特許第6846778号(P6846778)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846778
(24)【登録日】2021年3月4日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】排ガス中の水銀除去装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/64 20060101AFI20210315BHJP
   B01D 53/83 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   B01D53/64 100
   B01D53/83ZAB
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-135636(P2019-135636)
(22)【出願日】2019年7月23日
(65)【公開番号】特開2021-16848(P2021-16848A)
(43)【公開日】2021年2月15日
【審査請求日】2019年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136804
【氏名又は名称】株式会社プランテック
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100209129
【弁理士】
【氏名又は名称】山城 正機
(72)【発明者】
【氏名】平良 誠
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 良二
(72)【発明者】
【氏名】吉川 正晃
【審査官】 佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−202445(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/132894(WO,A1)
【文献】 特許第6539885(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2019/0039012(US,A1)
【文献】 特開2014−124590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34−53/85、
53/02−53/18、
46/00−46/54
F23J 13/00−99/00、
1/00− 1/08、
9/00
F23G 5/00、 5/027、
5/24− 5/28、
7/00− 7/02、
7/10− 7/12
F27D 17/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみ焼却炉から排出された排ガスの導入口と排出口とを有するバグフィルタであって、前記導入口から導入された排ガス中に含まれる煤塵及び有害成分を捕捉するろ布と、前記ろ布の下流側に配設され、前記ろ布を貫流した排ガスからさらに有害成分を吸着する繊維状吸着材と、前記繊維状吸着材を貫流した後の排ガスを前記排出口に導く短絡流路と、前記排ガスを前記繊維状吸着材を貫流させずに前記排出口に導く迂回流路と、前記短絡流路と前記迂回流路とを選択的に切り換える流路切換手段と、を備えたバグフィルタと、
前記バグフィルタの上流側に配設され、前記排ガス中に含まれる酸性成分を中和するための薬剤及び水銀吸着剤を前記排ガス中及び前記バグフィルタに供給する薬剤供給装置と、
前記薬剤供給装置上流側における前記排ガス中の水銀濃度を検出する水銀濃度検出装置と、
前記水銀濃度検出装置によって検出された水銀濃度に基づいて、前記流路切換手段を切り換え制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、排ガスのろ過運転を行うに際し、前記薬剤供給装置から前記薬剤及び前記水銀吸着剤を供給して所定厚さの反応層を形成するプレコート処理を行うとともに、前記バグフィルタ上流側で計測した排ガス中の水銀濃度が、所定の値を超過した状態が所定時間継続し、さらに上昇傾向にある場合に、前記流路切換手段を前記短絡流路側に切り換えることで、前記ろ布を貫流した後の排ガスを前記繊維状吸着材に導く、
ことを特徴とするごみ焼却炉の排ガス処理装置。
【請求項2】
前記バグフィルタ下流側における前記排ガス中の水銀濃度を検出する水銀濃度検出装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記ろ布を貫流した後の排ガスを前記繊維状吸着材に導いている状態で、さらに、前記バグフィルタ下流側で計測した排ガス中の水銀濃度が、所定値以下にならずに所定時間経過するか、あるいは上昇傾向にある場合に、前記薬剤供給装置から前記水銀吸着剤を供給する、
請求項1に記載のごみ焼却炉排ガス処理装置。
【請求項3】
