(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846823
(24)【登録日】2021年3月4日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】制御ユニットのための取り外し可能なカバー
(51)【国際特許分類】
A63F 13/98 20140101AFI20210315BHJP
【FI】
A63F13/98
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-532503(P2018-532503)
(86)(22)【出願日】2016年9月7日
(65)【公表番号】特表2018-526182(P2018-526182A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】DE2016000338
(87)【国際公開番号】WO2017041777
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2019年9月6日
(31)【優先権主張番号】102015115235.5
(32)【優先日】2015年9月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518083397
【氏名又は名称】スマート グリップ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】SMART GRIP GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ワネンマチャー,ケイ.デニズ
【審査官】
奈良田 新一
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第00997174(EP,A1)
【文献】
特表2002−507814(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01748097(EP,A1)
【文献】
実開平07−033395(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24,13/00−13/98
D04B 1/00−1/28,21/00−21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームコンソールまたはPCのためのコントローラ用の入力装置を有する制御ユニットのための取り外し可能なカバーであって、
前記制御ユニットの覆われるべき領域の形状に対応し、
少なくとも繊維外側カバー層および弾性吸湿層を有する多層に構成され、
前記弾性吸湿層は、メッシュ状緩衝材または織布状緩衝材によって形成され、
前記メッシュ状緩衝材または前記織布状緩衝材は、糸またはフィラメントから製造される布製品であり、メッシュ状または織布状の2つの層およびこれら2つの層の間に挿入されてこれら2つの層を互いに結びつけるとともに間隔を維持する糸緩衝材を有し、
前記カバーは、前記弾性吸湿層における前記繊維外側カバー層とは反対側の面上に配置され、被膜層、箔および膜のいずれかで形成された水分不透過層を有する
ことを特徴とするカバー。
【請求項2】
前記繊維外側カバー層は、前記メッシュ状緩衝材または前記織布状緩衝材のカバー層によって形成される
ことを特徴とする請求項1記載のカバー。
【請求項3】
前記繊維外側カバー層は、別個の前記メッシュ状緩衝材または前記織布状緩衝材の上に塗布された繊維層である
ことを特徴とする請求項1記載のカバー。
【請求項4】
前記繊維外側カバー層は、繊維で形成されたループパイルである
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のカバー。
【請求項5】
前記カバーは、前記繊維外側カバー層とは反対側に配置され、前記カバーで覆うべき表面に対して滑ることを防止する粘着層を有する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載のカバー。
【請求項6】
前記カバーは、前記制御ユニットに取り付けられた状態で前記制御ユニットの前記入力装置の一部を覆う
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載のカバー。
【請求項7】
前記カバーは、前記制御ユニットに取り付けられた状態で前記制御ユニットの前記入力装置を覆う領域に設けられ、前記覆われた入力装置を表示するマーキングを有し、
前記マーキングは、カラーのマーキングおよび触感で認識可能なマーキングの少なくとも一方である
ことを特徴とする請求項6記載のカバー。
【請求項8】
前記メッシュ状緩衝材または前記織布状緩衝材は、ネット状緩衝材またはニット緩衝材である
