特許第6846801号(P6846801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6846801情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846801
(24)【登録日】2021年3月4日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20210315BHJP
   B61L 25/02 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   G01C21/34
   B61L25/02 A
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-50171(P2017-50171)
(22)【出願日】2017年3月15日
(65)【公開番号】特開2018-155498(P2018-155498A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2020年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】500168811
【氏名又は名称】株式会社ナビタイムジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】永 森 枝里子
(72)【発明者】
【氏名】岡 野 宙 輝
(72)【発明者】
【氏名】石 井 直 貴
【審査官】 田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−277109(JP,A)
【文献】 特開2009−271019(JP,A)
【文献】 特開2013−035411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 − 21/36
G01C 23/00 − 25/00
B61L 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路探索条件に基づいた公共交通機関を利用する最適経路とともに、公共交通機関の車両混雑度が前記最適経路よりも低い低混雑経路を探索する、探索手段と、
前記探索手段が探索した前記最適経路とともに、前記低混雑経路を出力する、出力手段と、
を備え、
前記探索手段は、
前記経路探索条件に基づいて候補経路を探索する、候補経路探索手段と、
前記候補経路から前記最適経路を抽出する、最適経路抽出手段と、
前記候補経路のそれぞれについて、経路の混雑度を示す代表混雑度を算出する、混雑度算出手段と、
前記候補経路のうち、前記最適経路の代表混雑度よりも低い前記代表混雑度を有する経路を前記低混雑経路として抽出する、低混雑経路抽出手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記出力手段は、前記最適経路とともに前記最適経路の代表混雑度を出力し、前記低混雑経路とともに前記低混雑経路の代表混雑度を出力する請求項に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記出力手段は、季節、曜日、日時及び時間帯のうち少なくとも1つの条件に基づいて前記低混雑経路を出力する請求項1又は請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記探索手段は、さらに、前記候補経路のうち、公共交通機関の車両混雑度が最も低い前記低混雑経路を抽出
前記出力手段は、さらに、前記車両混雑度が最も低い低混雑経路を、他の前記候補経路と区別可能な態様において出力する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
経路探索条件に基づいた公共交通機関を利用する最適経路とともに、公共交通機関の車両混雑度が前記最適経路よりも低い低混雑経路を出力する、出力手段、
として機能させるための情報処理プログラムであって、
前記低混雑経路は、
前記経路探索条件に基づいて候補経路を探索し、
前記候補経路から前記最適経路を抽出し、
前記候補経路のそれぞれについて、経路の混雑度を示す代表混雑度を算出し、
前記候補経路のうち、前記最適経路の代表混雑度よりも低い前記代表混雑度を有する経路として抽出された経路である、
情報処理プログラム
【請求項6】
コンピュータを、
経路探索条件に基づいた公共交通機関を利用する最適経路とともに、公共交通機関の車両混雑度が前記最適経路よりも低い低混雑経路を探索する、探索手段であって
前記経路探索条件に基づいて候補経路を探索する、候補経路探索手段と、
前記候補経路から前記最適経路を抽出する、最適経路抽出手段と、
前記候補経路のそれぞれについて、経路の混雑度を示す代表混雑度を算出する、混雑度算出手段と、
前記候補経路のうち、前記最適経路の代表混雑度よりも低い前記代表混雑度を有する経路を前記低混雑経路として抽出する、低混雑経路抽出手段と、
を備える探索手段、
として機能させるための情報処理プログラム。
【請求項7】
通信可能に接続された複数のコンピュータによって構成される情報処理システムであって、
経路探索条件に基づいた公共交通機関を利用する最適経路とともに、公共交通機関の車両混雑度が前記最適経路よりも低い低混雑経路を探索する、探索手段であって
前記経路探索条件に基づいて候補経路を探索する、候補経路探索手段と、
前記候補経路から前記最適経路を抽出する、最適経路抽出手段と、
前記候補経路のそれぞれについて、経路の混雑度を示す代表混雑度を算出する、混雑度算出手段と、
前記候補経路のうち、前記最適経路の代表混雑度よりも低い前記代表混雑度を有する経路を前記低混雑経路として抽出する、低混雑経路抽出手段と、
を備える探索手段、
前記探索手段が探索した前記最適経路とともに、前記低混雑経路を出力する、出力手段、
を備えた情報処理システムを機能させるために、
上記コンピュータの少なくとも1つを上記手段の少なくとも1つとして機能させるための情報処理プログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
経路探索条件に基づいた公共交通機関を利用する最適経路とともに、公共交通機関の車両混雑度が前記最適経路よりも低い低混雑経路を探索する、探索手段であって
前記経路探索条件に基づいて候補経路を探索する、候補経路探索手段と、
前記候補経路から前記最適経路を抽出する、最適経路抽出手段と、
前記候補経路のそれぞれについて、経路の混雑度を示す代表混雑度を算出する、混雑度算出手段と、
前記候補経路のうち、前記最適経路の代表混雑度よりも低い前記代表混雑度を有する経路を前記低混雑経路として抽出する、低混雑経路抽出手段と、
を備える探索手段、
前記探索手段が探索した前記最適経路とともに、前記低混雑経路を出力する、出力手段、
として機能させるための情報処理プログラム。
【請求項9】
探索手段が、経路探索条件に基づいた公共交通機関を利用する最適経路とともに、公共交通機関の車両混雑度が前記最適経路よりも低い低混雑経路を探索するステップであって
前記経路探索条件に基づいて候補経路を探索するステップと、
前記候補経路から前記最適経路を抽出するステップと、
前記候補経路のそれぞれについて、経路の混雑度を示す代表混雑度を算出するステップと、
前記候補経路のうち、前記最適経路の代表混雑度よりも低い前記代表混雑度を有する経路を前記低混雑経路として抽出するステップと、
を備えるステップと、
出力手段が、前記探索手段が探索した前記最適経路とともに、前記低混雑経路を出力するステップと、
