(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846540
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】熱硬化性樹脂組成物、それにより製造したプリプレグ、金属箔張積層板及び高周波回路基板
(51)【国際特許分類】
C08L 71/02 20060101AFI20210315BHJP
C08K 5/53 20060101ALI20210315BHJP
C08L 61/14 20060101ALI20210315BHJP
C08L 65/00 20060101ALI20210315BHJP
C08K 3/00 20180101ALI20210315BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20210315BHJP
C08G 8/30 20060101ALI20210315BHJP
C08G 61/10 20060101ALI20210315BHJP
C08J 5/24 20060101ALI20210315BHJP
C09J 171/12 20060101ALI20210315BHJP
C09J 4/06 20060101ALI20210315BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20210315BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20210315BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20210315BHJP
B32B 27/04 20060101ALI20210315BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
C08L71/02
C08K5/53
C08L61/14
C08L65/00
C08K3/00
C08L101/00
C08G8/30
C08G61/10
C08J5/24
C09J171/12
C09J4/06
C09J11/04CEZ
B32B15/08 U
B32B27/00 103
B32B27/04 Z
H05K1/03 610H
【請求項の数】17
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2019-557861(P2019-557861)
(86)(22)【出願日】2017年11月2日
(65)【公表番号】特表2020-519707(P2020-519707A)
(43)【公表日】2020年7月2日
(86)【国際出願番号】CN2017109050
(87)【国際公開番号】WO2019019464
(87)【国際公開日】20190131
【審査請求日】2019年10月24日
(31)【優先権主張番号】201710618289.7
(32)【優先日】2017年7月26日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514309583
【氏名又は名称】廣東生益科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENGYI TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【弁理士】
【氏名又は名称】西下 正石
(72)【発明者】
【氏名】蘇 民社
(72)【発明者】
【氏名】楊 中強
【審査官】
小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−336261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 71/02
B32B 15/08
B32B 27/00
B32B 27/04
C08G 8/30
C08G 61/10
C08J 5/24
C08K 3/00
C08K 5/53
C08L 61/14
C08L 65/00
C08L 101/00
C09J 4/06
C09J 11/04
C09J 171/12
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性成分を含み、前記熱硬化性成分は、リン含有モノマー又はリン含有樹脂及び不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂を含み、前記リン含有モノマー又はリン含有樹脂は、式Iで示される構造を有し、
【化1】
ただし、Rは、
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
であり、X及びYは、独立して水素、アリル基、直鎖アルキル基、
及び分岐鎖アルキル基のいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであり、Aは、
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
中のいずれか1種であり、nは、1〜20の整数であ
り、
前記リン含有モノマー又はリン含有樹脂は、不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂及びリン含有モノマー又はリン含有樹脂の合計重量の20〜75%を占める、ことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記リン含有モノマー又はリン含有樹脂はリン含有量が3%を超えるリン含有モノマー又はリン含有樹脂である、ことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記リン含有モノマー又はリン含有樹脂は下記式A〜式Dで示される構造を有する化合物のいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであり、
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