前記水銀吸着剤として活性炭を用いる、
請求項1又は2に記載のごみ焼却炉排ガス処理装置。
【請求項4】
前記水銀濃度検出装置として、排ガスを吸引する複数のセラミックフィルタであって、交互に逆洗を行うセラミックフィルタを用いる、
請求項1ないし3に記載のごみ焼却炉排ガス処理装置。
【請求項5】
ごみ焼却炉から排出された排ガスの導入口と排出口とを有するバグフィルタであって、前記導入口から導入された排ガス中に含まれる煤塵及び有害成分を捕捉するろ布と、前記ろ布の下流側に配設され、前記ろ布を貫流した排ガスからさらに有害成分を吸着する繊維状吸着材と、前記繊維状吸着材を貫流した後の排ガスを前記排出口に導く短絡流路と、前記排ガスを前記繊維状吸着材を貫流させずに前記排出口に導く迂回流路と、前記短絡流路と前記迂回流路とを選択的に切り換える流路切換手段とを備えたバグフィルタを用いたごみ焼却炉排ガス処理方法であって、
前記ろ布に対し、前記排ガス中に含まれる酸性成分を中和する薬剤及び水銀吸着剤を供給して所定厚さの反応層を形成するプレコート処理を行い、排ガスのろ過運転を行うとともに、前記薬剤及び水銀吸着剤を供給する位置の上流側で計測した排ガス中の水銀濃度が、所定の値を超過した状態が所定時間継続し、さらに上昇傾向にある場合に、前記ろ布を貫流した後の排ガスを前記繊維状吸着材に導く制御を行う、
ことを特徴とするごみ焼却炉排ガス処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ焼却炉排ガス処理装置及びごみ焼却炉排ガス処理装置を用いた排ガス処理方法に関し、焼却炉から排出される排ガス中に含有される水銀を確実に除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ごみの焼却炉から排出される排ガスを処理するに際し、まず200℃以下に減温してから、排ガス中に含有される煤塵、塩化水素及び硫黄酸化物等の酸性成分、及び、ダイオキシン類及び水銀等の有害物質を除去した後、煙突から大気中に放出する。
【0003】
排ガスに含有される水銀を除去するための技術としては、特許文献1に示されるような、水銀を含む排ガス中に、水銀吸着剤として機能する活性炭を投入する技術が知られている(特許文献1)。また、ろ布の表面に予め活性炭をコーティングしたプレコート式のバグフィルタを使用して水銀を除去する技術が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−213308号公報
【特許文献2】特許第6114438号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術によると、水銀を含む排ガス中に、吸着剤として機能する活性炭を投入し、水銀を吸着した活性炭をバグフィルタ等のろ過式集塵装置によって捕集することによって、排ガス中に含まれる水銀を除去することができる。このとき、ろ過式集塵装置の下流側に水銀濃度検出装置を備え、水銀濃度が所定値を超過した場合のみに活性炭を排ガス中に投入することで、消費する活性炭の量を削減することができる。しかしながら、ろ過式集塵装置の下流側で水銀濃度を検出し、検出結果に基づいてろ過式集塵装置の上流側に活性炭を投入する構成となっているため、濃度の検出と活性炭の投入との間に時間遅れが発生し、急激な水銀濃度の上昇に対応できないという課題があった。また、一時的に水銀濃度が上昇した場合であっても、活性炭を供給するため、無駄な活性炭を投入する原因となっていた。
【0006】
一方、特許文献2に開示された技術は、活性炭やアルカリ薬剤をプレコートしたろ布を使用したバグフィルタを用いて水銀を除去するものであり、排ガス中に活性炭を投入するものではないため、余分な活性炭の消費を抑制しつつ、排ガス中の水銀を除去することができる。また、ろ布で除去しきれない水銀を除去するための活性炭素繊維をバグフィルタ内のろ布の下流側に備えており、ろ布を通過した後の排ガスが活性炭素繊維を流通させるかどうかを切り換え可能な切換弁を備える。
【0007】
そして、バグフィルタ下流側で計測した水銀濃度が所定値を超過した場合に、切換弁を活性炭素繊維を流通する側に切り換えることで、プレコートしたろ布と活性炭素繊維の両方で水銀を除去する構成としている。また、水銀濃度がバグフィルタ下流側で計測した所定値を超過しない場合には、切換弁を活性炭素繊維を流通しない側に切り換えることで、プレコートしたろ布のみで水銀を除去する構成としている。
【0008】