を備える情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、出発地から目的地まで列車を利用して移動する際に、あらかじめパソコンやスマートフォンを使用してインターネット回線等を介して経路を探索し、出力された結果の経路を参照して適切な列車を選択して移動する人が多く見られる。経路の探索結果として、一般的に、早く目的地まで到着する経路、運賃が安くすむ経路、又は、乗換回数が少ない経路等に基づいて最適経路が出力される。
【0003】
しかしながら、朝の通勤ラッシュ時などのように、探索結果として出力された列車の混雑状態により、快適ではない経路が推奨されることがある。また、事前に混雑状態を得ようとする場合、鉄道会社が提供するウェブサイトにアクセスして混雑情報の取得等を行う必要があったり、さらには、当該取得した情報を元に経路の再探索等をする必要があったりするなど、経路の取得操作が煩雑となる場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5294592号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、探索条件を満たす最適経路とともに混雑回避経路を探索経路として出力し、又は、混雑回避経路を最適経路として出力する情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によれば、情報処理システムは、経路探索条件に基づいた公共交通機関を利用する最適経路とともに、公共交通機関の車両混雑度が前記最適経路よりも低い低混雑経路を探索する、探索手段と、前記探索手段が探索した前記最適経路とともに、前記低混雑経路を出力する、出力手段と、を備える。
【0007】
別の実施形態によれば、情報処理システムは、公共交通車両混雑回避優先探索要求を含む経路探索条件に基づいて経路を探索する、探索手段と、前記探索された経路のうち、経路の混雑度に基づいて経路を出力する、出力手段と、を備える。
【0008】
さらに別の実施形態によれば、情報処理システムは、経路探索条件に基づいて公共交通機関を利用する経路を複数探索し、前記経路のうち、公共交通機関の車両混雑度が最も低い低混雑経路を抽出する、探索手段と、前記探索手段が探索した前記経路を出力する出力手段であって、前記低混雑経路を、他の前記経路と区別可能な態様において出力する、出力手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、探索条件を満たす混雑回避経路を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る情報処理システムの概念的な構成を示す図。
図2】経路情報探索部及び記憶部のデータフローを模式的に示す図。
図3】第1実施形態に係る情報処理システムの処理の流れを示すフローチャート。
図4】最適経路及び低混雑経路の例を示す図。
図5】経路探索結果の表示の例を示す図。
図6】代表混雑度を示すアイコンの例を示す図。
図7】第1実施形態に係る情報処理システムの処理の流れの別の例を示すフローチャート。
図8】第2実施形態に係る情報処理システムの処理の流れを示すフローチャート。
図9】第2実施形態に係る経路探索条件の取得画面の例を示す図。
図10】第2実施形態に係る探索結果表示の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は、繰り返さない。
【0012】
なお、以下の説明において、出発地とは経路の出発地であり、また、目的地とは経路の目的地であり、例えば、経路探索条件に設定された出発地と目的地である。また、経由地とは経路上の地点のことであり、例えば、経路探索条件に設定された経由地点や、経路情報に含まれる交通機関の乗車場所や乗換場所を含む乗り場のことである。交通機関とは、例えば、公共交通機関のことである。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態に係る情報処理システム1は、交通機関を用いた経路を出力する際に、目的地まで早く到達する経路、目的地までの運賃が安い経路及び目的地まで乗換回数が少ない経路のうち少なくとも1つの条件を満たす最適経路とともに、交通機関の混雑度合いを考慮し、混雑度の低い経路を出力するものである。
【0014】
なお、以下の例においては、乗り場を駅として、列車に乗車する場合について説明するが、本実施形態は、列車には限られず、バス等の他の任意の交通機関にも適用可能である。乗り場は、例えば、交通機関が列車である場合は、駅であり、交通機関がバスの場合は、停留所である。また、経路は、交通機関が異なる複数の区間が混在するものであってもよい。例えば、出発地から経由地までは列車で移動し、経由値から目的地まではバスで移動する経路などであってもよい。
【0015】
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の概略的な構成を示す図である。この図1に示すように、情報処理システム1は、端末装置2と、サーバ3とを備えている。端末装置2とサーバ3とは、インターネット等のネットワーク4を介して互いに通信可能に接続されている。端末装置2とサーバ3の少なくとも一部は、コンピュータにより実現可能である。ネットワーク4は、有線回線及び無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。
【0016】
端末装置2は、ユーザが使用するものであり、例えば、携帯電話、スマートフォン、パソコン、タブレット端末等の情報処理端末である。この端末装置2は、制御部21と、通信部22と、記憶部23と、操作部24と、出力部25とを備えている。なお、端末装置2は、GPS(Global Positioning System)やWi−Fi(登録商標)測位などにより、端末装置2の現在位置を測位する測位手段(図示しない)を備えていてもよい。
【0017】
制御部21は、経路探索条件を取得する探索条件取得部211と、出力部25において出力するための情報を出力する情報出力部212とを備えている。なお、制御部21の各部は、端末装置2内のプロセッサが所定のプログラムを実行してソフトウェアにより実現されるものであってもよい。
【0018】
探索条件取得部211は、操作部24を介してユーザが設定した経路探索条件を取得し、経路探索条件を設定する。経路探索条件は、少なくとも出発地及び目的地の情報を含む。出発地や目的地は、鉄道の駅には限られず、地点を特定可能な情報、例えば、住所、建物名、郵便番号、電話番号、自宅、会社、バスの停留所、空港、港、乗船場などであってもよい。出発地は、GPSやWi−Fi測位等の測位手段によって検出された現在位置であってもよい。また、経路探索条件には、出発地や目的地の他に、経由地、使用路線、出発時刻、到着時刻、始発、終電等の条件が含まれていてもよい。
【0019】
なお、探索条件取得部211は、操作部24を介さずに経路探索条件の一部又は全部を取得してもよい。例えば、ユーザが時刻情報を入力しない場合、出発時刻として、端末装置2が有する時計(図示しない)若しくは外部のサーバから現在時刻を取得するようにしてもよい。あるいは、過去の経路探索履歴に基づいて経路探索条件を取得してもよいし、ユーザが事前に登録したルート(通勤・通学ルート、お気に入りルート等)の情報、あるいはカレンダー等のアプリに登録されたスケジュール情報に基づいて経路探索条件を取得してもよい。
【0020】
ユーザにより時刻情報が入力されない場合には、上記の例とは別の例として、後述するサーバ3の経路情報探索部310において、サーバ3内の時計の指す現在の時刻を出発時間として経路探索を行うようにしてもよい。