ただし、nは、1〜20の整数である、ことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂は、二重結合又は三重結合を含むポリフェニレンエーテル樹脂である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂は、アリル基末端封止ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリレート末端封止ポリフェニレンエーテル樹脂及びビニル末端封止ポリフェニレンエーテル樹脂のいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである、ことを特徴とする請求項4に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂の数平均分子量は700〜8000である、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記熱硬化性成分が前記熱硬化性樹脂組成物に占める重量百分率は5〜90%である、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
前記熱硬化性樹脂組成物は、粉末フィラーを更に含み、
前記粉末フィラーのメディアン径は1〜15μmであり、
前記粉末フィラーが熱硬化性樹脂組成物に占める重量百分率は0%〜50%である、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
前記熱硬化性樹脂組成物は硬化開始剤を更に含み、
前記硬化開始剤の用量が熱硬化性樹脂組成物に占める質量百分率は0.3〜6%であり、
前記硬化開始剤は過酸化ベンゾイル、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート及び2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
前記熱硬化性樹脂組成物は架橋助剤を更に含み、前記架橋助剤は、分子構造に不飽和二重結合又は不飽和三重結合を有するモノマー又は低分子共重合体である、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
前記架橋助剤は、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジビニルベンゼン、多官能アクリレート及びビスマレイミドのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである、ことを特徴とする請求項10に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項12】
前記熱硬化性樹脂組成物は他の熱硬化性樹脂を更に含み、前記他の熱硬化性樹脂は、不飽和二重結合又は不飽和三重結合を有する樹脂材料である、ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物を溶剤に溶解又は分散させて得られる、ことを特徴とする樹脂接着液。
【請求項14】
補強材料と、浸漬し乾燥させることで補強材料に付着している請求項1〜12のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物とを含む、ことを特徴とするプリプレグ。
【請求項15】
少なくとも請求項14に記載のプリプレグを含む、ことを特徴とする積層板。
【請求項16】
1枚又は少なくとも2枚の重ね合せた請求項14に記載のプリプレグと、重ね合せたプリプレグの一側又は両側に位置する金属箔とを含む、ことを特徴とする金属箔張積層板。
【請求項17】
1枚又は少なくとも2枚の重ね合せた請求項14に記載のプリプレグを含む、ことを特徴とする高周波回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅張板の技術分野に属し、熱硬化性樹脂組成物、それにより製造したプリプレグ、金属箔張積層板及び高周波回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信機器の高性能化、高機能化及びネットワーク化の発展に伴い、大容量情報の伝送及び処理のために、操作信号が高周波化になる傾向があるため、回路基板の材料に対する要求が求められている。
【0003】
プリント回路基板に使用される従来の材料において、接着特性に優れているエポキシ樹脂が広く使用されている。しかしながら、エポキシ樹脂回路基板は、一般に誘電率及び誘電正接が相対的に高く(誘電率は4を超え、誘電正接は約0.02であり)、高周波特性は不十分であり、高周波信号の要求を満たすことができない。そのため、誘電特性に優れている樹脂、即ち、誘電率及び誘電正接が低い樹脂を開発しなければならない。
【0004】
基板材料としての別のタイプの熱可塑性フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)は、誘電率と誘電正接が低いが、フッ素系樹脂は一般に溶融温度と溶融粘度が高く、その流動性能が悪いため、成形の難しさが大きい。そして、多層回路基板を製造する場合、加工性、寸法安定性、金属めっき膜の粘着性が不十分であるなどの問題がある。
【0005】
そこで、フッ素系樹脂の代わりとして、高周波高速用途に適したプリント回路基板用の樹脂材料が検討されている。そのうち、耐熱性ポリマーの中でも誘電特性に優れているポリフェニレンエーテル樹脂の使用が注目されている。しかし、ポリフェニレンエーテルは、同様に溶融温度と溶融粘度が高い熱可塑性樹脂であり、これらの問題により、応用にも多くのチャレンジがあり、例えば、電子部品に必要な低誘電正接を満たすと同時に、すべての電気的性能、難燃性及び機械的性能(例えば、耐熱性、耐薬品性、低吸湿性など)を達成することは困難である。また、製造工程における加工性が悪く、廃棄率が増加し、信頼性が低下する。
【0006】
現代電子情報技術の開発要求を満たす回路基板を得るために、各種の性能、信頼性、製造加工性などで最適な性能を達成するために、当業者によって多くの研究作業が行われたが、効果は望ましくない。
【0007】
