(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、油を貯留する液槽の底部に沿って設けられる加熱室に、バーナ等の燃焼装置から供給される燃焼ガスを通流することで、液槽の油を加熱する液体加熱装置として、所謂、調理対象物としてのコロッケ等を揚げるフライヤーが知られている。当該液体加熱装置としては、熱効率を向上させる観点から、加熱室を通過した後の燃焼排ガスと、バーナに供給される燃焼用空気とを熱交換する熱交換器を備えている。
さて、当該液体加熱装置の加熱室としては、平面視として、
図4(c)に示すように、略長方形の長手方向の一端にバーナ14を備えると共に、加熱室を通流した燃焼ガスEを排気路へ導く排気口15を備える構成が考えられる。しかしながら、このような構成にあっては、加熱室を通流する燃焼ガスEは、バーナ14から排気口15へ短絡して導かれることになるから、加熱室の上面に存在する液槽の油へ燃焼ガスの熱が伝達され難く、高い熱効率が期待できない。更には、熱交換器に比較的高温(例えば、300℃を超える温度)の燃焼排ガスが導かれるため、熱交換器が高温の燃焼排ガスにより熱損傷することが避けられないといった問題がある。
【0003】
そこで、特許文献1に開示の文献にあっては、
図4(d)に示すように、加熱室において、バーナ14から排気口15への燃焼ガスEが短絡することを防止するべく、隔壁Kを備えている。
当該特許文献1に開示の技術の隔壁Kは、以下に示すように、中央流路R1、第1側方流路R2、第2側方流路R3、第3側方流路R4、及び第4側方流路R5の夫々を記載の順に通流させるように配設されている。
説明を追加すると、隔壁Kは、まず最初に、バーナ14から排気口15への長手方向である第1方向Yに直交する第2方向Xで略中央に位置する中央流路R1において、長手方向Yでバーナ14側から排気口15側への方向(以下、正通流方向と略称)に沿って燃焼ガスEを通流させる。次に、隔壁Kは、当該燃焼ガスEの流れを折り返す形態で、第2方向Xで中央流路R1に近接して一対設けられる第1側方流路R2に導き、当該第1側方流路R2において、第1方向Yで排気口15側からバーナ14側への方向(以下、逆通流方向と略称)に沿って燃焼ガスEを通流させる。次に、隔壁Kは、当該燃焼ガスEの流れを折り返す形態で、第2方向Xで第1側方流路R2に対して中央流路R1と逆側に近接して一対設けられる第2側方流路R3に導き、当該第2側方流路R3において、第1方向Yで正通流方向に沿って燃焼ガスEを通流させる。次に、隔壁Kは、当該燃焼ガスEの流れを折り返す形態で、第2方向Xで第2側方流路R3に対して第1側方流路R2と逆側に近接して一対設けられる第3側方流路R4に導き、当該第3側方流路R4において、第1方向Yで逆通流方向に沿って燃焼ガスEを通流させる。次に、隔壁Kは、当該燃焼ガスEの流れを折り返す形態で、第2方向Xで第3側方流路R4に対して第2側方流路R3と逆側に近接して一対設けられる第4側方流路R5に導き、当該第4側方流路R5において、第1方向Yで正通流方向に沿って燃焼ガスEを通流させた後、燃焼ガスEを排気口15へ導く。
【0004】
当該特許文献1に開示の技術の発明者らは、上述の如く、隔壁Kを備えることにより、比較的高温の燃焼ガスEを、加熱室の第2方向Xで略中央領域に通流させながら、徐々に降温した燃焼ガスEを、加熱室の第2方向Xで徐々に側方側に通流させるから、加熱室外の外気と接触して比較的放熱量が大きくなると考えられる第2方向Xでの側方の端部領域に、高温の燃焼ガスEが通流することを抑制し、熱効率の向上が図れると考えていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示の技術にあっては、第1方向Yで側方の端部領域を通流する燃焼ガスEの温度が低いため、当該側方の端部領域における放熱ロスは低減できるものの、第2方向Xで中央領域が高温となり、側方領域が低温となり、第2方向Xでの油温度に温度勾配が大きくなっていた。通常、フライヤーでは、長手方向である第1方向Yに沿って、コロッケ等の被加熱対象物を流しながら揚げることになるが、第1方向Yに直交する第2方向Xにそって温度勾配が大きくなると、第2方向X端部領域の油温が中央領域に比べ低く、端部領域での被加熱対象物温度が低下するため、改善の余地があった。