【0021】
情報出力部212は、サーバ3から受信した経路情報等を映像信号に変換して出力部25へと出力する。また、サーバ3から受信したデータをユーザが見やすくなるように情報出力部212において成型してもよい。なお、情報出力部212は、情報を音声信号に変換して出力部25へと出力するようにしてもよい。
【0022】
通信部22は、ネットワーク4を介して制御部21とサーバ3との間で情報を送受信するためのインターフェースである。記憶部23は、制御部21が動作するためのプログラムや制御部21が取り扱うデータ(ユーザ情報等)を記憶する。操作部24は、ユーザが端末装置2に情報を入力するためのインターフェースであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタン、マイク、ダイヤルボタン等である。
【0023】
出力部25は、端末装置2からユーザへ各種情報を出力するインターフェースであり、例えば、映像を表示する液晶ディスプレイ等の映像表示手段であり、端末装置2からユーザへ様々な情報を出力する。具体的には、出力部25は、ユーザからの操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、後述する経路情報などを表示する。あるいは、出力部25は、探索された経路情報や新着情報等を音声で出力するスピーカであってもよいし、新着情報がある場合に振動するバイブレータであってもよい。なお、操作部24がタッチパネルの場合には、操作部24が出力部25を兼ねていてもよい。
【0024】
なお、出力部25は、ユーザに情報を直接提示するものでなくてもよい。例えば、出力部25は、端末装置2の外部に接続される映像表示手段や音声出力手段に、映像信号や音声信号を出力するものであってもよいし、外部に接続される印刷装置にデータを出力するものであってもよいし、端末装置2内若しくは外部の記憶装置にデータを出力して記憶させるものであってもよい。
【0025】
次に、サーバ3について説明する。サーバ3は、制御部31と、記憶部32と、通信部33とを備えている。
【0026】
制御部31は、経路情報探索部310を備えている。なお、後述する候補経路探索部311を含む制御部31が有する各機能は、サーバ3内のプロセッサが所定のプログラムを実行してソフトウェアにより実現されるものであってもよい。
【0027】
経路情報探索部310は、最適経路、すなわち、経路探索条件に合致する経路のうち、他の経路と比較して、目的地まで早く到達する経路、目的地までの運賃が安い経路及び目的地までの乗換回数が少ない経路のうち少なくとも1つの条件を満たす経路情報とともに、交通機関の混雑度合いを考慮した混雑度の低い経路(以下、低混雑経路と記載する)の情報を探索する。最適経路には、上記の経路探索条件に合致する経路のうち、特に、目的地まで最も早く到達する経路、目的地までの運賃が最も安い経路及び目的地までの乗換回数が最も少ない経路のうち少なくとも1つの条件を満たす経路が含まれていてもよい。
【0028】
ここで、経路情報探索部310が探索する経路情報は、例えば、出発地から目的地までの移動手段や移動距離、移動に要する時間および料金、当該経路における出発時刻及び到着時刻等の情報を含む。経路情報は、通信部33からネットワーク4を介して端末装置2へと出力される。
【0029】
記憶部32は、経路データベース321と、混雑度データベース322とを備える。経路データベース321は、経路探索に使用するデータベースであり、経路ネットワーク情報データベースを備える。これに加えて、経路データベース321は、交通ネットワーク情報データベースと、地図データベースと、POI(Point of Interest)情報データベースのうち少なくとも1つをさらに備えていてもよい。時刻表情報データベースと、地図データベースと、POIデータベースを備える場合においては、経路データベース321とは別の格納場所に格納されるようにしてもよい。
【0030】
交通ネットワーク情報は、鉄道やバス等の交通網や道路網を規定する情報である。交通網の情報としては、交通機関の路線情報、時刻表情報、料金情報等を含む。地図情報は、全国及び各地方の道路地図などの地図データと、地図データに対応付けられた地図オブジェクトの情報を含む。また、地図情報は、公共交通機関の路線図に関する路線図情報を含んでいてもよい。
【0031】
これらの交通ネットワーク情報及び地図情報は、所定のタイミングでアップデートしてもよい。なお、記憶部32は、必ずしもサーバ3内に設けなくてもよく、ネットワーク4を介して接続される別個の装置内に設けられていてもよい。
【0032】
時刻を指定せずに経路探索をする平均探索のみを行う場合には時刻表情報データベースは不要であるが、出発時刻や到達事項といった時刻を指定した通常の探索をする場合には、時刻表情報データベースが必要となる。また、駅間のみの経路探索を行う場合には、地図データベースやPOIデータベースは不要であるが、上述したように、住所、建物名等から探索を行う場合には、地図データベースやPOIデータベースが必要となる。これらのデータベースは図示しないが、適宜必要となる場合には、備えられる。
【0033】
混雑度データベース322は、路線ごとの混雑度を格納するデータベースである。混雑度は、例えば、各路線の各駅間における混雑を示す指標である。混雑度の指標は、例えば、座席に空きがある、座席はほとんど埋まっている、つり革につかまることができる、圧迫感がある、身体の向きを変えるのが困難である、混雑のため乗車できない人がいる、等の指標で表される。また、混雑度の別の例として、列車の各車両に設けられた重さを探知するセンサにより求められた乗車率に基づいて算出されるものであってもよい。
【0034】
原則的には、時刻表に表示されている各列車について、各駅間の混雑度が混雑度データベース322に格納されている。この混雑度は、必ずしも全ての列車について格納されている必要は無く、例えば、2本に1本の列車に対して格納されており、データが無い列車の混雑度については、前後2本の列車の混雑度から補間するようにしてもよい。
【0035】
次に、経路情報探索部310についてより詳しく説明する。図2は、経路情報探索部310と、記憶部32とにおけるデータの流れを示す図である。この図2に示すように、経路情報探索部310は、候補経路探索部311と、最適経路抽出部312と、混雑度算出部313と、低混雑経路抽出部314とを備える。
【0036】
候補経路探索部311は、探索条件取得部211により取得され、設定された経路探索条件に基づいて、経路情報として出力する候補となる複数の候補経路を探索する。例えば、出発地と目的地としてそれぞれ出発駅と到着駅が取得された場合、出発駅を出発して到着駅まで到達する路線を、経路データベース321内の路線ネットワークデータベースに格納されているデータを用いて探索する。
【0037】
さらに、出発時刻や到着時刻等の時刻情報が指定されている場合には、経路データベース321内の時刻表データベースも参照して探索を行う。時刻が設定されていない場合には、各経路における平均的な経過時間を示す平均探索をするようにしてもよいし、現在時刻を出発時刻とするように探索をするようにしてもよい。これらには限られず、例えば、5分後を出発時刻とするような探索を行うようにしてもよい。
【0038】