また、電子電気機器で使用されるプリント回路基板材料は、高周波高速回路基板材料も例外ではなく、94V−0レベルの難燃グレードを達成する必要がある。現在、高周波高速回路基板は一般に臭素を主としたハロゲン含有材料を難燃剤として使用している。ハロゲン含有材料は難燃効果に優れているが、研究により、ハロゲン含有材料は燃焼時にハロゲン化水素、ダイオキシンなどの刺激性で有毒であるガスを放出しやすく、人間の健康を脅かすことが示されている。一部の電子製品では、ハロゲン含有回路基板材料の使用が禁止されている。近年、人々の環境保護への観念の改善に伴い、電子電気機器で使用される電子材料はハロゲンフリー傾向があり、ハロゲン系難燃剤を置き換えることができる難燃性の要求を満たす他のタイプの難燃剤が求められている。金属水酸化物難燃剤はハロゲン含有難燃剤のような毒性の問題が存在しないが、その難燃効率が低いため、良好な難燃性能を得るために、より多くの量を添加する必要があり、それにより樹脂を混合して成形する時の流動性が悪くなり、複合材料の加工性と機械的性能が低下する。また、金属水酸化物は誘電率が大きいため、難燃剤として使用すると高周波回路基板の誘電特性が低下する。ほとんどのリン含有難燃剤は、低煙及び無毒性の特徴を持ち、良好な難燃性能を持つだけでなく、煙及び有毒ガスの放出を抑制でき、複合添加量が少なく、難燃効果が明らかである応用要求を満たすことができる。
【0008】
CN103709718Aは、ポリフェニレンエーテルを用いて主樹脂として、ポリフェニレンエーテル、アルキル末端封止ジアリルビスフェノールAを用いて硬化剤として、添加型臭素含有又はリン含有難燃剤を用いるハロゲンフリー高周波回路基板用基材の製造方法を開示する。そのうち、添加型リン含有難燃剤を用いて難燃材料として高周波銅張板を製造したが、開示されている複数種のリン含有難燃剤は反応性基を持たず、複合材料樹脂分子間の架橋に関与せず、これらの種類のリン含有難燃剤は熔点が非常に低い(200°C未満)ため、それにより製造した高周波回路基板材料は耐熱性が悪く、後続する回路基板部品の組立工程における高温はんだ付けの信頼性への要求を満たすことができない。
【0009】
CN106543228Aは、下記の構造を有する樹脂を開示している。
【化1】
しかしながら、このような樹脂を銅張板の製造に適用すると、その構造に水酸基極性基を含むため、製造された銅張板は誘電性能への要求を満たすことができない。
【0010】
CN106366128は、下記の構造を有するホスファフェナントレン系化合物を開示している。
【化2】
しかしながら、当該化合物を銅張板の製造に適用すると、その構造に存在するアリルエーテル構造により、加工工程に転位反応が発生し、それにより二次水酸基極性基が生成し、製造された同様に銅張板は誘電性能への要求を満たすことができない。
【0011】
したがって、本分野では、良好な難燃性能を保証するとともに、誘電性能、耐熱性能などの様々な面で良好な効果を取得できる熱硬化性樹脂組成物の開発が望まれている。
【発明の概要】
【0012】
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は極性基(例えば、水酸基)を含まず、分子極性が低く、反応活性が高く、その硬化物の誘電率及び損失が低下し、且つ硬化物が良好な難燃性能、良好な機械的強度及び良好な耐高温性能などを有することが保証可能である。
【0013】
この目的を達成するために、本発明は、以下の技術案を講じた。
一方、本発明は、熱硬化性樹脂組成物を提供しており、前記熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性成分を含み、前記熱硬化性成分は、リン含有モノマー又はリン含有樹脂及び不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂を含み、前記リン含有モノマー又はリン含有樹脂は、式Iで示される構造を有し、
【化3】
式I
ただし、Rは、直鎖又は分岐鎖アルキル基、
【化4】
、
【化5】
、
【化6】
、
【化7】
、
または
【化8】
であり、X及びYは、独立して水素、アリル基、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基のいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであり、Aは、リン含有末端封止基であり、nは、1〜20の整数である。
【0014】
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物において、前記リン含有モノマー又はリン含有樹脂は低極性の特徴を有し、前記低極性とは、極性基を含まず、特に水酸基を含まないことを意味し、それにより、樹脂が相対的低い極性を有し、汎用の熱硬化性樹脂の大きい極性による高周波誘電率及び損失が高い欠点を克服すると同時に、当該構造におけるアリル構造によって架橋硬化を実現し、硬化後の力学的強度を保証し、且つ硬化物が優れた耐熱性能を有すると同時に、当該樹脂に難燃性リン含有構造を含むことにより、優れた固有の難燃効果を有する。
【0015】
本発明において、前記リン含有モノマー又はリン含有樹脂は、不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂とよく配合し、ともに樹脂組成物の耐高温及び耐湿熱性能を向上させることにより、優れた難燃性を有すると同時に、当該樹脂組成物により調製した硬化物が良好な耐熱性及び誘電性能を有することができる。
【0016】
好ましくは、前記RはC1〜C6(例えば、C1、C2、C3、C4、C5又はC6)の直鎖アルキル基又はC3〜C6(例えば、C3、C4、C5又はC6)分岐鎖アルキル基であり、具体的には、−CH
2−、
【化9】
、
【化10】
、
または
【化11】
などであってもよい。
【0017】
好ましくは、Rは−CH
2−、
【化12】
、
【化13】
、
【化14】
、
【化15】
、
または
【化16】
、
または
【化17】
であり、nは、1〜20の整数であり、X及びYは、独立して水素、アリル基、直鎖、分岐鎖アルキル基のいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであり、Aは、リン含有末端封止基である。
【0018】
本発明において、nは1〜20の整数であり、例えば、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20であってもよい。
【0019】
好ましくは、X及びYは独立してC1〜C21(例えば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20又はC21)の直鎖アルキル基又はC3〜C21(例えば、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20又はC21)の分岐鎖アルキル基である。
【0020】
好ましくは、AはDOPO構造を含む基であり、好ましくは
【化18】
、
【化19】
、
【化20】
、
【化21】
、
または
【化22】
のいずれか1種である。
【0021】
