(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記開口は排気通路を流通する排気ガスにさらされるところ、排気ガスには排気微粒子が含まれている。そのため、排気微粒子によって前記開口が目詰まりするおそれがある。前記開口が目詰まりすると、排気センサの素子に排気ガスが至らなくなり、排気センサによる検知精度が悪化したり、検知そのものが困難になってしまったりするという問題がある。また、排気通路には水が存在することもある。その水が前記開口から侵入した場合には、センサ素子に水がかかり当該センサ素子を破損してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、検知部に排気ガスを至らしめる開口の目詰まりを抑制するとともに、その開口から水が侵入することを抑制することができる排気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、第1の発明では、エンジンの排気ガスが流通する排気通路と、前記排気通路を形成する周壁と、前記周壁に形成された貫通孔と、前記貫通孔を介して設けられ、前記排気通路を流通する排気ガスの状況を検知する検知部と、前記周壁の内周側に設けられ、前記検知部に排気ガスを至らしめる開口を形成する開口形成部と、を備え、前記開口形成部により、前記排気通路を流通する排気ガスの流れ方向に見て上流側から見えない側に、前記開口が形成されていることを特徴とする。
【0007】
第2の発明では、第1の発明において、前記開口は、ガス流の下流側に向けられていることを特徴とする。
【0008】
第3の発明では、第1の発明又は第2の発明において、前記開口形成部は、薄板によって形成された前記周壁と一体に形成され、前記周壁の一部を内周側に突出させてその突出部分に前記開口が形成されていることを特徴とする。
【0009】
第4の発明では、第3の発明において、前記開口形成部は、前記周壁の内面からなだらかに盛り上がるように突出するとともに、前記周壁の内面に沿った偏平状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
第5の発明では、第1の発明又は第2の発明において、前記検知部を設置又は前記検知部に排気ガスを導入するためのボスを備え、当該ボスの一部が前記貫通孔を介して前記周壁より内部の排気通路に配置され、前記一部によって開口形成部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
第6の発明では、第1の発明乃至第5の発明のいずれかにおいて、前記排気通路を流通する排気ガスから排気微粒子を捕集するフィルタを前記排気通路に備えており、前記検知部は圧力センサであり、前記フィルタよりも下流側に配置された前記開口を通じて前記圧力センサに排気通路の圧力が伝達されるようにしたことを特徴とする。
【0012】
第7の発明では、第6の発明において、前記フィルタよりも下流側となる前記排気通路の通路断面積が絞られることにより、前記下流側の周壁がガス流を直接受けるように当該ガス流と交差する絞り形状になっており、前記絞り形状となっている前記周壁に前記開口が形成されていることを特徴とする。
【0013】
第8の発明では、第7の発明において、前記フィルタよりも下流側の前記排気通路には、排気ガスの一部を還流する還流通路が接続されており、前記還流通路の接続部分よりも下流側に前記開口が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、開口形成部により、排気通路を流通する排気ガスの流れ方向に見て上流側から見えない側に、検知部へ排気ガスを至らせる開口が形成されているため、排気ガスのガス流を迎え入れるような向きに開口していない。これにより、排気ガスに含まれる排気微粒子が当該開口に堆積し、それによって開口が目詰まりして排気ガスの検知精度が悪化したり、検知が困難になったりすることを抑制できる。また、排気ガスに水滴が含まれている場合でも、その水滴が開口を通じて検知部に到達し、検知部を破損させてしまうことも抑制できる。
【0015】
第2の発明によれば、開口形成部によって形成された開口は、排気ガスの流れ方向にみて上流側から見えない側であって、特にガス流の下流側に向けられている。そのため、排気微粒子が当該開口に堆積することをより好適に抑制できる。
【0016】
第3の発明によれば、開口形成部は薄板によって形成された周壁の一部により当該周壁と一体に形成されている。そのため、開口に排気微粒子が堆積することがあっても、高温の排気ガスが流通することで高温化された周壁によって排気微粒子の燃焼が促進される。これにより、開口に堆積した排気微粒子を直ちに除去し、開口が排気微粒子によって目詰まりすることを抑制できる。