出発地及び目的地の少なくとも一方が駅名では無かった場合には、経路データベース321内の地図データベースやPOIデータベースに基づいて駅名が入力されなかった出発地又は目的地の周辺の駅を探索し、探索された駅に基づいて上記の経路探索を行う。ここで、周辺の駅とは、例えば、出発地又は目的地の最寄り駅であったり、当該最寄り駅から徒歩10分圏内の駅であったり、又は、周囲1km以内に存在する駅であったりする。最寄り駅以外の駅を探索する場合のパラメータ(徒歩10分、周囲1km等)は、システムによりあらかじめ決められているものでもよいし、ユーザにより設定できるものでもよいし、又は、都心部及び近郊と、それ以外の地域とにおいて別のパラメータが与えられるものであってもよい。
【0039】
なお、経路探索においては、目的地が駅である場合、当該駅の周辺の駅まで列車で行くことのできる路線を探索し、降車駅から目的地の駅まで徒歩で移動するような経路を出力するようにしてもよい。例えば、東京駅までの経路を探索した場合に、大手町駅までの路線を探索し、大手町駅から徒歩により東京駅まで移動する経路を探索するようにしてもよい。
【0040】
このように、候補経路探索部311は、経路データベース321に格納されているデータに基づいて、出発地から目的地までの候補経路の経路探索を行う。候補経路探索部311により探索された候補経路は、最適経路抽出部312及び混雑度算出部313へと出力される。
【0041】
最適経路抽出部312は、候補経路として探索されたデータのうち、最適経路となるデータを所定数抽出する。最適経路は、上述したように、例えば、目的地まで最も早く到達できる経路である。いずれの条件に合う経路を最適経路として抽出するかは、システムによりあらかじめ決められていてもよいし、ユーザにより設定されるものであってもよい。
【0042】
例えば、最適経路として、到着の最も早い経路、運賃の最も安い経路及び乗換が最も楽な経路をそれぞれ少なくとも1つ、最適経路として出力するようにしてもよいし、1つの条件、例えば、到着の最も早い経路から到着が早い順に所定数の経路を候補経路から抽出するようにしてもよい。
【0043】
これらの他に、特別の列車種別(例えば、特急列車)等の追加料金を支払う必要がある列車を避ける経路を条件として含めることも可能である。さらには、これらの早い経路、安い経路、楽な経路を総合的に判断する指標、例えば、時間、運賃、乗換回数、乗換時間等を示すパラメータを引数とするコスト関数を設け、コスト関数の出力に基づいて所定数の経路を最適経路として出力するようにしてもよい。
【0044】
混雑度算出部313は、候補経路として探索された経路のそれぞれについて、混雑度データベース322に格納されている各路線の各駅間の混雑度に基づき、経路の混雑の度合いを示す指標である代表混雑度を算出する。代表混雑度は、体感の混雑具合を平均化したものであり、例えば、経路における各路線の各駅間における混雑度を平均化したものを考慮して算出される。経路における各路線の各駅間における混雑度を平均化したものとは、具体的には、各駅間の乗車時間と、混雑度とを掛け合わせて駅間の混雑度を算出し、全ての駅間における駅間の混雑度を足し合わせ、全乗車時間で除算したものである。このようにして、時間あたりの平均的な混雑度を算出する。例えば、各駅間の混雑度は、事前に調査された体感の混雑具合に基づいて混雑度データベース322に格納されている。
【0045】
これは、候補経路を構成する路線が複数ある場合においても同様である。例えば、ある候補経路が2路線から構成される場合において、一方の路線の混雑度が低く、長い距離を乗車し、他方の路線の混雑度が高く、短い距離を乗車するような場合、代表混雑度は、比較的低くなる。一方で、一方の路線の混雑度が低く、短い距離を乗車し、他方の路線の混雑度が高く長い距離を乗車する場合、先に挙げた例よりも代表混雑度は高くなる。
【0046】
上記の混雑度の平均に加え、他の要素も代表混雑度として考慮することができる。具体的には、列車種別や、始発列車等の情報である。例えば、列車種別としては、一般的には、快速列車や急行列車と比較して各駅停車の列車は空いているため、各駅停車の列車については、混雑度を低める要素となり得る。
【0047】
また、経路の途中において座れる可能性があるタイミングがあり、ユーザが座席に座ることができた場合、座った駅以降の実際の列車の混雑度が高くても、実際の混雑度には関係なく、混雑度を低く見積もることができる。例えば、経路を構成する路線において、他の列車へと乗り換える乗客が多い場合や、経路の途中において始発列車へと乗り換えるタイミングがある場合において、始発列車に乗り換えれば座れるような場合が該当する。座ることができるか否かはこれらには限られず、他には、路線において大規模な工場があったり、学校があったりして乗客が多く降りるタイミングがあるような場合が考えられる。
【0048】
このように、混雑度算出部313は、各駅間の混雑度及び各駅間の乗車時間とともに、路線における列車種別、始発列車等の情報に基づいて経路の混雑度である代表混雑度を算出する。なお、ある候補経路の代表混雑度を求めようとした場合に、当該候補経路を構成する少なくとも1つの路線についての混雑度が混雑度データベース322に格納されていない場合、当該候補経路の代表混雑度は算出されずに次の候補経路の代表混雑度の算出へと移行する。
【0049】
低混雑経路抽出部314は、最適経路抽出部312により抽出された最適経路情報及び混雑度算出部313により算出された代表混雑度に基づいて、候補経路の中から低混雑経路を抽出する。具体的には、混雑度算出部313が算出した最適経路の代表混雑度と、他の候補経路の代表混雑度とを比較することにより低混雑経路を抽出する。
【0050】
まず、低混雑経路抽出部314は、最適経路のうち、算出された代表混雑度が最も低い経路を抽出する。次に、抽出した経路と比較して低い代表混雑度を有する経路を抽出する。最後に、このようにして抽出された経路から、各経路の目的地までの到達時間、乗換回数、運賃、代表混雑度等の複数の要素を考慮し、所定数の経路を低混雑経路として抽出する。
【0051】
所定数の低混雑経路の抽出は、到達時間、乗換回数、運賃、混雑度等の指標を引数としたコスト関数を用い、例えば、コストの値が最も小さい経路から順に所定数の経路を低混雑回路として抽出する。このようにコスト関数を定めることにより、あまりにも遠回りになる経路や、乗換回数が多い経路、時間が莫大に掛かる経路などの経路を除いた経路が低混雑経路として抽出される。
【0052】
なお、コスト関数により評価するのではなく、最適経路の代表混雑度より低い代表混雑度を有する候補経路のうち、さまざまな条件により低混雑経路を抽出するようにしてもよい。例えば、到達時間が最適経路における最小到達時間の2倍を超えない経路、乗換回数が最適経路における最小乗換回数に所定回数(例えば3回)を加えた回数より少ない経路、営業キロが最適経路の2倍を超えない経路、等の条件により低混雑経路を抽出するようにしてもよい。ここで挙げた、到達時間、乗換回数、営業キロ等や、2倍や3回等のパラメータは一例としてあげたものであり、この限りではない。別の例としては、乗り換え時における徒歩区間が長すぎない等の条件としてもよい。
【0053】
経路情報探索部310は、最適経路抽出部312により抽出された最適経路、及び低混雑経路抽出部314により抽出された低混雑経路を、通信部33を介して端末装置2の情報出力部212へと出力する。
【0054】
なお、全ての候補経路について、又は、最適経路以外の全ての候補経路について代表混雑度が算出されない場合、低混雑経路抽出部314は、低混雑経路を抽出することなく処理を終了する。この場合、経路情報探索部310は、低混雑経路を出力せずに、最適経路のみを出力する。最適経路の代表混雑度を下回る経路が無い場合も同様に、低混雑経路の抽出をすることなく処理を終了する。
【0055】
