(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記化成皮膜が、金属の表面に、防錆処理液又は表面処理液の一方を接触させた後に、前記金属の表面に、前記防錆処理液又は前記表面処理液の他方を接触させて形成する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載のプリント配線板の製造方法。
前記化成皮膜が、金属の表面に、防錆処理液又は表面処理液の一方を接触させた後に、前記金属の表面に、前記防錆処理液又は前記表面処理液の他方を接触させて形成されることを特徴とする請求項11に記載の金属と樹脂材料との接着方法。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の防錆処理液は、後述する金属の表面処理液(以下、「特定表面処理液」ともいう。)と併用する防錆処理液であって、有効成分として、下記化学式(1)〜(4)で示されるアゾール化合物からなる群から選択される少なくとも1種のアゾール化合物(以下、「特定アゾール化合物」ともいう。)を含有する。すなわち、下記の化学式(1)又は(2)で示される1,2,4−トリアゾール化合物、化学式(3)で示される1,2,3−トリアゾール化合物及び化学式(4)で示される1H−テトラゾール化合物からなる群から選択される1種を単独で含有してもよく、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
【0030】
(式(1)〜(4)中、R
1〜R
3、R
4〜R
6、R
7〜R
9及びR
10〜R
11は、それぞれ独立して、水素原子、アミノ基、メルカプト基、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のアルキルチオ基を表す。)
【0031】
本発明の防錆処理液を、後述の特定表面処理液と併用して金属の表面に接触させることで、金属と樹脂材料との接着性を損なうことなく、処理された金属の酸化が抑えられ、耐薬品性が向上するので、めっき工程でのハローイングの発生を抑制することができる。
【0032】
<化学式(1)又は化学式(2)で示されるアゾール化合物(1,2,4−トリアゾール化合物)>
表題の1,2,4−トリアゾール化合物としては、例えば、1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−エチル−1,2,4−トリアゾール、1−プロピル−1,2,4−トリアゾール、1−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール、3−メチル−1,2,4−トリアゾール、3−エチル−1,2,4−トリアゾール、3−プロピル−1,2,4−トリアゾール、3−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール、1,3−ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3−エチル−5−メチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジエチル−1,2,4−トリアゾール、3−メチル−5−プロピル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジイソプロピル−1,2,4−トリアゾール、1−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メチル−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−エチル−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−プロピル−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1−メチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1−エチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1−プロピル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−5−メチル−1,2,4−トリアゾール、5−エチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−プロピル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−イソプロピル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−エチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−メチル−1,2,4−トリアゾール、4−エチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−プロピル−1,2,4−トリアゾール、4−イソプロピル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメルカプト−1−メチル−1,2,4−トリアゾール、3−(メチルチオ)−1,2,4−トリアゾール、3−(エチルチオ)−1,2,4−トリアゾール、3−(プロピルチオ)−1,2,4−トリアゾール、3−(イソプロピルチオ)−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−(メチルチオ)−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−5−(メチルチオ)−1,2,4−トリアゾール、3,5−ビス(メチルチオ)−1,2,4−トリアゾール、3,5−ビス(エチルチオ)−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−3−メルカプト−1−メチル−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−(メチルチオ)−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−(エチルチオ)−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−(プロピルチオ)−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−(イソプロピルチオ)−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1−メチル−5−(メチルチオ)−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−3−メルカプト−5−メチル−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−5−エチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−3−(メチルチオ)−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−3−(エチルチオ)−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−3−メチル−5−(メチルチオ)−1,2,4−トリアゾール等が挙げられる。
【0033】
これらの中でも、ハローイング抑制効果の観点から、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾールを用いることが好ましい。
