(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2では、縦割りに2分割した金物片からパイプ状の構造を構成していたので、凹部(ほぞ穴)に取り付けた際に、金物に外力が作用した場合、金物片が分離しないようにするために工夫が必要であり、かつ、各金物片で先端部に縮径した形状に構成する加工が面倒であった。
また、特許文献3では、加工は容易で、第1部材、第2部材の接合も確実にできたが、金物が斜めに凹部(ほぞ穴)に入った場合に、突片の側面が凹部の側壁に当たる場合もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、建築用金物は筒状本体の少なくとも一側にドーム状先端部を形成し、かつドーム状先端部を分割して構成したので、前記問題点を解決した。
【0006】
即ちこの発明は、木造建造物の第1部材の第1接合面に第1凹入部を形成し、第2部材の第2接合面に第2凹入部を形成し、前記第2接合面と第2接合面とを密着させて、かつ前記第1凹入部と前記第2凹入部とに金物を挿入して、前記第1木材と前記第2木材とを接合する際に使用する金物であって、以下のように構成することを特徴とした木造建築用の接合金物である。
(1) 筒状本体で、前記第1部材側に、前記筒状本体の軸芯と直交する一組の第1ピン孔を形成し、前記第2部材側に、前記軸芯と直交する一組の第2ピン孔を形成する。
(2) 前記筒状本体で、軸芯方向の一開口端にドーム状先端部を形成し、
(3) 前記ドーム状先端部は、前記筒状本体の前記軸芯から放射状に複数に分割して形成した。
【0007】
また、他の接合金物の発明は、木造建造物の第1部材の第1接合面に第1凹入部を形成し、第2部材の第2接合面に第2凹入部を形成し、前記第2接合面と第2接合面とを密着させて、かつ前記第1凹入部と前記第2凹入部とに金物を挿入して、前記第1木材と前記第2木材とを接合する際に使用する金物であって、以下のように構成することを特徴とした木造建築用の接合金物である。
(1) 筒状本体で、前記第1部材側に、前記筒状本体の軸芯と直交する一組の第1ピン孔を形成し、前記第2部材側に、前記軸芯と直交する一組の第2ピン孔を形成する。
(2) 前記筒状本体は、平板を屈曲してパイプ状に形成した。
(3) 前記筒状本体で、軸芯方向の一開口端にドーム状先端部を形成し、
(4) 前記ドーム状先端部は、前記筒状本体の軸芯から放射状に複数に分割して形成した。
【0008】
また、前記各接合金物の発明において、以下のように構成する木造建築用の接合金物である。
(1) ドーム状先端部は、筒状本体の軸芯付近に小開口を形成して、前記小開口の周辺部を内側に向けて屈曲させた。
【0009】
また、前記各接合金物の発明において、以下のように構成する木造建築用の接合金物である。
(1) ドーム状先端部は、前記筒状本体の軸芯から放射状に複数に分割して、複数の先端突片から形成した。
(2) 前記先端突片で、隣接する先端突片で、対応する縁の一方で内面側をテーパー縁を形成した。
(3) 前記筒状本体の軸芯方向で、一開口端に対向する他開口端を前記軸芯に向けて屈曲した。
【0010】
また、前記各接合金物の発明において、以下のように構成する木造建築用の接合金物である。
(1) ドーム状先端部を形成した一側のピン孔を、二組のピン孔とし、各組のピン孔は、筒状本体の軸芯方向で同一位置に、互いに直交して形成した。
(2) 他側のピン孔を、少なくとの二組のピン孔として、各組のピン孔が、筒状本体の軸芯方向で異なる位置に、互いに直交して形成した。
(3) 前記他側のいずれかの組のピン孔は、前記一側のピン孔のいずれかの組のピン孔と平行に形成した。
【0011】
また、この製造方法の発明は、木造建造物の部材を接合するための接合金物で、以下のようにして構成することを特徴とする建築用金物の製造方法である。
