(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記排藁切断装置は、排藁を切断するカッタと、前記カッタの上方に位置すると共に排藁が投入される投入口と、前記投入口を開く切断位置と前記投入口を閉じる非切断位置とに切り替え可能な切り替え板と、を有し、
前記排藁切断装置が前記作業位置に位置している状態では、前記排藁フレームが前記第一上昇位置及び前記第二上昇位置の何れの位置まで上昇している場合でも、前記切り替え板を前記切断位置と前記非切断位置とに切り替え不可能である請求項1から3の何れか一項に記載のコンバイン。
前記排藁切断装置は、排藁を切断するカッタと、前記カッタの上方に位置すると共に排藁が投入される投入口と、前記投入口を開く切断位置と前記投入口を閉じる非切断位置とに切り替え可能な切り替え板と、を有し、
前記排藁切断装置が前記非作業位置に位置している状態では、前記排藁フレームが前記第一上昇位置及び前記第二上昇位置の何れの位置まで上昇している場合でも、前記切り替え板を前記切断位置と前記非切断位置とに切り替え可能である請求項1から4の何れか一項に記載のコンバイン。
前記排藁フレームを前記第一上昇位置まで上昇させる際に、前記排藁フレームが前記第二上昇位置で一時停止するように構成されている請求項1から5の何れか一項に記載のコンバイン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、排藁フレームが上方に揺動されるのに伴って、排藁搬送装置の搬送終端側部位が下がることになり、排藁細断装置の搬送終端側部位の位置は、排藁フレームの上昇位置が高くなるほど低くなる。また、排藁切断装置が作業位置と非作業位置との中間に位置している状態(排藁切断装置が作業位置でもなく、かつ、非作業位置でもない位置に位置している状態)では、排藁切断装置の上端部が排藁搬送装置の搬送終端側部位の真下に位置している可能性がある。このため、排藁切断装置が作業位置と非作業位置との中間に位置している状態で、排藁フレームを比較的高い上昇位置まで上昇させると、排藁搬送装置の搬送終端側部位が排藁切断装置の上端部に接触する虞がある。
【0006】
ところで、排藁搬送装置の設置位置を上側に移動したり、あるいは、排藁切断装置の設置位置を下側に移動したりすることにより、排藁搬送装置と排藁切断装置との上下間隔を広げて、上記のような接触を回避するという考え方もある。しかし、排藁搬送装置及び排藁切断装置の設置位置を単純に移動するのは、フィードチェーンと排藁搬送装置との間の排藁の受け渡しや、排藁搬送装置から排藁切断装置への排藁の供給を良好に行う点から得策ではない。
【0007】
上記状況に鑑み、排藁搬送装置及び排藁切断装置の設置位置を適正に保ちながら、排藁フレームを上昇させる際に、排藁搬送装置の搬送終端側部位が排藁切断装置に接触する事態を回避可能なコンバインが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、
刈取穀稈を挟持搬送するフィードチェーンと、
扱胴を有すると共に前記フィードチェーンによって搬送される刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置と、
前記脱穀装置の後側に連設されると共に前記フィードチェーンから脱穀処理後の排藁を受け取って後方へ挟持搬送する排藁搬送装置と、
前記排藁搬送装置の搬送終端側部位の下方に設けられると共に前記排藁搬送装置によって搬送された排藁を切断処理する排藁切断装置と、が備えられたコンバインであって、
前記排藁切断装置は、左右一端部側で上下方向に延びる揺動軸心周りにおいて、前記排藁搬送装置の搬送終端側部位の下方に位置する作業位置と、前記排藁搬送装置の搬送終端側部位の下方から離れて位置する非作業位置とに亘って揺動可能であり、
前記排藁搬送装置を平面視で前記排藁搬送装置の搬送終端側ほど機体左右方向の一方側に位置するように傾斜する状態で支持すると共に機体左右方向の前記一方側で機体前後方向に延びる揺動軸心周りで上下揺動可能な排藁フレームが備えられ、
前記排藁フレームの上昇限界として、少なくとも、第一上昇位置と、前記第一上昇位置よりも低い第二上昇位置と、が設定され、
前記排藁切断装置が前記作業位置に位置している状態、及び、前記排藁切断装置が前記非作業位置に位置している状態では、夫々、前記排藁フレームを前記第一上昇位置まで上昇可能であり、
前記排藁切断装置が前記作業位置と前記非作業位置との中間に位置している状態では、前記排藁フレームを前記第二上昇位置まで上昇可能であることにある。
【0009】
本特徴構成によれば、排藁切断装置が作業位置と非作業位置との中間に位置している状態(排藁切断装置が作業位置でもなく、かつ、非作業位置でもない位置に位置している状態)では、排藁フレームが第一上昇位置よりも低い第二上昇位置までしか上昇されない。これにより、排藁フレームを上昇させる際に、排藁搬送装置の搬送終端側部位が排藁切断装置に接触する事態を回避することができる。また、排藁搬送装置の設置位置や排藁切断装置の設置位置の移動を伴わないため、排藁搬送装置及び排藁切断装置の設置位置を適正に保つことができる。
【0010】
さらに、本発明において、
前記第二上昇位置は、前記排藁搬送装置の搬送終端側部位が前記排藁切断装置と干渉しない位置であると好適である。
【0011】
本特徴構成によれば、排藁フレームが第二上昇位置まで上昇している状態で、排藁切断装置を作業位置と非作業位置とに切り替えても、排藁切断装置が排藁搬送装置の搬送終端側部位に接触することがない。これにより、上述のように、排藁切断装置が作業位置と非作業位置との中間に位置している状態では、排藁フレームを第二上昇位置までしか上昇させることができないとしても、排藁フレームが第二上昇位置まで上昇している状態で、排藁切断装置を作業位置又は非作業位置に切り替えた後、排藁フレームを第一上昇位置まで上昇させることができる。
