特許第6846965号(P6846965)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846965
(24)【登録日】2021年3月4日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20210315BHJP
【FI】
   F24F7/06 101A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-56683(P2017-56683)
(22)【出願日】2017年3月22日
(65)【公開番号】特開2018-159504(P2018-159504A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】石木 達也
(72)【発明者】
【氏名】染澤 俊介
(72)【発明者】
【氏名】宮藤 章
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 絢葉
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−162979(JP,A)
【文献】 特開平09−119691(JP,A)
【文献】 特開2002−372275(JP,A)
【文献】 特開2002−286268(JP,A)
【文献】 特開平11−033328(JP,A)
【文献】 特開平06−109297(JP,A)
【文献】 特開2008−064347(JP,A)
【文献】 特開平05−137934(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0272372(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24C 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と排気口とを有するハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置され、空気を前記吸気口から前記排気口へと送る送風機構と、
前記ハウジングの内部に配置され、給液源に接続された給液管と、
前記吸気口に設けられ、液体の排液口を有する整流板と、
前記排液口に接続された排液管とを備え、
前記給液管には、前記給液源から供給される液体を前記整流板の内面に向けて吹き出す吹出口が設けられており、
前記吹出口から吹き出される液体で前記整流板の前記内面を洗浄する構成で、
前記吹出口は、液体をミスト状にして噴出させる第一吹出口と、液体を塊状にして吹き出す第二吹出口とを切替可能に構成されているレンジフード。
【請求項2】
前記整流板の前記内面は、前記吹出口の直下位置よりも前記排液口が低くなるように傾斜面を有している請求項1に記載のレンジフード。
【請求項3】
前記排液口は前記整流板の一端側に形成されており、
前記吹出口は、前記整流板のうち前記排液口とは反対側である他端側に液体を吹き出すように構成されており、
前記整流板の前記内面は、液体が前記他端側から前記一端側に向かって流れるように傾斜している請求項1又は2に記載のレンジフード。
【請求項4】
前記送風機構の稼働指令および停止指令を入力可能な第一入力部と、
前記整流板の洗浄指令を入力可能な第二入力部と、
前記吹出口の作動を制御する制御部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記第一入力部に前記停止指令が入力され、且つ前記第二入力部に前記洗浄指令が入力されたときに、前記第一吹出口から液体をミスト状にして噴出させ、所定時間経過した後に前記第二吹出口から液体を吹き出す請求項1から3の何れか一項に記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動洗浄可能なレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
調理で発生する油分を含んだ空気を排出させるレンジフードが普及している。このレンジフードは、吸気口と排気口とを有するハウジングと、空気を吸気口から排気口へと送る送風機構と、吸気口に設けられる整流板と、を備えている。空気の送風過程において、空気から分離した油分が送風機構や整流板に付着する。
【0003】
