(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された技術では、各監視カメラ装置が映像データに特徴情報を有する移動体が含まれているか否かを判定しなければならない。そのため、監視システム全体としての処理負荷が大きい。
この発明は、簡便な方法により、複数のカメラで撮影された映像データを切り替えて移動体を追跡表示できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る映像再生装置は、
複数のカメラのうち対象のカメラで撮影された映像データを表示する表示部と、
前記映像データに含まれる対象の移動体について、前記映像データを構成する複数のフレームに基づき、前記対象の移動体の移動方向を特定する方向特定部と、
前記対象の移動体が前記対象のカメラの撮影範囲の外に出ると、前記方向特定部によって特定された移動方向を撮影範囲に含むカメラを特定するカメラ特定部と
を備え、
前記表示部は、前記カメラ特定部によって特定されたカメラの映像データを表示する。
【0007】
前記方向特定部は、基準時間毎に、直近の基準数のフレームに基づき、前記対象の移動体の移動方向を特定し、
前記カメラ特定部は、前記対象の移動体が前記対象のカメラの撮影範囲の外に出ると、前記方向特定部によって特定された直近の移動方向に基づき、カメラを特定する。
【0008】
前記カメラ特定部は、前記移動方向を撮影範囲に含むカメラのうち、前記対象のカメラの撮影範囲の外に出た地点から撮影範囲までの前記移動方向の距離が短いカメラを特定する。
【0009】
前記映像再生装置は、さらに、
前記複数のフレームに基づき、前記対象の移動体の移動速度を特定する速度特定部と、
前記速度特定部によって特定された移動速度と、前記対象の移動体が前記対象のカメラの撮影範囲の外に出た地点から、前記カメラ特定部によって特定されたカメラの撮影範囲までの前記移動方向の距離とから、前記対象の移動体が前記対象のカメラの撮影範囲の外に出てから前記カメラ特定部によって特定されたカメラの撮影範囲に入るまでにかかる移動時間を計算する移動時間計算部と
を備え、
前記表示部は、前記移動時間計算部によって計算された移動時間により特定された時刻の映像データを表示する。
【0010】
前記映像再生装置は、さらに、
前記カメラ特定部によって特定されたカメラで前記対象の移動体が撮影されたか否か判定する撮影判定部
を備え、
前記カメラ特定部は、前記撮影判定部によって前記対象の移動体が撮影されていないと判定された場合には、前記対象のカメラの撮影範囲の外に出た地点の近傍のエリアを撮影範囲に含むカメラを特定する。
【0011】
この発明に係る映像再生方法は、
コンピュータが、複数のカメラのうち対象のカメラで撮影された映像データを表示し、
コンピュータが、前記映像データに含まれる対象の移動体について、前記映像データを構成する複数のフレームに基づき、前記対象の移動体の移動方向を特定し、
コンピュータが、前記対象の移動体が前記対象のカメラの撮影範囲の外に出ると、特定された移動方向を撮影範囲に含むカメラを特定し、
コンピュータが、特定されたカメラの映像データを表示する。
【0012】
この発明に係る映像再生プログラムは、
複数のカメラのうち対象のカメラで撮影された映像データを表示する表示処理と、
前記映像データに含まれる対象の移動体について、前記映像データを構成する複数のフレームに基づき、前記対象の移動体の移動方向を特定する方向特定処理と、
前記対象の移動体が前記対象のカメラの撮影範囲の外に出ると、前記方向特定処理によって特定された移動方向を撮影範囲に含むカメラを特定するカメラ特定処理と
をコンピュータに実行させ、
前記表示処理では、前記カメラ特定処理によって特定されたカメラの映像データを表示する。
【0013】
この発明に係る映像再生システムは、
複数のカメラそれぞれで撮影された映像データを記憶する映像記憶装置と、前記映像記憶装置に記憶された映像データを再生する映像再生装置とを備える映像再生システムであり、
前記映像再生装置は、
前記複数のカメラのうち対象のカメラで撮影された映像データを前記映像記憶装置から読み出して表示する表示部と、
前記映像データに含まれる対象の移動体について、前記映像データを構成する複数のフレームに基づき、前記対象の移動体の移動方向を特定する方向特定部と、
前記対象の移動体が前記対象のカメラの撮影範囲の外に出ると、前記方向特定部によって特定された移動方向を撮影範囲に含むカメラを特定するカメラ特定部と