【0034】
<化学式(3)で示されるアゾール化合物(1,2,3−トリアゾール化合物)>
表題の1,2,3−トリアゾール化合物としては、例えば、1,2,3−トリアゾール、1−メチル−1,2,3−トリアゾール、1−エチル−1,2,3−トリアゾール、1−プロピル−1,2,3−トリアゾール、1−イソプロピル−1,2,3−トリアゾール、4−メチル−1,2,3−トリアゾール、4−エチル−1,2,3−トリアゾール、4−プロピル−1,2,3−トリアゾール、4−イソプロピル−1,2,3−トリアゾール、1,4−ジメチル−1,2,3−トリアゾール、4−エチル−1−メチル−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジメチル−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジエチル−1,2,3−トリアゾール、4−エチル−5−プロピル−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−5−メチル−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−5−エチル−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−5−プロピル−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−5−イソプロピル−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−4,5−ジメチル−1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−5−メチル−1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1−メチル−1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1−エチル−1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1−プロピル−1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1−イソプロピル−1,2,3−トリアゾール、4−メルカプト−1,2,3−トリアゾール、5−メルカプト−4−メチル−1,2,3−トリアゾール、4−(メチルチオ)−1,2,3−トリアゾール、4−(エチルチオ)−1,2,3−トリアゾール、4−(プロピルチオ)−1,2,3−トリアゾール、4−(イソプロピルチオ)−1,2,3−トリアゾール、4−(エチルチオ)−5−メチル−1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−5−メルカプト−1,2,3−トリアゾール等が挙げられる。
【0035】
これらの中でも、ハローイング抑制効果の観点から、1,2,3−トリアゾール、4−メルカプト−1,2,3−トリアゾールを用いることが好ましい。
【0036】
<化学式(4)で示されるアゾール化合物(1H−テトラゾール化合物)>
表題の1H−テトラゾール化合物としては、例えば、1H−テトラゾール、1−メチルテトラゾール、1−エチルテトラゾール、1−プロピルテトラゾール、1−イソプロピルテトラゾール、5−メチルテトラゾール、5−エチルテトラゾール、5−プロピルテトラゾール、5−イソプロピルテトラゾール、1,5−ジメチルテトラゾール、5−エチル−1−メチルテトラゾール、5−プロピル−1−メチルテトラゾール、5−イソプロピル−1−メチルテトラゾール、1,5−ジエチルテトラゾール、1−アミノテトラゾール、1−アミノ−5−メチルテトラゾール、1−アミノ−5−エチルテトラゾール、1−アミノ−5−プロピルテトラゾール、1−アミノ−5−イソプロピルテトラゾール、5−アミノテトラゾール、5−アミノ−1−メチルテトラゾール、5−アミノ−1−エチルテトラゾール、5−アミノ−1−プロピルテトラゾール、5−アミノ−1−イソプロピルテトラゾール、5−メルカプトテトラゾール、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、1−エチル−5−メルカプトテトラゾール、5−メルカプト−1−プロピルテトラゾール、1−イソプロピル−5−メルカプトテトラゾール、5−(メチルチオ)テトラゾール、5−(エチルチオ)テトラゾール、5−(プロピルチオ)テトラゾール、5−(イソプロピルチオ)テトラゾール、1−メチル−5−(メチルチオ)テトラゾール、1−メチル−5−(エチルチオ)テトラゾール、1−アミノ−5−メルカプトテトラゾール等が挙げられる。
【0037】
これらの中でも、ハローイング抑制効果の観点から、1H−テトラゾール、5−アミノテトラゾールを用いることが好ましい。
【0038】
化学式(1)で示される特定アゾール化合物は、例えば、国際公開第92/02853号に記載された方法に準拠して合成することができる。
化学式(2)で示される特定アゾール化合物は、例えば、Molecules,9巻,204頁(2004年)に記載された方法に準拠して合成することができる。
化学式(3)で示される特定アゾール化合物は、例えば、米国特許第7,550,601号明細書に記載された方法に準拠して合成することができる。
化学式(4)で示される特定アゾール化合物は、例えば、Journal of the Chemical Society,Dalton Transactions,3373頁(2001年)に記載された方法に準拠して合成することができる。
また、市販のものを使用することもでき、例えば、化学式(1)に含まれる3−アミノ−1,2,4−トリアゾールとして和光純薬工業社製の試薬、化学式(2)に含まれる4−アミノ−1,2,4−トリアゾールとして東京化成工業社製の試薬、化学式(3)に含まれる1,2,3−トリアゾールとして東京化成工業社製の試薬、化学式(4)に含まれる1H−テトラゾールとして東京化成工業社製の試薬が挙げられる。
【0039】
本発明の防錆処理液中の特定アゾール化合物の含有量は、0.0001〜5質量%であることが好ましい。特定アゾール化合物の含有量が0.0001質量%以上であると、本発明の防錆処理液を後述の特定表面処理液と併用して金属表面に処理することにより、優れた防錆性(金属表面の酸化を防ぐ)が得られ、ハローイング現象を抑制することができる。また、5質量%を超えて含有しても防錆性の効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できないこと、含有量が多すぎると特定アゾール化合物が溶解しきれない惧れがあることから、5質量%を上限とすることが望ましい。本発明の特定アゾール化合物の含有量は、防錆処理液中、0.01質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、また、3質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下が更に好ましい。
【0040】
本発明の防錆処理液は、特定アゾール化合物を水に溶解させることにより調製される。水としては、水道水、イオン交換水、蒸留水、精製水等が挙げられ、イオン交換水や蒸留水等の純水を用いることが好ましい。
【0041】
本発明の防錆処理液には、特定アゾール化合物の溶解性を高めるために可溶化剤を含有することができる。可溶化剤としては、例えば、酸、アルカリ、有機溶剤等が挙げられる。
【0042】
酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、グリセリン酸、マロン酸、コハク酸、レブリン酸、安息香酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、アミノ酸等の有機酸等が挙げられる。これらの酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0043】
アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アリルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−1−プロパノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン等のアミン類等が挙げられる。これらのアルカリは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0044】
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、2−ピロリドン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、炭酸ジメチル、エチレンカーボネート、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0045】
可溶化剤の含有量としては、防錆処理液中、0.1〜50質量%であることが好ましい。可溶化剤の含有量が0.1質量%以上であると、防錆処理液中での特定アゾール化合物の溶解性を高める作用が顕著である。また、50質量%を超えると経済的ではないため、50質量%を上限とすることが好ましい。可溶化剤の含有量は、防錆処理液中、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、また、30質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下が更に好ましい。
【0046】
また、本発明の防錆処理液には、該処理液の安定性や造膜性を制御するためにpH調整剤を含有させることができる。本発明において、防錆膜(化成皮膜)の造膜性の観点から、防錆処理液のpHを2〜11とすることが好ましく、前記範囲のpHに調整するためにpH調整剤を用いる。
例えば、酸に溶解しやすい特定アゾール化合物を含有する防錆処理液については、可溶化剤として酸を用いて溶解させて水溶液にした後、アルカリ性のpH調整剤を用いて造膜性を調整することができる。また、アルカリに溶解しやすい特定アゾール化合物の場合については、可溶化剤としてアルカリを用いて溶解させて水溶液にした後、酸性のpH調整剤を用いて造膜性を調整することができる。酸性のpH調整剤としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、乳酸、グリコール酸、アミノ酸などの有機酸等が挙げられ、アルカリ性のpH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や、アンモニア、エタノールアミン等のアミン類等が挙げられる。
【0047】
また、防錆処理液の安定性や形成される防錆膜の均一性を高めるために、塩素イオン、臭素イオン等のハロゲンイオンや銅イオン、鉄イオン、亜鉛イオン等の金属イオンを生成する物質を含有させることもできる。
【0048】
また、本発明の効果を損なわない範囲において、公知のカップリング剤を防錆処理液に含有させてもよい。公知のカップリング剤としては、チオール基(メルカプト基)、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、アミノ基、クロロプロピル基等を有するシラン系カップリング剤が挙げられる。
【0049】
このようなシラン系カップリング剤の例としては、例えば、
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプトシラン化合物、
ビニルトリクロルシラン、
ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン化合物、
p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリルシラン化合物、
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン化合物、
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリロキシシラン化合物、
メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、
メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシシラン化合物、
N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、
N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物、
3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン化合物、
3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピルシラン化合物、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィドシラン化合物、及び
3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン等のイソシアナトシラン化合物
等を挙げることができる。
その他、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等も挙げることができる。これらのシラン系カップリング剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0050】
(本発明の防錆処理液と併用する表面処理液)
本発明の防錆処理液と併用する表面処理液(特定表面処理液)は、下記化学式(I)及び(II)で示されるアゾールシラン化合物からなる群から選択される少なくとも1種のアゾールシラン化合物を含有する。すなわち、下記化学式(I)及び(II)で示されるアゾールシラン化合物からなる群から選択される1種を単独で含有してもよく、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
【0052】
(式(I)中、Xは水素原子、−CH
3、−NH
2、−SH又は−SCH
3を表す。Yは−NH−又は−S−を表す。Rは−CH
3又は−CH
2CH
3を表す。mは1〜12の整数を表し、nは0又は1〜3の整数を表す。)
【0054】
本発明の防錆処理液を使用するに当っては、防錆処理液の有効成分である特定アゾール化合物と構造が類似するアゾールシラン化合物を含有した特定表面処理液を用いるので、金属と樹脂材料との接着性を損なうことがない。
【0055】
<化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物を含有する特定表面処理液>
化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物(以下、アゾールシラン化合物(I)ともいう。)は、化学式(I−1)〜(I−4)で示されるアゾールシラン化合物を包含する。
【0057】
(式(I−1)〜(I−4)中、X、Y、R及びmは、前記と同様である。)
【0058】
即ち、化学式(I−1)で示されるアゾールシラン化合物(以下、アゾールシラン化合物(I−1)ともいう。)は、前記の化学式(I)においてnが0である場合のアゾールシラン化合物(トリアルコキシ体)である。
