【実施例】
【0044】
以下、実施例に基づいて本実施形態を詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0045】
実施例及び比較例で用意した食品保存用容器の製造方法は以下のとおりである。
【0046】
ポリプロピレン製シート(厚み1.2mm)を用いて、真空成型法により、
図1に示される形状の容器本体2(容積=1100mL)及び蓋体3を製造した。また、ポリプロピレン製シート(厚み0.9mm)を用いて、真空成型法により、
図3から
図9、
図12、
図13に示す中皿底部41を有する中皿を製造した。製造した容器の各寸法を
図10の表に示す。各寸法の測定法は下記のとおりである。
【0047】
[突起の高さの測定]
突起41b,411b,412b,413b,414b,415b,416b,417bの高さHは、まず、小型カッターにより各突起の頂点と底部を含むように切断して切片を作成し、当該切片の断面においてノギスを用いて測定した。
【0048】
[突起の投影面積の測定]
突起41b,411b,412b,413b,414b,415b,416b,417bの投影面積は、ノギスを用いて各突起の寸法を測定し、各寸法に基づいて算出した。
【0049】
[通気孔の断面積の総和の測定]
通気孔41a,411a,412a,413a,414a,415a,416a,417aの断面積の総和は、ノギスを用いて各通気孔の寸法を測定し、各寸法に基づいて各断面積を算出し、全てを合算した。
【0050】
また、実施例及び比較例で用いた米飯の調整法、評価方法は下記のとおりである。
【0051】
[米飯の調製及び保冷性評価]
実施例及び比較例の容器を用いて、以下の(1)から(5)の手順により、米飯の調製及びエージング試験を行った。
(1)炊飯:三重県産コシヒカリ無洗米600gを、水道水798g(無洗米重量の1.33倍)を用いて、IH電気釜(象印製)の無洗米コースにより炊飯した。
(2)充填:(1)の方法で炊飯後、直ちに釜の中の米飯が均一になるように杓文字でよく混ぜ、そのうち150gの米飯を、厚みが均一となるように容器本体2の収容空間に充填した。充填後、蓋体3によって収容空間を覆った。また、米飯の温度を測定するため、米飯に温度センサを取り付けた。
(3)放冷:密閉後の米飯を、室温(23℃)にて、表面温度が40℃になるまで放冷した。
(4)保冷剤の仕込み:12時間以上冷凍した保冷剤(不織布包装品、30g×2個)を載置した中皿に載置し、蓋体3によって収容空間を覆った。
(5)エージング:恒温恒湿槽(温度30℃、相対湿度60%設定)内に容器を配置して4時間エージングし、米飯の温度の経時変化を測定した。
【0052】
[食品冷却性の評価]
食品冷却性は、エージング開始後に米飯が到達した最低温度で評価した。
【0053】
[保冷性の評価]
保冷性は、下記基準にて評価した。
○:米飯の温度が25℃未満になった後に、上昇して25℃に達した時間がエージング開始から2時間以上3時間未満
△:米飯の温度が25℃未満になった後に、上昇して25℃に達した時間がエージング開始から1時間以上2時間未満
×:米飯の温度が25℃未満になった後に、上昇して25℃に達した時間がエージング開始から1時間未満、又は、米飯の温度が25℃に達しない
【0054】
[保冷剤の防汚性評価]
実施例及び比較例の容器を用い、以下の(1)から(4)の手順によってポテトサラダの調製及びエージング試験を行った。
(1)調理:ポテトサラダを調理し、容器本体2に大量に収容した。具体的には、中皿を装着したときに、中皿底部41の下面に付着する量のポテトサラダを収容した。
(2)放冷:室温(23℃)にて、ポテトサラダの表面温度が40℃になるまで放冷した。
(3)保冷剤の仕込み:中皿を容器本体2に装着し、中皿底部41の下面にポテトサラダが付着していることを確認後、12時間以上冷凍した保冷剤(不織布包装品、30g×2個)を中皿の上面に載置し、蓋体3によって収容空間を覆った。
(4)エージング:恒温恒湿槽(温度30℃、相対湿度60%設定)にて4時間エージングし、ポテトサラダによる保冷剤Cの汚損状況を評価した。
[防汚性の評価]
○:汚損無し
×:汚損有り
【0055】
[洗浄し易さ]
年齢が20代から50代の主婦100人によって容器の洗浄し易さの官能評価を行った。具体的には、食器洗い用スポンジ(3M社、スコッチ・ブライト(登録商標)抗菌ウレタンスポンジS‐21KS)に水道水を含浸させ、食器用洗剤(旭化成ホームプロダクツ株式会社フロッシュ(登録商標)アロエベラ)を3滴滴下し、上述した調製法によって調製した米飯を取り出した後の容器を洗浄した際の洗浄し易さ(スポンジの当たり方)ついて評価した。比較例1の中皿(通気孔や突起が形成されておらず、平坦な中皿底部41(
図12参照)を有するもの)に対する評価を5点とし、これを基準として1点から5点で評価した。
[洗浄し易さの評価]
100人のパネラーの評価の平均値を算出し、下記基準にて評価した。