を備え、
前記表示部は、前記カメラ特定部によって特定されたカメラの映像データを前記映像記憶装置から読み出して表示する。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、移動体の移動方向を特定し、移動方向にあるカメラの映像データに切り替えて表示する。そのため、簡便な方法により、複数のカメラで撮影された映像データを切り替えて移動体を追跡表示できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1を参照して、実施の形態1に係る映像再生システム1の構成を説明する。
映像再生システム1は、映像再生装置10と、映像記憶装置20と、複数のカメラ30と、表示装置40とを備える。
【0017】
映像再生装置10は、PC(Personal Computer)といったコンピュータである。映像再生装置10は、映像記憶装置20に記憶された映像データ31を再生して、表示装置40に表示する。
【0018】
映像記憶装置20は、情報処理機能をもったレコーダーである。映像記憶装置20は、各カメラ30によって撮影された映像データ31を記憶する。また、映像記憶装置20は、各カメラ30について、カメラ情報32を記憶する。カメラ情報32は、カメラ30の設置位置33と、カメラ30の撮影範囲34とを示す。撮影範囲34は、座標値、又は、数式によって表される。柱等がある場合には、柱等により撮影できない領域は撮影範囲34から除かれる。
【0019】
各カメラ30は、
図2に示すように、監視対象エリア50の一部のエリアを撮影範囲34として、撮影範囲34を撮影して映像データ31を生成する。
図2では、カメラ30A〜カメラ30Gそれぞれが、撮影範囲34A〜撮影範囲34Gを撮影する。
実施の形態1では、
図2に示すように、少なくとも一部のカメラ30の撮影範囲32の間には、どのカメラの撮影範囲にも入っていない死角51がある。
【0020】
図3を参照して、実施の形態1に係る映像再生装置10の構成を説明する。
映像再生装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信インタフェース14とを備える。プロセッサ11は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0021】
プロセッサ11は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ11は、具体例としては、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0022】
メモリ12は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ12は、具体例としては、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
【0023】
ストレージ13は、データを保管する記憶装置である。ストレージ13は、具体例としては、ROM、フラッシュメモリ、又は、HDD(Hard Disk Drive)である。また、ストレージ13は、SD(登録商標,Secure Digital)メモリカード、CF(CompactFlash)、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD(Digital Versatile Disk)といった可搬記憶媒体であってもよい。
【0024】
通信インタフェース14は、外部の装置と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース14は、具体例としては、Ethernet(登録商標)、CAN(Controller Area Network)、RS232C、USB(Universal Serial Bus)のポートである。
【0025】
映像再生装置10は、機能構成要素として、表示部111と、対象指定部112と、ベクトル生成部113と、カメラ特定部114と、移動時間計算部115と、撮影判定部116とを備える。ベクトル生成部113は、方向特定部117と、速度特定部118とを備える。各機能構成要素の機能はソフトウェアにより実現される。
ストレージ13には、各機能構成要素の機能を実現するプログラムが記憶されている。このプログラムは、プロセッサ11によりメモリ12に読み込まれ、プロセッサ11によって実行される。これにより、各機能構成要素の機能が実現される。
