特許第6846961号(P6846961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846961
(24)【登録日】2021年3月4日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20210315BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   H02K3/50 A
   H02K5/22
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-50003(P2017-50003)
(22)【出願日】2017年3月15日
(65)【公開番号】特開2018-157612(P2018-157612A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2020年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】草間 健司
(72)【発明者】
【氏名】樋口 大輔
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−216714(JP,A)
【文献】 特開2001−314056(JP,A)
【文献】 特開2015−162629(JP,A)
【文献】 特開2016−013031(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0316371(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/50
H02K 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネットを備えるロータと、前記ロータの外周側に配置されるステータコアと、前記ステータコアに巻回される3相のコイルと、前記コイルの巻線およびリード線が接続される配線基板と、前記ステータコアを収容するモータケースと、を有し、
前記ステータコアのスロット数Nおよび前記マグネットの極数Mは、以下の条件:N=3×n、且つ、M=2×nまたは4×n(nは1以上の整数)を満たしており、
前記配線基板は、絶縁層を介して積層された4層の配線層を備え、
前記配線層のうちの3層には、それぞれ、同相のコイルが接続される配線パターンが形成され、
他の1層は前記配線基板の表面に設けられる表面層であり、前記表面層には、前記リード線が電気的接続されるランド、および、前記ランドと前記3層の配線パターンとを接続する配線パターンが形成され、
前記3層に形成された配線パターンおよび前記表面層に形成された配線パターンにより、前記3相のコイルがデルタ結線されることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記配線基板は円環状の配線パターン形成部を備え、
前記配線パターン形成部に前記配線パターンおよび前記ランドが設けられることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記3層のそれぞれは、前記配線パターン形成部の内周側に設けられる環状領域、および、前記環状領域から外周側へ突出する突出領域が設けられた配線パターンを有し、前記突出領域は、周方向に隣り合う2箇所のスルーホールを備え、
前記表面層は、周方向に隣り合う2か所のスルーホールを備えた結線領域を周方向に複数配列した結線用配線パターンを備えることを特徴とする請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記配線基板は、前記配線パターン形成部より外周側に突出する腕部を備え、
前記リード線は前記腕部に固定され、
前記腕部は、前記配線パターン形成部と繋がるくびれ部、および、前記くびれ部よりも周方向の幅が広い幅広部を備えることを特徴とする請求項2または3に記載のモータ。
【請求項5】
前記リード線は、前記モータケースの外側に引き出された部分が前記モータケースの外
側面に固定されることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のモータ。
【請求項6】
前記ランドおよび前記ランドに固定された前記リード線の部分を覆う接着剤層を備えることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のモータ。
【請求項7】
