特許第6846928号(P6846928)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846928
(24)【登録日】2021年3月4日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】はんだ材供給機
(51)【国際特許分類】
   B23K 3/06 20060101AFI20210315BHJP
   B23K 3/08 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   B23K3/06 K
   B23K3/08
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-255636(P2016-255636)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2018-103255(P2018-103255A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】特許業務法人山王内外特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100188880
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 辰哉
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】中島 裕一
【審査官】 岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−101364(JP,U)
【文献】 特開平07−251264(JP,A)
【文献】 実開昭59−030370(JP,U)
【文献】 特開2001−239362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 3/06
B23K 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラックスが含有され、熱源により加熱されるはんだ材を射出するはんだ材供給機であって、
前記はんだ材の径より大きな径に構成された開口を有し、当該はんだ材を当該開口から射出するノズルと、
前記開口に対し、前記はんだ材の射出方向に気体を供給する気体供給部とを備え、
前記気体供給部は、前記フラックスの融点よりも高く、且つ、前記はんだ材の融点よりも低い温度の気体を供給する
ことを特徴とするはんだ材供給機。
【請求項2】
フラックスが含有され、熱源により加熱されるはんだ材を射出するはんだ材供給機であって、
開口を有し、前記はんだ材を当該開口から射出するノズルと、
前記ノズルの外周に設けられ、熱を発生するヒータとを備え、
前記ヒータは、前記フラックスの融点よりも高く、且つ、前記はんだ材の融点よりも低い温度の熱を発生する
ことを特徴とするはんだ材供給機。
【請求項3】
前記開口に対し、前記はんだ材の射出方向に気体を供給する気体供給部を備えた
ことを特徴とする請求項記載のはんだ材供給機。
【請求項4】
前記ノズルの射出口に対し、気体を供給する気体供給部を備えた
ことを特徴とする請求項記載のはんだ材供給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、はんだ材を供給するはんだ材供給機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、こてはんだロボット又はレーザを用いた自動はんだプロセスでは、はんだ材を所定位置へ精密に供給する必要がある。そこで、一般的に、開口を有するノズルを用いてメカ的に位置制御を行っている(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−9127号公報
【特許文献2】特開平7−164142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、はんだ材には、形状を保持する目的で、ゴボウ状にフラックスが含まれている。しかしながら、フラックスを含有するはんだ材では、はんだ材が加熱されることでフラックスが流れだし、フラックスが未溶融のはんだ材を這い上がってノズル内で固化してしまうという課題があった。その結果、はんだ材を詰まらせるという問題を引き起こす。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ノズル内でのフラックスの固化を防ぐことができるはんだ材供給機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るはんだ材供給機は、フラックスが含有され、熱源により加熱されるはんだ材を射出するはんだ材供給機であって、はんだ材の径より大きな径に構成された開口を有し、当該はんだ材を当該開口から射出するノズルと、開口に対し、はんだ材の射出方向に気体を供給する気体供給部とを備え、気体供給部は、フラックスの融点よりも高く、且つ、はんだ材の融点よりも低い温度の気体を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、上記のように構成したので、ノズル内でのフラックスの固化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1に係るはんだ材供給機の構成例を示す図である。
図2】この発明の実施の形態1に係るはんだ材供給機の動作例を示す図である。