以上が情報処理システム1の各構成要素の動作である。次に、フローチャートを用いて、全体的な処理の流れを説明する。図3は、本実施形態に係る情報処理システムの処理の流れを示すフローチャートである。以下においては、例えば、ユーザは、出発駅及び目的駅の情報と、出発時刻等の時刻情報とを入力した場合について説明する。それ以外の場合については、上述した例のように、出発駅情報、目的駅情報、時刻情報を適切なタイミングにおいて取得した上で以下の処理を行う。
【0056】
まず、端末装置2の探索条件取得部211は、ユーザからの入力により経路探索条件を取得する(ステップS10)。続いて、探索条件取得部211は、通信部22及びネットワーク4を介して、サーバ3へと経路探索条件を送信する(ステップS11)。
【0057】
次に、通信部33を介して経路探索条件を取得した経路情報探索部310の候補経路探索部311は、経路データベース321に格納されているデータに基づいて経路探索条件と合致する候補経路情報を探索する(ステップS20)。探索された候補経路情報は、最適経路抽出部312、混雑度算出部313及び低混雑経路抽出部314へと出力される。
【0058】
次に、最適経路抽出部312は、候補経路探索部311が出力した候補経路情報に基づき、最適経路情報を抽出する(ステップS21)。この際、ユーザにより指定された経路探索条件により最適経路を抽出するようにしてもよい。すなわち、ユーザにより指定された到達時間が早い順に経路を出力する等の条件を加味してもよい。抽出された最適経路は、低混雑経路抽出部314へと出力される。
【0059】
次に、混雑度算出部313は、候補経路探索部311が出力した候補経路情報及び混雑度データベース322に格納されている各路線の各駅間の混雑度に基づいて、各候補経路の代表混雑度を算出する(ステップS22)。算出された代表混雑度は、低混雑経路抽出部314へと出力される。
【0060】
次に、最適経路情報と、各候補経路の代表混雑度とを入力した低混雑経路抽出部314は、最適経路の代表混雑度のうち最も低い代表混雑度を抽出し、当該代表混雑度よりも低い代表混雑度を有する候補経路、すなわち、低混雑経路の候補となる経路が存在するか否かを判断する(ステップS23)。
【0061】
低混雑経路の候補となる経路が存在する場合(ステップS23:Yes)、低混雑経路抽出部314は、上記の最適経路と、候補経路探索部311が探索した候補経路の情報と、各候補経路の代表混雑度とに基づいて、低混雑経路を抽出する(ステップS24)。
【0062】
次に、経路情報探索部310は、通信部33及びネットワーク4を介して端末装置2へと探索した最適経路情報及び低混雑経路情報を送信し、出力する(ステップS25)。サーバ3の制御部31は、この処理の後、待機状態へと移行し、次の探索条件が入力されるのを待つ状態と戻ってもよい。
【0063】
一方、低混雑経路の候補がないと判断された場合(ステップS23:No)、低混雑経路抽出部314は、低混雑経路を出力せず、経路情報探索部310は、最適経路のみを端末装置2へと出力する。なお、代表混雑度を算出する際に(すなわち、ステップS22において)、全ての候補経路について、又は、最適経路以外の全ての候補経路について代表混雑度が算出されない場合、ステップS23において、Noの処理、すなわち、図3において点線で示す処理のフローを辿るようにしてもよい。
【0064】
次に、ネットワーク4及び通信部22を介して最適経路情報及び低混雑経路情報を受信した端末装置2の情報出力部212は、出力部25を介してユーザへと経路情報を出力する(ステップS12)。出力する経路情報は、低混雑経路情報がサーバ3から出力されている場合には、最適経路情報及び低混雑経路情報であり、低混雑経路情報がサーバ3から出力されていない場合には、最適経路情報のみである。
【0065】
ここで、最適経路及び低混雑経路の具体例について説明する。図4(a)乃至図4(d)は、出力される最適経路情報及び低混雑経路情報の例を示す図である。これらの図において丸印は、駅を表し、丸印の中に書かれている文字は、駅名を表している。S駅は出発駅であり、D駅は到着駅を示す。もっとも、以下の経路は例として示すものであり、以下のような路線がある場合に常に最適経路と低混雑経路がこれらの例のようになるわけではない。すなわち、低混雑経路は、例えば上述したようなコスト関数等により評価され、抽出されるものである。
【0066】
図4(a)は、最適経路が快速列車であるのに対し、低混雑経路が各駅停車の列車である例である。一般的に快速列車に対して各駅停車の列車は、混雑度が低い。そこで、快速列車に比べて各駅停車の列車は目的地までの到達時間が遅くなるものの、各駅停車を利用する経路が低混雑経路として出力される。なお、各駅停車の混雑度の方が快速列車の混雑度よりも高い場合は、混雑度データベース322にはその旨のデータが格納されているので、各駅停車が低混雑経路として出力される可能性は少なくなる。
【0067】
図4(b)は、S駅からD駅まで行く路線は最適経路と低混雑経路において同じ路線を用いているが、低混雑経路においては途中のX駅において始発列車へと乗り換える例である。このように、同じ路線(かつ、同じ列車種別)を用いる場合であっても、途中駅において始発駅となるX駅が存在する場合、X駅で乗り換えることにより、より混雑度の低い列車へと乗り換えることにより経路の混雑度を下げることが可能となる。
【0068】
このように始発列車に乗り換える駅が存在する場合には、低混雑経路情報として、始発列車に乗り換えるために必要なぎりぎりの時刻を出発時刻として出力するのではなく、始発列車に並んで座れるように余裕を持った時刻を出発時刻として出力するようにしてもよい。あるいは、出発時刻がユーザにより指定されている場合には、より早い時間にX駅において乗り換えられる始発列車があるけれども、X駅において余裕を持って座れるように敢えて一本後の始発列車の乗り換え情報を出力するようにしてもよい。また、あらかじめ、このように座ることのできる列車を出力するようにコスト関数を定義しておいてもよい。
【0069】
図4(c)は、S駅からD駅まで行く経路において、乗換回数には変化がないが、最短経路と遠回りの経路とがある場合の例である。最短経路が最適経路として抽出され、遠回りの経路の代表混雑度の方が最適経路の代表混雑度よりも低い場合、最適経路としては最短経路が出力されるが、低混雑経路としては、遠回りの経路が出力される。
【0070】
図4(d)は、S駅からD駅まで行く経路において、最適経路よりも乗換回数が多い低混雑経路が出力される場合の例である。例えば、最短経路においては、S駅からD駅まで乗り換え無し、一方、別の路線を用いてS駅からY駅まで行き、Y駅においてD駅行きのさらに別の路線へと乗り換える場合である。このように、乗換回数が多い場合においても、S駅からD駅まで行く最短経路に比べて、Y駅経由の経路の方が代表混雑値が低い場合、Y駅経由の経路を低混雑経路として出力する。
【0071】
図5は、端末装置2の出力部25に出力された画面の表示例を示す図である。ユーザが探索を行うと、出力部25には、図5のような表示領域250が結果画面として表示される。以下、表示領域250内の各領域について説明する。
【0072】
領域251は、探索条件の詳細や最適経路の表示順序が出力される。例えば、図5の場合、徒歩移動速度は標準程度であり、最適経路の表示順序は時間の短い順、すなわち、到達時間が早い順であることを意味する。
【0073】
領域252は、低混雑経路が出力されている場合にその旨を表示する領域である。このように領域252に低混雑経路が出力されていることを明示することにより、ユーザが低混雑経路情報を見逃す可能性を低くすることができる。
【0074】