【0026】
図1では、プロセッサ11は、1つだけ示されている。しかし、映像再生装置10は、プロセッサ11を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、各機能構成要素の機能を実現するプログラムの実行を分担する。
【0027】
***動作の説明***
図4から
図5を参照して、実施の形態1に係る映像再生装置10の動作を説明する。
実施の形態1に係る映像再生装置10の動作は、実施の形態1に係る映像再生方法に相当する。また、実施の形態1に係る映像再生装置10の動作は、実施の形態1に係る映像再生プログラムの処理に相当する。
【0028】
実施の形態1では、映像再生装置10の動作の前提として、既に各カメラ30により撮影された映像データ31が映像記憶装置20に記憶されている。そして、映像再生装置10は、映像記憶装置20に記憶された過去の映像データ31を読み出し、再生して、表示装置40に表示する。
この際、映像再生装置10は、例えば、不審者といった対象とする移動体を指定すると、指定された移動体が映っている映像データ31を順に読み出し、再生する。
【0029】
(
図4のステップS101:対象選択処理)
対象指定部112は、利用者から、追跡する対象の移動体の指定を受け付ける。
具体的には、表示部111は、映像記憶装置20に記憶されたいずれかの映像データ31を読み出して、再生する。利用者は、再生された映像データ31に追跡したい移動体が映っている場合には、映像データ31の再生を一時停止させ、追跡する対象の移動体をマウスといった入力装置により指定する。例えば、利用者は、追跡する対象の移動体が映っている領域をトリミングすることにより、対象の移動体を指定する。対象の移動体が指定されると、表示部111は、映像データ31の再生を再開する。
対象指定部112は、指定を受け付けた移動体の色と形状と大きさといった基本的な情報を、移動体の識別情報として抽出する。対象指定部112は、抽出された識別情報をメモリ12に書き込む。
【0030】
(
図4のステップS102:ベクトル生成処理)
ベクトル生成部113は、基準時間毎に、再生中の映像データ31における対象の移動体の移動方向及び移動速度を示す移動ベクトルを生成する。ベクトル生成部113は、生成された移動ベクトルをメモリ12に書き込む。
具体的には、方向特定部117は、基準時間毎に、映像データを構成する複数のフレームに基づき、対象の移動体の移動方向を特定する。実施の形態1では、複数のフレームとは、直近の基準数のフレームである。例えば、方向特定部117は、基準数前のフレームにおける対象の移動体の位置から、直近のフレームにおける対象の移動体の位置へ向かう方向を、対象の移動体の移動方向として特定する。
また、速度特定部118は、基準時間毎に、映像データを構成する複数のフレームに基づき、対象の移動体の移動速度を特定する。実施の形態1では、複数のフレームとは、直近の基準数のフレームである。例えば、速度特定部118は、基準数前のフレームにおける対象の移動体の位置から、直近のフレームにおける対象の移動体の位置までの距離を、基準数のフレーム分の時間で除して得られる速度を、対象の移動体の移動速度として特定する。基準数のフレーム分の時間とは、例えば、60fps(Frames Per Second)の映像データ31において、基準数が30の場合には、0.5秒である。
【0031】
なお、ベクトル生成部113は、再生中の映像データ31の各フレームを順に対象のフレームとして、事前に設定された基準フレームと、対象のフレームとの差分を計算する。基準フレームは、例えば、映像データ31を撮影したカメラ30により、移動体が映っていない状態の撮影範囲34を撮影した画像データである。ベクトル生成部113は、計算された差分と、ステップS101で抽出された識別情報とを比較することで、対象の移動体の位置を特定する。
【0032】
(
図4のステップS103:位置判定処理)
カメラ特定部114は、対象の移動体が映像データ31からいなくなったか否かを判定する。つまり、カメラ特定部114は、対象の移動体が、現在再生されている映像データ31を撮影した対象のカメラ30の撮影範囲34の外に出たか否かを判定する。
カメラ特定部114は、対象のカメラ30の撮影範囲34の外に出た場合には、処理をステップS104に進める。一方、カメラ特定部114は、対象のカメラ30の撮影範囲34の外に出ていない場合には、処理をステップS102に戻す。
