(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
イメージセンサを保持する可動部を有し、カメラ装置の揺れに応じて、前記イメージセンサの受光面に被写体の像を結像するレンズ部の光軸に垂直な方向に前記可動部を移動して揺れ補正する揺れ補正部を備える、前記カメラ装置における重力補償方法であって、
前記レンズ部に対する、前記レンズ部の光軸に垂直な方向における前記イメージセンサの位置の情報を取得し、
前記位置の情報に基づいて、前記イメージセンサが基準位置に配置されるよう、前記可動部に接続された弾性部材の長さを調整するギアに駆動力を供給するモータの駆動力を制御し、
前記レンズ部の光軸と垂直な方向に沿って前記可動部にかかる重力の分力と同じ大きさの力で、前記重力の分力の方向と反対方向に、前記可動部を支持する、
重力補償方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における揺れ補正機構100を備える監視カメラ200(200A)の斜視図である。
【0011】
揺れ補正機構100は、例えば
図1に示すドーム型の監視カメラ200Aに適用できる。監視カメラ200Aは、例えば円錐面を有する筒状の外カバー11を有する。外カバー11の上端は、天井又はポール等の被取付体に固定される取付筒13を有する。監視カメラ200Aは、取付筒13が鉛直方向上側となって、ポール等から垂下して取り付けられる。外カバー11は、雨よけとして機能する。取付筒13は、挿入したポール等を固定するための固定ボルト15を、円周方向に等間隔で複数螺合している。取付筒13は、外カバー11の内方に通じる。外カバー11内には、ポール等に通された電源線や信号線が、取付筒13を通って導入される。
【0012】
外カバー11の下面は、例えば円形開口となる。円形開口には、例えば円環状のリングカバー17が着脱自在に取り付けられる。リングカバー17の内穴19からは、例えば透明樹脂材料を用いて構成されたドームカバー21の半球側が垂下する。ドームカバー21は、半球外殻と、半球外殻の開口周縁に同一半径で接続する円筒とを含む。円筒は、半球外殻と反対側に、リングカバー17に固定されるフランジ(図示略)を有する。ドームカバー21は、このフランジがリングカバー17と外カバー11との間に配置されて固定される。
【0013】
ドームカバー21は、例えば成形性及び透明性に優れた樹脂材料を基板材料として用いる。樹脂材料としては、有機系樹脂材料、無機系樹脂材料を用いることができる。本実施形態では、半球外殻の基板材料に、例えばポリカーボネートなどの有機系樹脂材料を用いている。ポリカーボネートは、硬く衝撃に強いため好適である。また、アクリルなど透明性の良好な樹脂も使用可能である。
【0014】
ドームカバー21は、その内側がカメラ収容空間となる。カメラ収容空間には、鉛直方向に沿う方向のパン回転中心Pcと、パン回転中心Pcに直角方向で交差するチルト回転中心Tcと、を中心にパン回転及びチルト回転が自在となったカメラ部23が配置される。カメラ部23は、カメラ筐体25にレンズ部27を備える。カメラ筐体25には、カメラ部23の揺れの影響を勘案した補正(以下、「揺れ補正」(BIS:in body image stabilizer)と称する場合がある)の処理を行うBIS機構ユニット29が設けられる。BIS機構ユニット29は、カメラ筐体25のベースの一例としてのレンズマウントベース31に固定される揺れ補正機構100を有する。揺れ補正機構100には、イメージセンサ(図示略)が取り付けられている。
【0015】
図2は、揺れ補正機構100を備える他の監視カメラ200(200B)を内部構造の一部と共に表した透視斜視図である。
【0016】
なお、本実施形態において、上下前後左右の方向は、
図2に示した矢印の方向に従うものとするが、これらの方向は、
図1に示す監視カメラ200Aにおいても同様に適用できる。
【0017】
揺れ補正機構100は、
図1に示すドーム型の監視カメラ200Aと同様に、
図2に示すボックス型の監視カメラ200Bにも適用できる。監視カメラ200Bは、箱(ボックス)状のカメラ筐体33内にカメラ部23(
図2では不図示)を収容する。
【0018】
カメラ部23は、レンズ部35を備える。カメラ部23には、カメラ部23の揺れの影響を勘案した補正(揺れ補正)の処理を行うBIS機構ユニット29(
図2では不図示)が設けられる。BIS機構ユニット29は、カメラ筐体33のベースの一例としてのレンズマウントベース37に固定される揺れ補正機構100を有する。揺れ補正機構100は、レンズマウントベース37に固定される。レンズマウントベース37は、カメラ筐体33に固定される。揺れ補正機構100には、後述のイメージセンサが取り付けられる。
【0019】
図3は、
図2に示した監視カメラ200Bを後方斜め右上から見た透視斜視図である。
【0020】
レンズマウントベース37は、固定ブラケット39によりカメラ筐体33に固定される。レンズマウントベース37は、一方の面(例えば
図2に示す前面41)でレンズ部35を支持する。レンズマウントベース37は、レンズ部35を通る光軸Ocに垂直な他方の面(例えば背面43)に受光窓(図示略)が開口する。
【0021】
監視カメラ200Bは、例えば天井面、壁面又はポールに取り付けられる。天井面、壁面又はポールには、
図2に示したカメラ取付台47が固定される。カメラ取付台47は、固定フランジ部49と、固定フランジ部49から突出する支持柱51と、支持柱51の先端に設けられた方向調節部53とを有する。方向調節部53は、先端に、三脚取付ネジ55を有する。三脚取付ネジ55は、カメラ筐体33の三脚取付座57に螺合され、固定リング59により固定される。
【0022】
方向調節部53は、三脚取付ネジ55の基端に設けた球体(図示略)を軸受に、球面対偶で支持する。従って、三脚取付ネジ55は、軸受内で球体が向きを変えたり回転したりするピボット動作を可能とする。方向調節部53は、三脚取付ネジ55によりカメラ筐体33を、鉛直方向に沿う方向のパン回転中心Pcを中心にパン回転自在に支持するとともに、パン回転中心Pc上のチルト回転中心Tcを中心にチルト回転自在に支持する。
【0023】
監視カメラ200Bは、天井面、壁面又はポールに取り付けられる際に、撮影方向が設定される。撮影方向は、例えば天井面に取り付けられる場合には、やや傾斜して設定される。撮影方向が設定された監視カメラ200Bは、方向調節部53の固定レバー61により、三脚取付ネジ55(球面対偶)を固定する。