(1) 製造用平板を丸めて、あるいはパイプ状材料から、円筒状の筒状本体を形成する。前記筒状本体は、少なくとも一開口縁に、多数の略二等辺三角形の先端突片を底辺相当位置で隙間無く突設して形成する。
(2) 前記筒状本体の先端突片側を、部分球状の凹部金型に押圧して、隣接する先端突片の対応する縁を略密着させると共に、前記筒状本体の軸芯に対して外側に凸に形成して、ドーム状先端部を形成する。
【0012】
また、他の製造方法の発明は、木造建造物の部材を接合するための接合金物で、以下のようにして構成することを特徴とする建築用金物の製造方法である。
(1) 対応する2つの当接辺と、これに直交する対応する一端辺と他端辺とを有する矩形の平板本体の前記一端辺に、複数の略三角形の先端突片の底辺を連設して、製造用平板を構成する。
(2) 前記製造用平板で、隣接する先端突片の底辺付近で隙間無く配置させる。
(3) 前記製造用平板の前記当接辺の周囲を当接辺に沿って丸めて、続いて、前記当接辺に平行な平板本体部分を丸めて、続いて、前記平板本体を円筒状に形成して筒状本体を形成する。
(4) 次ぎに、前記製造用平板の先端突片側を、部分球状の凹部金型に押圧して、隣接する先端突片の対応する縁を略密着させると共に、前記筒状本体の軸芯に対して外側に凸に形成して、ドーム状先端部を形成する。
【0013】
前記における「多数の略二等辺三角形の先端突片を底辺相当位置で隙間無く突設して形成する。」における「隙間無く」とは、作業工程上のわずかな隙間は形成される。すなわち、一般に、折り曲げた際に隣接する二等辺三角形の底辺両端部(頂点)付近で材料の盛り上がりを生じるが、このような材料の盛り上がりを無くす程度のわずかな隙間は形成する趣旨である。したがって、例えば、隣接する二等辺三角形の底辺付近で底辺の程度の長さの隙間を形成することはしない。
【発明の効果】
【0014】
この発明の建築用金物は筒状本体の少なくとも一側にドーム状先端部を形成し、ドーム状先端部は前記筒状本体の軸芯から放射状に複数に分割して形成したので、容易にドーム状先端部を形成するこができ、かつドーム状先端部により、木材の凹入部に挿入する際に、凹入部の側壁に建築用金物の先端が当たることなく、組立作業を効率化できる。
また、筒状本体を、平板本体を丸めて屈曲して形成した場合には、ドーム状先端部は分割されているので、筒状本体の当接辺を開こうとする外力に対して抵抗できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面に基づきこの発明の建築用金物40およびこの金物の製造方法について、A.第1の実施態様、B.第2の実施態様 をそれぞれ説明する。
【0019】
(1) 製造用平板30は、筒状本体31を構成する長方形の平板本体1と、平板本体1の一端片3に連設した二等辺三角形状の先端突片10、10Aからなる。長方形の平板本体1の長辺が当接辺2、2を形成し、屈曲して丸めた際に、互いに対向して配置される。また、平板本体1の短辺が一端辺3及び他端辺4を構成する。平板本体1の両端辺3、4と平行で(当接片2と垂直な)、当接辺2、2方向を約半分に分割する線を略中央線5とする。略中央線5を挟んで、一端辺3側を一側3a、他端辺4側を他側4aとする(
図3(a))。略中央線5は、建築用金物40を横架材50の下面52と柱60の上面62の接合に適用した場合、両接合面52、62が当接した位置にほぼ一致する(
図4(a)(b))。
平板本体1の一端辺3に、二等辺三角形状の3つの先端突片10、10、10および3つの先端突片10、10、10の両側に半割した先端半割突片10A、10Aをそれぞれ連設する。先端突片10は、二等辺三角形の底辺が平板本体1の一端辺3に連設され、他の同一長さの二辺11、11が外側に向けて膨出して(外に向けて凸)形成されている(
図3(a))。
また、先端半割突片10Aは、先端突片10を縦に略半割してあるので、底辺の長さは先端突片10の略2分の1となっている。先端半割突片10Aは斜辺に相当する辺11Aおよび垂直辺に相当する辺11Aaも外側に向けて膨出して(外に向けて凸)形成されている。