【0012】
さらに、本発明において、
前記第二上昇位置は、前記排藁搬送装置の詰り除去を行うことが可能な位置であると好適である。
【0013】
本特徴構成によれば、上述のように、排藁切断装置が作業位置に位置している状態、排藁切断装置が非作業位置に位置している状態、及び排藁切断装置が作業位置と非作業位置との中間に位置している状態の何れの状態であっても、排藁フレームを第二上昇位置まで上昇可能であり、排藁フレームを第二上昇位置まで上昇させることにより、排藁搬送装置の詰り除去を行うことができる。
【0014】
さらに、本発明において、
前記排藁切断装置は、排藁を切断するカッタと、前記カッタの上方に位置すると共に排藁が投入される投入口と、前記投入口を開く切断位置と前記投入口を閉じる非切断位置とに切り替え可能な切り替え板と、を有し、
前記排藁切断装置が前記作業位置に位置している状態では、前記排藁フレームが前記第一上昇位置及び前記第二上昇位置の何れの位置まで上昇している場合でも、前記切り替え板を前記切断位置と前記非切断位置とに切り替え不可能であると好適である。
【0015】
排藁切断装置が作業位置に位置している状態で、排藁フレームを上昇させると、排藁搬送装置の搬送終端側部位が切り替え板に徐々に接近することになり、このような状況において、切り替え板を切断位置と非切断位置とに切り替えると、切り替え板が排藁搬送装置の搬送終端側部位に接触する虞がある。本特徴構成によれば、排藁切断装置が作業位置に位置している状態では、排藁フレームが第一上昇位置及び第二上昇位置の何れの位置まで上昇している場合でも、切り替え板が切断位置と非切断位置とに切り替え不可能であり、これにより、切り替え板が排藁搬送装置の搬送終端側部位に接触する事態を回避することができる。
【0016】
さらに、本発明において、
前記排藁切断装置は、排藁を切断するカッタと、前記カッタの上方に位置すると共に排藁が投入される投入口と、前記投入口を開く切断位置と前記投入口を閉じる非切断位置とに切り替え可能な切り替え板と、を有し、
前記排藁切断装置が前記非作業位置に位置している状態では、前記排藁フレームが前記第一上昇位置及び前記第二上昇位置の何れの位置まで上昇している場合でも、前記切り替え板を前記切断位置と前記非切断位置とに切り替え可能であると好適である。
【0017】
排藁切断装置が非作業位置に位置している状態では、排藁搬送装置の搬送終端側部位が切り替え板から離れて位置している。本特徴構成によれば、排藁切断装置が非作業位置に位置している状態では、排藁フレームが第一上昇位置及び第二上昇位置の何れの位置まで上昇している場合でも、切り替え板を切断位置と非切断位置とに切り替え可能であり、これにより、切り替え板を排藁搬送装置の搬送終端側部位に接触させることなく、切断位置と非切断位置とに切り替えることができる。
【0018】
さらに、本発明において、
前記排藁フレームを前記第一上昇位置まで上昇させる際に、前記排藁フレームが前記第二上昇位置で一時停止するように構成されていると好適である。
【0019】
本特徴構成によれば、排藁フレームが第二上昇位置で一時停止した状態で、周囲の状況を確認することにより、排藁フレームを第一上昇位置まで上昇させる際に排藁搬送装置の搬送終端側部位が排藁切断装置に接触する事態を確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図4】扱胴フレームを下降させた状態の脱穀装置を示す背面図である。
【
図5】扱胴フレームを上昇させた状態の脱穀装置を示す背面図である。
【
図6】脱穀装置の後部及び排藁搬送装置を示す平面図である。
【
図7】扱胴フレーム及び排藁フレームを下降させた状態における脱穀装置の後部及び排藁搬送装置を示す左側面図である。
【
図8】扱胴フレーム及び排藁フレームを上昇させた状態における脱穀装置の後部及び排藁搬送装置を示す左側面図である。
【
図9】扱胴フレーム及び排藁フレームを下降させた状態における脱穀装置を示す背面図である。
【
図10】排藁フレーム及び扱胴フレームを上昇させた状態における脱穀装置を示す背面図である。
【
図11】排藁フレームが下降位置に位置する状態の排藁搬送装置を示す背面図である。
【
図12】排藁フレームを上昇させた状態の排藁搬送装置を示す背面図である。
【
図13】扱胴フレーム、排藁フレーム及び後部フレームを示す分解斜視図である。
【
図14】排藁フレームの基端側の構造を示す分解斜視図である。
【
図15】排藁搬送装置及び排藁切断装置を示す背面図である。
【
図16】ロック機構及び連動機構を示す分解斜視図である。
【
図17】排藁フレームが下降位置に位置している状態におけるロック機構及び連動機構を示す平面図である。
【
図18】排藁フレームが下降位置に位置している状態におけるロック機構及び連動機構を示す左側面図である。
【
図19】排藁フレームが第二上昇位置まで上昇した状態におけるロック機構及び連動機構を示す左側面図である。
【
図20】排藁フレームが第一上昇位置まで上昇した状態におけるロック機構及び連動機構を示す左側面図である。
【
図21】排藁フレームの位置とロック機構の状態と排藁切断装置の切り替えの可否との関係を示す図である。
【
図22】排藁フレームが下降位置に位置している状態における排藁切断装置の切り替え態様を示す図である。
【
図23】排藁フレームが第二上昇位置まで上昇した状態における排藁切断装置の切り替え態様を示す図である。
【
図24】排藁フレームが第一上昇位置まで上昇した状態における排藁切断装置の切り替え態様を示す図である。
【