特許文献1には、送風機構(文献では排気用羽根車)を自動洗浄する技術が開示されている。特許文献1のレンジフードは、排気用羽根車を収容する送風ケーシングと、貯水タンクからの水を送風ケーシング内に吹き出すノズルとを備えている。これにより、回転させた排気用羽根車にノズルから吹き出された水を衝突させて油膜を剥離除去し、遠心力により油分を含む水を飛散させて洗浄するものである。
【0004】
特許文献2には、送風機構を羽根車と動力伝達部材とで構成し、この動力伝達部材の周囲に取付けられたフィルタを自動洗浄する技術が開示されている。特許文献2のレンジフードは、羽根車および動力伝達部材を収容する送風機ボックスと、タンクからの水をフィルタに吹き出すノズルとを備えている。これにより、洗剤を含浸させたフィルタに水を衝突させて、フィルタに付着した油分を取り除くものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−44471号公報
【特許文献2】特開2016−13229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ハウジングの内部における空気の送風経路には整流板の内面が存在しており、衝突した空気から分離された油分が整流板の内面に付着したり、ハウジングの内面に衝突した空気から分離された油分が整流板に落下して整流板の内面に付着したりする。このため、従来のレンジフードでは、整流板を取り外して手動で洗浄する必要があった。整流板を取り外して洗浄するのは手間がかかるので、使用者によっては長期間放置して整流板に油分がこびり付いてしまい、洗浄が困難になるケースもあった。
【0007】
そこで、使用者の手間を煩わすことなく整流板を清潔な状態に維持できるレンジフードが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るレンジフードの特徴構成は、吸気口と排気口とを有するハウジングと、前記ハウジングの内部に配置され、空気を前記吸気口から前記排気口へと送る送風機構と、前記ハウジングの内部に配置され、給液源に接続された給液管と、前記吸気口に設けられ、液体の排液口を有する整流板と、前記排液口に接続された排液管とを備え、前記給液管には、前記給液源から供給される液体を前記整流板の内面に向けて吹き出す吹出口が設けられており、前記吹出口から吹き出される液体で前記整流板の前記内面を洗浄する構成で、
前記吹出口は、液体をミスト状にして噴出させる第一吹出口と、液体を塊状にして吹き出す第二吹出口とを切替可能に構成されている点にある。
【0009】
本構成では、給液源に接続された給液管の吹出口から吹き出される液体で整流板の内面を洗浄する。このため、整流板の内面に付着した油分を自動的に洗浄することができる。
【0010】
また、吹出口が整流板の内面に向けて液体を吹き出すように構成されているので、整流板の内面に液体を衝突させて、整流板の内面に付着した油分を強制的に洗浄することができる。しかも、整流板に排液口を設けているので、油分が混入した液体を都度排出することが可能となり、整流板を清潔な状態にすることができる。
【0011】
このように、使用者の手間を煩わすことなく整流板を清潔な状態に維持できるレンジフードを提供できた。
また、本構成のように、吹出口がミストと塊状の液体とを吹き出し可能に形成すれば、例えば、ミストで整流板に付着した油分を柔らかくして浮かせた後、塊状の液体で強制的に油分を洗い流すことが可能となる。その結果、整流板の洗浄効率を高めることができる。
【0012】
他の構成は、前記整流板の前記内面は、前記吹出口の直下位置よりも前記排液口が低くなるように傾斜面を有している点にある。
【0013】
本構成のように、整流板が吹出口の直下位置よりも排液口が低くなるように傾斜面を有していれば、整流板の内面に衝突した液体が傾斜面に沿って円滑に流れて排液口から排出されるので、液体が整流板の内面に残存することが無い。その結果、残存した液体が蒸発して、整流板の内面に油分が再付着するといった不都合が無く、整流板を清潔な状態に維持できる。
【0014】
他の構成は、前記排液口は前記整流板の一端側に形成されており、前記吹出口は、前記整流板のうち前記排液口とは反対側である他端側に液体を吹き出すように構成されており、前記整流板の前記内面は、液体が前記他端側から前記一端側に向かって流れるように傾斜している点にある。
【0015】
本構成のように、整流板の両端に夫々吹出口と排液口とを設ければ、整流板の内面の全領域に液体を行き渡らせることができる。しかも、整流板の内面に衝突した液体が傾斜面に沿って円滑に流れて排液口から排出されるので、液体が整流板の内面に残存することが無い。その結果、整流板の内面の全領域を清潔な状態に維持できる。