特許文献2に開示された技術の場合、活性炭等の吸着剤はろ布のプレコートの際に使用するだけで、排ガス中に投入するものではないため、無駄な吸着剤の消費を抑制することができる。ところが、特許文献1に開示された技術と同様に、水銀濃度をバグフィルタ下流側で検出することによる時間遅れが発生するおそれがあり、水銀濃度の急上昇に対して流路の切り換えが追い付かず、一時的に規制の基準値を越えてしまうことも想定される。また、切換弁を早めに切り替えた場合、必要のない場合にも活性炭素繊維を流通させることにつながり、活性炭素繊維が破過するまでの時間が短くなるという問題が生じる。このような問題は、検出される水銀濃度が短期間に上下に振れる場合にも生じる。すなわち、検出される水銀濃度が短期間に上下に振れる場合、切り換えのための所定濃度を跨るたびに切換弁が操作されることとなり、必要のない活性炭素繊維の使用につながる。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、活性炭素繊維等の繊維状吸着材の使用頻度を過剰とすることなく、迅速かつ確実に排ガス中の水銀を除去するという相反する効果を奏するごみ焼却炉の排ガス処理装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0011】
第1の特徴に係る発明は、ごみ焼却炉から排出された排ガスの導入口と排出口とを有するバグフィルタであって、導入口から導入された排ガス中に含まれる煤塵及び有害成分を捕捉するろ布と、ろ布の下流側に配設され、ろ布を貫流した排ガスからさらに有害成分を吸着する繊維状吸着材と、繊維状吸着材を貫流した後の排ガスを排出口に導く短絡流路と、排ガスを繊維状吸着材を貫流させずに排出口に導く迂回流路と、短絡流路と迂回流路とを選択的に切り換える流路切換手段と、を備えたバグフィルタと、バグフィルタの上流側に配設され、排ガス中に含まれる酸性成分を中和するための薬剤及び水銀吸着剤をバグフィルタ上流側の排ガス中に供給する薬剤供給装置と、バグフィルタ上流側における排ガス中の水銀濃度を検出する水銀濃度検出装置と、水銀濃度検出装置によって検出された水銀濃度に基づいて、流路切換手段を切り換え制御する制御装置とを備え、制御装置は、排ガスのろ過運転を行うに際し、薬剤供給装置から薬剤及び水銀吸着剤を供給して所定厚さの反応層を形成するプレコート処理を行うとともに、バグフィルタ上流側で計測した排ガス中の水銀濃度が、所定の値を超過した状態が所定時間継続し、さらに上昇傾向にある場合に、流路切換手段を前記短絡流路側に切り換えることで、ろ布を貫流した後の排ガスを繊維状吸着材に導く、ことを特徴とするごみ焼却炉の排ガス処理装置を提供する。
【0012】
第1の特徴に係る発明によれば、バグフィルタ上流側で計測した水銀濃度が所定の値を超過した状態が所定時間継続することに加え、さらに上昇傾向にある場合に、繊維状吸着材を使用するよう構成することで、頻繁に繊維状吸着材を使用することにより生じる繊維状吸着材の破過を抑制しつつ、水銀の確実な処理を行うことが可能となる。
【0013】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、バグフィルタ下流側における排ガス中の水銀濃度を検出する水銀濃度検出装置をさらに備え、制御装置は、ろ布を貫流した後の排ガスを繊維状吸着材に導いている状態で、さらに、バグフィルタ下流側で計測した排ガス中の水銀濃度が、所定値以下にならずに所定時間経過するか、あるいは上昇傾向にある場合に、薬剤供給装置から水銀吸着剤を供給する排ガス処理装置を提供する。
【0014】
第2の特徴に係る発明によれば、バグフィルタの下流側で計測した水銀濃度が所定値以下にならずに所定時間が経過するか、あるいは上昇傾向にある場合に、薬剤供給装置から吸着剤を供給するよう構成することで、繊維状吸着材を用いてもなお水銀濃度が下がらない場合に、排ガスに直接的に吸着剤を供給して迅速に水銀を捕捉することが可能となる。
【0015】
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明であって、水銀吸着剤として活性炭を用いる、排ガス処理装置を提供する。
【0016】
第3の特徴に係る発明によれば、比較的入手しやすい吸着剤を使用して、効果的な水銀の処理が可能となる。
【0017】
第4の特徴に係る発明は、第1から第3のいずれかの特徴に係る発明であって、水銀濃度検出装置として、排ガスを吸引する複数のセラミックフィルタであって、交互に逆洗を行うセラミックフィルタを用いる、排ガス処理装置を提供する。
【0018】
第4の特徴に係る発明によれば、複数のセラミックフィルタを同時に使用し、適時にパルスエアで逆洗を行うことにより、仮に片方ずつセラミックフィルタを作動させた場合に生ずる、切り換えた際に停止時に付着したダストの影響で排ガスを吸引できなくなるという事態を回避し、安定した排ガスの導入及び分析を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、繊維状吸着材の使用頻度を過剰とすることなく、迅速かつ確実に排ガス中の水銀を除去するという相反する効果を奏するごみ焼却炉の排ガス処理装置及び方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本実施形態に係るごみ焼却炉排ガス処理装置を示す模式図である。