図25】規制状態のロック機構であって、排藁切断装置が作業位置に位置している状態を示す平面図である。
【
図26】規制状態のロック機構であって、排藁切断装置が第一ロック位置に位置している状態を示す平面図である。
【
図27】規制状態のロック機構であって、排藁切断装置が非作業位置に位置している状態を示す平面図である。
【
図28】規制状態のロック機構であって、排藁切断装置が第二ロック位置に位置している状態を示す平面図である。
【
図29】排藁切断装置の位置と、ロック機構による排藁切断装置の揺動規制と、警報部による警報との関係とを示す図である。
【
図31】排藁切断装置の位置と排藁フレームの上昇限界との関係を示す図である。
【
図32】排藁切断装置の位置と排藁フレームの位置と切り替え板の切り替えの可否との関係を示す図である。
【
図33】排藁切断装置が作業位置に位置している状態における排藁フレームの上昇限界及び切り替え板の切り替え態様を示す図である。
【
図34】排藁切断装置が非作業位置に位置している状態における排藁フレームの上昇限界及び切り替え板の切り替え態様を示す図である。
【
図35】排藁切断装置が中間位置に位置している状態における排藁フレームの上昇限界を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔コンバインの全体構成〕
図1及び
図2には、自脱型コンバインを示している。本コンバインは、機体フレーム1と、機体フレーム1を支持する走行装置2と、を備えている。機体の前部における右側には、運転キャビン3が設けられている。運転キャビン3は、運転者が搭乗する運転部4と、運転部4を覆うキャビン5と、を備えている。運転部4の下方には、エンジン(図示省略)が設けられている。
【0022】
運転キャビン3の前方には、植立穀稈を刈り取る刈取部6が設けられている。運転キャビン3の後方には、穀粒を貯留する穀粒貯留タンク7が設けられている。穀粒貯留タンク7内の穀粒を排出する穀粒排出装置8が設けられている。機体の左側部には、刈取穀稈を挟持搬送するフィードチェーン9が設けられている。穀粒貯留タンク7の左隣には、脱穀装置10が設けられている。脱穀装置10は、扱胴11を有すると共にフィードチェーン9によって搬送される刈取穀稈を脱穀処理する。脱穀装置10の後側には、排藁搬送装置12が連設されている。排藁搬送装置12は、フィードチェーン9から脱穀処理後の排藁を受け取って後方へ挟持搬送する。排藁搬送装置12の搬送終端側部位の下方には、排藁搬送装置12によって搬送された排藁を切断処理する排藁切断装置28が設けられている。
【0023】
刈取部6は、複数刈り仕様(例えば、六条刈り仕様)に構成されている。刈取部6は、複数(例えば、七個)の分草具13と、複数(例えば、六個)の引起装置14と、切断装置15と、搬送装置16と、を備えている。分草具13は、圃場の植立穀稈を分草する。引起装置14は、分草された植立穀稈を引き起こす。切断装置15は、引き起こされた植立穀稈を切断する。搬送装置16は、刈取穀稈を脱穀装置10に向けて後方へ搬送する。
【0024】
〔脱穀装置等〕
図3に示すように、脱穀装置10の上部には、扱室17が形成されている。扱室17には、扱胴11が設けられている。扱胴11は、機体前後方向に延びる回転軸心Y1周りで回転可能である。扱胴11の下方には、受網18が設けられている。扱室17の後方には、塵埃を外部に排出する排塵ファン19が設けられている。
【0025】
脱穀装置10の下部には、選別対象物を揺動選別する揺動選別装置20、揺動選別装置20に選別風を送風する唐箕21、一番物の穀粒(単粒化穀粒等)を回収する一番回収部22、二番物の穀粒(枝梗付き穀粒等)を回収する二番回収部23等が設けられている。
【0026】
一番回収部22には、一番物の穀粒を右方へ搬送する一番スクリュ24が設けられている。一番スクリュ24の右端部には、一番物の穀粒を穀粒貯留タンク7に揚穀搬送する揚穀装置25が連動連結されている。
【0027】
二番回収部23には、二番物の穀粒を右方へ搬送する二番スクリュ26が設けられている。二番スクリュ26の右端部には、二番物の穀粒を揺動選別装置20に還元する二番還元装置27が連動連結されている。
【0028】
排藁切断装置28は、右端部側で上下方向に延びる揺動軸心Z1周りにおいて、排藁搬送装置12の搬送終端側部位の下方に位置する作業位置と、排藁搬送装置12の搬送終端側部位の下方から離れて位置する非作業位置とに亘って揺動可能である(
図2参照)。排藁切断装置28は、排藁を切断するカッタ29と、カッタ29を覆うカバー30と、切り替え板31と、を備えている。カバー30のうちカッタ29の上方に位置する部分には、排藁が投入される投入口30aが形成されている。カバー30の上部における左側壁と右側壁とに亘って、機体左右方向に延びる横フレーム32が設けられている。
【0029】
切り替え板31は、投入口30aを開く切断位置と投入口30aを閉じる非切断位置とに切り替え可能であり、機体左右方向に延びる揺動軸心周りで上昇側の切断位置と下降側の非切断位置とに亘って揺動開閉可能である。排藁切断装置28の右側部には、切り替え板31を揺動駆動するモータM1(
図30参照)が設けられている。切り替え板31が開いた状態(切断位置の状態)では、排藁搬送装置12によって搬送された排藁が投入口30aに投入されてカッタ29によって切断される。切り替え板31が閉じた状態(非切断位置の状態)では、排藁搬送装置12によって搬送された排藁が切り替え板31の上面を滑って地面に落下する。
【0030】
図3から
