(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
可撓性の表フィルムと裏フィルムを有する袋体と、該袋体の外周縁部の一部において表フィルムと裏フィルムに挟まれる態様で設けられた口栓とを備えた口栓付き包装袋であって、
袋体における口栓の軸線の両側部の表フィルムと裏フィルムが接着されることにより、袋体の内部における口栓の近傍位置に幅狭の流体導出部が形成され、
前記流体導出部は、
3.5≦C/A≦9.0
3.0<D/A
C<W
A:袋体における口栓の接着部分の厚み
C:流体導出部における口栓の軸線に直交する幅方向の寸法
D:流体導出部における口栓の軸線に平行な長手方向の寸法
W:袋体の外周縁部の内縁間の寸法
の関係式を満たすことを特徴とする口栓付き包装袋。
【背景技術】
【0002】
従来より、口栓付き包装袋として、一対の表フィルムと裏フィルムの外周縁部同士が熱溶着された袋体と、該袋体の外周縁部の一部において表フィルムと裏フィルムに挟まれる態様で熱溶着された口栓とを備えたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この口栓付き包装袋は、インクジェット方式の印刷装置のインクカートリッジとしても使用されている。特に産業用の印刷装置に使用されるインクカートリッジは、インクの使用量が多く、交換が頻繁になされるため、インクの残液量を測定する機能が付加されている。
【0004】
一般に、袋体の内部におけるインクの残液量を測定する場合、袋体の外部における口栓の近傍位置にセンサを設け、該センサにより袋体における口栓の近傍位置の厚みを計測することによりインクの残液量を測定していた。
【0005】
ところが、口栓付き包装袋は、インクの残液量が減少するにつれて、
図6に示すように、袋体における口栓の近傍位置において、口栓の軸線上に長軸を有する略楕円形の一部を切り欠いた形状の凹部Hが発生し、その凹部Hの外側の境界部分が膨らむような変形が生じるため、少なくなったインクの残液量を精度良く測定することが難しかった。
【0006】
このため、従来、口栓付き包装袋が合成樹脂からなるハードケースに収容され、口栓付き包装袋の一方の側面に板材が貼り付けられたインクカートリッジが知られている(特許文献2参照)。これによれば、ハードケース内に収容された口栓付き包装袋は、板材により一方の側面が均等に変形するため、ハードケースに収容されていない包装袋に比べて、上述の口栓の近傍位置の凹部Hの変形が発生しにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このようなハードケースによっても尚、少なくなったインクの残液量の測定精度は高いとはいえず、インクの残液量が多く発生し、インクを無駄にすることがあった。また、専用のハードケースや板材が別途必要であるため、それだけインクカートリッジの部品点数が増えることにより製造コストが高くなるという問題があった。特にインクカートリッジは消耗品であり、安価であることが強く要請され、製造コストが高くなることは決して無視できるものではなかった。このような問題は、インクが収容される口栓付き包装袋のみならず、その他の流体が収容される口栓付き包装袋にも同様に生じるものであった。
【0009】
本願発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、簡易な構成にして流体の残液量を精度良く測定することができる口栓付き包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願人は、口栓付き包装袋において、口栓近傍に凹部が発生する原因について鋭意研究を重ねた結果、口栓近傍における袋体の厚みと、口栓近傍における袋体の内部の長手方向および幅方向の寸法とが関係していることを発見し、それらの所定の関係を解明したものである。
【0011】
すなわち、本発明は、可撓性の表フィルムと裏フィルムを有する袋体と、該袋体の外周縁部の一部において表フィルムと裏フィルムに挟まれる態様で設けられた口栓とを備えた口栓付き包装袋であって、袋体における口栓の軸線の両側部の表フィルムと裏フィルムが接着されることにより、袋体の内部における口栓の近傍位置に幅狭の流体導出部が形成され、前記流体導出部は、
【0012】
3.0<C/A<10.0
2.5<D/A
C<W
A:袋体における口栓の接着部分の厚み
C:流体導出部における口栓の軸線に直交する幅方向の寸法