【0007】
本発明の液体加熱装置は、上述の課題を鑑みたものであり、その目的は、熱交換器の熱損傷を防止しつつ高い熱効率を維持できると共に、加熱室の第1方向での温度勾配を小さくして使用可能領域の拡大を図ることができる液体加熱装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための液体加熱装置は、
液体を貯留する液槽の底部に沿って設けられる加熱室が設けられた液体加熱装置であって、その特徴構成は、
前記液槽の底部
の長手方向に沿う第1方向の一端部に燃焼ガスを前記加熱室へ導入する燃焼ガス導入部が配置され、且つ前記第1方向の他端部に前記加熱室の燃焼ガスを外部に排気させる排気口が配置され、
前記第1方向に沿って設けられる一対の第1外側壁を前記加熱室の側壁として備え、
前記加熱室には、前記加熱室の底部と前記液槽の底部とを接続すると共に、前記第1方向に交差する第2方向に沿う隔壁面を有する複数の流路形成隔壁
のみが、前記第1方向で分散配置して備えられ、
複数の前記流路形成隔壁は、前記第1方向に沿って視る第1方向視で、中央領域に設けられる中央領域隔壁群と、一対の前記第1外側壁の一方の一方側外側壁の近傍に設けられる一方側領域隔壁群と、一対の前記第1外側壁の他方の他方側外側壁の近傍に設けられる他方側領域隔壁群とから構成され、
前記第1方向視で、前記中央領域隔壁群を構成する少なくとも一の前記流路形成隔壁が、前記一方側領域隔壁群を構成する少なくとも一の前記流路形成隔壁の一部と重畳配置されると共に、前記中央領域隔壁群を構成する少なくとも一の前記流路形成隔壁が、前記他方側領域隔壁群を構成する少なくとも一の前記流路形成隔壁の一部と重畳配置され、
前記一方側領域隔壁群を構成する少なくとも一の前記流路形成隔壁が、前記一方側外側壁に接続されると共に、前記他方側領域隔壁群を構成する少なくとも一の前記流路形成隔壁が、前記他方側外側壁に接続され、
複数の前記流路形成隔壁が、前記燃焼ガス導入部から導入した燃焼ガスを通流させて前記排気口へ導く燃焼ガス流路を形成
し、
前記第1方向において、複数の前記流路形成隔壁が、前記燃焼ガス導入部に近いほど隣接する互いの間隔が広く配設されている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、まずもって、第1方向視で、中央領域隔壁群を構成する少なくとも一の流路形成隔壁が、一方側領域隔壁群を構成する少なくとも一の流路形成隔壁の一部と重畳配置されると共に、中央領域隔壁群を構成する少なくとも一の流路形成隔壁が、他方側領域隔壁群を構成する少なくとも一の流路形成隔壁の一部と重畳配置されると共に、一方側領域隔壁群を構成する少なくとも一の流路形成隔壁が、一方側外側壁に接続されると共に、他方側領域隔壁群を構成する少なくとも一の流路形成隔壁が、他方側外側壁に接続されるから、少なくとも、燃焼ガス導入部の側から排気口の側へ向けた第1方向視において、燃焼ガスEが第1方向に沿って短絡して通流する経路が形成されなくなる。
これにより、燃焼ガス導入部の側から排気口の側へ、燃焼ガスが短絡して通流することがなくなるから、加熱室での燃焼ガスと液槽の液体との熱交換の効率低下に伴う熱効率の低減を防止できると共に、当該熱効率の向上に伴い、排気口へ導かれる燃焼ガスの温度を低減でき、熱交換器を通流する燃焼排ガスの温度を比較的低温(例えば、300℃以下程度)にして、熱交換器の熱損傷を防止できる。
更に、発明者らは、当該構成による実測実験、及びシミュレーションを行うことにより、本発明に係る技術では、第1方向における全体としての燃焼ガスの流れ方向を燃焼ガス導入部から排気口への単一方向としているため、熱交換効率の向上を図ることができることを見出した。
説明を追加すると、従来技術としての特許文献1に開示の技術では、後述する実測実験及びシミュレーション結果に示されるように、第1方向における全体としての燃焼ガスの流れ方向が、上述したように、正通流方向と逆通流方向とで複数回に亘って切り替えられるから、それに伴う流速の低下による熱交換効率の低下が起きていると考えられる。