好ましくは、前記リン含有モノマー又はリン含有樹脂はリン含有量が3%を超えるリン含有モノマー又はリン含有樹脂であり、より好ましくは、リン含有量が5%を超えるリン含有モノマー又はリン含有樹脂であり、更に好ましくは、リン含有量が8%を超えるリン含有モノマー又はリン含有樹脂である。リン含有量が高いほど、熱硬化性樹脂組成物の良好な難燃性を提供可能である。
【0022】
好ましくは、前記リン含有モノマー又はリン含有樹脂は下記式A〜式Dで示される構造を有する化合物のいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであり、
【化23】
式A
【化24】
式B
【化25】
式C
【化26】
式D
ただし、nは、1〜20の整数である。
【0023】
好ましくは、前記リン含有モノマー又はリン含有樹脂は、以下の製造方法により製造され、前記方法は、以下のステップを含み、
(1)式IIで示されるフェノール系化合物又はフェノール系樹脂とアリル化試薬とを反応させて式IIIで示されるアリルエーテル化樹脂を得て、反応式の例は以下の通りであり、
【化27】
(2)保護性ガスの保護下で、式IIIで示されるアリルエーテル化樹脂を加熱し、分子内転位反応を起こして、式IVで示されるアリル化フェノール系樹脂を得て、
【化28】
(3)式IIIで示されるアリル化フェノール系樹脂とリン含有末端封止試薬とを反応させ、式Iで示されるリン含有モノマー又はリン含有樹脂を得て、
【化29】
ただし、R
1は、直鎖又は分岐鎖アルキル基、
【化30】
、
【化31】
、
【化32】
、
【化33】
、
または
【化34】
であり、であり、R
2は、直鎖または分岐鎖アルキル基、
【化35】
、
【化36】
、
【化37】
、
【化38】
、
または
【化39】
であり、R
3は、直鎖または分岐鎖アルキル基、
【化40】
、
【化41】
、
【化42】
、
【化43】
、
または
【化44】
であり、Rは、直鎖または分岐鎖アルキル基、
【化45】
、
【化46】
、
【化47】
、
【化48】
、
または
【化49】
であり、X及びYは、独立して水素、アリル基、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基のいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであり、Aは、リン含有末端封止基であり、nは、1〜20の整数である。
【0024】
本発明では、ステップ(2)の転位ステップにおいて、R
2は、
【化50】
、
又は
【化51】
である場合、そのうちのアリルエーテル基が転位する場合も含めて、式IVで示されるアリル化フェノール系樹脂の中間単位R
3に転位によるアリル基を含み、更に生成物である式Iで示される低極性樹脂のR単位に転位によるアリル基を含み、本発明では、記述を簡単にするために、当該アリル基をR
3及びRに対応する構造に直接表示せず、Xのみによってベンゼン環上の全ての置換基を代表するが、ここでXは転位によるアリル基を含むことを明らかし、転位反応前にR
2は、
【化52】
または
【化53】
であり、ベンゼン環上に他の置換基Xを有する場合、ステップ(2)の転位反応後に、R
3の構造
【化54】
または
【化55】
において、Xは転位によるアリル基と反応前の他の置換基の組合せを示すことができる。もちろんステップ(2)の転位ステップにおいて、R
2は
【化56】
または
【化57】
である時、R
2単位にアリルエーテル基が転位反応を起こさない場合も含め、この時、反応後のR
3および生成物RにおけるXは、反応前の式IIIで示されるアリルエーテル化樹脂内のR
2におけるX基と同じである。
【0025】
好ましくは、ステップ(1)に記載のフェノール系化合物又はフェノール系樹脂は、フェノール、二価フェノール、多価フェノール又はそれらの誘導体化樹脂であり、好ましくは、フェノール、o−クレゾール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールA、フェノール樹脂、o−クレゾールフェノール樹脂又はシクロペンタジエンフェノール樹脂のいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。
【0026】
好ましくは、前記アリル化試薬は、アリルシラノール、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリル又はアリルアミンのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。
【0027】
好ましくは、前記フェノール系化合物又はフェノール系樹脂におけるフェノール性水酸基とアリル化試薬におけるアリル基とのモル比は、1:(0.3〜1.2)であり、例えば、1:0.3、1:0.4、1:0.5、1:0.6、1:0.7、1:0.8、1:0.9、1:1、1:1.1又は1:1.2である。
【0028】
好ましくは、ステップ(1)に記載の反応はアルカリ物質の存在下で行い、前記アルカリ物質は、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。
【0029】
好ましくは、前記アルカリ物質とステップ(1)に記載のフェノール系化合物又はフェノール系樹脂に含まれるフェノール性水酸基とのモル比は(0.3〜1.4):1であり、例えば、0.3:1、0.4:1、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1又は1.4:1である。
【0030】
好ましくは、ステップ(1)に記載の反応は相間移動触媒の存在下で行う。
【0031】
好ましくは、前記相間移動触媒は第四級アンモニウム塩類相間移動触媒であり、好ましくは、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド又はテトラデシルトリメチルアンモニウムクロリドのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。
【0032】
好ましくは、前記相間移動触媒の添加量はステップ(1)に記載のフェノール系化合物又はフェノール系樹脂の質量の0.1〜5%であり、例えば、0.1%、0.3%、0.5%、0.8%、1%、1.3%、1.5%、1.8%、2%、2.3%、2.5%、2.8%、3%、3.3%、3.5%、3.8%、4%、4.3%、4.5%、4.8%又は5%である。
【0033】