前記接着剤層は絶縁性の接着剤からなることを特徴とする請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記ステータコアに巻回される全ての前記コイルは、前記巻線の巻き方向が同一であることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板を介してコイルに給電するモータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータケースにステータおよびロータを収容したモータにおいて、モータケース内に配置した配線基板にコイルの巻線および給電用のリード線を接続し、配線基板上の配線パターンを介してコイルへの給電を行うものがある。特許文献1のモータは、配線基板として4層のプリント基板を用いており、4層のうちの表面層に形成された配線パターンと、他の3層に形成されたU相、V相、W相の配線パターンを備える。各相の配線パターンと対応するコイルとの接続は、4層を貫通するスルーホールに取り付けられた端子ピンを介して行われる。端子ピンはインシュレータに圧入されており、コイルから引き出した巻線は端子ピンに絡げられている。各相の配線パターンは、端子ピンを介して表面層に設けられた配線パターンと接続され、U相、V相、W相のコイルがY型結線される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−314056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図10はY型結線用の配線パターンが設けられた配線基板の説明図であり、図10(a)〜(c)はそれぞれ、U相配線パターン185U、V相配線パターン185V、W相配線パターン185Wを示す。また、図10(d)は、配線基板の表面層に設けられた配線パターン185Aを示す。図10(a)〜図10(d)に示すように、3相のコイルをY型結線するように配線パターンを形成した場合、パターン幅を太くすることができない。また、配線基板にはリード線を接続するランドが設けられるが、図10に示す従来例の配線基板は、配線パターンが形成される環状部分から外周側に突出した部分にランドが形成されている。このため、環状部分からリード線の固定位置へ延びる部分のパターン幅が細くなってしまう。
【0005】
配線パターンのパターン幅が細い場合、大電流が流れると配線パターンが焼損するおそれがある。例えば、バッテリーで駆動する場合などに低電圧でモータが駆動されると、大電流が流れて配線パターンが焼損するおそれがある。大電流でも焼損のおそれがない配線方法としては、バスバーにより配線する方法があるが、コストアップ要因となってしまう。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、コイルの巻線およびリード線が接続される配線基板の配線パターンの焼損を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、マグネットを備えるロータと、前記ロータの外周側に配置されるステータコアと、前記ステータコアに巻回される3相のコイルと、前記コイルの巻線およびリード線が接続される配線基板と、前記ステータコアを収容するモータケースと、を有し、前記ステータコアのスロット数Nおよび前記マグネットの極数Mは、以下の条件:N=3×n、且つ、M=2×nまたは4×n(nは1以上の整数)を満たしており、前記配線基板は、絶縁層を介して積層された4層の配線層を備え、前記配線層のうちの3層には、それぞれ、同相のコイルが接続される配線パターンが形成され、他の
1層は前記配線基板の表面に設けられる表面層であり、前記表面層には、前記リード線が電気的接続されるランド、および、前記ランドと前記3層の配線パターンとを接続する配線パターンが形成され、前記3層に形成された配線パターンおよび前記表面層に形成された配線パターンにより、前記3相のコイルがデルタ結線されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、配線基板に形成された配線パターンを介して3相のコイルをデルタ結線することができる。スロット数Nが3×nでマグネットの極数Mが2×nまたは4×nである場合、コイルをデルタ結線するように配線パターンを形成すると、Y型結線するように配線パターンを形成する場合よりもパターン幅を太くすることができる。従って、大電流が流れた場合に配線パターンが焼損するおそれが少ない。よって、低電圧でモータを使用しても配線パターンを焼損させないようにすることができる。
【0009】
本発明において、前記配線基板は円環状の配線パターン形成部を備え、前記配線パターン形成部に前記配線パターンおよび前記ランドが設けられることが望ましい。このように、リード線を円環状の配線パターン形成部内まで引き込んでランドに電気的接続する場合、ランドと配線パターンとを繋ぐ部分のパターン幅を狭くする必要がない。従って、大電流が流れた場合に配線パターンが焼損するおそれが少ない。
【0010】
