特許第6846567号(P6846567)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846567
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】スキャナ向けの角度方向磁場センサ
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20210315BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20210315BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20210315BHJP
   B23K 26/082 20140101ALN20210315BHJP
【FI】
   G02B26/10 101
   G01B7/30 M
   G02B26/08 E
   !B23K26/082
【請求項の数】16
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2020-500960(P2020-500960)
(86)(22)【出願日】2018年3月26日
(65)【公表番号】特表2020-515917(P2020-515917A)
(43)【公表日】2020年5月28日
(86)【国際出願番号】DE2018100275
(87)【国際公開番号】WO2018171846
(87)【国際公開日】20180927
【審査請求日】2019年11月22日
(31)【優先権主張番号】102017002862.1
(32)【優先日】2017年3月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519344545
【氏名又は名称】ブリックフェルト ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】プチ, フロリアン
【審査官】 廣田 かおり
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0225821(US,A1)
【文献】 特開2008−268879(JP,A)
【文献】 特開2016−004039(JP,A)
【文献】 特開2015−014757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10
G01B 7/30
G02B 26/08
B23K 26/082
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部(141)と偏向部(150)との間に延在する弾性支持要素(101、101−1、101−2、102、102−1、102−2)を有し、前記弾性支持要素(101、101−1、101−2、102、102−1、102−2)の捻れ(502)によって異なる角度(901、902)で、前記偏向部(150)において光(180)を偏向するように設定された、スキャン部(99、99−1、99−2)と、
漂遊磁場を発生させるように設定された、磁石(660)と、
前記漂遊磁場中に配置され、前記捻れ(502)を示す信号を出力するように設定された、角度方向磁場センサ(662)と
前記弾性支持要素(101、101−1、101−2、102、102−1、102−2)と一体的に形成され、前記偏向部(150)を固定するように設定された、インターフェース要素(142、142−1、142−2)と、を備え、
前記磁石(660)の磁気モーメントが、前記捻れ(502)の捻れ軸(220)に垂直に配向された成分を有
前記磁石(660)が、前記インターフェース要素(142)上に配置されるか中に埋め込まれる、スキャナ(90)。
【請求項2】
前記スキャン部(99、99−1、99−2)が、二対の弾性支持要素(101、101−1、101−2、102、102−1、102−2)を備え、各対の弾性支持要素(101、101−1、101−2、102、102−1、102−2)が対応するインターフェース要素(142、14−1、14−2)に割り当てられ、
前記二対の弾性支持要素に割り当てられた前記インターフェース要素(142、14−1、14−2)が、前記磁石(660)を介して互いに連結される、請求項に記載のスキャナ(90)。
【請求項3】
前記偏向部(150)が、前記光(180)を反射するように設定されたミラー表面(151)と、前記ミラー表面(151)の反対側の後面(152、142)とを有する、ミラーを備え、
前記後面(152、142)が、前記ミラー表面(151)と前記磁石(660)および前記角度方向磁場センサ(662)の少なくとも一方との間に配置される、請求項1または2に記載のスキャナ(90)。
【請求項4】
前記弾性支持要素が、ロッドとして形成され、前記ミラー表面(151)から離れる方向に面する側から前記基部(141)まで延在し、
前記ロッドの長さが、オプションで前記ミラーの直径の20%以上、更にオプションでは300%以上である、請求項に記載のスキャナ(90)。
【請求項5】
前記磁石(660)の磁気モーメントが、前記捻れ(502)の前記捻れ軸(220)に対して対称的に配置される、請求項1からのいずれか一項に記載のスキャナ(90)。
【請求項6】
前記角度方向磁場センサ(662)が面内感度を有する、請求項1からのいずれか一項に記載のスキャナ(90)。
【請求項7】
前記角度方向磁場センサ(662)が、前記捻れ(502)の前記捻れ軸(220)に対して偏心して配置される、請求項1からのいずれか一項に記載のスキャナ(90)。
【請求項8】
前記磁石(660)が前記偏向部(150)にしっかりと連結され、前記角度方向磁場センサ(662)が前記基部(141)にしっかりと連結される、請求項1からのいずれか一項に記載のスキャナ(90)。
【請求項9】
基部(141)と更なる偏向部(150)との間に延在する更なる弾性支持要素(101、101−1、101−2、102、102−1、102−2)を有し、前記更なる弾性支持要素の更なる捻れ(502)によって異なる角度(901、902)で、前記偏向部(150)において光(180)を偏向するように設定された、更なるスキャン部(99、99−1、99−2)と、
漂遊磁場を発生させるように設定された、更なる磁石(660)と、
なる漂遊磁場中に配置され、前記更なる捻れ(502)を示す更なる信号を出力するように設定された、更なる角度方向磁場センサ(662)と、を更に備える、請求項1からのいずれか一項に記載のスキャナ(90)。
【請求項10】
前記磁石(660)の磁気モーメント(661)が、前記捻れ(502)の捻れ軸(220)と90°±10°の角度を形成し、前記捻れ(502)の間、第1の面内で回転し、
前記更なる磁石(660)の磁気モーメント(661)が、前記更なる捻れ(502)の前記捻れ軸(220)と90°±10°の角度を形成し、前記更なる捻れ(502)の間、第2の面内で回転し、
前記第1の面および前記第2の面が、互いに90°±10°の角度を形成する、請求項に記載のスキャナ(90)。
【請求項11】
基部(141)と更なる偏向部(150)との間に延在する更なる弾性支持要素(101、101−1、101−2、102、102−1、102−2)を有し、前記更なる弾性支持要素の更なる捻れ(502)によって異なる角度(901、902)で、前記偏向部(150)において光(180)を偏向するように設定された、更なるスキャン部(99、99−1、99−2)と、
前記漂遊磁場中に配置され、前記更なる捻れ(502)を示す更なる信号を出力するように設定された、更なる角度方向磁場センサ(662)とを更に備え、
オプションで、前記磁石(660)が前記基部(141)にしっかりと連結され、前記角度方向磁場センサ(662)が前記偏向部(150)にしっかりと連結され、前記更なる角度方向磁場センサ(662)が前記更なる偏向部(150)にしっかりと連結される、請求項1からのいずれか一項に記載のスキャナ(90)。
【請求項12】
前記角度方向磁場センサ(662)が、前記漂遊磁場の配向を示す信号を出力するように設定される、請求項1から11のいずれか一項に記載のスキャナ(90)。
【請求項13】
前記角度方向磁場センサ(662)の高感度表面(662Z)の中心(662)が、前記捻れ軸(220)に沿って距離662だけ、前記磁石(660)に対してオフセットして配置される、請求項1から12のいずれか一項に記載のスキャナ。
【請求項14】
前記角度方向磁場センサ(662)の高感度表面(662Z)の中心(662C)が、前記基部(142)に面する前記磁石(600)の縁部(660C)上で位置合わせされる、請求項1から13のいずれか一項に記載のスキャナ。
【請求項15】
制御変数としての移動の実際の振幅を含む閉ループ制御を実現するように設定され、前記移動の前記実際の振幅が、前記角度方向磁場センサ(662)の前記信号に基づいて決定される、コントローラを更に備える、請求項1から14のいずれか一項に記載のスキャナ。
【請求項16】
更なる角度方向磁場センサを更に備え、
前記角度方向磁場センサ(662)および前記更なる角度方向磁場センサが、前記捻れ(502)に関して対応する信号を出力し、かつ前記弾性支持要素の横断方向偏向に関して補完的信号を出力するように配置される、請求項1から15のいずれか一項に記載のスキャナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な実施例は、全体として、光のスキャナに関する。特に、様々な実施例は、例えば、LIDAR測定に使用することができる、レーザー光用のスキャナに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な技術分野において、物体の距離を測定することが望ましい。例えば、自動運転の用途と関連して、車両環境において、また特に物体までの距離を判定する際に、物体を検出することが望ましい。
【0003】
物体の距離測定に関する1つの技術は、いわゆるLIDAR技術(光検出および測距、または場合によっては英語でLADARとしても知られている)である。このプロセスでは、パルスレーザー光がエミッタから放射される。環境内の物体はレーザー光を反射する。そこで、これらの反射を測定することができる。レーザー光の移動時間を判定することによって、物体までの距離を判定することができる。
【0004】
空間分解能を持つ環境内の物体を検出するために、レーザー光をスキャンすることが可能なことがある。レーザー光の放射角度に応じて、環境内の異なる物体をそれによって検出することができる。
【0005】
様々な実施例では、特に高分解能のLIDAR測定を実施するのが望ましいことがある。そのため、例えば、LIDAR測定の範囲内で二次元(2D)環境領域を記録するのが望ましいことがある。この目的のため、2Dスキャン領域が実現される。それに加えて、レーザー光を明確な角度で放射するのが望ましいことがある。例えば、LIDAR測定の方位分解能は、かかる変数を用いて規定される。
【0006】
例えば、参照実現例は、2Dスキャン領域を実現するために、垂直方向で離隔された複数のレーザーを使用する。しかしながら、かかる技術は高価であり、複数のレーザーのためにかなりの設置空間を要する。それに加えて、複数のレーザーの方向に沿った分解能は、一般的に、比較的制限される。例えば、参照実現例は、この方向で4〜64ビットの分解能を有する。
【0007】
それに加えて、高度に統合された参照実現例では、レーザー光の放射角度を監視するのは不可能である場合が多いか、または限定された程度でのみ可能である。したがって、方位分解能は比較的低いことがある。時間的なドリフトが起こる場合がある。
【発明の概要】
【0008】
したがって、光のスキャンに関する改善された技術が必要とされている。特に、LIDAR測定を実現するために、改善された技術が必要とされている。
【0009】
この目的は独立請求項の特徴によって達成される。独立請求項の特徴は実施形態を定義する。
【0010】