【0017】
第4の発明によれば、開口形成部は周壁内面からなだらかに盛り上がり、周壁内面に沿った偏平状に形成されている。そのため、周壁内面に沿って流通する排気ガスは、開口形成部を円滑に超えて下流側へ流れる。これにより、排気ガスのガス流が開口形成部によって阻害されることを抑制できる。
【0018】
第5の発明によれば、貫通孔を介して排気通路内に配置されたボスの一部が開口形成部とされている。そのため、開口形成部を貫通孔に挿通させるだけで排気通路内に開口を形成することができる。また、開口形成部を貫通孔に挿通させることにより、ボスの位置決めが可能であり、ボスの取り付け作業を容易に行うことができる。なお、開口形成部の周面を曲線状に形成したり、ガス流の上流側から下流側に向けてなだらかに盛り上がるように形成したりした構成を採用することがより好ましい。この場合、排気ガスは、開口形成部を円滑に回避したり超えたりして下流側へ流れる。これにより、排気ガスのガス流が開口形成部によって阻害されることを抑制できる。
【0019】
第6の発明によれば、フィルタよりも下流側に開口が設けられ、その開口を通じて圧力が圧力センサに伝達されることで、フィルタから流出した排気ガスの圧力が測定される。その測定した圧力値を、排気微粒子が堆積したフィルタを再生するか否かの判断に用いることができる。
【0020】
第7の発明によれば、絞り形状を有する周壁に開口が設けられている。絞り形状を有する周壁は、フィルタから流出した排気ガスのガス流を直接受けるため、当該周壁に設けられた開口は目詰まりが生じやすく、また水滴も侵入しやすい。この点、前述したように、開口形成部によって、ガス流の流れ方向に見て上流側から見えない側に、開口が形成されているため、開口の目詰まりや水滴の侵入を抑制できることは有効となる。
【0021】
第8の発明では、フィルタよりも下流側の排気通路には還流通路が接続されているため、圧力センサに伝達する圧力の導入部位は、還流通路の接続部位よりも下流側であって排気ガスの還流による圧力変化が少ない箇所となる。この箇所は排気通路の導出側に近く、当該箇所における排気通路の通路断面積は必然的にガス流と交差する絞り形状となる。還流通路を有する排気装置では、このような絞り形状を有する箇所に開口が設けられるため、開口の目詰まりや水滴の侵入を抑制できる上記各発明はより一層有効なものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態の排気装置は、自動車等の車両に搭載される排気微粒子除去装置として具体化され、排気再循環装置(EGR装置)を備えた内燃機関(エンジン)の排気経路に設けられるものである。
【0024】
図1は排気装置10を示す斜視図であり、
図2は
図1におけるA−A断面図である。排気装置10は、エンジン(図示略)の排気系の一部を構成し、エンジンから排出される排気ガスが流通する。はじめに、
図1及び
図2を参照しつつ排気装置10の概要について説明する。
【0025】
図1に示すように、排気装置10は、主管部11と分岐管部12とを有している。主管部11及び分岐管部12は、いずれも金属材料(ステンレス鋼等)よりなる1mm〜2mm厚の薄板が成形されてなる。主管部11はエンジンの排気経路の一部を形成し、主管部11の管内部に形成された排気通路13(
図2参照)を排気ガスが流通する。分岐管部12にはEGRパイプ14が連結されている。排気通路13を流通する排気ガスの一部が途中で分岐管部12に分岐し、EGRパイプ14を流通してエンジンの吸入側に還流する。
【0026】
主管部11は、ケース管部21と、導入管部22と、導出管部23とを備えて構成されている。これら各管部21〜23はいずれも横断面が略円形状をなし、互いに溶接されることにより主管部11として一体化されている。
【0027】
各管部21〜23のうち、ケース管部21は円筒状をなすように形成されている。導入管部22は、ケース管部21の上流側に設けられている。導出管部23は、ケース管部21の下流側に設けられている。ケース管部21の径は、排気通路13の導入口15及び導出口16よりも大きく形成されている。そのため、導入管部22は、導入口15からケース管部21の側にかけて通路断面積が大きくなっている。一方、導出管部23は、ケース管部21の側から導出口16にかけて通路断面積が小さくなっている。なお、導出管部23の導出口16の周縁部には、排気装置10の下流側に配管等を接続するための取付けフランジ17が設けられている。
【0028】