図2図2は、本実施形態に係るバグフィルタの内部構成を示す図であって、流路切換弁を開放した状態を示している。
図3図3は、本実施形態に係るバグフィルタの内部構成を示す図であって、流路切換弁を閉塞した状態を示している。
図4図4は、本実施形態に係る水銀濃度検出装置の構成を示す模式図である。
図5図5は、本実施形態に係るごみ焼却炉排ガス処理装置を用いた排ガス処理方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0022】
[ごみ焼却炉排ガス処理装置1の全体構成]
まず、図1を用いて、本実施形態に係るごみ焼却炉排ガス処理装置の全体構成を説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施形態のごみ焼却炉排ガス処理装置は、ごみ焼却炉1と、排熱回収ボイラやエコノマイザからなる熱回収装置2と、ガス冷却装置3と、バグフィルタ4と、誘引通風機5と、煙突6と、薬剤供給装置7と、バグフィルタ4の上流側に設けられた第一水銀濃度検出装置8a及びバグフィルタ4の下流側に設けられた第二水銀濃度検出装置8bからなる水銀濃度検出装置8と、制御装置9とによって構成される。
【0024】
ごみ焼却炉1は、不定形の一般廃棄物や、産業廃棄物や、所定の形状を呈する梱包に入れられた感染性医療廃棄物等の廃棄物を焼却処理するものであり、ストーカ式、流動層式、竪型等、任意の形式の焼却炉が用いられる。
【0025】
熱回収装置2は、ごみ焼却炉1で廃棄物を焼却処理した際に発生する高温の排ガスから熱を回収するものであり、例えば、蒸発器を備える排熱回収ボイラや、排熱回収ボイラの上流で水を加熱するエコノマイザ等によって構成される。
【0026】
ガス冷却装置3は、ごみ焼却炉1や熱回収装置2から排出された排ガスの温度をバグフィルタ4に供給可能な程度であって、「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」に記された200℃程度以下まで減温するものであり、その形式は問わない。
【0027】
バグフィルタ4は、ガス冷却装置3で減温された排ガスをろ過することで、排ガス中に含まれる煤塵や有害成分を除去するものであって、図2及び図3に示すように、煤塵や有害成分をろ過するためのろ布41、有害成分を吸着する繊維状吸着材42、ろ布41及び繊維状吸着材42を収容するケーシング43を含む。バグフィルタ4の詳細については後述する。
【0028】
誘引通風機5は、バグフィルタ4の下流に配設される通風機であり、バグフィルタ4で浄化された排ガスを吸引して、煙突6から排ガスを大気に放出するためのものである。
【0029】
薬剤供給装置7は、排ガス中に含まれる塩化水素や硫黄酸化物等の酸性成分を中和するためのアルカリ薬剤、及び、排ガス中に含まれる有害物質を吸着するための水銀吸着剤を、排ガス中及びバグフィルタ4に供給するものであり、バグフィルタ4の上流側、好ましくはガス冷却装置3とバグフィルタ4の間の煙道に配設される。
【0030】
本実施形態においては、アルカリ薬剤として消石灰、水銀吸着剤として活性炭が使用される。特に、水銀吸着剤として活性炭を使用することにより、比較的入手しやすい吸着剤を使用して効果的に水銀を処理することが可能となる。なお、使用する薬剤及び水銀吸着剤の種類は、これに限ったものではない。
【0031】
水銀濃度検出装置8は、バグフィルタ4の上流側、特に、ガス冷却装置3の上流側煙道に設置され、吸着剤に吸着される前の水銀濃度を連続的に検出するよう構成された第一水銀濃度検出装置8aと、バグフィルタ4の下流側に設置され、吸着剤及び繊維状吸着材42によって吸着された後の水銀濃度を連続的に検出するよう構成された第二水銀濃度検出装置8bとによって構成される。
【0032】
制御装置9は、第一水銀濃度検出装置8aによって検出された水銀濃度に基づいて、後述する流路切換手段45の切り換え制御を行うよう、図示しないモータの動力を制御する。さらに、第二水銀濃度検出装置8bによって検出された水銀濃度に基づいて、薬剤供給装置7からのアルカリ薬剤及び吸着剤の供給を制御する。流路切換手段45の切り換え制御、及び、薬剤供給装置7からのアルカリ薬剤及び吸着剤の供給制御については後述する。
【0033】
〔バグフィルタ4〕
次に、図2及び図3を用いて、本実施形態におけるバグフィルタ4について説明する。図2は、本実施形態に係るバグフィルタ4の内部構成を示す図であって、後述する流路切換手段45を開放した状態を示すものであり、図3は、流路切換手段45を閉塞した状態を示すものである。
【0034】
バグフィルタ4は、冷却装置3で減温された排ガスを浄化するものであって、下方に設けられた排ガス導入口4a、排ガス中に含まれる煤塵や有害成分をろ過するためのろ布41、ろ布41を貫流した後の排ガスからさらに有害成分を吸着する繊維状吸着材42、ろ布41及び繊維状吸着材42を収容するケーシング43、上方に設けられた排ガス排出口4bによって構成される。