本発明において、前記3層のそれぞれは、前記配線パターン形成部の内周側に設けられる環状領域、および、前記環状領域から外周側へ突出する突出領域が設けられた配線パターンを有し、前記突出領域は、周方向に隣り合う2箇所のスルーホールを備え、前記表面層は、周方向に隣り合う2か所のスルーホールを備えた結線領域を周方向に複数配列した結線用配線パターンを備えることが好ましい。
【0011】
本発明において、前記配線基板は、前記配線パターン形成部より外周側に突出する腕部を備え、前記リード線は前記腕部に固定されることが望ましい。このようにすると、リード線が引っ張られたときに、ランドとリード線との固定部に力が伝わりにくい。従って、リード線の固定が外れるおそれが少ない。また、前記腕部は、前記配線パターン形成部と繋がるくびれ部、および、前記くびれ部よりも周方向の幅が広い幅広部を備えることが望ましい。このようにすると、リード線を固定部材によって腕部に固定した場合に、固定部材が腕部から抜けるおそれが少ない。


【0012】
本発明において、前記リード線は、前記モータケースの外側に引き出された部分が前記モータケースの外側面に固定されることが望ましい。このようにすると、リード線が引っ張られたときに、ランドとリード線との固定部に力が伝わりにくい。従って、リード線の固定が外れるおそれが少ない。
【0013】
本発明において、前記ランドおよび前記ランドに固定された前記リード線の部分を覆う接着剤層を備えることが望ましい。このようにすると、接着剤によってリード線の固定を強化できる。従って、リード線の固定が外れるおそれが少ない。また、この場合に、前記接着剤層は絶縁性の接着剤からなることが望ましい。このようにすると、ランドとリード線を他の部材から絶縁することができる。従って、リード線同士の短絡や、リード線と他の部材との短絡を防止できる。
【0014】
本発明において、前記ステータコアに巻回される全ての前記コイルは、前記スロットへの前記巻線の巻き方向が同一であることが望ましい。このようにすると、ステータの製造が容易である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、スロット数Nが3×nでマグネットの極数Mが2×nまたは4×nとし、3相のコイルをデルタ結線する配線パターンを用いてコイルに給電するため、3相のコイルをY型結線する配線パターンを用いてコイルに給電する場合よりもパターン幅を太くすることができる。従って、大電流が流れた場合に配線パターンが焼損するおそれが少ない。よって、低電圧でモータを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るモータの断面図である。
図2】モータ部の分解斜視図である。
図3】ロータおよびステータを反出力側から見た平面図である。
図4】配線基板を反出力側から見た平面図である。
図5】カバー部材の斜視図および平面図である。
図6】配線基板により3相のコイルをデルタ結線した状態の説明図である。
図7】U相配線層の説明図である。
図8】V相配線層の説明図である。
図9】W相配線層の説明図である。
図10】Y型結線用の配線パターンが設けられた配線基板の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(全体構成)
以下に、図面を参照して、本発明を適用したモータの実施形態を説明する。図1は本発明に係るモータ1の断面図である。本明細書において、モータ1の軸線方向Lの一方側と他方側のうち、モータ1の出力軸100が突出している側を出力側L1とし、出力軸100が突出している側とは反対側を反出力側L2とする。モータ1の出力軸100は、モータ1の中心において軸線方向Lに延在する回転軸10の出力側L1の端部に設けられる。
【0018】
モータ1は、回転軸10の出力側L1から反出力側L2に向かって、モータ部2、電磁ブレーキ3、およびエンコーダ4がこの順に配列される。モータ部2および電磁ブレーキ3はモータケース5に収容される。エンコーダ4は、モータケース5の反出力側L2の端面に取り付けられるエンコーダカバー6の内側に収容される。エンコーダカバー6は、モータケース5の反出力側L2の端面と対向する底部61と、底部61の外周縁からモータケース5に向けて立ち上がる側壁部62を備える。側壁部62の先端とモータケース5との隙間はシール材7によりシールされる。
【0019】
モータケース5はアルミニウム等の金属からなる。モータケース5は、モータ部2の外周側を囲む角筒状のコアホルダ51と、コアホルダ51の出力側の端部に取り付けられる肉厚の軸受ホルダ52と、電磁ブレーキ3の外周側および反出力側L2を囲むブレーキケース53を備える。回転軸10は、軸受ホルダ52の中央に形成された凹部に保持される出力側軸受11、および、ブレーキケース53の底部中央に形成された凹部に保持される反出力側軸受12によって回転可能に支持される。出力側軸受11および反出力側軸受12は、内輪と外輪との間に転動可能なボールが保持されたボールベアリングである。