図2に示すように、ケース管部21の内部にはケース内通路31が形成されている。また、導入管部22の内部には導入通路32が形成され、導出管部23の内部には導出通路33が形成されている。これら各通路31〜33の通路断面形状は、いずれも円形状をなしている。そして、ケース内通路31、導入通路32及び導出通路33がつながることにより、主管部11の排気通路13が形成されている。そのため、主管部11の管壁、より細分化すればケース管部21、導入管部22及び導出管部23の各管壁21a〜23aは、排気通路13を形成する周壁に相当する。
【0029】
ケース内通路31には、フィルタ18が設けられている。フィルタ18は、排気ガスに含まれる排気微粒子を捕集するものであり、例えばディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)又はガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)である。フィルタ18は円柱状をなしており、例えばハニカム構造を有している。ケース内通路31を流通する排気ガスは、すべてこのフィルタ18を通過するように構成されている。フィルタ18には、排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)及び窒素酸化物(NOx)等を浄化する三元触媒等の触媒が担持されている。そのため、フィルタ18によって排気微粒子が捕集されるとともに、上記CO等も浄化される。なお、フィルタ18よりも上流側に、フィルタ18とは別に、触媒が設けられた構成を採用してもよい。
【0030】
分岐管部12は、導出管部23の上流側(ケース管部21の側)となる管壁23aに、その一端部が接続されている。分岐管部12は当該一端部からケース管部21の側(上流側)に向け、他端部は、ケース管部21と導出管部23との接続部分あたりまで延びている。分岐管部12の他端部に、EGRパイプ14が連結される。分岐管部12の内部には、
図2に示すように還流通路34が形成されている。なお、導出管部23は、2つのシェル部材24,25が溶接等によって接合されることによって形成されている。各シェル部材24,25には、両者の接合によって導出通路33と還流通路34とが形成されるように、各通路33,34の形成部をそれぞれ備えた形に成形されている。
【0031】
以上の構成を有する排気装置10では、
図2に矢印で示すように、導入口15から排気通路13のうちの導入通路32に排気ガスが流入する。流入した排気ガスは、フィルタ18の上流側端面18aからフィルタ18に流入し、フィルタ18の内部を通過する際に、ガスに含まれる排気微粒子が捕集されて浄化される。そして、排気ガスは、フィルタ18の下流側端面18bより円柱状をなすフィルタ18の軸線方向に沿った流れ方向へ流出し、その後、排気通路13のうちの導出通路33を流通して導出口16から排気装置10の外に流出する。また、浄化された排気ガスの一部は導出通路33から還流通路34に分岐して流れ、EGRパイプ14の内部を流通してエンジンの吸入側に還流される。
【0032】
ここで、排気微粒子を捕集するフィルタ18には、時間の経過によって排気微粒子が堆積し、徐々に目詰まりが生じる。そこで、目詰まりが生じたフィルタ18の捕集能力を再生すべく、排気装置10には、フィルタ18に堆積した排気微粒子を電気ヒータの熱や燃料噴射によって燃焼させるフィルタ再生機能が付与されている。このフィルタ再生において、排気微粒子の燃焼除去を実施するか否かの判断は、排気通路13を流通する排気ガスの圧力を測定し、その圧力値に基づいて行われる。例えば、第1の判断手法として、フィルタ18の前後の圧力を測定し、フィルタ18への流入前と流出後の排気ガスの圧力差に基づいて判断する手法がある。また、第2の判断手法として、フィルタ18から流出した排気ガスの圧力を測定し、その圧力と大気圧との圧力差に基づいて判断する手法がある。第2の判断手法の場合、フィルタ18よりも上流側に圧力測定用の部品等を設置する必要がないため、フィルタ18それ自体が触媒機能を有することとあいまって、排気経路の小型化に寄与するというメリットがある。
【0033】
本実施の形態の排気装置10では、第2の判断手法が採用されている。そのため、導出管部23には、
図1及び
図2に示すように、検知部としての圧力センサSに通ずる配管を接続するための配管接続部40が設けられ、導入管部22には配管接続部40に相当する部品は設けられていない。
【0034】
次に、
図3及び
図4をさらに参照しつつ配管接続部40についてより詳しく説明する。なお、
図3は配管接続部40及びその周辺部分の拡大図であり、
図4は、配管接続部40を通路内側から見た斜視図である。
【0035】
