後、再度デジタルインク噴出機を用いて、色消し釉薬に既に設計られた飾りパターンをジェットプリンティングする。インク(第2インクジェット通常セラミックインク)に対しては特別な限定がなく、例えば、市販されるインク会社で提供する通常のセラミックインクであってもよい。その提供された色は、主に、ブラウン、オレンジ、キイロ、ブルー、クロである。第2回噴出したのは、通常のセラミックインクであり、浸透機能がなく、色消し釉薬の表面のみに色を呈する。
【0037】
第2インクジェット通常セラミックインクを施した後、焼成を行う。焼成温度は1150〜1230℃であってもよい。焼成時間は45〜75分間であってもよい。焼成により製造した半透明セラミックシートの半製品は、縁加工や格付の後、パッケージングして倉庫に入れてもよい。
【0038】
素体上に一層の色消し釉薬が吹付られることで、第1インクジェット滲入インクのインクジェット飾りが表面に表示されず、よって、表面の飾りパターンは、第2インクジェット通常セラミックインクからなるインクジェット飾りパターンのみであり、一方、第1インクジェット滲入インクからなる飾りパターンは全て素体の中間層に含まれる。中間層のパターン飾りは、インクジェットプロセスを用いるため、細かいパターン変化を自由に調整することができ、自由度が高く、パターンにおける異なったグレースケールの光線吸収を通じて、明るいと暗いが交じり合って、グラデーションが豊富な飾り効果を形成する。本発明により得たインクの光吸収を利用して装飾された半透光性セラミックシートの素体は、光透過性能がさらによく、素材が一致して、素体中間層のグラデーション・細部が豊かで、プロセスが簡単で、素体の中間層の飾りパターンは自由に多様に変化することができる。本発明の半透光性セラミックシート素体の仕様は(800〜1600)mm×(1200〜2400)mm×(3〜6)mmであり得る。
【0039】
以下、実施例をさらに挙げて本発明を詳細に説明する。以下の実施例は本発明をさらに説明するためのものであり、本発明の特許範囲を限定するものではなく、また、当業者が本発明の上記内容に基づいてなされたいかなる非本質的でない改良及び調整は、共に本発明の特許範囲に属する。下記の例における具体的なプロセスパラメータなども、適合範囲における一例に過ぎず、すなわち当業者が本発明の説明に基づいて適合範囲内で選択できるものであり、下記の例における具体的な数値に限定されるものではない。
【0040】
測定方法
吸水率
中国GB/T3810.3-2006セラミックタイル試験方法第三部分における吸水率の測定法を用いる。
【0041】
粒径
KW510型湿式全自動レーザ粒度分析機器を用いて、粒子の粒径を測定する。
【0042】
比表面積
3H-2000PS2型ナノ材料の比表面積及び孔径測定機器を用いて測定する。
【0043】
積み孔の孔径
3H-2000PS2型ナノ材料の比表面積及び孔径測定機器を用いて測定する。
【0044】
光透過率
77C-1スマートセラミック素体光透過率検測器を用いて測定する。
【0045】
[実施例1]
1、半透光性セラミックシートの素材の製造
半透光性素体の配合比として、超白カオリンが9であり、C30土(佛山市石易金セラミック原料有限会社から購入した。)が12であり、石英が30であり、熔融石英が15であり、か焼タルク粉が13であり、カリ長石粉が22であり、ベントナイトが4であり、W増強剤(博耐徳(上海)セラミック釉薬有限会社から購入した。)が2であり、ナノ石英が4である。その全面的化学分析では、ILが4.25、SiO
2が74.98、Al
2O
3が13.4、Fe
2O
3が0.15、TiO
2が0.14、CaOが0.46、MgOが3.56、K
2Oが2.29、Na
2Oが0.72である。
【0046】
配合比では、原料として主に非可塑性材を用いる場合、プレス成形した後の湿潤強度は悪くて、釉薬ライン上において潰れやすくなる。よって、配合比中にC30土を導入し、その可塑性は強く、素体の湿潤強度を速く高めることができる。C30土の全面的化学分析では、ILが5.62、SiO
2が67.28、Al
2O
3が17.83、Fe
2O
3が0.45、TiO
2が0.01、CaOが0.13、MgOが0.55、K
2Oが1.34、Na
2Oが0.36である。
【0047】