領域253A乃至領域253Dは、最適経路についてそれぞれの情報を出力する領域である。図5の例においては、最適経路として4経路が出力されている。なお、出力する経路数は4経路に限られず、システム、アプリケーションによりあらかじめ設定されていてもよいし、ユーザが出力する経路数を設定できるようにしてもよい。
【0075】
例えば、一番上の領域253Aに表示されている最適経路は、領域251に「時間短い順」と表示されているように、最も出発地から目的地までに掛かる時間が短い最適経路を示すものである。例えば、8時20分に出発駅を出発し、9時12分に到着駅に到着する。掛かる時間は、52分であり、運賃は780円、乗り換え回数は2回となる。また、出発駅からA駅まで列車に乗り、A駅において乗り換えてB駅まで別の列車に乗り、B駅においてさらに乗り換えて目的地の駅まで到達する路線であることを示している。
【0076】
領域254は、この表示より下部にある表示が低混雑経路であることを示す表示である。このように領域254に明示的に低混雑経路であることを表示することにより、ユーザに最適経路と低混雑経路とを明確に区別させることが可能となる。
【0077】
領域255は、低混雑経路の情報を出力する領域である。低混雑経路を最適経路とは別の領域に表示することにより、最適経路に対して混雑の少ない快適な経路が存在することをユーザにはっきりと認識させることが可能となる。図5の例においては、低混雑経路は1経路出力されている。なお、出力する経路数は1経路とは限られず、例えば、2経路でもよく、この低混雑経路の出力数に関しても、システム、アプリケーションによりあらかじめ設定されていてもよいし、ユーザが出力する経路数を設定できるようにしてもよい。
【0078】
なお、領域253A乃至領域253D及び領域255の領域を選択することにより、選択した経路についてより詳しい経路情報を出力するようにしてもよい。すなわち、乗車する路線情報や、乗車する列車種別についてより詳しく表示されるようにしてもよい。また当駅始発の列車を利用する経路である場合、その旨を表示してもよい。そのほか、混雑度または代表混雑度の算出の考慮要素や要因となりうる情報をあわせて表示してもよい。
【0079】
領域253A乃至領域253D内のアイコン257A乃至アイコン257D、及び、領域255内のアイコン258は、それぞれ混雑度を示すアイコンである。これらのアイコンは、それぞれの経路における代表混雑度を視覚的に把握することを可能とする。このようなアイコンを用いることにより、ユーザは、図5の経路探索結果を見たときに、どの経路がどれくらい混んでいるのかを感覚的に容易に認識することが可能となる。なお、領域253A乃至領域253D及び領域255の領域を選択することにより出力される、詳しい経路情報の中に、選択した経路において乗車する各路線区間の代表混雑度を示すアイコンを各路線区間に対して表示してもよい。これにより、乗換を含む経路全体の混雑具合だけでなく、経路を構成する各乗換区間の混雑具合を知ることができる。
【0080】
図6は、アイコン257A乃至アイコン257D、及び、アイコン258の一例を示す図である。この図6に示すアイコンは、あくまでも一例を示すものであり、アイコン及び各アイコンの示す状態は、図6に示すもの及び下記の説明するものに限られない。この例のように、視覚的に混雑状態をとらえられるようなアイコンであれば、どのようなものでもよい。混雑度の段階も6段階であるが、この段階数も6段階には限られず、より少ない段階数又はより多い段階数であってもよい。
【0081】
図6において、一番上のアイコンは、列車内が空いている状態を示し、余裕を持って座れる状態を示す。具体的には、始発の電車がホームに入ってきた状態も、このアイコンで表される。
【0082】
上から二番目のアイコンは、列車内が比較的空いている状態を示し、座席はほとんど埋まっている状態ではあるが、余裕を持って立っていられる状態、具体的には、列車のデッキ内に人が1〜2人ほど立っている状態を示す。
【0083】
上から三番目のアイコンは、列車内が空いている状態でも混んでいる状態でも無い状態を示し、座席に座ることは困難であるが、余裕を持ってつり革に捕まることのできる状態を示す。
【0084】
上から四番目のアイコンは、列車内が比較的混んでいる状態を示し、座席に座ることが困難であり、かつ、つり革にはかろうじて捕まることのできる状態を示す。
【0085】
上から五番目のアイコンは、列車内が混雑している状態を示し、立って乗車することは可能であるが、座席に座ることはもちろん、身体の向きを変えるのが困難であり、身動きが取りづらい状態を示す。
【0086】
上から六番目のアイコンは、列車内が非常に混雑している状態を示し、列車内の混雑のため、ホームに並んでいる人のうち、乗車できない人がいるような状態を示す。
【0087】
このように、混雑度が見た目で感覚的に認識できるようなアイコンを使用する。また、これらのアイコンは各々異なる色彩を有するものであってもよく、例えば、一番上のアイコンは青、二番目のアイコンは水色、三番目のアイコンは緑、四番目のアイコンは黄色、五番目のアイコンは橙色、六番目のアイコンは赤というように色分けされていてもよい。さらには、これらのアイコンは、各々異なる色彩のみを持つ「□」が塗りつぶされたような同一形状のアイコンであってもよい。
【0088】
なお、上記で説明した混雑度算出部313が代表混雑度を算出する際に使用する混雑度として、図6において説明した混雑度合いと同等のものを使用してもよい。すなわち、混雑度データベース322に格納されている、各路線の各駅間の混雑度を上記のアイコンの状態と対応させてもよい。具体的には、一番上のアイコンの混雑度を0、二番目のアイコンの混雑度を1、・・・、一番下のアイコンの混雑度を5、とするなどして数値化して混雑度を格納しておいてもよい。
【0089】
また、アイコンと、数値化した混雑度とが1対1対応している必要は無く、混雑度を算出する際にはより細かい数値を用いてもよい。例えば、一番上のアイコンの混雑度を状況に応じて0〜1、二番目のアイコンの混雑度を2〜4、・・・等としてもよい。この場合、例えば、一番上のアイコンの混雑度の違いは、始発列車がホームに入ってきた状態や7人掛けの座席に0〜1人ほど座っている状態の混雑度は0、それ以外の場合であって7人掛けの座席に2〜4人ほど座っている状態の混雑度は1、などと数値化する。これらは、ロングシートには限られずクロスシートといった他の形態の座席であっても同様に用いることが可能である。
【0090】
図5の表示画面の説明に戻り、領域253A乃至領域253D内のアイコン259A乃至アイコン259D、及び、領域255内のアイコン260は、それぞれの領域に出力されている経路がどのような経路探索条件に当てはまる経路であるかを示すアイコンである。
【0091】
例えば、アイコン259Aに示されている「早」の文字が入っているアイコンは、出力された経路情報の中で、最も早く目的地の駅に到着する経路であることを示す。アイコン259Bに示されている「安」の文字が入っているアイコンは、運賃が他の経路に比べて最も安い経路であることを示す。アイコン259Cに示されている「楽」の文字が入っているアイコンは、乗り換え回数が他の経路に比べて最も少ない経路であることを示す。そして、アイコン260に示されている「空」の文字が入っているアイコンが、本実施形態の特徴である、低混雑経路であることを示す。
【0092】
このように、「安」「早」「楽」といったアイコンと同様に、「空」というアイコンを表示することにより、ユーザは、この「空」というアイコンが表示された経路が低混雑経路であることを一瞥するだけで容易に認識することが可能となる。低混雑経路が出力されなかった場合には、最適経路の中から最も代表混雑度が低い経路に「空」アイコンを付してもよい。