【0035】
ケーシング43内には、ケーシング43の内部空間を、繊維状吸着材42が配設される上部空間43aと、ろ布41が配設される下部空間43bとに仕切る仕切壁43cが設置されている。
【0036】
ろ布41はケーシング43の下部空間43bに導入された排ガス中に含まれる煤塵及び有害成分を捕捉するものであって、織布又は不織布製で一端が開口され他端が閉塞された筒状体の集合体として形成される。それぞれの筒状体は、開口が形成された端部が、仕切壁43cに形成された開口部を貫通するように配設される。
【0037】
本実施形態においては、下端が閉塞され上端が開口された筒状体が、仕切壁43cの幅方向及び奥行き方向に複数設けられた開口部に配設されることで、下方から流入する排ガス中の煤塵を捕捉することが可能なろ布41を形成している。
【0038】
すなわち、ケーシング43の下部空間43bに導入され下方から上方に向けて流通する排ガスは、下端が閉塞したろ布41を通過し、上端の開口を介して上部空間43aに流入する。そして、ろ布41を通過する際、排ガス中に含まれる煤塵等が除去され、浄化された排ガスとなって上部空間43aに流入する。
【0039】
本実施形態に係るバグフィルタ4のろ布41の表面は、後述するように、アルカリ薬剤及び吸着剤によってプレコート処理がなされているため、煤塵等のろ過効果に加え、塩化水素及び硫黄酸化物等の酸性成分、及び水銀等の有害成分を効果的に浄化及び吸着することができる。
【0040】
水銀を吸着する繊維状吸着材42として、例えば活性炭素繊維、Activated Carbon Fibers(ACF)と呼ばれるものが挙げられる。ACFは、排ガス中に含まれる窒素酸化物、ダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、水銀ならびに臭気等の有害成分を吸着して除去する機能に優れている。
【0041】
繊維状吸着材42は、好ましくは、水銀の吸着能力を強化するために、水銀吸着に効果のある化学薬品を添着したものを使用する。
【0042】
繊維状吸着材42は、ケーシング43の上部空間43a内に、上部空間43aを排ガスの流通方向の上流側と下流側とを仕切るように設置される。
【0043】
すなわち、本実施形態に係るバグフィルタ4の繊維状吸着材42は、略同一平面上に複数のフィルタ部材を隣り合わせに並べて配設することによって構成されており、上部空間43aは繊維状吸着材42によって、上方に位置する部位と下方に位置する部位とに区画される。その際、繊維状吸着材42を構成する各フィルタ部材は所定の高さに配設される支持枠42sの上に幅方向及び奥行き方向に並べて配置される。
【0044】
ケーシングの上部空間43aには、排ガスの排出流路44が連接されており、排出流路44は所定の高さに配設された仕切板44cによって、上方に位置し、繊維状吸着材42を貫流した後の排ガスが流通する短絡流路44aと、下方に位置し、繊維状吸着材42を貫流させず排ガスを排出する迂回流路44bとに区画される。
【0045】
つまり、上述の通り、ケーシングの上部空間43aは繊維状吸着材42によって排ガス流通方向の上流側と下流側とに仕切られるが、短絡流路44aは繊維状吸着材42の下流側の空間と連通し、迂回流路44bは繊維状吸着材42の上流側の空間と連通する。
【0046】
排出流路44には、繊維状吸着材42を通過した後の排ガスが流通する短絡流路44aと、繊維状吸着材42を通過しない排ガスが流通する迂回流路44bとを選択的に流通させる流路切換手段45が設けられている。
【0047】
本実施形態においては、流路切換手段45は迂回流路44bに設置された流路開閉弁によって構成されており、制御装置9からの指令に従い、図示しないモータの動力によって、迂回流路44bの開放と閉塞とを切り換えることができるよう構成されている。
【0048】
すなわち、図3に示すように、流路切換手段45を操作することによって迂回流路44bを閉とした場合、上部空間43bに流入した排ガスは繊維状吸着材42を流通して浄化された後、短絡流路44aを介して排ガス排出口4bから排出される。
【0049】
一方、図2に示すように、流路切換手段45を操作することによって迂回流路44bを開とした場合、繊維状吸着材42の通気抵抗が流路切換手段45及び迂回流路44bの通気抵抗よりも大であるため、上部空間43aに流入した排ガスは繊維状吸着材42を迂回して流路切換手段45及び迂回流路44bを通過して排ガス排出口4bから排出される。
【0050】
なお、本実施形態においては、繊維状吸着材42を設置する支持枠42sと、仕切板44cとが別部材として略同一平面上に配設されるが、支持枠42sと仕切板44cとを同一部材として構成しても構わない。
【0051】
〔水銀濃度検出装置8〕
次に、図4を用いて、本実施形態における水銀濃度検出装置8について説明する。
【0052】