◎:4点≦平均値≦5点
○:3点≦平均値<4点
△:2点≦平均値<3点
×:1点≦平均値<2点
【0056】
各実施例及び比較例についての詳細に説明する。なお、実施例及び比較例として用いた容器本体及び蓋体の形状は、上述した実施形態の容器本体2及び蓋体3と同一である。一方、実施例及び比較例として用いた中皿は、中皿底板に形成された通気孔や突起の形状が、上述した実施形態の中皿底板41に形成された通気孔41aや突起41bの形状と異なる。
【0057】
[実施例1]
上述した製造方法により、
図3に示されるように、中皿底部41に通気孔411a及び突起411bが形成された中皿を製造した。通気孔411a及び突起411bのサイズは、
図10の表に示されるとおりである。
【0058】
評価結果を
図11の表に示す。米飯の保冷状態、保冷剤Cの防汚性、中皿の洗浄し易さ、の全ての項目について良好な結果であった。
【0059】
[実施例2]
図4及び
図10の表に示されるように、中皿底部41に形成された通気孔412aの数、断面積及びその総和の比率以外は実施例1と同一形状の中皿を製造し、実施例1と同様の評価を行った結果を
図11の表に示す。米飯の保冷状態、保冷剤Cの防汚性、中皿の洗浄し易さ、の全ての項目について良好な結果であった。
【0060】
[実施例3]
図5、及び、
図10の表に示されるように、中皿底部41に形成された通気孔413aの数、断面積及びその総和の比率以外は実施例1と同一形状の中皿を製造し、実施例1と同様の評価を行った結果を
図11の表に示す。米飯の保冷状態、保冷剤Cの防汚性、中皿の洗浄し易さ、の全ての項目について良好な結果であった。
【0061】
[実施例4]
図6、及び、
図10の表に示されるように、中皿底部41に形成された通気孔414aの数、断面積及びその総和の比率以外は実施例1と同一形状の中皿を製造し、実施例1と同様の評価を行った結果を
図11の表に示す。米飯の保冷状態及び保冷剤Cの防汚性は良好な結果であった。
【0062】
[実施例5]
図7、及び
図10の表に示されるように、中皿底部41に形成された突起415bの形状、数及び投影面積の総和の比率以外は実施例3と同一形状の中皿を製造し、実施例1と同様の評価を行った結果を
図11の表に示す。米飯の保冷状態及び中皿の洗浄し易さは良好な結果であったが、保冷剤Cの防汚性は不十分であった。
【0063】
[実施例6]
図8、及び、
図10の表に示されるように、中皿底部41に形成された突起417bの数及び投影面積の総和の比率以外は実施例2と同様の形状の中皿を製造し、実施例1と同様の評価を行った結果を
図11の表に示す。米飯の保冷状態、保冷剤Cの防汚性、中皿の洗浄し易さ、の全ての項目について良好な結果であった。
【0064】
[実施例7]
図9、及び、
図10の表に示されるように、中皿底部41に形成された突起417bの形状、数及び投影面積の総和の比率と、通気孔417aの数および断面積の総和の比率以外は実施例1と同様の形状の中皿を製造し、実施例1と同様の評価を行った結果を
図11の表に示す。米飯の保冷状態、保冷剤Cの防汚性、中皿の洗浄し易さ、の全ての項目について良好な結果であった。
【0065】
[実施例8]
図9、及び、
図10の表に示されるように、中皿底部41に形成された突起417bの高さH以外は実施例7と同一形状の中皿を製造し、実施例1と同様の評価を行った結果を
図11の表に示す。米飯の保冷状態、及び中皿の洗浄し易さは良好な結果であったが、保冷剤Cの防汚性は不十分であった。
【0066】
[実施例9]
図9、及び、
図10の表に示されるように、中皿底部41に形成された突起417bの高さH以外は実施例7と同一形状の中皿を製造し、実施例1と同様の評価を行った結果を
図11の表に示す。米飯の保冷状態、保冷剤Cの防汚性、中皿の洗浄し易さ、の全ての項目について良好な結果であった。
【0067】
[実施例10]
図9、及び、
図10の表に示されるように、中皿底部41に形成された突起417bの高さH以外は実施例7と同一形状の中皿を製造し、実施例1と同様の評価を行った結果を
図11の表に示す。米飯の保冷状態及び保冷剤Cの防汚性は良好な結果であった。
[比較例1]
【0068】
図12、及び、
図10の表に示されるように、中皿底部41に通気孔および突起が形成されておらず、平板形状である点以外は実施例1と同一形状の中皿を製造し、実施例1と同様の方法で評価を行った結果を
図11の表に示す。米飯の保冷状態が悪い結果であった。
[比較例2]
【0069】
図13、及び、
図10の表に示されるように、中皿底部41に突起が形成されてない点以外は実施例3と同一形状の中皿を製造し、実施例1と同様の評価を行った結果を
図11の表に示す。米飯の保冷状態は良好であったが、保冷剤Cの防汚性が不十分であった。
[比較例3]
【0070】
中皿を備えておらず、保冷剤Cを蓋体3の上に載置する点以外は、実施例1と同様の評価を行った結果を
図11の表に示す。米飯の保冷状態が悪い結果であった。