スキャナは第1のミラーを備える。第1のミラーは、反射前面と後面とを備える。スキャナは、第1の弾性サスペンションも備える。第1の弾性サスペンションは、第1のミラーの後面に面する面まで、例えば第1のミラーの後面から離れる方向で延在する。スキャナは第2のミラーも備える。第2のミラーは、反射前面と後面とを備える。スキャナは、第2の弾性サスペンションも備える。第2の弾性サスペンションは、第2のミラーの後面に面する面まで、例えば第2のミラーの後面から離れる方向で延在する。スキャナは、第1のミラーの前面上および第2のミラーの前面上で連続的に光を偏向するように設定される。
【0011】
2つのミラーを使用することによって、最初に第1のミラーの反射前面上で、続いて第2のミラーの反射前面上で連続して反射される、光路を規定することができる。それにより、2Dスキャン領域を実現することができる。
【0012】
場合によっては、少なくとも1つの弾性サスペンションはまた、例えば光を放射するように光源が配置されてもよい、基準座標系を規定する基部と、偏向部との間の弾性連結が、それによって提供されてもよいので、弾性支持要素またはスキャンモジュールとして特徴付けられてもよく、偏向部は、基準座標系と比べて移動する座標系を特徴付けてもよい。
【0013】
第1の弾性サスペンションおよび第2の弾性サスペンションが、第1のミラーまたは第2のミラーそれぞれの後面から延在するという事実により、スキャナと両方のミラーとの特に高レベルの統合を達成することができる。特に、サスペンションが鏡面内で横方向に取り付けられる参照実現例と比較して、第1のミラーおよび第2のミラーを特に互いに近付けて配置するのが可能なことがある。またそれによって、第1のミラーおよび第2のミラーを用いる検出器に関して、特に大きい検出開口が達成されてもよい。例えば、第1のミラーの光路は、第1のミラーの顕著なスキャン角度がある場合、第2のミラーの中心には当たらなくなることがある。ミラー間の距離が遠いほど、この偏心は大きくなる。これによって検出開口が低減される。
【0014】
スキャナは、少なくとも1つの弾性的に移動するスキャン部を備える。これは、第1の移動自由度および第2の移動自由度を用いて光を二度偏向するように設定される。スキャナはまた、少なくとも1つのアクチュエータを備える。スキャナはまた、コントローラ、例えばFPGA、マイクロコントローラ、またはASICを備える。コントローラは、周期的振幅変調機能にしたがって第1の移動自由度を励起するために、少なくとも1つのアクチュエータを作動させるように設定される。振幅変調機能は、交互に配置された上昇側面(ascending flanks)と下降側面とを有する。上昇側面の長さは、この場合、下降側面の長さのサイズの少なくとも二倍、オプションで少なくとも四倍、更にオプションでは少なくとも十倍である。あるいは、下降側面の長さは、この場合、やはり上昇側面の長さのサイズの少なくとも二倍、オプションで少なくとも四倍、更にオプションでは少なくとも十倍であることができる。
【0015】
スキャナは、少なくとも1つの弾性的に移動するスキャン部を備える。これは、第1の移動自由度および第2の移動自由度を用いて光を二度偏向するように設定される。スキャナはまた、少なくとも1つのアクチュエータを備える。それは、周期的振幅変調機能にしたがって第1の移動自由度を励起するように設定される。振幅変調機能は、交互に配置された上昇側面と下降側面とを有する。
【0016】
好ましくは、この場合、上昇側面の長さは、下降側面の長さのサイズの少なくとも二倍、オプションで少なくとも四倍、更にオプションでは少なくとも十倍である。あるいは、下降側面の長さは、この場合、やはり上昇側面の長さのサイズの少なくとも二倍、オプションで少なくとも四倍、更にオプションでは少なくとも十倍であることができる。
【0017】
弾性スキャン部は、場合によっては、可撓性スキャン部(屈曲スキャン部)としても特徴付けられる。移動自由度は、可逆性変形、即ち弾性によってもたらすことができる。一般的に、移動自由度は共鳴的に励起される。
【0018】
場合によっては、スキャナは、例えば、2つの弾性的に移動するスキャン部を備えることができる。2つの弾性的に移動するスキャン部はそれぞれ、この場合、反射前面および後面を備えたミラー、ならびにそれぞれに1つ割り当てられた弾性サスペンションを有することができる。
【0019】
かかる技術を用いて、2Dスキャン領域を実現するために、第1の移動自由度にしたがった移動および第2の移動自由度にしたがった移動を重畳した形を実現することが可能である。そのため、特に短い下降側面により、スキャン中の不感時間を低減することができる。これによって、2Dスキャン領域を高時間分解能でスキャンすることができるようになる。つまり、複数の連続LIDAR画像の反復率が特に高いことがあり得る。
【0020】
プロセスは、少なくとも1つのアクチュエータを作動させることを含む。少なくとも1つのアクチュエータは、周期的振幅変調機能にしたがって、少なくとも1つの弾性的に移動するスキャン部の第1の移動自由度を励起するように設定される。周期的振幅変調機能は、交互に配置された上昇側面と下降側面とを含む。少なくとも1つの弾性的に移動するスキャン部は、更に、第2の移動自由度を含む。少なくとも1つの弾性的に移動するスキャン部は、第1の移動自由度および第2の移動自由度を用いて光を二度偏向する。上昇側面の長さは、下降側面の長さのサイズの少なくとも二倍、オプションで少なくとも四倍、更にオプションでは少なくとも十倍である。あるいは、下降側面の長さが、上昇側面の長さのサイズの少なくとも二倍、オプションで少なくとも四倍、更にオプションでは少なくとも十倍であることもできるであろう。
【0021】
コンピュータプログラム製品は、コントローラによって実行することができる、プログラムコードを含む。プログラムコードを実行することは、コントローラがプロセスを実現することを意味する。プロセスは、少なくとも1つのアクチュエータを作動させることを含む。少なくとも1つのアクチュエータは、周期的振幅変調機能にしたがって、少なくとも1つの弾性的に移動するスキャン部の第1の移動自由度を励起するように設定される。周期的振幅変調機能は、交互に配置された上昇側面と下降側面とを含む。少なくとも1つの弾性的に移動するスキャン部は、更に、第2の移動自由度を含む。少なくとも1つの弾性的に移動するスキャン部は、第1の移動自由度および第2の移動自由度を用いて光を二度偏向する。上昇側面の長さは、下降側面の長さのサイズの少なくとも二倍、オプションで少なくとも四倍、更にオプションでは少なくとも十倍である。あるいは、下降側面の長さが、上昇側面の長さのサイズの少なくとも二倍、オプションで少なくとも四倍、更にオプションでは少なくとも十倍であることもできるであろう。
【0022】
コンピュータプログラムは、コントローラによって実行することができる、プログラムコードを含む。プログラムコードを実行することは、コントローラがプロセスを実現することを意味する。プロセスは、少なくとも1つのアクチュエータを作動させることを含む。少なくとも1つのアクチュエータは、周期的振幅変調機能にしたがって、少なくとも1つの弾性的に移動するスキャン部の第1の移動自由度を励起するように設定される。周期的振幅変調機能は、交互に配置された上昇側面と下降側面とを含む。少なくとも1つの弾性的に移動するスキャン部は、更に、第2の移動自由度を含む。少なくとも1つの弾性的に移動するスキャン部は、第1の移動自由度および第2の移動自由度を用いて光を二度偏向する。上昇側面の長さは、下降側面の長さのサイズの少なくとも二倍、オプションで少なくとも四倍、更にオプションでは少なくとも十倍である。あるいは、下降側面の長さが、上昇側面の長さのサイズの少なくとも二倍、オプションで少なくとも四倍、更にオプションでは少なくとも十倍であることもできるであろう。
【0023】
スキャナは、弾性要素を有するスキャン部を備える。弾性要素は、基部とガイド要素との間に延在する。スキャン部は、この場合、弾性要素の捻れによって異なる角度で、偏向部上で光を偏向するように設定される。スキャナは磁石も備える。磁石は、漂遊磁場を発生させるように設定される。スキャナはまた、漂遊磁場中に配置される、角度方向磁場センサを備える。角度方向磁場センサは、捻れを示す信号を出力するように設定される。
【0024】
捻れは、弾性要素の対応する移動自由度に対応してもよい。捻れはまた、弾性要素の弾性的変形によってもたらされてもよい。
【0025】
磁石と角度方向磁場センサとの組み合わせによって、捻れに基づいて偏向部の回転を正確に監視することが可能になる。それにより、光が偏向される角度を正確に監視することができる。それにより、光の放射角度を正確に監視することができる。それにより、例えば、LIDAR測定の方位分解能を増加させることができる。これは、対応する弾性要素と、光の光路が連続的に偏向される偏向部とをそれぞれ有する、2つのスキャン部を備えるスキャナにおいて、特に望ましい可能性がある。放射角の不正確性が増大すること、つまり対応する監視がないことがあり得る。
【0026】
上記の特徴、および以下に記載する特徴は、対応する明示的に示される組み合わせで使用されるだけではなく、本発明の保護範囲を越えることなく、更なる組み合わせまたは分離でも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】様々な実施例によるスキャン部を示す概略図である。
図2】様々な実施例によるスキャン部を示す概略図である。
図3】様々な実施例によるスキャン部を示す概略図である。
図4】様々な実施例によるスキャン部を示す概略図である。
図5図1〜4によるスキャン部の移動自由度を励起するアクチュエータを示す概略図である。
図6図1〜4によるスキャン部の移動自由度を励起するアクチュエータを示す概略図である。
図7図1〜4によるスキャン部の移動自由度を励起するアクチュエータを示す概略図である。
図8】様々な実施例によるスキャン部の移動自由度を励起するアクチュエータ対のアクチュエータの移動の時間曲線を示す概略図である。
図9】様々な実施例によるスキャン部の移動自由度を励起するアクチュエータ対のアクチュエータの移動の時間曲線を示す概略図である。
図10】様々な実施例による1つの移動自由度の共鳴励起を示す概略図である。
図11】弾性要素の捻れの様々な実施例に対応する1つの移動自由度を示す概略図である。
図12】弾性要素の横断方向偏向の様々な実施例に対応する1つの移動自由度を示す概略図である。
図13】弾性要素の横断方向偏向の様々な実施例に対応する1つの移動自由度を示す概略図である。
図14】様々な実施例による2つの移動自由度の重畳励起および共鳴励起を示す概略図である。
図15】様々な実施例によるスキャン部を示す概略図である。
図16】様々な実施例による2つのスキャン部を備えたスキャナを示す概略図である。
図17】様々な実施例による2つのスキャン部を備えたスキャナを示す概略図である。
図18】様々な実施例による2つのスキャン部を備えたスキャナを示す概略図である。
図19】様々な実施例による2つのスキャン部を備えたスキャナを示す概略図である。
図20】様々な実施例による2つのスキャン部を備えたスキャナを示す概略図である。
図21】様々な実施例による2つのスキャン部を備えたスキャナを示す概略図である。
図22】様々な実施例による2つのスキャン部を備えたスキャナを示す概略図である。
図23】スキャン部の移動自由度を励起する、様々な実施例によるアクチュエータによってもたらされるアクチュエータ移動の時間曲線を示す概略図である。
図24図23の実施例によるアクチュエータ移動の時間曲線を用いて達成される、1つの移動自由度による移動の振幅を示す概略図である。
図25-26】図25は、スキャン部の移動自由度を励起する、様々な実施例によるアクチュエータによってもたらされるアクチュエータ移動の時間曲線を示す概略図であり、図26は、図25の実施例によるアクチュエータ移動の時間曲線を用いて達成される、1つの移動自由度による移動の振幅を示す概略図である。
図27】様々な実施例によるスキャナを用いた図24および26の実施例による移動の時間重畳によって実現される重畳図を示す概略図である。
図28】様々な実施例による磁石および角度方向磁場センサを含むスキャン部を示す概略図である。