【0024】
揺れ補正機構100は、上述した監視カメラ200としての監視カメラ200Aや監視カメラ200Bのいずれに設けられてもよい。
【0025】
図4は、
図3に示した揺れ補正機構100を後方斜め右上から見た斜視図である。
【0026】
揺れ補正機構100は、レンズマウントベース37と、初段揺動部材63と、次段揺動部材65と、素子ホルダ67とを有する。揺れ補正機構100では、次段揺動部材65及び素子ホルダ67が組み付けられた初段揺動部材63が、レンズマウントベース37に固定される。
【0027】
図5は、
図3に示した揺れ補正機構100を前方斜め右上から見た斜視図である。
【0028】
揺れ補正機構100では、次段揺動部材65が、初段揺動部材63における一対の脚部69の間に配置されている。初段揺動部材63は、レンズマウントベース37(不図示)に固定されて可動する。次段揺動部材65は、初段揺動部材63の内側に更に可動自在に支持される。即ち、初段揺動部材63及び次段揺動部材65は、入れ子構造で2段に組み立てられている。初段揺動部材63に取り付けられて可動自在となる次段揺動部材65は、レンズマウントベース37と干渉しないように離間している。つまり、次段揺動部材65は、レンズマウントベース37と非接触で対向配置される。
【0029】
図6は、レンズ部27、レンズマウントベース37、素子ホルダ67、初段揺動部材63及び次段揺動部材65の分解斜視図である。
【0030】
次段揺動部材65には、素子ホルダ67が固定される。素子ホルダ67は、略四角形状のヒートシンク71を有する。ヒートシンク71には、複数の冷却フィン(図示略)が設けられる。ヒートシンク71は、イメージセンサ104からの熱が熱伝導により伝わる。ヒートシンク71は、イメージセンサ104から伝わった熱を冷却フィンにより空気中に排熱する。つまり、イメージセンサ104を空冷する。
【0031】
素子ホルダ67の直交する隣接2辺には、縦辺に第1コイル75、横辺に第2コイル77が取り付けられる。第1コイル75と第2コイル77とは、それぞれ対応するようにレンズマウントベース37の隣接2辺に設けられた第1磁石79と第2磁石81とにより、第1リニアモータ83、第2リニアモータ85を構成する。言い換えると、第1コイル75と第1磁石79とにより第1リニアモータ83が構成され、第2コイル77と第2磁石81とにより第2リニアモータ85が構成される。これら第1リニアモータ83、第2リニアモータ85は、素子ホルダ67を2軸方向に移動させるためのアクチュエータ87を構成する。
【0032】
アクチュエータ87は、第1リニアモータ83によって素子ホルダ67(言い換えると、イメージセンサ104)を左右方向に駆動し、更に、第2リニアモータ85によって素子ホルダ67(言い換えると、イメージセンサ104)を上下方向に駆動する。
【0033】
揺れ補正機構100は、イメージセンサ104が、レンズ部35の光軸Ocに対して垂直な2軸方向に自由に移動することを可能とする。このため、監視カメラ200A,200Bが外力などにより揺れた場合、監視カメラ200A、200Bは、その揺れをキャンセルする方向にイメージセンサ104を移動させることで、揺れによる撮像画像の画質の劣化(画像ぶれ)を抑制でき、良好な画像が得られる。
【0034】
次に、重力補償を加味した監視カメラ200の具体的な構成例について説明する。
【0035】
図7は、重力補償を加味した監視カメラ200の概略構成例を示す図である。監視カメラ200は、
図7では、一例として、イメージセンサ104の受光面に沿う一方向が重力方向αとされている。
【0036】
なお、
図7において、点線で示した揺れ補正機構100、イメージセンサ104、レンズ部130、及びジャイロセンサ140は、揺れ補正時における位置の移動を示している。
【0037】
監視カメラ200は、BIS機構ユニット110、レンズ部130、ジャイロセンサ140、比較器160、BISモータドライバ170、BISモータ180、及びDSP(Digital Signal Processor)190を備える。BIS機構ユニット110は、例えば
図1に示したBIS機構ユニット29である。レンズ部130は、例えば
図1に示したレンズ部27、
図6に示したレンズ部35である。BISモータ180は、例えば
図6に示した第1リニアモータ83又は第2リニアモータ85である。
【0038】
イメージセンサ104は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を含んで形成されてよい。
【0039】
BIS機構ユニット110は、揺れ補正機構100、重力補償機構120、位置センサ150、及びBISモータ180を含む。なお、先に説明した構成部については、説明を省略又は簡略化することがある。
【0040】
重力補償機構120は、監視カメラ200に揺れのないタイミングにおいて、又は揺れ補正制御を抑止したタイミングにおいて、重力を相殺するように、可動部A2の位置を調整する。可動部A2は、少なくともイメージセンサ104を搭載する。重力補償機構120は、重力補償バネ121及びギア124(
図1参照)を用いて、可動部A2にかかる重力のうち光軸Ocに垂直な分力を支持する。可動部A2は、例えば素子ホルダ67である。なお、本実施形態では、「重力補償」とは、BIS機構ユニット110にかかる重力を相殺するように、重力補償バネ121によって可動部A2を支持することを意味してよい。
【0041】
重力補償バネ121は、バネ調整用モータ122の駆動により、バネ弾性力を調整でき、バネ弾性力を調整可能である。重力補償バネ121のバネ弾性力の調整は、後述する監視カメラ200の動作モードが重力補償モードに設定された際に調整されてよい。また、重力補償機構120は、監視カメラ200の光軸調整時に、重力補償バネ121のバネ張力が調整されてよい。重力補償バネ121のバネ弾性力の調整タイミングの詳細については、後述する。なお、バネ弾性力は、バネ張力又はバネ反力を示す。
【0042】
レンズ部130は、イメージセンサ104の受光面に被写体B1(
図8参照)の像を結像する1つ以上のレンズ131を有する。レンズ131は、監視カメラ200の設置場所や撮像用途によって、様々な焦点距離や撮像範囲のレンズに交換可能である。
【0043】