【0018】
他の構成は、前記送風機構の稼働指令および停止指令を入力可能な第一入力部と、前記整流板の洗浄指令を入力可能な第二入力部と、前記吹出口の作動を制御する制御部と、をさらに備え、前記制御部は、前記第一入力部に前記停止指令が入力され、且つ前記第二入力部に前記洗浄指令が入力されたときに、前記第一吹出口から液体をミスト状にして噴出させ、所定時間経過した後に前記第二吹出口から液体を吹き出す点にある。
【0019】
本構成では、ミストで整流板に付着した油分を柔らかくして浮かせた後、塊状の液体で強制的に油分を洗い流す。その結果、整流板の洗浄効率を高めることができる。また、送風機構を停止させてから整流板の洗浄を開始するので、ミストが送風機構によって強制的に排出されることが無い。しかも、洗浄指令を入力するだけで洗浄が開始されるので、使用者の手間を煩わせることも無い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】レンジフードの概略図である。
図2】レンジフードの底面図である。
図3】整流板の斜視図である。
図4】レンジフードの制御ブロック図である。
図5】整流板の洗浄フロー図である。
図6】別実施形態1に係る整流板の斜視図である。
図7】別実施形態2に係る整流板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係るレンジフードの実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0022】
本実施形態のレンジフードXは、調理器(不図示)の上方に設けられており、調理で発生した油分を含んだ空気等を排出させるものである。図1に示すように、レンジフードXは、ハウジング1と、送風機構2と、給水管3(給液管の一例)と、整流板4と、排水管5(排液管の一例)とを備えている。
【0023】
ハウジング1は、空気の吸入口となる吸気口1aと、空気の排出口となる排気口1bとを有している。ハウジング1と整流板4とで囲まれた内部空間10には、送風機構2と給水管3とが収容されている。本実施形態では、吸気口1aをハウジングの下部開口に設けて、この吸気口1aに整流板4を設けている。なお、吸気口1aをハウジング1の下部開口よりも上側に設定して整流板4をハウジング1の下部開口から上側に離間させた状態で配置しても良いし、吸気口1aをハウジング1の下部開口よりも下側に設定して整流板4をハウジング1の下部開口から下側に離間させた状態で配置しても良い。
【0024】
送風機構2は、ハウジング1の内部空間10に配置されている。送風機構2は、モータ等で駆動されるシロッコファンを有しており、このシロッコファンが回転駆動されることで吸気口1aから吸込んだ空気が排気口1bに向けて送られる。この送風機構2は、送風ケージング21に収容されており、送風ケージング21の底部には、小孔21aが形成されている。なお、送風機構2の前面(空気の上流側)にフィルタを設けても良いし、送風機構2をプロペラファンで構成しても良く、送風機構2は空気を送る構造であればどのようなものであっても良い。
【0025】
給水管3は、送風機構2と整流板4との間で、ハウジング1の内部空間10に配置されている。この給水管3は、給湯器等の給湯源30(給液源の一例)に接続されており、温水(液体の一例)をハウジング1の内部空間10に供給可能に構成されている。給水管3には、給湯源30から供給される温水を整流板4の内面40(整流板4のうち内部空間10に接している面)に向けて吹き出すノズル31(吹出口の一例)が設けられている(図3参照)。また、給水管3の経路上には、第一開閉弁3aが設けられている。第一開閉弁3aを開弁することにより、ノズル31から吹き出された温水で整流板4の内面40を洗浄する。
【0026】
ノズル31は、温水をミスト状にして噴出させる第一吹出口31aと、温水を塊状にして吹き出す第二吹出口31bとを切替可能に構成されている。この切替構造は、第一吹出口31aと第二吹出口31bとを別々に設けて開閉弁(不図示)で開閉操作しても良いし、第二吹出口31bを中央に配置すると共に、第一吹出口31aを第二吹出口31bの周囲に配置された微小孔で構成し、切替弁(不図示)によって第一吹出口31aと第二吹出口31bとを切替える構造としても良く、どのような形態であっても良い。
【0027】