同様に、化学式(I−2)で示されるアゾールシラン化合物(以下、アゾールシラン化合物(I−2)ともいう。)は、nが1である場合のアゾールシラン化合物であり、化学式(I−3)で示されるアゾールシラン化合物(以下、アゾールシラン化合物(I−3)ともいう。)は、nが2である場合のアゾールシラン化合物であり、化学式(I−4)で示されるアゾールシラン化合物(以下、アゾールシラン化合物(I−4)ともいう。)は、nが3である場合のアゾールシラン化合物である。
【0059】
アゾールシラン化合物(I−2)〜(I−4)は、特定表面処理液中に存在するアゾールシラン化合物(I−1)が、加水分解されて生成する種であり、これらは、トリアルコキシ体のアゾールシラン化合物(I−1)と共に、シランカップリング剤の成分として好適なものである。また、アゾールシラン化合物(I−2)〜(I−4)は、例えば、特定表面処理液から揮発分を除去することにより該特定表面処理液から抽出して用いることができる。
【0060】
本発明においては、特定表面処理液を調製する際の原料として、アゾールシラン化合物(I−1)を用いることが好ましい。
このアゾールシラン化合物(I−1)の例としては、例えば、
3−トリメトキシシリルメチルチオ−1,2,4−トリアゾール、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール、3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール、3−[6−(トリエトキシシリル)ヘキシルチオ]−1,2,4−トリアゾール、3−[12−(トリメトキシシリル)ドデシルチオ]−1,2,4−トリアゾール、3−メチル−5−[2−(トリエトキシシリル)エチルチオ]−1,2,4−トリアゾール、3−メチル−5−[4−(トリメトキシシリル)ブチルチオ]−1,2,4−トリアゾール、3−メチル−5−[10−(トリメトキシシリル)デシルチオ]−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−トリエトキシシリルメチルチオ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−[6−(トリメトキシシリル)ヘキシルチオ]−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−[12−(トリメトキシシリル)ドデシルチオ]−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−5−[2−(トリメトキシシリル)エチルチオ]−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−5−[5−(トリメトキシシリル)ペンチルチオ]−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−5−[8−(トリメトキシシリル)オクチルチオ]−1,2,4−トリアゾール、3−メチルチオ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール、3−メチルチオ−5−[10−(トリメトキシシリル)デシルチオ]−1,2,4−トリアゾール、3−メチルチオ−5−[4−(トリエトキシシリル)ブチルチオ]−1,2,4−トリアゾール(以上、Yが−NH−の場合)や、
2−トリメトキシシリルメチルチオ−1,3,4−チアジアゾール、2−[6−(トリメトキシシリル)ヘキシルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、2−[8−(トリエトキシシリル)オクチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、5−メチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、5−メチル−2−[5−(トリメトキシシリル)ペンチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、5−メチル−2−[12−(トリエトキシシリル)ドデシルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−[8−(トリメトキシシリル)オクチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−[2−(トリエトキシシリル)エチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−[5−(トリメトキシシリル)ペンチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−[10−(トリエトキシシリル)デシルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、2−メチルチオ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、2−メチルチオ−5−[4−(トリメトキシシリル)ブチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、2−メチルチオ−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、及び2−メチルチオ−5−[8−(トリエトキシシリル)オクチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール(以上、Yが−S−の場合)
等を挙げることができる。
【0061】
アゾールシラン化合物(I−1)は、例えば、特開2016−56449号公報に記載の方法により合成することができる。
【0062】
<化学式(II)で示されるアゾールシラン化合物を含有する特定表面処理液>
化学式(II)で示されるアゾールシラン化合物(以下、アゾールシラン化合物(II)ともいう。)は、化学式(II)におけるZ
2が、
−CO−NH−(CH
2)
m−Si(OR)
3である場合のアゾールシラン化合物(以下、アゾールシラン化合物(II−1)ともいう。)、
−CO−NH−(CH
2)
m−Si(OR)
2(OH)である場合のアゾールシラン化合物(以下、アゾールシラン化合物(II−2)ともいう。)、
−CO−NH−(CH
2)
m−Si(OR)(OH)
2である場合のアゾールシラン化合物(以下、アゾールシラン化合物(II−3)ともいう。)、及び
−CO−NH−(CH
2)
m−Si(OH)
3である場合のアゾールシラン化合物(以下、アゾールシラン化合物(II−4)ともいう。)を包含する。
【0063】
即ち、アゾールシラン化合物(II−1)は、前記の化学式(II)においてnが0である場合のアゾールシラン化合物である。
同様に、アゾールシラン化合物(II−2)はnが1である場合のアゾールシラン化合物であり、アゾールシラン化合物(II−3)はnが2である場合のアゾールシラン化合物であり、アゾールシラン化合物(II−4)はnが3である場合のアゾールシラン化合物である。
【0064】
アゾールシラン化合物(II−2)〜(II−4)は、特定表面処理液中に存在するアゾールシラン化合物(II−1)が、加水分解されて生成する種であり、これらは、トリアルコキシ体のアゾールシラン化合物(II−1)と共に、シランカップリング剤の成分として好適なものである。アゾールシラン化合物(II−2)〜(II−4)は、例えば、特定表面処理液から揮発分を除去することにより、該特定表面処理液から抽出して用いることができる。
【0065】
本発明においては、特定表面処理液を調製する際の原料として、アゾールシラン化合物(II−1)を用いることが好ましい。