図29A】スキャン部の弾性要素の捻れ時における図28の実施例による磁石の磁化の配向を示す概略図である。
図29B】様々な実施例による角度方向磁場センサに関連する磁石の配置を示す概略図である。
図30】様々な実施例によるLIDARシステムを示す概略図である。
図31】様々な実施例によるLIDARシステムを示す概略図である。
図32】例示の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
上述した本発明の性質、特徴、および利点、ならびにそれらがどのように達成されるかに関するタイプおよび方式は、図面と関連して更に詳細に説明される、例示の実施形態の以下の説明の文脈において更に明白となり、顕著に理解可能となるであろう。
【0029】
以下、図面を参照して好ましい実施形態を用いて、本発明について更に詳細に説明する。図面中、同じ参照番号は同等または類似の要素を指す。図面は、本発明の様々な実施形態の概略表現である。図面に示される要素は必ずしも縮尺通りではない。それよりもむしろ、図面に示される様々な要素は、それらの機能および汎用性が当業者には明白になるように示される。図面に示される機能的ユニットと要素との間の連結および接続は、直接連結または接続として実現することもできる。機能的ユニットは、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして実現されてもよい。
【0030】
光をスキャンする様々な技術について、以下に記載する。続いて記載する技術によって、例えば、光の2Dスキャンを可能にすることができる。スキャンは、異なる放射角度での光の繰り返される放射を特徴付けてもよい。この目的のため、光は、偏向部を用いて一回または複数回偏向されてもよい。
【0031】
偏向部は、例えば、ミラーによって、またオプションで、ミラーを弾性要素に固着するインターフェース要素によって形成されてもよい。偏向部はまた、ミラーの代わりにプリズムを備えてもよい。
【0032】
スキャンは、光を用いて環境中の異なる点の繰り返されるスキャンを特徴付けてもよい。この目的のため、連続的な異なる放射角度を実現することができる。一連の放射角度は、例えば、スキャンのために2つの移動自由度が時間的に、またオプションで空間的に重畳されると、重畳図を用いて特定することができる。例えば、環境中の異なる点の量、および/または異なる放射角の量で、スキャン領域を規定することができる。様々な実施例では、光のスキャンは、少なくとも1つの弾性サスペンションの異なる自由度による、2つの移動の時間的重畳およびオプションで空間的重畳を用いて行うことができる。それにより、2Dスキャン領域が得られる。
【0033】
場合によっては、重畳図はリサージュ図形としても特徴付けられる。重畳図は、支持要素の移動によって異なる放射角を実現するのに用いられる、シーケンスを説明してもよい。
【0034】
様々な実施例においてレーザー光をスキャンすることが可能である。そのため、例えば、干渉性または非干渉性レーザー光を使用することができる。また、偏光または非偏光レーザー光を使用することも可能であろう。例えば、レーザー光をパルス化することが可能であろう。例えば、フェムト秒またはピコ秒またはナノ秒範囲のパルス幅を有する短レーザーパルスを使用することができる。例えば、パルス持続時間は0.5〜3nsの範囲であることができる。レーザー光は、700〜1800nmの範囲の波長を有することができる。単純にするため、主に以下のレーザー光を参照するが、本明細書に記載する様々な実施例は、他の光源、例えば広帯域光源またはRGB光源からの光をスキャンするのに使用されてもよい。一般に、本明細書において、RGB光源は、色空間が複数の異なる色によって、例えば赤、緑、青またはシアン、マゼンタ、黄、黒の重畳によって網羅される、可視スペクトルの光源を特徴付ける。
【0035】
様々な実施例では、形状および/または材料によって誘起される弾性を有する、少なくとも1つの支持要素が、光をスキャンするのに使用される。したがって、少なくとも1つの支持要素は、ばね要素または弾性サスペンションとして特徴付けることもできる。支持要素は移動端部を有する。そのため、少なくとも1つの支持要素の少なくとも1つの移動自由度を、例えば捻れおよび/または横断方向サスペンションを励起することができる。そのため、横モードの様々な次数を励起することができる。少なくとも1つの支持要素の移動端部に連結される偏向部は、かかる移動の励起を用いて移動させることができる。したがって、少なくとも1つの支持要素の移動端部はインターフェース要素を規定する。
【0036】
また、例えば、単一よりも多くの支持要素が、例えば2つまたは3つまたは4つの支持要素が使用されることが可能であろう。それらは、選択肢として、互いに対して対称的に配置することができる。
【0037】
様々な実施例では、ファイバーまたは複数のファイバーの移動端部は、レーザー光をスキャンするのに使用され、このことは、少なくとも1つの支持要素を1つまたは複数のファイバーによって形成できることを意味する。様々なファイバーを支持要素として使用することができる。例えば、ガラスファイバーとしても特徴付けられる、光ファイバーを使用することができる。しかしながら、この場合、必ずしもファイバーをガラスから製造しなくてもよい。ファイバーは、例えば、プラスチック、ガラス、または別の材料から製造することができる。例えば、ファイバーは石英ガラスから製造されてもよい。ファイバーは、例えば、3mm〜10mmの範囲、オプションで3.8mm〜7.5mmの範囲の長さを有してもよい。例えば、ファイバーは70GPaの弾性率を有してもよい。このことは、ファイバーが弾性であってもよいことを意味する。例えば、ファイバーは最大4%の材料拡張が可能であってもよい。いくつかの実施例では、ファイバーはコアを有し、供給されたレーザー光がその中を伝播し、全反射によって縁部で封止される(光ファイバーケーブル)。しかしながら、ファイバーは必ずしもコアを有さなくてもよい。様々な実施例では、いわゆるシングルモード光ファイバーまたはマルチモード光ファイバーを使用することができる。本明細書に記載する様々なファイバーは、例えば、円形断面を有してもよい。例えば、本明細書に記載する様々なファイバーが、50μm以上、オプションで150μm以上、更にオプションでは500μm以上、更にオプションでは1以上の直径を有することが可能であろう。例えば、本明細書に記載する様々なファイバーは、屈折または湾曲するように、即ち可撓性または弾性であるように形成されてもよい。この目的のため、本明細書に記載するファイバーの材料は特定の弾性を有してもよい。ファイバーはコアを有してもよい。ファイバーは保護コーティングを有してもよい。いくつかの実施例では、保護コーティングは、例えばファイバーの端部において、少なくとも部分的に除去されてもよい。
【0038】
他の実施例では、MEMS技術を用いて、即ち適切なリソグラフィプロセスステップを用いて、例えばエッチングによって、細長い要素をウェハから製造することも可能であろう。
【0039】
例えば、支持要素の移動端部を、2つの移動自由度の時間的および空間的重畳を用いて、1つまたは2つの次元で移動させることができる。この目的のため、1つまたは複数のアクチュエータが使用されてもよい。例えば、移動端部を、少なくとも1つの支持要素の締着部に対して傾斜させることが可能であり、このことによって、少なくとも1つの支持要素の曲率がもたらされるであろう。これは、第1の移動自由度に対応することができ、横モードとして(または、場合によっては波形モード(wiggle mode)としても)特徴付けることができる。別の方法として、またはそれに加えて、移動端部を支持要素の長手方向軸線に沿って歪ませることが可能であろう(捻れモード)。これは第2の移動自由度に対応してもよい。移動端部の移動によって、レーザー光を様々な角度で放射させることが可能になる。この目的のため、例えば、固定のための適切なインターフェースをオプションで有するミラーなど、偏向部が提供されてもよい。それによって、レーザー光を用いて環境をスキャンすることができる。移動端部の移動の強度に応じて、異なるサイズのスキャン領域を実現することができる。
【0040】
本明細書に記載する様々な実施例では、横モードの代替または追加として捻れモードを励起することが可能であり、即ち、捻れモードと横モードとの時間的および空間的重畳が可能であろう。しかしながら、この時間的および空間的重畳を抑制することもできる。他の実施例では、他の移動自由度を実現することもできる。
【0041】
例えば、偏向部はプリズムまたはミラーを備えてもよい。例えば、ミラーは、ウェハ、例えばシリコンウェハ、またはガラス基板を用いて実現することができる。例えば、ミラーは、0.05μm〜0.1mmの範囲の厚さを有することができる。例えば、ミラーは、25μmまたは50μmの厚さを有することができる。例えば、ミラーは、25μm〜75μmの範囲の厚さを有することができる。例えば、ミラーは、正方形、長方形、または円形として形成することができる。例えば、ミラーは、3mm〜12mm、または特に8mmの直径を有することができる。
【0042】
一般に、かかる技術は、様々な応用分野で光をスキャンするのに使用することができる。実施例は、内視鏡、RGBプロジェクタ、プリンタ、レーザー走査顕微鏡を含む。様々な実施例では、LIDAR技術を使用することができる。LIDAR技術は、空間分解能を有する環境中にある物体の距離測定を実現するのに使用することができる。例えば、LIDAR技術は、ミラー、物体、および検出器の間でのレーザー光の移動時間測定を含んでもよい。一般に、かかる技術は、様々な応用分野で光をスキャンするのに使用することができる。実施例は、内視鏡、RGBプロジェクタ、プリンタを含む。様々な実施例では、LIDAR技術を使用することができる。LIDAR技術は、空間分解能を有する環境中にある物体の距離測定を実現するのに使用することができる。例えば、LIDAR技術は、レーザー光の移動時間測定を含んでもよい。
【0043】
様々な実施例は、放射角度に対して高い精度でレーザー光のスキャンを実現するのが望ましいことがあるという知識に基づく。例えば、LIDAR技術と関連して、距離測定の空間分解能は、放射角度の不正確さによって制限される場合がある。一般的に、達成される空間分解能が高い(低い)ほど、判定できるレーザー光の放射角度がより高精度(より低精度)になる。
【0044】
様々な実施例は、更に、2Dスキャン領域に関するレーザー光のスキャンを実現するのが望ましいことがあるという知識に基づく。そのため、2つの移動自由度の時間的重畳および対応する重畳図を用いて、2Dスキャン領域を実現するのが望ましい場合が多い。本明細書に記載する様々な実施例によって、高い精度で高分解能の二次元スキャン領域を実現することが可能になり、対応するスキャナによって、狭い設置空間への比較的大型の組込みが可能になる。
【0045】
図1は、スキャン部99に関する態様を示している。スキャン部99は、スキャンモジュール100を備える。スキャンモジュール100は、基部141と、2つの支持要素101、102と、インターフェース要素142とを備える。支持要素101、102は面内(図1の描画面内)で形成される。スキャンモジュール100はまた、弾性サスペンションとして特徴付けられてもよい。
【0046】
この場合、基部141、支持要素101、102、ならびにインターフェース要素142は一体的に形成される。例えば、基部141、支持要素101、102、ならびにインターフェース要素142を、MEMSプロセスを用いたシリコンウェハ(または別の半導体基板)のエッチングによって得ることが可能であろう。そのような場合、基部141、支持要素101、102、ならびにインターフェース要素142は、特に単結晶であるように形成されてもよい。しかしながら、他の実施例では、基部141、支持要素101、102、ならびにインターフェース要素142は、一体的に形成されなくてもよく、例えば、ファイバーを用いて支持要素を実現することができる。
【0047】
また、スキャンモジュール100が、単一の支持要素のみ、または2つを超える支持要素を有することが可能であろう。