また、レンジフードXは、給水管3から分岐され、送風機構2に向けて温水を吹き出す第三吹出口32aを有する分岐管32を備えている。分岐管32の経路上には、第二開閉弁32bが設けられている。第二開閉弁32bを開弁することにより、第三吹出口32aから吹き出された温水で送風機構2の内部を洗浄する。洗浄後の温水は、送風ケージング21の底部に設けられた小孔21aから排出されて整流板4に落下し、後述する整流板4の排水口41から排出されるように構成されている。なお、送風機構2を洗浄する分岐管32を省略しても良いし、第三吹出口32aは、温水をミスト状にして噴出させる吹出口と温水を塊状にして吹き出す吹出口とを切替可能に構成しても良い。
【0028】
図2に示すように、整流板4は、ハウジング1に固定された状態で吸気口1aの中央を閉塞する状態で配置されている。この整流板4は、吸気口1aの開口面積を絞る機能を有しており、調理で発生した油分を含んだ空気等の吸込速度を高めるものである。整流板4は底面視矩形状に形成されており、3辺に沿った吸気口1aを設け、残りの1辺を構成する一端をハウジング1と密着させている。なお、吸気口1aは、整流板4の一端をハウジング1に密着させずに整流板4の4辺に沿って設けても良いし、4辺のうちの少なくとも1辺に設けても良く、特に限定されない。整流板4の一端をハウジング1に密着させずに整流板4の一端とハウジング1との間に隙間を設ける場合、整流板4の全周に吸気口1aが設けられるので、空気等の吸込速度を確実に高めることができる。なお、整流板4の固定は、ハウジング1に固定する形態に限定されず、壁に固定したり別部材に固定したりする形態であっても良い。
【0029】
図3に示すように、整流板4は、底部4aと底部4aの4辺から上方に延出した側壁4bとを有している。整流板4のハウジング1と密着した一端側で且つ底部4a中央を貫通する排水口41(排液口の一例)が設けられており、この排水口41に排水管5が接続されている。また、整流板4は、板状部材(ステンレス板や鋼板等)をプレス加工して成形されており、ハウジング1の内部空間10の側に開口を有するボックス形状を呈している。ここで、整流板4の底部4aのうち、ハウジング1の内部空間10の側の面が整流板4の内面40と定義される。
【0030】
整流板4の内面40には撥油加工や、撥水加工又は親水性加工が施されており、これにより空気に含まれる油分のこびり付きが防止される。排水口41が設けられた整流板4の一端側とは反対側である整流板4の他端側の直上には、ノズル31が設けられている。また、整流板4の内面40は、整流板4の他端側から一端側に向かって内部空間10から離間するように傾斜している。これによって、ノズル31から吹き出された温水やミストは、傾斜した整流板4の内面40に沿って円滑に流下し、排水口41から排出される。なお、整流板4の他端側から一端側に向かって傾斜面を設けずに、ノズル31の直下位置よりも排水口41が低くなるように傾斜面を有していれば良く、特に限定されない。例えば、整流板4の中間位置から排水口41までを内部空間10から離間するように傾斜させても良い。また、整流板4の内面40を傾斜させなくても良い。
【0031】
排水管5は、整流板4の一端に設けられた排水口41に接続されており、壁Wに埋設された状態で下水道管に合流している。
【0032】
図4は、レンジフードXに備えられている機能部を表す機能ブロック図である。本実施形態における各機能部は、各種処理を実行するプロセッサやメモリを中核としてハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。
【0033】
レンジフードXは、使用者がレンジフードXの操作を入力可能なリモートコントローラR(入力部の一例であり、入力部がレンジフードXに内蔵されていても良い。)と、リモートコントローラRからの出力信号を受けてレンジフードXの作動を制御する制御部Cとを備えている。なお、リモートコントローラRからの出力信号を制御部Cに伝達する手段は、無線通信であっても、有線通信であっても良い。
【0034】
リモートコントローラRは、送風機構2の稼働指令を入力可能な稼動ボタン51(第一入力部の一例)と、送風機構2の停止指令を入力可能な停止ボタン52(第一入力部の一例)と、レンジフードXの洗浄指令を入力可能な洗浄ボタン53(第二入力部の一例)と、を備えている。なお、リモートコントローラRは、電源ボタン等の他の機能ボタンも有しているが説明を省略する。
【0035】