このアゾールシラン化合物(II−1)の例としては、例えば、2,2′−ジチオビス{[1−(トリメトキシシリル)メチルカルバモイル]−1H−イミダゾール}、2,2′−ジチオビス{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピルカルバモイル]−1H−イミダゾール}、2,2′−ジチオビス{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイル]−1H−イミダゾール}、2,2′−ジチオビス{1−[6−(トリエトキシシリル)ヘキシルカルバモイル]−1H−イミダゾール}、2,2′−ジチオビス{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピルカルバモイル]−1H−ベンズイミダゾール}、2,2′−ジチオビス{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイル]−1H−ベンズイミダゾール}、2,2′−ジチオビス{1−[12−(トリメトキシシリル)ドデシルカルバモイル]−1H−ベンズイミダゾール}、2,2′−ジチオビス{5−アミノ−1−[3−(トリメトキシシリル)プロピルカルバモイル]−1H−ベンズイミダゾール}、2,2′−ジチオビス{5−アミノ−1−[3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイル]−1H−ベンズイミダゾール}、2,2′−ジチオビス{5−アミノ−1−[2−(トリエトキシシリル)エチルカルバモイル]−1H−ベンズイミダゾール}、3,3′−ジチオビス{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピルカルバモイル]−1H−1,2,4−トリアゾール}、3,3′−ジチオビス{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイル]−1H−1,2,4−トリアゾール}、3,3′−ジチオビス{1−[4−(トリメトキシシリル)ブチルカルバモイル]−1H−1,2,4−トリアゾール}、3,3′−ジチオビス{5−アミノ−1−[3−(トリメトキシシリル)プロピルカルバモイル]−1H−1,2,4−トリアゾール}、3,3′−ジチオビス{5−アミノ−1−[3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイル]−1H−1,2,4−トリアゾール}、3,3′−ジチオビス{5−アミノ−1−[10−(トリエトキシシリル)デシルカルバモイル]−1H−1,2,4−トリアゾール}、4,4′−ジチオビス{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピルカルバモイル]−1H−1,2,3−トリアゾール}、4,4′−ジチオビス{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイル]−1H−1,2,3−トリアゾール}、4,4′−ジチオビス{1−[5−(トリメトキシシリル)ペンチルカルバモイル]−1H−1,2,3−トリアゾール}、5,5′−ジチオビス{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピルカルバモイル]−1H−テトラゾール}、5,5′−ジチオビス{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイル]−1H−テトラゾール}、及び5,5′−ジチオビス{1−[8−(トリエトキシシリル)オクチルルカルバモイル]−1H−テトラゾール}等を挙げることができる。
【0066】
アゾールシラン化合物(II−1)は、アゾールシラン化合物(I−1)の場合と同様に、例えば、特開2016−56449号公報に記載の方法により合成することができる。
【0067】
本発明の実施において用いられる特定表面処理液は、前記のアゾールシラン化合物(I−1)及び/又はアゾールシラン化合物(II−1)と、水又は有機溶剤を混合することにより調製されるが、水と共に有機溶剤を併用してもよい。
なお、特定表面処理液の調製方法については、当該アゾールシラン化合物と水を混合した後に有機溶剤を加えてもよいし、該化合物に、水および有機溶剤の混合液を加えてもよいし、該化合物と有機溶剤を混合した後に水を加えてもよい。
また、特定表面処理液の調製に用いられる水としては、イオン交換水や蒸留水等の純水が好ましい。
【0068】
前記の有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、アセトン、トリエチレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、2−ピロリドン、ホルムアミド、スルホラン、炭酸ジメチル、エチレンカーボネート、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、酪酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、グリセリン酸、マロン酸、コハク酸、レブリン酸、フェノール、安息香酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アリルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン及びジオキサンの他、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリエチルアミン、ピリジン等の水と自由に混和するものが好ましい。なお、これらから選択される2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0069】
<アゾールシラン化合物の加水分解>
アゾールシラン化合物(I−1)及び(II−1)は、前述のとおり、水と接触すると加水分解されるが、この加水分解の態様をスキーム(A)に示す。
このスキーム(A)においては、前記のアゾールシラン化合物(I−1)〜(I−3)、並びに、アゾールシラン化合物(II−1)〜(II−3)の有するシリル基が加水分解される態様、即ち、トリアルコキシシリル基が、漸次、ジアルコキシヒドロキシシリル基、ジヒドロキシアルコキシシリル基、トリヒドロキシシリル基に変化する様が示される。
【0071】
一般に、分子中にアルコキシシリル基を有する物質は、シランカップリング剤として作用することが知られている。
例えば、銅と樹脂材料との接着を例に挙げると、本発明の実施において用いるアゾールシラン化合物は、分子中にアゾール環とアルコキシシリル基(−Si−OR)を有しており、アゾール環は、樹脂及び銅と相互作用し、化学結合を形成する。
また、アルコキシシリル基は加水分解を受けて、ヒドロキシシリル基(−Si−OH)に変換され、このヒドロキシシリル基は銅の表面に点在する酸化銅と化学結合する。
従って、銅と特定表面処理液を接触させることにより、該銅の表面にはアゾール環やヒドロキシシリル基との結合により、化学式(I)及び/又は(II)で示されるアゾールシラン化合物に由来する化成皮膜が形成されて、この化成皮膜の表面に樹脂材料からなる絶縁樹脂層を形成させた場合には、銅の表面に直に絶縁樹脂層を形成させる場合に比べて、銅と樹脂材料との接着性を高めることができる。
【0072】
本発明においては、特定表面処理液中における化学式(I)及び/又は(II)で示されるアゾールシラン化合物から選択される少なくとも1つの化合物の濃度が、トリアルコキシ体のアゾールシラン化合物(I−1)及び/又は(II−1)の濃度に換算して、0.001〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましい。