ジャイロセンサ140は、レンズ部130の筐体に設置されてよい。ジャイロセンサ140は、角速度を検出する。この角速度は、レンズ部130の揺れ等に係る角速度つまり監視カメラ200の揺れ等に係る角速度を示してよい。
【0044】
位置センサ150は、イメージセンサ104の位置xを検出する。イメージセンサ104の位置xは、イメージセンサ104を含む可動部A2の位置とも言える。イメージセンサ104の位置xは、レンズ部130に対する、光軸Ocに垂直な方向(例えば
図7の上下方向)におけるイメージセンサ104の位置でよい。なお、重力補償機構120により重力補償された結果、レンズ部130に揺れがない場合、又は揺れ補正制御を抑止したタイミングにおいて、イメージセンサ104の位置xは、基準位置xsを示す。つまり、x=xsとなる。基準位置xsは、光軸Oc上にイメージセンサ104の受光面の中心位置が配置されたことを示す値0(xs=0)、又は、監視カメラ200の製造時の光軸ずれを調整するための位置を示す値(光軸調整値:x1)(xs=x1)となる。つまり、光軸Ocは、光軸調整値x1の位置を通る。値0の場合、基準位置xsが、幾何的な中心位置となる。光軸ずれは、例えば監視カメラ200の製造時の部品のばらつきにより生じる。光軸調整では、レンズ部130が規定する光軸Ocのずれが調整される。
【0045】
比較器160は、ジャイロセンサ140により検出された角速度ωの情報と位置センサ150により検出されたイメージセンサ104の位置xの情報に基づいて、比較器160の出力値を決定する。比較器160は、角速度ωに基づく距離の変位量Δxとイメージセンサ104の位置xの情報とに基づいて、比較器160の出力値を決定してよい。角速度ωが値0でない場合、レンズ部130に角速度が発生していることを示しており、つまりレンズ部130に揺れ(揺れ角度Δθ、揺れ量Δx)が発生していることを示している。つまり、監視カメラ200に揺れ(揺れ量Δx)が発生していることを示している。比較器160は、レンズ部130の揺れを相殺するように、(x−Δx)の値を出力値として、BISモータドライバ170へ送る。
【0046】
BISモータドライバ170は、比較器160の出力値に基づいて、BISモータ180を駆動する。BISモータドライバ170は、BISモータ180に対してPID(Proportional-Integral-Diferential)制御してよい。つまり、BISモータドライバ170は、(x−Δx)の値に基づいて、ジャイロセンサ140により検出された角速度ωに基づく距離の変位量Δxが値0となるように、即ちΔxを相殺するように、BISモータ180をフィードバック制御してよい。
【0047】
BISモータ180は、BISモータドライバ170からの指令により、イメージセンサ104の位置を調整するよう駆動力を供給する。具体的には、BISモータ180は、イメージセンサ104の位置がx−Δxの位置となるよう、可動部A2を
図7における上下方向に移動させてよい。これにより、現在発生している角速度ωに基づく距離の変位量Δxの移動が相殺されて、位置xにイメージセンサ104が移動するよう制御される。
【0048】
DSP190は、イメージセンサ104により撮像された撮像画像に対して、各種画像処理を行う。
【0049】
このように、監視カメラ200は、重力補償機構120により、BIS機構ユニット110による揺れ補正時に必要な力から重力を支持するための力が不要となり、揺れ補正に要する力を低減できる。よって、重力補償機構120は、揺れ補正に要する力を供給するBISモータ180の駆動力を低減できる。よって、駆動力の小さいBISモータ180で十分となり、BIS機構ユニット110の小型化や省電力が実現できる。更に、監視カメラ200は、BISモータ180の寿命を長くでき、監視カメラ200の寿命も長くできる。
【0050】
図8は、監視カメラ200の詳細構成例を示す図である。重力補償を加味した監視カメラ200の概略構成例を示す図である。監視カメラ200は、
図8では、一例として、イメージセンサ104の受光面に沿う一方向が重力方向αとされている。なお、
図8において、
図7と同様の構成部については、説明を省略又は簡略化することがある。
【0051】
監視カメラ200は、メモリM1及びCPU250を備える。メモリM1は、各種データ、プログラム、テーブル、値、等を保持する。メモリM1は、基準位置xsの情報を保持してよい。基準位置xsは、光軸ずれがない場合には値0であり、光軸ずれがある場合には光軸調整値x1である。
【0052】
CPU250は、監視カメラ200内の各部を制御する。CPU250は、メモリM1に保持されたプログラムを実行することで、各種機能を実現する。CPU250は、例えば監視カメラ200の動作モードを設定してよい。動作モードは、重力補償モード、揺れ補正モードを含む。重力補償モードは、重力補償バネ121により重力補償するために、重力補償バネ121のバネ弾性力を変更可能な動作モードである。重力補償モードでは、揺れ補正は実施されない。揺れ補正モードは、揺れ補正を行うための動作モードである。揺れ補正モードでは、重力補償バネ121のバネ弾性力は変更されない。なお、CPU250が動作モードを設定せず、監視カメラ200が動作モードを意識せずに動作してもよい。例えば、CPU250は、動作モードを設定せずに、監視カメラ200に揺れのないタイミングにおいて、又は揺れ補正制御を抑止したタイミングにおいて、バネ弾性力を変更してもよい。
【0053】
BIS機構ユニット110は、固定部A1及び可動部A2を含む。固定部A1は、レンズ部130、レンズマウントベース135、位置センサ150の一部、及びBISモータ180の一部を含んでよい。レンズマウントベース135は、レンズ部130に固定して接続される。位置センサ150の一部(例えば磁石152)、及びBISモータ180の一部(例えば磁石182)は、可動部A2に対向する面に設置される。磁石152や磁石182はホール素子151やコイル181と比較すると質量が大きいので、固定部A1に設置されることが好ましい。レンズマウントベース135は、カメラ筐体(例えばカメラ筐体25又はカメラ筐体33)に固定される。つまり、固定部A1は、監視カメラ200本体に対する位置が固定されている。固定部A1は、少なくともレンズ部130及びレンズマウントベース135を含む。レンズマウントベース135は、例えばレンズマウントベース37である。磁石152は、例えば第1磁石79又は第2磁石81である。
【0054】