洗浄ボタン53は、少なくとも整流板4の洗浄指令を入力可能に構成されている。上述したように、送風機構2の洗浄機能を有する場合は、洗浄ボタン53を押下することで、整流板4に加えて送風機構2も洗浄するように構成されている。なお、稼動ボタン51および停止ボタン52は、1つのボタンで入/切を変更できるように構成しても良いし、2つのボタンで構成しても良い。また、洗浄ボタン53は、整流板4を洗浄するためのボタンと送風機構2を洗浄するためのボタンとを2つ備えていても良いし、洗浄停止ボタンを別途設けても良い。
【0036】
制御部Cは、リモートコントローラRからの出力信号に基づいてレンジフードXの作動の要否を判定する判定部61と、判定部61の判定結果を受けて送風機構2の作動を制御する送風機構制御部62と、判定部61の判定結果を受けて少なくとも整流板4の洗浄処理を制御する洗浄制御部63と、判定部61の判定結果を受けて使用者にレンジフードXの状態を報知する報知部64と、を備えている。
【0037】
判定部61は、使用者が稼動ボタン51を押下すると、送風機構2の稼働信号を送風機構制御部62に伝達し、使用者が停止ボタン52を押下すると、送風機構2の停止信号を送風機構制御部62に伝達する。また、判定部61は、送風機構2の総運転時間が第一所定時間T1(例えば1時間)以上か否かを判定する。さらに、判定部61は、停止ボタン52および洗浄ボタン53が押下されたとき、少なくとも整流板4の洗浄指令を洗浄制御部63に伝達する。このとき、判定部61は、第一吹出口31aからミストを噴出する時間が第二所定時間T2(例えば10分)となったか否かを判定すると共に、第二吹出口31bから温水を塊状にして吹き出す時間が第三所定時間T3(例えば5分)以上となったか否かを判定する。
【0038】
送風機構制御部62は、判定部61から稼動信号を受けたとき、送風機構2を駆動させて、調理で発生した油分を含んだ空気等を吸気口1aから吸引し、排気口1bから排出させる。また、送風機構制御部62は、判定部61から停止信号を受けたとき、送風機構2を停止させる。
【0039】
洗浄制御部63は、判定部61から洗浄指令を受けたとき、第一開閉弁3aを開弁してノズル31から整流板4の内面40に向けてミスト又は温水を吹き出す。このとき、第二開閉弁32bも開弁して、第三吹出口32aから送風機構2の内部に向けて温水を吹き出しても良い。なお、洗浄制御部63は、判定部61から洗浄指令を受けたときに第一開閉弁3aを必ず開弁し、第二開閉弁32bは、洗浄指令の複数回に1回ごとに開弁するように構成しても良い。
【0040】
報知部64は、判定部61から送風機構2の総運転時間が第一所定時間T1以上であるとの判定結果を受けたとき、使用者に洗浄時期が来たことを報知する。報知形態としては、例えば、洗浄ボタン53を点滅させたり、音声で報知したり、別途設けた発光部(例えば、LEDライト)を点灯させたりする。これによって、使用者に洗浄ボタン53を押下するように促すことができる。また、報知部64は、送風機構2が駆動中である場合に稼動ボタン51を点灯させ、レンジフードXを洗浄中である場合に洗浄ボタン53を点灯させる。
【0041】
続いて、図5を用いて、本実施形態に係る整流板4の洗浄方法の一例について説明する。
【0042】
電源がONとなり、使用者が稼動ボタン51を押下すると、送風機構2の運転が開始する(♯71)。次いで、判定部61は、使用者が停止ボタン52を押下して送風機構2の停止指令が入力されたか否かを判定する(♯72)。送風機構2の停止指令が入力されていない場合(♯72Nо判定)、送風機構2の運転を継続する。一方、送風機構2の停止指令が入力された場合(♯72Yes判定)、判定部61は、送風機構2の総運転時間が第一所定時間T1以上か否かを判定する(♯73)。送風機構2の総運転時間が第一所定時間T1以上の場合(♯73Yes判定)は、報知部64によって洗浄時期が来たことを使用者に報知する(♯74)。
【0043】
次いで、使用者が洗浄ボタン53を押下して洗浄指令があった場合(♯75Yes判定)、判定部61は、整流板4の洗浄指令を洗浄制御部63に伝達する。そして、洗浄指令を受けた洗浄制御部63は、第一開閉弁3aを開弁操作して、ノズル31の第一吹出口31aから整流板4の内面40に向けてミストを噴出させる(♯76)。これによって、整流板4の内面40に付着した油分を柔らかくして浮かせる。そして、第一吹出口31aからミストを噴出する時間が第二所定時間T2となった場合(♯77Yes判定)、第二吹出口31bに切り替えて、温水を塊状にして吹き出す(♯78)。これによって、塊状の温水でミストに浮き出た油分を強制的に洗い流して、整流板4の一端に設けられた排水口41から排水する。
【0044】