この濃度が0.001質量%未満である場合には、接着性の向上効果が十分ではなく、この濃度が10質量%を超える場合には、接着性の向上効果がほぼ頭打ちとなり、アゾールシラン化合物の使用量が増えるばかりで経済的ではない。
【0073】
ところで、特定表面処理液中に生成したヒドロキシシリル基を有するアゾールシラン化合物(I−2)〜(I−4)及び(II−2)〜(II−4)は、徐々に、互いに反応して脱水縮合し、ヒドロキシシリル基がシロキサン結合(Si−O−Si)を形成し(スキーム(A)参照)、水に溶け難いシランオリゴマー(スキーム(A)中の化学式(e)で示される基を有するアゾールシラン化合物)に変換される。なお、化学式(e)で示される基のXは繰り返し単位の数を表す整数である。
【0074】
特定表面処理液中におけるシランオリゴマーの生成量が多くなると、不溶解分が析出して(特定表面処理液が白濁し)、処理槽や処理槽に接続された配管、特定表面処理液中に浸漬されて該処理液の温度や液面を検出するためのセンサー類に付着し、円滑な表面処理が阻害される惧れがある。
これを避けるために、特定表面処理液の調製に水を用いる場合は、水に難溶性であるシランオリゴマーの溶解剤として、有機溶剤を特定表面処理液中に含有させることが好ましい。
有機溶剤の含有量については、水100質量部に対して0.1〜90質量部の割合とすることが好ましく、1〜50質量部の割合とすることがより好ましい。
【0075】
特定表面処理液の調製においては、アゾールシラン化合物(I−1)及び(II−1)の加水分解を促進させる為に、酢酸や塩酸等の酸、あるいは、水酸化ナトリウムやアンモニア等のアルカリを用いてもよい。
【0076】
同様に、特定表面処理液の安定性や形成される化成皮膜の均一性を高めるために、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等のハロゲンイオンや銅イオン、鉄イオン、亜鉛イオンなどの金属イオンを生成する物質を用いることもできる。
【0077】
また、本発明の効果を損なわない範囲において、公知のカップリング剤を特定表面処理液に併用してもよい。この公知のカップリング剤は、前述の公知のカップリング剤と同様である。
【0078】
(処理方法)
本発明の防錆処理液の処理方法としては、上記特定表面処理液と併用し、金属の表面を処理できれば特に制限はされない。金属の表面を処理する方法としては、例えば、スプレー、浸漬や塗布等の手段により、防錆処理液と金属を接触させればよい。
【0079】
防錆処理液により金属の表面を処理するタイミングは、特定表面処理液により金属の表面を処理する前であっても、特定表面処理液により金属の表面を処理した後であってもよい。
【0080】
本発明の防錆処理液と金属の表面を接触させる時間(処理時間)については、1秒〜10分とすることが好ましく、5秒〜3分とすることがより好ましい。処理時間が1秒以上であれば、金属表面に特定アゾール化合物に由来する化成皮膜を十分に形成させることができ、所望の防錆効果を得ることができる。また、処理時間を10分より長くしても、化成皮膜の膜厚に大差はないため、生産性の観点から10分以下で処理することが好ましい。
【0081】
防錆処理液を金属の表面に接着させる際の防錆処理液の温度については、5〜50℃とすることが好ましいが、前記の処理時間との関係において、適宜設定すればよい。
【0082】
金属の表面に防錆処理液を接触させた後は、必要により水洗を行い、金属の表面を乾燥させることが好ましい。
乾燥は、室温〜150℃の温度、好ましくは60〜120℃の温度で、1秒〜10分、好ましくは10秒〜3分程度の時間とすることが好ましい。
なお、水洗に用いる水としては、イオン交換水や蒸留水等の純水が好ましいが、水洗の方法や時間には特に制限なく、スプレーや浸漬等の手段による適宜の時間で構わない。
【0083】
本発明において、乾燥後の化成皮膜に対し、プラズマ、レーザー、イオンビーム、オゾン、加熱、加湿等の処理を行い、化成皮膜の表面を改質させてもよい。あるいは、プラズマ、レーザー、イオンビーム、パーミス・ブラシなどの機械研磨やドリル等加工方法を用いて、金属表面の樹脂・イオン残渣除去を目的とした洗浄を行ってもよい。
【0084】
特定表面処理液と金属の表面を接触させる時間(処理時間)については、1秒〜10分とすることが好ましく、5秒〜3分とすることがより好ましい。処理時間が1秒未満の場合には金属表面に形成される化学式(I)及び/又は(II)で示されるアゾールシラン化合物に由来する化成皮膜の膜厚が薄くなり、金属と絶縁樹脂層の接着力が十分に得られず、一方10分より長くしても、化成皮膜の膜厚に大差はなく、接着力の増加が期待できない。
【0085】
また、特定表面処理液を金属の表面に接触させる際の特定表面処理液の温度については、5〜50℃とすることが好ましいが、前記の処理時間との関係において、適宜設定すればよい。
【0086】
金属の表面に特定表面処理液を接触させた後は、必要により水洗を行い、金属の表面を乾燥させることが好ましい。
乾燥は、室温〜150℃の温度、好ましくは60〜120℃の温度で、1秒〜10分、好ましくは10秒〜3分程度の時間とすることが好ましい。
なお、水洗に用いる水としては、イオン交換水や蒸留水等の純水が好ましいが、水洗の方法や時間には特に制限なく、スプレーや浸漬等の手段による適宜の時間で構わない。
【0087】
なお、金属が銅又は銅合金である場合、特定表面処理液又は防錆処理液を銅又は銅合金の表面に接触させる前に、銅イオンを含有する水溶液を前記銅又は銅合金の表面に接触させてもよい。銅イオンを含有する水溶液の銅イオン源としては、水に溶解する銅塩であれば特に限定されず、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、ギ酸銅、酢酸銅などの銅塩が挙げられる。銅塩を水に可溶化するために、アンモニアや塩酸などを添加してもよい。
【0088】
特定表面処理液又は防錆処理液を銅又は銅合金の表面に接触させた後に、酸性あるいはアルカリ性の水溶液を前記銅又は銅合金の表面に接触させてもよい。酸性水溶液及びアルカリ性水溶液は、特に限定されないが、酸性水溶液としては、硫酸、硝酸、塩酸等の鉱酸を含有する水溶液や、ギ酸、酢酸、乳酸、グリコール酸、アミノ酸などの有機酸を含む水溶液等が挙げられる。アルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物や、アンモニア、エタノールアミン、モノプロパノールアミン等のアミン類などを含有する水溶液が挙げられる。
【0089】
上記のように処理することにより、金属の表面に防錆剤処理液中の特定アゾール化合物と特定表面処理液中の化学式(I)及び/又は(II)で示されるアゾールシラン化合物に由来する化成皮膜を形成させることができる。金属の表面に特定表面処理液のみを処理した場合は、前記アゾールシラン化合物に由来する化成皮膜はポーラスな膜であると考えられ、樹脂材料の熱硬化の際に空気中の酸素が化成皮膜を透過し、金属が酸化する可能性がある。しかし、本発明の防錆処理液を特定表面処理液と併用することで、防錆処理液中の特定アゾール化合物が金属表面に作用し、金属の酸化を抑制することができる。よって、金属配線層と絶縁樹脂層とを備えたプリント配線板等において、特に粗化処理を行うことなく金属配線層(金属回路)と絶縁樹脂層(樹脂材料)との接着性を高めると共に、金属の酸化物の形成を低減させて、ハローイング現象を抑制することができる。
【0090】
本発明において、処理する金属としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、錫、鉄、銀、金及びこれらの合金等が挙げられる。
前記合金の具体例としては、銅合金では、銅を含む合金であれば特に限定されず、例えば、Cu−Ag系、Cu−Te系、Cu−Mg系、Cu−Sn系、Cu−Si系、Cu−Mn系、Cu−Be−Co系、Cu−Ti系、Cu−Ni−Si系、Cu−Zn−Ni系、Cu−Cr系、Cu−Zr系、Cu−Fe系、Cu−Al系、Cu−Zn系、Cu−Co系等の合金が挙げられる。