可動部A2は、基板102と基板102に実装された各種電気部品や電子部品(少なくともイメージセンサ104)とを含む。可動部A2は、イメージセンサ104、センサ基板106、重力補償機構120の重力補償バネ121、バネ調整用モータ122、位置センサ150の一部、BISモータ180の一部を含んでよい。位置センサ150の一部(例えばホール素子151)及びBISモータ180の一部(例えばコイル181)は、固定部A1に対向する面に設置される。可動部A2は、少なくともイメージセンサ104を含む。コイル181は、例えば第1コイル75又は第2コイル77である。
【0055】
可動部A2は、レンズ部130との位置関係を可変である。つまり、可動部A2は、レンズ部130に対して可動する。可動部A2は、監視カメラに発生する揺れに応じて、光軸Ocに直交する方向に可動する。
図8では、光軸Ocに直交し、重力方向αに沿って可動することが例示されている。
図8では、可動部A2は、重力方向α及び重力方向αに垂直な水平方向(光軸Ocに直交する他の一方向、
図8の奥行方向)に動いてよい。可動部A2は、固定部A1とは異なり、監視カメラ200本体に対する位置が固定されておらず、揺れに応じて可動する。可動部A2は、監視カメラ200に揺れが発生した際に、揺れによるイメージセンサ104の位置の変位を相殺するように、動く。
【0056】
重力補償機構120は、重力補償バネ121、バネ調整用モータ122、及びギア124を含む。また、監視カメラ200は、バネ調整用モータドライバ123を備える。
【0057】
重力補償バネ121は、そのバネ弾性力により、可動部A2の基板102の面に沿って、可動部A2を重力のうち光軸Ocに垂直な分力方向と反対方向に引っ張って支える。重力補償バネ121のバネ弾性力は、可動部A2に加わる重力の分力F1(
図9参照)と一致してよい。重力補償バネ121の長さは、ギア124によって調整されてよい。なお、重力補償バネ121の構造により、バネ弾性力で可動部A2を押し上げてもよい。
【0058】
バネ調整用モータ122は、ギア124に駆動力を供給し、ギア124によって重力補償バネ121のバネ弾性力を調整する。可動部A2に加わる重力の分力F1は、可動部A2の重力方向に対する傾きθ1(
図9参照)に応じて変化する。可動部A2の傾きは、レンズ部130の傾きに応じて変化し、つまり監視カメラ200の向きに応じて変化する。バネ調整用モータ122は、監視カメラ200の向きに応じて、重力補償バネ121のバネ弾性力が、可動部A2にかかる重力成分の力(重力の分力F1)と一致するよう調整する。バネ調整用モータ122は、例えば、バネ調整用モータドライバ123からの指令により、正回転又は逆回転して駆動し、シャフト等を介してギア124に駆動力を伝達する。
【0059】
重力補償バネ121のバネ弾性力は、ギア124により巻き取られるバネ部分の長さに応じて調整されてよい。バネ調整用モータ122は、初期設定時(例えば監視カメラ200の最初の設置時)やレンズ部130の傾きが変化した際に駆動して、重力補償バネ121のバネ弾性力を調整し、その他のタイミング又は動作モード(例えば通常監視モード)では駆動せず、重力補償バネ121のバネ弾性力を固定してよい。通常監視モードは、通常の運用時の監視がされており、揺れ補正が実施されるモードであってよい。
【0060】
ギア124は、バネ調整用モータ122の駆動により、重力補償バネ121の一部を巻き取り可能である。ギア124は、重力の分力F1の大きさに応じて、重力補償バネ121の巻き取り量を変更することで、バネ定数を変更できる。ギア124は、段階的に重力補償バネ121の長さを調整してよく、重力補償バネ121の長さが意図せず元の長さに戻らないように、巻き取り方向と逆方向への回転を防止する機構を有してもよい。
【0061】
バネ調整用モータドライバ123は、バネ調整用モータ122を駆動する駆動力(例えば駆動電力、駆動電圧、駆動電流)をバネ調整用モータ122に送る。バネ調整用モータドライバ123は、選択部155からのイメージセンサ104の位置xと基準位置xsとの情報に基づいて、バネ調整用モータ122の駆動力を制御する。例えば、バネ調整用モータドライバ123は、イメージセンサ104の位置xが基準位置xsとなるように、バネ調整用モータ122の駆動力を調整してよい。基準位置xsは、前述したように、光軸Oc上にイメージセンサ104の受光面の中心位置(xs=0)、又は、光軸調整するための位置(xs=x1)である。
【0062】
監視カメラ200は、ジャイロセンサ140、積分器141、増幅器142、及びデータ変換器143を備えてよい。積分器141は、ジャイロセンサ140により検出された検出値である角速度ωを積分し、角度の変化量Δθの情報を得る。増幅器142は、積分器141により得られた角度の変化量Δθを示す信号を増幅する。
【0063】
データ変換器143は、増幅器142から出力された角度の変化量Δθの情報を、距離(長さ)の変位量Δxの情報に変換する。データ変換器143は、レンズ部130の角度の変化量Δθと、角度の変化量Δθに対応する距離の変位量Δxと、の関係を基に、角度の情報を距離の情報に変換してよい。各角度の変化量Δθに対応する各距離の変位量Δxの情報は、変位対応情報として変換テーブル(不図示)に格納され、メモリM1に保持されていてよい。データ変換器143は、変換テーブルを参照することで、角度の変化量Δθの情報から距離の変位量Δxの情報を導出してよい。この変換テーブルは、監視カメラ200に取り付けられるレンズ毎に用意されてよい。監視カメラ200に装着されるレンズが交換されると、焦点距離が変化し、角度の変化量Δθと距離的な変位量Δxとの関係性が変化するためである。
【0064】
監視カメラ200は、位置センサ150、ホール素子アンプ153、選択部155を備えてよい。
【0065】
位置センサ150は、ホール素子151及び磁石152を含んで形成され、ホールセンサとして機能してよい。位置センサ150の検出値は、可動部A2が基準位置xsに位置する場合、値0又は光軸調整値x1となってよい。可動部A2が、重力の分力F1の方向に沿って、基準位置xsよりも重力の分力F1の方向と反対方向に移動した場合、位置センサ150の検出値は、例えば基準位置xsの値(値0又は値x1)よりも大きくなってよい。可動部A2が、重力の分力F1の方向に沿って、基準位置xsよりも重力の分力F1の方向に移動した場合、位置センサ150の検出値は、例えば基準位置xsの値(値0又は値x1)よりも小さくなってよい。なお、揺れ補正が無い状態では、重力補償バネ121により重力補償されることで、イメージセンサ104の位置xは基準位置xsとなる。