好ましくは、ステップ(1)に記載の反応の溶媒は、アルコール系溶媒、芳香族炭化水素溶媒又はケトン系溶媒のいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであり、好ましくは、エタノール、プロパノール、ブタノール、トルエン又はキシレンのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。
【0034】
好ましくは、前記溶媒の添加量はステップ(1)に記載のフェノール系化合物又はフェノール系樹脂の質量の2〜5倍であり、例えば、2倍、2.3倍、2.5倍、2.8倍、3倍、3.3倍、3.5倍、3.8倍、4倍、4.3倍、4.5倍、4.8倍又は5倍である。
【0035】
好ましくは、ステップ(1)に記載の反応の温度は60〜90℃であり、例えば、60℃、63℃、65℃、68℃、70℃、75℃、78℃、80℃、85℃、88℃又は90℃である。
【0036】
好ましくは、ステップ(1)に記載の反応の時間は4〜6時間であり、例えば、4時間、4.3時間、4.5時間、4.8時間、5時間、5.2時間、5.5時間、5.8時間又は6時間である。
【0037】
好ましくは、ステップ(2)に記載の保護性ガスは窒素ガス又はアルゴンガスである。
【0038】
好ましくは、ステップ(2)に記載の加熱は180〜220℃までに加熱することであり、例えば、180℃、185℃、190℃、195℃、200℃、205℃、210℃、215℃又は220℃である。
【0039】
好ましくは、ステップ(2)に記載の反応の時間は4〜6時間であり、例えば、4時間、4.3時間、4.5時間、4.8時間、5時間、5.2時間、5.5時間、5.8時間又は6時間である。
【0040】
好ましくは、ステップ(3)に記載のリン含有末端封止試薬は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、2−(6H−ジベンゾ(c,e)(1,2)−5−オキサ−6−ホスホノヘテロ−6−フェニル−1,4−ヒドロキノン、2−(6H−ジベンゾ(c,e)(1,2)−5−オキサ−6−ホスホノヘテロ−6−フェニル−4−フェノール、2−(6H−ジベンゾ(c,e)(1,2)−5−オキサ−6−ホスホノヘテロ−6−フェニル−3−フェノール、2−(6H−ジベンゾ(c,e)(1,2)−5−オキサ−6−ホスホノヘテロ−6−フェニル−4−ベンジルアルコール、または2−(6H−ジベンゾ(c,e)(1,2)−5−オキサ−6−ホスホノヘテロ−6−フェニル−3−ベンジルアルコールのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。
【0041】
好ましくは、ステップ(3)に記載の式IIIで示されるアリル化フェノール系樹脂におけるフェノール性水酸基とリン含有末端封止試薬におけるリン含有末端封止基とのモル比は1:(1〜1.2)であり、例えば、1:1、1:1.05、1:1.1、1:1.15又は1:1.2である。反応により得られた樹脂の分子構造におけるフェノール性水酸基がすべてリン含有末端封止基により末端を封止し、それにより樹脂に極性水酸基を有しない。
【0042】
好ましくは、ステップ(3)に記載の反応はアルカリ物質の存在下で行う。
【0043】
好ましくは、前記アルカリ物質は、無機アルカリ又は有機アルカリであり、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン又はピリジンのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。
【0044】
好ましくは、前記アルカリ物質と式IIIで示されるアリル化フェノール系樹脂におけるフェノール性水酸基とのモル比は(1〜1.4):1であり、例えば、1:1、1.05:1、1.1:1、1.15:1、1.2:1、1.25:1、1.3:1、1.35:1又は1.4:1である。
【0045】
好ましくは、ステップ(3)に記載の反応は四塩化炭素の存在下で行う。
【0046】
好ましくは、前記四塩化炭素とステップ(3)に記載の式IIIで示されるアリル化フェノール系樹脂におけるフェノール性水酸基とのモル比は(1〜2):1であり、例えば、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1又は2:1である。
【0047】
好ましくは、ステップ(3)に記載の反応の溶媒はハロゲン化炭化水素系溶媒であり、好ましくは、モノクロロメタン、ジクロロメタン、クロロホルム、またはジクロロエタンのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。
【0048】
好ましくは、前記溶媒の添加量はステップ(3)に記載のアリル化フェノール系樹脂の質量の2〜5倍であり、例えば、2倍、2.3倍、2.5倍、2.8倍、3倍、3.3倍、3.5倍、3.8倍、4倍、4.3倍、4.5倍、4.8倍又は5倍である。
【0049】
好ましくは、ステップ(3)に記載の反応の温度は0〜30℃であり、例えば、0℃、3℃、5℃、8℃、10℃、15℃、18℃、20℃、25℃、28℃又は30℃であり、好ましくは10℃である。
【0050】
好ましくは、ステップ(3)に記載の反応の時間は4〜6時間であり、例えば、4時間、4.3時間、4.5時間、4.8時間、5時間、5.2時間、5.5時間、5.8時間又は6時間である。
【0051】
本発明に係る方法により製造した樹脂には極性水酸基を含まず、且つ分子構造が安定し、分子極性が低く、反応活性が高い特徴を有し、その応用の加工工程にも極性水酸基が生じることがなく、生成された二次水酸基のその生成物への影響を回避し、且つリン含有末端封止基により末端を封止し、樹脂組成物に固有の難燃性能を付与する。
【0052】
本発明において、前記リン含有モノマー又はリン含有樹脂における不純物又は副生成物の含有量が少ないため、熱硬化性樹脂組成物に良好な誘電性能及び耐熱性を提供できる。前記リン含有モノマー又はリン含有樹脂の誘電正接は、0.0025(1GHz)以下であることが好ましい。
【0053】
好ましくは、前記不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂は、二重結合又は三重結合を含むポリフェニレンエーテル樹脂であり、好ましくは、アリル基末端封止ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリレート末端封止ポリフェニレンエーテル樹脂又はビニル末端封止ポリフェニレンエーテル樹脂のいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであり、更に好ましくは、アクリレート末端封止ポリフェニレンエーテル樹脂であり、より更に好ましくは、SA9000樹脂、OPE−ST−1200樹脂又はOPE−ST−2200樹脂である。