また、先端半割突片10A、10Aの端はそれぞれ当接辺2に至っており(
図3(a))、先端半割突片10Aの辺11Aaはやや斜めに形成され、当接辺2から連続して滑らかに、当接辺2、2が近づく方向(当接辺2、2の間隔が狭まる)に屈曲して辺11Aaに至っている(
図3(a))。
また、先端突片10および先端半割突片10Aは一端辺3で(先端突片10の二等辺三角形の底辺で)隙間無く連続して配置されている。ここで、隙間無くとは、一端辺3が円形となるように屈曲加工し、かつ各先端突片10、10を内側(
図3(a)で奥行き側)に向けて屈曲加工するが、この加工の際に隣接する二等辺三角形の底辺の両端部付近の内側で、材料の盛り上がりを生じるが、このような材料の盛り上がりを無くす程度のわずかな隙間は形成してある(
図3(a))。
【0020】
(2) 平板本体1の一側3aで、一端辺3寄りに、一端辺3と平行に、2個で一組のピン孔15、15、ピン孔16、16を形成する。ピン孔16の一つは、当接片2、2に開口するピン孔片16A、16Aとなり、ピン孔片16A、16Aから1つのピン孔16を構成する(
図3(a))。
また、平板本体1の他側4aで、他端辺4寄りに、他端辺4と平行に、2個で一組のピン孔18、18を形成する。また、ピン孔18、18より略中央線5側に、2個で一組のピン孔19、19を形成する。また、ピン孔19、19より略中央線5側に、2個で一組のピン孔20、20を形成する。ピン孔19の一つは、当接片11に開口するピン孔片19A、19A、となり、ピン孔片19A、19Aからピン孔19を構成する(
図3(a))。
【0021】
(3) 以上のような構成で、製造用平板30を形成する(
図3(a))。製造用平板30は通常、任意の金属平板からプレスで抜いて、形成する。
【0023】
(1) 製造用平板30を徐々にあるいは一度に屈曲して、当接辺2と当接辺2とを密着させて、平板本体1を円筒状(パイプ状)に形成し、筒状本体31とする(
図3(b))。なお、当接辺2と当接辺2とは密着させることが好ましいが、多少の隙間を空けて、当接辺2と当接辺2との間に隙間を設けてスリット状に配置することもできる。筒状本体31の中心を長さ方向に貫く直線を軸芯32とする(
図1(a)、(c))。
【0024】
(2) この状態で、一側3aで、ピン孔15、15を結ぶ軸、ピン孔16、16を結ぶ軸は、それぞれ軸芯32に対して直交し、かつ両軸も互いに直交する。また、他側4aで、ピン孔18、18を結ぶ軸、ピン孔19を、19結ぶ軸、ピン孔20、20を結ぶ軸は、それぞれ軸芯32に直交し、かつピン孔18、18を結ぶ軸とピン孔20、20を結ぶ軸とは、それぞれ、ピン孔19、19を結ぶ軸と直交し、ピン孔18、18を結ぶ軸とピン孔20、20を結ぶ軸とは互いに平行に形成される(
図1、
図2)。
【0025】
(3) 続いて、一端辺3側の先端突片10、10、先端半割突片10A、10Aに、形成するドーム状先端部35の外形に合わせた内壁の凹部を有する製造型の凹部(図示していない)を、徐々に押し当てて、一端辺3側の先端突片10、10Aを屈曲して、ドーム状先端部35を形成する。この場合、凹部の形状により、ドーム状先端部35は外側に膨出した(外側に向けて凸)に形成されるが、円錐状に形成することもできる(図示していない)。また、この際、先端突片10、10、先端半割突片10A、10Aの隣り合う辺11、11は互いに当接密着する。
また、この際、いくつかの先端突片10の先端部13、先端半割突片10Aの先端部13は、それぞれ丸めてあるので(角を取り、尖っていないので)(
図3(a))、筒状本体31の軸芯32付近には中央透孔36が形成され、中央透孔36の周辺部は内側に(筒状本体31側に。略中央線5側に)凹む中央凹部37を形成する。なお、先端部13は総ての先端突片10、先端半割突片10Aで丸めることもできる(図示していない)。