【0093】
なお、図示していないが、出力された情報が一画面に入りきらない場合には、スクロールバーを表示し、表示されたスクロールバーをユーザが操作することにより出力されているが、画面上には表示されていない情報を見られるようにしてもよい。
【0094】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザが交通機関の経路の探索を行う際に、最も早く到着できる経路、最も運賃の安い経路、最も乗換回数の少ない経路等を最適経路として出力するのと併せて、最適経路よりも混雑度の低い経路を低混雑経路として出力することにより、ユーザの経路探索の利便性を向上させることが可能となる。ユーザにとっては、従来の探索方法と変わらない方法で探索をかけることにより低混雑経路を探索することができる。
【0095】
そして、最適経路を示すのみならず、最適経路よりも混雑度の低い低混雑経路を出力することにより、ユーザの経路選択の幅を拡げることを可能とする。さらに、検索結果として出力された経路のうち、最適経路とは別に、低混雑経路が存在する旨を明示的に示すとともに、最適経路と明確に区別できる態様で低混雑経路を示すことにより、ユーザによる見落としを防止し、直感的ないし感覚的に低混雑経路をユーザに知らせることができる。
【0096】
このようにすることにより、時間が少し余計に掛かっても空いている路線を使いたい、少しお金が掛かっても快適に移動したい、乗換回数が増えても混んでいる路線には乗りたくない、といったユーザの要求により柔軟に応えることが可能となる。また、最適経路とともに低混雑経路を出力することにより、最適経路に比べてどの程度時間、料金、乗換の手間が掛かるのかをユーザに比較検討させることもできる。
【0097】
また、低混雑経路を出力することにより、低混雑経路の利用が促進されるため、大都市圏の混雑緩和に寄与することも可能となる。
【0098】
(第1実施形態の変形例)
上述した第1実施形態においては、最適経路と低混雑経路とを併せてサーバ3から端末装置2へと出力する例を示したが、この送信方法はこれには限られない。すなわち、最適経路と低混雑経路とを別々に送信することも可能である。
【0099】
図7は、最適経路と、低混雑経路とを別々に送信する処理の例を示すフローチャートである。
【0100】
このフローチャートが示すように、サーバ3は、最適経路抽出部312が最適経路を抽出した(ステップS21)後、まず、通信部33及びネットワーク4を介して最適経路を端末装置2へと送信する(ステップS26)。
【0101】
通信部22を介して最適経路情報を受信した端末装置2の情報出力部212は、最適経路情報を出力部25へと出力する(ステップS13)。
【0102】
これと並行して、混雑度算出部313は、各候補経路の代表混雑度を算出し、低混雑経路抽出部314は、低混雑経路の抽出を行う(ステップS22乃至ステップS24)。
【0103】
次に、サーバ3は、低混雑経路が抽出されている場合、通信部33及びネットワーク4を介して低混雑経路情報を端末装置2へと送信する(ステップS27)。
【0104】
通信部22を介して最適経路情報を受信した端末装置2の情報出力部212は、低混雑経路情報を既に出力されている最適経路情報と併せて出力部25へと出力する(ステップS14)。
【0105】
このように、最適経路情報が抽出された時点でサーバ3から端末装置2へと最適経路情報が送信され、出力部25へと出力されるようにしてもよい。このようにすることにより、例えば、ネットワーク4の状態がよくない場合であっても、少なくとも最適経路をユーザへといち早く出力することが可能となる。
【0106】
(第2実施形態)
上述した第1実施形態及びその変形例は、最適経路情報と、低混雑経路情報とを併せて出力するものであるが、本実施形態では、低混雑経路情報を、到着が早い経路情報等とともに経路探索条件として指定可能とすることにより、最適経路として低混雑経路情報を出力しようとするものである。
【0107】
図8は、本実施形態に係る情報処理システム1の処理の流れを示すフローチャートである。
【0108】
まず、ユーザにより経路探索条件として、低混雑経路を最適経路で出力するように指定された経路探索条件を、探索条件取得部211が取得する(ステップS30)。
【0109】
図9は、本実施形態に係る経路探索を行う場合に、経路探索条件の入力画面としてユーザに提示される画面の例である。このように、通常の経路探索と同様に、出発駅等、時刻等の条件を入力する領域とともに、最適経路を選択できるようになっている。この最適経路として選択する経路として、早い経路、安い経路、楽な経路の他に、混雑を回避する経路を優先して探索するような選択肢をユーザに提示する。ユーザは、混雑を回避する経路を優先的に探索したい場合に、その選択肢を選択して、経路探索条件とする。図9の例では、ユーザは、「混雑を回避する経路優先」を示すラジオボタンを選択する。
【0110】
次に、端末装置2は、通信部22及びネットワーク4を介してサーバ3の経路情報探索部310へと経路探索条件を送信する(ステップS31)。
【0111】
経路探索条件を受信した候補経路探索部311は、上述した実施形態と同様に、経路データベース321に格納されているデータから経路探索条件に合致する候補経路の探索を行う(ステップS40)。このステップにおいて使用する経路探索条件には、いずれの条件を最適経路として出力するかの条件(早、安、楽、空の指定)は含まれないものとする。探索された候補経路は、混雑度算出部313へと出力される。
【0112】
次に、混雑度算出部313は、候補経路探索部311により探索された候補経路情報と、混雑度データベース322との情報に基づいて、各候補経路の代表混雑度を算出する(ステップS41)。
【0113】
次に、低混雑経路抽出部314は、混雑度算出部313により算出された各候補経路の代表混雑度に基づいて、低混雑経路を最適経路として抽出する(ステップS42)。ここで最適経路として抽出する経路は、単純に代表混雑度が低い順から抽出するようにしてもよいし、上述した実施形態と同様に、引数に代表混雑度を含むコスト関数を用いて算出されたコストに基づいて抽出するようにしてもよい。
【0114】
なお、ステップS40乃至ステップS42の処理を一括して行うようにしてもよい。すなわち、ユーザから混雑回避経路を探索する旨の経路探索条件を受信した場合、候補経路の探索をするステップにおいて、混雑度を考慮し、各経路の代表混雑度を算出することにより、所定数の低混雑経路を探索するようにしてもよい。すなわち、候補経路として、代表混雑度を考慮した経路である低混雑経路(最適経路)を探索するようにしてもよい。また、代表混雑度を求めずに、経路に含まれる駅間の混雑度情報に基づいて最適経路を探索するようにしてもよい。
【0115】
次に、経路情報探索部310は、低混雑経路抽出部314が抽出した最適経路情報(低混雑経路情報)を通信部33及びネットワーク4を介して端末装置2へと送信し、出力する(ステップS43)。
【0116】
通信部22を介して最適経路情報を受信した情報出力部212は、出力部25へと最適経路情報を出力する(ステップS32)。
【0117】
以上が本実施形態における情報処理システム1の処理の流れである。図10は、本実施形態による情報処理システム1により出力された経路探索情報の一例を示す図である。
【0118】
表示領域251には、出力されている検索結果がいずれの優先順位で出力されているかを表示している。混雑を回避する経路を優先して出力するようにユーザが指定した場合、例えば、図10に示すように、「空」のアイコンを含むタブが選択されたように表示され、以下の表示領域に、混雑を回避する経路が優先的に出力されていることを示す。例えば、この図10に示すように、代表混雑度が低い順に最適経路がソートされて出力される。