インクの発色性能を高めるために、素体の原料中に、珪灰石、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛などの通常の原料を入れず、配合原料中のナノ石英はブラウンインク赤化助剤であり、該ナノ石英は上海美高色材有限会社から購入したものであって、番型はNMSIO900であって、その粒径は10〜25nmであった。
【0048】
素体の光透過率をさらに高めるために、素材に熔融石英を加え、高温で焼成する場合、熔融石英は石英より先に液相になり、液相の熔融石英は石英を包んで熔解させ、石英の熔融を促進するため、光透過率が増加する。なお、熔融石英の膨張係数が低く、素体と釉薬の膨張係数が合わないために生じる変形問題が減少される。
【0049】
2、素体の製造及び乾燥
半透光性素体の配合比に沿って、各原料を均一に混合した後、パウダー噴出を行い、セラミックシートの生地になるようにプレス成形し、乾燥し、乾燥温度は155℃であって、乾燥時間は55分間であり、乾燥後の水分は0.4%になるように制御される。製造された素体の厚さは5.6mmである。
【0050】
3、色消し釉薬の製造
配合比として、超白カオリンが9であり、C30土が12であり、石英が30であり、熔融石英が15であり、か焼タルク粉が18であり、カリ長石粉が22であり、ベントナイトが4であり、ナノ酸化亜鉛が2であって、その全面的化学分析では、ILが4.45、SiO
2が73.08、Al
2O
3が13.66、Fe
2O
3が0.13、TiO
2が0.14、CaOが0.63、MgOが4.66、K
2Oが2.34、Na
2Oが0.66である。色消し釉薬の細さは、325メッシュ篩残分が0.5〜0.8であることが要求されており、比重は1.78〜1.87であり、準備しておく。
【0051】
インクジェット滲入ブラウンインクは、ナノ石英に包まれているため、インク中の金属鉄系酸化物が高温で安定的に色を呈することが確保され、色消し効果を達成するために、ここではナノ石英を入れない。色消しがさらに完全になるように、この場合はナノ酸化亜鉛が添加され、高温でインク中の金属鉄系酸化物と反応して、その発色性能をなくさせ、色消しが完全になるようにすることができる。
【0052】
本実施例において、ナノ酸化亜鉛は上海美高色材有限会社から購入したものであり、番型がNMZN003であって、その元粒径が400nmであり、比表面積が165m
2/gであり、積み孔の孔径が75nmである。
【0053】
4、色消し釉薬の吹付
ステップ3により製作した色消し釉薬を、ステップ2で乾燥した素体の上に吹き付けた。釉薬の吹付量は330±3 g/m
2になり、吹き付けられる釉薬の比重は1.52になり、焼成後の厚さは0.08mmになるように制御される。
【0054】
5、再度乾燥
ステップ4により製作したセラミックシートの素体を再度乾燥させ、乾燥温度は95℃であって、乾燥時間は15分間であって、水分は0.65%になるように制御される。
【0055】
6、素体中間層のインクジェット飾り
ステップ5により製作したセラミックシートの素体に、既に設計された飾りパターンをデジタルインク噴出機でプリンティングし、インクは上海美高色材有限会社で提供したインクジェット滲入ブラウンインク(番型はINKMET L253MB1である)、及び滲入助剤(番型はMET FLUID BSである)を用いた。
【0056】
高温で、インクジェット滲入ブラウンインクにおける金属鉄系酸化物は活性が強く、ナノ石英に包まれていない場合、色消し釉薬及びナノ酸化亜鉛と反応しやすく、他の物質に還元又は転化されて発色性能を失う。ブルー又はキイロ又はクロのインクジェット滲入インクの場合は、その安定的な金属酸化物のため、高温で色消し釉薬又はナノ酸化亜鉛と反応せず、色消し釉薬が色消し作用を発揮することもできない。よって、ここで、インクジェット滲入ブラウンインクのみを用いる。
【0057】
素体の中間層の飾り効果を豊かにするために、インクについて、4つのチャンネルのブラウンインクと2つのチャンネルの滲入助剤を用いてプリンティングし、インクの量を増加させ、インクは色消し釉薬層を完全に透過し、且つ素体層にまで浸透し、素体層において1〜2mm浸透することができ、光線を照射する場合、素体中間層のブラウンインクは光線を吸収して、濃淡・明暗のグラデーションが明らかで、且つ細部が豊富な飾りパターンに形成される。インクの噴出量と滲入助剤の噴出量の関係としては、インクグレースケールと滲入助剤グレースケールとの加算値が100%になる。