【0026】
(4) 続いて、あるいは前記(3)と同時に、あるいは(3)の前に、形成した筒状本体31の他端辺4を、他の製造型の凹部(図示していない)に押し当てて、あるいはヤスリなどで削って、他端辺4の外周のエッジを除いて、あるいは他端辺4を軸芯32側に屈曲する。
【0027】
(5) 以上のようにして、建築用金物40を構成する(
図1、
図2、
図5(a))。
【0029】
(1) 木造建造物で、木製の第1部材を梁などの横架材50とし、横架材50の下面52(第1接合面)に第1凹入部53を形成する。第1凹入部53に連通するように、横架材の側面51、51からピン挿入孔54を形成しておく。また、同様にピン挿入孔54より下面52側に、ピン挿入孔55を形成しておく(
図4(a))。
木製の第2部材を柱60とし、柱60の木口である上面62(第2接合面)に第2凹入部63を形成する。また、柱60の側面61から、第2凹入部63に連通するピン挿入孔64を形成しておく(
図4(a))。
【0030】
(2) 横架材50の第1凹部53に、建築用金物40の他側4aを挿入して、ピン挿入孔54、55からピン70、70を挿入して、建築用金物40のピン孔18、18、ピン孔20、20を貫通して、横架材50に建築用金物40を固定する。建築用金物40の一側3a(ドーム状先端部35側)が横架材50の下面52から下方に向けて突出している(
図4(a))。
【0031】
(3) 続いて、建築用金物40の一側3aを、柱60の第2凹入部63に挿入しながら、横架材50の下面53を柱50の上面63に密着当接させる。
続いて、柱60のピン挿入孔63からピン71を挿入して、建築用金物40のピン孔16、16を貫通して、柱60に建築用金物40を固定する。これにより、建築用金物40を介して、横架材50と柱60とが接合される(
図4(b))。
【0032】
(4) この場合、建築用金物40にピン孔15、15、ピン孔16、16と2組設けたので、ピン71の打ち込み作業のし易さなどから、いずれの側のピン孔15、16に対応して、柱60のいずれの他の側面61、61にもピン挿入孔64を形成することもできる(図示していない)。
【0033】
(5) なお、前記において、横架材50の下面(接合面)52と柱60の上面(接合面)62との接合について説明したが、他の接合面に建築用金物40を適用させることもできる(図示していない)。
【0035】
(1) 前記実施態様において、建築用金物40の一側3aに2組のピン孔15、16、他側4aに3組のピン孔18、19、20を形成したが、一側3aに1組のピン孔15、15のみ、他側4aにも1組のピン孔16、16のみを形成することもでき(
図6、
図5(b))、また、他側4aには2組のピン孔18、20などを形成することもできる(図示していない)。すなわち、両側3a、4aに少なくとも1組のピン孔があれば、建築用金物40の長さなどに応じて、それ以上のピン孔は任意である。
【0036】
(2) また、前記実施態様において、ドーム状先端部35を形成する先端突片10は、3つの先端突片10と当接辺側の2つの先端半割突片10Aから構成したが、先端突片10の数は任意である。例えば、4つの先端突片10、10からドーム状先端部35を構成し(
図7(a))、あるいは、6つの先端突片からドーム状先端部35を構成することもできる(
図7(b))。
【0037】
(3) また、前記実施態様において、先端突片10を設けた平板本体1を丸めて屈曲して、建築用金物40を構成したが、パイプ材料の一端に先端突片10、10を形成して建築用金物40を構成することもできる(図示していない)。
【0038】
(4) また、前記実施態様において、筒状本体31の一端辺3(平板本体1の一端縁3)にドーム状先端部35(先端突片10または先端半割突片10A)を形成したが、筒状本体31の他端辺4(平板本体1の他端辺4)にも同様の構造のドーム状先端部35(先端突片10または先端半割突片10A)を形成することもできる(図示していない)。