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一記載のカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明
は、特にゲームコンソールまたはPC(パーソナルコンピュータ)のコントローラ用の入力装置を備えた制御ユニットのための取り外し可能なカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特にゲームコンソールまたはPCのコントローラのようなプログラムの技術的行程の制御のための制御ユニットは、各使用者によって頻繁に集中的に長時間使用される。なお、本願では、特にしばしば数時間に渡ってその趣味に打ち込みビデオゲームまたはコンピュータゲームに興じるゲームコンソールおよびPCの使用者を例に説明する。例えばいわゆるLANパーティが開催されると、コンピュータゲームのプレイヤーは、連日数時間に渡ってネットワーク化されたコンピュータでゲームを実施し、ゲームに対応した制御ユニットを、操作のために継続して使用し操作する。
【0003】
この種の典型的な制御ユニットは、2つのグリップ部分、および、それら2つのグリップ部分に接続された中央部分を有するクロワッサンに似た形状で構成される。グリップ部分はゲームの間それぞれ使用者の手によって握られて保持される。十字キー、ボタン、スイッチおよびいわゆるアナログスティックのような各入力装置は、親指や人差し指で、部分的には両手の他の指で操作され、ゲーム行程を操作しゲームを進行させる。
【0004】
環境温度、および、各制御ユニットと手との接触だけでなく、ゲームの際に生じるプレイヤーの緊張によっても頻繁に手の平で多く発汗されることが問題となる。この発汗によってプレイヤーは、確実な掌握ができなくなり、制御ユニットのプラスチック表面に対して、頻繁に迅速な操作手順の実行、および、各入力装置(ボタン、スイッチ、十字キーおよびアナログスティック等)の様々な作動を実施する制御命令を、確実に実施できなくなる。そして、ゲームのコントロール力が低下し、例えばコンピュータまたはビデオゲームに導入された主人公および登場人物を適切にコントロールができなくなる。この状況を多くの利用者やプレイヤーが非常に煩わしく感じている。
【0005】
このような手の平に生じる汗は、制御ユニットの材料にとっても有害であり、その表面が損傷されるだけでなく、特に汗が入力装置内に侵入した場合、または、汗が制御ユニットのハウジング内に侵入した場合には、装置自体の損傷の原因となり、誤動作を招くことがある。このような場合には、新しい制御ユニットを調達する必要が生じるだけでなく、プレイヤーが実質的にゲームの操作に必要な制御およびコントロールを実行できなくなった場合には、そのゲームの突然の終了に繋がりかねないため、プレイヤーにとっては最大限に不本意である。そのため、多くの集中型プレイヤーは、このような故障の場合に備えて予備の制御ユニットを予め用意している。
【0006】
ここで、上述の問題に対処するために、制御ユニットのよりよい掌握を考慮し、ある程度の汗吸収機能を奏する取外可能なカバーが提案されている。例えば
特許文献1には、そのような制御ユニット用に、操作の際の制御ユニットの掌握感を改善し、発生する手の水分を必要に応じて受け止めるグリップ領域のカバーが提案されている。このカバーは、靴下のように制御ユニットのグリップに被せられ、伸張可能な弾性材料で構成されている。代替的に相応のカバーが蓋のような部材として形成され、そのカバーを制御ユニットのグリップ部分の周りに取り付けられることもできる。この材料はこの文献に開示されたカバーの変形例によると、洗浄可能に構成できるという。
【0007】
制御ユニット用の取外可能なカバーの他の例は、
特許文献2に開示されている。この文献に開示されたカバーは
、表面が弾性を有する材料で成形され、多層に構成されていることが好ましい。この場合、一番上でかつ一番外にある層は、綿、ジャージおよびナイロン等の一般的に衣料品の分野で用いられる材料で形成される。中間の層は、圧縮力が作用した後に復元可能な弾性材料によって形成され、この層は発泡した柔軟な合成樹脂材料にて形成されることが好ましく、具体的な材料としてネオプレン(登録商標)が挙げられている。代替可能な材料としては、イソプレン等が言及されている。この文献には、カバーが形成される材料が、特にダイビングスーツおよびウエットスーツの製造において公知であることが記載されている。第3層は、制御ユニットのハウジングとの滑り止め作用を奏する材料で形成された内側の層とされている。そして、この文献で開示されたカバーも取り外し可能で洗浄可能である。
【0008】
さらに
、特許文献3は、外側のカバー層と、電気機器に対して研磨や洗浄作用を有しプリーツ形状の部分を有する弾性マイクロファイバー内層と、これら外側のカバー層と弾性マイクロファイバー内層との間に配置された電気機器の物理的保護のための補強部材とを有する電気機器用カバーが開示されている。