図3に示すように、配管接続部40は、圧力導入孔41と、開口形成部42と、圧力導入空間43と、配管接続用ボス44とを備えて構成されている。
【0036】
圧力導入孔41は、導出通路33を流通する排気ガスの圧力を導入する孔であり、導出管部23の管壁23aを貫通し、導出通路33の内外を連通するように形成されている。本実施の形態では、この圧力導入孔41が貫通孔に相当する。導出通路33の通路断面形状は円形状をなすものの、圧力導入孔41の周辺部位45は、
図1乃至
図3に示すように平板状をなすように形成されている。
【0037】
ところで、導出管部23は、前述したように導出口16の側にかけて通路断面積が小さくなることで、導出通路33は上流側から下流側にかけて通路断面積が絞られている。導出管部23が導出口16に向かってこのような絞り形状を有しているため、導出管部23の管壁23aは、フィルタ18を通過した排気ガスのガス流に対して交差するテーパ状をなしている。これにより、導出管部23の管壁23aの内側は、排気ガスのガス流を直接受けることになる。圧力導入孔41は、この部分に設けられている。
【0038】
これは、本実施の形態の排気装置10が、排気再循環装置(EGR装置)を備えた内燃機関(エンジン)の排気経路に設けられたものとして、還流通路34を備え、かつフィルタ18から流出した排気ガスの圧力測定を伴うことによる。つまり、導出管部23にはその上流側に分岐管部12が接続され、分岐管部12の還流通路34から排気ガスが還流するようになっている。そのため、圧力センサSに伝達する圧力の導入部位は、還流通路34の接続部位よりも下流側であって、排気ガスが還流することによる圧力変化が少ない箇所となる。この箇所は導出口16の側に近いため、当該箇所における導出管部23は必然的にガス流と交差する絞り形状となる。このような絞り形状を有する箇所に、圧力導入孔41が設けられることとなる。
【0039】
そして、特に、本実施形態の排気装置10においては、
図2に示すように、導出管部23の管壁23aが有するテーパ形状は周方向において均一ではなく、フィルタ18からのガス流出方向に対する傾斜がよりきつくされた部位23bを有している。この部位23bにより、管壁23aの外側にスペースが確保されるため、分岐管部12を接続するスペースが設けられる。圧力導入孔41は、導出管部23のうち、当該部位23bに設けられている。
【0040】
開口形成部42は、
図3及び
図4に示すように、圧力導入孔41に通ずる開口46を形成する部位である。開口形成部42は、導出管部23の管壁23aが内側に向けてなだらかに盛り上がり、その盛り上がりの状態が管壁23aの内面に沿った偏平状をなすようにして、導出管部23と一体成形されている。この盛り上がった部分に、開口46が形成されている。開口形成部42が偏平状をなすように盛り上がっているため、
図4に示すように、開口46は管壁23aの内面に沿った略長孔状に形成されている。
【0041】
ちなみに、開口形成部42を成形するうえでは、管壁23aの一部が一直線状に切断されている。そのため、開口形成部42が内側に盛り上がるように成形されることにより、圧力導入孔41が形成されるとともに開口46も同時に形成される。
【0042】
そして、
図2も併せて参照すると、開口形成部42によって形成された開口46は、フィルタ18から流出した排気ガスの流れの下流側に向けられている。つまり、開口46は、導出通路33を流通する排気ガスの流れ方向にみて上流側から見えない側に形成されている。
【0043】
圧力導入空間43は、開口形成部42が盛り上がるように形成されることにより、開口46の奥に形成された空間である。また、配管接続用ボス44は、圧力センサSにつながる配管を接続するためのものであり、外観が円柱状をなすように形成されている。配管接続用ボス44の内部には、圧力通路47が形成されている。圧力通路47は、円柱状をなす配管接続用ボス44の中心軸線方向に沿って当該ボス44を貫通するように形成されている。一対の開口部分のうち、導出管部23への取付け側となる開口部分が圧力通路47への通路入口48である。開口形成部42によって形成された開口46の開口面積は、通路入口48の開口面積と同程度かそれよりも大きいことが好ましい。
【0044】
配管接続用ボス44は、圧力通路47の通路入口48を管壁23aの外側から圧力導入空間43に合わせた状態で、導出管部23の前記平板状に形成された部位45に当接している。配管接続用ボス44は、その状態で溶接等によって導出管部23の管壁23aに取り付けられている。
【0045】