【0039】
(5) また、製造用平板30で、ピン孔19A、19A、ピン孔16A、16Aは当接辺2、2により分割され、製造用平板30を丸めて筒状本体31を形成した状態で、それぞれピン孔19、ピン孔16を形成するように配置したが、ピン孔18、19、20、15、16を当接辺2、2に分割されない配置とすることもできる(
図8(a))。この場合、筒状本体31で当接辺2、2(スリット)に貫かれるピン孔が存在しない。
【0040】
(6) また、前記実施態様において、製造用平板30の平板本体1の当接辺2、2は直線状に形成したが、一方に凸部2a、他方に凹部2bを形成して、筒状本体31を形成した際に、凸部2a、他方に凹部2bが嵌合する構造とすることもできる。例えば、ピン孔15、16と一端辺3(先端突起10)との間の位置に、一方に長方形状の凸部2a、他方に長方形状の凹部2bを形成する(
図8(b)。したがって、この場合には、筒状本体31で、ドーム状先端部35(先端突起10)とピン孔15、16の間に凸部2a、凹部2bが位置する。
【0041】
(7) また、前記実施態様において、製造用平板30の平板本体1の当接辺2、2は直線状に形成したが、大きく屈曲して構成することもできる(
図8(c)〜(e))。
例えば、当接辺2、2は互いに嵌合するような大きな波状で(一周期分)を形成する(
図8(c)。この場合には、各ピン孔18、19、20、15、16は、当接辺2、2は貫通していないが(
図8(c))、貫通させることもきる(図示していない)。
例えば、製造用平板30の平板本体1の当接辺2、2に大きな形状の凸部2a、凹部2bを互いに嵌合する形状で、3つ形状して、段々状に形成することもできる(
図8(d))。この場合、筒状本体31を形成した状態で、嵌合した当接辺2、2は、ピン孔18A、18A、ピン孔20A、20A、を貫通させたが(
図8(d))、貫通させない位置に配置することもできる(図示していない)。
また、例えば、製造用平板30の平板本体1の当接辺2、2を大きな三角形の凹凸が形成されたジグザグ状に、嵌合する形状とすることもできる(
図8(e))。この場合、筒状本体31を形成した状態で、嵌合した当接辺2、2は、ピン孔18A、18A、ピン孔20A、20A、を貫通させないが(
図8(e))、貫通させる位置に配置することもできる(図示していない)。
【0042】
(8) また、前記実施態様において、一端辺3、他端辺4に直交する当接辺2、2は直線状に形成し、製造用平板30の平板本体1を長方形に形成したが、一端辺3、他端辺4と当接辺2、2を直交させずに角度もって形成し、製造用平板30の平板本体1を平行四辺形に形成することもできる。この場合、筒状本体31を形成した状態で、当接辺2、2(スリット)は筒状本体31の長さ方向に対して(一端辺3、他端辺4に対して)、斜めに配置される(
図8(f))。この場合、当接辺2、2(スリット)は、ピン孔20A、20Aを貫通させたが(
図8(f))、他のピン孔を貫通させ、あるいはピン孔を貫通させないここともできる(いずれも図示していない)。
【0044】
この実施態様は、他の製造用平板30を用いた製造方法である。製造用平板30の基本的構造は前記実施態様と同じであり、前記実施態様から先端突片10の構造を違えてある。また、製造用平板30で、筒状に丸めた際に外側に位置する側を外面7、内側に位置する側を内面7aとする。また、形成した建築用金物40の構成、形成した建築用金物40の使用についても前記第1の実施態様と同じである。
【0046】
(1) 前記第1の実施態様と同様に、筒状本体31を構成する長方形の平板本体1の長辺が屈曲して丸めた際に、互いに対向して配置される当接辺2、2を形成し、短辺が一端辺3及び他端辺4を構成する。平板本体1の両端辺3、4と平行で(当接片2と垂直な)、当接辺2、2方向を約半分に分割する線を略中央線5とする。略中央線5を挟んで、一端辺3側を一側3a、他端辺4側を他側4aとする(