一方で、本発明では、第1方向における全体としての燃焼ガスの流れ方向が、燃焼ガス導入部から排気口への単一方向であるため、従来技術の如く大きい流速の低下を伴わず、それにより熱交換効率を高められていると考えられる。
また、上記特徴構成によれば、通常、加熱室の上流側から下流側への燃焼ガスの流れ方向で、燃焼ガスの流速は、徐々に低下することになるが、上記特徴構成を採用することで、流れ方向での燃焼ガスの流速の変化を小さいものにできるから、流れ方向の略全域に亘って、比較的高い熱効率を維持することができる。
以上のように、本発明によれば、燃焼ガス導入部から排気口への燃焼ガスの流れの短絡を防止して、熱効率の向上及び熱交換器の熱損傷の防止を図ることができながらも、一定以上の流速を維持することにより熱効率の向上を図ることができる液体加熱装置を実現できる。
【0012】
液体加熱装置の更なる特徴構成は、
前記第1方向において、前記燃焼ガス導入部に最近接する前記流路形成隔壁と前記排気口に最近接する前記流路形成隔壁とは、前記中央領域隔壁群を構成する点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、第1方向での両端部において、第1方向に直交する第2方向での側方領域にも、燃料ガスを通流させることができ、局所的に温度の低い領域が発生することを防止して、平面視における温度の均一化を、より一層良好に図ることができる。
【0014】
液体加熱装置の更なる特徴構成は、
前記加熱室は、平面視において、前記第1方向に沿うと共に前記第1方向に直交する第2方向で略中央位置を通る対称線に対して線対称形状であり、
複数の前記流路形成隔壁は、前記平面視において、前記対称線に対して線対称形状に設けられている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、加熱室を、平面視において、第1方向に直交する第2方向において略中央領域を通る対象線にて区画したときに、一方側領域と他方側領域とで、略対象に燃焼ガスEを通流させることができ、一方側領域と他方側領域の温度差をより一層小さくできる。
【0016】
液体加熱装置の更なる特徴構成は、
前記第1方向において、前記中央領域隔壁群を構成する前記流路形成隔壁の間の夫々には、前記一方側領域隔壁群の前記流路形成隔壁と、前記他方側領域隔壁群の前記流路形成隔壁とが夫々1つ設けられ、
前記中央領域隔壁群を構成するすべての前記流路形成隔壁が、前記第1方向において最近接する前記一方側領域隔壁群の前記流路形成隔壁の一部と、前記第1方向視で重畳配置され、
前記中央領域隔壁群を構成するすべての前記流路形成隔壁が、前記第1方向において最近接する前記他方側領域隔壁群の前記流路形成隔壁の一部と、前記第1方向視で重畳配置され、
前記一方側領域隔壁群を構成する前記流路形成隔壁のすべてが、前記一方側外側壁に接続されると共に、前記他方側領域隔壁群を構成する前記流路形成隔壁のすべてが、前記他方側外側壁に接続される点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、第1方向において、燃焼ガスEは、特定の隔壁に沿って案内された後に、第1方向における直近の隔壁にて必ず案内されることになるから、燃焼ガスEの短絡をより一層良好に防止して、熱効率の向上を図ることができる。
【0018】
本発明の液体加熱装置としては、
前記燃焼ガス導入部への燃焼ガスを発生するバーナを備え、
前記バーナに導かれる燃焼用空気と、前記加熱室を通過した燃焼ガスで前記排気口から排出された燃焼排ガスとを熱交換する熱交換器が設けられていることが好ましい。
【0019】
更に、本発明の液体加熱装置としては、
複数の前記流路形成隔壁の隔壁面は、前記第1方向に直交する前記第2方向に沿って設けられていることが好ましい。