D:流体導出部における口栓の軸線に平行な長手方向の寸法
W:袋体の外周縁部の内縁間の寸法
の関係式を満たすことを特徴とする。
【0013】
これによれば、口栓付き包装袋において、袋体の内部における口栓の近傍位置に所定の寸法の流体導出部が形成されることにより、袋体における口栓の近傍位置に凹部の変形が発生することを防止あるいは軽減することができる。これにより、口栓の近傍位置において袋体の厚みの変位量の計測精度が向上するため、流体の残液量を精度良く測定することができ、また流体の残液量のバラツキを低減することができる。また、袋体における口栓の軸線の両側部の表フィルムと裏フィルムを接着するだけの簡易な構成であるため、流体の残液量の測定に際して専用のハードケースや板材などの部材がなくてもインクの残液量を精度良く測定することができ、インクカートリッジ等の製造コストを抑えることができる。
【0014】
また、前記流体導出部は、
3.5≦C/A≦9.0
3.0<D/A
C<W
の関係式を満たすのが好ましい。
【0015】
また、前記流体導出部は、
5.0≦C/A≦8.0
3.5<D/A
C<W
の関係式を満たすのがより好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、口栓付き包装袋において、袋体の内部における口栓の近傍位置に所定の寸法の流体導出部が形成されることにより、袋体における口栓の近傍位置に凹部の変形が発生することを防止あるいは軽減することができる。これにより、口栓の近傍位置において袋体の厚みの変位量の計測精度が向上するため、流体の残液量を精度良く測定することができ、また流体の残液量のバラツキを低減することができる。また、袋体における口栓の軸線の両側部の表フィルムと裏フィルムを接着するだけの簡易な構成であるため、流体の残液量の測定に際して専用のハードケースや板材などの部材がなくてもインクの残液量を精度良く測定することができ、インクカートリッジ等の製造コストを抑えることができる。よって、流体の残液量の測定に対して信頼性の高く、しかも安価な口栓付き包装袋を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態に係る口栓付き包装袋(以下、本包装袋1という)について図面を参照して説明する。ここで、
図1の口栓3の軸線Lに平行な方向(
図1(a)の左右方向)を長手方向、フィルム2a、2bと同一平面上で軸線Lに直交する方向(
図1(a)の上下方向)を幅方向、フィルム2a、2bを直交に貫く方向(
図1(b)の上下方向)を厚み方向とする。
【0019】
本包装袋1は、一対の表フィルム2aと裏フィルム2bからなる袋体2を備えている。また、袋体2における口栓3側の上縁部の中央部において、袋体2に収容される流体を排出させる口栓3が設けられている。
【0020】
これら表フィルム2aと裏フィルム2bは、可撓性のフィルムからなり、少なくとも片面にシーラント層が形成されている。フィルムの構成や厚みは特に限定されるものではなく、内容物の性状に合わせて、酸素バリア性や水蒸気バリア性等を具備させた設計が適宜可能である。
【0021】
前記袋体2は、表フィルム2aと裏フィルム2bのシーラント層が互いに向かい合うように重ね合わされ、表フィルム2aと裏フィルム2bとの外周縁部がヒートシール(熱溶着)されることにより形成されている。
【0022】
また、前記袋体2は、上述のように表フィルム2aと裏フィルム2bの外周縁部がヒートシールされることにより、側縁部に位置する側縁シール部S1と、口栓の両側部に位置する規制シール部S2と、側縁シール部S1と規制シール部S3の間に位置する中間シール部S3と、口栓部分に位置する天シール部S4と、底部に位置する底シール部S5が形成されている。
【0023】
前記袋体2の側縁シール部S1は、袋体2の側縁部において表フィルム2aと裏フィルム2bがヒートシールされることにより、袋体2の口栓側寄りの中間部から底部にかけて袋体2の側縁部に沿って一定の細い幅で形成されている。
【0024】
前記袋体2の規制シール部S2は、袋体2の口栓3の両側部において表フィルム2aと裏フィルム2bがヒートシールされることにより、口栓3の軸線Lに対して一方側に第1規制シール部S21が形成され、他方側に第2規制シール部S2が形成されている。この規制シール部S2は、その内縁が側縁シール部S1の内縁と比較して、軸線L側に張り出す態様に形成されている。これにより袋体2における口栓3の近傍位置(口栓3の軸線上であって、口栓3に連通する位置)において、側縁シール部S1よりも内縁間の寸法が小さい幅狭の流体導出部21が形成される。