【0066】
位置センサ150により検出される位置xの情報は、揺れ補正を実施するために用いられてよい。位置センサ150により検出される位置xの情報は、重力補償バネ121のバネ弾性力を変更するために用いられてよい。つまり、監視カメラ200は、位置センサ150により、揺れ補正時に必要とされる位置情報と、重力補償時に必要とされる位置情報と、を共に取得できる。つまり、監視カメラ200は、揺れ補正用と重力補償用とで位置センサ150を共用できる。
【0067】
ホール素子アンプ153は、ホール素子151により検出された検出値(位置センサ150の検出値)を示す信号を増幅する。
【0068】
選択部155は、位置センサ150により検出された位置xと基準位置xsとのいずれかの情報を、バネ調整用モータドライバ123及び比較器160へ送る。選択部155は、メモリM1に保持された基準位置xsの情報を出力値として、重力を加味したイメージセンサ104の移動後の位置であるとして、バネ調整用モータドライバ123へ送ってよい。選択部155は、メモリM1に保持された基準位置xsと位置センサ150により検出された位置xとの差分の情報(xs−x)を出力値として、重力を加味したイメージセンサ104の移動すべき距離であるとして、バネ調整用モータドライバ123へ送ってもよい。一方、選択部155は、位置センサ150により検出された位置xの情報を出力値として、揺れが無い状態でのイメージセンサ104の移動後の位置であるとして、比較器160へ送る。
【0069】
選択部155は、監視カメラ200の動作モードに応じて、選択部155の出力値の出力先を決定してもよい。選択部155は、動作モードが重力補償モードである場合に限り、出力値の情報をバネ調整用モータドライバ123に送ってもよい。選択部155は、動作モードが揺れ補正モードである場合に限り、出力値の情報を比較器160に送ってもよい。また、動作モードによらず、重力補償時に限り、出力値の情報をバネ調整用モータドライバ123に送ってもよいし、揺れ補正時に限り、出力値の情報を比較器160に送ってもよい。重力補償と揺れ補正とは、実施タイミングが重ならないように排他的に実施されてよい。
【0070】
また、選択部155は、出力値をバネ調整用モータドライバ123及び比較器160の同時に双方へ送ってもよい。この場合、バネ調整用モータドライバ123は、揺れ補正モードに設定されている場合や揺れ補正時では、取得した出力値に基づくバネ調整用モータ122の駆動力の制御を中止し、バネ調整用モータ122の駆動力を不変とする。これにより、監視カメラ200は、揺れ補正時に重力補償バネ121のバネ弾性力が変更されることを抑制でき、揺れ補正の精度が低下することを抑制できる。
【0071】
比較器160は、データ変換器143により得られた距離の変位量Δxと、位置センサ150により得られたイメージセンサ104の位置xと、を比較する。比較器162は、これらの値x,Δxの差分である(x−Δx)の情報を、BISモータドライバ170へ送る。監視カメラ200に揺れが発生していない場合、可動部A2の距離の変位量Δxは値0となる。この場合、可動部A2は、重力補償バネ121のバネ弾性力により位置xに配置されるよう調整されることになる。
【0072】
BISモータドライバ170は、比較器160から得られた差分(x−Δx)に基づいて、のBISモータ180をフィードバック制御してよい。
【0073】
BISモータ180は、コイル181及び磁石182を含んで形成され、リニアモータとして機能してよい。コイル181は、ループコイルでよい。BISモータ180は、BISモータドライバ170からの指令により、固定部A1に対する可動部A2の位置、つまりレンズ部130に対するイメージセンサ104の位置を、比較器160により得られた差分(x−Δx)の位置となるよう調整する。BISモータ180は、リニアモータにより、コイル181と磁石182との位置関係により、位置を調整してよい。BISモータ180は、リニアモータの駆動により、可動部A2の基板102の面に沿う方向において、可動部A2の位置を調整する。可動部A2の基板102の面に沿う方向は、
図8では、重力方向αに沿う方向である。
【0074】
なお、
図7及び
図8では、光軸Ocに垂直な1つの軸の方向(
図7、
図8では上下方向)への可動部A2の移動を検出し、揺れ補正することを例示したが、光軸Ocに垂直なもう1つの軸の方向への可動部A2の移動の検出についても同様である。
【0075】
図9は、重力の分力F1を加味した監視カメラ200の概略構成例を示すブロック図である。
図9では、一例として、イメージセンサ104の受光面に沿う一方向が重力方向αに対して角度θ1傾斜されている。なお、
図9において、
図7と同様の構成部については、説明を省略又は簡略化することがある。
【0076】
可動部A2は、光軸Ocに直交する方向に移動する。可動部A2には、光軸Ocに直交する方向に、可動部A2にかかる重力に応じて重力の分力F1が作用する。この重力の分力F1は、角度θ1の大きさに応じて変化する。例えば、可動部A2にかかる重力をFとすると、可動部A2にかかる重力の分力F1は、以下の(式1)で表されてよい。
F1=F×cosθ1 ・・・(式1)
【0077】
重力補償バネ121は、光軸Ocに直交する方向に沿って可動部A2を重力補償バネ121側に引っ張ることで、重力の分力F1に対するバネ反力F1’を得て、可動部A2にかかる重力の分力F1を支える。バネ反力F1’は、重力の分力F1と反対方向且つ同じ大きさの力である。これにより、重力補償バネ121は、可動部A2にかかる重力Fと反対方向且つ同じ大きさの反力F’を得ることができる。よって、重力補償バネ121は、重力Fに対して可動部A2を支持でき、重力補償できる。
【0078】
バネ反力F1’は、角度θ1が小さい程、つまり可動部A2の方向(基板102の面やイメージセンサ104の受光面に沿う方向)が重力方向に近くなる程、大きくなる。可動部A2にかかる重力が、光軸Ocに直交する方向に沿って働きやすくなるためである。角度θ1が0°の場合、可動部A2にかかる重力の分力F1は、可動部A2にかかる重力に等しくなる。
【0079】
一方、バネ反力F1’は、角度θ1が大きい程、つまり可動部A2の方向(基板102の面やイメージセンサの受光面に沿う方向)が水平方向に近くなる程、小さくなる。可動部A2にかかる重力が、光軸Ocに直交する方向に沿って働き難くなるためである。角度θ1が90°の場合、可動部A2にかかる重力の分力F1は、値0となる。