【0033】
(
図4のステップS104:カメラ特定処理)
カメラ特定部114は、ステップS102で生成された移動ベクトルのうち、直近の移動ベクトルをメモリ12から読み出す。
カメラ特定部114は、映像記憶装置20に記憶されたカメラ情報32を参照して、読み出された移動ベクトルが示す移動方向を撮影範囲34に含むカメラ30を、切替先のカメラ30として特定する。この際、カメラ特定部114は、移動方向を撮影範囲34に含むカメラ30のうち、対象の移動体が対象のカメラ30の撮影範囲の外に出た地点から撮影範囲34までの移動方向の距離が最も短いカメラ30を、切替先のカメラ30として特定する。
【0034】
図5に示すように、カメラ30Aの撮影範囲34Aを対象の移動体が移動している間は、ステップS102で基準時間毎に移動ベクトルが生成される。そして、撮影範囲34Aから対象の移動体が出ると、カメラ特定部114は、直近の移動ベクトルを読み出す。
図5では、カメラ特定部114は、移動ベクトルXを読み出す。
そして、カメラ特定部114は、移動ベクトルXが示す移動方向を撮影範囲34に含むカメラ30のうち、対象のカメラ30の撮影範囲の外に出た地点Pから、撮影範囲34までの、移動ベクトルXが示す移動方向の距離が最も短いカメラ30を、切替先のカメラ30として特定する。
図5では、カメラ30Bの撮影範囲34Bと、カメラ30Gの撮影範囲34Gとに、移動ベクトルXが示す移動方向が含まれる。そして、地点Pからカメラ30Gの撮影範囲34Gまでの距離DGよりも、地点Pからカメラ30Bの撮影範囲34Bまでの距離DBの方が短い。そのため、カメラ30Bが切替先のカメラ30として特定される。
【0035】
(
図4のステップS105:カメラ判定処理)
カメラ特定部114は、ステップS104で切替先のカメラ30が特定されたか否かを判定する。
カメラ特定部114は、切替先のカメラ30が特定された場合には、処理をステップS106に進める。一方、カメラ特定部114は、切替先のカメラ30が特定されなかった場合には、再生を停止して処理を終了する。
【0036】
(
図4のステップS106:移動時間計算処理)
移動時間計算部115は、対象の移動体が対象のカメラの撮影範囲の外に出てから、ステップS104で特定されたカメラ30の撮影範囲に入るまでにかかる移動時間を計算する。
具体的には、移動時間計算部115は、対象の移動体が対象のカメラの撮影範囲の外に出た地点から、ステップS104で特定されたカメラ30の撮影範囲までの移動方向の距離を、ステップS104で読み出された移動ベクトルが示す移動速度で除して、移動時間を計算する。
図5に示す例では、移動時間計算部115は、対象のカメラ30の撮影範囲の外に出た地点Pから、ステップS104で特定されたカメラ30Bの撮影範囲34Bまでの距離DBを、移動ベクトルXが示す移動速度で除すことにより、移動時間を計算する。
【0037】
(
図4のステップS107:撮影判定処理)
撮影判定部116は、ステップS104で特定された切替先のカメラ30で対象の移動体が撮影されたか否か判定する。
具体的には、撮影判定部116は、ステップS106で計算された移動時間により特定された時刻における、ステップS104で特定された切替先のカメラ30で撮影された映像データ31に、対象の移動体が映っているか否かを判定する。移動時間により特定された時刻とは、移動時間が3分であれば、対象の移動体が対象のカメラ30の撮影範囲34の外に出た外出時刻の3分後の時刻である。
撮影判定部116は、対象の移動体が撮影された場合には、処理をステップS108に進める。一方、撮影判定部116は、対象の移動体が撮影されていない場合には、再生を停止して処理を終了する。
【0038】
(
図4のステップS108:表示切替処理)
表示部111は、現在再生されている映像データ31から、ステップS104で特定された切替先のカメラ30の映像データ31に切り替えて表示する。この際、表示部111は、ステップS107で計算された移動時間により特定された時刻から映像データ31を再生して表示する。
図5に示す例では、表示部111は、外出時刻が10時00分であり、移動時間が3分であるなら、カメラ30Bにより10時03分に撮影された映像データ31Bを再生する。
【0039】
ステップS108で映像データ31が切り替えて表示されると、処理がステップS102に戻される。
【0040】