【0020】
ブレーキケース53は、反出力側軸受12を保持する肉厚の底部54と、底部54の外周縁からコアホルダ51に向けて立ち上がる筒状部55を備える。筒状部55の先端には、コアホルダ51の内周側に嵌まる小径部551が形成されている。また、軸受ホルダ52の反出力側L2の面の外周縁には、コアホルダ51の内周側に嵌まる環状リブ521が形成されている。コアホルダ51の両端に軸受ホルダ52およびブレーキケース53を組み付けてモータケース5を組み立てる際、小径部551および環状リブ521の外周面とコアホルダ51の内周面との隙間は図示しないOリングによってシールされる。
【0021】
回転軸10は、軸受ホルダ52から出力側L1に突出する出力軸100を備えるモータ側回転軸13と、モータ側回転軸13の反出力側L2の端部に固定されるエンコーダ側回転軸14を備える。エンコーダ側回転軸14は、ブレーキケース53の底部54からエンコーダカバー6の内側に突出する。モータ側回転軸13は磁性材料からなり、エンコーダ側回転軸14は非磁性材料からなる。なお、モータ側回転軸13とエンコーダ側回転軸1
4は、同一素材で一体に形成されていてもよい。
【0022】
モータ部2は、モータ側回転軸13の外周面にマグネット21が固着されたロータ22と、ロータ22の外周側を囲む筒状のステータ23を備える。ステータ23は、積層コアからなるステータコア24と、ステータコア24に設けられた複数の突極241のそれぞれにインシュレータ25を介して巻回されたコイル26を備える。ステータコア24は、コアホルダ51の内側に焼き嵌めあるいは圧入により固定される。ステータ23の反出力側L2には、コイル26の巻線が接続される配線基板8、および、配線基板8を覆うカバー部材9が配置される。配線基板8には、モータケース5の側面に形成されたリード線取り出し部56からモータケース5の内側へ引き回される給電用のリード線27が接続される。
【0023】
エンコーダ4は磁気式エンコーダであり、エンコーダ側回転軸14の先端にマグネットホルダ41を介して固定されるエンコーダマグネット42と、エンコーダマグネット42に対して反出力側L2で対向するMR素子等の感磁素子43を備える。エンコーダマグネット42は、感磁素子43と対向する着磁面にN極とS極が1極ずつ着磁されている。感磁素子43が搭載されるセンサ基板44は、基板ホルダ45を介してブレーキケース53の底部54に固定される。エンコーダカバー6の内側にはカップ状のセンサカバー46が固定される。センサ基板44は、センサカバー46によって外周側および反出力側L2が覆われる。
【0024】
エンコーダ4は、モータ側回転軸13と一体に回転するエンコーダ側回転軸14の回転に伴ってエンコーダマグネット42が回転し、エンコーダマグネット42の回転による磁界の変化を感磁素子43が検出する。感磁素子43による検出結果は、センサ基板44に接続されたセンサ線47を介して外部に出力される。センサ線47は、エンコーダカバー6に形成されたセンサ線取り出し部63から外部に引き出される。
【0025】
電磁ブレーキ3は、モータ側回転軸13と一体に回転する円環状の摩擦板31と、摩擦板31に反出力側L2で対向する円環状のアーマチュア32と、摩擦板31に出力側L1で対向する円環状のプレート33と、アーマチュア32の反出力側L2に配置された円筒状のソレノイド34を備える。ソレノイド34は、ボルトによってブレーキケース53に固定される。ソレノイド34に対する給電用のリード線35は、モータ部2に接続されるリード線27と共にリード線取り出し部56からモータケース5の外部へ引き出される。
【0026】
電磁ブレーキ3は、アーマチュア32を摩擦板31へ向けて付勢する図示しないトルクスプリングを備える。電磁ブレーキ3は、ソレノイド34に通電しない非通電時(非励磁時)においては、トルクスプリングによって摩擦板31がアーマチュア32とプレート33との間に挟まれるため、摩擦力によってモータ側回転軸13に回転負荷が加えられ、ブレーキ力が発生する。また、ソレノイド34に通電した通電時(励磁時)においては、アーマチュア32がトルクスプリングに抗してソレノイド34に吸引されるため、アーマチュア32と摩擦板31との間に隙間が発生する。従って、モータ側回転軸13に摩擦による回転負荷が加えられないので、ブレーキ力が作用しない状態となる。
【0027】
(モータ部の配線構造および絶縁構造)
図2はモータ部2の分解斜視図である。また、図3はロータ22およびステータ23を反出力側L2から見た平面図である。ステータ23は12本の突極241(図1参照)を備えており、コイル26が配置されるスロット数Nは12である。また、ロータ22のマグネット21は、外周面を8極に分割してN極とS極を周方向に交互に着磁した8極着磁マグネットである。つまり、本形態のモータ部2は、8極12スロットである。なお、ステータ23のスロット数Nとマグネット21の着磁極数Mは、8極12スロット以外でも