図4に示すように、本実施形態における水銀濃度検出装置8は、先端が煙道内に突出し、排ガスをサンプリングする複数のセラミックフィルタ81a、81bと、供給された排ガス中の水銀濃度を計測する排ガス分析計82と、セラミックフィルタ81a、81bと排ガス分析計82を接続し、セラミックフィルタ81a、81bから導入された排ガスを排ガス分析計82まで供給する排ガス供給管83a、83bと、排ガス供給管83a、83bに配設され、開閉操作によって排ガスの流れを制御する排ガス電磁弁84a、84bと、圧縮空気供給源85と、圧縮空気供給源85から供給される圧縮空気をセラミックフィルタに導く圧縮空気供給管86a、86bと、圧縮空気供給管86a、86bに配設され、開閉操作によって圧縮空気の流れを制御する圧縮空気電磁弁87a、87bによって構成される。
【0053】
このような構成の水銀濃度検出装置8において、通常の運転時には、すべての排ガス電磁弁84a、84bを開状態とし、すべての圧縮空気電磁弁87a、87bを閉状態とすることで、すべてのセラミックフィルタ81a、81bから排ガスをサンプリングし、排ガス供給管83a、83bを介して排ガス分析計82に導入し、排ガス中の水銀濃度を計測する。
【0054】
そして、適時に、排ガス電磁弁84a、84bの一方を閉状態とし、他方の圧縮空気電磁弁87a、87bを開状態として、圧縮空気供給源85及び圧縮空気供給管86a、86bのいずれかからパルスエアを供給することで、セラミックフィルタ81a、81bの一方の表面に付着したダストの逆洗を行い、セラミックフィルタ81a、81bの目詰まりを防止する。このようなセラミックフィルタの逆洗を交互に行う。
【0055】
このように、複数のセラミックフィルタを同時に使用し、交互にパルスエアで逆洗を行うことにより、仮に片方ずつセラミックフィルタを作動させた場合に生ずる、切り換えた際に停止時に付着したダストの影響で排ガスを吸引できなくなるという事態を回避し、安定した排ガスの導入及び分析を行うことが可能となる。
【0056】
〔ごみ焼却炉排ガス処理装置1を使用した排ガス処理方法〕
次に、図5を用いて、本実施形態に係るごみ焼却炉排ガス処理装置1を使用した排ガス処理方法について説明する。
【0057】
〔ステップS100:ろ布41のプレコート〕
まず、ごみ焼却炉の操業運転中において、薬剤供給装置7から排ガス煙道を介してバグフィルタ4内にアルカリ薬剤及び吸着剤を所定時間にわたって供給することで、バグフィルタ4のろ布41の表面に所定厚さの薬剤及び吸着剤の反応層を形成するプレコート処理を行う(ステップS100)。
【0058】
〔ステップS110〜S120:ろ布41による排ガスの浄化〕
ステップS100におけるプレコート処理が完了すると、プレコートされたろ布41による排ガス処理を実施する(ステップS110)。
【0059】
このとき、流路切換手段45は、図2に示すように、開方向を向くよう設定され、ろ布41で浄化された排ガスは繊維状吸着材42を通過することなく迂回流路44bを通過し、排出口4bから排出される。
【0060】
また、同時に、制御装置9は、第一水銀濃度検出手段8aによって計測した、バグフィルタ4の上流における水銀濃度である第一水銀濃度が、所定の値を超過した状態が所定時間継続し、さらに上昇傾向にあるかどうか(条件1)を判定する処理を実行する(ステップS120)。
【0061】
なお、所定時間の経過は、図示しないタイマによって計時され判断される。また、第一水銀濃度が上昇傾向にあるかどうかは、第一水銀濃度検出手段8aによって計測した水銀濃度及びタイマによって計時された時間に基づいて算出される、水銀濃度の時間変化に基づいて判断される。
【0062】
ステップS120において、第一水銀濃度が、所定の値を超過した状態が所定時間継続し、さらに上昇傾向にある状況ではない場合、つまり、ステップS120においてNと判定された場合、ステップS110に戻り、プレコートしたろ布41のみを使用した排ガスの浄化を継続する。
【0063】
ステップS120においてNと判定された場合には、バグフィルタ4上流側の水銀濃度が所定値よりも低いか、または、所定値を超えてからの経過時間が短いか、あるいは、経過時間が長かったとしても水銀濃度が上昇傾向にないため、ろ布41のみによる浄化で十分浄化が可能である。特に、ステップS100において、ろ布41の表面に所定厚さの吸着剤の反応層を形成するプレコート処理を行っているため、ろ布41表面における吸着能力が向上しており、必要な吸着能力を発揮することが可能となる。
【0064】
〔ステップS130〜S140:ろ布41及び繊維状吸着材42による排ガスの浄化〕
一方、ステップS120において、第一水銀濃度が、所定の値を超過した状態が所定時間継続し、さらに上昇傾向にある状況の場合、つまり、ステップS120においてYと判定された場合、ステップS130に進み、プレコートしたろ布41による浄化に加え、繊維状吸着材42による浄化を行う(ステップS130)。