図5に示すように、扱室17における前端部及び後端部には、夫々、壁部34が設けられている。前側の壁部34は、扱室17の前壁部を構成している。後側の壁部34は、扱室17の後壁部を構成している。壁部34は、可動壁35と、固定壁36と、を備えている。可動壁35には、扱胴11が扱胴軸11aを介して回転可能に支持されている。可動壁35と固定壁36とに亘って、これらを連結する連結アーム37が設けられている。可動壁35は、連結アーム37を介して機体前後方向に延びる揺動軸心Y2周りで上下揺動可能に固定壁36に支持されている。前側の固定壁36と後側の固定壁36とに亘って、前記エンジンの動力が伝達される伝動軸38が設けられている。脱穀装置10の左右両側部には、夫々、機体前後方向に延びる前後向きフレーム40L・40Rが設けられている。
【0031】
扱胴11を上方から覆う扱胴カバー42が設けられている。扱胴カバー42の右隣には、右上部カバー43が設けられている。右上部カバー43は、機体前後方向に延びる揺動軸心周りで上下揺動可能に右側の前後向きフレーム40Rに支持されている。
【0032】
扱胴11を支持すると共に揺動軸心Y2周り上下揺動可能な扱胴フレーム44が設けられている。扱胴フレーム44は、前後一対の可動壁35と、左側の前後向きフレーム40Lと、を備えている。扱胴フレーム44には、扱胴カバー42も支持されている。
【0033】
扱胴フレーム44を上下揺動させるシリンダ45が設けられている。シリンダ45は、後側の可動壁35と後側の固定壁36とに亘って設けられている。本実施形態では、シリンダ45は、電動シリンダによって構成されている。
【0034】
扱胴11を、脱穀処理を行う脱穀処理位置に位置保持する扱胴ロック機構46が設けられている。扱胴ロック機構46は、前後一対のフックプレート47と、前後一対の扱胴フックピン48と、を備えている。前側の壁部34及び後側の壁部34の夫々に、フックプレート47が機体前後方向に延びる揺動軸心Y3周りで揺動可能に支持されている。フックプレート47の先端部には、扱胴フックピン48に係合可能なフック部47aが設けられている。フック部47aが扱胴フックピン48に係合することにより、扱胴11が脱穀処理位置に位置保持される。扱胴フックピン48に対するフック部47aの係合が解除されることにより、扱胴フレーム44と共に扱胴11がシリンダ45によって上方に揺動される。前後一対のフックプレート47を揺動駆動するモータM2が、後側の壁部34の後面に支持されている。モータM2によって、前後一対のフックプレート47が係合側及び係合解除側に揺動される。
【0035】
図6及び
図7に示すように、脱穀装置10の左側部における後上部には、後部フレーム41が設けられている。後部フレーム41は、側面視で脱穀装置10の後部から後方に突出する略U字形状に形成されている。後部フレーム41は、丸パイプによって構成されている。
【0036】
後部フレーム41のうち上側部分41aと下側部分41bとの間を、排藁搬送装置12によって搬送される排藁STが通過する。後部フレーム41の後部には、平面視で機体横外側(左側)に折れ曲がる折れ曲り部41cが形成されている。
【0037】
ここで、後部フレーム41の後部が平面視で後方に向かって真っ直ぐ延びている場合(
図6に示す二点鎖線で描かれた後部フレーム41を参照)、排藁搬送装置12によって搬送される排藁STが稈長の長い穀稈(長稈)の排藁であると、排藁STの株元が後部フレーム41の後端部における縦部分に接触して搬送の抵抗となり、排藁STの詰りが発生する虞がある。
【0038】
しかし、上記構成によれば、後部フレーム41の後部に、折れ曲り部41cが形成されていることにより、後部フレーム41の後端部における縦部分41dと排藁搬送装置12(株元搬送装置49)との間隔が長くなる。これにより、長稈の排藁STであっても排藁STの株元が縦部分41dに接触することなく、排藁STを排藁搬送装置12によって搬送することができる。また、後部フレーム41を後方に延長することにより、前記間隔を長くするものではないため、機体の前後長が長くなることもない。
【0039】
〔排藁搬送装置〕
図6及び
図7に示すように、排藁搬送装置12は、平面視で排藁搬送装置12の搬送終端側ほど機体左右方向の一方側(右側)に位置するように傾斜する状態で排藁フレーム55に支持されている。排藁搬送装置12は、排藁の株元側を挟持搬送する株元搬送装置49と、排藁の穂先側を係止搬送する穂先搬送装置50と、を備えている。株元搬送装置49は、突起51a付きの排藁チェーン51と、排藁レール52と、を備えている。排藁レール52は、排藁チェーン51の下方において、排藁チェーン51の下側経路に対向する状態で配置されている。株元搬送装置49の搬送終端部には、排藁チェーン51を案内する一対のガイド板53が設けられている。穂先搬送装置50は、タイン54a付きの排藁穂先チェーン54を備えている。
【0040】
排藁搬送装置12の排藁搬送空間Sが、後側の壁部34の後方に形成されている。排藁搬送空間Sは、機体前後方向において、排藁フレーム55を跨ぐように形成されている。排藁搬送空間Sは、平面視において、排藁搬送空間Sの前後中途部(傾斜部39aの前端に対応する箇所)で搬送方向下流側ほど右側に位置するように広がっている。伝動軸38と排藁搬送装置12の入力軸(図示省略)とに亘って、伝動軸38の動力を排藁搬送装置12の前記入力軸に伝達するベルト伝動機構58が設けられている。
【0041】
〔排藁フレーム〕
図6から
図14に示すように、排藁フレーム55は、排藁搬送装置12を平面視で排藁搬送装置12の搬送終端側ほど機体左右方向の一方側(右側)に位置するように傾斜する状態で支持すると共に機体左右方向の一方側(右側)で機体前後方向に延びる揺動軸心Y2周りで上下揺動可能である。排藁搬送装置12は、排藁フレーム55から取り外し可能であり、前ステー56及び後ステー57を介して排藁フレーム55に吊り下げ支持されている。
【0042】