【0025】
前記袋体2の中間シール部S3は、側縁シール部S1と規制シール部S2の間において、表フィルム2aと裏フィルム2bがヒートシールされることにより形成されている。この中間シール部S3は、その内縁が規制シール部S2の内縁と側縁シール部S1の内縁とを連結するように軸線Lに対して外側に傾斜して形成されている。
【0026】
なお、
図2に示すように、規制シール部S2の内縁と中間シール部S3の内縁の交点をP1点、P2点とし、口栓3の軸線Lと、P1点とP2点とを結ぶ直線の交点をP0点とする。このP1点は、流体流出部21の第1規制シール部S21の内縁において、口栓3から長手方向の寸法が最も離れたところに位置する。また、P2点は、流体流出部21の第2規制シール部S2の内縁において、口栓3から長手方向の寸法が最も離れたところに位置する。
【0027】
前記袋体2の天シール部S4は、袋体2の口栓側の上縁部において表フィルム2aと裏フィルム2bがヒートシールされることにより、袋体2の上縁部に沿って形成されている。この天シール部S4は、規制シール部S2と一体的にヒートシールされる。
【0028】
前記袋体23の底シール部S5は、袋体2の底部側の下縁部において表フィルム2aと裏フィルム2bがヒートシールされることにより、袋体2の下縁部に沿って形成されている。
【0029】
前記口栓3は、袋体2の上縁部において表フィルム2aと裏フィルム2bとの間に挟まれる態様でヒートシールされている。具体的には、この口栓3は、表フィルム2aと裏フィルム2bの間の開口から挿入し、表フィルム2aおよび裏フィルム2bとヒートシールすることにより固定されている。
【0030】
また、前記口栓3は、
図4に示すように、袋体2の開口に固定されかつ軸線L方向に連通した流通路31を有する口栓本体30と、口栓本体30の上端部に装着される栓部材38とを備えている。
【0031】
この口栓本体30は、口栓基端部32から先端部に向かって、口栓シール部33と、フランジ部34と、筒状部35とが設けられている。口栓シール部33は、表フィルム2aおよび裏フィルム2bに挟まれる態様でヒートシールされ、軸線L方向に直交する断面形状が略舟形の形状をしており、表面には溶着のためのリブが形成されている。なお、
図2および
図3に示すように、袋体2の口栓シール部33の厚み方向の寸法をA、幅方向の寸法をBとする。
【0032】
また、口栓本体30の筒状部35の内部には、シール部材39を収容するシール部材収容部36が形成されており、栓部材38がシール部材39を押圧するように筒状部の先端部に装着されている。流通路31とシール部材収容部36の間にはシール部材39が袋体2内の流体に直接触れることがないように隔壁37が形成されている。隔壁37は流体排出針を貫通することが可能な強度に設計されており、流体排出針を貫通させ吸引させることにより、流体を袋体2から排出させることができる。
【0033】
また、前記口栓3は、成形性、加工性に優れた合成樹脂製であることが好ましい。合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエーテルサルホン等が挙げられる。成形方法としては、射出成形等の適切な成形によって、一体成形されることが、コスト面等から好ましい。
【0034】
また、シール部材39は、袋体2外への流体の漏れを防止するためのものであり、シール部材収容部36に収容されている。シール部材39は流体排出針が貫通することができるエラストマーやゴムなどの弾性体から形成されている。
【0035】
次に、本包装袋1から流体を排出して、流体の残液量が減少した場合の口栓近傍における袋体2の変形について説明する。
【0036】
袋体2に流体が収容された本包装袋1を、長手方向を水平、若しくは口栓3側を下に傾けた状態で、流体排出針によって流体を排出すると、従来は、
図6に示すように、流体の残液量が減少するにつれて、袋体2における口栓3の近傍位置には、軸線L上に長軸を有する一部を切り欠いた略楕円形の凹部Hが発生し、その凹部Hの外側の境界部分が膨らむような変形が生じていた。
【0037】
この点、本出願人は、本包装袋1において、袋体2における口栓3近傍位置に凹部Hが発生する原因について鋭意研究を重ねた結果、口栓3の近傍位置における袋体2の厚みと、口栓3の近傍位置における袋体2の内部の長手方向および幅方向の寸法とが関係していることを発見し、それらの所定の関係を解明した。
【0038】