また、その他の合金では、アルミニウム合金(Al−Si合金)、ニッケル合金(Ni−Cr合金)、鉄合金(Fe−Ni合金、ステンレス)等が挙げられる。
これらの金属の中では、銅及び銅合金が好ましい。
【0091】
また、樹脂材料としては、例えば、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶樹脂等が挙げられ、これらを混合したり、互いに変性したりして、組み合わせたものであってもよい。
これらの樹脂材料の中では、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂及びポリイミド樹脂が好ましい。
【0092】
(接着方法)
金属と樹脂材料との接着方法としては、特に限定されず公知の方法により行うことができる。金属の表面を本発明の防錆処理液及び特定表面処理液により接触させて金属の表面に化成皮膜を形成し、該化成皮膜を介して、金属の表面に樹脂材料からなる基材を接着させるに当って、例えば、形成された化成皮膜の一部又は全体に、樹脂材料を塗布、圧着、混合等の手段や、接着剤、接着シート(フィルム)の利用あるいはこれらの手段を組合わせて接着することができる。
【0093】
本発明において、金属の表面は、本発明の防錆処理液又は特定表面処理液の一方を接触させた後に乾燥を行い、次いで、防錆処理液又は特定表面処理液の他方を接触させた後に乾燥させることが好ましい。
【0094】
また、本発明は、上記接着方法を用いたプリント配線板の製造方法も提供するものである。すなわち、本発明のプリント配線板の製造方法は、金属の表面に、本発明の防錆処理液と特定表面処理液を接触させて、化成皮膜を形成する工程を含む。
【0095】
本発明の防錆処理液と特定表面処理液を併用することにより、前記のように金属と樹脂材料を接着させることができるので、金属と樹脂材料が複合化された各種電気・電子部品やプリント配線板等を備えた電子デバイスに好適に利用することができる。
【0096】
なお、本発明において、特に銅又は銅合金から形成される基材に対して、本発明の防錆処理液を好適に用いることができる。例えば、銅回路(銅配線層)と、プリプレグやソルダーレジスト(絶縁樹脂層)との間の接着性(密着性)を高めることを目的とする銅又は銅合金の表面処理に好適であり、銅配線層に接して絶縁樹脂層を有するプリント配線板において、銅配線層と絶縁樹脂層との間の接着性を高めることができる。
【0097】
具体的に、前記のプリント配線板は、本発明の防錆処理液と特定表面処理液とを、銅配線の表面に接触させて、その後必要により水洗し、続いて乾燥を行った後、銅配線表面に絶縁樹脂層を形成させて、作製することができる。この接触の方法については、前述のとおりであり、防錆処理液及び特定表面処理液中への銅配線の浸漬又は該処理液による銅配線へのスプレー等が簡便かつ確実であり好ましい。
また、前記の水洗の方法についても特に制限はないが、洗浄水中への銅配線の浸漬又は洗浄水による銅配線表面へのスプレーが簡便かつ確実であり好ましい。
前記の絶縁樹脂層の形成には、公知の方法、例えば半硬化の樹脂材料を貼り付ける方法や溶剤を含む液状の樹脂材料を塗布する手段等を採用することができる。次いで、上下の配線を導通させる為に、ビアホールを形成する。このプロセスを繰り返すことにより、多層プリント配線板を作製できる。
【0098】
前記の銅配線については、無電解メッキ法、電解メッキ法、蒸着法、スパッタ法、ダマシン法等どのような方法で作製されたものでもよく、インナービアホール、スルーホール、接続端子等を含んだものでもよい。
【0099】
また、本発明に係る「銅」とは、プリント配線板、リードフレーム等の電子デバイス、装飾品、建材等に用いられる箔(電解銅箔、圧延銅箔)、めっき膜(無電解銅めっき膜、電解銅めっき膜)、線、棒、管、板等の用途・形態において用いられるものである。なお、近年の高周波の電気信号が流れる銅配線の場合には、銅の表面は平均粗さが0.1μm以下の平滑面であることが好ましい。
【実施例】
【0100】
以下、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、下記に記載する処方の単位は特に言及しない限り、「部」は「質量部」を意味する。
【0101】
<防錆処理液の調製>
アゾール化合物5gに、25%アンモニア水20gを加え、続いて水975gを加えて室温にて1時間撹拌し、防錆処理液(処理液a〜l)を調製した。
処理液a〜lの調製に用いたアゾール化合物はそれぞれ、以下の通りである。
処理液a:3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(和光純薬工業社製)
処理液b:3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール(東京化成工業社製)
処理液c:3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール(東京化成工業社製)
処理液d:5−アミノテトラゾール(東京化成工業社製)
処理液e:3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール(米国特許第3,636,000号明細書に記載された方法に準拠して合成した。)
処理液f:1,2,4−トリアゾール(東京化成工業社製)
処理液g:3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール(東京化成工業社製)
処理液h:1H−テトラゾール(東京化成工業社製)
処理液i:1,2,3−トリアゾール(東京化成工業社製)
処理液j:2−メルカプトイミダゾール(シグマ−アルドリッチ社製)
処理液k:2−n−ウンデシルイミダゾール(四国化成工業社製、商品名「C11Z」)
処理液l:ベンズイミダゾール(東京化成工業社製)
【0102】
<表面処理液の調製>
アゾールシラン化合物又はシラン化合物10gにエチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌し、表面処理液(処理液A〜K)を調製した。
この処理液A〜Kについて、当該アゾールシラン化合物又はシラン化合物のメトキシシリル基及びエトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認した。
処理液A〜Kの調製に用いたアゾールシラン化合物又はシラン化合物はそれぞれ、以下のとおりである。
処理液A:3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール(特開2015−10079号公報に記載された方法に準拠して合成した。)
処理液B:3−アミノ−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール(同上)
処理液C:3−アミノ−5−[6−(トリメトキシシリル)ヘキシルチオ]−1,2,4−トリアゾール(同上)
処理液D:2−メチルチオ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール(同上)
処理液E:2−アミノ−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール(同上)
処理液F:3,3′−ジチオビス{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイル]−1H−1,2,4−トリアゾール}(同上)
処理液G:3,3′−ジチオビス{5−アミノ−1−[3−(トリメトキシシリル)プロピルカルバモイル]−1H−1,2,4−トリアゾール}(特開2015−44750号公報に記載された方法に準拠して合成した。)