図9(a)、
図3(a))。略中央線5は、建築用金物40を横架材50の下面52と柱60の上面62の接合に適用した場合、両接合面52、62が当接した位置にほぼ一致する(
図9(a)、
図3(a))。
平板本体1の一端辺3に、二等辺三角形状の3つの先端突片10a、10b、10aおよび3つの先端突片10a、10b、10aの両側に半割した先端半割突片10A、10Aをそれぞれ連設する。先端突片10a、10b、10aは、二等辺三角形の底辺が平板本体1の一端辺3に連設され、他の同一長さの二辺11、11が外側に向けて、膨出して(外に向けて凸)形成されている(
図9(a)(b)、
図3(a))。
また、第1の実施態様と同様に、先端半割突片10Aは、先端突片10を縦に略半割してあるので、底辺の長さは先端突片10の約2分の1となっている。先端半割突片10Aは斜辺に相当する辺11Aおよび垂直辺に相当する辺11Aaも外側に向けて膨出して(外に向けて凸)形成されている。また、先端半割突片10A、10Aの端はそれぞれ当接辺2に至っており(
図9(a)(b)、
図3(a))、先端半割突片10Aの辺11Aaはやや斜めに形成され、当接辺2から連続して滑らかに、当接辺2、2が近づく方向(当接辺2、2の間隔が狭まる)に屈曲して辺11Aaに至っている(
図9(a)(b)、
図3(a))。
【0047】
(2) ここで、先端突片10a、10b、10aの内、先端半割突片10Aに隣接する先端突片10a、10a(後述するピン孔15、18、20に対応)では、先端部(二等辺三角形の頂点)13aをやや尖った形状として、先端突片10a以外の他の先端突片10である先端突片10b(ピン孔16、19に対応)および先端半割突片10Aでは、先端部(二等辺三角形の頂点)13Aを平らに近い形状で丸めて形成してある(
図9(a)(b))。
また、先端突片10aでは、辺11、11で平板30の内面7a側に、辺11に沿って材厚が薄くなるように形成したテーパー縁21を形成する(
図9(b)(c))。したがって、テーパー縁21を有する「先端突辺10a」と、テーパー縁21を形成しない「先端突片10b、先端半割突片10A」とが交互に形成されている。なお、テーパー縁21の有無の違いを除けば、先端突片10aと先端突片11bとは略同一の形状となっている。
また、先端突片10a、10b、10aおよび先端半割突片10Aは一端辺3で(二等辺三角形の底辺の角で)隙間無く連続して配置されている。ここで、隙間無くとは、前記実施態様と同様である。すなわち、一端辺3が円形となるように屈曲加工し、かつ各先端突片10、10を内側(
図9(a)、
図3(a)で奥行き側)に向けて屈曲加工するが、この加工の際に隣接する二等辺三角形の底辺の両端部付近の内側で、材料の盛り上がりを生じるが、このような材料の盛り上がりを無くす程度のわずかな隙間は形成してある(
図9(a)(b)、
図3(a))。
【0048】
(3) 前記第1の実施態様と同様にピン孔15、16、18、19を形成する。すなわち、平板本体1の一側3aで、一端辺3寄りに、一端辺3と平行に、2個で一組のピン孔15、15、ピン孔16、16を形成する。ピン孔16の一つは、当接片2、2に開口するピン孔片16A、16Aとなり、ピン孔片16A、16Aから1つのピン孔16を構成する(
図9(a)、
図3(a))。
また、平板本体1の他側4aで、他端辺4寄りに、他端辺4と平行に、2個で一組のピン孔18、18を形成する。また、ピン孔18、18より略中央線5側に、2個で一組のピン孔19、19を形成する。また、ピン孔19、19より略中央線5側に、2個で一組のピン孔20、20を形成する。ピン孔19の一つは、当接片11に開口するピン孔片19A、19A、となり、ピン孔片19A、19Aからピン孔19を構成する(
図9(a)、
図3(a))。
【0049】
(4) 以上のような構成で、製造用平板30を形成する(