排藁フレーム55は、枠状に形成されており、基端フレーム部71と、前フレーム部72と、後フレーム部73と、遊端フレーム部74と、を備えている。一本の丸パイプが折り曲げられて、前フレーム部72、後フレーム部73及び遊端フレーム部74が形成されている。前フレーム部72の基端部及び後フレーム部73の基端部は、夫々、後側及び前側に向かって折れ曲がっている。前フレーム部72の基端部と後フレーム部73の基端部との間には、間隔があけられている。
【0043】
基端フレーム部71は、前フレーム部72の基端部と後フレーム部73の基端部とに亘って設けられている。基端フレーム部71は、前フレーム部72の基端部及び後フレーム部73の基端部に対して下側から固定されている。基端フレーム部71は、角パイプによって構成されている。
【0044】
排藁フレーム55は、支軸76を介して前後一対のステー78に揺動軸心Y2周りで上下揺動可能に支持されている。支軸76は、伝動軸38と同一の揺動軸心Y2上に配置されている。支軸76は、ステー83に固定されている。ステー83は、基端フレーム部71に固定されている。前後一対のステー78は、ブラケット87にボルト固定されている。ブラケット87は、右側の前後向きフレーム40Rの下面に垂設されている。
【0045】
排藁フレーム55は、排藁搬送装置12が排藁の搬送を行う下降位置と排藁搬送装置12が排藁の搬送を行わない上昇位置(後述する、第一上昇位置及び第二上昇位置)とに亘って、揺動軸心Y2周りで上下揺動可能である。扱胴フレーム44と排藁フレーム55とを連結解除可能に連結する連結部60が設けられている。扱胴フレーム44と排藁フレーム55とが連結部60によって連結された状態で、扱胴フレーム44と排藁フレーム55とが一体的にシリンダ45によって上下揺動可能である。
【0046】
排藁フレーム55の上昇限界として、第一上昇位置(
図15に示す第一上昇角度αに対応する上昇位置)と、第一上昇位置よりも低い第二上昇位置(
図15に示す第二上昇角度βに対応する上昇位置)と、が設定されている。第一上昇位置は、扱胴11の詰り除去を行うことが可能な位置である。第二上昇位置は、排藁搬送装置12の搬送終端側部位が排藁切断装置28と干渉しない位置であり(
図8参照)、排藁搬送装置12の詰り除去を行うことが可能な位置である。
【0047】
連結部60は、左側の前後向きフレーム40Lに固定された第一ブラケット61と、遊端フレーム部74に固定された第二ブラケット62と、第一ブラケット61と第二ブラケット62とに亘ってこれらを連結する連結プレート63と、を備えている。連結プレート63は、第一ブラケット61及び第二ブラケット62に夫々ボルト固定されている。
【0048】
〔排藁フレーム用の内側ロック機構〕
図9から
図14に示すように、排藁フレーム55が下降位置に位置する状態で、排藁フレーム55の基端側部位を右側の前後向きフレーム40Rに位置保持する内側ロック機構93が設けられている。内側ロック機構93は、内側フック94と、内側フックピン95と、を備えている。内側フック94は、基端フレーム部71に支持されている。内側フックピン95は、右側の前後向きフレーム40Rに支持されている。
【0049】
図11に示すように、排藁フレーム55が下降位置側に揺動するのに追従して内側フック94が内側フックピン95に係合することにより、排藁フレーム55の基端側部位が内側ロック機構93によって右側の前後向きフレーム40Rに位置保持される。そして、
図12に示すように、排藁フレーム55が上昇位置側に揺動するのに追従して内側フックピン95に対する内側フック94の係合が解除されることにより、内側ロック機構93による位置保持が解除される。
【0050】
〔扱胴フレーム用の外側ロック機構〕
図6から
図10及び
図13に示すように、扱胴フレーム44が下降位置に位置する状態で、左側の前後向きフレーム40Lを後部フレーム41に位置保持する外側ロック機構96が設けられている。外側ロック機構96は、外側フック97と、外側フックピン98と、を備えている。外側フック97は、左側の前後向きフレーム40Lに支持されている。外側フックピン98は、後部フレーム41に支持されている。
【0051】
扱胴ロック機構46(後側のフックプレート47)と、外側ロック機構96(外側フック97)とを連動連結するリンク機構109が設けられている。リンク機構109は、第一リンクアーム110と、第二リンクアーム111と、リンクロッド112と、を備えている。第一リンクアーム110は、後側のフックプレート47の基端部に相対揺動可能に連結されている。第一リンクアーム110と第二リンクアーム111とは、相対揺動可能に連結されている。リンクロッド112の前端部には、第二リンクアーム111が相対揺動不能に連結されている。リンクロッド112の後端部には、外側フック97が相対揺動不能に連結されている。
【0052】
図9に示すように、モータM2によって前後一対のフックプレート47が係合側に揺動されることにより、フックプレート47(フック部47a)が扱胴フックピン48に係合される。そして、後側のフックプレート47の係合側への揺動がリンク機構109を介して外側フック97に伝達されることにより、後側のフックプレート47の係合側への揺動に連動して、外側フック97が係合側に揺動される。こうして、外側フック97が係合状態になることにより、左側の前後向きフレーム40Lが外側ロック機構96によって後部フレーム41に位置保持される。
【0053】
そして、
図10に示すように、モータM2によって前後一対のフックプレート47が係合解除側に揺動されることにより、扱胴フックピン48に対するフックプレート47(フック部47a)の係合が解除される。そして、後側のフックプレート47の係合解除側への揺動がリンク機構109を介して外側フック97に伝達されることにより、後側のフックプレート47の係合解除側への揺動に連動して、外側フック97が係合解除側に揺動される。こうして、外側フック97が係合解除状態になることにより、外側ロック機構96による位置保持が解除される。