よい。すなわち、ステータ23のスロット数N=3nであり、且つ、マグネットの着磁極数M=2nまたは4nであるという条件を満たせばよい(nは1以上の整数)。例えば、6極9スロットや、4極6スロットであってもよい。
【0028】
ステータコア24の各突極241に取り付けられるインシュレータ25の径方向の両端には鍔部が形成されている。コイル26の径方向外側に配置される鍔部は、図2に示すように、ステータコア24の反出力側L2の端面を覆う反出力側鍔部251、および、ステータコア24の出力側L1の端面を覆う出力側鍔部252を備える。本形態では、コイル26が巻回される突極241およびインシュレータ25の数は12であるため、12箇所の反出力側鍔部251が円環状に配置される。また、各インシュレータ25には、反出力側鍔部251の内周面に沿う2箇所に端子ピン28が圧入されている。コイル26の巻線端末は、当該コイル26が巻回されたインシュレータ25から突出する端子ピン28に接続される。例えば、巻線の端部が端子ピン28に絡げられている。
【0029】
モータ部2はACサーボモータであり、ステータ23は3相のコイル26を備える。図3に示すように、12個のコイル26のうちの4個はU相コイル26Uであり、残りの8個のうちの4個はV相コイル26Vであり、残りの4個はW相コイル26Wである。U相コイル26UとV相コイル26VとW相コイル26Wとは、周方向においてこの順番に配列されている。従って、U相コイル26Uに接続される端子ピン28Uと、V相コイル26Vに接続される端子ピン28Vと、W相コイル26Wに接続される端子ピン28Wは、周方向において2本ずつこの順番に配列される。なお、U相、V相、W相の配列順はこのような順番に限定されるものではなく、他の配列順であってもよい。
【0030】
図2に示すように、配線基板8は、円環状の配線パターン形成部81と、配線パターン形成部81の外周縁から径方向外側へ突出する腕部82を備える。腕部82は、配線パターン形成部81と繋がるくびれ部821と、腕部82の先端に設けられくびれ部821よりも周方向の幅が広い幅広部822を備える。また、配線基板8は、配線パターン形成部81の外周縁に円環状に配置された複数のスルーホール83を備える。配線基板8は、インシュレータ25から突出する端子ピン28をスルーホール83に挿入し半田付けすることにより、ステータ23に固定される。端子ピン28が挿入されたスルーホール83には絶縁性の接着剤が塗布される。これにより端子ピン28がスルーホール83に固定される。配線基板8は、スルーホール83よりも外周側の縁部分がインシュレータ25の反出力側鍔部251に当接することにより、軸線方向Lに位置決めされる。
【0031】
図4は配線基板8を反出力側L2から見た平面図である。配線基板8には、3本のリード線27が固定される。リード線27の先端には芯線が露出している。配線基板8に形成された3箇所のランド84にリード線27の芯線を半田付けすることにより、リード線27が配線基板8に固定され、リード線27がランド84に電気的接続される。リード線27とランド84とを固定した部分には絶縁性の接着剤(例えば、シリコン系の接着剤)が塗布される。この接着剤は、端子ピン28をスルーホール83に固定した接着剤と同一である。このため、配線基板8には、リード線27の先端部およびランド84を覆う絶縁性の接着剤層29が形成される(図1参照)。なお、図4では、接着剤層29の図示を省略している。
【0032】
図4に示すように、3本のリード線27はランド84から腕部82に向けて引き回され、固定部材58によってくびれ部821に固定される。固定部材58としては、結束帯や熱収縮チューブ、弾性を有するゴムチューブなどが用いられる。腕部82の先端に設けられた幅広部822は、固定部材58の抜けを防止する形状である。図1に示すように、腕部82はモータケース5に設けられたリード線取り出し部56に配置される。リード線取り出し部56は、コアホルダ51の反出力側L2の端縁を出力側L1に切り欠いた切り欠
き561(図1図2参照)と、切り欠き561を覆うようにコアホルダ51の外周面に固定されたリード線ホルダ562を備える。配線基板8の腕部82は、切り欠き561を通ってコアホルダ51とリード線ホルダ562との間の空間へ突出する。
【0033】
リード線ホルダ562は、コアホルダ51とブレーキケース53との接合部を跨ぐように取り付けられる。腕部82に固定されたリード線27は、腕部82の先端において反出力側L2へ屈曲させられ、電磁ブレーキ3への給電用のリード線35と共に、ブレーキケース53とリード線ホルダ562との隙間からモータケース5の外部へ取り出される。リード線ホルダ562の反出力側L2には、モータケース5の外部へ取り出されて軸線方向Lに引き回されるリード線27、35をモータケース5の外側面に固定するリード線固定部が設けられている。リード線固定部は、ブレーキケース53の外側面にねじ止めした押さえ部材57によってリード線27、35を固定する構造である。