【0065】
すなわち、ステップS130においては、図3に示すように、流路切換手段45が閉方向に切り換えられることで排ガスが流通する経路が変更され、ろ布41で浄化された排ガスは繊維状吸着材42を貫流する。そのため、排ガス中に残存する水銀は繊維状吸着材42を通過する際に吸着され、ろ布41及び繊維状吸着材42によって二段階で浄化された排ガスは短絡流路44aを介して排出口4bから排出する。
【0066】
つまり、浄化前の水銀濃度が、所定の値を超過すると、ろ布41による浄化のみでは、排ガス中の水銀を十分に吸着できない可能性がある。そこで、浄化を強化するために、ろ布41に加え繊維状吸着材42を使用することで、水銀を確実に吸着する。
【0067】
ところで、水銀濃度が所定の値を超過したことのみを繊維状吸着材42使用の条件とすると、当該所定の値の近傍において、繊維状吸着材42の使用と不使用とが頻繁に切り替わるいわゆるハンチング現象が生じる。また、早めに経路を短絡流路44aに変更することになるため、排ガスが繊維状吸着材42を貫流する時間が長くなり、繊維状吸着材が破過するまでの時間が短くなるという問題が生じる。
【0068】
そのため、本発明では、単に、水銀濃度が所定の値を超過したことを繊維状吸着材42使用の条件とするのではなく、水銀濃度が所定の値を超過した状態が所定時間継続し、さらに、上昇傾向にあることを、繊維状吸着材42使用の条件としている。このようにすることで、ハンチング現象を防止しつつ、確実な水銀濃度の低減を実現することが可能となる。
【0069】
このとき、単に、水銀濃度が所定の値を超過した状態が所定時間継続したことを繊維状吸着材42使用の条件とするのではなく、さらに上昇傾向にあることを条件として加えることによって、繊維状吸着材が破過するまでの時間が短くなることを防止し、経済性に富んだ運転が可能となる。というのも、第一水銀濃度検出手段8aによって計測される第一水銀濃度は、浄化処理前の排ガス中に含まれる水銀の濃度を示すものであるから、第一水銀濃度の時間変化は、その後に施す排ガス処理の度合いを決定するにあたり、重要な要素となる。すなわち、仮に、第一水銀濃度の時間変化が下降傾向にある場合、あるいは、実質的に横ばいである場合、その後に特別な処理をせずとも、ろ布41にプレコート処理が施されているため、ろ布41のみによる通常の処理で濃度を規定値以下まで下げることが可能である。そのような場合に繊維状吸着材42を使用してしまうと、繊維状吸着材が破過するまでの時間が短くなってしまう。
【0070】
そこで、本実施形態においては、バグフィルタ4上流側で計測した水銀濃度が所定の値を超過した状態が所定時間継続することに加え、さらに上昇傾向にあることを条件とすることで、頻繁に繊維状吸着材42を使用することにより生じる繊維状吸着材の破過を抑制しつつ、水銀の確実な処理を行うことができる。
【0071】
図5に戻ると、ステップS130において、ろ布41及び繊維状吸着材42によって排ガスの浄化を行うと同時に、制御装置9は、第一水銀濃度が前記所定濃度を下回って一定時間が経過したかどうか(条件2)を判定する処理を実行する(ステップS140)。
【0072】
第一水銀濃度が前記所定濃度を下回って一定時間が経過した場合、すなわち、ステップS140においてYと判定された場合、ステップS110に戻り、図2に示すように、流路切換手段45を開方向を向くよう切り換え、ろ布41で浄化された排ガスが繊維状吸着材42を通過することなく迂回流路44bを通過し、排出口4bから排出されるよう制御する。
【0073】
すなわち、ステップS140においてYと判定された場合、繊維状吸着材42を使用する必要はないと判断され、プレコートされたろ布41のみによる浄化を行う。
【0074】
〔ステップS150〜S160:吸着剤の供給による排ガスの浄化〕
一方、ステップS140においてNと判定された場合、ステップS150に進み、バグフィルタ4の下流側に設置された第二水銀濃度検出手段8bによって計測された第二水銀濃度が、所定値以下にならずに所定時間が経過するか、あるいは上昇傾向にあるかどうか(条件3)を判定する処理を実行する(ステップS150)。
【0075】
第二水銀濃度検出手段8bによって計測された第二水銀濃度が、所定値以下にならずに所定時間が経過するか、あるいは上昇傾向にある場合、すなわち、ステップS150においてYと判定された場合、ステップS160に進み、制御装置9は、薬剤供給装置7から、吸着剤を供給する処理を実行する(ステップS160)。
【0076】
つまり、繊維状吸着材42を使用してもなお、浄化後の排ガス中に含まれる水銀濃度が下がらない場合、直接的に排ガス中に吸着剤を供給することで、さらに浄化を強化して三段階の浄化を実現することが可能となる。
【0077】