***実施の形態1の効果***
以上のように、実施の形態1に係る映像再生装置10は、対象のカメラ30の撮影範囲の外に出た際の、対象の移動体の移動方向に基づき、対象の移動体を次に撮影すると予想されるカメラ30を特定する。そのため、簡便な方法により、複数のカメラで撮影された映像データを切り替えて移動体を追跡表示できる。
【0041】
また、実施の形態1に係る映像再生装置10は、対象のカメラ30の撮影範囲の外に出た際の、対象の移動体の移動速度に基づき、対象の移動体が撮影される時刻を特定する。そのため、対象の移動体が映っていない不要な映像データ31を再生することなく、対象の移動体が映っている映像データ31だけを再生することが可能である。
【0042】
***他の構成***
<変形例1>
図1では、映像記憶装置20がカメラ情報32を記憶していた。しかし、映像再生装置10のストレージ13にカメラ情報32が記憶されていてもよい。また、映像データ31についても、ストレージ13の容量が大きい場合には、映像再生装置10のストレージ13に記憶されていてもよい。
【0043】
<変形例2>
図4のステップS107では、撮影判定部116は、外出時刻の移動時間後の映像データ31に、対象の移動体が映っているか否かを判定した。しかし、撮影判定部116は、外出時刻の移動時間後を含む一定の時間の映像データ31に、対象の移動体が映っているか否かを判定してもよい。
例えば、撮影判定部116は、移動時間が3分であれば、外出時刻の2分30秒後から外出時刻の3分30秒後までの時間の映像データ31に、対象の移動体が映っているか否かを判定してもよい。
【0044】
図4のステップS108では、表示部111は、外出時刻の移動時間後の映像データ31を表示した。変形例2では、対象の移動体が映っている最も早い時刻の映像データ31を表示してもよい。
【0045】
<変形例3>
図4のステップS104では、カメラ特定部114は、直近の1つの移動ベクトルのみを用いて、切替先のカメラ30を特定した。しかし、カメラ特定部114は、直近の複数の移動ベクトルを用いて、切替先のカメラ30を特定してもよい。
例えば、カメラ特定部114は、
図5に示すように、移動ベクトルが示す移動方向が徐々に左に曲がっている場合、撮影範囲の外に出た地点Pから先でも、移動方向が左方向に曲がる可能性がある。そこで、カメラ特定部114は、直近の複数の移動ベクトルの移動方向を考慮して、撮影範囲の外に出た地点Pから先で対象の移動体が進む方向を推定する。そして、カメラ特定部114は、推定された方向を撮影範囲34に含むカメラ30のうち、対象のカメラ30の撮影範囲の外に出た地点から撮影範囲34までの移動方向の距離が最も短いカメラ30を特定する。
【0046】
<変形例4>
映像再生装置10は、カメラ30の撮影方向の制御といったカメラ30の制御をする機能を備えていてもよい。
【0047】
<変形例5>
実施の形態1では、各機能構成要素がソフトウェアで実現された。しかし、変形例5として、各機能構成要素はハードウェアで実現されてもよい。この変形例5について、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0048】
図6を参照して、変形例5に係る映像再生装置10の構成を説明する。
各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、映像再生装置10は、プロセッサ11とメモリ12とストレージ13とに代えて、処理回路15を備える。処理回路15は、各機能構成要素と、メモリ12とストレージ13との機能とを実現する専用の電子回路である。
【0049】
処理回路15は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA(Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)が想定される。
各機能構成要素を1つの処理回路15で実現してもよいし、各機能構成要素を複数の処理回路15に分散させて実現してもよい。
【0050】
<変形例6>
変形例6として、一部の各機能構成要素がハードウェアで実現され、他の各機能構成要素がソフトウェアで実現されてもよい。
【0051】
プロセッサ11とメモリ12とストレージ13と処理回路15とを、総称して「プロセッシングサーキットリー」という。つまり、各機能構成要素の機能は、プロセッシングサーキットリーにより実現される。
【0052】
実施の形態2.