【0054】
本発明において、前記不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂は下記式(1)又は式(2)で示される構造を有し、
【化58】
式(1)
【化59】
式(2)
好ましくは、前記不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂の数平均分子量は700〜8000であり、例えば、700、900、1200、1500、2000、3000、4000、5000、6000、7000又は8000であり、より好ましくは900〜5000であり、更に好ましくは1000〜3500である。本発明において、前記不飽和基(例えば、二重結合、三重結合)含有ポリフェニレンエーテル樹脂は、良好な反応性を有し、適当な分子量を制御することにより良好な溶解性及び低い溶融粘度を提供でき、後続する浸漬プロセスの操作及び積層流動が容易であり、更に多層回路基板の加工工程に接着剤充填能力を提供できる。
【0055】
本発明において、前記リン含有モノマー又はリン含有樹脂は上記不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂の架橋剤として、上記不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂を架橋硬化させることに使用してもよい。
【0056】
好ましくは、前記熱硬化性成分が前記熱硬化性樹脂組成物に占める重量百分率は5〜90%であり、例えば、5%、8%、10%、15%、18%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%である。
【0057】
好ましくは、前記リン含有モノマー又はリン含有樹脂は、不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂及びリン含有モノマー又はリン含有樹脂の合計重量の20〜75%を占め、例えば、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%又は75%を占める。
【0058】
好ましくは、前記熱硬化性樹脂組成物は粉末フィラーを更に含み、重量含有量として、前記粉末フィラーが熱硬化性樹脂組成物に占める含有量が0%〜50%であり、例えば、0%、1%、5%、10%、20%、30%、40%又は50%である。
【0059】
好ましくは、前記粉末フィラーは、結晶シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、二酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムバリウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、マグネシア、酸化ジルコニウム、酸化ベリリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カオリン、タルク、ハイドロタルサイト、ケイ酸カルシウム、剥離粉、溶融シリコーン微粉末、清浄シリコーン微粉末、球状シリコーン微粉末、ホウ酸亜鉛、ムライト、ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、中空ガラスバルーン、チタン酸カリウム繊維、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ポリフェニレンサルファイド粉末、スチレン粉末、ガラス繊維、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド又はポリエーテルスルホンのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せを含む。上記フィラーは単独で使用しても、混合して使用してもよく、そのうち、最適なフィラーはシリカであり、使用可能なシリカフィラーは、例えば、CE44I(CE minerals社)、FB−35(Denka社)、525(Sibelco社)である。
【0060】
好ましくは、前記粉末フィラーのメディアン径は1〜15μmであり、例えば、1μm、3μm、5μm、7μm、9μm、10μm、12μm又は15μmであり、好ましくは、粉末フィラーのメディアン径は1〜10μmであり、当該粒径区間にあるフィラーは樹脂液に良好な分散性を有する。
【0061】
好ましくは、前記熱硬化性樹脂組成物は硬化開始剤を更に含む。
【0062】
硬化開始剤は、ラジカルを生成可能な材料から選択される。硬化開始剤は、硬化架橋反応を加速する作用を奏し、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物を加熱すると、硬化開始剤が分解してラジカルが発生し、それにより熱硬化性樹脂とリン含有架橋剤の分子鎖が架橋する。
【0063】
好ましくは、前記硬化開始剤の用量が熱硬化性樹脂組成物に占める質量百分率は0.3〜6%であり、例えば、0.3%、0.5%、0.8%、1%、2%、3%、4%、5%又は6%である。
【0064】
好ましくは、前記硬化開始剤は過酸化ベンゾイル、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート又は2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。上記材料が列挙されているが、上記に列挙された材料に限定されず、ラジカルを生成可能な材料であれば、硬化開始剤として使用可能である。
【0065】
好ましくは、前記熱硬化性樹脂組成物は架橋助剤を更に含み、前記架橋助剤は、分子構造に不飽和二重結合又は不飽和三重結合を有するモノマー又は低分子共重合体である。本発明において、一定量の架橋助剤を添加することで架橋密度を向上させることができる。
【0066】
好ましくは、前記架橋助剤は、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジビニルベンゼン、多官能アクリレート又はビスマレイミドのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。
