(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846568
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】アルミニウム中高圧電極箔の酸化膜の品質を改善する後処理方法
(51)【国際特許分類】
C25D 11/20 20060101AFI20210315BHJP
H01G 9/00 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
C25D11/20
H01G9/00 290A
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-501552(P2020-501552)
(86)(22)【出願日】2018年12月18日
(65)【公表番号】特表2020-526671(P2020-526671A)
(43)【公表日】2020年8月31日
(86)【国際出願番号】CN2018121670
(87)【国際公開番号】WO2019179185
(87)【国際公開日】20190926
【審査請求日】2020年1月8日
(31)【優先権主張番号】201810225820.9
(32)【優先日】2018年3月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518446097
【氏名又は名称】南通海星電子股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Nantong Haixing Electronics Limited Liability Company
(73)【特許権者】
【識別番号】518446101
【氏名又は名称】南通海一電子有限公司
【氏名又は名称原語表記】Nantong Haiyi Electronics Co., Limited
(73)【特許権者】
【識別番号】520008717
【氏名又は名称】寧夏海力電子有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningxia Haili Electronics Co., Limited
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】厳季新
(72)【発明者】
【氏名】張智源
(72)【発明者】
【氏名】于永
(72)【発明者】
【氏名】王亜飛
(72)【発明者】
【氏名】趙宇飛
(72)【発明者】
【氏名】呉駿
(72)【発明者】
【氏名】銭琳靈
【審査官】
大塚 美咲
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第104294345(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第103258648(CN,A)
【文献】
特開平03−027512(JP,A)
【文献】
特開平01−319924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 11/20
H01G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム中高圧電極箔の酸化膜の品質を改善する後処理方法であって、
(A)アルミニウム腐食箔を95℃の脱イオン水で10min処理した後、6wt%クエン酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm2、電圧190Vの条件で、継続時間10minの第1段化成を行い、水洗浄槽で洗浄するステップと、
(B)洗浄された化成箔の4wt%クエン酸塩水溶液に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm2、385Vの電圧で、継続時間10minの第2段化成を行い、水洗浄槽で洗浄するステップと、
(C)5wt%ホウ酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm2、545Vの電圧で、継続時間15minの第3段化成を行うステップと、
(D)8wt%ホウ酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm2、620Vの電圧で、継続時間25minの第4段化成を行い、水洗浄槽で洗浄するステップと、
(E)オーブンにて500℃の高温熱処理を3min行い、第4段化成の水溶液と同じ水溶液に浸漬し、85℃、20mA/cm2、620Vの条件で、化成を10min行い、水洗浄槽で洗浄するステップと、
(F)6wt%リン酸容溶液に浸漬し、70℃の条件で、5min処理を行い、水洗浄槽で洗浄し、オーブンにて450℃の高温熱処理を3min行うステップと、
(G)第4段化成の水溶液と同じ水溶液に浸漬し、85℃、20mA/cm2、620Vの条件で、化成を10min行い、水洗浄槽で洗浄するステップと、