ステップS150において、第二水銀濃度が所定値以下にならずに所定時間が経過するか、あるいは上昇傾向にあるという状況は、ろ布41及び繊維状吸着材42による二重の浄化を行っても、浄化後の水銀濃度が下がらないか、あるいは上昇する場合であるため、さらに、吸着を強化する必要があると判断される。そのため、本実施形態においては、このような場合、バグフィルタ4の上流に設けられた薬剤供給装置7から吸着剤を排ガス中に直接供給することで、水銀濃度を速やかに低減している。
【0078】
一方、第二水銀濃度検出手段8bによって計測された第二水銀濃度が、所定時間が経過する前に所定値以下に低下した場合、あるいは下降傾向にある場合、すなわち、ステップS150においてNと判定された場合、ステップS130に戻り、ろ布41と繊維状吸着材42を使用した排ガスの浄化を継続する。
【0079】
つまり、ステップS150において、所定時間が経過する前に第二水銀濃度が所定値以下に低下するか、あるいは下降傾向にあるという状況は、ろ布41及び繊維状吸着材42による二重の浄化によって、効果的に水銀を吸着できていると判断できるため、そのまま、ろ布41及び繊維状吸着材42による浄化を継続することで、必要な吸着能力を確保することができる。
【0080】
ところで、ステップS150においてYと判定され、ステップS160において、ろ布41及び繊維状吸着材42に加えて吸着剤の供給によって排ガスの浄化を行うと、制御装置9は、第二水銀濃度が前記所定値を下回って一定時間が経過したかどうか(条件4)を判定する処理を実行する(ステップS170)。
【0081】
第二水銀濃度が前記所定値を下回って一定時間が経過していない場合、すなわち、ステップS170においてNと判定された場合、まだ直接的な吸着剤の供給による浄化の必要があると判断されるため、ステップS160に戻り、薬剤供給装置7からの吸着剤の供給を継続する。
【0082】
一方、第二水銀濃度が前記所定値を下回って一定時間が経過した場合、すなわち、ステップS170においてYと判定された場合、直接的な吸着剤の供給による浄化の必要はなくなったと判断されるため、ステップS180に進み、制御装置9は薬剤供給装置7からの吸着剤の供給を停止した上で、ステップS130に戻り、ろ布41と繊維状吸着材42を使用した排ガスの浄化を継続する。
【0083】
このような処理を繰り返すことで、排ガス中の水銀を安定して処理することができる。また、必要に応じて、再度プレコート処理を行うことで、ろ布41表面における吸着能力の低下を抑制することができる。
【0084】
特に、バグフィルタ4上流側で計測した水銀濃度が所定の値を超過した状態が所定時間継続することに加え、さらに上昇傾向にある場合に、繊維状吸着材42を使用するよう構成することで、頻繁に繊維状吸着材42を使用することにより生じる繊維状吸着材の破過を抑制しつつ、水銀の確実な処理を行うことができる。
【0085】
さらに、バグフィルタ4の下流側で計測した水銀濃度が所定値以下にならずに所定時間が経過するか、あるいは上昇傾向にある場合に、薬剤供給装置7から吸着剤を供給するよう構成することで、繊維状吸着材42を用いてもなお水銀濃度が下がらない場合に、排ガスに直接的に吸着剤を供給して迅速に水銀を捕捉することができる。
【0086】
また、本発明の付帯的な効果として、以下のような効果が得られる。
【0087】
一般に、ダイオキシン類そのものの濃度を連続的に測定することはできないものの、水銀吸着剤として使用する繊維状吸着材には、ダイオキシン類の吸着効果もあるため、ダイオキシン類の濃度の指標となる一酸化炭素(CO)濃度あるいは全炭化水素(THC)濃度を測定し、これらの濃度が所定値を超えた場合に排ガスを繊維状吸着材を流通させるよう制御することで、ダイオキシン類濃度を低減することができる。
【0088】
バグフィルタ上流位置で水銀濃度を連続的に測定することで、プレコートに必要な吸着剤の量を適正量に制御することができ、無駄な吸着剤の使用を削減することができる。
【0089】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0090】
また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0091】
この発明のごみ焼却炉排ガス処理装置を使用した排ガス処理方法は、水銀を含有する廃棄物を処理することのある産業廃棄物焼却設備等に適用することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 ごみ焼却炉
2 熱回収装置
3 ガス冷却装置
4 バグフィルタ
4a 排ガス導入口
4b 排ガス排出口
41 ろ布
42 繊維状吸着材
43 ケーシング
43a 上部空間
43b 下部空間
43c 仕切壁
44 排出流路
44a 短絡流路
44b 迂回流路
44c 仕切板
45 流路切換手段
5 誘引通風機
6 煙突
7 薬剤供給装置
8 水銀濃度検出装置
8a 第一水銀濃度検出装置
8b 第二水銀濃度検出装置
9 制御装置

図1
図2
図3
図4
図5