【0034】
(カバー部材)
図1図2に示すように、配線基板8の反出力側L2には円環状のカバー部材9が組み付けられる。カバー部材9は、配線基板8の基板表面を反出力側L2(すなわち、ステータ23とは反対側)から覆う円環状の板状部91と、板状部91の外周縁から出力側L1に立ち上がる円筒状の外周部92と、板状部91の内周縁から出力側L1に立ち上がる円筒状の内周部93を備える。図2に示すように、外周部92には、リード線27を通すための切り欠き95が形成されている。切り欠き95は、外周部92の周方向の一部を切り欠いた形状である。カバー部材9は、切り欠き95をリード線取り出し部56の角度位置に合わせて取り付けられる。
【0035】
図5(a)はカバー部材9の斜視図であり、図5(b)はカバー部材9の平面図である。図5(a)に示すように、カバー部材9には、板状部91から出力側L1(すなわち、ステータ23側)へ突出するリブ状の凸部94が3本形成されている。3本の凸部94は同一径の円弧状であり、切り欠き95が形成された角度範囲を除く角度範囲に配置される。図1に示すように、カバー部材9は、凸部94の先端面が配線基板8と軸線方向Lに対向している。従って、凸部94によって配線基板8に対するカバー部材9の軸線方向Lの位置が規制され、配線基板8とカバー部材9の板状部91との距離が確保される。
【0036】
図1に示すように、カバー部材9は、配線基板8と電磁ブレーキ3との間に配置され、配線基板8と電磁ブレーキ3との間で軸線方向Lに移動可能である。カバー部材9の外周部92は、配線基板8よりも出力側L1(すなわち、ステータコア24側)の位置まで延びている。外周部92の軸線方向Lの寸法は、配線基板8と電磁ブレーキ3との間でカバー部材9が最も電磁ブレーキ3側の位置に移動したとしても、外周部92の先端部が配線基板8よりもステータコア24側に位置する寸法となっている。また、カバー部材9の内周部93は外周部92よりも軸線方向Lの寸法が短いが、配線基板8の内周側端面を覆う位置までは延びている。
【0037】
カバー部材9の外周部92は、配線基板8の外周側端面とコアホルダ51との間に配置され、配線基板8の外周側端面を外周側から覆っている。また、カバー部材9の内周部93は、配線基板8の内周側端面とモータ側回転軸13との間に配置され、配線基板8の内周側端面を内周側から覆っている。従って、外周部92は、配線基板8の外周側端面をコアホルダ51から絶縁するとともに、内周部93は、配線基板8の内周側端面をモータ側回転軸13から絶縁する。また、カバー部材9の板状部91は、電磁ブレーキ3のプレート33と配線基板8の基板表面との間に配置される。従って、板状部91は、配線基板8の基板表面および基板表面に固定されたリード線27をプレート33から絶縁する。
【0038】
(配線基板)
配線基板8は、絶縁層を介して4層の配線層が積層された4層基板であり、U相コイル26Uが接続されるU相配線パターン85Uが形成されたU相配線層8Uと、V相コイル26Vが接続されるV相配線パターン85Vが形成されたV相配線層8Vと、W相コイル26Wが接続されるW相配線パターン85Wが形成されたW相配線層8Wを備える(図7図9参照)。また、他の1層は、ランド84および結線用配線パターン85Aが形成された表面層8Aである。表面層8Aは、配線基板8の反出力側L2の基板表面に設けられる。図4の平面図は、表面層8Aの側から見た配線基板8の平面図であり、表面層8Aの配線パターンが示されている。
【0039】
配線基板8は、4層を貫通するスルーホール83に半田付けされた端子ピン28を介して各層の配線パターンおよび各相のコイル26が接続されるようになっている。各層の配線パターン(U相配線パターン85U、V相配線パターン85V、W相配線パターン85W、結線用配線パターン85A)は、3相のコイル26をデルタ結線するように構成されている。図6は配線基板8により3相のコイル26をデルタ結線した状態を模式的に示す説明図である。
【0040】
図7はU相配線層8UとU相コイル26Uの説明図であり、図8はV相配線層とV相コイル26Vの説明図であり、図9はW相配線層とW相コイル26Wの説明図である。図4図7図9において、網掛け部分が各相の配線パターンである。U相配線パターン85U、V相配線パターン85V、およびW相配線パターン85Wは、それぞれ、配線基板8の内周側に設けられる環状領域86と、環状領域86から基板外周縁へ向けて径方向に突出する突出領域87を備える。突出領域87は、各相のコイル26の数および配置に応じた位置および数となるように形成される。本形態のモータ部2は8極12スロットであり、3相のコイル26は上述したU、V、Wの順で周方向に配列される。従って、突出領域87は周方向に等角度間隔で4箇所に設けられる。つまり、突出領域87は、90°の角度間隔で4箇所に設けられる。突出領域87の周方向の幅は、隣り合う2箇所のスルーホール83を含む幅となっている。周方向に隣り合う突出領域87の間には、それぞれ、4箇所のスルーホール83が設けられている。