実施の形態2は、切替先の映像データ31を特定できない場合に、他の候補を探す点が実施の形態1と異なる。実施の形態2では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
【0053】
***動作の説明***
図7から
図8を参照して、実施の形態2に係る映像再生装置10の動作を説明する。
実施の形態2に係る映像再生装置10の動作は、実施の形態2に係る映像再生方法に相当する。また、実施の形態2に係る映像再生装置10の動作は、実施の形態2に係る映像再生プログラムの処理に相当する。
【0054】
図7のステップS201からステップS207の処理は、
図4のステップS101からステップS107の処理と同じである。但し、ステップS205でカメラ30が特定されなかった場合には、処理がステップS209に進められる。また、ステップS207で、対象の移動体が撮影されていない場合には、処理がステップS210に進められる。
【0055】
(
図7のステップS209:範囲判定処理)
カメラ特定部114は、移動方向に進むと監視対象エリア50の外に出るか否かを判定する。
具体的には、カメラ特定部114は、対象のカメラ30の撮影範囲の外に出た地点から、監視対象エリア50の端までの、移動方向における距離が基準距離以下であるか否かを判定する。カメラ特定部114は、移動方向における距離が基準距離以下である場合には、移動方向に進むと監視対象エリア50の外に出ると判定する。
カメラ特定部114は、監視対象エリア50の外に出る場合には、再生を停止して処理を終了する。一方、カメラ特定部114は、監視対象エリア50の外に出ない場合には、処理をステップS210に進める。
【0056】
(
図7のステップS210:候補特定処理)
図8に示すように、カメラ特定部114は、ステップS204で読み出されたベクトルを延長した直線Lを引く。カメラ特定部114は、直線Lに対する、ステップS204で特定されたカメラ30以外のカメラ30の撮影範囲34の最近点Rと、直線Lとの距離D1を計算する。また、カメラ特定部114は、対象の移動体が対象のカメラの撮影範囲の外に出た地点Pから、最近点Rまでの距離D2を計算する。
図8では、カメラ30Dについての距離D1,D2が示されている。
カメラ特定部114は、距離D1と距離D2とから、カメラ30の評価値Rを計算する。例えば、カメラ特定部114は、R=αD1+βD2により、評価値Rを計算する。ここで、α及びβは、距離D1及び距離D2に対する重みである。
カメラ特定部114は、ステップS204で特定されたカメラ30以外のカメラ30に対して計算された評価値Rの値が小さい方、つまり評価の高い方から順に、基準個のカメラ30を候補として抽出する。例えば、2個のカメラ30を候補として抽出する場合、
図8の例では、カメラ30Cとカメラ30Dとが抽出される。
【0057】
(
図4のステップS211:第2移動時間計算処理)
移動時間計算部115は、ステップS210で抽出された各候補のカメラ30について、対象の移動体が対象のカメラの撮影範囲の外に出た地点から、そのカメラ30の撮影範囲まで、対象の移動体が移動するのにかかる移動時間を計算する。移動時間の計算方法は、ステップS206と同じである。
【0058】
(
図7のステップS212:第2撮影判定処理)
撮影判定部116は、ステップS210で抽出された候補のカメラ30で対象の移動体が撮影されたか否か判定する。対象の移動体が撮影されたか否か判定する方法は、ステップS207と同じである。
撮影判定部116は、いずれかの候補のカメラ30で対象の移動体が撮影された場合には、処理をステップS208に進める。一方、撮影判定部116は、いずれの候補のカメラ30でも対象の移動体が撮影されていない場合には、再生を停止して処理を終了する。
【0059】
(
図7のステップS208:表示切替処理)
ステップS207から遷移した場合には、表示部111は、
図4のステップS108と同様に、現在再生されている映像データ31から、ステップS204で特定されたカメラ30の映像データ31に切り替えて表示する。
ステップS212から遷移した場合には、表示部111は、現在再生されている映像データ31から、ステップS212で対象の移動体が撮影されたと判定されたカメラ30の映像データ31に切り替えて表示する。この際、表示部111は、ステップS211で計算された移動時間により特定された時刻における映像データ31を表示する。
【0060】
***実施の形態2の効果***
以上のように、実施の形態2では、対象の移動体を次に撮影すると予想されるカメラ30で対象の移動体が撮影されていない場合には、次の候補のカメラ30を特定する。これにより、対象の移動体を撮影したカメラ30を特定できる可能性が高くなる。