【0048】
スキャン部99はまた、偏向部を実現するミラー150を備える。図1による実施例では、高反射性の前面(例えば、950μmの波長で95%超、オプションで99%超、更にオプションで99.999%超、例えば、厚さ80〜250nmのアルミニウムまたは金)に光180に対するミラー表面151を形成するミラー150は、基部141、支持要素101、102、ならびにインターフェース要素142とは一体的に形成されない。例えば、ミラー150はインターフェース要素142に結合することができる。インターフェース要素142は、つまり、ミラー150および/またはミラー表面151を固定するように設定されてもよい。例えば、インターフェース要素142は、対応するミラー150の接触面を固定するように設定される、この目的のための接触面を有してもよい。ミラー150をインターフェース要素142と連結するために、例えば、結合、はんだ付けの技術のうち1つまたは複数を使用することができる。ミラーは後面152も有する。
【0049】
かかる技術を用いて、例えば10mm以上、オプションで15mm以上の、大きいミラー表面を実現することができる。ミラー表面151を検出器開口としても使用する、LIDAR技術と関連して、高レベルの精度および範囲を達成することができる。
【0050】
図1による実施例では、スキャンモジュール100は、ミラー150の後面152から、即ち後面152に面するミラー150の面上から離れる方向で延在する。それによって、ミラーの一点サスペンションが実現される。
【0051】
図1による実施例では、支持要素101、102はミラー表面151に垂直な延長を有し、この延長は、例えば、図1による実施例では、約2〜8mmであることができる。支持要素101、102は、特に、対応する長手方向軸線111、112に沿ったロッド形状である。図1では、ミラー表面151の表面法線155が示されており、長手方向軸線111、112は、表面法線155に対して平行に配向され、即ち法線に対して0°の角度を形成する。
【0052】
したがって、ミラー表面151に垂直な支持要素101、102の延長は、支持要素101、102の長さ211に等しい。一般に、支持要素101、102の長さ211は、2mm以上、オプションで4mm以上、更にオプションでは6mm以上であることが可能であろう。例えば、支持要素101、102の長さは、20mm以下、オプションで12mm以下、更にオプションでは7mm以下であることが可能であろう。複数の支持要素が使用される場合、全て同じ長さを有してもよい。
【0053】
一般に、支持要素101、102の長さ211は、ミラー150の直径153の20%〜400%の範囲であることができる。一般に、長さ211は、直径153の20%以上、オプションで直径の200%以上、更にオプションでは400%以上であることができる。一方で、それによって良好な安定性を提供することができ、他方で、比較的大きいスキャン領域を実現することができる。
【0054】
しかしながら、ミラー表面151に対する長手方向軸線111、112の相対配向に応じて、ミラー表面151に垂直な支持要素101、102の延長は、その長さ211未満であることが可能であろう(表面法線155に平行な突出のみが考慮されるため)。一般に、ミラー表面151に垂直な支持要素101、102の延長は、0.7mm以上であることが可能であろう。かかる値は、スキャンモジュール100を製造するのに用いることができる、ウェハの一般的な厚さよりも大きい。それにより、光180に対して特に大きいスキャン角度を実現することができる。
【0055】
支持要素101、102の材料は、支持要素101、102の材料によって誘起される弾性に影響することがある。更に、支持要素101、102の細長いロッド状の形状も、支持要素101、102の形状によって誘起される弾性に影響することがある。インターフェース要素142の、またしたがってミラー150の移動を誘発する弾性的変形は、支持要素101、102のかかる弾性を用いて達成することができる。例えば、支持要素101、102の捻れモードおよび/または横モードを使用して、インターフェース要素142を、またしたがってミラー150を移動させることができる。それにより、光のスキャンを実現することができる(図1は、支持要素101、102の待機状態を示している)。
【0056】
図2は、スキャンモジュール100に関する態様を示している。スキャンモジュール100は、基部141と、2つの支持要素101、102と、インターフェース要素142とを備える。この場合、基部141、支持要素101、102、ならびにインターフェース要素142は一体的に形成される。
【0057】
図2による実施例は、この場合、本質的に図1による実施例に対応している。しかしながら、図2による実施例では、ミラー150は、インターフェース要素142、または支持要素101、102、ならびに基部141と一体的に形成される。可能な最大のミラー表面151を達成するために、図2による実施例は、インターフェース要素142の中央領域の上方にあるオーバーハングを示している。
【0058】
図3は、スキャンモジュール100に関する態様を示している。スキャンモジュール100は、基部141と、2つの支持要素101、102と、インターフェース要素142とを備える。この場合、基部141、支持要素101、102、ならびにインターフェース要素142は一体的に形成される。
【0059】
図3による実施例は、この場合、本質的に図2による実施例に対応している。図3による実施例では、ミラー150およびインターフェース要素142は1つの同じ要素によって実現される。偏向部を実現するミラー表面151は、インターフェース要素142に直接適用される。これによって、特に単純な構造および単純な製造が可能になる。
【0060】
図4は、スキャンモジュール100に関する態様を示している。スキャンモジュール100は、基部141と、2つの支持要素101、102と、インターフェース要素142とを備える。この場合、基部141、支持要素101、102、ならびにインターフェース要素142は一体的に形成される。
【0061】
図4による実施例は、この場合、本質的に図1による実施例に対応している。しかしながら、図4による実施例では、支持要素101、102の長手方向軸線111、112は、ミラー表面151に対して垂直には配向されない。図4は、ミラー表面151の表面法線155と長手方向軸線111、112との間の角度159を示している。図4による実施例では、角度159は45°であるが、一般に、−60°〜+60°の範囲内であることができる。
【0062】
長手方向軸線111、112に対するミラー表面151のかかる傾斜は、支持要素101、102の捻れモードがミラー150の移動を誘発するのに使用されるとき、特に有利なことがある。そのため、光180のペリスコープ様のスキャンを、スキャン部99を用いて実現することができる。
【0063】
図5は、スキャン部99に関する態様を示している。スキャン部99は、例えば、本明細書に記載する他の様々な実施例にしたがって構成することができる、スキャンモジュール100を備える(しかしながら、図5は、単一の支持要素101のみを有するスキャンモジュール100の一実施例を示している)。
【0064】
図5は、圧電アクチュエータ310、320に関する特別な態様を示している。様々な実施例では、圧電曲げアクチュエータ310、320を使用して、支持要素101を励起することができる。圧電アクチュエータ310、320は、例えば適切なコントローラによって、例えばドライバを介して、作動させることができる。
【0065】
例えば、一般に、第1および第2の圧電曲げアクチュエータを使用することができる。また、第1の圧電曲げアクチュエータおよび/または第2の圧電曲げアクチュエータは、ディスク形状で形成されることが可能であろう。一般に、圧電曲げアクチュエータの厚さは、例えば、200μm〜1mmの範囲、オプションで300μm〜700μmの範囲である。例えば、第1の圧電曲げアクチュエータおよび/または第2の圧電曲げアクチュエータは、複数の圧電材料の交互の配置を含む層構造を有することが可能であろう。それらは様々な強度の圧電効果を有してもよい。それによって、温度変化中のバイメタルストリップに類似した影響を、屈曲に及ぼすことができる。例えば、第1の圧電曲げアクチュエータおよび/または第2の圧電曲げアクチュエータを定着点で固定することが可能であり、そのため、定着点とは反対側の端部を、第1の圧電曲げアクチュエータおよび/または第2の圧電曲げアクチュエータの屈曲または曲率に基づいて移動させることができる。
【0066】
圧電曲げアクチュエータを使用することによって、特に効率良く強力な励起を達成することができる。圧電曲げアクチュエータは、つまり、少なくとも1つの支持要素の捻れモードを励起するのに、基部141を移動させ、特にそれを傾斜させることができる。それに加えて、励起のためにデバイスの高度な統合を達成することが可能であってもよい。これは、必要な設置空間が特に小さいサイズであり得ることを意味することがある。
【0067】
特に、図5による実施例では、圧電アクチュエータ310、320は圧電曲げアクチュエータとして形成される。これは、圧電曲げアクチュエータ310、320の電気接点で電圧を印加することが、その長手方向軸線319、329に沿った圧電曲げアクチュエータ310、320の曲率または屈曲に影響を及ぼすことを意味する。この目的のため、圧電曲げアクチュエータ310、320は、(図5には図示されない、描画面に垂直に配向された)層構造を有する。圧電曲げアクチュエータ310、320の端部315、325は、それぞれの長手方向軸線319、329に垂直な定着点311、321に対して偏向される(移動は、図5による実施例では、描画面に垂直に配向される)。屈曲に基づく圧電曲げアクチュエータ310、320の移動399(アクチュエータ移動)が、図6に示されている。
【0068】
図7は、圧電曲げアクチュエータ310、320の側面図を示している。図7は、例えば、ドライバ信号および/または張力/曲率がない、スキャン部99の待機位置にある圧電曲げアクチュエータ310、320を示している。
【0069】
再び図5を参照する。例えば、定着点311、321は、圧電曲げアクチュエータ310、320とスキャン部99(図5には図示なし)のハウジングとの間に強固な連結を確立することができ、基準座標系内で静止して配置することができる。
【0070】
基部141は、長手方向軸線319、329に沿った圧電曲げアクチュエータ310、320の長さの2〜20%の範囲、オプションで5〜15%の範囲である、長手方向軸線319、329の長手方向延長を有してもよい。それにより、十分に強固な励起を達成することができ、そのため、基部141は、比較的弱くのみ、圧電曲げアクチュエータ310、320の移動を減衰する。
【0071】
図5による実施例では、圧電曲げアクチュエータ310、320は、実質的に互いに平行に配置される。互いに対する長手方向軸線319、329の傾斜も、特に1つの面内にある限り可能であろう。
【0072】
図5による実施例は、圧電曲げアクチュエータ310、320と支持要素101との連結が、基部141の縁部範囲146を用いて実現されることを明らかに示している。これらの縁部範囲146は弾性を有するので、屈曲399に適応することができ、基部141の偏向に結び付く。それにより、インターフェース要素101の1つまたは複数の移動自由度を、基部141を介して相互連結的に励起することができる。特に、それにより、効率が良く省スペースの励起を達成することができる。
【0073】
図5による実施例では、圧電曲げアクチュエータ310、320は、インターフェース要素142から離れる方向で延在する。また、圧電曲げアクチュエータ310、320は、それらの長さの少なくとも50%に沿って、インターフェース要素142に向かって延在することが可能であろう。それにより、特にコンパクトな配置を達成することができる。これは図6に示されている。
【0074】