【0054】
〔排藁切断装置の揺動構造〕
図6、
図15から
図18に示すように、排藁切断装置28は、揺動軸心Z1周りで揺動可能なように、支柱113に支持されている。支柱113には、上下一対の支軸114が設けられている。支柱113には、支軸114を支持する支持部115が設けられている。
【0055】
排藁切断装置28の右側部には、上下方向に延びる円形断面のフレーム116と、上側の支軸114に回転可能な状態で連結されるプレート117と、下側の支軸114に回転可能な状態で連結されるブラケット118と、が設けられている。プレート117は、揺動軸心Z1周りでフレーム116と一体に揺動するように、フレーム116に固定されている。
【0056】
排藁切断装置28の揺動軸心Z1周りの揺動角度を検出する角度検出センサ119が設けられている。角度検出センサ119は、ポテンショメータによって構成されている。角度検出センサ119は、揺動式の検出アーム119aを備えている。検出アーム119aは、フレーム116に接触している。
【0057】
〔排藁切断装置用のロック機構〕
図6、
図15から
図18に示すように、排藁切断装置28の作業位置から非作業位置側への揺動と、排藁切断装置28の非作業位置から作業位置側への揺動とを規制するロック機構120が設けられている。ロック機構120は、排藁切断装置28の揺動を規制しない非規制状態と、排藁切断装置28の揺動を規制する規制状態とに切り替え可能である。ロック機構120は、プレート117と、カム121と、を備えている。
【0058】
カム121は、機体左右方向に延びる揺動軸心X1周りで揺動可能なように、軸部122に支持されている。軸部122は、上側の支持部115の左側部から左方に突出している。カム121は、軸部122に外嵌された状態でボルト123及び平座金124によって抜け止めされている。
【0059】
カム121を初期位置側に揺動付勢する捩じりバネ125が設けられている。カム121が初期位置に位置する状態で当接するストッパ126が設けられている。捩じりバネ125は、軸部122に外嵌されていると共に、その一端部がカム121に係合され、かつ、その他端部がストッパ126に係合されている。カム121は、捩じりバネ125によって初期位置側に揺動付勢されてストッパ126に当接することにより、初期位置に位置保持されている。
【0060】
排藁フレーム55の上昇に連動してロック機構120が排藁切断装置28の揺動を規制するように、排藁フレーム55の上昇動作にロック機構120の規制動作を連動させる連動機構127が設けられている。連動機構127は、排藁フレーム55とカム121とに亘るケーブルワイヤ128を備えている。ケーブルワイヤ128は、脱穀装置10の右側壁39のうち、後側ほど右側に位置するように傾斜する傾斜部39aに沿って配策されている。ケーブルワイヤ128は、インナワイヤ128aと、アウタワイヤ128bと、を備えている。インナワイヤ128aのうち排藁フレーム55側の端部は、ステー129に連結されている。ステー129は、ステー130にボルト固定されている。ステー130は、ステー83にボルト固定されている。アウタワイヤ128bのうち排藁フレーム55側の端部は、ステー79に支持されている。ステー79は、後側のステー78にボルト固定されている。インナワイヤ128aのうちカム121側の端部は、カム121に連結されている。アウタワイヤ128bのうちカム121側の端部は、ステー131に支持されている。ステー131は、上側の支持部115の左側部に固定されている。
【0061】
図18に示すように、排藁フレーム55が下降位置に位置している状態では、カム121が初期位置に位置保持されている。
図18に示す状態では、プレート117の先端117aの回転軌跡内において、カム121がプレート117の下面よりも下側に位置している。このため、プレート117が揺動軸心Z1周りで回転しても、カム121に当接せず、排藁切断装置28の揺動が規制されない。このように、
図21及び
図22に示すように、排藁フレーム55が下降位置に位置している状態では、ロック機構120が非規制状態であり、排藁切断装置28を作業位置と非作業位置とに切り替えることができる。
【0062】
そして、
図19に示すように、排藁フレーム55が第二上昇位置まで上昇すると、排藁フレーム55の上昇に連動して、カム121が捩じりバネ125の付勢力に抗してケーブルワイヤ128に引っ張られる形態で
図19に示す位置まで上側に揺動する。
図19に示す状態では、プレート117の先端117aの回転軌跡内において、カム121がプレート117の下面よりも下側に位置している。その際、カム121のうち平坦面121aがプレート117の下面に対して略平行な状態である。このため、プレート117が揺動軸心Z1周りで回転しても、カム121に当接せず、排藁切断装置28の揺動が規制されない。このように、
図21及び
図23に示すように、排藁フレーム55が第二上昇位置まで上昇している状態では、ロック機構120が非規制状態であり、排藁切断装置28を作業位置と非作業位置とに切り替えることができる。
【0063】
そして、
図20に示すように、排藁フレーム55が第一上昇位置まで上昇すると、排藁フレーム55の上昇に連動して、カム121が捩じりバネ125の付勢力に抗してケーブルワイヤ128に引っ張られる形態で
図20に示す位置まで上側に揺動する。
図20に示す状態では、カム121がプレート117の先端117aの回転軌跡内において、プレート117の下面よりも上側に入り込んでいる。このため、プレート117が揺動軸心Z1周りで回転すると、カム121に当接し、排藁切断装置28の揺動が規制される。このように、