【0009】
さらに
、特許文献4および
特許文献5は、ネット状緩衝材が表面および身体の湿度の受容、吸収および場合によっては排出に特に適していることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第1064058号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0997174号明細書
【特許文献3】英国特許出願公開第2498567号明細書
【特許文献4】独国特許第19635170号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第4318500号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
予め公知の取り外し可能なカバーがすでに、制御ユニットの使用との関連で発生する上述されたような問題の核心に向けられているにも関わらず、それらのカバーは、上述の問題をまだ完全に満足できるやり方で解決できていない。これは結局、挙げられた文献およびその中で記述された技術的発展に属する製品が市場に現れていないことからも明らかである。つまり、ここには依然として、相応の取り外し可能なカバーをその使用の快適さおよび特に吸湿作用という観点で改善し、それによって使用しやすい形を作るための改良の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明はこの課題を解決する。ここでの本発明による取り外し可能なカバーは、入力装置を有する制御ユニット、特にゲームコンソールまたはPC用のコントローラのための、形状の観点から制御ユニットのカバーされるべき領域の形に対応して密着するように適合し、少なくとも繊維外側カバー層および弾性吸湿層を有し、弾性吸湿層がメッシュ状緩衝材または織布緩衝材によって形成されるようにさらに発展した多層面材料から成る。
【0013】
弾性吸湿層という観点での弾性は、ここでは特にこの層が面法線方向に弾性であることを意味する。必ずしもそうでなくてもよいが、弾性は少なくとも層の面の中にある一方向を含むこともありうる。
【0014】
メッシュ状緩衝材または織布緩衝材は、糸またはフィラメントから製造された通常繊維の性質を有する布製品であり、これは網目により、特にネットまたはニット、または織物技術により形成され、2面に形成されて織られた、または網目状に形成された層および少なくとも1つのこれらの層の間に挿入され、これらの層を互いに結びつけるとともに間隔を維持する糸緩衝材が形成される。糸緩衝材は、比較的硬質な糸であり多くは合成樹脂材料から成り、一方では2つの面の間隔を維持し、もう一方でそれ自体である程度の弾性を有し、そのため弾性が全材料の面法線に相関して生じるガラス繊維からも成る。このような材料の一例は欧州特許出願公開第1748097号明細書に記載されている。このような材料は典型的にマットレスカバー、椅子カバーまたはここでは特にいわゆる車のルーフと呼ばれる車両内部空間の内張りに使用される。
【0015】
本発明の本質的な知見は、メッシュ状緩衝材または織布緩衝材をそれ自体異種の方法で制御ユニット用カバー形成に利用することにある。これが行われるのは発明者がこのような布地がそのために特に適合した際立った性質を最終生産物にもたらすことを認識したからである。そのような布地には一方で高い通気性と吸湿性があるため、もう一方でその面法線の方向への弾性およびその他の固有の特徴により際立った触覚が、同時にこの布地で相応に形成された層の比較的僅かな厚さにおいてもたらされる。また、1つには吸湿性という観点から非常に効率的で効果的なカバーを得ることができ、もう1つには比較的僅かな層厚に形成できるため、入力ユニットの操作の快適さが損なわれず、むしろ吸湿効果および良好な通気により、このカバーが装着された制御ユニットの保持感および操作感を向上できる。
【0016】
基本的に、本発明の取り外し可能なカバーを構成する面素材の多層的あるいは複数層の構造という観点から、繊維外側カバー層は、メッシュ状緩衝材または織布緩衝材のカバー層によって構成される。但し本発明では、繊維外側カバー層を別個のメッシュ状緩衝材または織布緩衝材の外面上に設けられた繊維層によって構成することも可能であり、この構成が好ましい場合もある。なぜならこのような方法で形成されたこの繊維外側カバー層は、カバーの外側に向けられたメッシュ状緩衝材または織布緩衝材の外面形成の際に、与えられる限定および基本的条件に関わらず形成できるからである。このようにして繊維外側カバー層は特に、それらが特に心地よい触感を生み、さらにカバーの吸湿効果が高まるように形成されることができる。これは例えば繊維外側カバー層が例えばタオル地のようにループパイル状の繊維であることで生じうる。このような繊維は、その特に良好な吸湿性を奏する。繊維外側カバー層もマイクロファイバーから形成されるか、またはマイクロファイバーを有する構成にしてもよい。なぜならこのマイクロファイバーも良好な吸湿性を奏するためである。