【0080】
監視カメラ200は、位置センサ150を用いることで、重力Fの大きさや重力の分力F1の大きさを特に意識せずに、位置センサ150が示す位置を基に、重力補償バネ121により重力の分力F1を支持するバネ反力F1’を得て、可動部A2を支持できる。
【0081】
次に、重力補償バネ121のバネ弾性力の調整タイミングについて説明する。
【0082】
重力補償機構120は、所定のトリガが発生した場合に、重力補償バネ121のバネ定数を変更し、バネ弾性力を変更してよい。例えば、CPU250は、監視カメラ200の動作モードが重力補償モードに設定された場合に、重力補償バネ121のバネ弾性力を変更し、揺れ補正モードに設定された場合に、重力補償バネ121のバネ弾性力の変更を禁止してよい。これにより、監視カメラ200は、揺れ補正のための可動部A2の移動がない期間に重力補償バネ121のバネ弾性力を調整でき、重力補償の精度を向上できる。
【0083】
CPU250は、監視カメラ200に設けられたボタン等の操作部(不図示)の操作を検出した場合に、重力補償バネ121のバネ弾性力を変更してよい。これにより、監視カメラ200は、ユーザ所望のタイミングで、重力補償バネ121のバネ弾性力を調整できる。
【0084】
CPU250は、タイマ(不図示)により計時された現在時刻が所定の時刻である場合に、重力補償バネ121のバネ弾性力を変更してよい。例えば、CPU250は、監視カメラ200に対して揺れの発生し難い時間帯(例えば深夜時間帯)において、重力補償バネ121のバネ弾性力を変更してよい。これにより、監視カメラ200は、監視カメラ200の揺れの少ない時間に重力補償バネ121のバネ弾性力を調整でき、重力補償の精度を向上できる。
【0085】
CPU250は、監視カメラ200の向きが変更された場合に、重力補償バネ121のバネ弾性力を変更してよい。ドーム型の監視カメラ200の場合、CPU250は、方向調節部53がチルト方向の調節位置の変更を検出した場合に、監視カメラ200の向きが変更されたと判定してよい。つまり、CPU250は、チルト旋回軸の旋回量が変更された場合、重力補償バネ121のバネ弾性力を変更してよい。また、CPU250は、ボックス型の監視カメラ200Bの取付方向が変更された場合に、重力補償バネ121のバネ弾性力を変更してよい。これにより、監視カメラ200の向きを変更し、可動部A2にかかる重力の分力が変化しても、監視カメラ200は、重力の分力の変化に合わせて重力の分力の反力を変更でき、好適に重力補償できる。
【0086】
監視カメラ200の向きが変化すると、可動部A2にかかる重力の分力F1の大きさが変化する。なお、BIS機構ユニット110の揺れ補正時には、監視カメラ200のチルト方向の調節位置は変更されない。
【0087】
重力補償バネ121のバネ弾性力は、バネ調整用モータドライバ123がバネ調整用モータ122の駆動力を変更することで、変更される。
【0088】
(変形例)
変形例では、傾斜センサを用いてイメージセンサ104の位置(可動部A2の位置)を導出することを想定する。
図9は、変形例に係る監視カメラ200の概略構成例を示す図である。
【0089】
図10は、傾斜センサを備える監視カメラの詳細構成例を示すブロック図である。
図10と
図7とを比較すると、
図10では、監視カメラ200が、傾斜センサ210及びCPU250Aを備える。なお、
図10において、
図7と同様の構成部については、説明を省略又は簡略化することがある。
【0090】
傾斜センサ210は、レンズ部130の傾斜としてレンズ部130の水平方向に対する傾きを検出する。
【0091】
CPU250Aは、前述したCPU250の機能とともに、以下の機能を有する。CPU250Aは、レンズ部130の傾きの情報を取得する。CPU250Aは、レンズ部130の傾きの情報から、可動部A2にかかる重力の分力の大きさを導出する。ここで、レンズ部130の傾きをθ2とする。レンズ部130に傾きがない状態、つまり、レンズ部130が水平方向に沿って配置され、可動部A2が重力方向に沿って配置された状態での可動部A2にかかる重力の分力(=重力)をFとする。レンズ部130の水平方向に対する傾きがθ2である状態、つまり、可動部A2の重力方向に対する傾きがθ2である状態での可動部A2にかかる重力の分力(=重力)をF2とする。この場合、可動部A2にかかる重力の分力F2は、以下の(式2)で示されてよい。なお、可動部A2にかかる重力Fの大きさの情報は既知であり、例えばメモリM1に保持されていてよい。
F2=F×cosθ2 ・・・(式2)
【0092】
CPU250Aは、傾斜センサ210により検出された傾斜角度を用いることで、重力の分力F2がどの程度の大きさに変化したかを推定できる。CPU250Aは、この重力の分力F2の大きさの情報をバネ調整用モータドライバ123へ通知する。モータドライバ213は、分力F2に対するバネ反力を重力補償バネ121へ与えるよう、バネ調整用モータ122の駆動力を制御する。
【0093】
このように、監視カメラ200では、傾斜センサ210は、レンズ部130のつまりBIS機構ユニット110の傾斜角度を検出してよい。監視カメラ200は、レンズ部130の傾斜角度に基づいて、光軸Ocに垂直な方向に沿って可動部A2にかかる重力の分力を導出してよい。バネ調整用モータドライバ123は、重力の分力に基づいて、バネ調整用モータ122の駆動力を制御してよい。
【0094】
これにより、監視カメラ200は、位置センサ150を用いなくても、可動部A2にかかる重力の分力をレンズ部130の傾斜角度から、可動部A2にかかる重力の分力F2をを推定できる。よって、監視カメラ200は、揺れ補正用の位置センサ150とは別の簡易な構成によって、重力補償バネ121に与えるべきバネ弾性力を導出でき、バネ調整用モータ122の駆動力を調整できる。したがって、監視カメラ200は、位置センサ150は揺れ補正用に用い、傾斜センサ210は重力補償に用いることができ、両者を用途別に使い分けることができる。また、監視カメラ200は、位置センサ150の値を重力補償に用いるための構成(例えば選択部155)を省略できる。
【0095】