具体的に説明すると、流体の残液量が減ってきた場合、上述のように袋体2における口栓3の近傍位置に凹部Hが発生し、その凹部Hの外側の境界部分が膨らむような変形が生じるのは、口栓3の近傍位置の凹部Hが形成される領域の流体がその外側の領域に押し出されることによるものと考えられる。このことから、袋体2における口栓3の両側部の表フィルム2aと裏フィルム2bをヒートシールして、袋体2の内部における口栓3の近傍位置に幅狭の流体導出部21を形成すれば、流体導出部21の規制シール部S2により流体の移動が規制されるため、袋体2における口栓3の近傍位置に凹部Hが発生しにくくなると考えられる。
【0039】
そして、
図7に示すように、袋体2における口栓3のヒートシール部分の厚みAが大きくなると、袋体2における口栓3の近傍位置に発生する凹部Hの大きさ(幅方向の大きさCx/長手方向の大きさDx)も比例して大きくなるという相関関係を発見したことから、袋体2における口栓3のヒートシール部分の厚みAと、流体導出部21の大きさ(口栓の軸線に直交する幅方向の寸法/口栓の軸線に平行な長手方向の寸法)の関係が重要であることが推察された。
【0040】
そこで、袋体2における口栓3のヒートシール部分の厚みA、流体導出部21における口栓3の軸線に直交する幅方向の寸法C、流体導出部21における口栓3の軸線に平行な方向の寸法Dの関係を種々検討した結果、流体導出部21が下記の関係式を満たすように形成されている場合、流体の残液量が減少しても袋体2における口栓3の近傍位置に上述の凹部Hの変形が生じることを防止または軽減することを解明するに至った。
【0041】
3.0<C/A<10.0
2.5<D/A
C<W
A:口栓の狭着部分の厚み
C:流体導出部における口栓の軸線に直交する幅方向の寸法
D:流体導出部における口栓の軸線に平行な長手方向の寸法
W:袋体2の外周縁部の内縁間の寸法
【0042】
<他の実施形態>
次に、本発明に係る口栓付き包装袋の他の実施形態について
図5を参照しつつ説明する。以下の説明では、第1の実施形態と異なる構造について説明することとし、同一の構造については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0043】
図5(a)に示すような他の実施形態の口栓付き包装袋1において、規制シール部S2(S21、S2)の内縁間の寸法が一定である。側縁シール部S1の内縁間の寸法は一定であり、規制シール部S2の内縁間の寸法よりも幅広に形成されている。中間シール部S3の内縁は軸線Lに対して平行な方向に形成されている。規制シール部S2の内縁において、口栓3から長手方向に最も離れた位置がP1点、P2点である。また、P1点とP2点とを結ぶ直線と軸線Lとの交点がP0点である。この場合、P1点とP2点間の寸法が流体導出部21の幅方向の寸法Cであり、天シール部S4の内縁からP0点との長手方向の寸法が流体導出部21の長手方向の寸法Dである。
【0044】
また、
図5(b)から
図5(e)に示すような他の実施形態の口栓付き包装袋1において、規制シール部S2(S21、S2)の内縁が直線および/または曲線から形成されており、規制シール部21には口栓3の軸線Lに向かって張り出した突出部S20が形成されている。規制シール部S2の内縁において、向かい合う規制シール部S2の内縁間の寸法が最も小さく、かつ、口栓3から長手方向に最も離れた位置がP1点とP2点である。また、P1点とP2点を結ぶ直線と軸線Lとの交点がP0点である。この場合、P1点とP2点間の寸法が流体導出部21の幅方向の寸法Cであり、天シール部S4の内縁からP0点までの長手方向の寸法が流体導出部21の長手方向の寸法Dである。
【0045】
また、
図5(f)に示すような他の実施形態の口栓付き包装袋1において、規制シール部S2(S21、S2)の内縁間の寸法が口栓3に向かって次第に幅狭になるように係止されている。規制シール部S2の内縁いおいて、口栓3から長手方向に最も離れた位置がP1点、P2点である。また、P1点とP2点とを結ぶ直線と軸線Lとの交点がP0点である。この場合、P1点とP2点間の寸法が流体導出部21の幅方向の寸法Cであり、天シール部S4の内縁からP0点との長手方向の寸法が流体導出部21の長手方向の寸法Dである。
【0046】
なお、上記各実施形態では、袋体2は、一対の表フィルム2aと裏フィルム2bの全外周縁部を熱溶着することにより形成するものとしたが、1枚のフィルムを山折にし、折り線を底部とし、残り3辺をヒートシールしたものなど、一対の表フィルムと裏フィルムの一部をヒートシールした構造のフィルムであってもよい。