【0017】
取り外し可能なカバーの制御ユニットに対して滑りにくくより確実に装着するために、カバーは、外側カバー層に向かい合うようにして最も内側に位置し、カバーが被せられるべき表面に対して滑ることを防止する粘着層を有する構成にしてもよい。そのような粘着層は、例えば必ずしもそうでなくてもよいが、連続して平たく形成されうるゴム引きで構成してもよい。例えば規則的にまたは不規則的に配置された点や波型を描く線等の特定の構造および模様のみに構成されたゴム引きまたは類似の粘着材料も考えられる。
【0018】
本発明の取り外し可能なカバーは、特にメッシュ状緩衝材または織布緩衝材で構成される弾性吸湿層である多層面材料で受容された水分が制御ユニットまで浸透し、場合によってはその中に侵入することを防止するため、弾性吸湿層における外側カバー層とは反対側面上に配置される水分不透過層が設けられる。この水分不透過層は、バリアのように作用し繊細な制御ユニットを、水分との接触、特に上述したように制御ユニットのハウジングの表面の侵食に始まり制御ユニットの中にある繊細な電気部材の腐食に至る制御ユニットの深刻な故障を招きかねない手の汗から保護する。そのような防湿層の1つは、カバー内部にも適用でき、本発明で使用されるべき前記メッシュ状緩衝材または前記織布緩衝材とは別の材料、例えば従来技術として挙げた発泡材料または類似の材料にて形成される吸湿弾性層が有する利点も同様に奏する。水分不透過層は、多層面材料の層の上に塗布された被膜層により、またはフィルムや膜によって形成されて、多層面材料の中に包接される。この水分不透過層のための材料としては、この層が被膜層として形成される場合に、特にポリウレタン(PU)が好ましい。
【0019】
本発明のカバーは、カバーが制御ユニット上に取り付けられた状態において、制御ユニットの入力装置の一部を覆うように形成されることが好ましい。特に例えば十字キーやその他のボタンまたはスイッチ等の制御ユニットにおける繊細なスイッチまたはボタンが補助的に保護され、水分、特に手の汗の侵入を防止できる。入力装置をこのようにして覆うことによって、特にメッシュ状緩衝材または織布緩衝材を適用することにより、カバーが比較的僅かな強度あるいは厚さであるため、入力装置が、制御ユニットの使用者にとって引き続き保持あるいは入力可能であるとともに、入力装置がカバーに覆われていても機能あるいは操作が制限されることなく操作可能である。特に被覆されない状態で使用者により操作されることが想定されるアナログスティックのような入力装置が被覆されないように、カバーはその入力装置に対応した凹部を有する。同様に例えばデータケーブルまたは充電ケーブルのプラグ接続が設けられる領域には、覆われないように対応した凹部を設けることができる。
【0020】
さらにカバーは、カバーにおける制御ユニット上に取り付けられた状態で制御ユニットの入力装置を覆う領域にて、覆われた制御ユニットをその状況により、好ましくはその種類によっても表示するマーキングを有する構成が好ましい。このマーキングは特にカラーのマーキングおよび触覚で知覚できるマーキングの少なくとも一方であることが好ましい。カラーのマーキングは、例えばグレーの濃淡または白黒でコントラストのみのもの
等で構成される。これらのマーキングは、外側カバー層への印刷や、外側カバー層に編み込みや織り込み、または別の方法で外側の繊維層に設けられた糸の導入によって構成された模様や表示等にしてもよい。
【0021】
本発明のカバーの弾性吸湿層に使用されるメッシュ状緩衝材または織布緩衝材は、例えばネット状緩衝材またはニット緩衝材にしてもよい。
【0022】
本発明のカバーは、制御ユニットの一部が挿入される領域を有し、かつ、フラップ状に制御ユニットの他の部分の周りに周設される他の領域を有する。カバーを制御ユニット上に固定するため、カバーは、カバーによって覆われるべき制御ユニットの領域を完全に包囲した後に、カバーにて形成される継ぎ目で例えばファスナ、スナップボタン、面状ファスナ、フックおよび留め金等の着脱可能な開閉手段によって閉じるように保持される。
【0023】
本発明のさらなる利点および特徴は、添付の図に基づいた一つの実施形態例の次の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】コントローラ型の制御ユニットの概略立体図である。
【
図2】
図1の図と比較可能な本発明のカバーが装着された制御ユニットの図である。
【
図3】カバーが装着された制御ユニットの背面図である。
【
図4】カバーが装着された制御ユニットの底面図である。
【
図7】カバーが装着された制御ユニットにおいてカバーが閉じられていない状態の底面図である。