このように、監視カメラ200は、イメージセンサ104の重力を補償するための重力補償バネ121を備える。重力補償バネ121は、監視カメラ200の向き(レンズ部130の傾斜角度)に基づいて、重力補償するためのバネ反力(支持力)を調整可能である。監視カメラ200は、このバネ反力を調整するためのバネ調整用モータ122を備える。監視カメラ200は、バネ調整用モータ122の駆動力を制御するバネ調整用モータドライバ123を備える。
【0096】
監視カメラ200は、重力補償バネ121に必要なバネ反力を、BIS機構ユニット110に含まれる位置センサ150の検出値を帰還させて導出してよい。具体的には、バネ調整用モータドライバ123は、BIS機構ユニット110において、監視カメラ200に揺れがない状態で位置センサ150が基準位置xs(例えばゼロ位置)を示すように、バネ調整用モータ122を制御し、ギア124を調整してよい。この場合、監視カメラ200は、傾斜センサ210を備えなくてよく、監視カメラ200の構成を簡素化できる。
【0097】
監視カメラ200は、重力補償バネ121に必要なバネ反力を、傾斜センサ210による検出値を基に導出してよい。具体的には、バネ調整用モータドライバ123は、傾斜センサ210により得られた角度に基づいて、傾斜重力ベクトルとしての重力の分力F2を算出してよい。バネ調整用モータドライバ123は、重力の分力F2と同等のバネ反力が得られるように、バネ調整用モータ122を制御し、ギア124を調整してよい。
【0098】
監視カメラ200がボックス型の監視カメラ200Bである場合、設置時に初期設定として重力補償バネ121のバネ反力により重力を補償してよい。監視カメラ200がPTZカメラ又はPTカメラとしてのドーム型の監視カメラ200では、監視カメラ200の向きを変更可能であり、つまり監視カメラ200の傾斜量を変更可能である。この場合、監視カメラ200は、監視カメラ200の傾斜量が変化する都度、重力補償バネのバネ反力を調整してよい。
【0099】
また、監視カメラ200が、ドア開閉センサ等の各種センサと連携してもよい。ドア開閉センサは、監視カメラ200が設置された空間を仕切るドアの開閉を検出するセンサでよい。監視カメラ200では、CPU250が、ドアが開けられた旨の検出信号を通信デバイス等を介して取得してよい。CPU250は、ドアが設置された方向にレンズ部130を向けるよう、レンズ部130の向きを制御してよい。この場合、レンズ部130の向きが変更されることで、可動部A2にかかる重力の分力F1が変更され得る。この場合でも、CPU250は、レンズ部130の向きを認識し、レンズ部130の傾斜角度を認識することで、バネ調整用モータ122の駆動力をモータドライバ213へ指示できる。ドアの位置とレンズ部130の向きとの関係は、予めテーブル等に保持され、メモリM1に保持されていてよい。レンズ部130の傾きと、重力補償バネ121のバネ弾性力との関係は、予めテーブル等に保持され、メモリM1に保持されていてよい。
【0100】
監視カメラ200によれば、重力補償バネ121により可動部A2を支持することで、可動部A2にかかる重力方向の力を低減できる。監視カメラ200は、例えば重力方向の力を打ち消すことができる。よって、可動部A2を重力方向と反対方向に支持するために、揺れ補正用に駆動力の大きなBISモータ180を備えることを不要にできる。よって、監視カメラ200は、重力の反力を得るために、BISモータ180に駆動力を与えるためにBISモータ駆動用の電流を供給し続けることを抑制できる。よって、監視カメラ200は、BISモータ駆動に伴って発生する熱やトルクも低減できる。
【0101】
また、監視カメラ200の向き、つまりレンズ部130の向きが可変である場合、重力に応じて可動部A2の光軸に対して垂直な方向にかかる重力の分力の大きさが変化する。この場合でも、監視カメラ200は、重力補償バネ121のバネ弾性力を調整することで、重力の分力と釣り合う力で可動部A2を支持できる。よって、監視カメラ200の向きが変化することにより可動部A2にかかる重力負荷が変動しても、監視カメラ200が揺れ補正用のモータとしてレンジの広いBISモータ180を備えることが不要となる。
【0102】
言い換えると、監視カメラ200は、イメージセンサ104の重力負荷を補償できる。また、監視カメラ200は、揺れ補正用のBISモータ180の必要推力を低減でき、定常状態(例えば揺れのない状態)での消費電力を低減できる。可動部A2の傾きが変化し、重力の分力が変化しても、重力の分力に応じてギアの巻き取り量を変更することで、バネ弾性力を調整できる。また、揺れ補正用のBISモータ180を、重力成分を含まない揺れ補正に必要な力に特化して使用でき、BISモータ180が要する消費電力を低減できる。
【0103】
以上のように、監視カメラ200は、被写体B1を撮像するイメージセンサ104と、イメージセンサ104の受光面に被写体B1の像を結像するレンズ131を有するレンズ部130と、イメージセンサ104を含み、レンズ部130に対して可動する可動部A2と、監視カメラ200に発生する揺れに応じて、可動部A2を移動して揺れ補正するBIS機構ユニット110と、レンズ部130の光軸Ocと垂直な方向に沿って可動部A2にかかる重力の分力と同じ大きさの力で、重力の分力の方向と反対方向に、可動部A2を支持する重力補償機構120及びバネ調整用モータドライバ123と、を備える。なお、監視カメラ200は、カメラ装置の一例である。BIS機構ユニット110は、揺れ補正部の一例である。重力補償機構120及びバネ調整用モータドライバ123は、重力支持部の一例である。
【0104】
これにより、監視カメラ200は、可動部A2にかかる重力に起因した力を、重力補償機構120及びバネ調整用モータドライバ123によって支持できる。よって、揺れ補正が行われないタイミングでは、イメージセンサ104を含む可動部A2が基準位置xsに留まるために、揺れ補正用のBISモータ180が駆動することを不要にできる。つまり、BISモータ180が実際に揺れ補正に必要な駆動力以上の駆動力を必要とすることを回避できる。そのため、監視カメラ200は、BISモータ180の駆動力を低減でき、BISモータ18の寿命を長寿命化できる。このように、BIS機構ユニット110に作用する重力の影響を加味して、BIS機構ユニット110を駆動するBISモータ180の駆動力を低減できる。
【0105】
また、重力補償機構120は、可動部A2に接続された重力補償バネ121と、重力補償バネ121の長さを調整するギア124と、ギア124に駆動力を供給するバネ調整用モータ122と、を備えてよい。バネ調整用モータドライバ123は、バネ調整用モータ122の駆動力を制御してよい。なお、重力補償バネ121は、弾性部材の一例である。バネ調整用モータ122は、モータの一例である。バネ調整用モータドライバ123は、モータドライバの一例である。