【0067】
好ましくは、前記熱硬化性樹脂組成物は他の熱硬化性樹脂を更に含み、前記他の熱硬化性樹脂は、好ましくは不飽和二重結合又は不飽和三重結合を有する樹脂材料であり、更に好ましくはシアネート樹脂、ポリブタジエン樹脂、ビスマレイミド樹脂又はビニル末端封止シリコーン樹脂のいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであるが、上記に列挙された樹脂に限定されない。
【0068】
他方、本発明は、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物を溶媒に溶解又は分散させて得られる樹脂接着液を提供する。
【0069】
好ましくは、前記溶媒はケトン系、炭化水素系、エーテル系、エステル系又は非プロトン性溶媒のうちの1種又は2種の組合せであり、好ましくは、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、第一級アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、N、N−ジメチルホルムアミド又はN、N−ジエチルホルムアミドのうちの1種又は少なくとも2種の混合物である。前記溶媒は単独で使用しても、混合して使用しでもよい。溶媒の添加量は、得られた樹脂接着液の粘度が適度であり、硬化が容易であるように、選択される樹脂の粘度に応じて当業者により決定できるが、本発明では限定されない。
【0070】
他方、本発明は、補強材料と浸漬し乾燥させることで補強材料に付着している上記のような熱硬化性樹脂組成物とを含むプリプレグを提供する。
【0071】
本発明において、前記補強材料は編組繊維布であり、好ましくは編組ガラス繊維布である。E−glassガラス繊維布、NE−glassガラス繊維布、Q−glassガラス繊維布などが挙げられ、型番は7628型、2116型、1080型、106型、104型を含み、市販されているガラス繊維布の仕様及び型番は、いずれも本発明に係る樹脂組成物の製造に用いてもよく、上記に列挙されたガラス繊維布の型番に限定されない。編組繊維布は有機繊維により編組された布を更に含み、PTFE繊維布、アラミド繊維編組布などが挙げられる。
【0072】
他方、本発明は、少なくとも上記のようなプリプレグを含む積層板を提供する。
【0073】
他方、本発明は、1枚又は少なくとも2枚の重ね合せた上記のようなプリプレグと、重ね合せたプリプレグの一側又は両側に位置する金属箔とを含む金属箔張積層板を提供する。
【0074】
他方、本発明は、1枚又は少なくとも2枚の重ね合せた上記のようなプリプレグを含む高周波回路基板を提供する。
【0075】
本発明において、前記金属箔張積層板は、例示的に以下の方法により製造できる。複数枚の上記プリプレグを重ね合わせて、上下に1枚の銅箔をそれぞれ積層し、ラミネータに入れて硬化させて前記金属箔張積層板を製造し、本ステップの硬化温度は150℃〜300℃(例えば、150℃、160℃、180℃、200℃、230℃、250℃、280℃又は300℃)であり、硬化圧力は25〜70kg/cm
2(例えば、25kg/cm
2、30kg/cm
2、35kg/cm
2、40kg/cm
2、50kg/cm
2、60kg/cm
2又は70kg/cm
2)である。
【0076】
本発明は、従来の技術と比較して、以下の有利な効果を有する。
(1)本発明に係る樹脂に極性水酸基を含まず、且つ分子構造が安定し、分子極性が低く、反応活性が高い特徴を有し、その応用の加工工程にも極性水酸基が生じることがなく、生成された二次水酸基のその生成物への影響を回避するため、当該樹脂は誘電性能を向上すると同時に架橋反応可能な基も有し、これにより硬化後の耐高温性能が著しい変化せず、リン含有末端封止基を導入することにより、樹脂は固有の難燃性能を有し、そして前記リン含有モノマー又はリン含有樹脂は、良好な溶解性能、相対的低い溶融粘度を有し、熱硬化性樹脂組成物に良好なプロセス加工性能を付与する。
【0077】
(2)誘電性能に優れているリン含有モノマー又はリン含有樹脂を用いて熱硬化性樹脂組成物の成分として、熱硬化性樹脂組成物に良好な誘電性能を付与可能であり、前記リン含有モノマー又はリン含有樹脂は、不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂の架橋剤として、上記不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂を架橋硬化させることに使用可能であり、樹脂における大量の不飽和二重結合を架橋反応させることにより、回路基板に必要な高周波誘電性能及び耐高温性能を提供する。
【0078】
(3)本発明に係る熱硬化性樹脂組成物を用いてプリプレグを製造することが容易であり、それを用いて製造した積層板又は金属箔張積層板の誘電率及び誘電正接が低く、プロセス操作が容易であるため、本発明の複合材料は高周波電子機器用回路基板に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
具体的実施形態によって、本発明の技術案を更に説明する。当業者は、下記実施例が本発明を理解するためのものに過ぎず、本発明を具体に制限するものと見なすべきではないということを理解すべきである。
【0080】
本発明の実施例で選択される樹脂組成物における組成物の供給源は表1に示す。
【表1】
【0081】
調製例1
三口フラスコに188gのアセトンを添加し、228gのビスフェノールAをフラスコに添加し、撹拌して溶解させた後に、106gの炭酸ナトリウムを添加した。153gの塩化アリル溶液をゆっくりと滴下してから、昇温して4時間反応させて反応を停止させた。ろ過して大部分の溶媒を除去し、洗淨して残留した溶媒及び水を除去し、ビスフェノールAジアリルエーテルを得た。
【0082】
調製された134gのビスフェノールAジアリルエーテルをフラスコに入れて、加熱して6時間転位反応させ、降温して褐色粘稠な液体、即ち、ジアリルビスフェノールAを得た。
【0083】
三口フラスコに不活性ガスを導入し、不活性ガスの保護下で300gのジクロロメタンを添加し、調製された134gのジアリルビスフェノールAをフラスコに入れて、撹拌して溶解させた後に、40gの水酸化ナトリウムを添加し、152gの四塩化炭素を添加した。230gの2−(6H−ジベンゾ(c,e)(1,2)−5−オキサ−6−ホスホノヘテロ−6−フェニル−4−フェノールをゆっくりと滴下し、4時間反応させて反応を停止し、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中性になるまで洗淨し、さらに複数回洗淨し、残留した溶媒及び水を除去し、リン含有エステル化ジアリルビスフェノールAを得て、その構造は以下の通りである。