【0041】
U相配線パターン85U、V相配線パターン85V、およびW相配線パターン85Wは、図7図9に示すように、突出領域87の角度位置がずれている点を除いて同一形状である。各相の配線パターンにおける突出領域87の角度位置は、各相のコイル26が配置される角度位置に対応する角度位置となっている。図3に示すように、本形態では、反出力側L2から見て時計回りにU、V、Wの順でコイル26が配列されている。従って、突出領域87の角度位置は、反出力側L2から見て時計回りにU、V、Wの順で15°ずつずらした角度位置となっている。
【0042】
本形態では、U相コイル26Uの数が4であるが、これらのU相コイル26Uは、U相配線パターン85UおよびW相配線パターン85Wによって並列に接続される。すなわち、U相コイル26Uのそれぞれは、当該U相コイル26Uの巻線端末が絡げられた2本の端子ピン28Uのうちの1本がU相配線パターン85Uの突出領域87に設けられたスルーホール83に固定される。一方、もう1本の端子ピン28Uは、U相配線パターン85Uの突出領域87から外れた位置にあるスルーホール83に固定される。例えば、図7に示すように、もう1本の端子ピン28Uは、W相配線パターン85Wの突出領域87と重なる位置にあるスルーホール83に固定される。その結果、U相配線パターン85UとW相配線パターン85Wの間でU相コイル26Uが並列に接続される。同様に、4個のW相コイル26Wは、W相配線パターン85WとV相配線パターン85Vによって並列に接続される。また、4個のV相コイル26Vは、V相配線パターン85VとU相配線パターン85Uによって並列に接続される。
【0043】
図4に示すように、表面層8Aに形成された結線用配線パターン85Aは、周方向に隣り合う2箇所のスルーホール83を含む扇型の結線領域88を周方向に配列したパターンである。同一の結線領域88に設けられた2箇所のスルーホール83には、異なる相のコイル26が接続された2本の端子ピン28が固定される。各結線領域88は互いに繋がっていないため、結線用配線パターン85Aを介して、3相のコイル26がデルタ結線されることになる。リード線27を固定する3箇所のランド84は、周方向に連続して配列される3箇所の結線領域88にそれぞれ1箇所ずつ設けられる。本形態では、配線基板8の腕部82に最も近い3箇所の結線領域88(網掛けをした部分)にランド84が設けられる。結線領域88は、配線基板8の外周縁付近から内周縁付近まで拡がっているため、ランド84の形成領域を広く確保することができる。
【0044】
(従来例とのパターン幅の比較)
図10に示す従来例の配線基板は、上記形態と同様に8極12スロットのモータに用いられるものであり、このモータのコイルをY型結線するものである。図10(a)〜(d)に示したY型結線用の配線パターンは、図4、7〜9に示したデルタ結線用の配線パターンと比べてパターン幅が狭い。すなわち、本形態の配線基板8に設けられたデルタ配線用の配線パターンは、周方向に隣り合う2つのスルーホールを含むパターン幅となっているのに対し、図10(a)〜(d)に示すY型結線用の配線パターンは1つのスルーホールのみを含むパターン幅の部分を備える。つまり、本形態のようにデルタ配線用の配線パターンでコイル26を結線した場合、Y型結線用の配線パターンを用いるよりもパターン幅を太くすることができる。
【0045】
(本形態の主な効果)
以上のように、本形態のモータ1は、配線基板8に形成された配線パターンを介して3相のコイル26をデルタ結線するように構成されている。本形態のように、スロット数Nが3×nでマグネット21の極数Mが2×nまたは4×nである場合、コイル26をデルタ結線するように配線基板8の配線パターンを形成すると、Y型結線するように配線パターンを形成する場合よりもパターン幅を太くすることができる。従って、大電流が流れた場合に配線パターンが焼損するおそれが少ない。よって、低電圧でモータ1を使用して大電流を流した場合に配線パターンを焼損させないようにすることができる。
【0046】
本形態の配線基板8は、円環状の配線パターン形成部81を備え、この配線パターン形成部81に配線パターン(U相配線パターン85U、V相配線パターン85V、W相配線パターン85W)およびランド84が設けられる。このように、リード線27を円環状の配線パターン形成部81まで引き込んでランド84に半田付けする場合、ランド84と配線パターンとを繋ぐ部分のパターン幅を狭くする必要がない。例えば、腕部82の先端にランドを設けた場合は、くびれ部821に沿って各相の配線パターンを形成する必要があり、その結果細い配線パターンを形成する必要があるが、このような配線パターンを用いる必要がない。特に、本形態では、扇型の結線領域88内にランド84が形成されているので、幅の細い配線パターンを設ける必要がない。従って、大電流が流れた場合に配線パターンが焼損するおそれが少ない。