図21及び
図24に示すように、排藁フレーム55が第一上昇位置まで上昇している状態では、ロック機構120が規制状態であり、排藁切断装置28を作業位置と非作業位置とに切り替えることができない。
【0064】
図25に示すように、排藁切断装置28が作業位置に位置している状態において、ロック機構120が規制状態に切り替えられると、排藁切断装置28を作業位置から非作業位置に切り替えることができない。詳述すると、
図26に示すように、ロック機構120が規制状態において、排藁切断装置28を作業位置から非作業位置側に揺動させると、プレート117が作業位置から第一ロック位置まで第一許容角度θ1揺動した段階で、プレート117のうち第一当接面117bがカム121に当接する。こうして、プレート117のうち第一当接面117bがカム121に当接することにより、排藁切断装置28がこれ以上非作業位置側に揺動することが阻止される。
【0065】
図27に示すように、排藁切断装置28が非作業位置に位置している状態において、ロック機構120が規制状態に切り替えられると、排藁切断装置28を非作業位置から作業位置に切り替えることができない。詳述すると、
図28に示すように、ロック機構120が規制状態において、排藁切断装置28を非作業位置から作業位置側に揺動させると、プレート117が非作業位置から第二ロック位置まで第二許容角度θ2揺動した段階で、プレート117のうち第二当接面117cがカム121に当接する。こうして、プレート117のうち第二当接面117cがカム121に当接することにより、排藁切断装置28がこれ以上作業位置側に揺動することが阻止される。
【0066】
すなわち、
図29に示すように、ロック機構120は、規制状態において、排藁切断装置28が作業位置から非作業位置側に一定角度範囲(第一許容角度θ1)だけ揺動するのを許容し、かつ、排藁切断装置28が非作業位置から作業位置側に一定角度範囲(第二許容角度θ2)だけ揺動するのを許容する。第二許容角度θ2は、第一許容角度θ1よりも大きい角度に設定されている。
【0067】
〔制御ブロック〕
図30に示すように、制御ブロックには、制御装置132と、シリンダ45と、モータM1と、モータM2と、警報部133と、シリンダ45を操作する昇降スイッチ134と、モータM1を操作する切り替えスイッチ135と、排藁切断装置28の揺動軸心Z1周りの揺動角度を検出する角度検出センサ119と、排藁フレーム55の揺動軸心Y2周りの揺動角度を検出する角度検出センサ136と、が含まれている。
【0068】
昇降スイッチ134は、シリンダ45の伸長動作によって扱胴フレーム44及び排藁フレーム55を上昇させる上昇指令と、シリンダ45の縮長動作によって扱胴フレーム44及び排藁フレーム55を下降させる下降指令とを発する。昇降スイッチ134は、上昇指令を発する上昇操作部と、下降指令を発する下降操作部と、を備えている。前記上昇操作部を押し操作している間だけ、扱胴フレーム44及び排藁フレーム55が上昇し、前記下降操作部を押し操作している間だけ、扱胴フレーム44及び排藁フレーム55が下降する。
【0069】
切り替えスイッチ135は、モータM1によって切り替え板31を切断位置と非切断位置とに切り替える切り替え指令を発する。警報部133は、例えば、音声出力装置(スピーカ等)や表示装置(ディスプレイ、回転灯等)によって構成することができる。制御装置132は、昇降制御部137と、切り替え制御部138と、警報制御部139と、を備えている。
【0070】
昇降制御部137は、昇降スイッチ134の指令に応じて、シリンダ45の昇降制御を行う。
図31及び
図33示すように、排藁切断装置28が作業位置に位置している状態において、昇降スイッチ134によって第一上昇位置まで上昇させる上昇指令が発せられると、昇降制御部137は、排藁フレーム55を第一上昇位置まで上昇させる。同様に、
図31及び
図34示すように、排藁切断装置28が非作業位置に位置している状態において、昇降スイッチ134によって第一上昇位置まで上昇させる上昇指令が発せられると、昇降制御部137は、排藁フレーム55を第一上昇位置まで上昇させる。
【0071】
しかし、
図31及び
図35示すように、排藁切断装置28が作業位置と非作業位置との中間に位置している状態(排藁切断装置28が作業位置でもなく、かつ、非作業位置でもない位置(以下、「中間位置」という。)に位置している状態)において、昇降スイッチ134によって第一上昇位置まで上昇させる上昇指令が発せられても、昇降制御部137は、排藁フレーム55を第一上昇位置まで上昇させない。すなわち、排藁切断装置28が中間位置に位置している状態では、昇降スイッチ134によって第一上昇位置まで上昇させる上昇指令が発せられても、排藁フレーム55を第二上昇位置までしか上昇させることができない。
【0072】
ここで、昇降制御部137は、排藁フレーム55を第一上昇位置まで上昇させる際に、排藁フレーム55を第一上昇位置まで一気に上昇させずに、排藁フレーム55を第二上昇位置で一時停止する。そして、一時停止後、昇降スイッチ134によって第一上昇位置まで上昇させる上昇指令が発せられると、昇降制御部137は、排藁フレーム55を第二上昇位置から第一上昇位置まで上昇させる。一方、昇降制御部137は、排藁フレーム55を第一上昇位置から下降位置まで下降させる際は、第一上昇位置から下降位置まで一気に下降させる。
【0073】
切り替え制御部138は、切り替えスイッチ135の指令に応じて、モータM1の切り替え制御を行う。
図32及び