【
図8】隣り合って配置されたそれぞれ制御ユニット(右)およびカバー(左)を上から見た立体図であり、カバーには制御ユニット上の入力装置の位置と一致するマーキングが付されている。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面にはその中で上記の一般的に説明された発明に関し実現可能な実施形態例が示されている。この実施形態例は、図面を参照して以下のように説明される。なお、図面は、概略的なスケッチとして理解されるべきであり、正しい寸法のものではないことをここで強調しておきたい。それらはその図示の中に必ずしも全体として具体的に細部を示すものでもない。そのような細部は、当業者が自分の専門知識で独自に補足し、図面および以下の説明に基づいて理解できるものである。
【0026】
コントローラ1は基本的にはゲームコンソールまたはPC上でのゲーム操作のために使用されるものであり、
図1は、そのようなコントローラ1を立体図で再現する。ここで示されるコントローラ1は、そのコントローラ1の使用の際にコントローラ1を握って保持するために手の平を添えることができるように、2本のツノのように後ろに突き出たグリップ2を有する。様々なゲーム作用の制御のためにコントローラ1は、多くの入力装置を備えている。これには特にコントローラ1の使用者が基本的にはグリップ2を握る手の親指で操作する2つのアナログスティック3や、異なる制御ボタン5,10が含まれる(
図4も参照)。制御ボタン5は、
図1左に示された制御ボタン5のように例えば十字キーとして構成される。さらに入力装置として、例えば
図1で示されたコントローラ1の中の図の左右にある制御ボタン5の配置の間に配置されるタッチパッド6等の他の入力装置がもうけられた構成にしてもよい。さらに例えばUSB充電ソケット等のように、コントローラ1の内部に配置されたエネルギー貯蔵器、特に蓄電池において充電電流が印加される充電ソケット4が設けられている。
【0027】
図1で示されるようなコントローラ1は、すでに言及されたように、ゲーム行程をコンピュータまたはビデオゲームで操作および形成するために、コンピュータおよびビデオゲームにより部分的に非常に集中的に使用される。ここではこのような種類の機器が頻繁に非常に長時間に渡っても使用され、ゲームのプレイヤーは、上昇する環境温度、ゲームによって上昇するアドレナリン濃度および緊張や興奮に起因して、非常に頻繁に手が湿り、手に汗をかく。この水分は、コントローラ1のグリップ2が保持されるための把握力が損なわれる原因になるだけではなく、コントローラ1自体の潜在的な損傷にも繋がる。
【0028】
これらを防止するために本発明は、コントローラ1上およびコントローラ1の周りに配置される、
図2に示されるようなカバー7を提供する。このカバー7は、コントローラ1を引き続きその人間工学的形状で作動できプレイヤーによって固定的に把持できるようにその形状をタイトに包み込む。さらにカバー7は、
図1に示される制御ボタン5
およびタッチパッド6を被覆し、また、アナログスティック3が突き出してカバー7によって被覆されないようにする開口部8が設けられている。特に制御ボタン5を覆うことで、この制御ボタン5が同じように侵入する水分および手の汗から防護され、制御ボタン5はカバー7を通してプレイヤーが問題なく快適に操作を続行できる。なぜならカバー7は、一方ではタイトに密着しており、またもう一方ではその厚さにおいて十分薄く形成されているためである。それに対してアナログスティック3は、プレイヤーにより、それらがカバー7に覆われていない場合に十分に確実に操作される。
【0029】
カバー7は、以下にまだ
図9を基に説明されるように多層に形成され、
図2に示され、他の
図3から
図8でも見分けることができるように繊維状外側表面を有し、その繊維状外側表面は、表面に対して横向きに突出する例えばタオル地のような輪または例えばマイクロファイバー布の開いた輪のようなパイルが設けられている。この繊維状外側表面は、特にそれが高い吸収性を有し生成される水分、特に手の汗を良好かつ効率的に受容し除去することができるようにその素材が選択される。
【0030】
図3および
図4は、カバー7が設けられたコントローラ1を、2つのさらなる図、すなわち1つに後ろから、つまりグリップ2側から見た図(
図3)で、もう1つは下から見た図(
図4)で示す。これらの図ではその上に(ここでは閉じた状態)フラップ9が設けられ、グリップ2とは反対側の前方正面に配置された制御ボタン10が判別できる。この制御ボタン10は、コントローラ1の使用中にグリップ2に添えられる手の人差し指で操作される。
【0031】
図5および