図9(a))。製造用平板30は通常、任意の金属平板からプレスで抜いて、形成する。
【0051】
(1) 製造用平板30の平板本体1で、両当接辺2、2の周辺で、当接辺2、2に沿って、形成予定の筒状本体31の曲率よりも大きな曲率で、屈曲する(
図10(a))。
続いて、製造用平板30の平板本体1で、軸方向中央線6の周辺を、形成予定の筒状本体31の曲率よりも大きな曲率で、屈曲する(
図10(b))。
続いて、製造用平板30の平板本体1で、大きな曲率で屈曲した軸方向中央線6の周辺を、形成予定の筒状本体31の曲率とほぼ同じ曲率で、屈曲する(
図10(c))。
続いて、製造用平板30の平板本体1で、全体を形成予定の筒状本体31の曲率と同じ曲率で、屈曲して、当接辺2と当接辺2とを密着して、平板本体1を円筒状(パイプ状)に形成して、筒状本体31とする(
図10(d))。なお、当接辺2と当接辺2とは、前記実施態様と同様に、軽く当接した状態、あるいは、スリットを形成した状態で、わずかに隙間を設けて配置させることもできる(図示していない)。
【0052】
(2) この状態で、前記第1の実施態様と同様に、一側3aで、ピン孔15、15を結ぶ軸、ピン孔16、16を結ぶ軸は、それぞれ軸芯32に対して直交し、かつ両軸も互いに直交する。また、他側4aで、ピン孔18、18を結ぶ軸、ピン孔19を、19結ぶ軸、ピン孔20、20を結ぶ軸は、それぞれ軸芯32に直交し、かつピン孔18、18を結ぶ軸とピン孔20、20を結ぶ軸とは、それぞれ、ピン孔19、19を結ぶ軸と直交し、ピン孔18、18を結ぶ軸とピン孔20、20を結ぶ軸とは互いに平行に形成される(
図1、
図2参照)。
【0053】
(3) 続いて、前記第1の実施態様と同様に、一端辺3側の先端突片10a、10b、先端半割突片10Aに、形成するドーム状先端部35の外形に合わせた内壁の凹部を有する「製造型の凹部」(図示していない)を、徐々にあるいは一度に押し当てて、一端辺3側の先端突片10、10Aを屈曲して、ドーム状先端部35を形成する。この場合、凹部の形状により、ドーム状先端部35は外側に膨出した(外側に向けて凸)に形成されるが、円錐状に形成することもできる(図示していない)。また、この際、先端突片10a、10b、先端半割突片10A、10Aの隣り合う辺11、11A、11Aaは互いに当接する。この場合、 先端突片10aの辺11にテーパー縁21を形成したので、先端突片10a、10b、10Aで対向する辺が、外面7、内面7aで(平板30の厚さ方向で)隙間を極めて少なくして近接あるは当接させることができる。また、「製造型の凹部」には、中央透孔36、中央凹部37を成型する凸部(図示していない)も形成されており、ドーム状先端部35の全体が形成できるようになっている。
また、この際、前記第1の実施態様と同様に、「製造型の凹部」に押し当てることにより、先端突片10b、先端半割突片10Aの先端部13b、13bは、それぞれ丸めてあるので(角を取り、尖っていないので)、筒状本体31の軸芯32付近には中央透孔36が形成され、中央透孔36の周辺部は内側に(筒状本体31側に。略中央線5側に)凹む中央凹部37を形成する(
図9(e))。なお、前記実施態様と同様に、先端部13aを含めて、総ての先端突片10、先端半割突片10Aで丸めることもできる(図示していない)。
【0054】
(4) 前記第1の実施態様と同様に、続いて、あるいは前記(3)と同時に、あるいは(3)の前に、形成した筒状本体31の他端辺4を、他の製造型の凹部(図示していない)に押し当てて、あるいはヤスリなどで削って、他端辺4の外周のエッジを除いて、あるいは他端辺4を軸芯32側に屈曲する。
【0055】
(5) 以上のようにして、建築用金物40を構成する(
図1、
図2、
図9(e))。なお、通常は、
図10(a)から(d)までの加工を行い、その加工機械から一旦、製造途中の金物(
図10(d))を取り出して、別途の加工機械で、先端突片10a、10b、先端半割突片10A、他端辺4の加工を行う。