(H)化成箔を後処理槽の処理液に浸漬し、後処理を行い、前記処理槽内に負極電極を設け、電極の幅を0.5〜5cmとし、処理液は、リン酸塩の1種または1種以上を含み、処理液のpH値を5〜8とし、50〜90℃、100〜800Vの条件で、電流密度を1mA/cm2から0.1mA/cm2に制御し、3〜15min化成を行った後、取り出して、水で洗浄し、乾燥させるステップと、を含むことを特徴とするアルミニウム中高圧電極箔の酸化膜の品質を改善する後処理方法。
【請求項2】
前記後処理ステップにおいて、化成箔は、0.1wt%リン酸二水素アンモニウムと0.08g/L次亜リン酸溶液とに浸漬され、70℃、200Vの条件で、電流密度を1mA/cm2から0.1mA/cm2に制御し、化成を5min行う、ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム中高圧電極箔の酸化膜の品質を改善する後処理方法。
【請求項3】
前記後処理ステップにおいて、化成箔は、0.1wt%リン酸二水素アンモニウムと0.08g/L次亜リン酸溶液とに浸漬され、70℃、200Vの条件で、電流密度を0.5mA/cm2から0.05mA/cm2に制御し、化成を5min行う、ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム中高圧電極箔の酸化膜の品質を改善する後処理方法。
【請求項4】
前記後処理ステップにおいて、化成箔は、0.1wt%リン酸二水素アンモニウムと0.08g/L次亜リン酸溶液とに浸漬され、70℃、200Vの条件で、電流密度を0.1mA/cm2から0.01mA/cm2に制御し、化成を5min行う、ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム中高圧電極箔の酸化膜の品質を改善する後処理方法。
【請求項5】
前記後処理ステップにおいて、化成箔は、0.1wt%リン酸二水素アンモニウムと0.08g/L次亜リン酸溶液とに浸漬され、70℃、200Vの条件で、電流密度が1mA/cm2〜0.01mA/cm2に制御され、5min化成する、ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム中高圧電極箔の酸化膜の品質を改善する後処理方法。
【請求項6】
前記後処理ステップにおいて、化成箔は、0.1wt%リン酸二水素アンモニウムと0.08g/L次亜リン酸溶液とに浸漬され、70℃、200Vの条件で、電流密度が1mA/cm2に一定されるように制御して、5min化成する、ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム中高圧電極箔の酸化膜の品質を改善する後処理方法。
【請求項7】
前記負極電極がステンレス電極であり、且つ処理槽において等距離または非等距離に分布される、ことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか一つに記載のアルミニウム中高圧電極箔の酸化膜の品質を改善する後処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中高圧電極箔の酸化膜の品質を改善する後処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム電解コンデンサーは、高品質且つ低コストの特徴があるため、コンデンサー産業に広く使用されているが、使用寿命がアルミニウム電解コンデンサーの最も大きな問題として残っている。アルミニウム電解コンデンサーのコア材料としての電極箔は、その酸化膜の品質がアルミニウム電解コンデンサーの寿命に大きな影響を与える。産業界の需要に応じて、機械工場の設計要件を満たすための耐リップル性、長寿命のコンデンサーを提案している。電極箔の酸化膜の品質も過去に比べて大幅改善されたが、まだ改善の余地がある。現在の問題は、漏電流をさらに低減しすることおよび耐水和性能を改善することである。
【0003】
従来技術では、中高圧アルミニウム電解コンデンサー用電極箔の後処理方法において、腐食箔は、水和処理、多段階電流印加による化成、中間処理、熱処理を経て、さらに、化成後修復処理をした後、化成箔を後処理槽の処理液に浸漬し、後処理を行う。当該後処理槽液はリン酸二水素アンモニウム水溶液であり、浸漬されているだけで電気処理は行われていない。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、上述した欠点を解決することを目的とし、アルミニウム電解コンデンサー用中高圧電極箔の酸化膜の品質を改善する後処理方法を提供する。電流密度可変な電流を印加して処理液のイオン化を加速させ、リン酸イオンは、化成箔の酸化膜を透過して内部欠陥に侵入し、表面で酸素イオンの吸着を形成し、酸化膜の欠陥にあるAl
3+が酸化膜に迅速に生成することで、漏電流を低減することができる。また、リン酸イオンは、酸化膜表面でアルミニウムと複合反応して、アルミニウムリン酸塩層を形成し、外部の水と化成箔との水和反応を防止することができる。電流密度を減少することによって、アルミニウムリン酸塩の過量生成による酸化膜の品質低下を防止することができ、電流密度可変な電流を印加して化成箔の酸化膜の漏電流が低減し、耐水和性能を改善し、酸化膜の品質、アルミニウム電解コンデンサーの寿命を向上させることができる。
【0005】