これにより、これまで説明してきた効果をより一層良好に発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態に係るフライヤー100(液体加熱装置の一例)は、熱交換器の熱損傷を防止しつつ高い熱効率を維持できると共に、加熱室の第1方向での温度勾配を小さくして使用可能領域の拡大を図ることができるものに関する。
【0022】
以下、本発明に係るフライヤー100(液体加熱装置に相当)の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、フライヤー100は、油Pが収容される油槽11(液槽に相当)と、油槽11内の油Pを加熱するために油槽11の底板11a下に配設された加熱室13を備えて構成されている。
図2に示すように、加熱室13は、その側周囲が、第1方向(図中Y方向)の両端部に配設された一対の第1外側壁12a、12bと、第1方向に直交する第2方向(図中X方向)の両端部に配設された一対の第2外側壁12cおよび12dとから囲まれ、その上部が油槽底板11aとされ、下面が底壁10にて囲まれた空間にて構成されている。ここで、加熱室13は、例えば、直方体状の空間にて形成されており、平面視において短手方向が第2方向(図中X方向)となっており、長手方向が第1方向(図中Y方向)となっている。これにより、加熱室13は、第1方向よりも第2方向に長い空間となっている。
例えば、この油槽11の長手方向が被調理物の搬送方向とされ、この油槽11の短手方向が被調理物の両端支持方向とされる。
【0023】
フライヤー100には、燃焼ガスEを発生させるバーナ14と、その発生させた燃焼ガスEを加熱室13に導入するための燃焼ガス導入部と、加熱室13の燃焼ガスEを外部に排気するための排気口15とが備えられ、加熱室13には、バーナ14にて発生した燃焼ガスEを通流させて排気口15に導く燃焼ガス流路が備えられている。
この実施形態では、バーナ14にて加熱室13内に火炎が形成されるため、燃焼ガス導入部は、バーナ14にて形成される火炎の終端部位及びその周辺部位となる。バーナ14及び燃焼ガス導入部は、第1方向(図中Y方向)で加熱室13の一端部に配置しており、排気口15は、第1方向で加熱室13の他端部に配置しており、バーナ14と排気口15とは第1方向で加熱室13の対向する端部になるように配置している。
【0024】
(バーナ)
第1方向(図中Y方向)で加熱室13の一端部側にはバーナ14が設けられており、そのバーナ14が配置されている空間を加熱室13に燃焼ガスEを導入させる燃焼ガス導入空間として構成されている。バーナ14には燃料ガスFと空気Aが燃料供給路18と空気供給路19により供給される。バーナ14は加熱室13の底壁10に形成される複数の噴孔14aから上方側に向けて燃焼ガスEを噴出自在に構成されており、その上方側に噴出される燃焼ガスEを加熱室13に導入するように構成されている。バーナ14は、第2方向(図中X方向)の加熱室13の中央側に設置され、第2方向で連続して燃焼ガスEを発生自在に構成されている。つまり、バーナ14は、第2方向で加熱室13の中央部が中心となるように配置されており、第2方向でのバーナ14の長さは加熱室13の略全長に亘る長さを有している。バーナ14は、第2方向でバーナ14の全長に亘って燃焼ガスEを噴出して、全体として第2方向に長い火炎を形成するように構成されている。これにより、燃焼ガス導入部が、第2方向において加熱室13の略全長に亘って形成されることになり、第2方向において連続して燃焼ガスを導入自在に構成されている。
バーナ14には着火装置(図示せず)により自動で着火が可能であり、着火後は火力調整装置(図示せず)により火力調整が可能なように構成されている。また、火力調整装置は、フライヤー100に備えられた油温の温度調整装置(図示せず)によっても制御可能に構成される。
【0025】
(排気口)
第1方向(図中Y方向)で加熱室13の他端部側には、燃焼ガスEの排気口15が設けられている。排気口15は、第2方向(図中X方向)の中央部に、加熱室13の底壁10を円形に開口して設けられている。また、排気口15から排出された燃焼排ガスEは、燃焼用空気Aとの熱交換を行うために排気ダクト22によって熱交換器21に導かれる。
【0026】
(熱交換器)