図3】この発明の実施の形態2に係るはんだ材供給機の構成例を示す図である。
図4】この発明の実施の形態2に係るはんだ材供給機の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るはんだ材供給機の構成例を示す図である。
はんだ材供給機は、基板101上の所定の供給スポットに、はんだ材51を供給する装置である。なお、はんだ材51には、フラックスがゴボウ状に含まれている。実施の形態1に係るはんだ材供給機は、図1に示すように、はんだ供給部1、気体供給部2及び制御部3を備えている。
【0010】
はんだ供給部1は、ノズル11を有し、当該ノズル11の開口111からはんだ材51を射出する。なお、ノズル11が有する開口111は、はんだ材51の径(例えばφ0.6)より大きな径(例えば内径φ0.75)に構成されている。
【0011】
気体供給部2は、開口111に対し、はんだ材51の射出方向に気体(空気、窒素等)を供給する。この際、気体供給部2は、フラックスの融点(約70度)よりも高く、且つ、はんだ材51の融点(約200度)よりも低い温度の気体を供給することが望ましい。
【0012】
制御部3は、はんだ供給部1及び気体供給部2を制御する。この制御部3は、システムLSI等の処理回路や、メモリ等に記憶されたプログラムを実行するCPU等により実現される。
【0013】
次に、実施の形態1に係るはんだ材供給機の動作例について、図2を参照しながら説明する。なお図2において、符号102は電子部品であり、符号103は熱源である。
はんだ材供給機の動作例では、はんだ供給部1がノズル11の開口111を介してはんだ材51を射出する。またこの際、気体供給部2は、ノズル11の開口111に対し、はんだ材51の射出方向に気体21を供給する。図2では、ノズル11の側面に供給口112を設け、気体供給部2はこの供給口112から気体21を供給している。また、気体供給部2は、熱源103によりはんだ材51が加熱されている間動作していればよい。
【0014】
これにより、はんだ材51が加熱されてフラックスが流れだし、フラックスが未溶融のはんだ材51を這い上がろうとしても、気体供給部2により供給された気体21によりノズル11内へのフラックスの流入を抑制できる。その結果、ノズル11内でフラックスが固化し、はんだ材51が詰まることを抑制できる。
また、フラックスは、はんだ材51の濡れ広がりをよくする役割も果たす。そのため、気体供給部2によりはんだ材51の射出方向に気体21を供給して、フラックスを基板101側に積極的に送ることで、はんだ材51の濡れ広がりがよりよくなる。
【0015】
以上のように、この実施の形態1によれば、開口111を有し、フラックスが含有されたはんだ材51を射出するノズル11と、開口111に対し、はんだ材51の射出方向に気体を供給する気体供給部2とを備えたので、ノズル11内でのフラックスの固化を防ぐことができる。
【0016】
実施の形態2.
実施の形態1では、気体供給部2によりノズル11の開口111内に気体を供給することで、フラックスのノズル11内への流入を抑制する構成を示した。それに対し、実施の形態2では、ノズル11の周りにヒータ4を設けることで、ヒータ4の熱によりフラックスの固化を抑制する構成を示す。
【0017】
図3はこの発明の実施の形態2に係るはんだ材供給機の構成例を示す図である。
実施の形態2に係るはんだ材供給機は、図3に示すように、はんだ供給部1、ヒータ4及び制御部3bを備えている。なお、はんだ供給部1の構成は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0018】
ヒータ4は、ノズル11の外周に設けられ、熱を発生する。なお、ヒータ4は、フラックスの融点よりも高く、且つ、はんだ材51の融点よりも低い温度の熱を発生することが望ましい。
【0019】
制御部3bは、はんだ供給部1及びヒータ4を制御する。この制御部3bは、システムLSI等の処理回路や、メモリ等に記憶されたプログラムを実行するCPU等により実現される。
【0020】
次に、実施の形態2に係るはんだ材供給機の動作例について、図4を参照しながら説明する。
はんだ材供給機の動作例では、はんだ供給部1がノズル11の開口111を介してはんだ材51を射出する。またこの際、ヒータ4は、ノズル11に対して熱を加える。
これにより、はんだ材51が加熱されてフラックスが流れだし、フラックスが未溶融のはんだ材51を這い上がったとしても、ヒータ4からの熱によりノズル11内でフラックスが固化することを抑制できる。その結果、はんだ材51が詰まることを抑制できる。
【0021】
以上のように、この実施の形態2によれば、フラックスが含有されたはんだ材51を供給するノズル11と、ノズル11の外周に設けられ、熱を発生するヒータ4とを備えても、ノズル11内でのフラックスの固化を防ぐことができる。
【0022】
なお、実施の形態2の構成に対し、ノズル11が有する開口111に対し、はんだ材51の射出方向に気体を供給する気体供給部2を追加してもよい。又は、実施の形態2の構成に対し、ノズル11の射出口に対し、気体を供給する気体供給部を追加してもよい。このように、気体によりフラックスのノズル11内への侵入を抑制することで、はんだ材51が詰まることを更に抑制できる。
【0023】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 はんだ供給部
2 気体供給部
3,3b 制御部
4 ヒータ
11 ノズル
51 はんだ材
101 基板
102 電子部品
103 熱源
111 開口
112 供給口
図1
図2
図3
図4