処理液H:2,2′−ジチオビス{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピルカルバモイル]−1H−イミダゾール}(同上)
処理液I:4,4′−ジチオビス{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイル]−1H−1,2,3−トリアゾール}(同上)
処理液J:γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、商品名「KBM−903」)
処理液K:イミダゾールシラン化合物(特開平5−186479号公報に記載された方法に準拠して合成した。下記化学式(III−1)〜(III−3)の混合物である。)
【0103】
【化12】
【0104】
(実施例1〜18、比較例1〜25)
前記の防錆処理液(処理液a〜l)と表面処理液(処理液A〜K)を用い、表2及び表3に記載の組合せについて、下記の接着性の評価試験(a)〜(c)及びハローイングの評価試験(d)を行った。
【0105】
<接着性の評価試験>
[接着性の評価試験(a)]
(1)試験片
試験片として、電解銅箔(厚み:18μm)を用いた。
(2)試験片の処理
以下の工程i〜iiiに従って行った。ただし、実施例13と比較例21については、工程iiiを工程iiの前に行った。また、比較例1〜20については、表面処理液及び防錆処理液のいずれか一方を用いるか、いずれも用いないものである。比較例27については、工程iiを行わず、2種類の防錆処理液を用いて工程iiiを2回行った。(防錆処理液dで処理した後に、防錆処理液aで処理を行った。)
i. 酸清浄/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
ii. 表面処理液に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
iii.防錆処理液に浸漬/30秒間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)試験片と樹脂の接着
処理した試験片のS面(光沢面)に、ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を積層プレスし、試験片と樹脂を接着してプリント配線板を作成した。
(4)接着性の評価
このプリント配線板から、「JIS C6481(1996)」に従って、幅10mmの試験片を作成し、プレッシャークッカー処理(121℃/湿度100%/100時間)した後、銅箔の引き剥がし強さ(kN/m)を測定した。
【0106】
[接着性の評価試験(b)]
試験片のS面(光沢面)に、「ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を積層プレス」する代わりに、「ビルドアップ配線板用樹脂(味の素ファインテクノ社製、品名「GX−13」)をラミネート」した以外は、評価試験(a)と同様の手順で、銅と樹脂の接着性を評価した。
【0107】
[接着性の評価試験(c)]
(1)試験片
プリント配線板の試験片として、電解銅メッキ(メッキ厚:20μm)を施した両面銅張積層板(基材:FR4,板厚:1.0mm,銅箔厚:18μm,縦120mm×横110mm)を用いた。
(2)試験片の処理
以下の工程i〜iiiに従って行った。ただし、実施例13と比較例21については、工程iiiを工程iiの前に行った。また、比較例1〜20については、表面処理液及び防錆処理液のいずれか一方を用いるか、いずれも用いないものである。比較例27については、工程iiを行わず、2種類の防錆処理液を用いて工程iiiを2回行った。(防錆処理液dで処理した後に、防錆処理液aで処理を行った。)
i. 酸清浄/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
ii. 表面処理液に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
iii.防錆処理液に浸漬/30秒間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)試験片への絶縁樹脂層の形成
処理した試験片に、ソルダーレジスト(太陽インキ製造社製、商品名「PSR−4000AUS308」)を塗布した後、乾燥(80℃/30分)、ポストキュア(150℃/60分)を行って、13μm厚の絶縁樹脂層(塗膜)を形成させた。
(4)接着性の評価
「JIS K5400−8.5(1990)」に従って、試験片に形成した塗膜を1mm×1mmの碁盤目にクロスカット(100マス)し、プレッシャークッカー処理(121℃/湿度100%/100時間)した後、テープピールテストを行い、塗膜が剥離しないマス目の数を計測した。また、塗膜の傷み具合を目視にて観察した。
なお、接着性の判定基準は、表1に示したとおりである。
【0108】
【表1】
【0109】
<ハローイングの評価試験(d)>
(1)試験片
試験片として、銅張積層板(銅厚み35μm、板厚1.0mm)を用いた。
(2)試験片の処理
以下の工程i〜iiiに従って行った。ただし、実施例13と比較例21については、工程iiiを工程iiの前に行った。また、比較例1〜20については、表面処理液及び防錆処理液のいずれか一方を用いるか、いずれも用いないものである。比較例27については、工程iiを行わず、2種類の防錆処理液を用いて工程iiiを2回行った。(防錆処理液dで処理した後に、防錆処理液aで処理を行った。)
i. 酸洗浄/1分間(室温)、水洗
ii. 表面処理液に浸漬/1分間(30℃)、水洗、乾燥/1分間(100℃)
iii.防錆処理液に浸漬/30秒間(室温)、水洗、乾燥/1分間(100℃)
(3)プリント配線板の作製
試験片の銅表面にソルダーレジスト(太陽インキ製造社製、商品名「PSR−4000AUS308」)を塗布した後、以下の工程iv〜vを行って、銅開口部(開口径150μm、5穴)を有するソルダーレジストの硬化物と試験片(銅張積層板)が接着したプリント配線板を作製した。
iv. 露光工程(420mJ/cm
2、オーク製作所社製HMW−680使用)、現像工程(1質量%炭酸ソーダ水溶液/90秒間(30℃))
v. 乾燥(80℃/30分間)、ポストキュア(150℃/60分間)
(4)めっき処理
プリント配線板の銅開口部について、めっき液としてパラジウム触媒(奥野製薬工業社製、商品名「ICPニコロン アクセラ」、ニッケルめっき(奥野製薬工業社製、商品名「ICPニコロンGM」と金めっき(小島化学薬品社製、商品名「オーエルII」)を用いて、以下の工程viを行って、金めっき処理を行った。
vi. ソフトエッチング/1分間(30℃)、水洗、パラジウム触媒/2分間(室温)、ニッケルめっき/35分間(75℃)、金めっき/5分間(80℃)
(5)ハローイング性の評価
得られたプリント配線板の金めっきした銅開口部(開口径150μm)について、薬液のもぐりこみによるハローイング(ソルダーレジスト剥がれ)の幅(単位:μm)を光学顕微鏡SZ−61(OLYMPUS社製)により測定した。なお測定は5穴について行い、それらの平均値を算出した。
【0110】
上記接着性の評価試験(a)〜(c)及びハローイングの評価試験(d)の結果を表2及び表3に示す。
【0111】
【表2】
【0112】
【表3】
【0113】
表2、3の結果より、本発明の防錆処理液と特定表面処理液とを併用することにより、金属と樹脂材料との接着性が向上するものと認められる。また、実施例1〜18については、いずれの場合においてもハローイングの幅が比較例1〜27に比べて小さく、優れたハローイング抑制効果が発揮されているものと認められる。