図6による実施例は、この場合、本質的に図6による実施例に対応している。しかしながら、この場合、圧電曲げアクチュエータ310、320は、インターフェース要素142に向かって、または少なくとも1つの支持要素101の自由に移動する端部に向かって延在する。それにより、スキャン部99の特にコンパクトな構造を達成することができる。
【0075】
図8は、圧電曲げアクチュエータ310、320の移動399−1、399−2に関する態様を概略的に示している。対応する移動399−1、399−2により、力の流れを支持要素101、102に伝達することができ、それによって1つまたは複数の移動自由度を励起することができる。
【0076】
他の実施例では、他のタイプのアクチュエータが使用されてもよい。例えば、接触せずに励起を伝達するアクチュエータを使用することができる。そのため、移動399−1、399−2に対応する力の流れを、別の形で実現することもできる。
【0077】
図8による実施例では、圧電曲げアクチュエータ310、320の正弦曲線移動399−1、399−2が行われ、移動399−1、399−2の間には180°位相ずれがある(図8の実線および破線を参照)。これにより、(例えば、図1〜4の描画面に対する)基部141の傾斜がもたらされ、それによって捻れモードを特に効率的に励起することができる。
【0078】
図8はまた、移動399−1、399−2に基づいた、圧電曲げアクチュエータ310、320の端部315、325間の移動399−1、399−2の方向のシフトまたは距離として、相対アクチュエータ移動831を示している(図8の点線)。
【0079】
図9は、圧電曲げアクチュエータ310、320の移動399−1、399−2に関する態様を概略的に示している。対応する移動399−1、399−2により、力の流れを支持要素101、102に伝達することができ、それによって1つまたは複数の移動自由度を励起することができる。
【0080】
図9による実施例は、本質的に図8による実施例に対応しており、移動399−1、399−2の間に位相シフトがない。これにより、(例えば、図1〜4の描画面に対する)基部141の上下移動がもたらされ、それによって横モードを特に効率的に励起することができる。
【0081】
図9では、アクチュエータ移動831は0に等しい。
【0082】
いくつかの実施例では、また、圧電曲げアクチュエータ310、320の移動、即ち適切なアクチュエータの異なる形状の力の流れが、複数の移動自由度の時間的および空間的重畳を励起することが可能であろう。これは、例えば、図8および9の実施例による移動399−1、399−2の重畳によって行うことができる。したがって、移動399−1、399−2の位相内および位相外の重畳を使用することができる。
【0083】
図10は、圧電曲げアクチュエータ310、320の移動399−1、399−2に関する態様を概略的に示している。特に、図10は、周波数領域内の移動399−1、393−2を示している。図10は、捻れモード502の共振曲線1302に対する移動399−1、399−2の周波数を示している。共振曲線1302は、半値全幅1332ならびに最大値1312によって特徴付けられる。図10による実施例では、移動399−1、399−2の周波数は共振曲線1302内に配置されるので、共鳴励起が行われる。
【0084】
図11は、捻れモード502に関する態様を示している。図11は、4つの支持要素101−1、101−2、102−1、102−2を用いたスキャン部99の捻れモード502の偏向を概略的に示している(図11は、偏向状態を実線で示し、待機状態は破線で示されている)。
【0085】
図11では、捻れモード220の捻れ軸は中心軸220と一致している。図11による実施例では、支持要素101−1、102−1、101−2、102−2は、中心軸220に対して対称回転で配置されている。特に、4回回転対称性が存在する。回転対称性が存在するということは、例えば、支持要素101−1、102−1、101−2、102−2のシステム自体が回転によって転置し得ることを意味する。回転対称性のn次によって、支持要素101−1、102−1、101−2、102−2のシステム自体が360°の回転角度毎に何回転置できるかが特徴付けられる。一般に、回転対称性はn回であってもよく、nは使用される支持要素の数を特徴付ける。
【0086】
高n次の回転対称配置を使用して、以下の効果を達成することができる。捻れモード502の励起中における非線形性を低減または抑制することができる。この尤もらしさは次の例に見出すことができる。例えば、支持要素101−1、102−1、101−2、102−2を、長手方向軸線および中心軸220が全て1つの面内にあるように配置することができる。その場合、回転対称性は2回であろう(図11による実施例のような4回ではない)。かかる一例では、直交横モード(中心軸220に垂直な異なる方向)は、異なる慣性モーメントにより、異なる周波数を有する。したがって、低周波数横モードの方向は、例えば、捻れモード502の励起の際の回転と一緒に回転する。それにより、自然周波数は回転角度の関数として、ならびに/またはしたがって時間の関数として変動するので、パラメトリック発振器が形成される。パラメトリック発振器の様々な状態間でのエネルギーの転送によって、非線形性がもたらされる。パラメトリック発振器の形成は、高n次の回転対称性を使用することによって防ぐことができる。好ましくは、支持要素は、捻れ角に対する自然周波数の依存が起こらないように配置されてもよい。
【0087】
支持要素101−1、102−1、101−2、102−2の捻れモードの励起中、非線形性を回避することができるので、捻れモード502を用いて、特に大きい光のスキャン角度を達成することが可能である。
【0088】
図12は、スキャン部99に関する態様を示している。図12による実施例では、スキャン部99は、任意の釣合い重り1371を有する単一の支持要素101を備える。したがって、横モード501の励起中にミラー表面151の傾斜が起こる。これは図13に示されている。図13は、特に、最も低次の横モード501を示している。他の実施例では、より高次の横モードが光180のスキャンに使用されることも可能であり、それにより、支持要素101の偏向は、支持要素101の長さ211に沿った特定の位置において、ゼロに等しくなるであろう(いわゆる偏向のノードまたはバルジ)。
【0089】
図14は、例えば、2Dスキャン領域の重畳図を実現するのに用いることができる、移動自由度501、502の共振曲線1301、1302に関する態様を示している。図14は、ここでは、それぞれの移動自由度501、502の励起の振幅を示している。それにより、図14の実施例による共鳴スペクトルは、少なくとも1つの支持要素101、102の様々な移動自由度501、502の時間的および空間的重畳が2Dスキャンにとって望ましいときに、特に望ましいことがある。
【0090】
図14による実施例では、例えば、単一のスキャン部99が様々な移動自由度501、502を実現するのに使用されるという点で、2つの共振曲線1301、1302を、時間的および空間的に励起することができる。しかしながら、図14の実施例では、2つの共振曲線1301、1302が、空間的重畳ではなく時間的重畳によって励起されることも可能であろう。この目的のため、共振曲線1301にしたがって移動自由度501、502を実現するために、第1のスキャン部99が使用され、共振曲線1302にしたがって移動自由度501、502を実現するために、第2のスキャン部99が使用されることが可能であろう。
【0091】
横モード501の共振曲線1301は最大値1311(実線)を有する。図14はまた、捻れモード502の共振曲線1302(破線)を示している。共振曲線1302は最大値1312を有する。
【0092】
捻れモード502の最大値1312は、例えば、最低次の横モード501であり得る、横モード501の最大値1311よりも低周波数である。それにより、スキャンモジュールが、振動などの外部干渉に関して、特に堅牢であることを達成することができる。これは、かかる外部励起が一般的に、横モード501を特に効率的に励起するが、捻れモード502は特に効率的には励起しないためである。
【0093】
例えば、共振曲線1301、1302はローレンツ型を有することができる。これは、対応する移動自由度501、502を調波発振器によって説明できる場合であろう。
【0094】
最大値1311、1312は互いに対して周波数が変位される。例えば、最大値1311、1312間の周波数間隔は、5Hz〜500Hzの範囲内、オプションで10Hz〜200Hzの範囲内、更にオプションでは30Hz〜100Hzの範囲内であることができる。
【0095】
図14はまた、共振曲線1301、1302の全幅半値1321、1322を示している。一般的に、全幅半値は、対応する移動自由度501、502を減衰することによって規定される。図14による実施例では、全幅半値1321、1322は等しいが、一般に、全幅半値1321、1322は互いに異なる場合がある。
【0096】
図14による実施例では、共振曲線1301、1302は重複範囲1330(陰影によって示される)を有する。これは、横モード501および捻れモード502が縮退していることを意味する。重複範囲1330では、共振曲線1301および共振曲線1302の両方が著しい振幅を有する。例えば、共振曲線1301、1302の振幅は、重複範囲において、それぞれの最大値1311、1312の対応する振幅の10%以上、オプションで5%以上、更にオプションでは1%以上であることが可能であろう。重複範囲1330は、2つの移動自由度501、502を相互連結的に、つまり同じ周波数で共鳴的に励起できることを意味する。周波数は2つの最大値1311、1312の間である。それによって、時間的および空間的重畳を達成することができる。しかしながら、他方で、2つの移動自由度501、502の接続によって、非線形効果を抑制または防止することができる。
【0097】
異なる移動自由度501、502、図14による実施例では、捻れモード502および横モード501を使用する代わりに、同じ移動自由度を二重使用することによって重畳図を達成することもできる。例えば、第1のスキャン部の捻れモード502、ならびに第2のスキャン部の捻れモード502を励起することができる。そのため、2つの異なるスキャン部99が代わりに割り当てられてもよい、2つの捻れモードの空間的重畳はない。代替例として、例えば、第1のスキャン部の横モード501、ならびに第2のスキャン部の横モード501を励起することも可能であろう。異なるスキャン部の同じ移動自由度を二重使用する上述のような場合であっても、例えば、スキャン部間の製造公差または所望の構造上のばらつきなどに基づいて、特定の距離が共振曲線の最大値の間にもたらされる。
【0098】
図15は、スキャン部99に関する態様を示している。図15による実施例では、第1の対の支持要素101−1、102−1、ならびに第2の対の支持要素101−2、102−2を有する、スキャンモジュール100が示されている。第1の対の支持要素101−1、102−1は1つの面内に配置され、第2の対の支持要素101−2、102−2も1つの面内に配置される。これらの面は互いに平行であり、互いに対してオフセットされて配置される。
【0099】
図15による実施例では、例えば、図4による実施例にしたがって、2つのスキャンモジュール100を組み合わせることができる。支持要素の各対は、この場合、対応する基部141−1、141−2、ならびに対応するインターフェース要素142−1、142−2に割り当てられる。両方のインターフェース要素142−1、142−2は、この場合、ミラー150との連結を作り出す。このように、多数の支持要素を有する、特に安定したスキャンモジュール100を提供できることを達成することができる。特に、スキャンモジュール100は、異なる面内に配置された支持要素を有してもよい。これによって特に高い堅牢性を可能にすることができる。
【0100】