本発明の目的は、以下のように、中高圧電極箔の酸化膜の品質を改善する後処理方法であって、
(Aステップ)
腐食箔を95℃の脱イオン水に10min処理した後、6wt%クエン酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm2、電圧190Vの条件で、継続時間10minの第1段化成を行い、水洗浄槽で洗浄するステップと、
(Bステップ)
洗浄された化成箔は、4wt%クエン酸塩水溶液に浸漬され、85℃、電流密度20mA/cm
2、385Vの電圧で、継続時間10minの第2段化成を行い、水洗浄槽で洗浄するステップと、
(Cステップ)
5wt%ホウ酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、545Vの電圧で、継続時間15minの第3段化成を行うステップと、
(Dステップ)
8wt%ホウ酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、620Vの電圧で、継続時間25minの第4段化成を行い、水洗浄槽で洗浄するステップと、
(Eステップ)
オーブンにて500℃の高温熱処理を3min行い、第4段化成の水溶液と同じ水溶液に浸漬し、85℃、20mA/cm
2、620Vの条件で、化成を10min行い、水洗浄槽で洗浄するステップと、
(Fステップ)
6wt%リン酸容溶液に浸漬し、70℃の条件で、処理を5min行い、水洗浄槽で洗浄し、オーブンにて450℃の高温熱処理を3min行うステップと、
(Gステップ)
第4段化成の水溶液と同じ水溶液に浸漬し、85℃
、620Vの条件で、化成を10min行い、水洗浄槽で洗浄するステップと、
(Hステップ)
化成箔を後処理槽の処理液に浸漬し、後処理を行い、前記処理槽内に負極電極を設け、電極の幅を0.5〜5cmとし、処理液は、リン酸塩の1種または1種以上を含み、処理液のpH値を5〜8とし、50〜90℃
、100〜800Vの条件で、電流密度を1mA/cm
2から0.1mA/cm
2に制御し、3〜15min化成を行った後、取り出して、水で洗浄し、乾燥させるステップと、を含む中高圧電極箔の酸化膜の品質を改善する後処理方法で実現される。
【0006】
好ましくは、後処理ステップにおいて、化成箔は、0.1wt%リン酸二水素アンモニウムと0.08g/L次亜リン酸溶液とに浸漬され、70℃
、200Vの条件で、電流密度を1mA/cm
2から0.1mA/cm
2に制御し、化成を5min行う。
【0007】
好ましくは、後処理ステップにおいて、化成箔は、0.1wt%リン酸二水素アンモニウムと0.08g/L次亜リン酸溶液とに浸漬され、70℃
、200Vの条件で、電流密度を0.5mA/cm
2から0.05mA/cm
2に制御し、化成を5min行う。
【0008】
好ましくは、後処理ステップにおいて、化成箔は、0.1wt%リン酸二水素アンモニウムと0.08g/L次亜リン酸溶液とに浸漬され、70℃
、200Vの条件で、電流密度を0.1mA/cm
2から0.01mA/cm
2に制御し、化成を5min行う。
【0009】
好ましくは、後処理ステップにおいて、化成箔は、0.1wt%リン酸二水素アンモニウムと0.08g/L次亜リン酸溶液とに浸漬され、70℃
、200Vの条件で、電流密度を1mA/cm
2から0.01mA/cm
2に制御し、化成を5min行う。
【0010】
好ましくは、後処理ステップにおいて、化成箔は、0.1wt%リン酸二水素アンモニウムと0.08g/L次亜リン酸溶液とに浸漬され、70℃
、200Vの条件で、電流密度が1mA/cm
2に一定されるように制御し、化成を5min行う。
【0011】
好ましくは、負極電極がステンレス電極であり、且つ処理槽において等距離または非等距離に分布される。
【0012】
前述したように、本発明は以下の優れる点を有する。電流密度可変な電流を印加して処理液のイオン化を加速させ、リン酸イオンが化成箔の酸化膜を透過して内部欠陥に侵入し、表面において酸素イオンの吸着を形成し、酸化膜の欠陥にあるAl
3+が酸化膜に迅速に生成することで、漏電流を低減することができる。また、リン酸イオンは、酸化膜表面でアルミニウムと複合反応してアルミニウムリン酸塩層を形成し、外部の水と化成箔との水和反応を防止することができる。電流密度を低減してアルミニウムリン酸塩の過量生成による酸化膜の品質低下を防止することができる。電流密度可変な電流を印加することで、化成箔の酸化膜の漏電流が低減し、耐水和性能を改善し、酸化膜の品質、アルミニウム電解コンデンサーの寿命を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を理解するために、以下の実施形態を参照して詳細を説明する。これらの実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の請求の範囲を限定するものではない。
【0014】
実施例1