【0058】
7、ステップ6により製造したセラミックシートのタイル素体を3分間静置して、その浸透深さを確保する。
【0059】
8、インクジェット飾りを再び行う
ステップ7により製造したセラミックタイルの素体に、既に設計された飾りパターンを再びデジタルインク噴出機を用いてプリンティングした。インクは、福禄(蘇州)新型材料有限会社から提供した通常のセラミックインクを用いる。それが提供した色は、主にブラウン(番型はBR-601である)、オレンジ(番型はBE-201である)、キイロ(番型はYE-401である)、ブルー(番型はBL-501である)、ブラック(番型はBK-301である)である。
【0060】
9、焼成
ステップ8により製造したセラミックシートの素体を焼成し、焼成温度は1195℃であって、焼成時間は65分間であり、半透明セラックシートの半製品が製造され、縁加工や格付の後、パッケージングし倉庫に入れることができる。製造された半透明セラックシートの仕様は900mm×1800mm×5.5mmであった。本発明の半透明セラミックシートはセラミックタイルであり、その吸水率は0.1%以下である。
【0061】
ステップ4では素体上に色消し釉薬を吹き付けたことで、ステップ6のインクジェット飾りが表面に表示されず、よって、その表面の飾りパターンはステップ7のインクジェット飾りパターンのみであって、一方ステップ6の飾りパターンは全て素体の中間層に含まれる。中間層のパターン飾りはインクジェットプロセスを用いており、よって、細かいパターン変化を自由に調整することができ、自由度が高く、パターンにおける異なったグレースケールの光線に対する吸収を通じて、明るいと暗いのが交じり合って、グラデーションが豊富な飾り効果を形成することができる。製造された半透明セラミックシートの光透過率は20%であった。
【0062】
[実施例2]
実施例1と大体同様であるが、ナノ酸化亜鉛が広東道氏技術株式会社から提供したものであり、その元粒径が320nmであって、比表面積が204m
2/gであって、積み孔の孔径が65nmである点が異なる。その結果、半透光性セラミックシートが得られ、光透過率は20%であって、その表面の飾りパターンはステップ7におけるインクジェット飾りパターンのみであり、ステップ6における飾りパターンは全て素体の中間層に含まれる。
【0063】
[実施例3
]
実施例1と大体同様であるが、色消し釉薬の配合比として、超白カオリンが9であり、C30土が12であり、石英が25であり、熔融石英が20であり、か焼タルク粉が18であり、カリ長石粉が22であり、ベントナイトが4であり、ナノ酸化亜鉛が2である点が異なる。その結果、半透光性セラミックシートが得られて、光透過率は22%であって、その表面の飾りパターンはステップ7のインクジェット飾りパターンのみであり、ステップ6の飾りパターンは全て素体の中間層に含まれる。
【0064】
[実施例
4]
実施例1と大体同様であるが、素体の配合比として、超白カオリンが9であり、C30土が12であり、石英が25であり、熔融石英が20であり、か焼タルク粉が13であり、カリ長石粉が22であり、ベントナイト4であり、W増強剤が2であり、ナノ石英が4である点が異なる。その結果、半透光性セラミックシートを得て、光透過率が27%であって、その表面の飾りパターンはステップ7のインクジェット飾りパターンのみであり、ステップ6の飾りパターンは全て素体の中間層に含まれる。
【0065】
[実施例
5]
実施例1と大体同様であるが、色消し釉薬層の厚さを0.05mmとする点が異なる。その結果、半透光性セラミックシートを得て、光透過率は21%であって、その表面の飾りパターンはステップ7のインクジェット飾りパターンのみであり、ステップ6の飾りパターンは全て素体の中間層に含まれる。
【0066】
[実施例
6]
実施例1と大体同様であるが、素体層の厚さを4.0mmとする点が異なる。その結果、半透光性セラミックシートを得て、光透過率は28%であって、その表面の飾りパターンはステップ7のインクジェット飾りパターンのみであって、ステップ6の飾りパターンは全て素体の中間層に含まれる。