次いで、第二吹出口31bから温水を塊状にして吹き出す時間が第三所定時間T3以上となった場合(♯79Yes判定)、洗浄を停止して(♯80)、洗浄処理を終了する。このとき、報知部64は、洗浄ボタン53を消灯すると共に、音声や発光部の消灯等によって洗浄終了を使用者に報知する。このように、送風機構2を停止させてから、整流板4の洗浄を開始するので、ミストが送風機構2によって強制的に排出されるといった不都合を防止できる。
【0045】
本実施形態では、ノズル31が整流板4の内面40に向けて温水を吹き出すように構成されているので、整流板4の内面40に付着した油分を強制的に洗浄することができる。しかも、整流板4に排水口41を設けているので、油分が混入した温水を都度排出することが可能となり、整流板4を清潔な状態にすることができる。
【0046】
本実施形態では、整流板4がノズル31の直下位置よりも排水口41が低くなるように傾斜面を設けているので、整流板4の内面40に衝突した温水が傾斜面に沿って円滑に流れて排水口41から排出される。その結果、油分を含んだ水が整流板4の内面40に残存することが無く、残存した水が蒸発して、整流板4の内面40に油分が再付着するといった不都合が無い。しかも、整流板4の一端側に排水口41を設け、整流板4の他端側の直上にノズル31を設けているので、整流板4の内面40の全領域に温水を行き渡らせることができる。
【0047】
本実施形態では、ノズル31がミストと塊状の温水とを吹き出し可能に形成されているので、ミストで整流板4に付着した油分を柔らかくして浮かせた後、塊状の温水で強制的に油分を洗い流すことが可能となる。その結果、整流板4の洗浄効率を高めることができる。
【0048】
[その他の実施形態]
(1)図6に示すように、整流板4の底部4aに傾斜板42を固定して、この傾斜板42で整流板4の内面40を形成しても良い。この場合、整流板4をプレス加工して傾斜面を形成する必要が無いので加工が容易である。
【0049】
(2)図7に示すように、ノズル31を整流板4の側壁4bに形成した貫通孔部43に挿入して、ノズル31の先端を整流板4の内部に露出させても良い。この場合でも、整流板4の内面40の傾斜に沿って、温水を円滑に流動させることができる。
【0050】
(3)ノズル31から吹き出す液体は、温水に限定されず、冷水でも良いし、水に薬剤を混合させた洗浄液であっても良い。また、ノズル31に切替機構を設けずに、ミストおよび塊状の温水の何れか一方のみを吹き出すように構成しても良い。
【0051】
(4)排水口41は、整流板4の底部4a中央を貫通させて形成したが、整流板4の底部4aの側方を貫通形成しても良いし、整流板4の側壁4b下部を貫通形成しても良い。また、排水口41を複数設けても良いし、排水口41に接続される排水管5に開閉弁を設けて洗浄時のみ開弁するように構成しても良い。
【0052】
(5)ノズル31は、整流板4の中央の直上や側壁4bに1箇所設ける形態に限定されない。例えば、ノズル31を2つ設け、整流板4の両端の直上や整流板4の対向する側壁4bに夫々配置しても良いし、ノズル31を3つ以上設けて配置しても良い。また、ノズル31を第一吹出口31aおよび第二吹出口31bの何れか一方のみで構成しても良い。また、給水管3を複数設けても良い。
【0053】
(6)上述した実施形態では、給水管3を給湯器等の給湯源30と直接接続したが、給湯源30と第一開閉弁3aとの間に貯留タンクを設けて、この貯留タンクからポンプで洗浄液を供給できるような構成にしても良い。
【0054】
(7)ノズル31からミストを噴出する第二所定時間T2や温水を塊状にして吹き出す第三所定時間T3は、洗浄処理が実行されていない送風機構2の総運転時間に応じて適宜変更しても良い。
【0055】
なお、上述した実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、調理器の上方に設けられるレンジフードに利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 ハウジング
1a 吸気口
1b 排気口
2 送風機構
3 給水管(給液管)
4 整流板
5 排水管(排液管)
30 給湯源(給液源)
31 ノズル(吹出口)
31a 第一吹出口
31b 第二吹出口
40 内面
41 排水口(排液口)
51 稼動ボタン(第一入力部)
52 停止ボタン(第一入力部)
53 洗浄ボタン(第二入力部)
C 制御部
X レンジフード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7