排気口15から排出された燃焼ガスEは、排気ダクト22によって熱交換器21に導入される。熱交換器21では空気Aと燃焼ガスEの熱交換が行われ、燃焼ガスEから排熱を回収して空気Aを加熱する。高温となった空気Aは空気供給路9を通ってバーナ14における燃焼のために使用される。
【0027】
さて、当該実施形態に係るフライヤー100にあっては、加熱室13の第2方向(図中X方向)における温度勾配をなるべく緩くすると共に、熱効率の向上を図るべく、加熱室13に以下の如く流路形成隔壁を配設して、燃焼ガス流路を形成している。
即ち、加熱室13には、当該加熱室13の底壁10と油槽11の油槽底板11aとを接続すると共に、第1方向(図中Y方向)に交差する第2方向(図中X方向)に沿う隔壁面を有する複数の流路形成隔壁31、32、33が、第1方向で分散配置して備えられている。
そして、複数の流路形成隔壁31、32、33は、第1方向に沿って視る第1方向視(
図3に示す方向視)で、中央領域に設けられる中央領域隔壁群31と、一対の第1外側壁12a、12bの一方の一方側外側壁12bの近傍に設けられる一方側領域隔壁群32と、一対の第1外側壁12a、12bの他方の他方側外側壁12aの近傍に設けられる他方側領域隔壁群33とから構成されている。
第1方向視(
図3に示す方向視)で、中央領域隔壁群31を構成する少なくとも一の流路形成隔壁(31a〜31eの少なくとも一つ)が、一方側領域隔壁群32を構成する少なくとも一の流路形成隔壁(32a〜32dの少なくとも一つ)の一部と重畳配置されると共に、中央領域隔壁群31を構成する少なくとも一の流路形成隔壁(31a〜31eの少なくとも一つ)が、他方側領域隔壁群33を構成する少なくとも一の流路形成隔壁(33a〜33dの少なくとも一つ)の一部と重畳配置されている。
更に、一方側領域隔壁群32を構成する少なくとも一の流路形成隔壁(32a〜32dの少なくとも一つ)が、一方側外側壁12bに接続されると共に、他方側領域隔壁群33を構成する少なくとも一の流路形成隔壁(33a〜33dの少なくとも一つ)が、他方側外側壁12aに接続されている。
【0028】
因みに、当該実施形態においては、
図2に示すように、第1方向において、中央領域隔壁群31を構成する流路形成隔壁(31a〜31e)の間の夫々には、一方側領域隔壁群32の流路形成隔壁(32a〜32d)と、他方側領域隔壁群33の流路形成隔壁(33a〜33d)とが夫々1つ設けられている。
更に、当該実施形態においては、中央領域隔壁群31を構成する流路形成隔壁(31a〜31e)は、第2方向で同一長さを有すると共に、第2方向における両端位置が揃えて配設され、一方側領域隔壁群32を構成する流路形成隔壁(32a〜32d)は、第2方向で同一長さを有すると共に、第2方向における両端位置が揃えて配設され、他方側領域隔壁群33を構成する流路形成隔壁(33a〜33d)は、第2方向で同一長さを有すると共に、第2方向における両端位置が揃えて配設されている。
そして、中央領域隔壁群31を構成するすべての流路形成隔壁(31a〜31e)が、第1方向において最近接する一方側領域隔壁群32の流路形成隔壁(32a〜32d)の一部と、第1方向視で重畳配置され、中央領域隔壁群31を構成するすべての流路形成隔壁(31a〜31e)が、第1方向において最近接する他方側領域隔壁群33の流路形成隔壁(33a〜33d)の一部と、第1方向視で重畳配置されている。
また、一方側領域隔壁群32を構成する流路形成隔壁(32a〜32d)のすべては、一方側外側壁12bに接続されると共に、他方側領域隔壁群33を構成する流路形成隔壁(33a〜33d)のすべては、他方側外側壁12aに接続される。
更に、当該実施形態においては、一方側領域隔壁群32を構成する流路形成隔壁(32a〜32d)と、他方側領域隔壁群33を構成する流路形成隔壁(33a〜33d)との夫々は、第2方向において同一位置に配設されている。当該構成において、第2方向において同一位置に配設されている一方側領域隔壁群32を構成する流路形成隔壁(32a〜32d)と、他方側領域隔壁群33を構成する流路形成隔壁(33a〜33d)との間の夫々には、間隙が形成されている。
【0029】
上述の構成により、加熱室13は、