図15はまた、基部141−1が基部141−2と一体的に形成されていないことを明らかに示している。それに加えて、インターフェース要素142−1はインターフェース要素142−2と一体的に形成されていない。支持要素101−1、102−1も支持要素102−1、102−2と一体的に形成されていない。特に、様々な上述した部品を、ウェハの異なる範囲から製造し、続いて、例えば結合または陽極結合によって、互いに連結することが可能であろう。連結技術の他の例は、融着、融合、および/または直接結合、共融結合、熱圧着、および接着結合を含む。対応する連結表面160が図15に示されている。かかる技術は、スキャンモジュール100を特に単純な形で製造できることを意味する。特に、完全なスキャンモジュール100を一体的に製造するか、またはウェハから統合する必要はない。代わりに、スキャンモジュール100を二段階製造プロセスで製造することができる。しかしながら、同時に、これは堅牢性を少々低減させる可能性があるが、大きい連結表面160に基づいて、特に安定した連結を、基部141−1と基部141−2、およびインターフェース要素142−1とインターフェース要素142−2の間にそれぞれ製造することができる。
【0101】
しかしながら、このプロセスでは、基部141−1、支持要素101−1、102−1、ならびにインターフェース要素142−1を、対称面(連結表面160も存在する)上の鏡映によって、基部141−2、支持要素102−1、102−2、ならびにインターフェース要素142−2上に描くことができる。それによって、高度に対称な構成を達成することができる。特に、回転対称構成を達成することができる。回転対称は、この場合、n=4の次数、即ち、使用される支持要素101−1、101−2、102−1、102−2の数に等しい次数を有してもよい。中心軸220に関するかかる対称構成は、捻れモード502の励起に関して特定の利点を有してもよい。非線形性は回避することができる。
【0102】
例えば、図15による実施例によるスキャン部99は、図11による実施例による捻れモード502に使用することができる。
【0103】
図16は、スキャナ90に関する態様を示している。スキャナ90は、例えば、図15の実施例にしたがってそれぞれ形成される、2つのスキャン部99−1、99−2を備える。したがって、スキャナ90は、スキャン部99−1、99−2のミラー150の前面で光180を連続的に偏向するように設定される(対応する光路が、図16に点線で示される)。図16は、待機状態の、即ち、例えば圧電曲げアクチュエータ310、320を用いて、スキャン部99−1、99−2を作動していない、スキャナを示している。
【0104】
例えば、重畳図にしたがって、2Dスキャン領域を規定する異なる放射角度を実現するために、スキャン部99−1、99−2の2つのスキャンモジュール101の捻れモード502が励起されることが可能であろう。しかしながら、他の移動自由度を使用することもできる。
【0105】
図16は、スキャン部99−1、99−2のミラー150のサスペンションがそれぞれ、4つの弾性のロッド状要素101−1、101−2、102−1、102−2を備えることを明らかに示している。したがって、スキャン部99−1、99−2は、図15による実施例にしたがって構成される。しかしながら、他の実施例では、ミラー150のサスペンションが、より少数または多数のロッド状要素(例えば、図5および6、ならびに12および13に示されるような、1つのみの弾性のロッド状要素)を有することも可能であろう。
【0106】
図16による実施例では、スキャン部99−1、99−2のスキャンモジュール100はそれぞれ、ミラー150の後面から異なる方向で離れるように延在することが明らかである。後面のサスペンションは、スキャンモジュール101によって実現される。スキャンモジュール101は、ミラー150の後面に面している側面まで延在する。スキャン部99−1、99−2のミラー150のミラー面には、サスペンションは存在しない。ミラー150の後面のかかる一点サスペンションにより、スキャン部99−1、99−2のミラー150を特に互いの近くに配置できることが可能である。スキャナ90のかかる高度な統合によって、小さいハウジング設計を達成することができる。このことにより、スキャナ90を、例えば、個人車両または空中無人機などに統合することが容易になる。それに加えて、反射光もミラー150を用いて検出される場合、実効検出器開口を特に大きい寸法にすることが可能である。したがってこのことが好ましいのは、ミラー縁部の著しいシフトが、大きいミラーまたは大きい偏向角度を有する参照実現例において起こるためである。したがって、ミラーは参照実現例におけるサスペンションと接触し、それによって最大開口および/または角度を制限することが可能である。
【0107】
例えば、図16は、スキャン部99−1のミラー表面151の中心と、スキャン部99−2のミラー表面151の中心との間の距離70を示している。この距離70は特に短くてもよい。例えば、この距離70は、ミラー表面151の直径の四倍以下、オプションで直径の三倍以下、更にオプションでは直径の1.8倍以下であることができる。
【0108】
図16による実施例では、スキャンモジュール100の中心軸220は、ミラー表面151の表面法線155に対して45°の角度で傾斜される(図4を参照)。したがって、スキャン部99−1のスキャンモジュール100の捻れモード502、ならびにスキャン部99−2のスキャンモジュール100の捻れモード502の両方が励起されるのが望ましいことがある。これらは縮退することがあるが、その場合、異なる共鳴周波数および/または共振曲線の最大値が可能である。
【0109】
図16による実施例では、スキャン部99−1、99−2の中心軸220の角度は90°に等しい。この角度は、90°変動することもあり、例えば90°±25°となる。かかる配置を用いて、特に大きいスキャン領域を実現することができる。
【0110】
例えば、横モード501がスキャン光に使用される場合、スキャン部99−1、99−2の中心軸220は、ほぼ180°の角度(図16には図示なし)を形成し、つまりスキャン部99−1、99−2の線形配置(対面)が選択されることが望ましい場合がある。
【0111】
図17〜22は、図16による実施例によるスキャナ90の様々な表現である。この場合、異なる視点が示されている。
【0112】
図23は、スキャンモジュール100の作動に関する態様を示している。例えば、スキャナ90のスキャンモジュール100は、図16〜22による実施例にしたがって対応して作動させることができる。
【0113】
図23は、アクチュエータ移動831の時間曲線を示している。図23は、特に、アクチュエータ移動831としての、圧電曲げアクチュエータ310、320の互いに対する相対偏向を示している(図8を参照)。例えば、図23は、したがって、図5および6による実施例の圧電曲げアクチュエータ310、320の端部315、325の距離を示してもよい。しかしながら、アクチュエータ移動831の他の特性、例えば、圧電曲げアクチュエータ310の移動399−1、または圧電曲げアクチュエータ399−2の移動399−2も考慮することができる。アクチュエータ移動831は、圧電曲げアクチュエータ310、320によって提供される力の流れに比例する。これに関して、図23は、圧電曲げアクチュエータ310、320を使用する一実施例を示しているが、他の実施例では、対応する力の流れが提供される場合、他のアクチュエータ、例えば、磁場などを使用するアクチュエータを使用することができる。
【0114】
アクチュエータ移動831の周波数は、選択された移動自由度501、502の共振曲線1301、1302に対して整合される(図10および14を参照)。移動自由度501、502はアクチュエータ移動を用いて励起される。図24による実施例では、アクチュエータ移動831がスキャンモジュール100の基部141の傾斜に影響するので、捻れモード502が励起される。これは、アクチュエータ移動831が、圧電曲げアクチュエータ310、320の端部315、325の間の時間変動する距離に影響するためである。他の実施例では、横モード501は、適切なアクチュエータ移動を用いて励起することもできる。
【0115】
図23による実施例では、アクチュエータ移動831は一定の振幅を有する。それにより、捻れモード502は一定の振幅832で励起される。これは図24に示されている(図24は、捻れモードの瞬間偏向を示していない)。
【0116】
図25および26は、実質的に図23および24に対応する。図25および26による実施例では、しかしながら、交互の上昇側面848および下降側面849を有する周期的振幅変調機能842にしたがって、捻れモード502を励起するために、圧電曲げアクチュエータ310、320が設定される。この目的のため、適切なアクチュエータ移動831が実現される。
【0117】
図26は、特に、上昇側面848の長さ848Aが下降側面849の長さ849Aよりも実質的に長いことを示している。例えば、上昇側面848の長さは、下降側面849の長さのサイズの少なくとも二倍、オプションで少なくとも四倍、更にオプションでは少なくとも十倍であることができる。
【0118】
図25による実施例では、下降側面849は十分に短いので、それらの長さは、共鳴的に作動させた捻れモード502の周波数、および/またはアクチュエータ移動831の周波数の周期の二倍以下である。一般に、振幅変調機能842の下降側面849の長さは、捻れモード502の周波数の時限の十倍以下、オプションで三倍以下、更にオプションでは二倍以下であることができる。
【0119】
下降側面849の長さ849Aの特に短い寸法決めによって、最大振幅843まで完全に作動させた後(その際に別の作動があり得る)、対応する移動自由度501、502に関して、スキャンモジュール100を待機状態844へと特に迅速に移行させることが可能になる。このことは、対応する移動自由度501、502にしたがって、移動のリセットを迅速に行うことができることを意味する。これは、対応する移動自由度を用いて重畳図が実現されるとき、特に有用であり得る。
【0120】
例えば、上昇側面848の間のみ画像化するため、LIDAR測定が実施されることが可能であろう。時限848Aの間に行われる全てのLIDAR測定の量は、この場合、特定の環境領域のLIDAR画像に対応してもよい。特定の画像反復周波数を有するLIDAR画像が提供されるように、リセット後に再び同じ環境領域をスキャンすることができる。長さ849Aが短いほど、画像反復周波数が高くなる。
【0121】
下降側面849の長さの短い寸法決めは、下降側面849の間の捻れモード502による移動の低速化を用いて達成することができる。換言すれば、これは、捻れモード502による移動が能動的に減衰され、即ち、固有減衰および/または質量モーメントによって提供されるよりも強い減衰が行われることを意味する。この目的のため、圧電曲げアクチュエータ310、320の適切なアクチュエータ移動831が使用される。
【0122】
捻れモード502の移動のかかる低速化は、特に、下降側面849の間のアクチュエータ移動831の振幅835の増加を用いて達成される。これは、例えば、圧電曲げアクチュエータ310、320の個々の移動399−1、399−2の増加によって達成することができる。例えば、下降側面849の間におけるアクチュエータ移動831の平均振幅は、上昇側面848の間におけるアクチュエータ移動831の平均振幅のサイズの二倍、オプションで少なくとも四倍、更にオプションでは少なくとも十倍であることができる。下降側面849の間におけるアクチュエータ移動831の振幅の増加により、捻れモード502による移動の特に迅速な低速化を達成することができる。これは、スキャンモジュール100に対する力の流れを増加させることができるためである。
【0123】
捻れモード502の移動の低速化はまた、アクチュエータ移動831における位相跳躍849を用いて達成することができる。これは、次いで、圧電曲げアクチュエータ310、320の個々の移動399−1、399−2における位相跳躍を用いて達成することができる。図25による実施例では、位相跳躍849は、2つの圧電曲げアクチュエータ310、320それぞれの偏向における位相シフトを実現する。例えば、圧電曲げアクチュエータ310の個々の移動399−1は、上昇側面848と下降側面849との間で180°の位相シフトを有する。それに対応して、圧電曲げアクチュエータ320の個々の移動399−2も、上昇側面848と下降側面849との間に180°の位相シフトを有する。図25に示される結果として得られるアクチュエータ移動831の位相跳躍849は、それにより、端部315、325間の距離として達成される。それにより、上昇側面848の時間枠と比較して、捻れモード502の逆位相励起も、下降側面849の時間枠で達成され、それにより、下降側面849の間の捻れモード502による移動の低速化がもたらされる。