【0119】
各最適経路が表示されている領域253A乃至領域253Dにおける表示の詳細は、上述した第1実施形態と同様であるので、詳しい説明は省略する。なお、図10は、あくまで出力の一例として示すものであるので、出力する画面構成はこのようなものには限られない。
【0120】
なお、低混雑経路が出力されない場合には、他のソート条件、例えば、目的地まで最も早く到着できるという条件をソート条件として出力されるようにしておいてもよい。
【0121】
以上のように、第2実施形態によれば、到着が早い経路、運賃が安い経路、乗換が楽な経路に加えて、混雑を回避する経路を優先的に最適経路として出力することが可能となる。ユーザが混雑を回避する経路を優先的に知りたい場合に、経路の探索をする際に前三者と同様にその旨を指定することが可能となる。このように、本実施形態に係る情報処理システム1は、ユーザが経路探索条件を設定する際における選択肢の幅を拡げ、ユーザの利便性を向上させるとともに、ユーザを低混雑経路へと誘導することにより、交通機関の混雑の平準化をも図ることができる。
【0122】
上述した各実施形態及び各変形例の説明においては、各路線の混雑度は、毎日、全ての時間帯において出力部25に出力されるものとして説明したが、これには限られない。すなわち、季節ごと、曜日ごと、日時ごと及び時間帯ごとのうち少なくとも1つの状況に基づいて混雑度を出力するようにしてもよい。
【0123】
具体的には、花見、海水浴といった季節によって混雑度が変わる路線を含む経路の場合、混雑する季節に低混雑経路を出力するようにしてもよい。通勤ラッシュの混雑度が高い経路においては、例えば、平日の朝の時間帯と夕方から夜に掛けての時間帯において低混雑経路を出力するようにしてもよい。スポーツの試合やアーティストのコンサートの日程が決まっている場合には、その日時、その時間帯における周辺の低混雑経路を出力するようにしてもよい。
【0124】
低混雑経路を出力するタイミングは、上述したものに限られず、例えば、金曜日、土曜日の終電に近い列車、何かしらイベントがある日程、季節ごとのイベント、混雑する時間帯等に基づいて低混雑経路を出力するようにしてもよい。もちろん、上述した各実施形態にあるように、これらの制限に拘わらず常時出力するようにしてもよいし、ユーザの要求により低混雑経路を出力するようにしてもよい。
【0125】
最適経路又は低混雑経路として抽出された経路を構成するいずれかの路線において遅延情報や運休情報等のダイヤの乱れがある場合、低混雑経路を出力しないようにすることもできる。このような場合には、そもそも混雑度データベース322に格納されているデータと異なる混雑が発生しているため、低混雑経路についても快適な路線であるか否かが判断できないためである。あるいは、低混雑経路情報とともにダイヤの乱れが発生している旨の情報をあわせて表示し、混雑情報が確実でない可能性を示唆するようにしてもよい。
【0126】
なお、最適経路又は低混雑経路として抽出された経路を構成する路線の他、周辺にある所定エリア内の路線に上述したダイヤの乱れが発生している場合においても、低混雑経路を出力しないようにしてもよい。候補経路として抽出された経路の周辺のエリアを構成する路線についてダイヤの乱れが発生している場合には、ダイヤの乱れの発生している路線から回避してくる乗客が候補経路に含まれる路線を利用する場合があり、平常時とは異なる混雑度が予想されるためである。
【0127】
上述した各実施形態及び変形例の説明においては、各路線の混雑度は、列車ごとに格納されているものとしたが、これには限られない。例えば、上述したように、列車の各車両に設けられた重さを探知するセンサの示す値から求められた乗車率に基づいて混雑度を算出する場合、列車の車両ごとに混雑度を算出するようにしてもよい。この場合、車両ごとに混雑度が求まるので、混雑を回避する経路として、乗車する車両をも併せて出力することが可能となり、ユーザの快適度をさらに向上させることが可能となる。なお、車両ごとの混雑度は、重さを探知する以外の手法により求めておいてもよい。例えば、車両ごとの混雑度をあらかじめ調査しておき、混雑度データベース322へと調査した車両ごとの混雑度を格納するようにしてもよい。
【0128】
車両ごとに代表混雑度を算出する場合において、列車の編成内にグリーン車等の有料車両がある場合、これら有料車両の代表混雑度も算出することが可能となる。このような有料車両についても出力することにより、運賃の他に少し料金が掛かってもよいので快適に移動したいというユーザの要求にも応えることが可能となる。
【0129】
さらに、上述した各実施形態及び変形例においては、候補経路の中から低混雑経路を抽出し、最適経路とともに又は最適経路として低混雑経路を出力していたが、代表混雑度の利用方法は、これらには限られない。すなわち、最適経路の代表混雑度をそれぞれに算出することにより、最適経路のうち、あるいは最適経路とともに出力される低混雑経路も含めた出力経路全体のうち、最も代表混雑度が低いものに「空」アイコンを付して出力するようにしてもよい。このようにすることにより、ユーザは、出力された経路のうち、最も代表混雑度が低い経路を知ることが可能となる。
【0130】
また、端末装置2の記憶部23又はサーバ3の記憶部32に顧客情報データベースを設け、端末装置2の所持者である個々のユーザの行動履歴を蓄積するようにしてもよい。ここで、行動履歴とは、ユーザが過去に指定したPOIの探索条件の履歴情報や、ユーザが過去に探索した駅情報等の履歴情報、又は、ユーザが探索条件として指定した履歴情報である。ユーザが探索を行う際に、これらの履歴情報に基づいて探索条件の初期値を検索画面に出力するようにしておいてもよい。
【0131】
なお、以上で説明した構成は一例であり、サーバ3内の構成要件の少なくとも一部がそれぞれ端末装置2内にあってもよい。例えば、サーバ3内の記憶部32および制御部31を端末装置2内に設けて、通信をすることなく端末装置2のみで経路探索可能な情報処理装置あるいは情報表示装置を構成してもよい。この場合、適宜通信部22などを省略してもよい。
【0132】
上述した実施形態で説明した情報処理システムの少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0133】
また、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0134】
さらに、一つまたは複数の情報処理装置によって情報処理システムを機能させてもよい。複数の情報処理装置を用いる場合、情報処理装置のうちの1つをコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することにより情報処理システムの少なくとも1つの手段として機能が実現されてもよい。
【0135】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0136】
1 情報処理システム
2 端末装置
21 制御部
211 探索条件取得部
212 情報出力部
22 通信部
23 記憶部
24 操作部
25 出力部
3 サーバ
31 制御部
310 経路情報探索部
311 候補経路探索部
312 最適経路抽出部
313 混雑度算出部
314 低混雑経路抽出部
32 記憶部
321 経路データベース
322 混雑度データベース
33 通信部
4 ネットワーク
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