図2の平面視において、第1方向に沿うと共に第1方向に直交する第2方向で中央位置を通る対称線Zに対して線対称形状となり、複数の流路形成隔壁31、32、33は、対称線Zに対して線対称形状に設けられることになる。
【0030】
以上の構成により、バーナ14から加熱室13へ噴出される燃焼ガスEは、大きく分けると、平面視において、加熱室13を対称線Zで区画した一方側領域(一方側領域隔壁群32を含む領域)を通流する流れと、加熱室13を対称線Zで区画した他方側領域(他方側領域隔壁群33を含む領域)を通流する流れとを形成することになり、両者の流れを構成する燃焼ガスEの流量は、略同等となる。また、燃焼ガスEは、第2方向に拡散しながら、第1方向に向かって流れることになるため、第1方向における夫々の位置において、第2方向での温度勾配を小さくでき、温度の均一化を図ることができる。また、バーナ14から排気口15へ燃焼ガスEが短絡して導かれることを防止し、熱効率の向上を図ることができる。
更に、当該構成によれば、燃焼ガスEの全体としての流れ方向が、バーナ14から排気口15へ向かう単一方向で、全体としての流れ方向が、排気口15からバーナ14へ向かうような折り返しは発生しないため、燃焼ガスEを比較的高い流速を保った状態で、加熱室13を通流させることができる。これにより、より一層の熱効率の向上を図っている。
燃焼ガスEの流れについて、換言すれば、バーナ14から排出された燃焼ガスEは、中央領域隔壁群31を構成する流路形成隔壁31a〜31eと一方側外側壁12bとの間の間隙と、中央領域隔壁群31を構成する流路形成隔壁31a〜31eと他方側外側壁12aとの間の間隙とを通流すると共に、第2方向において同一位置に配設されている一方側領域隔壁群32を構成する流路形成隔壁(32a〜32d)と、他方側領域隔壁群33を構成する流路形成隔壁(33a〜33d)との間の間隙を通流することになる。
【0031】
更に、当該実施形態においては、
図2に示すように、第1方向において、複数の流路形成隔壁31、32、33は、バーナ14に近いほど隣接する互いの間隔が広く配設されている。
図2に示す例においては、燃焼ガスEの流れ方向で、上流側における流路形成隔壁31、32、33の隣接する間隔L1は、下流側にける流路形成隔壁31、32、33の隣接する間隔L2よりも幅広に配設されている。これにより、燃焼ガスEの流れ方向での流速が、下流側で遅くなり難い状態を実現して、下流側での熱効率を改善している。
【0032】
更に、
図2に示すように、第1方向において、バーナ14に最近接する流路形成隔壁31aと排気口15に最近接する流路形成隔壁31eとは、中央領域隔壁群31を構成する流路形成隔壁として、バーナ14の近傍において、第2方向で燃焼ガスEを拡散させると共に、排気口15の近傍においても、第2方向で燃焼ガスEを拡散させている。
【0033】
〔実験及びシミュレーション〕
次に、本発明の効果を検証するべく行った実験、及びシミュレーションに関し、
図4〜
図8に基づいて説明する。
当該実験及びシミュレーションは、本発明に係る第1実施例及び第2実施例
の結果を、第1比較例及び第2比較例と比較することで評価する。
【0034】
実施例1は、
図4(a)に示すように、これまで説明してきた上記実施形態に係るフライヤー100と同一の構成である。因みに、加熱室13の第1方向での長さは、785mmであり、第2方向での長さは、1635mmであり、流路形成隔壁の間の距離であるL1は、120mmであり、L2は80mmである。また、バーナ14への燃焼用空気Aの流量は、70m
3/hであり、燃料ガスFの流量は、5m
3/hである。
実施例2は、
図4(b)に示すように、実施例1に対し、中央領域隔壁群31を構成する流路形成隔壁の数を4つとし、一方側領域隔壁群32を構成する流路形成隔壁の数と、他方側領域隔壁群33を構成する流路形成隔壁の数とを、夫々3つとしたものである。
比較例1は、
図4(c)に示すように、流路形成隔壁を設けないものである。
比較例2は、
図4(d)に示すように、従来技術で説明した特許文献1に対応するものである。
【0035】
実験では、