【化60】
【0084】
調製例2
三口フラスコに300gのn−ブタノールを添加し、114gのノボラック樹脂をフラスコに添加し、撹拌して溶解させた後に、56gの水酸化カリウムを添加した。153gの臭化プロペニル溶液をゆっくりと滴下してから、昇温して4時間反応させて反応を停止させた。ろ過して洗淨し、残留した溶媒及び水を除去し、アリルエーテル化フェノール樹脂を得た。
【0085】
調製された141gのアリルエーテル化フェノール樹脂をフラスコに入れて、加熱して4時間転位反応させ、降温して褐色粘稠な液体、即ち、アリルフェノール樹脂を得た。
【0086】
三口フラスコに不活性ガスを導入し、不活性ガスの保護下で350gのジクロロメタンを添加し、調製された141gのジアリルビスフェノールAをフラスコに入れて、撹拌して溶解させた後に、72gのトリエチルアミンを添加し、152gの四塩化炭素を添加した。温度が30℃以下に降温した後、230gの2−(6H−ジベンゾ(c,e)(1,2)−5−オキサ−6−ホスホノヘテロ−6−フェニル−4−フェノールをゆっくりと滴下し、4時間反応させて反応を停止し、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中性になるまで洗淨し、さらに複数回洗淨し、残留した溶媒及び水を除去し、リン含有エステル化アリルフェノール樹脂を得て、そのM
nは1300であり、その構造は以下の通りである。
【化61】
【0087】
調製例3
三口フラスコに250gのトルエンを添加し、118gのo−クレゾールフェノール樹脂をフラスコに添加し、撹拌して溶解させた後に、100gの水酸化ナトリウム水溶液(濃度40%)を添加し、さらに1gのテトラブチルアンモニウムブロマイドを添加した。温度が一定になった後、153gの塩化アリル溶液をゆっくりと滴下してから、昇温して4時間反応させて反応を停止し、洗淨して溶媒を除去し、アリルエーテル化オルソクレゾールフェノール樹脂を得た。
【0088】
調製された159gのアリルエーテル化オルソクレゾールフェノール樹脂をフラスコに入れて、加熱して4時間転位反応させ、降温して暗褐色半固体のアリルオルソクレゾールフェノール樹脂を得た。
【0089】
三口フラスコに不活性ガスを導入し、不活性ガスの保護下で350gのジクロロメタンを添加し、調製された159gのジアリルビスフェノールAをフラスコに入れて、撹拌して溶解させた後に、103gのピリジンを添加し、152gの四塩化炭素を添加した。230gの2−(6H−ジベンゾ(c,e)(1,2)−5−オキサ−6−ホスホノヘテロ−6−フェニル−3−フェノールをゆっくりと滴下し、4時間反応させて反応を停止し、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中性になるまで洗淨し、さらに複数回洗淨し、残留した溶媒及び水を除去し、リン含有エステル化アリルオルソクレゾールフェノール樹脂を得て、そのM
nは1200であり、その構造は以下の通りである。
【化62】
【0090】
実施例1
80重量部のSA9000、20重量部の調製例1で製造されたリン含有エステル化ジアリルビスフェノールA、85重量部のシリカ(525)、6.5重量部の開始剤DCPを混合し、トルエン溶媒を用いて適当な粘度に調整し、フィラーを樹脂に均一に分散するように攪拌して均一に混合し、接着液を製造した。1080ガラス繊維布を上記接着液で浸漬させてから、乾燥させて溶媒を除去した後に、プリプレグを製造した。8枚の製造したプリプレグを重ね合わせて、その両側に厚み1oz(オンス)の銅箔を積層し、ラミネータで2時間硬化させ、硬化圧力は50kg/cm
2であり、硬化温度は190℃であり、物性データを表2に示す。
【0091】
実施例2
製造プロセスは実施例1と同様であり、熱硬化性樹脂組成物の配合割合を表2に示すように変更し、銅張板を製造し、その性能データを表2に示す。
【0092】
実施例3〜4
製造プロセスは実施例1と同様であり、架橋助剤のビスマレイミドを添加し、その樹脂組成物の成分配合割合及び製造した銅張板の性能データを表2に示す。
【0093】
実施例5
80重量部のOPE−ST−1200、20重量部の調製例2で製造されたリン含有エステル化アリルフェノール樹脂、85重量部のシリカ(525)、6.5重量部の開始剤DCPを混合し、トルエン溶媒を用いて適当な粘度に調整し、フィラーを樹脂に均一に分散するように攪拌して均一に混合し、接着液を製造した。1080ガラス繊維布を上記接着液で浸漬させてから、乾燥させて溶媒を除去した後に、プリプレグを製造した。8枚の製造したプリプレグを重ね合わせて、その両側に厚み1oz(オンス)の銅箔を積層し、ラミネータで2時間硬化させ、硬化圧力は50kg/cm
2であり、硬化温度は190℃であり、物性データを表2に示す。
【0094】
実施例6
製造プロセスは実施例1と同様であり、ただ少量のリン含有エステル化ジアリルビスフェノールAを添加し、材料配合割合及び製造した銅張板の性能データを表2に示す。
【0095】
比較例1〜2
製造プロセスは実施例1と同様であり、リン含有エステル化ジアリルビスフェノールAを除去するか、又はリン含有エステル化アリルフェノール樹脂の代わりとしてアリルフェノール樹脂及びDOPO難燃剤を用いて、材料配合割合及び製造した銅張板の性能データを表2に示す。
【0097】
物性分析について
表2の物性データ結果から、実施例1〜6で製造された銅張板は、比較例1及び比較例2で製造された銅張板と比較して、より良好な耐熱性能、耐ディップはんだ付け性及び難燃性能を有することが分かった。
【0098】
表2の物性データ結果から、本発明の配合割合範囲内でビスマレイミドを添加すると、より良好な耐熱性を取得可能であることが分かった。
【0099】
上記実施例によって本発明に係る熱硬化性樹脂組成物、それにより製造したプリプレグ、金属箔張積層板及び高周波回路基板を説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、即ち、本発明は上記の実施例に依存しなければならないことを意味しない。当業者にとって、本発明に対する任意の改善、本発明で選択される原料の等価置換及び補助成分の添加、具体的な手段の選択などは、すべて本発明の保護範囲及び開示範囲内に入ることを理解すべきである。