腐食箔を95℃の脱イオン水で10min処理した後、6wt%クエン酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、電圧190Vの条件で、継続時間10min第1段化成を行い、水洗浄槽で洗浄する。洗浄された化成箔を4wt%クエン酸塩水溶液に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、385Vの電圧で、継続時間10minの第2段化成を行い、水洗浄槽で洗浄する。その後、5wt%ホウ酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、545Vの電圧で、継続時間15minの第3段化成を行う。続いて、8wt%ホウ酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、620Vの電圧で、継続時間25minの第4段化成を行い、水洗浄槽で洗浄する。そして、オーブンにて500℃の高温熱処理3minを行う。続いて、第4段化成に使用された水溶液と同様な水溶液に浸漬し、85℃、20mA/cm
2、620Vの条件で、10min化成を行い、水洗浄槽で洗浄する。6wt%リン酸容溶液に浸漬し、70℃の条件で、5min処理を行い、水洗浄槽で洗浄する。オーブンにて450℃の高温熱処理を3min行い、また、第4段化成に使用された水溶液と同様な水溶液に浸漬し、85℃、20mA/cm
2、620Vの条件で、化成を10min行い、最後に、水洗浄槽で洗浄し、0.1wt%リン酸二水素アンモニウムと0.08g/L次亜リン酸溶液とに浸漬し、70℃
、200Vの条件で、電流密度を1mA/cm
2から0.1mA/cm
2に制御し、5min化成を行った後、取り出して、水で洗浄し、乾燥させる。
【0015】
実施例2
腐食箔を95℃の脱イオン水で10min処理した後、6wt%クエン酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、電圧190Vの条件で、継続時間10minの第1段化成を行い、水洗浄槽で洗浄する。洗浄された化成箔を4wt%クエン酸塩水溶液に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、385Vの電圧で、継続時間10minの第2段化成を行う。その後、水洗浄槽で洗浄し、5wt%ホウ酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、545Vの電圧で、継続時間15minの第3段化成を行う。続いて、8wt%ホウ酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、620Vの電圧で、継続時間25minの第4段化成を行い、水洗浄槽で洗浄する。そして、オーブンにて500℃の高温熱処理を3min行う。そして、第4段化成の水溶液と同様な水溶液に浸漬し、85℃、20mA/cm
2、620Vの条件で、化成を10min行い、水洗浄槽で洗浄する。6wt%リン酸容溶液に浸漬し、70℃の条件で、5min処理を行い、水洗浄槽で洗浄する。オーブンにて450℃の高温熱処理を3min行い、また、第4段化成の水溶液と同様な水溶液に浸漬し、85℃、20mA/cm
2、620Vの条件で、化成を10min行い、水洗浄槽で洗浄し、0.1wt%リン酸二水素アンモニウムと0.08g/L次亜リン酸溶液とに浸漬し、70℃
、200Vの条件で、電流密度を0.5mA/cm
2から0.05mA/cm
2に制御し、5min化成を行った後、取り出して、水で洗浄し、乾燥させる。
【0016】
実施例3
腐食箔を95℃の脱イオン水で10min処理した後、6wt%クエン酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、電圧190Vの条件で、継続時間10minの第1段化成を行い、水洗浄槽で洗浄する。洗浄された化成箔を4wt%のクエン酸塩水溶液に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、385Vの電圧で、継続時間10minの第2段化成を行い、水洗浄槽で洗浄する。5wt%ホウ酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、545Vの電圧で、継続時間15minの第3段化成を行う。続いて、8wt%ホウ酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、620Vの電圧で、継続時間25minの第4段化成を行い、水洗浄槽で洗浄する。そして、オーブンにて500℃の高温熱処理3minを行う。第4段化成の水溶液と同じ水溶液に浸漬し、85℃、20mA/cm
2、620Vの条件で、化成を10min行い、水洗浄槽で洗浄する。6wt%リン酸容溶液に浸漬し、70℃の条件で、5min処理を行い、水洗浄槽で洗浄する。オーブンにて450℃の高温熱処理を3min行う。第4段化成の水溶液と同じ水溶液に浸漬し、85℃、20mA/cm
2、620Vの条件で、化成を10min行う。最後に、水洗浄槽で洗浄し、0.1wt%リン酸二水素アンモニウムと0.08g/L次亜リン酸溶液とに浸漬し、70℃
、200Vの条件で、電流密度を0.1mA/cm
2から0.01mA/cm
2に制御し、5min化成を行った後、取り出して、水で洗浄し、乾燥させる。
【0017】
実施例4