配管接続部40が以上のように構成されているため、導出通路33を流通する排気ガスの圧力は、開口46、圧力導入空間43、圧力導入孔41及び圧力通路47を通じて圧力センサSに導入される。これにより、圧力センサSは排気ガスの圧力を測定し、大気圧との差圧を把握することができる。
【0046】
本実施の形態の排気装置10は、以上に説明した構成を有することにより、以下に列挙する効果を奏することができる。
【0047】
(1)配管接続部40の開口46は、ガス流の下流側に向けられ、導出通路33を流通する排気ガスの流れ方向にみて上流側から見えない位置に形成されている。そして、その開口46の奥に圧力導入孔41が設けられている。そのため、
図2及び
図3に示すように、フィルタ18を通過して流出し、導出口16に向けて流通する排気ガスのガス流(図中、矢印で示す。)を迎え入れるような向きに開口していない。そして、圧力導入孔41は、開口46の奥に設けられるとともに、開口形成部42によって覆われた状態となっている。
【0048】
これにより、フィルタ18を通過しても捕集されずに排気ガス中に含まれる排気微粒子が、開口46の奥に設けられた圧力導入孔41に堆積し、それによって圧力導入孔41が目詰まりして圧力測定の精度が悪化したり、圧力測定が困難になったりすることを抑制できる。また、導出通路33を流通する排気ガスに水滴が含まれている場合であっても、その水滴が圧力導入孔41に至り、そこから圧力センサSに到達して圧力センサSを破損させてしまうことを抑制できる。
【0049】
(2)配管接続部40の開口46は、開口形成部42によって形成されている。その開口形成部42は導出管部23の管壁23aと一体に形成されており、管壁23aの一部を内側に突出させることで、その突出部分に開口46が形成されている。導出管部23の管壁23aは、そこを高温の排気ガスが流通するために高温となっている。そのため、開口46に排気微粒子が堆積することがあっても、高温となった管壁23aによって排気微粒子の燃焼が促進され、排気微粒子は直ちに除去される。これにより、開口46が排気微粒子によって目詰まりすることも抑制できる。
【0050】
(3)導出管部23の管壁23aの一部を内側に突出させるよう成形することで、圧力導入孔41と開口形成部42とが形成され、さらにその開口形成部42によって突出した部分に開口46が形成される。そのため、圧力導入孔41、開口形成部42及び開口46を容易に形成することができ、製造コストを低減できる。
【0051】
(4)開口形成部42は、管壁23aの内面からなだらかに盛り上がるように突出して形成され、その盛り上がりの状態が管壁23aの内面に沿った偏平状をなし、開口46は管壁23aの内面に沿った略長孔状に形成されている。そのため、管壁23aに沿って流通する排気ガスは、開口形成部42を円滑に超えて下流側へ流れる。これにより、排気ガスのガス流が開口形成部42によって阻害されることを抑制できる。
【0052】
(5)導出管部23において、フィルタ18よりも下流側となる導出通路33のうち通路断面積が絞られた絞り形状となっている箇所に、配管接続部40が設けられている。このように絞り形状となっている箇所では、導出管部23の管壁23aの外側にスペースが確保されている。当該スペースに配管接続部40を構成する配管接続用ボス44が設けられているため、配管接続用ボス44の存在が排気装置10の周辺に設置される装置の邪魔になることを抑制できる。
【0053】
(6)導出管部23において絞り形状を有する箇所に、圧力導入孔41及び開口46が設けられている。絞り形状を有する箇所は、フィルタ18から流出した排気ガスのガス流を直接受けるため、開口46の目詰まりが生じやすく、また水滴も侵入しやすい。その上、本実施の形態では、管壁23aの傾斜がよりきつく形成された部位23bに設けられている。この点、前述したように、圧力導入孔41が開口形成部42によって覆われた状態となり、ガス流の流れ方向に見て上流側から見えない位置に開口46が形成されているため、開口46の目詰まりや水滴の侵入を抑制できるという構成は有効なものとなる。
【0054】
(7)排気装置10には、導出管部23に排気ガスを還流する分岐管部12が接続されている。また、フィルタ18の再生機能を有しており、当該フィルタ18から流出した排気ガスの圧力が圧力センサSによって測定されるようになっている。この場合、圧力センサSに伝達する圧力の導入部位は、還流通路34の接続部位よりも下流側であって排気ガスの還流による圧力変化が少ない箇所となる。この箇所は導出口16の側に近いため、導出管部23は必然的にガス流と交差する絞り形状となる。そのため、圧力導入孔41及び開口46の目詰まりや水滴の侵入を抑制できる構成は、この排気装置10において一層有効なものとなる。
【0055】