【0106】
これにより、監視カメラ200は、重力補償に必要な駆動力をギア124に供給することで、重力補償バネ121のバネ弾性力を決定し、可動部A2にかかる重力の分力を支持できる。また、一度ギア124の位置を調整することで、継続的にバネ調整用モータ122が駆動することを不要にでき、バネ調整用モータ122の駆動力を低減でき、省エネルギー化できる。
【0107】
また、監視カメラ200は、レンズ部130に対する、レンズ部130の光軸Ocに垂直な方向におけるイメージセンサ104の位置xの情報を取得する位置センサ150を更に備えてよい。バネ調整用モータドライバ123は、位置センサ150により検出されたイメージセンサ104の位置の情報に基づいて、イメージセンサ104が基準位置xsに配置されるよう、バネ調整用モータ122の駆動力を制御してよい。
【0108】
監視カメラ200は、例えばイメージセンサ104の現在位置の情報と基準位置xsとの位置との差分の情報を用いて、イメージセンサ104が基準位置xsに配置されるよう調整できる。これにより、監視カメラ200は、重力補償及び揺れ補正を行いながら、イメージセンサ104の位置xを一定に維持でき、撮像画像の画質を一定に維持できる。
【0109】
また、位置センサ150は、検出されたイメージセンサ104の位置の情報を、バネ調整用モータドライバ123及びBISモータドライバ170へ送ってよい。
【0110】
これにより、位置センサ150により検出される位置の情報は、揺れ補正及び重力補償に用いられることが可能である。つまり、監視カメラ200は、位置センサ150により、揺れ補正時に必要とされる位置情報と、重力補償時に必要とされる位置情報と、を共に取得できる。つまり、監視カメラ200は、揺れ補正用と重力補償用とで位置センサ150を共用できる。
【0111】
また、監視カメラ200は、レンズ部130の傾斜角度を検出する傾斜センサ210と、レンズ部130の傾斜角度に基づいて、レンズ部130の光軸Ocに垂直な方向に沿って可動部A2にかかる重力の分力を導出するCPU250Aと、を備えてよい。バネ調整用モータドライバ123は、導出された重力の分力に基づいて、バネ調整用モータ122の駆動力を制御してよい。CPU250Aは、導出部の一例である。
【0112】
これにより、監視カメラ200は、位置センサ150を用いなくても、重力の分力を推定でき、重力補償バネ211に対して重力の分力に対するバネ反力を与えることができる。つまり、監視カメラ200は、揺れ補正用の位置センサ150とは別の簡易な構成によって、重力補償バネ121に与えるべきバネ弾性力を導出でき、バネ調整用モータ122の駆動力を調整できる。
【0113】
また、基準位置xsは、レンズ部130の光軸Oc上に位置してよい。
【0114】
これにより、監視カメラ200は、光軸Ocの中心を撮像画像の中心とすることができ、光軸調整位置と幾何的な中心位置とを一致させることができる。よって、監視カメラ200は、光軸ずれがない場合、又は光軸調整済みの場合に、重力補償時及び揺れ補正時の双方において被写体中心を画像中心に一致させることができる。
【0115】
また、基準位置xsは、前記レンズの光軸ずれが調整される光軸調整位置でよい。
【0116】
これにより、監視カメラ200は、基準位置xsを光軸調整値x1の位置とすることで、監視カメラ200の製造時に光軸調整しなくてもよく、光軸調整部材や光軸調整作業が不要となる。基準位置xsを光軸調整値x1の位置とすることが、光軸調整に相当するためである。よって、監視カメラ200は、レンズ部130の光軸ずれを加味して、重力補償できる。この場合でも、監視カメラ200は、重力補償時及び揺れ補正時の双方において、被写体中心を画像中心に一致させることができる。
【0117】
また、バネ調整用モータドライバ123は、BIS機構ユニット110により揺れ補正される期間において、バネ調整用モータ122の駆動力を不変としてよい。
【0118】
これにより、監視カメラ200は、揺れ補正期間において、重力補償バネ121のバネ弾性力が変化することを抑制できる。したがって、監視カメラ200は、重力補償バネ121で支える可動部A2の位置の変化を抑制でき、可動部A2を揺れが無い状態においてイメージセンサ104を基準位置xsに配置できる。よって、揺れ補正に伴う可動部A2の位置調整を、基準位置xsを基準として安定して実施でき、揺れ補正の精度を維持できる。
【0119】
また、監視カメラ200は、レンズ部130の傾斜角度の情報を取得する傾斜取得部、を更に備えてよい。バネ調整用モータドライバ123は、傾斜取得部により取得されたレンズ部130の傾斜角度が変更された場合、バネ調整用モータ122の駆動力を変更する。傾斜取得部は、例えばCPU250である。
【0120】
レンズ部130の向きが変更されると、可動部A2の向きも変化し、可動部A2にかかる重力の分力も変化する。監視カメラ200は、重力の分力が変更に合わせて、可動部A2に与える重力の分力に対するバネ反力を調整することで、監視カメラ200に揺れの無い状態でのイメージセンサ104の位置を一定に維持できる。よって、監視カメラ200は、重力補償しながら、レンズ部130の傾斜角度によらずに可動部A2を基準位置xsに配置するよう調整でき、撮像画像の画質を維持できる。
【0121】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0122】
上記実施形態では、プロセッサは、物理的にどのように構成してもよい。また、プログラム可能なプロセッサを用いれば、プログラムの変更により処理内容を変更できるので、プロセッサの設計の自由度を高めることができる。プロセッサは、1つの半導体チップで構成してもよいし、物理的に複数の半導体チップで構成してもよい。複数の半導体チップで構成する場合、上記実施形態の各制御をそれぞれ別の半導体チップで実現してもよい。この場合、それらの複数の半導体チップで1つのプロセッサを構成すると考えることができる。また、プロセッサは、半導体チップと別の機能を有する部材(コンデンサ等)で構成してもよい。また、プロセッサが有する機能とそれ以外の機能とを実現するように、1つの半導体チップを構成してもよい。また、複数のプロセッサが1つのプロセッサで構成されてもよい。