腐食箔を95℃の脱イオン水で10min処理した後、6wt%クエン酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm2、電圧190Vの条件で、継続時間10minの第1段化成を行い、水洗浄槽で洗浄する。洗浄された化成箔の4wt%クエン酸塩水溶液に浸漬し、電流密度20mA/cm
2、385Vの電圧で、継続時間10minの第2段化成を行い、水洗浄槽で洗浄する。5wt%ホウ酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、545Vの電圧で、継続時間15minの第3段化成を行う。8wt%ホウ酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、620Vの電圧で、継続時間25minの第4段化成を行い、水洗浄槽で洗浄する。オーブンにて500℃の高温熱処理を3min行う。第4段化成の水溶液と同じ水溶液に浸漬し、85℃、20mA/cm
2、620Vの条件で、化成を10min行い、水洗浄槽で洗浄する。6wt%リン酸容溶液に浸漬し、70℃の条件で、5min処理を行い、水洗浄槽で洗浄する。オーブンにて450℃の高温熱処理を3min行う。第4段化成の水溶液と同じ水溶液に浸漬し、85℃、20mA/cm
2、620Vの条件で、化成を10min行う。水洗浄槽で洗浄し、0.1wt%リン酸二水素アンモニウムと0.08g/L次亜リン酸溶液とに浸漬し、70℃
、200Vの条件で、電流密度を1mA/cm
2から0.01mA/cm
2に制御し、5min化成を行った後、取り出して、水で洗浄し、乾燥させる。
【0018】
実施例5
腐食箔を95℃の脱イオン水で10min処理した後、6wt%クエン酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、電圧190Vの条件で、継続時間10minの第1段化成を行い、水洗浄槽で洗浄する。洗浄された化成箔の4wt%クエン酸塩水溶液に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、385Vの電圧で、継続時間10minの第2段化成を行い、水洗浄槽で洗浄する。5wt%ホウ酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、545Vの電圧で、継続時間15minの第3段化成を行う。8wt%ホウ酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、620Vの電圧で、継続時間25minの第4段化成を行い、水洗浄槽で洗浄する。オーブンにて500℃の高温熱処理を3min行う。第4段化成の水溶液と同じ水溶液に浸漬し、85℃、20mA/cm
2、620Vの条件で、化成を10min行う。水洗浄槽で洗浄し、6wt%リン酸容溶液に浸漬し、70℃の条件で、処理を5min行い、水洗浄槽で洗浄する。オーブンにて450℃の高温熱処理を3min行う。第4段化成の水溶液と同じ水溶液に浸漬し、85℃、20mA/cm
2、620Vの条件で、化成を10min行う。水洗浄槽で洗浄し、0.1wt%リン酸二水素アンモニウムと0.08g/L次亜リン酸溶液とに浸漬し、70℃
、200Vの条件で、電流密度が1mA/cm
2に一定されるように制御し、5min化成を行った後、取り出して、水で洗浄し、乾燥させる。
【0019】
比較例
腐食箔を95℃の脱イオン水で10min処理した後、6wt%クエン酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm2、電圧190Vの条件で、継続時間10minの第1段化成を行い、水洗浄槽で洗浄する。洗浄された化成箔の4wt%クエン酸塩水溶液に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、385Vの電圧で、継続時間10minの第2段化成を行い、水洗浄槽で洗浄する。5wt%ホウ酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、545Vの電圧で、継続時間15minの第3段化成を行う。8wt%ホウ酸塩水溶液の化成槽に浸漬し、85℃、電流密度20mA/cm
2、620Vの電圧で、継続時間25minの第4段化成を行い、水洗浄槽で洗浄する。オーブンにて500℃の高温熱処理を3min行う。第4段化成の水溶液と同じ水溶液に浸漬し、85℃、20mA/cm
2、620Vの条件で、化成を10min行い、水洗浄槽で洗浄する。6wt%リン酸容溶液に浸漬し、70℃の条件で、処理を5min行う。水洗浄槽で洗浄し、オーブンにて450℃の高温熱処理を3min行う。第4段化成の水溶液と同じ水溶液に浸漬し、85℃、20mA/cm
2、620Vの条件で、化成を10min行う。水洗浄槽で洗浄し;0.1wt%リン酸二水素アンモニウムと0.08g/L次亜リン酸溶液とに浸漬し。5min放置した後、取り出して、水で洗浄し、乾燥させる。
【0020】
実験結果より、リン酸塩の1種または1種以上を後処理槽の処理液として使用し、処理槽内に負極電極を設け、電流密度が変化可能に電流を制御して化成箔に電場で作用する場合、酸化膜の後処理の効果を改善することができ、漏電流、耐水和性能に従来品より優れる化成箔を得ることができる。