図4のT1〜T6に示す位置において熱電対を配設すると共に、
図3の排気ダクト22でT
Eに示す位置において熱電対を配設して、燃焼ガスEを加熱室13に通流している状態で、温度を計測した。
〔表1〕及び〔表2〕には、計測した温度の一時間の平均値を示している。尚、〔表1〕、〔表2〕では、実験において、熱交換器21に導かれる燃焼ガスEの温度が400℃以上となり熱交換器21の保護の観点から、実験を中断したため、データが取得できていない箇所においては、数値を示していない。
【0036】
特に、〔表1〕の温度差ΔT
1−2、ΔT
3−4、ΔT
5−6の値から明らかなように、実施例1及び実施例2では、比較例1、2に比べて、第2方向(
図4でX方向)での温度差を十分に抑えることができており、第2方向での温度の均一化をより図ることができていることがわかる。また、排気温度T
Eについても、実施例1及び実施例2では、比較例2に比べて低くできていることがわかる。
【0039】
次に、シミュレーションの結果を、
図5〜8に基づいて説明する。
図5〜8の夫々は、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2に対応する結果を示している。因みに、
図5〜8では、加熱室13を対称線Zで区画した2つの領域のうち、一方側領域に対応する結果を示している。(a)は、加熱室13を通流する燃焼ガスEの温度を示しており、(b)は、加熱室13を通流する燃焼ガスEの速度を示している。
当該シミュレーション結果から、実施例1及び実施例2では、特に、比較例2に比べて、第2方向における燃焼ガスEの温度差を、低減できていると言える。
特筆すべきは、実施例1及び実施例2では、比較例2に比べて、燃焼ガスEの流速が13.5m/s以上の15.0m/s以下となっている領域の面積が広く、当該部分における熱効率が高くできていると言える。
【0040】
尚、
図5〜8については、別途提出している物件提出書において、対応するカラー図面を示しており、当該カラー図面を併せて参照することにより、本発明の効果がより明確に把握できる。
【0041】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態において、第1方向(図中Y方向)と第2方向(図中X方向)とは、必ずしも直交していなくても構わない
従って、加熱室13は、実施形態に示したように、直方体形状でなくても構わない。
【0042】
(2)上記実施形態において、流路形成隔壁31、32、33の隔壁面は、第2方向(図中X方向)に沿う方向としたが、必ずしも第2方向に沿う方向でなくとも良い。
【0043】
(3)上記実施形態においては、第1方向において、中央領域隔壁群31を構成する流路形成隔壁(31a〜31e)の間の夫々には、一方側領域隔壁群32の流路形成隔壁(32a〜32d)と、他方側領域隔壁群33の流路形成隔壁(33a〜33d)とが夫々1つ設けられている構成を示した。
しかしながら、当該構成に限らず、第1方向において、中央領域隔壁群31を構成する流路形成隔壁(31a〜31e)の間の夫々に、一方側領域隔壁群32の流路形成隔壁(32a〜32d)と、他方側領域隔壁群33の流路形成隔壁(33a〜33d)とが複数設けられている構成を採用しても構わない。
【0044】
(4)上記実施形態においては、中央領域隔壁群31を構成する流路形成隔壁(31a〜31e)は、第2方向で同一長さを有すると共に、第2方向における両端位置が揃えて配設される構成例を示したが、流路形成隔壁(31a〜31e)は、互いに異なる長さであっても構わないし、両端位置が揃えられていなくても構わない。
【0045】
(5)一方側領域隔壁群32を構成する流路形成隔壁(32a〜32d)は、第2方向で互いに異なる長さであっても構わないし、他方側領域隔壁群33を構成する流路形成隔壁(33a〜33d)は、第2方向で互いに異なる長さであっても構わない。また、両者の夫々の第2方向における端部位置も揃えられていなくても構わない。
【0046】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。