なお、本発明は、上記した実施形態の排気装置10に限られるものではなく、例えば次のような構成を採用してもよい。
【0056】
(a)上記実施の形態の排気装置10は、EGR装置を備えたエンジンの排気経路に設けられるものとして具体化したが、EGR装置を備えない排気経路に設けられる装置であってもよい。この場合、排気ガスの還流がないため、分岐管部12が設置されない構成となる。
【0057】
(b)上記実施の形態では、検知部として圧力センサSを有する排気装置10としたが、検知部としては、排気温センサ、酸素検知センサ、NOx検知センサ等、排気ガスの状況を検知する他の排気センサ類であってもよい。
【0058】
(c)上記実施の形態では、開口形成部42によって形成された開口46は、排気ガスのガス流の下流側に向けられているが、これと異なる方向に向けられて形成されてもよい。ただその場合でも、排気ガスの流れ方向に見て上流側から見えない側に向けて開口している必要がある。
【0059】
(d)上記実施の形態では、開口形成部42は管壁23aの内面からなだらかに盛り上がるように突出するとともに、管壁23aの内面に沿った偏平状に形成されている。これに代えて、開口形成部42をより一層内側に突出した形状に形成された構成を採用してもよい。
【0060】
(e)上記実施の形態の排気装置10は、排気微粒子を捕集するフィルタ18を備えているが、エンジンの排気経路に設けられ、排気ガスの圧力、温度、酸素濃度及びNOx濃度等を検知する機能を有し、フィルタ18を備えない装置であってもよい。このようにフィルタ18を備えない装置であっても、検知部に排気ガスを至らせる開口が形成された構成では、当該開口に排気微粒子が堆積して目詰まりしたり、水滴が検知部にかかることによって検知部が破損したりするおそれがある。そのため、本実施の形態における開口形成部42及び開口46の構成を採用すれば、開口の目詰まりや被水による検知部の故障を抑制できる。
【0061】
(f)上記実施の形態では、配管接続用ボス44が円柱状に形成され、圧力通路47は管壁23aに対して略垂直をなすように形成されている。これに代えて、
図5に示すように、配管接続用ボス44が管壁23aに取り付けられた状態で、圧力通路47が管壁23aに対して鋭角をなすような形状に形成してもよい。この場合、圧力通路47が延びる方向を、例えば分岐管部12が管壁23aから延出する方向と同方向に設定すれば、配管の取り回しが容易となる。
【0062】
(g)上記実施の形態では、開口形成部42は、薄板によって形成された管壁23aと一体に形成され、管壁23aの一部を内周側に突出させ、その部分に開口46が形成されている。ここでは、開口46が形成されることで圧力導入孔41も形成されている。これに代えて、
図6に示すように、配管接続用ボス51の一部を導出通路33の内部に配置させ、その一部によって開口形成部52が形成された構成を採用してもよい。
【0063】
この構成において、開口形成部52は、略円柱状をなし、上端部(突出端部)に向かって径が徐々に絞られるように形成されている。開口形成部52は、導出管部23の管壁23aに形成された挿通孔53に挿通され、導出通路33の内部に配置されている。そして、開口形成部52には、圧力通路54の通路入口となる圧力導入孔55が設けられている。この別例においては、挿通孔53が貫通孔に相当し、圧力導入孔55が、検知部としての圧力センサSに排気ガスを至らしめる開口に相当する。圧力導入孔55は、排気ガスのガス流の下流側に向けて開口している。そのため、上記実施の形態と同様、圧力導入孔55が排気微粒子によって目詰まりしたり、そこから水滴が侵入して圧力センサSを破損させたりすることを抑制できる。
【0064】
また、開口形成部52を挿通孔53に挿通させるだけで導出通路33内に圧力導入孔55を形成することができる。その上、開口形成部52を挿通孔53に挿通させることにより、配管接続用ボス51の位置決めが可能であり、配管接続用ボス51の取り付け作業を容易に行うことができる。
【0065】
開口形成部52は略円柱状に形成されているため、曲線状に形成された周面を有している。そのため、開口形成部52に当接した排気ガスは、開口形成部52の左右へ分岐しながら開口形成部52の周面に沿うように流通する。これにより、排気ガスは開口形成部52を円滑に回避してその下流側へ流れるため、排気ガスのガス流が開口形成部52によって阻害されることを抑制できる。なお、
図6に二点鎖線で示すように、開口形成部52の上端面61を、ガス流の上流側から下流側に向けてなだらかに盛り上がるように形成してもよい。これにより、ガス流は開口形成部52をより円滑に超えることが可能となり、流れを一層円滑化させることができる。