図34に示すように、排藁切断装置28が非作業位置に位置している状態では、排藁フレーム55が第一上昇位置及び第二上昇位置の何れの位置まで上昇している場合でも、切り替えスイッチ135によって切り替え指令が発せられると、切り替え制御部138は、切り替え板31を切断位置と非切断位置とに切り替える。しかし、
図32及び
図33に示すように、排藁切断装置28が作業位置に位置している状態では、排藁フレーム55が第一上昇位置及び第二上昇位置の何れの位置まで上昇している場合でも、切り替えスイッチ135によって切り替え指令が発せられても、切り替え制御部138は、切り替え板31を切断位置と非切断位置とに切り替えない。
【0074】
警報制御部139は、警報部133の警報制御を行う。排藁フレーム55が第二上昇位置で一時停止する際、一時停止したことを知らせるべく、警報制御部139は、警報部133によって警報を発する。排藁フレーム55が第一上昇位置まで上昇している状態において、排藁切断装置28を作業位置と非作業位置とに切り替えようとすると、警報制御部139は、警報部133によって警報を発する。
【0075】
詳述すると、
図29に示すように、排藁フレーム55が第一上昇位置まで上昇している状態では、排藁切断装置28を作業位置から非作業位置側に揺動させると、警報制御部139は、警報部133による警報を第一ロック位置に達する手前(作業位置と第一ロック位置との間)で行う。排藁フレーム55が第一上昇位置まで上昇している状態では、排藁切断装置28を非作業位置から作業位置側に揺動させると、警報制御部139は、警報部133による警報を第二ロック位置に達する手前(非作業位置と第二ロック位置との間)で行う。
【0076】
〔角度検出センサ用のブラケット〕
図16に示すように、角度検出センサ119が取り付けられるブラケット140が設けられている。ブラケット140は、ステー141にボルト固定されている。ステー141は、上側の支持部115の下部に固定されている。すなわち、角度検出センサ119は、排藁切断装置28を揺動可能に支持する上側の支持部115に設けられている。ブラケット140には、検出アーム119aが初期位置から検出範囲外に揺動しないように検出アーム119aの揺動を阻止するストッパ140aが設けられている。検出アーム119aは、初期位置でストッパ140aに接触し、ストッパ140aによって初期位置から検出範囲外に揺動しないように揺動が阻止される。
【0077】
ここで、上述のように、検出アーム119aは、フレーム116に接触しているが、仮に、ストッパ140aが設けられていない場合、排藁切断装置28が上下一対の支軸114から取り外された状態では、検出アーム119aが接触する対象が存在しないことになる。そうすると、検出アーム119aが初期位置から検出範囲外に揺動することになり、排藁フレーム55の昇降に支障を来たすという不都合が懸念される。例えば、検出アーム119aが初期位置から検出範囲外に揺動して、角度検出センサ119の検出値が排藁切断装置28が中間位置に位置している状態の検出値を示すことになると、排藁フレーム55を第一上昇位置まで上昇させることができない。
【0078】
しかし、上記構成によれば、排藁切断装置28を上下一対の支軸114から取り外したとしても、ストッパ140aが機体側に残ることになり、これにより、検出アーム119aの揺動がストッパ140aによって阻止されるため、上述のような不都合を回避することができる。
【0079】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、排藁切断装置28用の「ロック機構」として、機械式のロック機構が採用されているが、例えば、排藁切断装置28がモータによって作業位置と非作業位置とに切り替えられるように構成されている場合、排藁切断装置28用の「ロック機構」として、制御装置132によるロック機構が採用されていてもよい。
【0080】
(2)上記実施形態では、排藁フレーム55の上昇限界として、第一上昇位置と、第一上昇位置よりも低い第二上昇位置と、が設定されているが、これに加えて、第二上昇位置よりも低い上昇位置や、第一上昇位置よりも低くかつ第二上昇位置よりも高い上昇位置が設定されていてもよい。
【0081】
(3)上記実施形態では、排藁フレーム55を第一上昇位置まで上昇させる際に、排藁フレーム55が第二上昇位置で一時停止するように構成されているが、排藁フレーム55が第一上昇位置まで一気に上昇するように構成されていてもよい。
【0082】
(4)上記実施形態では、排藁フレーム55を第一上昇位置から下降位置まで下降させる際に、排藁フレーム55が第一上昇位置から下降位置まで一気に下降するように構成されているが、排藁フレーム55が第二上昇位置で一時停止するように構成されていてもよい。
【0083】
(5)上記実施形態では、ロック機構120は、規制状態において、排藁切断装置28が作業位置から非作業位置側に一定角度範囲(第一許容角度θ1)だけ揺動するのを許容し、かつ、排藁切断装置28が非作業位置から作業位置側に一定角度範囲(第二許容角度θ2)だけ揺動するのを許容する。しかし、ロック機構120は、規制状態において、排藁切断装置28が作業位置から非作業位置側に一定角度範囲だけ揺動するのを許容し、かつ、排藁切断装置28が非作業位置から作業位置側に一定角度範囲だけ揺動するのを許容しなくてもよい。あるいは、ロック機構120は、規制状態において、排藁切断装置28が作業位置から非作業位置側に一定角度範囲だけ揺動するのを許容せず、かつ、排藁切断装置28が非作業位置から作業位置側に一定角度範囲だけ揺動するのを許容してもよい。あるいは、ロック機構120は、規制状態において、排藁切断装置28が作業位置から非作業位置側に一定角度範囲だけ揺動するのを許容せず、かつ、排藁切断装置28が非作業位置から作業位置側に一定角度範囲だけ揺動するのを許容しなくてもよい。