【0047】
また、袋体2は、ガゼットを有しない平パウチについて説明したが、側部にガゼットを設けたサイドガゼットパウチや底部にガゼットを設けたスタンディングパウチであってもよい。
【0048】
また、口栓3は、シール部材39を備え、流体排出針を用いて流体を排出させるものについて説明したが、その他の構造のものであってもよい。
【0049】
また、表フィルム2aと裏フィルム2bをヒートシール(熱溶着)するものとしたが、その他の方法により表フィルム2aと裏フィルム2bを接着してもよい。
【実施例】
【0050】
次に本発明に係る実施例について説明する。
【0051】
図1から
図3に示すような形状の口栓付き包装袋1を作製した。本包装袋1は、外寸法が幅134mm、全長340mmの袋体2からなり、口栓シール部33の厚みAが9mm、幅Bが16mmの口栓3をヒートシールして取り付けた。また、側縁シール部S1の内縁間の寸法Wを124mmとし、流体導出部21の幅方向の寸法Cと、流体導出部21の長手方向の寸法Dをそれぞれ変えながら試験した。残液量測定点Pを口栓3の軸線Lの延長線上に配置し、天シール部S4の内縁から44mmの位置とした。天シール部S4の内縁から口栓3の軸線Lの延長線上に配置された残液量測定点Pまでの寸法は、口栓シール部33の厚みをA(mm)とすると、3.0A≦P≦9.0Aであるのが好ましい。
【0052】
<フィルム構成>
フィルム構成は、最外層としてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み12μm)、中間層としてアルミ箔(厚み7μm)、ポリアミドフィルム(厚み15μm)、最内層として直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(厚み150μm)を積層させて作製したフィルムを用いた。
【0053】
<残液量測定試験>
各々の口栓付き包装袋1に、水を500mL充填し、口栓3側を10度下方に傾けた状態で、流体排出針を用いて水を吸引して排出し、残液量測定点Pでの袋体2の厚みを測定し、残液量測定点Pでの袋体2の厚みが10.5mmになった時点の残液量を測定した。袋体2の残液量測定点Pにおける厚みは袋体2に接触させた検出針の変位量から求め、その評価結果を
図8に示す。
【0054】
なお、
図8の評価結果において、Aは袋体2における口栓3(口栓シール部33)のヒートシール部分の厚み、Cは流体導出部21における口栓3の軸線に直交する幅方向の寸法、Dは流体導出部21における口栓3の軸線に平行な長手方向の寸法、Wは袋体2の外周縁部の内縁間の寸法を示す。
【0055】
図8に示すように、3.0<C/A<10.0(好ましくは、3.1≦C/A≦9.8)、かつ、2.5<D/A、かつ、C<Wのとき、残液量が50mL以下(10%以下)となり流体の残液量が低減することを確認した。
【0056】
また、好ましくは、3.5≦C/A≦9.0、かつ、3.0≦D/A、かつ、C<Wのとき、残液量が30mL以下(6%以下)となり、流体の残液量が安定的に低減することを確認した。
【0057】
また、より好ましくは、5.0≦C/A≦8.0、かつ、3.5≦D/A、かつ、C<Wのとき、残液量が10mL以下(2%以下)となり、流体の残液量がより安定的に低減することを確認した。
【0058】
これに対して、C/A≦3.0のとき、袋体2における口栓3(口栓シール部33)のヒートシール部分の厚みAに対して、流体導出部の幅方向の寸法Cが小さいため、流体導出部21が袋体2の厚み方向に十分に膨らむことができず、流体の残液量の測定精度が低くなったものと考えられる。
【0059】
また、C/A≧10.0のとき、袋体2における口栓3(口栓シール部33)のヒートシール部分の厚みAに対して、流体導出部21の幅方向の寸法Cが大きいため、流体導出部21の流体が幅方向に移動してしまうことにより凹部Hが発生し、流体の残液量の測定精度が低くなったものと考えられる。
【0060】
また、D/A≦2.5のとき、袋体2における口栓3(口栓シール部33)のヒートシール部分の厚みAに対して、流体導出部21の長手方向の寸法Dが小さいため、流体が中間シール部S3や側縁シール部S1の領域にまで移動しまうことにより、流体の残液量の測定精度が低くなったものと考えられる。
【0061】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。