図6は、コントローラ1に装着されていない状態のカバー7を示す。カバー7は、バッグのように開口部が形成され、その中にコントローラ1がグリップ2から先に嵌め込まれるように挿入される。カバー7の型紙は、コントローラ1がカバー7に挿入される際にコントローラ1の外形がタイト密着して適合されるように構成される。入口開口部は、この実施形態例ではフラップ9によって閉じられ、面状ファスナ11がフラップ9と繋ぎ合わせられることで、フラップ9が閉じられた状態を維持する。もちろん、例えばボタン、スナップボタンおよびファスナ等の他の方法で閉塞することも可能である。但し重要なのは、カバー7を取り替え、特に長時間の使用の後に洗浄する(例えば洗濯する)ために、カバー7をコントローラ1に被せ、再び取り外すことができるように、カバー7が開口部を有しそれが開閉可能であることである。また、カバーの開口部は、同様の開口部あるいは閉鎖部がコントローラ1上に装着された状態でプレイヤーがコントローラ1を把持するグリップ領域にはみ出さず、操作の邪魔をしないように構成される。
【0032】
カバー7の材料は、好ましくは面においてある程度の弾性を有するため、この材料が、カバーが受容し包囲するコントローラ1に伸縮してタイトにぴったりと密着し、コントローラ1自体の形状を引き続きプレイヤーが感じとることができるままである。
【0033】
図7は、フラップ9が閉じられておらず、バッグのように開いたカバー7の中にコントローラ1がどのように挿入されるかを示す。この図では、カバー7が閉じられコントローラ1に保持されるための互い
に向き合う部材であるフラップ9および面状ファスナ11が示されている。カバー7は、充電ソケット4が配置される領域に、接続プラグを有する充電ケーブルが充電ソケット4に導入できるようにもう一つの図示しない開口部を有する構成が好ましい。なお、ここで示された実施形態であれば開口部がフラップ9の中に設けられた構成にしてもよい。
【0034】
図8は、隣り合わせに配置されたカバー7(左)およびコントローラ1(右)が示され、カバー7はマーキング12を有する。マーキング12は、カバー7の中に配置されたコントローラ1の相応な箇所に配置された入力装置、制御ボタン5およびタッチパッド6の表示としての役割を果たす。このマーキングは、カバー7の繊維表面上に印刷する方法やフロック加工する方法等で設けられる。なお、マーキングは、カバー7の繊維表面に縫い込まれるか、織り込まれるか、編み込まれることにより設けられた構成にしてもよい。
【0035】
図9は、本発明のカバー7の構造を示すカバー7の多層的に構成された材料の概略的断面図を示す。この断面図は特に寸法に忠実ではなく、純粋に原理の図解として理解される。
【0036】
カバーは、そのカバーの使用状態において、繊維外側カバー層13と、カバー層13の下に配置され特にカバー7の材料の面を横断する方向にも弾性を有するメッシュ状緩衝材または織布緩衝材によって形成された弾性層14と、弾性層14の下に、つまりカバー7の内側に向けて形成された吸湿層15とを有している。
【0037】
繊維カバー層13は、弾性層14のメッシュ状緩衝材または織布緩衝材のカバー層として形成され、その限りで同様にこの層の構成要素でありうる。しかしこの繊維カバー層13は、弾性層14と別個に製造され、例えば貼り合せることで弾性層14と結合された構成にしてもよい。また繊維カバー層13は、水分を特に良好に受容し手から排除できるように例えばタオル地や、マイクロファイバーのようなパイルループや、パイルの開いたパイル糸によって形成されることが好ましい。本発明のメッシュ状緩衝材または織布緩衝材として形成される弾性層14は、水分を受容し保持できるため、このように形成されたカバー7は長時間持続する使用でも使用者の手は乾燥したまま保たれるという観点で効果的な作用を奏する。例えばポリウレタン(PU)であるポリマー材の被膜層であるか、また装着された箔または膜や貼り合わされた箔状層である吸湿層15は、弾性吸湿層14の中に吸収され保持された水分が、さらにカバー7が装着されたコントローラ1に向かって侵入することを防止する。
【0038】
吸湿層14は、選択的に追加してもよく、本発明の実現に必ずしも必要ではない。さらにカバー7がコントローラ1から滑ってずれることを防ぐため、および、カバー7のコントローラ1上での固定的な着座を維持するために、滑り止めとして使用できる粘着構造または部材を設けてもよい。この課題は例えば水分不透過層15によって解消できる。また、例えば一貫してまたはネップ、リブおよびウェーブ等の構造で形成されることのできるゴム引きのような特別な構造または部材で構成してもよい。このような構造は
図9では示されないが、そこでは一番下に示された位置、つまりカバー7の内面上に配置されうる。
【符号の説明】
【0039】
1 コントローラ
2 グリップ
3 アナログスティック
4 充電ソケット
5 制御ボタン
6 タッチパッド
7 カバー
8 開口部
9 フラップ
10 制御ボタン
11 面状ファスナ
12 マーキング
13 繊維カバー層
14 弾性層
15 水分不透過層