【0124】
図25による実施例では、アクチュエータ移動831は、上昇側面848の間の一定振幅835と、下降側面849の間の一定振幅835とを有するが、他の実施例では、アクチュエータ移動831が、上昇側面848の間の時間変動する振幅、および/または下降側面849の間の時間変動する振幅(図25には図示なし)を有することも可能であろう。
【0125】
いくつかの実施例では、スキャナ90の第1のスキャン部99−1は、図23および24の実施例にしたがって動作させることができ、スキャナ90の第2のスキャン部99−2は、図25および26の実施例にしたがって動作させることができる。換言すれば、これは、例えば捻れモード502または2つの横モード501に対して、異なるように作動された移動自由度が、異なるスキャン部99−1、99−2と関連付けられてもよいことを意味する。そこから、二次元スキャン領域を可能にする重畳図を得ることができる。これは図27に示されている。
【0126】
図27は、重畳図900に関する態様を示している。図27は、重畳図900によって規定される、2Dスキャン領域915(図27の破線)に関する特定の態様を示している。図27は、この場合、一定振幅832(図23および24を参照)で作動させられた捻れモード502を用いて、例えばスキャン部99−1を用いて達成することができる、スキャン角度901を示している。図27は、この場合、一定振幅843(図25および26を参照)で作動させられた捻れモード502を用いて、例えばスキャン部99−2を用いて達成することができる、スキャン角度902を示している。2つのスキャン角度901、902を使用することで、2つの直交する空間方向で変動する放射角度を得ることができ、それにより、2D環境領域をスキャンすることができる。
【0127】
しかしながら、他の実施例では、一定振幅の横モード501および変調振幅の横モード501を使用することができる。更に他の実施例では、横モード501および捻れモード502を使用することができる。また、異なる次数の横モード501を使用することが可能であろう。また、異なる次数の捻れモード502を使用することが可能であろう。
【0128】
図27による実施例による重畳図900は、スキャン部99−1、99−2の捻れモード502が同じ周波数を有するときに得られる。別の方法では一般的にリサージュスキャンに関して生じるような、重畳図900におけるノードは防止される。それに加えて、振幅変調機能842の上昇側面848の間に捻れモードの振幅が増加したとき、図27による実施例による重畳図900が得られる。これは、つまり、重畳図900が一種の「開いた眼」として得られることを意味し、即ち、横モード501の振幅が増加するにつれて(図27の垂直な点線の矢印によって示される)、より大きいスキャン角度901が得られる。それにより、スキャン線(図27の水平な点線の矢印)を得ることができ、それを用いてレーザースキャナ99の環境をスキャンすることができる。次に、繰り返される光パルスの放射によって、異なるピクセル951を得ることができる。多くのノードを有する重畳図を防止することができ、それにより、特に高い画像反復周波数を達成することができる。それに加えて、これは、ノード間の特定の領域がスキャンされないことを防止する。
【0129】
下降側面849の間の迅速な低速化によって、「開いた眼」を迅速に繰り返すことができ、即ち、重畳図900を次々に迅速に実現することができる。むだ時間が低減される。
【0130】
上記に、「開いた眼」が使用される、即ち、重畳図900のリセットが下降側面849を用いて実現される、技術について説明した。他の実施例では、「閉じた眼」も使用することができる。下降側面849は、上昇側面848の長さ848Aよりも長い、長さ849Aを有してもよい。LIDAR撮像は、主にまたは排他的に、下降側面849の間に行われることが可能である。
【0131】
本明細書に記載する様々な実施例では、使用されるスキャン部99、99−1、99−2のスキャン角度901、902を特に良好に判定するのが望ましいことがある。この目的のため、図28の実施例による技術を使用することができる。
【0132】
図28による実施例は、本質的に、図1による実施例に対応している。図29Aによる実施例では、磁石660が更に、インターフェース要素142上に配置されるかまたはそれに取り付けられる。図28による実施例では、磁石660は強磁性コーティングとして形成される。他の実施例では、磁石660が、例えば、バルク材料または強磁性ピルとして形成されることも可能であろう。
【0133】
図28による実施例では、角度方向磁場センサ662も提供され、磁石660の漂遊磁場内に配置される。角度方向磁場センサ662は、スキャンモジュール100の捻れ502を示す、信号を出力する。例えば、信号は、アナログであってもよく、例えば、漂遊磁場の配向に応じて、最小値と最大値との間で0°〜360°の範囲で変動する、信号レベルを有してもよい。漂遊磁場の配向をデジタル的にコード化する、デジタル信号も出力されてもよい。信号は、例えばコントローラによって受信し、圧電曲げアクチュエータ310、320の適切な作動に使用することができる。例えば、重畳図900を正確に再現するために、制御回路を実装することができる。
【0134】
一般に、角度方向磁場センサ662の信号は、漂遊磁場の強度と共に変動することはない。
【0135】
それにより、捻れ502の移動を正確に監視することができる。そのため、それぞれのスキャン部99によって実現される、対応する角度901、902を、正確に推論することができる。それにより、特に高い方位分解能をLIDAR測定に提供することができる。
【0136】
図28による実施例では、ミラー150の後面152は、ミラー表面151と磁石660と角度方向磁場センサ162との間に配置される。このことは、磁石660および角度方向磁場センサ662の両方が、ミラー表面151に対して後側に配置されることを意味する。このことは、磁石660および角度方向磁場センサ662の両方が、ミラー150の後面152に面する側に配置されることを意味する。それによって、特に高レベルの統合を達成することができる。それに加えて、高い信号雑音比を達成できるように、角度方向磁場センサ162を、磁石660に特に近付けて配置することができる。それにより、対応する角度901、902も特に正確に決定することができる。特に、光180の光路はミラー150の前面151に面する側まで延在するので、光180の光路と角度方向磁場センサ662との構造上の分離を、特に単純に達成することができる。磁石660および角度方向磁場センサ662は、ミラー150に対して後側に配置されるので、複数のスキャン部99のスキャナ90との距離70を、特に短く寸法決めすることができる。
【0137】
図28による実施例では、磁石660の磁気モーメント661は、中心軸220および/または捻れモード502の捻れ軸(図29Aを参照)に対して垂直に配置される。一般に、磁石660は、捻れ軸に対して垂直な少なくとも1つの成分を有する、磁気モーメント661を有してもよい。例えば、それにより、図29Aの描画面において感度を有する、面内角度方向磁場センサ662を使用することができる。他の実施例では、面外感度を有する角度方向磁場センサ662も使用することができる。
【0138】
図28および29Aによる実施例では、磁気モーメント661は更に、中心軸220および/または捻れ502の捻れ軸に対して対称に配置される。このことは、磁気モーメント661が中心軸および/または捻れ軸の両側に延長を有することを意味する。反射対称性は必須ではない。しかしながら、角度方向磁場センサ662は同時に、中心軸220に対して偏心的に配置される。これは、例えば、測定信号を低減することができるが、角度方向磁場センサ662の取付けに関して、より柔軟な選択が可能になる。例えば、角度方向磁場センサ662は、基部141に径方向で隣接して取り付けることができる。しかしながら、他の実施例では、角度方向磁場センサ662を磁石660に隣接させて、即ち磁石660に対して中心軸220に沿ってオフセットせずに、配置することも可能であろう。
【0139】
磁石660は中心軸220の近くに取り付けられる。磁石660は特に、中心軸220に対して対称的に取り付けられる。これは、移動部品の、即ちインターフェース要素142およびミラー150の質量慣性モーメントが、磁性材料を提供することによって過度に増加するのを防ぐ。それにより、捻れモードを高い固有周波数で達成することができる。対称的配置により、捻れモードに影響するであろう非対称性が防止される。
【0140】
図28による実施例では、磁石660はミラー150にしっかりと連結され、即ち移動座標系内に配置されるが、角度方向磁場センサ662は、基部141の基準座標系内に配置される。このようにして、移動座標系から一般的にコントローラが配置される基準座標系への移動が不要なので、角度方向磁場センサ662の信号を、特に単純に読み出すことができる。しかしながら、他の実施例では、逆の配置が提供されること、即ち、角度方向磁場センサ662が移動座標系に配置され、磁石660が基部141の基準座標系に配置されることも可能であろう。例えば、そのため、角度方向磁場センサ662の信号を、例えば光変調を用いて、無線で転送することができる。あるいは、例えば金属コーティングまたはドーピングによる導体が、弾性要素101、102に沿って提供されてもよく、導体によって、角度方向磁場センサ662の信号の伝達ができるようになる。かかる実現例は、例えば、1つの同じ磁石660が、スキャナ90の異なるスキャン部99、99−1、99−2と関連付けられた、または異なるスキャン部99、99−1、99−2の移動座標系内に配置された、複数の角度方向磁場センサ662に対して漂遊磁場を提供している場合に、有益なことがある。したがって、異なる角度方向磁場センサ662は、異なるスキャン部99、99−1、99−2の偏向部にしっかりと連結されてもよい。例えば、磁石660は、大きい直線磁場が利用可能であるように、特に強力であってもよい。
【0141】
磁石660が移動座標系に取り付けられる、図28による実施例では、異なるスキャン部99−1、99−2と関連付けられた磁石660からの漂遊磁場の単純な分離は、次のように行うことができる。角度方向磁場センサ662の面内感度および捻れ軸220(図16を参照)の垂直配置を用いると、異なるスキャン部99−1、99−2と関連付けられた角度方向磁場センサ662は交差感度を全くまたはわずかしか有さない。これは、対応する漂遊磁場が、互いに垂直に配向された面内で回転するためである。
【0142】
図29Bは、角度方向磁場センサ662に対する磁石660の配置に関する態様を示している。図29Bによる実施例は、実質的に、図15による実施例に対応する(図29Bでは、明瞭にするためにミラー150は示されていないが、図29による斜視図は、ミラー150も示されている図15による斜視図に対応する)。
【0143】
磁石660はインターフェース要素142に取り付けられる。特に、磁石660はインターフェース要素142に埋め込まれる。例えば、これは、例えば図15にしたがって、二部分のインターフェース要素142−1、142−2が使用されることで達成することができる。そのため、磁石660は、2つのインターフェース要素142−1、142−2の接触表面160の間のスペーサとして提供することができる。
【0144】
図29Bでは、弾性要素はz軸に沿って延在する。したがって、捻れ軸および/または中心軸220はz軸に対して平行である。磁石660の磁化661は、z軸に対して垂直に、y軸に沿って配向される。磁化661は、捻れ軸および/または中心軸220に対して対称的に配置される。