【0047】
本形態では、配線基板8は、配線パターン形成部81より外周側に突出する腕部82を備え、リード線27は腕部82に固定される。このようにすれば、モータケース5の外部へ引き出されたリード線27が引っ張られたとしても、ランド84とリード線27とを半田付けにより固定した部分に力が伝わりにくい。従って、配線基板8からリード線27が外れるおそれが少ない。
【0048】
本形態では、配線基板8は、腕部82は配線パターン形成部81と繋がるくびれ部821を備え、腕部82の先端にくびれ部821よりも周方向の幅が広い幅広部822が形成
されている。従って、リード線27を固定部材58によってくびれ部821に固定した場合に、固定部材58が腕部82から抜けるおそれが少ない。従って、腕部82に対するリード線27の固定が外れるおそれが少ない。なお、配線基板8の腕部82は、周方向の幅が同一であってもよい。この場合、固定部材58として結束帯を用いて、腕部82に穴を開けて結束帯を通し、リード線27を固定する構造を採用すれば、固定部材58が抜けることを防止できる。
【0049】
本形態では、リード線27は、モータケース5の外側に引き出された後、押さえ部材57によってモータケース5の外側面(ブレーキケース53の外側面)に固定されている。つまり、リード線27は、固定部材58と押さえ部材57によって2箇所で固定されている。従って、リード線が27引っ張られたときに、ランド84とリード線27との固定部に力が伝わりにくい。また、モータケース5の外側面にリード線27を固定した場合、固定箇所でリード線の引き出し方向を変えることができる。例えば、軸線方向Lと交差する方向に引き出し方向を変えたとしても、ランド84とリード線27との固定部(半田付け部)に力が加わることを防止または抑制できる。
【0050】
本形態では、リード線27がランド84に固定された固定部に接着剤が塗布され、リード線27およびランド84を覆う接着剤層29が形成されている。このように、接着剤層29によって固定を強化することにより、リード線27がランド84に固定された固定部からリード線27が外れるおそれが少ない。また、接着剤層29はシリコン系などの絶縁性の接着剤からなるため、ランド84とリード線27との固定部を他の部材から絶縁することができる。従って、リード線27同士の短絡や、リード線27と他の部材との短絡を防止できる。
【0051】
本形態では、ステータコア24の突極241に巻回される12個のコイルの全てが、巻線の巻き方向が同一方向となっている。従って、ステータ23の製造が容易である。
【符号の説明】
【0052】
1…モータ、2…モータ部、3…電磁ブレーキ、4…エンコーダ、5…モータケース、6…エンコーダカバー、7…シール材、8…配線基板、8A…表面層、8U…U相配線層、8V…V相配線層、8W…W相配線層、9…カバー部材、10…回転軸、11…出力側軸受、12…反出力側軸受、13…モータ側回転軸、14…エンコーダ側回転軸、21…マグネット、22…ロータ、23…ステータ、24…ステータコア、25…インシュレータ、26…コイル、26U…U相コイル、26V…V相コイル、26W…W相コイル、27…リード線、28、28U、28V、28W…端子ピン、29…接着剤層、31…摩擦板、32…アーマチュア、33…プレート、34…ソレノイド、35…リード線、41…マグネットホルダ、42…エンコーダマグネット、43…感磁素子、44…センサ基板、45…基板ホルダ、46…センサカバー、47…センサ線、51…コアホルダ、52…軸受ホルダ、53…ブレーキケース、54…底部、55…筒状部、56…リード線取り出し部、57…押さえ部材、58…固定部材、61…底部、62…側壁部、63…センサ線取り出し部、81…配線パターン形成部、82…腕部、83…スルーホール、84…ランド、85A…結線用配線パターン、85U…U相配線パターン、85V…V相配線パターン、85W…W相配線パターン、86…環状領域、87…突出領域、88…結線領域、91…板状部、92…外周部、93…内周部、94…凸部、95…切り欠き、100…出力軸、185A…配線パターン、185U…U相配線パターン、185V…V相配線パターン、185W…W相配線パターン、241…突極、251…反出力側鍔部、252…出力側鍔部、521…環状リブ、551…小径部、561…切り欠き、562…リード線ホルダ、821…くびれ部、822…幅広部、L…軸線方向、L1…出力側、L2…反出力側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10