【0145】
角度方向磁場センサ662は、中心軸220に対して偏心して、即ち図29Bによる実施例のx軸に沿ってオフセットして配置される(一般に、角度方向磁場センサ662も、y軸に沿ってオフセットして配置することができる)。磁石660と角度方向磁場センサ662の高感度表面662Zとの間の対応する距離662Aが、図29Bに示される。
【0146】
角度方向磁場センサ662は高感度表面662Zを有する。これはyz面で延在する。角度方向磁場センサ662は面内感度を有し、したがって、角度方向磁場センサ662は、yz面内における磁化661の漂遊磁場の配向を示す信号を出力する。漂遊磁場の強度は信号を通らない。
【0147】
角度方向磁場センサ662は、磁石660の反対側に、z軸に沿ってオフセットされて配置され、対応する距離662Bが概略的に示されている(例えば、距離662Bは、z軸に沿って磁石660の中心に対して規定することができる)。図29Bによる実施例では、角度方向磁場センサ662の高感度表面662Zの中心662Cは、磁石660の基部141に面する縁部660C上で、即ち、弾性要素101−1、101−2、102−1、102−2とインターフェース要素142との間の移行部(図29Bのx方向で配向された破線によって示される)で、位置合わせされる。オフセット662Bは、磁石が捻れ502にしたがって歪むと、漂遊磁場が、yz面内で高感度表面662Zにおいて回転することを意味する。捻れ502と漂遊磁場の角度との非線形的関連は、サイズが限定されたオフセット662Bによって防止される。
【0148】
基部142の移動に関する角度方向磁場センサ662の感度について、以下に考察する。基部141の捻れがない、即ち待機状態では、磁化661は(図29Bに示されるように)y軸に沿って位置合わせされる。そのため、漂遊磁場もy軸に沿って高感度表面662Z内で配向される。捻れ502が基部142を歪ませると、磁化661も歪む。例えば、捻れ角度90°は、負のx軸に沿った磁化661の配向に対応するであろう。それにより、角度方向磁場センサ662の偏心配置によって、z方向に沿った漂遊磁場の有効な配向がもたらされる。高感度表面662Zにおける漂遊磁場のこの歪みは、角度方向磁場センサ662によって測定される。
【0149】
基部142がx軸に沿って横断方向で偏向しているので、漂遊磁場の配向は、感受性面662Z内で特に大幅に変化しない。したがって、測定信号は著しく歪まない。基部142のy軸に沿った横断方向の偏向によって、感受性面662Z内における漂遊磁場の配向が、x軸に沿った偏向よりも大幅に変化する。この効果を相殺するために、中心軸220(図29Bに図示なし)に対して反転して配置される、2つの角度方向磁場センサを提供することが可能であろう。したがって、2つの角度方向磁場センサは、一度は正のx軸に沿って、一度は負のx軸に沿って、磁石660に対して同じ距離662Aを有してもよい。距離662Bは同じであり得る。したがって、角度方向磁場センサは、捻れ502に関して対応する信号、つまり例えば、同じであるかまたは例えば正の相関を出力するために、また横断方向偏向に対して補完的信号を出力するために配置されてもよい。基部142のy軸に沿った横断方向偏向によって、2つの角度方向磁場センサの信号に対して反対方向の寄与がもたらされる。横断方向偏向は減算を使用して定量化することができる。それにより、制御は、捻れ502に加えて、例えば減衰、横断方向偏向も考慮することができる。このことは、対応する制御回路が、横断方向偏向の設定値振幅を本質的にゼロに指定することを意味する。
【0150】
図30は、LIDARシステム80に関する態様を示している。LIDARシステム80は、例えば、本明細書に記載する様々な実現例にしたがって形成されてもよい、レーザースキャナ90を備える。LIDARシステムは光源81も備える。例えば、光源81はまた、ナノ秒範囲のパルス長を有する近赤外範囲のパルスレーザー光180を放射する、レーザーダイオードとして形成することができる。
【0151】
光源81の光180は、次に、スキャナ90の1つまたは複数のミラー表面151に衝突することができる。偏向部の配向に応じて、光は異なる角度901、902で偏向される。光源81によって放射され、スキャナ90のミラー表面によって偏向された光は、一次光と呼ばれる場合も多い。
【0152】
一次光は、次に、LIDARシステム80の環境物体に衝突することができる。このようにして反射した一次光は、二次光として特徴付けられる。二次光は、LIDARシステム80の検出器82によって検出されてもよい。光源81による一次光の放射と検出器82による二次光の検出との間の時間遅延として判定することができる、移動時間に基づいて、光源81または検出器82と環境物体との間の距離を、コントローラ4001を用いて判定することができる。
【0153】
場合によっては、エミッタ開口は検出器開口と同じであることができる。これは、同じスキャナを使用して検出器開口をスキャンできることを意味する。例えば、一次光を放射し、二次光を検出するために、同じミラーを使用することができる。次に、一次光と二次光を分割する、ビームスプリッタを提供することができる。かかる技術によって、特に高レベルの感度を達成することが可能になってもよい。これは、検出器開口を、二次光が到達する方向で位置合わせし限定することができるためである。検出器開口はより小さく寸法決めすることができるので、周囲光は空間フィルタリングによって低減される。
【0154】
この距離測定に加えて、環境物体の横方向位置も、例えばコントローラ4001によって判定することができる。これは、レーザースキャナ99の1つまたは複数の偏向部の位置および/または配向を監視することによって行うことができる。そのため、光180が衝突する瞬間における1つまたは複数の偏向部の位置および/または配向は、偏向角度901、902に対応してもよく、環境物体の横方向位置をそこから推論することができる。例えば、角度方向磁場センサ662の信号に基づいて、偏向部の位置および/または配向を判定することが可能であってもよい。
【0155】
角度方向磁場センサ662の信号は、環境物体の横方向位置を判定するときに考慮されるので、特に高い確度で、環境物体の横方向位置を判定することが可能であってもよい。特に、環境物体の横方向位置を判定する際に移動用のアクチュエータを作動するドライバ信号のみを考慮する技術と比較して、向上した確度をこの手法で達成することができる。
【0156】
図31は、LIDARシステム80に関する態様を示している。LIDARシステム80は、例えば、マイクロプロセッサまたは特定用途向け集積回路(ASIC)として実装することができる、コントローラ4001を備える。コントローラ4001はまた、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として実装することもできる。コントローラ4001は、制御信号をドライバ4002に対して出力するように設定される。例えば、制御信号は、デジタルまたはアナログ形式で出力することができる。
【0157】
ドライバ4002は、次いで、1つまたは複数の電圧信号を発生させ、それらを圧電アクチュエータ310、320の対応する電気接点に出力するように設定される。電圧信号の一般的な振幅は、50V〜250Vの範囲である。
【0158】
圧電アクチュエータ310、320は、次に、例えば、上記で図5および6を参照して記載したものなど、スキャンモジュール100と接続される。スキャンモジュール100の1つまたは複数の移動自由度は、特にスキャンモジュール100の1つまたは複数の支持要素101、102は、それによって励起することができる。偏向部はそれによって偏向される。それにより、レーザースキャナ99の環境領域を光180でスキャンすることができる。特に、捻れモード502を励起することができる。
【0159】
コントローラ4001は、2D環境領域をスキャンする重畳図を実現するために、圧電アクチュエータ310、320を適切に励起するように設定することができる。この目的のため、振幅変調機能842に関する技術を実現することができる。図31による実施例では、コントローラ4001は、特に、図23および25による実施例のアクチュエータ移動831にしたがって、ドライバ4002および/または圧電曲げアクチュエータ310、320を作動させるために、設定されてもよい。それにより、重畳図900を実現することができる。
【0160】
図31は、コントローラ4001と角度方向磁場センサ662との間に接続があることを更に示している。コントローラ4001は、角度方向磁場センサ662の信号に基づいて、1つまたは複数の圧電アクチュエータ310、320を作動させるために、設定することができる。コントローラ4001によるミラー表面151の移動の監視は、かかる技術を用いて行うことができる。必要であれば、コントローラ4001は、ミラー表面151の所望の移動とミラー表面151の観察される移動との間の偏差を低減するために、ドライバ4002の作動を適合させることができる。
【0161】
例えば、閉ループ制御を実現することが可能であろう。例えば、閉ループ制御は、制御変数としての移動の設定点振幅を含んでもよい。例えば、閉ループ制御は、制御変数としての移動の実際の振幅を含んでもよい。そのため、移動の実際の振幅は、角度方向磁場センサ662の信号に基づくことができる。
【0162】
図32は、例示の方法を示すフローチャートである。8001で、アクチュエータ、例えば圧電曲げアクチュエータを作動させて、周期的振幅変調機能にしたがって、弾性的に移動するスキャン部の第1の移動自由度を励起する。このプロセスでは、周期的振幅変調機能は、交互に配置された上昇側面と下降側面とを有する。上昇側面の長さは、この場合、下降側面の長さのサイズの少なくとも二倍、オプションで少なくとも四倍、更にオプションでは少なくとも十倍であってもよい。
【0163】
本発明の上述した実施形態および態様の特徴を、互いに組み合わせることができることは明白である。特に、特徴は、記載した組み合わせだけではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組み合わせで、または独立して使用することもできる。
【0164】
例えば、短い下降側面と長い上昇側面とを有する重畳図が実現される、技術について上述してきた。したがって、例えば、比較的長い下降側面と比較的短い上昇側面とが使用されることも可能であり、かかる一実施例では、例えば、LIDAR撮像が本質的に、比較的長い下降側面の間に行われることが可能であり得る。場合によっては、等しい長さの上昇側面および下降側面を使用することも可能であり、そのような場合、例えばいくつかのノードを有さないもしくは有する、重畳図の適切な実現によって、効率的なスキャンを確保することもできる。
【0165】
更に、2つの時間的に重複する移動自由度が同じ周波数で励起される、技術について上述してきた。場合によっては、例えば、第1の移動自由度が第1の周波数で励起され、第2の移動自由度が、第1の周波数とは異なる、例えば二倍の第2の周波数で励起されることも可能であろう。それにより、重畳図は、例えば、環境領域のスキャンの効率は低減される可能性があるが、同時に、移動自由度をより柔軟に選択することが可能になる、ノードを有してもよい。
【0166】
更に、第1のスキャン部と関連付けられた第1の捻れモードと、第2のスキャン部と関連付けられた第2の捻れモードとの時間的重畳を用いて説明される、重畳図に関する様々な実施例について上述してきた。しかしながら、例えば、異なるスキャン部と関連付けられた2つの横モードが使用される場合、対応する技術も実現されてもよい。
【0167】
更に、LIDAR測定と関連付けられたスキャン部の移動に関する様々な技術について、上述してきた。しかしながら、他の用途において、例えばプロジェクタまたはレーザー走査顕微鏡等に対して、対応する技術も使用されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25-26】
図27
図28
図29A
図29B
図30
図31
図32